JP6122378B2 - 精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法 - Google Patents
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Description
その他の手段として、スラリー液の移送時にスラリー中の固形粒子へ過度なせん断力を与えることがない容積型のロータリーポンプが用いられている(特許文献2)。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートの反応生成液を水と効率的に混合させて、セルロース誘導体粒子を工業的に製造するためにカッターポンプが用いられている(特許文献3)。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは水不溶性で、水溶性セルロースエーテルと比較して保水性に優れるという特有の性質を有する。そのため、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは黄変原因物質を含む水を多く抱え込んでしまい、精製工程において黄変原因物質の除去が非常に困難である。
表面がゲル状となった固形粒子から、ゲル内部の黄変原因物質の抽出を向上させるためには、固形粒子のゲル状部分を物理的に解砕する必要がある。ゲル状部分の解砕が不十分であると黄変原因物質を十分に除去できない。しかし、解砕が過度になった場合、微細化した固形粒子は濾過時の抵抗が大きくなるため、精製工程時間の延長に繋がる。
特に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのように保水性に優れるセルロースの場合は、脱水工程が低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造工程全体の時間の中でも大きな割合を占めている。
本発明は、アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて反応混合物を得る反応工程と、上記反応混合物を、全量中和に必要な酸の一部を含む水に分散させて該反応混合物の一部を中和して部分析出させた後に、残りの酸で完全中和して析出させた粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得る工程と、上記粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリー中の固形物をカッターポンプを用いて解砕して、解砕された固形物を含むスラリーを排出する解砕工程と、排出されたスラリーを水で洗浄して精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのケーキを得る洗浄工程と、上記ケーキを乾燥する乾燥工程とを少なくとも含み、上記解砕工程を経て排出されるスラリー中の解砕された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径が、1.0〜2.4mmである精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法を提供する。
アルカリセルロースは、好ましくは、原料パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させる工程と、得られた接触物を脱液する脱液工程とを含む一般的な製造方法によって得ることができる。
原料パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを接触させる工程としては、原料パルプにアルカリ金属水酸化物溶液を直接滴下又は噴霧する方法の他、原料パルプをアルカリ金属水酸化物溶液に浸漬後、圧搾して余剰のアルカリ金属水酸化物溶液を除く方法等が挙げられる。
原料パルプには、木材パルプ、リンターパルプ等が挙げられ、シート状、粉砕した粉末状等、形状に限定されることなく使用できる。また、パルプの重合度は目標とするセルロースエーテルの粘度に応じて適宜選択可能である。
アルカリ金属水酸化物溶液は、アルカリセルロースが得られれば特に制限されないが、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液、特に好ましくは経済的観点から水酸化ナトリウム水溶液である。また、アルカリ金属水酸化物溶液の濃度は、好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは30〜40質量%である。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度が20質量%より低い場合には、エーテル化反応が十分に進行しない場合がある一方、60質量%を超えると、調整されたアルカリセルロースの組成が不均一となってしまい、均一な解重合が行われない場合がある。
接触により得られるアルカリセルロース生成物は、アルカリセルロース、アルカリ金属水酸化物及び水から少なくとも構成される。
エーテル化剤は、ヒドロキシプロポキシ基が置換されれば特に制限はないが、経済的な観点から酸化プロピレンが好ましい。
エーテル化剤は、アルカリセルロース中のセルロースに対するモル比で0.3〜3.0の範囲で反応を行うことが好ましい。酸化プロピレン等のエーテル化剤の添加量が0.3未満又は3.0を超えると、ヒドロキシプロポキシ基が所定量置換されない場合がある。
黄変の原因物質は、水に可溶であるため、精製工程(洗浄、必要応じて脱水及び/又は圧搾)において水に抽出することで除去可能である。
中和温度は、特に限定されず、加熱しない室温であっても加熱をして30〜80℃としても良く、水として35〜65℃の熱水を用いることが好ましい。
一部の酸の投入後の混合時間は、好ましくは5〜120分間、特に好ましくは10〜80分間である。部分中和時間が5分未満であると低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが部分中和されていない場合があり、120分を超えると低置換ヒドロキシプロピルセルロース製造時間の延長に繋がる場合がある。
部分中和を行った後に、残りの酸を全量投入して一定時間混合することにより、完全中和して粗低置換ヒドロキシプロピルセルロースを析出させる。酸の投入後の混合時間は、好ましくは5〜60分間、特に好ましくは10〜30分間である。酸の投入後の混合時間が5分未満であると、酸が均一に混合されない場合があり、60分間を超えると低置換ヒドロキシプロピルセルロース製造時間の延長に繋がる場合がある。
特に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのように保水性に優れるセルロースは、精製工程(洗浄、必要に応じて脱水及び/又は圧搾)において、スラリー全量を処理するまでに時間がかかる場合が多い。そのため、精製工程における処理が終了するまで、系内を均一分散状態に保つことが好ましい。
系内を均一分散状態に保つためにミキサー等による撹拌を行う場合、最小動力でスラリーが均一分散状態となるような撹拌条件で撹拌をすることが好ましい。動力を過度に上昇させると、撹拌によるせん断力により低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子を過度に解砕してしまう可能性があり、好ましくない。
また、戻りバルブ17を「閉」として、流量調整バルブ15からカッターポンプ1aで吐出したスラリーの全量を洗浄機16に送液することも可能である。しかし、本発明のように洗浄機処理速度が経時的に変化する可能性がある場合、ポンプの吐出量と洗浄機処理速度を調整することによる連続的な洗浄は困難である。また、洗浄機の処理能力によってはポンプのスラリー吐出量が過剰となってしまい、連続的な洗浄ができない。これらの場合、例えば、流量調整バルブ15と洗浄機16に間に、一時的にスラリーを保管するタンク(図示せず)を設けて連続的な洗浄を維持してもよい。
なお、スラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径として、篩法による積算重量粒度分布における積算値50%粒子径を用いる。
カッターポンプから吐出されるスラリーの流量は、スラリータンク等の容器内のスラリー量及び洗浄機処理速度によって大きく変化するが、配管内を流れるスラリーの流量を配管断面積で除した値であるスラリーの線速として、好ましくは0.2〜5.0m/s、特に好ましくは0.5〜2.0m/sである。線速が0.2m/s未満だと、所定の流量を出すために配管径を非常に大きくする必要がある場合があり、その場合は、スラリーの比重によっては、配管の中で沈降が生じてしまう場合がある。一方、線速が5.0m/sを超えると工業的に安定な運転をすることができない場合がある。
バイパス流路にスラリーを通すことは、好ましくはスラリータンクとカッターポンプの間、及び/又はカッターポンプと洗浄工程で使用される洗浄機へ導入又はスラリータンクに戻して循環させる分岐点と間に配設されるロータリーポンプによって駆動される。
また、好ましくはロータリーポンプを避けて迂回できるロータリーバイパス流路を設けることにより、ロータリーポンプで処理される回数を制御して洗浄機等へ排出される解砕された低置換度セルロースエーテルの平均粒子径を調整できる。ロータリーポンプは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物に過度なせん断力を与えることがないため、固形粒子の微細化を抑制することができるが、全く微細化されないというわけではないからである。
全アルカリ金属水酸化物溶液を中和した後の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、スラリータンク22等の容器で、スラリー化水中に分散させスラリーとする。スラリー化を行った後、抜き出しバルブ23を「開」とし、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路2fをスラリーが通過するようにし、同時に、配管流路切り替えバルブ2bを切り替え、カッターポンプ2aにスラリーが通過するようにする。その後、カッターポンプ2aを介してスラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行う。
カッターポンプ2aにて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が解砕されたスラリーは、流量調整バルブ25から一部を洗浄機26に送液し、残りは戻りバルブ27を「開」とし、循環流路28よりスラリータンク22等の容器内に送液させ、さらにカッターポンプ2aを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。洗浄機への導入又はスラリータンクに戻しての循環は分岐点24を介して行われる。
ロータリーポンプ2dで送液されたスラリーは、流量調整バルブ25から、一部を洗浄機26に送液し、残りは循環流路28よりスラリータンク22等の容器に送液させ、さらにロータリーポンプ2dを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。
洗浄機26に送られたスラリーは濾過されてケーキとなり、上記と同様に、そのケーキ上に洗浄用熱水を散布し、再び濾過を行い洗浄される。洗浄されたケーキは公知の方法で圧搾される。
特に、ロータリーポンプをカッターポンプの前後に配設する場合、ロータリーポンプの吐出時の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子にかかるせん断力は、ロータリーポンプ1台を配設した場合と比較して増加する。そのため、ロータリーポンプによるスラリー吐出時に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子が、微細化してしまう可能性が高くなってしまう。
全アルカリ金属水酸化物溶液を中和した後の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、スラリータンク32等の容器で、スラリー化水に分散させスラリーとする。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ33を「開」、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路3f及び3iにスラリーが通過するようにし、同時に、配管流路切り替えバルブ3bを切り替え、カッターポンプ3aにスラリーが通過するようにする。その後、カッターポンプ3aを介して、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行う。
カッターポンプ3aにて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が解砕されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液し、残りは戻りバルブ37を「開」とし、循環流路38よりスラリータンク32等の容器内に送液させ、さらにカッターポンプ3aを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。洗浄機への導入又はスラリータンクに戻しての循環は分岐点34を介して行われる。
ロータリーポンプ3d及び3gで送液されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液し、残りは循環流路38よりスラリータンク32等の容器内に送液させ、さらにロータリーポンプ3d及び3gを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。
洗浄機36に送られたスラリーは濾過されてケーキとなり、上記と同様に、そのケーキ上に洗浄用熱水を散布し、再び濾過を行い洗浄される。洗浄されたケーキは公知の方法で圧搾される。
<実施例1>
内部撹拌構造を有する反応器に、粉末状パルプを仕込み、次に撹拌条件下、35質量%水酸化ナトリウム水溶液を6分間添加し、引き続き20分間撹拌することで、水酸化ナトリウム15.0質量%、セルロース54.3質量%、水分30.7質量%の組成のアルカリセルロースを製造した。
その後、反応器内の窒素置換を行った。窒素置換後、反応器を60℃に保ちながら、アルカリセルロース100質量部(14.7kg)に対して酸化プロピレン9.8質量部を加え90分間エーテル化反応させ、粗反応生成物109.8質量部を得た。引き続き反応機内の窒素置換を行った後、反応品を取り出した。
双軸ニーダーに、40℃の温水277質量部と33質量%の酢酸水溶液3.1質量部を入れ、これに粗反応生成物100質量部を分散させた。次いで、温度を40℃に保持しながら、粗反応生成物の一部を10分間混合して部分中和させた。その後、同一温度を保持しながら33質量%酢酸水溶液58.9質量部を8分間かけて入れ、酢酸が均一になるまで混合を行い、反応生成物を析出させ、析出物として8.96kgを得た。
以下、図1に例示される構成の装置を用いて実験を行った。
スラリータンク12に析出物100質量部(8.96kg)を入れ、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを5.0質量%スラリーとなるように60℃のスラリー化水123.2質量部に撹拌装置11を用いて分散させた。
スラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、目開きの異なる5つの篩を用いて、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物がその目開きを通過する割合によって求めた積算重量粒度分布における積算値50%粒子径として別途測定したところ、3.5mmであった。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ13を「開」とし、カッターポンプ1a(三和ハイドロテック社製)を介して、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行った。カッターポンプ1aの送液中の流量は0.00056m3/sであり、スラリーの線速は0.93m/sであった。
解砕後のスラリーは、流量調整バルブ15から一部を洗浄機16に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ17を「開」とし、循環流路18よりスラリータンク12内に送液させた後、更にカッターポンプ1aを介してスラリーを循環させた。
洗浄機16に送液したスラリーは、濾過及び洗浄用熱水の散布を連続的に行い洗浄した。スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにカッターポンプ1aから吐出したスラリーの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.2mmであった。
精製工程にかかる時間の目安として、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにカッターポンプ1aから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を評価した。真空ポンプを備えた吸引フラスコに、ナイロンフィルター(145メッシュ)を間にかませたガラス製フィルターホルダーを設置した。次に、フィルターホルダーファンネル部に、60℃に温調したスラリーを160g入れ、スラリーを吸引濾過して80gの濾液が得られるまでの時間を測定したところ300秒間であった。また、真空度はマノメータにて測定したところ、−6.0kPaであった。
スラリーは洗浄された後、圧搾して送風乾燥機による乾燥を行い、高速回転衝撃粉砕機で粉砕を行い篩にて分級を行った後、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末を得た。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末の黄変確認試験として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末をセルに仕込んだ後、粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.3であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースエーテル反応品を得るまでは、実施例1と同様の操作を行った。
次に、双軸ニーダーに40℃の温水277質量部と33質量%の酢酸水溶液3.1質量部を入れ、これに粗反応生成物100質量部(32.7kg)を分散させた。次いで、温度を40℃に保持しながら粗反応生成物の一部を10分間部分中和させた。その後、同一温度を保持しながら33質量%酢酸水溶液58.9質量部を10分間かけて入れ、酢酸が均一になるまで10分間混合を行い、反応生成物を析出させ、析出物として143.4kgを得た。
以下、図2に例示される構成の装置を用いて実験を実施した。
スラリータンク22に析出物100質量部(143.4kg)を入れ、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを5.0質量%スラリーとなるように、60℃のスラリー化水123.2質量部に撹拌装置21を用いて分散させた。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.5mmであった。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ23を「開」、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路2fにスラリーが通過するように切り替え、同時に配管流路切り替えバルブ2bを、カッターポンプ2aにスラリーが通過するように切り替えた。その後、カッターポンプ2aを介してスラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行った。カッターポンプ2aの送液中の流量は0.00069m3/sであり、スラリーの線速は1.16m/sであった。
解砕後のスラリーは、流量調整バルブ25から一部を洗浄機26に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ27を「開」とし、循環流路28よりスラリータンク22内に送液させた後、更にカッターポンプ2aを介してスラリーを循環させた。
カッターポンプ2aを介して30分間スラリー循環させた後、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプ2d(ナカキン社製)にスラリーが通過するようにし、同時に配管流路切り替えバルブ2bを切り替え、カッターポンプバイパス流路2cをスラリーが通過するようにした。その後、ロータリーポンプ2dを介してスラリーの送液を行った。
ロータリーポンプ2dで送液するように切り替えた直後のロータリーポンプ2dから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.9mmであった。
ロータリーポンプ2dで送液されたスラリーは、流量調整バルブ25から一部を洗浄機26に送液した。また、残りのスラリーは循環流路28よりスラリータンク22内に送液させた後、更にロータリーポンプ2dを介してスラリーを循環させた。
ロータリーポンプ2dの送液中の流量は0.00064m3/sであり、スラリーの線速は1.07m/sであった。
洗浄機26に送液したスラリーは濾過及び洗浄用熱水の散布を連続的に行い洗浄した。スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ2dから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は1.6mmであった。
また、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ2dから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、230秒間であり、真空度は−5.8kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.0であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例2と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.4mmであった。
ロータリーポンプとカッターポンプの前後関係を実施例2と逆にして、ロータリーポンプをカッターポンプの後に配設する以外は、実施例2と同様の方法で行った。
カッターポンプ送液中の流量は0.00064m3/sであり、スラリーの線速は1.07m/sであった。
カッターポンプを介して30分間スラリー循環させた後、ロータリーポンプによる送液に切り替えた。ポンプを切り替えた直後のロータリーポンプから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.9mmであった。
ロータリーポンプ送液中の流量は0.00061m3/sであり、スラリーの線速は1.02m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.6mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、220秒間であり、真空度は−6.2kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.1であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例2と同様の操作を行った。その後は、実施例1と同様の装置を用いて同様の操作を行ってスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、2.5mmであった。
ロータリーポンプとカッターポンプの前後関係を実施例2と同じにして、導入されるスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒径が実施例2より小さい以外は、実施例2と同様の方法で行った。
カッターポンプ送液中の流量は0.00053m3/sであり、スラリーの線速は0.88m/sであった。
カッターポンプを介して20分間スラリー循環させた後、ロータリーポンプによる送液に切り替えた。ポンプを切り替えた直後のロータリーポンプから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.6mmであった。
ロータリーポンプ送液中の流量は0.00067m3/sであり、スラリーの線速は1.11m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.3mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、350秒間であり、真空度は−6.0kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.3であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例2と同様の操作を行った。その後は、実施例1と同様の装置を用いて同様の操作を行ってスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.7mmであった。
これ以降は、図3に例示される構成の装置を用いて実施し、ロータリーポンプは同一特性のものを使用した。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ33を「開」、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路3f及び3iにスラリーが通過するように切り替え、同時に、配管流路切り替えバルブ3bを、カッターポンプ3aにスラリーが通過するように切り替えた。その後、カッターポンプ3aを介してスラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行った。
カッターポンプ3aにて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が解砕されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ37を「開」とし、循環流路38よりスラリータンク32内に送液させた後、更にカッターポンプ3aを介してスラリーを循環させた。
カッターポンプの送液中の流量は0.00061m3/sであり、線速は1.02m/sであった。
カッターポンプ3aを介して30分間スラリー循環させた後、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプ3d及び3gにスラリーが通過するようにし、同時に配管流路切り替えバルブ3bを切り替え、カッターポンプバイパス流路3cをスラリーが通過するようにした。その後、ロータリーポンプ3d及び3gを介してスラリーの送液を行った。
ロータリーポンプ3d及び3gで送液されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ37を「開」とし、循環流路38よりスラリータンク3内に送液させた後、更にロータリーポンプ3d及び3gを介してスラリーを循環させた。
ロータリーポンプ3d及び3gで送液するように切り替えた直後のロータリーポンプ3gから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.9mmであった。
ロータリーポンプ3d及び3gの送液中の流量は共に0.00065m3/sであり、スラリーの線速は1.09m/sであった。
洗浄機36に送液したスラリーは濾過及び洗浄用熱水の散布を連続的に行い洗浄した。スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ3gから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.3mmであった。
また、実施例1と同様にしてスラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ3gから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、380秒であり、真空度は、−6.0kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、7.8であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例1と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.1mmであった。
カッターポンプの替わりに遠心ポンプを用いた以外は、実施例1と全く同様の装置にて同様の操作を行った。
遠心ポンプ送液中の流量は0.0013m3/sであり、スラリーの線速は2.01m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときに遠心ポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.1mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときに遠心ポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、400秒間であり、真空度は実施例1と同様測定し、−6.1kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、9.1であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例1と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.0mmであった。
カッターポンプの替わりにロータリーポンプを用いた以外は、実施例1と全く同様の装置にて同様の操作を行った。
ロータリーポンプ送液中の流量は0.00067m3/sであり、スラリーの線速は1.11m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、2.4mmであった。
更に、実施例1と同様にしてスラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、210秒間であり、真空度は実施例1と同様測定し、−6.1kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、9.7であった。
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例3と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.3mmであった。
カッターポンプの替わりに遠心ポンプを用いた以外は、実施例3と全く同様の装置にて同様の操作を行った。
遠心ポンプ送液中の流量は0.0013m3/sであり、スラリーの線速は2.10m/sであった。
遠心ポンプを介して40分間スラリー循環させた後、ロータリーポンプによる送液に切り替えた。ポンプを切り替えた直後のロータリーポンプから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.6mmであった。
ロータリーポンプの送液中の流量は0.00064m3/sであり、スラリーの線速は1.07m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は1.4mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー濾過するのにかかる時間を測定したところ、250秒間であり、真空度は実施例1と同様測定し、−6.0kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、9.5であった。
12、22、32 スラリータンク
13、23、33 抜き出しバルブ
14、24、34 分岐点
15、25、35 流量調整バルブ
16、26、36 洗浄機
17、27、37 戻りバルブ
18、28、38 循環流路
1a、2a、3a カッターポンプ
2b、2e、3b、3e、3h 配管流路切り替えバルブ
2c、3c カッターポンプバイパス流路
2d、3d、3g ロータリーポンプ
2f、3f、3i ロータリーポンプバイパス流路
Claims (6)
- アルカリセルロースとエーテル化剤を反応させて反応混合物を得る反応工程と、
上記反応混合物を、全量中和に必要な酸の一部を含む水に分散させて該反応混合物の一部を中和して部分析出させた後に、残りの酸で完全中和して析出させた粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得る工程と、
上記粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリー中の固形物をカッターポンプを用いて解砕して、解砕された固形物を含むスラリーを排出する解砕工程と、
排出されたスラリーを水で洗浄して精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのケーキを得る洗浄工程と、
上記ケーキを乾燥する乾燥工程と
を少なくとも含み、上記解砕工程を経て排出されるスラリー中の解砕された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径が、1.0〜2.4mmである精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。 - 上記カッターポンプに供給される上記スラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径が、2.5〜6.0mmである請求項1に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
- 上記解砕工程が、上記粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを貯蔵するスラリータンクから導出されたスラリーを上記カッターポンプで解砕し、解砕された固形物を含むスラリーを、排出又は上記スラリータンクに戻して循環させることを含み、上記カッターポンプを避けて迂回できるカッターポンプバイパス流路を設けることにより、上記カッターポンプで解砕される回数を制御して上記排出される解砕された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径を調整する請求項1又は請求項2に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
- 上記バイパス流路に上記スラリーを通すことが、上記スラリータンクと上記カッターポンプの間、及び/又は上記カッターポンプと上記洗浄工程で使用される洗浄機へ導入又は上記スラリータンクに戻して循環させる分岐点との間に配設されるロータリーポンプによって駆動される請求項3に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
- 上記ロータリーポンプが、上記カッターポンプと上記分岐点と間に配設され、上記カッターポンプを通過後上記ロータリーポンプに供給されるスラリー中の固形物の平均粒子径が、1.5〜2.4mmである請求項4に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
- さらに、上記ロータリーポンプを避けて迂回できるロータリーバイパス流路を設けることにより、上記ロータリーポンプで処理される回数を制御して上記排出される解砕された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径を調整する請求項4又は請求項5に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
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