JP6120284B2 - コロイド分散液、その製造方法、およびその利用 - Google Patents

コロイド分散液、その製造方法、およびその利用 Download PDF

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Description

本発明は、非水溶性の有機半導体材料のコロイドの水分散液、その製造方法、およびその利用に関するものである。
有機半導体を用いた有機薄膜素子の製造において、有機半導体の薄膜製造法として、スピンコート法のほか、スクリーン印刷、グラビア印刷およびインクジェット印刷等の印刷技術が知られている。
しかし、これらの印刷技術を適用するためには、有機半導体材料をクロロベンゼン等の有機溶媒に高濃度に溶かしたインクを調製する必要があった。そのため、結晶性または自己配向性が高く、有機溶媒に対する溶解性が低い有機半導体材料は、これらの印刷技術に利用することが困難であった。
上記の問題を解決するため、低濃度のインクからでも有機半導体を製膜できる技術が開発された。そのような技術として、噴霧(スプレー)塗布技術を用いる方法がある。
例えば、非特許文献1には、蒸発噴霧堆積(ESDUS,Evaporative Spray Deposition using UltradiluteSolution)法によって、低濃度の溶液から有機半導体の薄膜を製造する方法が記載されている。また、非特許文献2、特許文献1および特許文献2には、静電噴霧堆積(ESD,Electro Spray Deposition)法によって、有機半導体の溶解液またはバインダーとの混合溶解液を塗布製膜し、有機電子デバイスを作製する方法が記載されている。
しかし、非特許文献1、非特許文献2、特許文献1および特許文献2等に記載の印刷技術に係る方法は、溶媒としてエーテル系、芳香族系、アルコール系、ケトン系およびハロゲン系等の有機溶媒、場合によっては、トルエンおよび二硫化炭素等の有害な有機溶媒を使用するものである。そのため、環境負荷の低減およびCO削減等、低炭素社会の実現に向けて、有機溶媒を実質的に使わない有機半導体の新たな製膜技術が強く求められていた。
例えば、特許文献3および非特許文献3には、PEDOT系導電性高分子の水または水/アルコール混合分散液をESD法で塗布して薄膜を作製することが記載されている。
また、例えば、非特許文献4には、非結晶性の導電性高分子にラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン系界面活性剤を添加して水分散液を調製し、スロットダイ方式で塗布して有機デバイスを作製する方法が記載されている。
しかし、有機薄膜素子の活性層として用いられる導電性高分子またはナノカーボン材料を水性インク化し、有機薄膜素子を作製する技術は、非特許文献3および4以外には未だ報告例が極めて少ない。
なお、非特許文献5には、導電性高分子の一種であるP3HT(ポリ(3−ヘキシルチオフェン))をテトラヒドロフランに溶解した後に、水に加えてP3HTの水分散液を調製したことが記載されている。
日本国公開特許公報「特開2009−251386号(2009年10月29日公開)」 日本国公開特許公報「特開2010−528119号(2010年8月19日公開)」 日本国公開特許公報「特開2011−3442号(2011年1月6日公開)」
Shakutsui, et al., Japanese Journal of Applied Physics (2010), 49(6, Pt. 1), 060207/1-060207/3. J-S. Kim, et al., Advanced Functional Materials, 20, 3538-3546 (2010). J-S. Kim, et al., J. Mechanical Sci. Technol., 24, 301-305 (2010). T. R. Andersen, et al., ACS NANO, 5(5), 4188-4196 (2011). H. Shimizu, et al., Polym. J., 40(1), 33-36 (2008).
しかし、特許文献3および非特許文献3に記載の方法は、水に分散するためにはスルホン酸等の対イオンを混合する必要がある、特殊な高分子(PEDOT系導電性高分子)を用いた方法である。そのため、これらの方法は他の導電性高分子に対して容易に適応し難い技術である。また、インクとして用いた場合に、スルホン酸等が塗膜中に残留するため、有機薄膜素子のデバイス特性を大きく損なう虞がある。
同様に、非特許文献4に記載の方法は、インクとして用いた場合に、不揮発性の界面活性剤が塗膜中に残留するため、有機薄膜素子のデバイス特性を大きく損なう虞がある。
非特許文献5に記載の方法は、インク用途で開発されたものではないため、コロイド分散液の安定性に劣る。もちろん、非特許文献5には、良好なデバイス特性を有する有機薄膜素子についての記載もない。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コロイドの分散を安定化させる剤(分散安定剤)を添加しない場合でも安定性を有する、非水溶性の有機半導体材料のコロイドの水分散液、およびその製造方法等を提供することにある。
本願発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、まず非水溶性の有機半導体材料を水溶性の有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液を水に加えて攪拌するプロセスにおいて、当該有機溶媒中の有機半導体材料を所定サイズ以下になるように分散して溶解しておくことが、最終的に得られるコロイド分散液の安定性に極めて重要であることを見出し、本発明に想到するに至った。
すなわち、本発明に係るコロイド分散液の製造方法は、非水溶性の有機半導体材料のコロイドが水に分散しているコロイド分散液の製造方法であって、水溶性の有機溶媒中に上記有機半導体材料を動的光散乱法に基づき測定した平均粒径が50nm以下になるまで分散して溶解し、有機半導体材料を含む溶液を作製する工程Aと、上記溶液を水に加えて攪拌する工程Bとを含むことを特徴としている。
本発明はまた、上記製造方法によって製造されるコロイド分散液を提供する。
本発明に係る有機薄膜素子の製造方法は、上記コロイド分散液を基体に付着させる付着工程を含むことを特徴としている。
本発明はまた、上記製造方法によって製造される有機薄膜素子を提供する。
本発明により、コロイドの分散を安定化させる剤(分散安定剤)を添加しない場合でも安定性を有する、非水溶性の有機半導体材料のコロイドの水分散液、およびその製造方法等を低コストで提供することができる。
実施例7において用いた静電噴霧装置およびITOパターンガラス基板の概略図である。 実施例8において作製した素子の概略構成を示す図である。 実施例8において、素子Aの短絡光電流の時間応答および電流−電圧特性の結果を示す図である。 実施例8において、素子Bの短絡光電流の時間応答および電流−電圧特性の結果を示す図である。 実施例8において、素子Cの短絡光電流の時間応答の結果を示す図である。 実施例9において、P3HTのコロイド分散液のDMA測定の結果および顕微鏡観察の結果を示す図である。 実施例9において、PCBMのコロイド分散液のDMA測定の結果および顕微鏡観察の結果を示す図である。 実施例10において、素子Eの短絡光電流の時間応答および電流−電圧特性の結果を示す図である。
〔本発明に係るコロイド分散液の製造方法〕
(概要)
本発明に係るコロイド分散液の製造方法は、水溶性の有機溶媒中に有機半導体材料を動的光散乱法に基づき測定した平均粒径が50nm以下になるまで分散して溶解し、有機半導体材料を含む溶液を作製する工程Aと、上記溶液を水に加えて攪拌する工程Bとを含むものである。この製造方法により、非水溶性の有機半導体材料のコロイドが水に分散しているコロイド分散液が得られる。以下、各工程についてより詳細に説明する。
(工程A)
工程Aは、水溶性の有機溶媒中に有機半導体材料を動的光散乱法に基づき測定した平均粒径が50nm以下になるまで分散して溶解し、有機半導体材料を含む溶液を作製する工程である。
<非水溶性の有機半導体材料>
本発明に係るコロイド分散液の製造方法における有機半導体材料は、非水溶性で且つ有機溶媒に対して溶解可能なものを指し、p型半導体材料またはn型半導体材料として利用される。p型半導体材料としては、例えば、ポリチオフェンおよびチオフェン系化合物のポリマーが挙げられる。本願明細書において、チオフェン系化合物のポリマーとは、主鎖にチオフェン骨格を有する繰返し単位を含み、さらに主鎖にチオフェン骨格以外の構造を有する繰り返し単位を含んでいてもよいポリマー(但しポリチオフェンを除く)を指す。ここで、チオフェン骨格以外の構造を有する繰り返し単位として、例えば、カルバゾール骨格を有する繰返し単位、ベンゾチオフェン骨格を有する繰返し単位、およびp−フェニレンビニレン骨格を有する繰返し単位等が挙げられる。なお、これらの繰返し単位は何れも、当該繰返し単位中に含まれる水素原子の一部が、例えば、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基およびベンジル基等の単環系の芳香族置換基(狭義のアリール基);その他の芳香族置換基;等で置換されていてもよい。
チオフェン系化合物のポリマーとしては、例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ[[9−(1−オクチルノニル)−9H−カルバゾール−2,7−ジイル]−2,5−チオフェンジイル−2,1,3−ベンゾチアヂアゾール−4,7−ジイル−2,5−チオフェンジイル](PCDTBT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)(P3OT)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)(P3DDT)、ポリ[(9,9−ジ−n−オクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,8−ジイル)](F8BT)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−ビチオフェン](F8T2)、およびポリ(3−オクチルチオフェン−2,5−ジイル−co−3−デシルオキシチオフェン−2,5−ジイル)(POT−co−DOT)等が挙げられる。
p型半導体材料として他には、例えば、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、およびポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)等のp−フェニレンビニレン骨格を有するポリマー、ならびにポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン](PTAA)等が挙げられる。
また、n型半導体材料としては、例えば、フラーレンおよびフラーレン誘導体が挙げられる。フラーレンとしては、C60フラーレン、C70フラーレン、およびC84フラーレン等が挙げられる。フラーレン誘導体としては、例えば、フラーレンの炭素原子の一部に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基;エポキシ基;1〜2個程度のジオキソラン構造(ジオキソラン基);インドリン基およびベンゾフラン基等の縮環有機基;等の置換基が結合した化合物が挙げられる。フラーレン誘導体として具体的には、各種のフラーレンエポキシド、1,3−ジオキソラン−フラーレン誘導体、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)、フェニルC61酪酸ブチルエステル(PCBB)、フェニルC61酪酸オクチルエステル(PCBO)、インデン付加型フラーレン誘導体、シリルメチル付加型フラーレン誘導体、インドリノ-フラーレン誘導体、およびベンゾフラノ-フラーレン誘導体等が挙げられる。
n型半導体材料として他には、例えば、ラダー状ポリマー(BBL,ポリ(ベンゾビスイミダゾベンゾフェナントロリン)等)、ホウ素を含んだ共役ポリマー(例えば、ポリ[(2,5−ジデシロキシ−1,4−フェニレン)(2,4,6−トリイソプロピルフェニルボラン)],ジフェニル末端等)、シアノ基を含むフェニレンビニレン系ポリマー(例えば、ポリ(2,5−ジ(ヘキシルオキシ)シアノテレフタリリデン)、およびポリ(5−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−メトキシ−シアノテレフタリリデン)等)等が挙げられる。
<水溶性の有機溶媒>
水溶性の有機溶媒は、水と相分離をせずに混和することができ、且つ上記非水溶性の有機半導体材料を溶解させることができる限り、特に限定されない。水溶性の有機溶媒は、水に対して1体積%以上の溶解性を有することが好ましく、水に対して10体積%以上の溶解性を有することがより好ましい。
水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等のアルコール類;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、およびエチルビニルエーテル等のエーテル類;アセトン、およびメチルエチルケトン等のケトン類;蟻酸エチル、蟻酸プロピル、および酢酸エチル等のエステル類;二硫化炭素等の硫黄化合物;クロロホルム、ジクロロエタン、およびジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、混合溶媒として用いてもよい。
上記例示の有機溶媒のなかでも、水への溶解性に優れ、かつ環境へ悪影響を及ぼす虞が比較的少ないという観点では、エーテル類、アルコール類、およびこれらの組み合わせが好ましい。
また、上記例示の有機溶媒のうち、ポリチオフェンおよびチオフェン系化合物のポリマーの溶解に特に好適なものは、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはこれらの混合溶媒であり、なかでもテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、またはこれらの混合溶媒が特にこれらポリマーの溶解性に優れる。フラーレンおよびフラーレン誘導体の溶解に特に好適なものは、テトラヒドロフラン、二硫化炭素、クロロホルム、エタノール、またはこれらの混合溶媒であり、なかでもテトラヒドロフラン、二硫化炭素、またはこれらの混合溶媒がフラーレン等の溶解性に優れる。
また、沸点が比較的低くて(100℃未満)後工程での除去が容易で、水に溶け易く(溶解度が、例えば、0.1体積%以上)、且つ比較的多種類の有機半導体材料を溶解可能であるという観点では、有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、クロロホルム、およびエタノール等が好ましい。
<工程Aの詳細>
有機溶媒に対する有機半導体材料の量は、特に限定されない。用いる有機溶媒に対する有機半導体材料の溶解度等によって、適宜決定すればよい。有機溶媒に有機半導体材料を溶解させた溶液中における有機半導体材料の量(濃度)は、例えば、0.01重量%以上で10重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上で3重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以上で1重量%以下であることがさらに好ましい場合がある。0.01重量%以上である場合には、最終的に得られるコロイド分散液の濃度調整(濃縮)がより容易となるからである。また、10重量%以下であれば、後述する工程B以降において、有機半導体材料の一部が水中でコロイド化せずに凝集して粗大粒子を形成する虞がより確実に低減されるからである。
工程Bで得られたコロイド分散液中に粗大粒子が存在すると、当該コロイド分散液を用いて製造した有機薄膜素子のデバイス特性が損なわれる虞がある。また、濾過によって粗大粒子を除去することもできるが、有機半導体材料の有効活用の観点では、粗大粒子の発生を可能な限り抑制することが好ましい。
分散は、動的光散乱(DLS)法に基づき測定した有機半導体材料の平均粒径が50nm以下になるまで行う。平均粒径が50nmより大きいと、最終的に得られるコロイド分散液中で有機半導体材料の粗大粒子を大量に形成するからである。加えて、当該コロイド分散液の保存安定性が著しく劣るようになるからである。さらに、当該コロイド分散液中の有機半導体材料の平均粒径は大きいため、このコロイド分散液を有機薄膜素子の製造に用いた場合、有機薄膜素子のデバイス特性が充分に発揮されない虞があるからである。分散は、好ましくは上記平均粒径が20nm以下、より好ましくは10nm以下になるまで行う。なお、分散を充分に行うほど、工程Bで用いる水の量を低減できて、より高濃度なコロイド分散液を調製可能となるという利点もある。
有機半導体材料を分散させる方法は、機械的に分散させる方法であれば、特に限定されない。分散させる方法としては、例えば、超音波による方法、ビーズミル法、ロールミル法、ジェットミル法、およびホモジナイザー法等が挙げられる。分散させる方法としては、超音波による方法が好ましい。超音波による方法は、簡便であり、汚染が発生する虞が少なく、且つ有機半導体材料の粒径を均等に小さくできるからである。超音波を発生させる装置として、例えば、超音波分散機または超音波洗浄機等の公知の装置を用いることができる。超音波の照射条件は、特に限定されない。超音波の照射条件は、例えば、周波数が20〜50kHz、超音波出力が50〜500W、照射時間が10〜60分であることが好ましい。
また、分散させる際の温度は特に限定されないが、好ましくは有機溶媒の温度を30〜60℃の範囲内に保ちながら、有機半導体材料を分散する。分散の速度を向上させることができるからである。また、有機半導体材料の平均粒径をより小さく(例えば、10nm以下)できるからである。分散させる際の温度は、例えば、有機溶媒としてTHFを使用する場合には、より好ましくは40〜50℃の範囲内に保っておく。
本発明において「DLS法に基づき測定した平均粒径」とはこの技術分野における一般的な意味で用いられており、いわゆる動的光散乱法の原理に基づく単分散モード解析によって求めた粒子の粒度分布における積算値50%に対応する粒径を指す。なお、粒度分布を解析する際に一般的に行われるように、明らかにノイズとして区別できる領域を除外すること、および、正確に平均粒径を反映することが出来ない程度に乖離したマルチピークが出現している測定データは解析の対象としないこと、等の処理を適宜行う。
なお、DLS法に基づき測定した有機半導体材料の平均粒径が50nm以下になるまで分散できているか否かの判定は、後述する実施例の記載に従いDLS法に基づき実際に測定値を得る方法の他、分散前後の溶液の色の変化を指標にして判定することもできる。例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)の場合、分散によって溶液の色が淡橙色に変化すれば、DLS法に基づき測定したポリ(3−ヘキシルチオフェン)の平均粒径が5nm〜50nm程度となっていることを示す。
(工程B)
工程Bは、工程Aで作製した溶液を水に加えて攪拌する工程である。工程Bにおいて、有機半導体材料は、水中でコロイド化して分散する。本明細書では、工程Bを経て得られた、有機半導体材料が水中でコロイド化して分散した液を、単に「コロイド分散液」と称する場合がある。
工程Aで作製した溶液に対する水の量は、特に限定されないが、好ましくは10倍体積以上で100倍体積以下であり、より好ましくは20倍体積以上で50倍体積以下であり、さらに好ましくは30倍体積以上で50倍体積以下である。10倍体積以上であれば、有機半導体材料がコロイド化せずに、不溶化して浮いてくる虞がより確実に低減される。また、100倍体積以下であれば、得られたコロイド分散液の濃度調整(濃縮)がより容易となる。
工程Bは、工程Aの後できるだけ早く行うことが好ましい。工程Aで作製した溶液中で有機半導体材料が凝集し、工程Bにおいて粗大粒子を形成する虞がより確実に低減されるからである。工程Bは、工程Aの後、30分以内に行うことが好ましく、15分以内に行うことがより好ましく、5分以内に行うことがさらに好ましく、直ちに行うことが特に好ましい。
工程Aで作製した溶液を水に加える方法は、特に限定されないが、滴下して加えることが好ましい。少量ずつ加えていく方が、一度に加えるよりも有機半導体材料の粗大粒子を形成しにくい傾向があるからである。
工程Aで作製した溶液が加えられた水を攪拌する方法は、特に限定されず、例えば、一般的なメカニカルスターラーを用いて室温で1〜2時間程度行えばよい。
(工程C)
好ましくは、工程Bの後、得られたコロイド分散液から有機溶媒を除去する工程(工程C)を行う。これによって、コロイド分散液の濃縮および不要物の除去が行われるため、当該コロイド分散液を有機薄膜素子の製造等に用いた際に、より良質な(例えば、均一で平滑な)薄膜を形成することができる。
有機溶媒を除去する方法は、特に限定されない。有機溶媒を除去する方法としては、例えば、1)コロイド分散液を加熱して、有機溶媒を蒸発させること、2)減圧して有機溶媒を蒸発させること、3)これら1)および2)を組み合わせること、が挙げられる。有機溶媒を除去する方法の好ましい例として、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下、特に好ましくは室温で、減圧することによって有機溶媒を蒸発させることが挙げられる。加熱のみで有機溶媒を除去することに比べて、有機半導体材料のコロイドの性質が変化する虞が少ないからである。なお、工程Cにおいて、コロイド分散液の濃度調整(濃縮)を兼ねて、コロイド分散液中の水も蒸発させてもよい。例えば、後述のように噴霧して有機半導体薄膜を形成する場合に、コロイド分散液の高濃度化によって、噴霧時間の短縮を図ることができる。
(工程D)
必要に応じて、工程Bと工程Cとの間または工程Cの後、コロイド分散液を濾過する工程(工程D)を行ってもよい。コロイド分散液中で有機半導体材料の粗大粒子が形成された場合でも、濾過によって、当該粗大粒子をコロイド分散液から除去することができる。濾過の方法は、特に限定されないが、好ましくはペーパーフィルターを用いる方法である。ペーパーフィルターの種類は、コロイド化した半導体材料の濾取が少なく粗大粒子の選択的な濾取が可能という観点で、JIS P3801 5種Cの規格のものが好ましい。これによって、より安定なコロイド分散液を得ることができる。そのため、当該コロイド分散液を有機薄膜素子の製造等に用いた際に、より良質な薄膜を形成することができる。
〔本発明に係るコロイド分散液〕
上記の製造方法によって製造されたコロイド分散液は、以下のような特徴を有する。
(i)有機半導体材料のコロイドの粒径が小さい。
(ii)不要な有機溶媒がほとんど含まれていないか、実質的に全く含まれていない。
(iii)分散安定剤(界面活性剤等)を併用しなくても分散安定性が良好であり、高濃度でも分散安定性を有する。
本発明に係るコロイド分散液は、例えば、有機半導体インク組成物として利用することができる。本発明に係るコロイド分散液は、上記の特徴を有するため、有機薄膜素子の製造に用いた際に、良質な薄膜を形成し得る。したがって、当該有機薄膜素子は、高性能なデバイス特性を有し得る。また、得られる有機薄膜素子は、特に光電子特性に優れるので、本発明に係るコロイド分散液は、特に、太陽電池用薄膜、およびフォトセンサ用薄膜等の高性能光導電膜の製造に好適に利用し得る。
〔本発明に係る有機薄膜素子の製造方法〕
(付着工程)
本発明に係る有機薄膜素子の製造方法は、上記コロイド分散液を基体に付着させる付着工程を含むものである。
基体の形状は特に限定されないが、基板等が挙げられる。基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、およびシリコン基板等が挙げられる。基体には、電極パターン、および/または他の半導体膜等が形成されていてもよい。
上記コロイド分散液を基体に付着させる方法は、特に限定されない。付着させる方法としては、例えば、スピンコーティング、ロールコーティング、スピンキャスティング、ドクターブレーディング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、およびダイコート法等が挙げられ、なかでも、比較的低濃度で、粘度の低い半導体インクの利用が可能なスプレーコーティングが好ましい。スプレーコーティングとしては、例えば、蒸発噴霧堆積(ESDUS)法、および静電噴霧堆積(ESD)法等が挙げられる。特にESDUS法、およびESD法等の方法を併用することによって、容易に任意の膜厚で有機半導体薄膜を得ることができる。
付着させる方法としては、ESD法が特に好ましい。ESD法は、基体表面の特定の場所(電極の配置箇所)を指定して製膜することができ、効率的だからである。またESD法は、噴霧される液滴(コロイド分散液)が小さいため、液滴が基体に到達するまでの間に、コロイド分散液中にわずかに残っている有機溶媒を揮発させることができるからである。さらに、噴霧される液滴が小さいため、微小なコロイドを1個または数個単位で基体に均質に吹き付けることができるからである。
ESD法において用いる静電噴霧装置は、公知の装置でよい。基体に設ける電極としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)電極、アルミニウム電極、金電極、銀電極、クロム電極、酸化チタン電極、および酸化亜鉛電極等が挙げられる。また、電極と形成される有機半導体薄膜との間に、絶縁膜、他の半導体膜、または金属膜等が挿入されてもよい。例えば、電極と有機半導体薄膜のとの間にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)からなる薄膜が形成されていてもよく、あるいは、電極と有機半導体薄膜との間にフッ化リチウムからなる薄膜が形成されていてもよい。
ESD法における静電噴霧の条件は、有機半導体材料の種類、有機半導体薄膜の面積および膜厚、ならびに有機薄膜素子の用途等によって、適宜決定すればよい(下記実施例も参照)。コロイド分散液(有機半導体インク組成物)の濃度は、良好な成膜スピードを確保する観点では、例えば、0.04〜0.06mg/ml程度にすることが好ましく、0.05mg/ml程度にすることがより好ましい。なお、コロイド分散液が低濃度であっても、噴霧する時間を長くすることで、所望の膜厚にすることが可能である。
なお、ESD法におけるエレクトロスプレー現象のメカニズムについては現在以下のように考えられている。すなわち、まず、電圧の印加によってスプレーキャピラリー先端の液体(コロイド分散液)表面に電極と反対符号の電荷を持つイオンが集まる。液体表面に蓄積された電荷と電場との相互作用によってキャピラリー先端ではメニスカスが半円球状に盛り上がる。より高い電場の下では、Taylor−coneと呼ばれる円錐状のメニスカスが形成される。電場をさらに大きくし、静電気力反発が表面張力を上回ると、液体の一部がTaylor−coneから飛び出し、液滴あるいはジェットとして噴出を始める。噴出された液滴あるいはジェットは、強く帯電しており、電場によって導電性基体(基体上の電極)へ引き寄せられる。場合によっては液体内部での静電気力反発によってさらに分裂して細かい液滴あるいはジェットを形成する。形成された液滴のサイズは極めて小さく、体積あたりの表面積が非常に大きいため、極めて短時間のうちに多くの溶媒が蒸発することとなる。これによって、基体上にはナノスケールの液滴が噴射された状態となり、非常に緻密で、均一性を有する膜を得ることができる。
ESD法を用いて製造された本発明に係る有機薄膜素子は、光電変換特性に優れる(下記実施例も参照)。したがって、太陽電池用薄膜、およびフォトセンサ用薄膜等の高性能光導電膜として好適に用いられ得る。
また、基体はスピンコーティングによって形成された半導体膜を表面に有していてもよい。半導体膜の材料は、例えば、付着させるコロイド分散液に分散している有機半導体材料と多数キャリアが同じである(すなわち、n型・p型の区分が同じである)材料であり、好ましくは、付着させるコロイド分散液に分散している有機半導体材料と同一の材料である。上記コロイド分散液は、半導体膜の少なくとも一部に付着させればよい。このように製造された有機薄膜素子は、光電変換特性により優れる(下記実施例も参照)。したがって、太陽電池用薄膜、およびフォトセンサ用薄膜等の高性能光導電膜としてより好適に用いられ得る。
有機薄膜素子の製造方法に用いる本発明のコロイド分散液(有機半導体インク組成物)は、n型半導体材料、p型半導体材料の何れを用いても調製可能である。したがって、本発明のコロイド分散液を用いて、n型半導体薄膜素子、p型半導体薄膜素子、およびpn接合型半導体薄膜素子等、n型およびp型半導体材料を自在に組み合わせた有機薄膜素子を製造することができる。
(その他の工程)
有機薄膜素子の製造において、必要に応じて、形成したコロイド粒子の製膜性向上のために、界面活性剤、または増粘剤等の添加剤をコロイド分散液に添加してもよい。また、薄膜成形後の機能の維持または向上を目的として、酸化防止剤、または光安定剤等の添加剤をコロイド分散液に添加してもよい。コロイド分散液の製造過程または有機薄膜素子の製造過程における、上記添加剤の添加時期および添加量は、適宜決定し得る。
コロイド分散液は、付着させる方法に応じて、予め希釈または濃縮することによって、濃度を調整してもよい。上述のように、工程Cにおいて、有機溶媒の除去と濃度調整(濃縮)とを同時に行ってもよい。
付着工程以外の工程については、公知の方法を用いればよい。また、形成した有機半導体薄膜の上に、さらに、他の半導体薄膜、および/または電極等を積層してもよい。さらに、必要に応じて有機薄膜素子中にドーパントをドープすることもできる。ドーパントをドープする方法は特に限定されないが、例えば、ドーパントを分散した水系インクを用いて、ESD法等のスプレーコーティングの手法により、有機薄膜素子の形成と同時にまたは形成後に、ドーパントをドープする。
本発明に係るコロイド分散液は水系である。そのため、本発明に係る有機薄膜素子の製造方法は、環境負荷が低減されている。また、本発明に係る有機薄膜素子の製造方法は、消防上あるいは労働衛生上の安全性に優れている。
〔本発明に係る有機薄膜素子〕
有機薄膜素子としては、例えば、太陽電池、EL素子、トランジスタ(光トランジスタ等)、センサ(光センサ等)、メモリ、電子写真用感光体、コンデンサ、およびバッテリー等が挙げられる。
本発明に係るコロイド分散液を用いれば、分散剤等の不要な物質が含まれていない有機半導体薄膜を製造し得る。そのため、本発明に係る有機薄膜素子は、デバイス特性が損なわれる虞が少ないという特徴を有する。
さらに、本発明に係るコロイド分散液を用いて得られた有機半導体薄膜中における有機半導体材料の粒径は、例えば、100nm以下であり、70nm以下であり、50nm以下であり、場合によっては、10nm以下であり得る(下記実施例も参照)。一般に、有機薄膜素子、例えば、太陽電池においては、有機半導体薄膜中における有機半導体材料の粒径が小さい程、有機薄膜素子のデバイス特性が向上するといわれている。そのため、本発明に係る有機薄膜素子は、デバイス特性に優れるという特徴を有する。
以上のように、本発明に係る製造方法は、非水溶性の有機半導体材料のコロイドが水に分散しているコロイド分散液の製造方法であって、水溶性の有機溶媒中に上記有機半導体材料を動的光散乱法に基づき測定した平均粒径が50nm以下になるまで分散して溶解し、有機半導体材料を含む溶液を作製する工程Aと、上記溶液を水に加えて攪拌する工程Bとを含むことを特徴とする製造方法である。
本発明に係る方法において、本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、上記工程Bは、上記工程Aの後30分以内に上記溶液を10倍体積以上で100倍体積以下の水に加えることが好ましい。
本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、工程Bの後、上記溶液が加えられた水から上記有機溶媒を除去する工程Cをさらに含むことが好ましい。
本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、上記工程Aにおいて、超音波によって上記有機半導体材料を分散することが好ましい。
本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、上記工程Bは、上記溶液を水に滴下して加えることが好ましい。
本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、上記有機半導体材料が、ポリチオフェン、チオフェン系化合物のポリマー、フラーレン、またはフラーレン誘導体であることが好ましい。
本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、上記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、クロロホルム、およびエタノールからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明に係るコロイド分散液の製造方法では、上記工程Aにおいて、上記有機溶媒の温度を30〜60℃の範囲内に保ちながら上記有機半導体材料を分散することが好ましい。
本発明はまた、上記何れかの製造方法によって製造されるコロイド分散液を提供する。
本発明に係る有機薄膜素子の製造方法は、上記コロイド分散液を基体に付着させる付着工程を含むことを特徴としている。
本発明に係る有機薄膜素子の製造方法では、上記基体はスピンコーティングによって形成された半導体膜を表面に有しており、上記付着工程は当該半導体膜の少なくとも一部に、当該半導体膜と多数キャリアが同じである有機半導体が分散している上記コロイド分散液を付着させることが好ましい場合がある。
本発明に係る有機薄膜素子の製造方法では、上記付着工程において、上記コロイド分散液を静電噴霧堆積法によって基体に付着させることが好ましい。
本発明に係る有機薄膜素子の製造方法では、上記有機薄膜素子が太陽電池素子である場合がある。
本発明はまた、上記何れかの製造方法によって製造される有機薄膜素子を提供する。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例及び参考例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、下記の実施例および比較例における「DLS測定による平均粒径」は、いわゆる「動的光散乱法の原理に基づく単分散モード解析によって求めた粒子の粒度分布における積算値50%に対応する粒径」であり、DLS装置(ゼータ電位・粒径測定システム ELSZ-2、大塚電子株式会社製)の付属解析ソフトで表示された値から明らかにノイズとして区別できる領域を除外して求めたものである。
<実施例1>
20mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT;商品名SP001、MERCK社より購入)(有機半導体材料)を20mlのテトラヒドロフラン(水溶性の有機溶媒)に添加し、DLS測定によるP3HTの平均粒径が8nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた(装置名SONO CLEANER 50D、株式会社カイジョー製)。超音波分散の条件は、テトラヒドロフランの温度が45℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が60分間であった。添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、淡橙色を呈した。超音波分散の後直ちに、上記溶液の全量を500mlの蒸留水に滴下して、メカニカルスターラーで2時間撹拌した。次いで、得られたコロイド分散液を5C(JIS P3801 5種Cに相当)の濾紙を用いて濾過した。さらに、得られた濾液を40℃の湯浴中で減圧留去することによって、テトラヒドロフラン等を取り除いて濃縮し、濃青色のコロイド分散液を得た。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をしてもほぼ変色せず、塊状の沈殿物または浮遊物の増加もほぼ観察されなかった(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.05重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、0.1%未満であった。なお、各実施例および比較例において、コロイド分散液の不溶成分とは、上記の濾過によって濾別された物質(有機半導体材料)を指す。不溶成分発生率とは、使用した有機半導体材料の何%が、上記の濾過において濾別されたかという割合を指す。また、得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、(使用した有機半導体材料の重量−不溶成分の重量)/減圧留去後のコロイド分散液重量×100、を計算したものである。
<実施例2>
20mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(実施例1と同一品)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定によるP3HTの平均粒径が20nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が45℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が15分間であった。添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、淡橙色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、濃青色のコロイド分散液を得た(コロイド分散液A)。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をしてもほぼ変色せず、塊状の沈殿物または浮遊物の増加もほぼ観察されなかった(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.04重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、1%未満であった。
<実施例3>
100mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(実施例1と同一品)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定によるP3HTの平均粒径が20nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が45℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が15分間であった。なお、添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、淡橙色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、濃青色のコロイド分散液を得た。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をしてもほぼ変色せず、塊状の沈殿物または浮遊物の増加もほぼ観察されなかった(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.07重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、1〜5%であった。
<実施例4>
20mgのポリ[[9−(1−オクチルノニル)−9H−カルバゾール−2,7−ジイル]−2,5−チオフェンジイル−2,1,3−ベンゾチアヂアゾール−4,7−ジイル−2,5−チオフェンジイル](PCDTBT;独立行政法人理化学研究所で合成したもの)(有機半導体材料)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定によるPCDTBTの平均粒径が50nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が45℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が30分間であった。なお、添加後分散前のPCDTBTは、数mm程度の黒色粉末であったが、分散により得られた溶液は、濃青色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、濃青紫色のコロイド分散液を得た(コロイド分散液B)。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をしてもほぼ変色せず、塊状の沈殿物または浮遊物の増加もほぼ観察されなかった(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.04重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、1〜2%であった。
<実施例5>
20mgのフェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM;商品名nanom spectra E100、フロンティアカーボン株式会社より購入)(有機半導体材料)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定によるPCBMの平均粒径が50nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が45℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が15分間であった。なお、添加後分散前のPCBMは、数mm程度の黒色粉末であったが、分散により得られた溶液は、褐色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、淡褐色のコロイド分散液を得た(コロイド分散液C)。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をしてもほぼ変色せず、塊状の沈殿物または浮遊物の増加もほぼ観察されなかった(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.04重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、10%であった。
<実施例6>
20mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(実施例1と同一品)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定によるP3HTの平均粒径が50nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が45℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が5分間であった。なお、添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、淡橙色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、濃青色のコロイド分散液を得た。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をしてもほぼ変色せず、塊状の沈殿物または浮遊物の増加もほぼ観察されなかった(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.02重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、20%であった。
<比較例1>
20mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(実施例1と同一品)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定でP3HTの平均粒径が100nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が22℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が30分間であった。なお、添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、濃褐色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、薄青色のコロイド分散液を得た(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.01重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、60%であった。
<比較例2>
20mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(実施例1と同一品)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定でP3HTの平均粒径が200nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が22℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が15分間であった。なお、添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、濃褐色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、薄青色のコロイド分散液を得た(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.001重量%であった。また、コロイド分散液の不溶成分発生率は、90%であった。
<比較例3>
20mgのポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(実施例1と同一品)を20mlのテトラヒドロフランに添加し、DLS測定でP3HTの平均粒径が200〜300nmになるまで超音波によって分散させて、溶解させた。超音波分散の条件は、実施例1と同一の装置を用いて、テトラヒドロフランの温度が22℃、超音波の出力が38kHz、50Wで、分散処理の時間が5分間であった。なお、添加後分散前のP3HTは、数mm程度の黒色固体であったが、分散により得られた溶液は、濃褐色を呈した。超音波分散の後、実施例1と同様の操作により、薄青色のコロイド分散液を得た。このコロイド分散液は、長期間、室温下で保存をすると、透明から懸濁状態に変化し、さらに塊状の沈殿物または浮遊物の増加が観察された(表1参照)。
得られたコロイド分散液における乾燥固形分の濃度は、0.005重量%であった。また、コロイド分散液が極めて不安定なために、その不溶成分発生率の正確な測定は困難であったが、少なくとも50%以上であった。
実施例1〜6および比較例1〜3の結果をまとめたものを表1に示す。なお、塗膜は後述の実施例7と同様の手法によりESD法を用いて作製したものである。また、塗膜中の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(FE-SEM Hitachi S4800T)での観察による実測値である。何れも調製後1日〜2ヶ月経過したものを用いたが、この間に明確な粒径変化はみられず、濾過後のコロイド分散液は室温中でも安定であると考えられる。
<実施例7>
静電噴霧装置(装置名ES-3500、株式会社フューエンス製)を用いて、実施例2、4、5で得られたコロイド分散液(それぞれコロイド分散液A、B、C)を、ITOパターンガラス基板(商品名ITOパターンガラス、テクノプリント株式会社製)上に塗布し、基板A〜Cをそれぞれ得た。コロイド分散液A〜Cは、何れも調製後1日〜数ヶ月程度経過したものを用いた。なお、調整後の経過時間と塗膜中の平均粒径との間に有意な関係性はみられなかった。
用いた静電噴霧装置の概略図を図1の(a)に示す。静電塗布するコロイド分散液2は微細な先端をもつガラス製のスプレーキャピラリー1に充填されている。スプレーキャピラリー1内部には電圧を加えるための白金製の針金状電極3が挿入されている。スプレーキャピラリー1の先端径は50μm程度であり、スプレーキャピラリー1の先端から基板6までの距離は3cm程度である。図1の(b)に示すように、基板6にはITO電極7がパターニングされている。ITO電極7はグランドに接続され、アースが確保されている。このスプレーキャピラリー1と基板6との間に3〜10kV程度の高電圧(印加電圧)を印加すると、コロイド分散液2が静電気力によってスプレーフレーム4となって噴射される。
スプレーフレーム4となって噴射されたコロイド分散液2の液滴は静電分極しているため、基板6のITO電極7に選択的にひきつけられる。なお、本実施例では、作業時間を短縮化し、且つ用いるコロイド分散液2を少量化するため、スプレーキャピラリー1と基板6との間に静電マスクとして直径1.7cmの口径の穴があるアクリル板5を設置した。アクリル板5を静電マスクとして用いることで、コロイド分散液2中の有機半導体材料は、基板6のITO電極7上により選択的に薄膜8を形成した。各コロイド分散液のスプレー条件および形成した薄膜の膜厚の評価結果を表2に示す。
<実施例8>
実施例7で得た基板A〜CのITO電極7上の薄膜8に、アルミ電極9を真空蒸着法によって成膜し、図2に示すような素子10(それぞれ素子A〜C)を作製した。真空蒸着は、1×10−4Pa〜4×10−4Pa程度において、抵抗加熱法によって行った。アルミ電極9の膜厚は40nm〜400nmであった。ITO電極7とアルミ電極9とが重畳し、素子として機能する電極面積は、2.5mm×3.0mm(素子A)または2.5mm×2.5mm(素子B、C)となるよう設計した。
作製した素子A〜Cについて、電圧源および電流計の機能を持つソースメーター(装置名2400、KEITHLEY製)をITO電極7とアルミ電極9とに接続し、短絡光電流の時間応答を測定した。また、素子AおよびBについて、暗所下および光照射下での電流−電圧特性を測定した。
なお、電圧および電流の符号については、ITO電極7側にプラス電圧が印加されているときにプラスの電圧表記とし、素子10内の電流がITO電極7からアルミ電極9に流れているときにプラスの電流表記とした。光照射にはソーラーシミュレーターを使用し、100mW/cmの光強度が素子10に照射されるように調整した。
素子Aにおける短絡光電流の時間応答の結果を図3の(a)に示し、暗所下および光照射下での電流−電圧特性の結果を図3の(b)に示す。図3に示すように、どちらの測定結果においても光電流が観測されており、素子Aが光電変換素子として機能していることが確認された。また電圧印加0Vの短絡光電流が観測されたため、太陽電池としても機能していることが確認できた。また、素子Aの開放電圧は約1.5Vであり、変換効率ηは、0.0015%であった。
素子Bにおける短絡光電流の時間応答の結果を図4の(a)に示し、暗所下および光照射下での電流−電圧特性の結果を図4の(b)に示す。素子Bも同様に、光電変換素子として、また太陽電池としても機能していることが確認された。また、素子Bの開放電圧は約1.2Vであった。
素子Cにおける短絡光電流の時間応答の結果を図5に示す。素子Cも同様に、光電変換素子として、また太陽電池としても機能していることが確認された。
<比較例4>
比較(従来法)として、ITOパターンガラス基板上に、P3HTをスピンコート法によって塗布し、基板Dを得た。P3HTの溶液は、濃度が14mg/mlとなるようP3HTをクロロベンゼン(スペクトロゾール)に溶解させ、30〜40℃でスターラーを用いて一晩撹拌して作製した。基板は実施例8で使用したものと同じであり、ITO電極7付きの基板6を純水、2−プロパノール、アセトン、クロロホルムで超音波洗浄し、さらにUVオゾン洗浄を行った。洗浄した基板に、上記P3HTのクロロベンゼン溶液を用いて、スピンコート法により薄膜を作製した。回転数は1000rpm、時間は20秒とした。得られた基板Dに、実施例8と同様の方法によって、アルミ電極を真空蒸着法によって成膜して、素子Dを得た。素子として機能する電極面積は、2.5mm×2.5mmとなるよう設計した。
作製した素子Dについて、実施例8と同様に、短絡光電流の時間応答を測定した。また、実施例8と同様に、短絡暗所下および光照射下での電流−電圧特性を測定した。
素子Dの開放電圧は約0.23Vであり、一般的な有機半導体薄膜と同等の数値を示した。また、素子Dの変換効率ηは、0.00044%であった。素子Dの結果を素子Aの結果(図3)と比較すると、素子Aは、素子Dよりも変換効率が格段に良かった。また、素子Aは、素子Dよりも開放電圧が格段に高かった。これらの特性が高いことは、光電変換素子また太陽電池として、高性能であることを示す。
<参考例1>
実施例2と同様の方法で、P3HTをテトラヒドロフランに溶解し、DLS測定によるP3HTの平均粒径が20nm以下になるまで超音波によって分散させた。この溶液を常温で静置し、溶液の色の変化を肉眼で観察した。
分散させた直後は淡橙色であったが、15分後には橙色、1時間後には濃橙色、1日後には黒褐色に変化した。この結果から、時間が経過するにつれて、テトラヒドロフラン溶液中におけるP3HTの粒子の性質が変化する可能性があることがわかった。
<実施例9>
実施例2と同様の方法で、P3HTのコロイド分散液を得た。また、実施例5と同様の方法で、PCBMのコロイド分散液を得た。これらのコロイド分散液をDMA(Differential Mobility Analyzer:低圧型DMAシステム、ワイコフ科学株式会社製)によって、コロイド粒子のサイズ分布を測定した。また、これらのコロイド分散液を走査型電子顕微鏡(FE-SEM Hitachi S4800T)で観察した。
DMAによるサイズ分布測定は、コロイド分散液を、当該DMAに備え付けのエレクトロスプレーイオン化装置を用いてエアロゾルイオン化し、中和器を用いて平衡帯電状態にした後、分級長を141mmとし、シースガス流量が10(std L/min)で大気圧条件下で動作させたDMAに、エアロゾルガス流量が1.5(std L/min)で導入することにより行った。
P3HTのコロイド分散液のDMAの結果を図6の(a)に示す。また、P3HTのコロイド分散液を顕微鏡で撮像した画像を図6の(b)〜(d)に示す。図6の(b)〜(d)は、それぞれ、1万倍、10万倍、30万倍に拡大した画像である。DMAおよび顕微鏡観察の何れにおいても、P3HTのコロイド分散液中におけるP3HTのコロイド粒子のサイズ分布は、40nm付近に数密度のピークがあった。
PCBMのコロイド分散液のDMAの結果を図7の(a)に示す。また、PCBMのコロイド分散液を顕微鏡で撮像した画像を図7の(b)〜(d)に示す。図7の(b)は1万倍に、(c)および(d)は10万倍に拡大した画像である。DMAおよび顕微鏡観察の何れにおいても、PCBMのコロイド分散液中におけるPCBMのコロイド粒子のサイズ分布は、30nm付近に数密度のピークがあった。
<実施例10>
本実施例は、実施例8の素子Aに比較して、ITO電極とコロイド分散液を静電噴霧装置で噴霧して作製した薄膜との間に、スピンコート法によって作製されたP3HT薄膜が挿入されている点で異なる。
スピンコートに用いたP3HTの溶液は、濃度が14mg/mlとなるようP3HTをクロロベンゼン(スペクトロゾール)に溶解させ、30〜40℃でスターラーを用いて一晩撹拌して作製した。基板は実施例8で使用したものと同じであり、ITO電極7付きの基板6を純水、2−プロパノール、アセトン、クロロホルムで超音波洗浄し、さらにUVオゾン洗浄を行った。洗浄した基板に、上記P3HTのクロロベンゼン溶液を用いて、スピンコート法によりP3HT薄膜を作製した。回転数は1000rpm、時間は20秒とした。P3HT薄膜の膜厚は39nmであった。
P3HTのコロイド分散液は、実施例2と同様の手順で作製したものである(コロイド分散液A’)。静電噴霧装置を用いて、コロイド分散液A’を上記P3HT薄膜上に塗布し、薄膜を積層し、基板Eを得た。噴霧方法は実施例7と基本的に同様であるが、印加電圧を4.3kV、塗布時間を120分とした。積層部分の膜厚は70nmであった。
得られた基板Eに、実施例8と同様の方法によって、アルミ電極を真空蒸着法によって成膜して、素子Eを得た。素子として機能する電極面積は、2.5mm×2.5mmとなるよう設計した。
作製した素子Eについて、実施例8と同様に、短絡光電流の時間応答を測定した。また、実施例8と同様に、短絡暗所下および光照射下での電流−電圧特性を測定した。
短絡光電流の時間応答の結果を図8の(a)に示し、短絡暗所下および光照射下での電流−電圧特性結果を図8の(b)に示す。素子Eも同様に、光電変換素子として、また太陽電池としても機能していることが確認された。さらに、図8の(a)に示す素子Eにおける結果を、図3の(a)に示す素子Aにおける結果と比較すると、素子Eではさらに多くの短絡光電流が流れることがわかった。また、図8の(b)から素子Eの変換効率ηは、0.0027%であることがわかった。このことは、素子Eが素子Aよりも、光電変換素子また太陽電池として、さらに高性能であることを示す。
本発明により、比較的高い安定性を有する、非水溶性の有機半導体材料のコロイドの水分散液、およびその製造方法等を提供することができる。
1 スプレーキャピラリー
2 コロイド分散液
3 針金状電極
4 スプレーフレーム
5 アクリル板
6 基板
7 ITO電極
8 薄膜
9 アルミ電極
10 素子

Claims (14)

  1. 非水溶性の有機半導体材料のコロイドが水に分散しているコロイド分散液の製造方法であって、
    水溶性の有機溶媒中に上記有機半導体材料を動的光散乱法に基づき測定した平均粒径が50nm以下になるまで分散して溶解し、有機半導体材料を含む溶液を作製する工程Aと、
    上記溶液を水に加えて攪拌する工程Bとを含むことを特徴とする製造方法。
  2. 上記工程Bは、上記工程Aの後30分以内に上記溶液を10倍体積以上で100倍体積以下の水に加えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記工程Bの後、上記溶液が加えられた水から上記有機溶媒を除去する工程Cをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 上記工程Aにおいて、超音波によって上記有機半導体材料を分散することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 上記工程Bは、上記溶液を水に滴下して加えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 上記有機半導体材料が、ポリチオフェン、チオフェン系化合物のポリマー、フラーレン、またはフラーレン誘導体であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 上記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、クロロホルム、およびエタノールからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
  8. 上記工程Aにおいて、上記有機溶媒の温度を30〜60℃の範囲内に保ちながら上記有機半導体材料を分散することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
  9. 請求項1、6(請求項1を引用する場合のみ)または7(請求項1を引用する場合のみ)に記載の製造方法によって製造されることを特徴とするコロイド分散液。
  10. 請求項9に記載のコロイド分散液を基体に付着させる付着工程を含むことを特徴とする有機薄膜素子の製造方法。
  11. 上記基体はスピンコーティングによって形成された半導体膜を表面に有しており、上記付着工程は当該半導体膜の少なくとも一部に、当該半導体膜と多数キャリアが同じである有機半導体が分散している上記コロイド分散液を付着させることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 上記付着工程において、上記コロイド分散液を静電噴霧堆積法によって基体に付着させることを特徴とする請求項10または11に記載の製造方法。
  13. 上記有機薄膜素子が太陽電池素子であることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の製造方法。
  14. 請求項10、12(請求項11を引用する場合を除く)または13(請求項11を引用する場合を除く)に記載の製造方法によって製造されることを特徴とする有機薄膜素子。
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