JP6120166B2 - 車両停止判定結果提供方法、車両停止判定装置、および車両停止判定システム - Google Patents

車両停止判定結果提供方法、車両停止判定装置、および車両停止判定システム Download PDF

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Description

本発明は、車両が停止したか否かを車両のGPS情報から判定する、車両停止判定結果提供方法、車両停止判定装置、および車両停止判定システムに関する。
道路交通状態の分析や、車両毎の走行状態の分析等において、車両が停止したか否かが重要な要素となることがある。近年、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用して、この判定を行うことが実用化されている。
GPSとは、上空にある複数個の人工衛星から発せられる信号(以下「GPS信号」という)に基づいて、GPS信号を受信した受信機の現在位置を特定する(つまり、測位する)測位システムである。かかる受信機を車両に設置し、現在位置の時系列データから、位置の時間差分を算出すること等により、各時刻における車両の速度を計測することができる。
ところが、GPSの原理上、受信機の移動速度が低くなればなるほど、位置の時間差分の検出精度は低下する。したがって、受信機の移動速度が低い場合(例えば、約10km/h以下の場合)、単なる位置の時間差分による計測では、低い精度でしか速度を計測することができない。すなわち、単なる位置の時間差分による速度計測からは、車両が停止したか否かを精度良く判定することができない。
そこで、位置の時間差分から計測された速度が、ゼロよりも高い閾値以下であることを条件として、車両が停止していると判定する技術が、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されている。特許文献1および特許文献2に記載の技術によれば、閾値を十分に高く設定しておくことにより、車両が停止している可能性がある場合に、より確実に、車両が停止したと判定することができる。
ところが、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、実際には停止していないにも関わらず、車両が停止していると判定するおそれがある。一方で、このような誤判定を防ぐために閾値を低く設定すると、速度が閾値以下であるか否かの判定の精度が低下する。この場合、実際には停止していないにも関わらず、車両が停止していると判定する可能性がかえって高くなったり、更に、実際には停止しているにも関わらず、車両が停止していないと判定する可能性も高くなってくる。
そこで、更に別の条件を用いて、車両が停止しているか否かを判定する技術が、例えば、特許文献3に記載されている。特許文献3に記載の技術は、位置の時間差分から速度ベクトルの方向を計測する。そして、特許文献3に記載の技術は、位置の時間差分から計測された速度がゼロよりも高い所定の値以下であり、かつ、速度ベクトルの方向の変化が大きいことを条件として、車両が停止していると判定する。これは、車両の速度が低くなればなるほど、速度ベクトルの検出精度も低下することに基づいている。特許文献3に記載の技術によれば、実際には停止していないにも関わらず、車両が停止していると判定する可能性を、低減することができる。
特開平8−201070号公報 特開平11−258324号公報 特開2009−264853号公報
しかしながら、GPS情報の受信状況によっては、車両が停止していないにも関わらず速度ベクトルの方向が大きく変化する場合がある。
理由は、以下の通りである。例えば、周囲に電波を反射する構造物が存在する場合、車両の速度が十分に高くないと、構造物による反射波の影響を連続して受けることになる。そして、これにより、測位結果に誤差、ばらつきが生じる。すなわち、車両の速度が低い場合は、車両自体の移動による速度ベクトルよりも前記の誤差、ばらつきによる速度ベクトルの影響が強く作用してしまう場合がある。したがって、特許文献3に記載の技術であっても、やはり、実際には停止していないにも関わらず、車両が停止していると判定するおそれがある。
本発明の目的は、車両のGPS情報から、車両が停止したか否かを高い精度で判定することができる、車両停止判定結果提供方法、車両停止判定装置、および車両停止判定システムを提供することである。
本開示の車両停止判定結果提供方法は、車両のGPS情報から得られる前記車両の速度である計測速度を取得するステップと、前記車両に対して、前記計測速度に基づいて行われた停止判定の結果を提供するステップと、を含み、前記停止判定は、前記計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間とを拘束条件として、速度が前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在する場合に、前記第1の時点から前記第2の時点までの期間に前記車両が停止したと判定するものである。
本開示の車両停止判定装置は、車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する車両停止判定装置であって、前記GPS情報から得られる前記車両の速度である計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である、低速区間を抽出する低速区間抽出部と、抽出された前記低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間と、を拘束条件として、速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す、車速推移モデルを生成する車速推移モデル生成部と、生成された前記車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する停止判定部と、を有する。
本開示の車両停止判定システムは、車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する車両停止判定システムであって、前記車両停止判定システムは、前記車両に設置された端末装置と、前記車両の走行状態に関する情報を処理するサーバ装置と、を有し、前記端末装置は、GPS信号を受信し、受信したGPS信号から前記車両のGPS情報を取得するGPS受信部と、取得された前記GPS情報と前記車両の識別情報とを含む走行データを、前記サーバ装置へ送信する走行データ送信部と、を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置から送信された前記走行データを受信する走行データ受信部と、受信された前記走行データから前記車両の速度を計測し、得られる速度である計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である、低速区間を抽出する低速区間抽出部と、抽出された前記低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間と、を拘束条件として、速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す、車速推移モデルを生成する車速推移モデル生成部と、生成された前記車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する停止判定部と、前記停止判定部による判定結果を出力する判定結果出力部と、を有する。
本開示によれば、車両のGPS情報から、車両が停止したか否かを高い精度で判定することができる。
本発明の実施の形態1に係る車両停止判定装置の構成の一例を示すブロック図 本実施の形態1における低速区間における車速推移の一例を示す図 本実施の形態1における車速推移モデルの形状の一例を示す図 本実施の形態1における停止判定の様子の一例を示す図 本実施の形態1に係る車両停止判定装置の動作の一例を示すフローチャート 本実施の形態1に係る車両停止判定装置に関する実験の結果を示す図 本実施の形態1における車両が停止した低速区間の実速度データおよび車速推移モデルの例を示す図 本実施の形態1における車両が停止していない低速区間の実速度データおよび車速推移モデルの例を示す図 本発明の実施の形態2に係る車両停止判定システムの構成の一例を示すブロック図
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、本発明に係る車両停止判定装置の具体的態様の一例である。
<車両停止判定装置の構成>
まず、本実施の形態に係る車両停止判定装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る車両停止判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、車両停止判定装置100は、車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する装置である。車両停止判定装置100は、例えば、車両に搭載されたOBU(On Board Unit:車載機)、あるいは、車両の搭乗者が携帯する情報端末である。なお、車両停止判定装置100が搭載された車両は、以下、単に「車両」という。
車両停止判定装置100は、GPS受信部110、低速区間抽出部120、車速推移モデル生成部130、停止判定部140、および判定結果出力部150を有する。
GPS受信部110は、GPSアンテナを用いて、上空にある複数個の人工衛星から送信されるGPS信号を受信する。そして、GPS受信部110は、受信したGPS信号に基づいて、GPS信号の受信時刻(例えば、GPS基準時刻、あるいはGPS基準時刻から換算した日本標準時)と、GPS信号受信時の車両の位置(例えば、緯度および経度)と、GPS信号受信時の車両の速度とを、GPS情報として取得する。そして、GPS受信部110は、取得したGPS情報を、低速区間抽出部120へ出力する。
なお、速度の取得は、例えば、2つの位置の差分を、当該2つの位置に対応する2つの時刻の差分で除することによって行ってもよいし、GPS信号からの搬送波の波長変動(ドップラ効果)を利用することによって行ってもよい。また、以下の説明において、GPS情報から得られる(GPS情報に含まれる)車両の速度は、「計測速度」という。
低速区間抽出部120は、GPS受信部110から入力されたGPS情報に基づいて、低速区間を抽出する。ここで、低速区間とは、計測速度が所定の値を下回ったときの車両の位置から、計測速度が所定の値を上回ったときの車両の位置までの区間である。そして、低速区間抽出部120は、抽出された低速区間の区間距離および所要時間を取得し、取得した区間距離および所要時間を車速推移モデル生成部130へ出力する。ここで、区間距離とは、低速区間の長さである。また、所要時間とは、低速区間を車両が通過するのに要した時間である。
なお、計測速度が所定の値を下回ったときとは、計測速度が所定の値を超える値から、所定の値を跨いで所定の値以下の値へと遷移したときである。なお、計測速度が所定の値を下回ったときとは、計測速度が所定の値以上の値から、所定の値を跨いで所定の値未満の値へと遷移したときとしてもよい。以下の説明において、計測速度が所定の値を下回ったときの時刻は、「第1の時点」といい、第1の時点に車両が位置した地点は、「第1の地点」という。
また、計測速度が所定の値を上回ったときとは、計測速度が所定の値以下の値から、所定の値を跨いで所定の値を超える値へと遷移したときである。なお、計測速度が所定の値を上回ったときとは、計測速度が所定の値未満の値から、所定の値を跨いで所定の値以上の値へと遷移したときとしてもよい。以下の説明において、計測速度が所定の値を上回ったときの時刻は、「第2の時点」といい、第2の時点に車両が位置した地点は、「第2の地点」という。なお、上記所要時間は、すなわち、第1の時点から第2の時点までの期間に対応する。
また、低速区間は、1つの連続した区間とする。すなわち、低速区間は、計測速度が所定の値を下回ったときを開始点としたとき、その後最初に計測速度が所定の値を上回ったときを終了点とする区間である。
また、本実施の形態において、低速区間を規定する、第1の時点に対応する所定の値と、第2の時点に対応する所定の値とは、同一であるものとする。所定の値は、GPSにおいて十分な測位精度が得られる速度の値の最小値とすることが望ましく、例えば、10km/hである。
車速推移モデル生成部130は、低速区間抽出部120から入力された低速区間の区間距離および所要時間を拘束条件として、車速推移モデルを生成する。ここで、車速推移モデルとは、速度が、所定の値から連続的に減少した後、所定の値まで連続的に増大するような速度の時間的推移を示すモデルである。そして、車速推移モデル生成部130は、生成した車速推移モデルを、停止判定部140へ出力する。
本実施の形態において、車速推移モデルは、時間軸と速度軸とから成る2次元空間において、負の速度の方向に凸であって時間軸方向において連続的に変化する形状を有するモデルであるものとする。
停止判定部140は、車速推移モデル生成部130から入力された車速推移モデルにおいて、速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、車両は低速区間において停止したと判定する。そして、停止判定部140は、判定結果を、判定結果出力部150へ出力する。
判定結果出力部150は、車両が低速区間において停止したとの判定結果が停止判定部140から入力されたとき、その判定結果を、車両停止判定装置100の外部へ出力する。
ここで、車両停止判定装置100の外部とは、車両停止判定装置100に装着された不揮発メモリあるいは磁気記録メモリ等の記録媒体、車両停止判定装置100に接続された液晶ディスプレイ等の表示装置、および交通管理センターのサーバ等の無線通信の相手先等を含む。すなわち、判定結果出力部150の出力とは、有線データ通信もしくは無線データ通信による送信、基板配線等による電気信号伝達、および、記憶装置もしくは記憶媒体への書き込みを含む。
なお、低速区間抽出部120、車速推移モデル生成部130、および停止判定部140から成る主構成部160のみを、本発明の一態様に係る車両停止判定装置とすることも可能である。
また、車両停止判定装置100は、図示しないが、例えば、CPU(central processing unit)、制御プログラムを格納したROM(read only memory)等の記憶媒体、およびRAM(random access memory)等の作業用メモリ等を有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
このような車両停止判定装置100は、車速推移モデルを生成し、生成した車速推移モデルに基づいて、低速区間に車両が停止したか否かの判定(以下「停止判定」という)を行うことができる。
<停止判定の原理>
次に、本実施の形態における停止判定の原理について説明する。まず、車両の走行状態の特性および車速推移モデルの特性について説明する。そして、これらの特性の間の関係から、車両停止判定装置100が、停止判定を高精度に行うことができる理由について説明する。
<車両の走行状態の特性>
まず、低速区間における車両の実際の走行状態の特性について説明する。
図2は、低速区間における車両の速度の時間的推移の一例を示す図である。図2において、横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。また、図中、横軸より下の部分は、負の速度の領域に対応する。
図2に示すように、低速区間200の第1の時点t0および第2の時点t1のそれぞれにおいて、車両の速度は閾速度Vthである。
自動車に代表される車両の走行において、通常、急激な速度変化や不連続な変化は、ほとんど発生しない。低速区間200のように、所定の値の速度(以下「閾速度」という)Vth未満という低い速度で停止せずに走行する場合、車両の速度の時間的推移(以下「車速推移」という)210は、減速区間211、等速区間212、および加速区間213を、この順序で一度ずつ含む確率が高い。すなわち、低速区間200における車速推移210の形状は、下に凸の形状214に近似している。
なお、ここで、減速区間211とは、主にブレーキ操作により車両速度が連続的に減少する区間である。等速区間212とは、主に慣性により車両速度がほぼ一定に保たれる区間である。加速区間213とは、主にアクセル操作あるいはクリープ現象により車両速度が連続的に増加する区間である。
また、実際には、減速区間211、等速区間212、および加速区間213が複数ずつ含まれるような場合であっても、各時刻の速度変化は時間軸上で概ね緩やかに推移し、全体としては、やはり、図2に示すような下に凸の形状214に近くなる。以下、連続的に減少した後に連続的に増大するような形状は、「下向きに凸の形状」という。
また、車速推移210の時間積分S(ハッチングで示す領域)は、低速区間200に車両が移動した道のりに一致する。ここで、道のりとは、車両が移動した距離の積算値である。例えば、道のりとは、車両が途中で道路を後退して再び前進した場合には、その区間の往復距離を含めた長さである。
しかしながら、公道で車両が後退することはまれである。このため、通常、道のりは、低速区間200に車両が移動した距離である区間距離に一致する。ここで、距離とは、車両が途中で道路を後退して再び前進した場合には、その区間の往復距離を含めない長さであり、車両が走行した道路の長さに近似した長さである。
したがって、車速推移210の時間積分Sは、低速区間200の区間距離(以下、記号Lを用いる)に一致する。
以上をまとめると、低速区間200における車両の実際の走行状態は、所要時間(以下、記号Tを用いる)において閾速度Vthを開始点および終了点とする下向きに凸の形状214に近似し、時間積分Sが区間距離Lに一致するような、車速推移210を示す、という特性を有する。
<車速推移モデルの特性>
次に、車速推移モデルの特性について説明する。
図3は、車速推移モデルの形状の一例を示す図であり、図2に対応するものである。
ここでは、2次関数の形状の車速推移モデルの特性について説明する。車速推移モデル生成部130は、低速区間の区間距離Lおよび所要時間Tを拘束条件として、速度が、閾速度Vthから負の速度の方向に凸となる2次関数形状の車速推移モデル220を生成する。
より具体的には、車速推移モデル220の形状を示す関数である疑似補間関数f(t)は、2次関数形状である場合、以下の式(1)で表される。
Figure 0006120166
また、疑似補間関数f(t)のパラメータa、b、cを、上述の低速区間の条件および拘束条件から求める。上述の拘束条件は、例えば、以下の式(2)で表される。
Figure 0006120166
この式(2)を拘束条件とする場合、疑似補間関数f(t)のパラメータa、b、cは、以下の式(3)〜(5)で表される。したがって、車速推移モデル生成部130は、例えば、以下の式(3)〜(5)および上述の式(1)を用いて、疑似補間関数f(t)を求める。なお、ここで、VおよびVは、第1の時点に対応する上記所定の値および第2の時点に対応する上記所定の値であり、本実施の形態ではVthに等しい。
Figure 0006120166
Figure 0006120166
Figure 0006120166
なお、パラメータcについては、以降の処理に用いられない。このため、車速推移モデル生成部130は、パラメータcについては、必ずしも求める必要はない。
このようにして算出される疑似補間関数f(t)の車速推移モデル220は、拘束条件である区間距離Lおよび所要時間Tによっては、図3に示すように、速度の極小値Vminがゼロ以下となり得る。なお、極小値Vminとは、疑似補間関数f(t)における局所的な極小値、つまり、ある点の近傍における最小値を含む概念とする。ここでは、疑似補間関数f(t)を2次関数としているため、疑似補間関数f(t)全体の最小値は、必然的に、極小値Vminに含まれることになる。
このように速度の極小値Vminがゼロ以下となるのは、所要時間Tに対して区間距離Lが小さい場合である。なぜなら、車速推移モデル220は、その速度の時間積分(以下、記号S’を用いる)が区間距離Lに一致するように、生成されるからである。すなわち、区間距離Lが小さい場合、速度がプラスの区間221における速度の時間積分Sp(縦ハッチングで示す領域)を、速度がマイナスの区間222における速度の時間積分Sm(横ハッチングで示す領域)によって差し引くようにしなければ、拘束条件が満たされないからである。
以上をまとめると、車速推移モデル220は、所要時間Tにおいて閾速度Vthを開始点および終了点とする下向きに凸の形状を有し、時間積分S’が区間距離Lに一致するような形状を有する。そして、車速推移モデル220は、所要時間Tに対して区間距離Lが小さい場合、速度の極小値Vminがゼロ以下となり得るという特性を有する。
<停止判定を高精度に行うことができる理由>
次に、停止判定を高精度に行うことができる理由について説明する。
低速区間200における車両の実際の走行状態、および、車速推移モデルは、上述のように、閾速度Vthを開始点および終了点とする下向きに凸の形状を有し、時間積分が区間距離Lに一致する、という共通の性質を有する。したがって、少なくとも、低速区間において停止していない車両については、車速推移モデルは、その走行状態を精度良く反映する。
一方、低速区間において車両が停止した場合、図3に示すように、低速区間における車速推移223の形状は、底が平たくなり、車速推移モデル220とは異なった形状となる。
車速推移モデル220は、その時間積分S’が、低速区間において停止した車両の車速推移223の速度の時間積分A+Bと一致するように生成される。したがって、車速推移モデル220は、マイナス区間222の時間積分Smが、車速推移モデル220の時間積分S’のうち時間積分A+Bを超える部分P、Qを相殺するように、生成されている。したがって、マイナス区間222が存在するということは、この相殺が行わなければ上述の拘束条件を満たすことができないということを示す。
すなわち、マイナス区間222が存在するということは、車速推移223が底が平たい形状であるということ、つまり、低速区間に車両が停止したということを示す。
また、低速区間において停止していない車両については、車速推移モデルはその走行状態を精度良く反映するため、車速推移モデルはマイナス区間222を有さない。
すなわち、マイナス区間222が存在しないということは、低速区間に車両が停止していないということを示す。
したがって、車両停止判定装置100は、車速推移モデルにおいて速度がゼロ以下となる区間が存在するか否かを判定条件とすることによって、停止判定を高精度に行うことができる。
<停止判定の詳細>
次に、停止判定の詳細について説明する。
図4は、車速推移モデルを用いた停止判定の様子の一例を示す図である。図4(A)は、低速区間に車両が停止していない場合の車速推移モデルを示す。図4(B)は、低速区間に車両が停止した場合の車速推移モデルを示す。
図4に示すように、低速区間に車両が停止していない場合の車速推移モデル231、および、低速区間に車両が停止した場合の車速推移モデル232とでは、閾速度Vthおよび所要時間Tが同一であっても、下に突出する度合いが異なる。
低速区間に車両が停止していない場合、通常、同じ所要時間Tであっても、低速区間に車両が停止した場合に比べて、区間距離Lは長い。したがって、プラスの速度の時間積分Spは充分に大きくなる。そして、それに伴い、車速推移モデル232の突出量、即ち閾速度Vthと極小値Eとの差異は、小さなものとなる。
一方、低速区間に車両が停止した場合、通常、同じ所要時間Tであっても、低速区間に車両が停止していない場合に比べて、区間距離Lは短い。この時、プラスの速度の時間積分Spは小さくなる。そして、それに伴い、車速推移モデル232の突出量は大きなものとなり、かつマイナスの速度の時間積分Smが存在する形となる。
しかしながら、現実には車両は道路上で後退していないため、このマイナス速度の時間積分Smは、現実の速度を反映するものではなく、車両の停止を補償(相殺)するために発生する成分と捉える事ができる。
車速推移モデル生成部130は、例えば、上述の疑似補間関数f(t)を生成し、生成した疑似補間関数f(t)を、車速推移モデルとして、停止判定部140へ出力する。
この場合、停止判定部140は、疑似補間関数f(t)における速度の極小値Eがゼロ以下であるか否かを判定する。そして、停止判定部140は、図4(B)に示す車速推移モデル232のように、極小値Eがゼロ以下である場合、低速区間において車両は停止したと判定する。
すなわち、停止判定部140は、例えば、以下の式(6)用いて、疑似補間関数f(t)の極値を算出し、算出結果をゼロと比較する。
Figure 0006120166
なお、停止判定部140は、図4(A)に示す車速推移モデル231のように、疑似補間関数f(t)における速度の極小値Eがゼロ以下ではない場合、低速区間において車両は停止していないと判定するようにしてもよい。
また、車両停止判定装置100は、必ずしも、疑似補間関数f(t)を算出しなくてもよく、例えば、式(6)を用いて、疑似補間関数f(t)の極値を算出するようにしてもよい。但し、疑似補間関数f(t)のパラメータa、b、cは算出される必要があり、このパラメータ算出が、車速推移モデルの生成に相当する。
<車両停止判定装置の動作>
次に、車両停止判定装置100の動作について説明する。
図5は、車両停止判定装置100の動作の一例を示すフローチャートである。車両停止判定装置100は、例えば、停止判定を行う旨の指示がある毎に、以下に説明する動作を行う。また、GPS受信部110は、継続的に、GPS信号の受信およびGPS情報の取得を行っているものとする。
まず、低速区間抽出部120は、GPS受信部110が得たGPS情報から計測速度を取得し(ステップS1010)、第1の地点抽出条件が満たされるか否かを判断する処理を、かかる条件が満たされるまで繰り返す(ステップS1020:NO)。
ここで、第1の地点抽出条件とは、計測速度が閾速度Vthを下回ったという条件である。低速区間抽出部120は、例えば、1つ前に入力された計測速度が閾速度Vthを超えており、かつ、直近に入力された計測速度が閾速度Vth以下である、という条件が満たされるか否かを判断することにより、ステップS1020の判断処理を行う。
低速区間抽出部120は、第1の地点抽出条件が満たされると(ステップS1020:YES)、処理をステップS1030へ進める。また、このとき、低速区間抽出部120は、第1の地点抽出条件が満たされた時点の時刻および車両の位置を、第1の時点および第1の地点として記録する。
そして、低速区間抽出部120は、GPS受信部110が得たGPS情報から計測速度を取得し(ステップS1030)、第2の地点抽出条件が満たされるか否かを判断する処理を、かかる条件が満たされるまで繰り返す(ステップS1040:NO)。
ここで、第2の地点抽出条件とは、計測速度が閾速度Vthを上回ったという条件である。低速区間抽出部120は、例えば、1つ前に入力された計測速度が閾速度Vth以下であって、かつ、直近に入力された計測速度が閾速度Vthを超えている、という条件が満たされるか否かを判断することにより、ステップS1040の判断処理を行う。
低速区間抽出部120は、第2の地点抽出条件が満たされると(ステップS1040:YES)、処理をステップS1050へ進める。また、このとき、低速区間抽出部120は、第2の地点抽出条件が満たされた時点の時刻および車両の位置を、第2の時点および第2の地点として記録する。
そして、低速区間抽出部120は、第1の地点と第2の地点との間の距離を、低速区間の区間距離Lとして取得する。また、このとき、低速区間抽出部120は、第1の時点と第2の時点との差分を、低速区間の所要時間Tとして取得する。
なお、低速区間の区間距離Lの取得は、例えば、第1の時点から第2の時点までに複数回取得された車両の位置に基づいて行われてもよいし、地図データに基づいて行われてもよい。また、第1の地点と第2の地点との間が非常に短い場合や、直線の道路しかないような場合には、単に第1の地点と第2の地点との間の直線距離を、区間距離Lとしてもよい。
そして、車速推移モデル生成部130は、第1の地点と第2の地点の速度である閾速度Vthと、取得した所要時間Tおよび区間距離Lとを、所定の関数(本実施の形態においては、2次関数)のパラメータに代入し、疑似補間を行う(ステップS1060)。すなわち、車速推移モデル生成部130は、上述の式(1)〜(5)を用いて、車速推移モデルの形状を示す疑似補間関数f(t)を生成する。
そして、停止判定部140は、疑似補間の結果、車速推移モデルに、速度がゼロ以下となる区間が存在するか否かを判定する(S1070)。すなわち、停止判定部140は、疑似補間関数f(t)の極値が、ゼロ以下となるか否かを判断する。
停止判定部140は、速度がゼロ以下になる区間が存在する場合(S1070:YES)、低速区間のどこかで車両が停止したと判定する(ステップS1080)。そして、判定結果出力部150は、かかる判定結果を、出力する(ステップS1090)。
一方、停止判定部140は、速度がゼロ以下になる区間が存在しない場合(S1070:NO)、そのまま処理を終了させる。
このような動作により、車速推移モデルを生成し、生成した車速推移モデルに基づいて、精度の高い停止判定を行うことができる。
<車速推移モデルの形状の変形例>
ここまでは、車速推移モデルの形状として、2次関数の形状を採用した場合について説明した。2次関数の形状は、しかしながら、車速推移モデルの形状としては、別の関数の形状を採用することもできる。かかる関数は、低速区間における車両の実際の車速推移(図2参照)に近似するものであればよい。
例えば、熟練した運転者や貨物車両の運転者は、搭乗者や貨物への負担を軽減させるべく、速度ゼロ付近における急激な速度変化を避ける運転操作を行うことが多い。このような運転操作が行われる場合、車両の低速区間における車速推移は、4次関数の形状に近くなる。急激な速度変化を更に避けようとする場合、車両の低速区間における車速推移は、更に高次の関数の形状に近くなる。但し、高次の関数では、極小値から離れた箇所において速度変化が急激となる性質がある。このため、実際の車両の動きに即した次数にて、車速推移モデルを設定することが望ましい。
また、例えば、細かい加減速操作が苦手な運転者や、長距離を移動している運転者は、加速度がほぼ一定となるような運転操作を行うことがある。このような運転操作が行われる場合、車両の低速区間における車速推移は、V字状の1次関数の形状に近くなる。
また、例えば、未熟な運転者や急停止急発進を好む運転者は、急激な速度変化を伴う運転操作を行うことが多い。このような運転操作が行われる場合、車両の低速区間における車速推移は、速度ゼロ付近で急激に立ち上がり、次第に緩やかになる形状、例えば三角関数の一種であるsin(t)の形状に近くなる。
なお、上述の2次関数の形状は、4次関数の形状と1次関数の形状との中間の形状である。
すなわち、低速区間における車速推移を最も良く近似する車速推移モデルの形状は、停止判定の対象毎に異なる。したがって、停止判定の対象の特性(運転者の特性、車両の特性、車両の状況、および急いでいるか否か等の外的状況)に応じて、最も適切な形状の車速推移モデルを用いることが望ましい。
したがって、車両停止判定装置100は、停止判定の対象の特性に応じて、複数の関数の中から1つを選択して、停止判定を行ってもよい。また、車両停止判定装置100は、複数の関数のそれぞれを用いて仮の停止判定を行い、得られた複数の仮の判定結果に基づいて、最終的な停止判定を行うようにしてもよい。
また、例えば、不特定多数の計測対象についての巨視的な停止判定を行おうとする場合には、平均的な車速推移を最も良く近似する形状の車速推移モデルを用いることが望ましい。
そこで、発明者は、巨視的な停止判定に好適な車速推移モデルを特定すべく、各種の車速推移モデルを用いて停止判定の精度を比較するための実験を行った。
<実験例>
以下、かかる精度比較の実験の内容および実験の結果について説明する。
本実験は、上空からの見通しの良い、首都高速道路および一般道におけるある200kmの長さの区間において、ある4時間半の時間における実車両走行GPSログを対象として行われた。ここで、実車両走行GPSログとは、実際に停止したか否かを目視により判別して得られた正解データを付加した、GPS情報の時系列データである。
上記区間および上記時間において、検出された低速区間は、117個であり、そのうち実際に車両が停止した低速区間は、26個であった。すなわち、車両が停止した低速区間の個数の正解は、26である。
本発明者は、上記実車両走行GPSログに対して、従来技術を模擬した手法による停止判定(以下、「従来の停止判定」という)、V字状の1次関数の車速推移モデルによる停止判定(以下、「1次関数の停止判定」という)、2次関数の車速推移モデルによる停止判定(以下、「2次関数の停止判定」という)、4次関数の車速推移モデルによる停止判定(以下、「4次関数の停止判定」という)を、それぞれ行った。なお、V字状の1次関数は、低速区間の中央に凸点が位置する左右対称形としたが、非対称形であってもよい。本実施の形態のように第1の地点と第2の地点の速度が等しい場合には、凸点の位置が低速区間のいずれの位置にあっても、判定結果は変わらない。
ここで、従来の停止判定とは、低速区間の6割から10割について、車両が停止したと判定する手法である。
また、本実験において、「検出数」とは、低速区間において車両が停止したと判定した低速区間の個数である。「検出漏れ数」とは、車両が実際に停止した低速区間のうち、車両が停止したと判定しなかった低速区間の個数である。そして、「誤検出数」とは、車両が実際に停止していない低速区間のうち、車両が停止したと判定した低速区間の個数である。
図6は、かかる実験の結果を示す図である。
図6に示すように、従来の停止判定の実験結果241は、検出数が117、検出漏れ数が0〜7、誤検出数が55〜91となる。これに対し、1次関数の停止判定の実験結果242は、検出数が27、検出漏れ数が2、誤検出数が3となった。そして、2次関数の停止判定の実験結果243は、検出数が27、検出漏れ数が3、誤検出数が6となり、4次関数の停止判定の実験結果244は、検出数が21、検出漏れ数が9、誤検出数が4となった。
すなわち、1次関数の停止判定、2次関数の停止判定、および4次関数の停止判定においても、従来の停止判定に比べて、検出数が正解の26に圧倒的に近く、検出漏れ数および誤検出数が大幅に少ないという結果が得られた。
このように、1次関数の停止判定、2次関数の停止判定、および4次関数の停止判定は、従来の停止判定に比べて、非常に高い精度を得られることが、実験結果からも明らかとなった。
また、この実験においては、1次関数の停止判定による検出数および2次関数の停止判定および検出数が、4次関数の停止判定による検出数よりも正解に近いという結果が得られた。更に、1次関数の停止判定による検出漏れ数および誤検出数が、2次関数の停止判定および4次関数の停止判定よりも少ないという結果が得られた。
このように、1次関数の停止判定が、特に非常に高い精度を得られることが、実験結果から明らかとなった。したがって、1次関数の形状の車速推移モデルを用いることにより、巨視的な停止判定を、より高精度に行えることが判明した。
ここで、参考として、上記実車両走行GPSログから得られた、実速度データおよび車速推移モデルの例を、図7および図8に示す。図7および図8において、横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。
図7(A)は、車両が停止した低速区間の実速度データである。そして、図7(B)〜図7(D)は、順に、図7(A)の実測データに基づいて生成された、1次関数の車速推移モデル、2関数の車速推移モデル、および4関数の車速推移モデルである。いずれの車速推移モデルも、速度がマイナスになる区間を有している。
図8(A)は、車両が停止していない低速区間の実速度データである。そして、図8(B)〜図8(D)は、順に、図8(A)の実測データに基づいて生成された、1次関数の車速推移モデル、2関数の車速推移モデル、および4次関数の車速推移モデルである。いずれの車速推移モデルも、速度がマイナスになる区間を有していない。
すなわち、車速推移モデルにおける速度がゼロ以下となる区間の有無が、低速区間における車両の停止の有無を反映していることが分かる。
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係る車両停止判定装置100は、車両のGPS情報から低速区間を抽出し、低速区間の区間距離および所要時間を拘束条件として、下向きに凸の形状の車速推移モデルを生成する。これにより、本実施の形態に係る車両停止判定装置100は、低速区間に車両停止していた場合にのみ速度がゼロ以下となる区間が存在するような、車速推移モデルを生成することができる。
そして、本実施の形態に係る車両停止判定装置100は、生成された車速推移モデルにおいて速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、車両は低速区間において停止したと判定する。これにより、本実施の形態に係る車両停止判定装置100は、車両のGPS情報から、車両が停止したか否かを高い精度で判定することができる。
例えば、自動車等の車両の場合、時速10キロメートル以下に速度が低下した後、停止せずに再び時速10キロメートルを上回る、と言った走行状態は、特に渋滞している道路においてしばしば発生する。したがって、上述の従来の停止判定を適用して検出数が正解を大幅に上回ると、例えば、かかる低速区間のデータを記録しておくシステムでは大量の誤検出データを蓄積することになる。そして、記憶メモリ容量の圧迫、通信量の増大といった副次的な課題も発生する。
この点、本実施の形態に係る車両停止判定装置100は、車両が停止したか否かを高い精度で判定することができるため、このような副次的な課題をも解決することができる。
<本実施の形態の変形例>
なお、車速推移モデル生成部130は、加速度を更に拘束条件として用いて、車速推移モデルを生成してもよい。
この場合、例えば、車速推移モデル生成部130は、計測速度から、第1の時点に対応する車両の加速度である第1の加速度と、第2の時点に対応する車両の加速度である第2の加速度と、を取得する。そして、車速推移モデル生成部130は、取得した第1の加速度および第2の加速度を拘束条件として、車速推移モデルを生成する。
例えば、4次関数の車速推移モデルを用いる場合、関数のパラメータは計5つ存在する。閾速度Vth、低速区間の区間距離L、および所要時間Tを拘束条件とした場合、車速推移モデル生成部130は、最大3つのパラメータを求め、残り2つは、既定の値を用いる事となる。ここで、第1の加速度および第2の加速度を拘束条件に加えた場合、残りの2つのパラメータも求めることが可能となる。
また、停止判定部140は、GPSの全般的な計測誤差等を考慮した手法で、停止判定を行ってもよい。例えば、停止判定部140は、ゼロにプラスの補正値またはマイナスの補正値を加えた値以下であることを条件として、速度がゼロ以下であると判断するようにしてもよい。また、停止判定部140は、速度がゼロ以下である区間が所定の長さを超えたことを条件として、速度がゼロ以下であると判断するようにしてもよい。
また、第1の時点に対応する所定の値と、第2の時点に対応する所定の値とは、異なっていてもよい。例えば、減速時に急激に速度が低下した際、車速が、閾速度Vthを下回った直後に、速度計測が困難であるような極低速域にまで低下してしまい、車速の検出精度が低下してしまう、といった現象が生じ得る。例えば、第1の時点に対応する値を15km/hとし、第2の時点に対応する値を10km/hとすることにより、このような現象を回避、軽減することができる。
また、車速推移モデル生成部130は、車速推移モデルの形状として、負の速度の方向に凸の形状である、任意の正数nを用いたn次関数の形状を用いてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本発明に係る車両停止判定システムの具体的態様の一例である。
図9は、本実施の形態に係る車両停止判定システムの構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態1の図1と対応するものである。図1と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を省略する。
図9において、車両停止判定システム300は、端末装置400およびサーバ装置500を有する。端末装置400は、例えば、車両に搭載されたOBU、あるいは、車両の搭乗者が携帯する情報端末である。また、サーバ装置500は、例えば、道路交通管理センターの情報収集サーバである。端末装置400とサーバ装置500とは、無線データ通信回線を含む通信ネットワークワーク600を介して接続されている。
端末装置400は、GPS受信部110および走行データ送信部410および走行データ送信部410を有する。また、サーバ装置500は、走行データ受信510、低速区間抽出部120、車速推移モデル生成部130、停止判定部140、および判定結果出力部150を有する。
走行データ送信部410は、GPS受信部110が受信したGPS情報を取得する。そして、走行データ送信部410は、取得したGPS情報と、端末装置400が搭載された車両(以下、単に「車両」という)の識別情報と、を含む走行データを、サーバ装置500へ送信する。
走行データ受信部510は、端末装置から送信された走行データを受信し、受信した走行データを低速区間抽出部120へ出力する。
なお、サーバ装置500の各部は、走行データに含まれる識別情報に基づいて、実施の形態1で説明した停止判定の処理を、車両毎に行う。また、図9では、サーバ装置500に対して1つの端末装置400が接続されている状態を示しているが、実際には、サーバ装置500には、同時にあるいは異なる時刻に、複数の端末装置400と接続する。そして、サーバ装置500は、多数の低速区間を対象として、実施の形態1で説明した停止判定を行う。
このような車両停止判定システム300は、複数の車両からGPS情報を収集し、車両毎に低速区間の抽出および停止判定を行うことができる。また、車両停止判定システム300は、このようにして行った停止判定の結果から、総合的および俯瞰的に、車両の運行状況や交通状況を把握、記録、および利用することができる。
なお、端末装置400は、取得したGPS情報を、逐次、サーバ装置500へ送信してもよいし、記録媒体に蓄積しておき蓄積されたGPS情報をサーバ装置500へ一括送信してもよい。
また、車両停止判定システム300は、端末装置400とサーバ装置500との間に、GPS情報の送信を中継する装置を配置していてもよい。
また、複数の車両からのGPS情報の収集は、有線データ通信回線を介して行われてもよいし、記録媒体への記録および記録媒体の移動により、行われてもよい。
また、車両停止判定システム300は、車両のGPS情報から得られる計測速度を取得し、計測速度に基づいて停止判定を行った後、当該停止判定の結果を、車両に対して提供してもよい。この場合、サーバ装置500の判定結果出力部150は、判定結果を無線通信等により端末装置400に送信する必要がある。また、端末装置400は、サーバ装置500から送られてきた停止判定結果を受信する受信部を備える必要がある。
本開示の車両停止判定結果提供方法は、車両のGPS情報から得られる前記車両の速度である計測速度を取得するステップと、前記車両に対して、前記計測速度に基づいて行われた停止判定の結果を提供するステップと、を含み、前記停止判定は、前記計測速度が所定の値を下回った第1の時点から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点までの速度の時間的推移を示す車速推移モデルのうち、前記速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加する車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在する場合に、前記第1の時点から前記第2の時点までの期間に前記車両が停止したと判定するものである。
なお、上記車両停止判定結果提供方法において、前記所定の値は、前記第1の時点と前記第2の時点とで同じ値であってもよい。
また、上記車両停止判定結果提供方法において、前記所定の値は、前記第1の時点と前記第2の時点とで異なる値であってもよい。
本開示の車両停止判定装置は、車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する車両停止判定装置であって、前記GPS情報から得られる前記車両の速度である計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である、低速区間を抽出する低速区間抽出部と、抽出された前記低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間と、を拘束条件として、速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す、車速推移モデルを生成する車速推移モデル生成部と、生成された前記車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する停止判定部と、を有する。
なお、上記車両停止判定装置において、前記車速推移モデルは、時間軸と速度軸とから成る2次元空間において、負の速度の方向に凸であって時間軸方向において連続的に変化する形状を有してもよい。
また、上記車両停止判定装置において、前記車速推移モデルの前記形状は、V字状の1次関数の形状であってもよい。
また、上記車両停止判定装置において、前記車速推移モデルの前記形状は、2次関数または4次関数の形状であってもよい。
また、上記車両停止判定装置において、前記車速推移モデル生成部は、前記車速推移モデルとして、前記2次元空間における前記車速推移モデルの形状を示す関数である疑似補間関数を生成し、前記停止判定部は、生成された前記疑似補間関数における速度の極小値がゼロ以下であるか否かを判定し、前記極小値がゼロ以下であることを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定してもよい。
また、上記車両停止判定装置において、前記停止判定部は、前記極小値がゼロを超えていることを条件として、前記車両は前記低速区間において停止していないと判定してもよい。
また、上記車両停止判定装置において、前記車速推移モデル生成部は、前記計測速度から、前記第1の時点に対応する前記車両の加速度である第1の加速度と、前記第2の時点に対応する前記車両の加速度である第2の加速度と、を取得し、取得した前記第1の加速度および前記第2の加速度を拘束条件として、前記車速推移モデルを生成してもよい。
また、上記車両停止判定装置において、前記第1の時点に対応する前記所定の値と、前記第2の時点に対応する前記所定の値とは、同一であり、GPSにおいて十分な測位精度が得られる速度の値の最小値であってもよい。
本開示の車両停止判定システムは、車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する車両停止判定システムであって、前記車両停止判定システムは、前記車両に設置された端末装置と、前記車両の走行状態に関する情報を処理するサーバ装置と、を有し、前記端末装置は、GPS信号を受信し、受信したGPS信号から前記車両のGPS情報を取得するGPS受信部と、取得された前記GPS情報と前記車両の識別情報とを含む走行データを、前記サーバ装置へ送信する走行データ送信部と、を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置から送信された前記走行データを受信する走行データ受信部と、受信された前記走行データから前記車両の速度を計測し、得られる速度である計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である、低速区間を抽出する低速区間抽出部と、抽出された前記低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間と、を拘束条件として、速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す、車速推移モデルを生成する車速推移モデル生成部と、生成された前記車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する停止判定部と、前記停止判定部による判定結果を出力する判定結果出力部と、を有する。
本発明は、車両のGPS情報から、車両が停止したか否かを高い精度で判定することができる、車両停止判定結果提供方法、車両停止判定装置、および車両停止判定システムとして有用である。より具体的には、本発明は、GPSを用いた車両の停止判定を効果的に行う機能を有し、走行履歴分析、交通状態分析等に有用である。また、本発明は、車両のアイドリング時間やアイドリング場所が地球温暖化ガスの排出等環境に及ぼす影響の効果測定、および、環境負荷軽減の支援用途にも応用できる。
100 車両停止判定装置
110 GPS受信部
120 低速区間抽出部
130 車速推移モデル生成部
140 停止判定部
150 判定結果出力部
160 主構成部
300 車両停止判定システム
400 端末装置
410 走行データ送信部
500 サーバ装置
510 走行データ受信部

Claims (12)

  1. 車両のGPS情報から得られる前記車両の速度である計測速度を取得するステップと、
    前記車両に対して、前記計測速度に基づいて行われた停止判定の結果を提供するステップと、
    を含み、
    前記停止判定は、前記計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間とを拘束条件として、速度が前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在する場合に、前記第1の時点から前記第2の時点までの期間に前記車両が停止したと判定するものである、
    車両停止判定結果提供方法。
  2. 前記所定の値は、前記第1の時点と前記第2の時点とで同じ値である、
    請求項1に記載の車両停止判定結果提供方法。
  3. 前記所定の値は、前記第1の時点と前記第2の時点とで異なる値である、
    請求項1に記載の車両停止判定結果提供方法。
  4. 車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する車両停止判定装置であって、
    前記GPS情報から得られる前記車両の速度である計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である、低速区間を抽出する低速区間抽出部と、
    抽出された前記低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間と、を拘束条件として、速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す、車速推移モデルを生成する車速推移モデル生成部と、
    生成された前記車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する停止判定部と、を有する、
    車両停止判定装置。
  5. 前記車速推移モデルは、時間軸と速度軸とから成る2次元空間において、負の速度の方向に凸であって時間軸方向において連続的に変化する形状を有する、
    請求項4に記載の車両停止判定装置。
  6. 前記車速推移モデルの前記形状は、V字状の1次関数の形状である、
    請求項5に記載の車両停止判定装置。
  7. 前記車速推移モデルの前記形状は、2次関数または4次関数の形状である、
    請求項5に記載の車両停止判定装置。
  8. 前記車速推移モデル生成部は、
    前記車速推移モデルとして、前記2次元空間における前記車速推移モデルの形状を示す関数である疑似補間関数を生成し、
    前記停止判定部は、
    生成された前記疑似補間関数における速度の極小値がゼロ以下であるか否かを判定し、前記極小値がゼロ以下であることを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する、
    請求項5に記載の車両停止判定装置。
  9. 前記停止判定部は、
    前記極小値がゼロを超えていることを条件として、前記車両は前記低速区間において停止していないと判定する、
    請求項8に記載の車両停止判定装置。
  10. 前記車速推移モデル生成部は、
    前記計測速度から、前記第1の時点に対応する前記車両の加速度である第1の加速度と、前記第2の時点に対応する前記車両の加速度である第2の加速度と、を取得し、取得した前記第1の加速度および前記第2の加速度を拘束条件として、前記車速推移モデルを生成する、
    請求項4に記載の車両停止判定装置。
  11. 前記第1の時点に対応する前記所定の値と、前記第2の時点に対応する前記所定の値とは、同一であり、GPSにおいて十分な測位精度が得られる速度の値の最小値である、
    請求項4に記載の車両停止判定装置。
  12. 車両のGPS情報から、当該車両が停止したか否かを判定する車両停止判定システムであって、
    前記車両停止判定システムは、
    前記車両に設置された端末装置と、前記車両の走行状態に関する情報を処理するサーバ装置と、を有し、
    前記端末装置は、
    GPS信号を受信し、受信したGPS信号から前記車両のGPS情報を取得するGPS受信部と、
    取得された前記GPS情報と前記車両の識別情報とを含む走行データを、前記サーバ装置へ送信する走行データ送信部と、を有し、
    前記サーバ装置は、
    前記端末装置から送信された前記走行データを受信する走行データ受信部と、
    受信された前記走行データから前記車両の速度を計測し、得られる速度である計測速度が所定の値を下回った第1の時点の前記車両の位置から、前記計測速度が所定の値を上回った第2の時点の前記車両の位置までの区間である、低速区間を抽出する低速区間抽出部と、
    抽出された前記低速区間の長さである区間距離と、前記第1の時点から前記第2の時点までの時間と、を拘束条件として、速度が、前記第1の時点から減少した後に前記第2の時点まで連続的に増加するような速度の時間的推移を示す、車速推移モデルを生成する車速推移モデル生成部と、
    生成された前記車速推移モデルにおいて、前記速度がゼロ以下となる区間が存在することを条件として、前記車両は前記低速区間において停止したと判定する停止判定部と、
    前記停止判定部による判定結果を出力する判定結果出力部と、を有する、
    車両停止判定システム。
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