JP6119652B2 - 変速機のブレーキ装置 - Google Patents

変速機のブレーキ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6119652B2
JP6119652B2 JP2014067037A JP2014067037A JP6119652B2 JP 6119652 B2 JP6119652 B2 JP 6119652B2 JP 2014067037 A JP2014067037 A JP 2014067037A JP 2014067037 A JP2014067037 A JP 2014067037A JP 6119652 B2 JP6119652 B2 JP 6119652B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston
brake
hydraulic chamber
piston member
outer piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014067037A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015190526A (ja
Inventor
将倫 佐々木
将倫 佐々木
昌道 藤川
昌道 藤川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2014067037A priority Critical patent/JP6119652B2/ja
Publication of JP2015190526A publication Critical patent/JP2015190526A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6119652B2 publication Critical patent/JP6119652B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、変速機のブレーキ装置に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されるように、多板ブレーキに近接離反するように軸方向に移動可能なピストンを2つ備えた自動変速機のブレーキ装置が知られている。
具体的に、特許文献1に開示されるブレーキ装置は、図15に示すように、変速機ケースaの内部に形成された凹陥部bと、上記凹陥部bに多板ブレーキcに近接離反するように軸方向に移動可能に収容された外側ピストンdと、上記外側ピストンdに上記外側ピストンdに対して軸方向に相対移動可能に内装され、上記多板ブレーキcを押圧する内側ピストンeと、上記凹陥部b内で外側ピストンdの反多板ブレーキc側に設けられた外側ピストン用油圧室fと、上記外側ピストンd内で内側ピストンeの反多板ブレーキc側に設けられた内側ピストン用油圧室gとを有している。
この構成によれば、外側ピストン用油圧室fに油圧を給排することにより外側ピストンdと内側ピストンeとが一体となって多板ブレーキcに近接離反し、内側ピストン用油圧室gに油圧を給排することにより内側ピストンeのみが多板ブレーキcに近接離反する。特許文献1には、内側ピストン用油圧室gに油圧を供給して内側ピストンeを多板ブレーキcに近接させて多板ブレーキcのクリアランスを零(0)に調整した後、外側ピストン用油圧室fに油圧を供給して外側ピストンd及び内側ピストンeを多板ブレーキcに近接させて内側ピストンeで多板ブレーキcを押圧し締結する例が記載されている。
特開平7−12221号公報
特許文献1に開示されるブレーキ装置では、内側ピストン用油圧室gに油圧を給排する内側ピストン用油路hの開口部iが凹陥部bの内周面に開口している。外側ピストンdの周壁部には、上記開口部iと内側ピストン用油圧室gとを連通する内側ピストン用連通部jが設けられている。外側ピストンdの外周面には、上記連通部jより反多板ブレーキc側に、上記凹陥部bの内周面と摺接して内側ピストン用油圧室gと外側ピストン用油圧室fとを隔離する第1シール部材mが設けられ、上記連通部jより多板ブレーキc側に、上記凹陥部bの内周面と摺接して内側ピストン用油圧室gと変速機ケースaの内部の空間とを隔離する第2シール部材nが設けられている。第1シール部材mと第2シール部材nとは外側ピストンdの外周面で軸方向に並んでいる。これにより、外側ピストンdの移動に伴う内側ピストン用油圧室gの容積変化がなくなり、内側ピストン用油圧室gの油圧変動が回避される。
このブレーキ装置において、外側ピストンdを変速機ケースaに組み付けるときは、外側ピストンdを上記凹陥部bの開放口から軸方向に挿入する。この挿入の際、外側ピストンdの外周面に設けられた第1シール部材m及び第2シール部材nは、それぞれ、凹陥部bの内周面を摺動する。特に、先に挿入される第1シール部材mは、内側ピストン用油路hの開口部iを通過する。このようにシール部材mが油路hの開口部iを通過するとき、シール部材mが開口部iに引っ掛かって、ねじれ、変形又は損傷といった不具合が生じる可能性がある。
ところが、このブレーキ装置においては、第1シール部材mと第2シール部材nとが外側ピストンdの外周面で軸方向に並んでいるため、外側ピストンdを変速機ケースaに組み付けている途中や組み付けた後に、先に挿入される第1シール部材mは、後で挿入される第2シール部材nの陰に隠れて見ることができない。そのため、外側ピストンdの組み付け中に第1シール部材mが内側ピストン用油路hの開口部iを通過するときの様子を確認することも、外側ピストンdの組み付け後に第1シール部材mの状態を確認することもできない。
このような不具合に対処するために、外側ピストンdを2つの部材に分割することが提案される。例えば、外側ピストンdを、上記連通部jより反多板ブレーキc側の部分を構成する第1ピストン部材と、上記連通部jより多板ブレーキc側の部分を構成する第2ピストン部材とに分割し、第1ピストン部材の外周面には上記第1シール部材mを装着し、第2ピストン部材の外周面には上記第2シール部材nを装着する。こうすれば、外側ピストンdを変速機ケースaに組み付けるとき、第1ピストン部材、第2ピストン部材の順で凹陥部bに挿入することにより、第1ピストン部材の挿入中は、第1シール部材mが内側ピストン用油路hの開口部iを通過するときの様子を確認することができ、第1ピストン部材の挿入後は、第2ピストン部材を挿入する前に、第1シール部材mの状態を確認することができる。
しかし、新たな問題が発生する。すなわち、第2ピストン部材の挿入後に第2ピストン部材と第1ピストン部材とが分離しないように、つまり第2ピストン部材と第1ピストン部材とが外側ピストンとして一体に動くように対策する必要が生じる。第2ピストン部材と第1ピストン部材とが分離すると、例えば、第2ピストン部材が凹陥部bから抜け出て、第2シール部材nが外れ、内側ピストン用油圧室gの油圧が変速機ケースaの内部の空間に漏れるという不具合が起きる。
本発明は、多板ブレーキに近接離反するように軸方向に移動可能なピストンを2つ備えた変速機のブレーキ装置における上記のような現状に鑑みてなされたもので、外側ピストンの組み付け性向上のために外側ピストンを2つの部材に分割した場合に、2つの部材の組み付け後に2つの部材が分離しないように対策された変速機のブレーキ装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、変速機ケースの内部に形成された凹陥部と、上記凹陥部に多板ブレーキに近接離反するように軸方向に移動可能に収容された外側ピストンと、上記外側ピストンに上記外側ピストンに対して軸方向に相対移動可能に内装され、上記多板ブレーキを押圧する内側ピストンと、上記凹陥部内で外側ピストンの反多板ブレーキ側に設けられた外側ピストン用油圧室と、上記外側ピストン内で内側ピストンの反多板ブレーキ側に設けられた内側ピストン用油圧室と、上記凹陥部の内周面に開口する内側ピストン用油路の開口部と、上記外側ピストンの周壁部に設けられ、上記開口部と上記内側ピストン用油圧室とを連通する内側ピストン用連通部と、上記外側ピストンの外周面の上記連通部より反多板ブレーキ側に設けられ、上記凹陥部の内周面と摺接して内側ピストン用油圧室と外側ピストン用油圧室とを隔離する第1シール部材と、上記外側ピストンの外周面の上記連通部より多板ブレーキ側に設けられ、上記凹陥部の内周面と摺接して内側ピストン用油圧室と変速機ケースの内部の空間とを隔離する第2シール部材とを有する変速機のブレーキ装置であって、
上記外側ピストンの上記連通部より反多板ブレーキ側の部分を構成し、上記第1シール部材が装着される第1ピストン部材と、上記外側ピストンの上記連通部より多板ブレーキ側の部分を構成し、上記第2シール部材が装着される第2ピストン部材とを有し、
さらに、上記第2ピストン部材の反多板ブレーキ側の部分を構成し、内側ピストン用油圧室内で反多板ブレーキ側に延び、第1ピストン部材の所定の被当接部に当接する当接端部と、上記当接端部が上記被当接部に当接した状態で上記第2ピストン部材を反多板ブレーキ側へ押圧することにより上記外側ピストンを反多板ブレーキ側へ付勢するリターンスプリングと、上記外側ピストン用油圧室内に設けられ、第1ピストン部材を多板ブレーキ側へ付勢する弾性部材とを有することを特徴とする。
本発明によれば、多板ブレーキに近接離反するように軸方向に移動可能な外側ピストンと内側ピストンとを備えた変速機のブレーキ装置において、外側ピストンが第1ピストン部材と第2ピストン部材とに分割されているので、外側ピストンの組み付け性が向上する。
その場合に、第2ピストン部材の当接端部が第1ピストン部材の被当接部に当接した状態で第2ピストン部材がリターンスプリングによって反多板ブレーキ側、つまり第1ピストン部材に押圧されるので、第2ピストン部材が第1ピストン部材から分離し難くなる。加えて、第1ピストン部材が弾性部材によって多板ブレーキ側、つまり第2ピストン部材に付勢されるので、より一層、第2ピストン部材と第1ピストン部材との分離が抑制される。
以上により、本発明によれば、第1ピストン部材と第2ピストン部材との組み付け後に2つの部材が分離しないように対策された変速機のブレーキ装置が提供される。
しかも、リターンスプリングは外側ピストンを反多板ブレーキ側へ付勢するための既存の部品であるから、当該ブレーキ装置の部品点数の増加が抑制される。また、弾性部材は外側ピストン用油圧室内に設けられているから、当該ブレーキ装置の寸法拡大も抑制される。
本発明においては、好ましくは、上記弾性部材は、軸方向に延びるように配置されたコイルバネであり、第1ピストン部材の反多板ブレーキ側の面に多板ブレーキ側に窪む凹部が設けられ、上記コイルバネは、上記凹部内に収容されると共に、軸方向に圧縮され、多板ブレーキ側の端部が上記凹部の底面に圧接され、反多板ブレーキ側の端部が上記凹陥部の底面に圧接された状態で、外側ピストン用油圧室内に組み付けられている。
この構成によれば、弾性部材としてコイルバネを用いた場合に、コイルバネを外側ピストン用油圧室の軸方向の寸法拡大を抑制しつつ当該ブレーキ装置に組み付けることができる。
本発明においては、好ましくは、変速機のブレーキ装置は、上記凹陥部の内周面に設けられ、外側ピストンが多板ブレーキ側に移動したときに、第1ピストン部材の上記連通部の縁部が当接するストッパ部材をさらに有する。
この構成によれば、外側ピストン用油圧室に油圧が供給されることに伴い、外側ピストンが多板ブレーキに近接する方向に移動したときには、第1ピストン部材の連通部の縁部がストッパ部材に当接することによって、外側ピストンのそれ以上の移動が規制される。このように、外側ピストンの位置を規制する、言い換えると、外側ピストンのストローク量を規制するストッパ部材は、第1ピストン部材の連通部の縁部に当たる。そのため、ストッパ部材は外側ピストンの軸方向の中間部分に位置しており、ストッパ部材を外側ピストンに対して軸方向にずらして設ける構成と比較して、当該ブレーキ装置の軸方向の長さを短くすることが可能となる。
本発明においては、好ましくは、変速機のブレーキ装置は、上記凹陥部の内周面に設けられ、径方向外側に窪むと共に、周方向に延びる凹溝をさらに有し、上記ストッパ部材は、上記凹溝内に固設され、上記内側ピストン用油路は、上記凹溝に対して軸方向に重なる位置に設けられ、上記凹溝に連通している。
この構成によれば、凹溝は、外側ピストンに設けられた内側ピストン用連通部を通じて内側ピストン用油圧室内に油圧を供給するための流路の一部として機能し得る。流路の一部を構成する凹溝内にストッパ部材を固設することによって、ストッパ部材を専用の位置に設ける場合と比較して、当該ブレーキ装置の軸方向の長さを短くすることが可能となる。また、内側ピストン用油路と凹溝とを軸方向に重なる位置に設けることによっても、当該ブレーキ装置の軸方向の長さが短くなる。なお、内側ピストン用油路と凹溝とは、少なくとも一部が軸方向に重なっていればよい。
本発明においては、好ましくは、上記ストッパ部材は、切れ目を有し、上記凹溝に嵌合されたC型スナップリングであり、変速機のブレーキ装置は、上記内側ピストン用油路と上記凹溝との連通部分に設けられ、上記C型スナップリングの切れ目の端部に当接することにより、上記切れ目が上記連通部分に位置することを維持する係止部材をさらに有する。
この構成によれば、ストッパ部材が凹溝内に嵌合するC型スナップリングによって構成される。その場合、凹溝に連通する内側ピストン用油路の開口部がスナップリングによって塞がれないように、スナップリングの切れ目が上記開口部に位置するように凹溝内のスナップリングの回動角度を設定することが好ましい。一方、そのようにスナップリングの回動角度を設定していたとしても、車両の走行中の振動等に起因して、スナップリングが凹溝内で回動し、上記開口部がスナップリングによって塞がれる可能性がある。そこで、内側ピストン用油路と凹溝との連通部分に、C型スナップリングの切れ目の端部に当接する係止部材を設けることが好ましい。係止部材は、内側ピストン用油路と凹溝との連通部分に設けられてC型スナップリングの切れ目の端部に当接することにより、上記切れ目が上記連通部分に位置することを維持する。係止部材は、凹溝内でスナップリングの回動を規制するものであればよく、必ずしもスナップリングの回動を完全に禁止するものでなくてもよい。例えば、スナップリングの切れ目が上記連通部分に位置する範囲内であれば、スナップリングの回動を許容してもよい。この係止部材によって、ストッパ部材が内側ピストン用油路の開口部を塞ぐことが回避される。そのため、内側ピストン用油圧室への油圧の給排を円滑に行うことができ、ブレーキ装置の制御性が高められる。
以上のように、本発明は、多板ブレーキに近接離反するように軸方向に移動可能な外側ピストンと内側ピストンとを備えた変速機のブレーキ装置において、外側ピストンの組み付け性向上のために外側ピストンを第1ピストン部材と第2ピストン部材とに分割した場合に、第1ピストン部材と第2ピストン部材との組み付け後に2つの部材が分離しないように対策されているので、例えば、第2ピストン部材が抜けて、シール部材が外れ、油圧が漏れるというような不具合が抑制される。
本発明の実施形態に係る自動変速機の骨子図である。 上記自動変速機の締結表である。 上記自動変速機のオイルポンプから摩擦締結要素までの油圧経路を示すブロック図である。 上記自動変速機のL−Rブレーキの構造を示す断面図である。 上記L−Rブレーキの待機状態を示す図4に対応する図である。 上記L−Rブレーキの締結状態を示す図4に対応する図である。 上記L−Rブレーキの第1〜第3ピストン部材を示す分解斜視図である。 上記L−Rブレーキに油圧を給排する油路の付近を拡大して示す断面図である。 上記第3ピストン部材の外周縁部に取り付けられたシール部材の付近を拡大して示す断面図である。 上記自動変速機のケースの凹溝に固設したストッパ部材と、凹溝と油路との連通部分に配設した係止部材とを示す横断面図である。 上記変速機ケースの内周面に形成された凹溝を示す断面図である。 上記係止部材を示す斜視図である。 上記係止部材の変形例を示す正面図及び側面図である。 上記L−Rブレーキに組み付けるコイルバネユニットを示す斜視図である。 ピストンを2つ備えたブレーキ装置の従来構造の説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(1)全体構成
図1は、本実施形態に係る自動変速機1の骨子図である。この自動変速機1は、例えばフロントエンジンフロントドライブ車等のエンジン横置き式自動車に搭載されており、変速機構2と、変速機構2を収容する変速機ケース3とを有している。変速機構2の入力軸4に、図外のトルクコンバータを介して、エンジンの出力回転が入力される。変速機構2の出力回転は、出力ギヤ5から取り出され、図外の差動装置を介して、駆動輪に伝達される。
変速機構2は、第1プラネタリギヤセット10、第2プラネタリギヤセット20、及び第3プラネタリギヤセット30を備えている。これらは、変速機構2の動力伝達経路を構成し、エンジン側から上記の順に入力軸4の軸上に同軸に並んでいる。
変速機構2は、さらに、ロークラッチ40及びハイクラッチ50、L−Rブレーキ(ローリバースブレーキ)60、2−6ブレーキ70、並びにR−3−5ブレーキ80を備えている。これらは、摩擦締結要素であり、エンジン側から上記の順に入力軸4の軸上に同軸に並んでいる。
第1プラネタリギヤセット10及び第2プラネタリギヤセット20はシングルピニオン型、第3プラネタリギヤセット30はダブルピニオン型である。各プラネタリギヤセット10,20,30は、それぞれ、サンギヤ11,21,31と、このサンギヤ11,21,31と噛み合うピニオン12,22,32(第3プラネタリギヤセット30にあっては内側のピニオン)と、このピニオン12,22,32を支持するキャリヤ13,23,33と、上記ピニオン12,22,32(第3プラネタリギヤセット30にあっては外側のピニオン)と噛み合うインターナルギヤ14,24,34とを備えている。
第1プラネタリギヤセット10のサンギヤ11と、第2プラネタリギヤセット20のサンギヤ21とが連結され、さらにロークラッチ40を介して入力軸4に断接自在に連結されている。
第1プラネタリギヤセット10のインターナルギヤ14と、第2プラネタリギヤセット20のキャリヤ23とが連結され、さらにハイクラッチ50を介して入力軸4に断接自在に連結されると共に、L−Rブレーキ60を介して変速機ケース3に断接自在に連結されている。
第2プラネタリギヤセット20のインターナルギヤ24と、第3プラネタリギヤセット30のインターナルギヤ34とが連結され、さらに2−6ブレーキ70を介して変速機ケース3に断接自在に連結されている。
第3プラネタリギヤセット30のキャリヤ33がR−3−5ブレーキ80を介して変速機ケース3に断接自在に連結され、第3プラネタリギヤセット30のサンギヤ31が入力軸4に連結され、第1プラネタリギヤセット10のキャリヤ13が出力ギヤ5に連結されている。
この自動変速機1においては、図2の締結表(○は締結を示す)に示すように、摩擦締結要素40,50,60,70,80が選択的に締結されることにより、プラネタリギヤセット10,20,30の動力伝達経路が切り換わり、前進1〜6速と後退速とが達成される。
発進変速段の1つである前進1速ではロークラッチ40とL−Rブレーキ60とが締結される。前進2速ではロークラッチ40と2−6ブレーキ70とが締結される。前進3速ではロークラッチ40とR−3−5ブレーキ80とが締結される。前進4速ではロークラッチ40とハイクラッチ50とが締結される。前進5速ではハイクラッチ50とR−3−5ブレーキ80とが締結される。前進6速ではハイクラッチ50と2−6ブレーキ70とが締結される。発進変速段の1つである後退速ではL−Rブレーキ60とR−3−5ブレーキ80とが締結される。
図3は油圧経路を示しており、オイルポンプから吐出された油圧は、レギュレータバルブ(図示せず)により所定のライン圧(図中「PL」で示す)に調圧された後、専用の油路を介して常に油圧回路200に供給されると共に、Dレンジ又はRレンジが選択されたときに、マニュアルバルブ140を介して上記油圧回路200に供給される。
油圧回路200には、第1リニアソレノイドバルブ(以下、ソレノイドバルブを「SV」と記す)121、第2リニアSV122、オンオフSV123、及びシフトバルブ130が備えられている。第1リニアSV121は、ロークラッチ40の油圧室に油圧を供給するためのものである。第2リニアSV122は、後述するL−Rブレーキ60の内側ピストン用油圧室61に油圧を供給するためのものである。オンオフSV123は、シフトバルブ130のスプールの位置を切り替えるためのものである。シフトバルブ130は、上記第2リニアSV122と上記内側ピストン用油圧室61とを連通又は遮断し、及び所定のライン圧供給油路124と後述するL−Rブレーキ60の外側ピストン用油圧室62とを連通又は遮断するためのものである。シフトバルブ130のスプールは図示しないリターンスプリングにより常に図3に関して左側に付勢されている。シフトバルブ130と上記内側ピストン用油圧室61との間に内側ピストン用油路63が設けられ、シフトバルブ130と上記外側ピストン用油圧室62との間に外側ピストン用油路64が設けられている。
上記オンオフSV123はノーマルオープンタイプである。そのため、上記オンオフSV123は、非通電状態(off)では油圧を出力し、シフトバルブ130のスプールを図3に関して右側に位置させる。上記第1、第2リニアSV121,122はノーマルクローズタイプである。そのため、上記第1、第2リニアSV121,122は、非通電状態(off)では対応する摩擦締結要素、すなわちロークラッチ40及びL−Rブレーキ60に油圧を供給しない。
(2)L−Rブレーキの構造
次に、L−Rブレーキ(本発明のブレーキ装置に相当する)60の構造を図4〜図8及び図10〜図14を参照して説明する。図4、図5及び図6に関して右側がエンジン側(反多板ブレーキ69側)、左側が反エンジン側(多板ブレーキ69側)である。なお、L−Rブレーキ60は、自動変速機1の軸方向の中間位置に配設された出力ギヤ5の近傍に配置されており、図4等における符号3bは、出力ギヤ5を支持するボス部である。
図4に示すように、L−Rブレーキ60は、主たる構成要素として、内側ピストン用油圧室61と、外側ピストン用油圧室62と、押圧用ピストンとしての内側ピストン65と、クリアランス調整用ピストンとしての外側ピストン66と、複数の摩擦板(ドライブプレート69a及びドリブンプレート69c)を含む多板ブレーキ69とを備えている。内側ピストン65と、外側ピストン66とは、入力軸4の軸上に同軸に並び、外側ピストン66は、変速機ケース3の内部に形成された凹陥部3aに内嵌し、内側ピストン65は、外側ピストン66に内嵌している。内側ピストン65は、外側ピストン66と多板ブレーキ69との間に介在している。内側ピストン用油圧室61は、外側ピストン66内で内側ピストン65の反多板ブレーキ69側に設けられる。具体的に、内側ピストン65と、外側ピストン66と、変速機ケース3(より詳しくは凹陥部3aの内周面)との間に区画形成される。外側ピストン用油圧室62は、凹陥部3a内で外側ピストン66の反多板ブレーキ69側に設けられる。具体的に、外側ピストン66と、変速機ケース3(より詳しくは凹陥部3aの底面)との間に区画形成される。
複数のドライブプレート69aと、複数のドリブンプレート69cとは、軸方向に交互に配置されている。ドライブプレート69aは、図4では図示を省略する第1プラネタリギヤセット10のインターナルギヤ14(図1参照)の外周面にスプライン係合されている。ドライブプレート69aの両面にフェーシング69bが貼着されている。ドリブンプレート69cは、変速機ケース3の内面スプライン部3eにスプライン係合されている。内面スプライン部3eには、さらにリテーニングプレート69dがスプライン係合されている。リテーニングプレート69dは、スナップリング69eにより反エンジン側への移動が規制されている。
多板ブレーキ69のドライブプレート69a及びドリブンプレート69cは、リテーニングプレート69dと、内側ピストン65との間に挟まれて配置されている。ドライブプレート69a及びドリブンプレート69cは、リテーニングプレート69dにより反エンジン側への移動が規制されている。
多板ブレーキ69に対し、径方向の外周側にはリターンスプリング164が配設されている。リターンスプリング164は、図示は省略するが、周方向に等間隔を空けて、複数設けられている。このように、リターンスプリング164を、多板ブレーキ69に対し径方向の外側に配置して、多板ブレーキ69とリターンスプリング164とを軸方向に重なるように配置することによって、L−Rブレーキ60の軸方向長さを短くすることが可能となる。
軸方向に延びる各リターンスプリング164の反エンジン側の端部は、スプリングリテーナー69fに支持されている。スプリングリテーナー69fは、リテーニングプレート69dの外周縁部に設けられ、かつ、内周側よりも薄肉となるように設けられた段部に位置している。こうしてスプリングリテーナー69fとリテーニングプレート69dとを、軸方向に重なるように配置することにより、L−Rブレーキ60の軸方向長さを短くしている。なお、各リターンスプリング164のエンジン側の端部は、後述するように、外側ピストン66の第2ピストン部材672に支持されている。
外側ピストン66は、上記凹陥部3aに内挿され、かつ、軸方向に往復動可能な第1ピストン部材671と、第1ピストン部材671の反エンジン側に隣接し、かつ、この第1ピストン部材671と一体的に、軸方向に往復動可能な第2ピストン部材672とによって構成されている。第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672は、共に、図7に示すように、軸方向に見て円環形状である。
このうち、第1ピストン部材671は、その外周端部が反エンジン側に突出すると共に、それに続く外周部がエンジン側に膨出し、中間部が反エンジン側に膨出し(中間膨出部679)、内周部がエンジン側に傾斜し、内周端部が反エンジン側に突出するような形状を有している。第1ピストン部材671の外周端部は、後述するように、内側ピストン用油路63に連通する内側ピストン用油圧室61の連通部(内側ピストン用連通部)612の縁部674を構成する。この連通部縁部674は、後述のストッパ部材160に当接して、第1ピストン部材671がそれ以上反エンジン側へ移動することを防止する受け部としての機能を有している。第1ピストン部材671の外周部には、後述するように、上記内側ピストン用油圧室61を区画する側壁(本発明の被当接部に相当する)675(図7及び図8も参照)が設けられる。第1ピストン部材671の内周端部は、後述する第3ピストン部材673の第3内周シール部材686が摺動する摺動面を構成する。
第1ピストン部材671における外周端部及び内周端部には、第1外周シール部材(本発明の第1シール部材に相当する)681及び第1内周シール部材682がそれぞれ油密に装着されている。第1外周シール部材681はリップシールであり、上記凹陥部3aの内周面に当接して、この内周面上を摺動可能である。第1内周シール部材682もリップシールであり、上記ボス部3bの壁面に当接して、この壁面上を摺動可能である。こうして、第1ピストン部材671と変速機ケース3との間に、第1外周シール部材681及び第1内周シール部材682によって隔離された外側ピストン用油圧室62が区画形成される。第1外周シール部材681は、外側ピストン用油圧室62と内側ピストン用油圧室61との間を隔離し、第1内周シール部材682は、外側ピストン用油圧室62と変速機ケース3の内部空間との間を隔離する。外側ピストン用油圧室62への油圧の給排に応じて、第1ピストン部材671は軸方向に往復動する。
第2ピストン部材672は、図7にも示すように、その内径が、第1ピストン部材671の内径よりも大きく構成されている。第2ピストン部材672の内周端部は、径方向に所定の範囲で広がると共に、第1ピストン部材671の上記側壁675に当接する当接端部676を構成する。すなわち、当接端部676は、第2ピストン部材672の反多板ブレーキ側(エンジン側)の部分を構成し、内側ピストン用油圧室61内で反多板ブレーキ側に延び、第1ピストン部材671の上記側壁675に当接する。第2ピストン部材672は、当接端部676に連続する中間部が、同径で軸方向に広がり、外周部が、中間部よりも大径で軸方向に広がるような形状を有している。第2ピストン部材672の外周部は、第1ピストン部材671の連通部縁部674に対し軸方向に相対して、上記連通部縁部674と共に、内側ピストン用油路63に連通する内側ピストン用油圧室61の連通部(内側ピストン用連通部)612の縁部を構成する。内側ピストン用連通部612は、第1ピストン部材671と第2ピストン部材672との間で、全周に亘って設けられる。
第2ピストン部材672の中間部は、内側ピストン用連通部612に対し径方向内側の位置で相対するように配置され、それによって、内側ピストン用油圧室61内は、径方向に分割される。第2ピストン部材672の中間部には、内側ピストン用油圧室61内を分割する第2ピストン部材672の内外を径方向に連通させる貫通孔677が、周方向に等間隔を空けて複数、形成されている(図7も参照)。
第2ピストン部材672の外周縁部には、図7にも示すように、リターンスプリング164のエンジン側の端部を支持する複数のリテーナー部678が、周方向に等間隔を開けて、径方向外側に向かって放射状に突出するように設けられている。
第2ピストン部材672の外周部には、第2外周シール部材(本発明の第2シール部材に相当する)683が、油密に装着されている。第2外周シール部材683も、第1ピストン部材671に装着された第1外周シール部材681と同じくリップシールであり、上記凹陥部3aの内周面に当接して、この内周面上を摺動可能である。第2外周シール部材683は、内側ピストン用油圧室61と変速機ケース3の内部空間との間を隔離する。
第1ピストン部材671の中間膨出部679には、その反多板ブレーキ側の面から多板ブレーキ側に向けて窪む凹部内に、コイルバネ(本発明の弾性部材に相当する)684が収容されている。このコイルバネ684は、第1ピストン部材671を多板ブレーキ側へ付勢して、第2ピストン部材672の当接端部676を第1ピストン部材671の側壁675に圧接させることによって、当接端部676と側壁675との間に隙間ができることを防ぎ、当接端部676と側壁675との間を作動油が連通すること(つまり当接端部676に油圧が作用すること)を遮断する機能を有している。より詳しくは、反エンジン側に向かうこのコイルバネ684の付勢力F1(図4参照)の分だけ、エンジン側に向かうリターンスプリング164の付勢力が増大されているが、これについては後述する。
具体的に、上記コイルバネ684は、軸方向に延びるように配置され、軸方向に圧縮された状態で、多板ブレーキ側の端部が中間膨出部679の凹部の底面に圧接され、反多板ブレーキ側の端部が凹陥部3aの底面に圧接された状態で、外側ピストン用油圧室62内に組み付けられている。
上記コイルバネ684は、図14に示すように、ユニット化されてL−Rブレーキ60に組み付けられている。すなわち、比較的小径の複数のコイルバネ684が等間隔で円環状に並べられ、各コイルバネ684の両端部が一対の円環状のリテーニングプレート687に結合された構成のコイルバネユニット688が予め作製される。リテーニングプレート687の径は中間膨出部679の径と略同じである。そして、このコイルバネユニット688を第1ピストン部材671と同軸に配置して、一方のリテーニングプレート687が中間膨出部679の凹部の底面に当接し、他方のリテーニングプレート687が凹陥部3aの底面に当接して、コイルバネ684が軸方向に圧縮された状態で、コイルバネユニット688ごと中間膨出部679の凹部内に収容する(図4参照)。
内側ピストン65は、図7にも示すように、軸方向に見て円環形状の第3ピストン部材673によって構成されている。第3ピストン部材673は、図4に示すように、外周部が反エンジン側に膨出し、中間部が径方向に広がると共に、内周部がエンジン側に膨出するような形状を有している。第3ピストン部材673の外周部は、多板ブレーキ69のドリブンプレート69cに当たって、多板ブレーキ69を押圧する機能を有している。
第3ピストン部材673の外周端部及び内周端部には、第3外周シール部材685及び第3内周シール部材686がそれぞれ油密に装着されている。第3外周シール部材685は、リップシールであり、第2ピストン部材672の外周部の内周面に当接して、当該面上を摺動可能である。第3内周シール部材686もリップシールであり、第1ピストン部材671の内周端部の内周面に当接して、当該面上を摺動可能である。第3外周シール部材685及び第3内周シール部材686は、それぞれ、内側ピストン用油圧室61と変速機ケース3の内部空間との間を隔離する。
これにより、第1ピストン部材671、第2ピストン部材672、第3ピストン部材673、及び変速機ケース3の間に、第1外周シール部材681、第2外周シール部材683、第3外周シール部材685、及び第3内周シール部材686によって隔離された内側ピストン用油圧室61が区画形成される。この内側ピストン用油圧室61への油圧の給排に応じて、第3ピストン部材673が第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672に対して相対的に軸方向に往復動する。
したがって、第1ピストン部材671の第1外周シール部材681は、内側ピストン用油圧室61と外側ピストン用油圧室62との間を隔離する本発明の第1シール部材に相当し、第2ピストン部材672の第2外周シール部材683は、内側ピストン用油圧室61と変速機ケース3の内部空間との間を隔離する本発明の第2シール部材に相当する。
なお、第1外周シール部材681に対しては、そのエンジン側に外側ピストン用油圧室62内の油圧が作用し、その反エンジン側に内側ピストン用油圧室61内の油圧が作用する。後述するように、外側ピストン用油圧室62内の油圧はライン圧であり、内側ピストン用油圧室61内の油圧はライン圧よりも低圧の制御油圧である。多板ブレーキ69の締結時には、先ず外側ピストン用油圧室62にライン圧が供給された後、内側ピストン用油圧室61に制御油圧が供給される。一方、多板ブレーキ69の解放時には、先ず内側ピストン用油圧室61内の制御油圧が排出された後、外側ピストン用油圧室62内のライン圧が排出される。そのため、第1外周シール部材681を構成するリップシールは、相対的に高い外側ピストン用油圧室62内の油圧が作用したときに、変速機ケース3の内周面に密着する向きに設定されている。
図4に示すように、シフトバルブ130から導かれた内側ピストン用油路63は、変速機ケース3の壁を径方向に延びるように通っており、内側ピストン用油路63は、変速機ケース3の上記凹陥部3aの内周面に開口する開口部63aを有している。なお、内側ピストン用油路63は、図10に示すように、実際は変速機ケース3の底部において下から上向きに延びるように形成されているが、図4では、理解の容易のために、変速機ケース3の上部に内側ピストン用油路63を描いている。
内側ピストン用油路63の開口部63aは、第1ピストン部材671の連通部縁部674と、第2ピストン部材672の外周部との間に形成される内側ピストン用油圧室61の連通部(内側ピストン用連通部)612に対して径方向に相対している。これにより、第1ピストン部材671の外周端部に装着された第1外周シール部材681は、内側ピストン用油路63の開口部63aよりもエンジン側に位置し、第2ピストン部材672の外周部に装着された第2外周シール部材683は、内側ピストン用油路63の開口部63aよりも反エンジン側に位置する。
変速機ケース3の凹陥部3aの内周面には、図11にも示すように、上記内周面から径方向外側に窪む凹溝610が周方向に連続して形成されている。図8から明らかなように、内側ピストン用油路63は、この凹溝610に対して軸方向に重なる位置に配置されており、内側ピストン用油路63は、上記凹溝610に連通している。凹溝610は、後述するように、第1ピストン部材671を反エンジン側からエンジン側に向かって凹陥部3a内に挿入して変速機ケース3に組み付ける際に、第1ピストン部材671の外周端部に装着された第1外周シール部材681を凹陥部3aの内周面に誘い込むために設けられている。図8及び図11に示すように、凹溝610におけるエンジン側の縁部には、第1外周シール部材681を凹陥部3aの内周面へ案内するテーパ611が形成されている。
上記凹溝610には、第1ピストン部材671のストローク量を規制するストッパ部材160が固設されている。ストッパ部材160は、図10に端的に示すように、2つの端部161、161を有し、かつ、その間が切れ目になったC型のスナップリングである。ストッパ部材160は、凹溝610内の反エンジン側の側壁に当接する位置で凹溝610に内嵌している。ストッパ部材160の内周端部は、凹溝610よりも径方向内側に突出し、第1ピストン部材671の連通部縁部674と、第2ピストン部材672の外周部とによって構成される内側ピストン用連通部612内に位置している。図8に仮想線で示すように、第1ピストン部材671が反エンジン側に移動をしたときには、第1ピストン部材671の連通部縁部674がストッパ部材160に当接する。これにより、第1ピストン部材671がそれ以上移動することが規制され、そのため、第1ピストン部材671のストローク量が所定量に規制される。
ストッパ部材160は、図10に示すように、スナップリングの各端部161が凹溝610内に開口する内側ピストン用油路63を挟んだ周方向の両側に位置する回転角度(位相)となるように凹溝610内に配設されている。これにより、スナップリングの切れ目が内側ピストン用油路63の開口部63aの位置に位置するから、上記開口部63aがストッパ部材160によって塞がれず、内側ピストン用油路63から内側ピストン用油圧室61への作動油の供給を円滑良好に行うことが可能となる。
内側ピストン用油路63と凹溝610との連通部分には、C型スナップリングからなるストッパ部材160が凹溝610内で回動して内側ピストン用油路63の開口部63aを塞がないようにするための係止部材162が取り付けられている。係止部材162は、図12に示すように、内側ピストン用油路63内に挿入される挿入部1621と、この挿入部1621に連続すると共に凹溝610内に配置される一対の干渉部1622,1622とを備えている。係止部材162は、比較的幅の狭い帯状の板を所定の形状となるように曲げ加工することによって作製されている。これにより、係止部材162の内部は空間であるから、この係止部材162を内側ピストン用油路63と凹溝610との連通部分に配設しても、作動油は係止部材162の内部空間を通じて円滑良好に流れることが可能となる。
挿入部1621は、互いに平行に配置され、かつ、それぞれ縦方向に延びる、2つの幅狭の板材によって構成されている。挿入部1621の下端部には、互いに離れる方向に膨出する係合部1623が設けられている。係合部1623は、互いに離れる方向に作用する挿入部1621の弾性復元力によって内側ピストン用油路63の内壁に係合し、係止部材162を内側ピストン用油路63に固定する。この係合部1623により、自動変速機1の組み立て時に変速機ケース3の天地が逆転するようなときでも、内側ピストン用油路63に挿入した係止部材162が内側ピストン用油路63から抜け落ちることが防止される。
干渉部1622は、挿入部1621の上端から左右の両側それぞれに延びるように配置されている。挿入部1621を内側ピストン用油路63内に挿入したときには、図10に示すように、2つの干渉部1622は、その内側ピストン用油路63の開口部63aから周方向の逆向きにそれぞれ延びるように配置される。この干渉部1622は、凹溝610内でスナップリングが回動したときにスナップリングの端部161に当接する。これにより、スナップリングがそれ以上回動することが阻止されるから、スナップリングの切れ目は内側ピストン用油路63の開口部63aの位置に必ず位置する。そのため、ストッパ部材160によって内側ピストン用油路63の開口部63aが塞がれることが未然に回避される。
係止部材162は、図8に示すように、ストッパ部材160と比較して、軸方向の厚みが薄く構成されている。これにより、第1ピストン部材671がストッパ部材160に当接したときでも、第1ピストン部材671は係止部材162には当接しない。係止部材162は第1ピストン部材671のストロークに影響を及ぼすことがなく、第1ピストン部材671は所定のストローク量で確実にストロークする。
なお、係止部材の形状は、図12に示す形状に限定されない。例えば、図12の係止部材162の変形例として、図13は、断面円形状の線材を、図12と同様に、挿入部1631、干渉部1632、及び係合部1633を含む所定形状となるように曲げ加工をして構成した係止部材163を示している。このような係止部材163であっても、ストッパ部材160の回動を防止するという機能を発揮することが可能である。
図4に示すように、シフトバルブ130から導かれた外側ピストン用油路64は、変速機ケース3の壁を貫通し、凹陥部3aの底面に開口し、外側ピストン用油圧室62に連通している。なお、外側ピストン用油路64は、図示は省略するが、実際は変速機ケース3の底部において下から上向きに延びるように形成されているが、図4では、理解の容易のために、変速機ケース3の上部で軸方向に延びるように外側ピストン用油路64を描いている。
(3)L−Rブレーキの動作
次に、L−Rブレーキ60の動作を説明する。
(i)解放状態
L−Rブレーキ60は、解放状態にあっては、内側ピストン用油圧室61及び外側ピストン用油圧室62に油圧が供給されない。これにより、図4に示すように、リターンスプリング164の付勢力で外側ピストン66が多板ブレーキ69から離間する側に移動する。また、内側ピストン65は、外側ピストン66に対し内嵌しているため、外側ピストン66と共に、多板ブレーキ69から離間する側に移動する。外側ピストン66は、第1ピストン部材671におけるエンジン側に膨出する外周部(側壁675)が変速機ケース3の側壁(凹陥部3aの底面)に当接して停止している。内側ピストン65は、図4の例では、第3ピストン部材673における径方向に延びる中間部が、第1ピストン部材671における反エンジン側に膨出する中間膨出部679に固定プレート687を介して当接して停止している。なお、第2ピストン部材672は、その当接端部676が第1ピストン部材671の側壁675に当接している。
この解放状態のときの内側ピストン65の位置及び外側ピストン66の位置がそれぞれ内側ピストン65の初期位置及び外側ピストン66の初期位置である。なお、外側ピストン66の初期位置は構造的に一定であるが、外側ピストン66に対する内側ピストン65の相対位置は、後述するゼロクリアランス位置に応じて様々に変化するので、内側ピストン65の初期位置は一定ではない。ただし、ここでは、内側ピストン65の初期位置が構造的に、多板ブレーキ69から最も離間した位置にある場合(つまり、図4に例示するように、第3ピストン部材673の中間部が第1ピストン部材671の中間膨出部679に当接している場合)について説明する。
(ii)締結時−待機位置まで
解放状態のL−Rブレーキ60が締結されるときは、まず、内側ピストン65及び外側ピストン66がそれぞれ初期位置に位置した状態で、外側ピストン用油圧室62に油圧が供給される。外側ピストン用油圧室62にはライン圧が供給される。これにより、図5に示すように、外側ピストン66が反エンジン側に移動をすると共に、この外側ピストン66に内嵌している内側ピストン65も一緒に反エンジン側に移動をする。こうして、内側ピストン65及び外側ピストン66が共に多板ブレーキ69に近接するようにストロークする。なお、このとき、外側ピストン66は、リターンスプリング164を縮めつつ、つまりリターンスプリング164の付勢力に抗してストロークする。
外側ピストン66は、反エンジン側に突出する外周端部、つまり第1ピストン部材671の連通部縁部674が、凹陥部3aの内周面に取り付けたストッパ部材160に当接して停止する。内側ピストン65は、図5の例では、径方向に延びる中間部が外側ピストン66の中間膨出部679に当接した状態を保持したまま停止している。すなわち、この外側ピストン66のストロークが終了したときの内側ピストン65の位置及び外側ピストン66の位置がそれぞれ内側ピストン65の待機位置及び外側ピストン66の待機位置である。
なお、上述したように、外側ピストン66に対する内側ピストン65の相対位置はゼロクリアランス位置に応じて様々に変化するので、外側ピストン66の待機位置は構造的に一定であるが、内側ピストン65の待機位置は一定ではない。ただし、ここでは、内側ピストン65の中間部が外側ピストン66の中間膨出部679に当接している場合について説明する。
(iii)締結時−押圧完了位置まで
次いで、内側ピストン65及び外側ピストン66がそれぞれ待機位置に位置した状態で、内側ピストン用油圧室61に油圧が供給される。内側ピストン用油圧室61にはライン圧よりも低くなるように調圧された制御油圧が供給される。外側ピストン用油圧室62には内側ピストン用油圧室61よりも高いライン圧が供給されているため、外側ピストン66はエンジン側に移動せず、図6に示すように、内側ピストン用油圧室61に供給された油圧により内側ピストン65のみが多板ブレーキ69に近接する側にストロークする。なお、内側ピストン65は、リターンスプリング164の影響を受けることなくストロークする。
内側ピストン65は、第3ピストン部材673における反エンジン側に膨出する外周部がドライブプレート69a及びドリブンプレート69cを押圧する。内側ピストン65は、ドライブプレート69aの回転を停止させて、ストロークを終了する。この内側ピストン65のストロークが終了したときの内側ピストン65の位置が内側ピストン65の押圧完了位置である。このとき、ドライブプレート69a、フェーシング69b、ドリブンプレート69c、リテーニングプレート69d、及びスナップリング69e等は、内側ピストン65の押圧力を受けて弾性変形する(特にフェーシング69bの厚みが薄くなる)。ここにおいて、L−Rブレーキ60は締結状態となる。
(iv)解放時−ゼロクリアランス位置まで
締結状態のL−Rブレーキ60が解放されるときは、まず、内側ピストン65が押圧完了位置に位置し、外側ピストン66が待機位置に位置した状態で、内側ピストン用油圧室61の油圧が排出される。これにより、内側ピストン65の押圧力が除去されるから、例えば図5に示すように、それまで押圧されていたドライブプレート69a、フェーシング69b、ドリブンプレート69c、リテーニングプレート69d、及びスナップリング69e等の弾性復元力を受けて、内側ピストン65のみがドライブプレート69a及びドリブンプレート69cから離間する側に押し戻される。
内側ピストン65は、上記弾性復元力で押し戻されて、ドライブプレート69a及びドリブンプレート69cの押圧を解除して停止する。このときの内側ピストン65の位置は、動力の伝達が行われないクリアランスのうち最もクリアランスが小さい位置(つまりクリアランスがゼロの位置)である。すなわち、このときの内側ピストン65の位置が内側ピストン65のゼロクリアランス位置である。
このゼロクリアランス位置は、ドライブプレート69a、フェーシング69b、ドリブンプレート69c、リテーニングプレート69d、及びスナップリング69e等の構造的状況(例えば厚み等の寸法)によって決まる位置であり、しかも現在の構造的状況(摩耗による厚みの減少等)を反映している。例えば、ドライブプレート69a及びドリブンプレート69cが新しいと、摩耗による厚みの減少等が少ないため、内側ピストン65が押し戻される距離が長くなって、ゼロクリアランス位置はエンジン側に変位する。一方、ドライブプレート69a及びドリブンプレート69cが古いと、摩耗による厚みの減少等が多いため、内側ピストン65が押し戻される距離が短くなって、ゼロクリアランス位置は反エンジン側に変位する。
L−Rブレーキ60の締結前の内側ピストン65の待機位置と締結後のゼロクリアランス位置とは一致するとは限らない。つまりゼロクリアランス位置はL−Rブレーキ60を締結する度に摩擦板69a,69c等の現在の構造的状況によって更新され、外側ピストン66に対する内側ピストン65の相対位置はゼロクリアランス位置に応じて様々に変化する。そのため、L−Rブレーキ60の締結前の内側ピストン65の待機位置と締結後のゼロクリアランス位置とは多くの場合一致しない。
(v)解放時−初期位置まで
次いで、内側ピストン65がゼロクリアランス位置に位置し、外側ピストン66が待機位置に位置した状態で、外側ピストン用油圧室62の油圧が排出される。これにより、例えば図4に示すように、リターンスプリング164の付勢力で内側ピストン65及び外側ピストン66が共に摩擦板69a,69cから離間する側に移動され、それぞれ初期位置に位置する。これにより、L−Rブレーキ60は解放状態となる。
このとき、リターンスプリング164は外側ピストン66のみに作用し、内側ピストン65には作用しない。そのため、内側ピストン65は、外側ピストン66に対する相対位置が乱されず保持した状態で、リターンスプリング164の付勢力によってエンジン側に移動する外側ピストン66と共にエンジン側へ移動する。つまり、ゼロクリアランス位置が記録されたまま内側ピストン65及び外側ピストン66は初期位置に戻る(メモリー効果)。
L−Rブレーキ60の締結前の内側ピストン65の初期位置と締結後の内側ピストン65の初期位置とは一致するとは限らない。つまりゼロクリアランス位置はL−Rブレーキ60を締結する度に摩擦板69a,69c等の現在の構造的状況によって更新され、外側ピストン66に対する内側ピストン65の相対位置はゼロクリアランス位置に応じて様々に変化する。そのため、L−Rブレーキ60の締結前の内側ピストン65の初期位置と締結後の内側ピストン65の初期位置とは多くの場合一致しない。
(vi)再締結時−待機位置まで
ゼロクリアランス位置が記録された状態で、L−Rブレーキ60を再度、締結するときには、上記と同様に、内側ピストン65及び外側ピストン66がそれぞれ初期位置に位置した状態で、外側ピストン用油圧室62に油圧が供給される。これにより、内側ピストン65及び外側ピストン66は、反エンジン側に移動をし、外側ピストン66が、ストッパ部材160に当接して、内側ピストン65及び外側ピストン66は停止する。このときの内側ピストン65の位置及び外側ピストン66の位置がそれぞれ内側ピストン65の待機位置及び外側ピストン66の待機位置であるが、上述の通り、ゼロクリアランス位置が記録されているため、内側ピストン65は、自動的にゼロクリアランス位置(つまり動力の伝達が行われないクリアランスのうち最もクリアランスが小さい位置)に位置することになる。
その後、内側ピストン用油圧室61に油圧を供給して、L−Rブレーキ60を締結する動作は、上記と同じである。その際、内側ピストン65がゼロクリアランス位置に位置しているから、L−Rブレーキ60は応答性よく締結される。
(vii)まとめ
このように、この構成のL−Rブレーキ60は、2段ピストン構造・2段ストローク構造であるから、L−Rブレーキ60を締結する可能性が生じた段階で、外側ピストン66をストロークさせて、ゼロクリアランス状態としておき、そして、L−Rブレーキ60を締結する必要が生じた段階で、内側ピストン65をゼロクリアランス状態からストロークさせる。このため、L−Rブレーキ60の締結応答時間は、ゼロクリアランス状態の内側ピストン65を押圧完了位置までストロークさせる分の時間となるため、応答性よく締結することができる。このことは、L−Rブレーキ60を精度よく適切なタイミングで締結することを可能にし、L−Rブレーキ60の締結タイミングがずれることに起因する変速ショック等を抑制することができる。
図1に示すように、この自動変速機1においては、コストアップや燃費の低下を招来するワンウェイクラッチを廃止する代わりに、図2に示すように、前進1速で締結するL−Rブレーキ60を用いている。L−Rブレーキ60は、その容量が大きいため、締結タイミングがずれたときに発生する変速ショックが大きくなるという課題を有する。そのため、上述の通り、ゼロクリアランス状態からの締結を可能にしてその締結応答性を高める本実施形態のL−Rブレーキ60の構成は、変速ショックの抑制に有効である。
(4)本実施形態の特徴及び作用
以上のように、本実施形態では、内側ピストン(押圧用ピストン)65と外側ピストン(クリアランス調整用ピストン)66とを備えた2段ピストン構造・2段ストローク構造のL−Rブレーキ60において、次のような種々の特徴及び作用がある。
(i)変速機ケース3の凹陥部3aの内周面に開口する内側ピストン用油路63の開口部63aを挟んだ軸方向の両側に、内側ピストン用油圧室61と外側ピストン用油圧室62とを隔離する第1外周シール部材681、及び、内側ピストン用油圧室61と変速機ケース3の内部空間とを隔離する第2外周シール部材683が位置し、これらのうち、第1外周シール部材681は第1ピストン部材671に装着され、第2外周シール部材683は第2ピストン部材672に装着されている。
変速機ケース3における上記凹陥部3aの反エンジン側の端部は開口している。L−Rブレーキ60を変速機ケース3に組み付けるときは、まず、第1外周シール部材681が装着された第1ピストン部材671を反エンジン側からエンジン側に向かって凹陥部3aに挿入し、第1ピストン部材671を所定位置に組み付ける。凹陥部3aの内周面に設けた凹溝610は、第1ピストン部材671の挿入途中で、リップシールからなる第1外周シール部材681の拘束を一旦解放する機能と、第1外周シール部材681が内側ピストン用油路63の開口部63aを通過することを回避する機能とを果たし、凹溝610のテーパ611は、拘束が解放された第1外周シール部材681を凹陥部3aの内周面へ誘い込む機能を果たす。これにより、第1外周シール部材681が上記開口部63aを通過する際の、ねじれ、変形及び損傷等が抑制されるのみならず、第1外周シール部材681が上記凹溝610を通過する際の、ねじれ、変形及び破損等も抑制される。第1ピストン部材671の外周部には第1外周シール部材681のみが装着されているため、第1ピストン部材671を挿入している途中、及び、第1ピストン部材671を組み付けた後において、第1外周シール部材681の状態を、反エンジン側から軸方向に視認することが可能である。これにより、第1ピストン部材671の組み付けを正確かつ確実に行うことが可能となる。
第1ピストン部材671を変速機ケース3に組み付けた後に、C型スナップリングからなるストッパ部材160を凹溝610内の所定位置に組み付ける。また、係止部材162を内側ピストン用油路63内に挿入する。
ストッパ部材160の組み付けが完了すれば、第2ピストン部材672を反エンジン側からエンジン側に向かって凹陥部3aに挿入し、第2ピストン部材672を所定位置に組み付ける。第2ピストン部材672の外周部には第2外周シール部材683のみが装着されているため、第2ピストン部材672を挿入している途中、及び、第2ピストン部材672を組み付けた後において、第2外周シール部材683の状態を、反エンジン側から軸方向に視認することが可能である。これにより、第2ピストン部材672の組み付けも正確かつ確実に行うことが可能となる。
以上により、外側ピストン66を第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672の2つのピストン部材に分割した上で、各ピストン部材671,672に1つづつシール部材681,683を装着することにより、凹陥部3aの内周面に対して軸方向に並んだ状態で当接する2つのシール部材681,683を含む構成のL−Rブレーキ60の組み付け性を向上させることができる。
また、第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672の2つのピストン部材に分割した外側ピストン66において、軸方向の中間位置に、内側ピストン用油圧室61の連通部612を設けており、その連通部縁部674をストッパ部材160に当接させる受け部として利用している。つまり、内側ピストン用油圧室61への油圧の給排に必要な構成を利用して、外側ピストン66の軸方向の中間位置に、第1ピストン部材671のストローク量を規制する構成を設けているため、L−Rブレーキ60の軸方向の長さを短くすることが可能となる。
また、ストッパ部材160は、上述の通り、第1ピストン部材671の組み付けに利用される凹溝610内に取り付けており、このことも、L−Rブレーキ60の軸方向の長さを短くする上で有利となる。さらに、内側ピストン用油路63の開口部63aを凹溝610に対して軸方向に重なる位置に設けており、これによっても、L−Rブレーキ60の軸方向の長さがさらに短くなる。
上述したように、凹溝610内に固設されるストッパ部材160は、その内周端部が第1ピストン部材671の連通部縁部674と、第2ピストン部材672の外周部とによって構成される内側ピストン用連通部612内に位置する。第1ピストン部材671と第2ピストン部材672とを別体にすることによって、これらの第1ピストン部材671、ストッパ部材160、及び第2ピストン部材672を、順次、この順で、変速機ケース3に組み付けることが可能となる。その結果、第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672をストッパ部材160を間に挟んで軸方向に並ぶように配置することが容易にできる。
(ii)外側ピストン66を第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672の2つの部材に分割すると、第2ピストン部材672の挿入後に第2ピストン部材672と第1ピストン部材671とが分離しないように、つまり第2ピストン部材672と第1ピストン部材671とが外側ピストン66として一体に動くように対策する必要が生じる。第2ピストン部材672と第1ピストン部材671とが分離すると、例えば、第2ピストン部材672が凹陥部3aから抜け出て、第2外周シール部材683が外れ、内側ピストン用油圧室61の油圧が変速機ケース3の内部空間に漏れるという不具合が起きる。
まず、問題の所在を説明する。図8に示すように、外側ピストン66を第1ピストン部材671及び第2ピストン部材672の2つの部材に分割をした構成において、内側ピストン用油圧室61と変速機ケース3の内部空間とを隔離するシール部材のうち、第2ピストン部材672の外周部に装着されて凹陥部3aの内周面に当接する第2外周シール部材683と、第3ピストン部材673の外周部に装着されて第2ピストン部材672の外周部の内周面に当接する第3外周シール部材685とは、径方向の位置が相違している。具体的に、第2外周シール部材683の径は第3外周シール部材685の径よりも大きい。
そのため、第2ピストン部材672は、L−Rブレーキ60の締結時に、内側ピストン用油圧室61に油圧PAを供給したときに((3)の(iii)参照)、この2つのシール部材683,685の径方向の位置の差に相当する受圧面積に対応する力Fouterを受ける。この受圧面積に対応する力Fouterは、図8に実線の矢印で示すように、反エンジン側に向かう力である。したがって、第2ピストン部材672は、エンジン側に向かうリターンスプリング164の付勢力Fspg(図8の白抜き矢印参照)と、反エンジン側に向かう受圧面積に対応する力Fouterとを受ける。内側ピストン用油圧室61内に供給される油圧PAが高くなるほど、受圧面積に対応する力Fouterが大きくなるため、(Fouter>Fspg)となって、第2ピストン部材672がリターンスプリング164の付勢力Fspgに抗して反エンジン側に移動し、その結果、第1ピストン部材671から離れる可能性がある。
本実施形態では、外側ピストン66に内嵌している内側ピストン65(第3ピストン部材673)は、外周端部が第3外周シール部材685を介して第2ピストン部材672に当接していると共に、内周端部が第3内周シール部材686を介して第1ピストン部材671に当接しているので、第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から離れて第2ピストン部材672と第1ピストン部材671との相対位置が変化すると、第3ピストン部材673の姿勢が乱れて、第3ピストン部材673による摩擦板69a,69cの押圧動作に支障を来すことになる。さらには、上述したように、第2ピストン部材672が凹陥部3aから抜け出て、内側ピストン用油圧室61の油圧PAが変速機ケース3の内部空間に漏れるという不具合も生じ得る。
そこで、本実施形態では、第2ピストン部材672の当接端部676を径方向に延長して、当接端部676の面積(当接面積あるいは受圧面積)を拡大し、これにより、図8に実線の矢印で示すように、エンジン側に向かう力であり、油圧PAと当接端部676の面積とに対応する力であるFinnerの増大を図っている。すなわち、内側ピストン用油圧室61内の油圧PAが最大に高くなっても、常に、(Fouter<Fspg+Finner)の関係が維持されるように構成している。
しかし、内側ピストン用油圧室61に油圧PAを供給する前に、外側ピストン用油圧室62に油圧(ライン圧)を供給したときに((3)の(ii)参照)、第1ピストン部材671がその外周端部(連通部縁部674)でストッパ部材160に当接するため、第1ピストン部材671にその内周部分だけがライン圧によって反エンジン側に変位する態様の撓みが発生し、そのため、第1ピストン部材671が変形を起こして、第1ピストン部材671の側壁675と第2ピストン部材の当接端部676との間に隙間が空くという現象が生じる。すると、内側ピストン用油圧室61に油圧PAを供給したときに、上記隙間に油圧PAが回り込んで、図8に白抜き矢印で示すように、反エンジン側に向かう力であり、油圧PAと当接端部676の面積とに対応する力F2が発生する。この力F2は上記Finnerをキャンセルするため、結果として、内側ピストン用油圧室61内の油圧PAが高くなったときに、(Fouter+F2>Fspg+Finner)となって、第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から離れてしまうという問題が発生する。
この問題に対処するために、例えば、第1ピストン部材671の厚みを大きくして剛性を高めることが考えられるが、L−Rブレーキ60の軸方向の長さや重量が大きくなり、好ましくない。また、第2ピストン部材672を第1ピストン部材671に結合することが考えられるが、第1ピストン部材671の変形が第2ピストン部材672に伝搬し、第2外周シール部材683のシール性の低下が懸念される。
そこで、本実施形態では、外側ピストン用油圧室62内にコイルバネ684を圧縮状態で組み付け、このコイルバネ684の弾性復元力によって第1ピストン部材671を多板ブレーキ側へ付勢して、第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から離れてしまうことを防止している。これにより、たとえ第1ピストン部材671が変形を起こしても、第1ピストン部材671の側壁675と第2ピストン部材の当接端部676との間に隙間ができることが抑制され、側壁675と当接端部676との間を作動油が通過することが遮断される。そのため、たとえ第1ピストン部材671が変形を起こしても、上記Finnerをキャンセルする力F2の発生が回避されて、常に、安定して、(Fouter<Fspg+Finner)の関係が維持されることになる。
より詳しくは、本実施形態では、反エンジン側に向かうコイルバネ684の付勢力F1(図4参照)の分だけ、エンジン側に向かうリターンスプリング164の付勢力を増大している。すなわち、反エンジン側に向かうコイルバネ684の付勢力F1の分だけ、エンジン側に向かう力の合計(Fspg+Finner)が減少するから、それを補うために、リターンスプリング164の付勢力を増大しているのである。例えば、内側ピストン用油圧室61内の油圧PAが最大に高くなっても、常に、(Fouter<Fspg+Finner)の関係が維持されるときのリターンスプリング164の付勢力Fspgの値がKであるとすると、リターンスプリング164の付勢力を(K+F1)に設定しているのである。これにより、(Fouter+F1<Fspg+F1+Finner)となって、常に、安定して、上記力F2の発生が回避されることになる。
言い換えると、本実施形態は、リターンスプリング164の付勢力Fspgを大きく設定することにより、第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から離れることを確実に回避しつつ、その一方で、リターンスプリング164の付勢力Fspgを大きく設定することに起因して生じる不具合、すなわち、上述の(3)の(ii)において、外側ピストン66をリターンスプリング164の付勢力Fspgに抗して反エンジン側にストロークさせるために外側ピストン用油圧室62に供給する油圧(ライン圧)を高くする必要が生じるという不具合を、反エンジン側に向かうコイルバネ684の付勢力F1で解消するものである。ライン圧を高くすることは、オイルポンプの損失増大及び燃費低下を招来する。また、エンジン低回転域ではオイルポンプの吐出圧が低いので、そもそもライン圧を高くすることができない場合もある。そのため、第1ピストン部材671を多板ブレーキ側へ付勢するコイルバネ684を外側ピストン用油圧室62内に圧縮状態で設けて、このコイルバネ684の付勢力F1によってライン圧を高くする必要をなくすことの利益は大きいものである。
すなわち、本実施形態に係る自動変速機1のL−Rブレーキ60は、変速機ケース3の内部に形成された凹陥部3aと、上記凹陥部3aに多板ブレーキ69に近接離反するように軸方向に移動可能に収容された外側ピストン66と、上記外側ピストン66に上記外側ピストン66に対して軸方向に相対移動可能に内装され、上記多板ブレーキ69を押圧する内側ピストン65と、上記凹陥部3a内で外側ピストン66の反多板ブレーキ側に設けられた外側ピストン用油圧室62と、上記外側ピストン66内で内側ピストン65の反多板ブレーキ側に設けられた内側ピストン用油圧室61と、上記凹陥部3aの内周面に開口する内側ピストン用油路63の開口部63aと、上記外側ピストン66の周壁部に設けられ、上記開口部63aと上記内側ピストン用油圧室61とを連通する内側ピストン用連通部612と、上記外側ピストン66の外周面の上記連通部612より反多板ブレーキ側に設けられ、上記凹陥部3aの内周面と摺接して内側ピストン用油圧室61と外側ピストン用油圧室62とを隔離する第1外周シール部材681と、上記外側ピストン66の外周面の上記連通部612より多板ブレーキ側に設けられ、上記凹陥部3aの内周面と摺接して内側ピストン用油圧室61と変速機ケース3の内部の空間とを隔離する第2外周シール部材683とを有する。
L−Rブレーキ60は、さらに、上記外側ピストン66の上記連通部612より反多板ブレーキ側の部分を構成し、上記第1外周シール部材681が装着される第1ピストン部材671と、上記外側ピストン66の上記連通部612より多板ブレーキ側の部分を構成し、上記第2外周シール部材683が装着される第2ピストン部材672とを有する。
L−Rブレーキ60は、さらに、上記第2ピストン部材672の反多板ブレーキ側の部分を構成し、内側ピストン用油圧室61内で反多板ブレーキ側に延び、第1ピストン部材671の側壁675に当接する当接端部676と、上記当接端部676が上記側壁675に当接した状態で上記第2ピストン部材672を反多板ブレーキ側へ押圧することにより上記外側ピストン66を反多板ブレーキ側へ付勢するリターンスプリング164と、上記外側ピストン用油圧室62内に設けられ、第1ピストン部材671を多板ブレーキ側へ付勢するコイルバネ684とを有する。
この構成によれば、多板ブレーキ69に近接離反するように軸方向に移動可能な外側ピストン66と内側ピストン65とを備えた自動変速機1のL−Rブレーキ60において、外側ピストン66が第1ピストン部材671と第2ピストン部材672とに分割されているので、上述したように、第1ピストン部材671の組み付け性及び第2ピストン部材672の組み付け性が向上し、ひいては、外側ピストン66ないしL−Rブレーキ60の変速機ケース3への組み付け性が向上する。また、ストッパ部材160の組み付け性も向上し、第1ピストン部材671、ストッパ部材160、及び第2ピストン部材672を、容易にこの順に軸方向に並べて配置することができる。
その上で、第2ピストン部材672の当接端部676が第1ピストン部材671の側壁675に当接した状態で第2ピストン部材672がリターンスプリング164によって反多板ブレーキ側、つまり第1ピストン部材671に押圧されるので、第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から分離し難くなる。さらに、第1ピストン部材671がコイルバネ684によって多板ブレーキ側、つまり第2ピストン部材672に付勢されるので、より一層、第2ピストン部材672と第1ピストン部材671との分離が抑制される。
以上により、本実施形態によれば、第1ピストン部材671と第2ピストン部材672との組み付け後に2つの部材671,672が分離しないように対策された自動変速機1のL−Rブレーキ60が提供される。
しかも、リターンスプリング164は、L−Rブレーキ60の解放時に、外側ピストン66を反多板ブレーキ側へ付勢するための既存の部品であるから((3)の(v)参照)、L−Rブレーキ60の部品点数の増加が抑制される。また、コイルバネ684は外側ピストン用油圧室62内に設けられているから、L−Rブレーキ60の寸法拡大も抑制される。さらに、第2ピストン部材672は第1ピストン部材671に押圧されているだけであるから、例えば第2ピストン部材672を第1ピストン部材671に結合する場合に比べて、第1ピストン部材671の変形が第2ピストン部材672に伝搬することも抑制される。
本実施形態では、コイルバネ684は、軸方向に延びるように配置されている。第1ピストン部材671の反多板ブレーキ側の面に多板ブレーキ側に窪む凹部(中間膨出部679の凹部)が設けられ、上記コイルバネ684は、上記凹部内に収容されると共に、軸方向に圧縮され、多板ブレーキ側の端部が上記凹部の底面に圧接され、反多板ブレーキ側の端部が上記凹陥部3aの底面に圧接された状態で、外側ピストン用油圧室62内に組み付けられている。
この構成によれば、コイルバネ684を外側ピストン用油圧室62の軸方向の寸法拡大を抑制しつつL−Rブレーキ60に組み付けることができる。例えばコイルバネ684を中間膨出部679の凹部に収容せずに外側ピストン用油圧室62内に設ける場合に比べて、コイルバネ684のレイアウトスペースが軸方向に大きくならない。
なお、仮に第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から離れるようなことが起きても、内側ピストン用油圧室61の油密性を確保するために、第3外周シール部材685は、図8及び図9に示すように、ガード部6851を有している。このガード部6851は、第2ピストン部材672に当接するシール部6852の内周側に隣接して、シール部6852よりもエンジン側に突出するように設けられている。第3外周シール部材685は、第2ピストン部材672における外周部と中間部との段差部分に対して軸方向に相対している。仮に第2ピストン部材672が第1ピストン部材671から離れて反エンジン側へ移動したときには、図9に示すように、第2ピストン部材672の段差部分が上記ガード部6851に当接する。これにより、第2ピストン部材672がそれ以上反エンジン側に移動することが阻止される。そのため、第2ピストン部材672が第3外周シール部材685のシール部6852に当接することが抑制され、シール部6852による油密性を確保しつつ、シール部6852の破損等も防止される。
(5)変形例
上記実施形態では、比較的小径の複数のコイルバネ684を中間膨出部679の凹部内に収容したが、これに代えて、中間膨出部679と略同径の単一のコイルバネを第1ピストン部材671と同軸に配置して中間膨出部679の凹部内に収容してもよい。
また、上記実施形態では、内側ピストン65及び内側ピストン用油圧室61を押圧用ピストン及び押圧用油圧室とし、外側ピストン66及び外側ピストン用油圧室62をクリアランス調整用ピストン及びクリアランス調整用油圧室としたが、これとは逆に、内側ピストン65及び内側ピストン用油圧室61をクリアランス調整用ピストン及びクリアランス調整用油圧室とし、外側ピストン66及び外側ピストン用油圧室62を押圧用ピストン及び押圧用油圧室とすることも可能である。
1 自動変速機
3 変速機ケース
3a 凹陥部
60 L−Rブレーキ(ブレーキ装置)
61 内側ピストン用油圧室
62 外側ピストン用油圧室
63 内側ピストン用油路
63a 開口部
65 内側ピストン(押圧用ピストン)
66 外側ピストン(クリアランス調整用ピストン)
69 多板ブレーキ
160 ストッパ部材(C型スナップリング)
161 端部
162 係止部材
164 リターンスプリング
610 凹溝610
612 内側ピストン用連通部
671 第1ピストン部材
672 第2ピストン部材
675 側壁(被当接部)
676 当接端部
679 中間膨出部(凹部)
681 第1外周シール部材(第1シール部材)
683 第2外周シール部材(第2シール部材)
684 コイルバネ(弾性部材)
687 リテーニングプレート
688 コイルバネユニット

Claims (5)

  1. 変速機ケースの内部に形成された凹陥部と、
    上記凹陥部に多板ブレーキに近接離反するように軸方向に移動可能に収容された外側ピストンと、
    上記外側ピストンに上記外側ピストンに対して軸方向に相対移動可能に内装され、上記多板ブレーキを押圧する内側ピストンと、
    上記凹陥部内で外側ピストンの反多板ブレーキ側に設けられた外側ピストン用油圧室と、
    上記外側ピストン内で内側ピストンの反多板ブレーキ側に設けられた内側ピストン用油圧室と、
    上記凹陥部の内周面に開口する内側ピストン用油路の開口部と、
    上記外側ピストンの周壁部に設けられ、上記開口部と上記内側ピストン用油圧室とを連通する内側ピストン用連通部と、
    上記外側ピストンの外周面の上記連通部より反多板ブレーキ側に設けられ、上記凹陥部の内周面と摺接して内側ピストン用油圧室と外側ピストン用油圧室とを隔離する第1シール部材と、
    上記外側ピストンの外周面の上記連通部より多板ブレーキ側に設けられ、上記凹陥部の内周面と摺接して内側ピストン用油圧室と変速機ケースの内部の空間とを隔離する第2シール部材とを有する変速機のブレーキ装置であって、
    上記外側ピストンの上記連通部より反多板ブレーキ側の部分を構成し、上記第1シール部材が装着される第1ピストン部材と、
    上記外側ピストンの上記連通部より多板ブレーキ側の部分を構成し、上記第2シール部材が装着される第2ピストン部材と、
    上記第2ピストン部材の反多板ブレーキ側の部分を構成し、内側ピストン用油圧室内で反多板ブレーキ側に延び、第1ピストン部材の所定の被当接部に当接する当接端部と、
    上記当接端部が上記被当接部に当接した状態で上記第2ピストン部材を反多板ブレーキ側へ押圧することにより上記外側ピストンを反多板ブレーキ側へ付勢するリターンスプリングと、
    上記外側ピストン用油圧室内に設けられ、第1ピストン部材を多板ブレーキ側へ付勢する弾性部材とを有することを特徴とする変速機のブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載の変速機のブレーキ装置において、
    上記弾性部材は、軸方向に延びるように配置されたコイルバネであり、
    第1ピストン部材の反多板ブレーキ側の面に多板ブレーキ側に窪む凹部が設けられ、
    上記コイルバネは、上記凹部内に収容されると共に、軸方向に圧縮され、多板ブレーキ側の端部が上記凹部の底面に圧接され、反多板ブレーキ側の端部が上記凹陥部の底面に圧接された状態で、外側ピストン用油圧室内に組み付けられていることを特徴とする変速機のブレーキ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の変速機のブレーキ装置において、
    上記凹陥部の内周面に設けられ、外側ピストンが多板ブレーキ側に移動したときに、第1ピストン部材の上記連通部の縁部が当接するストッパ部材をさらに有することを特徴とする変速機のブレーキ装置。
  4. 請求項3に記載の変速機のブレーキ装置において、
    上記凹陥部の内周面に設けられ、径方向外側に窪むと共に、周方向に延びる凹溝をさらに有し、
    上記ストッパ部材は、上記凹溝内に固設され、
    上記内側ピストン用油路は、上記凹溝に対して軸方向に重なる位置に設けられ、上記凹溝に連通していることを特徴とする変速機のブレーキ装置。
  5. 請求項4に記載の変速機のブレーキ装置において、
    上記ストッパ部材は、切れ目を有し、上記凹溝に嵌合されたC型スナップリングであり、
    上記内側ピストン用油路と上記凹溝との連通部分に設けられ、上記C型スナップリングの切れ目の端部に当接することにより、上記切れ目が上記連通部分に位置することを維持する係止部材をさらに有することを特徴とする変速機のブレーキ装置。
JP2014067037A 2014-03-27 2014-03-27 変速機のブレーキ装置 Expired - Fee Related JP6119652B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014067037A JP6119652B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 変速機のブレーキ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014067037A JP6119652B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 変速機のブレーキ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015190526A JP2015190526A (ja) 2015-11-02
JP6119652B2 true JP6119652B2 (ja) 2017-04-26

Family

ID=54425189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014067037A Expired - Fee Related JP6119652B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 変速機のブレーキ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6119652B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101800806B1 (ko) 2016-05-26 2017-11-27 주식회사 인팩 다판 클러치의 피스톤 장치
KR102487176B1 (ko) 2017-12-11 2023-01-10 현대자동차 주식회사 자동변속기용 동력전달장치
KR102487179B1 (ko) 2017-12-11 2023-01-10 현대자동차 주식회사 자동변속기용 동력전달장치
KR102417351B1 (ko) 2017-12-11 2022-07-05 현대자동차 주식회사 자동변속기용 동력전달장치
KR102589912B1 (ko) 2018-07-16 2023-10-13 현대자동차 주식회사 자동변속기용 동력전달장치
KR102586327B1 (ko) 2018-10-10 2023-10-06 현대자동차 주식회사 자동변속기용 동력전달장치
JP7331458B2 (ja) 2019-05-22 2023-08-23 マツダ株式会社 自動変速機

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3540481B2 (ja) * 1996-01-12 2004-07-07 ジヤトコ株式会社 自動変速機の油圧係合装置
JP3894439B2 (ja) * 2003-02-28 2007-03-22 株式会社デンソー 自動変速機用油圧制御装置
JP2005265063A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Jatco Ltd 自動変速機の油圧制御装置
JP2009185928A (ja) * 2008-02-07 2009-08-20 Toyota Motor Corp 摩擦係合装置
JP6106946B2 (ja) * 2012-04-23 2017-04-05 マツダ株式会社 自動変速機の制御方法及び制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015190526A (ja) 2015-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6119652B2 (ja) 変速機のブレーキ装置
JP6489039B2 (ja) 自動変速機
WO2014061234A1 (ja) 変速機のブレーキ装置及びその制御システム
US7731623B2 (en) Automatic transmission
JP6197743B2 (ja) 変速機のブレーキ装置
JP6003516B2 (ja) 自動変速機
US20140262666A1 (en) Lock-up device for torque converter
JP6315006B2 (ja) 摩擦締結要素及び自動変速機
US20120073931A1 (en) Clutch apparatus for automatic transmission
JP4924474B2 (ja) 自動変速機
JP5050039B2 (ja) 油圧クラッチ装置
JP5610093B2 (ja) 自動変速機の潤滑装置
EP3540256A1 (en) Double clutch actuator and double clutch including same
JP6119651B2 (ja) 自動変速機のブレーキ装置
JP6119485B2 (ja) 変速機のブレーキ装置
JP6323082B2 (ja) 自動変速機
JP4599155B2 (ja) 複式クラッチ装置
JP2009103229A (ja) 自動変速機
JP6119484B2 (ja) 変速機のブレーキ装置
JP5486976B2 (ja) 油圧クラッチ装置
JP6201526B2 (ja) 変速機のブレーキ装置
JP4773084B2 (ja) 複式クラッチ装置
US11852226B2 (en) Oil passage structure
JP4886720B2 (ja) 密封装置
JP2019143709A (ja) 自動変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170313

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6119652

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees