以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1に示すように、この第1実施形態のロードポート装置1は、半導体製造のための種々の処理を行うための処理装置Dの壁面に接続されつつ床面F上に設置されるものである。なお、図1は、後に示す図2の幅方向中心を通るA−A断面矢視図となっている。一般に、処理装置Dの内部は高いクリーン度に設定されるとともに、内部の圧力Paが外側の圧力Pbよりも高く設定されることで、外部より塵埃が進入することがないようにされている。そして、被処理体である半導体ウェーハをその内部空間Sに収容する収納容器としてのフープ9を、ロードポート装置1を介して処理装置Dに接続し、このロードポート装置1によりフープ9の蓋92を開いて移動させることで開口93を開放し、クリーン度を維持したまま半導体ウェーハを処理装置Dの内部に取り込むことが可能となっている。
ここで、フープ9を処理装置Dに接続する方向、換言すると、フープ9の蓋92に対して略直交する方向を第1方向Xと設定する。本実施形態においてこの第1方向Xは水平方向に設定している。そして、第1方向Xとは異なる鉛直方向を第2方向Zとして設定している。さらに、第1方向X及び第2方向Zに直交する方向を第3方向Yとして設定する。なお、第3方向Yはロードポート装置1における幅方向となっている。以下、第1方向X、第2方向Z、第3方向Yは、図中で示す座標に従って単にX方向、Z方向、Y方向と称する。
なお、この図1は、フープ9がロードポート装置1を介して処理装置Dに接続され、さらに、フープ9の蓋92が閉止された閉止状態を示すものとなっている。
このロードポート装置1は、大きくは装置本体2とフープ9の蓋92を保持するための蓋保持手段3とから構成されており、装置本体2に対して蓋保持手段3の姿勢及び位置を変更できるようになっている。装置本体2は、上部壁22、左右の側部壁25、底部壁24及び背面側の立壁21によって、概ね箱形に形成されている。立壁21は、上部壁22を越えてさらに上方に延在しており、処理装置Dの壁面に接続され一体化されている。上部壁22の上には載置台27が設けられており、この上にフープ9を載置することで、ロードポート装置1の本体2によってフープ9を支持させることが可能となっている。
立壁21には、図2に示すように略矩形状の開口26が形成されており、この開口26を、蓋保持手段3の一部を構成するドア3によって塞ぐことができるようになっている。ドア3は、ブラケット32を介して2本のアーム33,33に固定されており、アーム33,33の動作とともに姿勢及び位置を変更することができるようになっている。これらのドア3、アーム33,33及びブラケット32により、前述の蓋保持手段3は構成されている。アーム33,33は板状に形成されており、Y方向に離間して立壁33に設けられた、上下方向すなわちZ方向に延びる互いに平行な2つのスリット21a,21aを通じて、図1に示すように、装置本体2の内部より処理装置D側に向けて張り出すように配置されている。そして、処理装置D側に張り出した部位より上方に向けて延在された位置において上述したようにドア3と接続されている。
アーム33の上方に配置されるドア31は、矩形の板状に形成されたドア本体31aと、このドア本体31aのフープ9側に設けられ、蓋92を保持するための保持部31bと、処理装置D側に設けられたカバー31cを備えるものである。カバー31c内には、保持部31bを動作させるための図示しないアクチュエータや配管等が収容されている。
蓋保持手段3を構成する各アーム33には、Z方向に互いに離間する2箇所に第1位置規制部と第2位置規制部を設定し、これらの位置規制部をY方向に軸心が設定される回動自在な上側ローラ34、下側ローラ35としてそれぞれ構成している。このローラ34,35同士のZ方向の間隔は、開口93のZ方向の長さよりも僅かに長いものと設定している。さらに、蓋保持手段3が直立する状態において上側に位置する上側ローラ34が、下側に位置する下側ローラ35よりもX方向にローラ34,35の直径とほぼ同じ距離ずらして配置している。ローラ34,35は同一の構成としており、図4に示すように、シャフト34aの外周に転動体34cを介して外輪34bを配した、いわゆるカムフォロアとして構成されたものを用いている。このシャフト34aを片持ち状に取り付けることで、アーム33に回転自在なローラ34,35を容易に取り付けることが可能となっている。
図3は、装置本体2の内部が見えるように外観を覆うカバーの一部を破断して示した正面図である。なお、本図では、後述する第1の帯状体接続部52及びガイドローラ54(図1参照)を省略して図示してある。
この図3に示すように、幅方向に離間した位置に設けられている2つのアーム33,33は、後述するブラケット65を介して互いに接続されることで、一体的に動作することができるようになっている。そして、各アーム33,33の幅方向外側の側面に上述した各ローラ34〜35が配置されるようになっている。双方のアーム33,33に設けられるローラ34〜35は互いに対応する位置とされており、下側に位置する下側ローラ35,35同士、上側に位置する上側ローラ34,34同士は、ほぼ同一の軸心になるように配置されている。
さらに、ローラ34,35を案内することで、蓋保持手段3の位置及び姿勢を規制しつつ案内する案内手段としての溝状レール4,4が設けられている。溝状レール4,4はそれぞれ各アーム33,33に設けられたローラ34,35と対向するように配されつつ、ブラケット45,45を介して装置本体2の内部で固定されている。そして、幅方向内側、すなわちアーム33に向けて開放された溝の内部に、同一のアーム33に上下に離間して設けられた2つのローラ34,35をそれぞれ収容するようになっている。図1に示すように、溝状レール4には逆L字状の溝が形成されており、この溝の内部でローラ34,35の位置規制を行いつつ、溝に沿って移動可能に案内することが可能となっている。
より具体的には、溝状レール4は、図4に示すように溝ブロック41と、樋状部材43とから構成されている。樋状部材43は板金を断面略コ字状に折り曲げて形成したものであり、上下を開放されたZ方向に延びる溝44を有している。この溝幅は、上述したローラ34,35の直径よりも僅かに大きく設定している。そして、樋状部材43の上面43aには、溝ブロック41が接続されている。溝ブロック41は、側面視において、すなわちY方向より見た場合において長孔状の溝42が形成されている。この溝42の溝幅も、ローラ34,35の直径よりも僅かに大きく設定している。さらに、溝42の内周壁における樋状部材43の溝44に対応する部分には、開口42aが形成されている。そのため、樋状部材43における溝44と溝ブロック41における溝42とは、連続する一つの逆L字状の溝を構成することになる。
この溝42,44の内部に案内されながらローラ34,35が移動する場合、まず、上側ローラ34は溝ブロック41における溝42に沿ってX方向に移動することができる。従って、係るX方向における上側ローラ34の案内に利用される溝状レール4の一部を第1案内部G1として考えることができる。さらに上側ローラ34及び下側ローラ35は、溝ブロック41における開口42aの上部より樋状部材43の下端までの間では、溝ブロック41における溝42の一部と、樋状部材43における溝44に沿ってZ方向に移動することができる。従って、係るZ方向におけるローラ34,35の案内に利用される溝状レール4の一部を第2案内部G2として考えることができる。
図1に示すとおり、アーム33のZ方向に離間する位置に設けたローラ34,35のうち下側ローラ35は、蓋保持手段3の動作範囲において第2案内部G2によってのみ案内されることで、Z方向にのみ移動可能となっている。他方、上側ローラ34は、第1案内部G1と第2案内部G2の双方の間を移動可能とされており、第1案内部G1によって案内される場合にはX方向に移動可能で、第2案内部G2によって案内される場合にはZ方向に移動可能となっている。
こうすることで、上下のローラ34,35が双方とも第2案内部G2によって案内される場合には、蓋保持手段3が同一の姿勢を保ったままZ方向に沿って移動可能となる。さらに、上側ローラ34が第1案内部G1によって案内されつつ下側ローラ35が第2案内部G2によって案内される場合には、蓋保持手段3がほぼ同じ高さ位置を維持したまま、下側ローラ35を中心としながら蓋保持手段3の上端を外周側として回転運動を行い、姿勢を変化させることが可能となっている。
なお、こうしたローラ34,35と溝状レール4は、図3に示したとおり、各アーム33,33の外側にそれぞれ構成されており、協働して蓋保持手段3の動作を行わせることができるようになっている。すなわち、各アーム33,33に設けられた同一の軸心に位置する上側ローラ34,34同士と、下側ローラ35,35同士とは、機能的に見た場合、それぞれが一個の位置決め規制部として働き、これ対応する溝状レール4,4も機能上は一個の案内手段として働くものとなっている。従って、本願においては、位置決め規制部や案内手段をそれぞれ複数設ける場合であっても、それらが幅方向にのみ離間させた対応位置に配され、同一の機能を有するものである限り、一個の位置決め規制部や案内手段として扱うこととする。
上記のような、蓋保持手段3の移動及び回転を行わせるために、このロードポート装置1は駆動手段5を備えている。
駆動手段5は、図1に示すように、蓋保持手段3に設けられた駆動プーリ61と、この駆動プーリ61に巻回すように張設した帯状体としての歯付ベルト51を備えるものである。駆動プーリ61は、図3に示すように、蓋保持手段3を構成するアーム33,33に跨がるように固定されたブラケット65により支持されるものであり、その軸心方向がY方向となるように設定している。また、外周面には、歯付ベルト51の表面に形成された歯(図示せず)と噛み合うための溝が形成されている、さらに、駆動プーリ61には回転手段としてのモータ62が連結されており、図示しない制御手段によってモータ62を回転させることで、駆動プーリ61を回転させるための駆動力を与えることが可能となっている。また、駆動プーリ61には、モータ62とは反対側の位置で電磁ブレーキ63に接続されている。そして、図示しない制御手段を通じて電磁ブレーキ63に電力を供給することで、ブレーキを解除して駆動プーリ61を回転できる状態にするとともに、電力の供給を停止することでブレーキを作動させて駆動プーリ61を回転できない状態とすることが可能となっている。また、駆動プーリ61の下方にはガイドローラ64が設けられることで、駆動プーリ61に対する歯付ベルト51の巻き付け角度を一定以上に確保することが可能となっている。
歯付ベルト51は両端が開放された帯状に形成され、片面側には長手方向に直交する歯が形成されている。そして、装置本体2の一部をなし、上部壁22より下方に離間して平行に配置された中間壁部23の下面23aに、第1の帯状体接続部としての固定部材52が固定されており、この固定部材52に歯付ベルト51の一端部51aを直接的に接続して固定するようにしている。また、固定部材52の近傍における中間壁部23の下面23aには回転自在とされたガイドローラ54が設けられており、このガイドローラ54を経由して固定部材52より駆動プーリ61に歯付ベルト51が延びることで、駆動プーリ61の位置に係わらず固定部材52近傍での歯付ベルト51の極端な屈曲を防止して、歯付ベルト51の損傷を抑制することが可能となっている。
図1に示す、フープ9の蓋92が閉止状態である場合において、歯付ベルト51は、固定部材52に固定された一端部51aより、ガイドローラ54の上部を通過し駆動プーリ61の上部に向かって延びるように延在し、駆動プーリ61の外周を半周近く巻回され、ガイドローラ64の上部を通過してから下方に向けて延在されている。この際、ガイドローラ54より駆動プーリ61の外周に至る歯付ベルト51の方向が、X方向とほぼ同一となるように設定している。そして、歯付ベルト51の他端部51bには連結部材55が固定されるとともに、この連結部材55が引張ばね56を介して第2の帯状体接続部である固定部材53に間接的に接続されるようにしている。固定部材53は、装置本体2の底部壁24の上面24aに固定されている。引張ばね56は、図3に示すように、歯付ベルト51の幅方向に離間する2箇所に設けられており、一定以上の張力を歯付ベルト51に対して作用させることが可能となっている。
上記のように構成していることで、本実施形態におけるロードポート装置1を用いたフープ9の蓋92の開放動作は、次のように行うことができる。
まず、図1のように、ロードポート装置1の載置台27上にフープ9を載置しつつ所定位置にすることで、フープ9の蓋92の表面と蓋保持手段3を構成するドア31の表面が密着する。さらにドア31に設けられた保持部31bを動作させることで、蓋92をドア31に保持して一体化させることが可能となる。
さらに、電磁ブレーキ63(図3参照)によるブレーキを解除して、モータ62を動作させることで駆動プーリ61に駆動力を伝達する。駆動プーリ61は、図1における、時計回りに回転することで、歯付ベルト51の延びる方向に沿って一端部51aに近接した位置より他端部51b側へと移動しようとする。この際、蓋保持手段3を構成するアーム33に設けられた上側ローラ34は第1案内部G1に位置し、下側ローラ35は第2案内部G2に位置しているため、上述したように蓋保持手段3は下側ローラ35を中心として移動可能となっている。そのため、図5に示すように、駆動プーリ61の動作によって蓋保持手段3は上端がフープ9より離間する方向に回転し、姿勢を変更するようになっている。こうすることで、蓋保持手段3を構成するドア31を立壁21より離間させて、立壁21に形成された開口26を開放すると同時に、フープ9の本体91より蓋92を離間させて開口93を開放することが可能となっている。
このように、上側ローラ34をX方向に移動可能とするとともに、下側ローラ35をZ方向に移動可能とし、さらに、これらによって支持させるフープ9の蓋92が双方のローラ34,35よりも上方になる位置関係に設定していることから、蓋92の開放に際して、蓋92の上部より徐々に開放されるようになっている。フープ9の内部空間Sは密閉状態にあるため、蓋92を開ける瞬間には内部空間Sが広がることで内圧が低下し、開放した部位より内部空間Sに気体が流入する傾向にある。そのため、上記のように蓋92の上部より開放されていくことから、開放に伴う内部空間Sへの気体の流入は専ら上部より行われ、下側に落下したパーティクルがある場合にこれを巻き上げることなく、収容された半導体ウェーハをより清浄に保つことが可能となっている。
フープ9より離間する方向への蓋保持手段3の回転は、上側ローラ34が第1案内部G1より第2案内部G2に連続する位置にまで移動することで終了し、これより後は、上側ローラ34と下側ローラ35はともに第2案内部G2によって案内されることになるため、蓋保持手段3の回転による姿勢変化は生じない。
そのため、図5の状態より、引き続き図中の時計回りに駆動プーリ61を回転させた場合、蓋保持手段3は同一の姿勢を保ったまま第2案内部G2に沿って下方に移動することになる。駆動プーリ61を所定回転数だけ回転させて停止させ、電磁ブレーキ63によりブレーキを作動させることで、図6に示すように、駆動プーリ61を歯付ベルト51の他端部51bに近接した位置として、フープ9の開口93を開放させた開放状態とすることができる。この際、蓋保持手段3および蓋92がフープ9の開口93に重ならない位置まで移動して、処理装置Dの内部に対して開口93が大きく露出した状態となり、内部空間S内の半導体ウェーハの出し入れを容易に行うことが可能となる。
上述のような、図1の閉止状態より、図5の状態を経由した図6の開放状態までは、一個のモータ62を用いて駆動プーリ61を回転させるのみで連続して動作させることが可能となっており、蓋保持手段3は回転による姿勢変化と、姿勢を同一としたままでの移動という異なる方向への動作でありながら、円滑に行うことが可能となっている。
また、蓋92をフープ9の本体91に取り付ける場合には、上記とは逆の手順としながら、駆動プーリ61は逆方向に回転させればよい。こうすることで、駆動プーリ61は歯付ベルト51の他端部51b側より一端部51a側へと移動を行い、これに伴って各ローラ34,35は溝状レール4に案内されつつ移動することで、蓋保持手段3は姿勢を同一としたままでの上方に向けた移動とフープ9側に向けて回転する姿勢変化とを連続して行い、蓋92によるフープ9の開口93の閉止と、ドア31による立壁21の開口26の閉止を行うことができる。
ここで、図7に、駆動プーリ61が回転することによる駆動プーリ61と歯付ベルト51との相対位置の変化を模式的に示す。図中において、駆動プーリ61が反時計回りに回転することにより、駆動プーリ61は二点鎖線で示した下方の位置より歯付ベルト51に沿って上方に移動し、一端部51aから駆動プーリ61に至るまでの部分がほぼX方向に延在する位置となる。
このように駆動プーリ61が移動する過程において、歯付ベルト51の一端部51aを接続する固定部材52と、他端部51bを接続する固定部材53までの間の歯付ベルト51のパスラインが大きく変化して、そのパスライン長Lも大きく変化する。具体的には、駆動プーリ61の上昇に伴って、一旦パスライン長Lは小さくなり、再びパスライン長Lが大きくなる。そのため、こうしたパスライン長Lの変化を吸収するための機構を備えていなければ、駆動プーリ61の移動に伴って歯付ベルト51が大きく弛んだり、張力が過大になることで、適切に駆動プーリ61を動作させることが不能となる。
ぞのため、本実施形態においては、歯付ベルト51の他端部51bと固定部材53との間に、長さ調節部としての引張ばね56が設けられており、こうすることで駆動プーリ61の移動に伴う歯付ベルト51のパスライン長Lの変化を吸収しながら、ほぼ一定の張力を維持し、適切に駆動プーリを動作させることが可能となっている。
また、駆動プーリ61を上昇させるための駆動力T1を与える方向が、そのまま蓋保持手段3を閉止状態にするためにモーメントm1を作用させる向きとなっていることから、駆動プーリ61を回転させるだけで、蓋保持手段3の上方向への移動および閉止のための回転の双方を連続して行わせることが可能となっている。また、駆動プーリ61が上部に達する位置において、歯付ベルト51の一端部51aから駆動プーリ61に至るまでの部分がほぼX方向に延在する位置となるようにしていることから、駆動プーリ61により与えられるトルクT1により生じる力が、そのままX方向に向けて蓋保持手段3を引き込む力として作用することになる。そのため、蓋92を閉止させる際には、蓋92と本体91との間の密着力をより高め、より適切に開口93を閉止することが可能となっている。
以上のように、本実施形態におけるロードポート装置1は、被処理体である半導体ウェーハを収容可能な収納容器としてのフープ9を装置本体2上に支持し、フープ9の蓋92を移動させることでフープ9の開口93を開放又は閉止するものにおいて、蓋92を保持する蓋保持手段3と、装置本体2に設けられ、蓋保持手段3の位置及び姿勢を規制しつつ案内する案内手段である溝状レール4と、蓋保持手段3に回転可能に設けられた駆動プーリ61と、駆動プーリ61に一部を巻回しながら屈曲させつつ装置本体2の内部で張設された帯状体としての歯付ベルト51と、を備え、駆動プーリ61を回転させることにより、蓋保持手段3が歯付ベルト51との相対位置を変化させつつ溝状レール4に沿って移動するように構成したものである。
このように構成しているため、駆動手段5を、装置本体2の内部で張設された帯状体としての歯付ベルト51を駆動プーリ61に巻回す構造としながら、この駆動プーリ61を回転させることで蓋保持手段3と歯付ベルト51との相対位置を変化させることで、案内手段としての溝状レール4により規制を行いつつ蓋保持手段3の位置や姿勢を変更させることができる。そのため、一つの駆動手段5を用いながら、収納容器としてのフープ9の開口93の開放及び閉止に係る動作を円滑に行うことができ、部材間での摺動や衝突、あるいは振動を原因とするパーティクルの発生を抑制することができる。さらには、蓋保持手段3の位置や姿勢を規制するための溝状レール4を駆動手段5とは別に有していることから、駆動手段5は簡単な構造で実現できる上に高い精度を要することがないため、組み立て工数や製造コストの低減を図ることも可能となっている。
さらに、装置本体2内において離間する2箇所に設定された帯状体接続部としての固定部材52,53に歯付ベルト51の一端部51a及び他端部51bがそれぞれ接続されており、駆動プーリ61が歯付ベルト51の一端部51aに近接する位置に移動することで蓋保持手段3がフープ9の蓋92を閉止する位置となり、駆動プーリ61が歯付ベルト51の他端部51bに近接する位置に移動することで蓋保持手段3が蓋92をフープ9の開口93を開放する位置となるように、固定部材52,53の位置が設定されているため、歯付ベルト51の一端部51a側と他端部51b側の間で駆動プーリ61が動作することで蓋保持手段3の移動を行わせることができ、上記の効果を得るための簡単且つ具体的な構造を実現することが可能となっている。
また、蓋保持手段3がフープ9の蓋92を閉止する位置となる場合において、駆動プーリ61の外周より一端部51aに向かう歯付ベルト51の方向が、フープ9の蓋92を閉止する向きと略同一となるように設定されていることから、蓋92を閉止する際に、駆動プーリ61の回転力が直接的に蓋92を閉止する方向に作用するため、フープ9の本体91と蓋92との間の密着力を高めてより効率的に蓋92の閉止を行うことが可能となっている。
また、歯付ベルト51の一端部51aが固定部材52に直接的に接続されるとともに、他端部51bが固定部材53に長さ調節部56を介して間接的に接続されるように構成しているため、駆動プーリ61の移動に伴う歯付ベルト51のパスラインの変化によって生じるパスライン長Lの変化分を吸収しながら駆動プーリ61を動作させることができるため、簡単な構造としながら蓋保持手段3を適切に動作させることが可能となっている。
さらに、長さ調節部を引張ばね56により構成するようにしているため、より簡単な構造としながら適切に張力を維持しつつパスライン長の変化分を吸収することが可能となっている。
<第2実施形態>
図8は、本発明における第2実施形態のロードポート装置101の断面図を示すものである。
第1実施形態におけるロードポート装置1(図1参照)と共通する部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
この実施形態におけるロードポート装置101は、第1実施形態におけるロードポート装置1(図1参照)よりも歯付ベルト51の長さをやや長くしており、一端部51aを取り付けるための構造はそのままに他端部51bを取り付ける構造を変更している。具体的には、歯付ベルト51の他端部51bに固定した連結部材155を、直接的に第2の帯状体接続部としての固定部材53に接続するようにしている。
そして、歯付ベルト51のパスラインの一部において、歯付ベルト51に当接するテンションプーリ156を設けている。テンションプーリ156は、装置本体2の内部で基端を回動自在に支持されており、圧縮ばねが組み込まれたプッシャー158と、そのプッシャー軸の先端に回転自在に設けられたプーリ157とから構成されるものである。プッシャー158内の圧縮ばねにより生じる押圧力を利用して、プーリ157が歯付ベルト51の表面に当接することで、駆動プーリ61の移動に伴う歯付ベルト51のパスライン長Lの変化を吸収しつつ、張力をほぼ一定に保つことが可能となっている。
このように構成した場合であっても、第1実施形態において説明した蓋保持手段3の動作を行わせることが可能となり、同様の作用効果を得ることができる。
さらには、この実施形態では、帯状体としての歯付ベルト51の一端部51a及び他端部51bがそれぞれ帯状体接続部としての固定部材52,53に直接的に接続されるとともに、歯付ベルト51の一端部51aから他端部51bに至るパスラインの一部において、歯付ベルト51の表面に当接してパスラインを屈曲させつつ張力を付与するテンションプーリ156が設けられているため、第1実施形態において説明した長さ調節部56を設ける構成に代えてテンションプーリ156を用い、両端部51a,51bを歯付ベルト51に接続する構成として歯付ベルト51の弛みを抑制しながら駆動プーリ61の移動を行わせることができ、簡単な構造としながら蓋保持手段3を適切に動作させることが可能となっている。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では帯状体として歯付ベルト51を用いていたが、駆動プーリ61との滑りを抑制できる限り、歯に代えてスリットを形成した金属ベルトや、チェーン等も利用することができる。
また、上述の実施形態では案内手段を溝状レール4として形成し、これに案内される位置規制部をローラ34,35として構成していたが、案内手段によって位置規制部が所定方向に案内される関係とする限り、これらを種々様々な形態に変形して構成することも可能である。
さらには、上述の実施形態では、第1方向を蓋92に略直交する方向として、第2方向を鉛直方向として設定していたが、これらの方向とは異なる方向に設定することもできる。具体的には、蓋92の開閉が可能である限り、第1方向を蓋92と直交する方向よりずらして設定することも可能であり、蓋92の移動だけを考えた場合、第2方向は、蓋92を開口93が露出する方向であり、第1方向とは異なる水平方向等の様々な方向に設定することが可能である。
また、上述の第2実施形態においては、歯付ベルト51のパスラインの1箇所でテンションプーリ156を当接させるものとしていたが、複数のテンションプーリ156を異なる位置で歯付ベルト51に当接させるように構成することもできる。
また、本願発明は、半導体製造以外の用途にも適用することができ、被処理体を半導体ウェーハ以外のものとすることも可能である上に、フープ9以外の収納容器を開閉する機構にも用いることが可能である。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。