以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、手差しトレイ71が設けられている側を奥側(背面)として前後方向8が定義され、複合機10を奥側とは反対側の手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構造]
複合機10(本発明の複合印刷装置の一例)は、直方体に概ね形成されている。図1に示されるように、複合機10は、その上部に、記録用紙などの原稿に記録された画像をイメージセンサ(不図示)によって読み取って画像データを取得するスキャナ部11を備えている。また、複合機10は、その下部に、上記画像データなどに基づいて、給紙トレイ20(図2参照)に収容された記録用紙15(本発明のシートの一例、図2参照)に画像を記録するプリンタ部12を備えている。
[プリンタ部12]
プリンタ部12は、概ね直方体に形成されたプリンタ筐体33(本発明の第1筐体の一例)を有している。プリンタ筐体33の前側には、開口13(図2参照)が形成されている。図2に示されるように、プリンタ部12の内部には、開口13から前後方向8に挿入及び脱抜可能であって内部に記録用紙15が収容される給紙トレイ20と、給紙トレイ20に収容された記録用紙15及び後述する手差しトレイ71(本発明の支持部材の一例)に支持された記録用紙15(本発明の被支持体の一例)を搬送路23に沿って搬送させる搬送ローラ対63(本発明の搬送部の一例)及び排出ローラ対66と、スキャナ部11によって原稿から読み取られた画像データなどに基づいて、搬送路23を搬送される記録用紙15に画像を記録する印刷部24などが配置されている。
図4(B)に示されるように、プリンタ筐体33の上面43には、開口部44が形成されている。これにより、後述するスキャナ筐体34がプリンタ筐体33に対して開いた姿勢である開姿勢(図4参照)のときに、プリンタ筐体33の上側は開放されている。そして、プリンタ筐体33の開口部43内に、上述した給紙トレイ20、搬送ローラ対63、排出ローラ対66、及び印刷部24などが配置されている。
図2に示されるように、画像が記録された記録用紙15は、給紙トレイ20の上側に設けられた排紙トレイ21に排出され、排紙トレイ21に載置される。ここで、排紙トレイ21は、給紙トレイ20の上側に給紙トレイ20と重ねられて設けられており、給紙トレイ20と一体に開口13に対して挿入及び脱抜される。
給紙トレイ20の上方には、給紙ローラ52が配置されている。給紙ローラ52は、給紙用モータ(不図示)から駆動力が伝達されることによって回転する。駆動力が伝達された給紙ローラ52は、給紙トレイ20に収容された記録用紙15を搬送路23へ向けて給送する。
搬送路23は、給紙トレイ20の後端部を基点として、下方から上方に延びつつUターンしてから、前向きに延びて排紙トレイ21に至る通路である。搬送路23は、所定間隔を隔てて互いに対向する第1ガイド部材31及び第2ガイド部材32によって構成される空間である。記録用紙15は、搬送路23を、図2に破線の矢印で示される向きである搬送向き16に搬送される。
搬送路23における印刷部24よりも搬送向き16の上流側には、搬送ローラ61及びピンチローラ62よりなる搬送ローラ対63が設けられている。ピンチローラ62は、ばねなどの弾性部材(不図示)によって搬送ローラ61のローラ面に圧接されている。搬送路23における印刷部24よりも搬送向き16の下流側には、排出ローラ64及び拍車65よりなる排出ローラ対66が設けられている。拍車65は、ばねなどの弾性部材(不図示)によって排出ローラ64のローラ面に圧接されている。
搬送ローラ61及び排出ローラ64は、搬送用モータ(不図示)から駆動力が伝達されることによって回転する。駆動力が伝達された搬送ローラ61は、ピンチローラ62との間に記録用紙15を挟持しつつ搬送向き16へ、つまり印刷部24へ搬送する。駆動力が伝達された排出ローラ64は、拍車65との間に記録用紙15を挟持しつつ搬送向き16へ、つまり排紙トレイ21へ搬送する。
印刷部24は、搬送路23の上側に配置されている。印刷部24は、搬送路23に対向可能な位置に設けられた記録ヘッド37と、記録ヘッド37を搭載したキャリッジ38とを備えている。記録ヘッド37には、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを搬送路23に向けて吐出するための複数のノズル36が形成されている。キャリッジ38は、左右方向9に往復移動可能に構成されている。印刷部24の下方には、プラテン53が配置されている。プラテン53は、記録用紙15を支持する部材である。キャリッジ38が左右方向9へ往復移動されながら、搬送路23に沿って搬送されてプラテン53に支持されている記録用紙15に向かってノズル36からインク滴が吐出される。これにより、記録用紙15に画像が記録される。
なお、本実施形態において、印刷部24が記録用紙15に画像を記録する方式は、インクジェット記録方式であるが、印刷部24が記録用紙15に画像を記録する方式はインクジェット記録方式に限らず、例えば電子写真方式などであってもよい。
[スキャナ部11]
図1に示されるように、スキャナ部11は、概ね直方体に形成されたスキャナ筐体34(本発明の第2筐体の一例)を有している。スキャナ筐体34には、原稿がセットされるプラテンガラス(不図示)や、プラテンガラスにセットされた原稿を読み取るイメージセンサ(不図示)などが配設されている。
スキャナ筐体34は、上下方向7及び前後方向8に拡がっており互いに対向した右板55及び左板56と、前端部において右板55及び左板56と繋がっており上下方向7及び左右方向9に拡がっている前板(不図示)と、後端部において右板55及び左板56と繋がっており上下方向7及び左右方向9に拡がっている後板57とを備えている。右板55、左板56、前板、及び後板57は、それらの上端部において上述したプラテンガラスを支持している。プラテンガラスの下方、つまり右板55、左板56、前板、及び後板57によって区画された空間には、上述したイメージセンサが配置されている。
後板57の上側には、蝶番58を介して天板59が配置されている。これにより、天板59は、図1(B)に示される矢印68の方向に回動することによって、図1(B)に実線で示されるようにプラテンガラスを上方から覆う姿勢と、図1(B)に破線で示されるようにプラテンガラスを開放する姿勢とに姿勢変化可能である。天板59を図1(B)に破線で示される姿勢にした状態で、プラテンガラスに原稿が載置される。このとき、原稿は、画像が記録された側の面を下側にして載置される。この状態で、天板59が図1(B)に実線で示される姿勢にされる。そして、原稿に記録された画像が、イメージセンサによって読み取られる。
スキャナ筐体34は、プリンタ筐体33の上側に設けられており、プリンタ筐体33に回動可能に支持されている。スキャナ筐体34は、図1、図3、及び図4に破線で示される蝶番40(本発明の第1連結部の一例)を介してプリンタ筐体33と連結されている。本実施形態では、図5及び図6に示されるように、スキャナ筐体34の後板57の下端部と、プリンタ筐体33の後面を形成する後壁82の上端部とが、蝶番40によって左右方向9における複数箇所において連結されている。これにより、スキャナ筐体34は、蝶番40の軸部41を中心として図4(B)及び図5(B)に示される矢印69の方向に回動することによって、図1、図3、及び図5に示される閉姿勢及び図4及び図6(B)に示される開姿勢に回動可能である。
スキャナ筐体34が閉姿勢のとき、スキャナ筐体34は、プリンタ筐体33の前端部及び後端部の双方によって支持されている。これにより、スキャナ筐体34が閉姿勢のとき、スキャナ筐体34はプリンタ筐体33の上面43に形成された開口部44(図4(B)参照)を覆っている。一方、スキャナ筐体34が開姿勢のとき、スキャナ筐体34はプリンタ筐体33の後端部によって支持されているが前端部とは離間している。これにより、スキャナ筐体34が開姿勢のとき、スキャナ筐体34はプリンタ筐体33の上面43に形成された開口部44(図4(B)参照)を開放している。つまり、開姿勢のスキャナ筐体34は、開口部44を覆わない。
スキャナ筐体34は、複合機10の使用時(画像データの取得時または記録用紙15への画像の記録時)において閉姿勢に維持される。一方、スキャナ筐体34は、プリンタ筐体33の内部に記録用紙15が詰まったときなどに、当該記録用紙15を取り出すために閉姿勢から開姿勢に回動される。
なお、スキャナ筐体34をプリンタ筐体33に対して回動させるための構成は上述したような構成に限らない。例えば、スキャナ筐体34の後端部に左右方向9に開けられた開口(不図示)が形成されており、プリンタ筐体33の後端部に左右方向9に延びており当該開口に挿通される突起が形成されていることによって、スキャナ筐体34が、当該突起を中心として、プリンタ筐体33に対して閉姿勢及び開姿勢に回動してもよい。この場合、スキャナ筐体34の後端部に左右方向9に開けられた開口と、プリンタ筐体33に設けられており当該開口に挿通される突起とが、本発明の第1連結部の一例である。
[手差しトレイ71]
手差しトレイ71は、概ね平板形状の部材である。図2及び図5(A)に示されるように、手差しトレイ71は、スキャナ筐体34の後端部において回動可能に支持されている。詳細には、手差しトレイ71は、スキャナ筐体34における蝶番40によってプリンタ筐体33と連結された側の側面、つまりスキャナ筐体34の回動基端側の側面である後板57においてスキャナ筐体34に回動可能に支持されている。
以下、手差しトレイ71をスキャナ筐体34に対して回動させるための構成の一例について説明する。本実施形態では、図2及び図5(A)に示されるように、手差しトレイ71に、一対の突起75が形成されている。一対の突起75は、手差しトレイ71の下端部であって左右方向9の両端部から外側に延びている。一方、スキャナ筐体34に、一対の開口75が形成されている。一対の開口74は、スキャナ筐体34の後板57から後方に突出した側板42に形成されている。そして、一対の突起75の各々は、一対の開口74の各々に挿入されている。つまり、手差しトレイ71は、一対の突起75及び一対の開口74を介してスキャナ筐体34の後板57と連結されている。すなわち、一対の突起75及び一対の開口74は、本発明の第2連結部の一例である。
ここで、一対の突起75及び一対の開口74は、左右方向9に延びた1本の直線上に位置している。以上より、スキャナ筐体34は、一対の突起75を中心として、図2、図3(B)、及び図5(A)に示される矢印70の方向に回動することによって、図5(A)に示される起立姿勢及び図5(B)に示される傾倒姿勢に姿勢変化可能である。
手差しトレイ71が起立姿勢のとき、手差しトレイ71は、閉姿勢のスキャナ筐体34の後板57、つまり上下方向7及び左右方向9に拡がっている後板57(閉姿勢のスキャナ筐体34の側面)に沿って起立している。一方、手差しトレイ71が傾倒姿勢のとき、手差しトレイ71は、起立姿勢のときよりも後板57から外側に傾倒している。これにより、傾倒姿勢の手差しトレイ71は、その上側の面に記録用紙15を支持することができる。
なお、図示されていないが、スキャナ筐体34の後板57には、起立姿勢の手差しトレイ71と係合することによって手差しトレイ71を後板57に沿った状態に保持する保持部が設けられている。保持部によって後板57に沿った状態に保持された手差しトレイ71は、複合機10のユーザによって図5(A)に示される矢印89の向きへ一定以上の力が付与された場合に、保持部との係合が解除されて矢印89の向きへ回動する。また、本実施形態では、保持部による保持が解除された手差しトレイ71は、自重によって矢印89の向きへ回動可能である。そこで、スキャナ筐体34の後板57には、手差しトレイ71が自重によって際限なく矢印89の向きへ回動することを防止するためのストッパ(不図示)が設けられている。ストッパは、手差しトレイ71と当接することによって、手差しトレイ71の矢印89の向きへの回動を、スキャナ筐体34の後板57に対する手差しトレイ71の角度がθ1(図5(B)参照)となる位置で止める。
図2に示されるように、記録用紙15は、その先端が搬送ローラ対63による挟持位置に当接した状態で、手差しトレイ71に載置される。これにより、搬送ローラ61が回転すると、手差しトレイ71に載置された記録用紙15は搬送向き16に搬送される。つまり、手差しトレイ71に支持された記録用紙15は、搬送ローラ対63によって搬送される。なお、図2に破線で示されるように、手差しトレイ71に載置された記録用紙15と当接して、当該記録用紙15を搬送ローラ対63へ向けて給送する第2給紙ローラ67が設けられていてもよい。この場合、記録用紙15は、その先端が搬送ローラ対63による挟持位置に当接しない状態で、手差しトレイ71に載置される。
なお、手差しトレイ71をスキャナ筐体34に対して回動させるための構成は上述したような構成に限らない。例えば、上述とは逆に、手差しトレイ71に一対の開口74が形成されており、スキャナ筐体34の後板57から後方に突出した側板42に一対の突起75が形成されていてもよい。また、例えば、手差しトレイ71とスキャナ筐体34とは、蝶番(不図示)によって連結されていてもよい。
また、本実施形態においては、図5に示されるように、蝶番40と突起75とは、前後方向8及び上下方向7において異なる位置に設けられている。つまり、スキャナ筐体34の回動中心と手差しトレイ71の回動中心とは異なる。しかし、スキャナ筐体34の回動中心と手差しトレイ71の回動中心とは同一の軸線であってもよい。換言すると、スキャナ筐体34の回動軸と手差しトレイ71の回動軸とは、共通であってもよい。例えば、一対の突起75の左右方向9に沿った内側に蝶番40が設けられることによって、スキャナ筐体34の回動軸と手差しトレイ71の回動軸とを、共通とすることができる。
[接触部材72]
図5(A)に示されるように、プリンタ筐体33の内部には、接触部材72が配置されている。本実施形態において、接触部材72は、スキャナ筐体34の後端部に配置されている。また、接触部材72は、前後方向8に延設された概ね棒状の部材である。また、接触部材72は、後述する前後方向8に延びたコイルばね81を介してプリンタ筐体33と連結されている。これにより、接触部材72は、前後方向8に沿って移動可能である。詳細には、接触部材72は、図5に示される離間位置及び図6に示される接触位置に移動可能である。ここで、離間位置の接触部材72は、その全てがプリンタ筐体33の内部に位置している。一方、接触位置の接触部材72は、その後側の一部がプリンタ筐体33の後面を形成する後壁82よりも後方に位置している。つまり、接触位置の接触部材72は、その一部がプリンタ筐体33の外部に突出している。なお、接触位置の接触部材72の全てが、プリンタ筐体33の外部に突出してもよい。つまり、接触位置の接触部材72は、少なくとも一部がプリンタ筐体33の外部に突出している。
接触位置の接触部材72の後端部、つまり突出先端部は、手差しトレイ71と当接可能である。一方、離間位置の接触部材72は、手差しトレイ71から離間している。つまり、離間位置の接触部材72は、手差しトレイ71と接触しない。
[連動機構73]
図5(A)に示されるように、プリンタ筐体33の内部には、スキャナ筐体34の閉姿勢から開姿勢への回動に連動して、接触部材72を離間位置から接触位置に移動させる連動機構73が配置されている。連動機構73は、ガイド部材83と、上述したコイルばね81(本発明の第2付勢部材の一例)と、コイルばね84(本発明の第1付勢部材の一例)とを備えている。
ガイド部材83は、接触部材72の前方に配置されている。ガイド部材83は、その上端がスキャナ筐体34に下側から当接可能な位置に配置されている。また、ガイド部材83は、その後面が接触部材72の前端と当接する位置に配置されている。ガイド部材83の後面は、下側である程に後側となるような傾斜方向及び左右方向9に拡がった第1ガイド面87と、第1ガイド面87の下端と連続しており上下方向7及び左右方向9に拡がった第2ガイド面88とで構成されている。
コイルばね81は前後方向8に延設されている。コイルばね81の前端が接触部材72と当接され、コイルばね81の後端がプリンタ筐体33によって覆われているプリンタ部12のフレーム85と当接されている。なお、コイルばね81の後端は、プリンタ筐体33と当接されていてもよい。コイルばね81は、自然長よりも短い状態が維持されるように配置されている。これにより、接触部材72は、コイルばね81の前向きへの付勢力によって、ガイド部材83に圧接されている。つまり、コイルばね81は、接触部材72をガイド部材83側へ付勢している。
コイルばね84は上下方向7に延設されている。コイルばね84の上端がガイド部材83と当接され、コイルばね84の下端がプリンタ筐体33によって覆われているプリンタ部12のフレーム86と当接されている。なお、コイルばね84の下端は、プリンタ筐体33と当接されていてもよい。コイルばね81は、自然長よりも短い状態が維持されるように配置されている。これにより、ガイド部材83は、コイルばね84の上向きへの付勢力によって、スキャナ筐体34に圧接されている。つまり、コイルばね84は、ガイド部材83をスキャナ筐体34側へ付勢している。
[スキャナ筐体34の回動時の各部71、72、73の動作]
以下、手差しトレイ71が傾倒姿勢の状態において、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢へ回動する際の、手差しトレイ71、接触部材72、及び連動機構73の動作について、図5及び図6を参照しながら詳細に説明する。
図5(A)に示される状態は、スキャナ筐体34が閉姿勢であり且つ手差しトレイ71が起立姿勢である状態である。図5(A)に示される状態において、手差しトレイ71が矢印70の一方の向きである矢印89の向きに回動されると、手差しトレイ71は起立姿勢から図5(B)に示される傾倒姿勢に姿勢変化される。つまり、図5(B)に示される状態は、スキャナ筐体34が閉姿勢であり且つ手差しトレイ71が傾倒姿勢の状態である。
スキャナ筐体34が閉姿勢のとき、ガイド部材83は、コイルばね84に上方に付勢されることによって、スキャナ筐体34の下面に圧接している。また、このとき、ガイド部材83の第1ガイド面87の上下方向7における位置は、接触部材72の上下方向7における位置と同位置となる。このときのガイド部材83の位置、つまり図5に示されるガイド部材83の位置が、本発明の第1当接位置である。
ガイド部材83が第1当接位置のとき、接触部材72は、コイルばね81に前方に付勢されることによって、ガイド部材83の第1ガイド面87に圧接している。つまり、ガイド部材83は、スキャナ筐体34が閉姿勢の状態において第1ガイド面87が接触部材72と当接する第1当接位置に位置している。このとき、接触部材72の全体がプリンタ筐体33の内部に位置している。このときの接触部材72の位置、つまり図5に示される接触部材72の位置が、上述した離間位置である。つまり、第1ガイド面87は、接触部材72と当接して離間位置に保持している。
図5(B)に示される状態において、スキャナ筐体34が矢印69の一方の向きである矢印90の向きに回動されると、スキャナ筐体34は閉姿勢から開姿勢へ姿勢変化すべく回動を開始する。これにより、図6(A)に示されるように、スキャナ筐体34の前側部分がプリンタ筐体33から離間する。これにより、スキャナ筐体34は、前側が後側よりも上方に位置するように傾いた状態となる。
スキャナ筐体34が回動されると、手差しトレイ71もスキャナ筐体34と一体に回動する。つまり、スキャナ筐体34及び手差しトレイ71は、スキャナ筐体34の後板57に対する手差しトレイ71の角度θ1を一定に保ちながら回動する。但し、手差しトレイ71がスキャナ筐体34と一体に回動するのは、後述するように手差しトレイ71が接触部材72と当接するまでである。以上より、手差しトレイ71は、スキャナ筐体34と一体に回動することによって、つまりスキャナ筐体34の回動に連動して、図6(A)に示されるように、スキャナ筐体34に対して傾倒姿勢を維持しながら、図5(B)に示される状態よりも更に外側に傾倒した状態となる。
また、スキャナ筐体34が回動することによって蝶番40よりも前側においてプリンタ筐体33から離間すると、図6(A)に示されるように、コイルばね84に上方に付勢されているガイド部材83は、スキャナ筐体34の下面に追随して上方へ移動する。これにより、ガイド部材83の第1ガイド面87は、接触部材72よりも上方に位置するようになる。代わりに、ガイド部材83の第2ガイド面88の上下方向7における位置と、接触部材72の上下方向7における位置とが、同位置となる。このときのガイド部材83の位置、つまり図6(A)に示されるガイド部材83の位置が、本発明の第2当接位置である。
ガイド部材83が第2当接位置のとき、接触部材72は、コイルばね81に前方に付勢されることによって、ガイド部材83の第2ガイド面88に圧接している。ここで、第2ガイド面88は、第1ガイド面87よりも後方に位置する。よって、第1ガイド面87から離間して第2ガイド面88と当接した接触部材72は、離間位置よりも後方へ移動する。これにより、接触部材72の後端部がプリンタ筐体33の外部へ突出する。このときの接触部材72の位置、つまり図6(A)に示される接触部材72の位置が、上述した接触位置である。つまり、第2ガイド面88は、接触部材72と当接して接触位置に保持する。
接触位置の接触部材72は、矢印90の向きへ回動するスキャナ筐体34と一体に回動する手差しトレイ71と当接する。本実施形態において、接触部材72は、図6(A)に示されるように、手差しトレイ71の回動軸(突起75)に対してスキャナ筐体34と反対側と当接、つまり接触する。
ここで、図6(A)の状態におけるスキャナ筐体34の姿勢は、図5に示される閉姿勢よりも開姿勢側であり、且つ図6(B)に示される開姿勢よりも閉姿勢側である。つまり、図6(A)の状態におけるスキャナ筐体34の姿勢は、閉姿勢及び開姿勢の間である。以上より、接触部材72は、スキャナ筐体34が閉姿勢及び開姿勢の間の姿勢であり且つ手差しトレイ71がスキャナ筐体34に対して傾倒姿勢である状態、つまり図6(A)に示された状態において、手差しトレイ71と接触する。換言すると、接触部材72は、手差しトレイ71が傾倒姿勢にある状態でスキャナ筐体34が閉姿勢から上記開姿勢まで回動する過程において、手差しトレイ71と当接する。
上述したように、図5(B)の状態において、接触部材72は離間位置であり、スキャナ筐体34は閉姿勢である。一方、図6(A)の状態において、接触部材72は接触位置であり、スキャナ筐体34は閉姿勢と開姿勢との間の姿勢である。つまり、連動機構73は、スキャナ筐体34の閉姿勢から開姿勢への姿勢変化に連動して、接触部材72を離間位置から接触位置に移動させる。
また、上述したように、図5(B)の状態において、ガイド部材83は第1当接位置であり、スキャナ筐体34は閉姿勢である。一方、図6(A)の状態において、ガイド部材83は第2当接位置であり、スキャナ筐体34は閉姿勢と開姿勢との間の姿勢である。つまり、ガイド部材83は、スキャナ筐体34の閉姿勢から開姿勢への姿勢変化に連動して、コイルばね84の付勢力によって第1当接位置から第2当接位置へ移動する。
図6(A)に示される状態において、スキャナ筐体34が更に矢印90の向きに回動されると、スキャナ筐体34は図6(A)に示される姿勢から図6(B)に示される開姿勢へ姿勢変化する。このとき、手差しトレイ71は、接触部材72と当接されているため、スキャナ筐体34と一体に回動しない。換言すると、スキャナ筐体34の図6(A)に示される姿勢から開姿勢への回動に連動した手差しトレイ71の回動は、接触部材72によって阻止される。つまり、スキャナ筐体34が図6(A)に示される姿勢から開姿勢へ回動しても、手差しトレイ71は図6(A)における位置に留まる。そのため、スキャナ筐体34が開姿勢の状態におけるスキャナ筐体34の後板57に対する手差しトレイ71の角度θ2(図6(B)参照)は、スキャナ筐体34が閉姿勢及び第5姿勢の状態におけるスキャナ筐体34の後板57に対する手差しトレイ71の角度θ1(図5(B)及び図6(A)参照)よりも小さくなる。つまり、スキャナ筐体34が図6(A)に示される姿勢から開姿勢へ回動すると、手差しトレイ71は、相対的にスキャナ筐体34の後板57に近づく向きに回動する。
以上より、接触部材72は、傾倒姿勢にある手差しトレイ71がスキャナ筐体34と一体に図6(A)に示される位置よりも外側に傾倒することを防止する。つまり、接触部材72は、傾倒姿勢にある手差しトレイ71と接触して手差しトレイ71の回動範囲を狭くする。
なお、本実施形態において、スキャナ筐体34が図6(B)に示される開姿勢のとき、ガイド部材83は、スキャナ筐体34の下面から離間している。これは、本実施形態において、スキャナ筐体34が図6(A)に示される姿勢から図6(B)に示される開姿勢へ姿勢変化する過程において、コイルばね84が自然長まで延びたことによってガイド部材83の上向きへの移動が停止したためである。もちろん、スキャナ筐体34が図6(B)に示される開姿勢のときに、ガイド部材83が、スキャナ筐体34の下面と当接していてもよい。
スキャナ筐体34が開姿勢から閉姿勢へ回動する際、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢へ回動する際の動作と逆の動作が実行される。以下に詳述する。図6(B)に示される状態において、スキャナ筐体34が矢印69の他方の向きである矢印92の向きに回動されると、手差しトレイ71は、上述したストッパと当接するまではスキャナ筐体34の回動にかかわらず図6(B)に示される位置に留まる。その後、スキャナ筐体34が図6(A)に示される姿勢まで回動されることによって、手差しトレイ71がストッパと当接すると、手差しトレイ71はスキャナ筐体34と一体に回動を開始する。
図6(A)に示される状態において、スキャナ筐体34が更に矢印92の向きに回動されると、つまりスキャナ筐体34が図6(A)に示される姿勢から閉姿勢へ向けて回動されると、ガイド部材83は、スキャナ筐体34の下面に押されることによってコイルばね84の付勢力に抗って第2当接位置から第1当接位置へ移動する。これにより、第2ガイド面88が接触部材72から離間するとともに第1ガイド面87が接触部材72と当接する。その結果、接触部材72は、コイルばね81の付勢力によって接触位置から離間位置へ移動する。そして、矢印92の向きに回動されたスキャナ筐体34は、その前側部分がプリンタ筐体33と当接してプリンタ筐体33に支持された状態となることによって、閉姿勢となる(図5(B)参照)。図5(B)に示される状態では、手差しトレイ71は傾倒姿勢である。そして、図5(B)に示される状態において、手差しトレイ71は、矢印70の他方の向きである矢印93の向き(図5(A)参照)に回動されることによって、傾倒姿勢から起立姿勢に姿勢変化する(図5(A)参照)。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢へ回動すると、スキャナ筐体34に連結された手差しトレイ71もスキャナ筐体34と一体に回動する。このとき、接触部材72は連動機構73によって離間位置から接触位置へ移動させられる。これにより、接触部材72は、手差しトレイ71と接触して手差しトレイ71の回動範囲を狭くする。その結果、スキャナ筐体34が開姿勢へ回動しても、手差しトレイ71の回動は接触部材72によって制止される。以上より、本実施形態によれば、手差しトレイ71の回動先端が想定よりも下方に位置するような手差しトレイ71の回動は接触部材72によって制止されるため、手差しトレイ71に支持された記録用紙15が手差しトレイ71から落下することを防止することができる。つまり、本実施形態によれば、記録用紙15を支持する手差しトレイ71がプリンタ筐体33に対して回動するスキャナ筐体34に設けられている場合において、スキャナ筐体34の回動によって記録用紙15が手差しトレイ71から落下することを防止できる。
また、本実施形態によれば、接触部材72は、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢側へ回動されたときにのみ、プリンタ筐体33の外部に位置する。つまり、接触部材72は、手差しトレイ71の回動範囲を狭くするという機能を発揮する必要がある場合にのみプリンタ筐体33の外部に位置し、上記必要がない場合にはプリンタ筐体33の内部に引っ込んでいる。これにより、複合機10が占めるスペースを小さくすることができる。また、接触部材72をプリンタ筐体33の内部に引っ込んだ状態とすることによって、複合機10の外観を良くすることができる。また、接触部材72をプリンタ筐体33の内部に引っ込んだ状態とすることによって、接触部材72の破損の可能性を低くすることができる。
また、本実施形態によれば、コイルばね81、84とガイド部材83とを追加するだけの簡易な構成で連動機構73の機能を実現することができる。
また、スキャナ筐体34の回動軸と手差しトレイ71を共通化させた場合には、スキャナ筐体34及び手差しトレイ71を回動させるための機構を省スペース化することができる。
また、本実施形態によれば、上述したように、手差しトレイ71に支持された記録用紙15の落下を防止することができる。つまり、本発明に係る被支持体が記録用紙15であり、本発明に係る支持部材が手差しトレイ71である本実施形態は、本発明の機能を実現するための好適な構成である。
[変形例1]
上述の実施形態では、スキャナ筐体34及び手差しトレイ71の回動軸は、一つの位置に固定されていたが、当該回動軸は、移動してもよい。例えば、図7に示されるように、手差しトレイ71の回動軸94は、手差しトレイ71が起立姿勢(図7(A)参照)から傾倒姿勢(図7(B)参照)へ回動するにしたがって、後方へスライドするように構成されていてもよい。
[変形例2]
上述の実施形態では、連動機構73は、ガイド部材83と、コイルばね81と、コイルばね84とを備えた構成であったが、連動機構73は、上述の実施形態における構成に限らない。例えば、連動機構73は、図7に示されるように第1ギヤ95と、第2ギヤ96と、ラックギヤ97とを備えた構成であってもよい。
第1ギヤ95は、スキャナ筐体34に設けられている。図7において、第1ギヤ95は、スキャナ筐体34の下面から円弧状に突出している。また、第1ギヤ95の歯は、円弧の湾曲内側に形成されている。第1ギヤ95は、スキャナ筐体34と一体に回動する。換言すると、第1ギヤ95は、スキャナ筐体34の回動軸を中心としてスキャナ筐体34と同方向に回転する。
ラックギヤ97は、接触部材72に形成されている。つまり、図7において接触部材72は、上述の実施形態と同様にプリンタ筐体33の内部に前後方向8に移動可能に配置されており、その下面にラックギヤ97が形成されている。変形例2において、ラックギヤ97は、離間位置及び接触位置を結ぶ方向である前後方向8に沿って形成されている。
第2ギヤ96は、プリンタ筐体33に設けられている。第2ギヤ96は、円柱形状であって、左右方向9に延びた軸98を中心に回転する。第2ギヤ96は、第1ギヤ95及びラックギヤ97と噛合している。つまり、第2ギヤ96は、第1ギヤ95及びラックギヤ97を連結している。
連動機構73が図7のように構成されていることにより、連動機構73は、以下のように動作する。つまり、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢へ、つまり図7(A)及び図7(C)に示される矢印90の向きへ回動すると、第1ギヤ95も矢印90の向きへ回動する。第1ギヤ95の回動により、第1ギヤ95と噛合している第2ギヤ96は、図7(A)に示される矢印99の向きへ回転する。第2ギヤ96の矢印99の向きへの回転により、第2ギヤ96と噛合しているラックギヤ97を有する接触部材72は、図7(A)に示される矢印100の向きにスライドする。これにより、図7(C)に示されるように、接触部材72の後端部は、プリンタ筐体33から突出して、手差しトレイ71と接触する。
なお、図7の例では、第1ギヤ95は、スキャナ筐体34の下面から円弧状に突出していたが、第1ギヤ95は、図8に示されるように、スキャナ筐体34と同軸で回転する円柱形状のギヤであってもよい。図8では、第2ギヤ96は、第1ギヤ95の前側に配置されており、ラックギヤ97は接触部材72の上面に形成されている。連動機構73が図8のように構成されていることにより、連動機構73は、以下のように動作する。つまり、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢へ、つまり矢印90の向き(図8(C)参照)へ回動すると、第1ギヤ95もスキャナ筐体34と一体に矢印90の向き(図8(A)参照)へ回転する。第1ギヤ95の回転により、第1ギヤ95と噛合している第2ギヤ96は、矢印90と逆向きへ回転する。第2ギヤ96の回転により、第2ギヤ96と噛合しているラックギヤ97を有する接触部材72は、矢印100の向きにスライドする。これにより、図8(C)に示されるように、接触部材72の後端部は、プリンタ筐体33から突出して、手差しトレイ71と接触する。
変形例2によれば、数個のギヤ95〜97を追加するだけの簡易な構成で連動機構73の機能を実現することができる。また、変形例2によれば、互いに噛合したギヤによってスキャナ筐体34と接触部材72とが連結されている。そのため、スキャナ筐体34の回動によって接触部材72を確実に移動させることができる。
[変形例3]
変形例2において、ラックギヤ97が設けられた接触部材72は、前後方向8に沿って形成されていたが、接触部材72は、前後方向8に沿った形状に限らない。例えば、図9に示されるように、ラックギヤ97が設けられた接触部材72は、下側が湾曲外側である円弧形状であり、手差しトレイ71よりも下方から外部に突出してもよい。
接触部材72が図9のように構成されていることにより、連動機構73は、以下のように動作する。つまり、スキャナ筐体34が閉姿勢から開姿勢へ、つまり図9(A)及び図9(C)に示される矢印90の向きへ回動すると、第1ギヤ95も矢印90の向きへ回動する。第1ギヤ95の回動により、第1ギヤ95と噛合している第2ギヤ96は、図9(A)に示される矢印99の向きへ回転する。第2ギヤ96の矢印99の向きへの回転により、第2ギヤ96と噛合しているラックギヤ97を有する接触部材72は、図9(A)に示される矢印101の向きに回動する。これにより、図9(C)に示されるように、接触部材72は、その後端部が上方に向かうようにプリンタ筐体33から突出して、手差しトレイ71に下側から当接する。
変形例3によれば、手差しトレイ71よりも下方に設けられた接触部材72は、下側が湾曲外側であるために、上方に向かいつつ外部に突出する。これにより、接触部材72は、下方から手差しトレイ71と当接する。その結果、スキャナ筐体34の閉姿勢から開姿勢への回動に連動した手差しトレイ71の回動を阻止することができる。
[変形例4]
上述の実施形態では、本発明の支持部材は手差しトレイ71であり、本発明の被支持体は手差しトレイ71に支持される記録用紙15であった。しかし、本発明の支持部材は、スキャナ筐体34に支持されており起立姿勢及び傾倒姿勢に回動されるのであれば、手差しトレイ71でなくてもよい。
例えば、本発明の支持部材は、NFC(Near Field Communication)などによって複合機10と通信する機能を有するタブレット端末などの電子デバイスが支持されるデバイストレイであってもよい。デバイストレイは、上述の実施形態の手差しトレイ71と同様に、スキャナ筐体34に支持されており起立姿勢及び傾倒姿勢に回動される。電子デバイス50は、例えば図6(A)に示される手差しトレイ71がデバイストレイである場合、図6(A)に破線で示されるように、デバイストレイの上側の面に支持される。なお、電子デバイスは、複合機10と通信することによって情報のやり取りをするものに限らない。例えば、デバイストレイは、支持する電子デバイスを複合機10と電気的に接続させるものであってもよい。具体的には、デバイストレイは、その上側となる面に電子デバイスが載置された場合に、当該電子デバイスと複合機10を制御する制御部とが電気的に繋がるように構成されていてもよい。以上の場合、本発明の被支持体は、電子デバイスである。