JP6117754B2 - 狭窄ノズルを用いたtig溶接装置及びtig溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、狭窄ノズルを用いたTIG溶接方法及びTIG溶接装置に係り、特に厚さ3mm以下の薄板溶接に好適なTIG溶接装置及びTIG溶接方法に関する。
従来、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接装置として、例えば、円筒状に曲げ加工した金属板製のワークの円周方向両端を突合せ溶接して筒体を作製する水平型自動溶接装置が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
前記水平型自動溶接装置は、図示しないが、フレームに支持され、円筒状に曲げ加工したワークを支持する水平姿勢のマンドレルと、マンドレルの上面に設けた長尺状のバックバーと、マンドレルに設けられ、ワークの円周方向両端がバックバー上で突合されるようにワークの端面の位置決めを行うセンター位置決め機構と、マンドレルの上方位置に配設され、ワークWの円周方向両端を突合せた状態でバックバー上へ押圧固定するクランプ機構と、マンドレルの上方位置に配設され、ワークの突合せ部を突合せ溶接するTIG溶接用トーチを備えた溶接装置とから構成されており、マンドレルにセットしたワークの円周方向両端をセンター位置決め機構により位置決めすると共に、位置決めされたワークの円周方向両端部をクランプ機構によりバックバー上で突合せ固定し、その突合せ部をTIG溶接装置により突合せ溶接して接合するようにしたものである。
また、本発明者により、狭窄ノズルを備えるTIG溶接トーチが開発されており、この狭窄ノズルを備えたTIG溶接トーチは、アーク周囲に高速整流ガスを流してプラズマ気流の流れを速め、アークに作用する電磁力及び磁界を強化してアークのエネルギー密度、アークの指向性及び硬直性を高めて高速溶接を行えるようにしている(特許文献5、6等)。
特開2006−51531号公報 特開2007−021566号公報 特開2010−137267号公報 特開2012−066294号公報 特開2012−139704号公報 国際公開第2013/157036号パンフレット
従来のこの種のTIG溶接装置においては、溶接時、すなわち、TIG溶接用トーチをワークの突合せ部に沿って走行させながらワークの突合せ部を突合せ溶接する時、あるいは、円周溶接の場合にはワークを回転させてワークの突合せ部を突合せ溶接する時に、ワークの突合せ部に沿ってただ単に一定速度で一直線状にトーチを走行させるか、トーチは固定しておいてワークを一定速度で回転させている。
一般に、TIG溶接は、レーザー溶接やプラズマ溶接と比較すると、低コストであるが、溶接速度や品質が劣ると言われている。そのため、TIG溶接では、溶接速度を速めることが望まれているが、溶接速度を上げすぎると、母材(ワーク)の予熱不足が原因となって母材(ワーク)と溶着金属との間に融合不良を生じる。本発明者による狭窄ノズルを用いたTIG溶接トーチは、熱集中性を高めて溶接速度の向上に貢献しているが、溶接速度の更なる向上が望まれる。
そこで、本発明は、低コストを維持しつつ溶接品質を低下させないで溶接速度を速め得るTIG溶接装置およびTIG溶接方法を提供することを主たる目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者は、鋭意研究の結果、TIG溶接トーチの溶接中に、ある範囲の微振動を溶接トーチに与えることで、溶接品質を低下させずに溶接速度を速め得ることを見出した。
すなわち、上記目的を達成するための本発明に係るTIG溶接装置は、溶接時にアーク長が0.5〜1.0mmとなるように支持され、シールドガスを外側と内側に分け且つ内側のシールドガスを外側のシールドガスより高速で噴出させるように外側ノズルの内側に狭窄ノズルを備えたTIG溶接トーチと、前記TIG溶接トーチを溶接線方向、溶接幅方向、及び前記両方向に直交する上下方向の3軸直交方向にボール螺子機構を介して其々位置制御する3つの制御モータと、前記制御モータの前記3軸直交方向の位置決め用パラメータを入力する位置決めパラメータ入力手段と、前記制御モータの少なくとも一つを往復回転させることによりTIG溶接トーチを前記3軸直交方向の少なくとも一方向に振幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内で微振動させる振動パラメータを入力する振動パラメータ入力手段と、前記位置決めパラメータ入力手段により入力された位置決め用パラメータに基づいて前記制御モータの回転位置を制御して前記TIG溶接トーチを位置決めした後に、前記TIG溶接トーチによる溶接時に前記振動パラメータ入力手段により入力された振動パラメータに基づいて前記制御モータの往復回転を制御して前記TIG溶接トーチを微振動させる制御装置と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るTIG溶接装置の一態様において、前記TIG溶接トーチは、溶接線方向及び溶接幅方向の2方向に同時に微振動する。
本発明に係るTIG溶接装置の一態様において、前記TIG溶接トーチは、上下方向に微振動する。
本発明に係るTIG溶接装置の一態様において、前記TIG溶接トーチは、前記3軸直交方向に同時に微振動する。
本発明に係るTIG溶接装置の一態様において、前記制御モータを往復回転させることによりTIG溶接トーチを上下方向に振幅0.01〜0.25mmの範囲内で微振動させる前記振動パラメータは、アーク電圧制御の設定電圧の上限値と下限値である。
また、本発明に係るTIG溶接方法は、シールドガスを外側と内側に分流し且つ内側のシールドガスを外側のシールドガスより高速で噴出させるように外側ノズルの内側に狭窄ノズルを備えたTIG溶接トーチを用いて溶接する溶接方法であって、溶接時にアーク長を0.5〜1.0mmに保持し、前記TIG溶接トーチを溶接線方向、溶接幅方向、及び前記両方向に直交する上下方向の3軸直交方向にボール螺子機構を介して其々位置制御する3つの制御モータを制御して、前記TIG溶接トーチを前記3軸直交方向の所定位置に位置決めするステップと、前記TIG溶接トーチによる溶接時に、前記制御モータの少なくとも一つを往復回転させることによりTIG溶接トーチを前記3軸直交方向の少なくとも一方向に振幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内で微振動させるステップと、を含む。
本発明に係るTIG溶接方法の一態様においては、前記TIG溶接トーチを、溶接線方向及び溶接幅方向の2方向に同時に微振動させる。
本発明に係るTIG溶接方法の一態様においては、前記TIG溶接トーチを、上下方向に微振動させる。
本発明に係るTIG溶接方法の一態様においては、前記TIG溶接トーチを、前記3軸直交方向に同時に微振動させる。
本発明に係るTIG溶接方法の一態様においては、アーク電圧制御の設定電圧を上限値と下限値とで設定し、設定された上限値と下限値の間で溶接トーチが上下に微振動するようにアーク電圧を制御する。
本発明によれば、溶接中に、TIG溶接トーチを溶接線方向、溶接幅方向、及び前記両方向に直交する上下方向の3軸直交方向の少なくとも一方向に幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内で微振動させることにより、溶接品質を低下させずに溶接速度を速め得る。
本発明に係るTIG溶接装置の外観を示す側面図である。 図1のTIG溶接装置の正面図である。 図1のTIG溶接装置に搭載されるトーチ位置決めユニットの斜視図である。 図3のトーチ位置決めユニットの部分断面側面図である。 狭窄ノズルを備えるTIG溶接トーチの縦断面正面図である。 図1のTIG溶接装置の操作パネルの操作画面図である。 本発明実施例と比較例のTIG溶接装置による溶接ビードの外観写真である。 狭窄ノズルを備える溶接トーチのアーク長と温度との関係を示すグラフである。
本発明に係るTIG溶接装置の実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、従来技術を含めて、全図を通し、同一又は類似の構成部分には同符号を付している。
図1は、本発明に係るTIG溶接装置の一実施形態として、薄板突合せ自動円筒溶接装置の側面図を示している。この種の自動円筒溶接装置は、洗濯機の回転ドラム、電気温水器の内外槽、配管設備用のベローズ管などの薄板金属の端面同士を突き合わせ溶接するのに用いられる。溶接される板厚は、一般には0.2mm〜3mm程度である。ワークは、図外のロール成形機等で金属シートをロール成形される。
TIG溶接装置1は、図1〜図4に示すように、昇降自在に支持されたワーク受け台2、片持ち支持されたマンドレル3、マンドレル3と平行に延びて走行レール4を備える上部フレーム5、走行レール4上を往復走行可能に支持されたトーチ走行台6、走行台6に取り付けられたトーチ位置決めユニット7、トーチ位置決めユニット7に取り付けられたTIG溶接トーチ8、操作パネル9等を備えている。ワークWは、ワーク受け台2に載置され、ワークの溶接されるべき突合せ部がマンドレルの上面にその長さ方向に延びるようにして、マンドレル3に挿入され、マンドレル3と上部フレーム5との間で図示しないクランプ機構でクランプされてセットされる。なお、ワーク受け台2、マンドレル3、上部フレーム5、トーチ走行台6は、従来の公知の装置(上記特許文献3,4等)と同様の構造であるので、詳細な説明を省略する。
トーチ位置決めユニット7は、トーチ走行台6に取り付けられ、TIG溶接トーチ8を、溶接線方向X、溶接幅方向Y、及び上下方向Zの3軸直交方向XYZに位置決めするユニットであり、3軸直交方向に回転軸が向けられた3つの制御モータ10、11、12と、これらの制御モータ10、11、12にそれぞれ駆動連結されたボール螺子機構13、14、15を備えている。
図示例において、TIG溶接トーチ8が固定される上下スライダー16が左右スライダー17に上下摺動自在に取り付けられ、左右スライダー17が前後スライダー18に溶接幅方向(左右方向)に摺動自在に取り付けられ、前後スライダー18がスライドベース19に溶接線方向(前後方向)に摺動自在に取り付けられている。スライドベース19は、トーチ走行台6に取り付けられる。左右スライダー17には上下リニアガイド20が取り付けられ、前後スライダー18は左右リニアガイド21が取り付けられ、スライドベース19には前後リニアガイド22が取り付けられている。こうして、TIG溶接トーチ8は、前記3軸直交方向に摺動自在に支持されている。
上下スライダー16は、左右スライダー17上に固定された上下制御モータ12と上下ボール螺子機構15を介して連結されている。左右スライダー17は、前後スライダー18に固定された左右制御モータ11と左右ボール螺子機構14を介して連結されている。前後スライダー18は、スライドベース19に固定された前後制御モータ10と前後ボール螺子機構13を介して連結されている。こうして、TIG溶接トーチ8は、上下、左右、前後制御モータ10〜12を正逆回転させることにより、上下、左右、前後ボール螺子機構13〜14を介して、前記3軸直交方向に往復移動させられる。
TIG溶接トーチ8は、図5に断面図で示すように、外側ノズル8aの内側に狭窄ノズル8bを備える。狭窄ノズル8bにタングステン電極8cを挿通されており、シールドガスGを狭窄ノズル8bの外側と内側に分け且つ狭窄ノズル8bの内側のシールドガスG1を狭窄ノズル8bの外側のシールドガスG2より高速で噴出させるようになっている。図5に示すような狭窄ノズル8bを備えるTIG溶接トーチは、上記特許文献5,6により公知であるので詳細な説明を省略する。
狭窄ノズル8bとタングステン電極8cとの隙間は、外側ノズル8aと狭窄ノズル8bとの隙間に比べてかなり狭くなっていて、狭窄ノズル8bから噴出するシールドガスG1が、外側ノズル8aと狭窄ノズル8bとの間の間隙から噴出するシールドガスG2の数倍の流速で噴出するようになっている。TIG溶接トーチ8は、狭窄ノズル8bの内側を流れるシールドガスG2が全シールドガスG(G1+G2)の20〜60%となるように構成されていることが好ましい。
操作パネル9は、タッチパネル式とすることができ、図6に示すように、前後、左右、上下の制御モータ10、11、12の3軸直交方向(XYZ方向)の位置決め用パラメータとして例えば原点位置からの距離をX軸位置(溶接線方向の位置)、Y軸位置(溶接幅方向の位置)、アーク長(Z軸方向(上下方向)の位置)として其々の画面入力領域30x、30y、30zをタッチし、タッチテンキー31で数値入力する位置決めパラメータ入力手段30を備えている。
また、操作パネル9は、前後、左右、上下の制御モータ10、11、12を往復回転させることによりTIG溶接トーチ8を3軸直交方向(XYZ方向)の其々の方向に振幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内で微振動させる振動パラメータとして、X軸振幅、Y軸振幅、AVC設定電圧(上限値)、AVC設定電圧(下限値)、及び、X軸振動数、Y軸振動数、Z軸振動数として其々の画面入力領域34、35、36a、36b、37、38、39にタッチテンキー31で数値入力する振動パラメータ入力手段40を備えている。
AVC設定電圧は、アーク電圧制御(Arc Voltage Control)の設定電圧である。
TIG溶接では、アーク長さが変化すると、アーク電圧も変化し溶接結果に影響を与えることから、一般には、アーク電圧制御(AVC)により、溶接トーチの上下方向の位置制御を行ってアーク長さを一定に保つことが行われる。
本発明では、溶接トーチ8を上下に微振動させるため、AVC設定値は、上限値と下限値とにより所定範囲の電圧値を設定することができ、指定されたZ軸振動数(39)により、AVC設定電圧(上限値)とAVC設定電圧(下限値)との間で、溶接トーチ8が上下に微振動するように上下制御モータ12を制御する。従って、AVC設定電圧(上限値)とAVC設定電圧(下限値)とは、溶接トーチ8の上下方向の振幅に関する振動パラメータに相当する。この場合、AVC設定電圧(上限値)とAVC設定電圧(下限値)とは、アーク長が0.5〜1.0mmの範囲で、振幅0.01〜0.25mmとなるように電圧設定可能である。
AVC設定電圧(上限値)及びAVC設定電圧(下限値)に代えて、Z軸振幅(mm)を入力する画面入力領域としてもよい。また、振動数(Hz)の入力領域に代えて、第1〜第3制御モータ10〜12の回転速度(mm/min等)を入力する入力領域(図示せず)として、回転速度を設定することにより振動数を設定するようにしてもよい。
なお、本発明に関して「微振動」とは、振幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内の微振動を意味するものとして用いている。ここで、振幅とは、振動している溶接トーチが振動の中心位置から最大の変位まで移動する距離のことであり、振動の全幅の半分である。
位置決めパラメータ入力手段30及び振動パラメータ入力手段40は、操作パネル9のタッチ入力に限らず、他の公知の入力手段を採用し得る。
図示しない制御装置により、位置決めパラメータ入力手段30により入力された位置決め用パラメータに基づいて、対応する制御モータ10〜12の回転位置を制御してTIG溶接トーチ8を位置決めした後に、TIG溶接トーチ8による溶接時、即ち図示例では溶接トーチ8をトーチ走行台6に沿って走行させてアーク溶接している最中に、振動パラメータ入力手段40により入力された振動パラメータに基づいて対応する制御モータ10〜12の往復回転を制御してTIG溶接トーチ8を微振動させる。
図示例の水平自動溶接装置を用いて、厚さ1.5mmのSUS304製薄板を、溶接トーチ8に前後方向及び/又は左右方向に微振動を与えて溶接した場合と、振動を与えないで溶接した場合の比較試験結果を下の表1に示している。溶接条件は、下記の通りとした。
・アーク電圧:11.50V ・使用ガス :Ar
・ピーク電流:160A ・トーチガス :10リットル/分
・ベース電流:140A ・バックガス :15リットル/分
・電源周波数:500Hz ・アフターガス :15リットル/分
・溶接速度 :650mm/分 ・電極先端角 :30°
表1の実施例1〜3の振動数は、5Hzとした。表1において、例えばトーチ左右振幅±0.1mmは、右方向への振幅が0.1mmであって左方向への振幅が0.1mmであることを意味する。同様に、前後振幅±0.1mmは、前方向への振幅が0.1mmであって後方向への振幅が0.1mmであることを意味している。
比較例1、実施例1〜3の其々のビード外観を撮影した写真を、図7の表に示す。
表1から、溶接中にトーチに前後・左右方向の微振動を加えた実施例2,3が、微振動を加えない比較例1に比べて、ビード幅が狭くなっていることが分かる。このことは、本発明の微振動(振幅0.01〜0.25mm、振動数1〜10Hz)が、ビード幅を広げるために用いられる従来のいわゆるウィービングとは異なることを意味する。本発明では、溶接中にトーチに左右方向(溶接幅方向)の微振動を加えることで、磁気吹き等によるアークの左右の振れが抑えられ、指向性や集中性が向上しているものと考えられる。なお、振幅が0.25mmより大きいとビードが波打つ等の不具合が発生し始める一方、0.01mmより小さいと微振動による効果があまり期待できない。
そして、溶接中にトーチに微振動を加えたビードは、図7を参照すれば、光沢があることが分かる。図7の写真は白黒のため不明確であるが、実施のカラー写真では、実施例のビードは母材と同じ銀色を呈しているのに対し、比較例のビードは赤茶けた色を呈していた。また、光沢が現れたこれら実施例1〜3のビードを手で触ると表面が滑らかであるのに対し、比較例1のビードの表面はザラザラとした触感であった。表面が滑らかなビードは、表面がザラザラのビードに比べて、表面の凹凸が少なく亀裂の起点が生じにくいため、耐疲労破壊性が向上しているものと考えられる。ビード表面に光沢が出て滑らかになったのは、トーチに与えた振動エネルギーがアークに伝えられ、金属原子の運動を活発にし、原子構造(結晶構造)の欠陥を補正したものと推察される。特に溶接トーチに上下方向の微振動を付加した場合は、アーク圧力が変化することによって、溶融金属中の金属原子の運動を活発にすると考えられる。
溶接速度に関しては、従来のTIG溶接装置では500mm/分程度迄であるが、本発明では、狭窄ノズルの併用により650mm/分でも良好な溶接ビードが得られており、更なる高速化も可能である。
図8は、アーク長とアーク中心付近の温度分布との関係を示すグラフである。このグラフから、アーク長が0.5mm〜1mmの範囲が、溶接に適した温度範囲である。従って、溶接トーチ8を上下に微振動させる場合は、溶接時のアーク長が0.5〜1mmの範囲内で微振動させる。
上記実施形態では、溶接時にTIG溶接トーチが溶接線に沿って走行することにより管の軸方向の接合部を溶接する水平自動溶接装置を例に説明したが、本発明は、管の周方向の接合部を溶接するTIG溶接装置にも適用することができ、その場合は、溶接時には、TIG溶接トーチが溶接線に沿って走行するのではなく、TIG溶接トーチは微振動のみしてワークが軸線周り回転させられる。よって、本発明において「溶接時」とは、TIG溶接トーチが溶接線に沿って走行する場合と、TIG溶接トーチが溶接線に沿って走行するのではなく、TIG溶接トーチは微振動のみしてワークが軸線周り回転させられる場合とを含む。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 TIG溶接装置
8 TIG溶接トーチ
10,11,12 制御モータ
13,14,15 ボール螺子機構
30 位置決めパラメータ入力手段
40 振動パラメータ入力手段

Claims (10)

  1. アーク長が0.5〜1.0mmとなるように支持され、シールドガスを外側と内側に分け且つ内側のシールドガスを外側のシールドガスより高速で噴出させるように外側ノズルの内側に狭窄ノズルを備えたTIG溶接トーチと、
    前記TIG溶接トーチを溶接線方向、溶接幅方向、及び前記両方向に直交する上下方向の3軸直交方向にボール螺子機構を介して其々位置制御する3つの制御モータと、
    前記制御モータの前記3軸直交方向の位置決め用パラメータを入力する位置決めパラメータ入力手段と、
    前記制御モータの少なくとも一つを往復回転させることによりTIG溶接トーチを前記3軸直交方向の少なくとも一方向に振幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内で微振動させる振動パラメータを入力する振動パラメータ入力手段と、
    前記位置決めパラメータ入力手段により入力された位置決め用パラメータに基づいて前記制御モータの回転位置を制御して前記TIG溶接トーチを位置決めした後に、前記TIG溶接トーチによる溶接時に前記振動パラメータ入力手段により入力された振動パラメータに基づいて前記制御モータの往復回転を制御して前記TIG溶接トーチを微振動させる制御装置と、
    を備えることを特徴とするTIG溶接装置。
  2. 前記TIG溶接トーチを、溶接線方向及び溶接幅方向の2方向に同時に微振動させることを特徴とする請求項1に記載のTIG溶接装置。
  3. 前記TIG溶接トーチを、上下方向に微振動させることを特徴とする請求項1に記載のTIG溶接装置。
  4. 前記TIG溶接トーチを、前記3軸直交方向に同時に微振動させることを特徴とする請求項1に記載のTIG溶接装置。
  5. 前記制御モータを往復回転させることによりTIG溶接トーチを上下方向に振幅0.01〜0.25mmの範囲内で微振動させる前記振動パラメータが、アーク電圧制御の設定電圧の上限値と下限値であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のTIG溶接装置。
  6. シールドガスを外側と内側に分流し且つ内側のシールドガスを外側のシールドガスより高速で噴出させるように外側ノズルの内側に狭窄ノズルを備えたTIG溶接トーチを用いて溶接する溶接方法であって、
    アーク長を0.5〜1.0mmに保持し、
    前記TIG溶接トーチを溶接線方向、溶接幅方向、及び前記両方向に直交する上下方向の3軸直交方向にボール螺子機構を介して其々位置制御する3つの制御モータを制御して、前記TIG溶接トーチを前記3軸直交方向の所定位置に位置決めするステップと、
    前記TIG溶接トーチによる溶接時に、前記制御モータの少なくとも一つを往復回転させることによりTIG溶接トーチを前記3軸直交方向の少なくとも一方向に振幅0.01〜0.25mm及び振動数1〜10Hzの範囲内で微振動させるステップと、
    を含むことを特徴とするTIG溶接方法。
  7. 前記TIG溶接トーチを、溶接線方向及び溶接幅方向の2方向に同時に微振動させることを特徴とする請求項6に記載のTIG溶接方法。
  8. 前記TIG溶接トーチを、上下方向に微振動させることを特徴とする請求項6に記載のTIG溶接方法。
  9. 前記TIG溶接トーチを、前記3軸直交方向に同時に微振動させることを特徴とする請求項6に記載のTIG溶接方法。
  10. アーク電圧制御の設定電圧を上限値と下限値とで設定し、設定された上限値と下限値の間で溶接トーチが上下に微振動するようにアーク電圧を制御することを特徴とする請求項6〜9の何れかに記載のTIG溶接方法。
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