JP6117490B2 - 高計数率放射線検出器用シンチレータ及び高計数率放射線検出器 - Google Patents

高計数率放射線検出器用シンチレータ及び高計数率放射線検出器 Download PDF

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Description

本発明は、高計数率放射線検出器用シンチレータ及び高計数率放射線検出器に関する。
シンチレータは、X線やγ線等の放射線を受けると放射線との電磁相互作用により蛍光を発光する物質であり、原子物理学等の学術分野や医療、産業といった幅広い分野で放射線検出器に用いられている。これらの放射線検出器の中でも、陽電子断層撮像装置(PET)や陽電子消滅寿命測定装置等に用いられるものとしては、高計数率で測定可能な高係数率放射線検出器であることが求められており、このような高計数率放射線検出器に用いるシンチレータにおいては、高度の時間分解能、計数率、及び検出効率を達成することができ、かつ発光が低ノイズであることが求められている。
シンチレータには、有機シンチレータと無機シンチレータとがあり、前記有機シンチレータとしては、ポリスチレン等の高分子ポリマー及び有機発光化合物が溶解されてなる、いわゆるプラスチックシンチレータが代表的なものとして挙げられ、例えば、IEEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE、1990年、37巻、2号、p.129−133(非特許文献1)には、いくつかのプラスチックシンチレータが記載されている。このようなプラスチックシンチレータは応答が高速であり、発光の減衰時間が短いために、高度の時間分解能及び計数率を達成することができるという利点を有している。しかしながら、プラスチックシンチレータを構成する原子(C、H、O、N)の原子番号が小さいために放射線とシンチレータ中の電子との電磁相互作用が起こる確率が低く、検出効率が十分ではないという問題を有していた。
他方、前記無機シンチレータは、検出効率が高く発光量が多いという利点を有しており、このような無機シンチレータとしては、例えば、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research、1990年、A289巻、p.253−260(非特許文献2)に記載されているBaFや、前記非特許文献1に記載されているNaI(Ti)を含有するシンチレータ等が挙げられる。しかしながら、一般に、無機シンチレータは発光の減衰時間が長いために時間分解能及び計数率が低いという問題を有しており、前記BaFを含有するBaFシンチレータの発光においては、減衰時間の短い短寿命成分が含まれているものの、減衰時間の長い長寿命成分が全発光に対して80%程度と多く含まれているため、時間分解能が低く、また、発光のノイズが大きいという問題を有していた。
さらに、放射線を検出する検出器としては、例えば、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research、1991年、A309巻、p.603−605(非特許文献3)において記載されているアバランシェフォトダイオード(APD)等が挙げられる。しかしながら、このようなAPDにおいても、前記プラスチックシンチレータと同様に、X線やγ線に対する検出効率が十分ではないという問題を有していた。
また、従来、光や熱のエネルギーにより発光することが知られている無機化合物としては、例えば、Russian Physics Journal、1977年、20巻、8号、p.1081−1083(非特許文献4)、J.Phys.:Condens.Matter、1993年、5巻、p1589−1596(非特許文献5)、Rev.Sci.Instrum.1992年、63巻、1号、p.1447−1449(非特許文献6)、及びJournal of the Physical Society of Japan、2003年、72巻、9号、p.2400−2401(非特許文献7)において、CsCaCl、CsSrCl、CsZnCl等のCsCl系化合物;RbCaF等のRbF系化合物;LiBaF、BaMgF等のBaF系化合物;KCaF、KMgF、KLiGaF、KNaAlF、KSiF、KYF、KYF等のKF系化合物が開示されている。
これらの無機化合物のうち、前記CsCl系化合物においては、減衰時間が5.0ナノ秒以下のオージェ・フリー発光が起こることが報告されているものの、例えば、CsCaCl、CsSrClの発光においては、前記BaFの発光と同様に、長寿命成分が多く含まれていることが従来から報告されており、このような無機化合物を高計数率放射線検出器に用いることは一般に困難であった。
J.L.Radtkeら、IEEE TRANSACTIONS ON NUCLEAR SCIENCE、1990年、37巻、2号、p.129−133 Shinzou KUBOTAら、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research、1990年、A289巻、p.253−260 Shunji Kishimotoら、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research、1991年、A309巻、p.603−605 I.P.Pashukら、Russian Physics Journal、1977年、20巻、8号、p.1081−1083 J Jansonsら、J.Phys.:Condens.Matter、1993年、5巻、p1589−1596 I.A.Kamenskikhら、Rev.Sci.Instrum.1992年、63巻、1号、p.1447−1449 Akimasa OHNISHIら、Journal of the Physical Society of Japan、2003年、72巻、9号、p.2400−2401
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高度の時間分解能、計数率、及び検出効率を達成することができ、かつ発光が低ノイズである高計数率放射線検出器用シンチレータ及びそれを用いた高計数率放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、上記のような従来の無機化合物のうち、例えば、CsCaClやCsSrClの発光においては減衰時間が100ナノ秒(ns)以上の長寿命成分が20%以上と多く含まれており、高計数率放射線検出器に用いることが困難であるのに対して、CsZnClの単結晶においては、上記化合物と同様のCsCl系化合物であるにもかかわらず、これに放射線を照射した際の発光が、オージェ・フリー発光に起因する短寿命成分の割合が多くかつ長寿命成分の割合が少ない、ほぼサブナノ秒からナノ秒の短寿命成分のみの低ノイズの発光であり、高度の時間分解能及び計数率を達成することが可能であることを見出した。さらに、本発明者らは、CsZnClの単結晶においては放射線の検出効率も十分に高く、高計数率放射線検出器用のシンチレータとして優れた特性を備えていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のシンチレータは、CsZnClの単結晶を含有、減衰時間が5.0ns以下の短寿命成分の割合が、全発光に対して90%以上であることを特徴とする高計数率放射線検出器用シンチレータである
本発明の高計数率放射線検出器は、Cs ZnCl の単結晶を含有し、減衰時間が5.0ns以下の短寿命成分の割合が、全発光に対して90%以上である高計数率放射線検出器用シンチレータと、前記高計数率放射線検出器用シンチレータから発せられた光を受光する光電子増倍管とを備えており、前記Cs ZnCl の単結晶が斜方晶単結晶であり、かつ、計数率が500万〜8000万カウント/秒であることを特徴とするものである
本発明によれば、高度の時間分解能、計数率、及び検出効率を達成することができ、かつ発光が低ノイズである高計数率放射線検出器用シンチレータ及びそれを用いた高計数率放射線検出器を提供することが可能となる。
実施例1で得られたシンチレータの発光スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られたシンチレータの励起スペクトルを示すグラフである。 実施例1及び比較例1で得られたシンチレータの検出信号波高スペクトルを示すグラフである。 実施例1で得られたシンチレータのシンチレーション時間プロファイルを示すグラフである。 比較例1で得られたシンチレータのシンチレーション時間プロファイルを示すグラフである。 比較例2で得られたシンチレータのシンチレーション時間プロファイルを示すグラフである。 比較例3で得られたシンチレータのシンチレーション時間プロファイルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のシンチレータは、CsZnClの単結晶を含有することを特徴とする高計数率放射線検出器用シンチレータである。
本発明に係るCsZnClの単結晶は、CsClを基本構造とした三元系の斜方晶単結晶であり、伝導体の下端と価電子帯の上端との間のエネルギーギャップの幅が価電子帯の下端と最外内殻準位の上端と間のエネルギーギャップの幅よりも小さいため、X線、γ線等の放射線が照射されると価電子帯と最外内殻準位との間で電子遷移が起こり、減衰時間が5.0ナノ秒以下のオージェ・フリー発光を起こすことができる。従来は、このような三元系の化合物の発光においては、前記オージェ・フリー発光と共に、減衰時間が30ナノ秒以上の長寿命成分が多く含まれていることが知られていたが、本発明者らは、CsZnClの単結晶においては、前記長寿命成分の割合が十分に少なく、前記短寿命成分が多く含まれていることを見出した。
本発明において、長寿命成分とは、放射線を照射した際に発光される蛍光のうち、減衰時間が5.0ナノ秒を超える発光成分(好ましくは30ナノ秒以上である発光成分)のことをいい、短寿命成分とは、前記蛍光のうち、減衰時間が5.0ナノ秒以下にある発光成分のことをいう。このような短寿命成分の全発光に対する割合は、厚さ2.2mmの単結晶の直径0.8mmの円の範囲内に624ns間隔で67.4keVのパルスX線を照射し、時間相関単一光子計数法により、光電子増倍管(商品名:R−7400P−06、製造社:HAMAMATSU)を用いて検出された光子数(count)及び光子の検出時刻とX線の入射時刻との差(Δt)からシンチレーション時間プロファイル(蛍光の減衰の様子)を求め、得られたプロファイルを減衰の初期(A)と後期(B)とで2つの成分に分け、下記の二重指数関数:
f(x)=a×exp(−x/τ)+b×exp(−x/τ
[式中、aはA成分の相対強度を示し、bはB成分の相対強度を示し、xは放射線が入射してからの経過時間を示し、τはA成分の減衰時間を示し、τはB成分の減衰時間を示す。]
によりフィッティングしてτ及びτを求め、τが5.0ナノ秒以下の場合にはA成分を短寿命成分、τ(ns)を短寿命成分の減衰時間とし、次いで、前記プロファイルにおける短寿命成分の光子数を全光子数で除することにより短寿命成分の割合(%)を求めることができる。また、前記長寿命成分の割合は、100%から前記短寿命成分の割合を減ずることにより求めることができる。
本発明に係るCsZnClの単結晶の製造方法としては、適宜公知の単結晶の製造方法を用いることができ、例えば、ブリッジマン法、チョコラルスキー法、ゾーンメルト法が挙げられるが、中でも、密封アンプル中において結晶成長せしめるために揮発性が高いZnClを原料としてもCsとZnとの化学量論比を保つことができる傾向にあるという観点から、ブリッジマン法を用いることが好ましい。前記ブリッジマン法としては、先ず、CsClとZnClとをモル比(CsCl:ZnCl)が2:1となるように混合した混合物を真空石英アンプル管に入れ、真空下(0.1〜500Pa程度)において乾燥させ、次いで、上部が高温(650〜800℃)で下部が低温(400〜550℃)であるブリッジマン炉中に前記真空石英アンプル管を上昇させて前記混合物を溶解させた後、ゆっくり下降させることで溶解液を下部から固化させて単結晶を作製する方法が挙げられる。
前記CsZnClの単結晶の製造に用いるCsCl及びZnClとしては、純度が99%以上であることが好ましい。また、本発明に係るCsZnClの単結晶としては、不純物が5%以下であることが好ましく、特に、CsZnClの単結晶の発光波長付近に発光を有するCe、Eu、Pr、Cu、Mn、Fe、Ni等の元素を含有していないことが好ましい。
本発明の高計数率放射線検出器用シンチレータとしては、前記CsZnClの単結晶をそのままシンチレータとして用いてもよく、前記CsZnClの単結晶がシリコーン、ポリスチレン、フッ素樹脂等でコーティングされたものであっても、光学フィルム等の各種反射材で覆われたものであってもよい。
本発明のシンチレータは、X線、γ線、中性子線等の放射線が照射されると前記CsZnClの単結晶により、長寿命成分の割合が十分に少なく、ほぼ前記短寿命成分のみの蛍光を発光するため、発光のノイズが少なく、かつ、高度の時間分解能及び計数率を達成することができる。
本発明の高計数率放射線検出器用シンチレータにおいて、前記短寿命成分の波長は200〜500nmである。また、前記短寿命成分の割合としては、全発光に対して90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。短寿命成分の割合が前記下限未満であると、発光のノイズが多くなったり、時間分解能及び計数率が低下する傾向にある。なお、このような短寿命成分の減衰時間及び割合は前述と同様の方法で求めることができる。
さらに、本発明の高計数率放射線検出器用シンチレータにおいては、高度の検出効率が達成される。このような検出効率としては、既存のNaI(Ti)シンチレータ(商品名:SP−10、製造社:応用光研工業株式会社、厚さ:5.0mm)の検出効率を100%とした場合に、5.0%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。検出効率が前記下限未満では、高計数率放射線検出器に用いた際に十分な検出効率が達成されない傾向にある。なお、本発明において、前記検出効率は、厚さ2.2mmのシンチレータの直径0.8mmの円の範囲内に67.4keVのX線を照射した際のシンチレーション(光子)を光電子増倍管(商品名:R−7400P−06、製造社:HAMAMATSU)により検出し、電荷感応型前置増幅器(商品名:2005、製造社:Canberra)により増幅して得られた検出信号波高スペクトルにおける面積を求め、前記既存のシンチレータ(基準シンチレータ)において得られた検出信号波高スペクトルの面積(基準面積)と比較することにより求めることができる。
本発明の高計数率放射線検出器は、前記本発明の高計数率放射線検出器用シンチレータと、前記シンチレータからの発せられた光を受光する光電子増倍管とを備えるものであり、X線、γ線、電子線等の放射線を検出対象とするものである。
前記光電子増倍管は、光を電流に変換する真空管であり、本発明においては、前記本発明の高計数率放射線検出器用シンチレータから発せられる波長200〜500nmの短寿命の光を受光できるものである必要がある。このような光電子増倍管としては、窓材としてUVガラスや石英ガラスを使用したものや、陰極材として紫外領域での検出感度の高い光電陰極材を用いたものであることが好ましい。
本発明の高計数率放射線検出器は、前記シンチレータ及び光電子増倍管の他に、例えば、電荷感応型前置増幅器、デジタルオシロスコープ、コンスタントフラクションデスクリミネータ(CFD)、時間・振幅変換回路(TAC)、マルチチャンネルアナライザ(MCA)等の放射線を検出・分析するための機器や部品を更に備えていてもよい。
本発明の高計数率放射線検出器は、前記本発明の高計数率放射線検出器用シンチレータを備えているため、高計数率で放射線を検出することができる。このような計数率としては、500万〜8000万カウント/秒であることが好ましく、2000万〜8000万カウント/秒であることが好ましい。
このような高計数率放射線検出器は、高速な検出信号を発信し、低ノイズでの放射線の検出が可能であるため、例えば、飛行時間分解型陽電子放射断層撮影装置(TOF−PET)の検出器として用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における各測定及び評価はそれぞれ以下の方法により行った。
<発光スペクトル、励起スペクトル測定>
各実施例及び比較例において得られたシンチレータについて、蛍光分光光度計(商品名:F−4500、製造社:HITACHI)を用いて励起エネルギー13.8eV、15.1eVにおける発光強度をそれぞれ測定し、縦軸に発光強度(a.u.)、横軸に発光エネルギー(eV)をプロットした発光ペクトルを得た。また、前記蛍光分光光度計を用いて、発光スペクトルから得られたピーク位置の発光エネルギー2.50eV、3.24eV、及び4.41eVにおける発光強度をそれぞれ測定し、縦軸に発光強度(a.u.)、横軸に励起エネルギー(eV)をプロットした励起ペクトルを得た。
<検出信号波高スペクトル測定>
各実施例において得られたシンチレータの直径0.8mmの円の範囲内に67.4keVのX線を照射した際のシンチレーション(光子)を光電子増倍管(商品名:R−7400P−06、製造社:HAMAMATSU)により検出し、電荷感応型前置増幅器(商品名:2005、製造社:Canberra)により増幅して得られた検出信号波高スペクトルの面積及びピーク位置のチャンネル数(ピークチャンネル数)を求めた。
また、比較例1において得られたシンチレータを基準シンチレータ1として上記と同様の分析を行い、ピークチャンネル数(基準ピークチャンネル数1)を求め、前記基準ピークチャンネル数1に対する各ピークチャンネル数の割合を求めることにより入射X線のエネルギー当たりの発光量(光子/MeV)を求めた。
さらに、基準シンチレータ2として、NaI(Ti)(商品名:SP−10、製造社:応用光研工業株式会社、厚さ:5.0mm)を用いて上記と同様の分析を行い、得られた検出信号波高スペクトルの面積(基準面積)を100としたときの前記面積の値を求めた。前記面積は検出された全イベント数に相当するため、この値を検出効率(%)とした。
<時間プロファイル測定>
先ず、各実施例及び比較例において得られたシンチレータの直径0.8mmの円の範囲内に624ns間隔で67.4keVのパルスX線を照射し、時間相関単一光子計数法により、光電子増倍管(商品名:R−7400P−06、製造社:HAMAMATSU)を用いて検出された光子数(count)及び光子の検出時刻とX線の入射時刻との差(Δt)から、シンチレーション時間プロファイルを得た。次いで、得られたプロファイルを減衰の初期(A)と後期(B)とで2つの成分に分け、下記の二重指数関数:
f(x)=a×exp(−x/τ)+b×exp(−x/τ
[式中、aはA成分の相対強度を示し、bはB成分の相対強度を示し、xは放射線が入射してからの経過時間を示し、τはA成分の減衰時間を示し、τはB成分の減衰時間を示す。]
によりフィッティングしてτ及びτを求め、τが5.0ナノ秒以下の場合にはA成分を短寿命成分、τ(ns)を短寿命成分の減衰時間とし、次いで、前記プロファイルにおける短寿命成分の光子数を全光子数で除することにより全発光に対する短寿命成分の割合(%)を求めた。また、長寿命成分の減衰時間は、このときのτ(ns)とした。
(実施例1)
先ず、CsCl(純度99.999%以上)1.0質量部及びZnCl(純度99.999%以上)0.4質量部を混合して真空石英アンプル管に入れ、温度100℃、真空下(10Pa)において乾燥させ、次いで、温度勾配条件が10℃/cmであるブリッジマン炉中に前記真空石英アンプル管を上昇させて前記混合物を溶解させた後、降下速度0.3mm/時間でゆっくり下降させることで溶解液を下部から固化させて結晶を得た。得られた結晶は粉末状にしても潮解性が認められない透明な結晶であり、X線構造解析を行ったところ、式:CsZnClで表わされ、a=9.76(Å)、b=7.40(Å)、c=12.98(Å)の斜方晶の単結晶であることが確認された。これを3.0mm×5.0mm×厚さ2.2mmの大きさにしてそのままシンチレータとした。
(比較例1)
発光量が既知であるプラスチックシンチレータ(商品名:NE142、製造社:Nuclear Enterprise、発光量:5,300光子/MeV)を5.0mm角、厚さ5.0mmに切断して評価を行った。
(比較例2)
BaFシンチレータ(製造社:応用光研工業株式会社)を直径5.0mm、厚さ1.0mmの円盤状に切断して評価を行った。
(比較例3)
先ず、CsCl(純度99.999%以上)1.0質量部及びCaCl(純度99.999%以上)0.4質量部を混合して真空石英アンプル管に入れ、温度100℃、真空下(10Pa)において乾燥させ、次いで、温度勾配条件が10℃/cmであるブリッジマン炉中に前記真空石英アンプル管を上昇させて前記混合物を溶解させた後、降下速度0.3mm/時間でゆっくり下降させることで溶解液を下部から固化させて結晶を得た。得られた結晶についてX線構造解析を行ったところ、式:CsCaClで表わされる単結晶であることが確認された。これを3.0mm×5.0mm×厚さ2.2mmの大きさにしてそのままシンチレータとした。
実施例1で得られた発光スペクトルを図1に、励起スペクトルを図2にそれぞれ示す。図1より、明確な3つの発光ピーク(2.50eV、3.24eV、4.41eV)が確認され、これらの発光ピークに対する励起スペクトルにおいては、いずれも13.8eVを閾値として、この値以上の励起エネルギーにおいて発光強度が急増することが確認された。(このうち、2.50eVのピークは他の手法では観察されなかったため、2倍波等に帰属される。)このようなスペクトルの挙動はオージェ・フリー発光に特徴的な発光であることから、本発明のシンチレータの主な発光はオージェ・フリー発光に起因するものであることが確認され、最外内殻準位から伝導帯への電子遷移に伴う励起エネルギーは13.8eVであることが確認された。
実施例1及び比較例1で得られたシンチレータの検出信号波高スペクトルを図3に示す。ただし、図3において、比較例1のチャンネル数は実際に測定した値の1/4にして示す。図3において、実施例1のチャンネル数は70チャンネルであり、比較例1のチャンネル数は800チャンネルであった。また、NaI(Ti)を基準シンチレータとしたときの検出効率(%)及び発光量(光子/MeV)を表1に示す。図3及び表1に示した結果から明らかなように、本発明のシンチレータにより高い検出効率が達成されることが確認された。
実施例1、比較例1〜3で得られたシンチレータの時間プロファイルを図4〜図7にそれぞれ示す。また、実施例1、比較例1〜2で得られたシンチレータの短寿命成分及び短寿命成分の減衰時間(ns)、並びに、短寿命成分の全発光量に対する割合(%)を表2に示す。なお、図7に示した結果から明らかなように、CsCaClをシンチレータとして用いた場合(比較例3)には、入射X線のパルス間隔よりも減衰時間の長い成分(グラフ中のフラットな部分に相当)の割合が多いことが確認された。
図4〜図7及び表2に示した結果から明らかなように、本発明のシンチレータの発光においては2.0ns以下の短寿命成分の割合が95%と、既存のシンチレータを上回る割合であることが確認され、本発明のシンチレータは、高度の時間分解能、計数率を達成することができ、かつ発光が低ノイズであることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、高度の時間分解能、計数率、及び検出効率を達成することができ、かつ発光が低ノイズである高計数率放射線検出器用シンチレータ及びそれを用いた高計数率放射線検出器を提供することが可能となる。

Claims (1)

  1. Cs ZnCl の単結晶を含有し、減衰時間が5.0ns以下の短寿命成分の割合が、全発光に対して90%以上である高計数率放射線検出器用シンチレータと、前記高計数率放射線検出器用シンチレータから発せられた光を受光する光電子増倍管とを備えており、前記Cs ZnCl の単結晶が斜方晶単結晶であり、かつ、計数率が500万〜8000万カウント/秒である、ことを特徴とする高計数率放射線検出器。
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