JP6117118B2 - シリコン系ナノ粉末から水素を生成する方法 - Google Patents

シリコン系ナノ粉末から水素を生成する方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン系ナノ粉末/ナノ粒子の製造に関する。
このようなシリコン系ナノ粉末/ナノ粒子は、様々な用途を有し得る。例えば、このようなシリコン系ナノ粉末/ナノ粒子は、偽造分野では物体のマーキングを識別する手段として使われ、エネルギー分野では水素を貯蔵および生成する目的で使われ、光電変換工学では第3世代太陽電池を製造する目的で使われている。
シリコン基板の化学エッチングまたは電気化学エッチングによる、シリコン系ナノ構造物を製造するための様々な方法が公知である。文献[G. Korotcenkov, B.K. Cho, Crit. Rev. Solid State & Mat. Sci., vol. 35, 2010, pp. 153-260]に、シリコン系ナノ構造物の製造方法の例が記載されている。
シリコンナノ粒子の製造方法の一例は、中にアノードとカソードが配置されたフッ化水素酸浴に単結晶シリコンウエハを浸漬導入することを含んでなる。電流を印加すると、化学反応が起き、その結果、シリコン基板に細孔が形成される。平行して、シリコンナノ構造が水素化される。その後は、多孔質化した(porosified)基板を粉砕するだけで、水素化したナノ粉末の回収が可能である。例えば、水による酸化反応、または熱活性化により、ナノ粉末に含まれている水素を放出することができる。
しかしながら、当業者であれば、上記方法の制限事項を下記の通りいくつか列記することができる。
−第一の制限事項は、ナノ構造物製造方法における比較的高いエネルギー消費量に関する。
−第二の制限事項は、水素放出に必要な著しいエネルギー量に関する。
本発明の目的は、方法のエネルギー消費量を低減し、よってシリコン系ナノ粒子の製造方法の対費用効果を高め、ナノ粉末に含まれる水素の放出に必要な活性化エネルギーを減少させて、ナノ粉末の製造効率を高めることである。
この目的で、本発明は、10重量ppm超の不純物含有量有する冶金級(metallurgical-grade)または改良型冶金級(upgraded metallurgical-grade)のSi基板を電気化学的にエッチングすることを含むことを特徴とする、シリコン系ナノ粉末の製造方法を提供する。
例えば、本発明は、冶金級または改良型冶金級のシリコンから基板を得るという点で優れた、基板を電気化学的にエッチングすることによりシリコン系ナノ粒子を製造する方法に関連し得、この冶金級または改良型冶金級のシリコンは、0.001%超の不純物含有量を含み、前記不純物は、少なくともホウ素、リン、カルシウム、およびアルミニウムを含む。
単体シリコン(elementary silicon)は、不純物含有量に応じて次の3種類に分類できる。
−0.001%超の不純物含有量を有する、冶金級または改良型冶金級のシリコン。
−0.001%〜0.000001%の範囲の不純物含有量を有する、太陽電池級シリコン。
−0.000001%未満の不純物含有量を有する、マイクロ電子級(microelectronic-grade)シリコン。
本発明は、シリコン系ナノ粉末を製造するための、冶金級シリコンまたは改良型冶金級シリコンの使用を提供する。
本発明者は、冶金級または改良型冶金級のシリコンの使用により、ナノ粉末の製造に必要なエネルギー量を低減でき、その理由は、基板に高濃度の不純物と、ある密度の構造欠陥が存在するため、基板の陽極酸化電圧を低減できるからであることを発見した。
さらに、冶金級または改良型冶金級のシリコンは太陽電池級またはマイクロ電子級のシリコンより安価であるため、冶金級または改良型冶金級のシリコンの使用により、方法における製造コストを低減することが可能である。
本発明に係る方法は、以下の好適かつ非限定な態様を有する。
−基板はホウ素を含み、ホウ素濃度は5重量ppm以上であり、好ましくは50重量ppm超である。
−不純物は、少なくともアルミニウム、鉄、カルシウム、リン、およびホウ素を含む。
−不純物であるアルミニウム、鉄、カルシウム、リン、およびホウ素の各々の濃度は、1〜10,000重量ppmの範囲にある。
−基板は以下を含む。
・ホウ素、リン、およびアルミニウム等のドーピング不純物
・鉄、銅、チタン、ニッケル、クロム、およびタングステン等の金属不純物
・10欠陥数 /cm を超える密集度を有する、転位、粒界等の構造欠陥
−基板の電気化学エッチングに使われる電流は、パルス電流である。
−基板の電気化学エッチングに使われる電流密度は、1mA/cm 〜1A/cm の範囲にあり、好ましくは1mA/cm 〜500mA/cm の範囲にあり、好ましくは1mA/cm 〜250mA/cm の範囲にある。
−この方法は、基板の裏面ドーピングの工程をさらに含むことができ、この裏面ドーピングの工程は、以下の下位工程を含む:
・基板の裏面にアルミニウムを堆積させて、アルミニウム層を有する基板を得ることと、
・アルミニウム層を有する基板を焼鈍すること。
−アルミニウム層の厚さは、10nm〜10μmの範囲にある。
−本方法は、焼鈍工程の後にアルミニウム層を除去する工程をさらに含む。
−本方法は、基板の正面ドーピングの工程をさらに含み、この工程は、光放射を生じさせる白色光源を用いて基板の正面を照射することを含む。
本発明者は、冶金級シリコンの使用により、この冶金級シリコンまたは改良型冶金級シリコンから生成されたナノ粉末に含まれる水素の放出に必要なエネルギー量を低減でき、その理由は、高濃度の不純物と高密度の構造欠陥が存在するため、活性化エネルギーを低下させることができるからであることも発見した。
本発明はまた、10重量ppm超の不純物含有量を有する(少なくとも1重量ppmのホウ素、リン、鉄、アルミニウム、およびカルシウムを含む)シリコン系ナノ粉末に関する。
本発明に係る方法により得られるシリコン系ナノ粉末は、特に、より多くの種類の不純物が存在し、そうした様々な種類の不純物がより多くの量で存在することにより、従来技術の方法で得られるナノ粉末と区別することができる。
本発明によるシリコン系ナノ粉末は、以下の好適かつ非限定的な態様を有する。
−ホウ素濃度は5重量ppm以上であり、好ましくは50重量ppm超であり、より好ましくは100重量ppmをさらに超える。
−不純物は、少なくともアルミニウム、鉄、カルシウム、リン、およびホウ素を含む。
−ナノ粉末は、以下の不純物:チタン、クロム、銅、モリブデン、ニッケル、バナジウムのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
−不純物は以下の割合で存在する。
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは5〜20重量ppmの範囲にあるアルミニウム量
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは5〜20重量ppmの範囲にあるカルシウム量
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは20〜80重量ppmの範囲にある鉄量、
・5〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは100〜800重量ppmの範囲にあるホウ素量、
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは100〜800重量ppmの範囲にあるリン量
本発明はまた、水素の生成を目的とした、上記のようなシリコン系ナノ粒子/ナノ粉末の使用に関する。
実際、本発明者は、ナノ粒子に存在する不純物はシリコン系ナノ粒子の機械特性、電気特性、その他の特性に著しく影響するが、水素に対するシリコン系ナノ粒子の親和性は、こうした不純物の存在による影響をほとんど受けないことを発見した。逆に、本発明者は、これらの不純物が存在することにより、水素の放出に必要なエネルギー量を減少させることができることも観察した。
本発明はまた、不純物がより高濃度で存在することにより、電子級または太陽電池級のシリコンを用いて得られるナノ粉末の水素放出に必要なエネルギーよりも低い水素放出エネルギーを有するシリコン系ナノ粉末に関する。
以下の具体的実施例の非限定的説明において、添付の図面すなわち図1〜3に関連して、本発明の他の特徴および利点を詳しく論じる。図1〜3は、冶金級シリコン基板からシリコン系ナノ粒子を製造する方法の様々な例を表している。
冶金級のシリコン基板からシリコン系ナノ粒子を製造する方法の例を示す。 冶金級のシリコン基板からシリコン系ナノ粒子を製造する方法の別の例を示す。 冶金級のシリコン基板からシリコン系ナノ粒子を製造する方法の別の例を示す。
発明の詳細な説明
1.ナノ粒子製造方法
シリコンは、その遊離状態では地球上に存在しないが、シリカ、ケイ酸塩といった酸化物の形態で非常に豊富に存在する。シリコンは、アーク炉内でのシリカの炭素熱還元、すなわち冶金工程により得られ、その純度は、下流で適用される精製処理作業に依存する。シリコンの純度は次の3つに分類できる。
・シリカの炭素熱還元の後で直接得られる冶金級のシリコン(「MG−Si」として知られる)(純度範囲は98〜99.9%、すなわち不純物含有量は1,000重量ppm超)
・一般にMG−Siから簡易ジーメンス法等の気相化学工程により得られる太陽電池級のシリコン(「SoG−Si」として知られる)(純度は99.9999%超、すなわち不純物含有量は約1重量ppm)
・同様に気相化学工程を用いるが、より高純度にするため、より複雑な気相化学工程で得られる電子級シリコン(「EG−Si」として知られる)(純度は99.9999999%、すなわち不純物含有量は約1ppb)
改良型冶金級シリコン(または「UMG−Si」)等の、シリコンの他の下位クラスも存在する。UMG−Siは、連続的冶金方法(スラグ精錬、分離等)による追加の精製処理作業に供された冶金級シリコンから得られる。このような連続した冶金工程により、MG−Siより高純度かつソーラーグレードSi(SoG)より低純度のシリコンが得られる。改良型冶金級シリコンは、通常は99.99%程度の純度(すなわち、約100重量ppmの不純物含有量)を有し、場合によっては99.999%程度の純度(すなわち、約10重量ppmの不純物含有量)を有することもある。
次に、このような冶金級または改良型冶金級シリコンを、多結晶シリコンインゴット(mc−Si)の形態に成形する。多結晶シリコンインゴットは、るつぼの中で形成する。このるつぼは、一般にシリカで作られ、内壁が窒化ケイ素層で覆われている。このSi3N4堆積物は離型剤であり、液体シリコンがるつぼに張り付くのを回避すると同時に、シリコンブロック内にひずみが生じるのを回避する。シリコンを充填したるつぼを、今度は溶解炉に入れ、1,430℃に熱してシリコンを溶解させる。その後徐々に冷やして、シリコン融液のブロック固化を生じさせる。
得られたブロックは多結晶インゴットと呼ばれ、ワイヤソーを用いてレンガ状に切り分けられ、さらにウエハへと切り分けられる。この手法の原理は、4つのワイヤガイドに数百回巻かれた送信コイルにより提供される直径160μm程度のスチールワイヤを使用することにより、シートを形成することを含む。このワイヤ(毎秒約10メートルの速度で駆動される)は、シート上に注がれる油と研磨剤(SiC粒子) の混合物またはポリエチレングリコール(PEG)と研磨剤の混合物(「スラリー」とも呼ばれる)の媒体として使われ、シートを横切るシリコンブロックを切断して、粗研磨する。より最近の他の鋸はダイヤモンドワイヤ、すなわちワイヤ表面にダイヤモンド粒子が固定されたワイヤを使用して、より高速な鋸加工を可能にしている。この方法により、様々な厚さのウエハを容易に得ることができる。
この他に、鋸加工の工程を用いずに多結晶シリコンウエハを直接取得する方法(例えばストリップ凝固)もある。この場合、この最終の技術的選択肢は、シリコン結晶化工程と成形工程を組み合わせるものであり、鋸加工による材料損失を最小化するという利点がある。平面状または管状の支持体上でシリコンストリップを駆動することにより、溶解したシリコン融液から多結晶シリコンが得られる。
次に、前に取得したシリコンウエハを電気化学的にエッチングする工程を行う。
電気化学エッチングでシリコンナノ構造体を製造する既存の方法では、一般に太陽電池級、場合によっては電子級のシリコンを用いて、シリコン系ナノ粉末/ナノ粒子を得る。
実際、このタイプの基板は、その体積全体を通じて均質な電気抵抗性を有する。当業者の間では、シリコン系ナノ粉末/ナノ粒子を提供する均質な電気化学エッチングを有するには、高純度の基板が必要であると考えられている。
当業者の知識に基づけば、冶金級シリコンを電気化学エッチングした場合、ナノ粉末/ナノ粒子の機能性の面で再現可能かつ制御されるシリコン系ナノ粉末/ナノ粒子を製造できるはずがない。その理由は、不純物が高濃度で存在し、冶金級シリコン基板が(化学組成と結晶化度の面で)不均質であるからである。
さらに、当業者の想定では、ナノ粒子中に不純物が存在することは、当該粉末の物理特性、機械特性、および電子特性を低下させるため、ナノ粒子の公知の用途に対して不適当である。
このため、シリコン系ナノ粒子を製造するための現在の方法は、一般に、高純度かつ均質のシリコン基板、すなわち太陽電池級または電子級のシリコン基板を使用している。
現在のところ、太陽電池級Siまたは電子級Siからナノ構造を製造する工程のエネルギー消費量は比較的高く、水素放出に必要なエネルギー量も高い。
さらに、高純度の基板には軽微ではないコストがかかり、シリコン系ナノ粒子の製造工程の費用対効果を低下させている。
本発明は、既存の製造方法よりも費用対効果の高いシリコン系ナノ粒子製造方法を提供する。
より具体的には、本発明は、冶金級(MG−Si)または改良型冶金級(UMG−Si)の基板からシリコン系ナノ粉末/ナノ粒子を製造する方法を提供する。
図2を参照すると、シリコン系ナノ粒子製造方法の第1の変形が図示されており、ここでは、冶金級または改良型冶金級のシリコン基板7、好ましくはバルク基板のエッチングによりナノ粒子を得る。
本発明との関連において、「冶金級のシリコン」とは、0.001%超の不純物含有量を有するシリコン基板を意味する。
本発明との関連において、「バルク基板」とは、互いに(共有結合により)化学結合しているシリコン原子(Si)で主として形成され、そのサイズの少なくとも1つの線寸法(高さ、幅、長さ、直径等)が1mm超である、任意の化学化合物を意味する。
冶金級または改良型冶金級のシリコン7を、電気化学的にエッチングする。例えば、少なくとも1つの酸(例えばフッ化水素酸)を含む電解液5に、冶金級または改良型冶金級のシリコン7を接触させている間の電気化学エッチングにより、エッチングが行われる。
この基板は電流を通す。電流密度、化学組成、電解液濃度、圧力、周囲温度等のエッチングパラメータは、ニーズ(エッチング速度、多孔度等)に応じて選定する。エッチングパラメータについては、下記でさらに詳しく述べる。
このようにしてシリコン系ナノ構造物が得られる。エッチングパラメータの選定については、このナノ構造を粉砕したとき、ナノ粒子の大きさが100ナノメートル以下となるように、優先的には50ナノメートル以下となるように、より優先的には、さらに20ナノメートル以下となるように選定する。
冶金シリコンからのナノ粒子の製造に対する当業者の一般的認識に反して、本発明者は、冶金級のシリコンに高濃度の不純物が存在することにより、基板の陽極酸化電圧(電気化学セルのカソードとアノードの間に印加される電圧)を低下させることができ、その結果、工程のエネルギー集約性が低下し、よって費用対効果が高まることを発見した。
本発明者はさらに、このような陽極酸化電圧の低下の原因が、基板に非常に高濃度の不純物と構造欠陥(転位、粒界等)が存在することにあり、ゆえに基板の表面抵抗の低下を可能にしていることも発見した。
実際、同等条件の電気化学的な陽極酸化を、電子グレードシリコンと冶金級Siウエハで比較すると、冶金Siの場合の陽極酸化電圧のほうが大幅に低い。このことから、この電圧を上昇させずに、すなわち、一単位厚さの基板のエッチング時に消費する電力を上昇させずに、はるかに厚さの大きいウエハをエッチングすることを予期できる。
例えば、裏面のオーミック接触なしに、単結晶Siウエハ面の電流密度を200mA/cm に維持することにより(p型、方位100、厚さ500μm、ρ =3mΩ・cm、陽極酸化表面60cm )、陽極酸化電圧の平均値は10.5Vになる。ところが、多結晶冶金Si(p型、ランダム方位)のエッチング時の陽極酸化電圧は、体積抵抗が2倍(ρ =6mΩ・cm)、厚さが20倍(1cm)、さらに裏面のオーミック接触がない場合でも、(同一の電流密度とエッチング表面積値に対して)9.5Vと上記より低い。
このことは、冶金Si基板に不純物と構造欠陥が存在しているため、陽極酸化基板の両方の境界面(電解液側と、裏面のドライ電極側)の接触抵抗が大幅に減少したことで説明できる。
実際、これらの2つの境界部に不純物が存在することにより、裏側またはアノード側の電気キャリア注入エネルギー(electric carrier injection energy)を減少させ、かつナノ細孔生成時の化学電気エッチング工程の活性化エネルギーを減少させることが可能になる。実際、単結晶Siの表面に堆積した金属(例えばAg、Al、Fe、Pt等)を使用すると、酸化剤の存在下でのHF酸中の化学的エッチングを容易化できる(場合によっては非常に効率的になる)ことが公知である。例えば以下の文献:a)Douani et al., Phys Stat. Sol A, vol. 205, 2008, p. 225;b)Hadjersi et al., Thin Solid Films, vol. 459, 2004, p. 271;c)Li et al., Appl. Phys. Lett., vol. 77, 2000, p. 2572を参照のこと。
したがって、冶金基板中の不純物の濃度が高いほど、ナノ粒子の製造に必要なエネルギーが低くなり、ナノ粒子でなくシリコンクラスターを形成するリスクが低下する。
冶金級シリコンは、以下のような複数種の不純物を含む。
・ホウ素、リン、アルミニウム等のドーピング不純物
・鉄、銅、チタン、ニッケル、クロム、タングステン等の金属不純物
・転位、粒界等の結晶欠陥
冶金級シリコンは、これらの複数種の不純物を含むことができる。本発明との関連において、「不純物を含む」とは、極微量よりも高濃度のある種類の不純物を含むことを意味し、「極微量」という概念は、1ppb程度の含有量、好ましくは1重量ppm程度の含有量を指す。
好ましくは、ナノ粒子の製造に使われるシリコン基板は、少なくともカルシウム、鉄、リン、アルミニウム、およびホウ素を含んでなる。不純物であるアルミニウム、カルシウム、リン、およびホウ素の各々の濃度は、1〜10,000重量ppmの範囲にあってよい。
基板のホウ素濃度は、好ましくは5重量ppm以上であり、より好ましくは、50重量ppmをさらに超える。
冶金級のシリコン基板、特に、不純物の含有量がより少ない改良型冶金級のシリコン基板の電気化学エッチングの質を改善するため、本発明の方法は、基板の少なくとも1つの面、特に基板の裏面にドーピングすることを含むことができる。また、この製造方法は、向かい合う2つの面、例えば基板の正面と裏面71、72での基板ドーピングを含むこともできる。当然ながら、改良型冶金級シリコン(UMG−Si)のエッチングとの関連で後述するこのようなドーピング工程を、冶金級シリコン(MG−Si)のエッチングに適用してよい。
基板の裏面および/または正面にドーピングすることにより、改良型冶金級シリコン基板の表面導電性を均質化できるため、バルク改良型冶金級シリコン基板7の電気化学エッチングの質が改善されて、シリコン系ナノ粒子が得られる。
一実施形態では、基板7の裏面72にアルミニウム層6を堆積させ、アルミニウム層6を有する基板7を焼鈍することにより、裏面ドーピングを行う。焼鈍工程を実施することにより、改良型冶金級シリコン基板7の厚み全体にアルミニウムを拡散させて、基板の導電性を改善することができる。
この堆積は、当業者に知られている様々な手法で実施できる。例えば、スパッタリング、あるいは電解析出手法により基板7にアルミニウムを堆積させることもできる。
焼鈍工程の継続時間は、例えばアルミニウム層の厚さによって異なり得る。好ましくは、焼鈍工程の継続時間は1分〜1時間の範囲にある。
正面ドーピング71は、様々な手法により実施できる。一実施形態では、光放射を生じさせる白色光源を用いた正面の照射を提供する。この場合、電気化学エッチングの最初から、基板7の正面71を照射する。
基板7の正面71を照射することにより、光誘導抵抗性を均質化でき、かつ正面の良好な導電性を確保できる。
以下、本発明の別の実施形態の動作原理をさらに詳しく述べる。
第1工程において、改良型冶金級シリコン基板7の裏面72に、アルミニウム等の金属層6を堆積させる(任意の工程)。
次に、アルミニウム層6を有する基板7を焼鈍する。焼鈍中に、アルミニウムが基板7内に拡散する。これにより、基板7の裏面72の導電性を均質化することができる。
焼鈍工程の後、アルミニウム層を除去することが可能である。この工程の実施は、同一浴で電気化学エッチングを行うことが所望される基板の数に依存する。
例えば、単一基板をエッチングすることが所望される場合は、アルミニウム層6を除去する必要はない。この場合、図2に示すように、アルミニウム表面とフッ化水素酸溶液を接触させずに、フッ化水素酸浴内に基板7を横に配置することが可能である。
これに対して、いくつかの基板をフッ化水素酸浴中で平行してエッチングすることが所望される場合には、好ましくは各基板7のアルミニウム層を除去し、図3に示すように、フッ化水素酸浴5内で基板を縦に配置する。
上記の通り、アルミニウム層を堆積させ、焼鈍し、場合によっては除去する工程は任意であり、基板の裏面の表面導電性を改善することを可能にするものである。
裏面ドーピング化改良型冶金級シリコン基板を、今度はフッ化水素酸溶液5内に配置する。
所望により、基板(複数可)7の正面71を、白色光放射を発するランプ等の白色光源を用いて照射する。
最後に、フッ化水素酸溶液5に電流を印加する。すると、基板7(場合によっては両面71,72にドーピングした基板)の電気化学エッチングが開始し、シリコン系ナノ粒子が得られる。
電気化学的な陽極酸化を実施した後は、多孔質化しシリコンナノ構造体を含有する基板が入手可能になる。次に、この基板を粉砕することにより、水素化されたシリコン系ナノ粉末が得られる(仏国特許出願公開第2858313号を参照)。
終わりに、本発明者は、冶金級または改良型冶金クレードのシリコンの使用により、この冶金級または改良型冶金級シリコンから生成された、水素化されたナノ粉末に含まれる水素の放出に必要なエネルギー量を低減でき、その理由は、高濃度の不純物と高密度の構造欠陥が存在するため、活性化エネルギーを低減できるからであることも発見した。
好ましくは、シリコン系ナノ粉末は、10重量ppm超の不純物(例えば、少なくとも1重量ppmのホウ素、リン、鉄、アルミニウム、およびカルシウム)を含む。本発明の別の実施形態によれば、ナノ粉末に含まれる不純物は、5重量ppm以上の濃度、好ましくは50重量ppm超、好ましくは100重量ppmをさらに超える濃度のホウ素を含むことができる。本発明のさらに別の実施形態によれば、ナノ粉末に含まれる不純物は、少なくともアルミニウム、鉄、カルシウム、リン、およびホウ素を含むことができる。さらに、ナノ粉末は、以下の不純物:チタン、クロム、銅、モリブデン、ニッケル、バナジウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。本発明のある実施形態では、ナノ粉末は、上記で言及されている不純物を以下の割合で含むことができる。
・1〜5,000重量ppmの範囲にあるアルミニウム量
・1〜5,000重量ppmの範囲にあるカルシウム量
・1〜5,000重量ppmの範囲にある鉄量
・5〜5,000重量ppmの範囲にあるホウ素量
・1〜5,000重量ppmの範囲にあるリン量
本発明に係る方法で得られるシリコン系ナノ粉末は、特に、より多くの不純物がより多くの量で存在することにより、従来技術の工程で得られるナノ粉末と区別することができる。
実際、Siの表面に存在する金属原子は、酸性環境において酸化剤の存在下でSiの化学反応を触媒することが公知となっている。したがって、水素生成を可能にする酸化環境(いくぶん塩基性)における冶金級Siナノ粉末の酸化は、冶金級Si粉末に不純物が存在することから、この反応の時定数特性が減少することにより、酸化効率が高くなると想定できる。
以下、本発明の様々な実施形態と、本発明で得られる結果を開示する。
1.実施例
1.1 使用する基板
上記で示した通り、冶金級シリコンは、電気アーク炉内のシリカの炭素熱還元により工業的に得られる。冶金級シリコンは、一般に、少なくとも98%のシリコンを含有し、さらに主元素として、鉄、アルミニウム、カルシウム、チタンを含有する。また、冶金級シリコンは、ある一定量の酸素、炭素、および他の元素、例えばリン、ホウ素、ニッケル、バナジウム等も、0.1%未満の含有量で含有する。
冶金級シリコンに含まれる不純物の種類と濃度は、選定された最初の石英、使用する還元剤(コークス、木炭、無煙炭等)、およびアーク炉から排出したときの鋳造に続く処理によって大きく異なる。
以下に述べる工程の様々な実施形態では、以下の組成を有する冶金級シリコンを使用する。
・アルミニウム(Al)=0.237%
・ホウ素(B)=57.4重量ppm
・カルシウム(Ca)=0.335%
・クロム(Cr)=13.3重量ppm
・銅(Cu)=40.9重量ppm
・鉄(Fe)>0.4%
・ニッケル(Ni)=<2重量ppm
・リン(P)=23.7重量ppm
・チタン(Ti)=測定されない
・バナジウム(V)=9.7重量ppm
・モリブデン(Mo)=<2重量ppm
・ジルコニウム(Zr)=19.5重量ppm
次に、冶金級シリコンをシリカるつぼに充填し、溶解/凝固炉内に置き、溶解させ、多結晶インゴットの形態で結晶化させる。次に、ワイヤソーによりインゴットをレンガ状に切り分け、ウエハへと切り分ける。
加えて、後述する様々な変形で使用する切断済み冶金級シリコンウエハの特性は、次の通りである。
・抵抗率(ρ ):5〜7mΩ・cm、p型、同一ウエハ内で著しいドーピング差がある場合がある(4点プローブ法で測定)
・Siウエハの寸法:70mm×70mm×10mm
・結晶方位:多結晶
・正面および裏面は未研磨
この基板例は何ら限定的ではなく、異なる組成の冶金級シリコン基板も使用できることは、当業者には自明であるはずである。
次に、これらの冶金級シリコンウエハを以下の実施形態に従って陽極酸化する。
1.2 実施形態1
陽極酸化条件:
・撹拌:通常の撹拌を実施
・電解液:体積比1:1のHF(48%):エタノール
・電解液再利用:0回
・電流密度J=200mA/cm2
・I=4.0A
・パルス電流:999.9秒オン、0.1秒オフ
・初期電圧V0=11.4V
・終止電圧Vt=7.4V
・総エッチング時間:99分
・エッチング速度計算値=7.5μm/分
・電極タイプ:金
・純粋エタノール(×5)でナノ粒子を5回すすいだ後、水およびアルカリ1%中でウエハを洗浄(2分浸漬)
陽極酸化した後は、基板を粉砕することでナノ粉末が得られる。
この第1実施形態では、112mgに相当する質量のナノ粒子が得られた。
初期のシリコンウエハの多数の層をエッチングしたことに留意すべきである。すなわち、方法におけるパラメータを変えることによって、本方法の効率を改善することができる。
最終的に、大量の電解液が蒸発した。すなわち、過度に大量のエネルギーが供給されたことにより、電解液温度の上昇が誘発された。
1.3 実施形態2
陽極酸化条件:
・撹拌:通常の撹拌を実施
・電解液:体積比1:1のHF(48%):エタノール
・電解液再利用:0回
・J=200mA/cm2
・I=4.0A
・V0=11.4V
・Vt=7.4V
・パルス電流:1秒オン、1秒オフ
・総時間:99分
・エッチング速度計算値=3.6μm/分
・金電極
・すすぎ:純粋エタノール(×5)の後、水およびアルカリ1%中でウエハを洗浄(2分)
陽極酸化した後は、基板を粉砕することでナノ粉末が得られる。
この第2実施形態では、192mgに相当する質量のナノ粒子が得られ、第1実施形態の質量を上回った。
第1実施形態より小さい厚み全体に冶金級シリコンウエハをエッチングしたことにより、効率が改善されている。
最終的に、電解液の蒸発量が低下した。
1.4 実施形態3
陽極酸化条件:
・撹拌:通常の撹拌を実施
・電解液:体積比1:1のHF(48%):エタノール
・電解液再利用:0回
・J=200mA/cm2
・I=4.0A
・V0=11.4V
・Vt=7.4V
・パルス電流:1秒オン、2秒オフ
・総時間:99分
・エッチング速度計算値=2.9μm/分
・金電極
・すすぎ:純粋エタノール(×5)の後、水およびアルカリ1%中でウエハを洗浄(2分)
陽極酸化した後は、基板を粉砕することでナノ粉末が得られる。
この第3実施形態では、155mgに相当する質量のナノ粒子が得られた。第1実施形態より小さい厚み全体に冶金級シリコンウエハをエッチングしたことにより、効率が改善されている。
最終的に、電解液の蒸発量が低下した。
2.エッチングパラメータに関する結論
電流に関連するパラメータを変えて実施した上記の3つの実施形態から、以下の比較表が得られる。
Figure 0006117118
これらの3つの実施形態から、次のように推論することができる。
・デューティ周期1/2のパルス電流の使用、および/または
・1秒〜4秒の周期、好ましくは2秒に相当する周期を有するパルス電流の使用、
がエッチング効率の改善を可能にする。
次に、電流密度の値を変えて、工程終了時に得られる効率に与える電流密度値の影響を観察した。
以下の結果が得られた。
Figure 0006117118
1mA/cm 〜1A/cm の範囲の電流密度を用いて本工程を実施でき、好ましくは1mA/cm 〜500mA/cm の範囲、優先的には1mA/cm 〜250mA/cm の範囲、より優先的にはさらに150mA/cm と同等の電流密度を用いて、本工程を実施できる。
以下の範囲の電流密度に関しては、次のように観察できる。
・1〜50mA/cm は、エッチング速度が低い。
・250〜300は、エッチング速度が高い。
所与の量のナノ粒子を得るには、エッチング速度が低いほど、方法の実施時間を長くする必要がある。
形成されたナノ粒子が工程の進行と共に溶解するため、エッチング速度が高いほど損失が多くなり、よって損失が多いほど本方法の効率が低下する。100〜150mA/cm の範囲の電流密度が、速度とナノ粒子生成の双方を非常に上手く満足させることが観察できる。
3.得られたナノ粒子の組成
2.1項に記載の基板から得たナノ粒子の組成を分析した。この組成は次の通りである。
・アルミニウム(Al)=10.8重量ppm
・カルシウム(Ca)=13.3重量ppm
・鉄(Fe)=56.8重量ppm
・リン(P)=10重量ppm
・チタン(Ti)=<2重量ppm、
・クロム(Cr)=4.5重量ppm
・銅(Cu)=13.8重量ppm
・モリブデン(Mo)=<2重量ppm
・ニッケル(Ni)=3.5重量ppm
・バナジウム(V)=<2重量ppm
・ホウ素(B)=246重量ppm
・マンガン(Mn)=<5重量ppm
本方法を実施するために使われた初期の冶金級シリコンの組成によってこの組成が変化し得ることは、当業者には自明のはずである。
いずれの場合も、冶金級シリコンの電気化学エッチングにより得られるシリコン系ナノ粒子は、以下の不純物:アルミニウム、カルシウム、リン、およびホウ素を含む。
ここでも、「不純物を含む」とは、極微量よりも高濃度の、ある種類の不純物を含んでなることを意味する。
不純物であるアルミニウム、カルシウム、リン、およびホウ素は、例えば以下の割合で存在し得る。
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは5〜300重量ppmの範囲にあるアルミニウム量
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは5〜300重量ppmの範囲にあるカルシウム量
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは5〜300重量ppmの範囲にある鉄量
・5〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは100〜800重量ppmの範囲にあるホウ素量
・1〜5,000重量ppmの範囲、好ましくは100〜800重量ppmの範囲にあるリン量
ホウ素濃度は、5重量ppm以上、好ましくは50重量ppm超、より好ましくは100重量ppmをさらに超える濃度であり得る。
ナノ粉末は、以下の不純物:リン、チタン、クロム、銅、モリブデン、ニッケル、バナジウムのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
4.考えられる用途例
次に、本発明者は、本発明に係る方法で得たナノ粒子を使用して水素(H2)を生成した。
ゆえに本発明者は、ナノ粒子に存在する不純物はシリコン系ナノ粒子の機械特性、電気特性、その他の特性に著しく影響するが、水素に対するシリコン系ナノ粒子の親和性は、こうした不純物の存在による影響をほとんど受けないことを発見した。
したがって、本発明による工程を実施して得られるナノ粒子を用いて、仏国特許出願公開第2858313号に記載のように水素を生成することができる。
特に、上記のナノ粒子で形成され、水素を貯蔵できる物質を含む、水素貯蔵容器を提供することができる。
本発明に係る方法を使用すれば、シリコン系ナノ粒子を大量に、かつ低コストで容易に生産することができる。
当然ながら、上記実施例は非限定的な具体的実例に過ぎない。
例えば、UMG1型またはUMG2型の改良型冶金級シリコン基板を用いて、上記の工程を実施することができる。

Claims (14)

  1. シリコン系ナノ粉末から水素を生成する方法であって、
    10重量ppmを超える不純物含有量を有する冶金級または改良型冶金級のSi基板(7)を準備する工程と、
    前記基板(7)を電気化学的にエッチングし、電子級または太陽電池級のシリコンにより得られるシリコン粉末に比べて、低い水素放出エネルギーを有するシリコン系ナノ粉末を形成させる工程と、
    前記シリコン系ナノ粉末から水素を生成する工程と、
    を含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記基板はホウ素を含んでなり、該ホウ素の濃度は5重量ppm以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記基板はホウ素を含んでなり、該ホウ素の濃度は50重量ppm以上である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記不純物は、アルミニウム、鉄、カルシウム、リン、およびホウ素を含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記不純物アルミニウム、鉄、カルシウム、リン、およびホウ素の各々の濃度は1〜10,000重量ppmの範囲にある、請求項4に記載の方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法であって、
    前記基板が:
    ・ホウ素、リン、およびアルミニウムから選択されるドーピング不純物、
    ・鉄、銅、チタン、ニッケル、クロム、およびタングステンから選択される金属不純物を含み、
    前記基板が、10欠陥数/cmを超える密度の転位、粒界の構造欠陥を有する、方法。
  7. 前記基板の電気化学エッチングに使われる電流はパルス電流である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記基板の電気化学エッチングに使われる電流密度は、1mA/cm〜1A/cmの範囲にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記基板の電気化学エッチングに使われる電流密度は、1mA/cm〜500mA/cmの範囲にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記基板の電気化学エッチングに使われる電流密度は、1mA/cm〜250mA/cmの範囲にある、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記基板の裏面ドーピングの工程をさらに含み、該裏面ドーピング工程は、以下の下位工程:
    ・前記基板(7)の裏面(72)にアルミニウムを堆積させて、アルミニウム層(6)を有する基板を得ること、および
    ・前記アルミニウム層(6)を有する前記基板(7)を焼鈍することと、
    を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記アルミニウム層(6)の厚さは10nm〜10μmの範囲にある、請求項11に記載の方法。
  13. 前記焼鈍工程の後に前記アルミニウム層(6)を除去する工程をさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記基板の正面ドーピングの工程をさらに含み、該工程は、光放射を生成する白色光源を用いて前記基板(7)の正面(71)を照射することを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
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