JP6116596B2 - ウイルス性疾患の治療のための成分および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生物医学の分野に属する。より具体的には、本発明は、ウイルス性疾患の治療のための組成物および方法に関する。
手足口病(HFMD)は、西太平洋地域における一般的なウイルス感染であり、中国およびアジアにおける主な死因および小児疾患である。2011年に、西太平洋地域においてHFMDを患っている小児は200万人いた(中国で160万人を超え、日本で34万人を超え、ベトナムで1100万を超える)。過去20年間で、2〜3年に1回、夏および初秋に温帯気候の国々において集団発生した(Solomon,Lewthwaite et al.2010)。中国本土では、2008年以来、春および夏ごとに発生している。
HFMDは、5歳未満の小児に主に発症する。主な症状は、口内炎、手足口の痛み、口の痛みおよび炎症(ヘルペスアンギーナ)を含む。ほとんどの症例は軽い症状を示すのみであり、自然治癒するである。しかしながら、数多くの症例が未だ存在し(2010年に、中国において、27000を超える症例(約1.6%))、重度の神経症状、例えば、無菌性髄膜炎、脳炎、およびポリオのような麻痺、および、中枢神経障害および神経原性肺水腫および心機能不全を示した(Huang,Liu et al.1999;Yang,Wang et al.2009;Weng,Chen et al.2010;Rhoades,Tabor−Godwin et al.2011)。中国で2010年および2011年に、それぞれ905および506の死亡例が生じた。
HFMDは、非ポリオエンテロウイルスによって引き起こされる。2008年の安徽省におけるHFMD発症の原因の主な病原ウイルスは、EV71およびCVA16であった(Yan,Gao et al.;Zhang,Wang et al.2010;Zhu,Zhu et al.2010)。重症例および死亡例の大部分は、EV71感染に起因するものであった。EV71のC4サブタイプは、中国における主な流行株であり、一方、EV71のC1、C2、C4、B3、およびB4サブタイプは、アジアの他の地域における流行株である(Yang,Ren et al.2009)。
HFMDは、感染者からの口および鼻の分泌物、水疱液、および排泄物との直接接触により、患者から人々に広がる(Solomon,Lewthwaite et al.2010)。感染者は疾患の発症後1週間が最も感染性であるが、接触感染性は、症状が進行した後もなお持続する(Han,Ma et al.2010)。多くの感染者(大部分の感染した成人を含む)は、症状を有さない。口の発疹がある小児は、臨床的および引き続きのウイルス学的診断を介して、診断がよりされやすい。
現在のところ、HFMDのワクチンおよび薬は利用可能でない。患者を治療する、および、拡散を防ぐための唯一の方法は、衛生、支持療法、疼痛緩和、うがい薬、および静脈内免疫グロブリン(中国衛生部2010)である。ワクチンが開発中であるが、しかしながら、予防効果は未知のままであり、大スケールのワクチン接種が実施されるためには、未だ長期間が必要である。
したがって、当該分野において、HFMDを予防および治療することのできる薬を開発する、特に、EV71およびCVA16ウイルス感染を阻害して根本からの予防および治療を達成する薬を開発する、緊急の必要性がある。
本発明の目的は、ウイルス性疾患の治療のための組成物および方法を提供することである。
本発明の第1の態様では、ポジティブセンス一本鎖RNAピコルナウイルスを阻害するための組成物の調製のための、P2X受容体アンタゴニストの使用を提供する。
好ましい実施態様では、P2X受容体アンタゴニストは、HFMDを予防、緩和、または治療するための組成物の調製に用いられる。
別の好ましい実施態様では、組成物は、全身投与または非経口投与にも用いられ;好ましくは、組成物は、経口投与、静脈内注射、筋肉内注射、または吸入に用いられる。
本発明の別の態様では、有効量のP2X受容体アンタゴニストを、それを必要とする対象に投与するステップを含む、ポジティブセンス一本鎖RNAピコルナウイルスを阻害する方法を提供する。
好ましい実施態様では、対象は、ウイルスに感染した哺乳類であり、エンテロウイルス71またはコクサッキーウイルスに感染したヒト、サル、またはマウスなどを含み、好ましくは、HFMDを有する対象である。
別の好ましい実施態様では、P2X受容体アンタゴニストは、PPADS、iso−PPADS、PPNDS、スラミン、NF023、TNP−ATP、NF279、NF157、エバンスブルー、および/またはそれらの類似体またはそれらの誘導体、および/または薬学的に許容できるそれらの塩からなる群より選択される。
別の好ましい実施態様では、ウイルスは、エンテロウイルスである。
別の好ましい実施態様では、ウイルスは、エンテロウイルスAである。
別の好ましい実施態様では、ウイルスは、ヒトエンテロウイルス71およびコクサッキーウイルスである。
さらに好ましくは、ウイルスは、ヒトエンテロウイルス71のC4サブタイプおよびコクサッキーウイルスのA16サブタイプである。
本明細書中の開示に起因して、本発明の他の態様が、当業者にとって明らかである。
異なるE02濃度において、EV71臨床分離株を用いて、0.1のMOIでRD細胞に感染させたことを示す。46時間のインキュベーション後、培養上清中のウイルスRNAを抽出した。相対的なEV71ウイルス量を定量RT−PCRにより決定した。表のカラム2、3、4における数字は、3回の繰り返し試験から得られた結果を表す。右側のパネルは、3回の結果の平均値を示す。 異なるE02濃度において、10倍段階希釈でのEV71を用いてRD細胞に感染させたことを示す。3〜4日間のインキュベーション後、CPE(細胞変性効果)を光学顕微鏡の下で観察し、クリスタルバイオレットで染色して50%の組織培養感染量を計算した(TCID50)。 異なるE02濃度において、EV71を用いて、12ウェルプレート中で培養したRD細胞に感染させたことを示す。5〜7日間のインキュベーション後、染色してプラーク形成単位(PFU)を計算した。 異なるE02濃度において、10倍段階希釈でのEV71 M.A.V.を用いてRD細胞に感染させたことを示す。3〜4日間のインキュベーション後、CPEを光学顕微鏡の下で観察し、クリスタルバイオレットで染色して50%の組織培養感染量を計算した(TCID50)。 異なるE02濃度において、EV71 M.A.V.を用いて、12ウェルプレート中で培養したRD細胞に感染させたことを示す。5〜7日間のインキュベーション後に染色し、プラーク形成単位(PFU)を計算した。 異なるE02濃度において、10倍段階希釈でのコクサッキーウイルスA16を用いてRD細胞に感染させたことを示す。2日間のインキュベーション後、CPEを光学顕微鏡の下で観察し、クリスタルバイオレットで染色して50%の組織培養感染量を計算した(TCID50)。 EV71臨床分離株を3日齢の新生ICRマウスに感染させたことを示す。感染の5日後、血液を回収し、血清を分離した。血清中のウイルスRNAを抽出した。ウイルス量を、ワンステップのリアルタイム定量RT−PCRにより決定した。 ICR新生マウスの様々な器官または組織における、CVA16の分布を示す。ここで、1番および2番は、それぞれ2匹のマウスから得られた血液サンプルを示す。 CVA16を3日齢の新生ICRマウスに感染させたことを示す。感染の6日後に組織を得て、血液を回収し、血清を分離した。組織および血清からRNAを抽出した。CVA16 RNAを測定してウイルス量を計算した。 Celltiter Glo試薬を用いて決定された異なるE02濃度での、RD細胞の細胞毒性を示す。 50μlの50mg/kgのE02、20mg/kgのE02、または50μlのDMEMの投与量で、連続して4日間、毎日、3日齢のICRマウスに腹腔内注射したことを示す。毒性結果を観察した。 E02添加時間アッセイの試験を示す。E02がEV71感染を阻害する能力を、感染前(B、C)、感染中(D、E)、および感染後(F)にそれぞれE02を添加することにより試験した。 異なるPPADS濃度において、EV71臨床分離株を用いてRD細胞に感染させたことを示す。EV71複製に対するPPADSの阻害能力を決定した。 RD細胞において、6つのP2XサブタイプのmRNA発現レベルをRT−PCR法により決定したことを示す。 RD細胞において、EV71分離株SH−TSおよびSH−RSの複製を、E02が阻害することを示す。 RD細胞において、EV71分離株SH−TS、SH−RSのPFUを、E02が減少させることを示す。 Vero細胞において、EV71分離株SEP−4の複製を、E02が阻害することを示す。 アカゲザルにおいてインビボで、E02が、EV71の複製を阻害することを示す。 アカゲザルにおいて、E02が、EV71に起因する体温上昇を阻害することを示す。 RD細胞において、P2X受容体アンタゴニストが、EV71複製を阻害することを示す。 EV71に対する、他のアンタゴニストおよびアゴニストの効果を示す。
鋭意研究の結果、本発明者らは、ウイルス組成物の調製のためのP2X受容体アンタゴニストの新規な使用を、始めて明らかにした。P2X受容体アンタゴニストは、ウイルスを阻害することにより、HFMDに対する予防または治療効果を達成する。
P2X受容体アンタゴニストおよびその使用
P2Xは、細胞膜上に発現されるATP依存性イオンチャネルファミリータンパク質のクラスであり、通常、細胞外ドメイン、2つの膜貫通ドメイン、および2つの細胞内ドメインにより形成される同種または異種の三量体である。P2Xファミリーは、7つのサブタイプを含む。細胞外ATPが引き金となって、P2Xイオンチャネルが開き、カルシウムイオンの流入および細胞内のカルシウム蓄積を引き起こす。一連の下流のシグナル伝達が、MAPK、PKC、およびカルモジュリンを介して活性化される(Erb,Liao et al.2006)。
綿密な研究の後、本発明者らは、一部のP2X受容体アンタゴニストが、ウイルスの阻害に有用であることを見いだした。ウイルスは、ポジティブセンス一本鎖RNAピコルナウイルスファミリーのウイルスであり、アフトウイルス、アビヘパトウイルス、カルジオウイルス、タイロウイルス、エンテロウイルス、エルボウイルス、へパトウイルス、コブウイルス、パレコウイルスなどを含み;好ましくは、ウイルスは、エンテロウイルスであり、エンテロウイルスのA〜Hクラス、ライノウイルスA〜Cを含み;好ましくは、ウイルスはエンテロウイルスAであり、ヒヒのエンテロウイルス、ヒトのコクサッキーウイルスのタイプA2〜8、A10、A12、A14、A16、ヒトのエンテロウイルスのタイプ71、76、89、90〜92などを含み;好ましくは、エンテロウイルス71(EV71)(サブタイプA、B、およびCを含む)、コクサッキーウイルス(クラスAおよびBを含み、好ましくは、A16サブタイプ;CVA16を含む)を含む。
エンテロウイルス71またはコクサッキーウイルスA16の感染が、HFMDの主な原因であることが知られている。中国衛生部により発行された研究「手足口病の治療ガイドライン(Hand Foot and Mouth Disease Treatment Guidelines)(2010年版)」、および、多くの発行された研究は全て、EV71およびCVA16が主な病原体であることを示す。したがって、P2X受容体アンタゴニストを、HFMDの予防および治療のために用いることができる。
本発明の代替の実施態様としては、P2X受容体は、P2X1−7受容体サブタイプである。
本発明の好ましい別の実施態様としては、P2X受容体アンタゴニストは、PPADS、Iso−PPADS、PPNDS、スラミン、NF023(スラミン誘導体)、TNP−ATP、NF279、NF 157、およびエバンスブルーから選択される。
本発明の、より好ましい別の実施態様では、P2X受容体アンタゴニストは、スラミン、PPADS、iso−PPADS、PPNDS、NF023、NF279、TNP−ATP、NF157、およびエバンスブルーであってよい。
また、本発明は、異性体、ラセミ体、薬学的に許容できる塩、水和物、誘導体または類似体がウイルス(例えばエンテロウイルス71またはコクサッキーウイルスA16サブタイプ)を阻害する機能を有する限り、上記に例示される様々な化合物の異性体、ラセミ体、薬学的に許容できる塩、水和物、前駆体、それらの誘導体または類似体も含む。
用語「異性体」は、配座異性体、光学異性体(例えばエナンチオマーおよび非エナンチオマー)、幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)を含む。
用語「誘導体または類似体」は、上記に例示されたものと類似する構造式を有するP2X受容体アンタゴニスト、特に、同一のコア構造を有するものであるが類似する基で置換された基をいくつか有する化合物を指す。その化合物は、ウイルス(例えばエンテロウイルス71またはコクサッキーウイルスA16サブタイプ)を阻害する機能を維持したままである。例えば、HがC1〜C4のアルキルで置換され;C1アルキルがC2アルキルで置換され;ハロゲン基メンバー(F、Cl、Br、およびIを含む)の間で置換が生じる;および、OH、OCH、OCHCH、OCHCHなどの間で置換が生じる。
用語「薬学的に許容できる塩」は、上述の化合物を無機酸、有機酸、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と反応させることにより形成される塩を指す。これらの塩は、(限定されないが)以下を含む:(1)以下の無機酸と形成される塩:例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸;(2)以下の有機酸と形成される塩、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マレイン酸、またはアルギニン。他の塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、またはマグネシウム)と形成される塩、アンモニウム塩、または水溶性アミン塩(例えばN−メチルグルカミン塩)、より低いアルカノールアンモニウム塩および他の薬学的に許容できるアミン塩(例えば、メチルアミン塩、エチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、tert−ブチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ヒドロキシエチルアミン塩、ジ−ヒドロキシエチルアミン塩、トリス−ヒドロキシエチルアミン塩、およびアンモニウム塩(それぞれ、モルホリン、ピペラジン、リジンと形成される))または、他の「プロドラッグ」の従来の形態を含む。化合物は、1つまたは複数の不斉中心を有する。したがって、これらの化合物は、ラセミ混合物、個々のエナンチオマー、個々の非エナンチオマー異性体、非エナンチオマー混合物、シスまたはトランス異性体として存在してよい。
用語「前駆体化合物」は、患者内に適切な方法により投与され、代謝され、または化学的に反応した後に、P2X受容体アンタゴニスト化合物、または、本発明においてこれまでに例示されたP2X受容体アンタゴニスト化合物と形成された塩または溶液に、変換される前駆体化合物を指す。前駆体化合物は、限定されないが、カルボン酸エステル、炭酸エステル、リン酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル、スルホンエステル、スルホキシドエステル、アミド類、カルバメート類、アゾ化合物、リンアミド、グルコシド、エーテル、アセタール類などの形態を含む。
薬剤スクリーニング方法
本発明者らは、P2X受容体アンタゴニストの1つのクラスが、ウイルス複製を阻害することができることを見いだした。そのような阻害効果は、場合により、P2X受容体のターゲッティングにより達成される。
P2X受容体アンタゴニストがP2X受容体に選択的に結合して、ウイルス阻害効果を誘導することができるということを知った後に、これらの特性に基づいて、P2X受容体に結合する物質をスクリーニングすることができる。その後、ウイルスを阻害するのに本当に有用な薬剤を、上述の物質から見つけることができる。
したがって、本発明は、HFMDの予防および治療のための潜在的な薬剤をスクリーニングする方法を提供し、前記方法は、(1)P2X受容体を含む(例えば発現する)系を提供するステップ;(2)ステップ(1)の系に対する候補物質を提供して、P2X受容体に対する候補物質の結合状態を観察するステップを含む。候補物質がP2X受容体に結合することができる場合は、その候補物質は、HFMDを予防および治療するための潜在的な薬剤である。P2X受容体を含む(例えば発現する)系は、例えば、細胞系であってよい。細胞は、内因性P2X受容体を発現する細胞、または、P2X受容体を発現するように改変された細胞であってよい。P2X受容体を含む系は、亜細胞系、溶液系、組織系、器官系または動物系(例えば動物モデル、好ましくは非ヒトの哺乳類動物モデル、例えば、マウス、ウサギ、ヒツジ、サルなど)などであってもよい。化合物が受容体または受容体サブユニットに結合するか否かを検出する技術は、当技術分野で知られている。
本発明の好ましい実施態様では、スクリーニングの間、候補物質に対するP2X受容体の結合の違いをより容易に観察するために、コントロール群を設定してよい。コントロール群は、候補物質を添加せずにP2X受容体を含む系であってよい。
候補物質は、(限定されないが、)小分子化合物、ポリペプチド、およびリガンドを含んでよい。好ましくは、候補物質は小分子化合物である。例えば、候補物質は、様々なP2X受容体アンタゴニストであってよい。
本発明の好ましい実施態様としては、前記方法は、得られた潜在的物質に対してさらに細胞実験および/または動物試験を行なって、ウイルスを阻害するのに本当に有用な物質をさらに選択および決定するステップをさらに含む。
別の態様では、本発明はまた、そのスクリーニング方法により得られたウイルスを阻害するための物質も含む。
組成物
本発明の化合物は、医薬組成物を調製するために用いてよい。薬学的に許容できる担体は、固体または液体であることができる。固体製剤は、粉剤、錠剤、丸薬、カプセル、ウエハー、坐薬、および分散顆粒を含む。固体担体は、1または数個の物質であることができ、希釈剤、香料、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としての役割を果たしてよい。粉剤では、担体は、細かく分割された固体である。本発明の化合物、および、細かく分割された活性成分は、混合物中に存在する。錠剤では、そのような化合物は、必要な接着担体と適切な比率で混合されて、所望の形状およびサイズに収められる。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、スターチ、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、およびココアバターなどである。ウエハーまたはトローチ剤、錠剤、粉剤、カプセル、および丸薬も同様である。ウエハーおよびトローチ剤は、経口投与に適切な固体製剤であり得る。
液体製剤は、溶液、懸濁液、およびエマルション、例えば、水または水性プロピレングリコール溶液を含む。非経口でない(non−parenteral)注入のために、液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中に調製することができる。経口投与に適切な水溶液は、活性成分を水に溶解させて、必要に応じて適切な着色剤、香料、乳化剤、および増粘剤を添加することにより調製することができる。
組成物は、全身投与、局所投与、または非経口投与に用いることができる。
経口投与に適切な水性懸濁液は、細かく分割された活性成分を、水性粘性物質、例えば、天然または合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の公知の懸濁液中に、分散させることにより調製することができる。
治療用途では、本発明で用いられる化合物の毎日の最初の投与量は、0.01〜200mg/kg体重、さらに好ましくは0.25〜100mg/kg体重、さらに好ましくは0.5〜50mg/kg体重である。しかしながら、これらの投与量は、患者の必要性および治療する疾患の重症度、および用いられる化合物に基づいて変更してよい。一般的に言えば、治療は、化合物の最適投与量よりも少ない投与量で始めて、その後に、この投与量を、最良の結果に到達するまで、少ない量で増加させる。便宜上、必要に応じて、1日の総投与量は、1日の投与を数回の投与量に分けてよい。
また、本発明の医薬組成物は、他の治療薬またはアジュバントと組み合わせて同時に使用してもよい。
キット
本発明のP2X受容体アンタゴニスト、またはP2X受容体アンタゴニストを含む組成物は、販売または使用に便利なキット中に存在してよい。
P2X受容体アンタゴニスト、またはP2X受容体アンタゴニストを含む組成物は、キット中に存在する単位用量形態で調製してよい。「単位用量形態」は、投与の便宜のために、本発明のP2X受容体アンタゴニストまたはP2X受容体アンタゴニストを含む組成物を用いて調製される、単回投与に必要とされる投与形態を指し、制限されないが、様々な固体投与形態(例えば錠剤)、液体、カプセル、および放出制御製剤を含む。単位用量形態を調製すれば、1〜3用量の単位用量形態の組成物を1日に投与してよい。
また、キットは、人々が薬剤の正しい服用法を知るように、ウイルス阻害を必要とする対象(例えば、ウイルス性疾患にかかっている患者、またはウイルスを含む場所)に対する、P2X受容体アンタゴニストの投与に関する投与説明書も含む。
本発明は、以下の具体的な実施態様と組み合わせて、さらに説明される。これらの実施態様は、単に本発明を説明するためにのみ用いられ、本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されるであろう。以下の実施態様に示されない実験方法における特定の条件は、通常、従来の条件により記載されるもの、例えば「Sambrook,J.et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Science Press,2002」に記載されるもの、または、メーカーにより推奨される条件である。別段の記載がない限り、%および部は、容積に基づいて計算される。
I.実験材料
1.細胞株
横紋筋肉腫細胞(RD細胞)を、ATCCカタログ番号VR−805から購入した。細胞培養培地は、10%(v/v)FBSを含むDMEMであり、1%(w/v)アンピシリン/ストレプトマイシン溶液を添加した。
2.ウイルス株
EV71臨床分離株:2008年の中国安徽省HFMDサンプルから分離したEV71 FY 573;遺伝子型EV71 C4;Genebank受託番号HM_064456;中国科学院の上海生命科学研究院より提供。
EV71臨床分離株SH−TSおよびSH−RS、中国科学院の上海生命科学研究院より提供、遺伝子型C4。
EV71臨床分離株SEP−4、カンボジアのパスツール研究所によるカンボジア臨床株HFMDサンプルから提供されて分離、遺伝子型C4。
EV71−FY23株:中国薬学科学院の薬学生物学研究所のウイルス免疫部門より提供、バッチ番号:20121001、Genebank受託番号EU812515.1。
EV71 M.A.V.:新生マウスでのEV71 FY 573の継代培養の繰り返しにより得られたEV71マウス適応株。
CVA16:コクサッキーA16ウイルスサブタイプ、shzh05−1(GenBank番号EU262658)。
3.化合物
E02をSigma−Aldrichから購入し、スラミンナトリウムとして投与した。
サルの実験で用いられたスラミンはBayerより提供され、スラミン遊離酸として投与した。
iso−PPADS(0683−10mg)、NF 279(1199−10mg)、およびPPNDS(1309)はTocrisから購入した。
別段の記載がない限り、他の化合物はSigma−AldrichおよびTocisから購入した。
4.RT−PCRプライマーおよびプローブ(5’→3’):
EV71フォワードプライマー:CCCTGAATGCGGCTAATC(配列番号:1);
EV71リバースプライマー:ATTGTCACCATAAGCAGCCA(配列番号:2);
EV71プローブ:FAM(6−カルボキシフルオレセイン)−AACCGACTACTTTGGGTGTCCGTGTTTC(配列番号:3)−TAMRA(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン);
GAPDHフォワードプライマー:GAAGGTGAAGGTCGGAGTC(配列番号:4);
GAPDHリバースプライマー:GAAGATGGTGATGGGATTTC(配列番号:5);
P2X1−164F:CCTCTTCGAGTATGACACC(配列番号:6);
P2X1−164R:CAGAGACACTGCTGATGAG(配列番号:7);
P2X2−202F:CTGGACATGCTGGGAAACG(配列番号:8);
P2X2−202R:TGCCCTTGGAGAAGTGGAAT(配列番号:9);
P2X3−153F:GGCTCGACAGCGTTTCT(配列番号:10);
P2X3−153R:TGCCAGCATTCCCGTAT(配列番号:11);
P2X4−201F:TGGGATGTGGCGGATTAT(配列番号:12);
P2X4−201R:TACGCACCTGCCTGTTGAGA(配列番号:13);
P2X5−220F:TCTTTGCCTGGTGCCCGTTG(配列番号:14);
P2X5−220R:ATCACGGAGCCCAGTCGGAAG(配列番号:15);
P2X6−205F:GGAGGACAAAGTATGAGGAGG(配列番号:16);
P2X6−205R:GAATGGGTTGGCAAGTGG(配列番号:17);
P2X7−175F:CGTGGAGAAGTGAAGAAG(配列番号:18);
P2X7−175R:TCGGTCAGAGGAACAGAGC(配列番号:19)。
5.試薬およびキット
DMEM:Invitrogenカタログ番号11965118;
FBS:Invitrogenカタログ番号10099141;
トリプシン0.25%EDTA:Invitrogenカタログ番号525200072;
ウイルスRNA抽出キット:QIAampウイルスRNAミニキット、QIAGENカタログ番号52906;
細胞の全RNA抽出キット:RNeasyミニキット(250)、QIAGENカタログ番号74106;
組織保存溶液:RNAstoreサンプル保存溶液、Tiangen Technology(Beijing)Co.DP408−02;
組織RNA抽出キット:RNAprep pure animal tissue total RNA extraction kit,Tiangen Technology(Beijing)Co.,DP43;
TaqmanリアルタイムRT−PCR試薬:ABI taqMan(登録商標)ワンステップRT−PCR、ABIカタログ番号4309169;
SYBRリアルタイムRT−PCR試薬:QIAGEN QuantiTect SYBR Green RT−PCRキット(200)、カタログ番号204243;
ワンステップRT−PCR試薬:QIAGENワンステップRT−PCRキット(100);カタログ番号201212;
DNA電気泳動アガロース:Biowestアガロース、カタログ番号BW−R0100;
DNAマーカー:DL2,000 DNAマーカー、カタログ番号D501;
クリスタルバイオレット:Santa Cruzカタログ番号sc−207460;
Seaplaqueアガロース:lonza/amaxa 4 50101;
Celltiter Glo:Promega G7572;
ペニシリンストレプトマイシン:Invitrogenカタログ番号15140122。
6.略称
CPE:細胞変性効果、
CT:サイクルの閾値、
EC50:50%効果濃度、
EV71:エンテロウイルス71、
エバンスブルー:6,6−[(3,3’−ジメチル[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル)ビス(アゾ)ビス[4−アミノ−5−ヒドロキシ−1,3−ナフタレンジスルホン酸]四ナトリウム塩;
HFMD:手足口病、
iso−PPADS:ピリドキサール−ホスフェート−6−アゾフェニル−2’,5’−ジスルホン酸;
M.A.V.:マウス適応ウイルス、
MAPK:マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、
MOI:感染の多重度
NF 023:8,8’−[カルボニルビス(イミノ−3,1−フェニレンカルボニルイミノ)]ビス−1,3,5−ナフタレン−トリスルホン酸,ヘキサナトリウム塩;
NF 157:8,8’−[カルボニルビス[イミノ−3,1−フェニレンカルボニルイミノ(4−フルオロ−3,1−フェニレン)カルボニルイミノ]];
NF 279:8,8’−(カルボニルビス(イミノ−4,1−フェニレンカルボニルイミノ−4,1−フェニレンカルボニルイミノ))ビス(1,3,5−ナフタレントリスルホン酸)
PFU:プラーク形成単位
PKC:プロテアーゼキナーゼC、
PPADS:ピリドキサール−ホスフェート−6−アゾフェニル−2’,4’−ジスルホン酸;
PPNDS:ピリドキサール−5’−ホスフェート−6−(2’−ナフチルアゾ−6’−ニトロ−4’,8’−ジスルホネート)四ナトリウム塩、
RD細胞:横紋筋肉腫細胞、
TOA:添加時間アッセイ(Time of Addition assay)、
TCID50:50%組織培養感染量、
TNP−ATP:トリニトロフェノール−ATP、
UTP:ウリジントリホスフェート、
7.化合物 構造およびCAS番号
II.実施態様
EV71およびCVA16は、HFMDの主な病原体である。以下の実施例において、本発明者らは、E02(スラミンナトリウム)またはその類似体が、EV71およびCVA16感染をインビトロおよびインビボで阻害する能力を決定した。
(実施例1)E02は、RD細胞の、EV71臨床分離株(EV71 FY 573)感染を阻害する(インビトロ試験)。
1.E02は、RD細胞において、EV71複製を阻害することができる。
異なるE02濃度において、0.1のMOI(感染の多重度)で、EV71臨床分離株(EV71 FY 573)をRD細胞に感染させた。感染後46時間に、培養上清中のウイルスRNAを抽出し、相対的なEV71ウイルス量を定量RT−PCRにより決定した。手順を以下に詳細に述べる:
(1)細胞のシーディング:感染の24時間前に、96ウェルの細胞培養プレートにウェルあたり5×10細胞でRD細胞をシーディングした。
(2)感染:
a.薬剤とともに事前インキュベートしたウイルス:ウイルス保存溶液を、DMEMで5×10TCID50/mlに希釈して、96ウェルプレートにウェルあたり100μlで分注し、11μlの、対応する濃度でDMEMに溶解されたE02またはDMEMを添加し、37℃で1時間インキュベートした;
b.薬剤とともに事前インキュベートした細胞:細胞培養培地を96ウェルプレートから除去し、各ウェルに100μlのDMEMを添加し、それから、対応する濃度でのE02溶液またはDMEMを11μl添加し、37℃で1時間インキュベートした;
c.1時間のインキュベーション後、細胞培養プレートから薬剤を捨て、薬剤とともに事前インキュベートした111μlのウイルスを細胞培養プレートに移し、37℃で1時間インキュベートした;
d.インキュベーション後、上清を捨てて、細胞を50μlのDMEMで2回洗浄し、2%FBSを含むDMEMを180μl、対応する濃度でのE02溶液またはDMEMを20μl、各ウェルに添加した。インキュベーションのために、細胞培養プレートを、37℃の5%(v/v)二酸化炭素インキュベーターに置いた。
(3)ウイルス回収およびRNA抽出:感染後、細胞を46時間培養し、140μlの上清を深い96ウェルプレートに移し、ウイルスRNA抽出キット(QIAGEN QIAampウイルスRNAミニキット、カタログ番号52906)を用いて、標準的な操作手順に従ってウイルスRNA抽出を行なった。
(4)ウイルス量の測定:EV71の5’UTR遺伝子を、ABI 7900HT 384ウェルプレートPCRシステムのABI TaqmanワンステップRT−PCRキット(ABI TaqMan(登録商標)ワンステップRT−PCR、カタログ番号4309169)を用いて検出した。反応系およびPCRプログラムを表1および表2に示す。EV71の5’UTR定量RT−PCRの熱サイクルプログラム(Taqman);
(5)PCR検量線(検量線は、規定された力価で、10倍で段階希釈されたウイルスから抽出されたRNAに対してRT−PCRを行なうことにより決定されたCT値により得られた)を用いて、PCRのCT値をウイルス量に変換した。
結果は、E02が、RD細胞において、EV71複製を阻害できることを示す。EC50(50%効果濃度)は6.93μMである。3.44μMでは、EV71複製を10倍減少させることができる。5.19μMでは、EV71複製は100倍減少し;6.45μMでは1,000倍減少し、7.63μMでは10,000倍減少する。図1を参照。
2.E02は、RD細胞において、EV71のTCID50を有意に減少させる。
異なるE02濃度において、EV71(臨床分離株EV71 FY 573)を10倍段階希釈で用いてRD細胞に感染させた。3〜4日インキュベーションした後、CPE(細胞変性効果)を光学顕微鏡下で観察し、クリスタルバイオレットで染色して50%組織培養感染量を計算した。手順を以下に詳細に述べる:
(1)細胞シーディング:感染の24時間前に、96ウェル細胞培養プレートにウェルあたり5×10細胞でRD細胞をシーディングした。
(2)感染:
a.薬剤とともに事前インキュベートしたウイルス:ウイルス保存溶液をDMEMで10倍段階希釈し、96ウェルプレートにウェルあたり100μlで分注し、対応する濃度でDMEM中に溶解されたE02を11μl添加し、37℃で1時間インキュベートした;
b.薬剤とともに事前インキュベートした細胞:細胞培養培地を96ウェルプレートから除去し、各ウェルに100μlのDMEMを添加し、それから、対応する濃度でのE02溶液を11μl添加し、37℃で1時間インキュベートした;
c.1時間のインキュベーション後、細胞培養プレートから薬剤を捨てて、薬剤とともに事前インキュベートした111μlのウイルスを細胞培養プレートに移し、37℃で1時間インキュベートした;
d.インキュベーション後、ウイルスと薬剤の混合物を除去し、細胞を50μlのDMEMで2回洗浄し、2%FBSを含むDMEMを180μl、対応する濃度でのE02溶液を20μl、各ウェルに添加し、インキュベーションのために、細胞培養プレートを37℃の5%(v/v)二酸化炭素インキュベーター中に置いた。
(3)3〜4日間培養した後、CPEを光学顕微鏡下で観察し、クリスタルバイオレットで染色し、Reed−Muench法を用いてTCID50を計算した。
結果は、E02が、RD細胞において、EV71感染に起因するCPEを阻害することができることを示す。RD細胞における、EV71のTCID50を減少させるE02のEC50は、4.7μMである。図2を参照。したがって、E02は、RD細胞において、EV71のTCID50を有意に減少させる。
3.E02は、RD細胞において、EV71のプラーク形成単位を減少させる。
異なるE02濃度において、EV71(臨床分離株EV71 FY 573)を用いて、12ウェルプレート中で培養されたRD細胞に感染させた。5〜7日間培養した後、染色し、プラーク形成単位を計算した。手順を以下に詳細に述べる:
(1)細胞シーディング:感染の24時間前に、12ウェル細胞培養プレートにウェルあたり2×10細胞でRD細胞をシーディングした。
(2)細胞の感染:
a.薬剤とともに事前インキュベートしたウイルス:ウイルス保存溶液を、50,000PFU/ml、5,000PFU/ml、および500PFU/mlに、DMEMで10倍に段階希釈し;12ウェルプレートにウェルあたり500μl分注し、対応する濃度でDMEM中に溶解されたE02を56μl添加し、37℃で1時間インキュベートした;
b.薬剤とともに事前インキュベートした細胞:細胞培養培地を12ウェルプレートから除去し、各ウェルにDMEMを500μl添加し、それから、対応する濃度でのE02溶液を56μl添加し、37℃で時間インキュベートした;
c.1時間インキュベーションした後、薬剤を細胞培養プレートから捨て、薬剤とともに事前インキュベートしたウイルスを556μl、細胞培養プレートに移し、37℃で1時間インキュベートした;
d.インキュベーション後、ウイルスおよび薬剤の混合物を除去し、細胞を300μlのDMEMで2回洗浄し、対応する濃度のE02を含むDMEMを各ウェルに150μl添加し、1%低融点seaplaque、2%FBSを含む、前もって加熱して溶解した(37〜40℃に冷却された)DMEMを、1350μl添加した。インキュベーションのために、細胞培養プレートを、37℃の5%(v/v)二酸化炭素インキュベーター内に置いた。
(3)5〜7日間培養した後、ゲルを除去し、クリスタルバイオレットで染色し、PBSで1回洗浄し、プラーク数を記録し、プラーク形成単位を計算した。
結果は、E02が、RD細胞において、EV71により形成されるプラークの数を減少させることができることを示す。RD細胞において、EV71のPFUを減少させるE02のEC50は2.6μMである。図3参照。したがって、E02は、RD細胞において、EV71のプラーク形成単位を減少させることができる。
要するに、3つの試験方法:リアルタイム定量RT−PCR、TCID50およびPFUを介して、結果は、E02が、RD細胞のEV71臨床分離株感染を阻害することができ:RD細胞においてEV71複製を阻害するEC50は6.93μMであり;RD細胞においてTCID50を減少させるEC50は4.7μMであり;PFUを減少させるEC50は2.6μMであることを示す。
(実施例2)E02は、RD細胞において、EV71マウス適応株感染を阻害する(インビトロ試験)。
1.E02は、RD細胞において、EV71 M.A.V.のTCID50を減少させる。
異なるE02濃度において、10倍段階希釈でのEV71 M.A.V.を用いてRD細胞に感染させた。3〜4日間培養した後、CPEを光学顕微鏡下で観察し、クリスタルバイオレットで染色して50%組織培養感染量を計算した。具体的なステップは、実施例1の対応するTCID50を試験するステップと同様である。
結果は、RD細胞においてEV71 M.A.V.のTCID50を減少させるE02のEC50は8.07μMであることを示す。図4参照。したがって、E02は、RD細胞において、EV71 M.A.V.のTCID50を減少させる。
2.E02は、RD細胞において、EV71 M.A.V.のPFUを減少させる。
異なるE02濃度において、EV71 M.A.V.を用いて、12ウェルプレート中で培養されたRD細胞に感染させた。5〜7日間培養した後、染色し、プラーク形成単位を計算した。詳細の手順は、実施例1の対応するPFU試験方法と同じであった。
RD細胞において、EV71 M.A.V.のPFUを減少させるE02のEC50は2.0μMである。図5参照。したがって、E02は、RD細胞において、EV71 M.A.V.のPFUを減少させる。
要するに、TCID50およびPFU試験は、E02が、EV71マウス適応株に起因するRD細胞での感染を、それぞれ8.07μMおよび2.0μMのEC50で阻害することができることを示す。
(実施例3)E02は、RD細胞において、コクサッキーウイルスA16(CVA16)感染を阻害する(インビトロ試験)。
異なるE02濃度において、10倍段階希釈でのコクサッキーウイルスA16を用いて、RD細胞に感染させた。2日間培養した後、CPEを光学顕微鏡下で観察し、クリスタルバイオレットで染色して50%組織培養感染量を計算した。具体的な手順は、実施例1のTCID50試験方法と同じであった。
結果は、25μMのE02が、RD細胞において、1×10のTCID50/ml〜1×10のTCID50/mlのCVA16の力価の減少を引き起こしたことを示す。図6参照。したがって、E02は、RD細胞において、CVA16のTCID50を減少させる。
上記実施例1〜3の試験結果は、E02が、RD細胞のEV71およびCVA16感染をインビトロで阻害することができることを示す。EV71臨床株を阻害するE02のEC50は、6.93μM未満である。10μMのE02は、RD細胞の、E02臨床株およびマウス適応株の感染を完全に阻害することができ、RD細胞において、CVA16のTCID50の減少を生じさせる。
(実施例4)E02は、ICR新生マウスにおいて、EV71感染を阻害する。
EV71臨床分離株(EV71 FY 573)を用いて3日齢の新生ICRマウスを感染させて、E02がインビボでEV71を阻害する有効性を試験した。試験マウスを3つの群:薬剤群、感染群、およびプラセボ群に分けた。マウスが2日齢になったときに、薬剤群に、50μlのE02を50mg/kgの投与量を腹腔内注射した。感染群およびプラセボ群は、50μlのDMEMで腹腔内注射した。3日齢のときに、50mg/kgの投与量でのE02と、5×10のTCID50の投与量でのEV71臨床分離株との混合物(50μl)を、薬剤群に腹腔内注射した。感染群は、5×10のTCID50ウイルス(25μl)および25μlのDMEMの混合物を注射した。プラセボ群は、50μlのDMEMを注射した。
感染の5日後に、血液を回収し、血清を分離した。血清中のウイルスRNAを抽出した(ウイルスRNA抽出キット、QIAGEN QIAampウイルスRNAミニキット、カタログ番号52906)。ABI 7900HT 384ウェルプレートPCRシステムでのワンステップリアルタイム定量RT−PCRキット(QIAGEN QuantiTect SYBR GREEN RT−PCRキット)を用いて、EV71の5’UTR遺伝子およびGAPDH遺伝子のコピーを検出した。反応系およびPCRプログラムを、表3および表4に示す。
EV71とGAPDHの間のRNAの負荷比率を計算した。感染群に関する平均値は15.0であり、薬剤群に関する平均値は1.8である。図7参照。結果は、E02が、マウス血清中のEV71ウイルス量を減少させることを示す。50mg/kgのE02は、EV71を注射したICR新生マウスの血清中のウイルス量を減少させることができる。
(実施例5)E02は、ICR新生マウスにおいて、コクサッキーウイルスA16感染を阻害する。
1.マウスにおけるCVA16組織分布
5×10のTCID50のCVA16ウイルス(50μl)を注射して、2匹の3日齢ICR新生マウスに感染させた。感染の5日後、血清および組織(脳、骨髄、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、筋肉、脾臓、および胸腺)を回収した。血清中のウイルスRNAを抽出した(ウイルスRNA抽出キット、QIAGEN QIAampウイルスRNAミニキット、カタログ番号52906)。組織サンプルをRNAstore保存溶液(Tiangen,DP408−02)中に入れ、−80℃の冷凍庫内に保管した。組織RNA抽出キット(RNAprep pure total animal tissue RNA extraction kit)を用いて全組織RNAを抽出した。ABI 7900HT 384ウェルプレートPCRシステムでのワンステップリアルタイム定量RT−PCRキット(QIAGEN QuantiTect SYBR GREEN RT−PCRキット)を用いて、CVA16ウイルスゲノムおよびGAPDH遺伝子のコピーを検出した。プライマーは、EV71の5’UTRプライマーと同じものである。反応系およびPCRプログラムに関しては、表3および表4を参照。各組織および血清中の相対的ウイルス量については図8参照。明らかに、CVA16ウイルスは、脳、脊髄、筋肉、および血清中に主に検出された。
2.E02は、ICR新生マウスにおいて、CVA16感染を阻害する。
3日齢のICR新生マウスにCVA16を感染させて、E02がインビボでEV71を阻害する有効性を試験した。試験マウスを3つの群:薬剤群、感染群、およびプラセボ群に分けた。マウスが2日齢になったときに、薬剤群に50μlのE02を50mg/kgの投与量で腹腔内注射した。感染群およびプラセボ群に、50μlのDMEMを腹腔内注射した。3日齢のときに、薬剤群に、50mg/kgの投与量でのE02、および、1×10のTCID50(50μl)の投与量でのCVA16を、腹腔内注射した。感染群は、1×10のTCID50(25μl)の投与量でのCVA16および25μlのDMEMの混合物を注射した。プラセボ群は、50μlのDMEMを腹腔内注射した。感染の6日後に、組織を得て血液を回収し、血清を分離した。組織および血清由来のRNAを抽出し、CVA16ウイルスRNAを決定した。処理手順は、「1」に前述したのと同じであった。
結果については図9を参照。結果は、50mg/kgのE02が、ICR新生マウスの脳、骨髄、筋肉、および血清において、CVA16 RNAを有意に減少させたことを示す。
実施例4〜5を要約すると、ICR新生マウスでの試験は、50mg/kgのE02が、EV71およびコクサッキーウイルスA16をインビボで阻害することができることを示す。
(実施例6)E02の安全性、耐容性、および毒性試験
1.E02はインビトロで細胞毒性を有さない。
異なるE02濃度でのRD細胞に対する細胞毒性を、以下のようにCelltitr Glo試薬を用いて測定した:
(1)細胞シーディング:試験をする24時間前に、RD細胞を、96ウェル細胞培養プレートにウェルあたり5×10でシーディングした;
(2)E02とともにインキュベートした細胞:培地を細胞培養プレートから除去し、2%FBSを含むDMEMを180μl添加し、それから、対応する濃度のE02を含むDMEM溶液を20μl添加し、インキュベーションのために、37℃の5%CO2インキュベーター内に置いた;
(3)46時間培養した後、細胞のATPレベルを、PROMEGA Celltitr Glo試薬を用いて試薬の説明書に従って測定した。
試験結果は、1×10−6〜1×10μMのE02が、RD細胞に対して細胞毒性を有さなかったことを示す。図10参照。
2.E02は、ICR新生マウスに対して非毒性である。
50mg/kg、20mg/kgの投与量での50μlのE02を毎日、または50μlのDMEMを4日間連続して、3日齢のICRマウスに腹腔内注射した。図11に示すように、毒性は観察されなかった。
(実施例7)E02は、RD細胞の、EV71臨床分離株SH−TSおよびSH−RS感染を阻害する。
1.E02は、RD細胞において、EV71 SH−TSおよびSH−RSの複製を阻害する。
異なるE02濃度において、EV71 SH−TSまたはSH−RSを、0.1のMOIでRD細胞に感染させた。46時間培養した後、培養上清中のウイルスRNAを抽出した。相対的なEV71ウイルス量を定量RT−PCRにより決定した。定量RT−PCRの具体的手順については、実施例1参照。
結果は、E02が、RD細胞において、EV71臨床分離株SH−TS SH−RSの複製を阻害することができることを示す。SH−TSについては、7.14μMではEV71複製を10倍減少させることができ、25.35μMではEV71複製を100倍減少させることができた。SH−RSについては、図15に示すように、4.41μMではEV71複製を10倍減少させることができ、16.29μMではEV71複製を1000倍減少させることができる。
したがって、E02は、RD細胞において、EV71 SH−TSおよびSH−RSの複製を阻害する。
2.E02は、RD細胞のEV71 SH−TSおよびSH−RS感染を阻害する(プラーク形成単位、PFU)。
異なるE02濃度において、EV71 SH−TSまたはSH−RSを、12ウェルプレート中に培養されたRD細胞に感染させた。5〜7日間培養した後、細胞を染色し、プラーク形成単位を計算した。実施例1の「3.E02は、RD細胞において、EV71のプラーク形成単位を減少させる。」において詳しく述べられているのと同じ手順である。
結果は、図16に示すように、RD細胞において、EV71 SH−TS PFUを減少させるE02のEC50は2.24μMであり、SH−RSについては3.47μMである。
ウイルス複製およびPFU試験は、E02が、RD細胞のEV71臨床分離株SH−TSおよびSH−RS感染を阻害することができることを示す。
(実施例8)E02は、Vero細胞のカンボジアEV71分離株SEP−4感染を阻害する。
異なるE02濃度において、EV71 SEP−4ウイルス株(カンボジアのパスツール研究所より提供された、カンボジア株)を、0.1のMOIでVero細胞に感染させた。46時間培養した後、培養上清中のウイルスRNAを抽出した。定量RT−PCRを用いて相対的なEV71ウイルス量を決定した。具体的な手順については、実施例1を参照。
結果は、E02が、Vero細胞において、EV71 SEP−4複製を阻害することができることを示す。図17に示すように、5.89μMのE02は、EV71複製を10倍減少させることができ、15.49μMでは、EV71複製を100倍減少させる。
(実施例9)E02は、アカゲザルにおいて、EV71複製を阻害する。
EV71抗体に関して陰性検出された10匹の成体アカゲザル(アカゲザル(Macaca)、由来:中国薬学科学院の薬学生物学研究所、実験動物使用ライセンス番号:SYXK(雲南)2010−0009、認証ユニット:雲南省科学技術庁)を、2つの群、すなわち:5匹のコントロール群(年齢約4才、体重約5.3kg、生理食塩水を注射)、5匹の治療群(年齢約4.6才、体重約5.44kg、50mg/kgのスラミンを注射)に無作為に分けた。多数回のスラミン静脈内注射(50mg/kg)を用いた。最初のスラミン注射の1日後、4.5 lgCCID50EV71 FY−23(EV71−FY23株(中国薬学科学院の薬学生物学研究所のウイルス免疫研究室より提供)、バッチ番号:20121001、内容:7.5 lgCCID50/ml、保管状態:−80℃)を感染させて、感染させた成体アカゲザル(>3才)においてウイルス量を毎日決定し、臨床症状および体温を観察して、EV71感染の治療および予防に対する薬剤効果を分析した。具体的な実験手順は以下である:
1)感染の1日前:バックグラウンドの全血および血清を回収し、体温を計測し、動物の外観、行動、精神状態、および局所的薬剤投与の異常などについて観察した。それから、薬剤を50mg/kgのスラミンまたは生理食塩水の投与量で静脈内投与した。
2)感染の日(0日):体温を計測し、動物の外観、行動、精神状態、および局所的薬剤投与の異常などについて観察した。4.5 lgCCID50EV71 FY−23で静脈内ウイルスチャレンジを行なった。
3)感染期間中(1〜14日):体温を毎日計測し、動物の外観、行動、精神状態、および局所的薬剤投与の異常などについて観察し、ウイルス量を決定した。50mg/kgのスラミンまたは生理食塩水の投与量で、感染の1日後、3日後、5日後に、静脈内投与。
4)感染後期(21日および28日)、体温を計測し、動物の外観、行動、精神状態、および局所的薬剤投与の異常などについて観察し、ウイルス量を決定した。
血液ウイルス量試験
全血RNA抽出:0.2mlの血液を取得し、0.8mlのTRNzol−Aを添加し、混合後、ウェルを室温で10分間置き;0.2mlのクロロホルムを添加し、蓋を閉め、15秒間激しく振とうし、室温で5分間置き、12500rpm、4℃で20分間遠心分離し、0.4mlの水相を別の新しいチューブに移し、等量のイソプロパノールを添加して混合し、室温で30分間置き;12500rpm、4℃で20分間遠心分離し、上清を捨て、1mlの75%エタノールを添加して沈殿物を洗浄し、12500rpm、4℃で30分間遠心分離した。上清を捨て、室温で30分間置き、RNAを乾燥させ、20μlのRNaseフリーのddHOを添加し、そしてRNAを完全に溶解させた。以下の測定方法によりウイルス量を決定した:
1)標準希釈:標準を作成(TaKaRa MiniBESTウイルスRNA/DNA抽出キットVer3.0の説明書に従って行った)し、10μlの標準を採取して、10倍段階希釈10、10、10、10、10、10、10を行った。
2)プライマー配列(Taqmanプローブ法):
上流プライマー(10μM):5’−agcccaaaagaacttcacta−3’;
下流プライマー(10μM):5’−atccagtcgatggctgctca−3’;
プローブ5−FAM−agtgatatcctgcagacgggcaccatcc−TAMRA−3.
3)RT−PCR反応溶液の調製(反応溶液は氷上で調製した):
2×ワンステップRT−PCRバッファーIII:10μl
TaKaRa Ex TaqTM HS(5U/μl):0.4μl
Primescript(商標)RT 酵素ミックスII:0.4μl
上流プライマー(10μM):0.4μl
下流プライマー(10μM):0.4μl
プローブ:0.8μl
ROX参照色素II:0.4μl
全RNA:2μl
RNaseフリーdHO:5.2μl
合計:20μl
4)リアルタイムワンステップRT−PCRの実施
1.ウイルス量試験
10匹の試験動物を、4.5 lgCCID50のEV71 FY23でチャレンジした。コントロール群の動物は、ウイルスチャレンジ後6日目および7日目に一過的なウイルス量増加を示し(1〜1.5×10コピー/mlに到達)、8日目以降、減少し始めた。ウイルスチャレンジ後9日目には、それらは一過的なウイルス量増加を示し(5.25×10コピー/mlに到達)、10日目以降、減少し始めた。薬剤治療群の動物は、4日目、7日目、および13日目に、それぞれ、わずかに上昇したウイルス量(平均1.5×10コピー/ml)を示した。図18に示すように、ウイルス量は、コントロール群におけるウイルス量よりも有意に低かった。
2.体温計測
コントロール群の動物は、感染の1日後、ある程度の体温の上昇を示し、その後(感染の約3日後)、正常の範囲内に低下した。薬剤治療群の動物は、基本的に、図19に示すように、正常の範囲内の体温を維持した。
結論:本実験条件下では、4.5 lgCCID50 EV71の静脈内感染後、コントロール群の成体アカゲザルは、特定の時間内でウイルス量のある程度の増加を示し、また体温のわずかな上昇も示した。対照的に、薬剤治療群の成体アカゲザルは、その特定の時間内で、わずかに上昇したウイルス量を示し、それはコントロール群のものよりも有意に低く、そして体温計測は有意な変化を示さなかった。
(実施例10)E02ターゲットの同定
1.E02は、EV71の細胞内侵入を阻害する。
MOI 10 EV71臨床分離株EV71 FY573を、96ウェルプレート中のRD細胞に感染させた。感染前、感染中、および感染後の3つの期間において、32μMのE02(DMEM中に溶解)またはDMEMを加え、EV71複製を測定して、E02がEV71感染を阻害する段階を決定した。ステップを以下に詳細に述べる:
(1)細胞シーディング:感染の24時間前に、RD細胞を、96ウェル細胞培養プレートにウェルあたり5×10細胞でシーディングした。
(2)薬剤とともに事前インキュベートした細胞:細胞培養培地を96ウェルプレートから除去し、各ウェルに100μlのDMEMを添加し、それから、11μlの320μM E02溶液(薬剤処理した細胞群)または11μlのDMEM(薬剤処理しなかった細胞群)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。
(3)薬剤とともに事前インキュベートしたウイルス:ウイルス保存溶液をDMEMで5×10のTCID50/mlに希釈し、96ウェルプレートにウェルあたり100μl分注し、そして、11μlの320μM E02溶液(B群およびC群)または11μlのDMEM(A群およびF群)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。
(4)感染:細胞およびウイルスを1時間インキュベートした後、薬剤を細胞培養プレートから捨てた。薬剤(B群およびC群)またはDMEM(A群およびF群)とともに事前インキュベートしたウイルスを111μl、細胞培養プレートに移した。100μlのウイルス溶液をD群およびE群に移した後、11μlの320μM E02を添加し、37℃で1時間インキュベートした。
(5)細胞のウイルス感染の1時間後に、ウイルスと薬剤の混合物を細胞培養プレートから捨てた。細胞を、50μlのDMEMで2回洗浄した。ウェルあたり180μlの2%FBS含有DMEM、20μlの320μM E02溶液(B群、E群、およびF群)または、20μlのDMEM(A群、C群、およびD群)を添加した。インキュベーションのために、細胞培養プレートを37℃の5%二酸化炭素インキュベーター内に置いた。
(6)ウイルス回収およびRNA抽出:感染の18時間後に、140μlの上清を深い96穴プレートに移し、ウイルスRNA抽出キット(QIAGEN QIAampウイルスRNAミニキット、カタログ番号52906)を用いてキットの標準的な操作手順に従って、ウイルスRNA抽出を行なった。
(7)ウイルス量の決定:EV71の5’UTR遺伝子を、ABI 7900HT 384ウェルプレートPCRシステムでのABI TaqmanワンステップRT−PCRキット(ABI taqMan(登録商標)ワンステップRT−PCR、カタログ番号4309169)を用いて検出した。反応系およびPCRプログラムについては、表1および表2参照。
(8)PCR検量線を用いて、PCRのCT値をウイルス量に変換した(検量線は、10倍段階希釈で、規定された力価でのウイルスから抽出されたRNAに対するRT−PCRを行なうことにより決定されたCT値により得られた)。
高いMOIでの細胞の感染は、ほとんどの細胞を、同期的に感染させた。18時間のインキュベーションは、ウイルスを1回のみ複製させた。感染状態は、ウイルスのライフサイクルのどの段階が、薬剤で誘導されるウイルス阻害に関与するかを決定し得る(Bonavia,Franti et al.,2011;Daelemans,Pauwels et al.,2011)。図12に示すように、E02添加時間アッセイの試験結果は、感染前(B、C)、および感染中(D、E)のE02添加が、EV71感染を阻害することができることを示し、一方で、感染後のE02添加(F)は、EV71感染を阻害することができないことを示した。薬剤が感染中に添加されたならば、感染後に薬剤が添加されようとなかろうと(DおよびE)、ウイルス複製に対する大きな効果はなかった。結果は、E02が、EV71の細胞内侵入を阻害することにより、EV71感染を阻害することを示す。
2.P2X受容体アンタゴニストは、EV71感染を阻害することができる。
E02は、センシング受容体P2Xに対するアンタゴニストであり、P2X1、P2X2、P2X3、およびP2X5サブタイプ受容体を阻害することができ(Khakh,Burnstock et al.,2001;.Burnstock,2004;Coddou,Yan et al.,2011)、すなわち、P2X1、P2X2、P2X3、およびP2X5サブタイプ受容体のアンタゴニストである。P2Xは、ATP依存性イオンチャネルファミリータンパク質のメンバーであり、細胞膜上に発現され、通常、細胞外ドメイン、2つの膜貫通ドメインおよび2つの細胞内ドメインにより形成される同種または異種の三量体である。P2Xファミリーは、7つのサブタイプを含む。細胞外ATPを引き金にして、P2Xイオンチャネルが開き、カルシウムの流入、細胞内カルシウムの蓄積を引き起こす。MAPK、PKCおよびカルモジュリンを介して、一連の下流シグナル伝達が活性化される(Erb,Liao et al.,2006)。P2X受容体は、高等動物の組織内に広く分布しており(Valera,Hussy et al.,1994)、CNSの様々な部位で発現し、神経シナプスが引き金となる感覚シグナル(例えば、痛覚、味覚、聴覚など)、平滑筋収縮、心血管系における血圧コントロール、および炎症性応答(Surprenant and North,2009)の伝達に関与する。
中枢神経系のEV71感染は、急性弛緩麻痺、急性散在性脊髄炎(acute spread myelitis)、および急性横断性脊髄炎を引き起こす可能性があり、また、無菌性髄膜炎および脳炎を引き起こす場合もある。また、エンテロウイルス感染は、潜在的行動および記憶障害を引き起こす場合がある(Yang,Wang et al.,2009;Rhoades,Tabor−Godwin,et al.2011)。EV71は、ウイルス感染を有する患者において、CNS炎症を誘導することにより、主に神経障害をもたらす。EV71感染は、大脳皮質、脳幹、および脊髄の、全レベルでの炎症を引き起こす可能性がある。EV71に感染した患者は、肺浮腫または肺出血で死亡することが多い。研究は、EV71肺浮腫は神経性であることを示した(Solomon,Lewthwaite et al.,2010)。肺症候群で死亡したEV71の感染患者のうち、炎症は脊髄および脳においてのみ検出され、一方で、ウイルス粒子および炎症は、肺および心臓では検出されなかった(Weng,Chen et al.,2010)。分散を伴うEV71感染に起因する疾患の特徴およびP2Xの生理学的役割に関連して、本発明者らは、EV71病理において、P2Xが重要な役割を果たすと考える。
したがって、本実施態様では、本発明者らは、化学プローブ(公知のP2Xアンタゴニストまたはアゴニスト)を用いて、EV71感染におけるP2X受容体の役割を決定した。
1.PPADSは、RD細胞のEV71感染を阻害する。
PPADSは、E02アナログであり(Khakh,Burnstock et al.,2001;.Burnstock 2004;Coddou,Yan et al.2011)、E02の効果と同様のP2Xサブタイプに対する阻害効果を有する。RD細胞に、EV71臨床分離株FY 573を、異なるPPADS濃度で感染させて、EV71複製に対するPPADSの阻害効果を決定した。詳しい手順は、実施例1の「1」での手順と同様である。加えて、各濃度のPPADSにおける、RD細胞に対する細胞毒性を決定した。詳しい手順は、実施例6の「1」での手順と同様である。
結果を図13に示し、64μM未満のPPADS濃度は、細胞に対して細胞毒性がない。EV71複製を阻害するEC50は18.9μMである。
2.RD細胞でのP2X受容体発現
全RNAをRD細胞から抽出した。各P2XサブタイプmRNAを、ワンステップRT−PCRにより増幅した。PCR産物の長さをゲル電気泳動により決定した。具体的な手順は以下である:
(1)細胞の全RNA抽出:2×10のRD細胞を得て、QIAGEN RNeasyキットを用いて全RNAを抽出した。実験は、キットの説明書に従って行なった。産物を、50μlのヌクレアーゼフリーの水に溶解させた。
(2)PCR:各P2XサブタイプおよびGAPDH mRNAを、ワンステップRT−PCRにより増幅した。反応系およびサイクルプログラムは、表5および表6に示すとおりである。
(3)電気泳動:PCR産物のサイズを、2%ゲル電気泳動により検出した。
電気泳動の結果は、P2X7を除いて、他の6つのP2Xサブタイプ受容体が、RD細胞に発現されることを示す。結果を図14に示す。
3.P2X受容体アンタゴニストは、RD細胞のEV71感染を阻害する。
EV71複製に対する、各P2X受容体アンタゴニストおよびアゴニストの阻害効果を、0.1μM、1μM、10μM、および100μMで測定した。具体的な手順は、実施例1の「1」参照。感染後、細胞を3〜4日間インキュベートする必要があるが、クリスタルバイオレットで染色し、光学顕微鏡下で観察して、CPE(細胞変性効果)が存在するか否か決定した。さらに、RD細胞に対する細胞毒性に関する、各濃度での化合物の効果を決定した。様々な濃度の化合物中で3〜4日間、RD細胞を培養した後、クリスタルバイオレットで染色し、光学顕微鏡で観察して、細胞層が損傷しているか否か観察した。健康細胞層を損傷させずに細胞を感染から防御することが可能な化合物は、RD細胞において、EV71複製を阻害することができる。
結果を表7および図20に示す。E02およびPPADSを除き、P2X受容体アンタゴニストiso−PPADS、NF023、NF279、NF157、TNP−ATP、PPNDS、およびエバンスブルーもまた、EV71複製を阻害することができる。
表8に示すように、P2XおよびEV71感染に対する、これらの化合物の阻害効果の比較は、P2X受容体が、RD細胞のEV71感染において重要な役割を果たすことを示す。

注記:アゴニスト:−:活性無し、+:活性化濃度>10μM、++:活性化濃度1〜10μM、+++:活性化濃度<1μM;
アンタゴニスト:−:活性無し、+:阻害濃度>300nM、++:阻害濃度=10〜300nM、+++:阻害濃度<10nM.
EV71に対する、他のアンタゴニストおよびアゴニストの効果を、表9および図21に示す。
表では、「空欄」は、報告データがないことを示し、「無」は、ネガティブであることを示す。
アンタゴニストに関して:+++活性化濃度<10nM、++活性化濃度10nM〜300nM、+活性化濃度>300nM、−活性無し。
アゴニストに関して:+++活性化濃度<1μM、++活性化濃度1〜10μM、+活性化濃度>10μM。
したがって、P2X1〜6サブタイプmRNAは、RD細胞で発現される。加えて、P2X受容体アンタゴニストの1つのグループは、感染されたRD細胞において、EV71複製を阻害することができる。P2Xシグナル伝達と、疾患を伴うP2X異常との間の関連性と組み合わせて、P2Xが、EV71感染において重要な役割を果たすことが示唆される。EV71とP2Xの役割と、EV71感染に起因するHFMD病理との間には、密接な関係がある。
上記の実施例を要約すると、以下の結論を導き出すことができる:
(1)P2X受容体アンタゴニスト化合物E02は、RD細胞のEV71感染を阻害することができる;
(2)化合物E02は、コクサッキーウイルスA16がRD細胞に感染する能力を低下させることができる;
(3)化合物E02は、ICR新生マウスの血清中のEV71ウイルス量を減少させることができる;
(4)化合物E02は、ICR新生マウスの、脳、骨髄、筋肉、および血清中のCVA16ウイルス量を減少させることができる;
(5)E02は、アカゲザルにおけるEV71複製をインビボで阻害し、アカゲザルにおいて、EV71に起因する体温上昇を阻害する;
(6)P2X1〜6受容体サブタイプのmRNAは、RD細胞中に検出することができる;
(7)多くのP2X受容体アンタゴニストは、RD細胞のEV71感染を阻害することができる。
本発明で示される全ての文献は、あたかも各参考文献が参照により個々に援用されるかのように、本出願中に参照により援用される。本発明の前述の教示を読んだ後に、当業者が、本発明に対して様々な改良または変更を施し得ることもまた、理解されよう。これらの同等物は、本出願に添付された特許請求の範囲の範囲内に同様に入る。
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Chinese Ministry of Health (2010) Hand foot and mouth disease treatment guidelines (2010 edition.)

Claims (18)

  1. ポジティブセンス一本鎖RNAピコルナウイルスを阻害するための組成物の調製のための、P2X受容体アンタゴニストの使用であって、
    前記ピコナウイルスは、エンテロウイルスであり、かつ、前記P2X受容体アンタゴニストは、PPADS、iso−PPADS、PPNDS、スラミン、NF023、TNP−ATP、NF279、NF157、エバンスブルー、および/または、薬学的に許容できるそれらの塩からなる群より選択される
    使用。
  2. 請求項1に記載の使用であって、
    手足口病を予防、緩和、または治療するための組成物の調製のための使用であることを特徴とする、
    使用。
  3. 請求項1または2に記載の使用であって、
    前記組成物が、全身投与または非経口投与に用いられることを特徴とする、
    使用。
  4. 請求項3に記載の使用であって、
    前記組成物が、経口投与、静脈内注射、筋肉内注射、または吸入に用いられることを特徴とする、
    使用。
  5. 請求項1に記載の使用であって、
    前記ウイルスが手足口病を引き起こすエンテロウイルスであることを特徴とする、
    使用。
  6. 請求項1に記載の使用であって、
    前記ウイルスがエンテロウイルスAであることを特徴とする、
    使用。
  7. 請求項1に記載の使用であって、
    前記ウイルスが、ヒトエンテロウイルス71およびコクサッキーウイルスであることを特徴とする、
    使用。
  8. ポジティブセンス一本鎖RNAピコルナウイルスの阻害のための医薬組成物であって、
    薬学的に許容できる担体とともに、それを必要とする対象のためのP2X受容体アンタゴニストを含み、
    前記ピコナウイルスはエンテロウイルスであり、かつ、前記P2X受容体アンタゴニストは、PPADS、iso−PPADS、PPNDS、スラミン、NF023、TNP−ATP、NF279、NF157、エバンスブルー、および/または、薬学的に許容できるそれらの塩からなる群より選択される
    医薬組成物。
  9. 請求項に記載の医薬組成物であって、
    前記対象が、ウイルスにより感染された哺乳類であり、エンテロウイルス71またはコクサッキーウイルスにより感染されたヒト、サル、またはマウスなどを含む、
    医薬組成物。
  10. 請求項に記載の医薬組成物であって、
    前記対象が手足口病を有する、
    医薬組成物。
  11. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記ウイルスが手足口病を引き起こすエンテロウイルスであることを特徴とする、
    医薬組成物
  12. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記ウイルスがエンテロウイルスAであることを特徴とする、
    医薬組成物
  13. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記ウイルスが、ヒトエンテロウイルス71およびコクサッキーウイルスであることを特徴とする、
    医薬組成物
  14. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記P2X受容体アンタゴニストの1日の総投与量は、0.01〜200mg/kg体重であることを特徴とする、
    医薬組成物
  15. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記P2X受容体アンタゴニストの1日の総投与量は、0.25〜100mg/kg体重であることを特徴とする、
    医薬組成物
  16. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記P2X受容体アンタゴニストの1日の総投与量は、0.5〜50mg/kg体重であることを特徴とする、
    医薬組成物
  17. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記P2X受容体アンタゴニストの1日の総投与量は、50〜200mg/kg体重であることを特徴とする、
    医薬組成物
  18. 請求項8に記載の医薬組成物であって、
    前記P2X受容体アンタゴニストはスラミンであり、スラミンの1日の総投与量は、50mg/kg体重であることを特徴とする、
    医薬組成物
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