[1]形状測定装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る形状測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1の形状測定装置500の測定部の構成を示す模式図である。以下、本実施の形態に係る形状測定装置500について、図1および図2を参照しながら説明する。図1に示すように、形状測定装置500は、測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、制御部300および表示部400を備える。
図1に示すように、測定部100は、例えば顕微鏡であり、投光部110、受光部120、照明光出力部130、ステージ140および制御基板150を含む。投光部110は、測定光源111、パターン生成部112および複数のレンズ113,114,115を含む。受光部120は、カメラ121および複数のレンズ122,123を含む。ステージ140上には、測定対象物Sが載置される。
投光部110は、ステージ140の斜め上方に配置される。測定部100は、複数の投光部110を含んでもよい。図2の例においては、測定部100は2つの投光部110を含む。以下、2つの投光部110を区別する場合は、一方の投光部110を投光部110Aと呼び、他方の投光部110を投光部110Bと呼ぶ。投光部110A,110Bは受光部120の光軸を挟んで対称に配置される。
各投光部110A,110Bの測定光源111は、例えば白色光を出射するハロゲンランプである。測定光源111は、白色光を出射する白色LED(発光ダイオード)等の他の光源であってもよい。測定光源111から出射された光(以下、測定光と呼ぶ)は、レンズ113により適切に集光された後、パターン生成部112に入射する。
パターン生成部112は、例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)である。パターン生成部112は、LCD(液晶ディスプレイ)、LCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶素子)またはマスクであってもよい。パターン生成部112に入射した測定光は、予め設定されたパターンおよび予め設定された強度(明るさ)に変換されて出射される。パターン生成部112により出射された測定光は、複数のレンズ114,115により測定対象物Sの寸法よりも大きい径を有する光に変換された後、ステージ140上の測定対象物Sに照射される。
受光部120は、ステージ140の上方に配置される。測定対象物Sによりステージ140の上方に反射された測定光は、受光部120の複数のレンズ122,123により集光および結像された後、カメラ121により受光される。
カメラ121は、例えば撮像素子121aおよびレンズを含むCCD(電荷結合素子)カメラである。撮像素子121aは、例えばモノクロCCD(電荷結合素子)である。撮像素子121aは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の他の撮像素子であってもよい。撮像素子121aの各画素からは、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)が制御基板150に出力される。
モノクロCCDには、カラーCCDとは異なり、赤色波長の光を受光する画素、緑色波長の光を受光する画素および青色波長の光を受光する画素を設ける必要がない。そのため、モノクロCCDの計測の分解能はカラーCCDの分解能よりも高くなる。また、モノクロCCDには、カラーCCDとは異なり、各画素にカラーフィルタを設ける必要がない。そのため、モノクロCCDの感度はカラーCCDの感度よりも高くなる。これらの理由により、本例におけるカメラ121にはモノクロCCDが設けられる。
本例においては、照明光出力部130は、測定対象物Sに赤色波長の光、緑色波長の光および青色波長の光を時分割で出射する。この構成によれば、モノクロCCDを用いた受光部120により測定対象物Sのカラー画像を撮像することができる。
一方、カラーCCDが十分な分解能および感度を有する場合には、撮像素子121aは、カラーCCDであってもよい。この場合、照明光出力部130は、測定対象物Sに赤色波長の光、緑色波長の光および青色波長の光を時分割で照射する必要はなく、白色光を測定対象物Sに照射する。そのため、照明光源320の構成を単純にすることができる。
制御基板150には、図示しないA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)およびFIFO(First In First Out)メモリが実装される。カメラ121から出力される受光信号は、制御部300による制御に基づいて、制御基板150のA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次PC200に転送される。
図1に示すように、PC200は、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、作業用メモリ230、記憶装置240および操作部250を含む。また、操作部250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
ROM220には、システムプログラムが記憶される。作業用メモリ230は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムおよび形状測定プログラムが記憶される。また、記憶装置240は、制御基板150から与えられる画素データ等の種々のデータを保存するために用いられる。
CPU210は、制御基板150から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。また、CPU210は、生成した画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部400に表示させる。さらに、CPU210は、後述するステージ駆動部146に駆動パルスを与える。表示部400は、例えばLCDパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
図2において、測定対象物Sが載置されるステージ140上の平面(以下、載置面と呼ぶ)内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、それぞれ矢印X,Yで示す。ステージ140の載置面に対して直交する方向をZ方向と定義し、矢印Zで示す。Z方向に平行な軸を中心に回転する方向をθ方向と定義し、矢印θで示す。
ステージ140は、X−Yステージ141、Zステージ142、θステージ143およびチルトステージ144を含む。X−Yステージ141は、X方向移動機構およびY方向移動機構を有する。Zステージ142は、Z方向移動機構を有する。θステージ143は、θ方向回転機構を有する。チルトステージ144は、載置面に平行な軸を中心に回転可能な機構(以下、あおり回転機構と呼ぶ)を有する。X−Yステージ141、Zステージ142、θステージ143およびチルトステージ144により、ステージ140が構成される。また、ステージ140は、載置面に測定対象物Sを固定する図示しない固定部材(クランプ)をさらに含む。
ここで、受光部120の焦点に位置しかつ受光部120の光軸に垂直な平面を受光部120の焦点面と呼ぶ。図2に示すように、投光部110A,110B、受光部120およびステージ140の相対的な位置関係は、投光部110Aの光軸、投光部110Bの光軸および受光部120の光軸が受光部120の焦点面で互いに交差するように設定される。
また、投光部110の焦点(測定光のパターンが結像する点)に位置しかつ投光部110の光軸に垂直な平面を投光部110の焦点面と呼ぶ。各投光部110A,110Bは、投光部110Aの焦点面および投光部110Bの焦点面が受光部120の焦点を含む位置で交差するように構成される。
θステージ143のθ方向の回転軸の中心は、受光部120の光軸と一致している。そのため、θステージ143をθ方向に回転させた場合に、測定対象物Sを視野から外すことなく、回転軸を中心に視野内で回転させることができる。また、X−Yステージ141、θステージ143およびチルトステージ144は、Zステージ142により支持されている。
すなわち、θステージ143をθ方向に回転させるか、またはチルトステージ144をあおり方向に回転させた状態であっても、受光部120の中心軸とZステージ142の移動軸とにずれが生じないように構成されている。ここで、あおり方向とは、載置面に平行な軸を中心とする回転方向である。この構成により、測定対象物Sの位置または姿勢を変化させた状態であっても、Z方向にステージ140を移動させて受光部120の異なる複数の焦点位置においてそれぞれ撮像した複数の画像を合成することが可能となる。
ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構、Z方向移動機構、θ方向回転機構およびあおり回転機構には、それぞれステッピングモータが用いられる。ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構、Z方向移動機構、θ方向回転機構およびあおり回転機構は、図1のステージ操作部145またはステージ駆動部146により駆動される。
使用者は、ステージ操作部145を手動で操作することにより、ステージ140の載置面を受光部120に対して相対的にX方向、Y方向もしくはZ方向に移動させるか、またはθ方向もしくはあおり方向に回転させることができる。ステージ駆動部146は、PC200より与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ140のステッピングモータに電流を供給することにより、ステージ140を受光部120に相対的にX方向、Y方向もしくはZ方向に移動させるか、またはθ方向もしくはあおり方向に回転させることができる。
なお、本実施の形態では、ステージ140はステッピングモータにより駆動することが可能であるとともに手動により操作することが可能な電動ステージであるが、これに限定されない。ステージ140はステッピングモータでのみ駆動することが可能な電動ステージであってもよいし、手動でのみ操作することが可能な手動ステージであってもよい。
制御部300は、制御基板310および照明光源320を含む。制御基板310には、図示しないCPUが実装される。制御基板310のCPUは、PC200のCPU210からの指令に基づいて、投光部110、受光部120および制御基板150を制御する。
照明光源320は、例えば赤色光、緑色光および青色光を出射する3つのLEDを含む。各LEDから出射される光の輝度を制御することにより、照明光源320から任意の色の光を発生することができる。照明光源320から発生される光(以下、照明光と呼ぶ)は、導光部材(ライトガイド)を通して測定部100の照明光出力部130から出力される。なお、制御部300に照明光源320を設けずに、測定部100に照明光源320を設けてもよい。この場合、測定部100には照明光出力部130が設けられない。
図2の照明光出力部130は、円環形状を有し、受光部120を取り囲むようにステージ140の上方に配置される。これにより、影が発生しないように照明光出力部130から測定対象物Sに照明光が照射される。図3および図4は、光が照射された状態の測定対象物Sの模式図である。図3および図4の例においては、測定対象物Sは上面の略中央に孔Shを有する。また、図3(a),(c)および図4(a)においては、影Ssをハッチングにより表わしている。
図3(a)は図2の一方の投光部110Aからの測定光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図である。図3(a),(b)に示すように、一方の投光部110Aから測定光を測定対象物Sに照射した場合、孔Shの深さによっては、孔Shの底部にまで測定光が到達せず、影Ssが発生する。したがって、測定対象物Sの一部を観察することができない。
図3(c)は図2の他方の投光部110Bからの測定光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図3(d)は図3(c)のB−B線断面図である。図3(c),(d)に示すように、他方の投光部110Bから測定光を測定対象物Sに照射した場合、孔Shの深さによっては、孔Shの底部にまで測定光が到達せず、影Ssが発生する。したがって、測定対象物Sの一部を観察することができない。
図4(a)は投光部110A,110Bの両方からの測定光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線断面図である。図4(a),(b)に示すように、投光部110A,110Bの両方から測定光を測定対象物Sに照射した場合、投光部110A,110Bの一方から測定光を測定対象物Sに照射した場合に比べて、孔Shの底部にまで到達しない測定光が減少するため、発生する影Ssが減少する。したがって、観察することができる測定対象物Sの部分が増加する。
図4(c)は図2の照明光出力部130からの照明光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図4(d)は図4(c)のD−D線断面図である。図4(c),(d)に示すように、照明光は測定対象物Sの略真上から照射されるので、孔Shの深さによらず、孔Shの底部にまで照明光が到達する。したがって、測定対象物Sの大部分を観察することができる。
一方の投光部110Aから測定光が照射された測定対象物Sの画像と他方の投光部110Bから測定光が照射された測定対象物Sの画像とが並ぶように表示部400に表示(2画面表示)されてもよい。図5は、画像を2画面表示するGUI(Graphical User Interface)の一例を示す図である。
図5に示すように、表示部400には2つの画像表示領域410,420が並ぶように設けられる。画像を2画面表示する場合には、投光部110A,110Bから測定対象物Sに測定光が切り替わるように交互に照射される。画像表示領域410には、一方の投光部110Aから測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。画像表示領域420には、他方の投光部110Bから測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。これにより、使用者は投光部110A,110Bの各々により測定光を照射された場合における測定対象物Sの画像を区別して認識することができる。
本例においては、投光部110A,110Bからの測定光の切り替えの頻度は、例えば数Hzである。なお、投光部110A,110Bからの測定光の切り替えの頻度は、使用者に切り替えの認識をすることができない値(例えば100Hz)に設定されてもよい。この場合、使用者には、測定部100において両方の投光部110A,110Bから測定対象物Sに測定光が同時に照射されるように観測される。
表示部400には2つの光量設定バー430,440が表示される。光量設定バー430は、水平方向に移動可能なスライダ430sを有する。光量設定バー440は、水平方向に移動可能なスライダ440sを有する。以下、一方の投光部110Aから出射される測定光を一方の測定光と呼び、他方の投光部110Bから出射される測定光を他方の測定光と呼ぶ。光量設定バー430上のスライダ430sの位置は、一方の測定光を受光する際の受光部120の光量(以下、一方の測定光の光量と呼ぶ)に対応する。光量設定バー440上のスライダ440sの位置は、他方の測定光を受光する際の受光部120の光量(以下、他方の測定光の光量と呼ぶ)に対応する。
使用者は、図1のPC200の操作部250を操作して光量設定バー430のスライダ430sを水平方向に移動させることにより、一方の測定光の光量を変更することができる。一方の測定光の光量の変更は、一方の測定光の明るさまたは一方の測定光を受光する際の受光部120の露光時間を変更することにより行われる。同様に、使用者は、操作部250を操作して光量設定バー440のスライダ440sを水平方向に移動させることにより、他方の測定光の光量を変更することができる。他方の測定光の光量の変更は、他方の測定光の明るさまたは他方の測定光を受光する際の受光部120の露光時間を変更することにより行われる。
上記のように、画像表示領域410,420には、投光部110A,110Bの各々により測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が並ぶように表示される。したがって、使用者は、画像表示領域410,420に表示された測定対象物Sの画像を見ながら、光量設定バー430,440のスライダ430s,440sの位置をそれぞれ移動させることにより、一方および他方の測定光の光量を適切に調整することができる。
また、一方および他方の測定光の光量と照明光出力部130から出射される照明光を受光する際の受光部120の光量(以下、照明光の光量と呼ぶ)との間に相関がある場合がある。この場合、一方および他方の測定光の光量は、照明光の光量に基づいて自動的に調整されてもよい。あるいは、照明光の光量に基づいて、一方および他方の測定光の光量を適切にするための調整ガイドが表示部400に表示されてもよい。この場合、使用者は、調整ガイドに基づいて光量設定バー430,440のスライダ430s,440sの位置をそれぞれ移動させることにより、一方および他方の測定光の光量を適切に調整することができる。
光の照射方向が異なれば、光の反射方向も異なる。そのため、測定対象物Sの同一の部分であっても、一方の測定光が照射された部分の画像の明るさと他方の測定光が照射された部分の画像の明るさとは互いに異なる。すなわち、形状測定に適した光量は照射方向によって異なる。
本実施の形態では、投光部110A、110Bから測定光が照射された際の画像の各々の明るさを個別に調整することができる。そのため、光の照射方向に応じた適切な光量を設定することができる。また、光量の調整中の画像は、画像表示領域410,420に更新されながら表示される。これにより、使用者は、画像を確認しながら光量を調整することができる。
この場合において、PC200は、画像中の明るすぎるために白とびが生じている部分または暗すぎるために黒つぶれが生じている部分を識別可能に画像表示領域410,420に表示することができる。これにより、使用者は、適切に光量が調整されているか否かを容易に確認することができる。
[2]測定対象物の形状測定
(1)三角測距方式による形状測定
測定部100においては、三角測距方式により測定対象物Sの形状が測定される。図6は、三角測距方式の原理を説明するための図である。図6に示すように、投光部110から出射される測定光の光軸と受光部120に入射する測定光の光軸(受光部120の光軸)との間の角度αが予め設定される。角度αは、0度よりも大きく90度よりも小さい。
ステージ140上に測定対象物Sが載置されない場合、投光部110から出射される測定光は、ステージ140の載置面の点Oにより反射され、受光部120に入射する。一方、ステージ140上に測定対象物Sが載置される場合、投光部110から出射される測定光は、測定対象物Sの表面の点Aにより反射され、受光部120に入射する。
点Oと点Aとの間のX方向における距離をdとすると、ステージ140の載置面に対する測定対象物Sの点Aの高さhは、h=d÷tan(α)により与えられる。図1のPC200のCPU210は、制御基板150により与えられる測定対象物Sの画素データに基づいて、X方向における点Oと点Aとの間の距離dを測定する。また、CPU210は、測定された距離dに基づいて、測定対象物Sの表面の点Aの高さhを算出する。測定対象物Sの表面の全ての点の高さを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状が測定される。
測定対象物Sの表面の全ての点に測定光を照射するために、図1の投光部110からは種々のパターンを有する測定光が出射される。測定光のパターンは、図1のパターン生成部112により制御される。以下、測定光のパターンについて説明する。
(2)測定光の第1のパターン
図7は、測定光の第1のパターンを説明するための図である。図7(a)は、ステージ140上の測定対象物Sに投光部110から測定光を照射した状態を示す。図7(b)は、測定光が照射された測定対象物Sの平面図を示す。図7(a)に示すように、第1のパターンとして、Y方向に平行な直線状の断面を有する測定光(以下、ライン状測定光と呼ぶ)が投光部110から出射される。この場合、図7(b)に示すように、ステージ140に照射されたライン状測定光の部分と測定対象物Sの表面に照射されたライン状測定光の部分とは、測定対象物Sの表面の高さhに対応する距離dだけX方向に互いにずれる。したがって、距離dを測定することにより、測定対象物Sの高さhを算出することができる。
測定対象物Sの表面のY方向に沿った複数の部分が異なる高さを有する場合には、各部分について上記の距離dを測定することにより、Y方向に沿った複数の部分の高さhを算出することができる。
また、図1のCPU210は、X方向の一の位置でY方向に沿った複数の部分について距離dを測定した後、Y方向に平行なライン状測定光をX方向に走査することにより、X方向の他の位置でY方向に沿った複数の部分について距離dを測定する。これにより、X方向の複数の位置におけるY方向に沿った測定対象物Sの複数の部分の高さhが算出される。測定対象物SのX方向の寸法よりも広い範囲でライン状測定光をX方向に走査することにより、測定対象物Sの表面の全ての点の高さhを算出することができる。これにより、測定対象物Sの三次元的な形状を測定することができる。
(3)測定光の第2のパターン
図8は、測定光の第2のパターンを説明するための図である。図8に示すように、第2のパターンとして、Y方向に平行な直線状の断面を有しかつX方向に強度が正弦波状に変化するパターンを有する測定光(以下、正弦波状測定光と呼ぶ)が投光部110から複数回(本例においては4回)出射される。
図8(a)は、1回目に出射される正弦波状測定光を示す。1回目に出射される正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の任意の部分P0において初期位相φを有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分P0により反射された光の強度をI1とする。
図8(b)は、2回目に出射される正弦波状測定光を示す。2回目に出射される正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の部分P0において位相(φ+π/2)を有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分P0により反射された光の強度をI2とする。
図8(c)は、3回目に出射される正弦波状測定光を示す。3回目に出射される正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の部分P0において位相(φ+π)を有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分P0により反射された光の強度をI3とする。
図8(d)は、4回目に出射される正弦波状測定光を示す。4回目の正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の部分P0において位相(φ+3π/2)を有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分P0により反射された光の強度をI4とする。
初期位相φは、φ=tan−1[(I1−I3)/(I2−I4)]で与えられる。初期位相φから測定対象物Sの任意の部分の高さhが算出される。この方式によれば、4回の光の強度の測定により、測定対象物Sの全ての部分の初期位相φを高速かつ容易に算出することができる。なお、初期位相φは、異なる位相を有する測定光を少なくとも3回出射し、受光される光の強度を測定することにより算出することができる。測定対象物Sの表面上の全ての部分の高さhを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状を測定することができる。
(4)測定光の第3のパターン
図9は、測定光の第3のパターンを説明するための図である。図9に示すように、第3のパターンとして、Y方向に平行でかつX方向に並ぶような直線状の断面を有する測定光(以下、縞状測定光と呼ぶ)が投光部110から複数回(本例においては16回)出射される。
すなわち、縞状測定光においては、Y方向に平行な直線状の明部分およびY方向に平行な直線状の暗部分がX方向に周期的に配列される。ここで、パターン生成部112がDMDである場合には、マイクロミラーの寸法を1単位とする。縞状測定光の各明部分のX方向の幅は、例えば3単位であり、縞状測定光の各暗部分のX方向の幅は、例えば13単位である。この場合、縞状測定光のX方向の周期は16単位である。なお、明部分および暗部分の単位は、図2のパターン生成部112の構成により異なる。例えば、パターン生成部112が液晶である場合には、1単位は1画素の寸法である。
1回目の縞状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が、測定対象物Sの1番目の撮影画像の画素データに基づいて測定される。図9(a)は、1回目の縞状測定光に対応する測定対象物Sの1番目の撮影画像である。
2回目の縞状測定光は、1回目の縞状測定光から明部分および暗部分をX方向に1単位だけ移動させたパターンを有する。2回目の縞状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が、受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの2番目の撮影画像の画素データに基づいて測定される。
3回目の縞状測定光は、2回目の縞状測定光から明部分および暗部分をX方向に1単位だけ移動させたパターンを有する。3回目の縞状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が、測定対象物Sの3番目の撮影画像の画素データに基づいて測定される。
同様の動作が繰り返されることにより、4〜16回目の縞状測定光に対応する光の強度が、測定対象物Sの4〜16番目の撮影画像の画素データに基づいてそれぞれ測定される。X方向の周期が16単位である縞状測定光が16回出射されることにより、測定対象物Sの表面の全ての部分に縞状測定光が照射される。なお、図9(b)は、7回目の縞状測定光に対応する測定対象物Sの7番目の撮影画像である。図9(c)は、13回目の縞状測定光に対応する測定対象物Sの13番目の撮影画像である。
図10は、測定対象物Sの特定の部分における画像が撮影されたタイミング(番数)と受光された光の強度との関係を示す図である。図10の横軸は画像の順番を示し、縦軸は受光された光の強度を示す。上述のように、測定対象物Sの各部分について、1〜16番目の撮影画像が生成される。また、生成された1〜16番目の撮影画像の各画素に対応する光の強度が測定される。
図10に示すように、撮影画像の番号に対応する撮影画像の各画素の光の強度を図示することにより散布図が得られる。得られた散布図に例えばガウシアン曲線、スプライン曲線または放物線をフィッティングさせることにより、光の強度が最大になるときの撮影画像の番号(番数)を1未満の精度で推定することができる。図10の例においては、フィッティングされた点線で示す曲線により、9番目と10番目との間である仮想的な9.38番目の撮影画像において、光の強度が最大になることが推定される。
また、フィッティングされた曲線により、光の強度の最大値を推定することができる。測定対象物Sの各部分において推定された光の強度が最大となる撮影画像の番号に基づいて、測定対象物Sの各部分の高さhを算出することができる。この方法によれば、S/N(信号/ノイズ)比が十分に大きい光の強度に基づいて、測定対象物Sの三次元的な形状が測定される。これにより、測定対象物Sの形状測定の精度を向上させることができる。
なお、正弦波状測定光または縞状測定光等の周期的なパターン形状を有する測定光を用いた測定対象物Sの形状測定においては、測定対象物Sの表面の各部分の相対的な高さ(高さの相対値)が測定される。これは、パターンを形成するY方向に平行な複数の直線(縞)の各々を識別することができず、複数の直線の1周期(2π)の整数倍に相当する不確かさが存在することにより、絶対位相が求まらないからである。そのため、測定対象物Sの一の部分の高さとその部分に隣接する部分の高さが連続的に変化しているという仮定に基づいて、測定された高さのデータに公知のアンラッピング処理が行われてもよい。
(5)測定光の第4のパターン
図11は、測定光の第4のパターンを説明するための図である。図11に示すように、第4のパターンとして、Y方向に平行な直線状の断面を有しかつ明部分と暗部分とがX方向に並ぶ測定光(以下、コード状測定光と呼ぶ)が投光部110から複数回(本例においては4回)出射される。コード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
本例においては、測定対象物Sの表面がX方向において複数(図11の例では16)の領域に分割される。以下、複数に分割されたX方向における測定対象物Sの領域をそれぞれ第1〜第16の領域と呼ぶ。
図11(a)は、1回目に出射されるコード状測定光を示す。1回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1〜第8の領域に照射される明部分を有する。また、1回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第9〜第16の領域に照射される暗部分を有する。これにより、1回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、1回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
図11(b)は、2回目に出射されるコード状測定光を示す。2回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第5〜第12の領域に照射される明部分を有する。また、2回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1〜第4および第13〜第16の領域に照射される暗部分を有する。これにより、2回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、2回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
図11(c)は、3回目に出射されるコード状測定光を示す。3回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1、第2、第7〜第10、第15および第16の領域に照射される明部分を有する。また、3回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第3〜第6および第11〜第14の領域に照射される暗部分を有する。これにより、3回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、3回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
図11(d)は、4回目に出射されるコード状測定光を示す。4回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1、第4、第5、第8、第9、第12、第13および第16の領域に照射される明部分を有する。また、4回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第2、第3、第6、第7、第10、第11、第14および第15の領域に照射される暗部分を有する。これにより、4回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、4回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
コード状測定光の明部分に論理“1”が割り当てられ、コード状測定光の暗部分に論理“0”が割り当てられる。また、測定対象物Sの各領域に照射される1回目〜4回目のコード状測定光の論理の並びを符号と呼ぶ。この場合、測定対象物Sの第1の領域には、符号“1011”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第1の領域は、符号“1011”に符号化される。
測定対象物Sの第2の領域には、符号“1010”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第2の領域は、符号“1010”に符号化される。測定対象物Sの第3の領域には、符号“1000”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第3の領域は、符号“1000”に符号化される。同様に、測定対象物Sの第16の領域には、符号“0011”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第16の領域は、符号“0011”に符号化される。
このように、測定対象物Sの隣り合う領域の間では、符号のいずれかの桁が“1”のみ異なるようにコード状測定光が測定対象物Sに複数回照射される。すなわち、コード状測定光は、明部分および暗部分がグレイコード状に変化するように、複数回測定対象物Sに照射される。
測定対象物Sの表面の各領域で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の符号を測定することにより、測定対象物Sの領域ごとに、測定対象物Sが存在することにより変化した符号が得られる。得られた符号と領域ごとに測定対象物Sが存在しない場合の符号との差分を求めることにより、図6の距離dに相当する距離を算出することができる。ここで、画像におけるX軸方向には、上記の符号は1回のみ出現するというコード状測定光を用いた測定方法の特徴から、距離dの絶対的な値が算出される。これにより、測定対象物Sのその領域の絶対的な高さ(高さの絶対値)が算出される。測定対象物Sの表面上の全ての領域の高さを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状を測定することができる。
上記の説明においては、測定対象物Sの表面がX方向において16の領域に分割され、コード状測定光が投光部110から4回出射されたが、これに限定されない。測定対象物Sの表面がX方向において2Nの領域(Nは自然数)に分割され、コード状測定光が投光部110からN回出射されてもよい。上記の説明においては、理解を容易にするためにNは4に設定されている。本実施の形態における形状測定処理においては、Nは例えば8に設定される。したがって、測定対象物Sの表面はX方向において256の領域に分割される。
コード状測定光を用いた測定対象物Sの形状測定においては、コード状測定光を分離して識別可能な距離、すなわち1画素分に相当する距離が最小の分解能となる。したがって、受光部120のX方向における視野の画素数が1024画素である場合、高さが例えば10mmの測定対象物Sを10mm÷1024≒10μmの分解能で計測することができる。分解能は低いが絶対値を算出可能なコード状測定光を用いた形状測定と絶対値を算出できないが分解能が高い正弦波状測定光または縞状測定光を用いた形状測定とを組み合わせることにより、測定対象物Sの高さの絶対値をより高い分解能で算出することができる。
特に、図9の縞状測定光を用いた測定対象物Sの形状測定においては、分解能を1/100画素にすることができる。なお、1/100画素の分解能は、受光部120のX方向における視野の画素数が1024画素である場合、測定対象物Sの表面をX方向において約100000の領域に分割すること(すなわちN≒17)に相当する。そのため、コード状測定光を用いた形状測定と縞状測定光を用いた形状測定と組み合わせることにより、測定対象物Sの高さの絶対値をさらに高い分解能で算出することができる。
上述のライン状測定光を測定対象物S上で走査する方法は一般に光切断法と呼ばれる。一方、正弦波状測定光、縞状測定光またはコード状測定光を測定対象物Sに照射する方法は、パターン投影法に分類される。また、パターン投影法の中でも、正弦波状測定光または縞状測定光を測定対象物Sに照射する方法は位相シフト法に分類され、コード状測定光を測定対象物Sに照射する方法は空間コード法に分類される。
位相シフト法においては、周期的な投影パターンである正弦波状測定光または縞状測定光を出射した際に、測定対象物Sが存在しない場合の基準高さ位置から反射した受光量に基づいて計算された位相と、測定対象物Sが存在する場合の測定対象物S表面から反射した受光量に基づいて計算された位相との位相差から測定対象物Sの高さを求める。位相シフト法においては、個々の周期的な縞が区別できず、縞1周期分(2π)の整数倍に相当する不確かさが存在するため、絶対位相が求まらないという欠点がある。しかしながら、光切断法に比べて取得する画像の枚数が少ないため測定時間が比較的短く、測定分解能が高いという長所がある。
一方、空間コード法においては、測定対象物Sの領域ごとに、測定対象物Sが存在することによって変化した符号が得られる。得られた符号と測定対象物Sが存在しない場合の符号との差分を領域ごとに求めることにより、測定対象物Sの絶対的な高さを求めることができる。空間コード法においても、比較的少数の画像により測定が可能であり、絶対的な高さを求めることができるという長所がある。しかしながら、位相シフト法に比べると測定分解能に限界がある。
これらの投影法は、各々短所および長所を有しているが、いずれも三角測量の原理を用いている点は共通である。したがって、測定光が照射されない影の部分の測定はいずれの測定方法でも不可能である。
[3]顕微鏡モードおよび形状測定モード
本実施の形態に係る形状測定装置500は、顕微鏡モードで動作可能であるとともに形状測定モードで動作可能である。図12および図13は、動作モード選択時における表示部400のGUIの一例を示す図である。図12および図13に示すように、画像表示領域450および設定変更領域470,480が表示部400に表示される。画像表示領域450には、受光部120により撮像された測定対象物Sの画像が表示される。
設定変更領域470には、明るさ選択欄471、明るさ設定バー472、表示切換欄473、倍率切換欄474、倍率選択欄475、焦点調整欄476および焦点ガイド表示欄477が表示される。明るさ設定バー472は、水平方向に移動可能なスライダ472sを有する。
使用者は、明るさ選択欄471において受光部120の露光時間の方式を選択することにより、受光部120の露光時間の方式をオート(自動)と手動との間で切り換えることができる。受光部120の露光時間の方式として手動が選択されている場合、使用者は、PC200の操作部250を操作して明るさ設定バー472のスライダ472sを水平方向に移動させることにより、受光部120の露光時間を調整することができる。使用者は、表示切換欄473から画像の表示の種類を選択することにより、画像の表示の種類をカラーとモノクロとの間で切り換えることができる。
後述する図26に示すように、受光部120は、カメラ121としてレンズの倍率が互いに異なるカメラ121Aおよびカメラ121Bを含む。本例においては、例えば一方のカメラ121Aを低倍率カメラと呼び、他方のカメラ121Bを高倍率カメラと呼ぶ。使用者は、倍率切換欄474においてカメラの倍率を選択することにより、受光部120のカメラ121を高倍率カメラと低倍率カメラとの間で切り換えることができる。
受光部120はデジタルズーム機能を有する。本例においては、2つのカメラ121とデジタルズーム機能とを組み合わせることにより、カメラ121の倍率を実質的に2種類以上に変更することができる。使用者は、倍率選択欄475において倍率を選択することにより、受光部120のカメラ121の倍率を設定することができる。
使用者は、焦点調整欄476に数値を入力することにより、入力された数値に対応する距離だけZ方向に受光部120の焦点位置を変化させることができる。受光部120の焦点位置の変化は、ステージ140のZステージ142の位置、すなわち受光部120と測定対象物Sとの間のZ方向の相対的な距離を変化させることにより行われる。
後述する図34および図40に示すように、使用者は、焦点ガイド表示欄477を操作することにより、表示部400または測定対象物Sに補助パターンAPを表示させるとともに、測定対象物SにガイドパターンGPを表示させることができる。詳細は、後述の「焦点調整の第1の補助機能」において説明する。
設定変更領域480には、顕微鏡モード選択タブ480Aおよび形状測定モード選択タブ480Bが表示される。顕微鏡モード選択タブ480Aが選択されている場合には、形状測定装置500は、顕微鏡モードで動作する。顕微鏡モードにおいては、照明光出力部130から照明光が測定対象物Sに照射される。この状態で、測定対象物Sの拡大観察を行うことができる。
図12に示すように、顕微鏡モード選択タブ480Aが選択されている場合、設定変更領域480には、ツール選択欄481および撮影ボタン482が表示される。使用者は、撮影ボタン482を操作することにより、画像表示領域450に表示されている測定対象物Sの画像を撮影(キャプチャ)することができる。
ツール選択欄481には、複数の実行ツールをそれぞれ選択するための複数のアイコンが表示される。使用者は、ツール選択欄481の複数のアイコンのいずれかを操作することにより、観察されている測定対象物Sの画像の平面測定、画像への目盛りの挿入、深度合成、画像へのコメントの挿入または画像の改善等の実行ツールを実行することができる。
例えば、平面測定の実行が選択されている場合、ツール選択欄481の下方には測定ツール表示欄481aおよび補助ツール表示欄481bが表示される。測定ツール表示欄481aには、2点間の距離の測定、2つの平行線間の距離の測定、円の直径または半径の測定、および2つの直線がなす角度の測定等をそれぞれ実行するための複数のアイコンが表示される。補助ツール表示欄481bには、画像表示領域450の画像に点、線または円等の補助的な描画をそれぞれ実行するための複数のアイコンが表示される。
形状測定モード選択タブ480Bが選択されている場合には、形状測定装置500は、形状測定モードで動作する。図13に示すように、形状測定モード選択タブ480Bが選択されている場合、設定変更領域480には、測定ボタン483が表示される。使用者は、形状測定の準備が終了した後、測定ボタン483を操作することにより、形状測定処理を実行することができる。
[4]テクスチャ画像
(1)合成画像
測定部100においては、照明光出力部130からの照明光または投光部110からの均一パターンを有する測定光が照射された状態で、測定対象物Sの表面の状態の画像を示すデータが生成される。表面の状態は、例えば模様または色彩を含む。以下、測定対象物Sの表面の状態の画像をテクスチャ画像と呼び、テクスチャ画像を示すデータをテクスチャ画像データと呼ぶ。
生成されたテクスチャ画像データと形状測定処理において生成された立体形状データとが合成されることにより、合成データが生成される。表示部400には、合成データに基づいて測定対象物Sの立体形状および表面の状態の合成された画像が表示される。以下、形状測定処理において生成された立体形状データを主立体形状データと呼ぶ。また、主立体形状データに基づいて表示される画像を主立体形状の画像と呼ぶ。
図14は、形状測定処理実行後における表示部400のGUIの一例を示す図である。図14に示すように、形状測定処理において生成された合成データに基づいて、測定対象物Sの画像が画像表示領域450に表示される。使用者は、合成画像上で、測定対象物Sの測定結果の確認または簡単な計測を実行することができる。
ここで、測定対象物Sの表面全体が受光部120のZ方向の測定可能範囲に位置している場合であっても、測定対象物Sの表面全体が被写界深度の範囲内に位置していない場合、テクスチャ画像の全部または一部が鮮明に表示されない。そのため、測定対象物SのZ方向の寸法が受光部120の被写界深度の範囲よりも大きい場合には、受光部120と測定対象物Sとの間の相対的な距離を変化させつつ、受光部120の被写界深度の範囲内に位置する測定対象物Sのテクスチャ画像データが取得される。取得された複数のテクスチャ画像データを合成することにより、測定対象物Sの表面全体にわたって鮮明に表示可能なテクスチャ画像データ(以下、全焦点テクスチャ画像データと呼ぶ)が生成される。
図15は、全焦点テクスチャ画像を説明するための測定対象物Sの模式的側面図である。図15の測定対象物Sにおいては、回路基板Sb上に電解コンデンサScが実装された構成を有する。また、回路基板Sbの上面および電解コンデンサScには、文字が付されている。図15に示すように、測定対象物SのZ方向の寸法(本例においては、回路基板Sbの下面から電解コンデンサScの上面までの寸法)は、受光部120のZ方向の測定可能範囲よりも小さく、被写界深度の範囲よりも大きい。
図16は、受光部120の焦点位置とテクスチャ画像の鮮明度との関係を示す図である。図16(a),(c),(e)は、図15の測定対象物Sの側面図を示す。図16(a)においては、測定対象物Sの電解コンデンサScの上面の位置aに受光部120の焦点が合わされる。図16(b)においては、測定対象物Sの電解コンデンサScの上面と回路基板Sbの上面との中間の位置bに受光部120の焦点が合わされる。図16(c)においては、測定対象物Sの回路基板Sbの上面の位置cに受光部120の焦点が合わされる。
図16(b)は、図16(a)の状態において取得されたテクスチャ画像データに基づく測定対象物Sのテクスチャ画像を示す。この場合、電解コンデンサScの上面の位置aが受光部120の被写界深度の範囲内に位置するので、図16(b)に示すように、電解コンデンサScの上面に付された文字が鮮明に表示される。しかしながら、回路基板Sbの上面の位置cは、受光部120の被写界深度の範囲内に位置しない。そのため、回路基板Sbの上面に付された文字が不鮮明に表示される。また、回路基板Sbの上面の位置cは、受光部120のZ方向の測定可能範囲内にも位置していない。したがって、図16(e)の位置にステージ140の高さを合わせると、電解コンデンサScの上面の位置aの高さを算出することができないか、または算出される高さの信頼性が低くなる。
図16(d)は、図16(c)の状態において取得されたテクスチャ画像データに基づく測定対象物Sのテクスチャ画像を示す。この場合、電解コンデンサScの上面と回路基板Sbの上面との中間の位置bが受光部120の被写界深度の範囲内に位置する。しかしながら、電解コンデンサScの上面および回路基板Sbの上面が受光部120の被写界深度の範囲外でかつZ方向の測定可能範囲に位置するので、図16(d)に示すように、電解コンデンサScの上面に付された文字および回路基板Sbの上面に付された文字がやや不鮮明に表示される。
図16(f)は、図16(e)の状態において取得されたテクスチャ画像データに基づく測定対象物Sのテクスチャ画像を示す。この場合、回路基板Sbの上面の位置cが受光部120の被写界深度の範囲内に位置するので、図16(f)に示すように、回路基板Sbの上面に付された文字が鮮明に表示される。しかしながら、電解コンデンサScの上面の位置aは、受光部120の被写界深度の範囲内に位置しない。そのため、電解コンデンサScの上面に付された文字が不鮮明に表示される。また、電解コンデンサScの上面の位置aは、受光部120のZ方向の測定可能範囲内にも位置していない。したがって、図16(a)の位置にステージ140の高さを合わせると、回路基板Sbの上面の位置cの高さを算出することができないか、または算出される高さの信頼性が低くなる。
位置a〜cにおけるテクスチャ画像データが合成されることにより全焦点テクスチャ画像データが生成される。図17は、生成された全焦点テクスチャ画像データに基づく測定対象物Sの全焦点テクスチャ画像である。全焦点テクスチャ画像においては、図17に示すように、電解コンデンサScの上面に付された文字が鮮明に表示されるとともに、回路基板Sbの上面に付された文字が鮮明に表示される。
このように、受光部120とステージ140との相対的なZ方向の位置を変化させることにより、測定対象物Sに対して、受光部120の焦点が合う高さが変化する。そのため、一度に受光部120の被写界深度の範囲内に収めることができない高低差がある測定対象物Sであっても、受光部120の焦点を変化させて撮像した複数のテクスチャ画像を合成することにより、全体に焦点が合った全焦点テクスチャ画像を取得することができる。なお、被写界深度は、受光部120のレンズの倍率によって変化する形状測定装置500の固有の幅を有している。
全焦点テクスチャ画像を生成する際には、受光部120とステージ140とのZ方向の相対位置を所定範囲内で、所定の間隔で変化させて複数のテクスチャ画像を取得する。このときの受光部120とステージ140とをZ方向に相対的に移動させる範囲および間隔は、形状測定装置500の固有の値である。ただし、測定対象物Sの形状測定処理を予め実行した場合、または測定対象物Sの形状を示すデータ(例えばCADデータ)を予め保有している場合など、測定対象物Sの形状が既知である場合には、このデータに基づいて最適な移動範囲および間隔を決定してもよい。
例えば、測定対象物Sの高さの上限および下限により規定される範囲よりもやや広い範囲を、移動範囲としてもよい。また、測定対象物Sの高さ形状の勾配に応じて間隔を変化させてもよい。全焦点テクスチャ画像を取得する際にステージ140と受光部120との相対的なZ方向の移動を規定する上記のパラメータは使用者により任意に設定可能であってもよい。
全焦点テクスチャ画像データは、測定対象物Sの全ての部分のうち受光部120の被写界深度の範囲内に含まれている部分についての複数のテクスチャ画像データが合成されることにより生成される。また、測定対象物Sの各部分のテクスチャ画像データの取得の際には、測定対象物Sの各部分が受光部120の被写界深度の範囲内に含まれるときの受光部120と測定対象物Sとの相対的な距離に基づいて測定対象物Sの各部分の高さが算出される。
測定対象物Sの全ての部分について算出された高さを合成することにより、測定対象物Sの立体的な形状を示すデータが生成される。この測定対象物Sの立体的な形状を示すデータを副立体形状データと呼ぶ。全焦点テクスチャ画像データと主立体形状データとが合成されることにより、合成データが生成される。
図18は、合成データに基づく測定対象物Sの合成画像である。図18(a)は、主立体形状データに基づく測定対象物Sの主立体形状の画像を示す。図18(a)の主立体形状を示す主立体形状データと全焦点テクスチャ画像データとが合成されることにより、合成データが生成される。図18(b)は、生成された合成データに基づく合成画像である。図18(b)に示すように、測定対象物SのZ方向の寸法が受光部120の被写界深度の範囲よりも大きい場合であっても、測定対象物Sの異なる高さを有する部分の表面の状態が鮮明に表示される。
主立体形状データの各画素の値は、その画素の位置における高さのデータを示している。一方、全焦点テクスチャ画像データの各画素の値は、その画素の位置における色および輝度を含むテクスチャ情報(表面の状態の情報)を示している。したがって、対応する画素同士の情報を合成することにより、図18に示す合成画像を生成することができる。
なお、詳細については後述するが、測定対象物Sの形状測定は、通常1回の処理で行われる。例えば、図16(a)の例では、回路基板Sbの上面cが受光部120の測定可能範囲内にないため、回路基板Sbの上面cの高さを算出することができない。したがって、図16(c)に示すように、できるだけ測定対象物Sの全体が受光部120のZ方向の測定可能範囲内に収まるように、受光部120とステージ140とのZ方向の相対距離を調整する必要がある。
一方、全焦点テクスチャ画像を生成する処理では、受光部120とステージ140とのZ方向の相対距離を変化させて複数回の撮像を行うので、1回の撮像で測定対象物Sの全体が受光部120の被写界深度の範囲内に収まるように受光部120とステージ140との相対距離を予め調整する必要はない。したがって、使用者は、テクスチャ画像を取得する際の受光部120の被写界深度の範囲ではなく、形状測定処理を行うための受光部120のZ方向の測定可能範囲内に測定対象物Sが収まっているか否かを意識して、受光部120とステージ140とのZ方向の相対距離を調整する。
図16(a)に示すステージ140の位置で形状測定処理を行う場合、回路基板Sbの上面cの高さの算出ができないか、または算出される高さの信頼性が低くなる。一方、全焦点テクスチャ画像の生成処理においては、受光部120とステージ140とのZ方向の相対距離を変化させて複数回の撮像を行うので、回路基板Sbの上面cに受光部120の焦点が合ったテクスチャ画像を取得することはできる。したがって、テクスチャ画像の一部に高さのデータが欠損していたり、信頼性が低い画素が存在していても、その画素に全焦点テクスチャ画像データのテクスチャ情報を付与することは可能である。
本発明における三角測距を用いた形状測定処理においては、一般的に受光部120のZ方向の測定可能範囲は、受光部120の被写界深度の範囲よりも広い。これは、三角測距においては、画像に多少のぼけが発生していても、測定対象物Sの形状を測定することが可能だからである。ただし、受光部120の被写界深度の範囲は、使用者にとって焦点が合っているように見える主観的な範囲である。また、受光部120のZ方向の測定可能範囲は、投光部110および受光部120により定まる形状測定装置500の固有の値であるものの、受光部120のZ方向の測定可能範囲内にない測定対象物Sが必ずしも測定不可能になるのではない。
また、測定対象物Sの高低差が大きい場合は、どのように受光部120とステージ140とのZ方向の相対距離を調整しても、測定対象物Sの全体を1度で測定することができない場合がある。その場合は、形状測定処理を行う際にも、受光部120とステージ140とのZ方向の相対距離を変化させて、複数回の形状測定処理を行い、各画素の最も信頼性が高い高さのデータにより構成された立体形状を取得することもできる。この場合は、受光部120のZ方向の測定可能範囲を超えた高低差を有する測定対象物Sの全体の測定が可能になり、大きな高低差を有する測定対象物Sの立体形状全体に対して、テクスチャ情報を付与することが可能である。
図18の例においては、三次元的に表示された測定対象物Sにテクスチャ画像が合成されるが、これに限定されない。例えば、測定対象物Sの高さを色彩の変化により表現した二次元の画像上にテクスチャ情報を重畳して表示してもよい。この場合、例えば高さを示す二次元の画像とテクスチャ情報との比率を使用者が調整可能にすることで、高さを示す二次元の画像とテクスチャ画像との中間的な色彩および輝度の画像を生成して表示することも可能である。
なお、上記の説明においては、理解を容易にするために3つの位置a〜cにおけるテクスチャ画像データおよび高さに基づいて全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データがそれぞれ生成されるが、これに限定されない。2つ以下の位置または4つ以上の位置におけるテクスチャ画像データおよび高さに基づいて全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データがそれぞれ生成されてもよい。
本例においては、測定対象物SのZ方向の位置が、受光部120の被写界深度の範囲よりも小さい間隔で、受光部120のZ方向の測定可能範囲の上限から下限へ向かって、または下限から上限へ向かって変化される。Z方向の各位置におけるテクスチャ画像データおよび高さに基づいて全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データがそれぞれ生成される。
あるいは、全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データの生成前に測定対象物Sの主立体形状データが生成されている場合には、主立体形状データに基づいて測定対象物SのZ方向の上端および下端を算出することができる。したがって、測定対象物SのZ方向の位置が、受光部120の被写界深度の範囲よりも小さい間隔で、測定対象物SのZ方向の寸法の上端から下端へ向かって、または下端から上端へ向かって変化されてもよい。Z方向の各位置におけるテクスチャ画像データおよび高さに基づいて全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データがそれぞれ生成される。
この場合、測定対象物Sの全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データを生成するための最小限の範囲でテクスチャ画像データを取得し、高さを算出することができる。これにより、全焦点テクスチャ画像データおよび副立体形状データを高速に生成することができる。
(2)テクスチャ画像の種類
使用者は、テクスチャ画像データの取得において、テクスチャ画像の種類を選択することができる。テクスチャ画像の種類は、例えば通常のテクスチャ画像、全焦点テクスチャ画像もしくはハイダイナミックレンジ(HDR)テクスチャ画像またはこれらの組み合わせを含む。全焦点テクスチャ画像が選択された場合、上記の全焦点テクスチャ画像データが生成される。HDRテクスチャ画像が選択された場合、公知のハイダイナミックレンジ(HDR)合成が行われたテクスチャ画像データが生成される。
測定対象物Sの表面の複数の部分の反射率の差または色彩による明るさの差が小さくかつZ方向における測定対象物Sの寸法が受光部120の被写界深度よりも大きい場合、使用者は全焦点テクスチャ画像を選択する。これにより、測定対象物Sの表面状態を鮮明に示すテクスチャ画像データを短時間で生成させることができる。測定対象物Sの表面に反射率が高い部分および低い部分が含まれる場合、または色彩による明るさの差が大きい場合、使用者はHDRテクスチャ画像を選択する。これにより、黒つぶれおよび白とびが含まれない測定対象物Sの表面状態を鮮明に示すテクスチャ画像データを生成させることができる。
通常のテクスチャ画像においては、テクスチャ画像の合成が行われない。この場合、受光部120の焦点位置を固定した状態で受光部120により出力される受光信号に基づいて一のテクスチャ画像データが生成される。測定対象物Sの表面の複数の部分の反射率の差または色彩による明るさの差が小さくかつZ方向における測定対象物Sの寸法が受光部120の被写界深度の範囲よりも小さい場合、使用者は通常のテクスチャ画像を選択する。これにより、測定対象物Sの表面状態を鮮明に示すテクスチャ画像データをより短時間で生成させることができる。
HDRテクスチャ画像が選択された場合、Z方向の一の位置において、異なる撮像条件の下で複数のテクスチャ画像データが生成される。ここで、撮像条件は、受光部120の露光時間を含む。あるいは、撮像条件は、照明光出力部130からの照明光の強度(明るさ)または投光部110からの均一な測定光の強度(明るさ)を含んでもよい。これらの場合、CPU210は、複数の撮像条件で複数のテクスチャ画像データを容易に生成することができる。
生成された複数のテクスチャ画像データは、そのZ方向の位置におけるテクスチャ画像に黒つぶれおよび白とびが含まれないように合成(HDR合成)される。これにより、テクスチャ画像のダイナミックレンジが拡大される。HDR合成されたテクスチャ画像データ(以下、HDRテクスチャ画像データと呼ぶ)に基づいてHDRテクスチャ画像が表示される。
全焦点テクスチャ画像とHDRテクスチャ画像との組み合わせ(以下、HDR全焦点テクスチャ画像と呼ぶ。)が選択された場合、測定対象物SのZ方向の位置を変化させつつ、Z方向の各位置について異なる撮像条件における複数のテクスチャ画像データが取得される。Z方向の各位置において取得された複数のテクスチャ画像データが、そのZ方向の位置における画像のダイナミックレンジが拡大されるようにHDR合成されることにより、HDRテクスチャ画像データが生成される。
また、測定対象物Sの全ての部分のうち受光部120の被写界深度の範囲内に含まれている部分についての複数のHDRテクスチャ画像データが合成されることにより、測定対象物Sの表面全体にわたって表示可能なHDRテクスチャ画像データ(以下、HDR全焦点テクスチャ画像データと呼ぶ)が生成される。HDR全焦点テクスチャ画像データに基づいて、HDR全焦点テクスチャ画像が表示される。
このように、測定対象物Sの表面に反射率が高い部分および低い部分が含まれるかまたは色彩による明るさの差が大きく、かつ測定対象物Sの寸法が受光部の被写界深度よりも大きい場合、使用者はHDR全焦点テクスチャ画像を選択する。これにより、測定対象物Sの表面状態を鮮明に示すテクスチャ画像データを生成させることができる。
図19は、テクスチャ画像の種類の選択時における表示部400のGUIの一例を示す図である。図19に示すように、テクスチャ画像の種類の選択時には、表示部400の設定変更領域480にテクスチャ画像選択欄484が表示される。テクスチャ画像選択欄484には、3つのチェックボックス484a,484b,484cが表示される。
使用者は、チェックボックス484a〜484cを指定することにより、通常のテクスチャ画像、HDRテクスチャ画像および全焦点テクスチャ画像をそれぞれ選択することができる。また、使用者は、チェックボックス484b,484cを指定することにより、HDR全焦点テクスチャ画像を選択することができる。
(3)主立体形状データの補正
副立体形状データの精度は、主立体形状データの精度よりも低い。しかしながら、主立体形状データは三角測距方式に基づいて生成されるので、主立体形状データを生成するためには、受光部120の光軸とは異なる角度から測定対象物Sに光を照射する必要がある。そのため、主立体形状データは、測定対象物Sの形状を正確に測定することができない領域に対応する不良部分を含むことが多い。ここで、不良部分は、画像の影の部分に対応する空白データ、ノイズの部分に対応するノイズデータ、または多重反射等による測定対象物Sの偽の形状の部分に対応する偽形状データを含む。
一方で、副立体形状データを生成するためには、受光部120の光軸とは異なる角度から測定対象物Sに光を照射する必要がなく、受光部120の光軸と略等しい角度から測定対象物Sに照射することができる。この場合、副立体形状データは、不良部分をほとんど含まない。したがって、測定対象物Sの略上方に配置される照明光出力部130から出射される照明光を用いることにより、不良部分をほとんど含まない副立体形状データを生成することができる。
副立体形状データに基づいて主立体形状データの不良部分が判定される。本例においては、同一の測定対象物Sについての副立体形状データと主立体形状データとが比較される。これにより、主立体形状データのうちの不良部分を容易に判定することができる。また、形状測定処理において、測定光のパターンのコントラストが部分的に低下した場合、その部分に対応する主立体形状データの部分の信頼性が低下する。
この場合でも、副立体形状データおよび主立体形状データに基づいて、主立体形状データの信頼性が低い部分を判定することができる。本例においては、副立体形状データと主立体形状データとが比較される。副立体形状データの各部分と主立体形状データの各部分との差分がそれぞれ算出され、その差分が予め定められたしきい値より大きい主立体形状データの部分は信頼性が低いと判定される。
このように、主立体形状データの複数の部分のうち副立体形状データからの乖離がしきい値よりも大きい部分は信頼性が低いと判定される。なお、しきい値は固定値であってもよいし、使用者がスライダ等を操作することにより任意に調整可能な可変値であってもよい。以下、主立体形状データのうちの信頼性が低いと判定された部分を主立体形状データの信頼性低下部分と呼ぶ。
主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分は、対応する副立体形状データの部分により置換または補間等の補正がされてもよい。これにより、使用者は、表示部400において外観上不良部分または信頼性低下部分を含まない測定対象物Sの主立体形状の画像または合成画像を観測することができる。また、主立体形状データの信頼性低下部分について、信頼性を向上させることができる。主立体形状データの補正においては、主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分がその周囲の主立体形状データの部分により補間されてもよい。
図20、図21および図22は、副立体形状データによる主立体形状データの補正を説明するための図である。図20(a),(b)は、測定対象物Sの主立体形状の画像および合成画像をそれぞれ示す。図21(a),(b)は、測定対象物Sの副立体形状の画像および合成画像をそれぞれ示す。図22(a),(b)は、測定対象物Sの補正された主立体形状の画像および補正された合成画像をそれぞれ示す。
図20(a),(b)に示すように、主立体形状の画像および合成画像には、空白データに基づく影Ssが含まれるとともに、偽形状データに基づく偽の形状Spが含まれる。一方、図21(a),(b)に示すように、副立体形状の画像および合成画像には、影の影響が出ない。
図20(a),(b)の主立体形状の画像および合成画像における影Ssおよび偽の形状Spの部分が、図21(a),(b)の副立体形状の画像および全焦点テクスチャ画像の相当する部分により補正される。これにより、図22(a),(b)に示すように、影の影響が出ない主立体形状の画像および合成画像を観測することができる。
表示部400に主立体形状の画像またはテクスチャ画像を表示させる際に、主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分が補正されず、主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分に相当する立体形状の画像またはテクスチャ画像の部分が強調表示されてもよい。あるいは、表示部400に補正された主立体形状の画像を表示させる際に、主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分が補正された状態で、主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分に相当する補正された立体形状の画像の部分が強調表示されてもよい。これにより、使用者は、主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分を容易かつ確実に認識することができる。主立体形状データの不良部分または信頼性低下部分は、形状測定処理における測定位置の計測または解析においては、無効データとして扱われてもよい。
形状測定処理において、投光部110A,110Bの両方からの測定光を用いて主立体形状データが生成される場合、投光部110A,110Bの各々からの測定光に基づく主立体形状データが適切な重み付けで合成されることにより主立体形状データが生成される。ここで、一方の測定光に基づく主立体形状データが不良部分または信頼性低下部分を含む場合には、その部分においては、一方の測定光に基づく主立体形状データの合成の重み付けを低減させるとともに、他方の測定光に基づく主立体形状データの合成の重み付けを増加させてもよい。
(4)形状測定処理の効率化
後述する図30〜図32の形状測定処理において、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光(図11参照)が照射されるとともに、縞状測定光(図9参照)が照射される。この場合、コード状測定光に基づいて測定対象物Sの各部分の高さの絶対値が算出されるとともに、縞状測定光に基づいて測定対象物Sの各部分の高さの相対値が高い分解能で算出される。これにより、測定対象物Sの各部分の高さの絶対値が高い分解能で算出される。すなわち、コード状測定光に基づいて算出された高さにより、縞状測定光に基づいて算出された高さの絶対値が決定される。
これに代えて、副立体形状データにおける各部分の高さにより、縞状測定光に基づいて算出された高さの絶対値が決定されてもよい。この場合、形状測定処理において、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光を照射しなくてもよい。これにより、測定対象物Sの各部分の高さの絶対値を高い分解能で算出しつつ形状測定処理を短時間でかつ効率的に実行することができる。
[5]形状測定処理
(1)形状測定の準備
測定対象物Sの形状測定処理を実行する前に、使用者は、形状測定の準備を行う。図23は、形状測定の準備の手順を示すフローチャートである。以下、図1、図2および図23を参照しながら形状測定の準備の手順を説明する。まず、使用者は、測定対象物Sをステージ140上に載置する(ステップS1)。次に、使用者は、照明光出力部130から測定対象物Sに照明光を照射する(ステップS2)。これにより、測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。続いて、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの画像を見ながら、照明光の光量、受光部120の焦点ならびに測定対象物Sの位置および姿勢の調整(以下、第1の調整と呼ぶ)を行う(ステップS3)。
次に、使用者は、照明光の照射を停止するとともに、投光部110から測定対象物Sに測定光を照射する(ステップS4)。これにより、測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。続いて、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの画像を見ながら、測定光の光量、受光部120の焦点ならびに測定対象物Sの位置および姿勢の調整(以下、第2の調整と呼ぶ)を行う(ステップS5)。ステップS5において、測定対象物Sの測定したい位置に影が発生していない場合には、使用者は、第2の調整として受光部120の焦点ならびに測定対象物Sの位置および姿勢の調整を行う必要はなく、測定光の光量の調整を行えばよい。
その後、使用者は、測定光の照射を停止するとともに、再び照明光出力部130から測定対象物Sに照明光を照射する(ステップS6)。これにより、測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。次に、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの画像を確認する(ステップS7)。ここで、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの画像から、光の光量、受光部120の焦点ならびに測定対象物Sの位置および姿勢(以下、観察状態と呼ぶ)が適切であるか否かを判定する(ステップS8)。
ステップS8において、観察状態が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS2の処理に戻る。一方、ステップS8において、観察状態が適切であると判定した場合、使用者は、形状測定の準備を終了する。
なお、上記の説明においては、第1の調整の後に第2の調整が行われるが、これに限定されない。第2の調整の後に第1の調整が行われてもよい。この場合、ステップS6においては照明光ではなく測定光が測定対象物Sに照射される。また、ステップS5において、第2の調整のうち受光部120の焦点ならびに測定対象物Sの位置および姿勢の調整を行わなかった場合には、使用者は、ステップS6〜S8の手順を省略して形状測定の準備を終了してもよい。
(2)第1の調整
図24および図25は、形状測定の準備の手順における第1の調整の詳細を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図24および図25を参照しながら形状測定の準備の手順における第1の調整の詳細を説明する。まず、使用者は、照明光の光量を調整する(ステップS11)。照明光の光量の調整は、制御部300の照明光源320から出射される照明光の明るさまたは受光部120の露光時間を調整することにより行われる。次に、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、測定対象物Sに照射される照明光の光量が適切であるか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、照明光の光量が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS11の処理に戻る。一方、ステップS12において、照明光の光量が適切であると判定した場合、使用者は、受光部120の焦点を調整する(ステップS13)。受光部120の焦点の調整は、ステージ140のZステージ142の位置を変化させ、受光部120と測定対象物Sとの間のZ方向の相対的な距離を調整することにより行われる。次に、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、受光部120の焦点が適切であるか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14において、受光部120の焦点が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS13の処理に戻る。一方、ステップS14において、受光部120の焦点が適切であると判定した場合、使用者は、測定対象物Sの位置および姿勢を調整する(ステップS15)。測定対象物Sの位置および姿勢の調整は、ステージ140のX−Yステージ141の位置およびθステージ143の角度を変化させることにより行われる。
次に、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、測定対象物Sの位置および姿勢が適切であるか否かを判定する(ステップS16)。ここで、測定対象物Sの測定位置が受光部120の視野範囲に含まれている場合、使用者は、測定対象物Sの位置および姿勢が適切であると判断する。一方、測定対象物Sの測定位置が受光部120の視野範囲に含まれていない場合、使用者は、測定対象物Sの位置および姿勢が適切でないと判断する。
ステップS16において、測定対象物Sの位置および姿勢が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS15の処理に戻る。一方、ステップS16において、測定対象物Sの位置および姿勢が適切であると判定した場合、使用者は、視野サイズを調整する(ステップS17)。視野サイズの調整は、例えば受光部120のカメラ121のレンズの倍率を変更することにより行われる。
次に、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、視野サイズが適切であるか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18において、視野サイズが適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS17の処理に戻る。一方、ステップS18において、視野サイズが適切であると判定した場合、使用者は、テクスチャ画像の種類を選択し(ステップS19)、第1の調整を終了する。第1の調整が行われることにより、テクスチャ画像データを生成するために最適な照明光の光量条件が設定される。
なお、ステップS17においては、受光部120が、レンズの倍率が互いに異なる複数のカメラ121を含み、カメラ121を切り換えることによりレンズの倍率を変更してもよい。あるいは、レンズの倍率を切り換え可能な一のカメラ121を含み、レンズの倍率を切り換えることによりレンズの倍率を変更してもよい。または、受光部120のデジタルズーム機能により、レンズの倍率を変更することなく視野サイズが調整されてもよい。
図26は、X方向から見た図2の受光部120を示す模式図である。図26に示すように、受光部120は、複数のカメラ121としてカメラ121A,121Bを含む。カメラ121Aのレンズの倍率とカメラ121Bのレンズの倍率とは互いに異なる。また、受光部120はハーフミラー124をさらに含む。
複数のレンズ122,123を通過した光は、ハーフミラー124により2つの光に分離される。一方の光はカメラ121Aにより受光され、他方の光はカメラ121Bにより受光される。図1の制御基板150に受光信号を出力するカメラ121をカメラ121Aとカメラ121Bとの間で切り換えることにより、レンズの倍率を変更することができる。カメラ121Aとカメラ121Bとの間の切り換えは、図13の倍率切換欄474においてカメラの倍率を選択することにより行われる。
(3)第2の調整
図27および図28は、形状測定の準備の手順における第2の調整の詳細を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図27および図28を参照しながら形状測定の準備の手順における第2の調整の詳細を説明する。まず、使用者は、一方の測定光の光量を調整する(ステップS21)。
次に、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、測定対象物Sの位置および姿勢が適切であるか否かを判定する(ステップS22)。ここで、測定対象物Sの測定位置に影が発生していない場合、使用者は、測定対象物Sの位置および姿勢が適切であると判断する。一方、測定対象物Sの測定位置に影が発生している場合、使用者は、測定対象物Sの位置および姿勢が適切でないと判断する。
ステップS22において、測定対象物Sの位置および姿勢が適切でないと判定した場合、使用者は、測定対象物Sの位置および姿勢を調整する(ステップS23)。測定対象物Sの位置および姿勢の調整は、ステージ140のX−Yステージ141の位置およびθステージ143の角度を変化させることにより行われる。その後、使用者は、ステップS22の処理に戻る。
一方、ステップS22において、測定対象物Sの位置および姿勢が適切であると判定した場合、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、測定対象物Sに照射される一方の測定光の光量が適切であるか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24において、一方の測定光の光量が適切でないと判定した場合、使用者は、一方の測定光の光量を調整する(ステップS25)。その後、使用者は、ステップS24の処理に戻る。
一方、ステップS24において、一方の測定光の光量が適切であると判定した場合、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、受光部120の焦点が適切であるか否かを判定する(ステップS26)。
ステップS26において、受光部120の焦点が適切でないと判定した場合、使用者は、受光部120の焦点を調整する(ステップS27)。受光部120の焦点の調整は、ステージ140のZステージ142の位置を変化させ、受光部120と測定対象物Sとの間のZ方向の相対的な距離を調整することにより行われる。その後、使用者は、ステップS26の処理に戻る。
一方、ステップS26において、受光部120の焦点が適切であると判定した場合、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの画像から、観察状態が適切であるか否かを判定する(ステップS28)。
ステップS28において、観察状態が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS23、ステップS25またはステップS27の処理に戻る。具体的には、観察状態のうち測定対象物Sの位置および姿勢が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS23の処理に戻る。観察状態のうち光(一方の測定光)の光量が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS25の処理に戻る。観察状態のうち受光部120の焦点が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS27の処理に戻る。
一方、ステップS28において、観察状態が適切であると判定した場合、使用者は、一方の測定光の照射を停止するとともに、他方の投光部110Bから測定対象物Sに測定光を照射する(ステップS29)。これにより、測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。続いて、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの画像を見ながら、他方の測定光の光量の調整を行う(ステップS30)。
その後、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像に基づいて、他方の測定光の光量が適切であるか否かを判定する(ステップS31)。ステップS31において、他方の測定光の光量が適切でないと判定した場合、使用者は、ステップS30の処理に戻る。一方、ステップS31において、他方の測定光の光量が適切であると判定した場合、使用者は、第2の調整を終了する。第2の調整が行われることにより、主立体形状データを生成するために最適な一方および他方の測定光の光量条件が設定される。なお、他方の投光部110Bを使用しない場合には、使用者は、ステップS28の処理の後、ステップS29〜S31の手順を省略して第2の調整を終了してもよい。
図29は、第2の調整の実行時における表示部400のGUIの一例を示す図である。図29に示すように、第2の調整の実行時には、表示部400の設定変更領域480に図5と同様の光量設定バー430,440が表示される。使用者は、操作部250を操作して光量設定バー430のスライダ430sを水平方向に移動させることにより、一方の測定光の光量を変更することができる。同様に、使用者は、操作部250を操作して光量設定バー440のスライダ440sを水平方向に移動させることにより、他方の測定光の光量を変更することができる。
第2の調整の実行時には、表示部400に3つの画像表示領域450a,450b,450cが設けられる。画像表示領域450aには、一方および他方の測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。画像表示領域450bには、一方の測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。画像表示領域450cには、他方の測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。
ここで、画像は、明るすぎるために白とびが生じている部分および暗すぎるために黒つぶれが生じている部分を識別可能に、画像表示領域450a〜450cに表示される。図29の例においては、明るすぎるために白とびが生じている部分がドットパターンにより強調表示されている。また、暗すぎるために黒つぶれが生じている部分がハッチングパターンにより強調表示されている。
(4)形状測定処理
図23の形状測定の準備の後、測定対象物Sの形状測定処理が実行される。図30、図31および図32は、形状測定処理の手順を示すフローチャートである。以下、図1、図2および図30〜図32を参照しながら形状測定処理の手順を説明する。使用者は、形状測定の準備の終了後に、CPU210に形状測定処理の開始を指示する。CPU210は、使用者により形状測定処理の開始が指示されたか否かを判定する(ステップS41)。
ステップS41において、形状測定処理の開始が指示されていない場合、CPU210は、形状測定処理の開始が指示されるまで待機する。なお、使用者は、形状測定処理の開始を指示するまで形状測定の準備を行うことができる。一方、ステップS41において、形状測定処理の開始が指示された場合、CPU210は、第2の調整において設定された光量条件に従って投光部110から測定対象物Sに測定光を照射し、測定対象物Sに測定光のパターンが投影された画像(以下、パターン画像と呼ぶ)を取得する(ステップS42)。取得されたパターン画像は、作業用メモリ230に記憶される。
次に、CPU210は、取得したパターン画像を所定の計測アルゴリズムで処理することにより、測定対象物Sの立体形状を示す主立体形状データを生成する(ステップS43)。生成された主立体形状データは、作業用メモリ230に記憶される。続いて、CPU210は、生成した主立体形状データに基づいて測定対象物Sの主立体形状の画像を表示部400に表示する(ステップS44)。
その後、CPU210は、使用者の指示に基づいて、測定すべき位置(以下、測定位置と呼ぶ)の立体形状が表示されているか否かを判定する(ステップS45)。使用者は、表示部400に表示されている測定対象物Sの主立体形状の画像を見て、測定位置の立体形状が表示されているか否かをCPU210に指示する。
ステップS45において、測定位置の立体形状が表示されていないと判定した場合、CPU210はステップS41の処理に戻る。これにより、CPU210は形状測定処理の開始が指示されるまで待機するとともに、使用者は形状測定処理の開始を再び指示するまで測定位置の立体形状が表示されるように形状測定の準備を行うことができる。一方、ステップS45において、測定位置の立体形状が表示されていると判定した場合、CPU210は、使用者により図25の第1の調整のステップS19で通常のテクスチャ画像が選択されたか否かを判定する(ステップS46)。
ここで、CPU210は、図19のテクスチャ画像選択欄484のチェックボックス484aが指定された場合、通常のテクスチャ画像が選択されたと判定する。また、CPU210は、図19のテクスチャ画像選択欄484のチェックボックス484a〜484cのいずれも指定されなかった場合にも、CPU210は、通常のテクスチャ画像が選択されたと判定する。
ステップS46において、通常のテクスチャ画像が選択されたと判定した場合、CPU210は、第1の調整において設定された光量条件に従って照明光出力部130から測定対象物Sに照明光を照射し、測定対象物Sの通常のテクスチャ画像データを生成する(ステップS47)。その後、CPU210はステップS55の処理に進む。
ステップS46において、通常のテクスチャ画像が選択されなかったと判定した場合、CPU210は、使用者により図25の第1の調整のステップS19で全焦点テクスチャ画像が選択されたか否かを判定する(ステップS48)。ここで、CPU210は、図19のテクスチャ画像選択欄484のチェックボックス484cが指定された場合、全焦点テクスチャ画像が選択されたと判定する。
ステップS48において、全焦点テクスチャ画像が選択されたと判定した場合、CPU210は、第1の調整において設定された光量条件に従って照明光出力部130から測定対象物Sに照明光を照射し、測定対象物Sの全焦点テクスチャ画像データを生成する(ステップS49)。一方、ステップS48において、全焦点テクスチャ画像が選択されなかったと判定した場合、CPU210はステップS50の処理に進む。
次に、CPU210は、使用者により図25の第1の調整のステップS19でHDRテクスチャ画像が選択されたか否かを判定する(ステップS50)。ここで、CPU210は、図19のテクスチャ画像選択欄484のチェックボックス484bが指定された場合、HDRテクスチャ画像が選択されたと判定する。
ステップS50において、HDRテクスチャ画像が選択されたと判定した場合、CPU210は、第1の調整において設定された光量条件に従って照明光出力部130から測定対象物Sに照明光を照射し、測定対象物SのHDRテクスチャ画像データを生成する(ステップS51)。なお、ステップS49で全焦点テクスチャ画像データが生成されていた場合には、CPU210は、ステップS51でHDRテクスチャ画像データではなくHDR全焦点テクスチャ画像データを生成する。一方、ステップS50において、HDRテクスチャ画像が選択されなかったと判定した場合、CPU210はステップS52の処理に進む。
使用者は、生成されたテクスチャ画像データに基づくテクスチャ画像を表示部400に表示させることをCPU210に指示することができる。CPU210は、テクスチャ画像の表示が指示されたか否かを判定する(ステップS52)。ステップS52において、テクスチャ画像の表示が指示されなかったと判定した場合、CPU210はステップS55の処理に進む。一方、ステップS52において、テクスチャ画像の表示が指示されたと判定した場合、CPU210は生成されたテクスチャ画像データに基づいてテクスチャ画像を表示部400に表示させる(ステップS53)。
次に、CPU210は、使用者の指示に基づいて、テクスチャ画像が適切であるか否かを判定する(ステップS54)。使用者は、表示部400に表示されているテクスチャ画像を見て、テクスチャ画像が適切であるか否かをCPU210に指示する。
ステップS54において、テクスチャ画像が適切でないと判定した場合、CPU210はステップS48の処理に戻る。これにより、テクスチャ画像が適切であると判定されるまで、ステップS48〜S54の処理が繰り返される。使用者は選択するテクスチャ画像の種類を変更することにより、CPU210に適切なテクスチャ画像データを生成させることができる。
ステップS54において、テクスチャ画像が適切であると判定した場合、CPU210は、合成データを生成する(ステップS55)。合成データは、ステップS47,ステップS49またはステップS51で生成されたテクスチャ画像データとステップS43において生成されたと主立体形状データを合成することにより生成される。
続いて、CPU210は、生成された合成データに基づいて測定対象物Sの合成画像を表示部400に表示させる(ステップS56)。その後、CPU210は、使用者の指示に基づいて測定位置の計測または解析を実行する(ステップS57)。これにより、形状測定処理を終了する。このような形状測定処理により、CPU210は、使用者の指示に基づいて合成画像上において測定位置の計測または解析を実行することができる。
上記のステップS42において、投光部110A,110Bの両方から測定対象物Sに測定光が照射される場合、一方の投光部110Aからの測定光に対応する一方のパターン画像が取得されるとともに、他方の投光部110Bからの測定光に対応する他方のパターン画像が取得される。
ステップS43において、一方の投光部110Aからの測定光に対応する一方の主立体形状データが生成されるとともに、他方の投光部110Bからの測定光に対応する他方の主立体形状データが生成される。一方の主立体形状データと他方の主立体形状データとが適切な重み付けで合成されることにより、一の主立体形状データが生成される。
上記のステップS47,S49,S51において、照明光出力部130から測定対象物Sに照明光が照射されることにより、測定対象物Sのテクスチャ画像データが生成されるが、これに限定されない。ステップS47,S49,S51において、投光部110から測定対象物Sに測定光が照射されることにより、測定対象物Sのテクスチャ画像データが生成されてもよい。この場合、形状測定装置500は照明光出力部130を含まなくてもよいので、形状測定装置500を小型化することができる。また、形状測定装置500の製造コストを低減することができる。
上記の形状測定処理においては、全焦点テクスチャ画像が選択されたか否かが判定された後にHDR画像が選択されたか否かが判定されるが、これに限定されない。HDRテクスチャ画像が選択されたか否かが判定された後に全焦点画像が選択されたか否かが判定されてもよい。
上記の形状測定処理においては、テクスチャ画像データの生成の処理(ステップS46〜S54)が主立体形状データの生成の処理(ステップS42〜S45)の後に実行されるが、これに限定されない。テクスチャ画像データの生成の処理および主立体形状データの生成の処理はいずれが先に実行されてもよく、テクスチャ画像データの生成の処理および主立体形状データの生成の処理の一部が同時に実行されてもよい。
例えば、テクスチャ画像データの生成の処理(ステップS46〜S54)が行われた後に、主立体形状データの生成の処理(ステップS42〜S45)が行われてもよい。この場合でも、CPU210はステップS55の処理において合成データを生成することができる。また、ステップS54において、使用者が表示部400に表示されているテクスチャ画像を見て、テクスチャ画像が適切であるか否かを判断している間に、主立体形状データの生成の処理の一部が実行可能となる。そのため、形状測定処理を短時間でかつ効率的に実行することができる。
また、主立体形状データの生成の処理の前にテクスチャ画像データの生成の処理が行われた場合、副立体形状データに基づいて測定対象物SのZ方向の寸法の上端および下端を算出可能となる。したがって、主立体形状データの生成の処理において、受光部120の焦点を測定対象物SのZ方向の中心に自動的に調整することができる。この場合、主立体形状データの精度をさらに向上させることができる。
一方、図30〜図32の形状測定処理のようにテクスチャ画像データの生成の処理の前に主立体形状データの生成の処理が行われた場合、主立体形状データに基づいて測定対象物SのZ方向の寸法の上端および下端を算出可能となる。したがって、テクスチャ画像データの生成の処理において、全焦点テクスチャ画像データの生成する際に、受光部120に対するステージ140のZ方向の移動範囲を最小限にしかつ移動間隔を適切に設定することができる。これにより、全焦点テクスチャ画像データを高速に生成することができる。
(5)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、三角測距方式により測定対象物Sの立体形状を示す主立体形状データが高い精度で生成される。また、測定対象物Sの各部分が受光部120の被写界深度の範囲内に位置する場合における測定対象物Sのテクスチャ画像データが合成されることにより、全焦点テクスチャ画像データが生成される。そのため、全焦点テクスチャ画像データは、測定対象物Sの表面全体にわたる表面状態を鮮明に示す。
これにより、主立体形状データと全焦点テクスチャ画像データとを合成した合成データは、高い精度で測定された測定対象物Sの立体形状を示しかつ測定対象物Sの表面状態を鮮明に示す。合成データに基づく合成画像が表示部400に表示される。その結果、使用者は、測定対象物Sの形状を高い精度で測定しつつ測定対象物Sの表面状態を鮮明に観測することができる。
また、本実施の形態に係る形状測定装置500においては、主立体形状データを生成するために適した一方および他方の測定光の光量条件とテクスチャ画像データを生成するために適した照明光の光量条件とが個別に設定される。これにより、主立体形状データをより高精度で生成することが可能になるとともに、測定対象物Sの表面全体にわたる表面状態をより鮮明に示すテクスチャ画像データを生成することが可能になる。その結果、測定対象物Sの形状をより高い精度で測定しつつ測定対象物Sの表面状態をより鮮明に観測することができる。
[6]焦点調整の第1の補助機能
(1)焦点調整の第1の補助機能の第1の例
形状測定の準備における第2の調整において、受光部120の焦点の調整が行われることにより、測定対象物Sは受光部120の被写界深度の範囲内に位置する。これにより、測定対象物Sの形状を正確に測定することができる。ここで、測定対象物Sが受光部120の被写界深度の範囲の中心付近、すなわち受光部120の焦点付近に位置する場合、測定対象物Sの形状をより正確に測定することができる。
しかしながら、Zステージ142を調整して被写界深度の範囲内において測定対象物SをZ方向に移動させても、表示部400に表示される測定対象物Sの画像はほとんど変化しない。例えば、被写界深度が5mmであり、視野サイズが25mm×25mmであるとする。この場合、被写界深度5mmの全範囲において、測定対象物Sが受光部120の焦点位置にあるように観察される。そのため、焦点の調整においては数mm程度のずれが発生し得ると考えられる。
このように、測定対象物Sを受光部120の焦点付近に位置させることは困難である。そこで、本実施の形態に係る形状測定装置500には、測定対象物Sを受光部120の焦点付近に位置させることを補助する機能(以下、焦点調整の第1の補助機能と呼ぶ)が設けられる。
図33および図34は、焦点調整の第1の補助機能の第1の例を説明するための図である。図33(a),(c)は、ステージ140上の測定対象物Sに照明光出力部130から照明光を照射した状態を示す。図33(b),(d)は、それぞれ図33(a),(c)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。図34(a)は、受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。図34(b)は、Y方向から見た測定対象物Sの位置と焦点位置との関係を示す。
使用者が図13の焦点ガイド表示欄477を操作することにより、図33(b),(d)に示すように、表示部400に表示される画像の予め設定された特定の位置に予め設定された所定のパターン(以下、補助パターンと呼ぶ)APが表示される。本例においては、補助パターンAPは、表示部400の画面の中心、上下左右または四隅等の特定の位置に表示される。図34(a)に示すように、補助パターンAPが表示される表示部400上の座標を(x,y)とする。補助パターンAPは、表示部400上の画像に重なるように表示されるパターンである。そのため、図33(a),(c)の測定対象物Sを移動または変化させても、補助パターンAPは移動または変化しない。
受光部120の焦点位置は既知である。図34(b)において、焦点位置が太い実線で示される。受光部120の焦点位置は、Z方向に垂直な平面状に存在する。投光部110は、補助パターンAPの座標(x,y)に対応する測定対象物S上の点を通るZ方向の線分と受光部120の焦点位置との交点に向けて、予め設定された所定のパターン(以下、ガイドパターンと呼ぶ。)GPを有する光を照射する。
これにより、図33(a),(c)に示すように測定対象物Sの表面上にガイドパターンGPが投影されるとともに、図33(b),(d)および図34(a)に示すように表示部400の測定対象物Sの画像上にガイドパターンGPが表示される。この場合、図1のCPU210は、補助パターンAPおよびガイドパターンGPのY方向の位置が等しくなるように投光部110を制御する。
この構成によれば、測定対象物Sの表面が受光部120の焦点位置にある場合、ガイドパターンGPは補助パターンAPの座標(x,y)と等しい座標上に表示される。すなわち、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるように表示される。
一方、測定対象物Sの表面が受光部120の焦点位置にない場合、ガイドパターンGPは補助パターンAPの座標(x,y)とは異なる座標(x’,y)上に表示される。位置xと位置x’との間の距離は、受光部120の焦点位置と測定対象物Sの表面の位置との間のZ方向の距離に比例する。したがって、測定対象物SがZ方向に移動すると、ガイドパターンGPはY方向には移動せず、X方向に移動する。
図33(a)の例においては、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致していない。したがって、図33(b)に示すように、表示部400上においてガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なっていない。
図33(c)に示すように、ステージ140をZ方向に移動させることにより、ガイドパターンGPはX方向に移動する。使用者は、表示部400に表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら、ガイドパターンGPが補助パターンAPに近づくようにステージ140をZ方向に移動させることができる。図33(d)に示すように、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるようにステージ140を調整することにより、使用者は、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とを容易に一致させることができる。
例えば、視野サイズが25mm×25mmであり、受光部120のX方向における視野の画素数が1024画素であり、ガイドパターンGPと補助パターンAPとのずれを1画素の単位で認識可能であるとする。この場合、1画素の大きさは25mm÷1024≒24μmとなる。すなわち、ガイドパターンGPと補助パターンAPとのずれを24μmの単位で認識可能である。図6の角度αを例えば45度として、このずれの距離dを高さhに換算すると、高さhは24÷tan45°=24μmとなる。したがって、焦点調整の第1の補助機能により非常に高い精度で受光部120の焦点を調整することができる。
なお、図37においては、投光部110が簡略的に図示されている。投光部110は形状測定処理の実行時には周期的なパターンを有する測定光を測定対象物Sに照射する機能を有する投影パターン光学系である。投光部110は、代表的にはDMDまたはLCD等のパターン生成部112(図2)により生成された光を測定対象物Sに照射する。
このような投影パターン光学系を用いてガイドパターンGPを測定対象物Sの表面に投影することにより、ガイドパターンGP用の光源を測定部100に別途設ける必要がない。また、任意の形状を有するガイドパターンGPを測定対象物Sの表面に投影することができる。さらに、投光部110の照射範囲内で使用者が指定した測定対象物Sの部分に受光部120の焦点が合うようにガイドパターンGPの投影位置を変更することもできる。詳細については後述する。
(2)焦点調整の第1の補助機能の第2の例
図35は、焦点調整の第1の補助機能の第2の例を説明するための図である。図35(a),(c)は、ステージ140上の測定対象物Sに照明光出力部130から照明光を照射した状態を示す。図35(b),(d)は、それぞれ図35(a),(c)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。
本例においては、使用者が表示部400上の画像の指定した位置に補助パターンAPが表示される。すなわち、使用者は、補助パターンAPが表示される図34(a)の座標(x,y)を指定することができる。図35(a),(c)に示すように、投光部110から測定対象物SにガイドパターンGPを有する光が照射される。この場合、図1のCPU210は、使用者の指定に基づいて、APの座標(x,y)を算出し、図34(b)の焦点位置上の座標(x,y)に向けて光が照射されるように投光部110を制御する。これにより、測定対象物Sの表面上にガイドパターンGPが投影されるとともに、表示部400の測定対象物Sの画像上にガイドパターンGPが表示される。
図35(a)の例においては、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致していない。したがって、図35(b)に示すように、表示部400上においてガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なっていない。
図35(c)に示すように、使用者は、表示部400に表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら、ガイドパターンGPが補助パターンAPに近づくようにステージ140をZ方向に移動させることができる。図35(d)に示すように、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるようにステージ140を調整することにより、使用者は、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とを容易に一致させることができる。
図36は、補助パターンAPを表示させる位置を指定するGUIの一例を示す図である。図36(a)に示すように、使用者は図1のPC200の操作部250を操作して表示部400の画像の任意の位置にカーソルCを合わせることができる。
この状態でその位置を選択することにより、図36(b)に示すように、使用者はカーソルCの位置に補助パターンAPを表示させるとともに、ガイドパターンGPを表示させることができる。このように、本例においては、使用者が任意の位置に補助パターンAPを表示させることができる。これにより、使用者は、測定対象物Sの表面の任意の位置に受光部120の焦点を合わせることができる。
(3)焦点調整の第1の補助機能の第3の例
図37は、焦点調整の第1の補助機能の第3の例を説明するための図である。図37(a),(c)は、ステージ140上の測定対象物Sに照明光出力部130から照明光を照射した状態を示す。図37(b),(d)は、それぞれ図37(a),(c)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。
焦点調整の第1の補助機能の第1および第2の例と同様に、表示部400上の画像に補助パターンAPが表示される。補助パターンAPが表示される位置は、予め設定されていてもよいし、使用者により指定されてもよい。本例においては、補助パターンAPは矩形枠からなる。また、補助パターンAPの矩形枠のX方向の寸法は、受光部120のZ方向の測定可能範囲を示す。
図37(a),(c)に示すように、投光部110から測定対象物SにガイドパターンGPを有する光が照射される。これにより、測定対象物Sの表面上にガイドパターンGPが投影されるとともに、表示部400に表示される測定対象物Sの画像上にガイドパターンGPが表示される。ガイドパターンGPは矩形状を有し、ガイドパターンGPの寸法は補助パターンAPの寸法よりも小さい。この構成により、補助パターンAPの矩形枠内にガイドパターンGPが位置するときには、測定対象物Sの表面が受光部120のZ方向の測定可能範囲内に含まれる。
図37(a)の例においては、測定対象物Sの表面は受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置していない。したがって、図37(b)に示すように、表示部400上においてガイドパターンGPが補助パターンAPの矩形枠内に位置していない。
図37(c)に示すように、使用者は、表示部400に表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら、ガイドパターンGPが補助パターンAPに近づくようにステージ140をZ方向に移動させることができる。図37(d)に示すように、ガイドパターンGPが補助パターンAPの矩形枠内に位置するようにステージ140を調整することにより、使用者は、測定対象物Sの表面を受光部120のZ方向の測定可能範囲内に容易に位置させることができる。
このように、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とを一致させる必要がなく、測定対象物Sを受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置させる場合には、補助パターンAPのX方向の寸法は、受光部120のZ方向の測定可能範囲に対応した広がり範囲を有していてもよい。この場合、測定対象物Sを受光部120のZ方向の測定可能範囲内により容易に位置させることができる。
(4)焦点調整の第1の補助機能の第4の例
図38は、焦点調整の第1の補助機能の第4の例を説明するための図である。図38(a),(c)は、ステージ140上の測定対象物Sに照明光出力部130から照明光を照射した状態を示す。図38の(a),(c)の測定対象物Sは、複数の異なる高さの上面を有する。図38(b),(d)は、それぞれ図38(a),(c)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。
本例においては、使用者により指定された表示部400上の画像の複数の位置に補助パターンAPが表示される。したがって、使用者は、表示部400に表示された測定対象物Sの複数の異なる高さの上面の各々に補助パターンAPを指定することができる。各補助パターンAPは矩形枠からなる。また、各補助パターンAPの矩形枠のX方向の寸法は、受光部120のZ方向の測定可能範囲を示す。
図38(a),(c)に示すように、投光部110から測定対象物Sに複数のガイドパターンGPを有する光が照射される。これにより、測定対象物Sの表面上に複数のガイドパターンGPが投影されるとともに、表示部400に表示される測定対象物Sの画像上に複数のガイドパターンGPが表示される。複数のガイドパターンGPは、複数の補助パターンAPにそれぞれ対応する。各ガイドパターンGPは矩形状を有し、各ガイドパターンGPの寸法は各補助パターンAPの寸法よりも小さい。この構成により、各補助パターンAPの矩形枠内に各ガイドパターンGPが位置したときは、測定対象物Sの複数の上面が受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置する。
図38(a)の例においては、測定対象物Sの複数の上面は受光部120のZ方向の測定可能範囲内に含まれていない。したがって、図38(b)に示すように、表示部400上において各ガイドパターンGPが各補助パターンAPの矩形枠内に位置していない。
図38(c)に示すように、使用者は、表示部400に表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら、各ガイドパターンGPが各補助パターンAPに近づくようにステージ140をZ方向に移動させることができる。図38(d)に示すように、各ガイドパターンGPが各補助パターンAPの矩形枠内に位置するようにステージ140を調整することにより、使用者は、測定対象物Sの複数の上面を受光部120の被写界深度の範囲内に容易に位置させることができる。
このように、測定対象物Sにおいて複数の位置を受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置させる場合には、それらの位置に対応する複数の補助パターンAPが指定されてもよい。これにより、測定対象物Sの複数の部分がZ方向において複数の異なる位置にある場合でも、測定対象物Sの複数の部分の各々を正確かつ容易に受光部120の焦点に位置させることができる。また、各補助パターンAPのX方向の寸法は、受光部120のZ方向の測定可能範囲に対応した広がり範囲を有していてもよい。この場合、測定対象物Sを受光部120のZ方向の測定可能範囲内により容易に位置させることができる。
(5)焦点調整の第1の補助機能の第5の例
図39および図40は、焦点調整の第1の補助機能の第5の例を説明するための図である。図39(a),(c)は、ステージ140上の測定対象物Sに照明光出力部130から照明光を照射した状態を示す。図39(b),(d)は、それぞれ図39(a),(c)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。図40(a)は、受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。図40(b)は、Y方向から見た測定対象物Sの位置と焦点位置との関係を示す。本例においては、焦点調整の第1の補助機能のために複数の投光部110A,110Bが用いられる。
図40(b)において、焦点位置が太い実線で示される。使用者が図13の焦点ガイド表示欄477を操作することにより、図39(a),(c)および図40(b)に示すように、一方の投光部110Aから測定対象物SにガイドパターンGPを有する光が照射される。これにより、図39(a),(c)に示すように測定対象物Sの表面上にガイドパターンGPが投影されるとともに、図39(b),(d)および図40(a)に示すように表示部400の測定対象物Sの画像上にガイドパターンGPが表示される。この場合、図1のCPU210は、予め設定された任意の座標(x,y)に対し、焦点位置上の座標(x,y)に向けて光が照射されるように一方の投光部110Aを制御する。
同様に、図39(a),(c)および図40(b)に示すように、他方の投光部110Bから測定対象物Sに補助パターンAPを有する光が照射される。これにより、図39(a),(c)に示すように、測定対象物Sの表面上に補助パターンAPが投影されるとともに、図39(b),(d)および図40(a)に示すように、表示部400の測定対象物Sの画像上に補助パターンAPが表示される。この場合、CPU210は、予め設定された任意の座標(x,y)に対し、焦点位置上の座標(x,y)に向けて光が照射されるように他方の投光部110Bを制御する。補助パターンAPおよびガイドパターンGPのY方向の位置が等しくなるように投光部110A,110Bが制御される。
焦点調整の第1の補助機能の第1〜第4の例と異なり、本例における補助パターンAPは、表示部400上の画像に重なるように表示されたパターンではない。そのため、図39(a),(c)の測定対象物Sを移動または変化させると、補助パターンAPは移動または変化する。
この構成によれば、測定対象物Sの表面が受光部120の焦点位置にある場合、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPは、座標(x,y)と等しい座標上に表示される。すなわち、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるように表示される。
一方、測定対象物Sの表面が受光部120の焦点位置にない場合、ガイドパターンGPは座標(x,y)とは異なる座標(x’,y)上に表示され、補助パターンAPは座標(x,y)および座標(x’,y)とは異なる座標(x’’,y)上に表示される。位置x’と位置x’’との間の距離は、受光部120の焦点位置と測定対象物Sの表面の位置との間のZ方向の距離に比例する。したがって、測定対象物SをZ方向に移動させると、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPはY方向には移動せず、X方向における互いに逆方向に移動する。
図39(a)の例においては、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致していない。したがって、図39(b)に示すように、測定対象物S上および表示部400上においてガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なっていない。
図39(c)に示すように、ステージ140をZ方向に移動させることにより、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPはX方向上で互いに逆方向に移動する。使用者は、測定対象物Sの表面上に投影されまたは表示部400に表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPが互いに近づくようにステージ140をZ方向に移動させることができる。図39(d)に示すように、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるようにステージ140を調整することにより、使用者は、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とを容易に一致させることができる。
このように、本例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPが表示部400だけでなく測定対象物Sにも表示される。したがって、使用者は、示部400を見ることができない状況であっても、測定対象物Sに表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら受光部120の焦点の調整を行うことができる。これにより、図1の測定部100の操作性を向上させることができる。
また、本例においても、使用者が表示部400上で受光部120の焦点を合わせたい測定対象物Sの部分を指定可能に構成することもできる。この場合、使用者により指定された部分に受光部120の焦点がある場合に、一方の投光部110Aにより測定対象物Sに投影されるガイドパターンGPと他方の投光部110Bにより測定対象物Sに投影される補助パターンAPとが重なるように、各投光部110A,110Bによる測定光の照射位置が変更される。
投光部110A,110Bの少なくとも一方からガイドパターンGPまたは補助パターンAPに加えて受光部120の視野範囲を示す枠パターンを有する光が照射されてもよい。図41および図42は、投光部110Aから測定対象物Sに枠パターンを有する光が照射される例を示す図である。
図41(a),(b)に示すように、一方の投光部110Aから測定対象物Sに枠パターンFPを有する光が照射される。これにより、測定対象物Sの表面上に枠パターンFPが投影される。枠パターンFPはガイドパターンGPを中心にした視野範囲を示す。
図41および図42の例においては、枠パターンFPは視野サイズの四隅を示す4つのL字形状のパターンである。枠パターンFPは視野範囲の四隅を示す4つの十字形状のパターンまたは4つの点状のパターンであってもよい。あるいは、枠パターンFPは視野範囲を示す矩形状のパターンであってもよい。
図42(a),(b)に示すように、使用者は、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるようにステージ140を調整することにより、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とを一致させることができる。この状態における枠パターンFPにより囲まれる範囲が受光部120の視野範囲となる。
このように、本例においては、測定対象物S上に枠パターンFPが投影される。したがって、使用者は、表示部400を見ることができない状況であっても、表示部400に表示される受光部120の視野範囲を容易に認識することができる。これにより、測定部100の操作性をより向上させることができる。
また、本例においては、受光部120はデジタルズーム機能を有する。図43は、デジタルズーム機能に対応する枠パターンFPを示す図である。図43に示すように、受光部120のデジタルズーム機能により測定対象物Sを実際に拡大観察する前に、拡大後の視野範囲を枠パターンFPにより測定対象物Sの表面上に投影することができる。図43において、デジタルズーム機能を使用しない場合における視野範囲が点線の枠パターンFPにより示され、デジタルズーム機能を使用する場合における拡大後の視野範囲が実線の枠パターンFPにより示される。
このように、使用者は、受光部120のデジタルズーム機能により測定対象物Sを実際に拡大観察する前に、拡大後の視野範囲を認識することができる。これにより、測定部100の操作性をさらに向上させることができる。
焦点調整の第1の補助機能の第5の例の変形例として、測定部100は、焦点調整の第1の補助機能のための調整光源を有してもよい。この場合、焦点調整の第1の補助機能のために投光部110Aおよび調整光源が用いられる。また、測定部100は、他方の投光部110Bを有さなくてもよい。調整光源は測定対象物Sの形状の測定には用いられないので、簡易な構成を有する光源であってもよい。本例においては、調整光源は、例えばレーザポインタである。
投光部110Aから測定対象物SにガイドパターンGPを有する光が照射される。これにより、測定対象物Sの表面上にガイドパターンGPが投影されるとともに、表示部400の測定対象物Sの画像上にガイドパターンGPが表示される。調整光源から測定対象物Sに補助パターンAPを有する光が照射される。これにより、測定対象物Sの表面上に補助パターンAPが投影されるとともに、表示部400の測定対象物Sの画像上に補助パターンAPが表示される。
使用者は、測定対象物Sの表面上に投影されまたは表示部400に表示された補助パターンAPおよびガイドパターンGPを見ながら、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるようにステージ140を調整することにより、測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とを容易に一致させることができる。
調整光源は、投光部110Aからの測定対象物Sへの光の照射方向とは異なる方向から測定対象物Sへ光を照射可能である限り、測定部100のいずれの部分に設けられてもよい。例えば、調整光源は受光部120に設けられ、測定対象物Sの略真上から測定対象物Sに光が照射されてもよい。あるいは、測定対象物Sが光を透過する場合には、調整光源はステージ140に設けられ、測定対象物Sの下から測定対象物Sに光が照射されてもよい。
(6)焦点調整の第1の補助機能の変形例
上記の焦点調整の第1の補助機能の第1〜第5の例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるか、またはガイドパターンGPが補助パターンAPの矩形枠内に位置するように、使用者が手動で受光部120の焦点を調整するが、これに限定されない。図1のCPU210がガイドパターンGPと補助パターンAPとの間の距離に基づいて、図1のステージ駆動部146を駆動することにより、使用者の操作によらずに自動で受光部120の焦点が調整されてもよい。
あるいは、CPU210は、ガイドパターンGPと補助パターンAPとを近づけるためにステージ140をZ方向上のいずれの方向に移動させるべきかを判定し、その方向を例えば表示部400に表示してもよい。また、CPU210は、ガイドパターンGPと補助パターンAPとの重なりの度合いにより合焦の程度を判定し、合焦の程度を数値的または視覚的に表示部400に表示してもよい。合焦の程度の視覚的な表示は、例えばバーによる表示を含む。合焦の程度の視覚的な他の表示として、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが完全に重なったときに、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPの色彩が変化してもよい。
(7)補助パターンおよびガイドパターンの形状
上記の焦点調整の第1の補助機能の第1、第2および第5の例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なる場合に測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致するように、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPが設定される。また、焦点調整の第1の補助機能の第3および第4の例においては、ガイドパターンGPが補助パターンAPの矩形枠内に位置する場合に測定対象物Sが受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置されるように、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPが設定される。
これらに限定されず、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが特定の位置関係になる場合に測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致するか、または測定対象物Sが受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置されるように、ガイドパターンGPおよび補助パターンAPが設定されてもよい。なお、特定の位置関係とは、使用者がガイドパターンGPと補助パターンAPとの相対的な位置関係を視認することにより、その位置に受光部120の焦点が一致したことを認識可能な関係であり、受光部120の焦点が一致していないときのガイドパターンGPと補助パターンAPとの位置関係とは異なる。
図44は、補助パターンAPおよびガイドパターンGPの形状の一例を示す図である。図44(a)〜(e)においては、補助パターンAPをハッチングパターンで表わし、ガイドパターンGPをドットパターンで表わす。
図44(a)の例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、十字形状を有する。図44(b)の例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、円環形状を有する。図44(c)の例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、矩形枠状を有する。図44(d)の例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、X字形状を有する。図44(d)の例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、I字形状を有する。
このように、図44(a)〜(e)の例においては、補助パターンAPおよびガイドパターンGPが同一の形状を有する。これらの例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPとが重なるときに測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致することとなる。なお、上記の焦点調整の第1の補助機能の第1、第2および第5の例における補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、それぞれ図44(a)の補助パターンAPおよびガイドパターンGPである。
図45は、補助パターンAPおよびガイドパターンGPの形状の他の例を示す図である。図45(a)〜(e)においては、補助パターンAPをハッチングパターンで表わし、ガイドパターンGPをドットパターンで表わす。
図45(a)の例においては、補助パターンAPは十字形状の一方の半分の形状を有し、ガイドパターンGPは十字形状の他方の半分の形状を有する。この例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPが結合して十字形状が形成されたときに測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致することとなる。
図45(b)の例においては、補助パターンAPは円環形状の一方の半分の形状を有し、ガイドパターンGPは円環形状の他方の半分の形状を有する。この例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPが結合して円環形状が形成されたときに測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致することとなる。
図45(c)の例においては、補助パターンAPは文字“FP”の形状の一部分の形状を有し、ガイドパターンGPは文字“FP”の形状の他の部分の形状を有する。この例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPが結合して文字“FP”の形状が形成されたときに測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致することとなる。
図45(d)の例においては、補助パターンAPはアスタリスク形状の一部分の形状を有し、ガイドパターンGPはアスタリスク形状の他の部分の形状を有する。この例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPが結合してアスタリスク形状が形成されたときに測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致することとなる。
図45(e)の例においては、上下方向に延びかつ長さが異なる複数の棒形状の一部分の形状を有し、ガイドパターンGPは上下方向に延びかつ長さが異なる複数の棒形状の他の部分の形状を有する。この例においては、ガイドパターンGPと補助パターンAPが結合して上下方向に延びかつ長さが異なる複数の棒形状が形成されたときに測定対象物Sの表面の位置と受光部120の焦点位置とが一致することとなる。
図46は、補助パターンAPおよびガイドパターンGPの形状のさらに他の例を示す図である。図46(a)〜(c)においては、補助パターンAPをハッチングパターンで表わし、ガイドパターンGPをドットパターンで表わす。
図46(a)の例においては、補助パターンAPは矩形枠からなり、ガイドパターンGPは補助パターンAPの寸法よりも小さい矩形状を有する。補助パターンAPの横方向(図2のX方向)の寸法は、図1の受光部120のZ方向の測定可能範囲を示す。この例においては、補助パターンAPの矩形枠内にガイドパターンGPが位置するときに測定対象物S上のガイドパターンGPの表示部分が受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置することとなる。
なお、上記の焦点調整の第1の補助機能の第3および第4の例における補助パターンAPおよびガイドパターンGPは、それぞれ図46(a)の補助パターンAPおよびガイドパターンGPである。
図46(b)の例においては、補助パターンAPは、横方向において互いに対向する2つの角括弧からなる。ガイドパターンGPは、補助パターンAPの寸法よりも小さい矩形部分と十字部分とが結合した形状を有する。補助パターンAPの2つの角括弧の横方向の間隔は、受光部120のZ方向の測定可能範囲を示す。この例においては、補助パターンAPの2つの角括弧の間にガイドパターンGPの矩形部分が位置するときに測定対象物S上のガイドパターンGPの表示部分が受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置することとなる。
図46(c)の例においては、補助パターンAPは、上下方向に延びかつ横方向に並ぶ2つの棒状部を有する。ガイドパターンGPは、上下方向に延びかつ補助パターンAPの寸法よりも小さい棒形状を有する。補助パターンAPの2つの棒状部の横方向の間隔は、受光部120のZ方向の測定可能範囲を示す。この例においては、補助パターンAPの2つの棒状部の間にガイドパターンGPが位置するときに測定対象物S上のガイドパターンGPの表示部分が受光部120のZ方向の測定可能範囲内に位置することとなる。
(8)照明光による効果
上記の焦点調整の第1の補助機能の第1〜第5の例においては、照明光出力部130を通して図1の制御部300の照明光源320から測定対象物Sに照明光が照射される。以下、照明光による効果を測定対象物Sに照明光が照射されない例と照明光が照射される例とを比較して説明する。
ここで、図2のパターン生成部112は、投光部110から出射されるべき光に明部分と暗部分とを形成することにより、ガイドパターンGPを生成する。ガイドパターンGPは、明部分および暗部分のいずれによっても形成することができる。明部分により形成されるガイドパターンGPを白ガイドパターンGPと呼び、暗部分により形成されるガイドパターンGPを黒ガイドパターンGPと呼ぶ。
図47は、測定対象物Sに照明光が照射されない場合に表示部400に表示される測定対象物Sを示す図である。図47(a)は、参考例として、投光部110から均一な光(明部分のみからなる光)が照射された状態の測定対象物Sを示す。図47(a)に示すように、投光部110から測定対象物Sに均一な光を照射すると、測定対象物Sの一部に影が発生する。
図47(b)は、投光部110により白ガイドパターンGPを有する光が照射された状態の測定対象物Sを示す。図47(b)に示すように、測定対象物Sに照明光が照射されない場合には、表示部400に白ガイドパターンGPが表示される。しかしながら、測定対象物Sは照明されないので、表示部400に測定対象物Sは表示されない。そのため、受光部120の焦点を調整することが難しい。
図47(c)は、投光部110により黒ガイドパターンGPを有する光が照射された状態の測定対象物Sを示す。図47(c)に示すように、測定対象物Sに照明光が照射されない場合には、表示部400に黒ガイドパターンGPが表示される。また、投光部110からの光の明部分により測定対象物Sの一部が照明されるので、使用者は測定対象物Sの位置を認識することができる。しかしながら、測定対象物Sの一部に影が発生するので、黒ガイドパターンGPと影とが重なる場合には、影の中に黒ガイドパターンGPが埋もれることとなり、黒ガイドパターンGPの正確な位置を認識することが難しい。
図48は、測定対象物Sに照明光が照射された場合に表示部400に表示される測定対象物Sを示す図である。図48(a)は、参考例として、照明光出力部130から照明光が照射された状態の測定対象物Sを示す。図48(a)に示すように、照明光出力部130から測定対象物Sに照明光が照射されると、測定対象物Sにほとんど影が発生しない。
図48(b)は、投光部110により白ガイドパターンGPを有する光が照射された状態の測定対象物Sを示す。図48(b)に示すように、測定対象物Sに適切な明るさに調整された照明光が照射された場合には、表示部400に測定対象物Sとともに白ガイドパターンGPが表示される。また、測定対象物Sにほとんど影が発生しないので、測定対象物Sおよび白ガイドパターンGPの位置を正確に認識することができる。
図48(c)は、投光部110により黒ガイドパターンGPを有する光が照射された状態の測定対象物Sを示す。図48(c)に示すように、測定対象物Sに適切な明るさに調整された照明光が照射された場合には、測定対象物Sとともに表示部400に黒ガイドパターンGPが表示される。また、測定対象物Sにほとんど影が発生しないので、測定対象物Sおよび黒ガイドパターンGPの位置を正確に認識することができる。
このように、受光部120の光軸と略等しい角度から照明光が出射されるので、影の発生が抑制されつつ測定対象物Sが照明される。これにより、使用者は、測定対象物Sの画像ならびに補助パターンAPおよびガイドパターンGPを確実に認識することができる。その結果、測定対象物Sをより正確に受光部120の焦点に位置させることができる。
特に、表示部400上で使用者が受光部120の焦点を合わせたい測定対象物Sの部分を指定する場合において、図47(b)に示すように、測定対象物Sの画像が暗くて表示されない状態には、使用者は本来焦点を合わせたい部分を適切に指定することが難しくなる。そこで、照明光出力部130により照明光を測定対象物Sの全体に照明して画像を表示することにより、使用者が焦点を合わせたい部分を指定しやすくなる。
焦点調整の第1の補助機能の第1〜第4の例においては、測定対象物SにガイドパターンGPを有する測定光が照射されるときの照明光の強度は、測定対象物SにガイドパターンGPを有する測定光が照射されないときの照明光の強度よりも小さくなるように設定される。
この構成によれば、照明光およびガイドパターンGPを有する測定光が測定対象物Sに同時に照射された場合でも、照明光の強度が小さいので、測定対象物Sの表面上に投影されたガイドパターンGPを認識可能となる。これにより、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像およびガイドパターンGPを確実に認識することができる。その結果、測定対象物Sの表面を確実に受光部120の焦点に位置させることができる。
同様に、焦点調整の第1の補助機能の第5の例においては、測定対象物SにガイドパターンGPおよび補助パターンAPを有する測定光が照射されるときの照明光の強度は、測定対象物SにガイドパターンGPおよび補助パターンAPを有する測定光が照射されないときの照明光の強度よりも小さくなるように設定される。
この構成によれば、照明光ならびにガイドパターンGPおよび補助パターンAPを有する測定光が測定対象物Sに同時に照射された場合でも、照明光の強度が小さいので、測定対象物Sの表面上に投影されたガイドパターンGPおよび補助パターンAPを認識可能となる。これにより、使用者は、表示部400に表示される測定対象物Sの画像ならびにガイドパターンGPおよび補助パターンAPを確実に認識することができる。その結果、測定対象物Sの表面を確実に受光部120の焦点に位置させることができる。
(9)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、表示部400に表示されるかまたは他方の投光部110Bにより測定対象物Sの表面上に投影された補助パターンAPと、一方の投光部110Aにより測定対象物Sの表面上に投影されたガイドパターンGPとが重なるように、ステージ140がZ方向に移動される。これにより、使用者は、測定対象物Sの表面を受光部120の焦点に位置させることができる。その結果、測定対象物Sの形状測定処理において測定対象物Sを正確かつ容易に受光部120の焦点に位置させることができる。
特に、表示部400上で使用者が焦点を合わせたい測定対象物Sの部分を指定し、指定された部分に補助パターンAPを表示または投影することにより、使用者が最も精度よく測定を行いたい部分に焦点を合わせることができる。この際、使用者が焦点を合わせたい測定対象物Sの複数の部分を指定可能に形状測定装置500を構成することも可能である。
この場合、使用者はステージ140を移動させながら指定された測定対象物Sの複数の部分にバランスよく焦点が合うようにそれぞれの部分に対応した補助パターンAPおよびガイドパターンGPを視認しながら調整することができる。また、補助パターンAPにより測定可能な範囲が表示されることにより、使用者は指定された全ての部分が受光部120のZ方向の測定可能範囲に含まれているか否かを確認することが可能である。
なお、ステージ140の移動は、使用者がステージ操作部145を操作することにより行われてもよいし、CPU210がステージ駆動部146を駆動することにより自動的に行われてもよい。
[7]焦点調整の第2の補助機能
(1)焦点調整の第2の補助機能の第1の例
以下、焦点調整の第1の補助機能とは異なる焦点調整の第2の補助機能について説明する。図49は、焦点調整の第2の補助機能の第1の例を説明するための図である。図49(a),(b)の例においては、図1のステージ140に互いに異なる高さを有する複数の測定対象物SA,SB,SC,SDが載置される。表示部400には、図1の受光部120により出力される受光信号に基づいて測定対象物SA〜SDの静止画像またはライブ画像が表示される。
図49(a)に示すように、使用者は図1のPC200の操作部250を操作して表示部400の画像の任意の位置にカーソルCを合わせることができる。図49(a)の例においては、表示部400に表示された測定対象物SA上の位置にカーソルCが合わせられる。この状態で、その位置を選択することにより、図49(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物SA上の位置にマーカMを表示させることができる。
マーカMが表示された後、少なくともマーカMが表示された位置に対応する測定対象物SAの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカMが表示された位置に対応する測定対象物SAの部分の高さが算出される。
ただし、マーカMが表示された画像上の位置に対応する測定対象物Sの部分の高さは測定光の照射前には分からないので、測定光をその部分のみに正確に照射することはできない。したがって、その部分に受光部120の焦点が合っているとした場合に、その部分を中心とする所定範囲(例えば受光部120の被写界深度の範囲)に対応する広がりを有する測定光が測定対象物Sに照射される。これにより、マーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分に測定光を照射し、その部分の高さを算出することができる。
マーカMが表示された位置に対応する測定対象物SAの部分が受光部120のZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。これにより、使用者は、指定した位置が受光部120のZ方向の測定可能範囲にないことを容易に認識することができる。
形状測定処理の実行の際には、算出された高さに基づいてマーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分に受光部120の焦点が合うように、図2のステージ140のZステージ142が移動される。Zステージ142の移動は、図1のCPU210が図1のステージ駆動部146を駆動することにより、自動的に行われてもよい(オートフォーカス機能)。あるいは、Zステージ142の移動は、使用者が図1のステージ操作部145を操作することにより、手動で行われてもよい。この場合、CPU210は、Zステージ142を移動させる方向および移動させる量を数値的または視覚的に表示部400に表示してもよい。これにより、使用者は、測定対象物SAの指定した部分に受光部120の焦点を合わせることができる。
(2)焦点調整の第2の補助機能の第2の例
図50および図51は、焦点調整の第2の補助機能の第2の例を説明するための図である。図50および図51の例においては、図1のステージ140に一の測定対象物Sが載置される。図50および図51の測定対象物Sは複数の上面を有し、各上面の高さはそれぞれ異なる。表示部400には、図1の受光部120により出力される受光信号に基づいて測定対象物Sの静止画像またはライブ画像が表示される。
焦点調整の第2の補助機能の第2の例においては、焦点調整の第2の補助機能の第1の例と同様に、使用者は図1のPC200の操作部250を操作して表示部400の画像の任意の位置にカーソルCを合わせることができる。また、この状態でその位置を選択することにより、使用者はカーソルCで指定した位置にマーカMを表示させることができる。
ここで、使用者は、複数の任意の位置の各々にカーソルCを合わせた後にマーカMを表示させることを順次繰り返すことにより、表示部400において、カーソルCで指定した複数の位置にそれぞれマーカMを表示させることができる。また、指定した位置にマーカMが表示されるごとに、その位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。
本例においては、図50(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物S上の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図50(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物S上の位置に1番目のマーカM1を表示させることができる。
マーカM1が表示された後、少なくともマーカM1が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカM1が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。マーカM1が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
次に、図50(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物S上の他の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図50(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物S上の位置に2番目のマーカM2を表示させることができる。
マーカM2が表示された後、少なくともマーカM2が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカM2が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。マーカM2が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
続いて、図50(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物S上のさらに他の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図50(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物S上の位置に3番目のマーカM3を表示させることができる。
マーカM3が表示された後、少なくともマーカM3が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカM3が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。マーカM3が表示された位置に対応する測定対象物Sの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
なお、使用者は、表示部400に表示された測定対象物S上の複数の位置にカーソルCを合わせる場合において、測定対象物Sの複数の部分のうち、最も高い位置にある部分と最も低い位置にある部分とを含むようにカーソルCを合わせることが好ましい。また、複数のマーカM1〜M3に対応する測定対象物Sの複数の部分間のZ方向の距離が計測されてもよい。
形状測定処理の実行の際には、図51に示すように、算出された複数の高さに基づいてマーカM1〜M3に対応する測定対象物Sの複数の部分が受光部120の焦点付近に分布するように、図2のステージ140のZステージ142が移動される。本例において、表示部400の画像上に表示されたマーカM1〜M3に対応する測定対象物Sの複数の部分が点線の丸印で示される。
このように、焦点調整の第2の補助機能の第2の例によれば、使用者が表示部400に表示された測定対象物Sの画像上の任意の複数の位置を指定することにより、指定された複数の位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの複数の部分を受光部120の被写界深度の範囲内に位置させることができる。これにより、測定対象物Sの形状測定処理において、測定対象物Sの任意の複数の部分を正確かつ容易に受光部120の被写界深度の範囲内に位置させることができる。
焦点調整の第2の補助機能の第1の例と同様に、Zステージ142の移動は、自動的に行われてもよいし、使用者により手動で行われてもよい。これにより、使用者は、測定対象物Sの所望の複数の部分に受光部120の焦点を合わせることができる。Zステージ142の移動が使用者により手動で行われた場合には、測定対象物Sの形状測定処理を実行する前に、測定したい部分の高さを再度算出し、測定対象物Sが形状測定処理に適した位置に載置されているか否かを確認してもよい。
(3)焦点調整の第2の補助機能の第3の例
図52および図53は、焦点調整の第2の補助機能の第3の例を説明するための図である。図52および図53の例においては、図1のステージ140に互いに異なる高さを有する複数の測定対象物SA,SB,SC,SDが載置される。表示部400には、図1の受光部120により出力される受光信号に基づいて測定対象物SA〜SDの静止画像またはライブ画像が表示される。
焦点調整の第2の補助機能の第3の例においては、焦点調整の第2の補助機能の第2の例と同様に、使用者は図1のPC200の操作部250を操作して表示部400の画像において複数の指定した位置にそれぞれマーカMを表示させることができる。また、指定した位置にマーカMが表示されるごとに、その位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。
本例においては、図52(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物SA上の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図52(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物SA上の位置にマーカMAを表示させることができる。
マーカMAが表示された後、少なくともマーカMAが表示された位置に対応する測定対象物SAの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカMAが表示された位置に対応する測定対象物SAの部分の高さが算出される。マーカMAが表示された位置に対応する測定対象物SAの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
次に、図52(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物SB上の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図52(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物SB上の位置にマーカMBを表示させることができる。
マーカMBが表示された後、少なくともマーカMBが表示された位置に対応する測定対象物SBの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカMBが表示された位置に対応する測定対象物SBの部分の高さが算出される。マーカMBが表示された位置に対応する測定対象物SBの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
続いて、図52(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物SC上の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図52(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物SC上の位置にマーカMCを表示させることができる。
マーカMCが表示された後、少なくともマーカMCが表示された位置に対応する測定対象物SCの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカMCが表示された位置に対応する測定対象物SCの部分の高さが算出される。マーカMCが表示された位置に対応する測定対象物SCの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
その後、図52(a)に示すように、使用者は表示部400に表示された測定対象物SD上の位置にカーソルCを合わせる。この状態で、その位置を選択することにより、図52(b)に示すように、表示部400において、使用者はカーソルCで指定した測定対象物SD上の位置にマーカMDを表示させることができる。
マーカMDが表示された後、少なくともマーカMDが表示された位置に対応する測定対象物SDの部分およびその付近の部分に投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式によりマーカMDが表示された位置に対応する測定対象物SDの部分の高さが算出される。マーカMDが表示された位置に対応する測定対象物SDの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合は、高さを算出することができなかったことを示すエラーメッセージが表示部400に表示される。
なお、使用者は、表示部400に表示された複数の測定対象物SA〜SD上の位置にそれぞれカーソルCを合わせる場合において、複数の測定対象物SA〜SDの部分のうち、最も高い位置にある部分から最も低い位置にある部分までの間の複数の部分が略等間隔になるようにカーソルCを合わせることが好ましい。また、複数のマーカMA〜MDに対応する測定対象物SA〜SDの部分間のZ方向の距離が計測されてもよい。
形状測定処理の実行の際には、図53(a)に示すように、算出された複数の部分のうち最も高い位置にある測定対象物SAの部分が受光部120の焦点に合うように、ステージ140のZステージ142が移動される。本例において、表示部400の画像上に表示されたマーカMA〜MDに対応する測定対象物SA〜SDの部分が点線の丸印で示される。この状態で測定対象物SAの形状測定が行われる。測定対象物SAの形状測定が行われた後、図53(b)に示すように、算出された複数の部分のうち2番目に高い位置にある測定対象物SDの部分が受光部120の焦点に合うように、ステージ140のZステージ142が移動される。この状態で測定対象物SDの形状測定が行われる。
測定対象物SDの形状測定が行われた後、図53(c)に示すように、算出された複数の部分のうち3番目に高い位置にある測定対象物SBの部分が受光部120の焦点に合うように、ステージ140のZステージ142が移動される。この状態で測定対象物SBの形状測定が行われる。測定対象物SBの形状測定が行われた後、図53(d)に示すように、算出された複数の部分のうち最も低い位置にある測定対象物SCの部分が受光部120の焦点に合うように、ステージ140のZステージ142が移動される。この状態で測定対象物SCの形状測定が行われる。
測定対象物SA〜SDの形状測定が終了した後、測定対象物SA〜SDの形状を示す形状データが合成される。焦点調整の第2の補助機能の第1の例と同様に、Zステージ142の移動は、自動的に行われてもよいし、使用者により手動で行われてもよい。これにより、指定した最も高い位置にある部分から指定した最も低い位置にある部分までの距離がZ方向の測定可能範囲を超える場合であっても、使用者は、複数の測定対象物SA〜SDの指定した部分の各々に受光部120の焦点を合わせることができる。
このように、焦点調整の第2の補助機能の第3の例によれば、使用者が表示部400に表示された測定対象物Sの画像上の任意の複数の位置を指定することにより、指定された複数の位置にそれぞれ対応する測定対象物Sの複数の部分の各々が受光部120の焦点に位置する状態で測定対象物Sに光を照射することができる。これにより、測定対象物Sの形状測定処理において、測定対象物Sの任意の複数の部分の各々を正確かつ容易に受光部120の焦点に位置させることができる。
上記の焦点調整の第2の補助機能の第1〜第3の例において、マーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分がZ方向の測定可能範囲にない場合、図1のCPU210は、マーカMが表示される位置を変更することにより変更後の位置に対応する測定対象物Sの部分をZ方向の測定可能範囲内に位置させてもよい。これにより、変更後のマーカMの位置またはその付近の位置に対応する測定対象物Sの部分に受光部120の焦点を正確かつ容易に合わせることができる。また、形状測定処理において、変更後のマーカMの位置に基づいて測定対象物Sの形状を測定することができる。
焦点調整の第2の補助機能の第2および第3の例においては、使用者が表示部400上で焦点を合わせたい位置を指定し、指定された位置に対応する測定対象物Sの部分に受光部120の焦点を合わせるように、Zステージ142が制御される。指定された位置に対応する測定対象物Sの部分に受光部120の焦点を合わせるためには、その部分の高さを知る必要があるので、その部分に測定光を照射して高さを算出する。
しかしながら、指定された位置に対応する測定対象物Sの部分に測定光を正確に照射することは難しい。これは、測定対象物Sの高さによって、測定光がX方向にずれるためである。したがって、指定された位置に対応する測定対象物Sの部分に測定光を正確に照射するためには、その部分の高さが必要になる。そこで、本例では、指定された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが少なくとも算出されるように、X方向に所定の幅を有する測定光が測定対象物Sに照射される。なお、X方向における測定対象物Sの全幅にわたって測定光が照射されてもよい。
指定された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出された後、算出された高さに受光部120の焦点が合うようにZステージ142が移動される。ただし、現在の受光部120のZ方向の測定可能範囲外にある測定対象物Sの部分については、高さを算出することができないため、その部分に受光部120の焦点が合うようにZステージ142を移動させることができない。
したがって、使用者は、現在のZステージ142の位置から比較的受光部120の焦点に近いと思われる測定対象物Sの部分に対応する位置を指定しながら、焦点を合わせたい部分に対応する位置を順次指定してZステージ142を移動させていく。これにより、Z方向の寸法が大きい測定対象物Sであっても、測定対象物Sの全体の高さを算出することができる。
(4)高さの算出の高速化
マーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さは、高速で算出されることが好ましい。以下、高さの算出を高速化する手法について説明する。
図54は、高さの算出を高速化するための第1の手法を説明するための図である。ここで、マーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分を測定部分Msと呼ぶ。図54に示すように、投光部110は、点Aから点A’までの範囲において斜め上方から測定対象物Sに測定光を照射可能である。図54の例においては、測定対象物Sの測定部分Msの高さが算出される。ここで、測定対象物Sの測定部分MsのZ方向の測定可能範囲は、点Pから点P’までの範囲である。点P,P’は、測定部分MsのX方向の位置により定まる。
Z方向の測定可能範囲の上限である点Pには、投光部110の点Bから出射された測定光が照射される。一方、Z方向の測定可能範囲の下限である点P’には、投光部110の点B’から出射された測定光が照射される。すなわち、測定対象物Sの測定部分Msの高さを算出するためには、投光部110は点Aから点A’までの範囲のうち点Bから点B’までの範囲で測定光を照射すればよい。
そのため、投光部110は、点Bから点B’までの範囲で測定光を測定対象物Sに照射し、点Aから点Bまでの範囲および点B’から点A’までの範囲では測定光を測定対象物Sに照射しない。この場合、高さの算出の際に、パターン画像を取得する範囲が低減される。これにより、測定対象物Sの測定部分Msの高さの算出を高速化することができる。
図55は、高さの算出を高速化するための第2の手法を説明するための図である。ここで、マーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分を測定部分Msと呼ぶ。図55の例においては、測定対象物Sの測定部分Msの高さが算出される。図1の受光部120は、二次元的に配列された画素に対応する受光信号のうち特定の範囲のみを選択的に図2の制御基板150に出力することができる。
本例においては、高さの算出の際に、図55に示すように、受光部120は、視野範囲の受光信号のうち測定部分Msを含みかつX方向に延びる一定幅のラインLに対応する受光信号のみを図1の制御基板150に出力する。一方、受光部120は、視野範囲の受光信号のうち他の部分に対応する受光信号を出力しない。すなわち、図2および図55の例においては、測定光の照射位置は、測定対象物Sの高さによってX方向には変化するが、Y方向には変化しない。この特性を利用し、少なくとも指定された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さを算出することができる状態で、受光部120により出力される受光信号のY方向の範囲が限定される。
この場合、受光部120から制御基板150への受光信号の転送速度が向上する。したがって、受光部120のフレームレートを増加させることができる。これにより、図1のCPU210はパターン画像を高速で取得することができる。その結果、測定対象物Sの測定部分Msの高さの算出を高速化することができる。
図56は、高さの算出を高速化するための第3の手法を説明するための図である。ここで、複数のマーカMが表示された位置に対応する測定対象物Sの部分をそれぞれ測定部分Ms1,Ms2,Ms3と呼ぶ。図56の例においては、測定対象物Sの複数の測定部分Ms1〜Ms3の高さが算出される。
本例においては、高さの算出の際に、測定対象物Sの複数の測定部分Ms1〜Ms3のパターン画像を取得するために、複数の測定部分Ms1〜Ms3の付近に測定光が照射される。この場合,測定部分Ms1〜Ms3のY方向の位置を含むように測定光のパターンが設定されることが好ましい。一方で、測定対象物Sの部分のうち他の部分には測定光が照射されない。これにより、パターン画像を取得する範囲が低減される。その結果、測定対象物Sの複数の測定部分Ms1〜Ms3の高さの算出を高速化することができる。
このように、高さの算出を高速化するための第1〜第3の手法においては、高さの算出の際に、CPU210の処理時間が短縮される。これにより、操作部250により指定された位置に対応する測定対象物Sの部分の位置を高速に算出することができる。高さの算出を高速化するための第1〜第3の手法は、組み合わせて実行されてもよい。これにより、測定対象物Sの測定部分Msの高さを例えば220msで算出することができる。
(5)高さ表示機能
使用者は、測定対象物Sにおける指定した部分の位置に関する情報(例えば高さ)を表示部400に表示させることができる。図57は、高さ表示機能の一例を示す図である。図57(a)に示すように、使用者は図1のPC200の操作部250を操作して表示部400に表示される測定対象物Sの任意の位置にカーソルCを合わせることができる。
この状態で、その位置を選択することにより、少なくとも選択された位置に対応する測定対象物Sの部分およびその付近の部分に図1の投光部110から測定光が照射される。これにより、三角測距方式により選択された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。算出された高さは、図57(b)に示すように、表示部400に表示される。これにより、使用者は、算出された高さを容易に認識することができる。
使用者はPC200の操作部250を操作して表示部400に表示された測定対象物Sの他の位置にカーソルCを合わせることができる。この状態で、その位置を選択することにより、選択された位置に対応する測定対象物Sの部分の高さが算出される。算出された高さは、図57(c)に示すように、表示部400に表示される。PC200の操作部250により選択された測定対象物Sの複数の部分の高さの差が表示部400に表示されてもよい。この場合、使用者は、算出された複数の部分の高さの差を認識することができる。
(6)プロファイル表示機能
使用者は、測定対象物Sにおける指定した部分のプロファイルを表示部400に表示させることができる。図58および図59は、測定対象物Sのプロファイルの測定を説明するための図である。図58および図59の測定対象物Sは複数の上面を有し、各上面の高さはそれぞれ異なる。図58(a)および図59(a)は、投光部110から測定光が照射された状態の測定対象物Sの斜視図を示す。図58(b)および図59(b)は、測定光を照射された測定対象物Sの平面図を示す。
図58(a)の例においては、Y方向に平行なライン状測定光が投光部110から出射される。この場合、図58(b)に示すように、Y方向に平行なライン状測定光の複数の部分は、測定対象物Sの複数の上面の高さに対応する距離だけX方向に互いにずれて測定対象物Sの複数の上面に照射される。
一方、図59(a)の例においては、Y方向に平行でかつ測定対象物Sの各上面の高さに対応する距離だけX方向にずらした複数のライン状測定光が投光部110から出射される。この場合、図59(b)に示すように、Y方向に平行な複数のライン状測定光は、同一のライン上に並ぶように測定対象物Sの複数の上面に照射される。投光部110から出射される複数のライン状測定光間のX方向の距離および各ライン状測定光のY方向の位置に基づいて、測定対象物Sのプロファイルを測定することができる。
図60および図61は、測定対象物Sのプロファイルの測定手順を示す図である。まず、図60(a)に示すように、使用者は、図1のPC200の操作部250を操作して、表示部400において測定対象物Sの測定部分のX方向の位置を指定する。指定されたX方向の位置上には、図60(a)において点線で示されるY方向に平行な基準線RLが表示されてもよい。なお、基準線RLを表示させない場合には、図60(a)の手順は省略されてもよい。
次に、図60(b)に示すように、使用者は、操作部250を操作して、表示部400において測定対象物Sの上面の一部に表示されたライン状測定光を基準線RLに重ねるようにX方向に移動させる。ここで、移動されるライン状測定光の部分は、例えば使用者が操作部250を操作してライン状測定光のY方向の位置を複数箇所指定することにより決定される。図1のCPU210は、表示部400に表示されるライン状測定光が測定対象物Sに照射されるように、図2のパターン生成部112を制御することにより投光部110から出射されるライン状測定光を変形させる。
続いて、図60(c)および図61(a)に示すように、使用者は、操作部250を操作して、表示部400において測定対象物Sの上面の他の一部に表示されたライン状測定光を基準線RLに重ねるようにX方向に移動させる動作を繰り返す。これにより、CPU210は、表示部400に表示されるライン状測定光が測定対象物Sに照射されるように、パターン生成部112を制御することにより投光部110から出射されるライン状測定光をさらに変形させる。
CPU210は、表示部400に表示されるライン状測定光が直線状になるまでに表示部400上で移動したライン状測定光の各部分の移動距離に基づいて測定対象物Sのプロファイル(断面形状)を算出する。また、図61(b)に示すように、算出された測定対象物SのプロファイルPRは、測定対象物Sの画像と並ぶように表示部400に表示される。この場合、使用者は、表示部400に表示される光のパターンを操作することにより測定対象物Sの断面形状を容易に認識することができる。プロファイルPRは、測定対象物Sの画像と重なるように表示部400に表示されてもよいし、測定対象物Sが表示されるウインドウとは別のウインドウに表示されてもよい。
使用者は、操作部250を操作して、プロファイルPRの複数の部分を指定することができる。図61(c)に示すように、使用者により指定された複数の部分に対応する測定対象物Sの複数の部分の間の寸法は、表示部400に表示される。これにより、測定対象物Sの任意の部分間の幅または高さ等の寸法を容易に認識することができる。
(7)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、使用者が表示部400に表示された測定対象物Sの画像上の任意の位置を指定することにより、指定された位置に対応する測定対象物Sの部分の位置が三角測距方式により算出される。また、算出された位置が受光部120の焦点に位置される。これにより、測定対象物Sの形状測定処理において測定対象物Sの任意の部分を正確かつ容易に受光部120の焦点に位置させることができる。
[8]姿勢調整の第1の補助機能
(1)姿勢調整の第1の補助機能の第1の例
形状測定の準備における第2の調整において、測定対象物Sの姿勢が調整される。図62は、測定対象物Sの姿勢の調整を説明するための図である。図62(a),(c)は、ステージ140上の測定対象物Sに投光部110から測定光を照射した状態を示す。図62(b),(d)は、それぞれ図62(a),(c)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。
図62の例においては、測定対象物Sは、異なる高さの2段の上面を有する断面L字形状のブロックである。図62(a)の例においては、測定対象物Sの上段の上面により投光部110からの測定光が遮られる。この場合、図62(b)に示すように、測定対象物Sの下段の上面の測定位置に影Ssが発生する。したがって、測定対象物Sの測定位置の形状を測定することができない。
図62(c)の例においては、測定対象物Sの向きを変えることにより測定対象物Sの姿勢が調整される。この場合、図62(d)に示すように、測定対象物Sの下段の上面の測定位置に影Ssが発生しない。これにより、測定対象物Sの測定位置の形状を測定することができる。
しかしながら、測定位置に影が発生しない場合であっても、測定対象物Sの複数の部分により複数回にわたって反射(多重反射)した測定光が図1の受光部120により受光されることがある。この場合、図1の表示部400に測定対象物Sの画像上に多重反射した測定光による偽の画像が重畳して表示されることとなる。そのため、測定対象物Sの測定位置の形状を正確に測定することができない。
また、測定対象物Sの一部に影Ssまたは多重反射が発生することは自然現象であり、測定位置に影Ssまたは多重反射が発生していても、使用者がそれに気づかないことがある。そこで、本実施の形態に係る形状測定装置500には、測定位置に影Ssまたは多重反射が発生しない姿勢で測定対象物Sを載置することを補助する機能(以下、姿勢調整の第1の補助機能と呼ぶ)が設けられる。
姿勢調整の第1の補助機能の第1の例においては、図2の投光部110から所定のパターンを有する姿勢調整のための測定光が測定対象物Sに照射される。以下、姿勢調整のために投光部110から測定対象物Sに照射される測定光を調整光と呼ぶ。調整光のパターンは、形状測定処理において測定対象物Sに照射される測定光のパターンとは異なっていてもよい。
形状測定処理において測定対象物Sに照射される測定光のパターンとは異なる調整光のパターンの一例として、形状測定処理において測定対象物Sに順次照射される複数の測定光のうちの1つの測定光のパターンを有する調整光が測定対象物Sに照射されてもよい。あるいは、形状測定処理において測定対象物Sに順次照射される複数の測定光のうちのいずれの測定光のパターンとも異なるパターンを有する調整光が測定対象物Sに照射されてもよい。
調整光は、使用者にとって影または多重反射が発生していることを判断しやすいパターンを有することが好ましい。このようなパターンを有する調整光が測定対象物Sに照射されることにより、使用者は測定位置に影または多重反射が発生していることを容易に判断することができる。ここで、図2のY方向に平行な縞状のパターンを縦パターンと呼び、図2のX方向に平行な縞状のパターンを横パターンと呼ぶ。
図63および図64は、姿勢調整の第1の補助機能の第1の例を説明するための図である。図63(a)は、一方の投光部110Aから縦パターンを有する調整光が照射された測定対象物Sの画像を示す。図63(a)に示すように、点線の円で示される領域R1,R2,R3,R4においては、影が発生している。また、点線の矩形で示される領域R5においては、多重反射により縦パターンのコントラストの低下が発生している。
図63(b)は、他方の投光部110Bから縦パターンを有する調整光が照射された測定対象物Sの画像を示す。図63(b)に示すように、点線の円で示される領域R6,R7,R8,R9においては、影が発生している。また、点線の矩形で示される領域R10においては、測定対象物Sの部分が傾斜していることにより縦パターンの間隔が過密になっている。
図64(a)は、一方の投光部110Aから横パターンを有する調整光が照射された測定対象物Sの画像を示す。図64(a)に示すように、点線の円で示される領域R1,R2,R3,R4においては、影が発生している。また、点線の矩形で示される領域R5においては、多重反射により横パターンのコントラストの低下が発生している。
図64(b)は、他方の投光部110Bから横パターンを有する調整光が照射された測定対象物Sの画像を示す。図64(b)に示すように、点線の円で示される領域R6,R7,R8,R9においては、影が発生している。
図63および図64に示すように、測定対象物Sにおいて影が発生する領域、多重反射によりパターンのコントラストの低下が発生する領域およびパターンの間隔が過密になる領域では、形状を正確に測定することができない。以下、測定対象物Sにおいて影が発生する領域、多重反射によりパターンのコントラストの低下が発生する領域およびパターンの間隔が過密になる領域を測定困難領域と呼ぶ。
姿勢調整の第1の補助機能においては、形状測定処理における測定光のパターンとは異なるパターンを有する調整光が測定対象物Sに照射されることにより、使用者は測定困難領域を認識しやすくなる。上述した正弦波状測定光、縞状測定光またはコード状測定光のパターンと同一のパターンを有する調整光のパターンを用いることは、測定困難領域の認識には適切ではない場合がある。
その理由は、パターンを形成するY方向に平行な複数の直線(縞)の間隔および移動の単位は、形状測定処理を適切に行うために設定されているからである。したがって、使用者が測定困難領域となる影等が発生する部分を認識しやすいパターンを有する調整光を測定対象物Sに照射することが好ましい。これにより、使用者は測定困難領域を容易に認識することができる。
使用者は、測定対象物Sに調整光が照射された状態で測定対象物Sの姿勢を調整することができる。測定対象物Sの姿勢の調整は、ステージ140上で測定対象物Sを例えば回転させることにより行われてもよいし、ステージ140の例えばθステージ143を移動させることにより行われてもよい。この場合、測定困難領域を確認しながら測定対象物Sの姿勢を調整することができるので、測定対象物Sの形状測定前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易に調整することができる。
(2)姿勢調整の第1の補助機能の第2の例
姿勢調整の第1の補助機能の第2の例においては、投光部110A,110Bの両方から調整光が測定対象物Sに照射される。投光部110Aからの調整光および投光部110Bからの調整光のいずれを測定対象物Sに照射した場合にも影が発生する領域、多重反射によりパターンのコントラストの低下が発生する領域およびパターンの間隔が過密になる領域が測定困難領域となる。
図65は、姿勢調整の第1の補助機能の第2の例を説明するための図である。図65は、一方の投光部110Aから横パターンを有する調整光が照射されるとともに、他方の投光部110Bから縦パターンを有する調整光が照射された測定対象物Sの画像を示す。
図65に示すように、点線の矩形で示される領域R5においては、多重反射により横パターンのコントラストの低下が発生している。また、点線の矩形で示される領域R10においては、測定対象物Sの部分が傾斜していることにより縦パターンの間隔が過密になっている。
したがって、本例においては、領域R5,R10が測定困難領域となる。このように、投光部110A,110Bの両方から調整光を測定対象物Sに照射することにより、投光部110A,110Bのいずれか一方から調整光を測定対象物Sに照射する場合に比べて測定困難領域を減少させることができる。
上記の例においては、一方の投光部110Aから横パターンを有する調整光が出射され、他方の投光部110Bから縦パターンを有する調整光が出射されるが、これに限定されない。一方の投光部110Aから縦パターンを有する調整光が出射され、他方の投光部110Bから横パターンを有する調整光が出射されてもよい。投光部110Aからの調整光と投光部110Bからの調整光とを区別する必要がない場合は、投光部110A,110Bのいずれもが縦パターンの調整光を出射してもよいし、投光部110A,110Bのいずれもが横パターンの調整光を出射してもよい。
また、上記の例においては、投光部110A,110Bから同時に調整光が照射された測定対象物Sの画像が表示されるが、これに限定されない。一方の投光部110Aから調整光が照射された測定対象物Sの画像(例えば図64(a)の画像)と他方の投光部110Bから調整光が照射された測定対象物Sの画像(例えば図63(b)の画像)とが別個に表示されてもよい。この場合、図63(b)の画像と図64(a)の画像とを合成することにより、実質的に図65の画像と等価な画像を表示することができる。
あるいは、図5の例と同様に、一方の投光部110Aから調整光が照射された測定対象物Sの画像と他方の投光部110Bから調整光が照射された測定対象物Sの画像とが並ぶように表示部400に2画面表示されてもよい。図66は、画像を2画面表示するGUIの一例を示す図である。
図66に示すように、表示部400の画像表示領域410には、一方の投光部110Aから調整光が照射された測定対象物Sの画像が表示される。表示部400の画像表示領域420には、他方の投光部110Bから調整光が照射された測定対象物Sの画像が表示される。このように、2つの測定対象物Sの画像が並ぶように表示されることにより、使用者は、一方の投光部110Aから測定対象物Sに調整光を照射するときの測定困難領域と他方の投光部110Bから測定対象物Sに調整光を照射するときの測定困難領域とを容易に区別して認識することができる。
このように、投光部110A,110Bの各々から調整光が照射された測定対象物Sの画像を別個に表示部400に表示することにより、使用者は、投光部110Aに対応する測定困難領域と投光部110Bに対応する測定困難領域とを容易に区別して認識することができる。これにより、使用者は、投光部110A,110Bのうち、測定位置が測定困難領域に含まれない投光部110を選択して形状測定処理を行うことができる。
また、投光部110A,110Bの両方から測定光を測定対象物に照射される場合には、投光部110A,110Bの一方から測定光が測定対象物に照射される場合に比べて測定困難領域が減少する。投光部110A,110Bの各々から調整光が照射された測定対象物Sの画像を合成して表示部400に表示することにより、使用者は、投光部110A,110Bの両方から測定光を測定対象物Sに照射した場合の測定困難領域を認識することができる。
投光部110A,110Bからの測定光のうち少なくとも一方の測定光が照射されている測定対象物Sの部分については形状測定を行うことができる。すなわち、いずれの投光部110A,110Bからの測定光も照射されない測定対象物Sの部分については形状測定を行うことができない。したがって、使用者は、いずれの投光部110A,110Bからの測定光も照射されない測定対象物Sの部分を認識すればよい。
図65の例においては、両方の投光部110A,110Bからの調整光が照射された状態の測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。図66の例においては、一方の投光部110Aからの調整光が照射された状態の測定対象物Sの画像と他方の投光部110Bからの調整光が照射された状態の測定対象物Sの画像とが表示部400に並べて表示される。これにより、使用者は、いずれの投光部110A,110Bからの測定光も照射されないことにより測定困難領域となる測定対象物Sの部分を認識しやすくなる。
上記の姿勢調整の第1の補助機能の第1および第2の例において、調整光は縦パターンまたは横パターンを有するが、これに限定されない。調整光は、例えばドットパターンを有してもよいし、チェッカーパターン(市松模様)を有してもよい。あるいは、調整光は、均一な光量分布(均一パターン)を有してもよい。これにより、使用者は、測定困難領域をより容易に認識することができる。図67は、調整光として均一パターンを有する光が照射された測定対象物Sを示す図である。図67に示すように、測定対象物Sの一部に影Ssが発生している。使用者は、測定対象物Sに発生する影Ssに基づいて測定困難領域と認識することができる。
なお、調整光として均一パターンを有する光を用いる場合、使用者が測定困難領域となる影等が発生する部分を認識しやすくなるように強度または周波数等を適切に設定した調整光を測定対象物Sに照射することが好ましい。この構成によれば、使用者は、自然現象として自然光が測定対象物Sに照射されている場合よりも測定困難領域を容易に認識することができる。
(3)測定困難領域の推定
姿勢調整の第1の補助機能の第1および第2の例において、使用者は測定対象物Sに照射される調整光の画像を見て測定困難領域を認識するが、これに限定されない。使用者が測定困難領域を認識することが困難である場合には、図1のCPU210が測定対象物Sに照射される調整光に基づいて測定困難領域を推定してもよい。
測定困難領域に対応する主立体形状データの部分は、データ欠落部分またはデータ不正確部分等の不良部分となる。主立体形状データの不良部分が推定され、推定された不良部分を識別可能に測定対象物Sの画像が表示されることにより、使用者は、測定困難領域を正確に認識することができる。これにより、測定対象物Sの形状測定処理前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易かつ正確に調整することができる。
図68は、測定困難領域の推定結果を含む測定対象物Sの画像を示す図である。図68の例においては、CPU210は、調整光が照射されずに暗くなっている測定対象物Sの部分、すなわち影の部分に基づいて表示部400において影が発生する部分を測定困難領域と推定する。また、CPU210は、調整光のパターンのコントラストに基づいて表示部400において多重反射が発生する部分を測定困難領域と推定することもできる。さらに、CPU210は、調整光のパターンが過密になる部分を測定困難領域と推定することもできる。
図68に示すように、CPU210は、推定した測定困難領域を測定対象物Sの画像に重畳して表示する。図68の例においては、測定困難領域はハッチングパターンにより強調表示されている。これにより、使用者は測定困難領域を容易に認識することができる。
なお、測定困難領域の推定においては、投光部110からパターンが互いに異なる複数の調整光が測定対象物Sに順次照射されてもよい。例えば、投光部110から任意のパターンを有する第1の調整光が測定対象物Sに照射された後、第1の調整光の明部分と暗部分とを反転させたパターンを有する第2の調整光が測定対象物Sに照射されてもよい。
この場合、第1の調整光および第2の調整光のいずれを測定対象物Sに照射した場合にも反射光が検出されない領域には影が発生するので、その領域が測定困難領域と推定される。この手順によれば、調整光の暗部分に対応することにより反射光が検出されない領域と影が発生することにより反射光が検出されない領域とを識別することができる。
また、表示部400に表示される測定対象物Sの画像は、一方の測定光を用いて撮像された測定対象物Sの画像であってもよいし、一方および他方の測定光を用いて撮像された測定対象物Sの画像であってもよい。あるいは、表示部400に表示される測定対象物Sの画像は、照明光を用いて撮像された測定対象物Sの画像であってもよいし、測定対象物Sの立体形状の画像であってもよい。
測定対象物Sへの調整光の照射が一定時間ごとに行われてもよい。この場合、CPU210は、測定対象物Sに照射される調整光に基づいて測定困難領域を一定時間ごとに順次推定する。この構成によれば、測定対象物の姿勢が変化した場合、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が順次更新される。
図69、図70および図71は、一方の投光部110Aから測定対象物Sに調整光を照射する場合の測定困難領域の変化を示す図である。図69(a)、図70(a)および図71(a)は、ステージ140上の測定対象物Sに一方の投光部110Aから調整光を照射した状態を示す。図69(b)、図70(b)および図71(b)は、それぞれ図69(a)、図70(a)および図71(a)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。
図69〜図71の測定対象物Sにおいては、板状部材Su上に2つの角柱状部材Svが並ぶように形成される。本例においては、一方の角柱状部材Svの周囲の3つの点P1,P2,P3を測定位置とする。
図69(a)の測定対象物Sの姿勢においては、測定対象物Sは、2つの角柱状部材SvがX方向に並ぶようにステージ140に配置されている。この場合、2つの角柱状部材Sv間の部分および一方の角柱状部材Svの一方(左方)の部分が測定困難領域であると推定される。
図69(b)に示すように、推定された測定困難領域が測定対象物Sの画像に重畳して表示される。図69(b)の測定対象物Sの姿勢においては、点P2,P3は測定困難領域に含まれない。しかしながら、点P1が測定困難領域に含まれる。
使用者は、ステージ操作部145を操作することにより、測定対象物Sの姿勢を調整することができる。図70(a)は、図69(a)のステージ140をθ方向に45度回転された状態を示す図である。図70(a)に示すように、ステージ140が回転されることにより、ステージ140上の測定対象物Sの姿勢が変化する。
また、図70(b)に示すように、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が更新される。図70(b)の測定対象物Sの姿勢においては、点P3は測定困難領域に含まれない。しかしながら、点P1,P2が測定困難領域に含まれる。
使用者は、ステージ操作部145をさらに操作することにより、測定対象物Sの姿勢をさらに調整することができる。図71(a)は、図70(a)のステージ140をθ方向にさらに45度回転された状態を示す図である。図71(a)に示すように、ステージ140が回転されることにより、ステージ140上の測定対象物Sの姿勢が変化する。
また、図71(b)に示すように、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が更新される。図71(b)の測定対象物Sの姿勢においては、点P1,P3は測定困難領域に含まれない。しかしながら、点P2が測定困難領域に含まれる。
このように、使用者は、表示部400に表示される測定困難領域を確認しながらステージ操作部145を操作することにより測定対象物の姿勢を調整することができる。一方で、図69〜図71の例のように、測定対象物Sの形状によっては、点P1〜P3が測定困難領域に含まれないように測定対象物Sの姿勢を調整することが困難である場合がある。このような場合でも、両方の投光部110A,110Bから測定対象物Sに調整光を照射することによって測定困難領域を減少させることができる。
図72、図73および図74は、両方の投光部110A,110Bから図69〜図71の測定対象物Sに調整光を照射する場合の測定困難領域の変化を示す図である。図72(a)、図73(a)および図74(a)は、ステージ140上の測定対象物Sに両方の投光部110A,110Bから調整光を照射した状態を示す。図72(b)、図73(b)および図74(b)は、それぞれ図72(a)、図73(a)および図74(a)の受光部120で測定対象物Sが撮像されることにより表示部400に表示される画像を示す。
図72(a)の測定対象物Sの姿勢においては、測定対象物Sは、2つの角柱状部材SvがX方向に並ぶようにステージ140に配置されている。この場合、2つの角柱状部材Sv間の部分が測定困難領域であると推定される。
図72(b)に示すように、推定された測定困難領域が測定対象物Sの画像に重畳して表示される。図72(b)の測定対象物Sの姿勢においては、点P2,P3は測定困難領域に含まれない。しかしながら、点P1が測定困難領域に含まれる。
使用者は、ステージ操作部145を操作することにより、測定対象物Sの姿勢を調整することができる。図73(a)は、図72(a)のステージ140をθ方向に45度回転された状態を示す図である。図73(a)に示すように、ステージ140が回転されることにより、ステージ140上の測定対象物Sの姿勢が変化する。
また、図73(b)に示すように、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が更新される。図73(b)の測定対象物Sの姿勢においては、点P2,P3は測定困難領域に含まれない。しかしながら、点P1が測定困難領域に含まれる。
使用者は、ステージ操作部145をさらに操作することにより、測定対象物Sの姿勢をさらに調整することができる。図74(a)は、図73(a)のステージ140をθ方向にさらに45度回転された状態を示す図である。図74(a)に示すように、ステージ140が回転されることにより、ステージ140上の測定対象物Sの姿勢が変化する。
また、図74(b)に示すように、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が更新される。図74(b)の測定対象物Sの姿勢においては、点P1〜P3は測定困難領域に含まれない。このように、使用者は、両方の投光部110A,110Bから測定対象物Sに調整光を照射することにより、点P1〜P3が測定困難領域に含まれないように測定対象物Sの姿勢を調整することができる。
(4)姿勢調整の第1の補助機能に基づく姿勢調整の手順
図75および図76は、姿勢調整の第1の補助機能に基づく姿勢調整の手順を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図75および図76を参照しながら姿勢調整の第1の補助機能に基づく姿勢調整の手順を説明する。CPU210は、使用者により調整光の照射が指示されたか否かを判定する(ステップS61)。使用者は、例えば第2の調整における図27のステップS22において、CPU210に調整光の照射を指示することができる。
ステップS61において、調整光の照射が指示されていない場合、CPU210は調整光の照射が指示されるまで待機する。一方、ステップS61において、調整光の照射が指示された場合、CPU210は投光部110から測定対象物Sに調整光を照射する(ステップS62)。ここで、CPU210は、使用者の指示に基づいて投光部110A,110Bの一方または両方から測定対象物Sに調整光を照射することができる。
次に、CPU210は、調整光が照射された測定対象物Sの画像を表示部400に表示させる(ステップS63)。この状態で、CPU210は、使用者により測定困難領域の推定が指示されたか否かを判定する(ステップS64)。ステップS64において、測定困難領域の推定が指示されていない場合、CPU210は、ステップS67の処理に進む。
一方、ステップS64において、測定困難領域の推定が指示された場合、CPU210は測定困難領域を推定する(ステップS65)。また、CPU210は、推定した測定困難領域を測定対象物Sの画像に重畳して表示部400に表示する(ステップS66)。
その後、CPU210は、使用者の指示に基づいて測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かを判定する(ステップS67)。使用者は、測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かをCPU210に指示することができる。
ステップS67において、測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、CPU210は、使用者による測定対象物Sの姿勢の調整を受け付ける(ステップS68)。その間、使用者は、測定対象物Sの姿勢を調整することができる。その後、CPU210はステップS67に戻る。一方、ステップS67において、測定対象物Sの姿勢が適切である場合、使用者は、測定対象物Sの姿勢が適切であることをCPU210に指示する。これにより、姿勢調整の第1の補助機能に基づく姿勢調整の手順が終了する。
なお、使用者は、ステップS64において測定困難領域の推定を指示しなかった場合、測定対象物Sにおいて影が発生する領域、多重反射によりパターンのコントラストの低下が発生する領域およびパターンの間隔が過密になっている領域に基づいて測定困難領域を判断する。測定対象物Sの測定位置が判断された測定困難領域にある場合は測定対象物Sの姿勢は不適切となり、測定対象物Sの測定位置が判断された測定困難領域にない場合は測定対象物Sの姿勢は適切となる。その後、使用者は、ステップS67において、測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かをCPU210に指示する。
一方、使用者は、ステップS64において測定困難領域の推定を指示した場合、ステップS66において測定困難領域が表示部400に表示される。測定対象物Sの測定位置が表示された測定困難領域にある場合は測定対象物Sの姿勢は不適切となり、測定対象物Sの測定位置が推定された測定困難領域にない場合は測定対象物Sの姿勢は適切となる。その後、使用者は、ステップS67において、測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かをCPU210に指示する。
ステップS67において、CPU210は、使用者の指示に基づいて測定対象物Sが姿勢は適切であるか否かを判定するが、これに限定されない。使用者により予めROI(関心領域)が設定されている場合には、CPU210は、ROIに基づいて測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かを判定してもよい。
図77は、ROIが設定された表示部400の表示の一例を示す図である。使用者は図1のPC200の操作部250を操作して、図77(a),(b)に示すように、ROIとして測定位置を示す測定位置指定枠MFを表示部400の画面上に設定することができる。また、ステップS64において測定困難領域の推定が指示された場合、ステップS66において測定困難領域URが表示部400に表示される。
図77(a)の例においては、測定位置指定枠MFが測定困難領域URと重複していない。この場合、ステップS67において、CPU210は測定対象物Sの姿勢が適切であると判定する。一方、図77(b)の例においては、測定位置指定枠MFが測定困難領域URと重複している。この場合、ステップS67において、CPU210は測定対象物Sの姿勢が適切でないと判定する。なお、測定対象物Sの姿勢が適切でないと判定された場合、ステップS68において、CPU210は、図1のステージ駆動部146を駆動することにより、使用者によらずに自動で測定対象物Sの姿勢が適切になるように測定対象物Sの姿勢を調整してもよい。
(5)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、形状測定前に、投光部110により調整光が測定対象物Sに照射される。調整光のパターンは、形状測定処理において測定対象物Sに照射される測定光のパターンとは異なる。これにより、表示部400に表示される測定対象物Sの画像が調整光のパターンとともに表示される。そのため、使用者は、影が発生する部分または光の多重反射が発生する部分等の測定困難領域を認識しやすくなる。使用者は、測定対象物Sの測定すべき位置が測定困難領域に含まれている場合には、測定対象物Sの形状測定処理前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易に調整することができる。
また、本実施の形態に係る形状測定装置500においては、測定対象物Sへの調整光の照射が一定時間ごとに行われ、測定対象物Sに照射される調整光に基づいて測定困難領域が一定時間ごとに順次推定される。表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が順次更新される。
そのため、使用者がステージ操作部145を操作して測定対象物Sの姿勢を調整した場合、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定困難領域が更新される。これにより、使用者は、表示部400に表示される測定困難領域を確認しながら測定対象物Sの姿勢を調整することができる。その結果、測定対象物Sの形状測定処理の前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易に調整することができる。
[9]姿勢調整の第2の補助機能
(1)姿勢調整の第2の補助機能の例
以下、姿勢調整の第1の補助機能とは異なる姿勢調整の第2の補助機能について説明する。姿勢調整の第2の補助機能を実行した状態において図30〜図32の形状測定処理が実行された場合、図1のCPU210は、主立体形状データを生成するとともに、主立体形状データに基づいて測定困難領域を判定する。この場合、形状測定処理において、測定対象物Sの高さを示す主立体形状データが生成されなかった領域が測定困難領域と判定される。また、生成された主立体形状データの変化が多重反射により得られた主立体形状データの変化とみなされる領域が測定困難領域と判定される。判定された測定困難領域は、測定対象物Sの画像に重畳して表示される。
図78は、測定困難領域を有する測定対象物Sの画像の一例を示す図である。図78(a)は、図2の一方の投光部110Aから測定光が照射された状態で図1の受光部120により撮像された測定対象物Sの画像を示す。図78(a)に示すように、測定対象物Sの一部に影が発生している。しかしながら、測定対象物Sの一部に影が発生することは自然現象であり、影が発生していても、使用者がそれに気づかないことがある。
図78(b)は、図78(a)の測定対象物Sに対する姿勢調整の第2の補助機能において判定された測定対象物Sの測定困難領域を示す。図78(b)に示すように、推定された測定困難領域は測定対象物Sの画像に重畳して表示される。図78(b)の例においては、測定困難領域はハッチングパターンにより強調表示されている。これにより、使用者は測定困難領域を確実に認識することができる。
図79は、測定困難領域を有する測定対象物Sの画像の他の例を示す図である。図79(a)は、図1の照明光出力部130から照明光が照射された状態で図1の受光部120により撮像された測定対象物Sの画像を示す。図79(a)に示すように、照明光出力部130からの照明光によっては、測定対象物Sにほとんど影が発生しない。したがって、使用者は、測定困難領域を認識することができない。
図79(b)は、図79(a)の測定対象物Sに対する姿勢調整の第2の補助機能において判定された測定対象物Sの測定困難領域を示す。図79(b)に示すように、推定された測定困難領域は、照明光を用いて撮像された測定対象物Sの画像に重畳して表示することも可能である。図79(b)の例においては、測定困難領域はハッチングパターンにより強調表示されている。
図80は、測定困難領域を有する測定対象物Sの画像のさらに他の例を示す図である。図80(a)は、図2の投光部110A,110Bの両方から測定光が照射された状態で図1の受光部120により撮像された測定対象物Sの画像を示す。図80(a)に示すように、投光部110A,110Bの両方から測定光を測定対象物Sに照射した場合、一方の投光部110Aから測定光を測定対象物Sに照射する場合に比べて、発生する影Ssが減少する。
図80(b)は、図80(a)の測定対象物Sに対する姿勢調整の第2の補助機能において判定された測定対象物Sの測定困難領域を示す。図80(b)に示すように、推定された測定困難領域は、一方および他方の測定光を用いて撮像された測定対象物Sの画像に重畳して表示することも可能である。図80(b)の例においては、測定困難領域はハッチングパターンにより強調表示されている。
図81は、測定困難領域を有する測定対象物Sの画像のさらに他の例を示す図である。図81(a)は、主立体形状データに基づく測定対象物Sの立体形状の画像を示す。図81(b)は、図81(a)の測定対象物Sに対する姿勢調整の第2の補助機能において判定された測定対象物Sの測定困難領域を示す。図81(b)に示すように、推定された測定困難領域は、測定対象物Sの立体形状の画像に重畳して表示することも可能である。図81(b)の例においては、測定困難領域はハッチングパターンにより強調表示されている。
投光部110A,110Bの両方から測定対象物Sに測定光が照射された場合に生成される主立体形状データの不良部分は、投光部110A,110Bの一方から測定対象物Sに測定光が照射された場合に生成される主立体形状データの不良部分に比べて小さい。すなわち、投光部110A,110Bの両方から測定対象物Sにそれぞれ測定光が照射されることにより、投光部110A,110Bの一方から測定光が測定対象物Sに照射される場合に比べて測定困難領域を減少させることができる。
投光部110A,110Bの両方から測定対象物Sに測定光が照射された場合に生成された合成立体形状データの不良部分が判定され、判定された不良部分を識別可能に測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。これにより、使用者は、投光部110A,110Bの両方から測定光を測定対象物Sに照射した場合の測定困難領域を認識することができる。その結果、次の形状測定処理を行う前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易かつ正確に調整することができる。
主立体形状データの生成が一定時間ごとに行われてもよい。この場合、CPU210は、生成された主立体形状データに基づいて測定困難領域を一定時間ごとに順次判定する。この構成によれば、測定対象物の姿勢が変化した場合、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が順次更新される。
(2)姿勢調整の第2の補助機能に基づく姿勢調整の手順
図82および図83は、姿勢調整の第2の補助機能に基づく姿勢調整の手順を示すフローチャートである。以下、図1、図2、図82および図83を参照しながら姿勢調整の第2の補助機能に基づく姿勢調整の手順を説明する。姿勢調整の第2の補助機能に基づく姿勢調整の手順は、図30〜図32の形状測定処理に含まれる。ステップS41〜S45の処理は、図30〜図32の形状測定処理のステップS41〜S45と同様である。
ステップS45において、測定位置の立体形状が表示されていると判定された場合、CPU210は、測定困難領域を判定する(ステップS71)。また、CPU210は、判定した測定困難領域を測定対象物Sの画像に重畳して表示部400に表示する(ステップS72)。
ここで、表示部400に表示されるSの画像は、一方の測定光を用いて撮像された測定対象物Sの画像であってもよいし、一方および他方の測定光を用いて撮像された測定対象物Sの画像であってもよい。あるいは、表示部400に表示される測定対象物Sの画像は、照明光を用いて撮像された測定対象物Sの画像であってもよいし、測定対象物Sの立体形状の画像であってもよい。
その後、CPU210は、使用者の指示に基づいて測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かを判定する(ステップS73)。使用者は、測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かをCPU210に指示することができる。
ステップS73において、測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、CPU210は、ステップS41の処理に戻る。これにより、CPU210は形状測定処理の開始が指示されるまで待機するとともに、使用者は形状測定処理の開始を再び指示するまで測定対象物Sの姿勢が適切になるように測定対象物Sの姿勢の調整を行うことができる。
一方、ステップS73において、測定対象物Sの姿勢が適切である場合、使用者は、測定対象物Sの姿勢が適切であることをCPU210に指示する。その後、CPU210はステップS46の処理に進む。ステップS46〜S57の処理は、図30〜図32の形状測定処理のステップS46〜S57と同様である。
これにより、CPU210は、使用者の指示に基づいて測定位置の計測または解析を実行する(ステップS57)。これにより、形状測定処理を終了する。このように、姿勢調整の第2の補助機能に基づく姿勢調整の手順は、図30〜図32の形状測定処理に含まれる。ステップS71〜S73の処理により姿勢調整の第2の補助機能に基づく姿勢調整の手順が構成される。
(3)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、測定困難領域に対応する主立体形状データの部分が、データ欠落部分またはデータ不正確部分等の不良部分として判定される。また、測定対象物Sが受光部120により撮像され、判定された不良部分を識別可能に測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。
それにより、使用者は、測定困難領域を正確に認識することができる。したがって、次の形状測定処理を行う前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易かつ正確に調整することができる。また、測定対象物Sの測定位置が測定困難領域に含まれていない場合には、使用者は、形状測定処理を再度行う必要がないことを認識することができる。そのため、測定対象物Sの形状が単純である場合には、効率よくかつ短時間で測定対象物Sの形状を測定することができる。
また、本実施の形態に係る形状測定装置500においては、主立体形状データの生成が一定時間ごとに行われ、生成された主立体形状データに基づいて測定困難領域が一定時間ごとに順次判定される。表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が順次更新される。
そのため、使用者がステージ操作部145を操作して測定対象物Sの姿勢を調整した場合、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定困難領域が更新される。これにより、使用者は、表示部400に表示される測定困難領域を確認しながら測定対象物Sの姿勢を調整することができる。その結果、測定対象物Sの形状測定処理の前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易に調整することができる。
[10]姿勢調整の第3の補助機能
(1)姿勢調整の第3の補助機能の第1の例
以下、姿勢調整の第1または第2の補助機能とは異なる姿勢調整の第3の補助機能について説明する。姿勢調整の第3の補助機能に基づく姿勢調整は、図23の形状測定の準備と図30〜図32の形状測定処理との間に行われる。
図23の形状測定の準備の後、姿勢調整の第3の補助機能の第1の例が実行された場合、図1のCPU210は、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光(図11参照)を複数回照射し、主立体形状データを生成する。また、CPU210は、測定対象物Sの主立体形状データを生成するとともに、姿勢調整の第2の補助機能と同様に、主立体形状データに基づいて測定困難領域を判定する。判定された測定困難領域は、姿勢調整の第2の補助機能の場合と同様に、測定対象物Sの画像に重畳して表示される。
測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、測定対象物Sの姿勢調整が行われた後、再び姿勢調整の第3の補助機能の第1の例が実行される。測定対象物Sの姿勢が適切である場合、図30〜図32の形状測定処理が実行される。形状測定処理においては、CPU210は、投光部110から測定対象物Sに縞状測定光を複数回照射した後にコード状測定光を複数回照射し、測定対象物Sの主立体形状データを生成する。
このように、姿勢調整の第3の補助機能における主立体形状データは、測定困難領域を判定するために生成される。以下、姿勢調整の第3の補助機能における測定対象物Sの形状測定を簡易測定と呼ぶ。簡易測定における主立体形状データの分解能は、形状測定処理における主立体形状データの分解能よりも低くてもよい。
上記の姿勢調整の第3の補助機能の第1の例における簡易測定によれば、簡易測定における主立体形状データの精度を形状測定処理における主立体形状データの精度よりも低くすることができる。これにより、主立体形状データの生成のために必要なパターン画像の取得回数が低減され、CPU210の処理時間が短縮されるので、簡易測定における主立体形状データの不良部分を短時間で判定することができる。すなわち、測定困難領域を高速に判定することができる。したがって、測定対象物Sの形状が複雑であるため、測定対象物Sの姿勢調整を繰り返す必要がある場合などに、測定対象物Sの姿勢を短時間で適切に調整することができる。
上記のように、簡易測定においては、コード状測定光のみが測定対象物Sに照射され、縞状測定光が測定対象物Sに照射されずに測定対象物Sの粗い形状が測定され、形状測定処理においては、コード状測定光および縞状測定光が測定対象物Sに順次照射され、測定対象物Sの形状が精密に測定される。
なお、簡易測定におけるコード状測定光の出射回数Nは、形状測定処理におけるコード状測定光出射回数Nよりも少なくなるように設定されてもよい。例えば、簡易測定においては、Nは5に設定され、形状測定処理においては、Nは8に設定されてもよい。この場合、パターン画像の取得回数がさらに低減され、CPU210の処理時間がさらに短縮されるので、簡易測定における主立体形状データの不良部分をさらに短時間で判定することができる。
(2)姿勢調整の第3の補助機能の第2の例
図23の形状測定の準備の後、姿勢調整の第3の補助機能の第2の例が実行された場合、図1のCPU210は、投光部110から測定対象物Sに複数種類の測定光が組み合わされた測定光を照射し、測定対象物Sの主立体形状データを生成する。CPU210は、測定対象物Sの主立体形状データを生成する際に、主立体形状データに基づいて測定困難領域を判定する。判定された測定困難領域は、姿勢調整の第2の補助機能の場合と同様に、測定対象物Sの画像に重畳して表示される。
測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、測定対象物Sの姿勢調整が行われた後、再び姿勢調整の第3の補助機能の第2の例が実行される。測定対象物Sの姿勢が適切である場合、図30〜図32の形状測定処理が実行される。形状測定処理においては、CPU210は、投光部110から測定対象物Sに複数種類の測定光が組み合わされた測定光を照射し、測定対象物Sの主立体形状データを生成する。
簡易測定における測定光は、形状測定処理における測定光よりも主立体形状データを高速に生成できるように設定される。一の設定例として、例えば、簡易測定においては、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光(図11参照)が照射されるとともに、正弦波状測定光(図8参照)が照射される。一方、形状測定処理においては、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光が照射されるとともに、縞状測定光(図9参照)が照射される。
他の設定例として、例えば、簡易測定および形状測定処理において、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光が照射されるとともに、縞状測定光が照射される。ここで、簡易測定における縞状測定光の各明部分のX方向の幅が形状測定処理における縞状測定光の各明部分のX方向の幅よりも大きく設定される。例えば、簡易測定における縞状測定光の各明部分のX方向の幅は6単位であり、縞状測定光の各暗部分のX方向の幅は10単位である。一方、形状測定処理における縞状測定光の各明部分のX方向の幅は3単位であり、縞状測定光の各暗部分のX方向の幅は13単位である。
さらに他の設定例として、例えば、簡易測定および形状測定処理において、投光部110から測定対象物Sにコード状測定光が照射されるとともに、縞状測定光が照射される。ここで、簡易測定における縞状測定光のX方向の移動距離が形状測定処理における縞状測定光のX方向の移動距離よりも大きく設定される。例えば、簡易測定における縞状測定光のX方向の移動距離は2単位である。一方、形状測定処理における縞状測定光のX方向の移動距離は1単位である。
上記の姿勢調整の第3の補助機能の第2の例における簡易測定によれば、主立体形状データの生成のために必要なパターン画像の取得回数が低減され、CPU210の処理時間が短縮されるので、主立体形状データが高速に生成される。これにより、簡易測定における主立体形状データの不良部分を短時間で判定することができる。すなわち、測定困難領域を高速に判定することができる。したがって、測定対象物Sの形状が複雑であるため、測定対象物Sの姿勢調整を繰り返す必要がある場合などに、測定対象物Sの姿勢を短時間で適切に調整することができる。
(3)姿勢調整の第3の補助機能の第3の例
図23の形状測定の準備の後、姿勢調整の第3の補助機能の第3の例が実行された場合、図1のCPU210は、投光部110から測定対象物Sに測定光を照射する。図1の制御基板150は、受光部120からの受光信号に対応する画素データの間引きを行う。
この場合、X方向の画素データが間引きされてもよいし、Y方向の画素データが間引きされてもよいし、X方向およびY方向の画素データが間引きされてもよい。あるいは、ビニング処理により画素データが間引きされてもよい。また、受光部120の露光時間が短縮されてもよい。これにより、受光部120のフレームレートを増加させることができるとともに、制御基板150からCPU210への画素データの転送速度を向上させることができる。
CPU210は、間引き後の画素データに基づいて測定対象物Sの主立体形状データを生成する。また、CPU210は、主立体形状データを生成するとともに、主立体形状データに基づいて測定困難領域を判定する。判定された測定困難領域は、姿勢調整の第2の補助機能の場合と同様に、測定対象物Sの画像に重畳して表示される。
測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、測定対象物Sの姿勢調整が行われた後、再び姿勢調整の第3の補助機能の第3の例が実行される。測定対象物Sの姿勢が適切である場合、図30〜図32の形状測定処理が実行される。形状測定処理においては、CPU210は、投光部110から測定対象物Sに測定光を照射し、測定対象物Sの主立体形状データを生成する。
上記の姿勢調整の第3の補助機能の第3の例における簡易測定によれば、簡易測定における主立体形状データの精度を形状測定処理における主立体形状データの精度よりも低くすることができる。そのため、画素データが高速で転送されるので、CPU210は主立体形状データを高速に生成することができる。また、CPU210の処理時間が短縮される。これにより、簡易測定における主立体形状データの不良部分を短時間で判定することができる。すなわち、測定困難領域を高速に判定することができる。したがって、測定対象物Sの形状が複雑であるため、測定対象物Sの姿勢調整を繰り返す必要がある場合などに、測定対象物Sの姿勢を短時間で適切に調整することができる。
(4)姿勢調整の第3の補助機能の第4の例
姿勢調整の第3の補助機能の第4の例においては、図77の例に示すように、使用者により予めROIが設定されている。図23の形状測定の準備の後、姿勢調整の第3の補助機能の第4の例が実行された場合、図1のCPU210は、投光部110から少なくともROIが設定された領域に対応する測定対象物Sに測定光を照射する。図1の制御基板150は、受光部120からの受光信号に対応する画素データをCPU210に転送する。
この場合、測定対象物Sの全ての部分に測定光を照射して全ての部分の画像を取得する場合に比べて、転送される画素データが低減される。これにより、受光部120のフレームレートを増加させることができるとともに、制御基板150からCPU210への画素データの転送速度を向上させることができる。その結果、主立体形状データを高速に生成することができる。
CPU210は、画素データに基づいて測定対象物Sの主立体形状データを生成するとともに、主立体形状データに基づいて測定困難領域を判定する。判定された測定困難領域は、姿勢調整の第2の補助機能の場合と同様に、測定対象物Sの画像に重畳して表示される。
測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、測定対象物Sの姿勢調整が行われた後、再び姿勢調整の第3の補助機能の第4の例が実行される。測定対象物Sの姿勢が適切である場合、図30〜図32の形状測定処理が実行される。形状測定処理においては、CPU210は、投光部110から測定対象物Sに測定光を照射し、測定対象物Sの主立体形状データを生成する。
上記の姿勢調整の第3の補助機能の第4の例における簡易測定によれば、簡易測定における主立体形状データのデータ量を形状測定処理における主立体形状データのデータ量よりも小さくすることができる。これにより、受光部120のフレームレートが向上するとともに、CPU210の処理時間が短縮される。また、主立体形状データが高速に生成されるので、簡易測定における主立体形状データのうち指定された位置に対応する測定対象物Sの部分が不良部分を含むか否かを短時間で判定することができる。すなわち、測定困難領域を高速に判定することができる。したがって、測定対象物Sの形状が複雑であるため、測定対象物Sの姿勢調整を繰り返す必要がある場合などに、測定対象物Sの姿勢を短時間で適切に調整することができる。
上記の姿勢調整の第3の補助機能の第1〜第4の例は、組み合わせて実行されてもよい。この場合、主立体形状データがより高速に生成されるので、測定困難領域をより高速に判定することができる。その結果、測定対象物Sの姿勢をより短時間で適切に調整することができる。
また、簡易測定における主立体形状データの生成が一定時間ごとに行われてもよい。この場合、CPU210は、生成された主立体形状データに基づいて測定困難領域を一定時間ごとに順次判定する。この構成によれば、測定対象物の姿勢が変化した場合、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が順次更新される。
(5)姿勢調整の第3の補助機能に基づく姿勢調整の手順
図23の形状測定の準備の後、姿勢調整の第3の補助機能に基づく姿勢調整が実行される。図84は、姿勢調整の第3の補助機能に基づく姿勢調整の手順を示すフローチャートである。以下、図1、図2および図84を参照しながら姿勢調整の第3の補助機能に基づく姿勢調整の手順を説明する。使用者は、形状測定の準備の終了後に、CPU210に簡易測定の開始を指示する。CPU210は、使用者により簡易測定の開始が指示されたか否かを判定する(ステップS81)。
ステップS81において、簡易測定の開始が指示されていない場合、CPU210は、簡易測定の開始が指示されるまで待機する。なお、使用者は、簡易測定の開始を指示するまで形状測定の準備を行うことができる。一方、ステップS81において、簡易測定の開始が指示された場合、CPU210は、投光部110から測定対象物Sに測定光を照射し、測定対象物Sのパターン画像を取得する(ステップS82)。上述したように、簡易測定におけるパターン画像の取得は、後で行われる形状測定処理におけるパターン画像の取得よりも高速で行われる。取得されたパターン画像は、作業用メモリ230に記憶される。
次に、CPU210は、取得したパターン画像を所定の計測アルゴリズムで処理することにより、測定対象物Sの立体形状を示す主立体形状データを生成する(ステップS83)。生成された主立体形状データは、作業用メモリ230に記憶される。また、CPU210は、測定困難領域を判定するとともに(ステップS84)、判定した測定困難領域を測定対象物Sの画像に重畳して表示部400に表示する(ステップS85)。
その後、CPU210は、使用者の指示に基づいて測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かを判定する(ステップS86)。使用者は、測定対象物Sの姿勢が適切であるか否かをCPU210に指示することができる。
ステップS86において、測定対象物Sの姿勢が適切でない場合、CPU210は、ステップS81の処理に戻る。これにより、CPU210は簡易測定の開始が指示されるまで待機するとともに、使用者は簡易測定の開始を再び指示するまで測定対象物Sの姿勢が適切になるように測定対象物Sの姿勢の調整を行うことができる。
一方、ステップS86において、測定対象物Sの姿勢が適切である場合、使用者は、測定対象物Sの姿勢が適切であることをCPU210に指示する。これにより、CPU210は、姿勢調整の第3の補助機能に基づく姿勢調整の手順を終了する。その後、CPU210は、図30〜図32の形状測定処理を実行する。
このように、CPU210により簡易測定における主立体形状データの不良部分が判定された後でかつ投光部110により測定光が測定対象物Sに照射される前に測定対象物Sの姿勢を確実に調整することができる。これにより、測定対象物Sの形状測定処理を行う前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易に調整することができる。
また、簡易測定においては、投光部110A,110Bの両方から測定対象物Sに測定光を照射してもよい。この場合、投光部110A,110Bの一方から測定光が測定対象物Sに照射される場合に比べて測定困難領域を減少させることができる。
投光部110A,110Bの両方から測定対象物Sに測定光が照射された場合に生成された合成立体形状データの不良部分が判定され、判定された不良部分を識別可能に測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。これにより、使用者は、投光部110A,110Bの両方から測定光を測定対象物Sに照射した場合の測定困難領域を認識することができる。その結果、形状測定処理を行う前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易かつ正確に調整することができる。
(6)効果
本実施の形態に係る形状測定装置500においては、形状測定処理を行う前に、簡易測定により主立体形状データの不良部分が判定される。簡易測定における主立体形状データは、形状測定処理における主立体形状データよりも低い精度または小さいデータ量を有する。したがって、不良部分の判定を短時間で行うことができる。また、不良部分を識別可能に測定対象物Sの画像が表示部400に表示される。そのため、使用者は、測定困難部分を容易に認識することができる。
測定対象物Sの測定位置が測定困難部分に含まれている場合には、使用者は、測定対象物Sの形状測定処理を行う前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に容易に調整することができる。また、形状測定処理においては、簡易測定における主立体形状データよりも高い精度または大きいデータ量を有する主立体形状データが生成される。これにより、測定対象物Sの形状を高い精度で測定することができる。
また、本実施の形態に係る形状測定装置500においては、簡易測定における主立体形状データの生成が一定時間ごとに行われ、生成された主立体形状データに基づいて測定困難領域が一定時間ごとに順次判定される。表示部400に表示される測定対象物Sの画像上の測定困難領域が順次更新される。簡易測定における主立体形状データの生成は、形状測定処理における主立体形状データの生成よりも高速に行われるため、測定困難領域の更新をより短い間隔で行うことができる。
そのため、使用者がステージ操作部145を操作して測定対象物Sの姿勢を調整した場合、測定対象物Sの姿勢の変化に追従して表示部400に表示される測定困難領域がより短い間隔で更新される。これにより、使用者は、表示部400に表示される測定困難領域を確認しながら測定対象物Sの姿勢を短時間で調整することができる。その結果、測定対象物Sの形状測定処理の前に、測定対象物Sの姿勢を形状測定に適切な状態に短時間で容易に調整することができる。
[11]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
測定対象物Sが測定対象物の例であり、ステージ140がステージの例であり、投光部110が投光部または第1の投光部の例であり、投光部110または照明光源320(照明光出力部130)が第2の投光部の例である。測定光源111が測定光源の例であり、パターン生成部112がパターン生成部の例であり、受光部120が受光部の例であり、CPU210が第1および第2のデータ生成部、合成部、判定部ならびに処理装置の例である。ステージ駆動部146が相対距離変化部の例であり、表示部400が表示部の例であり、操作部250が操作部の例であり、形状測定装置500が形状測定装置の例である。測定光が第1の光の例であり、照明光が第2の光の例であり、主立体形状データが第1の立体形状データの例であり、副立体形状データが第2の立体形状データの例であり、テクスチャ画像データが状態データの例であり、角度αが第1の角度の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。