第1実施例(図1〜図12):
本発明を適用した第1実施例の光学顕微鏡を説明する。図1は、第1実施例の光学顕微鏡500の構成を示すブロック図である。図2は、図1の光学顕微鏡500の測定部の構成を示す模式図である。図1、図2を参照して、光学顕微鏡500は、測定部100、PC(パーソナルコンピュータ)200、制御部300および表示部(モニタ)400を備えている(図1)。
測定部100は、投光部110、受光部120、照明光出力部130、ステージ140および制御基板150を含む。投光部110は、測定光源111、パターン生成部112および複数のレンズ113、114、115を含む。受光部120は、カメラ121および複数のレンズ122、123を含む。ステージ140上に測定対象物Sが載置される。
投光部110は、ステージ140の斜め上方に配置された投光ユニットで構成されている。投光部110は測定対象物Sの表面に対して斜めに光を照射する。測定部100は、複数の投光部110を含んでもよい。図2の例においては、測定部100は2つの投光部110を含む。以下、2つの投光部110を区別する場合は、一方の投光部110を第1の投光部110Aと呼び、他方の投光部110を第2の投光部110Bと呼ぶ。一対の第1、第2の投光部110A、110Bは受光部120の光軸を挟んで鏡像対称に配置される。受光部120の光軸に対して投光部110からの光が斜めに照射されるため凹凸を含む立体形状の測定対象物Sに影が発生する。これに対して一対の第1、第2の投光部110A、110Bを鏡像対称に配置することで、この影の発生を抑えることができる。
第1、第2の投光部110A、110Bの測定光源111は典型的には白色光を出射するハロゲンランプで構成される。測定光源111として、白色光を出射する白色LED(発光ダイオード)等の他の光源であってもよい。測定光源111から出射された光(以下、測定光と呼ぶ)は集光レンズ113により適切に集光された後、パターン生成部112に入射する。ここに、第1、第2の投光部110A、110Bは定倍率の光学系で構成され、その典型例として両側テレセントリックレンズ114、115を挙げることができる。両側テレセントリックレンズ114、115で投光部110を構成することにより高い計測精度を確保することができる。すなわち、テレセントリック光学系114、115は、レンズと対象物Sとの距離に左右されることなくパターンの結像サイズが一定であるため、立体である対象物Sの表面高さが一定でない場合(例えば凹凸面)であってもパターン寸法が変化しないため、高い精度で計測することができる。
パターン生成部112は、二次元アレイを構成するための好ましくはDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が採用される。ここにDMDは表示素子の一種であり、数μm角のマイクロミラーが画素のように数十万個配置されており、各マイクロミラーが独立して傾きを変えることができる。この特性により、マイクロミラーの向きによって光を光軸方向に反射させたり(明/ON)、光軸から外に偏向させることができる(暗/OFF)。このマイクロミラーは最大で数kHzの高速でON/OFFを切り替えることができるため、明るさの階調はPWM制御によって調整することができる。パターン生成部112によって生成される照明パターンは縞パターン(図9:マルチスリット法)だけでなく任意の二次元パターンを生成することができる。二次元パターンを例示的に列挙すると、バイナリパターン、スリットパターン、正弦波パターン、ドットパターン、チェッカーパターン、二次元コードパターンを挙げることができる。
パターン生成部112は、図2に図示の実施例では透過によって二次元パターンを生成する構成を採用したが、変形例として、反射によって二次元パターンを生成してもよい。
パターン生成部112は、LCD(液晶ディスプレイ)、LCOS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶素子)またはマスクで構成してもよい。パターン生成部112に入射した測定光は、予め設定されたパターンおよび予め設定された強度(明るさ)に変換されて対象物Sに向けて投光される。パターン生成部112により出射された測定光は、上述したように定倍率の投光レンズとして採用した両側テレセントリック光学系を構成する複数のレンズ114、115により受光部120の観察及び測定が可能な視野よりも大きい径を有する光に変換された後、ステージ140上の測定対象物Sに投光される。
受光部120は、カメラ121と受光レンズ122、123とで構成され、ステージ140の上方に配置される。測定対象物Sにより反射した光は、ステージ140の上方に進み、受光部120の複数のレンズ122、123により集光及び結像され、そしてこの反射光はカメラ121によって受光される。
カメラ121は撮像素子(受光素子)121aおよびレンズを含むカメラで構成される。実施例ではズームレンズを採用して広範な倍率で使用できるようにしてあるが、精度を優先して倍率の異なるテレセントリック光学系の受光レンズを複数組用意して使い分けるようにしてもよい。撮像素子121aは、好ましくはモノクロの例えばCCD(電荷結合素子)で構成される。撮像素子121aとしてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の他の撮像素子を採用してもよい。撮像素子121aの各画素からは、受光量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)が制御基板150に出力される。
ステージ140上の対象物Sでの投光パターンを受け取る時に、最小の観察倍率(受光倍率)のときの観察画像上での最小パターン幅に少なくとも1画素、好ましくは複数の画素が含まれる解像度を撮像素子つまり受光素子121aが有している。カメラ121がズーム機構を備えているときにはその最小倍率でパターンを受け取る時に最小パターン幅に、少なくとも一つの画素、好ましくは複数の画素が含まれる解像度のカメラ121が採用されている。
換言すれば、最小倍率のときの最小パターン幅に少なくとも一つの受光画素、好ましくは複数の受光画素が収まるような最小倍率を受光レンズで設定すればよく、又は受光レンズの最小倍率において最小パターン幅に少なくとも一つの受光画素、好ましくは複数の受光画素が収まるように投光レンズの倍率を設定すればよい。
カラーの撮像素子を採用した場合、各画素を赤色用、緑色用、青色用の受光に対応させる必要があるため、モノクロの撮像素子と比較すると計測分解能が低く、また各画素にカラーフィルタを設ける必要があるため感度が低下する。これに対して、モノクロの撮像素子121aを採用し、後述する照明光出力部130からRGBの各LED光源に夫々対応した照明を時分割で照射(シーケンシャル照射)して撮像することにより、カラー画像を取得することができる。このような構成にすることにより、計測精度を低下させずに測定物の二次元カラーテクスチャ画像を取得することができる。
勿論、撮像素子121aとして、上述したようにカラーの撮像素子を用いても良いことは云うまでもない。この場合、計測精度や感度は低下するが、照明光出力部130からRGB照明を時分割で照射する必要がなくなり、白色光を照射するだけで、カラー画像を取得できるため、照明光学系をシンプルに構成できる。
制御基板150には、図示しないA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)およびFIFO(First In First Out)メモリが実装される。カメラ121から出力される受光信号は、制御部300による制御に基づいて、制御基板150のA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次制御用PC200に転送される。
図1に示すように、制御用PC200は、CPU(中央演算処理装置)210、ROM(リードオンリメモリ)220、作業用メモリ230、記憶装置240および操作部250を含む。また、操作部250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
ROM220にはシステムプログラムが記憶される。作業用メモリ230はRAM(ランダムアクセスメモリ)で構成され、種々のデータの処理のために用いられる。記憶装置240はハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムおよび形状測定プログラムが記憶される。また、記憶装置240は、制御基板150から与えられる画素データ等の種々のデータを保存するために用いられる。
CPU210は、制御基板150から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。また、CPU210は、生成した画像データに作業用メモリ230を用いて各種処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部400に表示させる。さらに、CPU210は、後述するステージ駆動部145に駆動パルスを与える。表示部400は、好ましくは薄型ディスプレイ、例えばLCDパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
図2において、測定対象物Sが載置されるステージ140上の平面(以下、載置面と呼ぶ)内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、それぞれ矢印X、Yで示す。ステージ140の載置面に対して直交する方向をZ方向と定義し、矢印Zで示す。Z方向に平行な軸を中心に回転する方向(矢印θで図示)をθ方向と定義する。
ステージ140は、X−Yステージ141、Zステージ142およびθステージ143を含む。X−Yステージ141はX方向移動機構およびY方向移動機構を有する。Zステージ142はZ方向移動機構を有する。θステージ143はθ方向回転機構を有する。これらX−Yステージ141、Zステージ142およびθステージ143によって、ステージ140が構成される。また、ステージ140は、その載置面に測定対象物Sを固定する図示しない固定部材(クランプ)をさらに含む。ステージ140は、その載置面に平行な軸を中心に回転可能な機構を有するチルトステージを更に含んでもよい。
ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構、Z方向移動機構およびθ方向回転機構は、それぞれ独立して駆動制御できる駆動源を備えているのが良く、この駆動源の典型例としてステッピングモータを挙げることができる。ステージ140のX方向移動機構、Y方向移動機構、Z方向移動機構およびθ方向回転機構は、図1のステージ操作部144またはステージ駆動部145により駆動される。
使用者は、ステージ操作部144を手動で操作することにより、ステージ140の載置面を受光部120に対して相対的にX方向、Y方向もしくはZ方向に移動させるか、またはθ方向に回転させることができる。ステージ駆動部145は、PC200より与えられる駆動パルスに基づいて、ステージ140のステッピングモータに電流を供給することにより、受光部120に対してステージ140を相対的にX方向、Y方向もしくはZ方向に移動させるか、またはθ方向に回転させることができる。
ここに、図2に示すように、左右の投光部110の中心軸(光軸)と受光部120の中心軸(光軸)は、ステージ140の焦点が最も合うピント平面で互いに交差するように、受光部120、投光部110、ステージ140の相対的な位置関係が定められている。また、θ方向の回転軸の中心は、受光部120の中心軸と一致しているため、θ方向にステージ140が回転した際に、測定対象物が視野から外れることなく、回転軸を中心に視野内で回転するようになっている。また、Z方向移動機構に対して、これらX、Y、θ及びチルト移動機構は支持されている。
すなわち、ステージ140をθ方向に回転させたり、チルトさせた状態であっても、受光部120の観察中心軸(光軸)と、Z方向の移動軸にずれが生じない構成になっている。このようなステージ機構により、測定対象物の位置や姿勢を変化させた状態であっても、Z方向にステージ140を移動させて異なる焦点位置の画像を複数撮像して合成することが可能となる。なお、本実施の形態ではステッピングモータにより駆動させることが可能な電動ステージを例に説明したが、手動でのみ変位させることが可能な手動ステージであっても良い。
制御部300は、制御基板310および照明光源320を含む。制御基板310には、図示しないCPUが実装される。制御基板310のCPUは、PC200のCPU210からの指令に基づいて、投光部110、受光部120および制御基板150を制御する。
照明光源320は、例えば赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)を出射する3種類のLEDを含む。各LEDから出射される光の輝度を制御することにより、照明光源320から任意の色の光を発生することができる。照明光源320が発生する光(以下、照明光と呼ぶ)は、導光部材(ライトガイド)を通してリング状の照明光出力部130から出力される。なお、制御部300に照明光源320を設けずに、測定部100に照明光源320を設けてもよい。この場合、測定部100には照明光出力部130が設けられない。RGB照明光出力部130を使って対象物Sを照射してカラー画像を生成する場合には、例えば各色の光源は300Hzでシーケンシャルに切り替えられる。
図2の照明光出力部130は、観察中心軸を中心とする円環形状を有するリング形照明が採用されている。リング状の照明光出力部130は導光ケーブル132を介してRGB光源320(図2)に連結される。図2では図示を省略してあるが、RGB光源320の各色のLEDに隣接してコリメータレンズが配置され、また、両側テレセントリックレンズ系が配設されている。
RGB光源320に隣接して配置したコリメータレンズによって絞り込む瞳での配光特性は光源320の発光面での照度分布と等しくなり、例えば発光面の照度分布が一様であれば瞳での配光特性は一様となる。すなわち、RGB光源320の照度分布がコリメータレンズの瞳の配光分布となり、他方、RGB光源320の配光分布がコリメータレンズの瞳の照度分布となる。なお、面発光する光源は一般的に発光面の全域でほぼ一様な照度分布を有している。コリメータレンズに続いて配置された両側テレセントリックレンズ系は、コリメータレンズの瞳を導光ケーブル132の入光部に結像させる機能を有している。つまりケーラー効果を生成するために両側テレセントリックレンズ系が配置されている。コリメータレンズによって配光特性が一様化した光の束は両側テレセントリックレンズ系を通過する過程で配光特性の一様性が保持され、そして集光した光が導光ケーブル132を通じて照明光出力部130に供給される。
導光ケーブルを構成する複数の光ファイバの各々は、光ファイバの軸に対する光の角度を保存する特性を有しているため各光ファイバ内の光伝搬においても配光特性の一様性が保持される。この複数の光ファイバを例えば互いに編み込むなどによってランダム性を与えることが好ましく、これによりRGB光源320の僅かな照度ムラを解消した状態で対象物Sを照明することができる。
リング形の照明光出力部130は、受光部120を包囲した状態でステージ140の上方に配置される。これにより影が発生しないように照明光出力部130から測定対象物Sに照明光が照射されてテクスチャ画像が取得される。すなわち、リング形状の照明を受光部120の光軸の周囲に配置したことで、測定対象物Sをほぼ影無しで観察することができる。したがって、測定対象物Sに対して斜めに投光する投光部110だけでは観察することのできない穴の底もリング状の照明光出力部130を使うことで観察することができる。
図3および図4は、光が照射された状態の測定対象物Sの模式図である。図3および図4の例においては、測定対象物Sは上面の略中央に孔Shを有する。また、図3(a)、(c)および図4(a)においては、影Ssをハッチングにより表わしている。
図3(a)は第1の投光部110A(図2)からの測定光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線断面図である。図3(a)、(b)に示すように、第1の投光部110Aから測定光を測定対象物Sに照射した場合、孔Shの深さによっては、孔Shの底部にまで測定光が到達せず、影Ssが発生する。したがって、測定対象物Sの一部を観察することができない。
図3(c)は第2の投光部110B(図2)からの測定光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図3(d)は図3(c)のB−B線断面図である。図3(c)、(d)に示すように、第2の投光部110Bから測定光を測定対象物Sに照射した場合、孔Shの深さによっては、孔Shの底部にまで測定光が到達せず、影Ssが発生する。したがって、測定対象物Sの一部を観察することができない。
図4(a)は第1、第2の投光部110A、110Bの両方からの測定光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線断面図である。図4(a)、(b)に示すように、第1、第2の投光部110A、110Bの両方から測定光を測定対象物Sに照射した場合、第1又は第2の投光部110A又は110Bから測定光を測定対象物Sに照射した場合に比べて、孔Shの底部にまで到達しない測定光が減少するため、発生する影Ssが減少する。したがって、観察することができる測定対象物Sの部分が増加する。
図4(c)は図2の照明光出力部130からの照明光が照射された状態の測定対象物Sの平面図であり、図4(d)は図4(c)のD−D線断面図である。図4(c)、(d)に示すように、照明光は測定対象物Sの略真上から照射されるので、孔Shの深さによらず、孔Shの底部にまで照明光が到達する。したがって、測定対象物Sの大部分を観察することができる。
第1の投光部110Aから測定光が照射された測定対象物Sの画像と、第2の投光部110Bから測定光が照射された測定対象物Sの画像とが横並びに表示部400に表示(2画面表示)されてもよい。
PC(パソコン)200は受光部120(制御基板150)から送信されるカメラ画像データを受け取って処理を実行する。表示部400は、光学顕微鏡500を制御するためのモニタとして機能し、カメラ撮影画像や制御用プログラムのGUIを表示し、使用者はマウス、キーボードなどの入力手段を使って操作することができる。
図5は、画像を2画面表示するGUI(Graphical User Interface)の一例を示す図である。図5に示すように、表示部400には2つの画像表示領域410、420が並ぶように設けられる。画像を2画面表示する場合には、投光部110A、110Bから測定対象物Sに測定光が切り替わるように交互に照射される。画像表示領域410には、第1の投光部110Aから測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。画像表示領域420には、第2の投光部110Bから測定光が照射された場合における測定対象物Sの画像が表示される。これにより、使用者は第1、第2の投光部110A、110Bの各々により測定光を照射された場合における測定対象物Sの画像を区別して認識することができる。
なお、第1、第2の投光部110A、110Bからの測定光の切り替えの頻度は、使用者が夫々を少なくとも動画と感じられる程度の値(例えば数Hz以上)に設定される。したがって、使用者には、測定部100において両方の投光部110A、110Bから測定対象物Sに測定光が略同時に照射され、同時に動画が更新されるように観測される。すなわち、投光部110A、110Bからの測定光を照射して得た夫々の画像は、そのいずれも動画(ライブ画像)のように使用者に認識される。
引き続き図5を参照して、表示部400には2つの明るさ設定バー430、440が表示される。明るさ設定バー430は、水平方向に移動可能なスライダ430sを有する。明るさ設定バー440は、水平方向に移動可能なスライダ440sを有する。明るさ設定バー430上のスライダ430sの位置は、第1の投光部110Aから出射される測定光の明るさまたは110Aからの測定光で画像を撮影する際のカメラ露光時間に対応する。明るさ設定バー440上のスライダ440sの位置は、第2の投光部110Bから出射される測定光の明るさまたは110Bからの測定光で画像を撮影する際のカメラ露光時間に対応する。
使用者は、図1のPC200の操作部250(典型的にはマウス)を操作して明るさ設定バー430のスライダ430sを水平方向に移動させることにより、第1の投光部110Aから出射される測定光の明るさ又はこの第1の投光部110Aに対応するカメラ露光時間を変更することができ、その結果がリアルタイムに表示部400の表示画像に反映される。同様に、使用者は、操作部250(典型的にはマウス)を操作して明るさ設定バー440のスライダ440sを水平方向に移動させることにより、第2の投光部110Bから出射される測定光の明るさまたは第2の投光部110Bに対応するカメラ露光時間を変更することができ、その結果がリアルタイムに表示部400の表示画像に反映される。
上記のように、画像表示領域410、420には、投光部110A、110Bの各々により測定光を照射された場合における測定対象物Sの画像が並ぶように表示される。したがって、使用者は、画像表示領域410、420に表示された測定対象物Sの画像を見ながら、明るさ設定バー430、440のスライダ430s、440sの位置をそれぞれ移動させることにより、投光部110A、110Bの各々から出射される測定光の明るさまたはそれぞれの投光部に対応したカメラ露光時間を適切に調整することができる。
また、投光部110A、110Bから出射される測定光の適切な明るさと照明光出力部130から出射される照明光の適切な明るさ又は夫々の照明に対応したカメラ露光時間との間に相関がある場合がある。この場合、投光部110A、110Bの各々から出射される測定光の明るさまたはそれぞれの投光部に対応したカメラ露光時間は、照明光出力部130から出射される照明光の明るさまたは照明光に対応したカメラ露光時間に基づいて自動的に調整されてもよい。
あるいは、照明光出力部130から出射される照明光の明るさまたは照明光に対応したカメラ露光時間に基づいて、投光部110A、110Bの各々から出射される測定光の明るさ又はそれぞれの投光部に対応したカメラ露光時間を適切にするための調整ガイドが表示部400に表示されてもよい。この場合、使用者は、調整ガイドに基づいて明るさ設定バー430、440のスライダ430s、440sの位置をそれぞれ移動させることにより、投光部110A、110Bの各々から出射される測定光の明るさまたはそれぞれの投光部に対応したカメラ露光時間を適切に調整することができる。
光の照射方向が異なれば、光の反射方向も異なるため、結果として得られる画像の明るさは、同じ部位であっても光の照射方向によって異なる。すなわち、計測に適した照明の明るさ、撮像素子の露光時間は照射方向によって異なることになる。この実施例では、複数の投光部110A、110Bから光を照射して撮像されたそれぞれの画像の明るさを個別に調整可能とすることにより、照射方向毎に適切な照明の明るさ又は露光時間を設定することができる。また、明るさ調整中の画像は、画像表示領域410、420に更新されながら表示されるため、調整後の画像を確認しながら明るさを調整できる。この際に、画像表示領域410、420に表示された画像の中で、明るすぎて白とびしている部分や、暗すぎて黒つぶれしている部分を識別可能に表示することで、ユーザにとって明るさが適切に調整できているか否かをよりわかりやすく表示することも可能である。
測定対象物の形状測定:
(1)三角測距方式による形状測定(図6):
測定部100においては、三角測距方式により測定対象物Sの立体形状が測定される。図6は、三角測距方式の原理を説明するための図である。図6に示すように、投光部110から出射される測定光の光軸と受光部120に入射する測定光の光軸(受光部120の光軸)との間の角度αが予め設定される。角度αは0度よりも大きく90度よりも小さい。
ステージ140上に測定対象物Sが載置されない場合、投光部110から出射される測定光は、ステージ140の載置面の点Oにより反射され、受光部120に入射する。一方、ステージ140上に測定対象物Sが載置される場合、投光部110から出射される測定光は、測定対象物Sの表面の点Aにより反射され、受光部120に入射する。
点Oと点Aとの間のX方向における距離を「d」で示すと、ステージ140の載置面に対する測定対象物Sの点Aの高さhは、h=d÷tan(α)により与えられる。図1のPC200のCPU210は、制御基板150により与えられる測定対象物Sの画素データに基づいて、X方向における点Oと点Aとの間の距離dを測定する。また、CPU210は、測定された距離dに基づいて、測定対象物Sの表面の点Aの高さhを算出する。測定対象物Sの表面の全ての点の高さを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状を測定できる。しかしながら、測定対象物Sの表面の全ての点を計測するには、測定対象物Sの視野範囲内全域に対して測定光(測定点)を例えばラスタースキャンするなどの処理が必要であり、その処理に多大な時間が必要となる。
このことから、ライン状の照射パターンを測定対象物Sの表面に当てて一方向にスキャンする光切断法、縞状の照射パターンを測定対象物Sの表面に当て一方向にスキャンする縞投影法が周知である。そして、このようにして獲得した三次元形状データに対して、均一照明を測定対象物Sに当てて得た対象物画像を表面テクスチャ情報としてマッピングすることで対象物Sの三次元形状を表示部400にディスプレイすることができる。三次元形状データを獲得するために実施例に採用可能な照射パターンを以下に例示的に説明する。ここに、マッピングとは、その典型例を具体的に説明すれば、三次元形状測定データと二次元テクスチャ画像とを同一のカメラで取得し、二次元テクスチャ画像の各ピクセルのデータと、三次元形状測定によって得られた高さ画像の同一ピクセルのデータとを対応付けして三次元テクスチャ画像を生成することを意味する。
(2)測定光の第1の照射パターン(図7:ライン状投影法):
図7は、測定光の第1のパターンを説明するための図である。図7(a)は、ステージ140上の測定対象物Sに投光部110から測定光を照射した状態を示す。図7(b)は、測定光が照射された測定対象物Sの平面図を示す。図7(a)に示すように、第1のパターンとして、Y方向に平行な直線状の断面を有する測定光(以下、ライン状測定光と呼ぶ)が投光部110から出射される。この場合、図7(b)に示すように、ステージ140に照射されたライン状測定光の部分と測定対象物Sの表面に照射されたライン状測定光の部分とは、測定対象物Sの表面の高さhに対応する距離dだけX方向に互いにずれる。したがって、距離dを測定することにより、測定対象物Sの高さhを算出することができる。
測定対象物Sの表面のY方向に沿った複数の部分が異なる高さを有する場合には、各部分について上記の距離dを測定することにより、Y方向に沿った複数の部分の高さhを算出することができる。
また、図1のCPU210は、X方向の一の位置でY方向に沿った複数の部分について距離dを測定した後、Y方向に平行なライン状測定光をX方向に走査することにより、X方向の他の位置でY方向に沿った複数の部分について距離dを測定する。これにより、X方向の複数の位置におけるY方向に沿った測定対象物Sの複数の部分の高さhが算出される。受光部120の観察及び測定可能な視野よりも広い範囲でライン状測定光をX方向に走査することにより、測定対象物Sの表面の全ての点の高さhを算出することができる。これにより、測定対象物Sの三次元形状データを獲得することができる。
(3)測定光の第2の照射パターン(図8:正弦波位相シフト法):
図8は、測定光の第2のパターンを説明するための図である。図8に示すように、第2のパターンとして、Y方向に平行な直線状の断面を有しかつX方向に強度が正弦波状に変化するパターンを有する測定光(以下、正弦波状測定光と呼ぶ)が投光部110から複数回(本例においては4回)出射される。正弦波位相シフト法では、最低3回の撮影で高さhを求めることができる。後に説明するように、90度(π/2)ずつ位相をシフトして4回撮影すると、計算式が非常に簡単になるという利点がある。
図8(a)は、1回目に出射される正弦波状測定光を示す。1回目に出射される正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の任意の位置POにおいて、初期位相φを有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の任意の部分POにより反射された光の強度(輝度)をI1とする。
図8(b)は、2回目に出射される正弦波状測定光を示す。2回目に出射される正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の任意の位置POにおいて、位相(φ+π/2)を有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分POにより反射された光の強度(輝度)をI2とする。
図8(c)は、3回目に出射される正弦波状測定光を示す。3回目に出射される正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の任意の位置POにおいて、位相(φ+π)を有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分POにより反射された光の強度(輝度)をI3とする。
図8(d)は、4回目に出射される正弦波状測定光を示す。4回目の正弦波状測定光の強度は、測定対象物Sの表面上の任意の位置POにおいて、位相(φ+3π/2)を有する。この正弦波状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの画素データに基づいて測定される。測定対象物Sの表面上の部分POにより反射された光の強度(輝度)をI4とする。
初期位相φは、φ=tan−1[(I1−I3)/(I2−I4)]で与えられる。この4点法を使うことにより、元になる正弦波の振幅や輝度中心を知る必要がなく、計測したI1〜I4から初期位相φを求めることにより測定対象物Sの任意の部分の高さhが算出される。より詳しく説明すると、測定対象物Sの表面上の任意の位置POにおいて、対象物Sが存在していないときの初期位相φoと、対象物Sが存在することによってシフトした初期位相φsとの位相差(図6の距離dに相当)を求めることで高さhが算出される。すなわち、この方式によれば、4回の光の強度の測定により、測定対象物Sの全ての部分の初期位相φを高速かつ容易に算出することができる。なお、初期位相φは、最低3回、位相の異なる測定光を照射し、受光される光の強度(輝度)を測定することにより算出することができる。そして、測定対象物Sの表面上の全ての部分の高さhを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状を測定することができる。この正弦波位相シフト法によれば、撮影枚数が最低3枚であり少ない撮影回数で立体情報を入手できるため高速で三次元形状データを獲得できるという利点がある。
(4)測定光の第3の照射パターン(図9:マルチスリット法):
図9は、測定光の第3のパターンを説明するための図である。図9に示すように、第3のパターンとして、Y方向に平行でかつX方向に並ぶような直線状の断面を有する複数の細線状のパターン測定光(以下、縞状測定光と呼ぶ)が投光部110から複数回(本例においては16回)出射される。すなわち、スリット幅よりも狭いピッチで照明パターンを移動させて複数回の撮影が行われる。実施例では、このマルチスリット法と後に説明する空間コード法との組み合わせが採用されている。
縞状測定光においては、Y方向に平行な直線状の明部分およびY方向に平行な直線状の暗部分がX方向に周期的に配列される。ここで、パターン生成部112がDMDである場合にはマイクロミラーの寸法を1単位とする。
縞状測定光の各明部分のX方向の幅は、例えば3単位であり、縞状測定光の各暗部分のX方向の幅は、例えば13単位である。この場合、縞状測定光のX方向の周期は16単位である。なお、明部分および暗部分の単位は、図2のパターン生成部112の構成により異なる。例えば、パターン生成部112が液晶である場合には1単位は1画素の寸法である。
1回目の縞状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が、測定対象物Sの1番目の撮影画像の画素データに基づいて測定される。図9(a)は、1回目の縞状測定光に対応する測定対象物Sの1番目の撮影画像である。
2回目の縞状測定光は、1回目の縞状測定光から明部分および暗部分をX方向に1単位だけ移動させたパターンを有する。2回目の縞状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が、受光部120により受光される。受光された光の強度が測定対象物Sの2番目の撮影画像の画素データに基づいて測定される。
3回目の縞状測定光は、2回目の縞状測定光から明部分および暗部分をX方向に1単位だけ移動させたパターンを有する。3回目の縞状測定光が出射されることにより、測定対象物Sの表面で反射された光が受光部120により受光される。受光された光の強度が、測定対象物Sの3番目の撮影画像の画素データに基づいて測定される。
同様の動作が繰り返されることにより、4〜16回目の縞状測定光に対応する光の強度が、測定対象物Sの4〜16番目の撮影画像の画素データに基づいてそれぞれ測定される。X方向の周期が16単位である縞状測定光が16回出射されることにより、測定対象物Sの表面の全ての部分に縞状測定光が照射される。なお、図9(b)は、7回目の縞状測定光に対応する測定対象物Sの7番目の撮影画像である。図9(c)は、13回目の縞状測定光に対応する測定対象物Sの13番目の撮影画像である。
図10は、測定対象物Sの特定の部分における、画像が撮影されたタイミング(何番目か)と受光された光の強度との関係を示す図である。図10の横軸は撮影画像の番号を示し、縦軸は受光された光の強度を示す。上述のように、測定対象物Sについて、1〜16番目の撮影画像が生成される。また、生成された1〜16番目の撮影画像の各画素に対応する光の強度(輝度)が測定される。
図10に示すように、撮影画像の番号に対応する画像内の各部分の光の強度(輝度)を図示することにより散布図が得られる。得られた散布図に例えばガウシアン曲線、スプライン曲線または放物線をフィッティングさせることにより、光の強度が最大になるときの撮影画像の番号(何番目か)を、1未満の精度で推定することができる。図10の例においては、フィッティングされた点線で示す曲線により、9番目と10番目との間である9.38番目の撮影画像(このような撮影画像は実際にはなく、あくまで計算推定上としてのみ存在する)において、光の強度が最大になることが推定される。
また、フィッティングされた曲線により、光の強度の最大値を推定することもできる。測定対象物Sの各部分において推定された光の強度が最大値を取る撮影画像の番号に基づいて、これにマイクロミラー1単位が対象物S上で何μmに相当するかという数値を掛け合わせることで図6の「d」に相当する距離を求め、そして、この値dに基づいて、測定対象物Sの各部の高さhを算出することができる(h=d÷tan(α))。この方法によれば、S/N(信号/ノイズ)比が十分に大きい光の強度に基づいて測定対象物Sの三次元的な形状を測定できるので測定対象物Sの形状測定の精度を向上させることができる。
なお、正弦波状測定光または縞状測定光の周期的な投影パターンを用いた測定対象物Sの形状測定においては、測定対象物Sの表面の各部分の相対的な高さ(高さの相対値)が測定される。これは、個々の周期的な縞が区別できず、縞1周期分(2π)の整数倍に相当する不確かさが存在するため、絶対位相が求まらないからである。そのため、測定対象物Sの一の部分の高さとその部分に隣接する部分の高さが連続的に変化しているという仮定に基づいて、測定された高さのデータに公知のアンラッピング処理が行われてもよい。
このマルチスリット法によれば、16画素周期、3画素幅のスリット光、移動ピッチ1画素の場合、撮影枚数は16枚となる。画素毎に最大輝度となる撮影タイミング(何枚目の画像か)を補間計算で求める際に、常に輝度の高いデータを利用するため、精度を安定的に高め易い。
(5)測定光の第4の照射パターン(図11:空間コード法):
図11は、測定光の第4のパターンを説明するための図である。図11に示すように、第4のパターンとして、Y方向に平行な直線状の断面を有しかつ明部分と暗部分とがX方向に並ぶ測定光(以下、コード状測定光と呼ぶ)が投光部110から複数回(本例においては4回)出射される。コード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
実施例では、測定対象物Sの表面がX方向において複数(図11の例では16)の領域に分割される。以下、複数に分割されたX方向における測定対象物Sの領域をそれぞれ第1〜第16の領域と呼ぶ。
図11(a)は、1回目に出射されるコード状測定光を示す。1回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1〜第8の領域に照射される明部分を有する。また、1回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第9〜第16の領域に照射される暗部分を有する。これにより、1回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、1回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は夫々50%である。
図11(b)は、2回目に出射されるコード状測定光を示す。2回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第5〜第12の領域に照射される明部分を有する。また、2回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1〜第4および第13〜第16の領域に照射される暗部分を有する。これにより、2回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、2回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
図11(c)は、3回目に出射されるコード状測定光を示す。3回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1、第2、第7〜第10、第15および第16の領域に照射される明部分を有する。また、3回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第3〜第6および第11〜第14の領域に照射される暗部分を有する。これにより、3回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、3回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
図11(d)は、4回目に出射されるコード状測定光を示す。4回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第1、第4、第5、第8、第9、第12、第13および第16の領域に照射される明部分を有する。また、4回目に出射されるコード状測定光は、測定対象物Sの第2、第3、第6、第7、第10、第11、第14および第15の領域に照射される暗部分を有する。これにより、4回目に出射されるコード状測定光においては、明部分と暗部分とがY方向に平行でかつX方向に並ぶ。また、4回目に出射されるコード状測定光の明部分および暗部分の割合は、それぞれ50%である。
コード状測定光の明部分に論理“1”が割り当てられ、コード状測定光の暗部分が論理“0”が割り当てられる。また、測定対象物Sの各領域に照射される1回目〜4回目のコード状測定光の論理の並びを符号と呼ぶ。この場合、測定対象物Sの第1の領域には、符号“1011”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第1の領域は、符号“1011”に符号化される。
測定対象物Sの第2の領域には、符号“1010”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第2の領域は、符号“1010”に符号化される。測定対象物Sの第3の領域には、符号“1000”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第3の領域は、符号“1000”に符号化される。同様に、測定対象物Sの第16の領域には、符号“0011”のコード状測定光が照射される。これにより、測定対象物Sの第16の領域は、符号“0011”に符号化される。
このように、測定対象物Sの隣り合う領域の間では、符号のいずれかの桁が“1”のみ異なるようにコード状測定光が測定対象物Sに複数回照射される。すなわち、コード状測定光は、明部分および暗部分がグレイコード状に変化するように、複数回測定対象物Sに照射される。
測定対象物Sの表面の各領域で反射された光が受光部120により受光される。受光された光によってコード状測定光画像が生成され(この例では4枚の画像)、これらの画像から各領域の符号を測定する。この符号と、領域毎に、測定対象物Sが存在しない場合の符号との差分を求めることで、図6の「d」に相当する距離が求まる。この際、画像内のX軸方向には前述の符号は1回のみ出現するというコード化法の特徴から、「d」の絶対的な値が求まる。ここから、測定対象物Sのその領域の絶対的な高さ(高さの絶対値)が算出される。測定対象物Sの表面上の全ての領域の高さを算出することにより、測定対象物Sの三次元的な形状を測定することができる。
上記の説明においては、測定対象物Sの表面がX方向において16の領域に分割され、コード状測定光が投光部110から4回出射されたが、これに限定されない。測定対象物Sの表面がX方向において2Nの領域(Nは自然数)に分割され、コード状測定光が投光部110からN回出射されてもよい。上記の説明においては、理解を容易にするためにNは4に設定されている。本実施の形態における形状測定処理においては、Nは例えば8に設定される。したがって、測定対象物Sの表面はX方向において256の領域に分割される。
コード状測定光を用いた測定対象物Sの形状測定においては、縞をコードとして分離できる最小距離、すなわち受光1画素分に相当する距離が最小の分解能となる。したがって、受光部120のX方向における視野の画素数が1024画素である場合、高さが例えば10mmの測定対象物Sを10mm÷1024≒10μmの分解能で計測することができる。実施例では、このコード状測定光を用いた形状測定(絶対値が求まるが分解能が不足する)と上述したマルチスリット法とを組み合わせたアルゴリズムを使って三次元形状データが生成される。変形例として、上述したコード法と正弦波位相シフト法とを組み合わせたアルゴリズムを使って三次元形状データを生成するようにしてもよい。相対値しか求まらないが分解能が高いマルチスリット法又は正弦波位相シフト法とコード法との組み合わせによって、測定対象物Sの距離dの絶対値をより高い分解能で算出することができる。
特に、図9の縞状測定光を用いた測定対象物Sの形状測定においては、分解能を1/100画素にすることができる。なお、1/100画素の分解能は、受光部120のX方向における視野の画素数が1024画素である場合、測定対象物Sの表面をX方向において約100000の領域に分割すること(すなわちN≒17)に相当する。
このコード状測定光を用いた形状測定法によれば絶対位相を求めることができるという利点があるが、分解能は比較的低い。したがって、絶対位相を知ることのできる空間コード法と、相対位相しか求めることのできない正弦波位相シフト法やマルチスリット法とを組み合わせることで、高分解能で且つ絶対値を得ることのできる計測法となる。つまり、このコード状測定光を用いた形状測定と縞状測定光を用いた形状測定とを組み合わせることにより、測定対象物Sの高さの絶対値をさらに高い分解能で算出することができる。
上述したライン状の測定光を測定対象物上で走査する方法(第1照射パターン:図7)は一般に光切断法と呼ばれる。一方、正弦波状の測定光を照射する方法(第2照射パターン:図8)、縞状の測定光を照射する方法(第3照射パターン:図9)、あるいはコード状の測定光を照射する方法(第4照射パターン:図11)は、パターン投影法に分類される。また、パターン投影法の中でも、正弦波状の測定光を照射する方法と縞状の測定光を照射する方法は位相シフト法に分類され、コード状の測定光を照射する方法は空間コード法に分類される。
正弦波位相シフト法(第2、第3の照射パターン:図8、図9)は、周期的な投影パターンである正弦波や複数のスリット光を照射した際に、測定対象物Sが存在しない場合の基準高さ位置から反射した受光量に基づいて計算された位相と、測定対象物が存在する場合の測定対象物Sの表面から反射した受光量に基づいて計算された位相の位相差から測定対象物Sの高さを求める。位相シフト法は、個々の周期的な縞が区別できず、縞1周期分(2π)の整数倍に相当する不確かさが存在するため、絶対位相が求まらないという欠点があるが、光切断法に比べ取得する画像の枚数が少ないため計測時間が比較的短く、また、計測分解能が高いという長所がある。一方、空間コード法(第4照射パターン:図11)は、対象物の領域毎に、対象物Sが存在することによって変化した符号が得られ、この符号と対象物Sが存在しない場合の符号との差分を領域毎に求めることで対象物の絶対的な高さを求めることができる。空間コード法も比較的少ない画像枚数で計測が可能であり、絶対的な高さを求めることができるという長所があるが、正弦波位相シフト法に比べると計測分解能に限界がある。
これらの投影法は、各々短所、長所を有しているが、いずれも三角測量の原理を用いている点は共通である。実施例では、上述したように第3の照射パターン(図9:マルチスリット法)と空間コード法(図11)とを組み合わせたアルゴリズムが採用されているが、マルチスリット法に代えて正弦波位相シフト法を採用して、この正弦波位相シフト法と空間コード法とを組み合わせたアルゴリズムを採用してもよい。
第1実施例の光学顕微鏡500は、真下に光を照射するリング状のRGB照明光出力部130と、斜めに光を照射する投光部110とを使い分けて撮像する。対象物Sを観察するだけのときには、RGB照明光出力部130と投光部110の照明を適宜選択する又は一緒に使って最適な照明状態で対象物Sを観察することができる。3Dテクスチャ画像を生成するときには、リング状のRGB照明光出力部130を使って撮影したカラー画像(二次元テクスチャ画像)を取得し、また、投光部110を使って計測した三次元立体データを取得する。そして二次元テクスチャ画像を三次元立体データにマッピングして生成した3Dテクスチャ画像を表示部400に表示する。表示部400に表示された3Dテクスチャ画像は、測定対象物Sを目視したときの立体輪郭を忠実に再現するものであり、このリアルな3Dテクスチャ画像データをPC200に組み込んだ任意のプログラムを使って任意の方向から観察したり、計測や解析を行うことができる。
換言すると、従来の光学顕微鏡では、測定対象物の綺麗な画像をモニタ表示できるものは二次元(2D)画像であるため立体感やリアル感に乏しい。これに対して、実施例の光学顕微鏡500によれば、綺麗な三次元(3D)テクスチャ画像をモニタ表示するため、これを観察する使用者にリアルな感覚を提供することができる。したがって、実施例の光学顕微鏡500は、そのリアルな3Dテクスチャ画像が瞬時に表示されるのを見た使用者に対して、リアルな3Dテクスチャ画像のモニタ表示が瞬時に行われることに対する驚きを与え且つPC200の表示部400内に対象物Sがそのまま取り込まれたかのような驚きを与えることができる。
実施例では、投光部110及び受光部120にテレセントリック光学系を採用することで対象物Sの光学像を極めて低い歪みで結像させ、また、撮像素子121aにモノクロの撮像素子を採用することで、高感度、高S/N比の高画質画像を取得することができる。そして、この画像から高精度な三次元形状データを生成できる。同様に、照明光出力部130による照明画像(2Dテクスチャ画像)も共通の受光部120を経て高画質に取得することができる。そして、三次元形状データと2D(二次元テクスチャ画像)とを組み合わせることで高画質の3D(三次元)テクスチャ画像を生成できる。この高画質の3Dテクスチャ画像が前述したリアリティを備えていることは言うまでもない。
図12は、投光部110に両側テレセントリックレンズ114、115を採用した場合の作用効果を説明するための図である。ステージ140には、投光部110からの光の束が図12の下方に図示するように矩形の投影像を生成し、2次元アレイ(パターン生成部112)の画素の水平ラインと受光画素の水平ラインとの平行性が維持される。したがって、受光画素で投影パターンを見たときに、この画面上での最小パターン幅の一定性を維持することができる。これによりステージ140上の投影パターンと観察画像との対応付けが容易となる。
これに対して投光部110にテレセントリックレンズではない光学レンズを配置した場合には、投光部110がステージ140に対して斜めに配置されていることに伴って台形の投影像となり、2次元アレイ(パターン生成部112)の画素の水平ラインを投影したステージ140上のラインと、観察画像上の水平ラインつまり受光画素の水平ラインは平行でなくなる。そして、投光部110に近い側では相対的に倍率が低くなり、投光部110から遠い側では相対的に倍率が高くなる、という台形歪みが発生し、これにより投光部110から照射する光の方向に沿って倍率が変化してしまう結果、観察画像上のパターン幅の一定性を維持できない。
また、ステージ140の投影パターンの面積は観察倍率が低倍率のときの観察領域よりも大きい。つまり投影パターンは低倍率のときの観察領域に対してマージンを有する。これにより低倍率のときにいずれの倍率においてもステージ140上に設置された、測定深度に対応した高さの被測定物上においての投影パターンを必ず取得することができる。
図16を参照して、一定の投光倍率で受光倍率を拡大していく場合、推定位相ピークが近い隣接画素の数が多くなり、その結果、画像順番ごとの輝度変化が小さくなる。その結果、比較的近い位相ピークが推定されてしまう可能性が大きくなる。このことは高さ結果に縦筋の系統誤差が発生し易くなることを意味する。これを回避するために、画像処理において、受光倍率によって画素うねり除去フィルタ(水平ガウシアンフィルタ)のパラメータを受光倍率に応じて変更する処理を加えるのがよい。すなわち、受光倍率によって最小パターンに含まれる受光画素の数が変化するため、うねり幅が結果的に変化する。これを除去するためにフィルタの水平方向のかかり方つまりガウシアンの幅と標準偏差を受光倍率が高くなるに従って大きく変更するのがよい。
光学顕微鏡500は、投光部110を定倍率のレンズで構成したことから、受光倍率の変動に応じて投光倍率を変動させる機構や制御が不要であり、従来から知られている光学顕微鏡の特徴である観察倍率の自在性をそのまま維持したなかで対象物の三次元計測が可能となる。
また、受光(観察)側の解像度に対して観察画像上の投影パターンの幅が太いため、実現可能な被写界深度が深くなる。受光側よりも投光側の深度が深いことによって、系全体で規定される測定深度において受光深度(観察深度)で計測深度が決定されることになり深度の最大化を図ることができる。
観察倍率(受光倍率)が変化しても、観察画像上での最小パターン幅に含まれる受光画素の数が変化するだけであり、観察倍率に応じて計測方法を変更する必要がない。
図2を参照して、光学顕微鏡500は、パターン生成部112に微小変位駆動機構117が設けられ、また、受光部120には倍率を検知する倍率センサ119が設けられており、この倍率センサ119によって受光部120の受光倍率が検出される。
微小変位駆動機構117は、パターン生成部112の例えばDMDの一画素(マイクロミラー1つ)よりも小さいピッチでパターン生成部112をシフトさせる。この微小変位駆動機構117は、投光倍率、受光(観察)倍率、およびパターン生成部画素サイズ、受光画素サイズの関係から、たとえば受光画素がパターン生成部画素に2つ含まれる関係の場合、送りは画素の1/2が設定される。この場合、送りは1回となり、各微小送り位置において16枚の撮影を実施して合計32枚の画像で演算することになる。
図12は、微小変位制御に関する制御の一例を示すフローチャートである。この図12のフローチャートを参照して、ステップS1において倍率センサ119が検知した受光部120の倍率が所定倍率を超えた倍率であるときにはステップS2に進んで、検知した受光倍率に対応した微小送り量が設定される。この微小送り量は、所定倍率を超えた受光倍率のときに一律に同じ微小送り量であってもよいし、受光倍率が高くなるほどつまり高倍率になるほど微小送り量(シフト量)を段階的に又はリニアに小さな値に設定するようにしてもよい。
次のステップS3では、例えば16回撮影するときには、各撮影毎に上記微小送り量に基づいて投影パターンをシフトさせた後に撮影が16回、行われる。
対象物Sの三次元計測を行う場合に、高倍率の受光では最小パターン幅が大きくなる。これに対して、高倍率の受光の際に微小変位駆動機構117を動作させることで投影パターンをシフトさせて複数回の受光画像(観察画像)を取得することで、観察倍率(受光倍率)が高倍率のときの高さの測定に関する分解能及び精度を、低倍率での受光のときよりも高いレベルにすることができる。すなわち、観察倍率(受光倍率)が高いときに低倍率以上の分解能、精度を実現することができる。換言すると、観察倍率(受光倍率)が高い倍率であれば原理的に高い分解能と精度を達成できることになるが、現実的には、画素うねりやパターン幅が太くなることによって分解能や精度が損なわれる。これを改善するのが微小変位駆動機構117であり、この微小変位によって受光倍率を高めたときに、これにより本来的に達成できる高い分解能及び高い精度を実現できる。
次に本発明の他の実施例を説明するが、上記の第1実施例と同じ要素には同じ参照符号を付すことにより、その説明を省略し、以下に特徴部分を中心に説明する。
第2実施例(図13〜図16):
図13を参照して、第2実施例の光学顕微鏡520は、次の2つの点で第1実施例の光学顕微鏡500と異なっている。第1に、投光部110に関して、測定光源111から出射された光がパターン生成部(二次元アレイ)112で反射することで二次元パターンが生成される。二次元パターンを生成するのに反射を使うことで顕微鏡520の幅寸法を小さくできるという利点があり、このことは三次元測定が可能な光学顕微鏡520の小型化を可能とする。
第2に、受光部120は、相対的に低倍率の第1の受光部120Aと、相対的に高倍率の第2の受光部120Bとで構成され、これら第1、第2の受光部120A、120Bは共に好ましくはテレセントリックレンズで構成される。
低倍率の第1の受光部120Aの受光素子121aは観察光軸125と直交して配置されている。高倍率の第2の受光部120Bの受光素子121aは、観察光軸125上に配置された分岐ミラー127によって観察光軸125から分岐して横方向に延びる分岐観察軸128と直交して配置されている。観察光軸125上に分岐ミラー127を複数配置することにより複数の分岐観察軸128を作ることにより倍率の異なる3以上の受光部120を作ってもよい。
図14は、投光部110に両側テレセントリックレンズ114、115を採用した場合の作用効果を説明するための図である。ステージ140には、投光部110からの光の束が図14の下方に図示するように矩形の投影像を生成し、2次元アレイ(パターン生成部112)の画素の水平ラインと受光画素の水平ラインとの平行性が維持される。したがって、受光画素で投影パターンを見たときに、この画面上での最小パターン幅の一定性を維持することができる。これによりステージ140上の投影パターンと観察画像との対応付けが容易となる。
これに対して投光部110にテレセントリックレンズではない光学レンズを配置した場合には、投光部110がステージ140に対して斜めに配置されていることに伴って台形の投影像となり、2次元アレイ(パターン生成部112)の画素の水平ラインと、これを映し出す投影像のライン(つまり受光画素の水平ライン)とが平行で無くなる。したがって、受光画素で投影パターンを見たときに、この画面上での最小パターン幅の一定性を維持できない。
また、ステージ140の投影パターンの面積は観察倍率が低倍率のときの観察領域よりも大きい。つまり投影パターンは低倍率のときの観察領域に対してマージンを有する。これにより低倍率のときにステージ140上の投影パターンを必ず取得することができる。
複数の倍率の異なる受光部120をテレセントリックレンズで構成した、この第2実施例では、各倍率の受光部120において高いテレセントリック性を実現することができるため、各倍率での高さ測定において高い精度を確保することができる。
また、高倍率の第2の受光部120Bの受光素子121aとして高解像度(高密度)の受光素子を採用することで、低倍率の第1の受光部120Aと高倍率の第2の受光部120Bとの組み合わせによって広い倍率レンジを提供できる。
この点について図15を参照して具体例で説明すると、観察画像の解像度を例えば水平1000画素の場合に受光素子121として例えば水平2000画素の素子を採用すれば、図15の一番上に図示するように受光素子121aの画像を間引き処理することで0.5倍の観察画像を得ることができる。図15の上から2番目に図示するように受光素子121aの中央の1000画素分の画像を切り出して観察画像を生成することで1倍の観察画像を得ることができる。図15の一番下に図示するように受光素子121aの中央の667画素分の画像を切り出し、ピクセル補間して観察画像を生成することで1.5倍の観察画像を得ることができる。そして、第1の受光部120Aの観察倍率を0.5倍から1.5倍に3倍拡大し、光学倍率が2倍の第2の受光部120Bの観察倍率を0.5倍から1.5倍に3倍拡大することで、第1、第2の受光部120A、120Bを使い分けることで9倍の倍率の実現ができる。
第2実施例の光学顕微鏡520は、第1、第2の受光部120A、120Bを使い分けることにより上述したようにトータルとして0.5倍から4.5倍まで9倍拡大できる観察倍率のレンジを備えることができる。そして、この広いレンジの観察倍率を備えた光学顕微鏡520は、前述したように定倍率の投光部110を備えているため観察倍率を変更したとしても、観察画像での最小パターン幅に含まれる受光画素の数が変化するだけであり、観察倍率の大小に左右されない統一した計測方式で高さ測定を行うことができる。
なお、間引き処理を行う場合に、図15の左上の受光素子上の画像(2000pix)に基づいて高さ測定を行ってもよいし、その右隣に図示した観察画像つまり間引き処理した後の画像に基づいて高さ測定を行ってもよい。
ステージ140上の領域及びパターン投影領域は、上述したように受光部120で取得する受光(観察)領域(観察視野)よりも大きくしてマージンを設定するのが好ましい。図16は、低倍率の第1受光部120Aでの観察領域(観察視野)を示し、また、その下に、高倍率の第2受光部120Bでの観察領域(観察視野)を示す。高倍率の第2受光部120Bでの観察視野は、低倍率の第1受光部120Aでの観察視野よりも小さい。換言すると、観察倍率が上がるに従って観察画像上での最小パターン幅が太くなる。
パターンを生成するパターン生成部(二次元アレイ)112の最小パターン幅を例えば複数の画素で担っている場合に、観察倍率が高くなるに従って観察画像上での最小パターン幅を担う画素の数を少なくする制御を加えることで、観察倍率のレンジが広い場合でも、最小パターン幅に含まれる受光画素の数を一定値以下に抑えることができる。この制御に関して上述した微小変位駆動機構117を使用するのが効果的である。
図17は、微小変位駆動機構117を組み込んだパターン生成部112の具体的な構成例を示す図である。パターン生成部112の二次元アレイ118を担持した支持基板572と制御基板573とがフレキシブルケーブル514で接続され、そして、制御基板573と支持基板572との間に微小変位駆動機構117とヒートシンク574とが配置されている。制御基板573は光学顕微鏡570のフレームに固定される。
第3実施例(図18):
図18に図示の第3実施例の光学顕微鏡530は、図2を参照して説明した第1実施例の光学顕微鏡500の変形例でもある。図18の(I)は第3実施例の光学顕微鏡530の正面図であり、(II)は側面図である。
第3実施例の光学顕微鏡530では、左右の投光部110A、110Bに関して、測定光源111から出射された光がパターン生成部(二次元アレイ)112で反射することで二次元パターンが生成される。また、受光部120は、相対的に低倍率の第1の受光部120Aと、相対的に高倍率の第2の受光部120Bとで構成され、これら第1、第2の受光部120A、120Bは共に好ましくはテレセントリックレンズで構成される。そして、低倍率の第1の受光部120Aの受光素子121aは観察光軸125と直交して配置されている。他方、高倍率の第2の受光部120Bの受光素子121aは、観察光軸125上に配置された分岐ミラー127によって観察光軸125から分岐して横方向に延びる分岐観察軸128と直交して配置されている。
第4実施例(図19):
第4実施例の光学顕微鏡540は、その受光部120に含まれる受光光学系の対物レンズが交換式とされ、この実施例ではレボルバー式の対物レンズを採用することにより多段階の観察倍率で観察することができる。勿論、複数の対物レンズを脱着して交換することにより多段階の観察倍率での観察を実現するようにしてもよい。そして、交換した対物レンズの倍率を検知して、所定の倍率よりも高い倍率のときには上述した微小変位制御(図12)が実行される。
第5実施例(図20):
第5実施例の光学顕微鏡550の概要を図20に示す。この図20を参照してパターン生成部112の二次元アレイ118と測定光源111とがユニット化され、このユニット552に対して微小変位駆動機構117が組み付けられている。微小変位駆動機構117が動作することによりユニット552が変位することで、ステージ140上の投影パターンを二次元アレイの画素数よりも細かいピッチで変化させることができる。図中、×を円で囲んだ符号及び黒丸を円で囲んだ符号は紙面垂直方向の微小変位方向を示す。
第6実施例(図21):
図21に図示の第6実施例の光学顕微鏡560は、上述した第5実施例の変形例でもある。第6実施例の光学顕微鏡560は、パターン生成部112の二次元アレイ118と、測定光源111と、投光レンズ114、115などの導光光学系とがユニット化され、このユニット562に対して微小変位駆動機構117が組み付けられている。微小変位駆動機構117が動作することによりユニット562が変位することで、ステージ140上の投影パターンを二次元アレイの画素数よりも細かいピッチで変化させることができる。
第7実施例(図22):
図22に図示の第7実施例の光学顕微鏡570は、投光レンズ114、115などの導光光学系を構成するレンズを微小移動させる微小変位駆動機構572を有し、このレンズを微小の往復動作又は微小のチルト動作をさせることにより、ステージ140上の投影パターンを二次元アレイの画素数よりも細かいピッチで変化させるようになっている。
第8実施例(図23):
図23に図示の第8実施例の光学顕微鏡580は、投光レンズ114、115などの導光光学系の出力側に光を透過するプレート582と、この光透過プレート582を微小変位させる微小変位駆動機構584を配置し、この光透過プレート582を微小往復動作又は微小のチルト動作をさせることにより、ステージ140上の投影パターンを二次元アレイの画素数よりも細かいピッチで変化させるようになっている。この図23の光透過プレート582に代えて、光を折り曲げるミラーを配置し、この折り曲げミラーを微小往復動作又は微小チルトによる変位動作させてもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、受光倍率(観察倍率)の高い低いに関係なく微小変位駆動機構117などを動作させると、画像取得時間つまり測定時間が2倍、3倍・・と増大することから、実用上問題が発生しない範囲で受光倍率(観察倍率)の高い低いに応じて微小変位駆動機構のON/OFFを切り替えることで測定時間を短縮させるようにしてもよい。
また、微小変位駆動機構117などによる微小送り量は所定値であってもよい。この場合、受光倍率が高くなるに従って前記微小変位駆動機構による微小変位の回数を増加するのがよい。
また、受光倍率の高い低いに対応して微小送り量を可変にしてもよい。例えば受光倍率が高くなるに従って小さな値となる微小送り量を設定すればよい。そして、この微小送り量は、受光倍率が高くなるに従って段階的に小さな値の微小送り量を設定してもよいし、受光倍率が高くなるに従ってリニアに小さな値となる微小送り量を設定してもよい。また、微小送り量を可変にすると共に移動回数も増減させるのがよい。すなわち、微小送り量を小さな値に設定したときには移動回数も増加させるのがよい。具体的に説明すると、パターン生成部の1画素寸法の1/2ピッチの場合、送りは1回で画像取得が2セット(送りなし、1/2送り)に設定すればよい。観察倍率(受光倍率)が増加して微小送り量のピッチが画素寸法の1/3ピッチとなった場合は、送りは2回で画像取得が3セット(送りなし、1/3送り、2/3送り)に設定すればよい。