以下においては、本発明に係わる人体装着型電子機器を人体の腕に装着する腕装着型の電子機器に適用した場合について説明し、この腕装着型の電子機器が腕時計タイプの電子機器である場合について説明するが、本発明はこの腕時計タイプの電子機器に限るものではなく、例えば脈拍計、血圧計、歩数計などの種々の電子機器にも同様に適用することができる。
(第1実施形態)
以下、図1〜図10を参照して、この発明を腕装着型の電子機器に適用した第1実施形態について説明する。
この腕装着型の電子機器は、腕時計タイプの電子機器であって、図1および図2に示すように、機器本体1と、この機器本体1を腕Rに装着するための一対のバンド部材2と、機器本体1を腕Rに装着したときに機器本体1の、腕Rの機器本体1が装着される面(以下、装着面とも記す)に対向する側となる、機器本体1の裏面を開閉可能に覆うカバー部材3とを備えている。
機器本体1は、図1および図2に示すように、本体ケース(筐体)4を備えている。この本体ケース4は、例えば長方形のほぼ箱状に形成されており、この本体ケース4の内部には、機器モジュール(図示せず)が設けられている。この機器モジュールは、入力表示部などの情報処理に必要な各種の電子部品を備えている。ここで、腕Rはこの腕装着型の電子機器を装着した人体の腕の断面形状の概略を示している。
また、この本体ケース4の外面における機器本体1を腕Rに装着したときに腕Rに対向する面を裏面として、この裏面における腕Rの延在方向に直交する方向に沿った両端側には、図2〜図7に示すように、一対のバンド取付部5が設けられている。この各バンド取付部5は、図8に示すように、本体ケース4の裏面側に向けて突出する一対の突起部5aを有している。これら一対の突起部5aは、本体ケース4の裏面における端部に所定間隔離れて設けられている。これら一対の突起部5aには、ピン挿入孔5bが同一軸上に設けられている。
また、この本体ケース4の裏面には、図2〜図7に示すように、腕Rに対面する裏蓋6が設けられている。この裏蓋6には、例えば、図5および図6に示すように、コネクタ7を裏蓋6の裏面側に露呈させる開口部6aが設けられている。このコネクタ7は、本体ケース4内の機器モジュールと電気的に接続されている。
また、このコネクタ7は、図4に示すように、クレードル8の上面に設けられた接続部9に着脱可能に接続されるように構成されている。これにより、機器本体1とクレードル8とは、コネクタ7と接続部9とが電気的に接続された際に、例えば、その両者の間でデータの授受が行われたり、機器本体1の充電などが行われたり、するように構成されている。
一方、一対のバンド部材2は、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂からなり、図2〜図7に示すように、本体ケース4の裏面に設けられた一対のバンド取付部5に、各連結ピン10によって上下方向に回転可能に取り付けられている。すなわち、この一対のバンド部材2のバンド取付部側の各端部には、図8に示すように、一対のバンド突起部2aが設けられている。
これら一対のバンド突起部2aは、図8に示すように、バンド取付部5の一対の突起部5aの外部両側に配置されるように、バンド部材2の端部に突出して形成されている。また、これら一対のバンド突起部2aのそれぞれには、ピン挿入孔2bが、一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bに対応して設けられている。
これにより、バンド部材2は、図7および図8に示すように、一対のバンド突起部2aがバンド取付部5の一対の突起部5aの外部両側に配置された際に、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bが、バンド取付部5の一対の突起部5aに設けられた各ピン挿入孔5bに対応するように構成されている。
また、この各バンド部材2は、図7および図8に示すように、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bがバンド取付部5の一対の突起部5aに設けられた各ピン挿入孔5bに対応した状態で、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bおよびバンド取付部5の各ピン挿入孔5bに、連結ピン10が連続して挿入される。これにより、各バンド部材2は、本体ケース4のバンド取付部5に上下方向に回転可能に取り付けられるように構成されている。
カバー部材3は、図2〜図7、図9に示すように、裏蓋6の外面のほぼ全体を覆う大きさを有し、ほぼ平板状に形成されている。このカバー部材3には、裏蓋6に対向する側の面に断熱部11が設けられている。このカバー部材3は、ウレタン樹脂またはシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成されている。なお、バンド部材2がウレタン樹脂で形成されている場合には、カバー部材3も、同じウレタン樹脂で形成されていることが望ましい。
この場合、カバー部材3は、図2〜図7、図9に示すように、裏蓋6の外面のカバー部材3で覆われる面は平坦であり、本体ケース4の両側に位置する一対のバンド取付部5に対応する側の両端部の厚みが厚く、裏蓋6の中間部に対応する個所に向けて、腕Rの延在方向に直交する方向に沿って徐々に厚みが薄く、なり、裏蓋6の外面に対向する側の面の断熱部11を除く部分が平坦で、腕Rの装着面に対向する側の面が湾曲した形状をなすように形成されている。ここで、カバー部材3は、腕Rと本体ケース4との間に配置されて裏蓋6の外面を覆うように配置された際に、腕Rの装着面に対向する側の面(以下、対向面とも記す)が腕Rの装着面の曲面形状に概ね沿った湾曲形状をなすように形成されている。
また、このカバー部材3の断熱部11は、図7および図9に示すように、カバー部材3の裏蓋6の外面に対向する側の面に設けられた複数の凹部状の断熱空間部である。この断熱空間部内には空気層が存在し、この空気層が熱の伝達を抑制する断熱効果をもたらす。すなわち、ウレタン樹脂の熱伝導率は0.12〜0.18W/m・kであり、シリコーン樹脂の熱伝導率は0.15〜0.17W/m・kであるのに対し、空気の熱伝導率は0.024W/m・kであり、空気の熱伝導率はウレタン樹脂やシリコーン樹脂の熱伝導率のおよそ1/10である。このため、空気層が存在することで、空気層が存在しないときに比べて、熱の伝達を大きく抑制することができる。これら複数の凹部状の断熱空間部の深さは、カバー部材3の厚みに対応しており、本体ケース4の両側に位置する一対のバンド取付部5側が深く、裏蓋6の中間部に対応する個所に向うに従って次第に浅くなるように形成されている。
さらに、カバー部材3の複数の凹部状の各断熱空間部の両側部には、図9に示すように、断熱空間部内の空気を外部と流通させて、断熱空間部内の熱を外部に放熱するための放熱路11aがそれぞれ設けられている。これら放熱路11aは、必ずしも断熱空間部の両側部に設けられている必要はなく、片側のみに設けられた構成であっても良い。
また、このカバー部材3は、図2〜図9に示すように、その一端部が機器本体1の一方のバンド取付部5に、バンド部材2と共に連結ピン10によって上下方向に回転可能に取り付けられている。このカバー部材3は、バンド取付部5側の一端部に一対のカバー突起部3aが設けられている。
これら一対のカバー突起部3aは、図8および図9に示すように、バンド部材2の一対のバンド突起部2aの外部両側に配置されるように構成されている。また、これら一対のカバー突起部3aには、各ピン挿入孔3bが一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bにそれぞれ対応して設けられている。
これにより、カバー部材3は、図8に示すように、一対のカバー突起部3aがバンド部材2における一対のバンド突起部2aの外部両側に配置されて、一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3bが、バンド部材2における一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2b、およびバンド取付部5における一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bと同一軸となるように構成されている。
また、このカバー部材3は、図8に示すように、一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3bが、バンド部材2における一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bと同一軸とされた状態で、カバー突起部3aの各ピン挿入孔3b、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2b、およびバンド取付部5の各ピン挿入孔5bに、連結ピン10が挿入される。これにより、カバー部材3は、バンド部材2と共に本体ケース4のバンド取付部5に上下方向に回転可能に取り付けられるように構成されている。
この場合、バンド取付部5に位置するカバー部材3の端部は、図7、図8および図10に示すように、押え板12によって押えられている。この押え板12は、例えば、金属板からなり、カバー部材3の端部を覆って配置された状態で、その両端部がそれぞれ一対のカバー突起部3aを跨ぐように折り曲げられ、この折り曲げられた一対の折曲部12aが、一対のカバー突起部3aを跨いで、その各外面に対応して配置されるように構成されている。
また、この押え板12は、図8および図10に示すように、一対の折曲部12aに取付孔12bがそれぞれ設けられ、この各取付孔12bがカバー突起部3aのピン挿入孔3bに対応した状態で、カバー突起部3aのピン挿入孔3bに挿入された連結ピン10の先端部が各取付孔12bに挿入される。これにより、この押え板12は、バンド取付部5に取り付けられて、バンド部材2の一対のバンド突起部2aおよびカバー部材3の一対のカバー突起部3aを押えるように構成されている。
連結ピン10は、図8に示すように、例えばばね棒であり、パイプ部10a内の両端部に一対のピン部10bがそれぞれ出没可能に配置され、この状態でパイプ部10a内に設けられたコイルばね(図示せず)のばね力によって一対のピン部10bが押し出されるように構成されている。これにより、連結ピン10は、パイプ部10aがバンド取付部5のピン挿入孔5b、バンド部材2のピン挿入孔2b、およびカバー部材3のピン挿入孔3b内に挿入するように構成されている。
また、この連結ピン10は、図8に示すように、パイプ部10aがバンド取付部5のピン挿入孔5b、バンド部材2のピン挿入孔2b、およびカバー部材3のピン挿入孔3b内に挿入された状態で、パイプ部10aの両端に位置する一対のピン部10bをコイルばねのばね力に抗してパイプ部10a内に押し込んで、押え板12の取付孔12bに対応させることにより、一対のピン部10bがコイルばねのばね力によって押し出されて押え板12の取付孔12bに挿入するように構成されている。
カバー部材3は、図2〜図7に示すように、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置された際に、位置規制部13によってその配置位置に位置規制されるように構成されている。この位置規制部13は、カバー部材3の連結ピン10によってバンド取付部5に取り付けられた端部に対して反対側に位置する、カバー部材3の先端部に設けられた係合突起部13aと、バンド部材2の端部の、このカバー部材3の先端部に対応する位置に設けられた係止凹部13bとを備えている。この係合突起部13aと係止凹部13bとは、カバー部材3が裏蓋6を覆うように配置された際に互いに係合するように構成されている。
この場合、カバー部材3の係合突起部13aとバンド部材2の係止凹部13bとは、図6、図7および図9に示すように、カバー部材3およびバンド部材2がウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂でそれぞれ形成されていることにより、その両方が互いに係合する際にそれぞれ弾性変形して弾力的に係合するように構成されている。
これにより、位置規制部13は、図3および図7に示すように、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置されて裏蓋6を覆った際に、カバー部材3の先端部に設けられた係合突起部13aが、これに対応するバンド部材2の端部に設けられた係止凹部13bに弾力的に係合することにより、カバー部材3を、裏蓋6の外面を覆った位置に位置規制して、カバー部材3が不用意に回転して開くことを防ぐことができる。
また、例えばコネクタ7とクレードル8の接続部9とを接続する際に、カバー部材3およびバンド部材2の両方又は一方を弾性変形させて係合突起部13aを係止凹部13bから弾力的に離脱させ、両者の係合を解除させて、カバー部材3を下方向に回転させて開いて、裏蓋6の外面を露出させることが容易にできるように構成されている。
次に、このような腕装着型の電子機器の作用について説明する。
まず、この電子機器の機器本体1に一方のバンド部材2およびカバー部材3を取り付ける。この場合には、機器本体1の本体ケース4における一方の端部(図2では左端部)に位置するバンド取付部5における一対の突起部5aの外部両側にバンド部材2のバンド突起部2aを配置すると共に、このバンド部材2における一対のバンド突起部2aの外部両側にカバー部材3の一対のカバー突起部3aを配置する。
このときには、バンド取付部5の一対の突起部5aの各ピン挿入孔5b、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2b、および一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3bを同一軸にする。この状態で、連結ピン10のパイプ部10aを、一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3b、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2b、および一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bに挿入させ、この状態で連結ピン10の両端のピン部10bを一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3bからそれぞれ突出させる。
この状態では、本体ケース4のバンド取付部5における一対の突起部5aに、バンド部材2の一対のバンド突起部2aおよびカバー部材3の一対のカバー突起部3aが、連結ピン10によって仮止めされる。そして、一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3bから突出した連結ピン10の各ピン部10bを、コイルばね(図示せず)のばね力に抗してパイプ部10a内に押し込んで、一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3b内に押し込む。
この状態で、押え板12の各折曲部12aを一対のカバー突起部3aの外部両側に配置して、各折曲部12aの各取付孔12bを一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3bに対応させる。すると、連結ピン10の両端の各ピン部10bが、コイルばねのばね力によって押し出されて、押え板12の各折曲部12aの各取付孔12bに挿入する。
この状態では、連結ピン10が、押え板12の各折曲部12aの各取付孔12bから抜け出すことなく、本体ケース4のバンド取付部5における一対の突起部5a、バンド部材2の一対のバンド突起部2a、カバー部材3の一対のカバー突起部3a、および押え板12の各折曲部12aに取り付けられる。これにより、本体ケース4に一方のバンド部材2およびカバー部材3が取り付けられる。
また、カバー部材3が取り付けられた本体ケース4のバンド取付部5と反対側に位置する本体ケース4の他方のバンド取付部5には、他方のバンド部材2のみを取り付ける。この場合には、他方のバンド取付部5における一対の突起部5aの外部両側にバンド部材2のバンド突起部2aを配置する。このときには、一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bと一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bとを同一軸にする。
この状態で、連結ピン10のパイプ部10aを、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bと、バンド取付部5の一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bとに、挿入させて、連結ピン10の両端の各ピン部10bを一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bからそれぞれ突出させる。この状態では、バンド取付部5の一対の突起部5aに、バンド部材2のバンド突起部2aが、連結ピン10によって仮止めされる。
そして、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bから突出した連結ピン10の各ピン部10bを、コイルばねのばね力に抗してパイプ部10a内に押し込んで、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2b内に押し込む。この状態で、押え板12の各折曲部12aを一対のバンド突起部2aの外部両側に配置して、各折曲部12aの各取付孔12bを一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bに対応させる。
すると、連結ピン10の両端の各ピン部10bがコイルばねのばね力によって押し出されて、押え板12の各折曲部12aの各取付孔12bに挿入する。この状態では、連結ピン10が、押え板12の各折曲部12aの各取付孔12bから抜け出すことなく、バンド取付部5の一対の突起部5a、バンド部材2のバンド突起部2a、および押え板12の各折曲部12aに取り付けられる。これにより、本体ケース4に他方のバンド部材2が取り付けられる。
次に、この腕装着型の電子機器を腕Rに取り付けて使用する場合について説明する。
この場合には、まず、図3に示すように、カバー部材3を機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置させ、この状態でカバー部材3を介して機器本体1を腕Rに配置させて、機器本体1をバンド部材2で取り付ける。すなわち、機器本体1の一方のバンド取付部5に位置する連結ピン10を中心に、カバー部材3を回転させて、カバー部材3を機器本体1の本体ケース4の裏蓋6の外面を覆うように配置させる。
このときには、カバー部材3の先端部に設けられた位置規制部13の係合突起部13aが、これに対向するバンド部材2の端部に設けられた位置規制部13の係止凹部13bに弾力的に係合する。これにより、カバー部材3が本体ケース4の裏蓋6の外面を覆った状態に保持されるように位置規制される。この状態で、機器本体1の本体ケース4をバンド部材2によって腕Rに取り付ける。このときには、カバー部材3が腕Rにフィットした状態で、本体ケース4が腕Rに取り付けられる。
すなわち、カバー部材3は、ウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂からなり、本体ケース4の両側に位置するバンド取付部5に対応する両端部の厚みが厚く、本体ケース4の中間部に対応する個所に向けて徐々に厚みが薄くなる形状に形成され、その腕Rの装着面に対向する側の対向面が腕Rの装着面の曲面形状に概ね沿った湾曲形状に形成されていることにより、カバー部材3の対向面が腕R装着面に良好に密着する。これにより、カバー部材3が腕Rと機器本体1との間の隙間に配置されて、カバー部材3が腕Rに良好にフィットした状態で、本体ケース4が腕Rに取り付けられる。
この状態で、機器本体1を操作して情報処理等を行った際には、本体ケース4内に組み込まれた機器モジュールの電子部品が発熱する。これに対し、カバー部材3が断熱部11を有している。このため、本体ケース4内で発生した電子部品の発熱による熱は、カバー部材3の断熱部11によって断熱されて、本体ケース4から腕Rの装着面への熱の伝達が抑制される。これにより、腕Rに伝わる熱は断熱部11がない場合に比べて大きく減少し、腕Rの装着面の温度上昇は断熱部11がない場合に比べて大きく減少する。このため、本体ケース4内の電子部品の発熱に起因して腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぐことができる。
また、機器本体1内の熱を放熱する場合には、機器本体1を腕Rから取り外し、図5および図6に示すように、カバー部材3を回転させて開いて、機器本体1の裏蓋6の外面を露出させれば良い。この場合には、カバー部材3の先端部に設けられた位置規制部13の係合突起部13aを、これに対向するバンド部材2の端部に設けられた位置規制部13の係止凹部13bから弾力的に離脱させて、係合突起部13aと係止凹部13bとの係合を解除させる。この状態で、カバー部材3を本体ケース4の裏蓋6の下側に回転させて開いて、裏蓋6を露出させる。これにより、機器本体1内の熱が速やかに放熱されて、機器本体1内が冷却される。
さらに、機器本体1をクレードル8に接続してデータの授受、または機器本体1の充電等を行う場合にも、機器本体1を腕Rから取り外し、図4に示すように、係合突起部13aと係止凹部13bとの係合を解除させて、カバー部材3を回転させて開いて機器本体1の裏蓋6の外面を露出させる。すると、裏蓋6に設けられた開口部6aからコネクタ7が、裏蓋6から裏面側に露呈する。この状態で、機器本体1の裏蓋6をクレードル8の上面に配置させて、コネクタ7をクレードル8の接続部9に接続する。これにより、機器本体1とクレードル8とが電気的に接続され、その両者の間でのデータの授受、または機器本体1の充電等を行うことができる。
さらに、このように裏蓋6にコネクタ7を露呈する開口部6aが設けられている構成において、本体ケース4を腕Rに取り付けているときには、カバー部材3により裏蓋6の外面が覆われているため、カバー部材3によりコネクタ7に埃や人体の汗等が侵入することを防ぐことができる。また、コネクタ7を使用したいときには、係合突起部13aと係止凹部13bとの係合を解除させてカバー部材3を開くことで、簡単にコネクタ7を露呈させることができる。これにより、コネクタ7を外部環境から良好に保護することができるとともに、カバー部材3を備えていても、それによってコネクタ7を使用する際の使い勝手を低下させないようにすることができる。
このように、この腕装着型の電子機器によれば、人体である腕Rに対して着脱可能に装着される機器本体1と、この機器本体1に開閉可能に取り付けられ、機器本体1の裏蓋6の外面を開閉可能に覆う断熱部11を有するカバー部材3と、を備えていることにより、機器本体1の裏蓋6の外面をカバー部材3で開閉することができるので、機器本体1内で発生した熱に起因して腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぎ、かつ良好に機器本体1内の熱を良好に放熱させることができる。
すなわち、この腕装着型の電子機器では、機器本体1の裏蓋6の外面をカバー部材3で開閉可能に覆っているので、機器本体1と腕Rとの間にカバー部材3を介在させることができ、この状態で機器本体1を腕Rに装着すれば、断熱部11を有するカバー部材3によって、機器本体1内で発生した熱に起因して腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぐことができる。また、機器本体1を腕Rから取り外してカバー部材3を開くことができるので、機器本体1の裏蓋6の外面を露出させることができ、これにより機器本体1内の熱を速やかに放熱させることができる。
さらに、機器本体1の裏蓋6の外面にクレードル8に接続してデータの授受や機器本体1の充電等を行うためのコネクタ7が設けられている場合に、機器本体1を腕Rに取り付けているときには、カバー部材3によりコネクタ7に埃や人体の汗等が侵入することを防いで、コネクタ7を保護することができ、コネクタ7を使用するときは、カバー部材3を開くことで簡単にコネクタ7を露呈させることができて、コネクタ7を外部環境から良好に保護することができるとともに、コネクタ7を使用する際の使い勝手を低下させないようにすることができる。
この場合、機器本体1には、腕Rに機器本体1を着脱自在に装着するバンド部材2が軸部材である連結ピン10によって回転可能に取り付けられているので、機器本体1を腕Rに装着する際に、連結ピン10を中心にバンド部材2を回転させながらバンド取付部材2を湾曲させることができ、これによりバンド部材2を腕Rの外周に沿って良好に装着させることができるので、このバンド部材2によって機器本体1を確実にかつ良好に取り付けることができる。
すなわち、機器本体1は、その本体ケース4の両側部に一対のバンド取付部5がそれぞれ設けられ、これら一対のバンド取付部5がそれぞれ一対の突起部5aを有しており、バンド部材2の端部には、バンド取付部5の一対の突起部5aの外部両側に配置される一対のバンド突起部2aが設けられていることにより、機器本体1のバンド取付部5における一対の突起部5aの外部両側にバンド部材2の一対のバンド突起部2aを配置させた状態で、一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bと一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bとに連結ピン10を連続させて挿入するだけで、簡単に機器本体1にバンド部材2を取り付けることができる。
また、カバー部材3は、機器本体1にバンド部材2を取り付ける連結ピン10に回転可能に取り付けられていることにより、連結ピン10を中心にカバー部材3を回転させて機器本体1の裏蓋6の外面を容易に開閉することができると共に、機器本体1にバンド部材2を回転可能に取り付けるための連結ピン10によって、カバー部材3を機器本体1に取り付けることができるので、カバー部材3を機器本体1に取り付けるための連結ピン10をバンド部材2と共用することができ、これにより部品点数の削減を図ることができる。
すなわち、カバー部材3の一端部には、機器本体1のバンド部材2における一対のバンド突起部2aの外部両側に配置される一対のカバー突起部3aが設けられていることにより、カバー部材3の一対のカバー突起部3aを、バンド部材2における一対のバンド突起部2aの外部両側に配置させた状態で、一対のカバー突起部3aの各ピン挿入孔3b、一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2b、および一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bに、連結ピン10を連続させて挿入するだけで、機器本体1にバンド部材2と共にカバー部材3を簡単にかつ容易に取り付けることができる。
また、この腕装着型の電子機器では、カバー部材3が軟質の合成樹脂によって形成されていることにより、機器本体1と腕Rとの間にカバー部材3を介在させて、機器本体1を腕Rに取り付けた際に、カバー部材3を腕Rに弾力的にフィットさせることができる。この場合、カバー部材3は、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置された際に、腕Rの装着面に対向する側の面が腕Rの曲面に概ね沿った湾曲形状に形成されていることにより、カバー部材3を腕Rの装着面に良好にフィットさせることができる。
さらに、このカバー部材3は、機器本体1の裏蓋6の外面における両端部、つまり本体ケース4の両側に位置するバンド取付部5に対応する両端部の厚みが厚く、本体ケース4の裏蓋6の外面の中間部に対応する個所に向けて徐々に厚みが薄くなる形状に形成されて、厚み方向の断面が湾曲した形状に形成されていることにより、カバー部材3を腕Rに、弾力的にかつ良好にフィットさせることができる。
この場合、このカバー部材3は、断熱部11の断熱空間部によって機器本体1内で発生した熱を断熱して、機器本体1内で発生した熱が腕Rに伝わり難いようにすることができる。すなわち、このカバー部材3の断熱部11は、カバー部材3に設けられた凹部状の断熱空間部であることにより、カバー部材3を腕Rに弾力的にフィットさせた状態で、機器本体1内で熱が発生しても、その熱が腕Rに伝わり難いようにすることができ、これにより機器本体1内で発生した熱に起因して腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぐことができる。
また、このカバー部材3の断熱部11である断熱空間部の両側には放熱路11aが設けられているので、この放熱路11aによって、断熱空間部内の熱が外部に放熱され易くすることができ、これによっても機器本体1内で発生した熱が腕Rに伝わり難いようにすることができる。
さらに、このカバー部材3の断熱部11は、カバー部材3に設けられた凹部状の断熱空間部であることにより、カバー部材3に簡単にかつ容易に断熱部11を設けることができると共に、凹部状の断熱空間部によってカバー部材3を弾性変形し易くすることができるので、これによってもカバー部材3を腕Rに弾力的にフィットさせることができる。
また、この腕装着型の電子機器では、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置されたカバー部材3をその位置に位置規制する位置規制部13を備えていることにより、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うようにカバー部材3を配置させて機器本体1の裏蓋6の外面を覆った際に、位置規制部13によってカバー部材3をその位置に位置規制することができる。これにより機器本体1を腕Rに取り付ける際に、カバー部材3が不用意に回転して垂れ下がることがないので、機器本体1を腕Rに容易にかつ良好に取り付けることができる。
すなわち、この位置規制部13は、連結ピン10によってバンド取付部5に取り付けられた端部に対して反対側に位置するカバー部材3の先端部に設けられた係合突起部13aと、カバー部材3の先端部に対応するバンド部材2の端部に設けられた係止凹部13bとを備えており、カバー部材3の先端部に設けられた係合突起部13aを、これに対応するバンド部材2の端部に設けられた係止凹部13bに係合させることができる。これによりカバー部材3を良好に容易に位置規制して、カバー部材3が不用意に回転して開くことを防ぐことができる。
この場合、カバー部材3とバンド部材2とは、ウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂でそれぞれ形成されていることにより、係合突起部13aと係止凹部13bとが係合する際にそれぞれ弾性変形して弾力的に係合させることができる。このため、カバー部材3の先端部に設けられた係合突起部13aを、これに対応するバンド部材2の端部に設けられた係止凹部13bに弾力的に係合させることができると共に、その両者の係合を簡単にかつ容易に解除することができるので、カバー部材3を開閉する際の使い勝手を良くすることができる。
(第2実施形態)
次に、図11〜図18を参照して、この発明を腕装着型の電子機器に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図10に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕装着型の電子機器は、図11〜図14に示すように、機器本体1の裏蓋6の外面を開閉可能に覆うカバー部材20を2つのカバー片21、22に分割した構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、2つのカバー片21、22は、図11〜図14に示すように、それぞれ機器本体1の裏蓋6の外面のほぼ半分の大きさ、つまり本体ケース4の裏蓋6の外面に設けられた裏蓋6の外面のほぼ半分の大きさに形成され、カバー片21とカバー片22とによって裏蓋6の外面のほぼ全体を覆うように構成されている。また、2つのカバー片21、22のそれぞれの裏蓋6に対向する側の面には断熱部23が設けられている。これら2つのカバー片21、22も、第1実施形態と同様、ウレタン樹脂またはシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成されている。なお、バンド部材2がウレタン樹脂で形成されている場合、カバー部材3も、同じウレタン樹脂で形成されていることが望ましい。
この場合、2つのカバー片21、22は、図14、図16および図17に示すように、本体ケース4の両側に位置する一対のバンド取付部5にそれぞれ対応する側の各端部の厚みが厚く、裏蓋6の外面の中間部に対応する各先端部に向うに従って徐々に厚みが薄く、裏蓋6に対応する側の面の断熱部23を除く部分が平坦で、腕Rの装着面に対向する側の面(対向面)が湾曲した形状に形成されている。
これにより、2つのカバー片21、22は、図11および図17に示すように、裏蓋6を覆うように配置された際に、2つのカバー片21、22全体が一対のバンド取付部5側の各端部側から裏蓋6の外面の中間部に向けて徐々に厚みが薄くなる形状に形成されている。すなわち、2つのカバー片21、22は、腕Rと機器本体1との間に配置された際に、腕Rの装着面に対向する側の対向面が腕Rの曲面に概ね沿った湾曲形状をなすように構成されている。
また、これら2つのカバー片21、22の各断熱部23は、図16および図17に示すように、各カバー片21、22の裏蓋6に対向する側の面に設けられた凹部状の断熱空間部である。この断熱空間部内には空気層が存在し、この空気層が熱の伝達を妨げる断熱効果をもたらす。これら各断熱空間部の深さは各カバー片21、22の厚みに対応しており、本体ケース4の両側に位置する一対のバンド取付部5側が深く、裏蓋の中間部に対応する各先端部側に向うに従って次第に浅くなるように形成されている。
この場合にも、各断熱部23である各断熱空間部の両側部には、図16に示すように、断熱空間部内の熱を外部に放熱するための放熱路23aがそれぞれ設けられている。なお、この放熱路23aは、必ずしも断熱空間部の両側部に設けられている必要はなく、片側のみに設けられた構成であっても良い。
また、2つのカバー片21、22は、図11〜図14、図17に示すように、その各一端部が機器本体1の一対のバンド取付部5にそれぞれバンド部材2と共に連結ピン10を介して上下方向に回転可能に取り付けられている。2つのカバー片21、22は、図18に示すように、その各一端部に一対のカバー突起部21a、22aがそれぞれ設けられている。
これら一対のカバー突起部21a、22aは、図18に示すように、バンド部材2における一対のバンド突起部2aの外部両側にそれぞれ配置されるように構成されている。また、これら一対のカバー突起部21a、22aには、各ピン挿入孔21b、22bが、バンド部材2の一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bにそれぞれ対応して設けられている。
これにより、2つのカバー片21、22は、図18に示すように、一対のカバー突起部21a、22aが各バンド部材2における一対のバンド突起部2aの外部両側にそれぞれ配置されて、一対のカバー突起部21a、22aの各ピン挿入孔21b、22bが、各バンド部材2の一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bおよび各バンド取付部5における一対の突起部5aの各ピン挿入孔5bと同一軸となるように構成されている。
また、2つのカバー片21、22は、図17および図18に示すように、一対のカバー突起部21a、22aの各ピン挿入孔21b、22bが、各バンド部材2における一対のバンド突起部2aの各ピン挿入孔2bと同一軸とされた状態で、カバー突起部21a、22aの各ピン挿入孔21b、22b、バンド部材2の各ピン挿入孔2b、およびバンド取付部5の各ピン挿入孔5bに、連結ピン10が挿入される。これにより、2つのカバー片21、22は、各バンド部材2と共に各バンド取付部5にそれぞれ上下方向に回転可能に取り付けられるように構成されている。
この場合、一対のバンド取付部5に位置する各カバー片21、22の各端部は、図17および図18に示すように、押え板12によってそれぞれ押えられている。この押え板12は、第1実施形態と同様、例えば金属板からなり、各カバー片21、22の各端部に配置された状態で、その両端部がそれぞれ一対のカバー突起部3aを跨ぐように折り曲げられ、この折り曲げられた一対の折曲部12aが、一対のカバー突起部3aを跨いで、その外面に対応して配置されるように構成されている。
また、この押え板12は、第1実施形態と同様、一対の折曲部12aに取付孔12bがそれぞれ設けられ、この各取付孔12bがカバー突起部21a、22aのピン挿入孔21b、22bに対応し、この状態でカバー突起部21a、22aのピン挿入孔21b、22bに挿入された連結ピン10の先端部がそれぞれ挿入し、これにより各バンド取付部5に取り付けられて、各バンド部材2の一対のバンド突起部2aおよびカバー片21、22の一対のカバー突起部21a、22aをそれぞれ押えるように構成されている。
2つのカバー片21、22は、図12、図14および図15に示すように、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置された際に、位置規制部24によってその配置位置に位置規制されるように構成されている。この位置規制部24は、カバー片21、22のうち、一方のカバー片21の先端部に設けられた係合突起部25と、他方のカバー片22の先端部に設けられて一方のカバー片21の係合突起部25が係合する係止凹部26とを備えている。
この場合、一方のカバー片21に設けられた係合突起部25の両側部には、図15に示すように、凹み形状を有し、カバー片21の厚さ方向の長さが第1の値を有し、カバー部片21の厚さ方向に直交する方向の長さが第2の値を有し、第2の値が第1の値より大きい長凹部25aが設けられている。また、他方のカバー片22に設けられた係止凹部26内における互いに対向する両端部には、係合突起部25の長凹部25aに係合するように突起したピン状の凸部26aが設けられている。
また、一方のカバー片21と他方のカバー片22とは、図15に示すように、それぞれウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成されている。これにより、一方のカバー片21の係合突起部25と他方のカバー片22の係止凹部26とが係合する際に、それぞれ弾性変形して弾力的に係合するように構成されている。
これにより、位置規制部24は、図12、図14および図15に示すように、2つのカバー片21、22が機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置されて裏蓋6を覆った際に、一方のカバー片21の先端部に設けられた係合突起部25が、これに対応する他方のカバー片22の先端部に設けられた係止凹部26に係合して、係合突起部25の各長凹部25aに係止凹部26の各凸部26aが弾力的に係合することにより、2つのカバー片21、22を位置規制して、各カバー片21、22が不用意に分離して回転して開くことを防ぐことができる。
また、例えばコネクタ7とクレードル8の接続部9とを接続する際に、カバー片21、22の両方又は一方を弾性変形させて係止凹部26の各凸部26aを係合突起部25の各長凹部25aから弾力的に離脱させ、両者の係合を解除させて、カバー片21、22を下方向に回転させて開いて、裏蓋6の外面を露出させることができるように構成されている。
次に、この腕装着型の電子機器を腕Rに取り付けて使用する場合について説明する。
この場合には、まず、図12に示すように、カバー部材20の2つのカバー片21、22を機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置させ、この状態でカバー部材20を介して機器本体1を腕Rに配置させて、機器本体1をバンド部材2によって腕Rに取り付ける。すなわち、機器本体1の一対のバンド取付部5に位置する各連結ピン10を中心に、2つのカバー片21、22を回転させて、2つのカバー片21、22を機器本体1の本体ケース4の裏蓋6の外面を覆うように配置させる。
このときには、2つのカバー片21、22の各先端部に設けられた位置規制部24の係合突起部25が、これに対向する係止凹部26に係合して、係合突起部25の各長凹部25aに係止凹部26の各凸部26aが弾力的に係合するこれにより、2つのカバー片21、22が本体ケース4の裏蓋6の外面を覆った状態に保持されるように位置規制される。この状態で、機器本体1の本体ケース4をバンド部材2によって腕Rに取り付けた際には、カバー部材20の腕Rの装着面に対向する側の対向面が腕Rの装着面に良好に密着して、腕Rに良好にフィットした状態で、本体ケース4が腕Rに取り付けられる。
すなわち、カバー部材20の2つのカバー片21、22は、ウレタン樹脂やシリコーン樹脂などの軟質の合成樹脂からなり、本体ケース4の両側に位置する一対のバンド取付部5にそれぞれ対応する各端部の厚みが厚く、裏蓋6の外面の中間部に対応する各先端部側向けて徐々に厚みが薄くなる形状に形成され、カバー部材20全体の対向面が腕Rの装着面の曲面形状に概ね沿った湾曲形状に形成されていることにより、カバー部材20全体の対向面が腕Rの装着面に良好に密着する。これにより、2つのカバー片21、22が腕Rに良好にフィットした状態で、本体ケース4が腕Rに取り付けられる。
また、本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、機器本体1が腕Rに取り付けられている状態で機器本体1を使用しているときに腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぐことができる。すなわち、機器本体1を操作して情報処理を行った際には、本体ケース4内に組み込まれた機器モジュールの電子部品が発熱するが、その熱がカバー部材20の2つのカバー片21、22の各断熱部23によって断熱されて、本体ケース4から腕Rの装着面への熱の伝達が抑制される。このため、本体ケース4内の電子部品の発熱に起因して腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぐことができる。
また、機器本体1内の熱を放熱する場合には、機器本体1を腕Rから取り外し、図14に示すように、2つのカバー片21、22を回転させて開いて、機器本体1の裏蓋6の外面を露出させれば良い。この場合には、2つのカバー片21、22の各先端部に設けられた位置規制部24の係合突起部25の長凹部25aから、これに対向する係止凹部26の凸部26aを弾力的に離脱させて、係合突起部25と係止凹部26との係合を解除させる。この状態で、各連結ピン10を中心に2つのカバー片21、22を本体ケース4の裏蓋6の下側に向けて回転させて裏蓋6を開放させる。これにより、機器本体内の熱が速やかに放熱されて、機器本体1内が冷却される。
さらに、機器本体1をクレードル8に接続してデータの授受または機器本体1の充電を行う場合にも、機器本体1を腕Rから取り外し、図13および図14に示すように、係合突起部25と係止凹部26との係合を解除させて、2つのカバー片21、22を回転させて開いて、機器本体1の裏蓋6の外面を露出させる。すると、裏蓋6に設けられた開口部6aからコネクタ7が、裏蓋6から裏面側に露呈する。この状態で、第1実施形態と同様、機器本体1の裏蓋6をクレードル8の上面に配置させて、コネクタ7をクレードル8の接続部9に接続する。これにより、機器本体1とクレードル8とが電気的に接続され、その両者の間でデータの授受または機器本体1の充電等を行うことができる。
さらに、本実施形態においても、このように裏蓋6にコネクタ7を露呈する開口部6aが設けられている場合において、本体ケース4を腕Rに取り付けているときには、2つのカバー片21、22により裏蓋6の外面が覆われているため、カバー片21、22によりコネクタ7に埃や人体の汗等が侵入することを防ぐことができ、また、コネクタ7を使用したいときには、係合突起部25と係止凹部26との係合を解除させてカバー部材3を開くことで、簡単にコネクタ7を露呈させることができる。これにより、コネクタ7を外部環境から良好に保護することができるとともに、カバー片21、22によってコネクタ7を使用する際の使い勝手を低下させないようにすることができる。
このように、この腕装着型の電子機器によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、カバー部材20が、2つのカバー片21、22に分割され、それぞれ機器本体1に各バンド部材2と共に各連結ピン10によってそれぞれ回転可能に取り付けられていることにより、第1実施形態よりも、カバー部材20の開閉操作性が良い。
すなわち、この腕装着型の電子機器では、2つのカバー片21、22を閉じる方向に回転させて、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置させることができるので、2つのカバー片21、22によって機器本体1の裏蓋6の外面を簡単にかつ容易に覆うことができ、また2つのカバー片21、22を開く方向に回転させることにより、機器本体1の裏蓋6の外面を簡単にかつ容易に露出させることができる。
この場合にも、2つのカバー片21、22は、軟質の合成樹脂によって形成されていることにより、機器本体1と腕Rとの間に介在されて、機器本体1を腕Rに取り付けた際に、2つのカバー片21、22を腕Rに弾力的にフィットさせることができる。また、これら2つのカバー片21、22は、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置された際に、腕Rの装着面に対向する側の対向面が腕Rの曲面に概ね沿った湾曲形状に形成されていることにより、カバー部材3を腕Rに良好にフィットさせることができる。
また、これら2つのカバー片21、22には、それぞれ各断熱部23が設けられているので、これら各断熱部23によって機器本体1内で発生した熱を断熱して、機器本体1内で発生した熱が腕Rに伝わり難いようにすることができる。さらに、これら各断熱部11は、カバー部材3に設けられた凹部状の断熱空間部であることにより、2つのカバー片21、22を弾性変形し易くすることができて、2つのカバー片21、22を腕Rに弾力的にフィットさせた状態で、機器本体1内で発生した熱を良好に断熱して、腕Rに低温やけどが発生することを良好に防ぐことができる。
また、この腕装着型の電子機器は、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように配置されたカバー部材20の2つのカバー片21、22を位置規制する位置規制部24を備えていることにより、機器本体1の裏蓋6の外面を覆うように2つのカバー片21、22を配置させた際に、位置規制部24によって機器本体1の裏蓋6の外面を覆った状態で位置規制することができ、これにより機器本体1を腕Rに取り付ける際に、2つのカバー片21、22が不用意に垂れ下がることがないので、機器本体1を腕Rに容易にかつ良好に取り付けることができる。
すなわち、この位置規制部24は、一方のカバー片21の先端部に設けられた係合突起部25と、他方のカバー片22の先端部に設けられた係止凹部26とを備え、係合突起部25の両側部に長凹部25aが設けられ、係止凹部26内の対向面に凸部26aが設けられているので、一方のカバー片21の係合突起部25を、これに対応する他方のカバー片22の係止凹部26に係合させて、係合突起部25の長凹部25aに係止凹部26内の対向面の凸部26aを係合させることにより、2つのカバー片21、22を良好に位置規制して、カバー部材3が不用意に回転して開くことを防ぐことができる。
この場合、2つのカバー片21、22は、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂でそれぞれ形成されていることにより、その両方が係合する際にそれぞれ弾性変形して弾力的に係合させることができる。これにより、一方のカバー片21の係合突起部25を、これに対応する他方のカバー片22の係止凹部26に係合させて、係合突起部25の長凹部25aに係止凹部26内の対向面の凸部26aを弾力的に係合させることができると共に、その両者の係合を簡単にかつ容易に解除することができるので、カバー片21、22を開閉する際の使い勝手を良くすることができる。
なお、上述した第1、第2の各実施形態では、カバー部材3、20の各断熱部11、23が凹部状の断熱空間部に形成されている場合について述べたが、必ずしも凹部状の断熱空間部である必要はなく、例えば図19(a)および図19(b)に示す変形例のように、機器本体1の裏蓋6の外面に対向する側のカバー部材3、20の一面に複数の突起部31を一体に形成し、これら複数の突起部31によってカバー部材3、20と機器本体1の裏蓋6の外面との間に隙間を設け、この隙間によって空気層である断熱部30を形成した構成であっても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、カバー部材3、20を機器本体1にバンド部材2と共に連結ピン10によって取り付けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図20(a)および図20(b)に示す変形例のように、機器本体1にバンド部材2を第1連結ピン10aによって取り付けているとともに、カバー部材3、20を、この第1連結ピンと異なる位置に設けた第2連結ピン10bによって回転可能に取り付けた構成であっても良い。
また、上述した第1、第2の各実施形態では、機器本体1にバンド部材2とカバー部材3、20とを回転可能に取り付ける連結ピン10として、ばね棒を用いた場合について述べたが、必ずしもばね棒である必要はなく、例えば、ねじ部材であっても良く、また単純な棒状部材であっても良い。
さらに、上述した第1、第2の各実施形態では、本発明を腕Rに装着して使用する腕装着型の電子機器に適用した場合について述べたが、装着する箇所は腕Rに限るものではなく、例えば指、足、胴などに装着して使用する電子機器であってもよい。また、このような電子機器としては、例えば脈拍計、血圧計、歩数計、携帯情報端末機などがあり、これらの電子機器にも本発明を良好に適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、人体に対して着脱可能に装着される機器本体と、前記機器本体に取り付けられたカバー部材と、を備え、
前記機器本体は内部に電子部品が設けられた筺体を有し、前記筺体の外面は、前記機器本体が人体に装着されたときに人体に対向する側となる裏面を有し、前記カバー部材は、樹脂部材により形成され、一端が前記筺体に支持されて前記裏面に対して回転して、前記裏面に対して閉じて該裏面を覆っている閉状態と、前記裏面対して開いて該裏面を外部に露出している開状態と、に移動可能に設けられ、前記閉状態で前記カバー部材が前記裏面を覆っているときに、前記裏面と前記カバー部材の前記裏面に対向する側の面との間に空気層が形成され、前記カバー部材が前記開状態に設定されているとき、前記電子機器の発熱による熱が前記裏面から放熱されることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の人体装着型電子機器において、前記機器本体は、前記裏面に、外部機器と電気的に接続される接続端子部を有し、前記カバー部材は、前記閉状態において前記接続端子部を覆い、前記開状態において前記接続端子部を露出することを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材は、前記閉状態で前記裏面を覆っているときに前記裏面に対向する側となる面に設けられた凹部状の断熱空間部を有し、前記空気層は、前記閉状態で前記カバー部材が前記裏面を覆っているときに、前記断熱空間部内に形成されることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材は、前記閉状態で前記カバー部材が前記裏面を覆っているときに前記裏面に対向する側となる面に突出して設けられた突起部を有し、前記空気層は、前記閉状態で前記カバー部材が前記裏面を覆っているときに、前記突起部を介して対向する前記裏面と前記カバー部材の前記裏面に対向する側の面との間の空間内に形成されることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材を形成している軟質の合成樹脂は、ウレタン樹脂またはシリコーン樹脂であることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材は、前記閉状態で、前記機器本体が人体に装着されるときに人体に対向する側となる対向面が、当該機器本体を装着する人体の装着面の形状に対応した湾曲形状をなしていることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の人体装着型電子機器において、前記裏面の前記閉状態で前記カバー部材で覆われる領域は平坦であり、前記カバー部材は、前記裏面の一の方向に沿った両端側の厚みが厚く、前記裏面の中間部に向うに従って、前記一の方向に沿って徐々に厚みが薄くなる形状に形成されていることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材を前記閉状態に位置規制する位置規制部を備えていることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材は、前記機器本体の前記筐体に軸部材を介して回転可能に取り付けられていることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の人体装着型電子機器において、前記カバー部材は、2つのカバー片に分割され、該各カバー片は、前記機器本体に前記軸部材を介して回転可能に取り付けられていることを特徴とする人体装着型電子機器である。
請求項11に記載の発明は、請求項9または請求項10に記載の人体装着型電子機器において、前記機器本体を前記人体に着脱自在に装着するバンド部材を備え、前記バンド部材は、前記軸部材に回転可能に取り付けられていることを特徴とする人体装着型電子機器である。