JP6115548B2 - 電気亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に、家電製品などに用いられる電気亜鉛めっき鋼板の製造方法であり、特に、めっき表面に処理を施すことで、高い白色度を有する電気亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
化成処理の施された電気亜鉛めっき鋼板は、良好な耐食性を有する点や、コストの点などから、現在、多くの用途に用いられている。また、かかるめっき鋼板は、製品の外観がよいという点から、一般的に、高い白色度が要求される。そのため、白色度を向上させるための種々の技術が開発されている。
ここで、鋼板の白色度は、めっき後の化成処理によって低下するものの、化成処理前のめっき層の表面状態に大きく依存するため、電気亜鉛めっき条件の適正化を図ることで、白色度の向上を図る技術が数多く開発されている。なお、電気亜鉛めっき鋼板の白色度の指標としては、通常、明度(L値)が用いられる。
高い白色度を有する電気亜鉛めっき鋼板を製造する方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、硫酸塩酸性亜鉛めっき浴中に、無機イオン(Tl)を含有させ、電気亜鉛めっきを施すという製造方法がある。この製造方法を用いれば、Tlの効果によって高い白色度(明度)を得ることができる。
また、別の方法としては、所定の有機物を添加した電気亜鉛めっき浴を用いることで、電気亜鉛めっき鋼板の白色度を向上させる方法がある。例えば、特許文献2では、所定濃度のグリシン、アスパラギン酸、カルボン酸基を2つ以上有するカルボン酸又はその塩の群から選択された1種以上を含む硫酸酸性亜鉛めっき浴を用いている。特許文献3では、ナフテン酸の金属塩、アニリン誘導体、低級アルカノイル化合物、および有機過酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種を、所定量添加した電気亜鉛めっき浴を用いている。
ただし、特許文献1のように、無機物を含有するめっき浴を用いて製造された電気亜鉛めっき鋼板は、めっき層中に前記無機物が共析するため、めっき層の耐食性が劣化したり、硬度が上昇する等の、亜鉛めっき層の特性が失われるという問題があった。
また、特許文献2及び3のように、有機物を添加しためっき浴を用いる製造法では、電気亜鉛めっき時に電流効率が低下するという問題や、不溶性アノードの寿命が短くなるという問題があった。また、製造された電気亜鉛めっき鋼板は、めっき浴中に添加された有機物がめっき層中に共析するため、めっき層の硬度が上昇する等の亜鉛めっき層の特性が失われるという問題があった。
上記の課題を解決するべく、本発明者らは、特許文献4に示すように、鋼板に電気亜鉛めっき法によりめっき層を形成した後、硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種を含有する特定の酸性水溶液に、一定時間接触させることによって、形成されためっき層の表面形状について適正化を図る技術を開発した。この技術によれば、得られた電気亜鉛めっき鋼板は、白色度が高く、製造時、めっき浴中に無機物や有機物を添加する必要がないため、無機物又は有機物の共析に起因しためっき層の特性劣化及び電気めっき時の電流効率の低下についても有効に抑制できる、という効果を奏する。
特開平9−195082号公報 特開平8−74089号公報 特開平10−287992号公報 特開2011−038167号公報
しかしながら、特許文献4の技術によって製造された電気亜鉛めっき鋼板は、操業初期には高い白色度が得られているものの、長期間連続的に操業を行った場合、酸性水溶液の組成の変化に起因して電気亜鉛めっき鋼板の白色度が徐々に低下することがあった。この白色度低下は、酸性水溶液の硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンの濃度及びpHが一定となるように管理をしながら操業した場合であっても、起こり得る事象であり、さらなる改善が望まれている。
本発明の目的は、めっき層の特性の劣化がなく、高い白色度を有する電気亜鉛めっき鋼板を、電気亜鉛めっき時の電流効率を低下させることなく製造できるとともに、連続的に操業した場合でも、安定して高い白色度を維持できる、電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく検討を重ねた結果、上述した白色度の低下は、連続的に操業すると、めっき層の亜鉛が微量ずつではあるが酸性水溶液中に溶出し、操業開始時には酸性水溶液中に含有されていなかった亜鉛イオンの濃度が上昇することが原因であると考えた。
前記酸性水溶液中に亜鉛めっきを形成した鋼板を接触させることにより、微細な凹凸を有する前記めっき層の表面が微量溶解して平坦化されることで白色度が上昇する効果がある。しかしながら、前記酸性水溶液中に亜鉛イオンが混入し、この亜鉛イオン濃度が上昇すると、酸性水溶液の反応性が低下し、上記平坦化効果が小さくなる。その結果、白色度の低下が起こるものと推定される。
さらに本発明者らは、鋭意研究を行った結果、酸性液中の亜鉛濃度が極めて低い場合には、亜鉛濃度の変化により表面処理鋼板の白色度(L値)が大きく変化するものの、亜鉛濃度が特定範囲の場合には、亜鉛濃度が変化しても白色度の変化に与える影響が小さいことに着目した。
そして、前記酸性液中の亜鉛濃度を、操業前より予め特定範囲(具体的には0.3〜1.5mol/Lに調整しておくことで、連続操業によりめっき層の亜鉛が酸性水溶液中に溶出し亜鉛イオン濃度が変化した場合であっても、表面処理鋼板の白色度(L値)の変化を最小限に抑えることが可能となり、安定して高い白色度を有する電気亜鉛めっき鋼板を製造できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)鋼板上に、電気亜鉛めっき法によって、亜鉛含有量が97質量%以上であるめっき層を形成する工程と、
前記めっき層を形成した鋼板を、硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種を合計で0.002〜0.05mol/Lを含有し、亜鉛イオンを0.3〜1.5mol/L含有し、pHが1〜3である酸性水溶液に、0.5秒以上接触させる工程と、
前記めっき層上に化成皮膜を形成する工程、を具えることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(2)前記めっき層を形成した鋼板を、前記酸性水溶液に接触させた後、pHが8.5〜12である塩基性溶液に0.5秒以上接触させる工程をさらに具えることを特徴とする上記(1)記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(3)前記化成皮膜の片面当たりの付着量が、0.05〜1g/m2であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、めっき層の特性の劣化がなく、高い白色度を有する電気亜鉛めっき鋼板を、電気亜鉛めっき時の電流効率を低下させることなく製造できるとともに、連続的に操業した場合でも、安定して高い白色度を維持できる、電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することが可能となる。
亜鉛イオン含有量(mol/L)のみを変化させた場合の、電気亜鉛めっき鋼板のL値の変化を示したグラフである。
以下、本発明の構成と限定理由を説明する。
本発明に従う電気亜鉛めっき鋼板の製造方法は、
鋼板上に、電気亜鉛めっき法によって、亜鉛含有量が97質量%以上であるめっき層を形成する工程(めっき層形成工程)と、
前記めっき層を形成した鋼板を、硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種を合計で0.002〜0.05mol/Lを含有し、亜鉛イオンを0.3〜1.5mol/L含有し、pHが1〜3である酸性水溶液に、0.5秒以上接触させる工程(酸性水溶液接触工程)と、
前記めっき層上に化成皮膜を形成する工程(化成皮膜形成工程)、を具えることを特徴とする。
特定のイオン(硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種)を含有し、特定のpHを有する酸性水溶液に、めっき層を形成した鋼板を接触させることにより、前記イオンによって、微細な凹凸を有する前記めっき層の表面が平坦化されるため、有効に入射光を反射できる結果、高い白色度(L値)を得ることができる。さらに、めっき浴中に共析物となる無機物や有機物を添加する必要がないため、めっき層の特性(硬度、耐食性や被加工時の耐剥離性など)及び電気亜鉛めっき時の電流効率についても、十分に確保できる。加えて、前記酸性水溶液中に0.3〜1.5mol/Lの亜鉛イオンを含有させることによって、連続操業にめっき層の亜鉛が酸性水溶液中に溶出し亜鉛イオン濃度が変化した場合であっても、電気亜鉛めっき鋼板の白色度(L値)の変化を最小限に抑えることができる。
(めっき層形成工程)
本発明の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法では、電気亜鉛めっき法によって、鋼板上にめっき層を形成する。
ここで、前記めっき層は、亜鉛を含有するめっき層のことをいい、電気亜鉛めっき法により形成される。電気亜鉛めっき法に用いられる浴種については特に限定はせず、例えば、硫酸浴、塩化物浴、ジンケート浴又はシアン浴等を用いることができる。しかしながら、該ジンケート浴やシアン浴等に含有される成分が上記酸性水溶液中に混入した場合には、不純物としてのアニオンや添加剤の影響が避けられない。このため、硫酸浴又は塩化物浴を用いることが好ましい。また、前記めっき層は、亜鉛の含有量が97質量%以上とする。前記めっき層は、意図的に含有させた成分や不可避的に含有する不純物(原板から溶出する鋼成分や、混入する恐れがあるNi、Co等)を少量含んでいても問題はない。亜鉛の含有量が97質量%未満では、亜鉛以外の成分の影響が大きくなり、安定した性能を発揮できない恐れがあり、また、本来、亜鉛めっき鋼板が有する白色度が低下するためである。なお、前記めっき層中の亜鉛の含有量は、希塩酸等の酸液との接触によりめっき層を溶解させ、溶解成分を湿式分析することで求めることができる。
また、前記めっき層の片面当たりの付着量は、電気亜鉛めっき層の特性と白色度を確保する点から、5〜30g/m2であることが好ましい。なお、前記めっき層の付着量は、めっき層の付着面積を把握した上で、希塩酸等の酸液との接触によりめっき層を溶解させた前後の鋼板の質量変化、又は、溶解しためっき成分の定量化により求めることができる。
なお、前記めっき層形成工程後は、後述する酸洗水溶液へのめっき浴成分の混入を抑制するため、水洗を行うことが好ましい。ただし、めっき浴が亜鉛イオン、硫酸イオン、塩化物イオンを主成分とする硫酸浴又は塩化物浴の場合、これら成分は後述する酸性水溶液に混入しても本発明の効果への悪影響はないため、水洗を行わなくても良い。また、水洗を行う場合、水洗後、酸性水溶液への接触工程前に、乾燥を行ってもよい。
(酸性水溶液接触工程)
本発明の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法では、前記めっき層を形成した鋼板を、硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種を合計で0.002〜0.05mol/Lを含有し、亜鉛イオンを0.3〜1.5mol/L含有し、pHが1〜3である酸性水溶液に、0.5秒以上接触させる。
ここで、前記イオンの種類を、硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種に限定したのは、前記めっき表層を一定量除去することでめっき結晶の微細な凹凸を平坦化し、白色度を高めることができるからである。その他のイオンを用いた場合では、同様の効果を奏することができない。また、前記イオンの含有量を0.002〜0.05mol/Lの範囲としたのは、0.002mol/L未満では、イオンの量が少なすぎるため、十分に前記めっき結晶の微細な凹凸の平坦化が行えず、所望の白色度を得ることができないからである。一方、前記イオンの含有量が0.05mol/Lを超えると、イオンの量が多すぎるため、めっき層の表面が荒れ、白色度の低下を招くからである。
なお、上述の各種イオンのイオン源については、所望のイオンが得られれば、特に限定はしない。例えば、それぞれの酸性水溶液や、金属塩、又はこれらの混合物など、イオンの含有量等を考慮して適宜選択することができる。
また、前記酸性水溶液中の前記亜鉛イオンの含有量を0.3〜1.5mol/Lの範囲としたのは、この範囲とすることで、連続操業においてめっき層の亜鉛が酸性水溶液中に溶出し亜鉛イオン濃度が変動した場合であっても、電気亜鉛めっき鋼板の白色度(L値)の低下を低減することができるからである。前記亜鉛イオンの含有量が0.3mol/Lよりも低い場合には、亜鉛濃度の変動による表面処理鋼板の白色度(L値)の変化が大きくなり、安定して高い白色度を維持することはできない。一方、前記亜鉛イオンの含有量が1.5mol/Lよりも高い場合には、水洗水の混入などにより酸性水溶液中の亜鉛イオン濃度が低下してしまうことになり、亜鉛イオン濃度を維持するには亜鉛イオンを補給し続ける必要性が生じ、製造コスト的に不利になる。
前記亜鉛イオンのイオン源としては、特に規定しないが、硫酸亜鉛又は塩化亜鉛として添加することが望ましい。これは、硫酸イオン又は塩化物イオンは、前記電気亜鉛めっき層の表面を平坦化し、本発明の白色度を向上させる効果への影響が小さく、安定して高い白色度を実現できるからである。
ここで、図1は、めっき層を形成した鋼板を、0.02mol/Lの硝酸イオンを含有し、pHが2.0である酸性水溶液に接触させる工程に際し、酸性水溶液に硫酸亜鉛を添加して亜鉛イオン含有量(mol/L)を変化させた場合の、電気亜鉛めっき鋼板のL値の変化を示したグラフである。図1からも、亜鉛イオンの含有量を0.3mol/L以上とすることで、得られた電気亜鉛めっき鋼板のL値の変化が小さくなることがわかる。
また、前記酸性水溶液接触工程では、前記酸性水溶液のpHを3以下とする必要がある。前記酸性水溶液のpHが3を超えると、前記酸性水溶液の反応性が不十分となり、十分に前記めっき層表面の平坦化が行われない結果、白色度を向上できないからである。本発明の酸性水溶液接触工程では、引用文献4に記載の酸性水溶液とは異なり、亜鉛イオンを含有していることから、pHを3以下としなければ、前記めっき層の表面の平坦化を十分に行うことができない。一方、前記酸性水溶液のpHの下限は1以上とする必要がある。前記酸性水溶液のpH が1未満の場合、白色度の向上効果は得られるものの、酸性水溶液への接触時に亜鉛めっき層の溶解量が多くなり、亜鉛めっきの付着量を増やす必要性が生じ、めっき層形成のためのコストアップを招くためである。
さらに、所望の白色度向上効果が得られ、めっき層の溶解量も少なくできるという点から、前記酸性水溶液のpHを2.0〜3.0の範囲とすることが好ましい。なお、前記pHの調整については、めっき層の表面を平坦化して白色度を増加させる効果への影響が小さいという意味で、硫酸又は塩酸を使用するのが望ましい。
さらに、本発明では、前記めっき層を形成した鋼板を、前記酸性水溶液に0.5秒以上接触させる必要がある。接触時間が0.5秒未満の場合、接触時間が短すぎるため、十分に前記めっき層の表面の平坦化を行えず、所望の白色度を得ることができないからである。なお、接触時間の上限については、白色度を得る効果からは特に限定はしないが、生産性の点からは、5秒以下とすることが好ましい。また、接触方法については、特に限定はせず、例えば、水溶液への浸漬や水溶液の塗布、水溶液のスプレー等の方法を用いることができる。
なお、前記酸性水溶液接触工程後は、その後の工程への悪影響(化成皮膜へのコンタミネーション等)をなくすため、前記鋼板の水洗及び乾燥を行うことが好ましい。
なお、前記酸性水溶液の温度についても、特に限定はしないが、定温保持性や昇温コストの点から、30〜60℃の範囲とすることが好ましい。また、前記酸性水溶液中には、pH緩衝剤を含有する場合もあり、不可避的不純物が含有されることも考えられる。加えて、めっき層からの溶出成分(Zn、Fe、Ni等)や、めっき浴の汚染成分を少量含有していても構わない。
(塩基性溶液接触工程)
また、本発明の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法では、前記酸性水溶液接触工程後、前記めっき層を形成した鋼板を、pHが8.5〜12である塩基性溶液に0.5秒以上接触させる工程(塩基性溶液接触工程)をさらに具えることが好ましい。これにより、化成皮膜形成後に、良好な塗料密着性を付与することができる。
前記酸性水溶液接触工程において、水溶液中に亜鉛イオンが含まれていると、めっき層表面に亜鉛を含有した反応層が生成してしまい、めっき層と化成皮膜との密着性が低下する。このために、化成皮膜と塗料が密着していても、十分な塗料密着性が得られない。しかし、塩基性溶液接触工程を更に備えることによりこの反応層を除去でき、良好な塗料密着性(めっき層と化成皮膜との密着性)を付与することができる。
なお、前記塩基性溶液接触工程に当たっては、酸性水溶液を取り除くため、前記酸性水溶液接触工程後、予め前記鋼板の水洗を行うことが好ましく、前記塩基性溶液接触工程後、その後工程への悪影響(化成皮膜へのコンタミネーション等)をなくすため、前記鋼板の水洗及び乾燥を行うことが好ましい。
(化成皮膜形成工程)
そして、本発明の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法では、前記酸性水溶液に接触させ、水洗及び乾燥を施し、好ましくはさらに塩基性溶液に接触させ、水洗及び乾燥を施した電気亜鉛めっき鋼板の表面に、化成皮膜を形成する。この化成皮膜は、前記鋼板表面に、耐食性や、密着性、耐疵付き性などを備えることができるように設けられる層である。これらの要求される特性を保持すると共に白色度の低下を防ぐ点から、その付着量は片面当たり0.05〜1g/m2の範囲であることが好ましい。
また、前記化成皮膜は、特に制限はなく、従来公知の化成皮膜を使用することができる。例えば、無機皮膜、有機皮膜、有機無機複合皮膜、又はこれらの複層皮膜を用いることができる。要求される特性、つまり、上述の耐食性、密着性、耐疵付き性に応じて、その種類、成分、付着量を適宜選択すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(サンプル1〜32)
以下の工程(i)〜(iii)を行い、サンプルとなる電気亜鉛めっき鋼板を作製した。
(i)冷延鋼板に対して、脱脂・酸洗処理を施した後、電気亜鉛めっき法(条件は、めっき浴:Zn2+イオン1.5mol/L含有する硫酸酸性浴(pH2.0、温度50℃)、相対流速:1.5m/秒、電流密度:50A/dm2)によって、片面当たりの付着量が20g/m2の亜鉛めっき層(亜鉛の含有量が97質量%以上)を形成し、その後、一部のサンプルは水洗を行った。
(ii)作製した前記電気亜鉛めっき鋼板を、表1に示すイオンを含有する酸性水溶液に接触させた。なお、酸性水溶液の条件(イオン種類、合計のイオン濃度(mol/L)、イオン源、亜鉛イオン濃度(mol/L)、亜鉛イオン源、酸性水溶液のpH、pH調整剤の種類、温度)、及び、酸性水溶液を用いた処理条件(処理方法、接触時間)の詳細については、表1に示す。なお、一部のサンプルについては、前記酸性水溶液による処理を実施していない(表1を参照。)。
(iii)次に、上述の酸性水溶液処理を施した鋼板を、水洗し、乾燥させた後、前記鋼板の表面上に、第一リン酸マンガン100質量部に対し、シリカ(平均粒径:7nm)70質量部を含有する化成処理液をロールコーターで塗布し、140℃の熱風炉で焼付け、乾燥させることで、片面当たりの付着量が0.4g/m2である無機皮膜からなる化成皮膜を形成した。
Figure 0006115548
以上のようにして得られた各電気亜鉛めっき鋼板のサンプル1〜32について評価を行った。評価方法を以下に示す。
(評価方法)
(1)白色度(L値)
各サンプルについて、色差計(日本電色工業(株)製のSE2000)を用いてSCE(正反射光除去)による明度(L値)の測定を行った。評価は、以下の基準に従って行い、測定値及び評価結果を表2に示す。
○:L値が64以上
×:L値が64未満
(2)酸性水溶液接触工程におけるめっき層の溶解量
酸性水溶液接触工程後の各サンプルについて、希塩酸(常温、10質量%塩酸水溶液)との接触により亜鉛めっき層を全て溶解させ、溶解したZn、ICP分析装置を用いて定量し、酸性水溶液接触工程後のめっき付着量を算出した。次に、酸性水溶液接触工程前のめっき付着量(20 g/m2)から酸性水溶液接触工程後のめっき付着量を差し引き、酸性水溶液接触工程におけるめっき層の溶解量(単位面積当たりの溶解量(g/m2))を算出した。結果を表2に示す。
(3)連続操業での白色度(L値)安定性
各サンプルについて、同様の製造条件で3時間の連続製造を行った際の明度(L値)の変化(ΔL=製造開始3時間後に製造したサンプルのL値−製造開始時に製造したサンプルのL値)を算出し、安定性を評価した。酸性水溶液への接触処理には、10リットルの酸性水溶液を用い、1分当たり1m2の速度で製造を行った。評価は、以下の基準に沿って行った。なお、L値は、色差計(日本電色工業(株)製のSE2000)を用いてSCE(正反射光除去)による測定を行った。評価結果を表2に示す。
○:−2≦△L
△:−3.5≦△L<−2
×:△L<−3.5
Figure 0006115548
表2の結果から、各本発明例サンプルは、比較例のサンプル1、2、9、15、23、32に比べて、いずれも優れた白色度を有していることがわかる。これは、酸性水溶液接触工程の違いによると考えられる。
さらに、各本発明例サンプルは、比較例のサンプル24、25に比べて、連続操業でのL値安定性に優れることがわかる。これは、酸性水溶液中に亜鉛イオンを適量含むか否かの違いによると考えられる。
(サンプル3−2〜8−2、10−2〜14−2、16−2〜22−2、26−2〜31−2)
実施例1における本発明例のサンプル3〜8、10〜14、16〜22、26〜31について、工程(ii)と工程(iii)との間に、以下の工程(iv)を行うことで、新たなサンプル3−2〜8−2、10−2〜14−2、16−2〜22−2、26−2〜31−2の電気亜鉛めっき鋼板を作製した。
(iv)工程(iii)において酸性水溶液処理を施した鋼板を水洗し、表3に示す条件で、塩基性水溶液に接触させた。
なお、工程(i)〜(iii)の条件については、表3に示すように、実施例1と同様である。
Figure 0006115548
(評価方法)
(1)白色度(L値)
各サンプルについて、色差計(日本電色工業(株)製のSE2000)を用いてSCE(正反射光除去)による明度(L値)の測定を行った。評価は、以下の基準に従って行い、測定値及び評価結果を表4に示す。
○:L値が64以上
×:L値が64未満
(2)連続操業での白色度(L値)安定性
各サンプルについて、同様の製造条件で3時間の連続製造を行った際の明度(L値)の変化(ΔL=製造開始3時間後に製造したサンプルのL値−製造開始時に製造したサンプルのL値)を算出し、安定性を評価した。酸性水溶液への接触処理には、10リットルの酸性水溶液を用い、1分当たり1m2の速度で製造を行った。評価は、以下の基準に沿って行った。なお、L値は、色差計(日本電色工業(株)製のSE2000)を用いてSCE(正反射光除去)による測定を行った。評価結果を表2に示す。
○:-2≦△L
△:-3.5≦△L<−2
×:△L<-3.5
(3)塗料密着性
各サンプルの表面に、メラミンアルキッド系塗料であるデリコン(登録商標)#700(大日本塗料(株)製)を塗装し、130℃で30分間焼付け、膜厚:30μmの塗膜を形成した。その後、沸騰水に2時間浸漬し、直ちに、碁盤目(10×10個、1mm間隔)の鋼素地まで達するカットを入れた。さらにエリクセン押し出し機にてカット部が外(表)側となる様に5mm押し出し加工を施し、接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積を測定した。以下の基準に従って評価を行った。なお、エリクセン押し出し条件は、JIS-Z-2247-2006に準拠し、ポンチ径:20mm、ダイス径:27mm、絞り幅:27mmとした。
○:剥離面積が3%未満
△:剥離面積が3%以上、10%未満
×:剥離面積が10%以上
Figure 0006115548
表4の結果から、各本発明例サンプルは、実施例1の本発明例サンプルと同様に、白色度、めっき層の溶解量及び連続操業でのL値安定性の点で、良好な結果を示すことがわかった。
さらに、実施例2における本発明例サンプルは、塗料密着性にも優れることがわかる。一方、これは、塩基性溶液接触工程を行うことによるものと考えられる。塩基性溶液接触工程を行わなかった場合には、十分な塗料密着性が得られなかったためである。
本発明によれば、めっき層の特性の劣化がなく、高い白色度を有する電気亜鉛めっき鋼板を、電気亜鉛めっき時の電流効率を低下させることなく製造できるとともに、連続的に操業した場合でも、安定して高い白色度を維持できる、電気亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することが可能である。

Claims (3)

  1. 鋼板上に、電気亜鉛めっき法によって、亜鉛含有量が97質量%以上であるめっき層を形成する工程と、
    前記めっき層を形成した鋼板を、硝酸イオン、ヨウ素酸イオン、臭素酸イオン及び塩素酸イオンのうちの少なくとも1種を合計で0.002〜0.05mol/Lを含有し、亜鉛イオンを0.3〜1.5mol/L含有し、pHが1〜3である酸性水溶液に、0.5秒以上接触させる工程と、
    前記めっき層上に化成皮膜を形成する工程、を具えることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記めっき層を形成した鋼板を、前記酸性水溶液に接触させた後、pHが8.5〜12である塩基性溶液に0.5秒以上接触させる工程をさらに具えることを特徴とする請求項1記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記化成皮膜の片面当たりの付着量が、0.05〜1g/m2であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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