JP6115383B2 - 回転体、および、それを含む回転検出システム - Google Patents

回転体、および、それを含む回転検出システム Download PDF

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Description

本発明は、回転軸の周方向に回転する回転体、および、それを含む回転検出システムに関するものである。
従来、例えば特許文献1に示されるように、N極とS極が交互に配列された磁気部材を有する磁気式位置検出装置が提案されている。
特開2006−23179号公報
上記した磁気部材には、通常、大きさが同一のN極とS極とが交互に配列された第1領域と、第1領域に設けられた磁極よりも大きい磁極部が設けられた第2領域と、がある。第1領域にて形成される磁束が磁気部材の回転角度を検出するのに用いられ、第2領域にて形成される磁束が磁気部材の回転角度の基準位置を検出するのに用いられる。
ところで、上記したように第2領域に大きい磁極部が形成されると、その磁極部の磁性が強いために、第2領域の磁極部と隣接する第1領域のN極若しくはS極との間で形成される磁束が乱れる。このような磁束の乱れが生じると、磁気部材の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなる虞がある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、磁束に乱れが生じることが抑制された回転体、および、それを含む回転検出システムを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、開示された発明のひとつは、自身の中心(RC)を厚さ方向に貫く回転軸の周方向に回転する環状の回転体であって、周方向における横幅が一定の等磁極部(10)と、等磁極部よりも横幅の広い欠け磁極部(30)と、を有し、回転体の外環面は、磁極が異なる複数の等磁極部(11,12)が周方向に交互に配列された第1領域(10a)と、欠け磁極部の形成された第2領域(30a)と、から成り、欠け磁極部は、周方向において隣接する等磁極部とは異なる磁極から成る2つの端部(31,32)と、周方向において2つの端部の間に配置された中央部(33)と、から成り、中央部は、端部と同一の磁極から成る第1ストライプ部(34)と、端部とは異なる磁極から成る第2ストライプ部(35)と、を有し、第1ストライプ部と第2ストライプ部とが周方向に交互に配列されて成り、中央部の磁極を、端部および第1ストライプ部それぞれの磁極と同じ磁極とするように、全ての第2ストライプ部それぞれが、周方向で隣接する第1ストライプ部よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての第2ストライプ部の合計の周方向の面積も、全ての第1ストライプ部の合計の周方向の面積よりも小さくされ、2つの端部の内の一方と、それと周方向にて隣接する等磁極部とによって形成される磁束を、周方向で隣接し、磁極の異なる等磁極部同士にて形成される磁束と似せるように、2つの端部の内の一方の横幅(L3)が、他方の端部(L4)の横幅よりも広いことを特徴とする
このように本発明によれば、欠け磁極部(30)は、2つの端部(31,32)と、2つの端部(31,32)の間に配置された中央部(33)と、から成る。中央部(33)は、互いに磁極が異なり、周方向にて交互に配列された第1ストライプ部(34)と第2ストライプ部(35)を有する。そして中央部(33)の磁極を、端部(31,32)および第1ストライプ部(34)と同じ磁極とするように、全ての第2ストライプ部(35)それぞれが、周方向で隣り合う第1ストライプ部(34)よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての第2ストライプ部(35)の合計の周方向の面積も、全ての第1ストライプ部(34)の合計の周方向の面積よりも小さくなっている。
これによれば、中央部(33)の磁性が弱まり、欠け磁極部(30)の磁性も弱まる。これにより、欠け磁極部(30)のために、欠け磁極部(30)と、それと隣接する第1領域(10a)の等磁極部(10)との間で形成される磁束が乱れることが抑制される。この結果、回転体(100)の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなることが抑制される。
また、中央部(33)は、磁極の異なるストライプ部(34,35)にて構成され、これはその名の通り、ストライプ形状(厚さが一定の矩形)を成している。これによれば、中央部(33)が、磁極が異なり、厚さの不均一な三角形や台形などの磁極部で構成される場合とは異なり、横幅を調整するだけで、中央部(33)にて形成される磁束を調整することができる。
また、2つの端部(31,32)それぞれの横幅(L3,L4)を狭めた場合、2つの端部(31,32)それぞれと、それと隣接する等磁極部(11)とによって形成される磁束(以下、端部磁束と示す)が中央部(33)の影響を受け、端部磁束の乱れがひどくなる。しかしながら、2つの端部(31,32)それぞれの横幅(L3,L4)を広めた場合、欠け磁極部(30)の磁性が強まり、同じく端部磁束の乱れがひどくなる。そこで上記のように、2つの端部(31,32)の内の一方の横幅(L3)を、他方の端部の横幅(L4)よりも広くし、一方の端部(31)と等磁極部(11)とによって形成される第1端部磁束を、磁極の異なる等磁極部(11,12)同士にて形成される磁束と似せる。これによれば、上記した2つの比較構成と比べて、第1端部磁束の乱れが抑制される。
上記した目的を達成するために、開示された他の発明のひとつは、自身の中心(RC)を厚さ方向に貫く回転軸の周方向に回転する環状の回転体であって、周方向における横幅が一定の等磁極部(10)と、等磁極部よりも横幅の広い欠け磁極部(30)と、を有し、回転体の外環面は、磁極が異なる複数の等磁極部(11,12)が周方向に交互に配列された第1領域(10a)と、欠け磁極部の形成された第2領域(30a)と、から成り、欠け磁極部は、周方向において隣接する等磁極部とは異なる磁極から成る2つの端部(31,32)と、周方向において2つの端部の間に配置された中央部(33)と、から成り、中央部は、端部と同一の磁極から成る第1ストライプ部(34)と、端部とは異なる磁極から成る第2ストライプ部(35)と、を有し、第1ストライプ部と第2ストライプ部とが周方向に交互に配列されて成り、中央部の磁極を、端部および第1ストライプ部それぞれの磁極と同じ磁極とするように、全ての第2ストライプ部それぞれが、周方向で隣接する第1ストライプ部よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての第2ストライプ部の合計の周方向の面積も、全ての第1ストライプ部の合計の周方向の面積よりも小さくされ、端部の横幅(L3,L4)は、第1ストライプ部および第2ストライプ部それぞれの横幅(L1,L2)よりも広いことを特徴とする
これによれば、上記した他の発明同様、磁束に乱れが生じることが抑制される。また、横幅を調整するだけで、中央部(33)にて形成される磁束を調整することができる。さらには、端部(31,32)の横幅(L3、L4)が第1ストライプ部(34)および第2ストライプ部(35)それぞれの横幅(L1、L2)よりも狭い構成とは異なり、端部(31,32)と、それと隣接する等磁極部(11)とによって形成される磁束が、磁極の異なる等磁極部(11,12)同士によって形成される磁束に近づけることができる。これにより、回転体(100)の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなることが抑制される。
中央部にて形成される磁束を均一とするように、すべての第1ストライプ部の横幅(L1)が互いに相等しく、すべての第2ストライプ部の横幅(L2)が互いに相等しい構成が好ましい。
これによれば、すべての第1ストライプ部(34)の横幅(L1)が互いに相異なり、すべての第2ストライプ部(35)の横幅(L2)が互いに相異なる構成とは異なり、中央部(33)にて形成される磁束が均一となる。これにより、局所的な磁束乱れのために、回転体(100)の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなることが抑制される。
ところで、上記した端部(31,32)の横幅(L3,L4)に差のある回転体(100)と、回転体の回転状態を検出する検出部(200)と、を有する回転検出システムであって、検出部は、回転体から発せられる磁束の向きの周期的な変化を電気信号に変換する磁電変換部と、磁電変換部の電気信号をパルス信号に変換する変換部と、変換部のパルス信号に基づいて回転体の回転状態を算出する算出部と、を有し、算出部は、中央部にて形成される磁束に応じたパルス信号を受信すると、2つの端部の内の他方と、それと周方向にて隣接する等磁極部とによって形成される磁束に応じたパルス信号を無視し、回転状態の算出に用いない構成が好適である。
上記したように、第1端部磁束は、磁極の異なる等磁極部同士にて形成される磁束と似ており、第2端部磁束は、磁極の異なる等磁極部同士にて形成される磁束とは異なる。そのため検出部は、中央部(33)にて形成される磁束を検出すると、第2端部磁束を無視し、回転状態の検出に用いないようにする。このように、第1端部磁束の精度を高めるために第2端部磁束を乱れさせるが、第2端部磁束を回転状態の検出に用いないようにすることで、高精度に回転体(100)の回転状態を検出することができる。
なお、特許請求の範囲に記載の請求項、および、課題を解決するための手段それぞれに記載の要素に括弧付きで符号をつけているが、この括弧付きの符号は実施形態に記載の各構成要素との対応関係を簡易的に示すためのものであり、実施形態に記載の要素そのものを必ずしも示しているわけではない。括弧付きの符号の記載は、いたずらに特許請求の範囲を狭めるものではない。
回転検出システムを概略的に示す斜視図である。 検出部にて電気信号に変換された磁束の回転角に対する変動を示すグラフ図である。 回転体の外環面の一部を切り取り、平面に展開した展開図である。 図3に示す領域Aの拡大展開図である。 境界の角度誤差のエアギャップ依存性を示すグラフである。 回転体の変形例を示す展開図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図5に基づいて、本実施形態に係る回転体、および、それと検出部を含む回転検出システムを説明する。なお、図1,3,4においては、磁極を明りょうとするために、N極にハッチングを入れている。また図4では、本来であれば図示されないが、欠け磁極部30と紙面右方で隣接する1つの第1等磁極部11を破線で示している。そして以下に示す磁極の異なる等磁極部11,12同士の境界、および、欠け磁極部30と等磁極部10との境界それぞれを、#を用いて示す。例えば5番目の境界を#5と示す。図3に示すように、本実施形態では上記した境界が合計でN個ある。Nは4以上の自然数であり、本実施形態では58である。
以下においては、回転体100と検出部200それぞれが配置された同一の高さ位置における平面を規定平面、規定平面に直交し、回転体100の回転中心RC(図1に示す×印)を貫く方向を軸方向と示す。また、軸方向の周りの方向を周方向(図1に示す曲線矢印)と示し、軸方向と直交する方向を径方向(例えば図1に示す一点鎖線)と示す。なお、上記した軸方向に沿う回転体100の軸が、特許請求の範囲に記載の回転軸に相当する。
回転体100は、図1に部分的に示すように環状を成し、周方向に回転する。回転体100は、周方向における横幅が一定の等磁極部10と、等磁極部10よりも横幅の広い欠け磁極部30と、を有する。そして図3に示すように、回転体100の外環面は、等磁極部10が形成された第1領域10aと、欠け磁極部30の形成された第2領域30aと、から成る。本実施形態では、第1領域10aの横幅は、回転体100の中心角度で表すと342°であり、第2領域30aの横幅は18°である。上記した領域10a,30aそれぞれを構成する磁極部10,30それぞれの厚さ、すなわち、以下に示す磁極部11,12,31〜35それぞれの厚さは、回転体100と同一の厚さを有する。したがって、各磁極部11,12,31〜35それぞれの体積は、周方向の幅(横幅)によって形成される。
等磁極部10としては、異極の関係にある第1等磁極部11と第2等磁極部12とがあり、周方向にて複数の第1等磁極部11と第2等磁極部12とが交互に配列されている。本実施形態では第1等磁極部11がN極、第2等磁極部12がS極となっており、磁束は第1等磁極部11から第2等磁極部12へと流れる。隣接する等磁極部11,12間の磁束は、半円形の軌跡を描くように流れ、この半円形の軌跡を描く磁束が、回転体100とともに回転する。これにより、図2に示すように、検出部200を透過する磁束の向きが周期的に変化する。検出部200は、磁束の向きの周期的な変化を電気信号に変換し、その変換した電気信号と閾値とを比較する。そしてその比較結果に応じて、変換した電気信号をパルス信号に変換する。このパルス信号のパルスの立ち上がりエッジ、若しくは、立ち下がりエッジが、隣接する等磁極部11,12の境界、および、欠け磁極部30と等磁極部10(第1等磁極部11)との境界に相当する。本実施形態では、等磁極部11,12それぞれを合わせると57個あり、これらの横幅は、回転体100の中心角度で表すと6°である。
欠け磁極部30は、周方向において隣接する等磁極部(第1等磁極部11)とは異なる磁極から成る2つの端部31,32と、周方向において2つの端部31,32の間に配置された中央部33と、から成る。中央部33は、端部31,32と同一の磁極から成る第1ストライプ部34と、端部31,32とは異なる磁極から成る第2ストライプ部35と、を有する。図3および図4に示すように、第1ストライプ部34と第2ストライプ部35とが周方向に交互に配列されている。中央部33の磁極としての性質は、端部31,32および第1ストライプ部34それぞれと同様である。そのため、全ての第2ストライプ部35それぞれが、周方向で隣接する第1ストライプ部34よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての第2ストライプ部35の合計の周方向の面積も、全ての第1ストライプ部34の合計の周方向の面積よりも小さくなっている。
本実施形態では、全ての第2ストライプ部35それぞれが、全ての第1ストライプ部34のいずれよりも周方向の面積が小さくなっている。そして、中央部33にて形成される磁束を均一とするために、すべての第1ストライプ部34の横幅が互いに相等しく、すべての第2ストライプ部35の横幅が互いに相等しくなっている。第1ストライプ部34の横幅L1は、回転体100の中心角度で表すと0.85°であり、第2ストライプ部35の横幅L2は0.5°である。そして第1ストライプ部34は7つあるので、その面積は7×0.85°(5.95°)に比例し、第2ストライプ部35は8つあるので、その面積は8×0.50°(4.00°)に比例する。第2ストライプ部35の横幅L2は第1ストライプ部34の横幅L1の0.5〜0.7倍の関係にあり、全ての第2ストライプ部35の横幅の合計は、全ての第1ストライプ部34と端部31,32の合計の横幅の0.25〜0.35倍の関係にある。すなわち、欠け磁極部30におけるS極の割合が65〜75%であり、N極の割合が25〜35%の関係にある。なお、中央部33の横幅L5は9.95°である。
また、端部31,32それぞれの横幅L3,L4は、ストライプ部34,35にて形成される磁束よりも端部31,32にて形成される磁束を強めるために、ストライプ部34,35それぞれの横幅L1,L2よりも広くなっている。そして、端部31,32の横幅L3,L4が互いに相異なっている。具体的に言えば、第1端部31と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束を、周方向で隣接する等磁極部11,12にて形成される磁束と似せるために、第1端部31の横幅L3が、第2端部32の横幅L4よりも広くなっている。第1端部31の横幅L3は、回転体100の中心角度で表すと5.00°であり、第2端部32の横幅L4は3.05°である。第1端部31の横幅L3は、欠け磁極部30の横幅の0.25〜0.33倍である。
検出部200は、回転体100の回転状態を検出するものである。検出部200は、第1領域10aにて形成される磁束に基づいて回転体100の回転角を検出し、第2領域30aにて形成される磁束に基づいて回転体100の回転角度の基準位置を検出する。図示しないが、検出部200は、回転体300から発せられる磁束の向きの周期的な変化を電気信号に変換する磁電変換部と、磁電変換部の電気信号をパルス信号に変換する変換部と、変換部のパルス信号に基づいて回転体の回転状態を算出する算出部と、を有する。この算出部は、中央部33にて形成される磁束に応じたパルス信号を受信すると、中央部33と隣接する第2端部32と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束(具体的に言えば境界#1の磁束)に応じたパルス信号を無視し、回転状態の算出に用いない。
図5に、境界#N−1,#N,#1,#2それぞれの角度誤差と、回転体100と検出部200との離間距離(エアギャップ)との関係を、実線、破線、一点鎖線、二点鎖線で示す。欠け磁極部30と、それと隣接する第1等磁極部11との境界は、#Nと#1である。そして、その第1等磁極部11と隣接する第2等磁極部12との境界は、#N−1と#2である。この欠け磁極部30の近傍に位置する境界#N−1,#N,#1,#2の磁束が、主として欠け磁極部30の影響を受ける。他の等磁極部11,12の境界#3〜#N−2にて形成される磁束は、それほど欠け磁極部30の影響を受けず、上記したエアギャップに対して角度誤差が小さい。しかしながら、図5に示すように、境界#N−1,#N,#1,#2それぞれは欠け磁極部30の影響を少なからず受けるため、エアギャップに対して角度誤差が生じる。ただし図5に示すように、等磁極部11,12によって形成される境界#N−1,#2の角度誤差や、第1等磁極部11と第1端部31とによって形成される境界#Nの角度誤差それぞれは、エアギャップに対して角度誤差がほとんど依存せず、その値も小さい。これに対して、第1等磁極部11と第2端部32とによって形成される境界#1の角度誤差はエアギャップに依存し、その値も変動する。これは、第2端部32の横幅L4が第1端部31の横幅L3よりも狭く、中央部33の磁束の影響を受けるためである。このように境界#1の角度誤差は大きくなるが、境界#Nの角度誤差は小さくなり、検出部200は境界#1の磁束を無視する。そのため、エアギャップに依存する角度誤差が回転状態の検出に影響され難くなる。
以下、回転体100、および、それと検出部200を含む回転検出システム300の作用効果を説明する。上記したように、欠け磁極部30は、2つの端部31,32と、2つの端部31,32の間に配置された中央部33と、から成る。中央部33は、互いに磁極としての性質(以下、磁性と示す)が異なり、周方向にて交互に配列された第1ストライプ部34と第2ストライプ部35を有する。そして中央部33の磁性を端部31,32および第1ストライプ部34それぞれと同様とするために、全ての第2ストライプ部35それぞれが、周方向で隣接する第1ストライプ部34よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての第2ストライプ部35の合計の周方向の面積も、全ての第1ストライプ部34の合計の周方向の面積よりも小さくなっている。また、全ての第2ストライプ部35それぞれが、全ての第1ストライプ部34のいずれよりも周方向の面積が小さくなっている。
これによれば、中央部33の磁性が弱まり、欠け磁極部30の磁性も弱まる。これにより、欠け磁極部30のために、欠け磁極部30と、それと隣接する第1等磁極部11との間で形成される磁束が乱れることが抑制される。この結果、回転体100の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなることが抑制される。
また、中央部33は、磁極の異なるストライプ部34,35にて構成され、これはその名の通り、ストライプ形状(厚さが一定の矩形)を成している。これによれば、中央部33が、磁極が異なり、厚さの不均一な三角形や台形などの磁極部で構成される場合とは異なり、横幅を調整するだけで、中央部33にて形成される磁束を調整することができる。
端部31,32の横幅(L3,L4)は、ストライプ部34,35それぞれの横幅(L1,L2)よりも広い。これによれば、端部の横幅がストライプ部の横幅よりも狭い構成とは異なり、端部31,32と、それと隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束が、周方向で隣接する等磁極部11,12同士によって形成される磁束に近づけることができる。これにより、回転体100の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなることが抑制される。
中央部33にて形成される磁束を均一とするために、すべての第1ストライプ部34の横幅L1が互いに相等しく、すべての第2ストライプ部35の横幅L2が互いに相等しい。これによれば、すべての第1ストライプ部の横幅が互いに相異なり、すべての第2ストライプ部の横幅が互いに相異なる構成とは異なり、中央部33にて形成される磁束が均一となる。これにより、局所的な磁束乱れのために、回転体100の回転角度を高精度に検出することがかなわなくなることが抑制される。
第1端部31と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束を、周方向で隣接する等磁極部11,12にて形成される磁束と似せ、且つ、第2端部32と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束を、周方向で隣接する等磁極部11,12にて形成される磁束とは異なるようにするために、第1端部31の横幅L3が、第2端部32の横幅L4よりも広くなっている。
2つの端部31,32それぞれの横幅L3,L4を狭めた場合、2つの端部31,32それぞれと、それと隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束(以下、端部磁束と示す)が中央部33の影響を受け、端部磁束の乱れがひどくなる。しかしながら、2つの端部31,32それぞれの横幅L3,L4を広めた場合、欠け磁極部30の磁性が強まり、同じく端部磁束の乱れがひどくなる。そこで上記のように、第1端部31の横幅L3を第2端部32の横幅L4よりも広くし、第1端部31と第1等磁極部11とによって形成される第1端部磁束(境界#Nの磁束)を、周方向にて隣接する等磁極部11,12同士にて形成される磁束と似せ、第2端部32と第1等磁極部11とによって形成される第2端部磁束(境界#1の磁束)を、周方向にて隣接する等磁極部11,12同士にて形成される磁束と異ならせる。これによれば、上記した2つの比較構成と比べて、第1端部磁束の乱れが抑制される。
検出部200の算出部は、中央部33にて形成される磁束に応じたパルス信号を受信すると、中央部33と隣接する第2端部32と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束(上記した第2端部磁束であり、境界#1の磁束)に応じたパルス信号を無視し、回転状態の算出に用いない。
上記したように、第1端部磁束は、周方向にて隣接する等磁極部11,12同士にて形成される磁束と似ており、第2端部磁束は、周方向にて隣接する等磁極部11,12同士にて形成される磁束とは異なる。そのため算出部は、中央部33にて形成される磁束に応じたパルス信号を受信すると、第2端部磁束に応じたパルス信号を無視し、回転状態の算出に用いないようにする。このように、第1端部磁束の精度を高めるために第2端部磁束を乱れさせるが、第2端部磁束を回転状態の検出に用いないようにする。こうすることで、高精度に回転体100の回転状態を検出することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態では、等磁極部11,12それぞれを合わせると57個あり、境界が58個である例を示した。しかしながら、等磁極部11,12それぞれを合わせた数としては3個以上であり、境界の数としては4以上であれば良い。
本実施形態では、第1領域10aの横幅は回転体100の中心角度で表すと342°であり、第2領域30aの横幅は18°である例を示した。しかしながら、第1領域10aは第2領域30aよりも横幅が長ければ良く、上記例に限定されない。
本実施形態では、等磁極部11,12それぞれの横幅は回転体100の中心角度で表すと6°である例を示した。しかしながら等磁極部11,12それぞれの横幅としては上記例に限定されず、例えば5°でも良い。なお、第2領域30aは等磁極部10よりも横幅が長い。
本実施形態では、中央部33にて形成される磁束を均一とするために、すべての第1ストライプ部34の横幅L1が互いに相等しく、すべての第2ストライプ部35の横幅L2が互いに相等しい例を示した。しかしながら、すべての第1ストライプ部34の横幅L1が互いに異なり、すべての第2ストライプ部35の横幅L2が互いに異なる構成を採用することもできる。若しくは、すべての第1ストライプ部34の内の少なくとも1組の横幅L1が互いに異なり、すべての第2ストライプ部35の内の少なくとも1組の横幅L2が互いに等しい構成を採用することもできる。
本実施形態では、第1ストライプ部34の横幅L1は0.85°であり、第2ストライプ部35の横幅L2は0.5°である例を示した。しかしながら、横幅L1は横幅L2よりも広ければ良く、上記例に限定されない。より好ましくは、第2ストライプ部35の横幅L2は第1ストライプ部34の横幅L1の0.5〜0.7倍の関係にあると良い。
本実施形態では、第1ストライプ部34は7つあり、第2ストライプ部35は8つある例を示した。しかしながら、全ての第2ストライプ部35の合計の面積が、全ての第1ストライプ部34の合計の面積よりも小さければ、ストライプ部34,35それぞれの数としては上記例に限定されない。より好ましくは、全ての第2ストライプ部35の横幅の合計は、全ての第1ストライプ部34と端部31,32の合計の横幅の0.25〜0.35倍の関係にあると良い。
本実施形態では、欠け磁極部30におけるS極の割合が65〜75%であり、N極の割合が25〜35%の関係にある例を示した。しかしながらこれとは逆に、欠け磁極部30におけるN極の割合が65〜75%であり、S極の割合が25〜35%の関係でも良い。この場合、図6に示すように、端部31,32および第1ストライプ部34それぞれがN極となり、第2ストライプ部35がS極となる。また、欠け磁極部30と周方向で隣接する等磁極部(第1等磁極部11)がS極となり、これと隣接する等磁極部(第2等磁極部12)がN極となる。
本実施形態では、端部31,32の横幅L3,L4が異なっている例を示した。しかしながら、端部31,32それぞれの横幅L3,L4が互いに相等しい構成を採用することもできる。
なお、本実施形態では、第1端部31と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束を、周方向で隣接する等磁極部11,12にて形成される磁束と似せるために、第1端部31の横幅L3が、第2端部32の横幅L4よりも広くなっている例を示した。当然ではあるが、これとは逆の構成を採用することもできる。すなわち、第2端部32と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束を、周方向で隣接する等磁極部11,12にて形成される磁束と似せるために、第2端部32の横幅L4が、第1端部31の横幅L3よりも広い構成を採用することもできる。この場合、検出部200の算出部は、中央部33と隣接する第1端部31と、それと周方向にて隣接する第1等磁極部11とによって形成される磁束(具体的に言えば境界#Nの磁束)に応じたパルス信号を無視し、回転状態の算出に用いない。算出部はパルス信号の立ち上がりエッジ、若しくは、立ち下がりエッジをカウントしており、そのカウント数が所定値(例えば57)に達すると、次に入力されるパルスのエッジのカウントを止める。こうすることで、算出部は上記処理を行う。
10,11,12・・・等磁極部
10a・・・第1領域
30・・・欠け磁極部
30a・・・第2領域
31,32・・・端部
33・・・中央部
34・・・第1ストライプ部
35・・・第2ストライプ部
100・・・回転体

Claims (5)

  1. 自身の中心(RC)を厚さ方向に貫く回転軸の周方向に回転する環状の回転体であって、
    前記周方向における横幅が一定の等磁極部(10)と、
    前記等磁極部よりも横幅の広い欠け磁極部(30)と、を有し、
    前記回転体の外環面は、磁極が異なる複数の前記等磁極部(11,12)が前記周方向に交互に配列された第1領域(10a)と、前記欠け磁極部の形成された第2領域(30a)と、から成り、
    前記欠け磁極部は、前記周方向において隣接する前記等磁極部とは異なる磁極から成る2つの端部(31,32)と、前記周方向において2つの前記端部の間に配置された中央部(33)と、から成り、
    前記中央部は、前記端部と同一の磁極から成る第1ストライプ部(34)と、前記端部とは異なる磁極から成る第2ストライプ部(35)と、を有し、前記第1ストライプ部と前記第2ストライプ部とが前記周方向に交互に配列されて成り、
    前記中央部の磁極を、前記端部および前記第1ストライプ部それぞれの磁極と同じ磁極とするように、全ての前記第2ストライプ部それぞれが、周方向で隣接する前記第1ストライプ部よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての前記第2ストライプ部の合計の周方向の面積も、全ての前記第1ストライプ部の合計の周方向の面積よりも小さくされ、
    2つの前記端部の内の一方と、それと前記周方向にて隣接する前記等磁極部とによって形成される磁束を、周方向で隣接し、磁極の異なる前記等磁極部同士にて形成される磁束と似せるように、2つの前記端部の内の一方の横幅(L3)が、他方の前記端部(L4)の横幅よりも広いことを特徴とする回転体。
  2. 前記端部の横幅(L3,L4)は、前記第1ストライプ部および前記第2ストライプ部それぞれの横幅(L1,L2)よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の回転体。
  3. 自身の中心(RC)を厚さ方向に貫く回転軸の周方向に回転する環状の回転体であって、
    前記周方向における横幅が一定の等磁極部(10)と、
    前記等磁極部よりも横幅の広い欠け磁極部(30)と、を有し、
    前記回転体の外環面は、磁極が異なる複数の前記等磁極部(11,12)が前記周方向に交互に配列された第1領域(10a)と、前記欠け磁極部の形成された第2領域(30a)と、から成り、
    前記欠け磁極部は、前記周方向において隣接する前記等磁極部とは異なる磁極から成る2つの端部(31,32)と、前記周方向において2つの前記端部の間に配置された中央部(33)と、から成り、
    前記中央部は、前記端部と同一の磁極から成る第1ストライプ部(34)と、前記端部とは異なる磁極から成る第2ストライプ部(35)と、を有し、前記第1ストライプ部と前記第2ストライプ部とが前記周方向に交互に配列されて成り、
    前記中央部の磁極を、前記端部および前記第1ストライプ部それぞれの磁極と同じ磁極とするように、全ての前記第2ストライプ部それぞれが、周方向で隣接する前記第1ストライプ部よりも周方向の面積が小さく、且つ、全ての前記第2ストライプ部の合計の周方向の面積も、全ての前記第1ストライプ部の合計の周方向の面積よりも小さくされ、
    前記端部の横幅(L3,L4)は、前記第1ストライプ部および前記第2ストライプ部それぞれの横幅(L1,L2)よりも広いことを特徴とする回転体。
  4. 前記中央部にて形成される磁束を均一とするように、すべての前記第1ストライプ部の横幅(L1)が互いに相等しく、すべての前記第2ストライプ部の横幅(L2)が互いに相等しいことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の回転体。
  5. 請求項1に記載の回転体(100)と、
    前記回転体の回転状態を検出する検出部(200)と、を有する回転検出システムであって、
    前記検出部は、前記回転体から発せられる磁束の向きの周期的な変化を電気信号に変換する磁電変換部と、前記磁電変換部の電気信号をパルス信号に変換する変換部と、前記変換部のパルス信号に基づいて前記回転体の回転状態を算出する算出部と、を有し、
    前記算出部は、前記中央部にて形成される磁束に応じたパルス信号を受信すると、2つの前記端部の内の他方と、それと前記周方向にて隣接する前記等磁極部とによって形成される磁束に応じたパルス信号を無視し、回転状態の算出に用いないことを特徴とする回転検出システム。
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