JP6115282B2 - カム軸潤滑装置 - Google Patents
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このオイルは、シリンダヘッドに設けられたオイル供給通路を通してオイルポンプからカム軸の摺動部に供給されている(例えば、特許文献1参照)。
このカムキャップは、オイルポンプからシャワーパイプなどを通して多孔質材にオイルを保持し、この保持されたオイルを内燃機関の始動時からカム軸の潤滑に使用することができるため、内燃機関の始動時にカム軸の潤滑性を向上させることができる。
(第1の実施形態)
図1〜図6は、本発明に係る第1の実施形態のカム軸潤滑装置を示す図である。
図1、図2において、内燃機関としてのエンジン1は、クランクケースを一体的に備えた図示しないシリンダブロックと、シリンダブロックの上部に設けられたシリンダヘッド2と、シリンダヘッド2を上方から覆うシリンダヘッドカバー3とを含んで構成されている。なお、エンジン1としては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどが用いられるが、エンジン1の種類は、特に限定されるものではない。
図2、図4、図5に示すように、排気カム軸5にはシリンダヘッド2に設けられた排気ポート8を開閉するための排気バルブ9を作動する排気カム5aが設けられており、この排気カム5aは、シリンダの配列方向に沿って設けられている。
ジャーナル軸受け部10の上部にはカムジャーナル4b、5bを回転自在に支持するための半円状の摺動部10aが形成されており、カムキャップ11、12の底部にはカムジャーナル4b、5bを回転自在に支持するための半円状の摺動部11a、12aが形成されている。すなわち、カムジャーナル4b、5bは、ジャーナル軸受け部10の摺動部10aおよびカムキャップ11、12の摺動部11a、12aによって回転自在に支持されている。
図2に示すように、シリンダヘッド2にはオイル供給通路14が形成されており、このオイル供給通路14は、図示しないオイルポンプから供給されるオイルをジャーナル軸受け部10とカムジャーナル4bとの間に供給するようになっている。
ここで、オイルポンプは、エンジン1の図示しないクランクシャフトによって駆動される機械式のオイルポンプでもよく、電動式のオイルポンプでもよい。なお、本実施形態の排気カム軸5は、カム軸を構成し、カムジャーナル5bは、排気カム軸5の摺動部を構成している。
このブローバイガスは、シリンダブロックに形成されたシリンダボア内に往復動自在に設けられたピストンのピストンリングと、シリンダボアとの隙間からシリンダブロック内側のクランクケース内に漏出する未燃焼ガスのことであり、このブローバイガスは多量の炭化水素を含むと同時にオイルを含む。このため、ブローバイガスを適切に処理しないと、エンジンオイルの早期劣化やエンジン1内部の錆の原因などになる。
側板部18は、シリンダヘッド2およびシリンダヘッドカバー3に設けられた点火プラグ20を避けるようにしてシリンダヘッドカバー3に波状に形成されており、側板部18およびシリンダヘッドカバー3の側面3aにはそれぞれシリンダヘッドカバー3の延在方向と直交方向に突出する衝突壁21が設けられている。なお、本実施形態のエンジン1は、点火プラグ20が3つ設けられた3気筒エンジンを示しているが、気筒数は、これに限定されるものではない。
そして、オイルが気液分離されたブローバイガスは、シリンダヘッドカバー3に設けられたブローバイガス排出管22を通して吸気通路に排出される。すなわち、クランクケース内に漏出したブローバイガスは、吸気通路で発生する吸気負圧によってブローバイガス還流通路、動弁室16を経てブリーザ室17に導入され、オイルが気液分離された後に吸気通路に排出され、新しい吸気と混ぜて燃焼されることにより処理される。
なお、オイル落とし穴23を含んだオイル落とし穴23の周囲のブリーザプレート19の部位は、オイル落とし穴23にオイルを集めるために、シリンダヘッド2側に窪んだ形状となっている。
また、カムキャップ12には連通孔25が形成されており、この連通孔25の上流端は、溝24に連通し、連通孔25の下流端は、カムキャップ12の摺動部12aに連通している。なお、上流端とは、オイルの流れ方向の上流側の端部を示し、下流端とは、オイルの流れ方向の下流側の端部を示す。
オイルポンプから吐出されるオイルは、オイル供給通路15を通してジャーナル軸受け部10の摺動部10aとカムジャーナル5bとの間に供給される。
一方、シリンダヘッドカバー3のブリーザプレート19に、カムキャップ12の上方に位置するようにオイル落とし穴23が形成され、カムキャップ12に、オイル落とし穴23から滴下されるオイルを受けて貯留する溝24と、溝24とカムキャップ12の摺動部12aとを連通する連通孔25とが形成される。
このため、ブリーザ室17によってブローバイガスから気液分離されたオイルは、オイル落とし穴23から動弁室16に滴下されてカムキャップ12の溝24に貯留され、連通孔25を通してカムキャップ12の摺動部12aとカムジャーナル5bとの間に供給される。
したがって、本実施形態のカム軸潤滑装置は、オイルポンプからカムジャーナル5bに供給するオイル量を少なくして、不足分をブローバイガスから気液分離されたオイルで補うことができ、オイルポンプを小型化することができる。
したがって、カムジャーナル5bの摺動抵抗が増大するのを防止してエンジン1の燃費が悪化するのを防止することができるとともに、カムジャーナル5bの焼き付けが発生するのを防止してエンジン1の性能が低下するのを防止することができる。
図7〜図13は、本発明に係る第2の実施形態のカム軸潤滑装置を示す図であり、第1の実施形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
図7〜図11において、ボルト13の頭部13aが当接するカムキャップ12のボルト着座面12cおよびボルト着座面12dのうちの一方のボルト着座面12dは、カムキャップ12の上面に対して下方であるシリンダヘッド2側に窪んだ形状をしており、本実施形態のカム軸潤滑装置は、このボルト着座面12dをオイル受け部として構成している。
カムキャップ12には連通孔31が形成されており、この連通孔31の上流端は、ボルト着座面12dに連通し、連通孔31の下流端はカムキャップ12の摺動部12aに連通している。このため、ボルト着座面12dに貯留されるオイルは、連通孔31を通してカムキャップ12の摺動部12aとカムジャーナル5bとの間に供給される。このため、カムジャーナル5bは、オイルポンプからオイル供給通路15を介して供給されたオイルとブローバイガスから気液分離されたオイルとによって潤滑される。
なお、連通孔の実施態様は、これに限定されるものではなく、図12、図13に示すように、カムキャップ12の一方のボルト挿通孔12bに連通孔32の上流端を連通し、カムキャップ12の摺動部12aに連通孔32の下流端を連通して、ボルト着座面12eがボルト挿通孔12bを介して連通孔32に連通されるようにしてもよい。
図14は、本発明に係る第3の実施形態のカム軸潤滑装置を示す図であり、第1の実施形態と同一の構成には同一番号を付して説明を省略する。
また、連通孔41の下流端は、カムジャーナル5bの軸線方向視において、その上流端の開口中心とカムジャーナル5bの中心軸Oとを結んだ直線Aがカムキャップ12の摺動部12aと交わる点Pを基準として、この基準点Pよりもカムジャーナル5bの回転方向下流側に位置している。なお、排気カム軸5の回転方向は、時計回転方向Rである。
このため、溝24に貯留されるオイルは、連通孔41を通してカムキャップ12の摺動部12aとカムジャーナル5bとの間に供給され、カムジャーナル5bは、オイルポンプからオイル供給通路15を介して供給されたオイルとブローバイガスから気液分離されたオイルとによって潤滑される。
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
Claims (2)
- シリンダヘッドと共にカム軸の摺動部を回転自在に支持するカムキャップと、前記カム軸の上部に位置するように前記シリンダヘッドに設けられ、ブローバイガスからオイルを分離する気液分離室を有するシリンダヘッドカバーとを含んで構成され、
前記シリンダヘッドカバーに、前記気液分離室で気液分離されたオイルを前記シリンダヘッドに滴下するオイル落とし穴が形成されたカム軸潤滑装置であって、
前記オイル落とし穴を前記カムキャップの上方の前記シリンダヘッドカバーの部位に形成し、
前記カムキャップが、前記オイル落とし穴から滴下されるオイルを受けて貯留するオイル受け部と、前記オイル受け部と前記カムキャップの摺動部とを連通する連通孔とを有し、
前記カムキャップが、ボルトによって前記シリンダヘッドに取付けられ、前記カムキャップのボルト着座面が、前記カムキャップの上面に対して下方に窪んで形成されることにより、前記オイル受け部を構成することを特徴とするカム軸潤滑装置。 - 前記連通孔が、前記オイル受け部に連通する上流端および前記カムキャップの摺動部に連通する下流端を有し、
前記下流端は、前記カム軸の軸線方向視において、前記上流端の開口中心と前記カム軸の中心軸とを結んだ直線が前記カムキャップの摺動部と交わる点を基準として、当該基準点よりも前記カム軸の回転方向下流側に位置することを特徴とする請求項1に記載のカム軸潤滑装置。
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