JP6114121B2 - 鋳造用凍結鋳型及び鋳物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造に使用する凍結鋳型鋳造法等に使用される鋳造用凍結鋳型の技術に関するものであり、詳しくは、鋳物の表面が肌理細かな地肌となる鋳造用凍結鋳型、及び鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の鋳物の製造方法に関するものである。
鋳造に使用する鋳造用凍結鋳型の技術とは、鋳造に必要となる十分な強度を凍結によって確保することが可能な鋳造技術で、鋳物砂の型ばらしを行った砂がそのまま鋳造用鋳物砂として再利用できる砂型の技術である。
鋳造用凍結鋳型の技術は、注湯することによって砂型が解凍しても砂粒子間の接着性を維持して機械的強度を確保できると共に、再利用の際には、型ばらしを行った砂をそのまま再使用して凍結時、解凍時の強度を制御することを可能とした鋳造用凍結鋳型及びその作製方法に関する技術が特許文献1等に記載されており公知である。
即ち、特許文献1には、凍結鋳型に熔融金属を注湯の際、凍結鋳型の解凍時の強度を所定以上に確保でき、同時に、凍結鋳型の鋳物砂の再利用に際しては、特別なプロセスを必要としないという技術を開示している。
具体的には、水分を含浸させ、−40℃〜0℃の範囲内の凍結条件下で凍結させることにより、鋳造時の強度を確保するようにした鋳造用凍結鋳型において、注湯することによって砂型の熔解した湯に接触する面の一部が解凍しても、砂粒子間の接着性を維持して強度を確保できるように砂型に無機系のゾルを添加した水分を含浸させた鋳造用砂型で、無機系のゾルをバインダーとし、鋳物砂中に、再利用する際に除去が必要となる材料を配合せず、型ばらしを行った砂をそのまま再使用でき、凍結時並びに解凍時の強度を確保するものである。
したがって、含浸した水分を凍結させることによって、鋳造時の強度を確保することが可能となり、含浸した水分の中に無機系のゾルを添加したものであるから、注湯によって凍結鋳型が解凍しても砂粒子間の接着性を維持して強度を確保できる。そして、鋳物砂を再利用する際には、型ばらしを行った砂をそのまま使用し、凍結時、解凍時の強度を確保することができる。更に、熱容量の小さい中子等の型として好適に使用することができる。
特開2009−166342
特許文献1では、凍結鋳型用の原料砂を285gの珪砂に質量比で5%となるように15gの水を加え、ニーダで3分間混練して調製した。また、この原料砂の配合をベースに、添加した水分量15gに対して、質量比5〜20%に相当する8%ポリビニルアルコール溶液(PVA)を加えてニーダにより3分間混練した。そして、水の代わりに、粒子径10〜20nmのシリカを(質量比で30%)含むシリカゾルを用い、それぞれ279gの珪砂と21gのシリカゾル及び270gの珪砂と30gのシリカゾルを、ニーダによって3分間混練して調製した。調製したそれぞれの型砂を、直径30mmの黒鉛型に入れ、ハンドプレスにより、略6MPaの圧力を加えながら、高さ30mmの円柱状になるよう成形し、これらの成形体を、−30℃の温度に保った冷凍室で24時間冷凍した後、凍結鋳型に熔融金属を注湯し、冷却して鋳物を作製している。
ところが、鋳物砂としては珪砂の多い砂を使用しており、かつ、その鋳物砂の粒径は10μm〜1000μmに中位径(≒平均粒子径)が存在するものが使用されており、注湯によって珪砂の砂型が解凍し、砂粒子間の接着性を維持できなくなったときには、部分的に崩壊し、例え、強度を確保できるように砂型に無機系のゾルを添加した水を含浸させた鋳造用砂型であっても、鋳物砂の粒径の10μm〜1000μmの10〜100倍の鋳物砂が、至る所で部分的に崩壊し、鋳物の肌の見栄えが低下し、見栄え良く全体仕上げ処理を行う必要があった。また、薄肉・軽量化については、設計値で効率の良い値を出しても、現実に薄肉・軽量化を満たす製品化を追求することは困難であった。
そこで、本発明は、かかる不具合を解決すべくなされたものであって、珪砂を主成分とする鋳物砂よりも肌理の細かい地肌を意匠面として得られ、鋳物の意匠面を仕上げ加工し直す必要性のない鋳造用凍結鋳型及び鋳物の製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる鋳造用凍結鋳型は、鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の上型及び下型及び/または中子からなる鋳型の強度を確保し、原型に接触する周囲位置には所定の厚みの範囲内の水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層を形成し、前記シラス層の外周は水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したものである。
ここで、上記鋳造用凍結鋳型は、鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を確保する公知の鋳造技術である。
また、上記シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層は、原型に接触する周囲位置に所定の厚み範囲内の水分を含浸させ、必要に応じてシリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルを添加した火山灰からなる内部凍結型を形成したものである。ここで、鋳物として得ようとする原型に接触して周囲位置に所定の厚み範囲内とは、シラス層の独立気泡による断熱効果、その熱伝導、使用した水分または無機系のゾルを添加した水分の蒸気圧の排出路の確保等によって、自ずと前記シラス層の厚みが決定される。また、その面積は必ずしも意匠面の全面に限定されるものではなく、例えば、エンブレム、社章、商標、意匠面の要部または精度を上げるのが望ましい操作部の位置のように部分的であってもよい。
そして、上記鋳型は、所定の厚み範囲内のシラス層の周囲に、水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したものである。
更に、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂を配し、前記シラス層を形成する火山灰の粒径が前記鋳物砂の珪砂の粒径よりも大きくし、前記珪砂を主成分とする鋳物砂のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造するものである。
加えて、鋳造用凍結鋳型は、鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の鋳物金属に使用され、融点よりも高い温度で液体にし、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める鋳物であれば使用できる。
なお、本発明において、シラス層を形成するシラスとは、「シラス台地」等の呼び名で知られている堆積層の「シラス(狭義のシラス)」またはそれを加工した「シラスバルーン」またはその両者の混合物からなる。この「シラス(狭義のシラス)」は、「白砂」または「白洲」を意味し、白色でサラサラした火山堆積物である。また、「シラスバルーン」とは、シラス(狭義のシラス)を粒度分級や比重分離して、シラス中の火山ガラスを選別、乾燥し、高温で熱処理して、火山ガラスの粒子を発泡させた中位径が20μm〜1.4mm程度の中空状の粒子である。両者の化学成分は鉱物成分や粒度組成、嵩比重等は産地によって差があるが、両者は、吸着力や透水性が高く、低嵩比重、不燃性、高融点、低熱伝導率、無色、無害、有毒ガスの発生が無いといった酷似した特徴を有している。
請求項2の発明にかかる鋳造用凍結鋳型の前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものである。
ここで、前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものである。
請求項3の発明にかかる鋳造用凍結鋳型の前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層を、中子に接触する周囲位置にも形成したものである。
ここで、前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層は、中子に接触する周囲位置に形成したものである。この場合には、一般的に意匠面とならない場合がある。
請求項4の発明にかかる鋳造用凍結鋳型の前記シラス層を形成するシラス及び/またはシラスバルーンは、その粒子の中位径が0.1mm〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内である。粒子の中位径が0.1mmよりも細かくなると、鋳物砂の間隙に入り込み効果が得られ難くなる。また、1.2mmを超えると、溶融しても、体積変化が大きくなり、地肌の凹凸が大きくなる。嵩比重が0.1よりも小さいと軽すぎて作業者が扱い難くなり、また、0.4g/cm3を超えると、溶融により体積変化が大きくなりすぎる。
請求項5の発明にかかる鋳物の製造方法は、鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を確保し、原型に接触する周囲位置には所定の厚み範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層を形成し、前記シラス層の外周に水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂で形成し、前記珪砂で形成した鋳型よりも肌理の細かい地肌として鋳込んだものである。
ここで、上記鋳物の製造方法は、鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を確保する公知の鋳造技術である。
また、上記シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層は、原型に接触する周囲位置に所定の厚み範囲内の水分を含浸させ、必要に応じてシリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルを添加した水分を含浸させ、火山灰からなる内部凍結型を形成したものであり、また、シリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルを添加した水分とすることもできる。ここで、原型に接触する周囲位置に所定の厚み範囲内とは、シラス層の独立気泡による断熱効果、その熱伝導、使用した水分の蒸気圧の排出路の確保等によって、自ずとその厚みが決定される。但し、その面積は必ずしも意匠面の全面に限定されるものではなく、部分的であってもよい。
そして、上記鋳型は、所定の厚み範囲内のシラス層の周囲に、水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したものである。
更に、上記珪砂で形成した鋳型よりも肌理の細かい肌地として鋳込むとは、珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したよりも肌理の細かいことを比較したものである。
更にまた、シラス層の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂を配し、前記珪砂を主成分とする鋳物砂のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造するものである。
加えて、鋳物の製造方法は、鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の金属に使用され、融点よりも高い温度で液体にし、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める鋳物であれば使用できる。
請求項6の発明にかかる鋳物の製造方法の前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものである。
ここで、前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものであり、有機系ゾルを除く意味である。
請求項7の発明にかかる鋳物の製造方法の前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層は、中子に接触する周囲位置にも形成し、それを鋳型に組み込み、鋳込んだものである。
ここで、前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層は、中子に接触する周囲位置に形成したものである。
請求項8の発明にかかる鋳物の製造方法の前記シラス層のシラス及び/またはシラスバルーンは、その粒子の中位径が0.1mm〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内である。粒子の中位径が0.1mmよりも細かくなると、鋳物砂の間隙に入り込み効果が得られ難くなる。また、1.2mmを超えると、溶融しても、体積変化が大きくなり、地肌の凹凸が大きくなる。嵩比重が0.1よりも小さいと軽すぎて作業者が扱い難くなり、また、0.4g/cm3を超えると、溶融により体積変化が大きくなりすぎる。
請求項1の鋳造用凍結鋳型は、鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を鋳込みにおいても確保する鋳造用凍結鋳型において、前記鋳造時の鋳型の原型に接触する周囲位置に所定の厚み範囲内の水分または必要に応じて無機系のゾルを含浸させた水分により火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層を造形し、その外側に、水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂を配したものである。
したがって、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層の熱伝導率が低く、断熱効果があり、また、軟化点温度、融点が高く、吸水率も小さいから、注湯したとき、シラス層の吸水率が小さく、少ない水分で形状保持する能力があるが、軽量で微動することによって水蒸気の排出路が形成でき、部分的に高い蒸気圧となる個所ができ難く、それによる部分崩壊が生じ難い。
また、注湯の際にシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層の断熱効果により、熱エネルギは徐々に放熱されるが、熔融と接触している軟化点及び融点が高いシラス層も、その表面が時間の経過と共に軟化する。しかし、熔湯がシラス層に与える力(圧力及び重量等)に対して鋳物砂側が熱伝導により温度が上昇していないから、シラス層の表面が比較的均一に軟化するだけでその他の形状変化が生じない。シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層の表面が時間の経過と共に軟化すると、熔湯に接触するシラス層の背後に生じるが蒸気圧は、鋳型に形成したベントホールを介して、または鋳物砂の隙間を介して大気に放出される。
そして、シラス層の溶融が順次進むと、その間に熔湯は流動性をなくすから、その影響がなくなり、前記珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳込むことができ、前記珪砂を主成分とする鋳物砂のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造することによって見栄えを良くすることができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、鋳物製品の薄肉化、軽量化が可能となり、鋳物の重量も軽量化可能となる。
本発明で使用する火山灰からなるシラス層及び水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂は、鋳造作業中に臭気及び煙が発生しない。また、熔湯の熱により注湯後20〜30分で自然に崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動や騒音、粉塵の発生を大幅に抑制することができる。
そして、火山灰からなるシラス層と珪砂を主成分とする鋳物砂とは、混在していてもその後の鋳込みに支障がなく、かつ、鋳物砂に有機系の結合剤を添加する必要がないから、鋳物砂の再生にかかる廃砂が殆ど生じず、産業廃棄物の削減が行える。
加えて、鋳造用凍結鋳型は、鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の金属に使用され、融点よりも高い温度で液体にし、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める鋳物の造形に使用できる。
請求項2の鋳造用凍結鋳型の前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、シリカゾルまたはジルコニアゾルがシラス層のシラスに対してバインダーとして機能し、注湯によってシラス層の凍結が解凍しても鋳型形状が維持され、前記珪砂で形成した鋳型よりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
請求項3の鋳造用凍結鋳型の前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層は、中子に接触する外周囲位置に形成したものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、中子に接触する外周囲位置にも火山灰からなるシラス層を形成したものであるから、意匠面のみならず、内部の構造の仕上げを精度よく鋳込み、前記珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
請求項4の鋳造用凍結鋳型の前記シラス層のシラス及び/またはシラスバルーンは、その粒子の中位径が0.1〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、シラス層は特定の厚み範囲内で形成したものであるから、水分を補給する際のニーダによる混練が容易になり、また、それを使用する造形も容易になる。
請求項5の鋳物の製造方法は、鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を鋳込みにおいても確保する鋳物の製造方法において、前記鋳造時の鋳型の原型に接触する周囲位置に特定の厚み範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層を形成し、その外側に、水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂を形成したものである。
したがって、シラス層の熱伝導率が低く、断熱効果があり、また、軟化点温度、融点が高く、吸水率も小さいから、注湯したとき、シラス層の吸水率が小さく、少ない水分で形状保持する能力があるが、軽量で微動することによって水蒸気の排出路が形成でき、部分的に高い蒸気圧となる個所ができ難く、それによる部分崩壊が生じ難い鋳造を行える。
また、注湯の際にシラス層の断熱効果により、熱エネルギは徐々に放熱されるが、熔融と接触している軟化点及び融点が高いシラス層も、その表面が時間の経過と共に軟化する。しかし、熔湯がシラス層に与える力(重量等)に対して鋳物砂側が熱伝導により温度が上昇していないから、シラス層の表面が比較的均一に軟化するだけでその他の形状変化が生じない。シラス層の表面が時間の経過と共に軟化すると、熔湯に接触するシラス層の背後に生じるが蒸気圧は、鋳型に形成したベントホールを介して、または鋳物砂の隙間を介して大気に放出される。
そして、シラス層の溶融が順次進むと、その間に熔湯は冷却されて流動性をなくすから、その影響がなくなり、前記珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳込むことができ、前記珪砂を主成分とする鋳物砂のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造することによって見栄えを良くすることができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、鋳物製品の薄肉化、軽量化が可能となり、鋳物の重量も軽量化可能となる。
本発明で使用する火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層及び水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂は、鋳造作業中に臭気及び煙が発生しない。また、熔湯の熱により注湯後20〜30分で自然に崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動や騒音、粉塵の発生を大幅に抑制することができる。
そして、火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層と珪砂を主成分とする鋳物砂とは、混在していてもその後の鋳込みに支障がなく、かつ、鋳物砂に有機系の結合剤を添加する必要がないから、鋳物砂の再生にかかる廃砂が殆ど生じず、産業廃棄物の削減が行える。
加えて、鋳物の製造方法では、鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の鋳物金属に使用され、融点よりも高い温度で液体にし、型に流し込み、冷やして目的の鋳物を造形することができる。
請求項6の鋳物の製造方法の前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものであるから、請求項5に記載の効果に加えて、シリカゾルまたはジルコニアゾルがシラス層に対してバインダーとして機能し、注湯によってシラス層の水が解凍しても鋳型形状が維持され、形状が維持されるから、前記珪砂で形成した鋳型よりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
請求項7の鋳物の製造方法の所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層は、中子に接触する外周囲位置に形成したものであるから、請求項5または請求項6に記載の効果に加えて、中子に接触する外周囲位置にも火山灰からなるシラス層を形成したものであるから、意匠面のみならず、内部の構造の仕上げを精度よく鋳込み、前記珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
請求項8の鋳物の製造方法の前記シラス層を形成するシラス及び/またはシラスバルーンは、粒子の中位径が0.1〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であるから、請求項6乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、シラス層は特定の厚み範囲内で形成したものであるから、水分を補給する際のニーダによる混練が容易になり、また、それを使用する造形も容易になる。
図1は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法を説明する鋳型の断面図で、(a)は下型の製造、(b)は下型の反転、(c)は下型の上に上型を形成する場合の説明図である。 図2は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において意匠面をシラス層で形成した状態を説明する鋳型の断面図である。 図3は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において意匠面をシラス層で形成した原型を外した状態を説明する鋳型の断面図である。 図4は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において中子を装着した状態を説明する鋳型の断面図である。 図5は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において意匠面及びその内側の面にもシラス層を形成した中子を装着した状態を説明する鋳型の断面図である。 図6は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において鋳造した銅合金鋳物の斜視図である。 図7は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法で使用する鋳物砂(三河6号)の50倍の顕微鏡写真である。 図8は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法で使用する鋳物砂(三河6号)の100倍の顕微鏡写真である。 図9は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において使用する鋳物砂(三河6号)の粒度分布図である。 図10は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法で使用するシラスバルーンの50倍の顕微鏡写真である。 図11は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法で使用するシラスバルーンの100倍の顕微鏡写真である。 図12は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において使用するシラスバルーンの粒度分布図である。 図13は本発明の実施の形態の鋳物の製造方法において使用するシラス層の温度変化を示す概念的な説明図で、(a)は鋳込み前、(b)は鋳込み初期、(c)は鋳込み後所定の時間経過後である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示した同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態の鋳造用凍結鋳型である鋳型について説明する。
本実施の形態において鋳物用珪砂は、粘土分2%以下で、二酸化ケイ素(SiO2)の含有量が95%以上のJIS規格品を使用している。
ここでは二酸化ケイ素(SiO2)が結晶してできた石英を多量に含む砂である珪砂を主成分とする鋳物砂18を前提に説明するが、鋳物砂18は必ずしも珪砂のみの成分ではなく、必要に応じて他の公知の鋳型としての材料が添加されることもある。
また、本発明を実施する場合には、これらの規格から外れたものでは実施できないとの意味ではない。特に、JISにおいて、珪砂は天然の珪砂粒及びこれを水洗いとか篩い分け等の加工した天然珪砂と、大きい粒子の天然珪砂や珪岩等を破砕加工して製造した人造珪砂に大別されているが、何れも実施可能である。
本実施の形態で使用した人工珪砂は、愛知の三河珪砂を使用した。使用した種類の「三河6号」は、SiO2が98.23wt%、Al23が0.61wt%、Fe23が0.30wt%、K2Oが0.13wt%等が化学的な主成分である。また、強熱減量0.27%で、粒度分布は概略、53μmが0.6wt%、75μmがwt3.0%、106μmが10.8wt%、150μmが23.4wt%、212μmが41.4wt%、300μmが17.4wt%、425μmが3.2wt%となっている。中位径が180〜200μmの範囲内にあるものを使用した。これは実施の形態として使用したものである。なお、第三者が公表しているインターネットの情報には、「三河6号」の粒度分布が現実とは相違しているものがある。本発明は実測値である。
また、火山灰としての二次シラスの化学分析は、重量比でSiO2が71.4wt%、TiO2が0.25wt%、Al23が13.65wt%、Fe23が0.76wt%、FeOが1.55wt%、CaOが1.88wt%、Na2Oが3.36wt%、K2Oが2.7wt%等を化学的な主成分としている。これは鹿児島県産の火山灰であるが、他県産においても化学的主成分が大きく相違するものではなく、他県産のものでも同様に使用できる。
次に、本実施の形態の鋳物の製造方法で使用する鋳造用凍結鋳型について説明する。
図1(a)〜(c)は本実施の形態の鋳造用凍結鋳型の一例を示すもので、下型11、上型12及び中子20を有している。上型12には熔湯50(図13参照)を注入させるための湯口14(図2)が設けられる。下型11及び上型12は下枠15及び上枠16で形成されている。これらは全体が公知の鋳物砂18を用いて鋳型として製品を鋳込む型に形成されるものである。
具体的には、図1(a)のように、下枠15の図1の上面開口側を定盤(しょうばん)31の上に載せた状態(下枠15の天地逆の状態)で、鋳型の原型下型13aを入れ、1〜10mmの厚み、特に、作業性及び仕上がりの物理的特性から好ましくは、3〜5mmの厚みで原型下型13aの周囲に水分を含ませた火山灰としてのシラスに水分を付与し、ニーダ等で混練し、混練調整したシラスを入れ、シラス層17を形成しながら、鋳物砂18を入れてハンドプレス等により突き固める。
そして、下枠15の上面開口側の上下を反転し、定盤31を取り去り、原型上型13bを鋳物砂18に埋まっている原型下型13aの上に載せる。このとき、図示の位置決め孔13c(複数)は、原型上型13bの突起13d(複数)を嵌合させることにより、正確な位置決めができる。
下型11の上に上枠16を載せ、原型下型13aの周囲に対しても、1mm乃至10mmの厚み、好ましくは3〜5mmの厚みで原型下型13aの周囲に火山灰としてのシラスを入れシラス層17を形成しながら、鋳物砂18を入れて盛り上げ、突き固める。現実には、鋳物砂18を入れて突き固める前に、湯口棒を立ててから、鋳物砂18を入れて突き固め、湯口14を形成する。
湯口14を形成する湯口棒を抜き、上型12を持ち上げ、下型11と離して反転する。下型11の上表面には上型12と下型11の離れを容易にするために離型剤として雲母粉を振りかけておき、分離が用意にしておいてもよい。
そして、上型12、下型11から、図3に示すように、それぞれ原型下型13a及び原型上型13bを抜き取り、図4に示すように、予め、別の場所で制作し、乾燥しておいた砂製の中子20を下型11に嵌め込み、上型12をそこに載せる。
このとき、中子20を正確な位置に置くために、原型下型13a及び原型上型13bには両端に幅木とよぶ突起を設けておき、上型12、下型11のこの突起に対応する窪みに中子20の両端が嵌るように設定しておく。このようにして、中子20を嵌めた下型11に上型12を組み合わせると鋳型が完成する。なお、この間に、水蒸気圧を大気側に排出し、また、冷却の際には冷凍室で冷気を型内に導く機能の、図示しないベントホールが複数形成される。このベントホールは、MAXで0.3φ、通常、0.28φ程度が使用される。
銅合金鋳物等の金属を湯口14から鋳込む場合、上型12が溶融金属によって浮くので、これに耐えるように十分な重しを上型12の上に載せておくか、下枠15の取手15a及び上枠16の取手16aとの間をきつく縛るか。ストッパーをセットするか。またはスプリングで両者間にテンションを付与しておく必要がある。
次に、本実施の形態では、中子20を嵌めた下型11に上型12を組み合わせ、下枠15の取手15a及び上枠16の取手16aとの間をきつく締めた状態で、−40℃の冷凍室に入れ、全体を冷凍状態とし、水分を使用した個所を完全凍結状態とする。
なお、ここでは、全体を冷凍状態とする旨を説明したが、本発明を実施する場合には、注湯する湯の流れに沿って冷気を流し、湯路を最高凍結温度としてもよい。
次に、冷凍室から取り出して、必要に応じて、上型12、下型11を組み立てた後、既に組付けられたものでは、その温度が、所定の温度まで上昇した状態で、湯口14より熔湯50を注湯する。熔湯50は、例えば、1300〜1400℃に溶融した銅合金鋳物であり、これを注入することにより鋳型の間の下型11の空隙21、上型12の空隙22に湯が充填される。このとき上型12、下型11には前述したように空隙21及び空隙22の意匠面には、火山灰としての二次シラスを入れシラス層17が形成されているから、十分な耐熱性、耐火性があり、下型11及び上型12の意匠面の表面を損傷することがない。
即ち、火山灰のシラスからなるシラス層17は、熱伝導率が0.05〜0.09kcal/m.hr.cと低く、注湯された湯、即ち、熔融金属に対して断熱効果があり、また、軟化点温度が900〜1000℃、融点が1200〜1300℃と高く、吸水率も5〜15%と小さい。そのため、例えば、吸水率が5〜15%と小さいことは、熔融金属がシラス層17のシラス面51(図13参照)のみが加熱され、このシラス面51を高温状態にする際に高温高圧の水蒸気の発生が多く生じず、また、仮に、高温高圧の水蒸気の発生が生じたとしても、鋳物砂18の砂間、ベントホールを介して分散されるから、火山灰のシラスからなるシラス層17が型崩れする要因がなくなる。
また、熱伝導率が0.05〜0.09kcal/m.hr.cが低いことは、熔融金属がシラス層17の内面側のシラス面51を高温状態にしても、その反対側の外面側では、温度上昇が少なく、かつ、その影響が鋳物砂18まで伝わり難いから、溶融金属の流体としての性質が低下してから伝熱されるので、シラス層17及び鋳物砂18の形状保持時間が長くなり、鋳物の表面の地肌が良くなる。
そして、注湯された熔融金属に対して軟化点温度が900〜1000℃、融点が1200〜1300℃と高いと、部分的に溶融金属の温度によって溶融するものが生じても、その流動性によって流れることがなく、断熱特性等により維持されるから、湯路に部分崩壊が生じないから、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できる。更に、軟化点及び融点が高く、注湯の際にシラス層17(シラス面51)の断熱により、熱エネルギは徐々に放熱され、シラス層17の崩壊が少ないから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成した鋳型よりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
即ち、火山灰のシラスからなるシラス層17は、熱伝導率が低く、断熱効果があり、また、軟化点温度、融点が高く、吸水率も小さい。故に、シラス層17の吸水率が小さくても形状保持する能力があるから、注湯したとき、少ない水分が高温高圧蒸気になるが、軽量のシラス粒子が微動することによって水蒸気の排出路が形成でき、部分的に高い蒸気圧となる個所ができ難い。また、それによるシラス層17のない壁面の部分崩壊も生じ難い。
特に、注湯の際に火山灰のシラスからなるシラス層17の断熱効果が強くても、熱エネルギは徐々に放熱されるが、熔融と接触している軟化点及び融点が高いシラス層17のシラス面51は、その表面が時間の経過と共に軟化する。しかし、熔湯50がシラス層17に与える下型11の空隙21、上型12の空隙22を拡張しようとする膨張力に対して鋳物砂18側が熱伝導により温度が上昇していないから、シラス層17の内側表面が比較的均一に軟化するだけでその他の形状変化が生じない。シラス層17の表面のシラス面51が時間の経過と共に軟化すると、熔湯50に接触するシラス層17に生じるが蒸気圧は、鋳物砂18の隙間を介して、鋳型に形成したベントホールを介して大気に放出される。
そして、火山灰のシラスからなるシラス層17のシラス面51の溶融が順次進むと、その間に熔湯50の温度が低下し、流動性が低下するから、シラス層17の内面は軟化したシラス層17の内面のシラス面51の形状が鋳物の肌理の細かい地肌として鋳込むことができ、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳込むことができ、珪砂を主成分とする鋳物砂18のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造することができ、その見栄えを良くすることができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の表面の研磨等の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、鋳物製品の薄肉化、軽量化が可能となり、鋳物の重量も軽量化可能となる。
本発明で使用する火山灰のシラスからなるシラス層17及び水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18は、有機物を含まないから、鋳造作業中に臭気及び煙が発生しない。また、熔湯50の熱により注湯後20〜30分で自然に凍結が溶けて鋳物砂18が崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動や騒音、粉塵の発生を大幅に抑制することができる。
そして、火山灰からなるシラス層17と珪砂を主成分とする鋳物砂18とは、鋳物砂18が混在していてもその後の鋳込みに支障がなく、かつ、鋳物砂18に有機系の結合剤を添加する必要がないから、鋳物砂18の再生にかかる廃砂が殆ど生じず、産業廃棄物の削減が行える。
加えて、この鋳物の製造方法で使用する鋳造用凍結鋳型は、鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の金属に使用され、融点よりも高い温度で液体にし、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める鋳物の造形に使用できる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、精度の高い鋳物が形成でき、鋳物表面の切削加工等の仕上げ加工が不要となる。また、その肉厚の薄肉化も可能となり、鋳物製品の軽量化が可能となり、鋳物重量も軽量化可能となる。
本発明で使用する火山灰からなるシラス層17は、水を添加したものであるが、シラス層17に粘りを得たい場合には、水または無機系のゾル、例えば、シリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルを添加すればよい。
また、火山灰のシラスからなるシラス層17は、熱伝導率が0.05〜0.09kcal/m.hr.cと低く、注湯された熔湯50金属に対して断熱効果があり、また、軟化点温度が900〜1000℃、融点が1200〜1300℃と高く、吸水率も5〜15%と小さいが、ここで発生した水蒸気は、その圧力によってシラス層17から鋳物砂18に移動し、そこで分散されて鋳物砂18の隙間を通ってまたは図示しないベントホールを介して上型12から発散される。このとき、珪砂を主成分とする鋳物砂18にシリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルが添加されていても、勿論、水だけであっても、容易に水蒸気が鋳物砂18から発散できる。
本実施の形態では、このようにして、注湯した後、十分に冷却し、鋳型から取り出すことによって望ましい意匠面を持った図6に示す鋳物30が得られる。
鋳造時の鋳型の原型13の周囲位置には、所定の厚みの範囲の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層17を形成し、シラス層17の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18を配置し、シラス層17を形成する火山灰の粒径と鋳物砂18の粒径に拘ることなく、例えば、意匠面の特定ヵ所または全面が、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造したものである。
更に詳述すると、図13(a)に示すように、シラス層17が形成された断面を拡大すると、シラス層17の各シラス17a,17b,17c,17d,17eは、カ大きさ及び形状が様々である。図13(a)の左側が下型の空隙21または上型の空隙22となるもので、シラス層17が形成するシラス面51を形成している。
ここで、図13(b)に示すように、下型の空隙21(22)に熔湯50を供給すると熔湯50は高温の時でも水のように粘度が小さいものではなく、比較的粘度が高い流体であります。したがって、図13(a)に示すシラス17aとシラス17bとの間の僅かな隙間には入れないで、図13(b)に示すシラス17a’とシラス17b’との間のように熔湯50が入らない僅かな隙間を残す状態となる。隙間でなくともシラス17d’のように小さいとその先端まで熔湯50が辿り着かない場合がある。
このとき、各シラス17a’,17b’,17c’,17d’,17e’は、断熱特性が高いので、シラス層17が形成するシラス面51側が高温となり、軟化状態となり、更に時間の経過により、流動性を有する状態となる。特に、シラス面51側に凸部が形成されていると、広い面積から加熱され、各シラス17a’,・・・17d’,17e’の該当箇所の温度上昇が高くなる。ところが、熔湯50は比重が重いので、シラス層17が形成するシラス面51に対して垂直に押圧力を付与する。供給するときには、流動性を有しており、シラス面51に対して大きな押圧力を付与するが、温度の降下と共に、それが小さくなる。
例えば、図13(b)に示すように、各シラス17a’,・・・17d’,17e’のシラス面51側は、熔湯50との接触面積により、各シラス17a’,・・・17d’,17e’の体積、熱伝導率が小さく、その断熱特性によって軟化し、シラス層17が形成するシラス面51に対して垂直に熔湯50の押圧力が付与されるから、部分的に軟化していた部分、及び溶融していた部分は流動性を持ち、シラス層17が形成するシラス面51に対して垂直方向の押圧力を受ける。
このとき、各シラス17a”,・・・17d”,17e”のシラス面51側は、比較的平面的に流体移動する。この状態で温度が各シラス17a”,・・・17d”,17e”の水分の除去と鋳物砂18への熱伝導、及びシラス層17から鋳物砂18への放熱と共に冷却され、熔湯50の温度が降下し、図13(c)に示すように、熔湯50が硬化する。
したがって、シラス層17が形成するシラス面51は、凹凸の少ない面として仕上げることができる。
[実施の形態2]
上記実施の形態1においては、別な個所において鋳物砂18で形成した中子20を挿入するものであるが、この中子20も所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層37に接触する位置に形成することもできる。
即ち、図5において、中子20の外周に所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層37を形成する。
鋳物30の下型11の空隙21の外面、上型12の空隙22の外面にシラス層17が位置し、また、下型11の空隙21の内面、上型12の空隙22の内面側にシラス層37が位置することになり、シラス層17及びシラス層37の吸水率は5〜15%と小さいから、ここで発生した蒸気は、その圧力によってシラス層17及びシラス層37から珪砂を主成分とする鋳物砂18に侵入し、そこで分散されて珪砂を主成分とする鋳物砂18の隙間を通って下型11、上型12から発散される。このとき、珪砂を主成分とする鋳物砂18にシリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルが添加されていても、勿論、水だけであっても、容易に水蒸気が鋳物砂18から発散できる。
また、シラス層17及びシラス層37は、熱伝導率が低いことから、一重のシラス層17及びシラス層37のシラス面51に断熱形成され、また、軟化点温度が900〜1000℃、融点が1200〜1300℃と高いが、熔湯50の温度がそれ以上であることから、上型12、下型11の空隙21及び空隙22に注湯された湯が移動し、流体抵抗を小さくした状態で注湯することができる。
この実施の形態においても、火山灰としてのシラスを入れシラス層37が形成されているから、十分な耐熱性、耐火性があり、下型11の内面及び上型12の内面の表面を損傷することがない。
鋳造時の鋳型の原型13の周囲位置には、所定の厚みの範囲の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層17を形成し、シラス層17の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18を配置し、例えば、意匠面の特定ヵ所または全面が、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造し、更に、例えば、意匠面以外も特定ヵ所または全面が、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造されるものである。
このように、本実施の形態1及び実施の形態2として示した鋳造用凍結鋳型、銅合金鋳物、鋳物の製造方法は、水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18は、有機物を含んでいないので鋳造作業中に臭気及び煙が発生しない。また、環境汚染にならない。
また、火山灰のシラスからなるシラス層17及び鋳物砂18は、中子20を有していても、有していなかっても、熔湯50の熱により注湯後20〜30分で自然に崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動付加、それによる騒音発生、粉塵の発生を大幅に抑制できる。
[実施例]
上記実施の形態では、市販のシラス(商品名PB−20)を使用した。中位径0.45mm、嵩比重0.1〜0.2の材料である。
ここで、本実施の形態の中位径は、レーザ回折・散乱法によって測定したものである。なお、本発明を実施する場合には、「ふるい分け試験」によって粒径を出してもよい。
ここで、「ふるい分け試験」とは、JIS−Z−8801によって規定された目開きをもつ標準ふるいを用いて、測定対象となる粉末をふるい分けることによって粒度分布を測定する試験方法をいうものである。標準ふるいなどを用いて行う粒径,粒径分布を測定する方法のことである。粒径と、粒径分布の表現は、使用したふるいの目開き(μm)とふるい上残量(オーバサイズ)またはふるい下通過量(アンダーサイズ)の全体に対する比率で表される。
JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折・散乱法(島津製作所製)によって測定した値である。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
なお、本実施の形態での上記数値は、厳格なものでなく、製品毎の誤差があり、測定等による誤差を含むと1割程度以下の誤差の混入を否定するものではない。しかし、この誤差の観点から見ると、正規分布を呈しており、レーザ回折・散乱法によって得られた平均粒子径と中位径の差も数パーセント以下で僅少であった。
発明者は、火山灰の粒径の最適なサイズについて究明した。結果的に、粒径は正規分布を示すものであるから、中位径=平均粒子径と見做しても両者の違いは数パーセント内であり、誤差と見做される程度である。
資料1として、中位径75μm、嵩比重0.17〜0.21
資料2として、中位径60μm、嵩比重0.28〜0.35
資料3として、中位径0.1mm、嵩比重0.07〜0.16
資料4として、中位径0.2mm、嵩比重0.15〜0.23
資料5として、中位径0.45mm、嵩比重0.10〜0.20
資料6として、中位径1.2mm、嵩比重0.12〜0.26
資料7として、中位径1.6mm、嵩比重0.15〜0.30
で実験を行った。
資料1の中位径75μm、資料2の中位径60μmでは、火山灰の粒径が小さく、シラス層17,37の厚みでは、自己の形状保持力に乏しく、また、吸水率5〜15%で保持させる場合、湯の流れによって剥離が形成されたりするので、バインダーとして、例えば、シリカゾルまたはジルコニアゾル等の無機系のゾルが添加される必要性があった。
それでも、シラス層17,37の粒径の細かさが肌地に現れることよりも、断熱効果が生じても、水分による水蒸気圧が随所で高くなり、それによる影響で、シラス層17,37が部分的に崩壊する結果、肌理の細かい地肌が形成できなかった。このとき、水蒸気の流れが、シラス層17,37内で生じている可能性も有る。発明者の私見であるが、火山灰が独立して気泡を有しているが、それが小さすぎて断熱効果が大きくないとも推定される。しかし、鋳物砂18のみで形成した鋳物よりも地肌は綺麗に仕上がった。シラス層17,37の効果は確認された。
資料3の中位径0.1mm、資料4の中位径0.2mm、資料5の中位径0.45mm、資料6の中位径1.2mmは、比較的良い結果がでた。火山灰の粒径が大きくなると、シラス層17,37の厚み1〜10mmでは、自己の形状保持力が強くなり、また、吸水率5〜15%で保持させる場合でも、湯の流れによって剥離されない保持力が生じ、その厚みから断熱膨張に対しても、シラス層17,37が崩れることなく、鋳物砂18側に湯が入ることによる外方向の押圧力を加え形状を維持する。したがって、資料1及び資料2のように、バインダーの添加は必ずしも必要がない。勿論、添加を禁止するものではなく、鋳物の形態によってはバインダーの添加を必要とするものもある。
また、資料7の中位径1.6mmのものでは、火山灰の粒径が大きくなりすぎ、シラス層17,37の厚み2〜10mmでは、吸水率5〜15%で保持させる場合でも、自己の形状保持力が逆に弱くなり、また、湯の流れによって剥離される抵抗が大きくなる。また、その厚みから断熱膨張に対しても、シラス層17,37が崩壊しやすくなり、また、空隙20に湯が入ることによる外方向の押圧力を鋳物砂18側に加え形状を維持するが、シラス層17,37の粒径が大きくなり、鋳物砂18の部分的な水蒸気圧の影響で、鋳物の地肌に対する影響力が大きくなるから、資料7の中位径1.6mm以上でないのが望ましい。しかし、鋳物砂18のみで形成した鋳物よりも地肌は綺麗に仕上がっている。
このように、シラス層17,37を形成するに好ましい粒径は、入手できる材料に限りがあるが、発明者の実験によれば、嵩比重によっても変化すると思われる。それを考慮すると0.1〜1.2mmまでの中位径のものが望ましいことが判明した。なお、嵩比重によっても変化することも判明したが、嵩比重の変化に対応する粒径の大きさに関する資料がないので、最大で2〜3割程度の変化があると判断するのが妥当である。
したがって、資料3乃至資料5の中位径0.1〜1.2mmは、好ましい状態として使用できる。
特に、当該シラス層17,37の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18を配置して、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造する場合には、鋳物砂18の粒径よりも小さい粒径の火山灰を用いるのが一般的な考えである。しかし、使用した中位径が40〜45μmの範囲にある「三河6」は、資料3乃至資料5の中位径0.1〜1.2mmに比較して粒径が小さくなっており、鋳物砂18の粒径の大きさよりも大きな材料によって、肌理の細かい地肌として鋳造するものである。
上記実施例では、シラス層17,37として堆積層の「シラス(狭義のシラス)」を使用した。しかし、「シラス(狭義のシラス)」を処理して火山ガラスの粒子を発泡させた中位径が20μm〜1.4mm程度の「シラスバルーン」でも、化学成分、鉱物成分、粒度組成は同様であり、嵩比重等は更に小さくなっているので実験を行った。
鋳物砂18としては、三河6を使用した。粒径は図9に示すように212μmにピークがあり、中位径が200μm程度である。形状は図7及び図8に示すとおり、全体が角張っている。また、シラスバルーンとしては、ウインライトWB−9011(株式会社アクシーズケミカル販売)を使用した。粒径は図12に示すように150μmにピークがあり、中位径が160μm程度である。形状は図10及び図11に示すとおりであり、全体が丸みを有している。
化学成分は、重量比でSiO2が75〜77wt%、AL23が12〜14wt%、
Fe23が1〜2wt%、Na2Oが3〜4wt%、K2Oが2〜4wt%等を主成分としている。また、吸湿量は0.08〔%〕(24時間・重量%)、熱伝導率が0.05〜0.07kcal/m.hr.c、軟化開始温度が850〜1000〔℃〕、融点が1200〜1300℃、強度が80〜100kg/cm2(2分間静水圧をかける)である。シラスバルーンからなるシラス層17,37も、シラスからなるシラス層17,37も特性的には近似していることが分る。
使用商品は、平均粒径170μmを中心にした白色バルーンからなるウィンライトWBタイプ(白色 粉末状)で、中位径が150〜180μm、嵩比重0.18〜0.24である。
この実施例では、「シラス(狭義のシラス)」を用いたシラス層17,37が、広い範囲で実施できることが確認できたので、次に、シラスバルーンの嵩比重0.18〜0.4のサンプルを用意した。
資料8 三河4(800μm程度)と中位径が150〜180μmシラスバルーン
資料9 三河6(200μm程度)と中位径が50〜70μmのシラスバルーン
資料10 三河8(70μm程度)と中位径が30〜50μmのシラスバルーン
に対して実験を行った。結果は、何れも良好な結果を得た。
そして、他との組み合わせ実験を行った。組み合わせを
資料11 三河6(200μm程度)と中位径が150〜180μmのシラスバルーン
資料12 三河8(70μm程度)と中位径が50〜70μmのシラスバルーン
とすると、良好な肌理の細かい肌地として鋳込むことができた。
そこで、発明者は各種の実験を行った結果、鋳物砂18の粒子の中位径の±50%以内の中位径のシラスバルーンと組み合わせるのが好適であることが判明した。より好ましくは、鋳物砂18の粒子の中位径の±30%以内の中位径のシラスバルーンと組み合わせるのが好適である。
特に、独立気泡を有したシラスバルーンは、比重が小さく吸湿量が小さいことが、如何に反応するかが実験のポイントであった。しかし、吸湿量が小さくても水分を含浸したシラスバルーンは、特定の形状を維持し、かつ、珪砂を主成分とする鋳物砂18との接合も良好に行われ、結果、「三河4」乃至「三河8」の何れも鋳物砂18のみで鋳造したものよりも、肌理の細かい肌地として鋳込むことができた。その仕上がりから、シラスバルーンであれば限界値を意識する必要のないことが確認された。
また、比重が小さく吸湿量が小さいことから、無機系のゾルを添加させた水分を含浸させると、シラス層17,37に対して無機系のゾルがバインダーとして機能し、注湯によってシラス層17,37の水が解凍しても鋳型形状が維持され、前記珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができた。
特に、注湯の際にシラスバルーンからなるシラス層17,37の断熱効果により、熱エネルギは徐々に放熱されるが、熔融と接触している軟化点及び融点が高いシラスバルーンからなるシラス層17,37も、その表面が時間の経過と共に軟化する。しかし、熔湯50がシラス層17,37に与える下型11の空隙21、上型12の空隙22を拡張しようとする膨張力に対して鋳物砂18側が熱伝導により温度が上昇していないから、シラスバルーンからなるシラス層17,37の内側表面が比較的均一に軟化するだけでその他の形状変化が生じない。シラス層17,37の表面が時間の経過と共に軟化すると、熔湯50に接触するシラス層17,37に生じるが蒸気圧は、鋳物砂18の隙間を介して、鋳型に形成したベントホールを介して大気に放出される。
そして、シラスバルーンからなるシラス層17,37の溶融が順次進むと、その間に熔湯50の温度が低下し、流動性が低下するから、シラスバルーンからなるシラス層17,37の内面は軟化したシラス層17,37の内面の形状が鋳物の肌理の細かい地肌として鋳込むことができ、鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳込むことができ、珪砂を主成分とする鋳物砂18のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造することができ、その見栄えを良くすることができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の表面の研磨等の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、鋳物製品の薄肉化、軽量化が可能となり、鋳物の重量も軽量化可能となる。
ここで、シラス層17,37を形成するは、粒子の中位径が0.1mm〜1.2mmの範囲内であれば、粒子の中位径が0.1mmよりも細かくなると、鋳物砂の間隙に入り込み効果が得られ難くなり、また、ニーダ等で混練する際に軽量で混練でき難くなり、かつ、断熱効果が体積が小さいので期待できない。逆に、中位径が1.2mmを超えると、1個の粒子の溶融による体積変化が大きくなりすぎ、その軟化により、地肌の凹凸が大きくなる。したがって、中位径が0.1mm〜1.2mmの範囲内が望ましい。
また、嵩比重についても、0.1よりも小さいと軽すぎて作業者が火山灰のシラス、シラスバルーンを扱い難くなり、また、それだけ空乏を有することを意味するから、火山灰のシラス及び/またはシラスバルーンが弱く、脆くなる。また、0.4g/cm3を超えると、火山灰のシラス及び/またはシラスバルーンが溶融した時、その1個の体積変化が大きくなりすぎる。したがって、火山灰のシラス及び/またはシラスバルーンシラス層17,37を形成する火山灰は、粒子の中位径が0.1mm〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であることが望ましい。
次に、発明者は、シラス層17,37の厚みについて究明した。
シラス層17,37の厚みは、0.5〜10mmまで実験を行った。0.5mmではシラス層17,37を均一に形成することが無理であり、和紙等にシラス層17,37の面を形成して使用すると、効果があることが確認できた。しかし、1mm以上の厚みであると直接原型13の周囲に設けることができる。特性的に3〜5mmの範囲の厚みが望ましい。しかし、場所によっては、層を形成し難い位置があるので、その場合には、作業性から厚くならざるを得ないが、水蒸気の排出路を考慮すると火山灰の粒径の中位径0.1〜1.2mmでは10mm厚以内にするのが望ましい。
本発明の実施の形態で使用した資料1乃至資料6の嵩比重は、0.07〜0.35g/cm3の範囲であったが、好ましい実施を行える資料の嵩比重は、発明者の概算では、0.07〜0.26g/cm3の範囲と特定した。断熱性を論理的にみれば、比重が小さい方が好ましいが、本発明を実施する場合には、断熱性のみではなく、湯の流動性、膨張性等の含水量等が総合的に評価する必要性があるから、発明者の実験によると、本発明の実施の形態で使用できるのは、0.1〜0.3g/cm3の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.4g/cm3の範囲であると判断される。なお、各粒径毎に嵩比重の異なるものが販売されていないので、正確なデータを得ることはできなかった。
本発明の実施の形態の鋳造用鋳型は、鋳物砂18に含浸させた水分を凍結させることにより、鋳造時の上型12及び下型11及び/または中子13からなる鋳型の強度を確保して鋳込む鋳造用凍結鋳型において、前記上型12及び下型11及び/または中子13からなる鋳型の原型13(13a,13b)の周囲に2〜10mmの厚み範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成し、その外側に、水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた鋳物砂18を配置したものである。
したがって、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の熱伝導率が低く、断熱効果があり、また、軟化点温度、融点が高く、吸水率も小さいから、注湯したときでも、吸水率が小さく部分的に高い蒸気圧となる個所ができ難く、それによる部分崩壊が生じ難い。また、軟化点及び融点が高く注湯の際にシラス層の断熱により、熱エネルギは徐々に放熱され、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37シラス層の崩壊が少ないから、前記珪砂を主成分とする鋳物砂18よりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。また、シラス層17,37及び/または鋳物砂18から発生する高温蒸気の逃げ道が閉ざされないから、安定した冷却に入ることができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、その肉厚の薄肉化が可能となり、鋳物製品の軽量化が可能となり、鋳物重量も軽量化可能となる。
本発明で使用する火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37及び水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18は、鋳造作業中に臭気及び煙が発生しないので労働環境が悪くならない。また、熔湯50の熱により注湯後20〜30分で自然に崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動や騒音、粉塵の発生を大幅に抑制することができる。
そして、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37と珪砂を主成分とする鋳物砂18とは、当然ながら、鋳物砂18に有機系の結合剤を添加する必要がないから、鋳物砂18の再生にかかる廃砂が殆ど生じず、産業廃棄物の削減が行える。
上記実施の形態の鋳造用鋳型の水分を含浸させたシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37には、更に、無機系のゾルを添加させたものでは、シラス層17,37に対して無機系のゾルがバインダーとして機能し、注湯によってシラス層17,37の水が解凍しても鋳型形状が維持され、前記珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
また、上記実施の形態の鋳造用鋳型の無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルがシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37に対してバインダーとして機能し、注湯によってシラス層17,37の水が解凍しても鋳型形状が維持されるから、前記珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成した鋳型よりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させたシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37は、中子20の外周に形成したものであるから、下型11の空隙21の外面及び内面、上型12の空隙22の外面及び内面に湯が充填される。このとき上型12、下型11には前述したように空隙21の外面及び空隙22の外面は意匠面として機能し、空隙21の内面及び空隙22の内面は機能面として機能し、流体抵抗の低下等の特徴を持たせることもできる。
この実施の形態においても、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層37が形成されているから、十分な耐熱性、耐火性があり、下型11の内面及び上型12の内面の表面を損傷することがない。
上記実施の形態の鋳造用鋳型のシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成する火山灰は、粒子の中位径が0.2mm〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であるから、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37と鋳物砂18とは、格別選別・分離を行わなくても、選別・分離作業を行わないことによる支障は生じない。
他の発明の実施の形態の銅合金鋳物は、鋳物砂18に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、上型12及び下型11及び/または中子13からなる鋳型の強度を確保する鋳造用凍結鋳型において、上型12及び下型11及び/または中子13からなる鋳型の原型13(13a,13b)の周囲に2〜10mmの厚み範囲内の水を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成し、その外側に、水または無機系のゾルを添加した水を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18を配し、前記珪砂を主成分とする鋳物砂18よりも肌理の細かい肌地として鋳込んだものである。
したがって、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の熱伝導率が低く、断熱効果があり、また、軟化点温度及び融点が高く、吸水率も小さいから、注湯したとき、一部のみが部分的に高い蒸気圧となる個所ができ難く、当然、それによる部分崩壊が生じ難い。また、軟化点及び融点が高く注湯の際にシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の断熱により、熱エネルギは徐々に放熱され、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の崩壊が少ないから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
また、軟化点及び融点が高く、注湯された湯がシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37に直接触れても、吸水率が小さいから、高い蒸気圧が発生する前による断熱により、水または無機系のゾルを添加した水を含浸させて形成した珪砂を主成分とする鋳物砂18を通過し、それによる部分崩壊が生じ難い。そして、注湯の温度がシラス層17,37から伝熱され、放熱された熱エネルギは、その間に徐々に温度降下し、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の崩壊が少ないから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、その肉厚の薄肉化が可能となり、鋳物製品の軽量化が可能となり、鋳物重量も軽量化可能となる。
本発明の実施の形態で使用する火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37及び水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18は、鋳造作業中に臭気及び煙が発生しない。また、熔湯50の熱により注湯後20〜30分で自然に崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動や騒音、粉塵の発生を大幅に抑制することができる。
本実施の形態の銅合金鋳物の水を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37には、更に、無機系のゾルを添加させたものであるから、シラス層17,37に対してバインダーとして機能し、注湯によってシラス層17,37の水が解凍しても鋳型形状が維持され、形状が維持されるから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
また、銅合金鋳物に対して、シリカゾルまたはジルコニアゾルがシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37に対してバインダーとして機能し、注湯によってシラス層17,37の水が解凍しても鋳型形状が維持され、形状が維持されるから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
更に、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成する火山灰は、粒子の平均粒子径が0.2mm〜1mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.3g/cm3の範囲内であるから、火山灰からなるシラス層17,37と珪砂を主成分とする鋳物砂18とは比重の大きな違いにより、振動を付与すると火山灰のみが上面に集まり、両者の分離が容易である。シラス層は2〜10mmの厚み範囲内で形成したものであるから、10回以上の鋳造によって1回の火山灰と珪砂との選別作業を行えばよく、通常は、選別作業を行わないことによる支障は生じない。火山灰がシラスバルーンを形成し、比重が小さいので、珪砂との区別が容易である。
上記発明の銅合金鋳物の製造方法は、鋳物砂18に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の上型12及び下型11及び/または中子13からなる鋳型の強度を確保する鋳造用凍結鋳型において、上型12及び下型11及び/または中子13からなる鋳型の原型13(13a,13b)の周囲に2〜10mmの厚み範囲内の水を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成し、その外側に、水または無機系のゾルを添加した水を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成した発明の実施の形態とすることができる。
したがって、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の熱伝導率が低く、断熱効果があり、また、軟化点温度及び融点が高く、吸水率も小さいから、注湯したときでも、部分的に高い蒸気圧となる個所ができ難く、また、軟化点及び融点が高く注湯温度またはそれ以上であり、注湯された湯がシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37に直接触れても、吸水率が小さいから、高い蒸気圧が発生する前による断熱により、鋳物砂18の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させて通過し、それによる部分崩壊が生じ難い。また、注湯の温度がシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37から伝熱され、放熱された熱エネルギは、その間に徐々に温度降下し、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の崩壊が少ないから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
このように、鋳物の表面の肌理の細かい地肌が形成できることは、鋳物の仕上げ加工が不要となり、かつ、精度の高い鋳物が形成できることになり、その鋳物の肉厚の薄肉化、鋳物製品の軽量化が可能となる。
本実施の形態で使用する火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37及び水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂18は、鋳造作業中に臭気、煙が発生しない。また、熔湯50の熱により注湯後20〜30分で自然に崩壊するので、従来の型ばらし作業における振動や騒音、粉塵の発生を大幅に抑制することができる。そして、火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37と珪砂を主成分とする鋳物砂18とは、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37は2〜10mmの厚み範囲内で形成したものであるから、通常は、選別作業を行わないことによる支障は生じない。当然ながら、鋳物砂18に有機系の結合剤を添加する必要がないから、鋳物砂18の再生にかかる廃砂が殆ど生じず、産業廃棄物の削減が行える。
本実施の形態の銅合金鋳物の製造方法の所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス層37は、中子20の外周に形成したものであるから、下型11の空隙21の外面及び内面、上型12の空隙22の外面及び内面に湯が充填されるとき、上型12、下型11には前述したように空隙21の外面及び空隙22の外面は意匠面として機能し、空隙21の内面及び空隙22の内面は機能面として機能し、流体抵抗の低下等の特徴を持たせることもできる。
この実施の形態においても、実施の形態1に加えて、火山灰としてのシラスを入れシラス層37が形成されているから、十分な耐熱性、耐火性があり、下型11の内面及び上型12の内面の表面を損傷することがない。
本実施の形態の銅合金鋳物の製造方法の前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたものであるから、シリカゾルまたはジルコニアゾルがシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37に対してバインダーとして機能し、注湯によってシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37の水が解凍しても鋳型形状が維持され、形状が維持されるから、珪砂を主成分とする鋳物砂18で形成したよりも肌理の細かい肌地として鋳込むことができる。
本実施の形態の銅合金鋳物の製造方法のシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成する火山灰は、粒子の中位径が0.1mm〜1mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であるから、火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37と珪砂を主成分とする鋳物砂18とは、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37は2〜10mmの厚み範囲内で形成したものであるから、通常は、選別作業を行わないことによる支障は生じない。火山灰がシラスバルーンを形成し、比重が小さいので、珪砂との区別が容易である。
上記実施の形態では、シラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層17,37を形成する火山灰の粒径が0.2mm〜1mmの範囲内、鋳物砂18の珪砂の粒径が10μm〜100μm(本実施例では40〜45μmの範囲内)の範囲内よりも大きくし、珪砂を主成分とする鋳物砂18のみで形成したよりも肌理の細かい地肌として鋳造するものであり、一般的に使用される鋳物砂の珪砂の粒径が10μm〜100μm(本実施例では40〜45μmの範囲内)の範囲内以上の火山灰の粒径が0.2mm〜1mmの範囲内のものを使用するものであるが、発明者が実験をした資料2の粒径が中位径60μmであったことから、シラス層17,37を形成する火山灰の粒径が鋳物砂18の珪砂の粒径以上と特定することができる。
上記実施の形態では、鋳物の製造方法は、鋳物製品の材料から特定できるように、鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の金属に使用でき、融点よりも高い温度で液体にし、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める型取りをするものである。また、鋳造用鋳型は、鋳型から見た技術として捉えており、詳しくは、鋳造用凍結鋳型である。
また、銅合金鋳物と特定したのは、本発明の実施例にも示しており、製造コストが最も廉価になるが、他に鉄、アルミ合金、銅、銅合金等の金属の鋳込みにも使用できる。
本発明の実施の形態としては、鋳物砂に含浸させた水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を確保する鋳造用凍結鋳型を前提として発明者が各種の実験を行ったが、鋳型鋳造法であれば使用可能であるから、生鋳型鋳造法(手込造型及び機械造型)、乾燥型鋳造法、自硬性鋳型鋳造法、熱硬化型鋳型鋳造法(シェルモールド法)、ガス硬化型鋳造法、消失模型鋳造法(LFCまたはフルモールド法)、Vプロセス鋳造法、凍結鋳型鋳造法の何れにも使用できる可能性がある。
11 下型
12 上型
13 原型
13a 原型下型
13b 原型上型
14 湯口
15 下枠
16 上枠
17,37 シラス層
18 鋳物砂
20 中子
21 下型の空隙
22 上型の空隙
50 熔湯
51 シラス面

Claims (8)

  1. 鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を確保して鋳込む鋳造用凍結鋳型において、
    前記鋳型の原型に接触する周囲位置には、所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層を形成し、当該シラス層の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂を配置してなることを特徴とする鋳造用凍結鋳型。
  2. 前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたことを特徴とする請求項1に記載の鋳造用凍結鋳型。
  3. 更に、前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層は、中子に接触する周囲位置にも形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋳造用凍結鋳型。
  4. 前記シラス層のシラス及び/またはシラスバルーンは、粒子の中位径が0.1〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の鋳造用凍結鋳型。
  5. 鋳物砂に含浸させた水分または無機系のゾルを添加した水分を凍結させることにより、鋳造時の鋳型の強度を確保して鋳込む鋳物の製造方法において、
    前記鋳造時の鋳型の原型に接触する周囲位置には、所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層を形成し、当該シラス層の周囲には水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた珪砂を主成分とする鋳物砂で形成し、前記珪砂を主成分とする鋳物砂を配し、前記珪砂を主成分とする鋳物砂で形成したよりも肌理の細かい地肌とすべく鋳込んだことを特徴とする鋳物の製造方法。
  6. 前記無機系のゾルは、シリカゾルまたはジルコニアゾルとしたことを特徴とする請求項5に記載の鋳物の製造方法。
  7. 更に、前記所定の厚みの範囲内の水分または無機系のゾルを添加した水分を含浸させた火山灰からなるシラス及び/またはシラスバルーンからなるシラス層は、中子の外周にも形成し、それを鋳型に組み込み、鋳込んだことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の鋳物の製造方法。
  8. 前記シラス層のシラス及び/またはシラスバルーンは、粒子の中位径が0.1mm〜1.2mmの範囲内で、嵩比重が0.1〜0.4g/cm3の範囲内であることを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか1つに記載の鋳物の製造方法。
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