JP6112074B2 - 耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法とその方法で製造された耐候性鋼材。 - Google Patents

耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法とその方法で製造された耐候性鋼材。 Download PDF

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本発明は、耐候性鋼材の表面に緻密なさびを早期に形成させる方法およびその方法で製造された耐候性鋼材に関する。
耐候性鋼は自然環境における乾湿繰り返し環境により、数年で腐食に対して保護性のある緻密なさび層を形成する。この緻密なさび層は保護性さびと言われており、この保護性さびが形成された後は、腐食速度が大きく低下することが知られている。
これまでに、この保護性さびを早期に形成させる方法が検討されてきた。また最近では、構造物を建造した当初から、構造物の表面を保護性さびが形成された状態にするニーズが高まっており、着実かつ早期に保護性さびを形成させる方法が待ち望まれている。
一方、保護性さびが形成されるまでに数年かかるため、それまでの期間中に赤さびや黄さび等の浮きさびや流れさびを生じてしまい、外観的にも好ましくなく、周囲の環境汚染にもなるという問題がある。この流れさびを生じることなく、保護性さびを形成させる方法として、保護性さび形成補助処理方法がある。この保護性さび形成補助処理方法は、保護性さびの形成に長時間を要する場合が多いので、保護性さびの形成を促進させる方法が種々検討されてきた。
特許文献1には、「鋼表面のほとんど全部が0.3重量%以上のCr、Cu、P、Niの一種あるいは二種以上を含有するα−FeOOHで構成されるさび層で覆われていることを特徴とする耐候性に優れた処理鋼材」が開示され、この鋼材を得るためのさび層形成方法として、「鋼材表面あるいは鋼材のさび層に、0.2〜12.0重量%のクロム(III)イオンを含む水溶液および/または0.3〜7.0重量%の銅(II)イオンを含む水溶液を塗布した後、あるいは、前記水溶液とFe、P、Niイオンのうちの一種あるいは二種以上を0.1〜10.0重量%含む水溶液との混合水溶液を塗布した後、鋼材表面に形成されたさび層にOHを供給し、pH7を超える環境とする方法」また「鋼材の表面あるいは鋼材のさび層に、0.2〜12.0重量%のクロム(III)イオンを含む水溶液および0.3〜7.0重量%の銅(II)イオンを含む水溶液の少なくとも一方の水溶液の和の0.005〜2倍の重量を有するα−FeOOHの粉末との混合溶液を塗布する方法」が開示されている。
特許文献2には自由な彩色が可能であるとともに、長期の耐候性を有する鋼材として、「下層にα−FeOOH被膜、上層に有機樹脂被膜が被覆された表面処理鋼材」が開示され、下層のα−FeOOH皮膜形成方法の例として、「(a)サンドブラスト→Cr、Cu処理→アルカリ処理→水洗→乾燥(α−FeOOH皮膜厚5μm)、および(b)工業地帯での屋外暴露20年→ワイヤブラシケレン→水洗→温風乾燥(α−FeOOH皮膜厚50μm)」が開示されている。
特許文献3には「表面に非晶質さびを50重量%以上含有するさび層を有する鋼材」が開示され、この鋼材を得るための方法として、「露点温度が一定に保持された雰囲気に保持し、該雰囲気内で該鋼材の温度を「露点+5℃」以上の温度域と「露点温度−5℃」以下の温度域との間で繰り返し変動させる方法」が開示されている。
また、特許文献4には、「鋼材表面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする鉄さびとZn系化合物とを含有するブチラ−ル樹脂からなる樹脂皮膜により、外観均一性に優れる耐候性鋼材」が開示されている。
特許第2884941号公報 特開平6−322549号公報 特開平11−256307号公報 特許第3578056号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、安定さび層が不均一に形成され、耐食性が不十分であることに加え、流れさびや点さびによる外観不良が起こるという問題がある。
特許文献2に記載の発明では、地鉄とα−FeOOH皮膜の密着性、およびα−FeOOH皮膜と有機樹脂皮膜の密着性の少なくともいずれかが不安定であり、施工時または施工後の暴露中に部分的な剥離や塗膜浮き上がりが発生する場合があるという問題がある。
特許文献3に記載の発明では、煩雑な温度制御と複雑な制御装置が必要であり、実際に使用する鋼材を処理するためには大きな装置が必要であり、かつ均一なさび形成が起こらず、さびが形成した鋼材の耐流れさび性などの品質安定性に問題がある。
特許文献4に記載の発明では、処理膜中に添加したさびにより、同質のさびを優先的に形成させる特徴を有するが、構造物等の建造期間中である2〜3ヶ月で安定さびを形成するには至らなかった。
そこで発明者らは、保護性さびを構成している緻密なさびを早期に鋼材表面に形成させる方法について、種々の検討をおこなった。
本発明では、緻密さびを優先的に形成させる方法として、α−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とするさびを含有するブチラ−ル樹脂からなる樹脂層を利用し、大気腐食環境への暴露や鋼材表面の樹脂層への人為的な水スプレ−塗布やふき取りなどの操作による影響を調査することにより、前記課題を解決する緻密さびの早期形成方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために、前記樹脂層が形成された耐候性鋼材を、大気腐食環境に暴露したり、人為的な水スプレ−塗布やふき取りなどの操作を行い、樹脂層下の鋼材面での乾湿繰り返しを起こして、樹脂層と地鉄界面での緻密さび形成を偏光顕微鏡での消光さびの観察にて調査した。その結果、鋼材表面に適度な乾湿繰り返し環境を与えることにより、樹脂層下での緻密さびの形成が早期に達成できることを知見した。
即ち、前記樹脂層を形成した耐候性鋼材において、種々の乾湿繰り返し条件において、短時間の水膜の存在では、処理層下の鋼材部分まで十分な水分が浸透しないため、腐食反応が進行せず緻密さびの形成もおこらない。
また、前記鋼材を水没させるなど厚い水膜によって処理膜下の鋼材が長時間濡れた状態で、かつ長時間乾燥しない状態になった場合には、さびの形成は起こるものの緻密なさびとなりにくい。そこで、前記樹脂層下において緻密さびを形成させるためには、適度な濡れ状態と適度な乾燥状態を与えることが重要であり、適度な乾湿繰り返しを行なうことにより、前記樹脂中の成分の効果によって短期間で緻密なさびを形成させる方法を見出した。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 鋼材表面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする鉄さびを含有する樹脂層が形成された耐候性鋼材の表面を濡れ状態にして1時間以上保持し、その後乾燥状態にして1時間以上保持する乾湿繰り返しの操作を1日に1サイクル以上行うことを特徴とする耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
[2] 前記濡れ状態は、耐候性鋼材を相対湿度95%以上の環境に保持して得るか、または耐候性鋼材の表面に水を塗布して水膜を形成させて得ることを特徴とする[1]記載の耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
[3] 前記乾燥状態は、耐候性鋼材を相対湿度60%以下の環境に保持して得るか、または耐候性鋼材の表面に形成した水膜を除去して得ることを特徴とする[1]記載の耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
[4] 前記水膜のpHが4〜8である事を特徴とする[2]または[3]に記載の耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
[5] 鋼材表面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする鉄さびを含有する樹脂層が形成された耐候性鋼材において、鋼材と樹脂層との界面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする緻密さびが形成していることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の方法で製造された耐候性鋼材。
本発明によれば、短期間(鋼構造物を建造中)で樹脂層下に緻密さびが形成され、同時に樹脂層に上塗り塗装も可能となり、建造物が完成当初から鋼材には緻密さびが形成された鋼構造物の建造が可能となった。
以下、本発明について具体的に説明する。
発明者らは、前記樹脂層を形成した耐候性鋼材において、種々の乾湿繰り返し条件における調査を行った。樹脂層を塗布した鋼材では、短時間の水膜の存在では、樹脂層下の鋼材部分まで十分な水分が浸透しないため、腐食反応が進行せず緻密さびの形成もおこらない。また、前記鋼材を水没させるなど厚い水膜によって樹脂層下の鋼材が長時間濡れた状態で、かつ長時間乾燥しない状態になった場合には、さびの形成は起こるものの緻密なさびとなりにくい。
緻密さびの形成を行うには、ショットブラストなどにより鋼材表面を清浄化した後、α−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする鉄さびを含有する樹脂層を形成させて、乾湿繰り返し環境とすることが必要である。樹脂層の膜厚が薄い場合には、樹脂層中の鉄さびによる緻密さび形成効果が不十分であるばかりか、腐食反応により発生したFeイオンが樹脂層外に流れ出して流れ錆が発生してしまう場合がある。また厚すぎる場合には、樹脂層を通して水が浸透するための時間がかかってしまう。そこで、前記樹脂層は平均膜厚として5μm以上かつ50μm以下とする。さらに好ましくは、10μm以上かつ30μm以下である。
上述したように、前記樹脂層下において緻密さびを形成させるためには、適度な濡れ状態と適度な乾燥状態を与えることが重要であり、適度な乾湿繰り返しを行なうことにより、前記皮膜中の成分の効果によって短期間で緻密な錆を形成させることができる。
具体的には、処理膜下の鋼材へ水を浸透させるためには水スプレ−や水の刷毛塗りまたは相対湿度95%以上の環境で1時間以上の濡れ状態とすることである。樹脂層の厚さにもよるが、前記樹脂層の厚さが平均10〜20μmの場合には1時間で鋼材界面に水が浸透して、腐食反応が開始できる条件となった。
前記濡れ状態を1時間以上保持した鋼材を乾燥させるために、エアブロ−やふき取り、または相対湿度60%以下の環境に保持させたとき、鋼材面での塗れ状態が解消されるまでに1時間必要であった。
そこで、上記乾湿繰り返しの環境として、鋼材表面を1時間以上の濡れ状態と1時間以上の乾燥状態を繰り返し行うこととした。
通常の大気腐食環境下において形成されるさびはα−FeOOHとγ−FeOOHに大別されるが、粗大な皮膜を形成するγ−FeOOHに比べて、α−FeOOHは微細で緻密なさびを作り易い。さびの構造が緻密であれば、物理的に大気腐食環境を遮断しやすく、腐食反応を低減することができる。
また、α−FeOOHは化学的にも安定であり、水分や酸素が共存しても反応したりすることがないので上層の樹脂層と安定な界面を作ることができる。
本発明における緻密さびとは偏光顕微鏡にて消光するさび(α−FeOOHは消光、γ−FeOOHは発光する)であり、鋼材表面を連続的または不連続的に覆うさび層である。
本発明における緻密なさびを形成可能な鋼(耐候性鋼材)としては、構造用鋼として必要な溶接性や強度を備えた耐候性鋼(JIS G3114)やより耐候性に優れる高耐候性鋼(JIS G3125)などが好適に使用できる。
本発明における濡れ状態とは、鋼材表面の樹脂層の表面が水膜で覆われている状態または水を接触させた状態であり、鋼材の結露またはスプレ−や刷毛などによる強制的な水分塗布、屋外での降雨などの方法がある。また乾燥状態とは、鋼材表面の樹脂層の表面に水分がなく乾燥している状態であり、加温や周囲の相対湿度が低いことによる水分の蒸発やエアブロ−やふき取りなどの水分の物理的除去などの方法がある。
本発明の乾燥時の相対湿度は60%以下が良い。より効果的にこの状態を達成させるために、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。
緻密さび早期形成方法における温度条件
緻密さび早期形成方法における温度条件は5℃〜40℃の所謂一般的な常温環境で行う事が好ましい。5℃以下では、低温のためさび形成速度が遅くなり、40℃を超える環境は、一般に得難く、独立にチャンバーや室などで昇温させる必要があるので、大型鋼構造物の場合には温度維持が困難であり、また経済的な点からも困難を伴うからである。ただし、前述の問題を解決できるならば80℃程度までは、温度を上げる事は問題がない。
水膜のpH:4〜8
水膜のpHが4以下では、鋼の腐食速度が急激に上昇するとともに、OHイオンの供給が少なくなるので、さび層の形成が阻害される。一方、pH8以上では、さび層の形成速度が小さくなる。よって水膜のpHは4〜8の範囲とするのがよい。通常の水道水、河川水、地下水などは本範囲にあり、これらの水を水膜塗布のための水として使用する事ができる。
本発明における非晶質さびとは鉄さび(FeとOとHからなる化合物であって鉄の酸化物、水酸化物の単体または混合物)であって、非晶質成分を50%以上含むものをいう。鉄さび中の非晶質成分は、同鉄さび中の結晶成分をX線回折により同定・定量化し、前記鉄さびの全量から差し引くことにより定量できる。非晶質さび中には50%未満のα−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、Fe、Fe、FeOなどの結晶成分のほか、不可避的に混入する不純物が含まれてもよい。さらに、結晶成分においては、α―FeOOHが主成分であることが必要である。すなわち、結晶成分中のα―FeOOHは50%以上であることが必要である。
樹脂層中には緻密さびの形成を助長するため、Zn、Mo、W、V、P、Ni、Co、Al系化合物から選ばれる1種または2種以上を含有しても良い。
本発明での樹脂層に用いるベース樹脂はブチラール樹脂が良い。ブチラール樹脂は親水性に優れ、吸湿率が数10%と高いため、樹脂層下の鋼材面に腐食反応に必要な水を短期間で透過・供給することができ、安定さびの早期形成を図る本発明の目的にかなう樹脂だからである。また、湿度が極めて高い腐食環境の厳しい状況で用いる場合には、ブチラール樹脂をイソシアネート系の硬化剤で架橋・反応させたものや、フェノール系樹脂と混合して水酸基濃度を低下させたものをベース樹脂として適用することにより、系全体の吸水率を適当な値に低減させてもよい。
非晶質さびは微細である方が好ましい。非晶質さびが微細であれば、この微細非晶質さびが存在する環境で新たに生成する鉄さびが微細となるためである。さび粉末の大きさを示す指標として、BET法でさびの比表面積を測定した場合、良好な非晶質さび粉末の大きさは比表面積で30m/g以上である。なお、好ましくは50m/g以上、より好ましくは120m/gである。
微細さび形成に影響を及ぼさない化合物を前記樹脂層に添加することが出来る。例えば、着色顔料や処理剤の安定化のために添加する紫外線防止剤や沈殿防止剤などの添加剤を添加することができるが、これら添加剤の含有量が多くなると耐候性能が劣化するので、耐候性の観点から、これら添加剤の総量は、非晶質さび質量100に対する質量比で50以下が好ましい。なお、より好ましくは30以下である。また、本発明では、前記ブチラール樹脂に、さらに、Zn化合物によるさび安定化効果の増大に寄与するMo、W、V、P、Ni、Co、Al系化合物の1種または2種以上を添加することができる。
また、本発明の方法で処理された鋼材に、さらに色調を安定させるなどの目的で樹脂層の上に種々の表面処理を施すことができる。
表1に示す化学成分を有する各鋼材から150mm×70mm×6mmの試験片を採取し、試験片表面をショットブラストで清浄化し、残存油分をアルコールで除去後試験片とした。
Figure 0006112074
得られた試験片の片面に表2に示す処理条件で、鉄さび(α−FeOOHまたは非晶出さびが50%以上のさび)を含有する樹脂層(樹脂層A〜D)とそうでない樹脂層(樹脂層E、F)を形成させた。
Figure 0006112074
そして、表3に示す各種条件で前記試験片を処理して、処理後の鋼材の断面試料を作成し、偏光顕微鏡にて樹脂層下のさび層の調査を行いその結果を表3の評価欄に記載した。樹脂層の下にできているさびが偏光顕微鏡下で消光している場合(α−FeOOH)には○、偏光している場合(γ−FeOOH)には×、消光層と偏光層が混在している場合には△、さびが形成していない場合は◆として評価した。ここで、消光層とは、さび層の断面を偏光顕微鏡で観察した場合、さび層中に暗視野として観察されるさび層の事であり、編光層とは、明視野として観察されるさび層の事である。
Figure 0006112074
No.1〜15は発明の範囲を満足する発明例であり、例えば、No.1は鋼種Aの試験片に樹脂層Aが平均乾燥膜厚10μmに塗布され、本試験片を濡れ条件:純水シャワー2時間、乾燥条件:水膜ふきとり除去2時間を1サイクルとして10サイクル(40時間)行った。処理日数は5日(120時間)であるので残時間80時間は相対湿度61〜85%の大気環境に保持され、緻密さびが形成されたことがわかる。
No.3は相対湿度95〜100%の環境に1時間保持、相対湿度30〜40%の環境に3時間を1サイクルとして60サイクル(240時間)行った。処理日数は10日(240時間)であるので、残時間はないことがわかる。
No.13は3つの条件の組合せ例であり、濡れ条件:水道水シャワー10時間、乾燥条件:相対湿度30〜60%2時間を1サイクルとして2サイクル(24時間)、次に濡れ条件:屋外降雨2時間、乾燥条件:水膜ふきとり除去5時間を1サイクルとして3サイクル(21時間)、次いで濡れ条件:水道水シャワー10時間、乾燥条件:相対湿度50〜60%2時間を1サイクルとして5サイクル(60時間)の合計105時間乾湿を繰り返した。処理日数は10日(240時間)であるので、残時間135時間は相対湿度61〜85%の大気環境に保持され、緻密さびが形成されたことがわかる。
No.16〜20は比較例であり、No.16は樹脂層が薄すぎ、No.19は樹脂層が厚すぎ、No.17、18は樹脂層の種類が異なり、No.20は樹脂層が形成されていないので、いずれも緻密さびが形成されなかった。
本発明により、短期間で耐候性鋼に保護性さびの本質である緻密さびを形成することができるため、橋梁などの鋼構造物の建造期間中に耐候性鋼材表面の全面または部分的に緻密なさびを形成させ、構造物完成時直後から保護性さびの形成状態または保護性さびの形成が開始している状態を達成することができ、景観を重視した橋梁などの鋼構造物へ広く適用することができる。

Claims (5)

  1. 鋼材表面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする鉄さびを含有する樹脂層が形成された耐候性鋼材の表面を濡れ状態にして1時間以上保持し、その後乾燥状態にして1時間以上保持する乾湿繰り返しの操作を1日に1サイクル以上行い、鋼材と樹脂層との界面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする緻密さびを形成させることを特徴とする耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
  2. 前記濡れ状態は、耐候性鋼材を相対湿度95%以上の環境に保持して得るか、または耐候性鋼材の表面に水を塗布して水膜を形成させて得ることを特徴とする請求項1記載の耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
  3. 前記乾燥状態は、耐候性鋼材を相対湿度60%以下の環境に保持して得るか、または耐候性鋼材の表面に形成した水膜を除去して得ることを特徴とする請求項1記載の耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
  4. 前記水膜のpHが4〜8である事を特徴とする請求項2または3に記載の耐候性鋼材の緻密さび早期形成方法。
  5. 鋼材表面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする鉄さびを含有する樹脂層が形成された耐候性鋼材において、鋼材と樹脂層との界面にα−FeOOHまたは非晶質さびを主成分とする緻密さびが形成していることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の方法で製造された耐候性鋼材。
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