本発明に基づいた各実施の形態および実施例について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態および実施例の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。各実施の形態および各実施例の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
[実施の形態]
(全体構成)
図1〜図21を参照して、本実施の形態における近接センサ530について説明する。図1は、近接センサ530を示す斜視図である。図2は、近接センサ530の分解した状態を示す斜視図である。図3は、図1中のIII−III線に沿った矢視断面図である。図4は、図1中のIV−IV線に沿った矢視断面図である。図5は、近接センサ530に備えられる検出コイル部210の近傍を拡大して示す断面図である。図6は、近接センサ530に備えられる検出コイル部210の内部構造を模式的に示す斜視図である。
図1〜図6を参照して、近接センサ530は、検出領域内に磁界を発生させて検出対象の接近または有無を検出する誘導形の近接センサである。近接センサ530により検出される検出対象は、導電性の物体である。近接センサ530により検出される検出対象は、代表的には、鉄などの磁性金属であるが、銅またはアルミニウムなどの非磁性金属であってもよい。
近接センサ530は、仮想上の中心軸102(図3,図4)に沿って円柱状に延伸する外観を有する。近接センサ530は、検出コイル部210(図3〜図6)と、前面カバー20(コイルケース)と、プリント基板50(図3〜図6)と、ベース金具60と、流動制御部材66と、クランプ80と、リングコード70とを備える。
検出コイル部210は、検出対象の接近または有無を検出する検出部として設けられている。検出コイル部210は、磁界を発生する。検出コイル部210は、検出領域と向かい合う近接センサ530の前端側に設けられている。検出コイル部210は、コア体40と、電磁コイル36(図3〜図5)と、コイルスプール30(図2〜図5)と、コイルピン46(図3〜図6)とが組み合わさって構成されている。
コア体40は、高周波特性の良い材料、たとえばフェライトから形成されている。コア体40は、検出コイル部210のコイル特性を高めるとともに、磁束を検出領域に集中させる機能を有する。電磁コイル36は、コイル線であって、コイルスプール30に巻回されている。電磁コイル36は、中心軸102を中心に巻回されている。中心軸102は、電磁コイル36の巻回中心軸でもある。
コイルスプール30(スプール体)は、電気絶縁性を有する樹脂から形成されている。コイルスプール30は、コア体40に形成された環状の溝の内部に収容されている。コイルピン46は、導電性の金属から形成されている。コイルピン46は、コイルスプール30により支持されている。コイルピン46は、検出コイル部210からプリント基板50の側に向けて延出する形状を有する。コイルピン46の延びる先は、プリント基板50上に形成されたパターン50P(図6参照)に、図示しないはんだを用いて接続されている。
検出コイル部210から延出するコイルピン46の根元部には、コイルスプール30の外周上から引き出された電磁コイル36の先端37が巻き付けられている。電磁コイル36とプリント基板50とは、コイルピン46および図示しないはんだを介して互いに電気的に接続されている。
検出コイル部210は、前面カバー20(コイルケース)内に収容されている。前面カバー20は、樹脂から形成されている。前面カバー20は、熱可塑性樹脂から形成されている。前面カバー20は、たとえば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の、熱可塑性樹脂部122を形成する熱可塑性樹脂との接着性がよい材料から形成されている。前面カバー20は、検出コイル部210を収容する前端カバーとして設けられている。前面カバー20は、円筒形状を有するベース金具60の前端を閉塞する。前面カバー20は、主に、検出コイル部210を外部雰囲気から遮断し、保護するために設けられている。
前面カバー20は、有底の円筒形状を有する。前面カバー20は、中心軸102を中心に円筒状に延伸し、その一方端で閉塞され、その他方端で開口された形状を有する。前面カバー20の閉塞端側の端面が、近接センサ530の検出面を構成している。
プリント基板50は、長尺状の平板形状を有する。プリント基板50は、中心軸102の軸方向を長手方向として延在している。プリント基板50には、トランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなど、各種の図示しない電子部品が搭載されている。この電子部品には、検出コイル部210に電気的に接続されるものも含まれる。プリント基板50には、図示しない発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が搭載されている。発光ダイオードは、プリント基板50の表面および裏面に設けられ、検出状態を知らせるための発光部として機能する。
ベース金具60は、トランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサ等の電子部品を収容する本体ケースとして設けられている。ベース金具60は、中心軸102の外周上で近接センサ530の外郭をなす。ベース金具60は、中心軸102を中心に円筒状に延びる形状を有する。ベース金具60は、中心軸102に沿って延びる両端で開口されている。前面カバー20は、ベース金具60の一方の開口端の内側に挿入されることにより、ベース金具60に固定されている。ベース金具60の内径は、たとえば5mm以上である。
ベース金具60は、金属から形成されている。ベース金具60の外周面には、近接センサ530を外部設備に固定する際に用いられるネジが形成されている。本実施の形態における近接センサ530は、いわゆるシールドタイプの近接センサであり、金属製のベース金具60が、検出コイル部210の外周上に配置されている。近接センサ530としては、金属製のベース金具60が検出コイル部210の外周上から中心軸102の軸方向にずれた位置に配置される、いわゆる非シールドタイプの近接センサに適用されてもよい。
クランプ80は、近接センサ530の後端側からベース金具60に接続される接続部材として設けられている。クランプ80は、円筒形状を有するベース金具60の後端に接続されている。クランプ80は、ベース金具60の後端の内側に挿入されている。クランプ80は、ベース金具60と一体となって、中心軸102を中心に円筒状に延びている。ベース金具60およびクランプ80により、中心軸102を中心に円筒状に延びる円筒ケース310Mが構成されている。円筒ケース310Mには、プリント基板50と、プリント基板50に搭載される電子部品とが収容されている。
プリント基板50に搭載された発光ダイオードは、クランプ80の内側に位置決めされている。クランプ80は、樹脂から形成されている。近接センサ530の外部から発光ダイオードの発光が視認可能なように、クランプ80は、透明または半透明の樹脂により形成されている。クランプ80は、たとえば、ポリアミドから形成されている。クランプ80には、ゲート81が形成されている。ゲート81は、近接センサ530の製造時、円筒ケース310M内に樹脂を注入するための貫通孔として設けられている。
リングコード70は、円筒ケース310Mの内部でプリント基板50に電気的に接続されている。リングコード70は、円筒ケース310Mの後端側から引き出されている。リングコード70は、円筒ケース310Mの後端を閉塞する後端カバーとして設けられている。
リングコード70は、ケーブル71およびリング部材72を有する。リング部材72は、円筒ケース310Mの内部でケーブル71の端部を覆うように設けられている。リング部材72は、円筒ケース310M内に設けられる後述する封止樹脂120と、ケーブル71との間の接合性を確保する。リング部材72は、たとえば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)から形成されている。ケーブル71は、たとえば、ポリ塩化ビニルにより被覆されている。
円筒ケース310Mの内部には、樹脂充填により封止樹脂120が形成されている。近接センサ530においては、円筒ケース310M、リングコード70、および前面カバー20によって、検出コイル部210およびプリント基板50を収容する管状のケース部材が構成されている。このケース部材の内表面310kは、ベース金具60の内表面と、クランプ80の内表面と、前面カバー20の内表面とを含んでいる。内表面310kのクランプ80の側には第1端部310aが形成され、内表面310kの前面カバー20の側には第2端部310bが形成されている。
第1端部310aは、クランプ80の内表面のうちのケーブル71が圧入されている開口の周縁に位置する部位である。第2端部310bは、前面カバー20の内表面うちの、コア体40が挿入されているその挿入方向の最も前方に位置する部位である。ケース部材としての第2端部310bは、前面カバー20によって閉塞されている。検出コイル部210およびプリント基板50を収容するケース部材の内表面310kは、第1端部310aから第2端部310bに向かって延びる形状(若しくは第2端部310bから第1端部310aに向かって延びる形状)を有している。
封止樹脂120は、円筒ケース310Mと、その前後端を閉塞する前面カバー20およびリングコード70とに囲まれたこのケース部材内の空間を満たすように設けられている。封止樹脂120は、前面カバー20に収容された検出コイル部210、円筒ケース310Mに収容されたプリント基板50および電子部品を封止する。
(封止樹脂120)
封止樹脂120は、熱硬化性樹脂部121と、熱可塑性樹脂部122とを有する。熱硬化性樹脂部121は、熱硬化性樹脂により形成されており、検出コイル部210(コア体40、電磁コイル36、コイルスプール30)を封止している。熱可塑性樹脂部122は、上記ケース部材(円筒ケース310、リングコード70、および前面カバー20)の中の熱硬化性樹脂部121が形成されていない部分に熱可塑性樹脂により形成されており、プリント基板50および電子部品を封止している。熱可塑性樹脂部122の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、詳細は後述するが、硬度(shoreD)が60以下のものが選定されている。熱可塑性樹脂部122は、詳細は後述するが、ゲート81を通して充填された熱可塑性樹脂が、ケース部材の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成された流路(以下、第1流路または外部流路ともいう)を流れるとともに、流動制御部材66の管状形状の内部空間がなす内部流路66G(第2流路ともいう)に広がった後、固化することにより形成されたものである。
熱硬化性樹脂部121と熱可塑性樹脂部122とは、図3〜図6中の2点鎖線101で示す前面カバー20内部で境界をなすように設けられている。図6を参照して、2点鎖線101から見て矢印AR121で示す方向の側に熱硬化性樹脂部121が形成されており、2点鎖線101から見て矢印AR122で示す方向の側に熱可塑性樹脂部122が形成されている。
熱硬化性樹脂部121は、コア体40、電磁コイル36およびコイルスプール30を少なくとも封止するとともに、コイルピン46の一部(コイルピン46の根元側の部分)を封止している。コイルピン46のうちの熱硬化性樹脂部121により封止されていない部分は、熱可塑性樹脂部122により封止されている。コイルピン46のうちの電磁コイル36(コイル線)の先端37が巻き付けられている部分よりもさらに延びる先の部分(先端46Jの側)は、熱可塑性樹脂部122により封止されている(図5参照)。コイルピン46のうちのプリント基板50のパターン50Pにはんだ付けされた部分は、熱可塑性樹脂部122により封止されている。この構成に限られず、コイルピン46のうちの電磁コイル36(コイル線)の先端37が巻き付けられている部分よりもさらに延びる先の部分(先端46Jの側)が、熱硬化性樹脂部121により封止されていてもよい。この場合、コイルピン46のうちのプリント基板50のパターン50Pにはんだ付けされた部分は、熱硬化性樹脂部121により封止される。
熱可塑性樹脂部122の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、低温かつ低圧で成形可能なものが好ましく、たとえばポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選ばれた少なくとも一種が挙げられる。熱可塑性樹脂部122の形成に用いられる熱可塑性樹脂には、難燃剤、有機・無機フィラー、可塑剤、着色剤、酸化防止剤などの各種の添加剤が含まれてもよい。硬度(shoreD)は、60以下である熱可塑性樹脂が用いられることで、樹脂充填時の熱と圧力とによる内部機器への応力を低減でき、反応硬化の必要も無く、工程タクトタイムを短縮することもできる。
熱可塑性樹脂部122を形成する熱可塑性樹脂を充填可能な成型機としては、その樹脂充填圧力が0.1MPa〜10MPaの範囲で任意に調整できるのもが用いられるとよい。近接センサ530の構造細部への樹脂充填性の観点からは、樹脂充填圧力は0.1MPa以上、より好ましくは1MPa以上の範囲に設定するとよい。内部部品に対するダメージ抑制の観点からは、樹脂充填圧力は、10MPa以下、より好ましくは6MPa以下の範囲に設定するとよい。
熱硬化性樹脂部121の形成に用いられる熱硬化性樹脂としては、代表的に、エポキシ樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂部121は、検出コイル部210に作用する樹脂応力変動(応力緩和)が小さいことが好ましい。熱硬化性樹脂部121は、常温での弾性率が800MPa以上であるものが好ましい。熱硬化性樹脂部121の形成に用いられる熱硬化性樹脂には、難燃剤、有機・無機フィラー、可塑剤、着色剤、酸化防止剤などの各種添加剤が含まれても良い。
封止樹脂120は、熱硬化性樹脂部121および熱可塑性樹脂部122からなる2段の分割構造に限られず、3段以上の分割構造を有してもよい。封止樹脂120が分割構造を有する場合において、各層を形成する樹脂は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のうちの同一種類の樹脂の組み合わせであってもよい。封止樹脂120は、上記分割構造に限られず、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれか一方により、検出コイル部210、プリント基板50および電子部品を一括して封止する構造を有してもよい。
好ましくは、熱可塑性樹脂部122の粘度は、TAインスツルメント社製のレオメーターAR2000EXを用いて測定したとき、測定時のせん断速度を10(1/s)とし、測定時の温度を190℃とすると、500mPa・s以上、10000mPa・s以下であるとよい。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂部122の粘度は、TAインスツルメント社製のレオメーターAR2000EXを用いて測定したとき、測定時のせん断速度を10(1/s)とし、測定時の温度を190℃とすると、500mPa・s以上、8000mPa・s以下であるとよい。
(流動制御部材66)
図7〜図10を参照して、ベース金具60(図3〜図5参照)の内側に配置される流動制御部材66の詳細について説明する。図7は、流動制御部材66を示す斜視図である。図8は、図7に示す流動制御部材66に対応する断面斜視図である。図9は、流動制御部材66を示す他の斜視図である。図10は、図9に示す流動制御部材66に対応する断面斜視図である。
流動制御部材66は、小径部67と、大径部68と、4つの柱状部69とを含む。小径部67および大径部68は、それぞれ管状の形状を有し、同軸上に形成されている。小径部67および大径部68の外表面66nを軸方向に対して直交する方向の断面視としてみた場合、その断面形状の外表面66nは正円形状を有している。小径部67は、大径部68に比べて小さな外径を有している。軸方向において、小径部67は、大径部68に比べて短い長さを有している。
小径部67の端部には、第1開口部66aが形成され、大径部68の端部には、第2開口部66bが形成される。流動制御部材66は、第1開口部66aおよび第2開口部66bの他には開口部を有していない。流動制御部材66は、第1開口部66aから第2開口部66bに向かって延びる管状の形状を有している。流動制御部材66は、第1開口部66aが第1端部310a(図3参照)の側に位置し、第2開口部66bが第2端部310b(図3参照)の側に位置するように、上記ケース部材の中に配置される。流動制御部材66は、ケース部材の内表面310kの中心軸(本実施の形態においては中心軸102)に対して同軸状に配置されている。
小径部67および大径部68の径方向の内側には、内部流路66G(第2流路)が設けられる。内部流路66Gは、小径部67および大径部68の内表面66mによって囲まれた流動制御部材66の内部空間である。プリント基板50(図3参照)は、内部流路66G内に配置される。内部流路66Gは、略直方体状の形状を有する第1内部流路66G1と、略直方体状の形状を有する第2内部流路66G2とを有する。第1内部流路66G1は、第1開口部66aと第2内部流路66G2とを連通する。第2内部流路66G2は、第1内部流路66G1と第2開口部66bとを連通する。
第1内部流路66G1は、第2内部流路66G2に連続する方とは反対側の端部に第1開口部66aを形成する。第2内部流路66G2は、第1内部流路66G1に連続し、第1内部流路66G1よりも大きい流路断面積を有し、第1内部流路66G1に連続する方とは反対側の端部に第2開口部66bを形成する。第2開口部66bは、その開口面積が第1開口部66aの開口面積に比べて大きくなるように形成されている。第1内部流路66G1は、内表面66mのうちの内表面66m1を形成し、第2内部流路66G2は、内表面66mのうちの内表面66m2を形成する。クランプ80に設けられたゲート81は、近接センサ530が組み立てられた状態では、中心軸102が延びる方向において第1端部310aと流動制御部材66の第1開口部66aとの間に位置している。
本実施の形態においては、第2内部流路66G2が後述するC:D=1以上7以下:1の関係を満足する部位であり(詳細は図13および図30を参照して後述する)、第2内部流路66G2は、第2開口部66bを起点として第1開口部66aの側に向かって延在している。流動制御部材66が延びる方向(本実施の形態においては中心軸102が延びる方向)において、第1開口部66aおよび第2開口部66bの間の長さL66に対して、第2内部流路66G2の長さL66G2は10%以上70%以下である。
4つの柱状部69は、大径部68から見て小径部67とは反対側に設けられる。4つの柱状部69は、第2開口部66bの周囲に90°の間隔を開けて配置され、小径部67および大径部68の軸方向に対して平行な方向に沿って延びている。流動制御部材66がベース金具60(図3参照)の内側に配置された状態では、柱状部69の端部69T(図9参照)は、コア体40(図3参照)の端面に近接または当接する。
図11は、図3中のXI−XI線に沿った矢視断面図である。図11は、流動制御部材66のうちの小径部67(図7参照)に対応する断面図を示している。図12は、図3中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。図12は、流動制御部材66のうちの大径部68(図7参照)および第1内部流路66G1に対応する断面図を示している。図13は、図3中のXIII−XIII線に沿った矢視断面図である。図13は、流動制御部材66のうちの大径部68(図7参照)および第2内部流路66G2に対応する断面図を示している。
図11〜図13を参照して、上述の通り、封止樹脂120は、円筒ケース310Mと、その前後端を閉塞する前面カバー20およびリングコード70とに囲まれたケース部材内の空間を満たすように設けられている。封止樹脂120のうちの熱可塑性樹脂部122をケース部材内に形成する際には、ケース部材に設けられたゲート81を通して、熱可塑性樹脂がケース部材内に充填される。
封止樹脂120のうちの熱可塑性樹脂部122は、ゲート81を通して充填された熱可塑性樹脂が、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間(外部流路もしくは第1流路)に広がるとともに、第1開口部66aおよび第2開口部66bを通して流動制御部材66の内側(内部流路66G若しくは第2流路)に広がって固化することにより形成される。
流動制御部材66が延びる方向(本実施の形態においては中心軸102が延びる方向)に対して直交する断面形状を、第1断面形状とする。第1断面形状としては、本実施の形態においては、図11〜図13のうちのいずれかまたはすべてに示される形状が得られる。この第1断面形状の中で、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間(第1流路もしくは外部流路)に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122A)の面積をAとする。この第1断面形状の中で、流動制御部材66の内側(内部流路66G)に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122B)の面積をBとする。
本実施の形態においては、外部流路(第1流路)の断面形状と内部流路66G(第2流路)の断面形状とが、ゲート81を通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート81を通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達するように形成されている。この構成は、たとえば次のような構成によって実現されることができる。
本実施の形態においては、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122A)の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、流動制御部材66が延びる方向のいずれかの位置または全ての位置の第1断面形状について、A:B=3以上37以下:1の関係が成立している。換言すると、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122A)の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、流動制御部材66の内部流路66G内に形成された熱可塑性樹脂部122Bの面積を1とすると、流動制御部材66の外側に形成された熱可塑性樹脂部122Aの面積(面積比)は、3以上37以下である。当該構成による作用および効果の詳細については、図28〜図30を参照して後述する。
(前面カバー20・ベース金具60)
図14は、前面カバー20を示す斜視図である。図15は、図14中の矢印XVに示す方向から見た前面カバー20を示す図である。図16は、図14中の矢印XVIに示す方向から見た前面カバー20を示す図である。図17は、図14中の矢印XVIIに示す方向から見た前面カバー20を示す図である。図18は、図14中のXVIIIに示す方向から見た前面カバー20を示す図である。図中には、前面カバー20が近接センサ530に組み付けられた時の中心軸102が示されている。
図14から図18を参照して、前面カバー20は、その構成部位として、円筒部21と、リブ状部26と、鍔部22とを有する。円筒部21は、その円筒状に延びる一方の端部に、閉塞された一方端21mを有し、その円筒形状に延びる他方の端部に、開口された他方端21nを有する。円筒部21の内側には、検出コイル部210を収容するための空間が形成されている。円筒部21は、外周面25を有する。
リブ状部26は、円筒部21の外周面25から突出して設けられている。リブ状部26には、エアベント部27が形成されている。鍔部22は、円筒部21の閉塞された一方端21mの側に設けられている。鍔部22は、中心軸102を中心にして、円筒部21の外周面25よりも大きい直径を有する。鍔部22は、外周縁24を有する。
鍔部22には、切り欠き部23が形成されている。切り欠き部23は、中心軸102から鍔部22の外周縁24までの長さを、中心軸102の軸周りにおいて不均一とさせるように形成されている。図14および図16中に示すように、鍔部22は、切り欠き部23が形成されていない位置で、中心軸102から鍔部22の外周縁24までの長さR1を有し、切り欠き部23が形成された位置で、中心軸102から鍔部22の外周縁24までの長さR2を有する。長さR2は、長さR1よりも小さい値で(R2<R1)、一定でない値である。
切り欠き部23は、中心軸102の軸方向から見た場合に鍔部22の外周縁24を直線状とするように設けられている。切り欠き部23は、中心軸102の軸方向から見た場合に鍔部22の外周縁24が円筒部21の外周面25の接線をなすように設けられている。切り欠き部23は、切り欠き部23pおよび切り欠き部23qを含む。切り欠き部23pと切り欠き部23qとは、中心軸102を中心に180°ずれた位置に設けられている。
図19は、近接センサ530(図1参照)の前端部を示す斜視図である。図20は、図3中の2点鎖線XX囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。図21は、図4中の2点鎖線XXIで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。
図3,図4および図19〜図21を参照して、ベース金具60は、他方端21n(図14参照)の側から円筒部21の外周上に嵌め合わされ、鍔部22に当接する形態により、前面カバー20に組み付けられている。ベース金具60は、近接センサ530の前端側に配置される前面61を有する。前面カバー20の鍔部22と、ベース金具60の前面61とが、互いに接触している。ベース金具60が鍔部22に当接することによって、近接センサ530の後端側への前面カバー20の移動が規制されている。
ベース金具60の内側では、リブ状部26がベース金具60によって圧縮変形されている。前面カバー20がベース金具60に対して圧入により固定されている。前面カバー20の外周面25とベース金具60との間には、隙間111が形成されている。隙間111は、近接センサ530の製造時、円筒ケース310M内に充填される樹脂が隙間111に侵入しない程度の微小な大きさに設定されている。隙間111は、たとえば0.3mm以下の大きさを有する。
図21中には、鍔部22に切り欠き部23が設けられた位置の断面が示されている。切り欠き部23は、前面カバー20の外周面25とベース金具60との間の隙間111を露出させるように設けられている。ベース金具60が鍔部22に当接することによって、隙間111が鍔部22によって塞がれる一方で、切り欠き部23が設けられた位置では、隙間111が外部空間と連通している。
(製造方法)
図22から図27を参照して、近接センサ530(図1参照)の製造方法について説明する。図22を参照して、まず、検出コイル部210およびプリント基板50からなるサブアセンブリ116Mを組み立てる。具体的には、コア体40と、電磁コイル36が巻回されたコイルスプール30とを組み合わせるとともに、コア体40にプリント基板50を接続する。コイルピン46の先端をプリント基板50の表面(図6中のパターン50P)上にはんだ付けすることによって、電磁コイル36とプリント基板50とを電気的に接続する。
図23を参照して、次に、サブアセンブリ116Mに前面カバー20および流動制御部材66を組み付ける。具体的には、まず、前面カバー20に1次注型樹脂として熱硬化性樹脂を充填する。前面カバー20内に、検出対象の接近または有無を検出する検出コイル部210の側からサブアセンブリ116Mを挿入配置することによって、検出コイル部210を前面カバー20内の熱硬化性樹脂に浸漬する。次いで、柱状部69の端部69Tがコア体40に近接または当接するまで、流動制御部材66の内部流路66G内にプリント基板50を挿入しつつ、柱状部69を前面カバー20内の熱硬化性樹脂に浸漬する。加熱により、前面カバー20内の熱硬化性樹脂を硬化させる。流動制御部材66に4つの柱状部69を設けていることにより、前面カバー20から熱硬化性樹脂が溢れ出すことなく熱硬化性樹脂の中に柱状部69の一部を浸漬させると共に、流動制御部材66を前面カバー20に固定することができる。
図24を参照して、次に、リングコード70をサブアセンブリ116Mに組み付ける。具体的には、リングコード70のケーブルの先端を、プリント基板50の表面上にはんだ付けする。図25を参照して、次に、前面カバー20にベース金具60を組み付ける。具体的には、ベース金具60の前端側からリングコード70およびプリント基板50を順に通し、ベース金具60の前端側の内側に前面カバー20を圧入する。
図26を参照して、次に、ベース金具60にクランプ80を組み付ける。具体的には、クランプ80の前端側よりリングコード70を通し、ベース金具60の後端側の内側にクランプ80を圧入する。その後、打痕、加締め、接着または溶着などの固定手段を用いて、ベース金具60とクランプ80とを固定する。アセンブリ117Mが得られる。ベース金具60とクランプ80とを固定する工程は、この後に続く2次樹脂充填工程の後に実施してもよい。
図27を参照して、次に、ベース金具60およびクランプ80からなる円筒ケース310M内に、2次充填樹脂としての熱可塑性樹脂を充填する。より具体的には、先の工程で得られたアセンブリ117Mを、位置決め用治具を用いて金型にセッティングする。ゲート81(図1,図4等参照)を通じて、高温の樹脂を円筒ケース310M内に注入する。ゲート81は、中心軸102が延びる方向において、流動制御部材66の第1開口部66aが位置している部分よりも第1端部310aの側(第1端部310aと流動制御部材66の第1開口部66aとの間)に設けられている。
高温の樹脂は、第1端部310aの側から、流動制御部材66の内部流路66G(第2流路)内を流れるものと、流動制御部材66の外表面66nとケース部材の内表面310kとの間(外部流路もしくは第1流路)を流れるものとに分岐する。分岐した樹脂は、最終的には前面カバー20の近傍で合流し、後述する気泡を内部に閉じ込めながらケース部材の内空間の略全体を埋め尽くす。上述のとおり、ゲート81を通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート81を通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達する。熱可塑性樹脂を冷却固化させることにより、熱可塑性樹脂部122が形成される。円筒ケース310M内のプリント基板50や各種の電子部品は、樹脂封止される。以上の工程により、図1中の近接センサ530が完成する。
(作用・効果)
近接センサ530においては、検出コイル部210が熱硬化性樹脂部121によって封止される。熱硬化性樹脂部121としては、エポキシ樹脂などが用いられる。検出コイル部210のコア体40は、フェライト等の焼成体を含んでいる。仮に、検出コイル部210が熱可塑性樹脂部によって封止されているとすると、検出コイル部210を構成しているコア体40および電磁コイル36は、外部から受ける応力が経時的に変化しやすくなる。外部から受ける応力が増減すると、コア体40および電磁コイル36が形成する磁界の強度(磁束密度)が不安定になりやすい。具体的には、コア体40に加わる応力が変化すると、磁気弾性結合(磁歪)の影響により、コア体40の磁気特性が変化する。コア体40に加わる応力が変化すると、コア体40を構成する磁区が変化し、これに伴い磁束が変化する。コア体40に加わる応力が変化すると、コイル径やコイル線間距離が変化することもある。この場合、コイルのL値が変化したり、コイルのC値が変化したりする。これらの特性変動は、近接センサの検出感度の変動を招く。
本実施の形態において、検出コイル部210を封止する樹脂として熱硬化性樹を用いると、熱可塑性樹脂を用いる場合に比べて、検出コイル部210に作用する応力が長期的に安定する。たとえば、近接センサ530の製造直後、近接センサ530の検査後、近接センサ530の製品出荷後、近接センサ530の使用時の各時点において、検出コイル部210が熱硬化性樹脂部121から受ける応力は、ほとんど変化しない。近接センサ530は、検出対象の接近または有無を安定した感度で検出することができる。
一方で、プリント基板50などは、熱可塑性樹脂部122によって封止される。熱可塑性樹脂部122としては、硬度(shoreD)が60以下の樹脂が用いられる。硬度が低い熱可塑性樹脂を用いて封止する場合、封止後に電子機器の内部に残留する応力を緩和することができる。熱可塑性樹脂部122を用いてプリント基板50を封止したとしても、封止後にプリント基板50に作用する応力は、熱硬化性樹脂部121を用いてプリント基板50を封止する場合に比べて小さくなる。近接センサ530によれば、プリント基板50およびその上に実装された各電子部品に作用する応力を緩和することができる。
近接センサ530においては、熱硬化性樹脂部121および熱可塑性樹脂部122を用いてその内部が封止される。近接センサ530は、近接センサの内部のすべてを熱硬化性樹脂部を用いて封止する場合に比べて、短い製造時間で製造されることができる。
上述のとおり、好ましくは、熱可塑性樹脂部122の粘度は、TAインスツルメント社製のレオメーターAR2000EXを用いて測定したとき、測定時のせん断速度を10(1/s)とし、測定時の温度を190℃とすると、500mPa・s以上、10000mPa・s以下であるとよい。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂部122の粘度は、TAインスツルメント社製のレオメーターAR2000EXを用いて測定したとき、測定時のせん断速度を10(1/s)とし、測定時の温度を190℃とすると、500mPa・s以上、8000mPa・s以下であるとよい。これらの構成によれば、熱硬化性樹脂部121と熱可塑性樹脂部122との間の界面において、熱可塑性樹脂部122を熱硬化性樹脂部121に良好に接着することが可能となる。
図28を参照して、仮に流動制御部材66が近接センサの内部に設けられていないとする。この場合、熱可塑性樹脂部122を形成するために充填された熱可塑性樹脂は、充填後に図中の白色矢印に示すように収縮する。この収縮量は、流動制御部材66が近接センサの内部に設けられている場合に比べて大きい。流動制御部材66が近接センサの内部に設けられていない場合、収縮に伴って発生する応力も大きく、樹脂が収縮することに伴って、嵌合部(ベース金具とリングコードとの間の嵌合部、およびベース金具と前面カバーとの間の嵌合部)から近接センサの内部に空気を引き込みやすくなったり、これら嵌合部の付近に気泡が残留しやすくなったりする。内部に気泡F1〜F3が残留した場合、外部からの水の浸入を許しやすくなり、ひいては耐水性能の低下を招くことになる。
流動制御部材66が近接センサの内部に設けられていない場合に、近接センサが高温(たとえば70℃)の環境下に置かれたとする。熱可塑性樹脂部122は、図中の黒色矢印に示すように膨張する。この膨張量は、流動制御部材66が近接センサの内部に設けられている場合に比べて大きい。流動制御部材66が近接センサの内部に設けられていない場合、膨張に伴って発生する応力も大きく、樹脂が膨張することに伴って、前面カバー20の端面が変形したり、嵌合部に不要な隙間が発生したりして、ひいては耐水性能の低下を招くことになる。前面カバー20の端面が変形した場合には、検出感度が低下することもある。
近接センサ530のように流動制御部材66が近接センサの内部に設けられている場合、熱可塑性樹脂部122を形成するために充填された熱可塑性樹脂は、充填後に収縮したとしても、その収縮量は、流動制御部材66が近接センサの内部に設けられていない場合に比べて小さい。嵌合部から近接センサの内部に空気を引き込むことも抑制または防止され、高い耐水性能を得ることができる。
近接センサ530のように流動制御部材66が近接センサの内部に設けられている場合、近接センサ530が高温(たとえば70℃)の環境下に置かれたとしても、膨張量は小さい。膨張に伴って発生する応力も小さく、前面カバー20の端面が変形したり、嵌合部に不要な隙間が発生したりすることは抑制または防止され、高い耐水性能を得ることができる。前面カバー20の端面が変形することも抑制され、前面カバー20の端面変形に起因して検出感度が低下することもほとんどない。
上述のとおり、近接センサ530においては、外部流路(第1流路)の断面形状と内部流路66G(第2流路)の断面形状とが、ゲート81を通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート81を通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達するように形成されている。本実施の形態においては、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122A)の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、流動制御部材66が延びる方向のいずれかの位置または全ての位置の第1断面形状について、A:B=3以上37以下:1の関係が成立している。面積Aとは、流動制御部材66が延びる方向(本実施の形態においては中心軸102が延びる方向)に対して直交する断面形状を第1断面形状としたとき、第1断面形状の中で、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122A)の面積である。面積Bとは、第1断面形状の中で、流動制御部材66の内側(内部流路66G)に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122B)の面積である。熱可塑性樹脂部122を形成するためにゲート81(図1,図4等参照)から充填された熱可塑性樹脂は、流動の過程において、流動制御部材66の内部流路66G内を流れるものと、流動制御部材66の外側を流れるものとに分岐する。
図29を参照して、仮に、外部流路(第1流路)の断面形状と内部流路66G(第2流路)の断面形状とが、ゲート81を通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート81を通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が遅くに第2開口部66bに到達するように形成されているとする。これは、たとえばA:B=3以上37以下:1の関係が成立していない場合である。流動制御部材66の内部流路66G内に形成された熱可塑性樹脂部122Bの面積を1とすると、流動制御部材66の外側に形成された熱可塑性樹脂部122Aの面積(面積比)は、たとえば3未満である。この場合、内部流路66Gの流路断面積は、流動制御部材66の外側の流路断面積に対して面積比が小さい。熱可塑性樹脂部122を形成するためにゲート81(図1,図4等参照)から充填された熱可塑性樹脂は、流動制御部材66の外側だけでなく、内部流路66G内にも早く流れる。熱可塑性樹脂は、充填の過程において図中の白色矢印に示すように流れる。
A:B=3以上37以下:1の関係が成立していない場合、熱可塑性樹脂が内部流路66G内にも早く流れることによって、ベース金具60と前面カバー20とが嵌合している嵌合部の付近に空気が追い込まれ易くなる。分岐した樹脂が最終的に合流する地点(流動末端)には、充填圧力の圧縮力により動けなくなった気泡が残留しやすくなる。嵌合部の付近に気泡F4,F5が残留した場合、外部からの水の浸入を許しやすくなり、ひいては耐水性能のばらつきまたは耐水性能の低下を招くことになる。
近接センサ530のように、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122A)の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、A:B=3以上37以下:1の関係が成立している場合、熱可塑性樹脂の充填体積が抑制されると共に、熱可塑性樹脂の流動性を得ることもでき、ゲート81(図1,図4等参照)から充填された熱可塑性樹脂は、流動制御部材66の外側の方を早く流れ、内部流路66G内を遅く流れる。ゲート81を通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート81を通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達する。外側の方が流れが速いため、ベース金具60と前面カバー20とが嵌合している嵌合部の付近に空気が追い込まれ難くなる。分岐した樹脂が最終的に合流する地点(嵌合部の近傍)に気泡が残留することも抑制されている。近接センサ530によれば、耐水性能のばらつきまたは耐水性能の低下を抑制することができる。
図30(および図13)を参照して、上述のとおり、内部流路66Gは、第1内部流路66G1と、第2内部流路66G2とを有する。第2内部流路66G2は、第1内部流路66G1よりも大きい流路断面積を有する。ここで、第2内部流路66G2が延びる方向(本実施の形態においては中心軸102が延びる方向)に対して直交し、且つ、第2内部流路66G2が設けられている部分を含む断面形状を第2断面形状とする。第2断面形状としては、本実施の形態においては、図13に示される形状が得られる。
この第2断面形状の中で、ケース部材(ベース金具60)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間(外部流路もしくは第1流路)に形成されている封止樹脂120(図13中の熱可塑性樹脂部122C)の面積をCとする。第2断面形状の中で、第2内部流路66G2(第2流路)の内側に形成されている封止樹脂120(図13中の熱可塑性樹脂部122D)の面積の面積をDとする。
好ましくは、第2内部流路66G2が延びる方向のいずれかの位置または全ての位置の第2断面形状について、C:D=1以上7以下:1の関係が成立しているとよい。換言すると、流動制御部材66の第2内部流路66G2内に形成された熱可塑性樹脂部122Dの面積を1とすると、流動制御部材66の外側に形成された熱可塑性樹脂部122Dの面積(面積比)は、1以上7以下であるとよい。本実施の形態の近接センサ530では、C:D=1以上7以下:1の関係が成立しており、第2内部流路66G2と第1内部流路66G1との間には段差が形成されている。
C:D=1以上7以下:1の関係が成立している場合、ゲート81(図1,図4等参照)から充填された熱可塑性樹脂は、充填の過程において図中の白色矢印に示すように流れ、第2開口部66bの側から内部流路66Gの中に入り込みやすくなる。ベース金具60と前面カバー20とが嵌合している嵌合部の付近に比べて、内部流路66Gの中(第2内部流路66G2の中に)に空気を追い込みやすくなる。第1開口部66aおよび第2開口部66bの間の長さL66(図8,10)に対して、第2内部流路66G2の長さL66G2が10%以上70%以下であることによって、より高い効果を得ることができる。近接センサ530によれば、嵌合部の付近に気泡が残留することが抑制され、耐水性能のばらつきまたは耐水性能の低下をよりいっそう抑制することが可能となっている。
(変形例)
図31〜図33を参照して、近接センサ530(図1参照)の変形例としての近接センサ540について説明する。ここでは、近接センサ530と近接センサ540との相違点についてのみ説明し、重複する説明はしないものとする。図31は、近接センサ540を示す斜視図である。図32は、近接センサ540の分解した状態を示す斜視図である。図33は、図31中のXXXIII−XXXIII線に沿った矢視断面図である。
図31〜図33を参照して、近接センサ540は、検出コイル部210(図33)と、前面カバー20と、プリント基板50(図32,図33)と、ベース金具60Uと、流動制御部材66と、ハーネス70Tと、レセプタクル80Tと、発光部カバー90とを備える。検出コイル部210、前面カバー20、プリント基板50および流動制御部材66は、近接センサ530と近接センサ540とで略同一の構成を有する。
ベース金具60Uは、トランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサ等の電子部品を収容する本体ケースとして設けられている。ベース金具60Uは、中心軸102の外周上で近接センサ540の外郭をなす。ベース金具60Uは、中心軸102を中心に円筒状に延びる形状を有する。ベース金具60Uは、中心軸102に沿って延びる両端で開口されている。前面カバー20は、ベース金具60Uの一方の開口端の内側に挿入されることにより、ベース金具60Uに固定されている。ベース金具60Uの内径は、たとえば5mm以上である。
ベース金具60Uは、金属から形成されている。ベース金具60Uの外周面には、近接センサ540を外部設備に固定する際に用いられるネジが形成されている。ベース金具60Uには、プリント基板50上に搭載された発光ダイオード(図示せず)からの発光を視認するための開口部として視認窓63Uが形成されている。ベース金具60Uには、ゲート61Uも形成されている。ゲート61Uは、近接センサ540の製造時、円筒ケース310N内に樹脂を注入するための貫通孔として設けられている。
本変形例における近接センサ540は、いわゆるシールドタイプの近接センサであり、金属製のベース金具60Uが、検出コイル部210の外周上に配置されている。近接センサ540としては、金属製のベース金具60Uが検出コイル部210の外周上から中心軸102の軸方向にずれた位置に配置される、いわゆる非シールドタイプの近接センサに適用されてもよい。
発光部カバー90は、円筒形状を有し、ベース金具60Uに内挿(圧入)されている。発光部カバー90は、樹脂から形成されている。発光部カバー90は、近接センサ540の外部から発光ダイオードの発光が視認可能となるように、透明または半透明の樹脂から形成される。発光部カバー90は、プリント基板50上の発光ダイオードに向かうように配置され、視認窓63Uを塞ぐように設けられている。発光部カバー90によって、ベース金具60U内部を満たす封止樹脂120が視認窓63Uを通じて外部空間に露出することがない。
発光部カバー90は、ベース金具60Uの開口端から挿入可能に設けられている。発光部カバー90は、アウトサート成型によりベース金具60Uと一体化されておらず、ベース金具60Uから分離可能に設けられている。近接センサ540においては、ベース金具60U内で電子部品等を封止する樹脂として、熱可塑性樹脂が用いられる。ベース金具60Uへの樹脂充填時、熱可塑性樹脂は低流動性の特性を示す。樹脂は、ベース金具60Uの内周面と発光部カバー90との間に流入し難いため、両者の間を密着させるための手法であるアウトサート成型を採用する必要がない。発光部カバー90およびベース金具60Uの構成を簡易として、近接センサ540の製造コストを低く抑えることができる。
レセプタクル80Tは、円筒形状を有するベース金具60Uの後端側の開口端を塞ぐように設けられている。レセプタクル80Tは、近接センサ540の外部接続のためのピンを有するコネクタカバーとして設けられている。レセプタクル80Tは、ベース金具60Uと一体となって、中心軸102を中心に円筒状に延びている。ベース金具60Uおよびレセプタクル80Tにより、中心軸102を中心に円筒状に延びる円筒ケース310Nが構成されている。円筒ケース310Nには、プリント基板50と、プリント基板50に搭載される電子部品とが収容されている。
ハーネス70Tは、撓むことが可能な可撓性の配線部材である。ハーネス70Tは、ベース金具60U内で、プリント基板50と、レセプタクル80Tのピンとの間を電気的に接続する配線部材として設けられている。ハーネス70Tは、レセプタクル80Tのピンおよびプリント基板50に対してはんだにより接続されている。
(封止樹脂120)
円筒ケース310Nの内部には、樹脂充填により封止樹脂120が形成されている。近接センサ540においては、円筒ケース310N、レセプタクル80T、および前面カバー20によって、検出コイル部210およびプリント基板50を収容する管状のケース部材が構成されている。このケース部材の内表面310kは、ベース金具60の内表面と、レセプタクル80Tの内表面と、前面カバー20の内表面とを含んでいる。内表面310kのレセプタクル80Tの側には第1端部310aが形成され、内表面310kの前面カバー20の側には第2端部310bが形成されている。
第1端部310aは、レセプタクル80Tの内表面のうちのピンが取り付けられている開口の周縁に位置する部位である。第2端部310bは、前面カバー20の内表面うちの、コア体40が挿入されているその挿入方向の最も前方に位置する部位である。ケース部材としての第2端部310bは、前面カバー20によって閉塞されている。検出コイル部210およびプリント基板50を収容するケース部材の内表面310kは、第1端部310aから第2端部310bに向かって延びる形状(若しくは第2端部310bから第1端部310aに向かって延びる形状)を有している。
封止樹脂120は、円筒ケース310Nと、その前後端を閉塞する前面カバー20およびレセプタクル80Tとに囲まれたこのケース部材内の空間を満たすように設けられている。封止樹脂120は、前面カバー20に収容された検出コイル部210、円筒ケース310に収容されたプリント基板50および電子部品を封止する。
封止樹脂120は、熱硬化性樹脂部121と、熱可塑性樹脂部122とを有する。熱硬化性樹脂部121は、熱硬化性樹脂により形成されており、検出コイル部210(コア体40、電磁コイル36、コイルスプール30)を封止している。熱可塑性樹脂部122は、上記ケース部材(円筒ケース310N、レセプタクル80T、および前面カバー20)の中の熱硬化性樹脂部121が形成されていない部分に熱可塑性樹脂により形成されており、プリント基板50および電子部品を封止している。熱可塑性樹脂部122の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、硬度(shoreD)が60以下のものが選定されている。熱可塑性樹脂部122は、ゲート61Uを通して充填された熱可塑性樹脂が、ケース部材の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成された流路(第1流路または外部流路)を流れるとともに、流動制御部材66の管状形状の内部空間がなす内部流路66G(第2流路)に広がった後、固化することにより形成されたものである。
熱硬化性樹脂部121と熱可塑性樹脂部122とは、図33中の2点鎖線101で示す前面カバー20内部で境界をなすように設けられている。熱硬化性樹脂部121は、コア体40、電磁コイル36およびコイルスプール30を少なくとも封止するとともに、コイルピン46の一部(コイルピン46の根元側の部分)を封止している。コイルピン46のうちの熱硬化性樹脂部121により封止されていない部分は、熱可塑性樹脂部122により封止されている。コイルピン46のうちの電磁コイル36(コイル線)の先端37が巻き付けられている部分よりもさらに延びる先の部分は、熱可塑性樹脂部122により封止されている。
コイルピン46のうちのプリント基板50のパターンにはんだ付けされた部分は、熱可塑性樹脂部122により封止されている。この構成に限られず、コイルピン46のうちの電磁コイル36(コイル線)の先端37が巻き付けられている部分よりもさらに延びる先の部分が、熱硬化性樹脂部121により封止されていてもよい。この場合、コイルピン46のうちのプリント基板50のパターンにはんだ付けされた部分は、熱硬化性樹脂部121により封止される。
熱可塑性樹脂部122の形成に用いられる熱可塑性樹脂としては、低温かつ低圧で成形可能なものが好ましく、たとえばポリオレフィン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群より選ばれた少なくとも一種が挙げられる。熱可塑性樹脂部122の形成に用いられる熱可塑性樹脂には、難燃剤、有機・無機フィラー、可塑剤、着色剤、酸化防止剤などの各種の添加剤が含まれてもよい。硬度(shoreD)は、60以下である熱可塑性樹脂が用いられることで、樹脂充填時の熱と圧力とによる内部機器への応力を低減でき、反応硬化の必要も無く、工程タクトタイムを短縮することもできる。
熱硬化性樹脂部121の形成に用いられる熱硬化性樹脂としては、代表的に、エポキシ樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂部121は、検出コイル部210に作用する樹脂応力変動(応力緩和)が小さいことが好ましい。熱硬化性樹脂部121は、常温での弾性率が800MPa以上であるものが好ましい。熱硬化性樹脂部121の形成に用いられる熱硬化性樹脂には、難燃剤、有機・無機フィラー、可塑剤、着色剤、酸化防止剤などの各種添加剤が含まれても良い。
封止樹脂120は、熱硬化性樹脂部121および熱可塑性樹脂部122からなる2段の分割構造に限られず、3段以上の分割構造を有してもよい。封止樹脂120が分割構造を有する場合において、各層を形成する樹脂は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のうちの同一種類の樹脂の組み合わせであってもよい。封止樹脂120は、上記分割構造に限られず、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれか一方により、検出コイル部210、プリント基板50および電子部品を一括して封止する構造を有してもよい。
好ましくは、熱可塑性樹脂部122の粘度は、TAインスツルメント社製のレオメーターAR2000EXを用いて測定したとき、測定時のせん断速度を10(1/s)とし、測定時の温度を190℃とすると、500mPa・s以上、10000mPa・s以下であるとよい。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂部122の粘度は、TAインスツルメント社製のレオメーターAR2000EXを用いて測定したとき、測定時のせん断速度を10(1/s)とし、測定時の温度を190℃とすると、500mPa・s以上、8000mPa・s以下であるとよい。
(製造方法)
図34〜図36を参照して、近接センサ540(図31参照)の製造方法について説明する。図34を参照して、まず、検出コイル部210およびプリント基板50からなるサブアセンブリ116Mを組み立てる(図22を参照して説明した場合と同様)。次に、サブアセンブリ116Mに前面カバー20および流動制御部材66を組み付ける(図23を参照して説明した場合と同様)。
次に、ハーネス70Tをサブアセンブリ116Mに組み付ける。具体的には、ハーネス70Tを、プリント基板50の表面上にはんだ付けする。図35を参照して、次に、前面カバー20にベース金具60Uを組み付ける。具体的には、ベース金具60Uの前端側からハーネス70Tおよびプリント基板50を順に通し、ベース金具60Uの前端側の内側に前面カバー20を圧入する。次に、発光部カバー90をベース金具60Uの後端側の開口からベース金具60Uの内側に圧入する。
図36を参照して、次に、ベース金具60Uにレセプタクル80Tを組み付ける。具体的には、ベース金具60Uの後端側の内側にレセプタクル80Tを圧入する。その後、打痕、加締め、接着または溶着などの固定手段を用いて、ベース金具60Uとレセプタクル80Tとを固定する。ベース金具60Uとレセプタクル80Tとを固定する工程は、この後に続く2次樹脂充填工程の後に実施してもよい。
次に、ベース金具60Uおよびレセプタクル80Tからなる円筒ケース310N(図33参照)内に、2次充填樹脂としての熱可塑性樹脂を充填する。より具体的には、先の工程で得られたアセンブリを、位置決め用治具を用いて金型にセッティングする。ゲート61T(図31参照)を通じて、高温の樹脂を円筒ケース310N内に注入する。ゲート61Uは、中心軸102が延びる方向において、流動制御部材66の第1開口部66aが位置している部分よりも第1端部310aの側(第1端部310aと流動制御部材66の第1開口部66aとの間)に設けられている。高温の樹脂は、第1端部310aの側から、流動制御部材66の内部流路66G(第2流路)内を流れるものと、流動制御部材66の外表面66nとケース部材の内表面310kとの間(外部流路もしくは第1流路)を流れるものとに分岐する。分岐した樹脂は、最終的には前面カバー20の近傍で合流し、後述する気泡を内部に閉じ込めながらケース部材の内空間の略全体を埋め尽くす。ゲート61Uを通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート61Uを通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達する。熱可塑性樹脂を冷却固化させることにより、熱可塑性樹脂部122(図33参照)が形成される。円筒ケース310N内のプリント基板50や各種の電子部品は、樹脂封止される。以上の工程により、図31中の近接センサ540が完成する。
(作用・効果)
近接センサ540においても、検出コイル部210が熱硬化性樹脂部121によって封止される。熱可塑性樹脂部を用いて検出コイル部210を封止する場合に比べて、検出コイル部210に作用する応力は長期的に安定する。近接センサ540は、検出対象の接近または有無を安定した感度で検出することができる。
一方で、プリント基板50などは、熱可塑性樹脂部122によって封止される。熱可塑性樹脂部122としては、硬度(shoreD)が60以下の樹脂が用いられる。近接センサ540によっても、プリント基板50およびその上に実装された各電子部品に作用する応力を緩和することができる。近接センサ540は、近接センサの内部のすべてを熱硬化性樹脂部を用いて封止する場合に比べて、短い製造時間で製造されることもできる。
近接センサ540のように流動制御部材66が近接センサの内部に設けられている場合、熱可塑性樹脂部122を形成するために充填された熱可塑性樹脂は、充填後に収縮したとしても、その収縮量は、流動制御部材66が近接センサの内部に設けられていない場合に比べて小さい。嵌合部から近接センサの内部に空気を引き込むことも抑制または防止され、高い耐水性能を得ることができる。
近接センサ540のように流動制御部材66が近接センサの内部に設けられている場合、近接センサ540が高温(たとえば70℃)の環境下に置かれたとしても、膨張量は小さい。膨張に伴って発生する応力も小さく、前面カバー20の端面が変形したり、嵌合部に不要な隙間が発生したりすることは抑制または防止され、高い耐水性能を得ることができる。前面カバー20の端面が変形することも抑制され、前面カバー20の端面変形に起因して検出感度が低下することもほとんどない。
近接センサ540においても、外部流路(第1流路)の断面形状と内部流路66G(第2流路)の断面形状とが、ゲート61Uを通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート61Uを通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達するように形成されている。本実施の形態においては、ケース部材(ベース金具60U)の内表面310kと流動制御部材66の外表面66nとの間に形成されている封止樹脂120(熱可塑性樹脂部122)の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、流動制御部材66が延びる方向のいずれかの位置または全ての位置の第1断面形状について、A:B=3以上37以下:1の関係が成立している。ゲート61Uを通して充填され内部流路66Gを流れる樹脂に比べて、ゲート61Uを通して充填され外部流路を流れる樹脂の方が早くに第2開口部66bに到達する。熱可塑性樹脂の充填体積が抑制されると共に、熱可塑性樹脂の流動性を得ることもでき、ゲート61Uから充填された熱可塑性樹脂は、流動制御部材66の外側の方を早く流れ、内部流路66G内を遅く流れる。外側の方が流れが速いため、ベース金具60Uと前面カバー20とが嵌合している嵌合部の付近に空気が追い込まれ難くなる。分岐した樹脂が最終的に合流する地点(嵌合部の近傍)に気泡が残留することも抑制されている。近接センサ540によれば、耐水性能のばらつきまたは耐水性能の低下を抑制することができる。
好ましくは、近接センサ530の場合と同様に、第2内部流路66G2が延びる方向のいずれかの位置または全ての位置の第2断面形状について、C:D=1以上7以下:1の関係が成立しているとよい。ゲート61Uから充填された熱可塑性樹脂は、第2開口部66bの側から内部流路66Gの中に入り込みやすくなる。嵌合部の付近に気泡が残留することが抑制され、耐水性能のばらつきまたは耐水性能の低下をよりいっそう抑制することが可能となっている。
[実験例1]
図37および図38を参照して、実施の形態に関して行なった実験例1について説明する。当該実験例は、実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qを含む。当該実験例では、図26に示すアセンブリ117Mを準備した。実験例1で用いたアセンブリ117Mにおいては、プリント基板50などはすべて所定の位置に収容配置され、プリント基板50と流動制御部材66の内表面66mとの間の最小寸法は、0.5mm以上とした。熱可塑性樹脂部122を形成する熱可塑性樹脂の流動限界に基づくものである。アセンブリ117の内部には、熱可塑性樹脂部122が形成されていない。
熱可塑性樹脂が充填されたことにより流動制御部材66の外表面66nとケース部材(ベース金具60)の内表面310kとの間に形成される熱可塑性樹脂部122(122A)の第1断面形状内における断面積(面積A)は、実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれにおいて異なるものとした(図37参照)。熱可塑性樹脂が充填されたことにより流動制御部材66の内部流路66G(流動制御部材66の内側)に形成された熱可塑性樹脂部122(122B)の第1断面形状内における断面積(面積B)も、実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれにおいて異なるものとした(図37参照)。
実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれにおいて、流動制御部材66の外表面66nとケース部材(ベース金具60)の内表面310kとは、第1断面形状として見た場合いずれも正円形状を有している。実施例1L〜6Lおよび比較例1P〜4Pでは、ベース金具60の内径が26.9mmであり外形が30mm(M30)であるものを用いるものとした。実施例1M〜6Mおよび比較例1Q〜4Qでは、ベース金具60の内径が15.2mmであり外形が18mm(M18)であるものを用いるものとした。実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれにおいて、外表面66nの直径と内表面310kの直径との差を寸法D1として図37および図38中に記載している。
熱可塑性樹脂部122を形成する熱可塑性樹脂としては、実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれにおいて同一の特性(粘度)を有するものを準備した。実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれにおいて、熱可塑性樹脂をアセンブリ117M内に充填したときの熱可塑性樹脂部122Aへの空気の引き込みによる気泡の発生の有無を確認するとともに、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めの有無を確認した。
図38中には、実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qのそれぞれについて、ゲートから充填された熱可塑性樹脂の流動速さについても記載している。この記載は、評価A〜Dを含んでいる。実施例1L〜6L,1M〜6Mおよび比較例1P〜4P,1Q〜4Qとして作製した近接センサについて、熱可塑性樹脂部122Aに対応する流路(外側流路もしくは第1流路)を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、熱可塑性樹脂部122Bに対応する流路(内側流路もしくは第2流路)を流れる熱可塑性樹脂の流速に比べて早い場合を評価Aとしている。
熱可塑性樹脂部122Aに対応する流路(外側流路もしくは第1流路)を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、熱可塑性樹脂部122Bに対応する流路(内側流路もしくは第2流路)を流れる熱可塑性樹脂の流速以下の場合を評価Bとしている。熱可塑性樹脂部122Aに対応する流路(外側流路もしくは第1流路)に樹脂が適切に流れない場合を評価Cとしている。熱可塑性樹脂部122Bに対応する流路(内側流路もしくは第2流路)に樹脂が適切に流れない場合を評価Dとしている。
(実施例1L〜6L)
実施例1Lでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は2mmとした。実施例2Lでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を12とし、寸法D1は2mmとした。実施例3Lでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は3mmとした。実施例4Lでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を11.8とし、寸法D1は3mmとした。実施例5Lでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は4mmとした。実施例6Lでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を12とし、寸法D1は4mmとした。
実施例1L〜6Lでは、外側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、内側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速に比べて早いという結果(評価A)が得られた。実施例1L〜6Lでは、熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生せず、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することができた。ケース部材(ベース金具)の内表面と流動制御部材の外表面との間に形成されている封止樹脂の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、熱可塑性樹脂部122B(面積B)の熱可塑性樹脂部122A(面積A)に対する面積比について、A:B=3以上37以下:1の関係が成立している。外側の方が流れが速いため、ベース金具60と前面カバー20とが嵌合している嵌合部の付近に空気が追い込まれ難くなり、分岐した樹脂が最終的に合流する地点(嵌合部の近傍)に気泡が残留することも抑制されていることがわかる。判定は、いずれもOKとした。
(比較例1P〜4P)
比較例1Pでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は4.5mmとした。比較例1Pでは、外側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、内側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速に比べて早いという結果(評価A)が得られた。熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することができたものの、熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡が発生した。これは、寸法D1が必要以上に大きいため、熱可塑性樹脂の収縮応力が高くなったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
比較例2Pでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は1.5mmとした。比較例2Pでは、熱可塑性樹脂部122Aに対応する流路(外側流路もしくは第1流路)に樹脂が適切に流れないという結果(評価C)が得られた。熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生しなかったものの、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することはできなかった。これは、寸法D1が必要以上に小さいため、熱可塑性樹脂が外側流路内で止まってしまったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
比較例3Pでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を37.5とし、寸法D1は3mmとした。比較例3Pでは、熱可塑性樹脂部122Bに対応する流路(内側流路もしくは第2流路)に樹脂が適切に流れないという結果(評価D)が得られた。熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生しなかったものの、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することはできなかった。これは、内部流路に樹脂が流れず、気泡が熱可塑性樹脂部122Aの部品嵌合部の近傍に残ってしまったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
比較例4Pでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を2.5とし、寸法D1は3mmとした。比較例4Pでは、外側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、内側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速以下という結果(評価B)が得られた。熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生しなかったものの、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することはできなかった。これは、内部流路の樹脂流動が早くなり、気泡が熱可塑性樹脂部122Aの部品嵌合部の近傍に残ってしまったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
(実施例1M〜6M)
実施例1Mでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は2mmとした。実施例2Mでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を10.4とし、寸法D1は2mmとした。実施例3Mでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は3mmとした。実施例4Mでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を11.5とし、寸法D1は3mmとした。実施例5Mでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は4mmとした。実施例6Mでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を10.1とし、寸法D1は4mmとした。
実施例1M〜6Mでは、外側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、内側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速に比べて早いという結果(評価A)が得られた。実施例1M〜6Mでは、熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生せず、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することができた。ケース部材(ベース金具)の内表面と流動制御部材の外表面との間に形成されている封止樹脂の樹脂厚みは2mm以上4mm以下であり、熱可塑性樹脂部122B(面積B)の熱可塑性樹脂部122A(面積A)に対する面積比について、A:B=3以上37以下:1の関係が成立している。外側の方が流れが速いため、ベース金具60と前面カバー20とが嵌合している嵌合部の付近に空気が追い込まれ難くなり、分岐した樹脂が最終的に合流する地点(嵌合部の近傍)に気泡が残留することも抑制されていることがわかる。判定は、いずれもOKとした。
(比較例1Q〜4Q)
比較例1Qでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は4.5mmとした。比較例1Qでは、外側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、内側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速に比べて早いという結果(評価A)が得られた。熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することができたものの、熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡が発生した。これは、寸法D1が必要以上に大きいため、熱可塑性樹脂の収縮応力が高くなったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
比較例2Qでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を3とし、寸法D1は1.5mmとした。比較例2Qでは、熱可塑性樹脂部122Aに対応する流路(外側流路もしくは第1流路)に樹脂が適切に流れないという結果(評価C)が得られた。熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生しなかったものの、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することはできなかった。これは、寸法D1が必要以上に小さいため、熱可塑性樹脂が外側流路内で止まってしまったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
比較例3Qでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を19.2とし、寸法D1は3mmとした。比較例3Qでは、熱可塑性樹脂部122Bに対応する流路(内側流路もしくは第2流路)に樹脂が適切に流れないという結果(評価D)が得られた。熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生しなかったものの、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することはできなかった。これは、内部流路に樹脂が流れず、気泡が熱可塑性樹脂部122Aの部品嵌合部の近傍に残ってしまったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
比較例4Qでは、面積Aおよび面積Bから得られる面積比(A/B)を2.5とし、寸法D1は3mmとした。比較例4Qでは、外側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速の方が、内側流路を流れる熱可塑性樹脂の流速以下という結果(評価B)が得られた。熱可塑性樹脂部122Aへの空気引込みによる気泡は発生しなかったものの、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することはできなかった。これは、内部流路の樹脂流動が早くなり、気泡が熱可塑性樹脂部122Aの部品嵌合部の近傍に残ってしまったことに起因するものと考えられる。判定は、NGとした。
[実験例2]
図39および図40を参照して、実施の形態に関して行なった実験例2について説明する。当該実験例は、比較例1N,2Nおよび実施例1M,2M,3Mを含む。当該実験例では、実験例1で用いたアセンブリ117M(図26参照)と同じものを準備した。
熱可塑性樹脂が充填されたことにより流動制御部材66の外表面66nとケース部材(ベース金具60)の内表面310kとの間に形成される熱可塑性樹脂部122(122A)の第2断面形状内における断面積(面積C)は、比較例1N,2Nおよび実施例1N,2N,3Nのそれぞれにおいて異なるものとした(図40参照)。熱可塑性樹脂が充填されたことにより流動制御部材66の内部流路66G(流動制御部材66の内側)に形成された熱可塑性樹脂部122(122B)の第2断面形状内における断面積(面積D)も、比較例1N,2Nおよび実施例1N,2N,3Nのそれぞれにおいて異なるものとした(図40参照)。
比較例1N,2Nおよび実施例1N,2N,3Nのそれぞれにおいて、流動制御部材66の外表面66nとケース部材(ベース金具60)の内表面310kとは、第2断面形状として見た場合いずれも正円形状を有している。比較例1N,2Nおよび実施例1N,2N,3Nのそれぞれにおいて、外表面66nの直径と内表面310kの直径との差を寸法D2として図39および図40中に記載している。
熱可塑性樹脂部122を形成する熱可塑性樹脂としては、比較例1N,2Nおよび実施例1N,2N,3Nのそれぞれにおいて同一の特性(粘度)を有するものを準備した。比較例1N,2Nおよび実施例1N,2N,3Nのそれぞれにおいて、熱可塑性樹脂をアセンブリ117M内に充填したときの熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めの有無を確認した。図39中には、流動制御部材66の厚みが片側で0.3mm以上確保できるものであるか否かについても記載している。
比較例1Nでは、面積Cおよび面積Dから得られる面積比(C/D)を0.9とし、寸法D2は3.35mmとした。比較例1Nでは、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めを確認することができず、流動制御部材66の厚みが片側で0.3mm以上確保できるものでも無かった。判定は、NGとした。
実施例1Nでは、面積Cおよび面積Dから得られる面積比(C/D)を1.0とし、寸法D2は3.35mmとした。実施例2Nでは、面積Cおよび面積Dから得られる面積比(C/D)を2.9とし、寸法D2は2mmとした。実施例3Nでは、面積Cおよび面積Dから得られる面積比(C/D)を6.8とし、寸法D2は3.35mmとした。実施例1N,2N,3Nでは、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めが発生し、流動制御部材66の厚みが片側で0.3mm以上確保できるものであり、各々の流動制御部材66は容易に作製することができるものであった。判定は、いずれもOKとした。
比較例2Nでは、面積Cおよび面積Dから得られる面積比(C/D)を10とし、寸法D2は3.35mmとした。比較例2Nでは、流動制御部材66の厚みが片側で0.3mm以上確保できるものであるが、熱可塑性樹脂部122B内への気泡の閉じ込めは発生しなかった。判定は、NGとした。
(他の変形例)
図41を参照して、上述のとおり、流動制御部材66は、ケース部材の内表面310kの中心軸(本実施の形態においては中心軸102)に対して同軸状に配置されているとよい。図41に示すように流動制御部材66が内表面310kに対して偏って配置されていると、領域R1と領域R2とで熱可塑性樹脂の流れに偏差が生じるからである。
図42を参照して、流動制御部材66の外表面66nの形状は、ケース部材の内表面310kの形状に対して相似形であるとよい。図42に示すように、たとえば外表面66nが楕円形状を有し、内表面310kが正円形状を有している場合、領域R1と領域R2とで熱可塑性樹脂の流れに偏差が生じるからである。好ましくは、流動制御部材66の外表面66nの断面形状は、内表面310kの形状に対応する正円形状を有しているとよい。
図43〜図46を参照して、流動制御部材66の内側の形状は、正六角形状を有していてもよいし(図43)、楕円形状を有していてもよいし(図44)、長方形状を有していてもよいし(図45)、その他の多角形状を有していてもよい(図46)。流動制御部材66の内側の形状は、任意の形状とすることができる。
図47および図48を参照して、上述の各実施の形態における流動制御部材66は、小径部67と、大径部68と、4つの柱状部69とを含む。図47に示すように、4つの柱状部69は、好ましくは設けられるとよいが、必須の構成では無い。4つの柱状部69が設けられない場合、図47に示すように、第2開口部としての開口部66b1,66b2が設けられる。開口部66b1,66b2は、φ0.5mm相当以上の開口面積を有しているとよい。第1開口部66aとは反対側に位置する開口部66cは、当該変形例においては、第2開口部としては機能していない(図48参照)。
図47に示す流動制御部材66においては、内部流路66Gが、第1内部流路66G1、第2内部流路66G2、および他の第2内部流路66G3を有している。当該構成によっても、上記の実施の形態と同様の作用および効果を得ることができる。
図49を参照して、上述の各実施の形態においては、封止樹脂120が熱硬化性樹脂部121および熱可塑性樹脂部122を含む。封止樹脂120は、1種類の樹脂の身から形成されていてもよい。図49には、封止樹脂120が充填される前の状態が示されている。
図50を参照して、流動制御部材66の内部流路66G内には、プリント基板50ではなくて配線部材50Wが配置されていてもよい。配線部材50Wの断面積に応じて、上述のA:B=3以上37以下:1の関係、ならびにC:D=1以上7以下:1の関係が成立するように構成されるとよい。
図51を参照して、上述の実施の形態における流動制御部材66は、小径部67と、大径部68とを含む。図51に示す流動制御部材66のように、流動制御部材66の外表面66nには全く段差がない形状とされてもよい。図52に示す流動制御部材66のように、大径部68Kおよび大径部68Mの間に、括れ部68Lが形成される構成としてもよい。図53に示す流動制御部材66のように、大径部68Wの第1開口部66aの側にはテーパー部68Vを設けてもよい。図54に示す近接センサのように、流動制御部材66の内部流路66Gには、必ずしも段差が設けられていなくてもよい。
上述の各実施の形態は、電子機器の一例として近接センサに基づいて説明したが、本発明は近接センサに限られない。本発明は、光電センサ、ファイバセンサ、または、スマートセンサなどに適用してもよい。
光電センサは、発光源から出射される光の様々な性質を利用して、物体の有無や表面状態の変化などを検出する。光電センサの検出部は、発光源として発光ダイオードまたは半導体レーザーなどを含む。ファイバセンサは、光電センサに光学ファイバを組み合わせたセンサである。ファイバセンサの検出部も、発光源として発光ダイオードまたは半導体レーザーなどを含む。スマートセンサは、近接センサや光電センサに、解析、情報処理の能力が付加されたセンサである。スマートセンサの検出部は、近接センサが基本構成として用いられる場合、上記の各実施の形態における検出コイル部に相当し、光電センサが基本構成として用いられる場合、発光源として発光ダイオードまたは半導体レーザーなどを含む。
以上、本発明に基づいた各実施の形態および実施例について説明したが、今回開示された各実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。