JP6111573B2 - アナログ電子時計 - Google Patents

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Description

この発明は、アナログ電子時計に関する。
以前より、時針、分針、及び、秒針といった時刻指針以外の指針(機能針)を備え、この機能針を時刻指針とは別個に回動させることで、時刻表示とは異なる他の機能に係る表示を可能としたり、複数の機能に係る表示のうち、何れについての表示を行っているかを示したりすることが出来るアナログ電子時計がある。
近年、腕時計のような小型のアナログ電子時計においても、時刻指針と同様、時計文字盤の略中央に機能針の回転軸を配置し、時刻指針と機能針とが同心円上を回転可能としたものが開発されている(例えば、特許文献1)。このような指針配置を可能とすることによって、アナログ電子時計の多機能化と、表示デザインの多様化とが並列的に実現される。
特開2011−141218号公報
しかしながら、機能針は、多様な機能に係る表示に必要な場合のみ回転移動されて、通常の時刻表示が行われている間には使用されなかったり、曜日表示位置や時刻表示中であることを示す位置で長時間停止状態にあったりすることが多い。従って、日常的には、デザイン上却って障害になったり、ユーザが時刻を読み取る際にむしろ邪魔になったりする場合があるという課題がある。
この発明の目的は、使用されていない指針の見え方を改善することの出来るアナログ電子時計を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、
第1指針と、
前記第1指針と同一軸に対して回転し、同一位置を指し示すことで当該第1指針の下部に覆い隠される形状を有する第2指針と、
前記第1指針及び前記第2指針の回動を各々独立に制御する回動制御手段と
を備え、
前記回動制御手段は、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせない場合には、前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させて、当該第2指針に前記第1指針と同一位置を指し示させ、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせる場合には、前記第1指針に対して180度対向する位置でその角度状態を維持するように前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させる
ことを特徴とするアナログ電子時計である。
また、本発明は、
第1指針と、
前記第1指針と同一軸に対して回転し、同一位置を指し示すことで当該第1指針と重なる第2指針と、
前記第1指針及び前記第2指針の回動を各々独立に制御する回動制御手段と
を備え、
前記回動制御手段は、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせない場合には、前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させて、当該第2指針に前記第1指針と同一位置を指し示させ、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせる場合には、前記第1指針に対して180度対向する位置でその角度状態を維持するように前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させる
ことを特徴とするアナログ電子時計である。
本発明に従うと、アナログ電子時計において、使用されていない指針の見え方を改善することが出来るという効果がある。
本発明の実施形態のアナログ電子時計の正面図である。 アナログ電子時計の3時9時方向断面図である。 アナログ電子時計の内部構成を示すブロック図である。 表示処理の制御手順を示すフローチャートである。 時刻表示状態における指針の表示例を示す図である。 受信表示処理の制御手順を示すフローチャートである。 指針による表示例を示す図である。 曜日表示処理の制御手順を示すフローチャートである。 方位表示処理の制御手順を示すフローチャートである。 アナログ電子時計の変形例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態のアナログ電子時計1の正面図である。
アナログ電子時計1は、ケーシング10に繋がれたバンド14a、14bを備える腕時計である。このアナログ電子時計1では、ケーシング10の内部で文字盤11と前面を覆う図示略の風防ガラスとの間の空間に、時針2(第1指針)と、分針3と、秒針4と、影針5(第2指針)と(以下、まとめて指針2〜5とも記す)が回転可能に設けられている。また、文字盤11の下部には、日車6が設けられ、日車6上に配列された日付標識のうち1つが文字盤11の開口部110から選択的に露出される。風防ガラスの周縁部には、ベゼル13が設けられ、また、ケーシング10の側面には、3個の押しボタンスイッチB1〜B3と、リューズC1とが設けられている。
文字盤11の周縁部には、時刻を表示するための目盛が設けられている。また、この目盛で9分の方向から21分の方向にかけて、曜日を示す標識が順番に配列されて設けられている。また、5分の方向には、電波の受信中であることを示すための標識「R/C」が設けられている。
図2は、アナログ電子時計1を、3時方向と9時方向とを結ぶ線で切断した場合の断面図である。
文字盤11上に設けられた4本の指針は、上から、秒針4、分針3、時針2、影針5の順番で設けられている。図1に示したように、本実施形態のアナログ電子時計1において、影針5は、時針2と同一形状を有し、影針5と時針2とが同一の方向を指し示す場合には、影針5は、時針2に隠される。また、この影針5の少なくとも先端部分は、時針2と異なる色、例えば、赤色に彩色されている。
日車6は、文字盤11の下部に、文字盤11と略平行に設けられた円環状のディスクであり、日車6の回転軸が時針2、分針3、秒針4、及び、影針5と同一の位置となるように配置されている。
図3は、アナログ電子時計1の内部構成を示すブロック図である。
アナログ電子時計1は、輪列機構22を介して時針2を回転させる時針駆動部32と、輪列機構23を介して分針3を回転させる分針駆動部33と、輪列機構24を介して秒針4を回転させる秒針駆動部34と、輪列機構25を介して影針5を回転させる影針駆動部35と、輪列機構26を介して日車6を回転させる日車駆動部36と、回動制御手段としてのCPU41(Central Processing Unit)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46と、電源部51と、操作部52(操作手段)と、アンテナ53と、電波受信部54と、方位センサ55などを備える。
発振回路44は、所定の周波数、例えば、1.6384MHzの周波数信号を発生して分周回路45に出力する。分周回路45は、発振回路44から入力された周波数信号を設定された分周比で分周して、CPU41及び計時回路46により利用される各種設定周波数の信号を生成し、CPU41及び計時回路46に出力する。
計時回路46は、所定周波数の信号の入力回数をカウントして初期時刻に加算していくことで時刻を計数するカウンタである。この計時回路46による時刻の計数は、時針2、分針3、及び、秒針4(以降、時刻指針2〜4とも記す)による時刻の表示とは独立に行われる。また、計時回路46の計数する時刻データは、CPU41からの修正命令に基づいて修正可能となっている。
CPU41は、アナログ電子時計1の動作全体を統括制御し、また、種々の演算処理を行う。CPU41は、時刻表示状態では、計時回路46から入力された時刻データ信号に基づいて時針駆動部32、分針駆動部33、秒針駆動部34、影針駆動部35、及び、日車駆動部36(以降、駆動部32〜36とも記す)に駆動制御信号を出力する。また、CPU41は、各種表示機能に応じて駆動部32〜36の一部または全部に対し、時刻表示位置とは異なる位置に指針2〜5、及び、日車6を移動させるための駆動制御信号を出力する。
ROM42には、CPU41が実行する各種制御プログラム、機能プログラムや設定データが格納されている。機能プログラムには、計測された地磁場データを取得して磁極方向を求め、時針2及び影針5により北向きを表示させる方位表示処理プログラムなどが含まれている。CPU41は、必要に応じて機能プログラムや設定データを読み出し、RAM43に展開して実行する。
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供する。RAM43は、制御プログラムや機能プログラムの実行により取得された値、設定や算出された値を一時的に記憶する。
秒針駆動部34は、CPU41からの駆動制御信号に応じ、輪列機構24に所定角度の回転を与えて秒針4を回転移動させる。本実施形態のアナログ電子時計1では、秒針駆動部34による1ステップ分の駆動動作により、秒針4は、6度回転する。時刻表示状態では、秒針駆動部34は、1秒に1回動作し、60秒(1分)で秒針4を文字盤11上で一周移動させる。
分針駆動部33は、CPU41からの駆動制御信号に応じ、輪列機構23に所定角度の回転を与えて分針3を回転移動させる。本実施形態のアナログ電子時計1では、分針駆動部33による1ステップの駆動動作により、分針3は、1度回転する。時刻表示状態では、分針駆動部33は、10秒に一回動作し、3600秒(1時間)で分針3を文字盤11上で一周移動させる。
時針駆動部32は、CPU41からの駆動制御信号に応じ、輪列機構22に所定角度の回転を与えて時針2を回転移動させる。本実施形態のアナログ電子時計1では、時針駆動部32による1ステップの駆動動作により、時針2は、1度回転する。時刻表示状態では、時針駆動部32は、2分に一回動作し、720分(12時間)で時針2を文字盤11上で一周移動させる。
日車駆動部36は、CPU41からの駆動制御信号に応じ、輪列機構26に所定角度の回転を与えて日車6を回転移動させる。本実施形態のアナログ電子時計1では、CPU41は、日付が変化するタイミングで所定ステップ数連続的に日車6を回転移動させることで、日車6上の日付標識を一日分移動させる。
影針駆動部35は、CPU41からの駆動制御信号に応じ、輪列機構22に所定角度の回転を与えて影針5を回転移動させる。本実施形態のアナログ電子時計1では、影針駆動部35による1ステップの駆動動作により、影針5は、1度回転する。通常の時刻表示状態では、影針駆動部35は、2分に一回動作し、影針5と時針2が指し示す位置を同一位置に保つ。
電源部51は、CPU41の駆動に必要な電力を供給する。この電源部51は、特に限られないが、長期間継続的に電力を供給可能な構成であり、例えば、ソーラー発電を行う太陽電池と、二次電池とを組み合わせたものである。
電波受信部54は、アンテナ53を用いて時刻情報を含む長波長帯の標準電波を受信して復調する受信回路である。電波受信部54で復調された信号は、CPU41に出力されて、CPU41により実行される処理で時刻情報が解読、取得される。ここで、本実施形態のアナログ電子時計1では、標準電波を受信する際には、指針2〜5による表示を受信表示モードに移行させる。具体的な動作については、後述する。
方位センサ55は、例えば、磁気抵抗素子を用いて地磁場の方向を計測するセンサである。この方位センサ55は、文字盤11と平行な面内で直交する2軸方向、又は、予め定められた直交する3軸方向の磁場強度を各々計測する。
操作部52は、押しボタンスイッチB1〜B3、及び、リューズC1の入力操作を電気信号に変換し、入力信号としてCPU41へ出力する。例えば、押しボタンスイッチB1が押下されると、CPU41は、アナログ電子時計1を方位表示状態に変更して、方位センサ55に測定させた地磁場データに基づいて時針2及び影針5に方位を表示させる。押しボタンスイッチB2が押下されると、CPU41は、影針5に曜日を表示させる。また、押しボタンスイッチB3が押下されると、CPU41は、時刻表示状態から順番にアナログ電子時計1が実行可能な各表示モードに変更させていく。リューズC1が操作されると、CPU41は、リューズC1の回転に応じて指針2〜5、及び、日車6を移動させながら、計時回路46の時刻データを変更したり、アラーム時刻の設定を行ったりする。
次に、本実施形態のアナログ電子時計1における指針の動作について説明する。
図4は、本実施形態のアナログ電子時計1において実行される表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この表示処理は、アナログ電子時計1の電源がオンされると共に起動され、アナログ電子時計1の表示が維持されている間継続的に実行される処理である。表示処理が起動されると、先ず、CPU41は、時刻表示に係る運針タイミングであるか否かを判別する(ステップS11)。時刻運針のタイミングではないと判別された場合には(ステップS11で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS15に移行する。
時刻運針のタイミングであると判別された場合には(ステップS11で“YES”)、CPU41は、次に、現在のバッテリ(二次電池)の蓄電状態が閾値レベルを下回って充電不足状態になっているか否かを判別する(ステップS12)。充電不足状態ではないと判別された場合には(ステップS12で“NO”)、CPU41は、時刻指針2〜4を現在時刻に対応する位置に移動させるための駆動制御信号を時針駆動部32、分針駆動部33、及び、秒針駆動部34に出力すると共に、影針5が時針2と同一の位置を指し示すように影針駆動部35に駆動制御信号を出力する(ステップS13)。それから、CPU41の処理は、ステップS15に移行する。
一方、充電不足状態であると判別された場合には(ステップS12で“YES”)、CPU41は、時刻指針2〜4を現在時刻に対応する位置に移動させるための駆動制御信号を出力すると共に、影針5が時針2の位置に対して−6度(反時計回りに6度)の位置を指し示すように影針駆動部35に駆動制御信号を出力する(ステップS14)。それから、CPU41の処理は、ステップS15に移行する。
ステップS11、S13、又は、S14の処理からステップS15の処理に移行すると、CPU41は、表示モードの変更がなされたか否かを判別する。具体的には、CPU41は、操作部52により表示モードの変更に係る入力操作が受け付けられたか、又は、表示モードの変更を伴うアナログ電子時計1の動作状態となったかを検出する。表示モードの変更がなされていないと判別された場合には(ステップS15で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS11に戻る。
表示モードの変更がなされたと判別された場合には(ステップS15で“YES”)、続いて、CPU41は、何れの表示モードへの変更であるかを判別する(ステップS16)。受信表示モードであると判別された場合には、CPU41は、後述する受信表示処理を呼び出して実行する(ステップS17)。曜日表示モードであると判別された場合には、CPU41は、後述する曜日表示処理を呼び出して実行する(ステップS18)。方位表示モードであると判別された場合には、CPU41は、後述する方位表示処理を呼び出して実行する(ステップS19)。ステップS17〜S19の何れかの処理が呼び出され、当該処理が終了すると、CPU41の処理は、ステップS11に戻る。
図5は、ステップS12〜14の処理に係る時刻表示状態の指針の表示例を示す平面図である。
ステップS12の判別処理で充電不足ではないと判別された場合には、図5(a)に示すように、ステップS13の処理により、影針5は、時針2と同位置に移動され、時針2の陰でユーザからは見えない状態となる。一方、ステップS12の判別処理で充電不足であると判別された場合には、図5(b)に示すように、ステップS14の処理により、影針5は、時針2に対して−6度の位置に移動される。その結果、ユーザから影針5が視認可能となる。
図5(c)は、この充電不足状態の表示に係る変形例を示す平面図である。
この変形例では、影針5を時針2に対して−12度の位置に移動させている。この時針2と影針5との間の相対角度差を残りの蓄電量に応じて変化させることで、アナログ電子時計1において、ユーザにバッテリ残量を報知することを可能としている。
図6は、表示処理で呼び出される受信表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
CPU41の処理がステップS17に移行して、受信表示処理が呼び出されると、CPU41は、先ず、秒針4を12時の位置に移動させる(ステップS171)。また、CPU41は、影針5を受信標識「R/C」の位置、即ち、5分の位置に移動させる(ステップS172)。
次いで、CPU41は、電波受信部54に標準電波の受信を開始させる(ステップS173)。CPU41は、標準電波の受信中に時刻表示に係る時針2及び分針3の運針タイミングが来た場合には、時針駆動部32及び分針駆動部33に駆動制御信号を出力しながら標準電波の受信処理を継続し、時刻情報を取得する(ステップS174)。時刻情報の取得が終了すると、CPU41は、受信表示処理を抜けて、表示処理に戻る。
なお、この場合、次の運針タイミングで、秒針4及び影針5を通常の時刻表示位置に戻すための駆動制御信号を出力することになるが、秒針4及び影針5を通常の時刻表示位置に戻す処理を行ってから受信表示処理を終了することとしても良い。
図7(a)には、受信表示処理の実行中における指針2〜5による表示例を示す。
この例では、秒針4は、12時の位置にあり、影針5は、情報標識「R/C」が設けられた5分(1時)の位置にあり、時針2及び分針3は、通常の時刻表示位置、例えば、ここでは、2時20分の位置を指し示している。このような表示により、時刻の表示を維持しつつ、また、秒針4を停止させることで受信ノイズの発生を抑えながら、標準電波の受信中であることをユーザに報知することができる。
図8は、受信処理で呼び出されて実行される曜日表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
CPU41の処理がステップS18に移行して、曜日表示処理が呼び出されると、CPU41は、影針駆動部35に駆動制御信号を出力して影針5を現在の曜日位置に移動させる(ステップS181)。また、CPU41は、曜日表示処理を開始してからの経過時間の計数を開始する。
CPU41は、時刻運針のタイミングであるか否かを判別する(ステップS182)。時刻運針のタイミングではないと判別された場合には(ステップS182で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS184に移行する。時刻運針のタイミングであると判別された場合には(ステップS182で“YES”)、CPU41は、時刻指針2〜4をそれぞれ現在時刻に対応する位置に移動させるための駆動制御信号を時針駆動部32、分針駆動部33、及び、秒針駆動部34に出力し(ステップS183)、その後、処理をステップS184に移行させる。
ステップS184の処理に移行すると、CPU41は、曜日表示処理を開始してから予め設定された所定時間が経過したか否かを判別する。未だ所定時間が経過していないと判別された場合には(ステップS184で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS182に戻る。所定時間が経過したと判別された場合には(ステップS184で“YES”)、CPU41は、曜日表示処理を終了して、表示処理に戻る。
図7(b)には、曜日表示処理における各指針2〜5による表示状態の具体例を示す。
この例では、影針5は、水曜日を示す情報標識「WED」が設けられた15分(3時)位置に移動され、時刻指針2〜4により現在時刻を示す2時20分10秒の位置が指し示されている。このように、押しボタンスイッチB2をユーザが押下した場合など、所定のタイミングでのみ影針5に曜日表示を行わせることで、ユーザは、容易に影針5が曜日表示を行っていることを認識して曜日を知得することが出来る。
図9は、表示処理で呼び出されて実行される方位表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
CPU41の処理がステップS19に移行して、方位表示処理が呼び出されると、CPU41は、先ず、時刻指針2〜4を全て12時の位置に移動させる(ステップS191)と共に、影針5を6時の位置に移動させる(ステップS192)ための駆動制御信号を、時針駆動部32、分針駆動部33、秒針駆動部34、及び、影針駆動部35に出力する。このとき、CPU41は、方位表示処理が開始されてからの経過時間の計数を開始する。
次に、CPU41は、方位センサ55から方位計測値を取得する(ステップS193)。CPU41は、取得された計測値から現在のアナログ電子時計1の姿勢において文字盤11上で北向きを示す位置を算出する(ステップS194)。CPU41は、この算出結果に基づき、時針2を南向き方向、影針5を北向き方向にそれぞれ移動させるための駆動制御信号を時針駆動部32及び影針駆動部35に出力する(ステップS195)。
CPU41は、方位表示処理が開始されてから、所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS196)。未だ所定時間が経過していないと判別された場合には(ステップS196で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS193に戻る。所定時間が経過したと判別された場合には(ステップS196で“YES”)、CPU41は、方位表示処理を終了して、表示処理に戻る。
図7(c)には、方位表示処理における指針2〜5による表示状態の具体例を示す。
方位表示状態では、分針3及び秒針4は、12時位置に維持される。一方、時針2及び影針5は、常に180度反対向きを維持しながら逐次算出される北向き方向に従って回転移動される。ここでは、影針5によって11時方向が北向きであることが示され、時針2が指し示す5時方向が南向きとなる。
以上のように、本実施形態のアナログ電子時計1は、時針2と同一回転軸の周りを回転し、時針2と同一形状の影針5を備え、影針5に種々の機能に係る表示を行わせない場合には、時針2と影針5とが同一位置を指し示すように影針5の回転動作を制御することで、影針5を時針2の下部に隠す構成となっている。従って、ユーザは、影針5の配置から時刻情報以外の情報を読み取る必要があるか否かについて意識する必要が無い。
また、表示に用いられていない不要な指針を表出させないので、指針による表示画面をシンプルに構成することが出来る。
また、通常状態では常に時刻表示に用いられている時針2の下部に影針5を隠す構成とすることで、隠す側の指針が更に表示不要となる事態を避けることが出来ると共に、一番動作頻度の低い時針2により覆い隠させることで、影針5の動作に要する電力消費を低減させることができる。
また、押しボタンスイッチB1〜B3の操作に基づいて対応する機能に係る表示を影針5に行わせると共に、所定時間が経過した後には、自動的に影針5が再び時針2の陰に隠れるように移動させる構成とすることで、表示する必要の無くなった情報に係る指針をいつまでも表出させることを避けてシンプルな表示態様を維持することが出来る。
また、影針5の少なくとも先端部分を時針2とは異なる色に彩色しておくことで、影針5が表出されたときにユーザに容易に気づかせることが出来る。また、同一又は類似形状の時針2と影針5とが表示する情報を容易に判別することが出来る。
次に、アナログ電子時計1の変形例について説明する。
[変形例1]
図10(a)は、アナログ電子時計1の変形例1を示す平面図である。
このアナログ電子時計1では、一本の指針(時針2)に対し、二本の影針5、5aが設けられている。これらの影針5、5aは、それぞれ異なるステッピングモータ及び輪列機構により独立に駆動される。従って、影針5、5aにより2つの異なる情報を必要に応じて単独で、或いは、同時に表示させることが可能となる。
[変形例2]
図10(b)は、アナログ電子時計1の変形例2を示す平面図である。
このアナログ電子時計1では、時針2の陰に隠される影針5と、分針3の陰に隠される影針5bの二本の影針が備えられている。このような構成とすることで、異なる長さの影針が必要な場合に対応することができる。また、一周360ステップの時針2と一周60ステップの秒針4とにそれぞれ対応する影針を備える構成とすることで、異なるステップ数の影針により各種機能に係る表示を行わせることが出来る。
[変形例3]
図10(c)は、アナログ電子時計1の変形例3を示す平面図である。
このアナログ電子時計1は、時刻指針2〜4とは異なる位置に設けられた回転軸に対して小窓111の範囲内で回動する24時間針7と、影針5cとを備える。影針5cは、24時間針7と同一形状であり、同じ位置を指し示すことで24時間針7の下部に完全に隠される。
以上の変形例1〜3に示すように、本発明の実施形態のアナログ電子時計1は、複数本の影針を備えることとすることができる。また、この場合、影針を覆い隠す指針は、各々異なってもよいし、同一の指針が複数本の影針を覆い隠しても良い。このように、複数本の影針を設けることで、必要な場合にのみ、更に多くの情報を同時に表示させることが出来、一方、必要ない場合には、不要な指針を全て時刻指針のように常に動作する指針の陰に隠しておくことが出来る。従って、表示可能な情報量に関わらず、通常時の表示をシンプル且つ見易くすることが出来る。
また、影針と、この影針を覆い隠す指針とが同一回転軸であれば、全ての指針が同一回転軸に対して回転する必要は無い。従って、輪列機構などの内部構成の配置上あまり多くの指針を一の回転軸に対して回転可能に配置することが出来ない場合であっても、同一の回転軸に対して回転可能な指針及び影針を設けて種々の機能に係る表示を行わせることが出来る。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、時針2と影針5が同一の形状であるものとして説明したが、影針5が時針2の下部に隠れるのであれば、同一形状である必要は無い。ここで、影針5は、時針2により全体が完全に隠される場合だけではなく、指針としての機能を発揮しない程度に略全体が隠されていればよい。また、影針5の形状を時針2の形状と異ならせることで、影針5の先端部分を時針2とは異なる色に彩色せずに両指針を判別出来るようにしても良い。
また、上記実施の形態では、時針2、分針3、秒針4、24時間針7により隠される影針5について例を挙げて説明したが、影針5は、これ以外の指針に隠されるものであっても良い。例えば、現在表示中の機能を示すモード表示針を常に表示させておくこととして、影針をこのモード表示針に隠されるものとしても良い。
また、上記実施の形態では、全ての指針が独立駆動されるものとして説明したが、影針5とこれを覆い隠す時針2とが別個に駆動されれば、その他の指針が独立駆動される必要は無い。例えば、分針3が時針2に連動して駆動されるアナログ電子時計であっても良い。
また、アナログ電子時計1は、腕時計に限られず、懐中時計や置時計などの他の時計であっても良い。
その他、上記実施の形態で説明した数値、構成、配置や制御手順などの具体的な内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
[付記]
<請求項1>
第1指針と、
前記第1指針と同一軸に対して回転し、同一位置を指し示すことで当該第1指針の下部に覆い隠される形状を有する第2指針と、
前記第1指針及び前記第2指針の回動を各々独立に制御する回動制御手段と
を備え、
前記回動制御手段は、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせない場合には、前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させて、当該第2指針に前記第1指針と同一位置を指し示させる
ことを特徴とするアナログ電子時計。
<請求項2>
前記第1指針は、それぞれ異なる時刻単位で時刻を表示するための複数の時刻指針のうち、最も大きい時刻単位で時刻を表示するための指針である
ことを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項3>
前記第1指針と前記第2指針の組み合わせを複数備えることを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項4>
ユーザ操作を受け付ける操作手段を備え、
前記回動制御手段は、前記操作手段への入力操作に基づいて前記第2指針に前記所定の機能に係る表示を行わせた後、所定の時間が経過すると、当該第2指針を前記第1指針と同一位置へ移動させる
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項5>
前記第2指針は、少なくとも先端部分の所定範囲が前記第1指針とは異なる色に彩色されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
1 アナログ電子時計
2 時針
3 分針
4 秒針
5 影針
5a 影針
5b 影針
5c 影針
6 日車
7 24時間針
10 ケーシング
11 文字盤
13 ベゼル
14a バンド
14b バンド
22 輪列機構
23 輪列機構
24 輪列機構
25 輪列機構
26 輪列機構
32 時針駆動部
33 分針駆動部
34 秒針駆動部
35 影針駆動部
36 日車駆動部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 発振回路
45 分周回路
46 計時回路
51 電源部
52 操作部
53 アンテナ
54 電波受信部
55 方位センサ
110 開口部
111 小窓
B1〜B3 押しボタンスイッチ
C1 リューズ

Claims (6)

  1. 第1指針と、
    前記第1指針と同一軸に対して回転し、同一位置を指し示すことで当該第1指針の下部に覆い隠される形状を有する第2指針と、
    前記第1指針及び前記第2指針の回動を各々独立に制御する回動制御手段と
    を備え、
    前記回動制御手段は、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせない場合には、前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させて、当該第2指針に前記第1指針と同一位置を指し示させ、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせる場合には、前記第1指針に対して180度対向する位置でその角度状態を維持するように前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させる
    ことを特徴とするアナログ電子時計。
  2. 前記第1指針は、それぞれ異なる時刻単位で時刻を表示するための複数の時刻指針のうち、最も大きい時刻単位で時刻を表示するための指針である
    ことを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
  3. 前記第1指針と前記第2指針の組み合わせを複数備えることを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
  4. ユーザ操作を受け付ける操作手段を備え、
    前記回動制御手段は、前記操作手段への入力操作に基づいて前記第2指針に前記所定の機能に係る表示を行わせた後、所定の時間が経過すると、当該第2指針を前記第1指針と同一位置へ移動させる
    ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
  5. 前記第2指針は、少なくとも先端部分の所定範囲が前記第1指針とは異なる色に彩色されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
  6. 第1指針と、
    前記第1指針と同一軸に対して回転し、同一位置を指し示すことで当該第1指針と重なる第2指針と、
    前記第1指針及び前記第2指針の回動を各々独立に制御する回動制御手段と
    を備え、
    前記回動制御手段は、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせない場合には、前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させて、当該第2指針に前記第1指針と同一位置を指し示させ、前記第2指針により所定の機能に係る表示を行わせる場合には、前記第1指針に対して180度対向する位置でその角度状態を維持するように前記第1指針の移動タイミングに対応して前記第2指針を動作させる
    ことを特徴とするアナログ電子時計。
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