以下に図面を参照して、この発明にかかる電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(実施の形態にかかる電子時計の外観)
図1は、実施の形態にかかる電子時計の外観の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態にかかる電子時計100は、外装(時計ケース)である胴内に、文字板(表示板)110、第1の指針121、第2の指針122、秒針123およびサブ指針140を備える。第1の指針121、第2の指針122および秒針123は、文字板110上で回転し、文字板110に表記された時刻(たとえば「0」、「1」、「2」、「3」など)や目盛を指示することによって現在時刻を表示する指針である。
現在時刻とは、電子時計100においてカウントされる、電子時計100の内部時刻である。現在時刻は、たとえば、ユーザからの操作によって設定される。または、現在時刻は、標準電波やGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)信号の受信結果に応じて設定されてもよい。
第1の指針121および第2の指針122は、互いに長さが同じ(慣性モーメントが同じ)であるが、それぞれに時針および分針が描かれていることにより、それぞれ時針および分針としてユーザが用いることができる。この点については後述する(図2参照)。
第1の指針121の回転を制御することによって表示される第1の情報の一例は、現在時刻の時(hour)である。すなわち、電子時計100は、第1の指針121の指示方向が、現在の時に対応する方向となるように第1の指針121の回転を制御することにより、現在の時をユーザに対して表示する。
第2の指針122の回転を制御することによって表示される第2の情報の一例は、現在時刻の分(minute)である。すなわち、電子時計100は、第2の指針122の指示方向が、現在の分に対応する方向となるように第2の指針122の回転を制御することにより、現在の分をユーザに対して表示する。
サブ指針140は、文字板110に表記された目盛150のいずれかの位置を指示することによって、電子時計100における計測により得られた計測結果を表示する。たとえば、目盛150は電子時計100の電池残量を示しており、サブ指針140は目盛150を指示することによって電子時計100の電池残量の計測値を表示する。
また、サブ指針140は、文字板110に表記されたモードマーク161~163のいずれかを指示することによって電子時計100の動作モードを表示する。たとえば、モードマーク161~163は、電子時計100のそれぞれ異なる動作モードに対応しており、サブ指針140は、モードマーク161~163のうち、電子時計100の現在の動作モードに対応するモードマークを指示する。動作モードの例については後述する。
また、電子時計100は、胴の側面に、電子時計100のユーザからの操作(ユーザ操作)を受け付ける操作部130として、第1プッシュボタン131、第2プッシュボタン132およびリューズ133を備える。図1に示す例では、第1プッシュボタン131は4時側に配置され、第2プッシュボタン132は2時側に配置され、リューズ133は3時側に配置されている。
電子時計100の胴には、文字板110を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が取り付けられている。また、電子時計100の胴における風防の反対側には裏蓋が取り付けられている。以降、電子時計100において風防が配置される方向(図1における紙面手前方向)を表側、電子時計100において裏蓋が配置される方向(図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。電子時計100の胴には、電子時計100のユーザが手首等に巻くことによって電子時計100を携帯するためのバンド170が取り付けられている。
電子時計100は、太陽などの光エネルギーを動力源とする太陽電池時計であってもよい。たとえば、文字板110の裏側には太陽電池が配置され、表側から入光した光により太陽電池において発電がなされる。そのため、文字板110はある程度光線を透過する材質で形成される。太陽電池によって発電された電力は二次電池(たとえば図5に示す二次電池512)に蓄積され、二次電池に蓄積された電力は電子時計100の電源として使用される。二次電池は、たとえばリチウムイオン電池等により実現することができる。上述のサブ指針140および目盛150は、たとえばこの二次電池の残量を表示する。
第1の指針121、第2の指針122および秒針123のそれぞれは、現在時刻とは異なる情報の表示にも用いられてもよい。たとえば、電子時計100は、時刻表示モード(第1の状態)においては、第1の指針121、第2の指針122および秒針123によりそれぞれ現在時刻の時、分および秒を表示する。
また、電子時計100は、時刻表示モードとは異なる情報表示モード(第2の状態)においては、第1の指針121により時刻以外の第3の情報を表示し、第2の指針122により第3の情報と異なる時刻以外の第4の情報を表示してもよい。このとき、電子時計100は、秒針123により現在時刻の秒を表示してもよいし、秒針123により他の情報を表示してもよい。
情報表示モードにおいて表示される第3の情報および第4の情報のそれぞれは、たとえば、電子時計100における測定により得られた計測結果であってもよいし、電子時計100が外部の通信装置から受信した情報であってもよい。一例としては、電子時計100による方位の計測結果を第3の情報とし、電子時計100による高度の計測結果を第4の情報とすることができる。
この場合に、たとえば、電子時計100は、情報表示モードにおいて、方位の計測に基づいて特定した所定の方位(たとえば北)を第1の指針121により指示することにより所定の方位の計測結果を表示する。方位の計測は、電子時計100の内部に設けられた磁気センサや加速度センサを用いて行うことができる。
また、電子時計100は、情報表示モードにおいて、高度の計測結果を第2の指針122によって表示する。高度の計測は、電子時計100の内部に設けられたGPSユニットなどの高度センサを用いて行うことができる。たとえば、電子時計100において計測され得る各高度と、第2の指針122によって表示される分と、が所定のルールで対応付けられているとする。この場合に、電子時計100は、高度の計測結果に対応する分の方向を第2の指針122により指示する。
ただし、第3の情報および第4の情報は、方位および高度に限らず各種の情報とすることができる。たとえば、第3の情報および第4の情報のそれぞれは、電子時計100において測定された温度や湿度などの情報であってもよい。また、第3の情報および第4の情報は、天気予報等の気象情報、外部の通信装置に登録されたユーザのスケジュール情報など、外部の通信装置から電子時計100が受信した情報としてもよい。
上述の情報表示モードは、たとえばモードマーク161~163が対応する各動作モードに含まれる。たとえば、上述の第3の情報および第4の情報を表示する情報表示モードがモードマーク163に対応する。この場合に、電子時計100は、上述の第3の情報および第4の情報を表示する情報表示モードにおいて、サブ指針140によりモードマーク163を指示する。これにより、ユーザは、電子時計100が情報表示モードになっていることを把握することができる。
また、電子時計100は、上述の時刻表示モードにおいて、たとえば、目盛150のうち電池残量の計測値に対応する部分をサブ指針140により指示することにより、電子時計100の動作モードが時刻表示モードであることと、電子時計100の電池残量の計測値と、を表示する。または、上述の時刻表示モードはモードマーク161~163が対応する各動作モードに含まれていてもよい。たとえば、上述の時刻表示モードがモードマーク161に対応しており、電子時計100は、上述の時刻表示モードにおいて、サブ指針140によりモードマーク161を指示してもよい。
電子時計100における上述の各動作モードの切り替えは、たとえば操作部130に対するユーザの操作に応じて行われる。一例としては、第1プッシュボタン131が、上述の時刻表示モードおよび情報表示モードを含む動作モードの切り替えに割り当てられており、第1プッシュボタン131が押下されるごとに電子時計100の動作モードが切り替わる。
第1プッシュボタン131の色は、サブ指針140の色や、文字板110のうちのモードマーク161、モードマーク162およびモードマーク163の色と一致または類似する色になっている。一例としては、第1プッシュボタン131、サブ指針140、モードマーク161、モードマーク162およびモードマーク163は、いずれも黄色になっている。そして、文字板110のうちモードマーク161、モードマーク162およびモードマーク163が表記されていない部分や、第2プッシュボタン132およびリューズ133は、黄色とは異なる色(たとえば黒色)になっている。これにより、ユーザは、サブ指針140等により表示される電子時計100の動作モードを切り替えるための操作部が、操作部130のうちの第1プッシュボタン131であることを容易に(直感的に)把握することができる。
図1に示した電子時計100の外観は一例であり、電子時計100の外観はこれに限らない。たとえば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、リューズ133等の有無、数、配置、形状も任意に変更することができる。または、曜日、サマータイムの有無、電波の受信状態など各種の表示を行う指針や、日付表示部等を追加したりしてもよい。また、電子時計100が腕時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。たとえば、電子時計100は、懐中時計、置き時計、掛け時計などの時計であってもよい。
(実施の形態にかかる電子時計の第1の指針および第2の指針)
図2は、実施の形態にかかる電子時計の第1の指針および第2の指針の一例を示す図である。図1に示した第1の指針121および第2の指針122について説明する。図2に示す回転軸201は、第1の指針121および第2の指針122の回転軸である。すなわち、第2の指針122は、第1の指針121の回転軸と同じ回転軸(回転軸201)を中心に回転する。換言すると、第1の指針121および第2の指針122は回転中心が同じである。
第1の指針121は、回転軸201を始点とする矢印型の形状になっている。具体的には、第1の指針121は、回転軸201から離れるほど細くなるテーパ形状部と、そのテーパ形状部の先端(回転軸201とは反対側の端部)に設けられた矢尻形状部と、により構成される。
第2の指針122は、第1の指針121と同様に、回転軸201を始点とする矢印型の形状になっている。具体的には、第2の指針122は、回転軸201から離れるほど細くなるテーパ形状部と、そのテーパ形状部の先端(回転軸201とは反対側の端部)に設けられた矢尻形状部と、により構成される。
上述のように、第1の指針121および第2の指針122は、慣性モーメントが互いに同じである。第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントが同じであるとは、たとえば第1の指針121の駆動機構と第2の指針122の駆動機構に同じ仕様の部品を用いることが可能になる程度に、第1の指針121の慣性モーメントと第2の指針122の慣性モーメントとが近いことである。
たとえば、第1の指針121および第2の指針122の材質および形状(大きさや長さを含む)を同じにすることにより、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントが同じになる。ただし、たとえば第1の指針121および第2の指針122の形状が同じ構成に限らず、たとえば第1の指針121および第2の指針122の太さ等が異なっていても、第1の指針121および第2の指針122の質量および重心位置等を調整することにより、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントを同じにすることができる。たとえば、第1の指針121および第2の指針122は細長い形状であるため、第1の指針121および第2の指針122の長手方向の長さを同じにすることで、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントを同じにすることができる。
第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントが同じであることにより、第1の指針121および第2の指針122の駆動に要する力が同じになる。これにより、第1の指針121の駆動機構と第2の指針122の駆動機構とに同じ仕様の部品を用いることが可能になる。このため、電子時計100における部品の種類数を減らして製造コストを低減することができる。この点については後述する(たとえば図3,図4参照)。
第1の指針121や第2の指針122などの指針における慣性モーメントは、その指針の長さに大きく依存する。したがって、慣性モーメントが同じである第1の指針121および第2の指針122は、長さも同じになる。指針の長さとは、指針の長手方向の長さであり、たとえば指針の回転軸から指針の先端(指針が指示する方向の端部)までの長さである。
第1の指針121および第2の指針122の長さが同じであるとは、たとえば、第1の指針121および第2の指針122の各長さだけではユーザが第1の指針121および第2の指針122を区別することが困難な程度に第1の指針121および第2の指針122の長さが近いことである。図2に示す例では、第1の指針121における回転軸201から先端までの距離L1と、第2の指針122における回転軸201から先端までの距離L2と、が同じになる(L1=L2)。
通常、ユーザは、時針および分針を主に長さによって区別するため、第1の指針121および第2の指針122の長さが同じであると、ユーザは第1の指針121および第2の指針122の区別が困難になり、現在時刻の把握が困難になる。そこで、電子時計100においては、第1の指針121および第2の指針122の配色を異ならせることにより第1の指針121および第2の指針122の区別を容易にする。配色とは、たとえばユーザから視認される部分における色の組み合わせや配置である。
具体的には、第1の指針121のうちユーザから視認される部分(たとえば第1の指針121のおもて面)には、回転軸201から延びた、第1の指針121より短い時針211が描かれている。時針211などの指針を描くとは、たとえば、色の境界線が指針の輪郭の形状となるように、着色等により配色を行うことである。
たとえば、時針211は、第1の指針121におけるテーパ形状部のうち、回転軸201の側の部分を、第1の指針121の材料や文字板110の色と異なる色に着色することにより描かれている。一例としては、第1の指針121の材料の色が黒色であり、文字板110の色も黒色である場合に、時針211の色は赤色とすることができる。第1の指針121に描かれた時針211は、第1の指針121の回転に応じて回転軸201を中心に回転する。
第2の指針122のうちユーザから視認される部分(たとえば第2の指針122のおもて面)には、回転軸201から延びた、第2の指針122より短く上述の時針211より長い分針221が描かれている。分針221は、第2の指針122におけるテーパ形状部のうち、回転軸201の側の部分であって時針211の部分よりも長い部分を、第2の指針122の材料や文字板110の色と異なる色に着色することにより描かれている。一例としては、第2の指針122の材料の色が黒色であり、文字板110の色も黒色である場合に、分針221の色は青色とすることができる。第2の指針122に描かれた分針221は、第2の指針122の回転に応じて回転軸201を中心に回転する。
上述のように、第1の指針121に描かれた時針211よりも、第2の指針122に描かれた分針221を長くする。これにより、第1の指針121および第2の指針122の長さが同じであっても、第1の指針121および第2の指針122のユーザによる区別が容易になる。このため、第1の指針121の指示方向が現在時刻の時を示しており、第2の指針122の指示方向が現在時刻の分を示していることをユーザが容易に把握することができる。
このように、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントを同じにすることにより、電子時計100における部品の種類数を減らして製造コストを低減することができる。そして、第1の指針121および第2の指針122の配色を異ならせることにより、第1の指針121および第2の指針122のユーザによる区別が困難になることを抑制することができる。具体的には、第1の指針121に時針211が描かれており、第2の指針122に分針221が描かれていることにより、第1の指針121および第2の指針122がそれぞれ時針および分針であることをユーザが把握することができる。
また、時針211および分針221がそれぞれ異なる色(たとえば赤色および青色)で描かれていることにより、第1の指針121および第2の指針122のユーザによる区別がより容易になる。ただし、時針211および分針221は同じ色で描かれていてもよい。この場合も、時針211および分針221における色の配置(たとえば長さ)が異なることにより、ユーザは第1の指針121および第2の指針122をそれぞれ容易に区別することができる。
第1の指針121における上述の矢尻形状部は、時刻以外の上述の第3の情報を表示するための第1の指示部212になっている。図2に示す例では、第1の指示部212は時針211と同じ色に着色(たとえば赤色)されているが、第1の指示部212は時針211と異なる色に着色されていてもよいし、第1の指示部212は着色されていなくてもよい。
第2の指針122における上述の矢尻形状部は、第3の情報と異なる時刻以外の上述の第4の情報を表示するための第2の指示部222になっている。図2に示す例では、第2の指示部222は分針221と同じ色(たとえば青色)に着色されているが、第2の指示部222は分針221と異なる色に着色されていてもよいし、第2の指示部222は着色されていなくてもよい。
電子時計100は、上述の第3の情報および第4の情報を表示する情報表示モードにおいて、第1の指針121の回転を制御することで第1の指示部212により第3の情報を表示し、第2の指針122の回転を制御することで第2の指示部222により第4の情報を表示する。この状態において、ユーザは、第1の指示部212の指示方向により第3の情報を把握し、第2の指示部222の指示方向により第4の情報を把握する。
上述のように、第1の指針121および第2の指針122の長さは同じである。また、第1の指示部212および第2の指示部222はそれぞれ第1の指針121および第2の指針122の先端に設けられている。したがって、第1の指示部212および第2の指示部222は、共通の回転軸201を中心とする同一の円周上を移動する。
すなわち、電子時計100によれば、互いに長さが異なることにより区別が容易な時針211および分針221と、同一の円周上を移動することにより見栄えのよい第1の指示部212および第2の指示部222と、を第1の指針121および第2の指針122により実現することができる。このため、上述のように電子時計100の製造コストを低減しつつ、電子時計100の外観品質の向上を図ることができる。
第1の指針121のうち、時針211と第1の指示部212との間の中間部213(時針211および第1の指示部212が描かれていない領域)のうちユーザから視認される部分は、文字板110のうちユーザから視認される部分の色と同じ色(たとえば黒色)になっている。中間部213のうちユーザから視認される部分とは、たとえば中間部213のおもて面である。文字板110のうちユーザから視認される部分とは、上述の風防を介してユーザから見える文字板110の部分であり、具体的には文字板110のおもて面である。これにより、ユーザからは中間部213が文字板110と一体化して見えるため、ユーザに対して、第1の指針121に描かれた時針211を時針として違和感なく認識させることができる。このため、上述のように電子時計100の製造コストを低減しつつ、電子時計100の外観品質の向上を図ることができる。
同様に、第2の指針122のうち、分針221と第2の指示部222との間の中間部223(分針221および第2の指示部222が描かれていない領域)のうちユーザから視認される部分は、文字板110のうちユーザから視認される部分の色と同じ色(たとえば黒色)になっている。中間部223のうちユーザから視認される部分とは、たとえば中間部223のおもて面である。これにより、ユーザからは中間部223が文字板110と一体化して見えるため、ユーザに対して、第2の指針122に描かれた分針221を分針として違和感なく認識させることができる。このため、上述のように電子時計100の製造コストを低減しつつ、電子時計100の外観品質の向上を図ることができる。
また、中間部213,223のそれぞれは、透明であってもよい。これにより、中間部213,223のそれぞれを文字板110と同じ色とする場合と同様に、ユーザから中間部213,223が文字板110と一体化して見えるようにすることができる。また、中間部213,223を透明にすることにより、文字板110に表示された文字や記号などが中間部213,223によって遮られてユーザから見えないという状態を回避することができる。
ただし、中間部213のすべてが文字板110と同じ色または透明である構成に限らない。すなわち、中間部213の一部が、文字板110と同じ色ではなく透明でもない構成としてもよい。同様に、中間部223のすべてが文字板110と同じ色または透明である構成に限らない。すなわち、中間部223の一部が、文字板110と同じ色ではなく透明でもない構成としてもよい。
上述した第1の指針121および第2の指針122における各部品の色は、部品に対する着色により実現される色であってもよいし、部品の素材(たとえば金属や樹脂)自体の色であってもよい。
(実施の形態にかかる第1の指針および第2の指針の駆動機構)
図3は、実施の形態にかかる第1の指針および第2の指針の駆動機構の一例を示す上面図である。図4は、実施の形態にかかる第1の指針および第2の指針の駆動機構の一例を示す断面図である。ステップモータ(第1のモータ)311、歯車312~315(第1の輪列)および筒車316は、第1の指針121の駆動機構である。ステップモータ(第2のモータ)321、歯車322~325(第2の輪列)および筒車326は、第2の指針122の駆動機構である。
ステップモータ311は、入力された駆動信号により回転するロータ311aを有する。歯車312~315は、ロータ311aの回転を減速しながら筒車316に伝達する輪列である。筒車316には、筒車316の回転の径方向に第1の指針121が取り付けられており、筒車316の回転に応じて第1の指針121が回転する。これにより、ロータ311aの回転に応じて第1の指針121が回転する。
ステップモータ321は、入力された駆動信号により回転するロータ321aを有する。歯車322~325は、ロータ321aの回転を減速しながら筒車326に伝達する輪列である。筒車326には、筒車326の回転の径方向に第2の指針122が取り付けられており、筒車326の回転に応じて第2の指針122が回転する。これにより、ロータ321aの回転に応じて第2の指針122が回転する。
上述のように、第1の指針121および第2の指針122は慣性モーメントが同じである。ここで、慣性モーメントは、上述のように、ある軸の周りに回転運動する物体が同じ回転運動を保ち続けようとする回転の慣性の大きさを表す量(物体の回転しにくさ)である。そして、第1の指針121および第2の指針122を駆動する力は、モータの能力と輪列の減速比で決まる。
したがって、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントが同じであることにより、第1の指針121および第2の指針122を駆動するためのモータの能力と輪列の減速比を同じにすることができる。これにより、第1の指針121の駆動機構と、第2の指針122の駆動機構と、に同じ仕様の部品を用いることが可能になる。
図3,図4に示す例では、ステップモータ311,321が同じ仕様の部品であり、歯車312,322が同じ仕様の部品であり、歯車313,323が同じ仕様の部品であり、歯車314,324が同じ仕様の部品である。このため、電子時計100における部品の種類数を減らすことが可能になり、電子時計100の製造コストの抑制を図ることができる。ステップモータ311,321の仕様は、たとえばトルクや回転数である。歯車312~315,322~325の仕様は、直径、歯の形状、歯のピッチなどである。
第1の指針121の駆動機構と、第2の指針122の駆動機構と、に同じ仕様の部品を用いる構成について説明したが、第1の指針121の駆動機構と、第2の指針122の駆動機構と、の共用化を行うことも可能である。たとえば、ステップモータ311,321に代えて1個のステップモータを設け、その1個のステップモータのロータの回転を、歯車312~315および歯車322~325がそれぞれ筒車316および筒車326に伝達する構成としてもよい。このように、第2の指針122の駆動機構のステップモータと、第2の指針122の駆動機構のステップモータと、を共用化することにより、電子時計100の部品数の低減を図ることができる。
さらに、歯車312~315および歯車322~325の一部の共用化を行うことも可能である。一例としては、歯車312および歯車322に変えて1個の歯車を設け、その1個の歯車が、上記の1個のステップモータの回転を歯車313~315および歯車323~325のそれぞれに伝達する構成としてもよい。また、歯車312および歯車322に限らず、歯車312~315および歯車322~325の他の歯車の共用化を行うことも可能である。このように、第2の指針122の駆動機構の歯車と、第2の指針122の駆動機構の歯車と、を共用化することにより、電子時計100の部品数の低減を図ることができる。
(実施の形態にかかる電子時計のハードウェア構成)
図5は、実施の形態にかかる電子時計のハードウェア構成の一例を示す図である。図5において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図5に示すように、実施の形態にかかる電子時計100は、操作部130と、太陽電池511と、二次電池512と、制御回路520と、駆動機構530と、表示装置540と、通信部550と、により実現される。
太陽電池511は、たとえば図1に示した文字板110の裏側に配置されている。そして、太陽電池511は、電子時計100に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池512に供給する。二次電池512は、太陽電池511によって発電された電力を蓄積する。そして、二次電池512は、蓄積した電力を、制御回路520などの電子時計100の各回路に対して供給する。二次電池512は、たとえばリチウムイオン電池等により実現することができる。
制御回路520は、ROM(Read Only Memory)521と、RAM(Random Access Memory)522と、RTC(Real Time Clock)523と、計測部524と、演算部(制御部)525と、モータ駆動回路526と、を含む。制御回路520は、たとえばマイクロコンピュータ等の情報処理装置により実現することができる。
ROM521は、電子時計100を動作させる各種のプログラムやデータを記憶する補助メモリである。ROM521は、たとえば磁気ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。RAM522は、演算部525のワークエリアとして使用され、演算部525の処理対象となるデータが書き込まれるメインメモリである。
RTC523は、演算部525における計時に使用されるクロック信号を供給する。たとえば、RTC523は、電子時計100が備える水晶振動子を発振させてクロック信号を生成し、生成したクロック信号を基準信号として演算部525へ供給する。
計測部524は、電子時計100において計測可能な物理量を計測し、計測により得られた計測値を演算部525へ出力する。計測部524による計測対象の物理量には、たとえば二次電池512における電池残量が含まれる。この場合に、計測部524による電池残量の計測は、たとえば二次電池512の出力電圧を検出することにより行うことができる。ただし、電池残量の計測方法は、これに限らず各種の計測方法とすることができる。
また、計測部524による計測対象の物理量には、上述の方位、高度、温度、湿度など、モードマーク161、モードマーク162およびモードマーク163が示すモードにおいて計測値が表示される物理量であってもよい。たとえば、計測部524による計測対象の物理量には、二次電池512における電池残量と、上述の方位および高度と、が含まれる。この場合に、計測部524は、二次電池512における電池残量を計測する回路、方位を計測する回路および高度を計測する回路により実現することができる。
演算部525は、電子時計100の全体の制御を司る。たとえば、演算部525は、ROM521に記憶されたプログラムをRAM522にロードして実行することにより各種の制御を行う。たとえば、演算部525は、上述の時刻表示モードにおいて、RTC523から供給されたクロック信号に基づいて現在時刻を計時し、計時した現在時刻を表示装置540に表示させるようにモータ駆動回路526を制御する。このとき、演算部525は、現在時刻の時に対応する方向を第1の指針121に指示させ、現在時刻の分に対応する方向を第2の指針122に指示させ、現在時刻の秒に対応する方向を秒針123に指示させるようにモータ駆動回路526を制御する。
また、演算部525は、上述の情報表示モードにおいて、計測部524から出力された計測値を表示装置540に表示させるようにモータ駆動回路526を制御する。また、上述の情報表示モードにおいて表示される情報に、電子時計100が外部の通信装置から受信した情報が含まれる場合に、演算部525は、後述の通信部550から出力された情報を表示装置540に表示させるようにモータ駆動回路526を制御してもよい。
モータ駆動回路526は、演算部525からの制御に応じて、後述する駆動機構530に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、たとえば制御回路520によって計時された現在時刻や、計測部524によって得られた各計測値が表示装置540により表示される。
駆動機構530は、上述したモータ駆動回路526から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータや輪列を含み、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、表示装置540に含まれる指針を回転させる。図3,図4に示した第1の指針121および第2の指針122の各駆動機構は駆動機構530に含まれる。たとえば、図3,図4に示したステップモータ311は、モータ駆動回路526からの駆動信号によりロータ311aを回転させる。また、図3,図4に示したステップモータ321は、モータ駆動回路526からの駆動信号によりロータ321aを回転させる。
表示装置540は、たとえば、図1に示した文字板110、第1の指針121、第2の指針122、秒針123およびサブ指針140を含む。表示装置540に含まれる各指針が文字板110上を回転することにより、各情報が表示される。
通信部550は、電子時計100の外部の通信装置との通信を行う。通信部550は、たとえばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの無線通信を外部の通信装置との間で行う。または、通信部550は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルなどの有線接続による通信を外部の通信装置との間で行ってもよい。外部の通信装置は、たとえばパーソナルコンピュータやスマートフォンなどの情報端末であってもよいし、各種のネットワークを介して電子時計100と通信可能なサーバ等であってもよい。
通信部550は、たとえば演算部525からの制御により外部の通信装置から受信した情報を演算部525へ出力する。通信部550が外部の通信装置から受信する情報は、たとえば、天気予報等の気象情報、外部の通信装置に登録されたユーザのスケジュール情報など、外部の通信装置から受信可能な各種の情報とすることができる。
操作部130は、ユーザによる操作を受け付けて、その操作内容を制御回路520に対して出力する。制御回路520は、操作部130が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。操作部130には、たとえば図1に示した第1プッシュボタン131、第2プッシュボタン132およびリューズ133などが含まれる。
たとえば、制御回路520の演算部525は、操作部130に含まれる第1プッシュボタン131がプッシュされるごとに、上述の時刻表示モードや情報表示モードなどの動作モードを順次切り替える。
(実施の形態にかかる電子時計の外観の他の例)
図6は、実施の形態にかかる電子時計の外観の他の一例を示す図である。図6において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図6に示すように、第1の指針121は、第1の指示部212(図2参照)を含まなくてもよい。この場合に、第1の指針121は、回転軸201から離れるほど細くなるテーパ形状部により構成される。
同様に、第2の指針122は、第2の指示部222(図2参照)を含まなくてもよい。この場合に、第2の指針122は、回転軸201から離れるほど細くなるテーパ形状部により構成される。このような構成においても、上述のように、電子時計100における部品の種類数を減らして製造コストを低減しつつ、第1の指針121および第2の指針122のユーザによる区別が困難になることを抑制することができる。
図7は、実施の形態にかかる電子時計の外観の他の一例を示す図である。図7において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図7に示すように、秒針123の慣性モーメントが、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントと同じになるように秒針123を形成してもよい。たとえば、秒針123の長さを、第1の指針121および第2の指針122と同じにしてもよい。
これにより、第1の指針121の駆動機構と、第2の指針122の駆動機構と、秒針123の駆動機構と、に同じ仕様の部品を用いることが可能になる。このため、電子時計100における部品の種類数をさらに減らすことが可能になり、電子時計100の製造コストの抑制を図ることができる。
そして、秒針123に対して、秒針123が現在時刻の秒を表示するための秒針であるとユーザが把握できるように指針を描く。たとえば、図7に示すように、秒針123に対して、秒針123の長手方向の直線であって、時針211や分針221より細い直線を着色等により描くことにより指針を描くことができる。これにより、秒針123の慣性モーメントが第2の指針122の慣性モーメントと同じになるように秒針123を形成しても、ユーザは秒針123が秒針であることを把握することができる。
図7に示した構成において、たとえば第1の指針121の慣性モーメントが、第2の指針122および秒針123の慣性モーメントと異なるように第1の指針121を形成してもよい。たとえば、第1の指針121を、第2の指針122および秒針123より短い指針としてもよい。この場合に、ユーザは、第1の指針121の長さによって、第1の指針121が時針であると把握することができる。このような構成においては、第1の指針121には時針211が描かれていなくてもよい。
この場合に、回転軸および慣性モーメントが同じであり配色が異なる第1の指針および第2の指針は、それぞれ第2の指針122および秒針123とすることができる。この場合は、第1の指針(第2の指針122)の回転を制御することによって表示される第1の情報は現在時刻の分である。また、第2の指針(秒針123)の回転を制御することによって表示される第2の情報は現在時刻の秒である。
また、図7に示した構成において、図6に示した例のように第1の指針121および第2の指針122がそれぞれ第1の指示部212および第2の指示部222を含まず、同様に秒針123も矢尻形状の指示部を含まない構成としてもよい。
図8は、実施の形態にかかる電子時計の外観の他の一例を示す図である。図8において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図8に示すように、第1の指針121には、第1の指針121より短い時針211が描かれていなくてもよい。同様に、第2の指針122には、第2の指針122より短い分針221が描かれていなくてもよい。
図8に示す例では、第1の指針121のうちユーザから視認される部分(たとえばおもて面)の全体が1つの色(一例としては赤色)に着色されている。また、第2の指針122のうちユーザから視認される部分(たとえばおもて面)の全体が、第1の指針121の色とは異なる1つの色(一例としては青色)に着色されている。
このような構成においても、ユーザは、たとえば赤色が時針、青色が分針と覚えておくことにより、第1の指針121および第2の指針122をそれぞれ区別することができる。これにより、ユーザは、第1の指針121から現在時刻の時を把握し、第2の指針122から現在時刻の分を把握することができる。
図8に示した例のように、第1の指針121および第2の指針122の配色を異ならせることにより、第1の指針121および第2の指針122にそれぞれ時針211および分針221を描かなくても、ユーザが第1の指針121および第2の指針122をそれぞれ区別することができる。
図8に示した構成において、図6に示した例のように、第1の指針121および第2の指針122がそれぞれ第1の指示部212および第2の指示部222(図2参照)を含まない構成としてもよい。また、図8に示した構成において、図7に示した例のように、秒針123の慣性モーメントが、たとえば第2の指針122の慣性モーメントと同じになる構成としてもよい。
図1,図6~図8に示した電子時計100においては、たとえば第1の指針121および第2の指針122が同じ長さである場合について説明したが、第1の指針121および第2の指針122を同じ形状(大きさも含む)としてもよい。この場合は、第1の指針121および第2の指針122の慣性モーメントが同じになるとともに、第1の指針121および第2の指針122に同じ仕様の指針を用いることができる。
このため、電子時計100における部品の種類数をさらに減らすことが可能になり、電子時計100の製造コストの抑制を図ることができる。また、第1の指針121および第2の指針122を同じ形状とする構成においても、上述のように第1の指針121および第2の指針122の配色を異ならせることにより、ユーザが第1の指針121および第2の指針122をそれぞれ区別することができる。
図1,図6~図8に示した電子時計100においては、回転軸および慣性モーメントが同じであり配色が異なる第1の指針および第2の指針の例として、第1の指針121および第2の指針122の組み合わせや、第2の指針122および秒針123の組み合わせについて説明したが、第1の指針および第2の指針はこれに限らない。
たとえば、サブ指針140と回転軸および慣性モーメントが同じである第2のサブ指針を電子時計100に設け、サブ指針140を第1の指針、第2のサブ指針を第2の指針としてもよい。この場合は、サブ指針140の駆動機構と、第2のサブ指針の駆動機構と、に同じ仕様の部品を用いることが可能になり、電子時計100の製造コストを低減することができる。また、サブ指針140と第2のサブ指針の配色を異ならせることにより、サブ指針140および第2のサブ指針の区別が困難になることを抑制することができる。
このように、実施の形態にかかる電子時計は、回転軸が同じでありそれぞれ第1の情報および第2の情報を表示するための第1の指針および第2の指針の慣性モーメントを同じにすることにより、第1の指針の駆動機構と、第2の指針の駆動機構と、に同じ仕様の部品を用いることが可能になる。このため、電子時計における部品の種類数を減らして製造コストを低減することができる。
また、第1の指針および第2の指針の配色を異ならせることにより、第1の指針および第2の指針の慣性モーメントを同じにしても、ユーザが第1の指針および第2の指針を容易に区別することができる。このため、ユーザは、第1の指針および第2の指針によってそれぞれ第1の情報および第2の情報を区別して把握することができる。したがって、実施の形態にかかる電子時計によれば、情報の視認性の低下を抑制しつつ製造コストを低減することができる。
以上説明したように、この発明にかかる電子時計によれば、情報の視認性の低下を抑制しつつ製造コストを低減することができる。