JP6109073B2 - 炭化水素界面活性剤を用いたフルオロモノマーの水性重合 - Google Patents

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Description

本発明は、フルオロモノマーの水性分散重合における安定化界面活性剤としての炭化水素界面活性剤の使用に関する。
特定のフルオロモノマー、特にVFの重合における安定化界面活性剤としてのパーフルオロオクタン酸アンモニウムの代替にするために、最近の特許には、このための炭化水素界面活性剤の使用が開示されている。例えば、米国特許第7,122,610号明細書(Wille et al.)には、少なくとも71重量%のフッ化ビニリデン(VF)を含有する非弾性フルオロポリマーを形成するための重合における特定のアルカン−スルホン酸塩、スルホン、およびジスルホンの使用が示されている。このようなポリマーは、低温で溶融することが知られており、すなわちポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、155〜192℃の溶融温度を有する(S.Ebnesajjad,Fluoroplastics,Vol.2 melt Processible Fluoropolymer,Plastics Design Library(2003)のp.27)。米国特許第7,521,513号明細書(Tang)には、VF/HFPフルオロエラストマーを形成するための重合におけるオクチルスルホン酸ナトリウムの使用が示されており、ここで、フルオロエラストマーの低分子量は、ムーニー粘度計による方法(Mooney Viscometer method)によって測定されるその固有粘度によって示され、フルオロエラストマーは、121℃で流動性であるため、その耐せん断性を、この温度で測定することができる。米国特許第3,391,099号明細書(Punderson)には、実施例VIにおいて、易焼結性(sinterable)改質PTFEを形成するためのTFEおよび少量のHFPの重合におけるラウリル硫酸ナトリウムの使用が示されている。実施例VIは、260ppmのフッ素化界面活性剤、AFC(ω−ヒドロヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)も使用するため、この重合は、フッ素系界面活性剤フリーではない。
フルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの非溶融処理性パーフルオロプラスチックならびにテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロ−プロピレンコポリマー(FEP)およびテトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PFA)などの溶融加工性パーフルオロプラスチックを形成するためのフルオロモノマーの水性分散重合においてフッ素系界面活性剤を大幅に減少させるかまたは完全になくす必要性がある。
本発明は、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法によってこの必要性を満たし、本方法は、(a)反応器に水性媒体を提供する工程と、(b)フルオロモノマーを反応器に加える工程と、(c)重合開始剤を水性媒体に加え、それによって、フルオロモノマーの重合をキックオフさせる工程と、(d)重合のキックオフ後、炭化水素含有界面活性剤を水性媒体中に計量供給する工程とを含み、ここで、水性媒体は、フルオロモノマーの重合のキックオフの前に界面活性剤を実質的に含まず、ハロゲン含有界面活性剤が、重合のキックオフ中またはキックオフ後に水性媒体に加えられない。工程(b)および(c)に関して、これらの工程における開始剤およびフルオロモノマーの添加は、逆の順序で行われてもよいが、(b)の次に(c)という段階的な順序が好ましい。これは方法1である。以下に開示される全ての好ましいものは、方法1の実施に使用することができる。
好ましくは、計量工程(d)は、重合の際に媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を安定させるために表面活性を維持しながら、炭化水素含有界面活性剤のテロゲン活性を低下させる速度で行われる。好ましくは、水性媒体中への炭化水素含有界面活性剤の計量供給は、水性媒体中の粒子としてのフルオロポリマーの濃度が少なくとも0.6重量%であるときに開始される。フルオロモノマーの重合は、重合の継続に必要であれば任意にさらなる開始剤を水性媒体に加える工程とともに、キックオフ後および工程(d)の計量供給中に、完了するまで継続される。
この重合方法は、上記および以下に記載される全てのその好ましいものとともに実施することができ、また、フルオロモノマーの重合のキックオフの前に水性媒体中に分散された重合部位をさらに提供するのが好ましい。
あるいは、本発明の重合方法は、方法2として記載され得る。方法1および2は同じ発明であるが、異なる形で記載される。方法2は、以下のように記載することができる:
重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であり、本方法は、初期期間および安定化期間を含み、
初期期間は、
重合反応器において水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程を含み、
安定化期間は、
重合反応器においてフルオロモノマーを重合する工程と:
炭化水素含有界面活性剤を重合反応器に加える工程とを含み、
安定化期間中、フッ素系界面活性剤が加えられない。重合方法の初期期間は、好ましくは、方法1について記載されるように、重合反応のキックオフの前に重合部位を提供する工程を含む。安定化期間において、炭化水素含有界面活性剤を加える工程は、好ましくは、方法1と同様に、炭化水素含有界面活性剤を水性媒体中に計量供給することによって行われる。安定化期間におけるフルオロモノマーの重合の結果は、重合方法から得られるフルオロポリマー粒子の分散体を形成する。安定化期間は、フルオロポリマー粒子の初期分散体のフルオロポリマー粒子のサイズが、フルオロポリマー粒子の最終的な分散体のより大きい最終的な粒子を形成するための重合フルオロモノマーの沈殿によって成長する期間である。
方法2の好ましいもののいくつかは、個別におよび組み合わせて以下のことを含む:
好ましくは、フルオロポリマー粒子の初期分散体は、フッ素系界面活性剤を実質的に含まない。
好ましくは、安定化期間中、ハロゲン含有界面活性剤が加えられない。
本発明の一実施形態において、フルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程は、重合反応器に:
(a)水性媒体、
(b)水溶性炭化水素含有化合物、
(c)分解剤、
(d)フルオロモノマー、および
(e)重合開始剤
を加える工程を含み、
分解剤は、重合開始剤の前に加えられる。本発明のこの実施形態は、方法1について記載されるように、重合反応のキックオフの前に重合部位を提供するように動作する。好ましくは、水溶性炭化水素含有化合物は、50ppmまたは50ppm未満の量で加えられる。好ましくは、分解剤が、水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない水性媒体を得るのに十分な量で加えられる。好ましくは、水溶性炭化水素含有化合物は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびアニオン性界面活性剤から選択される。好ましくは、水溶性炭化水素含有化合物はエトキシ含有界面活性剤である。好ましくは、重合反応器は、初期期間において、初期分散体の調製の後、水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない。好ましくは、分解剤は、重合開始剤と同じかまたは異なる化合物である。好ましくは、反応器中のフルオロモノマーの重合は、重合キックオフを引き起こし、重合反応器は、キックオフの時点で水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない。
好ましくは、炭化水素含有界面活性剤は、好ましくは、炭化水素含有界面活性剤のテロゲン活性を低下させるのに十分な速度で、安定化期間中に重合反応器中に計量供給される。
好ましくは、炭化水素含有界面活性剤を添加する工程は、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の濃度が少なくとも0.6重量%であるときに開始する。
好ましくは、炭化水素含有界面活性剤はアニオン性である。
好ましくは、炭化水素含有界面活性剤は、炭化水素界面活性剤である。
好ましくは、炭化水素含有界面活性剤は、式R−L−M(式中、Rが、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基であり、Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO および−COOからなる群から選択され、ここで、Arが、アリール基であり、Mが、好ましくはH、Na、KおよびNH から選択される一価カチオンである)の化合物である。
好ましくは、重合工程は、重合開始剤の存在下で行われる。
好ましくは、本方法は、好ましくは、炭化水素含有界面活性剤を酸化剤と反応させることによって、炭化水素含有界面活性剤を不活性化する工程をさらに含む。好ましい酸化剤は、過酸化水素または重合開始剤である。好ましくは、炭化水素含有界面活性剤の不活性化は、不活性化助剤、好ましくは金属イオンの形態の金属の存在下で行われる。好ましい金属は、複数の正原子価を有する。最も好ましい不活性化助剤は、第一鉄イオンまたは第一銅イオンである。本発明の好ましい実施形態は、重合反応器への添加前、添加中、または添加後に炭化水素含有界面活性剤を不活性化する。
好ましいフルオロモノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)およびそれらの混合物から選択され、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)である。
安定化期間中の好ましい方法において、反応器中に加えられる炭化水素含有界面活性剤の量は、45重量%または45重量%超の固形分を有するフルオロポリマー粒子の分散体を提供するのに有効である。好ましくは、この固形分を得るために、反応器中に加えられる炭化水素含有界面活性剤の量は、フルオロポリマー粒子の重量を基準にして3000ppmまたは3000ppm超である。
好ましくは、フルオロポリマー粒子は、フッ素プラスチック、好ましくはパーフルオロプラスチックである。
本発明の別の実施形態によれば、重合反応器において水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程が、予め調製されたフルオロポリマー分散体を水性媒体に加えることによって行われる。本発明のさらなる実施形態は、先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって得られるフルオロポリマー分散体およびフルオロポリマー分散体からの単離によって得られるフルオロポリマー樹脂を含む。好ましくは、フルオロポリマー分散体および/または樹脂は、PTFE、ならびに40〜98重量%のテトラフルオロエチレン単位および1〜60重量%の少なくとも1つの他のモノマーを含む溶融加工性コポリマーからなる群から選択され、溶融加工性コポリマーは、好ましくは75重量%超のパーハロモノマー、好ましくはテトラフルオロエチレンを含有するコポリマーである。
方法2について上に挙げられるこれらの好ましいものは、方法1の実施に個々にまたは任意の組合せで使用することもできる。これ以降の開示は、方法1および2およびその変形例に当てはまる。
水性重合媒体(方法1)中に計量供給され、反応器(方法2)に加えられる炭化水素含有界面活性剤は、重合中に形成されるフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチック粒子の分散体のための安定化界面活性剤である。炭化水素含有界面活性剤中に存在するC−H結合に加えて、界面活性剤の炭素原子は、他の元素、特に、塩素またはフッ素などのハロゲンで置換され得る。好ましくは、界面活性剤の炭素原子上の、周期表の元素としての一価置換基は、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも95%が水素で置換される。最も好ましくは、炭化水素含有界面活性剤は、炭化水素界面活性剤であり、これは、フッ素または塩素などのハロゲンなどの一価原子によって置換され得る界面活性剤中に存在する炭素原子が、水素によって代わりに置換され、それによって、炭化水素界面活性剤は、フッ素および塩素などのハロゲンを含まないことを意味する。したがって、炭化水素界面活性剤中、界面活性剤の炭素原子上の、周期表の元素としての一価置換基の100%が水素である。
炭化水素含有界面活性剤のテロゲン活性、または単にそのテロゲン性(telogenicity)は、主に、重合系における炭化水素含有界面活性剤とラジカルとの反応の結果である。実際には、テロゲン性の結果は、重合反応の阻害である。テロゲン性を示す多くの経路があるが、経路にかかわらず、テロゲン性挙動は、減少した数の成長ポリマー鎖、それによって、低下した速度のポリマー生成および/またはポリマー分子量の著しい減少をもたらす挙動である。
重合反応のキックオフの前(方法1)およびフルオロポリマー粒子の初期分散体の調製の後の初期期間中(重合反応器が水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない方法2の好ましい形態)に界面活性剤を実質的に含まない水性媒体は、界面活性剤が、炭化水素界面活性剤などの炭化水素含有界面活性剤、およびフッ素系界面活性剤などのハロゲン含有界面活性剤である場合、実質的自由度を有する。したがって、本発明のこの態様によれば、水性媒体はまた、界面活性剤または炭化水素含有化合物、特に炭化水素含有界面活性剤のいずれかの炭化水素部分中に存在するC−H結合を実質的に含まない。炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まない水性重合媒体は、重合キックオフの時点で水性媒体中に存在する任意の量のこのような界面活性剤が、重合反応を有害に阻害しない(そのキックオフもキックオフ後に起こる重合反応も阻害しない)ことを意味する。したがって、方法1に記載される重合キックオフ後の炭化水素含有界面活性剤の遅延された添加および方法2に記載される安定化期間中のこの界面活性剤の添加は、安定化期間における重合反応中に成長するフッ素プラスチック粒子を含むフルオロポリマー粒子の分散体のための安定させる量の界面活性剤の第1の添加である。
炭化水素含有界面活性剤がC−H結合を含む一方、それは、塩素またはフッ素などのハロゲン原子などの、炭素原子上の他の一価置換基も含むことができ、それによって、ハロゲン含有界面活性剤になる。主なハロゲン置換基がフッ素である場合、得られる界面活性剤は、フッ素系界面活性剤と呼ばれる。典型的に、ハロゲン含有界面活性剤中、一価元素で置換される界面活性剤の炭素原子は、主に、例えば少なくとも70%が、このようなハロゲン原子、ほとんどの場合フッ素で置換される。このような界面活性剤中のハロゲン原子の存在により、重合の完了後に水性重合媒体から界面活性剤を除去または回収または廃棄するプロセスを行って、コストおよび環境上の問題を埋め合わせることが望ましくなり得る。水性媒体からのハロゲン含有界面活性剤を最小限に抑える1つの理由は、(水性媒体からの)除去および回収のコストを節減するためである。その場合にも、完全な除去または廃棄は非常に高コストである。したがって、水性重合媒体はまた、ハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まないのが好ましい。これは、方法1に記載されるキックオフの前の水性媒体に当てはまり、それによって、水性媒体は、全ての界面活性剤を実質的に含まず、また、方法2に記載される重合の初期期間に当てはまる。したがって、フッ素系界面活性剤を含む任意のハロゲン含有界面活性剤が、重合キックオフの前に反応器中の水性媒体中に存在する場合、このような量は、このようなキックオフの後および方法2に記載される安定化期間中に形成されるフッ素プラスチック粒子を含むフルオロポリマー粒子の分散体の安定化機能を形成するのに不十分である。方法1に記載される重合キックオフの前、その間、またはその後のいずれかならびに方法2に記載される初期期間および安定化期間の両方の間に、反応器中の水性媒体に任意のハロゲン含有界面活性剤を加えないことが最も好ましく、除去および回収の必要がなくなる。
方法1の変形例としての本発明は、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子、好ましくはフッ素プラスチック粒子、より好ましくはパーフルオロプラスチック粒子の分散体を形成するための方法として記載することもでき、本方法は、重合開始剤を水性媒体に加えることによってフルオロモノマーの重合をキックオフさせる工程であって、媒体が、キックオフの時点で界面活性剤を実質的に含まない工程と、重合のキックオフの後に、炭化水素含有界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤を水性媒体中に計量供給する工程であって、重合の際に媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を安定させるために表面活性を維持しながら、炭化水素含有界面活性剤のテロゲン活性を低下させる速度で行われる計量供給工程とを含む。フルオロモノマーの重合は、重合の継続に必要であれば任意にさらなる開始剤を水性媒体に加える工程とともに、キックオフ後および炭化水素含有界面活性剤を水性媒体中に計量供給する工程中に、完了するまで継続され得る。方法1ならびに方法1および2のこの変形例において、ハロゲン含有界面活性剤が、重合反応中の任意の時点で水性媒体中に存在せず、または水性媒体に加えられないのが好ましい。以下に開示される好ましいものは、重合方法のこの実施形態にも当てはまる。
本発明の方法の好ましい実施形態は、方法1の工程(d)および方法2の安定化期間中に使用される、炭化水素含有界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤を不活性化するさらなる工程である。安定化界面活性剤の不活性化により、キックオフ後に所与の固形分になるまでの重合の時間を短縮するように界面活性剤のテロゲン性が低下される。以下に記載されるように、不活性化は、好ましくは不活性化助剤の存在下で、界面活性剤を酸化剤と反応させることなどによって、界面活性剤を酸化させることによって行われるのが好ましい。
方法1においてフルオロモノマーの重合のキックオフの前に水性媒体中に分散される重合部位を提供する好ましいさらなる工程に関して、このさらなる工程は、方法2に記載される初期期間の実施にも含まれるのが好ましい。これらの重合部位は、場合により、フルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチックの沈殿のための核形成部位として働き、それによって、重合の際に分散された粒子をその上に成長させ、フルオロポリマー粒子の最終的な分散体中のフルオロポリマー粒子のサイズが、このような重合部位が存在しなかった場合より小さくなる。重合部位は、様々な供給源に由来し得る。例えば、重合部位は、粒子が形成される水性媒体中の分散された粒子としてのフッ素含有ポリマーを得るために界面活性剤の存在下でシード重合することによって作製されるものなどのフッ素含有ポリマーに由来し得る。このような界面活性剤は、フッ素系界面活性剤などのハロゲン含有界面活性剤であり得、ここで、界面活性剤の炭素原子上の一価置換基は主にフッ素である。重合工程から得られるフルオロポリマー粒子の分散体を安定させるのに使用される炭化水素含有界面活性剤の量と比較して、ごく少量のハロゲン含有界面活性剤が、この分散体を維持するのに必要である。これにより、必要に応じて、水性媒体から除去または回収するためのハロゲン含有界面活性剤の量が減少される。
あるいは、重合部位の分散体は、炭化水素含有部位、好ましくは炭化水素部位であり得る。炭化水素安定化界面活性剤と炭化水素重合部位との組合せは、ハロゲン含有界面活性剤を含まない重合系を提供し、ハロゲン含有界面活性剤の場合のあらゆる必要性がなくなる。
本発明の別の意外な結果は、好ましくは好ましい実施形態を含む、重合方法、方法1または方法2が、分散されたフルオロポリマー粒子の非常に高い固形分を達成することができることである。好ましくは、固形分は、45重量%および45重量%超である。したがって、本方法は、このような高固形分の分散体、特にPTFE分散体を提供し、これは、炭化水素含有界面活性剤によって安定され、実施例10に開示される重合によって直接得られ、別個の濃縮工程を必要としない。
フルオロモノマー/フルオロポリマー
フルオロモノマーは、フルオロポリマー、好ましくはフッ素プラスチックを生成するために重合または共重合するモノマーである。フッ素プラスチックを含むフルオロポリマーは、好ましくはポリマーの総重量を基準にして少なくとも35重量%のフッ素を含有する。これ以降の開示は、フルオロポリマーを作製するための重合に主に当てはまるが、この開示は、フッ素プラスチックの作製にも同様に当てはまる。水素がフルオロポリマー中に存在する場合、水素の量は、フルオロポリマーの総重量を基準にして好ましくは5重量%以下である。好ましいフッ素プラスチックはパーフルオロプラスチックであり、これは、コモノマー、末端基、またはポリマー主鎖からの側基を除外して、ポリマーの鎖または主鎖を形成する炭素原子上の一価置換基がフッ素原子であるポリマーである。好ましくは、コモノマー、末端基、または側基構造は、パーフルオロプラスチックの総重量に対して、合計で2重量%のC−H部分、より好ましくは1重量%以下のC−H部分を与える。好ましくは、パーフルオロプラスチックの水素含量は、もしあれば、パーフルオロプラスチックの総重量を基準にして0.2重量%以下である。パーフルオロプラスチックは、パーフルオロモノマーの重合から得られる。
好ましいフルオロポリマーは、ほとんどの場合、溶融温度を示し、結晶性を有するため、フルオロエラストマーではないフルオロポリマーである。典型的に結晶性および溶融温度特性を有するこのようなフルオロポリマーは、パーフルオロプラスチックを含め、フッ素プラスチックと呼ばれる。好ましいフッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックは、それらが、ASTM D−4591に準拠して測定した際の少なくとも9J/gの示差走査熱量測定(DSC)による融解熱を有するかまたは、TFE/PDDコポリマーなど、非結晶質である場合、50℃以上のガラス転移温度を有するほど十分な結晶性を有する。フルオロエラストマーとのさらなる差異は、好ましいフッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックが、25℃未満のガラス転移温度のフルオロエラストマー特性を示さないことである。さらに、フッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックは、低い曲げ弾性率、高い伸び、および架橋後の、変形からの迅速な回復の組合せを有さない。このことの1つの意義は、本発明によって作製されるフッ素プラスチックが、架橋されることにより強度が得られるフルオロエラストマーの分子量よりはるかに高い非常に高い分子量の、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリマーを含むことである。このようなPTFEは、フルオロエラストマー(架橋されていない)のはるかに低い分子量と比較して、少なくとも1,000,000、通常、その量を大幅に上回る、例えば少なくとも2,000,000の分子量(Mn)を有する。フルオロエラストマーは、PTFEのMnのごく一部であるMnを有し、架橋によってそれらの寸法完全性(dimensional integrity)を増し、それによって、寸法完全性は、重合方法により、より低い分子量のポリマーが作製される場合、すなわち、水性重合媒体におけるテロゲン活性の存在が、フッ素プラスチックよりフルオロエラストマーの作製に対して許容できる場合に十分なものになる。本発明の方法における、炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有界面活性剤の使用は、高分子量のフッ素プラスチックが得られないようにすることが予想されるであろう。この予想にもかかわらず、高分子量のフッ素プラスチック、特にPTFEが、本発明の方法によって得られる。
より詳細には、本発明の方法に使用される好ましいフルオロモノマーは、好ましくは、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)、パーフルオロ(ビニルエーテル)およびパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)およびそれらの混合物からなる群から独立して選択されるパーフルオロモノマーである。好ましいパーフルオロ(ビニルエーテル)としては、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびそれらの混合物などの、アルキル基が1〜5個の炭素原子を含有するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)モノマー(PAVE)が挙げられる。
パーフルオロビニルエーテルとしては、フルオロポリマー、好ましくはフッ素プラスチック、最も好ましくはパーフルオロプラスチックに官能基を導入するのに有用なものも挙げられる。これらには、CF=CF−(O−CFCFR−O−CFCFR’SOF(式中、RおよびR’が、独立して、Fまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から選択され、a=0、1または2である)が含まれる。このタイプのポリマーは、米国特許第3,282,875号明細書(CF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF、パーフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド))、ならびに米国特許第4,358,545号明細書および同第4,940,525号明細書(CF=CF−O−CFCFSOF)に開示されている。別の例は、米国特許第4,552,631号明細書に開示されている、CF=CF−O−CF−CF(CF)−O−CFCFCOCH、パーフルオロ(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノネンカルボン酸)のメチルエステルである。ニトリル、シアネート、カルバメート、およびホスホン酸の官能基を有する同様のフルオロビニルエーテルは、米国特許第5,637,748号明細書;同第6,300,445号明細書;および同第6,177,196号明細書に開示されている。
本発明は、水性媒体中のその分散体を生成するために改質PTFEを含むポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パーフルオロプラスチックを生成する場合の重合に特に有用である。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、(a)コモノマーがそれほど存在しない、すなわちホモポリマーである重合テトラフルオロエチレン自体、および(b)改質PTFE(得られるポリマーの融点がPTFEの融点よりそれほど低くないような低濃度のコモノマーとTFEとのコポリマーである)を指す。改質PTFEは、処理を向上させるために結晶性を低下させる少量のコモノマー改質剤を含有し、このようなモノマーの例は、パーフルオロオレフィン、特にヘキサフルオロプロピレン(HFP)またはパーフルオロ(ブチル)エチレン、およびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)(ここで、アルキル基は、1〜5個の炭素原子を含有し、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましい)などである。このようなコモノマーの濃度は、PTFE中に存在するTFEおよびコモノマーの総重量を基準にして、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。有意な効果を与えるための最少量の少なくとも約0.05重量%が使用されるのが好ましい。PTFE(および改質PTFE)は、典型的に、少なくとも約1×10Pa・s、好ましくは少なくとも1×10Pa・sの溶融クリープ粘度を有し、このような高い溶融粘度では、ポリマーは溶融状態で流動せず、したがって溶融処理性ポリマー(フッ素プラスチック)ではない。溶融クリープ粘度の測定は、米国特許第7,763,680号明細書の第4欄に開示されている。PTFEの高い溶融粘度は、例えば少なくとも10といったその非常に高い分子量(Mn)から生じる。PTFEは、少なくとも330℃(第1の加熱)、通常少なくとも331℃、ほとんどの場合少なくとも332℃(全ての第1の熱)のその高い溶融温度も特徴とし得る。その非常に高い溶融粘度から生じるPTFEの非溶融流動性はそれ自体、メルトフローレート(MFR)が、ASTM D 1238に準拠して、372℃でおよび5kgのおもりを用いて測定されるときの非溶融流動状態として現れる。この非溶融流動状態は、0のMFRである。PTFEの高い溶融粘度は、溶融PTFEが、第1の加熱から冷却される際に「重合されたままの」結晶構造を改変する能力を低下させる。結果として、この高い溶融粘度は、PTFEを溶融するために第1の熱(例えば少なくとも75J/g)と比較した際に、第2の熱のために得られるはるかに低い融解熱(例えば最大で55J/g)につながり、これは、少なくとも20J/gの融解熱の差を表す。PTFEの高い溶融粘度により、その標準比重(SSG)を、極めて高い分子量の特性決定として測定することができる。SSG測定手順(米国特許第4,036,802号明細書にも記載されているASTM D 4895)は、SSG試料の寸法の変化なしでその溶融温度を超えて(封入なしで)自立しているSSG試料の焼結を含む。SSG試料は、焼結の際に流動しない。
本発明の方法は、上記のPTFEと区別するためにPTFE微粉末として一般的に知られている低分子量PTFEパーフルオロプラスチックを重合するのにも有用である。PTFE微粉末の分子量は、PTFEと比べて低く、すなわち、PTFE微粉末の分子量(Mn)は、一般に、10〜10の範囲である。PTFE微粉末のこのより低い分子量の結果は、PTFE微粉末が、溶融流動性ではないPTFEと対照的に、溶融状態で流動性を有することである。PTFEは、ASTM D 1238に準拠して、溶融ポリマーに対する5kgのおもりを用いて372℃で測定した際に、少なくとも0.01g/10分、好ましくは少なくとも0.1g/10分、より好ましくは少なくとも5g/10分、さらにより好ましくは少なくとも10g/10分のメルトフローレート(MFR)を特徴とし得る溶融流動性を有する。
低分子量のPTFE微粉末は、ポリマーに溶融流動性を与える一方、PTFE微粉末自体は溶融加工性ではなく、すなわち、PTFE微粉末の溶融物から成形される物品は、極度の脆弱性のために役に立たない。(非溶融流動性PTFEと比べて)その低分子量のため、それは強度を有さない。PTFE微粉末の押出しフィラメントは、非常に脆弱であるため、曲げると破断する。一般に、圧縮成形プラークは、圧縮型から取り外すときに割れるかまたは砕けるため本発明に使用されるPTFE微粉末の引張り試験または屈曲試験用に作製することができず、それによって、引張り特性もMIT屈曲寿命も試験することができない。実際には、このポリマーは、皆無(0)の引張り強さ、およびゼロサイクルのMIT屈曲寿命を有する。これに対し、例えば、少なくとも1000サイクル、好ましくは少なくとも2000サイクルのMIT屈曲寿命(8ミル(0.21mm)の厚さの圧縮成形フィルムを用いたASTM D−2176)によって示されるように、PTFEは脆弱ではなく可撓性である。
本発明は、溶融加工性でもあるパーフルオロプラスチックを含む溶融処理性フッ素プラスチックの分散体を生成するのにも有用である。溶融処理性は、フッ素プラスチックが、溶融状態で処理され得る、すなわち、押出し機および射出成形機などの従来の処理装置を用いて溶融物から、フィルム、繊維、およびチューブなどの有用な成形品に加工され得ることを意味する。溶融加工性は、得られる加工物品が、溶融状態における処理の後に、それらの意図される目的に有用であるように十分な強度および靱性を示すことを意味する。この十分な強度は、フッ素プラスチック自体が、上述されるように測定される、少なくとも1000サイクル、好ましくは少なくとも2000サイクルのMIT屈曲寿命を示すことを特徴とし得る。フッ素プラスチックの強度は、それが脆弱でないことによって示される。以下に記載されるフッ素プラスチックは、特に示されない限り、溶融処理性かつ溶融加工性である。
このような溶融処理性フルオロポリマー、好ましくはフッ素プラスチック、最も好ましくはパーフルオロプラスチックの例としては、ポリクロロトリフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのホモポリマー、およびテトラフルオロエチレン(TFE)と、コポリマーの融点をPTFEの融点より実質的に低く、例えば、315℃以下の溶融温度に低下させるのに十分な量で通常ポリマー中に存在する少なくとも1つの過フッ素化共重合性モノマー(コモノマー)とのコポリマーが挙げられる。
溶融処理性TFEコポリマーは、典型的に、ASTM D−1238に準拠して、溶融ポリマーに対する5kgのおもりおよび特定のコポリマーに標準的な溶融温度を用いて測定した際に0.1〜200g/10分のメルトフローレート(MFR)を有するコポリマーを提供するために、ある量のコモノマーをコポリマーに組み込む。MFRは、好ましくは1〜100g/10分、最も好ましくは約1〜約50g/10分の範囲である。
本発明の実施に使用するための好ましい溶融処理性コポリマーは、少なくとも40〜99モル%、好ましくは60〜99モル%のテトラフルオロエチレン単位および1〜60モル%、好ましくは1〜40モル%の少なくとも1つの他のモノマーを、合計100モル%になるまで含む。パーフルオロプラスチックを形成するためのTFEとの好ましいコモノマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、および/またはパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)(ここで、直鎖状または分枝鎖状アルキル基が1〜5個の炭素原子を含有する)などの3〜8個の炭素原子を有するパーフルオロオレフィンである。好ましいPAVEモノマーは、アルキル基が1、2、3または4個の炭素原子を含有するものであり、コポリマーは、いくつかのPAVEモノマーを用いて作製され得る。好ましいTFEコポリマーとしては、FEP(TFE/HFPコポリマー)、PFA(TFE/PAVEコポリマー)、TFE/HFP/PAVE(ここで、PAVEが、PEVEおよび/またはPPVEである)、およびMFA(TFE/PMVE/PAVE(ここで、PAVEのアルキル基が少なくとも2個の炭素原子を有する)が挙げられる。FEPおよびPFAについてのASTM D 1238の下でのMFR測定の標準条件は、可塑度計中の溶融ポリマーに対する5kgのおもりおよび可塑度計中の372℃の溶融温度の使用である。
本発明は、パーハロカーボン繰返し基、好ましくはTFEおよび/またはHFPとともに、ポリマー鎖中の−CH−繰返し基を提供するフルオロモノマーの重合にも適用可能であり、得られるポリマーは、フッ素プラスチックであり、フルオロエラストマーではない。好ましくは、フッ素プラスチックの水素含量は、フッ素プラスチックの総重量を基準にして5重量%以下である。このようなフッ素プラスチックの一例は、TFE/フッ化ビニリデンをベースとするコポリマーであり、TFEコポリマーに組み込まれるVFおよび他のモノマーの量は、フルオロエラストマー特性をコポリマーに与えるのに不十分である(実施例11を参照)。好ましいフッ素プラスチックは、25重量%以下のVF、より好ましくは、20重量%以下、さらにより好ましくは15重量%以下を含む。
好ましいフッ素プラスチックは、PTFE、ならびに60〜98重量%のテトラフルオロエチレン単位および2〜40重量%の少なくとも1つの他のパーフルオロモノマーを含む上記の溶融加工性コポリマーからなる群から選択されるパーフルオロプラスチックである。別の群の好ましいフッ素プラスチックは、ポリマー鎖が、75重量%を超えるパーハロモノマー単位、好ましくはTFE、HFP、およびそれらの混合物、好ましくは少なくとも78重量%のこのような繰返し単位、より好ましくは少なくとも80重量%のこのような繰返し単位、最も好ましくは少なくとも85重量%のこのような単位から構成されるものである。TFEが、好ましいハロカーボン繰返し単位である。コポリマーのうちの合計100重量%になるまでの残りの繰返し単位は、上記のC−H含有コモノマーまたはハロカーボンコモノマー、好ましくはHFPおよびPAVEモノマーなどのパーフルオロオレフィンから選択され得る。
重合方法
重合方法は、重合反応器中で行われる。水性重合媒体中のフルオロポリマーまたはその分散体を調製する際の重合方法の説明は、水性媒体中の分散体としてのフッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックの調製にも適用される。反応器は、内部に水性媒体用の撹拌器を備えており、望ましい反応速度のための、重合反応のキックオフ時およびキックオフ後における遊離基とTFEなどのモノマーとの間で結果的に生じる十分な相互作用ならびに重合反応に用いられる場合のコモノマーの均一な組み込みを提供する。反応温度が制御された温度の熱交換媒体の循環によって好都合に制御され得るように、反応器は、好ましくは、反応器を囲むカバーを含む。水性媒体は、好ましくは脱イオン化脱気水である。同じことが、重合開始剤および安定化界面活性剤を含有する溶液などの、反応器に加えられる任意の溶液中の水に当てはまる。反応器の温度ひいては水性媒体の温度は、25〜120℃、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜120℃、さらにより好ましくは60〜120℃、最も好ましくは70〜120℃であろう。操作中、反応器は、フルオロモノマーによって圧力上昇される。反応器の圧力上昇は、フルオロモノマーを反応器に加えることで、反応器内圧を、重合反応が開始するかおよび/または行われる圧力(動作圧力)までまたはそれに近い圧力まで上昇させることである。使用されることになる典型的な圧力(動作圧力)は、30〜1000psig(0.3〜7.0MPa)、好ましくは1〜800psig(0.1〜5.6MPa)であろう。次に、ラジカル重合開始剤の水溶液が、重合反応をキックオフさせるのに十分な量で反応器中にポンプ注入され得る。重合反応のキックオフ(kicking off(kickoff))は、重合の開始である。簡単にするために、このキックオフは、反応器圧力の低下、例えば10psi(69kPa)の圧力降下によって示され、この圧力降下は、重合方法におけるフルオロモノマーの消費の開始およびそれによる重合反応の開始を示す。圧力降下のこの量は、圧力降下が、フルオロモノマーの消費によって引き起こされることを意味するものとして解釈される。当業者は、より小さい圧力降下が、重合の開始ではない内部反応器圧力の単なる変動ではないという確信がある場合、より小さい圧力降下に依拠する場合がある。当業者は、重合の開始を示しているとして異なるパラメータに完全に依拠する場合がある。例えば、圧力要求システムにおいて、反応器圧力の低下が、圧力を維持するための反応器へのモノマーの流れによって直ぐに補正される。このシステムにおいて、反応器中への特定の量の圧力要求モノマーの流れは、重合反応の開始を示すものとみなされる。依拠されるパラメータが何であれ、同等の、バッチ時間などの結果を得るために、バッチ間で同じパラメータが使用されるべきである。TFEなどとの、重合反応における共重合を目的とする、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの比較的不活性のフルオロモノマーが、より活性のTFEフルオロモノマーによる圧力上昇の前に反応器中に既に存在し得る。キックオフ後、動作圧力において反応器の内圧を維持するために、追加のフルオロモノマーが反応器に供給される。水性媒体は、重合反応速度および存在する場合コモノマーの均一な組み込みを得るように撹拌される。
方法2に記載されるように、安定化期間が、初期期間の後に続くのが好ましい。炭化水素含有安定化界面活性剤の添加は、方法1においてキックオフが起こった後までおよび方法2の安定化期間まで遅延される。遅延の量(タイミング)は、使用される界面活性剤および重合されるフルオロモノマーに応じて決まる。方法1および方法2における炭化水素含有界面活性剤の機能は、重合方法中に形成されるフルオロポリマー粒子の分散体を安定させることであり、したがって、重合は、炭化水素界面活性剤を含むこの炭化水素含有界面活性剤の存在下で起こり、これは、方法2における安定化期間として記載される。フルオロポリマー粒子の安定化は、これらの粒子が、凝塊を形成するための互いに対する凝集ではなく撹拌の際に水性媒体中に分散されることを意味する。凝塊は、重合中に形成される非分散性のフルオロポリマーである。この非分散性のフルオロポリマーは、もしあれば、反応器の内壁に付着するフルオロポリマーおよび重合媒体中に分散されない、全ての付着されていないフルオロポリマーからなる。この分散は、重合反応の完了時に持続し、撹拌は中断される。安定化効果のこの開示およびフルオロポリマーに関する凝塊の説明は、フルオロポリマーが、好ましいフッ素プラスチック、最も好ましくはパーフルオロプラスチックである場合にも適用される。
本発明の重合方法は、界面活性剤に関して上述されるような2つの条件を有するのが好ましい。第1に、方法1における重合反応のキックオフの時点で、水性重合媒体は、水溶性炭化水素含有界面活性剤(および炭化水素界面活性剤)およびハロゲン含有界面活性剤(およびフッ素系界面活性剤)の両方の界面活性剤を実質的に含まないのが好ましい。第2に、炭化水素含有界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤である安定化界面活性剤は、重合方法1において重合キックオフが起こった後および方法2の初期期間の後まで水性重合媒体に加えられないのが好ましい。
炭化水素含有界面活性剤からの実質的自由度に関して、重合反応に悪影響を与えることなく、重合キックオフの前に水性媒体中に存在し得る、炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有界面活性剤の量は、具体的な炭化水素含有界面活性剤に応じて決まる。一般に、このような量は、好ましくは50ppm以下、好ましくは40、30、20または15ppm以下であるべきである。本明細書におけるppmの定義は、実施例に示される。さらに、炭化水素含有界面活性剤のこのような存在は、フルオロポリマー粒子の最終的な分散体を安定させるのに十分でないであろう。パラフィンワックスは、凝塊形成を減少させるために水性媒体中に存在し得る。これは、重合反応を阻害するのに十分に水溶性でない炭化水素材料である。これらのppm量は、方法1における重合反応のキックオフの前の水性重合媒体中および方法2の重合方法の初期期間におけるフルオロポリマー粒子の初期分散体中の、フッ素系界面活性剤を含むハロゲン含有界面活性剤からの実質的自由度にも適用される。これらのppm量は、方法2の好ましい形態によれば、初期期間中に炭化水素含有化合物を実質的に含まない重合反応器にも適用される。最も好ましくは、水性重合媒体中に存在するフッ素系界面活性剤を含むいずれかおよび全てのハロゲン含有界面活性剤の量は、5ppm以下であり、最も好ましくは、ハロゲン含有界面活性剤が、方法1および2に記載される実施形態を含む本発明の重合方法の実施の際の任意の時点で重合反応器に加えられない。
安定化界面活性剤として水性媒体に炭化水素含有界面活性剤を加える際の遅延に関して、この遅延は、重合に対する安定化界面活性剤の何らかのテロゲン効果を減少させるのに有益である。この遅延は、水性媒体への安定化界面活性剤の添加が開始したときに水性重合媒体中で形成されるフルオロポリマーの濃度について測定され得、下式によって表され得る:
フルオロポリマーの濃度(重量%)=([A÷(B+A)]×100、
式中、Aが、界面活性剤の添加が開始する前に形成される分散されたフルオロポリマーの重量であり、Bが、安定化界面活性剤の添加が開始した時点での重合反応器中の水の重量である。反応器への(上式における)Bを含む水の添加は、開始剤などの溶解された成分を含んでいてもよい。簡単にするために、水の添加はそれぞれ、実施例1に示されるフルオロポリマーの濃度の計算によって示されるように、全て水からなるとみなされる。形成される全てのフルオロポリマーは、水性媒体中に存在するものとみなされる。重合反応においてそれほど早期に凝塊が形成されないため、Aは、界面活性剤の添加が開始する時点までに消費されるフルオロモノマーの量(重量)によって測定される。フルオロモノマーが、反応器中の重合方法の(動作)圧力を維持するモノマーである場合、消費されるフルオロモノマーの量は、安定化界面活性剤の添加が開始するまでこの圧力を維持するために反応器に供給される量(補充)である。コモノマーが存在し、その量が、圧力を維持するための補充によって測定されない場合、フルオロポリマー中へのコモノマーの組み込みが均一であると仮定される。次に、生成されるポリマー(A)の量が、反応器に供給された、消費されたフルオロモノマー、例えばTFEを1で除算した値から、フルオロポリマーにおけるコモノマーの重量分率を減算することによって計算され得る。Bは、界面活性剤の添加が開始するまでの反応器への全ての水の添加の重量の合計である。したがって、Bは、反応器に充填される水の初期量の重量、ならびに界面活性剤の添加が開始する時点まで水性媒体中にポンプ注入される、重合部位の節に記載される核形成界面活性剤、塩(存在する場合)、および酸化剤、重合反応のキックオフのための開始剤、および追加の開始剤の溶液の形態などの全ての追加の水の充填量を含む。
水性重合媒体への炭化水素含有安定化界面活性剤の早期の添加が、フルオロポリマーへのフルオロモノマーの重合を過度に阻害することが分かった。したがって、水性重合媒体中のフルオロポリマーの濃度は、界面活性剤の添加が開始するときに少なくとも0.6重量%、より好ましくは少なくとも0.7、または少なくとも0.8、または少なくとも1重量%であるのが好ましい。さらにより好ましくは、フルオロポリマー濃度は、少なくとも1.2重量%であり、FEPおよびPFAなどの溶融加工性フルオロポリマーでは、濃度は、好ましくは少なくとも2重量%であり、PTFEでは、濃度は、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも1.6重量%である。フルオロポリマーのこれらの濃度は、フッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックにも適用される。安定化界面活性剤の計量供給の開始の最大遅延は、重合されるフルオロモノマーおよび得られる分散体の固形分について許容可能とみなされる凝塊の重量%に応じて決まる。
水性重合媒体への炭化水素含有安定化界面活性剤の添加が開始する場合、この添加は、水性重合媒体中のフルオロポリマー、好ましくはフッ素プラスチック、より好ましくはパーフルオロプラスチックの粒子の安定した分散体を形成するために表面活性を維持しながら、安定化界面活性剤のテロゲン活性を低下させる速度で水性媒体中に界面活性剤を計量供給することによって行われるのが好ましい。好ましくは、計量供給速度は、0.005〜1.4g/l−時、より好ましくは0.005〜1.0g/l−時、さらにより好ましくは0.01〜0.8g/l−時である。g/l−時という表記において、gは、界面活性剤自体の重量のグラムであり、lは、反応器の体積のリットルであり、時は、時間の単位である。高固形分の分散体のための好ましい計量供給速度は、実施例10に記載される。炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有安定化界面活性剤の添加の時間増分は、好ましくは少なくとも20分毎、より好ましくは少なくとも10分毎、より好ましくは少なくとも5分毎、および/または最も好ましくは、重合反応中連続している。加えられるこのような界面活性剤の量および添加のそのタイミングは、重合されるフルオロモノマーに応じて決まる。少なすぎる界面活性剤は、凝塊を増加させ、多すぎる界面活性剤は、重合反応を減速させ、ポリマー鎖の成長を阻害する。これらの計量供給速度のそれぞれは、界面活性剤の添加の開始について上述されるフルオロポリマー、フッ素プラスチック、およびパーフルオロプラスチックの重量%濃度のそれぞれとともに使用され得る。計量供給速度は、反応器において水性媒体に加えられる際に界面活性剤が中に存在する溶液にではなく、界面活性剤に適用される。
本方法によって形成されるフルオロポリマー、フッ素プラスチック、およびパーフルオロプラスチック粒子の分散体を安定させるための本発明の方法に使用される炭化水素含有界面活性剤に関して、この界面活性剤は、疎水性および親水性部分を有する化合物であり、それにより、界面活性剤は、水性媒体中の上記の粒子などの疎水体を分散し、安定させることができる。この定義は、重合方法1の工程(b)および(c)の実施において水性媒体が実質的に含有しない界面活性剤、および方法2の好ましい形態において、水性媒体が初期期間における初期分散体の調製の後、水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない界面活性剤にも適用され、水溶性炭化水素含有化合物は、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤から選択される。
炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有安定化界面活性剤は、好ましくはアニオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤が、カルボン酸塩、スルホン酸塩、または硫酸塩などの負に帯電した親水性部分および疎水性部分としての、アルキルなどの長鎖炭化水素部分を有する。安定化の文脈において、界面活性剤は、粒子に対して配向された界面活性剤の疎水性部分および水相中の界面活性剤の親水性部分で粒子を被覆することによって、ポリマー粒子を安定させる。アニオン性界面活性剤はこの安定化を促進し、粒子間の電荷の反発を与えるように帯電されていることを特徴とする。界面活性剤は、典型的に、界面活性剤を含有する水性媒体の表面張力を著しく低下させる。
アニオン性炭化水素界面活性剤の一例は、Resolution Performance ProductsによってVersatic(登録商標)10として供給される高度分枝鎖状C10第3級カルボン酸である。
Figure 0006109073
別の有用なアニオン性炭化水素界面活性剤は、BASFによってAvanel(登録商標)Sシリーズとして供給される直鎖状アルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウムである。エチレンオキシド鎖は、界面活性剤に非イオン特性を与え、スルホン酸基は、特定のアニオン特性を与える。
Figure 0006109073
別の群の炭化水素界面活性剤は、式R−L−M(式中、Rが、好ましくは、6〜17個の炭素原子を含有する直鎖状アルキル基であり、Lが、−ArSO 、−SO 、−SO−、−PO および−COOからなる群から選択され、Mが、一価カチオン、好ましくはH、Na、KおよびNH であり、−ArSO が、アリールスルホン酸塩である)によって表されるアニオン性界面活性剤である。これらの界面活性剤の好ましいものは、式CH−(CH−L−M(式中、nが、6〜17の整数であり、Lが、−SOM、−POMまたは−COOMから選択され、LおよびMが、上記と同じ意味を有する)によって表されるものである。特に好ましいのは、R−L−Mの界面活性剤であり、式中、R基が、12〜16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Lが、硫酸塩、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのその混合物である。商業的利用のために、SDS(場合によりラウリル硫酸ナトリウムと呼ばれる)は、典型的に、ヤシ油またはパーム核油原料から得られ、主に、ドデシル硫酸ナトリウムを含有するが、異なるR基を有する少量の他のR−L−Mの界面活性剤を含有していてもよい。
別の群の界面活性剤は、シロキサン界面活性剤である。シロキサン界面活性剤およびポリジメチルシロキサン(PDMS)界面活性剤は、特に、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0−8247−00104に記載されている。シロキサン界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含み、親水性部分は、界面活性剤に水溶性を与える。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み:
Figure 0006109073
式中、シロキサン鎖中のケイ素原子上の置換基が、完全にヒドロカルビルである。ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
シロキサン界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、または第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含み得る。
シロキサンベースでかつアニオン性である炭化水素界面活性剤の例は、Lubrizol Advanced Materials,Inc.の一部門であるNoveon Consumer Specialties,Incから入手可能なこのような界面活性剤であり、以下のとおりである:
Figure 0006109073
本発明に有用なアニオン性炭化水素界面活性剤の別の例は、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCから入手可能なスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300である。界面活性剤は、以下のものであると報告される:
ブタン二酸、スルホ−、4−(1−メチル−2−((1−オキソ−9−オクタデセニル)アミノ)エチル)エステル、二ナトリウム塩;CAS No.:67815−88−7
本発明に有用なさらなるスルホサクシネート炭化水素界面活性剤は、ClariantからEmulsogen(登録商標)SB10として入手可能なスルホコハク酸ジイソデシル、Na塩、およびCesapinia ChemicalsからPolirol(登録商標)TR/LNAとして入手可能なスルホコハク酸ジイソトリデシル、Na塩である。
重合方法における安定化界面活性剤としての好ましい炭化水素界面活性剤は、アニオン性界面活性剤であり、これらの界面活性剤のうち最も好ましいのは、上記のR−L−M界面活性剤、特にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。
方法1に記載される本発明の重合方法(工程(c)に使用され、特に方法2の安定化期間中に重合を引き起こす水溶性ラジカル重合開始剤に関して、この開始剤が、反応器中の水性重合媒体に加えられて、圧力上昇反応器中の重合反応がキックオフされる。加えられる開始剤の量は、重合されるフルオロモノマーに応じて決まる。好ましい開始剤は、無機過酸などの無機開始剤の高活性の水溶性塩である。好ましい開始剤は、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムである。好ましい過硫酸塩開始剤は、金属イオンを実質的に含まず、最も好ましくはアンモニウム塩である。しかしながら、TFEからPTFEへの重合のために、好ましい開始剤は、ジコハク酸ペルオキシド(DSP)などの有機過酸であり、これは非常に不活性であり、それによって、キックオフさせるのに、例えば少なくとも600ppmといった大量を、より少量の無機過硫酸塩などの高活性の開始剤とともに必要とする。開始剤の活性は、重合反応が行われる時点での、上述される25、40、50、60または70〜120℃の、反応器中の媒体の温度で、水性重合媒体中で重合を開始させることが可能な遊離基を形成する開始剤の能力を指す。開始剤および重合温度の選択は、遊離基が熱的に誘導されるかまたはそれらの形成が促進剤または還元剤の存在によって補助されるかにかかわらず、開始剤から生じる遊離基が水性媒体の温度によって生じるように整合されるのが好ましい。重合開始剤は、好ましくは、アルカリ金属イオンを含まない。キックオフを引き起こすために加えられる開始剤は、重合反応が進行するにつれて必要になり得る追加の開始剤によって補充され得る。
キックオフ時に存在するフルオロモノマーの量および属性は、作製されるフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチックに応じて決まる。改質PTFEの場合、改質モノマーは、一般に、反応器への事前充填の時点で全て加えられるであろう。同じことが、溶融処理性のフッ素プラスチックを形成するためのTFEとの重合に使用されるコモノマーに当てはまり得るが、コモノマーは、重合反応が進行するにつれて加えられ得る。重合が開始してから、所望の反応器圧力を維持するために追加のTFE(およびもしあればコモノマー)が加えられる。分子量制御が必要とされる場合、連鎖移動剤が加えられ得る。重合によっては、追加の重合開始剤が、重合中に加えられ得る。
重合の完了(典型的に数時間)後、所望の量のポリマーまたは固形分が得られた場合、撹拌および供給が停止される。撹拌のこの停止およびフルオロモノマー供給の停止は、重合反応の完了である。反応器は通気され、反応器中のフッ素プラスチック粒子およびパーフルオロプラスチック粒子を含むフルオロポリマー粒子の未処理の分散体が、冷却容器または保持容器に移される。ここで、重合方法はバッチプロセスである。
本発明の方法によって生成される上記の粒子の分散体である水性分散体の固形分は、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも16重量%である。より好ましくは、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチックを含むフルオロポリマーの固形分は少なくとも20重量%である。最大で33〜35重量%の固形分が、本発明のいずれかの方法によって得られる。意外にも、実施例10に記載されるように、例えば45重量%および45重量%超のはるかに多い固形分も得られる。最大で60重量%およびさらには最大で65重量%の固形分が得られる。固形分は、これらの粒子および反応器に加えられる全ての水を合わせた重量を基準にした、水性媒体中に分散されたこれらのフルオロポリマー粒子の重量%である。全ての水は、重合反応のキックオフの前に反応器に加えられるあらゆる水を含む、重合方法中に加えられる水の総量である。固形分の重量%の計算は以下のとおりである:100×[分散体中のフルオロポリマー粒子の重量÷(前記フルオロポリマー粒子の重量+水の総重量)]。開始剤溶液などの、水性媒体に加えられる成分の溶液は、固形分の計算において全て水からなるとみなされる。その水性分散体中のフッ素プラスチック粒子およびパーフルオロプラスチック粒子を含むフルオロポリマー粒子の好ましい粒径(Dv(50))は、好ましくは100〜300nmである。
好ましくは、重合によって形成される凝塊として存在するフッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックを含むフルオロポリマーの量は、作製されるフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチックのそれぞれの総量の5重量%以下である。本発明の好ましい方法において、重合は、3重量%以下、または2または1重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下の、凝塊として存在するこのようなポリマーを生成する。より好ましくは、凝塊の量は、これらの量のそれぞれより少ない。最大固形分は、凝塊を上記の量まで最小限に抑えるように制御されるのが好ましい。
重合されたままの分散体を分散体濃縮操作に移すことができ、分散体濃縮操作は、公知の方法によって非イオン性炭化水素界面活性剤を用いて典型的に安定される濃縮分散体を生成する。重合の完了後に水性媒体中の分散体の濃縮が行われるため、炭化水素界面活性剤が、この目的のために使用され得る。濃縮分散体の固形分は、典型的に、35〜70重量%、より多くの場合45〜65重量%である。実施例10は、45重量%を超える固形分が、重合から直接得られ、それによって何らの濃縮工程も必要でないことを開示している。あるいは、成形用樹脂として使用するために、フルオロポリマー樹脂が、通常、凝固によってフルオロポリマー分散体から単離され、水性媒体が除去される。フルオロポリマーは、乾燥されてから、その後の溶融処理操作に使用するために、フレーク、チップまたはペレットなどの好都合な形態へと処理される。特定のグレードのPTFE分散体が、微粉末の生成のために作製される。この使用のために、分散体は凝固され、水性媒体は除去され、PTFEは乾燥されて、微粉末が生成される。
炭化水素含有界面活性剤の不活性化
本明細書に開示される本発明の重合方法の実施形態のいずれかの好ましい実施形態において、フッ素プラスチック粒子およびパーフルオロプラスチック粒子を含む、フルオロポリマー粒子の分散体を安定させるのに使用される炭化水素含有界面活性剤は不活性化される。不活性化される安定化界面活性剤がアニオン性であることも好ましい。不活性化は、炭化水素含有界面活性剤のテロゲン性を低下させるための炭化水素含有界面活性剤の処理である。
一実施形態において、水性重合媒体中に計量供給される(加えられる)安定化界面活性剤は、水性媒体中への計量供給(添加)の前に不活性化される。好ましくは、不活性化される安定化界面活性剤は、この界面活性剤と過酸化水素などの酸化剤との反応生成物である。この反応生成物を形成する反応は、好ましくは、50℃以下の温度で水性媒体中で行われる。反応のこの温度は、重合反応がほとんどの場合行われる水性媒体の温度、すなわち少なくとも60℃の温度と対照的である。
不活性化から得られる安定化界面活性剤のテロゲン性の低下により、以下のうちの1つ以上を含む改良が得られる:1)凝塊を顕著に増加させずに、水性媒体中の所望のフルオロポリマー固形分を生成するように重合時間を短縮する、および/または2)安定化界面活性剤が水性媒体に加えられ得る前に、キックオフ後の遅延の時間を減少させる。したがって、不活性化により、好ましくは、界面活性剤の有効性が向上する。テロゲン性が不活性化によって低下されるが、不活性化された界面活性剤はそれでも、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を安定させるというその界面活性剤機能を果たす。
不活性化は、安定化界面活性剤を水溶液中の過酸化水素と反応させることによって行われ得る。酸化反応用の不活性化助剤は、好ましくは、酸化反応を加速する(触媒する)のにも使用される。この助剤は、好ましくは、重合反応器において水性媒体に溶解可能な形態で好ましくは提供される金属イオンである。この溶解性は、金属イオンが塩形態であることによって得ることができ、すなわち、金属イオンは、塩のカチオンである。好ましくは、塩は、無機塩であり、塩のアニオンは、塩に含まれる水和水を用いてまたは用いずに、この溶解性を与える任意のアニオンであり得る。しかしながら、アニオンは、重合反応またはフルオロポリマー生成物に悪影響を与えてはならない。金属塩の好ましいアニオンの例には、硫酸アニオン、亜硫酸アニオン、および塩化物アニオンが挙げられる。
好ましくは、金属イオンの金属は、複数の正原子価を有し、複数の酸化状態と呼ばれることがある。過酸化水素による酸化のための金属イオン触媒の例としては、Fe、MnおよびCuが挙げられる。
加速をしても、酸化剤として過酸化水素を用いた酸化反応はゆっくりであり、完了するのに例えば少なくとも30分かかる。酸化を行うための手順は、以下のとおりであり得る:水中の安定化界面活性剤の溶液が形成される。硫酸鉄水和物不活性化助剤としてのFe+2金属イオンが加えられ、この溶液に溶解される。溶液のpHは、酸化反応を促進するための適切な試薬の添加によって調整され得る。溶液は撹拌され、過酸化水素が、溶液にゆっくりと加えられる。Fe+2に対する過酸化物の重量比は、一般に、20:1〜400:1、好ましくは30:1〜300:1、より好ましくは60:1〜200:1であり得る。SDSなどの安定化界面活性剤に対する過酸化物の重量比は、0.15:1〜3.5:1、好ましくは0.3:1〜2.6:1、より好ましくは0.5:1〜1.6:1であり得る。酸化反応が完了したら、得られる水溶液は、上述されるように重合反応中に水性重合媒体に不活性化された界面活性剤を加えるために使用され得る。したがって、不活性化された界面活性剤とともに反応器に加えられる水が、重合反応または得られるフルオロポリマーに有害でないように、水溶液の水は、水性重合媒体について行われるのと同様に、好ましくは脱気され、脱イオン化される。これらの割合の反応剤および存在する場合不活性化助剤は、フルオロポリマー粒子分散体の安定化について上述される、炭化水素含有界面活性剤および炭化水素界面活性剤のいずれかおよび全ての不活性化に適用される。
水性重合媒体と別個に調製される場合、不活性化された界面活性剤は、不活性化反応が中で行われる水溶液中の組成が均一である。これは、反応器水性媒体中に供給される不活性化された界面活性剤の組成が、重合反応の終了時点で、反応器へのその供給の開始の時点での組成と同じであることを意味する。
安定化界面活性剤を不活性化するための過酸化水素の使用は、反応器への不活性化された界面活性剤溶液の供給を伴い得る任意の塩を生成しない。重合反応中に十分な量で存在する場合の塩は、凝塊の増加を生じさせることなどによって有害であり得る。
不活性化反応が酸化剤としての過酸化水素を用いて行われる水溶液の温度は重要である。過酸化物を安定化界面活性剤と酸化反応させるのに有効な好ましい温度範囲は、1〜50℃、好ましくは5〜45℃、最も好ましくは10〜45℃である。温度が45℃から上昇するにつれて、反応性が急激に低下し、50℃を超える温度で実質的に存在しない。したがって、所望の不活性化効果は、60℃以上の通常の重合温度で得られない。したがって、酸化剤として過酸化水素を用いた不活性化反応は、好ましくは、水性重合媒体と別個に行われる。
不活性化効果は、異なる水溶液温度で安定化界面活性剤と過酸化水素との酸化反応を行い、その後、フルオロモノマーの重合の際に水性重合媒体に加えられる安定化界面活性剤として不活性化された界面活性剤を使用し、水性重合媒体中のフッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックを含む所与のフルオロポリマー固形分を得るのに必要とされる重合(バッチ)時間を比較することによって決定される。好ましくは、不活性化は、バッチ時間が、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも50%だけ減少されるように有効である。バッチ時間は、重合キックオフから、重合反応の所与の固形分の結果のための重合反応の完了までの時間である。これらのフルオロポリマー粒子の水性分散体の異なる固形分が調製される場合、生産性が、重合反応の空時収量(STY)によって良好に測定される。STYにおいて、空間(S)は、反応器の体積であり、時間(T)は、重合反応のキックオフから完了までの時間であり、収量(Y)は、形成される分散フルオロポリマーの重量である。STYは、本明細書において(分散フルオロポリマーの)g/l−時として表される。安定化界面活性剤の不活性化から得られる増加されたSTYは、この段落において前述されるのと同じパーセントを特徴とし得る。
別の実施形態において、安定化界面活性剤は、過酸化水素と異なる酸化剤を用いた重合反応器における水性媒体への添加前、添加中、または添加後に不活性化され、これらのそれぞれは、不活性化反応のための好ましいタイミングである。実際には、不活性化のこのタイミングは、反応器の外および反応器の中の不活性化である。不活性化は、好ましくは、水性反応器への添加中または添加後に行われる。不活性化は、最も好ましくは、界面活性剤が反応器に入った後で行われるため、水性媒体中の不活性化が反応器中で起こる。この実施形態において、不活性化された安定化界面活性剤は、この界面活性剤と、酸化剤としての水溶性重合開始剤との反応生成物であり、好ましくは、開始剤は、水性媒体中のフッ素プラスチック粒子およびパーフルオロプラスチック粒子を含むフルオロポリマー粒子の分散体を形成するために重合反応を引き起こすのに使用される。本方法のこの実施形態において、上述されるように、不活性化は、好ましくは重合と同じ温度、好ましくは25、40、50、60または70〜120℃の範囲の温度で行われる。
好ましくは、この不活性化反応は、好ましくは、酸化剤と安定化界面活性剤との反応を触媒するのに使用される金属イオンに関して上述される形態でこの反応に供給される金属イオンである不活性化助剤の存在下で行われる。実験により、金属イオンの存在が、バッチ時間を66%だけ短縮し、STYを300%だけ増加させることができることが示された。
好ましい金属イオンとしては、元素周期表の第2〜12族のものが挙げられる。このような周期表は、McGraw−Hill Higher Educationによって出版されたM.S.Silverberg,Chemistry,The Molecular Nature of Matter and Change,5 Ed.(2009)の表紙の裏に開示されるものである。この表の族の付番は、「新表記法」と呼ばれることがある2010 IUPAC形式にしたがって1〜18である。この族の付番が、本明細書において言及される。この族の付番は、周期表の元素の縦列に当てはまる。
最も好ましい金属イオンは、遷移金属、特に第3〜12族のものであり、これらのうち、最も好ましいのは、第6〜12のもの、さらにより好ましいのは、第7〜12族、最も好ましいのは第7〜11族のものである。周期表には、1〜7の番号が付けられた周期と呼ばれる元素の横方向の分類もあり、第1族元素のHから開始し、第7周期としての第1族元素のFrで終了する。遷移金属の中でも、横方向の第4周期のものが最も好ましい。「遷移金属」という用語には、「内部遷移金属、すなわち、ランタニドおよびアクチニドが含まれる。
好ましい遷移金属としては、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ce、およびAgが挙げられ、FeおよびCuが最も好ましい。本発明に好ましくは使用される遷移金属の大部分の特性の1つは、それらが、複数の酸化状態と呼ばれることがある複数の正原子価を有することである。例えばFeは、+2および+3の原子価を有し、Cuは、+1および+2の原子価を有する。最も好ましい金属イオンは、第一鉄イオンおよび第一銅イオンである。重合開始剤/安定化界面活性剤の酸化反応を触媒するのに使用される金属イオンは、過酸化水素が酸化剤である場合、一般に安定化界面活性剤の酸化を触媒するのにも使用され得る。金属イオンの選択は、使用される酸化剤に応じて決まる。過酸化水素の場合、好ましい金属イオンは、Fe、Mn、およびCuのイオンである。
酸化剤が重合開始剤である場合、金属イオンをもたらす塩が、安定化界面活性剤の水溶液とともにまたはそれとは独立して、水溶液として重合反応器中の水性媒体に加えられ、水性媒体中への界面活性剤の計量供給とともに水性媒体中に計量供給され、水性媒体中に独立して計量供給され、または全て一度に水性媒体に加えられ得る。後述されるように、重合反応の前に、炭化水素含有重合部位が形成される場合、過剰な凝塊の形成を避けるために、水性媒体への金属イオンとしての不活性化助剤の添加が、好ましくは、これらの部位の形成が少なくとも開始された後まで遅延される。したがって、水性媒体への不活性化助剤としての金属イオンの添加が、好ましくは、重合反応の開始(キックオフ)後まで遅延される。
不活性化助剤とともに重合開始剤を用いた不活性化反応の速さにより、この不活性化反応を、重合反応器における水性媒体への安定化界面活性剤の添加前、添加中または添加後に行うことができる。「添加前」の不活性化反応は、安定化界面活性剤の水溶液用の保持容器中で、不活性化助剤および重合開始剤をこの容器に加えることによって行われ得る。「添加中」の不活性化反応は、安定化界面活性剤、不活性化助剤、および重合開始剤の水溶液を一緒に反応器中に同時に供給して、これらの溶液が反応器への添加中に混合されるようにすることによって行われ得る。この混合中の不活性化反応は、完了されていない場合、全ての3種の成分を含有する反応器供給管路の長さに応じて、少なくとも開始すると考えられる。「添加後」の不活性化反応、すなわち、重合反応器における水性媒体中の不活性化は、前の段落に記載されている。
両方の不活性化実施形態において、炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有界面活性剤は、界面活性剤を酸化剤と反応させることによって不活性化される。両方の不活性化反応において、酸化反応は、好ましくは、酸化反応を触媒する、水性媒体中の金属イオンである不活性化助剤の存在下で好ましくは行われる。金属イオンは、好ましくは、複数の正原子価を有し、好ましい金属イオンは、上述されるようにどの酸化剤が使用されるかに応じて決まる。これに関して、好ましい酸化剤は、重合方法と題される節に開示されるものから好ましくは選択される、過酸化水素または水溶性重合開始剤である。不活性化反応のタイミングは、使用される酸化剤に応じて決まり、好ましくは、反応器、すなわち反応器中の水性媒体への安定化界面活性剤の添加前、または反応器へのこの添加中、または反応器へのこの添加後のいずれかである。
本発明のいずれかの不活性化実施形態に使用される不活性化助剤は、好ましくは非常に少ない。例えば、金属イオンであり得る不活性化助剤の濃度は、重合反応の完了時の水性媒体中の、炭化水素界面活性剤を含む、炭化水素含有界面活性剤の重量を基準にして、好ましくは2重量%以下である。重合の完了の際の、水性媒体中の金属イオンであり得る不活性化助剤の量は、重合の完了の際に反応器中に存在する水の量を基準にして、好ましくは25ppm以下である。これらの量は、他の不活性化助剤が使用される場合にも適用され、すなわち、不活性化の結果として、炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有界面活性剤に対するテロゲン性挙動の低下の利点を強化するその部分に適用される。
重合部位
好ましい実施形態は、重合方法の結果として水性媒体中にその分散体を形成するフルオロポリマー粒子のサイズを減少させるために、重合方法のキックオフの前に、水性媒体中に重合部位を提供することである。重合部位は、フルオロポリマーの沈殿のための部位となり、部位の数は、このような部位が存在しない場合より多く、それによって、所与の固形分パーセントについてのより小さいフルオロポリマー粒径が得られる。この沈殿後、フルオロポリマーのその後の沈殿が、好ましくは同じ部位で行われ、重合反応の終了までポリマー粒子を成長させる。重合部位のこの効果は、フッ素プラスチックおよびパーフルオロプラスチックならびに重合から得られるフッ素プラスチックまたはパーフルオロプラスチックの成長する粒子にも適用可能である。重合部位は、方法2に記載されるフルオロポリマー粒子の初期分散体の前駆体である。
これらの重合部位を形成する一方法は、重合反応のキックオフの前に水性重合媒体中に存在する既に重合された粒子から開始することである。これらの既に重合された粒子は、ポリマーシード(polymer seed)と呼ばれることが多い。シードは、界面活性剤の存在下でのフルオロモノマーのラジカル開始重合によって形成されてもよく、それによって、ポリマーシードは、それらが中に形成される水性媒体中に分散されたままになる。ポリマーシードの分散体が既に存在する水性媒体中の重合反応のその後のキックオフは、新たなフルオロモノマー、すなわち本発明のフルオロモノマー、および新たな重合開始剤を反応器に加えて、キックオフおよびその後の重合を引き起こす工程を含む。
ポリマーシードを水性媒体中に分散させるのに使用される界面活性剤は、最小のテロゲン活性を有するかないしはテロゲン活性を有さない、フッ素系界面活性剤などのハロゲン含有界面活性剤であり得、それによって、方法1に記載されるその後のキックオフおよびフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチックを形成する重合反応あるいは方法2に記載される安定化期間中に起こるその重合を阻害しない。このハロゲン含有界面活性剤は、ポリマーシードの重合中のその使用により存在し得る。フッ素系界面活性剤の例は、米国特許第3,391,099号明細書に開示されるように、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、ω−ヒドロヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム、および3,6ジオキサ−2,5−ジ(トリフルオロメチル)ウンデカフルオロノナン酸アンモニウムである。好適なフルオロエーテル界面活性剤の例は、Garrisonに付与された米国特許第3,271,341号明細書;Hintzer et al.への米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、同第2007/0015865号明細書、および同第2007/0015866号明細書;丸谷ら(Maruya et al.)への米国特許出願公開第2005/0090613号明細書および守田ら(Morita et al.)への同第2006/0281946号明細書;樋口ら(Higuchi et al.)へのPCT特許公報の国際公開第2007046345号パンフレット、船木ら(Funaki et al.)への同第2007046377号パンフレット、星川ら(Hoshikawa et al.)への同第2007046482号パンフレット、および松岡ら(Matsuoka et al.)への同第2007/049517号パンフレットに記載されている。さらなるフッ素系界面活性剤は、米国特許第7,705,074号明細書(Brothers et al.)に開示されており、これは、少なくとも800g/モルの数平均分子量を有するフルオロポリエーテルと、下式で表される短鎖フッ素系界面活性剤との組合せである。
[R−O−L−A]Y (I)
式中:
が、エーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化された脂肪族基であり;
nが、0または1であり;
Lが、非フッ素化、部分フッ素化または完全フッ素化されていてもよく、エーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状アルキレン基であり;
が、カルボキシレート、スルホネート、スルホンアミドアニオン、およびホスホネートからなる群から選択されるアニオン性基であり;
が、水素、アンモニウムまたはアルカリ金属カチオンであり;
ただし、R−O−L−の鎖長が、6個以下の原子である。
本出願に使用される際の「鎖長」は、本発明の方法に用いられるフッ素系界面活性剤の疎水性尾部における最長の直鎖中の原子の数を指す。鎖長は、界面活性剤の疎水性尾部の鎖中の炭素に加えて酸素原子などの原子を含むが、最長直鎖の分枝を含まず、またはアニオン性基の原子を含まず、例えば、カルボキシレート中の炭素を含まない。本出願に使用される際の「短鎖」は、6以下の鎖長を指す。「長鎖」は、6を超える鎖長を指し、例えば、7〜14個の原子の鎖長を有するフッ素系界面活性剤である。
好ましくは、R−O−L−の鎖長は、3〜6個の原子である。本発明の好ましい一形態によれば、R−O−L−の鎖長は、4〜6個の原子である。本発明の別の好ましい形態によれば、R−O−L−の鎖長は、3〜5個の原子である。最も好ましくは、R−O−L−の鎖長は、4〜5個の原子である。
好ましい短鎖界面活性剤は、式CO−CF(CF)−COOHで表されるヘキサフルオロプロピレンエポキシドの二量体酸である。
パーフルオロポリエーテル(PFPE)酸またはその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1〜3個の炭素原子を有する飽和フッ化炭素基によって隔てられる任意の鎖構造を有し得る。2種以上のフッ化炭素基が、分子中に存在し得る。代表的な構造は、下式に表される繰り返し単位を有する:
(−CFCF−CF−O−) (VII)
(−CF−CF−CF−O−) (VIII)
(−CF−CF−O−)−(−CF−O−) (IX)
(−CF−CFCF−O−)−(−CF−O−) (X)
これらの構造は、Kasaiによって、J.Appl.Polymer Sci.57,797(1995)に記載されている。この文献に開示されているように、このようなPFPEが、1つの末端または両方の末端にカルボン酸基またはその塩を有し得る。同様に、このようなPFPEは、1つの末端または両方の末端にスルホン酸またはホスホン酸基またはその塩を有し得る。さらに、両方の末端に酸官能基を有するPFPEは、各末端に異なる基を有し得る。単官能性のPFPEについては、分子の他方の末端は、通常、過フッ素化されているが、水素または塩素原子を含有し得る。本発明に使用するための1つの末端または両方の末端に酸基を有するPFPEは、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、さらにより好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも1つ、より好ましくは、このようなフッ化炭素基の少なくとも2つは、2または3個の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、エーテル酸素を隔てるフッ化炭素基の少なくとも50%は、2または3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、PFPEは、合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰返し単位構造中のnまたはn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。1つの末端または両方の末端に酸基を有する2つ以上のPFPEが、本発明に係る方法に使用され得る。典型的に、1つの特定のPFPE化合物を製造するのに特別な配慮が用いられない限り、PFPEは、およそ平均分子量の分子量範囲内で可変の割合で複数の化合物を含有し得る。フルオロポリエーテル酸または塩の数平均分子量は、好ましくは、6000g/モル未満の数平均分子量を有する。
シードポリマーの粒径が小さい(例えば1〜50nm)ため、ごく少量のフッ素系界面活性剤が、その後の重合反応のキックオフまで分散体としてポリマーシードを維持するのに必要であり、それによって、重合反応のキックオフの前または重合反応の初期期間中の水性媒体は、フッ素系界面活性剤を含むハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まない(上述されるように)。これは、フルオロポリマー粒子の分散体を形成するための重合の完了後の水性重合媒体からの、必要に応じた、フッ素系界面活性剤の除去または回収が、最小限にされ得ることを意味する。
重合部位としてポリマーを提供する別の例は、米国特許出願公開第2010/0160490号明細書(Leffew et al.)に開示されており、この文献において、重合部位は、フッ素化イオノマーの分散された粒子である。
反応器中の水性媒体への安定化界面活性剤の添加前のこれらの高分子重合部位における重合フルオロモノマーの沈殿を用いて、方法2に記載されるフルオロポリマー粒子の初期分散体を提供することができる。
好ましくは、重合部位は、方法1に記載される重合のキックオフの前に水性媒体中で形成される親油性核形成部位によって提供され得る炭化水素を含有する。これらの親油性核形成部位は、水性媒体中に分散され、これらの部位におけるフッ素プラスチックを含むフルオロポリマーの沈殿を微細に分散させることが可能であり、それによって、炭化水素含有安定化界面活性剤の計量供給が、重合結果に不利益を与えずに遅延され得る。親油性核形成部位は、重合のキックオフ前に、疎水性部分および親水性部分を含む、水溶性炭化水素含有化合物、好ましくは炭化水素含有界面活性剤、および分解剤、好ましくは酸化剤を、水性媒体に少量加えることによって形成されるのが好ましい。この分解剤により、炭化水素含有化合物が、親水性部分を分解する反応に供され、それによって、界面活性剤の疎水性部分が親油性核形成部位になり、これらの部位が炭化水素を含有することができる。水性媒体中に分散されたこれらの親油性核形成部位は、ポリマーシードではない。したがって、形成されるこれらの部位は、好ましくは重合フルオロモノマーを含まない。
反応器中の水性媒体への安定化界面活性剤の添加前のこれらの親油性核形成部位における重合フルオロモノマーの沈殿は、方法2に記載されるフルオロポリマー粒子の初期分散体を提供するための別の実施形態である。
親油性核形成部位が誘導される水溶性炭化水素含有化合物は、好ましくは界面活性剤である。界面活性剤は、疎水性および親水性部分を含むことが周知であり、それによって、界面活性剤は水溶性でもある。親油性核形成部位の調製は、一般に水溶性炭化水素含有化合物に適用可能である一方、炭化水素界面活性剤を含む好ましい炭化水素含有界面活性剤に関して記載される。
炭化水素含有化合物、好ましくは界面活性剤の親水性部分の好ましい分解により、界面活性剤の親水性およびその界面活性剤効果が失われる。これにより、重合反応のその後のキックオフが、炭化水素含有界面活性剤(および炭化水素界面活性剤)を実質的に含まずに行われるという上記の条件が得られる。したがって、親油性核形成部位の分散体も、炭化水素含有界面活性剤(および炭化水素界面活性剤)を実質的に含まない。重合反応のその後のキックオフまで分散体としての親油性核形成部位を維持するのに界面活性剤は必要でない。
しかしながら、重合反応のキックオフに悪影響を与えない限り、少量の界面活性剤が、親油性核形成部位の分散体とともに存在することができ、それによって、分散された親油性核形成部位は、上述されるように、炭化水素界面活性剤を含む炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まない。許容できる量は、界面活性剤に応じて決まる。
親油性核形成部位の分散体およびこの分散体を含有する水性媒体が、炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まないのに加えて、この分散体および水性媒体はまた、ハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まない、すなわち、上記の全ての界面活性剤を実質的に含まないのが好ましい。フッ素系界面活性剤などのハロゲン含有界面活性剤が存在する場合、その量は、上述されるように少なくすべきであり、存在しないのが最も好ましい。
重合キックオフの前の分解反応に親油性核形成部位の前駆体としての炭化水素含有界面活性剤、特に炭化水素界面活性剤を使用することにより、核形成部位の生成および安定化界面活性剤が炭化水素界面活性剤である場合に結果として得られるフルオロポリマー粒子分散体の安定化のために、水性重合媒体中のハロゲンを含まない系が得られる。
これらの部位を維持するための界面活性剤の補助を用いない親油性核形成部位の分散体の存在は予想されない。しかしながら、どのようにこれらの部位が形成されるかによって、この相反する状態を得ることができる。親油性核形成部位の分散体は、好ましくは、界面活性剤に水溶性を与える親水性部分および疎水性部分を含む界面活性剤であるのが好ましい水溶性炭化水素含有化合物を分解することによって形成される。したがって、これらの部位は、分解反応の生成物である。好ましくは、分解反応を引き起こす酸化剤は、化合物、好ましくは界面活性剤の添加後に水性媒体に加えられる少量の重合開始剤であり得る。したがって、分解反応は、好ましくは酸化反応である。この分解の前、化合物、好ましくは界面活性剤の親水性部分は、疎水性部分を親水性で覆い、それによって、化合物、好ましくは界面活性剤は水溶性になることができる。水溶性炭化水素含有化合物、好ましくは炭化水素含有界面活性剤(化合物/界面活性剤)の分解は、化合物/界面活性剤の親水性、すなわち化合物/界面活性剤の親水性部分を分解し、それによって、炭化水素含有化合物/界面活性剤の疎水性部分が十分に分散された親油性核形成部位になるのを可能にするのに有効である。したがって、これらの部位は、炭化水素含有親油性核形成(重合)部位である。炭化水素化合物、好ましくは界面活性剤が、核形成部位の前駆体である場合、それらは炭化水素親油性核形成部位である。これらの部位は、重合方法のキックオフ時に形成されるフルオロポリマーの沈殿に利用しやすく、それに対する親和性を有する。核形成部位の好ましい前駆体は、炭化水素界面活性剤であり、好ましい核形成部位は、炭化水素核形成部位である。
核形成部位が化合物の親水性の分解の際に凝集しないことは、親油性核形成部位が、水性媒体に溶解可能な炭化水素含有化合物、好ましくは界面活性剤から誘導される結果である。溶解される炭化水素含有化合物/界面活性剤の分布は、水性媒体中の分子基盤による。化合物/界面活性剤から得られる親油性核形成部位は、この同じ分布を有し、それによって、親油性核形成部位の分散体を維持するのに界面活性剤である化合物が必要なくなる。
親油性核形成部位の分散体の前駆体として好ましくは使用される炭化水素含有界面活性剤または炭化水素界面活性剤と炭化水素含有安定化界面活性剤を区別するために、前駆体界面活性剤は、核形成界面活性剤と呼ばれ得る。
核形成部位の性能は、これらの核形成部位が存在しない状態で重合反応を行うのと比較して、フルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチック粒子の小さい粒径によって主に判定される。この性能は、重合キックオフの時点で核形成部位の分散体の存在を示す。
親油性核形成部位の分散体のキックオフ前(pre−kick off)条件および炭化水素含有化合物、好ましくは炭化水素含有界面活性剤、および好ましくは分散体からの任意の他の界面活性剤を実質的に含まない水性重合媒体を得るために、例えば50ppm以下といった、好ましくはごく少量(重量)の、核形成界面活性剤としての炭化水素含有界面活性剤が、核形成部位前駆体として使用される。事象が水性媒体中の核形成部位の分散である場合、水の量は、これらの部位の分散体の存在と関連する量である。これは、重合をキックオフさせるために加えられる重合開始剤、およびキックオフ後に形成されるフルオロポリマー粒子を安定させるのに使用される安定化界面活性剤の水溶液の形態などの、後で追加される水を含まない。少量の核形成界面活性剤(および炭化水素含有化合物)と、その親水性の酸化分解との組合せにより、テロゲン性が低下される。
親油性核形成部位を形成するために水性媒体に加えられる少量の炭化水素含有化合物、好ましくは、核形成界面活性剤は、好ましくは40ppm以下、さらにより好ましくは30ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。水性媒体中に存在する親油性核形成部位のppm量は、親水性部分を分解する分解または酸化反応によって水性媒体に加えられることが本明細書に開示されるppm量より少ないであろう。同じことが、分解後の炭化水素含有化合物に当てはまり、それはもはや元々加えられた化合物ではない。したがって、核形成部位の量は、上述されるように、それぞれ、50ppm未満、40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満であろう。核形成部位が分子として存在すると考えられるため、ごく少量の炭化水素含有化合物、好ましくは核形成界面活性剤が、大量の親油性核形成部位を生成することができる。したがって、1ppmほどのこのような化合物/界面活性剤を水性媒体に加えることで、有益な効果を与えることができる。上記の量は、核形成界面活性剤としてのおよび分解反応における前駆体としての水溶性炭化水素化合物の使用および炭化水素含有界面活性剤および炭化水素界面活性剤ならびに得られる炭化水素含有および炭化水素親油性核形成部位にも同様に当てはまる。炭化水素含有化合物および核形成界面活性剤は、個々にまたは組み合わせて使用され得る。
親油性核形成部位の分散体の形成の前駆体として使用される、水溶性炭化水素含有化合物、好ましくは、核形成界面活性剤は、炭化水素含有および炭化水素安定化界面活性剤に関して上に開示される界面活性剤のいずれかであり得る。さらなる炭化水素含有界面活性剤には、米国特許第7,897,682号明細書(Brothers et al.)および同第7,977,438号明細書(Brothers et al.)に開示されるものなどのシロキサン界面活性剤を含む、非イオン性およびカチオン性界面活性剤が含まれる。
好ましい水溶性炭化水素含有化合物は、核形成界面活性剤であり、好ましい核形成界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、特に非イオン性炭化水素界面活性剤である。したがって、上記の核形成部位形成工程が使用される本発明の方法において、核形成界面活性剤は、好ましくは非イオン性炭化水素界面活性剤であり、炭化水素安定化界面活性剤は、不活性化されているかまたは不活性化されていないかにかかわらず、好ましくはアニオン性である。核形成界面活性剤(および炭化水素含有化合物)はまた、好ましくは芳香族部分を含まない。非イオン性炭化水素含有界面活性剤およびアルキレンオキシド単位を含有する炭化水素含有化合物が、重合開始剤分解剤によって容易に酸化される。
非イオン性炭化水素核形成界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体などが挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどであり;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの例は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどであり;ポリオキシエチレンアルキルエステルの例は、ポリエチレングリコールモノラウリレート(polyethylene glycol monolaurylate)、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレートなどであり;ソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート(polyoxyethylene sorbitan monolaurylate)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどであり;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどであり;グリセロールエステルの例は、モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロールなどである。また、それらの誘導体の例は、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル−ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェートなどである。特に好ましいのは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンアルキルエステルである。このようなエーテルおよびエステルの例は、10〜18のHLB値を有するものである。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜20。EOは、エチレンオキシド単位を表す)、ポリエチレングリコールモノステアレート(EO:10〜55)およびポリエチレングリコールモノオレエート(EO:6〜10)がある。
好適な非イオン性炭化水素核形成界面活性剤としては、Dow Chemical Companyによって供給されるTriton(登録商標)Xシリーズなどのオクチルフェノールエトキシレートが挙げられる:
Figure 0006109073
好ましい非イオン性炭化水素核形成界面活性剤は、Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)15−Sシリーズなどの分枝鎖状アルコールエトキシレートおよびやはりDow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)TMNシリーズなどの分枝鎖状第2級アルコールエトキシレートである:
Figure 0006109073
Dow Chemical Companyによって供給されるTergitol(登録商標)Lシリーズ界面活性剤などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーは、本発明の非イオン性核形成界面活性剤としても有用である。
さらに別の有用な群の好適な非イオン性炭化水素核形成界面活性剤は、以下のものなどの、BASFからPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマーである:
Figure 0006109073
別の群の好適な非イオン性炭化水素核形成界面活性剤は、BASF CorporationからIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレートである。
Figure 0006109073
カチオン性界面活性剤は、核形成界面活性剤としても使用され得る。典型的なカチオン性界面活性剤は、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分、および長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
使用され得る別の群の核形成界面活性剤は、炭化水素含有シロキサン界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤であり、ここで、上記のヒドロカルビル基は、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換され、それによって、これらのシロキサン界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基上の一価置換基は水素である。核形成界面活性剤として好ましいのは、非イオン性部分を有する炭化水素シロキサン、すなわち、非イオン性炭化水素(シロキサン)界面活性剤である。
親油性核形成部位を形成するための好ましい実施形態において、核形成界面活性剤のための酸化剤としての分解剤は、フルオロモノマーの重合にも有用である水溶性ラジカル重合開始剤であるのが好ましい。重合開始剤は、適切な量で使用される場合にフルオロモノマーの重合に有害であることは知られておらず、それによって、核形成界面活性剤の酸化を引き起こすための水性媒体中へのその導入は、その後の重合反応にいかなる問題も引き起こさないはずである。さらに、分解剤として使用される開始剤の量は好ましくは少ないが、親油性核形成部位の分散体を形成するために炭化水素化合物/界面活性剤の所望の酸化をもたらすのになお有効である。水性重合媒体に加えられる開始剤の量は、その後の重合反応のキックオフを引き起こすのに不十分であるのが好ましい。同じことが、親油性核形成部位の分散体を形成するための核形成界面活性剤の酸化の後に水性媒体中に残っている開始剤の量に関して当てはまる。これにより、フルオロモノマーによる重合反応器の初期の圧力上昇中に重合が起こるのが避けられ、その後、重合反応のキックオフが起こる。
さらなるラジカル重合開始剤が、重合反応をキックオフさせるために圧力上昇反応器中の水性媒体に加えられる。分解剤が重合開始剤である場合、これは、水性重合媒体への重合開始剤の第2の添加になるであろう。
親油性の核形成工程における分解剤として使用され得る重合開始剤の例は、所望の親油性核形成部位を形成するために重合反応器中で得られる水性媒体の温度で、炭化水素含有化合物、好ましくは核形成界面活性剤を高速で酸化するものである。界面活性剤を実質的に含まない水性媒体中にこの時点で存在する得られる親油性核形成部位が、分散体として重合反応に利用可能であり得るように高速反応が必要とされる。この目的のために好ましい開始剤は、無機過酸などの無機開始剤の高活性の水溶性塩である。好ましい開始剤は、過硫酸塩、例えば、過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムである。好ましい過硫酸塩開始剤は、金属イオンを実質的に含まず、最も好ましくはアンモニウム塩である。本発明の実施に有用なさらなる開始剤は、アゾアミジン化合物などの水溶性有機アゾ化合物である。
分解剤は、フルオロモノマーを重合するのに使用される重合開始剤と同じかまたは異なり得る。重合開始剤が、開始剤、例えば、ジコハク酸ペルオキシドおよび過硫酸アンモニウムの混合物である場合、分解剤が過硫酸アンモニウムであった場合でさえ、分解剤は、重合開始剤と異なっているとみなされる。
水性媒体に分解剤として加えられる、分解剤、好ましくは重合開始剤の量は、好ましくはペルオキシ−O−O−基を含む使用される開始剤の分子量に応じて決まる。核形成部位形成工程において分解剤として使用される過度に多い開始剤は、キックオフまで反応器を圧力上昇させるフルオロモノマーの未成熟重合とともに核形成部位の不安定化を引き起こし、より大きいフルオロポリマー、フッ素プラスチックまたはパーフルオロプラスチック粒子が、重合工程において形成され得る。開始剤の量は、動作圧力に達する前に重合反応をキックオフさせるのに必要な量より少ないのが好ましく、好ましくは50ppm以下、より好ましくは40ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらにより好ましくは20ppm以下、最も好ましくは約15ppm以下である。水性媒体に加えられる開始剤の最少量は、1ppmほどであり得る。核形成部位の分散体の形成後に水性媒体中に存在する開始剤のppm量は、開始剤の分解を引き起こす酸化反応によって水性媒体に加えられることが本明細書に開示されるppm量より少ない。実施例にさらに記載されるように、これらのppm量は、親油性核形成部位を形成する時点で反応器中に存在する水の重量を基準にする。
重合部位を形成する好ましい実施形態では、親油性核形成部位は、炭化水素含有または炭化水素親油性核形成部位のいずれかであり、これらは、疎水性部分および親水性部分をそれぞれが含む、核形成界面活性剤としての炭化水素含有界面活性剤または炭化水素界面活性剤を、水性重合媒体に加え、界面活性剤を、水性媒体中での分解、好ましくは酸化にかけて、親水性部分を分解し、それによって、疎水性部分が、炭化水素親油性核形成部位の分散体を形成するのを可能にすることによって作製される。本発明の重合方法にしたがって、この核形成部位形成工程は、重合反応のキックオフの前に行われる。
好ましくは、水性媒体に加えられる核形成界面活性剤の量は50ppm以下であり、このような量は、その後の重合反応に悪影響を与えないように選択される、上記のより少ない量のいずれかであり得る。
好ましくは、この分解は、好ましくは酸化剤である分解剤を水性媒体に加え、この剤を水性媒体中の核形成界面活性剤と反応させることによって行われ、このような剤の量は、フルオロモノマーの重合のキックオフを引き起こすのに不十分な量である。好ましくは、分解剤はまた、ラジカル重合開始剤であり、分解剤/酸化剤または開始剤の量は50ppm以下である。
好ましくは、上記の親油性核形成部位の分散体の形成には、炭化水素含有化合物、好ましくは、核形成界面活性剤を分解、好ましくは酸化にかける前に水溶性無機塩を水性媒体に加える追加の工程が伴う。分解、好ましくは酸化の時点で、水溶性無機塩も、水性媒体中に存在して、親油性核形成部位の分散体の形成に役立つ。
水溶性無機塩の効果は、(a)親油性核形成部位の数を増加させ、それによって、より小さいフルオロポリマー、フッ素プラスチックまたはパーフルオロプラスチック粒子が得られることおよび/または(b)炭化水素含有化合物/核形成界面活性剤から形成される親油性核形成部位の量を、所与の粒径のために減少させることができることである。(a)に関して、このような粒径のこの減少は、分解反応、好ましくは酸化反応中に存在する所与の少量の化合物/核形成界面活性剤に関する。(b)に関して、所与の数の部位が、分解反応、好ましくは酸化反応中に存在するより少量の化合物/核形成界面活性剤で得られ、それによって、このような反応の生成物がその後の重合反応を阻害する可能性が低下する。水溶液中の塩に由来するイオンの存在により、有益な効果が得られる。
核形成部位形成プロセスを補助するように働き得る水溶性無機塩の例としては、NaおよびKまたはNH4などのアルカリ金属カチオンおよび−SO、−HSO、−NO 、−CL、−CO 、−B 、および−HPO などのアニオンを含有するものが挙げられる。重合によって作製されるフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチックが溶融押出しによって加工される場合、塩は、好ましくはアンモニウム塩である。
塩は、上記の有益な効果を与えるのに有効なように選択され、分解剤、好ましくは開始剤を非活性化せず、それによって、分解反応、好ましくは酸化反応が起こるのを防がず、開始剤が核形成界面活性剤と反応するのを防ぐために開始剤と反応せず、結果として生じる重合を阻害しない。これにより、塩が使用されない場合より少量の炭化水素含有化合物、好ましくは核形成界面活性剤を、親油性核形成部位を形成するのに使用することができる。これは、最も高い分子量のパーフルオロプラスチック、PTFEを作製するための重合方法において特に重要である。塩は、還元剤であってもよいが、必ずしもそうであるわけではない。水溶性無機塩の存在下における、核形成界面活性剤と、分解剤、好ましくは開始剤との分解/酸化反応の実行は、塩が酸化/還元反応などの何らかの変換を起こす可能性も含む。水性媒体中の塩のイオン化は、核形成部位の形成に対する良い影響を与えることが明らかである。しかしながら、塩の量が多すぎる場合、結果はマイナスになり得、すなわち、核形成部位の数が減少され、ポリマー粒径が増大される。水性媒体に加えられるこの水溶性無機塩の量は、有益な結果を得るのに有効な量である。この量はまた、親油性核形成部位の性能またはその後の重合反応に悪影響を与えないように少ない。良い影響から悪影響へのこの移行がいつ起こるかは主に塩の量に左右されるが、一般にこの移行は、核形成部位を形成する時点での反応器中の水の重量を基準にして125ppmを超える塩で起こり、この基準は、実施例にさらに記載される。
一般に、核形成部位形成プロセスに利益を与え、核形成部位形成プロセスまたは方法1および方法2におけるフルオロモノマーのその後の重合に有害でないために、酸化反応の時点で水性媒体中に存在する水溶性無機塩の量は、実施例にさらに記載されるように親油性核形成部位を形成する時点での反応器中の水の重量を基準にして、好ましくは100ppm以下、好ましくは75ppm以下、さらにより好ましくは50ppm以下、最も好ましくは25ppm以下、使用される場合好ましくは少なくとも1ppmである。
重合キックオフの前に実施される親油性核形成部位形成プロセスにおいて、上述される、水溶性炭化水素含有化合物/核形成界面活性剤、水溶性無機塩、および分解剤、好ましくは開始剤のこれらの量のそれぞれは、記載される量の任意の組合せで使用され得る。例として:
(a)40ppm以下の化合物/核形成界面活性剤の使用は、以下の量のいずれかの分解剤/開始剤(50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、または15ppm以下)とともに、以下の量のいずれかの水溶性無機塩(125ppm以下、100ppm以下、75ppm以下、50ppm以下、または25ppm以下)を伴うことができ;
(b)100ppm以下の水溶性無機塩の使用は、以下の量のいずれかの分解剤/開始剤(50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、20ppm以下、または15ppm以下)とともに、以下の量のいずれかの化合物/核形成界面活性剤(50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、または20ppm以下)を伴うことができ;
(c)30ppm以下の分解剤/開始剤の使用は、以下の量のいずれかの水溶性無機塩(125ppm以下、100ppm以下、75ppm以下、50ppm以下、または25ppm以下)とともに、以下の量のいずれかの化合物/核形成界面活性剤(50ppm以下、40ppm以下、30ppm以下、または20ppm以下)を伴うことができるなどである。
少なくとも、核形成部位形成工程の開始および親油性核形成部位の分散体の同時形成の時点で、反応性フルオロモノマーが反応器中に実質的に全く存在しないことも好ましく、すなわち、これらの部位の形成が、分解剤、好ましくは酸化剤として使用される少量の分解剤/開始剤と優先的に反応し得るフルオロモノマーの非存在下で行われるのが好ましい。
親油性核形成部位の分散体を形成するための典型的なプロセスにおいて、反応器には、脱イオン化脱気水が充填される。親油性核形成部位は、炭化水素含有化合物、好ましくは核形成界面活性剤を必要な少量で水性充填物(aqueous charge)に加えることによって、反応器に充填されるこの水性媒体中でその場で好都合に形成され得る。好ましくは、水溶性無機塩も、この水性充填物に加えられ、これらの2種の化合物は互いに混合される。炭化水素含有化合物/核形成界面活性剤は、反応器において、水溶性塩の存在下で、水性媒体中の化合物/核形成界面活性剤を分解、好ましくは酸化することによって、親油性核形成部位に好都合に転化され得る。分解剤は、好都合には、水性媒体に加えられる少量の水溶性重合開始剤であり得る。水性媒体の温度は、好ましくは酸化反応である分解反応を引き起こすのに有効な温度であり、一般に、25〜120℃、好ましくは40〜120℃、より好ましくは50〜120℃、さらにより好ましくは60〜120℃、最も好ましくは70〜120℃であり、この温度は、その後の重合が行われるのと同じかまたは同様の温度であり得る。使用される温度は、主に、後の重合工程に望ましい温度に応じて決まり、後の重合工程では、温度はまた、分解剤/開始剤が反応性になるのに十分に高い。分解反応、好ましくは、酸化反応は、核形成界面活性剤の親水性部分を分解して、酸化された化合物の残基を親油性核形成部位にすることが可能なほど十分に行われる。親油性核形成部位は、親油性であるが、水性媒体中で見えない。核形成部位の分散体の形成は、分解反応、好ましくは酸化反応の開始とともに開始する。反応器に加えられるフルオロモノマーによって反応器の圧力が上昇して、キックオフに必要な反応器圧力が得られると、この反応が継続し得ると考えられる。その後、重合されるフルオロモノマーによる反応器の圧力上昇、続いて、炭化水素含有界面活性剤を含む水溶性炭化水素含有化合物の実質的な非存在下における、開始剤によって開始される重合反応のキックオフ、および炭化水素含有安定化界面活性剤、好ましくは炭化水素安定化界面活性剤の遅延された添加、および上記の注入の速度および時間におけるその後の重合反応中の水性媒体中へのこの界面活性剤の計量供給を含む、本発明の方法の重合工程が行われる。
以下の界面活性剤を実施例に使用する。親油性核形成部位である重合部位を形成するのに使用される場合、これらの界面活性剤は、実施例において核形成剤または核形成界面活性剤と呼ばれる。
Pluronic(登録商標)31R1は、非イオン性であり、上に示される構造を有し、この界面活性剤の両端は疎水性であり、中心は親水性である。
Avanel(登録商標)S−70は、エチレンオキシド基を含有し、上に示される構造を有するアニオン性界面活性剤である。
Silwet(登録商標)L7600は、GE Siliconesから入手可能な非イオン性ペンダント型ポリエチレンオキシド改質ポリジメチルシロキサンである。
Tergitol(登録商標)100は、Tergitol(登録商標)TMNシリーズの界面活性剤の1つとして本明細書において既に特定されたTMN 6/TMN 10の70/30重量%ブレンドであり、これは、上に示される構造を有する分枝鎖状の非イオン性界面活性剤である。
CTMABは、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CH(CH15N(CHBr)、カチオン性界面活性剤である。
SDSは、ドデシル硫酸ナトリウム、エチレンオキシド基を有さない直鎖状のアニオン性炭化水素界面活性剤である。
SOSは、オクチルスルホン酸ナトリウムである。
Triton(登録商標)X−100は、非イオン性界面活性剤であり、これは、上に示される構造を有するオクチルフェノールポリエトキシアルコールである。
実施例に使用されるワックスは、パラフィンワックスである。
フルオロポリマー、フッ素プラスチック、およびパーフルオロプラスチックの粒径は、Malvern Instrumentsによって製造されるZetasizer Nano−ZSによるレーザー光散乱を用いて測定した際のポリマー粒子の未処理の分散体のものである。分析用の試料を、10×10×45mmのポリスチレンキュベット中で調製し、蓋をして、分析用のデバイスに入れる。試料の調製は以下のとおりである。脱イオン化脱気水を、固定した先端を有する10ccのガラス製の皮下注射器中に取り込むことによって、キュベットをフラッシュするのに使用され、また、分散体試料を希釈するのに使用される水が、粒子を実質的に含まないようにする。Whatman(登録商標)の0.02ミクロンフィルタ(Cat.No.6809−2002)を、注射器の固定した先端に取り付け、圧力をかけて、水をフィルタに通し、キュベットに入れる。約1.5mlの水をキュベットに入れ、キュベットに蓋をし、振とうし、蓋を開ける。水をキュベットから注ぎ出して、キュベットがポリマーを含まないようにする。約2.5gのろ過された水をキュベットに入れる。分析される1滴のポリマー粒子分散体をキュベットに加える。キュベットに蓋をし、振とうして、フルオロポリマー粒子を水中で完全に混合する。試料を、Dv(50)の測定のためにNano−ZSに入れる。Dv(50)は、体積粒径分布に基づく中央粒径、すなわち、その下に集団の体積の50%が存在する粒径である。
メルトフローレート(MFR)を、ASTM D 1228の手順ならびに特定のポリマーについてのASTM手順に示されるようなポリマーの標準である溶融温度および可塑度計ピストン重量条件を用いて測定する。
溶融温度を、ASTM D 4591の手順にしたがって示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)(DSC)によって測定する。ASTM D−4591−87にしたがって、PTFE DSC溶融温度が、ポリマーが加熱されて溶融温度を初めて超えたときに得られる(第1の熱とも呼ばれる)。報告される溶融温度は、第1の溶融における吸熱のピーク温度である。
本明細書において使用される核形成剤という用語は、親油性核形成部位が、水性媒体中の界面活性剤の分解、好ましくは酸化によって得られる界面活性剤を指す。
特に示されない限り、本明細書におけるppmの定義(計算)は、成分の重量を、濃度(ppm)が測定されるときの事象の時点で反応器中に存在する水の重量で除算した値になる。上述され、実施例に記載される事前充填組成物中の、水溶性炭化水素含有化合物/核形成界面活性剤、もしあれば塩、および分解剤/開始剤のppmは、化合物/核形成界面活性剤、存在する場合は塩、および分解剤/開始剤成分のそれぞれを含有する反応器に最初に充填される水および充填される任意の追加の水の重量を基準にする。したがって、親油性核形成部位を形成する時点で反応器中に存在する水の量は、化合物/核形成界面活性剤、もしあれば塩、および分解剤/開始剤のppmが測定される基準になる水の重量である。この量は、重合反応のキックオフまたは水性媒体への安定化界面活性剤の添加を提供するために水性媒体に加えられる開始剤用の溶媒として加えられる水を含まないであろう。加えられる水のこの量は、重合キックオフの時点で水性媒体中に存在する任意の界面活性剤のppm計算に含まれるであろう。簡単にするために、加えられる水が、化合物/核形成界面活性剤、塩、分解剤/開始剤などの溶解された成分を含有する場合、得られる溶液は、ppm計算のために全て水からなるとみなされる。ppmのこの測定方法に対する例外は、実施例10に記載されるように、重合反応の完了時に分散体中に存在するフルオロポリマー、フッ素プラスチック、またはパーフルオロプラスチック粒子の総重量を基準にした安定化界面活性剤の濃度の測定である。
本明細書における「〜以下」などの数量の開示は、同じ数量が特定の量以下であると示されているのと同じ意味を有する。したがって、50ppm以下(no greater than)は、50ppm以下(or less)と同じ意味を有する。同様に、本明細書における「少なくとも」などの数量の開示は、同じ数量が特定の量以上であると示されているのと同じ意味を有する。したがって、少なくとも45重量%は、45重量%以上と同じ意味を有する。
本明細書に開示される反応器圧力は、特にゲージ圧(psig)であると示されない限り、絶対圧力である。psigゲージ圧に対応するように開示されるMPaおよびKPa圧力は絶対圧力である。
バッチ時間は、キックオフから重合反応の完了までの重合時間である。
凝塊(重量%)を下式によって計算する:凝塊(重量%)=[凝塊の重量/生成される全ポリマーの重量]×100。生成される全ポリマーは、凝塊および分散されたフルオロポリマー粒子の合わせた重量である。全ての重量は、乾燥ポリマーの測定値である。
実施例1
この実施例は、炭化水素界面活性剤の遅延された添加および重合反応器中へのその計量供給を伴う重合の実験ならびに重合反応のキックオフの前に、塩の存在がある場合とない場合の、親油性核形成部位の分散体の形成が行われる場合に得られる改良を含む。
重合キックオフの前に核形成部位形成工程がない場合の重合の一般的手順:2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5700gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。反応器撹拌器を65RPMに設定する。反応器を90℃まで加熱し、TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、0.05gの過硫酸アンモニウム(APS)および3.5gのジコハク酸ペルオキシド(DSP)を含有する脱イオン化脱気水の150mlの開始剤溶液を、80ml/分で注入する。キックオフ時間(表Aの「KO時間」)を、充填開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するのに必要な時間(時間ゼロからの)として測定する。キックオフ時に、反応器圧力を、TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100gのTFEを供給した後、安定界面活性剤溶液を、0.28g/l−時の界面活性剤の計量供給速度に相当する4ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への界面活性剤添加を開始する際のこの遅延は、この添加が開始する前の1.68重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する(計算:100gのTFE÷[100+5700+150]×100)。安定剤溶液の調製を以下に示す。キックオフしてから750gのTFEを反応器に加えた後、バッチ時間(表A)を記録し、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、ワックスを分散体から分離する。PTFE分散体は、2.8のpH、11.75の固形分%および198ナノメートルのDv(50)を有する(表Aの実験A−1)。PTFEは、332℃(第1の加熱)のDSC溶融温度および76J/g(第1の加熱)対47.5J/g(第2の加熱)のDSC融解熱によって示されるように、高分子量を有し、これは、第1の加熱後の冷却の際に再結晶化するPTFEの能力を低下させるPTFEの非常に高い溶融粘度を反映している。
上記の手順に使用される界面活性剤安定化溶液中の界面活性剤を、以下の手順によって不活性化する:1リットルの被覆された丸底フラスコに、681.74gの脱イオン化脱気水、10.5gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.315gの硫酸鉄(II)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで、内容物を撹拌する。12〜14滴の濃硫酸を用いて、溶液pHを2.0〜2.5に調整する。37.34gの30重量%の過酸化水素水溶液を、撹拌混合物にゆっくりと加える。撹拌を室温(22〜23℃)で1時間継続し、その後、水溶液中の得られる酸化された界面活性剤を、上記の重合手順に使用する。
上記の重合手順は、重合キックオフの前の核形成工程を含まず、重合結果が、表AのA−1として報告される。
5200gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスが、反応器への初期充填物であることを除いて、上記の重合手順を繰り返すことによって、核形成工程を実施する。次に、0.085gの界面活性剤(核形成剤、表A)および0.4gの亜硫酸ナトリウム水溶性無機塩を含有する500gの脱イオン化脱気水を反応器に加える。反応器を重合温度まで加熱した後であるが、TFEを充填して反応器を動作圧力にする前に、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5gのAPSを含有する50mlの水溶液を加える。APSは、核形成界面活性剤の酸化のための分解剤である。界面活性剤濃度は14.8ppm(計算:[0.085÷5750]×106)であり、塩濃度は70ppmであり、開始剤濃度は4.3ppmである。水性媒体(事前充填組成物)中に存在する条件/添加剤の下で、APSは、炭化水素界面活性剤の酸化反応を起こさせ、水性媒体中に分散された親油性核形成部位が形成される。これらの部位の存在は、非イオン性、アニオン性、およびカチオン性界面活性剤を用いた、実験A−3〜A−9についての表Aに報告されるPTFE粒子のより小さい粒径(Dv(50)によって示される。実験A−9についての重合キックオフまでの長い時間は、この界面活性剤中に存在する芳香族部分に起因し、使用される他の界面活性剤は非芳香族であり、すなわち芳香族部分を含まない。使用されるこの界面活性剤の量を減少させることによってこのキックオフ時間を短縮することができると考えられる。表A中の実験A−3〜A−9として報告されるこの繰返し実験における遅延は、安定化界面活性剤の添加が開始する前の1.67重量%のフルオロポリマー濃度である(計算:100gのTFE÷[100+5200+500+50+150]×100)。表Aに報告される全ての実験についての遅延の実際の時間は、キックオフの後で、安定化界面活性剤の添加が開始する前の4.4〜6分間の範囲である。
実験A−2は、亜硫酸ナトリウム塩が表Aに示される量で加えられる以外は、核形成界面活性剤が存在しない上記の重合手順の結果である。塩が存在し、核形成界面活性剤が存在しないことにより、はるかに大きいPTFE粒径が得られ、これは、塩がより少ないポリマー粒子を重合の初期段階中に形成させていることを示唆している。
Figure 0006109073
上記の重合を、重合の一連のスクリーニング(screening series)として行い、すなわち、分散体の総重量を基準にして約11〜13重量%の分散体PTFE固形分(粒子)になるまで行い、これは、キックオフ後にわずか750gのTFEを重合反応用の反応器に供給することから得られる。上記の重合から得られるスクリーニング結果を、重合が約34重量%の分散体固形分を生成するために3200gのTFEを消費するまで延長された場合の重合結果に外挿することができる。この外挿された結果を括弧内のDv(50)として表Aに報告する。下式を用いてこの外挿を行うことができる:
D2=[P2×(D1)3/P1]1/3
式中、P1が、Dv(50)粒径D1(ナノメートル)を有する生成されるポリマーの実際の量(グラム)であり;P2が、予測される、生成されるポリマー(グラム)に等しく、D2が、P2ポリマーの予測される粒径(ナノメートル)である。実験A−3についての試料計算は以下のとおりである:
D2=(3200×113×113×113/849)1/3=(5438481.04)1/3=176
実験A−1は、重合反応が進行するのに伴う界面活性剤の遅延された添加およびその計量供給を使用する。核形成界面活性剤も塩も使用せず、すなわち、上記の核形成工程手順を使用しない。実験A−2は、核形成部位の形成がない場合、すなわち核形成界面活性剤を使用せずに、塩の添加のみを用いた際の欠点を示す。実験A−2により、実験A−1よりはるかに大きい、はるかに大きいDv(50)粒径としてのより劣った結果が得られる。実験A−1のDv(50)結果と実験A−3〜A−10との比較は、より小さいフルオロポリマー粒径の提供に対する、実験A−3〜A−10中に存在する親油性核形成部位の影響を示す。実験A−1のバッチ時間は、実験A−3〜A10のバッチ時間と同等であり、これは、水性媒体への界面活性剤のその後の添加の計量供給とともに、水性媒体への安定化界面活性剤の遅延された添加が、炭化水素界面活性剤のテロゲン性を低下させるのに有効であることを示す。
実験B−4における核形成部位形成工程中に塩が存在しないことを除いて、核形成工程が、様々な無機塩(実験B−1〜B−3)とともに重合手順に含まれる一連の実験において上記の重合手順を繰り返す。核形成界面活性剤は、14.8ppmのPluronic(登録商標)31R1である。塩助剤の量は70ppmであり、APS開始剤の量は4.3ppmである。安定化界面活性剤の添加を開始する際の遅延は、水性媒体中の1.67重量%のPTFE濃度である。結果を表Bに報告する。
Figure 0006109073
表Bに示されるように、異なる塩は全て、小さいPTFE粒径をもたらす。実験B−4は、核形成界面活性剤を使用するが、塩を使用しない場合のDv(50)結果を示す。
全てのこれらの重合で作製されるPTFEは、この実施例において上述される特性を示す。
実施例2
この実施例は、改質PTFEの調製を提供する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。
反応器に、0.02gのPluronic(登録商標)31R1および0.4の亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、大気圧になるまで通気する。反応器を、窒素を用いて加圧し、さらに2回通気する。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。水のリットル当たり0.5gの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する40mlの開始剤溶液を反応器に加える。これが事前充填組成物である。Pluronic界面活性剤、塩および開始剤の濃度はそれぞれ、3.4ppm、69.6ppm、3.5ppmである。
12.0gのヘキサフルオロプロピレン(HFP)および650gのTFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にすることによって反応器を圧力上昇させる。時間ゼロの時点で、11.67gのジコハク酸ペルオキシド溶液(70重量%のDSP)、0.17gの過硫酸アンモニウムおよび488.3gの脱イオン化脱気水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。開始剤の注入の開始から2.0分後、反応器圧力は、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下する。反応器圧力を、TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100gのTFEを供給した後、安定化界面活性剤溶液(後述される調製)を、実行の終了まで4ml/分(0.28g/l−時)の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への界面活性剤添加を開始する際のこの遅延は、水性媒体中の改質PTFEの1.67重量%の濃度に対応する。キックオフしてから155.6分後、3100gのTFEおよび688mlの安定化界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分(凝塊)を除去する。反応器を開け、全ての凝塊を反応器から除去する。反応器除去物(cleanout)をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。凝塊(全非分散固形分)の測定値を得るために、このポリマーに付着している液体ワックスを、ポリマーを遠心分離し、ブロッティングすることによってさらに除去する。この場合、全凝塊が120.4gであると測定される。回収される全液体ワックスは208.7gである。分散されたフルオロポリマー粒子は、この分散体を含有する32.8重量%の水性媒体を構成する。分散された粒子は、255nmの体積基準による平均粒径、Dv(50)を有する。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマー粒子が水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、これらの粒子を凝固させる。ポリマーを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。第1の熱についてDSCによって測定されるこのポリマーの融点は335℃である。FTIRによる組成分析により、0.5重量%のHFPが示される。この改質PTFEは、106を超える分子量(Mn)および106Pa・sを超える溶融クリープ粘度を有する。
安定化界面活性剤溶液を以下のように調製する:
1リットルの被覆された丸底フラスコに、492.5gの脱イオン化脱気水、7.5gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.225gの硫酸Fe(+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで内容物を撹拌する。2滴の濃硫酸を用いて、溶液のpHを3.22に調整する。18.75gの30重量%の過酸化水素を混合物に加える。混合物を、撹拌しながら40℃まで加熱し、その温度で2時間保持する。溶液を排出し、氷浴中で冷却して、急速に流体を周囲温度にする。最終的な混合物は、2.76のpHを有する。
実施例3
この実施例は、PFAの調製を提供する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、7500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器に、0.025gのPluronic(登録商標)31R1および0.2gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回排気する。撹拌を開始させ、撹拌器速度を70RPMに設定する。100mlのPPVEおよび0.1gのエタンを反応器に加える。脱イオン化脱気水のリットル当たり6.2gの過硫酸アンモニウムを含有する15mlの開始剤溶液を反応器に加える。界面活性剤、塩および開始剤の濃度はそれぞれ、3.1ppm、25ppm、11.6ppmである。反応器を85℃まで加熱し、次に、TFE(約290g)を反応器に充填して、反応器圧力を300psig(2.17MPa)にする。時間ゼロの時点で、100mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填し、次に、開始剤を、実行の終了まで0.6ml/分で連続的にポンプ注入する。反応器圧力が開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するときに、開始剤の注入の開始から1.5分後にキックオフが起こる。キックオフ時に、反応器温度制御装置の設定点を、85℃から75℃に低下させる。反応器圧力を、TFEならびに重合の持続時間にわたって供給されるTFEのグラム当たり0.03mlのPPVEの添加によって300psig(2.17MPa)に制御する。キックオフしてから1000gのTFEを供給した後、安定化界面活性剤としての100gの脱イオン化脱気水当たり0.5gのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する脱イオン化脱気水中の界面活性剤溶液を、実行の終了まで1ml/分の速度で反応器中にポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始する際のこの遅延は、以下で計算される、水性媒体中のPFAの11.6重量%の濃度に対応する。時間遅延は50分間である。安定化界面活性剤の計量供給速度は0.025g/l−時である。キックオフしてから135分後、2300gのTFEおよび86mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。水性媒体中の22.1重量%の固形分および114nmの未処理の分散体の粒径を有する10.68kgのPFA水性分散体を生成する。チーズクロスを通した分散体のろ過および反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、63g(0.6重量%)になる。分散体試料の凍結、それに続く解凍、ろ過、洗浄および乾燥によってPFAポリマーを単離する。ポリマーは、FTIRによって測定した際に6.0重量%のPPVEを含有し、10.8g/10分のMFRを有する。
水性媒体中の重量%(フルオロポリマー)濃度の計算:
A=生成されるポリマーの総重量
B=反応器中の水の総重量
A=供給されるTFE重量/(1−フルオロポリマー中のPPVEの重量分率)
A=1000/(1−0.06)=1063.8
B=反応器に加えられる水の総重量
B=7500+500+15+100+(0.6×50)=8145
濃度の重量%=[A/(A+B)]×100
=[1063.8/(1063.8+8145)]×100=11.6
以下を除いてこの実験を繰り返す:反応器を85℃まで加熱する前に15mlの開始剤溶液を加えるのではなく、反応器を加熱した後でかつ反応器を300psig(2.17MPa)にするためにTFEを充填する前に開始剤溶液を加える。キックオフ時間は2.6分間であり、バッチ時間は138分間であり、89mlの界面活性剤溶液を反応器に加える。22.0重量%の固形分および128nmの未処理の分散体の粒径を有する10.52kgの水性分散体を生成する。チーズクロスを通した分散体のろ過および反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、95gになる。単離されたポリマーは、FTIRによって測定した際の5.4重量%のPPVEを含有し、12.0g/10分のMFRを有する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始する際の遅延は、49.5分間であり、11.5重量%のPFA濃度に対応する。
実施例4
実施例は、FEPの調製を提供する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、6000gの脱イオン化脱気水を加える。反応器に、0.015gのPluronic(登録商標)31R1および0.1gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回排気する。撹拌を開始させ、撹拌器速度を75RPMに設定する。反応器を95℃まで加熱する。脱イオン化脱気水のリットル当たり22gの過硫酸アンモニウムを含有する2.6mlの開始剤溶液を反応器に加える。界面活性剤、塩および開始剤の濃度はそれぞれ、2.3ppm、15.4ppm、8.8ppmである。
反応器圧力を435psig(3.10MPa)にするために、HFPおよびTFEを、1.857/1のHFP/TFEの重量比で反応器に充填する。時間ゼロの時点で、30mlの上記の開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填し、次に、開始剤を、実行の終了まで1.5ml/分で連続的にポンプ注入する。反応器圧力が425psig(3.03MPa)まで降下するときに、開始剤注入の開始から3.5分後にキックオフが起こる。実行の持続時間にわたって、TFEの添加によって反応器圧力を425psig(3.03MPa)に制御する。キックオフしてから300gのTFEを供給した後、100gの溶液当たり1.45gの不活性化ドデシル硫酸ナトリウムを含有する界面活性剤溶液を、実行の終了まで0.75ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始する際の遅延は37.5分間であり、4.9重量%の水性媒体中のFEP濃度に対応する。水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は、0.054g/l−時である。安定化界面活性剤(SDS)の不活性化処理は、実施例1に記載されるのと同じである。キックオフしてから248分後、2000gのTFEおよび158mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。23.2重量%の固形分および165nmの未処理の分散体の粒径を有する8.70kgの水性分散体を生成する。チーズクロスを通した分散体のろ過および反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、270gになる。分散体試料の凍結、それに続く解凍、ろ過、洗浄および乾燥によってポリマーを単離する。ポリマーは、FTIRによって測定した際に10.6重量%のHFPを含有し、273℃の融点を有する。
実施例5
この実施例は、水性重合媒体中に安定化界面活性剤を導入するために、重合キックオフ後の様々な遅延を用いることによって、実施例1のPTFEの特性を有するPTFEを調製するための重合結果を比較する。
重合条件の概要は以下のとおりである:5700gの脱イオン化脱気水を、0.085gのPluronic(登録商標)31R1、0.02gのTriton X−100および0.4gのNa2SO3とともに反応器に充填し、90℃まで加熱する。次に、80ml(0.04gのAPS)を水性媒体に加える。水性媒体中の界面活性剤の濃度はそれぞれ、14.7ppmおよび3.4ppmであり、塩の濃度は69ppmであり、開始剤の濃度は6.9ppmである。660gのTFEの添加によって、反応器を400psig(2.86MPa)まで加圧する。重合を開始させるために、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.33gのAPSおよび22.33g(70%活性のDSP)を含有する150mlの開始剤溶液を反応器に加える。キックオフ(KO)後、TFEの添加によって、圧力を2.86MPaに維持する。22gのTFE供給(実験C−3およびC−4)または300gのTFE供給(実験C−1およびC−2において、水性重合媒体中へのSDSまたはSOS安定化界面活性剤の導入を開始させる。界面活性剤添加を開始させる前に消費される22gのTFEの遅延は、0.37重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する。界面活性剤添加を開始させる前に消費される300gのTFEの遅延は、5.06重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する。安定剤界面活性剤溶液を、1000gのTFE供給まで2ml/分の速度で水性媒体中にポンプ注入する。このポンプ注入速度は、0.14g/l−時の計量供給速度である。次に、ポンプ速度を3ml/分(0.22g/l−時)まで上昇させる。ポンプ溶液中のSDSまたはSOSの濃度は、100gの流体当たり1.445gである。
Figure 0006109073
この表に示される結果は、22g(0.37重量%)の遅延が、464分間の長い重合時間によって示されるように、SDSおよびSOSの両方にとって短すぎることである。界面活性剤添加を開始させる前に消費される22gのTFEのこの遅延は、VF2/HFPコポリマーを作製する米国特許第7,521,513号明細書の実施例1において実施される0.36重量%の遅延と同様である(計算:[90÷(25000+100+90)×100]。464分間のバッチ時間に達したら、TFEモノマー供給が2200gのPTFE目標に達しないように、重合反応を停止する。実験C−1が最良の結果をもたらし、2200gの目標を実験C−2〜C−4よりはるかに短いバッチ時間で達成することができる。
以下の変更を伴い上記の重合を繰り返す:開始剤ポンプ速度がより速く(4.0ml/分)、安定剤界面活性剤供給の遅延が、キックオフ後の反応器への100gのTFE補充供給までである。この遅延は、1.66重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応する。重合の繰返しにおけるこれらの変化は、後述されるように不活性化される安定化界面活性剤の利点(テロゲン性の低下)を考えてなされる。ポンプ注入は、実行の終了まで継続する。結果を表Dに示す。
SDSおよびSOS安定化界面活性剤を、以下の手順にしたがって、水性重合媒体中への導入の前に不活性化する:
1Lのガラス瓶中で、10.5gのドデシル硫酸ナトリウムを681.74gの脱気水に加え、全ての固形分が溶解され、溶液が透明になるまで、撹拌子を用いてさらに撹拌する。0.315gの硫酸鉄(+2)七水和物を室温でこの溶液に加える。次に、12〜14滴の濃H2SO4を用いて、pHを2.0〜2.5に調整する。この瓶の内容物を、温度計およびオーバーヘッド撹拌器を備えた加熱/冷却ジャケットを有する3つ口の1Lのガラス反応器に移す。次に、37.34gの22(30%溶液)を、この撹拌溶液にゆっくりと加える。H22添加が完了した後、溶液を、室温でさらに60分間、さらに撹拌する。次に、得られる不活性化SDS反応物を含有する溶液を1Lのガラス瓶中に排出し、これが、安定化界面活性剤を重合反応中にポンプ注入するのに使用される溶液である。Witconate(登録商標)NAS−8界面活性剤として入手可能な、水に溶解させた溶液としてILのガラス瓶に加えることを除いて、同じ不活性化手順をSOSに使用して、同じ10.5gのSOSを得る。
Figure 0006109073
SDSおよびSOS安定化界面活性剤の不活性化により、より多い量のPTFEを作製するためのバッチ時間がはるかに短くなる。
実施例6
この実施例は、様々な温度で不活性化される安定化界面活性剤からの重合結果を比較する。不活性化手順は以下のとおりである:1リットルの被覆された丸底フラスコに、681.74gの脱イオン化脱気水、10.5gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.315gの硫酸Fe(+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで内容物を撹拌する。12〜18滴の濃硫酸を用いて、溶液のpHを2.0〜2.5に調整する。温度が調節された水をフラスコジャケットに通して循環させることによって、表F中の実験F−1、F−2、およびF−3について示されるような所望の不活性化温度に混合物を保持しながら、37.34gの30重量%の過酸化水素を混合物に加える。混合物を、排出する前に1時間撹拌し、必要に応じて、氷浴を用いて室温まで急冷する。
重合手順は以下のとおりである:2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。反応器に、0.085gのPluronic(登録商標)31R1、0.02gのTriton(登録商標)X−100および0.4gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。0.04gのAPS開始剤を、次に、加熱された水性媒体(脱イオン化脱気水中、80mlの0.5g/l開始剤溶液)に充填して、6.9ppmの事前充填物中のAPS濃度を得る。界面活性剤濃度はそれぞれ、14.7ppmおよび3.5ppmであり、塩濃度は、水性媒体中70ppmである。TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、11.67gの(70%活性)ジコハク酸ペルオキシド、0.17gの過硫酸アンモニウム(APS)および488.3gの脱イオン化脱気水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。開始剤注入の開始から約7分間で、反応器圧力は、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下する。反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、補充TFEの連続添加によって、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100gのTFEを供給した後、界面活性剤溶液を、実行の終了まで4ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始させる際のこの遅延は、1.66重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応し、水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は0.29g/l−時である。バッチ時間(キックオフから補充TFEの添加の終了までの時間)を下表に示す。3100gの補充TFEを反応器に加えた後、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分を除去する。反応器を開け、全ての付着されたポリマーを反応器から除去する。反応器除去物をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。凝塊(全非分散固形分)の測定値を得るために、このポリマーに付着している液体ワックスを、ポリマーを遠心分離し、ブロッティングすることによってさらに除去する。これらの実施例においてこのように得られる凝塊は35〜38グラムである。生成される水性分散体は、9.7kgであり、下表Fに示されるように、34%の固形分および体積基準による平均粒径、Dv(50)を有する。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、ポリマーを凝固させる。ポリマーを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。PTFEは、実施例2に記載されるPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示す。
Figure 0006109073
バッチ時間は、40℃における安定化界面活性剤の不活性化からより低い温度における不活性化へと急激に減少する。
実施例7
この実施例は、不活性化された安定化界面活性剤および不活性化されていない安定化界面活性剤を用いた重合性能を比較する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。反応器に、0.075gのPluronic(登録商標)31R1および0.2gの亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。反応器撹拌器を65RPMに設定する。反応器を90℃まで加熱し、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5gのAPSを含有する100mlの開始剤を反応器に加え、事前充填組成物中8.6ppmのAPS濃度を得る。水性媒体中の界面活性剤の濃度は12.9ppmであり、塩の濃度は34.5ppmである。
690gのTFEを反応器に加えて、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5gのAPSを含有する150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填し、次に、ポンプ速度を、重合の持続時間にわたって1.0ml/分に低下させる。充填開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するのに必要な時間(時間ゼロからの)としてキックオフを測定する。キックオフは2分で起こり、反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、補充TFEの連続添加によって、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。300gの補充TFEを反応器に加えた後、水のリットル当たり8.0gのドデシル硫酸ナトリウムを含有するポンプ溶液を、合計300gの溶液を加えてしまうまで、2.0ml/分の速度で反応器に加える。キックオフとSDS添加の開始との間の時間遅延は9.3分間であり、この時間遅延の終了の時点での水性媒体中のPTFEの濃度は4.79重量%であり、界面活性剤の計量供給速度は0.08g/l−時である。時間ゼロから197分後、2200gの補充TFEを反応器に加えてから、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。バッチ時間は195分間である(計算:197分間−2分間)。このように作製されるPTFE分散体は、28%の固形分および213nmの未処理の分散体の粒径を有する。ある量の分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウムの水溶液を加え、激しく撹拌して、水相からポリマーを分離することによって、ポリマー試料を得る。ポリマーを脱イオン水で洗浄し、真空オーブン中110℃で約12時間乾燥させてからさらに分析する。PTFEは、実施例2に記載されるようなPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示す。
300gの補充TFEを反応器に加えた後、水のリットル当たり14.4gの不活性化されたドデシル硫酸ナトリウムを含有するポンプ溶液を、2200gの補充TFEを反応器に加えた時点の実行の終了まで1.67ml/分の速度で反応器に加えることを除いて、上記の実験を繰り返す。水性媒体への不活性化されたSDSの添加を開始させる際の遅延は9.7分間であり、遅延の終了の時点でのPTFE濃度は4.79重量%であり、水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は0.12g/l−時である。加えられる不活性化されたドデシル硫酸ナトリウム溶液の合計量は115mlである。79分間のバッチ時間は、前の段落における不活性化されていない実験より著しく少ない。分散体は26.5%の固形分であり、175nmの未処理の分散体の粒径を有する。PTFEは、実施例2に記載されるようなPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示す。
SDSの不活性化を、以下の手順によって行う:1リットルの被覆された丸底フラスコ中に、681.74gの脱イオン化脱気水、10.5gのドデシル硫酸ナトリウム(ACS Reagent、>99.0%)および0.315gの硫酸鉄(+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで内容物を撹拌する。12〜18滴の濃硫酸を用いて、溶液のpHを2.0〜2.5に調整する。温度が調節された水をフラスコジャケットに通して循環させることによって、混合物を22℃に保持しながら、37.34gの30重量%の過酸化水素を混合物に加える。混合物を、不活性化された安定化界面活性剤の溶液として重合に使用するために排出する前に1時間撹拌する。
実施例8
この実施例は、安定化界面活性剤としてエトキシ化アニオン性界面活性剤を用いてPTFEを作製するための重合を開示する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。反応器に、0.085gのPluronic(登録商標)31R1、0.02gのTriton(登録商標)X−100および0.4gのNa2SO3を含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。反応器撹拌器を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。脱イオン化脱気水のリットル当たり0.5gの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する80mlの開始剤溶液を反応器に加え、6.9ppmの水性事前充填物中のAPS濃度を得る。水性媒体中の界面活性剤の濃度はそれぞれ、14.7ppmおよび3.5ppmであり、塩の濃度は69.2ppmである。TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、水のリットル当たり0.33gのAPSおよび23.33gの70重量%の活性ジコハク酸ペルオキシド(DSP)を含有する脱イオン化脱気水中の150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。キックオフ時間を、時間ゼロの時点に開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するのに必要な時間(時間ゼロからの)として測定する。キックオフは6.8分で起こる。反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたって補充TFE流れを調整することによって、その圧力に維持する。100gの補充TFEを供給した後、Avanel(登録商標)S70を含有する不活性化された安定化溶液を、実行の終了まで4ml/分の速度でポンプ注入する。水性媒体への安定化界面活性剤の添加を開始させる際のこの遅延は7.9分間であり、重量%の遅延は、1.66重量%の水性媒体中のPTFE濃度に対応し、水性媒体中への界面活性剤の計量供給速度は0.288g/l−時である。時間ゼロから2200gのTFEを反応器に加えた後、撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。得られる水性分散体は、178nmの体積基準による平均粒径、Dv(50)を有する24.7%の固形分を有する。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、ポリマーを凝固させる。PTFEを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させたところ、実施例2のPTFEの分子量および溶融クリープ粘度特性を示すことが分かる。
Avanel(登録商標)界面活性剤を不活性化するための手順は以下のとおりである:
1リットルのガラス瓶に、30gのAvanel(登録商標)S70溶液(10.5gの活性界面活性剤)、662.24gの脱イオン化脱気水および0.315gの硫酸鉄(+2)七水和物を加える。全ての固形分が溶解されるまで混合物を撹拌する。12〜16滴の濃硫酸を用いて、この混合物のpHを2.0〜2.5に調整する。撹拌し、22〜23℃に保持しながら、37.34gの30重量%の過酸化水素を、1〜2分間かけて混合物にゆっくりと加える。過酸化水素の添加の後、撹拌を1時間継続してから、得られる不活性化された界面活性剤溶液を上記の重合に使用する。
実施例9
この実施例は、様々なアニオン性炭化水素安定化界面活性剤を用いてPTFEを作製するための重合を開示する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、5200gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。反応器に、0.085g(14.7ppm)のPluronic(登録商標)31R1、および0.4g(69ppm)の亜硫酸ナトリウムを含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回真空にする。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。水のリットル当たり0.5gの過硫酸アンモニウム(APS)開始剤を含有する80mlの溶液を反応器に加え、6.9ppmの、反応器にこれまでに加えられる水中のAPS濃度を得る。これは、親油性核形成部位が重合反応のキックオフの前に形成される反応の段階である。上記の水性媒体に加えられる成分のppmは、この時点までに反応器中に存在する水の総量を基準にする。
次に、TFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。11.67gの(70%活性)ジコハク酸ペルオキシド、0.17gの過硫酸アンモニウムおよび488.3gの脱イオン水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に充填する。重合反応のキックオフは、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力からの10psi(69kPa)の降下の後に起こったとみなされる。反応器圧力を、補充TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、補充TFEの連続添加によって、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100gのTFE(水性媒体中の2.49重量%のPTFE濃度に相当する)を供給した後、表Fにおいて特定される界面活性剤および金属イオンの水溶液を、実行の終了まで、すなわち、反応器への補充TFEの添加を停止するまで、4ml/分(界面活性剤の計量供給速度=0.288g/l−時)の速度で反応器にポンプ注入する。規定の量の補充TFEを反応器に加えた後、TFE供給および撹拌器を停止し、これにより、重合反応の完了を確定する。反応器の通気(未反応TFEの除去)後、ポリマー分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分を除去する。反応器を開け、全ての付着されたポリマーを反応器から除去する。反応器除去物をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。
ポリマーを遠心分離し、ブロッティングしてワックスを除去することによって、乾燥したろ過された固形分および付着したポリマーから液体ワックスをさらに除去することによって、凝塊(全非分散固形分)を得る。分散体水を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、ポリマー分散体を凝固させる。得られるポリマーを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。このポリマーの融点および融解熱を、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)(DSC)によって測定する。ポリマーは、少なくとも1,000,000の分子量(Mn)を有するPTFEである。
これらの実験の結果を以下の表Fに報告する。
Figure 0006109073
「水における界面活性剤のppm」は、重合反応の完了までに重合反応器に加えられる水の総重量に加えられる安定化界面活性剤の総重量である。「水におけるカチオンppm」は、重合反応の完了までに反応器に加えられる水の総量中の金属イオンの重量ppmである。「バッチ時間」は、重合キックオフから重合反応の完了までの時間として測定される。「分散体固形分%」は、重合反応の完了の時点で存在する分散されたポリマー粒子の総重量+水の総重量と比較した際の、水性媒体中に分散されるポリマー粒子の重量%である。STY(重合反応の空時収量は、重合反応の生産性の尺度である)。STYにおいて、空間は、反応器の体積であり、時間は、重合反応のキックオフからそれが完了するまでの時間であり、収量は、形成される分散ポリマーの重量である。STYは、本明細書において(分散ポリマーの)g/l−時として表される。
表Fに報告される重合の全ては、少ない凝塊%および良好なSTYとともに、得られる高い固形分%において小さい粒子を生成する。生成されるPTFEの溶融温度は全て335℃を超え、第1の熱から第2の熱溶融への融解熱の減少は全て29J/gを超える。
上記の実施例において得られるPTFEは全て、それらの非常に高い分子量のためにこれらのPTFEの非溶融流動性の別の指標としての0のMFR(372℃および5kgのおもりにおけるASTM D 1238)を示す。
実験10
この実験は、重合による、PTFE粒子の高固形分水性分散体(すなわち、45重量%および45重量%超、好ましくは50重量%および50重量%超、より好ましくは55重量%および55重量%超、および最大で60重量%または65重量%の固形分)の調製に関する本発明の実施形態の態様A、B、およびCを開示し、ここで、安定化界面活性剤は、炭化水素界面活性剤である。この実験のこれ以降の開示は、これらの高固形分のそれぞれに当てはまる。「固形分」中の「固体」は、分散されたPTFE粒子である。
この実施形態の態様Aの実施は、重合反応中にPTFE分散体を安定させるために水性媒体に計量供給される、はるかに多い量の炭化水素含有界面活性剤、好ましくは炭化水素界面活性剤の使用を含む。例えば、以下の表Gの対照実験は、33.9%(34重量%)の水性媒体中の分散体固形分を得るために分散されたPTFE粒子の総重量を基準にして724ppmの全安定化界面活性剤濃度を使用する。Duddingtonに付与された米国特許第3,000,892号明細書の「これらの分散剤[炭化水素分散剤]は、通常、テトラフルオロエチレンの重合を阻害する」(第1欄、65〜66行)という警告にもかかわらず、態様Aは、この量の1.5倍超、好ましくはこの量の少なくとも2倍、より好ましくはこの量の少なくとも3倍、最も好ましくはこの量の少なくとも4倍を使用する。‘892の実施例IIは、TFEをPTFE分散体に重合するために分散された粒子として存在するPTFEの総重量を基準として2645ppmのラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を使用し、その際、固形分は8.4重量%に達するに過ぎない。
意外にも、態様Aにおける大量の炭化水素含有安定化界面活性剤の使用は、重合反応の空時収量(STY)によって判定され得る、反応器の生産性の大幅な減少を伴わない。34重量%の固形分を得るための炭化水素含有界面活性剤の総量がより少ないことを除いて、好ましくは、少なくとも45重量%の固形分を生成するためのSTYは、同じ重合方法のSTYの少なくとも90%である。34重量%(33〜35重量%)を得るためのより少量のこのような界面活性剤の使用は、重合反応に対するテロゲン効果を低下させるために全界面活性剤の量を減少させる必要性から生じる。より好ましくは、重合反応のこのようなSTYの減少はない。より好ましくは、意外にも、STYは、34重量%の固形分を得るための上記の重合と比較して増加され、この増加は、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。
‘892の実施例IIにおける8.4重量%の固形分に対する制限は、この低い固形分で得られる0.23マイクロメートルのPTFE粒径である。これは、わずか8.4重量%の固形分によって表される、ごく早期の粒子成長段階にしては大きい粒径である。重合により固形分が増加する場合、0.23マイクロメートルからの粒径の増加が、本出願における情報から分かる。具体的には、本出願の実施例1の実験A−1は、重合が34重量%の固形分になるまで続けられる場合、11.75重量%の固形分における198nmの粒径は、311nmの粒径になるまで成長することを報告している。このような大きい粒径は、粒子の分散体の安定性を低下させ、凝塊の形成を促進するため、望ましくない。これに対し、表Gに報告される高固形分の分散体のPTFE粒径は、45重量%以上のはるかに高い固形分についてはるかに小さいPTFE粒径を示す。
合計してはるかに多い量の界面活性剤になるように、重合中に水性重合媒体に炭化水素含有界面活性剤を計量供給することにより、重合反応のSTYによって示される生産性をそれほど犠牲にせずに、かなり多い固形分を有する安定した分散体を生成するように重合を行うことができることが発見された。本発明のこの実施形態に使用される増加した量の炭化水素含有安定化界面活性剤が、PTFEを作製するためのTFEの重合を阻害することが予想されながらも、このような重合を阻害しないというさらなる意外なことがこの発見に伴う。水性重合媒体中の分散された粒子を形成する得られるPTFEは、高分子量のものであり、すなわち、非溶融流動性および少なくとも332℃のDSC溶融温度(第1の熱)によって示される際に、少なくとも1,000,000の分子量を有する。
したがって、この実験の実施形態の態様Aは、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフッ素プラスチック粒子の分散体を形成するための方法であって、上に記載される工程(a)、(b)、(c)および(d)を含み、さらに、フッ素プラスチックが、ポリテトラフルオロエチレンであり、ポリテトラフルオロエチレン粒子の分散体が、水性媒体の少なくとも45重量%を占めるように重合工程が行われる方法として記載することができる。水性媒体中に計量供給される炭化水素含有界面活性剤の総量は、好ましくは、水性媒体の少なくとも45重量%のこの分散体を得るのに有効な量である。
本発明にしたがって重合によって作製されるフッ素プラスチック粒子のより少ない固形分の分散体と同様に、炭化水素含有核形成界面活性剤が、重合キックオフの前に水性媒体に加えられて、親油性核形成部位へと酸化分解されたかもしれないにもかかわらず、水性媒体は、フルオロモノマーの重合のキックオフの前に炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まない。重合キックオフの前に、水性媒体はまた、好ましくはハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まず、好ましくはこのような界面活性剤が、重合反応のキックオフ中またはキックオフ後に重合媒体に加えられない。重合の完了時の、すなわち重合されたままの、PTFE粒子の分散体を含有する水性媒体はまた、好ましくは、フッ素系界面活性剤などのハロゲン含有界面活性剤を実質的に含まない。より好ましくは、水性媒体は、ハロゲン含有界面活性剤を含まず、これは、このような界面活性剤が、水性媒体に加えられなかったことを意味する。炭化水素含有界面活性剤は、実質的に、重合されたままの高固形分PTFE粒子水性分散体を安定させる界面活性剤のみである。
本特許出願において上述される発明の概要および発明を実施するための形態における開示は、本発明の態様の全てを含むこの実験の実施形態に適用される。したがって、フルオロモノマー/フッ素プラスチックの節において、本出願において上述されるPTFEの説明は、この実施形態のPTFEに適用可能である。本明細書において上述される重合方法の節における開示も、例えば、炭化水素安定化界面活性剤の添加が開始される前の重合キックオフ後の遅延、この添加の計量供給速度、炭化水素含有界面活性剤の属性、使用される重合開始剤、凝塊の量を含め、この実施形態に適用可能であるが、以下のことを除く:PTFE固形分の重量%は、重合方法に記載されるものより多く、分散体をより高い固形分になるまで濃縮するのを可能にするための、重合が完了した後に界面活性剤を水性分散体に加える濃縮工程が不要である。高い固形分は、米国特許第3,037,953号明細書(MarksおよびWhipple)に開示されるものなどの濃縮工程を必要とせずに、重合によって直接得られる。水性媒体中のPTFE粒子の分散体はまた、‘953にしたがって分散体を濃縮するのを可能にするために重合後に水性分散体に加えられるアニオン性界面活性剤の代替物であることが米国特許出願公開第2007/0282044A号明細書に開示されるアニオン性高分子電解質を含まないのが好ましい。45重量%および45重量%超の固形分によって表される高い固形分では、何らかの凝塊形成は、好ましくは非常に少なく、例えば2重量%または2重量%未満、より好ましくは1重量%または1重量%未満である。これは、水性分散体の固形分が高くなるほど、凝塊の重量%も増加する傾向が高くなるという意外な結果である。この実験の実施形態の高固形分PTFE分散体は、表Gに示されるように、非常に少ない凝塊の重量%で得ることができる。
重合方法のこれらの節のそれぞれに開示される好ましいものは、この実験の実施形態にも適用可能である。以下に開示される好ましいものを含む、炭化水素含有界面活性剤の不活性化に開示される炭化水素含有界面活性剤の不活性化が、この実施形態にも適用可能である。
以下に開示される好ましいものを含む、重合部位に開示されるような重合キックオフの前の水性媒体中の重合部位の形成は、この実験の実施形態にも適用可能である。親油性核形成部位である重合部位の形成についての好ましいものは、少量の炭化水素含有界面活性剤(核形成界面活性剤)、好ましくは50ppm以下の核形成界面活性剤)を水性媒体に加えて酸化分解させ、重合反応のキックオフの時点で水性媒体が核形成界面活性剤を実質的に含まないようにすることを含む。
態様Aの実施において、好ましくは、水性媒体に加えられる炭化水素含有安定化界面活性剤の総量は、固形分が、少なくとも45重量%であるか、少なくとも50重量%であるかまたは少なくとも55重量%であるかにかかわらず、分散された粒子として存在するPTFEの総重量を基準にして、3000ppmおよび3000ppm超、より好ましくは3500ppmおよび3500ppm超、最も好ましくは4000ppmおよび4000ppm超である。固形分が45重量%を超えて増加されると、炭化水素界面活性剤の好ましい総量も増加する。34重量%のPTFEの固形分を生成するのに必要とされるものと比較してより多い量の安定化界面活性剤は、34重量%の固形分をもたらすPTFE粒子の分散体を得るのに好ましい計量供給との2つの相違、すなわち、計量供給量の増加および計量供給の持続時間の増加を含み、好ましくはSTYの犠牲を伴わない。その代わりに、STYの増加、例えば少なくとも10%の増加が得られる(計算:[100−(34重量%の固形分の場合のSTY/60重量%の場合のSTY)]×100)。水性媒体中への安定化界面活性剤の好ましい計量供給速度は、本出願においてPTFEを作製するための上述される実験に開示されるはるかに低い計量供給速度と比較して、0.7g/l−時〜1.4g/l−時である。炭化水素含有安定化界面活性剤の最大総量は、所望のSTYおよび最小限に抑えられた凝塊の重量%とともに必要とされる高固形分によって確定される。最大総量は、上述されるようにSTYに不利益を与えてはならず、2重量%または2重量%未満、より好ましくは1重量%または1重量%未満の凝塊の重量%を生成すべきである。一般に、水性媒体に加えられる炭化水素含有界面活性剤の総量は、PTFEの分散された粒子の重量を基準にして5500ppm以下であろう。
この実験の実施形態の態様Bは、以下のとおりに記載され得る:重合反応器において、水性媒体中のPTFE粒子の分散体は、45重量%または45重量%超の水性媒体中の粒子の固形分を有し、分散体は、炭化水素含有界面活性剤によって水性媒体中で安定した状態で維持される。「安定した状態で維持される」とは、炭化水素含有安定化界面活性剤の存在がない場合、分散体は不安定であること、すなわち、PTFEの粒子が、重合反応の際に反応器中で凝固することを意味する。重合反応中の凝固は、例えば2〜4重量%の少量の凝塊が形成されると、凝塊の形成が、より速い速度でより多い凝塊の重量%になるまでその後増加される傾向にあるという意味で指数関数的(exponential)である。PTFE水性分散体の40重量%未満の固形分に一般に制限された重合を有するのは凝塊の重量%のこの指数関数的な増加である。任意の他の界面活性剤が水性分散体中に存在する場合、このような他の界面活性剤は、PTFE粒子の分散体を安定させない。分散体は、重合反応に伴う撹拌中および反応の完了時に撹拌が停止された後に安定しており、この実験において上述されるような低い凝塊の重量%および分散体に損害を与えずに、反応器から分散体を除去し、それを貯蔵する能力が得られる。
この実験の実施形態の態様Cは、以下のとおりに記載され得る:水性媒体中のPTFE粒子の分散体が、少なくとも45重量%の水性媒体中の粒子の固形分を有し、分散体は、炭化水素含有界面活性剤によって水性媒体中で上述されるように安定した状態で維持される。
態様A、B、およびCにおいて、好ましい炭化水素含有安定化界面活性剤は、アニオン性炭化水素界面活性剤、例えば上に開示されるもののいずれかである。態様A、BおよびCにおいて、水性媒体に加えられるかまたは水性媒体中に存在する界面活性剤、好ましくはイオン性界面活性剤の好ましい量は、固形分が、少なくとも45重量%であるか、少なくとも50重量%であるかまたは少なくとも55重量%であるかにかかわらず、分散された粒子として存在するPTFEの総重量を基準にして、3000ppmまたは3000ppm超、より好ましくは3500ppmまたは3500ppm超、最も好ましくは4000ppmまたは4000ppm超である。これらの量は、記載される好ましいアニオン性界面活性剤R−L−M、特にCH−(CH−L−Mにも適用され、式中、n、L、およびMが上述されるとおりであり、最も特にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。態様BおよびCにおいて、水性媒体は、PTFE粒子の高固形分の分散体を安定させる炭化水素含有界面活性剤以外の炭化水素含有界面活性剤を実質的に含まない。態様AおよびBの実施において、フルオロモノマーの重合のキックオフの前に水性媒体に加えられる任意の炭化水素含有界面活性剤は、重合キックオフの前に親油性核形成部位に酸化分解される。態様Bにおいて、重合の完了時の水性媒体はまた、それぞれフッ素系界面活性剤などの、ハロゲン含有界面活性剤を好ましくは実質的に含まず、最も好ましくはハロゲン含有界面活性剤を含まない。これは、態様CのPTFE粒子の水性分散体にも適用される。態様Cの水性分散体も好ましくは重合されたままである。態様AおよびBにおいて、炭化水素含有界面活性剤は、実質的に、好ましくは重合されたままの、水性媒体中の高固形分PTFE粒子分散体の安定性を維持する界面活性剤のみである。
この実験の実施形態の実施の例は、以下の実験である。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、3100gの脱イオン化脱気水および250gの液体ワックスを加える。反応器に、0.120gのPluronic(登録商標)31R1および0.07gのTergitol(登録商標)TMN−6を含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、大気圧になるまで通気する。反応器を、窒素を用いて加圧し、さらに2回通気する。撹拌器速度を65RPMに設定し、反応器を90℃まで加熱する。水のリットル当たり2.0gの過硫酸アンモニウム(APS)を含有する160mlの開始剤溶液を反応器に加える。948gのTFEを反応器に充填して、反応器圧力を400psig(2.86MPa)にする。時間ゼロの時点で、14.58gのジコハク酸ペルオキシド、0.18gの過硫酸アンモニウムおよび485.2gの脱イオン水から構成される150mlの開始剤溶液を、80ml/分で反応器に予め充填する。開始剤の注入の開始から2.6分後、反応器圧力は、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下する。反応器圧力を、TFEを用いて400psig(2.86MPa)に戻し、重合の持続時間にわたってその圧力に維持する。キックオフしてから100gのTFE(水性媒体中の1.66重量%の濃度のPTFEに相当する)を供給した後、水100g当たり7.0gの、炭化水素安定化界面活性剤としてのSDSおよび0.043gの硫酸鉄七水和物を含有する界面活性剤溶液を、実行の終了まで3ml/分(1.05g/l−時のSDS)の速度で反応器にポンプ注入する。キックオフしてから153分後、6500gのTFEおよび444mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、分散体を排出する。冷ましてから、液体ワックスを分散体から分離し、分散体をろ過して、非分散固形分を除去する。反応器を開け、全ての付着されたポリマーを反応器から除去する。反応器除去物をろ過された固形分と組み合わせて、真空オーブン中で乾燥させる。凝塊(全非分散固形分)の測定値を得るために、このポリマーに付着している液体ワックスを、ポリマーを遠心分離することによってさらに除去する。この場合、全凝塊が29.1gであると測定される。6461gの分散されたPTFE粒子は、59.1%の水性媒体中の固形分および233nmの体積基準による平均粒径、Dv(50)を提供する。水性媒体に加えられるSDSの総量は、分散体のPTFE粒子の重量を基準にして4810ppmである。STYは208.8g/l−時である。分散体を約10重量%の固形分になるまで希釈し、炭酸アンモニウム水溶液を加えた後、ポリマーが水から完全に分離するまで激しく撹拌することによって、PTFE粒子の分散体を凝固させる。PTFEを、真空オーブン中110℃で12時間乾燥させる。第1の熱についてDSCによって測定されるPTFEの融点は337.8℃である。この実験は、以下の表G中のG−16である。
水性媒体への炭化水素界面活性剤の総量を変化させる以外は上記の重合手順に実質的にしたがって多数の重合を行い、得られた結果を以下の表Gに報告する。
Figure 0006109073
表Gにおいて、界面活性剤はSDSであり、対照は、33.9重量%の固形分を得るために724ppmのSDSを用いた重合である。界面活性剤のppmは、生成される全分散PTFEを基準にする。
表G中の結果は、SDSの総量(全界面活性剤ppm)が724ppmを超えて増加するにつれて、凝塊の重量%が、約2000ppmのSDSまで急増し、その後、2000〜3000ppmのSDS範囲の低下が続き、凝塊の重量%は、高い重量%固形分の分散体に望ましい重量%より高いことを示す。例えば、G−5の凝塊の重量%は、対照実験の77gの凝塊と比較して、211gの凝塊に相当する。3000〜4000ppmのSDS範囲内で、凝塊の重量%には、実質的に2.0重量%〜1.0重量%未満の凝塊の重量%の推移がある。水性媒体(G−7)に加えられる3012ppmの全SDSにおいて、凝塊%は2.0重量%である一方、水性媒体に加えられる3881ppmの全SDSにおいて、凝塊の重量%はわずか0.7重量%である。全分散PTFEを基準にした少なくとも4000ppmの総SDS量において、凝塊の重量%は一貫して低く、7つのうちの6つが1.0凝塊重量%未満である。実験G−16は、59%の固形分の分散体が、1よりかなり低い凝塊の重量%を有し得ることを示す。同じことが、実験G−17の60.4重量%の固形分に当てはまる。示される高固形分において望ましくない凝塊の重量%をもたらす、実験G−1〜G−6は、例えば、G−10などの重合を繰り返すが、45重量%または50重量%などのより低い固形分において重合を停止(完了)させることによって、これに関して改良され得る。このようなより低い固形分に達して重合が停止されるとき、G−10についての0.7の凝塊の重量%は、より高くはないであろう。
これらの実行において生成されるPTFEポリマーの全ては、少なくとも336℃のDSC第1の熱溶融温度を有する高分子量の非溶融加工性ポリマーである。
実施例11
この実施例は、TFE/VFフッ素プラスチックの調製を提供する。
2羽根撹拌器を備えた、12リットルの、水平に配置された、被覆されたステンレス鋼反応器に、6000gの脱イオン化脱気水を加える。反応器に、0.2gのPluronic(登録商標)31R1を含有する追加の500gの脱イオン化脱気水を加える。反応器を密閉し、真空下に置く。反応器圧力を、窒素を用いて30psig(310kPa)まで上昇させ、3回排気する。撹拌を開始させ、撹拌器速度を65RPMに設定する。0.5gのエタンを反応器に加え、反応器を80℃まで加熱する。水のリットル当たり6.2gの過硫酸アンモニウムを含有する30mlの開始剤溶液を反応器に加えてから、モノマーを予め充填する。61重量%のTFEと39重量%のVF2とのモノマー混合物を反応器に充填して、反応器を、350psig(2.51MPa)の動作圧力にする。動作圧力において、75mlの開始剤溶液を、25ml/分で反応器に充填する場合、ポンプ速度を、重合実行の持続時間にわたって0.5ml/分に修正する。反応器圧力が、開始剤溶液の注入の際に観測される最高圧力から10psi(69kPa)降下するとき、キックオフは、開始剤注入の開始から7分後に起こる。55重量%のTFEおよび45重量%のVF2を含有するモノマー混合物の添加によって、反応器圧力を350psig(2.51MPa)に制御する。キックオフしてから500gのモノマー(水性媒体中の7.02重量%のTFE/VF2コポリマーに相当する)を供給した後、界面活性剤溶液を、実行の終了まで0.2ml/分の速度で反応器にポンプ注入する。界面活性剤溶液は、硫酸の添加によって2.27のpHに調整された溶液のリットル当たり14.39gのドデシル硫酸ナトリウムから構成される。SDSの計量供給速度は、0.0144g/l−時である。キックオフしてから99分後、1500gのモノマー混合物および13mlの界面活性剤溶液を反応器に加えた。撹拌器を停止し、反応器を大気圧になるまで通気し、フルオロポリマー分散体を排出する。16.1重量%の固形分および212nmの未処理の分散体の粒径を有する7.43kgの分散体を生成する。反応器の清浄化から得られる凝塊を、真空オーブン中で乾燥させると、46.6gになる。分散体試料の凍結、それに続く解凍、ろ過、洗浄および乾燥によってポリマーを単離する。ポリマーは、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)によって測定した際の175.4℃の融点および34ジュール/gの融解熱を有し、これらは両方とも、ポリマーが、フルオロエラストマーではなく、フッ素プラスチックであることを示す。コポリマーは、コポリマーをフィルムへと圧縮成形する際の困難さによって示される非常に高い分子量を有し、すなわちコポリマーは、パーフルオロプラスチックの高い溶融粘度特性を有する。圧縮成形フィルムは、寸法安定性があり(フルオロエラストマーのように変形性でない)、可撓性である。
本発明は以下の実施の態様を含むものである。
1.重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、初期期間、および前記初期期間の後の安定化期間を含み、
前記初期期間が:
前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程を含み、
前記安定化期間が:
前記重合反応器においてフルオロモノマーを重合する工程と、
炭化水素含有界面活性剤を前記重合反応器に加える工程とを含み、
前記安定化期間中、フッ素系界面活性剤が加えられない方法。
2.フルオロポリマー粒子の前記初期分散体が、フッ素系界面活性剤を実質的に含まない、前記1.に記載の方法。
3.前記安定化期間中、ハロゲン含有界面活性剤が加えられない、前記1.または2.に記載の方法。
4.フルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する前記工程が、前記重合反応器に:
(a)水性媒体、
(b)水溶性炭化水素含有化合物、
(c)分解剤、
(d)フルオロモノマー、および
(e)重合開始剤
を加える工程を含み、
前記分解剤が、前記重合開始剤の前に加えられる、前記1.、2.または3.のいずれかに記載の方法。
5.前記水溶性炭化水素含有化合物が、50ppmまたは50ppm未満の量で加えられる、前記4.に記載の方法。
6.前記分解剤が、前記水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない水性媒体を得るのに十分な量で加えられる、前記5.に記載の方法。
7.前記水溶性炭化水素含有化合物が、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびアニオン性界面活性剤から選択される、前記4.〜6.のいずれかに記載の方法。
8.前記水溶性炭化水素含有化合物がエトキシ含有界面活性剤である、前記4.〜6.のいずれかに記載の方法。
9.前記重合反応器が、前記初期期間において、前記初期分散体の調製の後、水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない、前記4.〜8.のいずれかに記載の方法。
10.前記分解剤が、前記重合開始剤と同じかまたは異なる化合物である、前記4.〜9.のいずれかに記載の方法。
11.前記反応器中の前記フルオロモノマーの重合が、重合キックオフを引き起こし、前記重合反応器が、前記キックオフの時点で水溶性炭化水素含有化合物を実質的に含まない、前記4.〜10.のいずれかに記載の方法。
12.前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の前記初期分散体を調製する工程が、予め調製されたフルオロポリマー分散体を前記水性媒体に加えることによって行われる、前記1.〜3.のいずれかに記載の方法。
13.前記炭化水素含有界面活性剤が、前記安定化期間中に前記重合反応器に計量供給される、前記1.〜12.のいずれかに記載の方法。
14.前記炭化水素含有界面活性剤が、前記炭化水素含有界面活性剤のテロゲン活性を低下させるのに十分な速度で計量供給される、前記13.に記載の方法。
15.前記炭化水素含有界面活性剤を加える前記工程が、前記水性媒体中の前記フルオロポリマー粒子の濃度が少なくとも0.6重量%であるときに開始する、前記1.〜14.のいずれかに記載の方法。
16.前記炭化水素含有界面活性剤がアニオン性である、前記1.〜15.のいずれかに記載の方法。
17.前記炭化水素含有界面活性剤が炭化水素界面活性剤である、前記1.〜15.のいずれかに記載の方法。
18.前記炭化水素含有界面活性剤が、式R−L−Mの化合物であり、
式中、Rが、6〜17個の炭素原子を含有するアルキル基であり、Lが、−ArSO3 -、−SO3 -、−SO4−、−PO3 -および−COO-からなる群から選択され、ここで、Arが、アリール基であり、Mが、好ましくはH+、Na+、K+およびNH4 +から選択される一価カチオンである、
前記1.〜17.のいずれかに記載の方法。
19.前記重合工程が、重合開始剤の存在下で行われる、前記1.〜18.のいずれかに記載の方法。
20.前記炭化水素含有界面活性剤を不活性化する工程をさらに含む、前記1.〜19.のいずれかに記載の方法。
21.前記炭化水素含有界面活性剤を酸化剤と反応させることによって、前記炭化水素含有界面活性剤が不活性化される、前記20.に記載の方法。
22.前記酸化剤が、過酸化水素または重合開始剤である、前記21.に記載の方法。
23.前記炭化水素含有界面活性剤の前記不活性化が、不活性化助剤の存在下で行われる、前記20.、21.、または22.のいずれかに記載の方法。
24.前記不活性化助剤が、金属イオンの形態の金属である、前記23.に記載の方法。
25.前記金属が、複数の正原子価を有する、前記24.に記載の方法。
26.前記金属イオンが、第一鉄イオンまたは第一銅イオンである、前記24.に記載の方法。
27.前記炭化水素含有界面活性剤が、前記重合反応器への添加前、添加中、または添加後に不活性化される、前記19.〜26.のいずれかに記載の方法。
28.前記フルオロモノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)、パーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)およびそれらの混合物から選択され、好ましくはテトラフルオロエチレン(TFE)である、前記1.〜27.のいずれかに記載の方法。
29.前記安定化期間中、前記反応器中に加えられる前記炭化水素含有界面活性剤の量が、45重量%または45重量%超の固形分を有するフルオロポリマー粒子の前記分散体を提供するのに有効である、前記1.〜28.のいずれかに記載の方法。
30.前記反応器中に加えられる前記炭化水素含有界面活性剤の量が、前記フルオロポリマー粒子の重量を基準にして、3000ppmまたは3000ppm超である、前記29.に記載の方法。
31.前記フルオロポリマー粒子が、フッ素プラスチック、好ましくはパーフルオロプラスチックである、前記1.〜30.のいずれかに記載の方法。
32.前記1.〜31.のいずれかに記載の方法によって得られるフルオロポリマー分散体。
33.前記32.に記載のフルオロポリマー分散体からの単離によって得られるフルオロポリマー樹脂。
34.前記32.または33.に記載のフルオロポリマー分散体および/または樹脂であって、前記フルオロポリマーが、PTFE、ならびに40〜98重量%のテトラフルオロエチレン単位および1〜60重量%の少なくとも1つの他のモノマーを含む溶融加工性コポリマーからなる群から選択され、前記溶融加工性コポリマーが、好ましくは、75重量%超のパーハロモノマー、好ましくはテトラフルオロエチレンを含有するコポリマーであるフルオロポリマー分散体および/または樹脂。
35.重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフッ素プラスチック粒子の分散体を形成するための方法であって、
(a)前記反応器に水性媒体を提供する工程と、
(b)前記フルオロモノマーを前記反応器に加える工程と、
(c)重合開始剤を前記水性媒体に加え、それによって、前記フルオロモノマーの前記重合をキックオフさせる工程と、
(d)前記重合の前記キックオフ後、炭化水素含有界面活性剤を前記水性媒体中に計量供給する工程とを含み、
ここで、前記水性媒体が、前記フルオロモノマーの前記重合の前記キックオフの前に界面活性剤を実質的に含まず、ハロゲン含有界面活性剤が、前記重合の前記キックオフ中または前記キックオフ後に前記水性媒体に加えられない方法。

Claims (4)

  1. 重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、初期期間、および前記初期期間の後の安定化期間を含み、
    前記初期期間が:
    前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程を含み、
    前記安定化期間が:
    前記重合反応器においてフルオロモノマーを重合する工程と、
    炭化水素含有界面活性剤を前記重合反応器に加える工程とを含み、
    前記安定化期間は炭化水素含有界面活性剤を重合反応器に加える工程から始まり、
    前記炭化水素含有界面活性剤を加えるときに、フルオロポリマーの濃度が少なくとも0.6重量%であり、
    前記安定化期間中、フッ素系界面活性剤が加えられず、
    前記炭化水素含有界面活性剤を酸化剤と反応させることによって、前記炭化水素含有界面活性剤が不活性化される工程をさらに含む方法。
  2. 前記炭化水素含有界面活性剤が不活性化される工程が、金属イオン形態の金属である不活性化助剤の存在下で行われる請求項1に記載の方法。
  3. 重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフッ素プラスチック粒子の分散体を形成するための方法であって、
    (a)前記反応器に水性媒体を提供する工程と、
    (b)前記フルオロモノマーを前記反応器に加える工程と、
    (c)重合開始剤を前記水性媒体に加え、それによって、前記フルオロモノマーの前記重合を開始させる工程と、
    (d)前記重合の前記開始後、炭化水素含有界面活性剤を前記水性媒体中に0.005から1.4g/l−時で供給される工程とを含み、
    ここで、前記水性媒体が、前記フルオロモノマーの前記重合の前記開始の前の前記水性媒体中の界面活性剤の量は50ppm以下であり、ハロゲン含有界面活性剤が、前記重合の前記開始中または前記開始後に前記水性媒体に加えられず、
    前記炭化水素含有界面活性剤を酸化剤と反応させることによって、前記炭化水素含有界面活性剤が不活性化される工程をさらに含む方法。
  4. 前記炭化水素含有界面活性剤が不活性化される工程が、金属イオン形態の金属である不活性化助剤の存在下で行われる請求項に記載の方法。
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