以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る媒体送り装置について説明する。本実施形態では、媒体送り装置としてテープ印刷装置を例示する。このテープ印刷装置は、印刷対象物となる印刷テープに対し、これを送りながら印刷を行った後、印刷テープをハーフカットしつつ、印刷テープの印刷済み部分を切断し、このテープ片(ラベル)を装置外部に排出するものである。なお、本実施形態において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、テープ印刷装置を使用するユーザーから見た方向(正面視)に従う。
図1および図2に示すように、テープ印刷装置1は、印刷テープTに対して印刷処理を行う装置本体2と、印刷テープTおよびインクリボンRを収容し、装置本体2に着脱自在に装着されるテープカートリッジCと、を備えている。テープカートリッジC内には、印刷対象物となる剥離テープTb付きの印刷テープTが繰出し自在に収容されている。
装置本体2は、装置ケース3により外殻が形成され、装置ケース3の前半部上面には、各種キー4を備えたキーボード5が配設されている。一方、装置ケース3の後半部左上面には、開閉蓋6が広く設けられ、開閉蓋6は、後端部に設けられたヒンジ(図示省略)を中心に上下に開閉する。開閉蓋6の前側にはこれを開放する蓋体開放ボタン8が設けられている。さらに、装置ケース3の後半部右上面には、キーボード5からの入力結果等を表示する長方形のディスプレイ9が配設されている。
蓋体開放ボタン8を押して開閉蓋6を開放すると、その内部には、テープカートリッジCが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部10が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋6を開放した状態でカートリッジ装着部10に着脱可能に装着される。すなわち、開閉蓋6は、カートリッジ装着部10を開閉する。また、開閉蓋6には、左前部下面に突設され、後述するフック部材175に係合する作動突起6aと、カートリッジ装着部10を閉塞した状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓13が形成されている。
装置ケース3の左側部には、カートリッジ装着部10に連なるテープ排出口17が形成されており、カートリッジ装着部10とテープ排出口17との間には、テープ排出経路18が構成されている。そして、装置ケース3内部には、テープ排出経路18に臨むように、上流側から、印刷テープTを切断するテープ切断機構11と、切断後の印刷テープTのテープ片をテープ排出口17から排出するテープ排出機構12と、がアッセンブリ化されて内蔵されている。
一方、カートリッジ装着部10には、ヘッドカバー20内に複数の発熱素子を有するサーマルタイプの印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21に対峙するプラテン駆動軸23と、インクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸24と、後述のテープリール32の位置決め突起25と、が配設されている。プラテン駆動軸23および巻き取り駆動軸24は、カートリッジ装着部10の底板27を貫通しており、底板27の下部空間には、プラテン駆動軸23および巻き取り駆動軸24を駆動する動力系であるテープ送り動力系26(図5参照)が配設されている。
テープカートリッジCは、カートリッジケース31内部の上中央部に、印刷テープTを巻回したテープリール32と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール33とを回転自在に収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール32の左下部には上記印刷ヘッド21を覆うヘッドカバー20に差し込まれるための貫通孔34が形成されている。さらに、貫通孔34の近傍において、印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、上記プラテン駆動軸23に嵌合されて回転駆動するプラテンローラー35が配置されている。一方、上記リボンリール33に近接して、巻き取り駆動軸24が嵌合されて回転駆動するリボン巻取りリール36が配置されている。
テープカートリッジCがカートリッジ装着部10に装着されると、ヘッドカバー20に貫通孔34が、位置決め突起25にテープリール32の中心孔が、プラテン駆動軸23にプラテンローラー35の中心孔が、巻き取り駆動軸24にリボン巻取りリール36の中心孔がそれぞれ差し込まれる。プラテン駆動軸23および巻き取り駆動軸24の回転駆動により、印刷テープTは、テープリール32から繰り出され、インクリボンRは、リボンリール33から繰り出されて、貫通孔34の部分で印刷テープTと重なって併走した後、印刷テープTは、カートリッジケース31の側面に形成したテープ送出口38からカートリッジケース31の外部に送り出され、インクリボンRはリボン巻取りリール36に巻き取られる。また、印刷テープTとインクリボンRとが併走する部分では、プラテンローラー35と印刷ヘッド21とがこれらを挟み込むように臨み、いわゆる印刷送りが行われる。
印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaに貼着した剥離テープTbとから構成されている。そして、印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてテープリール32に巻回されて収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、印刷テープTの地色、地模様、素材(質感)など)が異なる複数種のものが用意されており、それぞれカートリッジケース31に、インクリボンRと共に収容されている。例えば、印刷テープTのテープ幅は、4〜36mmの範囲で各種用意されており、テープ厚は、0.1〜0.8mmの範囲で各種用意されている。
また、カートリッジケース31の裏面には、印刷テープTの種別を特定するための複数の孔(図示省略)が設けられている。一方、複数の孔に対応してカートリッジ装着部10には、これらのビットパターンを検出するマイクロスイッチ等のテープ識別センサー37(図4参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサー37により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別(特にテープ幅)を判別できるようになっている。
テープカートリッジCをカートリッジ装着部10に装着して、開閉蓋6を閉塞すると、図外のヘッドリリース機構を介して印刷ヘッド21が回動して、印刷ヘッド21とプラテンローラー35との間に、印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込み、テープ印刷装置1は印刷待機状態となる。
印刷データの入力・編集の後、印刷動作が指令されると、プラテンローラー35を回転駆動して、テープカートリッジCから印刷テープTを繰り出すと共に、印刷ヘッド21が駆動して印刷テープTに所望の印刷を行う。この印刷動作と共に、インクリボンRはテープカートリッジC内で巻き取られるが、印刷テープTの印刷済み部分は、テープ排出口17から装置外部に送り出されてゆく。
印刷が完了すると、テープ切断機構11により印刷テープTがハーフカットされつつ、印刷テープTの印刷済み部分の後端部がフルカットされる。ここにいう「フルカット」とは、印刷テープT全体、すなわち記録テープTaおよび剥離テープTbを一体に切断する切断処理であり、「ハーフカット」とは、剥離テープTbを切断せずに、記録テープTaのみを切断する切断処理である。なお、ハーフカットとして、剥離テープTbのみを切断する構成としてもよい。
切断後のテープ片は、テープ排出機構12の作動により、その先端部のみがテープ排出口17から排出される。このようにして、所望の文字等が印刷されたラベルが作成される。
図3に示すように、テープ切断機構11は、印刷テープTをフルカットするハサミ式のフルカッター61と、フルカッター61に対してテープ送り方向の下流側に設けられ、印刷テープTをハーフカットする押切り式のハーフカッター62と、ステッピングモーターで構成され、フルカッター61およびハーフカッター62の駆動源となるカッターモーター63と、カッターモーター63の動力をフルカッター61およびハーフカッター62に伝達するカッター動力伝達機構64と、カッター動力伝達機構64を構成するクランク円板74の周面の一の位置に面して配設され、クランク円板74の初期位置を検出するカッター位置検出センサー67(図4参照)とを備えている。そして、クランク円板74が初期位置から正回転し、その後逆回転して初期位置まで戻ることでフルカッター61が切断動作を行い、クランク円板74が初期位置から逆回転し、その後正回転して初期位置まで戻ることでハーフカッター62が切断動作を行うようになっている。
図4を参照して、テープ印刷装置1の制御系について説明する。テープ印刷装置1は、操作部201と、印刷部202と、切断部203と、検出部204と、を備えている。また、テープ印刷装置1は、ディスプレイ9を駆動させるディスプレイドライバー211と、印刷ヘッド21を駆動させるヘッドドライバー212と、テープ送りモーター41を駆動させる印刷送りモータードライバー213と、カッターモーター63を駆動させるカッターモータードライバー214と、から成る駆動部205をさらに備えている。そして、これら各部と接続され、テープ印刷装置1全体を制御する制御部200を有している。
操作部201は、キーボード5およびディスプレイ9を有し、キーボード5からの文字情報の入力や、各種情報のディスプレイ9への表示など、ユーザーとのインタフェースとして機能している。
印刷部202は、プラテンローラー35および後述する排出駆動ローラー111を回転させるためのテープ送りモーター41と印刷ヘッド21とを有し、テープ送りモーター41の駆動により、プラテンローラー35が回転して印刷テープTを送る。さらに、入力された文字情報に基づいて印刷ヘッド21が駆動されることにより、送られていく印刷テープTに印刷を行う。また、印刷部202は、テープ送りモーター41の駆動により、排出駆動ローラー111が回転し、印刷テープTの排出を行う。
切断部203は、フルカッター61およびハーフカッター62を動作させるカッターモーター63を有し、カッターモーター63の駆動により、フルカッター61およびハーフカッター62が、印刷後の印刷テープTに対し、ハーフカットやフルカットを行う。
検出部204は、テープ識別センサー37、カッター位置検出センサー67および後述するスライダー検出器193を有し、テープ種別の検出、カッター位置の検出、および印刷テープTの有無検出を行うと共に、各検出結果を制御部200へ出力する。
制御部200は、CPU(Contral Processing Unit)215、ROM(Read Only Memory)216、RAM(Random Access Memory)217およびコントローラー(IOC:Input Output Controller)218を備え、互いに内部バス219により接続されている。そして、CPU215はROM216内の制御プログラムにしたがって、コントローラー218を介してテープ印刷装置1内の各部から各種信号・データを入力する。また、入力した各種信号・データに基づいて、RAM217内の各種データを処理し、コントローラー218を介してテープ印刷装置1内の各部に各種信号データを出力する。これにより、例えば、検出部204の検出結果に基づいて、制御部200が、印刷処理や切断処理の制御を行う。
図5に示すように、テープ送り動力系26は、動力源であるテープ送りモーター41と、テープ送りモーター41の動力をプラテン駆動軸23および巻き取り駆動軸24に伝達する送り動力伝達機構42と、を備えている。すなわち、テープ送りモーター41を、プラテン駆動軸23および巻き取り駆動軸24の動力源として兼用している。なお、詳細は後述するが、テープ排出機構12の排出駆動ローラー111についても、このテープ送りモーター41を動力源としている。
送り動力伝達機構42は、テープ送りモーター41の主軸に形成されたギアに噛み合う入力ギア51と、入力ギア51に噛み合うと共に、プラテン駆動軸23側と巻き取り駆動軸24側との二方に動力を分岐する分岐ギア52と、分岐ギア52に噛み合うと共に巻き取り駆動軸24を軸着して回転させる第1出力ギア53と、分岐ギア52に噛み合う中継ギア54と、中継ギア54に噛み合うと共に、プラテンローラー35を軸着して回転させる第2出力ギア55と、を備えている。テープ送りモーター41を駆動すると、各ギアを介して、プラテン駆動軸23および巻き取り駆動軸24が回転する。これによって、印刷テープTを送ると共に、テープ送りに同期して、インクリボンRの巻き取りが行われる。
図6ないし図9を参照して、テープ排出機構12について説明する。テープ排出機構12は、印刷テープTの剥離テープTb側に転接する排出駆動ローラー111(第1ローラー)と、記録テープTa側に転接する排出従動ローラー141(第2ローラー)とから成るニップローラー(送りローラー)により、印刷テープTを回転送りして排出するものである。
テープ排出機構12は、排出駆動ローラー111を有する駆動ローラー部101と、排出駆動ローラー111に対峙する排出従動ローラー141を有する従動ローラー部102と、上記の送り動力伝達機構42から動力分岐したテープ送りモーター41の回転動力を排出駆動ローラー111に伝達する排出動力伝達機構103(図5参照)とを備えている。
また、テープ排出機構12は、それぞれギア状に形成され相互にオーバーラップ状態で係合する駆動側回転体104および従動側回転体105と、従動側回転体105を支持すると共に、駆動側回転体104に対して従動側回転体105が係脱するようにスライド自在に構成された回転体スライダー106と、一方の移動端にスライドした回転体スライダー106を検出する検出機構107と、開閉蓋6の開閉に連動して、排出駆動ローラー111に対して排出従動ローラー141を離接させる離接機構108とを備えている。
図7に示すように、駆動ローラー部101は、排出駆動ローラー111と、排出駆動ローラー111および駆動側回転体104を回転自在に保持する駆動ローラーホルダー112とを備えている。
駆動ローラーホルダー112は、従動ローラー部102に対向し略長方形の駆動ローラー開口114が形成された開口形成片113と、駆動ローラー開口114のテープ送り方向下流側外縁から後方に立設され、ベースフレーム(図示省略)に取り付けられる駆動側取付片115とから構成されている。駆動ローラー開口114の上下外側には、一対の駆動ローラー軸受部116が形成されている。排出駆動ローラー111および駆動側回転体104は、一対の駆動ローラー軸受部116に回転自在に支持されると共に、駆動ローラー開口114からわずかに従動ローラー部102側に突出している。また、駆動ローラー開口114は、そのテープ送り方向下流側の縁部の上下略中間部において、駆動側回転体104の外周部が位置する回転体受け部117が、駆動ローラー開口114の内側に向かって、略「C」字状に突設されている。
排出駆動ローラー111は、一対の駆動ローラー軸受部116に上下両端部が支持された駆動ローラー軸121と、駆動ローラー軸121に回転自在に軸支された駆動側上ローラー本体122および駆動側下ローラー本体123とを備えている。
駆動側上ローラー本体122の下端部には、駆動側回転体104の駆動側回転体孔部132(後述する)に嵌合する上ローラー嵌合凸部124が形成されている。一方、駆動側上ローラー本体122の上端部には、上ローラーギア部125が形成されている。
また、駆動側下ローラー本体123は、駆動側上ローラー本体122と同様に形成されており、上端部には、駆動側回転体104の駆動側回転体孔部132に嵌合する下ローラー嵌合凸部126が形成され、下端部には下ローラーギア部127が形成されており、この下ローラーギア部127に、排出動力伝達機構103の下流端が噛合している。
駆動側回転体104は、駆動ローラー軸121に軸着されており、駆動側上ローラー本体122と駆動側下ローラー本体123との間に設けられている。駆動側回転体104は、外周面に周方向において凹凸となるギア歯状の駆動側回転体歯部131(第1凹凸部)が形成されると共に、中心部には、上記の上ローラー嵌合凸部124および下ローラー嵌合凸部126がそれぞれ嵌合し且つ駆動ローラー軸121が挿通する駆動側回転体孔部132が形成されている。駆動側回転体104は、排出駆動ローラー111の駆動側上ローラー本体122および駆動側下ローラー本体123と略同径に形成されており、駆動ローラー軸121に軸着された状態では、駆動側上ローラー本体122および駆動側下ローラー本体123に対して径方向にはみだしてはいない(図11参照)。
そして、上ローラー嵌合凸部124および下ローラー嵌合凸部126がそれぞれ駆動側回転体孔部132に嵌合することで、駆動側上ローラー本体122と、駆動側下ローラー本体123と、駆動側回転体104とが一体として駆動ローラー軸121に軸支される。そして、排出動力伝達機構103を介してテープ送りモーター41の回転動力が下ローラーギア部127に伝達されると、駆動側上ローラー本体122、駆動側下ローラー本体123および駆動側回転体104が一体として回転する。なお、印刷テープTは、そのテープ幅にかかわらず、駆動側回転体104および従動側回転体105が幅方向略中間部に位置するようにして送られるようになっている。
図8に示すように、従動ローラー部102は、排出従動ローラー141と、排出従動ローラー141および従動側回転体105を回転自在に保持する従動ローラーホルダー142とを備えている。
従動ローラーホルダー142は、ベースフレームに固定された固定ホルダー143と、排出従動ローラー141を回転自在に支持すると共に、排出従動ローラー141が排出駆動ローラー111に対して離接するように固定ホルダー143にスライド自在に収容された可動ホルダー144とを備えている。
固定ホルダー143は、駆動ローラー部101に対する面およびテープ送り方向上流側の面が開放したボックス状に形成されており、上壁部下面および下壁部上面に形成され、可動ホルダー144のスライドをガイドする上下一対のガイド溝151と、駆動ローラー部101とは反対側の端部において上下略中間部に設けられ、可動ホルダー144のスライドロッド166をガイドする円形のガイド孔152が形成されたガイドブロック153と、ガイドブロック153の上方においてテープ送り方向下流側に突設され、後述するフック部材175を回動自在に軸支するフック支軸154と、テープ送り方向上流側の開放縁部から延設され、ベースフレーム(図示省略)に取り付けられる従動側取付片155とから構成されている。さらに、図示省略したが、固定ホルダー143の側壁部下方内面には、後述する連動係合部198が係合する連動係合受け部が形成されている。
図9に示すように、可動ホルダー144は、駆動ローラー部101に対する面が開放したボックス状に形成されており、上壁部下面および下壁部上面には、駆動ローラー部101側の端部において、従動ローラー軸171(後述する)を支持する上下一対の従動ローラー軸受部161が形成され、下壁部上面には、下側の従動ローラー軸受部161に対して駆動ローラー部101側とは反対側に、回転部材支軸191(後述する)の下端を支持する回転部材軸受部162が形成されている。
可動ホルダー144は、上壁部上面および下壁部下面に形成され、各ガイド溝151に係合する上下一対のガイドリブ163と、テープ送り方向上流側の内側面および下流側の内側面の上下方向略中間部において前後方向に延在し、回転体スライダー106のスライドをガイドする一対のスライドガイド164と、固定ホルダー143のガイドブロック153に対向し、後述する戻しばね(図示省略)の一端が接触するばね受け部(図示省略)と、ばね受け部から駆動ローラー部101とは反対側(前側)に突設され、固定ホルダー143のガイド孔152に貫通するスライドロッド166と、スライドロッド166の上方においてテープ送り方向上流側の側面と下流側の側面とを接続するように形成された水平部167と、水平部167の駆動ローラー部101とは反対側の端部上面に突設され、フック部材175が係合するホルダー係合受け部168とを備えている。また、スライドロッド166の先端には、スライドロッド166のガイド孔152からの抜け止めとして機能する抜け止めピン169が螺合するようになっている。
排出従動ローラー141は、一対の従動ローラー軸受部161に上下両端部が支持された従動ローラー軸171と、従動ローラー軸171に回転自在に軸支された従動側上ローラー本体172および従動側下ローラー本体173とを備えており、排出駆動ローラー111の回転に付随して回転する。
従動側回転体105は、従動ローラー軸171廻りに回転自在に支持されており、これを支持する回転体スライダー106と共に従動側上ローラー本体172と従動側下ローラー本体173との間に設けられている。従動側回転体105は、外周面に周方向において凹凸となるギア歯状の従動側回転体歯部136(第2凹凸部)が形成されると共に、従動ローラー軸171が遊貫する円形の従動側回転体孔部137が形成されている。従動側回転体105は、排出従動ローラー141の従動側上ローラー本体172および従動側下ローラー本体173と略同径に形成されており、回転体スライダー106が後退位置に移動した状態(詳細は後述する)では、従動側上ローラー本体172および従動側下ローラー本体173に対して径方向にはみだしてはいない(図11参照)。
従動側回転体歯部136は、駆動側回転体歯部131と相補的な形状に形成されており、駆動側回転体104と従動側回転体105とが噛合可能に構成されている。従動側回転体105は、駆動側回転体104との間に印刷テープTがない状態では、駆動側回転体104に対してオーバーラップ状態で係合し、駆動側回転体104の回転に付随して回転する。駆動側回転体104と従動側回転体105との間に印刷テープTが挟み込まれると、駆動側回転体104から係合離脱する。なお、駆動側回転体104と従動側回転体105とのオーバーラップ幅は、例えば数mm程度である。
離接機構108は、開閉蓋6の閉塞に連動して、排出駆動ローラー111に対し、排出従動ローラー141を排出駆動ローラー111との間で印刷テープTを挟持可能なニップ位置に移動させ、開閉蓋6の開放に連動して、排出従動ローラー141を排出駆動ローラー111から離間した離間位置に移動させるものである。離接機構108は、固定ホルダー143のフック支軸154を中心に回動自在に構成されたフック部材175と、可動ホルダー144のスライドロッド166に外嵌された戻しばねとを備えている。戻しばねは、一端を可動ホルダー144のばね受け部に、他端を固定ホルダー143のガイドブロック153に接触しており、固定ホルダー143に対して可動ホルダー144を駆動ローラー部101側に付勢している。
フック部材175は、固定ホルダー143のホルダー係合受け部168に係合するフック係合部176と、フック係合部176から屈曲するように連なり、略中央部にフック支軸154が挿通する軸孔が形成された軸孔形成部177と、軸孔形成部177から屈曲するように連なり、開閉蓋6に形成された作動突起6aが係合する突起受け部178とで形成されている。また、図示しないが、フック支軸154には、フック部材175を、フック係合部176がホルダー係合受け部168に係合する方向へ回動付勢する係合ばね(ねじりコイルばね)が組み込まれている。
フック部材175は、開閉蓋6が開放して作動突起6aが突起受け部178から係合離脱すると、係合ばねに付勢され、フック係合部176がホルダー係合受け部168に係合する方向へ回動する。その結果、戻しばねに抗して、排出従動ローラー141が離間位置へ移動する。一方、開閉蓋6が閉塞して作動突起6aが突起受け部178に係合すると、係合ばねに抗して、フック係合部176がホルダー係合受け部168から係合離脱する方向へ回動する。その結果、戻しばねにより、排出従動ローラー141がニップ位置へ戻る。
このように、開閉蓋6の開放に連動して排出従動ローラー141が離間位置へ移動し、排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間隙が広くなる。このため、テープカートリッジCをカートリッジ装着部10にセットする際、印刷テープTがテープ送出口38からはみ出しているような場合にも、印刷テープTを排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間に確実に入るようにしてテープカートリッジCをセットすることができる。そして、テープカートリッジCをカートリッジ装着部10にセットした後は、開閉蓋6を閉塞することによって、それに連動して排出従動ローラー141がニップ位置に移動するため、排出駆動ローラー111および排出従動ローラー141により印刷テープTを回転送り可能な状態とすることができる。
なお、後述する回転部材192についても、排出従動ローラー141と共に可動ホルダー144に支持されているため、離接機構108により、開閉蓋6の開閉に連動して往復移動するようになっている。
回転体スライダー106は、平面視略長方形に形成されており、駆動ローラー部101側の半部において従動側回転体105を回転自在に支持する回転体支持部181と、駆動ローラー部101側とは反対側の半部において回転体支持部181よりも厚く形成された回転部材係合部182とから構成されている。
回転体支持部181には、回転体スライダー106のスライド方向に延在する長孔183(図10参照)が形成されており、この長孔183に従動ローラー軸171が挿通しており、排出従動ローラー141に対して回転体スライダー106がスライド可能となっている。また回転体支持部181の上面には、長孔183の駆動ローラー部101側の円弧部外縁に沿うようにして、支持凸部184が突設されており、支持凸部184が従動側回転体105の従動側回転体孔部137に係合することで、従動側回転体105が従動ローラー軸171廻りに回転自在に支持される。一方、回転部材係合部182には、後述する回転部材192の係合アーム195が係合する係合孔185が形成されている。
そして、回転体スライダー106は、これに支持した従動側回転体105が駆動側回転体104に係合する前進位置と、従動側回転体105が駆動側回転体104から係合離脱する後退位置との間で、上記のスライドガイド164に案内されてスライドするようになっている。
検出機構107は、可動ホルダー144に形成された回転部材軸受部162に下端が支持された回転部材支軸191と、回転部材支軸191に回転自在に支持された回転部材192と、略方形の取付基板199を介して固定ホルダー143のガイドブロック153の下方近傍に取り付けられたスライダー検出器193とを備えている。さらに、検出機構107は、回転体スライダー106が前進位置にスライドする方向に向けて、回転体スライダー106に係合した係合アーム195(後述する)の回動を付勢する回動付勢ばね(図示省略)を備えている。
回転部材192は、回転部材支軸191が挿通する円筒状の軸部194と、軸部194の上端部から径方向に延在し、上記の係合孔185に係合する係合部を有する係合アーム195と、軸部194の下端部から係合アーム195と略直交するようにして径方向に延在し、先端部(被検出部)がスライダー検出器193に臨む検出アーム196とを備えている。検出アーム196は、係合アーム195よりも長く形成されている。
回転部材192は、係合アーム195が回転体スライダー106の係合孔185に係合していることで、回転体スライダー106の前進位置と後退位置との間のスライドに連動して回転する。回転部材192の係合アーム195および検出アーム196は、回転体スライダー106の前進位置と後退位置との間のスライドに連動して軸部194(回転部材支軸191)を中心に往復回動するようになっている。すなわち、軸部194は、係合アーム195の前後方向の回動を検出アーム196の左右方向の回動に変換するが、検出アーム196が係合アーム195よりも長い分、係合アーム195の回動の振り幅に対し検出アーム196の回動の振り幅は数倍となる。なお、以下では、回転体スライダー106が前進位置から後退位置へスライドする場合の係合アーム195および検出アーム196の回動方向を後退回動方向といい、回転体スライダー106が後退位置から前進位置へスライドする場合の係合アーム195および検出アーム196の回動方向を前進回動方向という。
検出アーム196は、その略中間部において平面視クランク状に屈曲した屈曲部の下面には、回動付勢ばねの一端が係止される掛け止め部197が形成されている。回動付勢ばねは、ねじりコイルばねで構成されており、回転部材支軸191に巻回され、一端が上記の掛け止め部197に、他端が固定ホルダー143の内側に係止されている。回動付勢ばねは、係合アーム195を前進回動方向に向けて付勢している。すなわち、回動付勢ばねは、係合アーム195を介して回転体スライダー106を前進位置に向けて付勢している。
さらに、回転部材192の軸部194には、検出アーム196の基端部近傍において、係合アーム195の延在方向とは反対側に突出した連動係合部198が形成されている。回転部材192は、排出従動ローラー141と共に可動ホルダー144に支持されており、排出従動ローラー141のニップ位置から離間位置への移動に連動して、固定ホルダー143の内側に形成された連動係合受け部に係合する係合位置に移動し、排出従動ローラー141の離間位置からニップ位置への移動に連動して、連動係合受け部から係合離脱する離脱位置に移動する。
連動係合部198が連動係合受け部に係合すると、係合アーム195が回動付勢ばねに抗して後退回動方向に回動し、回転体スライダー106が排出従動ローラー141に対して後退位置に移動する。連動係合部198が連動係合受け部から係合離脱すると、係合アーム195が回動付勢ばねに付勢されて前進回動方向に回動し、回転体スライダー106が排出従動ローラー141に対して前進位置に移動する。
スライダー検出器193は、透過型の光センサー(フォトインターラプター)で構成され、後退回動方向の回動端に回動した検出アーム196の先端部に臨むように配設されている。スライダー検出器193は、対向配置した発光素子と受光素子との間に検出アーム196の先端部が挿入されることにより、その光が遮断され、回転体スライダー106が後退位置にスライドしたことが検出される。
なお、スライダー検出器193は、接触式センターで構成してもよいが、本実施形態のように非接触式センサーを用いることで、接触式センサーで構成した場合のように回転体スライダー106が後退位置に移動したときにセンサーの接点を押す力が働くようにする必要がないため、回転体スライダー106をできるだけ軽い力で移動可能とすることができ、印刷テープTが薄い場合でも検出可能とすることができる。
図10ないし図13を参照して、開閉蓋6の開閉時および印刷テープTの送り動作(排出動作)時における、テープ排出機構12廻りの一連の動きについて説明する。
図10ないし図13の各(a)に示すように、開閉蓋6を開放すると、開閉蓋6の作動突起6aがフック部材175の突起受け部178から係合離脱し、フック部材175のフック係合部176がホルダー係合受け部168に係合する。その結果、排出駆動ローラー111がニップ位置から離間位置に移動すると共に、回転部材192が離脱位置から係合位置に移動する。排出駆動ローラー111の離間位置への移動に伴って、従動ローラー軸171廻りに支持された従動側回転体105も、駆動側回転体104に対して離間するため、駆動側回転体104と従動側回転体105との間隙が広くなる。
さらに、回転部材192の係合位置への移動に伴い、連動係合部198が連動係合受け部に係合し、係合アーム195および検出アーム196が後退回動方向に回動する。これにより、回転体スライダー106が排出駆動ローラー111に対して後退位置に移動するため、回転体スライダー106に支持された従動側回転体105が排出駆動ローラー111に対して駆動側回転体104側に突出することがない。
このように、開閉蓋6の開放に連動して、排出従動ローラー141が離間位置に移動すると共に、回転体スライダー106が排出駆動ローラー111に対して後退位置に移動するため、排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間隙が広くなると共に、駆動側回転体104と従動側回転体105との間隙が広くなる。したがって、テープカートリッジCをカートリッジ装着部10にセットする際、印刷テープTがテープ送出口38からはみ出しているような場合にも、印刷テープTを、排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間、および駆動側回転体104と従動側回転体105との間に確実に入るようにしてテープカートリッジCをセットすることができる。
図10ないし図13の各(b)に示すように、テープカートリッジCの装着後、開閉蓋6を閉塞すると、開閉蓋6の作動突起6aがフック部材175の突起受け部178に係合し、フック部材175のフック係合部176がホルダー係合受け部168から係合離脱する。その結果、排出駆動ローラー111が離間位置からニップ位置に移動すると共に、回転部材192が係合位置から離脱位置に移動する。回転部材192の離脱位置への移動に伴い、連動係合部198が連動係合受け部から係合離脱する。
駆動側回転体104と従動側回転体105との間に印刷テープTが挟み込まれていない場合には、係合アーム195および検出アーム196が前進回動方向に回動する。これにより、回転体スライダー106が排出駆動ローラー111に対して前進位置に移動するため、回転体スライダー106に支持された従動側回転体105が駆動側回転体104に対してオーバーラップ状態で係合する。また、この状態では、検出アーム196はスライダー検出器193に臨んでいないため、スライダー検出器193により、回転体スライダー106が後退位置に移動していないことが検出され、駆動側回転体104と従動側回転体105との間、および排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間に印刷テープTが無いことが検出される。
図10ないし図13の各(c)に示すように、印刷処理がなされ、排出駆動ローラー111および排出従動ローラー141間に印刷テープTが差し込まれると、従動側回転体105が従動ローラー軸171廻りに回転自在に支持されていることで、従動側回転体105が回転して印刷テープTを受け入れ、駆動側回転体104および従動側回転体105が被送り媒体の通過を邪魔することがない。
そして、従動側回転体105は、印刷テープTが駆動側回転体104との間に挟み込まれると、駆動側回転体104に対して係合離脱し、駆動側回転体104とのオーバーラップ状態が解消される。これにより、従動側回転体105を支持する回転体スライダー106は、印刷テープTの厚さに加えてオーバーラップ状態の解消分、前進位置から後退位置へ移動する。
回転体スライダー106の後退位置への移動に連動して、回転部材192の係合アーム195および検出アーム196が後退回動方向に回動し、検出アーム196の先端部がスライダー検出器193に臨む。そして、スライダー検出器193により、回転体スライダー106が後退位置に移動したことが検出され、駆動側回転体104と従動側回転体105との間、および排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間に印刷テープTが有ることが検出される。
ここで、回転部材192は、検出アーム196が係合アーム195よりも長く形成されており、スライダー検出器193に臨む検出アーム196の先端部が、軸部194に対し、係合アーム195の係合部よりも径方向外側に設けられているため、回転体スライダー106の前進位置と後退位置との間の移動距離に応じた係合アーム195の回動距離よりも、検出アーム196の回動距離が大きくなる。したがって、回転体スライダー106が後退位置に移動したことを、より高精度に検出することができる。また、回転体スライダー106の移動距離に応じた係合アーム195の回動距離よりも検出アーム196の回動距離が大きくなる分、駆動側回転体104と従動側回転体105とのオーバーラップ分を少なくした構成とすることも可能である。
以上のように、本実施形態のテープ印刷装置1によれば、テープカートリッジCをカートリッジ装着部10にセットする際、印刷テープTがテープ送出口38からはみ出しているような場合にも、印刷テープTを、排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間、および駆動側回転体104と従動側回転体105との間に確実に入るようにしてテープカートリッジCをセットすることができる。また、排出駆動ローラー111と排出従動ローラー141との間における印刷テープTの有無を確実に検出することができる。
なお、本実施形態では、上述のように、駆動側回転体104および従動側回転体105として、それぞれ駆動側回転体歯部131および従動側回転体歯部136を有する構成としたが、これに限定されるものではなく、駆動側回転体104および従動側回転体105が相互にオーバーラップ状態で係合すると共に、挟み込まれた印刷テープTにより係合離脱するものであればよい。
図14を参照して、他の実施形態に係る駆動側回転体254および従動側回転体255について説明する。駆動側回転体254は、駆動側小径部261と、駆動側小径部261の両端面に駆動側小径部261と同軸上に設けられた駆動側第1大径部262および駆動側第2大径部263とから一体形成され、全体として、外周面が軸方向において凹凸となる駆動側凹凸部(図示省略)を有するローラー状に形成されている。駆動側第1大径部262および駆動側第2大径部263は、排出駆動ローラー111の駆動側上ローラー本体122および駆動側下ローラー本体123と略同径に形成されており、駆動ローラー軸121に軸着された状態では、駆動側上ローラー本体122および駆動側下ローラー本体123に対して径方向にはみだしてはいない。
従動側回転体255は、従動側大径部266と、従動側大径部266の両端面に従動側大径部266と同軸上に設けられた従動側第1小径部267および従動側第2小径部268とから一体形成され、全体として、外周面が軸方向において凹凸となり且つ駆動側凹凸部と相補的な形状である従動側凹凸部(図示省略)を有するローラー状に形成されている。従動側大径部266は、排出従動ローラー141の従動側上ローラー本体172および従動側下ローラー本体173と略同径に形成されており、回転体スライダー106が後退位置に移動した状態では、従動側上ローラー本体172および従動側下ローラー本体173に対して径方向にはみだしてはいない。
なお、図示省略したが、先の実施形態と同様に、駆動側回転体254には駆動側回転体孔部が形成され、従動側回転体255には従動側回転体孔部が形成されている。
この構成によっても、駆動側回転体254および従動側回転体255が相互にオーバーラップ状態で係合すると共に、挟み込まれた印刷テープTにより係合離脱する。もっとも、先の実施形態に係る駆動側回転体104および従動側回転体105のように、駆動側回転体歯部131および従動側回転体歯部136が、それぞれ周方向において凹凸となる形状であるため、印刷テープTが薄かったり、腰の弱い材質から成る場合であっても、駆動側回転体歯部131と従動側回転体歯部136との間に挟み込まれた印刷テープTが、駆動側回転体歯部131や従動側回転体歯部136に沿った形状に曲がりにくくすることができるため、オーバーラップ状態を十分に解消することができる。したがって、回転体スライダー106を、オーバーラップ分、確実に移動させることができる。