JP6107683B2 - 排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

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本発明は排気ガス浄化用触媒の製造方法に関する。本発明は、さらに特に、排気ガス浄化用貴金属担持触媒、例えば、自動車等の内燃機関から排出される排ガスに含まれる有害成分を浄化する貴金属ナノ粒子担持触媒の製造方法に関する。
近年、地球環境保護の観点から、排ガス規制が世界的に年々強化されている。この対応策として、内燃機関においては、排ガス浄化用触媒が用いられる。この排ガス浄化用触媒において、排ガス中のハイドロカーボン(以下、HCと略記することもある。)、COおよび窒素酸化物(以下、NOxと略記することもある。)を効率的に除去するために、触媒成分としてPt、Pd、Rh等の貴金属などが使用されている。
この排ガス浄化用触媒を用いた自動車、例えばガソリンエンジン車あるいはジーゼルエンジン車では触媒活性とともに燃費の向上を図るために種々のシステムが用いられている。例えば、燃費を上げるために定常運転中では空燃比(A/F)がリーン(酸素過剰)の条件で燃焼させ、触媒活性を向上させるために一時的にストイキ(理論空燃比、A/F=14.7)〜リッチ(燃料過剰)の条件で燃焼させている。
これは、従来公知のPt、Pd、Rh等の貴金属などの触媒は酸化条件でのNOx浄化性能が低く、浄化性能を高めるためにHCまたはCO等を加えることによる還元雰囲気を必要とするためである。この触媒活性への影響から、定常運転中でも空燃比(A/F)を大きくできず、前記貴金属などの触媒では燃費の向上に限界がある。
このように従来公知の貴金属などの触媒では、浄化用触媒を一時的に還元雰囲気にするための燃料と、エンジンでの空燃比(A/F)を低くすることとが必要であった。そして自動車用エンジンを始め内燃機関の燃費を向上するために、例えば、ストイキ雰囲気下でNOx浄化性能を発揮することのできる新たな浄化用触媒が求められている。
NOx浄化用触媒の性能向上について種々の改良の試みがなされている。
特許文献1は、原子数10〜50000の1種又は2種以上の遷移金属イオンと、それに結合する有機物からなる複合錯体を酸化物に担持させ、還元処理することで粒径約3nmの合金粒子を形成することを含む触媒の製造方法を記載する(特許文献1、請求項1、実施例1、4〜6など)。
特許文献2は、酸化物に担持した複数の金属イオンを非酸化性雰囲気で過熱処理することで10nm以上、100nm以下の合金粒子を有する触媒の製造方法などを記載(引用文献2,請求項1、4,6など)する。さらに特許文献2は、2種の合金のうち一方の組成は20wt%〜80wt%が好ましいこと、および少なくともIrを含む2種の金属成分の固溶体の場合、合金粒子の粒径が10nm以上であると非常に好ましいことなど(同段落[0026]など)を記載する。
特許文献3は、窒素雰囲気下で1時間かけて850℃の熱処理によって2〜10nmの合金粒子を形成することなどによる触媒の製造方法などを記載(特許文献3、段落[0016]、[0063]など)する。
特許文献4は、2種の金属からなる平均一次粒子径1.5nm以下の合金粒子であって、金属粒子における一次粒子毎の金属組成比の標準偏差が10%以下であることなどを有する触媒の製造方法などを記載(引用文献4、請求項1、4など)する。
特開第2005−270883号公報 特開第2006−198490号公報 特開第2007−289960号公報 特開第2010−194384号公報
しかし、特許文献1の発明では、金属塩がより吸着力の強い担体に付着して有機物と離れて、組成にバラツキが生じるといった問題があった。また、金属粒子としてPtもしくはPt/Rhを用いているため、リーンでのNOx浄化性は不充分であった。特許文献2,3の発明では、合金粒子の構造のみならず、合金粒子の粒径および組成の制御が困難であった。
さらに特許文献1〜4は、合金の組成に関して具体的な範囲を実質的に記載していない。
自動車用排気ガス触媒において、より優れた触媒として、強いリーン雰囲気下でも高いNOx選択還元能を有する触媒を製造する方法の提供が望まれていた。
本発明者らは、鋭意努力した結果、所定の原子%でイリジウム(Ir)と金(Au)とを含む金属ナノ粒子を触媒担体上に担持させる工程を含む製造方法によって、上記課題を解決することができることを見いだした。
本発明の態様は、以下のようである。
(1)イリジウムの金属塩および金の金属塩を含む金属塩溶液に、錯化剤と、触媒担体とを混合した後に、還元処理を行い、焼成することを含む、排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
該イリジウム:該金の比率が99.9原子%〜90原子%:0.1原子%〜10原子%である、方法。
本発明に係る方法よれば、製造した触媒において、イリジウムを主体とすることで、リーン雰囲気下でのNOx浄化性が高くなる。そして所定の比率で金を添加することによってイリジウムの酸化失活、およびイリジウムの活性点被覆が抑制される。そしてこれらにより、リーン雰囲気下でのNOx浄化率を安定して高くすることができるものである。
図1は、Irナノ粒子またはRhナノ粒子を担持した触媒の、λに対するNOx浄化率をプロットしたグラフである。 図2は、本発明に係る方法で製造したIrおよびAuを含む金属ナノ粒子の平均一次粒径および金属ナノ粒子中のAuの組成ならびに触媒担体上での様子を模式的に表した図である。 図3は、本発明に係る方法で製造した触媒の、触媒担体上でのIrおよびAuを含む金属ナノ粒子中において、Irの酸化が抑制される様子を説明する図である。 図4は、実施例1に係る製造工程を説明する図である。 なお、IrとAuとの組成を区別するために、模式的にIrとAuとを別粒子のように記載しているが、図2〜4において、IrとAuとは合金であり、全体で1つの粒子である。 図5は、実施例5に係る試料の測定点を示す写真、および各測定点におけるIr(白抜き):Au(斜線)のそれぞれの原子%を示すグラフである。 図6は、実施例などについて、試料ガスを用いたNOx浄化率測定における昇温の手順を示す図である。 図7は、実施例1〜7および参考例1ならびに比較例1〜8について、λ=1.8において、金属ナノ粒子中のAuの原子%に対して、NOx浄化率をプロットしたグラフである。
本明細書中において、λは空気過剰率であって、λ<1の場合リッチ状態、λ=1の場合ストイキ状態、λ>1の場合リーン状態を表す。
本発明に係る方法では、金属塩溶液と、錯化剤と、触媒担体とを用いるものである。
金属塩としては、イリジウム(Ir)塩および金(Au)塩を用いる。イリジウム塩および金塩は、IrとAuとの合金化を阻害しなければ、特に限定されない。例えば、ヘキサクロロイリジウム酸、三塩化イリジウム、ヘキサニトロイリジウム酸、トリス(オキサラト)イリジウム酸、ペンタアンミンアクアイリジウム硝酸塩、ニトロペンタアンミンイリジウム亜硝酸塩、ヘキサアンミンイリジウム硝酸塩、塩化金酸、シアン化第2金カリウム、シアン化金カリウム、テトラアンミン金硝酸塩、テトラニトラト金アンモニウム塩、ジアクア(1,10−フェナントロリン)金硝酸塩などの、塩化物塩、硝酸塩、シアン化物等を使用することができる。
イリジウム塩および金塩を含む金属塩溶液において用いられる溶媒としては、これらの金属塩を溶解させることができる任意の溶媒、例えば、水などの水性溶媒もしくは下記還元剤のところに示す有機溶媒等またはこれらの混合物を使用することができる。
本発明に係る錯化剤は、金属塩溶液中の金属イオンに結合(配位)して錯体を形成するものである。
錯化剤としては、金属イオンを安定化できれば、特に制限なく、一般的に知られているものを使用できる。具体的には、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアリルアミン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ(N−カルボキシメチル)エチレンイミン、ポリ(N,N−ジカルボキシメチル)アリルアミン、又はこれらの共重合体、ポリアミノ酸、多糖類を挙げることができる。錯化剤としての機能を制限しなければ、濃度、重量平均分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量で約1,000以上、約5,000以上、約10,000以上、約20,000以上、約30,000以上、約35,000以上、および約500,000以下、約400,000以下、約300,000以下、約200,000以下、約100,000以下、約50,000以下、約40,000以下のいずれかのものを、例えば、約5mol以上、約8mol以上、約10mol以上、約12mol以上、約13mol以上、約14mol以上、および約50mol以下、約40mol以下、約35mol以下、約30mol以下、約25mol以下、約20mol以下のいずれかで使用できる。金イオンおよびイリジウムイオンの安定化に優れることから、ポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
本発明に係る触媒担体としては、金属ナノ粒子の機能を損なわなければ、特に制限なく、セリア−ジルコニア混合酸化物、セリア−ジルコニア−イットリア混合酸化物、アルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物などの、アルミナ、シリカ、ジルコニア、セリアの少なくとも1種を含む担体を使用できる。また、触媒担体は、アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素、チタン、ランタン、セリウム、ネオジウム、イットリウムの少なくとも一つを含んでも良い。
本発明に係るイリジウム塩と金塩とは、最終的に得られる金属ナノ粒子中の所望のIr/Au比(原子%比)に対応した量、および所望の触媒担体に対する量で、溶媒を含む反応系中に添加されればよい。
図4に、本発明に係る金属ナノ粒子の製造プロセスを模式的に示す。
室温下(25℃)で、まず、イリジウム塩と金塩とが1つ又は複数の溶媒中に溶解され、Ir4+イオンとAu3+イオン、さらには錯化剤6を含む混合溶液が調製される。そして、これらのイオンと錯化剤6との間で錯形成7を行って、錯体が形成される。次に混合溶液中に含まれるIr4+イオンとAu3+イオンとは還元剤により還元8されて、IrとAuとが原子レベルで固溶した微粒子が生成する。さらにこの微粒子を触媒担体1上に担持/焼成9することで、Ir−Au微粒子担持触媒となる。
本発明に係る還元剤としては、組成、粒径などを含む生成する金属ナノ粒子の機能を損なわなければ、特に制限なく、水素、ギ酸、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボランが適用できる。
この還元剤としては、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールなどを用いると、上記金属塩溶液に使用する溶媒を兼ねることができ、かつ新たに還元剤を加えることなく還元処理を行えるので好ましい。還元剤の量は、イリジウムイオンおよび金イオンを還元できれば、これらの金属イオンの合計に対して等当量以上であって、(例えば、溶媒として使用する場合には)大過剰存在していてもよい。
本発明に係る金属ナノ粒子を触媒担体に担持させる方法としては、組成、粒径などを含む生成する金属ナノ粒子の機能を損なわなければ、特に制限なく、一般的な方法を用いることができる。例示すると含浸担持法、表面析出法などを挙げることができる。
触媒担体の焼成条件としては、組成、粒径などを含む生成する金属ナノ粒子の機能を損なわなければ、空気中において、特に制限なく、例えば、約80℃〜約150℃で約2時間〜約48時間などの乾燥処理後、例えば、約300℃以上、約350℃以上、約400℃以上、約450℃以上、約500℃以上、および約900℃以下、約850℃以下、約800℃以下、約750℃以下、約700℃以下、約650℃以下、約600℃以下、約550℃以下のいずれかの焼成温度で、約0.5時間以上、約1時間以上、約1.5時間以上、約2時間以上、約2.5時間以上、約3時間以上、および約50時間以下、約40時間以下、約30時間以下、約20時間以下、約10時間以下、約8時間以下、約7時間以下、約6.5時間以下、約6時間以下、約5.5時間以下、約5時間以下、約4.5時間以下、約4時間以下の間のいずれかで焼成するなどの条件を用いることができる。
本発明に係る方法により製造した触媒は、図2に示すように、触媒担体1上に、該金属ナノ粒子中における該イリジウム:該金の比率が99.9原子%〜90原子%:0.1原子%〜10原子%(図2中3)の金属ナノ粒子を担持している。そして、イリジウムと金とは固溶している。
担持の形態については、特に制限なく、上に金属ナノ粒子がおおよそ一様に担持されていればよい。
また、金属ナノ粒子が2次凝集していなければ、金属ナノ粒子の単位体積当たりの表面積が大きくなり好ましい。
金属ナノ粒子中の金の比率は、金とイリジウムとの合計を基準として、約0.0001原子%以上、約0.001原子%以上、約0.01原子%以上、約0.1原子%以上、約0.5原子%以上であることができ、約11.0原子%以下、約10.5原子%以下、約10.0原子%以下、約9.5原子%以下、約9.0原子%以下、約8.5原子%以下、約8.0原子%以下、約7.5原子%以下、約7.0原子%以下、約6.5原子%以下、約6.0原子%以下、約5.5原子%以下、約5.0原子%以下であることができる。
その中でも、下記で詳しく説明するように、金の比率が約0.1原子%以上であると、Irの失活が防げる点で好ましい。また、貴金属の比率が約10原子%以下であるとイリジウムの活性点の被覆が防げる点で好ましい。
本発明に係る方法により製造した金属ナノ粒子は、金属ナノ粒子の機能を損なわなければ、金とイリジウムとの合計を基準として、Pt,Rh、Fe、Cuなどの他の貴金属および/または卑金属などの不純物を約0.1原子%以下含んでいてもかまわない。
担持される金属ナノ粒子の粒径は、特に制約されないが、例えば、約0.5nm以上、約1.0nm以上、約1.5nm以上、約2.0nm以上、約2.5nm以上、約3.0nm以上、約3.5nm以上、約4.0nm以上であることができ、約13.0nm以下、約12.0nm以下、約11.0nm以下、約10.5nm以下、約10.0nm以下、約9.5nm以下、約9.0nm以下、約8.0nm以下、約7.0nm以下、約6.0nm以下であることができる。
本明細書中において「平均一次粒径」とは、特に断りのない限り、粉末X線回折の半価幅測定による結晶子径算出法を用いて算出した粒径のことをいう。
この中でも、触媒担体に担持する前に、金属ナノ粒子の平均一次粒径が約2nm以上であると、金属ナノ粒子の組成が安定して好ましく、約10nm未満であると、金属ナノ粒子の単位体積当たりの活性が高く好ましい(図2中2)。
金属ナノ粒子の触媒担体に対する量は、金属ナノ粒子の機能を損なわなければ、特に制限なく、例えば、約0.0001wt%〜約30wt%であることができる。
図1に示すように、Rhナノ粒子に比べてIrナノ粒子は、リーン雰囲気下で高いNOx選択還元能を有する。しかし、Irナノ粒子であっても、λ=2に近づくと活性が低下していた(図1)。
本発明に係る方法によって製造した触媒は、金属ナノ粒子中の貴金属の比率で約0.1原子%〜約10原子%および所定の粒径を有することにより、λ=1.8という強いリーン雰囲気下においても、約50〜約75%もの高いNOx浄化率を示すものである。この様子は、下記実施例1〜7および図7のグラフに示されている。
これに対し、下記参考例1(Auの原子%=15)および図7のグラフに示されるように、金属ナノ粒子中の貴金属の比率が約10原子%を超えると、NOx浄化率が約20%まで低下してしまっている。
また、下記比較例1〜8および図7のグラフに示されるように、金属ナノ粒子中の貴金属の比率が約0.1原子%〜約10原子%であっても、貴金属とイリジウムとを共含浸させると、NOx浄化率は約50〜約55%と一定して良好でない。
この金属ナノ粒子の生成方法の違いによるNOx浄化率を解析するために、実施例に係る金属ナノ粒子をSTEM−EDXを用いて観察した。すると下記に詳細を示すように、触媒担体に担持する前の金属ナノ粒子および、実施例1〜7および参考例1ならびに比較例1〜8の触媒の金属ナノ粒子の平均一次粒径はいずれも同じ2〜10nmであった。しかし、さらなるEDXによる組成分析により、比較例1〜8の試料ではIrとAuとが、それぞれ別個に存在していた。これに対し、実施例1〜7の試料では、いずれの測定点においてもIrとAuとが共存していることが明らかになった(図5)。
以上から考察すると、何らかの理論に拘束されることを意図しないが、本発明に係る方法により製造した金属ナノ粒子においては、まずイリジウムと貴金属とが触媒中において近傍に存在していると考えられる。そしてイリジウムの近傍に存在する金がイリジウムの酸化失活を抑制し、結果として本発明に係る方法により製造した触媒が優れたNOx還元能を維持できると考えられる。
そして、何らかの理論に拘束されることを意図しないが、本発明に係る方法により製造した金属の粒子においては、イリジウムと貴金属とがただ近傍に存在するだけではなく、固溶により、IrとAuとをナノオーダーの原子レベルで複合化している(図3中4)と考えられる。これにより、Auは酸化し難い元素なので酸素を脱離してIrの酸化を有効に抑制し、リーン雰囲気下でも触媒が高活性を示すことができた(図3中5)と考えられる。
さらに本発明に係る方法により製造した金属ナノ粒子が2nm以上の平均一次粒径を有することによりIrとAuとの組成が安定し、かつ10nm未満の粒径を有することにより金属ナノ粒子の単位体積当たりの活性が高くなり、金属ナノ粒子のすぐれた触媒活性を達成できるものと考えられる。
これに対して、Ir,Auを共含浸しただけである比較例1〜8では、単純にIrにAuを混ぜただけであってAu自体に活性は無いため、Irの活性維持などに影響を与えていないと考えられる。その結果Auの含有比率に関わらず触媒の活性が一定であったものと考えられる。
またIrとAuとが複合化していても、参考例1に示されるように、金属ナノ粒子中のAuが10原子%より多くなると、NOx還元に対して不活性であるAuが活性点であるIrを被覆するため、NOx浄化率が低下すると考えられる。
このように、本発明に係る方法により製造した金属ナノ粒子では、非常に小さな一次粒径を有する金属ナノ粒子中といった、原子レベルで近傍にイリジウムと貴金属との両方が共存していると考えられる。そして本発明に係る方法により製造した金属ナノ粒子では、ナノレベルでの近接による効果と、異種金属による効果との両方の効果を有し、バルクの状態では達成し得ない効果が期待できるものである。
なお、上記の例は、本発明に係る方法の単なる一応用例に過ぎない。したがって、本発明に係る方法は、排ガス浄化用触媒等の用途だけでなく、例えば、電子伝導体、光増感剤、酸化還元触媒など、幅広い分野の用途に適用することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<合成例1:Ir−Auナノ粒子の合成>
室温下で、500mLのセパラブルフラスコにPVP K−25(重量平均分子量:35、000)を1.11g(10mmol)入れ、180mlの1−プロパノールで完全に溶解させた。次いで0.021mmolのHAuClと0.679mmolのIrClと180mlの1−プロパノールとを加えた。これを102℃のバス温度においてNでバブリングしながら2時間加熱・還流した後、室温まで放冷し、Ir:Au=99.9:0.1(いずれも原子%)のIr−Auの金属ナノ粒子の分散液を得た。
実施例1:Ir−Auナノ粒子担持触媒の合成
工程1−1:室温下(25℃)で、ビーカーに担体粉末であるアルミナ−セリア−ジルコニア固溶体を入れ、水を約50mL加えて分散させた。
工程1−2:<合成例1>で得たナノ粒子分散液を300mLのビーカーに入れ、水を加えて約100mLに希釈した後、マグネチックスターラーで攪拌した。
工程1−3:工程1−2のナノ粒子分散液中に、工程1−1で得た分散液を加え、約150℃で加熱攪拌することにより分散媒を除去した。
工程1−4:120℃で12時間乾燥した後、乳鉢で粉砕し、空気中3時間500℃で焼成することにより、担持触媒粉末を得た。この粉末を98MPaで高圧成型することによりペレット状の試料を作製した。
実施例2〜7、参考例1
Ir:Au=99.5:0.5(実施例2),99:1(実施例3),97:3(実施例4),94:6(実施例5),92:8(実施例6),90:10(実施例7),85:15(参考例1)(いずれも原子%比)としたほかは、実施例1と同様の手順により、ペレット状の試料を作製した。
<合成例2:Irナノ粒子の合成>
0.021mmolのHAuClと0.679mmolのIrClの代わりに、IrCl(0.679mmol)を用いたほかは、<合成例1>と同様の手順により、Irのナノ粒子の分散液を得た。
比較例1〜8 Irナノ粒子+Au担持触媒(共含浸)の合成
実施例1の工程1−2において、<合成例2>で得たナノ粒子分散液を用い、さらにそれぞれ実施例1〜7および参考例1と同じIr:Auの組成比になるような量のHAuClを加えた以外は、実施例1と同様の手順により、比較例1〜8のペレット状の試料を作製した。
<測定>
STEM−EDX観察
試料溶液をエタノールで希釈し、モリブデングリッドに滴下後乾燥させたものを、STEM−EDX(メーカー名:日立製作所、型番:HD−2000)(加速電圧:200kV)を用いて観察した。
<合成例1>および<合成例2>で得られた粒子及び実施例1〜7および参考例1ならびに比較例1〜8の粒子を触媒担体に担持後の粒径はいずれも2nm以上、10nm未満であった。実施例の試料についてEDXによる組成分析を実施したところ、いずれの測定点1〜7においてもIrとAuが共存していることを示し、またこれらの測定点における組成を平均するとIrとAuの比率が94:6であることを確認した(図5)。
触媒活性評価
上記の方法で担持・焼成した触媒ペレットを2g用いて、試料ガスを、SV:200000h−1 総流量10L/minで流しながら、図6に示すように、λ=0.88のリッチ条件下で400℃まで昇温後、400℃の一定温度かつ(Oの濃度を0.01%/5秒の割合で増加させてスイープした)λ=0.88〜1.8の条件下において、A/F特性評価を実施した。この試料ガスの組成は、CO:0.65%,C;3000ppmC,NO;1500ppm,O;0.6%,CO;10%,HO;3%,N;Balance(いずれも体積%)であった。
図7に示すように、Ir−Auナノ粒子複合体を担持した触媒は、Irに対するAuの量が10原子%以下の範囲の場合に、高浄化率を示し(実施例1〜7)、10原子%を超えると浄化率が低下した(参考例1)。
一方、IrとAuとを担持した触媒は、約50%前後で推移し、浄化率は高くならなかった(比較例1〜8)。
以上のように、本発明に係る方法により製造した排ガス浄化装置によれば、IrとAuとを用いたNOx浄化用触媒によって、ストイキ雰囲気でもNOx浄化活性を有することから雰囲気を還元状態にするための燃料の使用が不必要になるか又は少なくとも大幅に低減することが可能となり、幅広い排ガス組成において高いNOx浄化性能を提供することができる。
1 担体
2 平均一次粒径2nm以上、10nm未満
3 Auの組成0.1〜10atom%
4 Irと酸化し難いAuとが原子レベルで複合
5 Auを介して酸素を脱離しIrの酸化を抑制して、触媒の高活性化を維持
6 保護剤
7 錯形成
8 還元
9 担持/焼成

Claims (1)

  1. イリジウムの金属塩および金の金属塩を含む金属塩溶液に、錯化剤を混合、還元処理を行って生成した微粒子を、触媒担体に担持させて、焼成することを含む、排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    該イリジウム:該金の比率が99.9原子%〜90原子%:0.1原子%〜10原子%である、方法。
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