JP2020131111A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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昂大 西尾
翔吾 白川
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翔吾 白川
真秀 三浦
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真秀 三浦
鈴木 宏昌
Hiromasa Suzuki
宏昌 鈴木
聖次 仲東
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聖次 仲東
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Abstract

【課題】最大酸素吸蔵量(Cmax)を維持しつつ、HCを効率よく浄化することができる排ガス浄化用触媒を提供する。【解決手段】本発明は、基材と該基材上にコートされている触媒コート層とを有する排ガス浄化用触媒であって、触媒コート層が、上流側コート層と、上流側コート層がコートされていない領域及び上流側コート層の上に設けられている下流側コート層とを有し、上流側コート層が、Ptを含み、下流側コート層が、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を含み、上流側コート層及び下流側コート層のコート幅が、それぞれ特定の範囲であり、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、排ガス浄化用触媒中の当該複合金属微粒子をSTEM−EDXで分析したときに、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率の平均及びRhとPdの合計に対するPdの原子百分率のばらつきに関する標準偏差が一定の値である排ガス浄化用触媒に関する。【選択図】図11

Description

本発明は、排ガス浄化用触媒に関する。
自動車等のための内燃機関、例えば、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、有害成分、例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、及び窒素酸化物(NOx)等が含まれている。
このため、一般的には、これらの有害成分を分解除去するための排ガス浄化装置が内燃機関に設けられており、この排ガス浄化装置内に取り付けられた排ガス浄化用触媒によってこれらの有害成分がほとんど無害化されている。このような排ガス浄化用触媒としては、例えば、三元触媒やNOx吸蔵還元触媒が知られている。
三元触媒は、ストイキ(理論空燃比)雰囲気でCO及びHCの酸化と、NOxの還元とを同時に行う触媒である。
また、NOx吸蔵還元触媒は、排ガス中のNOをリーン雰囲気でNOに酸化して吸蔵し、これをストイキ雰囲気及びリッチ雰囲気で窒素(N)に還元する触媒であり、リーン雰囲気、ストイキ雰囲気、及びリッチ雰囲気の排ガス成分の変化を巧妙に利用している。
しかしながら、これらの触媒を採用した場合でも、排ガスの浄化は未だに課題であり、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1は、1種又は2種以上の金属酸化物からなる多孔質担体に、貴金属又は貴金属酸化物からなる触媒粒子を担持してなる触媒において、前記触媒粒子は、第1の貴金属の原子が凝集してなるクラスター粒子と、前記クラスター粒子と結合する第2の貴金属のイオンとからなることを特徴とする触媒を開示している。
特許文献2は、基体と、シランモノマーが表面に結合し、前記シランモノマーと前記基体の表面との化学結合により前記基体に固定される無機微粒子と、前記無機微粒子の表面に担持された少なくとも2種類の触媒微粒子と、を有することを特徴とする複合化触媒担持体を開示している。
特許文献3は、白金担持ゼオライトを含む第一触媒を排気流れに対して前段に配置し、白金、パラジウム、ロジウム及びイリジウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の貴金属を、該選択された貴金属元素毎に担持したアルミナと、次の一般式
(La1−x1−aBO1−δ
(式中、0<x<1、0<a<0.2、0≦δ≦1、A=バリウム及び/又はカリウム、B=鉄、コバルト、ニッケル及びマンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種を示す)
で表される複合酸化物とを含む第二触媒を排気流れに対して後段に配置してなることを特徴とする排ガス浄化用触媒を開示しており、当該排ガス浄化用触媒には、第一触媒が、少なくとも2層からなり、下層に白金担持ゼオライトを含み、上層にロジウム及び/又はイリジウムを含む態様が含まれる。
特開2005−334690号公報 特開2010−5568号公報 特開平10−192713号公報
排ガス規制が厳しくなる中で、貴金属の中でもっとも浄化性能が高いRhの需要が高まっている。資源リスクやコストの観点から、PtやRhを有効に活用し、これらの貴金属の使用量を低減させることが求められる。
一方で、従来技術では、触媒活性と最大酸素吸蔵量(Cmax)とが背反する傾向がある。図1に、Ptを含む触媒コート層のコート幅と400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxとの関係を示す(本明細書における比較例6〜8を参照)。図1からもわかるように、触媒活性を向上させようとすると、Cmaxが低下する可能性があった。
したがって、PtやPdを高活性で活用しつつ、Cmaxを確保できるような要素技術を排ガス浄化用触媒に搭載できれば、規制対応及び貴金属低減に繋がることが期待できる。
そこで、本発明は、最大酸素吸蔵量(Cmax)を維持しつつ、HCを効率よく浄化することができる排ガス浄化用触媒を提供することを課題とする。
特開2016−198759号公報は、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子(本明細書等では、「Rh−Pd微粒子」ともいう)を有する排ガス浄化用触媒であって、排ガス浄化用触媒中の微粒子をSTEM−EDXで分析したときに、RhとPdの合計に対するPdの平均割合が、1.7原子%〜24.8原子%である排ガス浄化用触媒を開示している。
特開2016−198759号公報では、低温や酸化雰囲気下においてもRhが高活性な状態を維持するために、Rhよりも酸素親和性の低いPdに着目し、PdとRhとを複合化させることにより触媒活性を向上させている。
Rh−Pd微粒子における、RhとPdの合計に対するPdの最適量を確認するため、本発明者らは特開2016−198759号公報に記載の方法によるトレース実験を行った(本明細書における比較例1〜4を参照)。図2に、トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒における、出発原料溶液中のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率(本明細書等では、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率を「Pd組成」ともいう)とNOx50%浄化温度の関係を示す。
図2からも分かるように、トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒のRh−Pd微粒子では、出発原料溶液のPd組成が15原子%付近で、排ガス浄化用触媒は最大の触媒活性を示す。つまり、Rh−Pd微粒子の触媒活性は、Pdが少なすぎると、十分な活性が得られず、Pdが多すぎると、Rh単独微粒子のものより低下する。したがって、PdがRh−Pd微粒子中に適量含まれることにより、Rh−Pd微粒子の触媒活性は高くなると考えられる。
さらに、トレース実験により得られた出発原料溶液のPd組成が5原子%であるRh−Pd微粒子(本明細書の比較例2を参照)において、Rh−Pd微粒子におけるPd組成のばらつき(本明細書等では、Rh−Pd微粒子におけるPd組成のばらつきを「Pd組成のばらつき」ともいう)を測定した。その結果、得られたRh−Pd微粒子では、Pd組成のばらつきが大きくなることがわかった。図3に、トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒における、Rh−Pd微粒子の各測定点とRh−Pd微粒子のPd組成の関係を示す。
トレース実験により得られたRh−Pd微粒子において、Pd組成のばらつきが大きくなるのは、Rh−Pd微粒子においてRhとPdが均一に分散していないこと、さらに特開2016−198759号公報の方法では複合化の度合いが十分でないため、Rh−Pd微粒子におけるRhとPdの複合化を十分に行うために過剰量のPdを仕込む必要があることが考えられる。Rh−Pd微粒子においてRhとPdが均一に分散しておらず、さらに過剰量のPdが存在することにより、Rh−Pd微粒子には、高活性のPdを適量含むRh−Pd微粒子の他に、活性の低い、Rh単独微粒子、RhリッチのRh−Pd微粒子及びPdリッチのRh−Pd微粒子が混在していると考えられる。図4に、トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒における、Rh−Pd微粒子の模式図を示す。
以上により、特開2016−198759号公報では、排ガス浄化用触媒における各Rh−Pd微粒子が狙ったPd組成からばらついており、所望のNOx浄化性能を示す排ガス浄化用触媒が効率よく得られていない可能性があった。
したがって、特開2016−198759号公報では、Rh−Pd微粒子を、Pd組成のばらつきが小さくなるように製造することが求められる。
Pd組成のばらつきを小さくするためには、Rh−Pd微粒子の生成時に超撹拌によるせん断応力を加えることが考えられる。
例えば、特開2013−103143号公報は、排ガス中のCOを浄化するためのCoとCeOとを含む複合触媒の製造方法において、出発原料及び中和剤の混合溶液に超撹拌によるせん断応力を加えることで、活性種であるCoとCeOとがナノレベルで混合した状態を生成できることを開示している。
国際公開第2013/108424号は、コバルト塩及び銅塩と中和剤との混合溶液に超撹拌によるせん断応力を加えることで、均一な複合酸化物の形成を促進させることができることを開示している。
そこで、本発明者らは、Rh−Pd微粒子を、Pd組成のばらつきが小さくなるように製造するための手段を種々検討した結果、Rh−Pd微粒子の製造方法において、(i)RhとPdの合計に対するPdの割合が、一定の範囲になるように出発原料溶液を調製し、(ii)(i)で調製した出発原料溶液と中和剤とを、特定の回転数で回転する超撹拌リアクターにより撹拌することによって、Pd組成のばらつきを小さくでき、その結果、複合金属微粒子においてRhとPdの複合化率が向上し、少ないPd添加量でも、高活性な触媒を得ることができることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、基材と該基材上にコートされている触媒コート層とを有する排ガス浄化用触媒において、排ガス浄化用触媒における触媒コート層の排ガス流れ方向に対して上流側の領域がPtを含み、排ガス浄化用触媒における触媒コート層の排ガス流れ方向に対して下流側の領域が前記(i)及び(ii)のステップを含む製造方法により得られたRh−Pd微粒子を含むことによって、最大酸素吸蔵量(Cmax)を維持しつつ、HCを効率よく浄化することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)基材と該基材上にコートされている触媒コート層とを有する排ガス浄化用触媒であって、
触媒コート層が、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側の端部から形成されている上流側コート層と、上流側コート層がコートされていない領域及び上流側コート層の上に設けられている排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して下流側の端部から形成されている下流側コート層とを有し、
上流側コート層が、Ptを含み、
下流側コート層が、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を含み、
上流側コート層のコート幅が、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、20%〜70%であり、
下流側コート層のコート幅が、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、75%〜100%であり、
Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、排ガス浄化用触媒中の当該複合金属微粒子をSTEM−EDXで分析したときに、
RhとPdの合計に対するPdの原子百分率の平均
(ここで、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率の平均は、排ガス浄化用触媒から10個以上のRh及びPdを含有している複合金属微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率を総計し、この総計を選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子の総個数で除することによって、算出される値である)
が、1原子%〜15原子%であり、
RhとPdの合計に対するPdの原子百分率のばらつきに関する標準偏差
(ここで、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率のばらつきに関する標準偏差は、排ガス浄化用触媒から20個以上のRh及びPdを含有している複合金属微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率を計算し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子の数を総数として、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率から算出される)
が、5未満である
排ガス浄化用触媒。
本発明によって、最大酸素吸蔵量(Cmax)を維持しつつ、HCを効率よく浄化することができる排ガス浄化用触媒が提供される。
Ptを含む触媒コート層のコート幅と400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxとの関係を示す図である。 トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒(比較例1〜4)における、出発原料溶液のPd組成とNOx50%浄化温度の関係を示す。 トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒(比較例2)における、Rh−Pd微粒子の各測定点とRh−Pd微粒子のPd組成の関係を示す。 トレース実験により得られた排ガス浄化用触媒における、Rh−Pd微粒子の模式図を示す。 本発明の触媒コート層の一実施形態を模式的に示す図である。 活性評価における時間と温度の関係を示す。 比較例1〜5及び実施例1〜5の排ガス浄化用触媒における、出発原料溶液のPd組成とNOx50%浄化温度の関係を示す。 比較例2及び実施例3の排ガス浄化用触媒における、Rh−Pd微粒子の各測定点とRh−Pd微粒子のPd組成の関係を示す。 比較例2、実施例3、実施例3−2及び実施例3−3の排ガス浄化用触媒における、Pd組成のばらつきに関する標準偏差とNOx50%浄化温度の関係を示す。 Rh−Pd系の二元状態図を示す。 (a)実施例6、7及び比較例9における上流側コート層のコート幅と400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxとの関係、並びに(b)比較例6〜8における上流側コート層のコート幅と400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxとの関係を示す図である。 実施例6と比較例7、10及び11の600℃でのCmax及び400℃でのHC浄化率を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の排ガス浄化用触媒は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本発明は、基材と該基材上にコートされている触媒コート層とを有する排ガス浄化用触媒であって、触媒コート層が、上流側コート層と、上流側コート層がコートされていない領域及び上流側コート層の上に設けられている下流側コート層とを有し、上流側コート層が、Ptを含み、下流側コート層が、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を含み、上流側コート層及び下流側コート層のコート幅が、それぞれ特定の範囲であり、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、排ガス浄化用触媒中の当該複合金属微粒子をSTEM−EDXで分析したときに、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率の平均及びRhとPdの合計に対するPdの原子百分率のばらつきに関する標準偏差が一定の値である排ガス浄化用触媒に関する。
(基材)
基材としては、公知のハニカム形状を有する基材を使用することができ、具体的には、ハニカム形状のモノリス基材(ハニカムフィルタ、高密度ハニカム等)等が好適に採用される。また、このような基材の材質も特に制限されず、コージェライト、炭化ケイ素、シリカ、アルミナ、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。これらの中でも、コストの観点から、コージェライトであることが好ましい。
(触媒コート層)
触媒コート層は、上流側コート層と、上流側コート層がコートされていない領域及び上流側コート層の上に設けられている下流側コート層とを少なくとも有する。
上流側コート層は、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側(排ガスが流入する側)の端部から形成されており、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、20%〜70%、好ましくは22%〜60%の範囲である。
下流側コート層は、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して下流側(排ガスが流出する側)の端部から形成されており、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、75%〜100%、好ましくは80%〜100%の範囲である。
上流側コート層及び下流側コート層は、互いに重なり合う領域を有しており、下流側コート層は、上流側コート層の上に設けられている。
上流側コート層及び下流側コート層の互いに重なり合う領域のラップ幅は、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、通常0%〜80%、好ましくは5%〜40%の範囲である。
図5に、本発明における触媒コート層の一実施形態を模式的に示す。
触媒コート層は、最上層において上流側コート層と、上流側コート層がコートされていない領域及び上流側コート層の上に設けられている下流側コート層とを含む限り、上流側コート層と、下流側コート層とからなる層のみからなるものであっても、あるいは、上流側コート層と、下流側コート層とからなる層の下に、一層以上、すなわち一層、二層、三層、又は四層以上の層を有していてもよい。最上層よりも下の触媒コート層の組成及び構造は特に限定されず、上流側コート層及び/又は下流側コート層と同様のものであっても、あるいは、いずれとも異なるものであってもよい。さらに、最上層よりも下の触媒コート層は必ずしも排ガス浄化用触媒の基材全体に渡って均一でなくてもよく、最上層のように排ガス流れ方向に対して上流側と下流側で領域ごとに異なる組成及び構造を有していてもよい。
(上流側コート層)
上流側コート層は、Ptを含む。
上流側コート層中のPtの量は、限定されないが、金属換算で、基材1Lに対して、通常0.1g〜1.0g、好ましくは0.15g〜0.70gである。Ptを前記の量含むことによって、十分な触媒活性を得ることができ、Ptを加えすぎることによるコスト上昇も抑えることができる。
Ptは、そのままでも触媒としての機能を発揮するが、粉末担体に担持されていることが好ましい。
Ptが担持される粉末担体は、限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に粉末担体として用いられる任意の金属酸化物でよい。
したがって、上流側コート層は、粉末担体をさらに含んでいてもよい。粉末担体としては、金属酸化物、例えば、シリカ(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、イットリア(Y)、酸化ネオジム(Nd)及びそれらの複合酸化物や固溶体、並びにそれらの二種以上の組み合わせ等が挙げられる。
例えば、CeOは、リーン雰囲気で酸素を吸蔵し、リッチ雰囲気で酸素を放出するOSC(Oxygen Storage Capacity)特性を有するため、排ガス浄化用触媒内をストイキ雰囲気に保つことができ、Al、ZrO、他の金属酸化物は、添加することにより担体の耐久性を高めることができる。
前記の粉末担体の特性によれば、選択した粉末担体の種類、組成、組み合わせとその比率、及び/又は量によって、本発明の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化能、特に、HC浄化能が向上する可能性があることを理解されたい。
Ptがこの粉末担体に担持されている場合には、粉末担体の比表面積が大きいことから、排ガスとPtとの接触面を大きくすることができる。これにより、排ガス浄化用触媒の性能を向上させることができる。
Ptの粉末担体への担持方法は、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に用いられる方法を使用することができる。
なお、金属酸化物は、Ptを担持することなく上流側コート層中に含まれていてもよい。
上流側コート層中の粉末担体(Ptを担持していない金属酸化物を含む)の総重量は、限定されないが、基材1Lに対して、通常5g〜200g、好ましくは10g〜150gである。
上流側コート層のコート量は、限定されないが、基材1Lに対して、通常10g〜600g、好ましくは20g〜400gである。
上流側コート層の厚さは、限定されないが、平均の厚さで、通常2μm〜100μm、好ましくは5μm〜60μmである。
上流側コート層中の各材料の量及び上流側コート層の厚さが前記範囲になることにより、排ガス浄化用触媒における圧力損失と触媒性能と耐久性のバランスを良好に保つことができる。
(下流側コート層)
下流側コート層は、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を含む。
下流側コート層に含まれる複合金属微粒子は、Rh及びPdを含有しており、排ガス浄化用触媒中のRh及びPdを含有している複合金属微粒子をSTEM−EDXで分析したときのPd組成の平均は、1原子%〜15原子%、好ましくは2原子%〜5原子%である。なお、以下で説明される複合金属微粒子の製造時に使用される出発原料溶液のPd組成と、複合金属微粒子のPd組成とは、通常、ほぼ同じ値になる。
ここで、排ガス浄化用触媒中のRh及びPdを含有している複合金属微粒子をSTEM−EDXで分析したときのPd組成の平均は、排ガス浄化用触媒から10個以上、100個以上、1000個以上のRh及びPdを含有している複合金属微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率を総計し、この総計を選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒の総個数で除することによって、算出される値である。
また、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、Pd組成のばらつきが小さく、Pd組成のばらつきに関する標準偏差は、5未満、好ましくは4未満である。
ここで、Pd組成のばらつきに関する標準偏差は、排ガス浄化用触媒から20個以上、100個以上、又は1000個以上のRh及びPdを含有している複合金属微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率を計算し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子の数を総数として、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率から算出される。
なお、排ガス浄化用触媒中に、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子以外の微粒子が含まれる場合には、排ガス浄化用触媒中の微粒子をSTEM−EDXで分析することにより、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子以外の微粒子とRh及びPdを含有している複合金属微粒子とを判別することができる。
Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、PdがRhの酸化を抑制するため、長時間にわたってRhのメタル状態を維持することが可能である。これによって、従来、Rhが酸化され易い環境の条件下、例えば、気体組成、圧力、及び温度等の条件下であっても、Rhの触媒活性を維持又は向上させ、かつRhを適切な量で使用することが可能である。
また、Pd自体も高い排ガス浄化能を有するため、結果的に、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子は、これら2種の金属元素によって、相乗的な排ガス浄化効果を発揮できる。
さらに、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、Rh及びPdが、複合金属微粒子中に均質に分散しているため、Pd組成のばらつきが小さい。その結果、複合金属微粒子においてRhとPdの複合化率が向上し、少ないPd添加量でも、得られる複合金属微粒子は、高い活性、すなわち、向上したNOx浄化性能を達成することができる。
Rh及びPdを含有している複合金属微粒子の平均粒径は、限定されないが、通常1nm〜10nm、好ましくは2nm〜5nmである。
ここで、本発明において「平均粒径」とは、特に断りのない限り、走査透過電子顕微鏡(STEM)等の手段を用いて、無作為に選択した10個以上の粒子の円相当径(Heywood径)を測定した場合のそれらの測定値の算術平均値をいうものである。
複合金属微粒子の平均粒径が前記範囲であることにより、排ガス浄化用触媒のNOx浄化能を十分に発揮できる。
下流側コート層中のRh及びPdを含有している複合金属微粒子の量は、限定されないが、Rh金属換算で、基材1Lに対して、通常0.1g〜1.0g、好ましくは0.15g〜0.50gである。
Rh及びPdを含有している複合金属微粒子は、そのままでも排ガス浄化用触媒として機能するが、本発明の排ガス浄化用触媒に任意選択的に含まれる粉末担体に担持されていることが好ましい。
複合金属微粒子が担持される粉末担体は、特に限定されないが、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に粉末担体として用いられる任意の金属酸化物でよい。
したがって、下流側コート層は、粉末担体をさらに含んでいてもよい。粉末担体としては、金属酸化物、例えば、シリカ(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、イットリア(Y)、酸化ネオジム(Nd)及びそれらの固溶体、並びにそれらの二種以上の組み合わせ等が挙げられる。
酸性担体、例えば、SiOでは、NOxを還元する触媒金属との相性がよい。塩基性担体、例えば、MgOでは、NOxを吸蔵するKやBaとの相性がよい。ZrOは、他の粉末担体がシンタリングを生じるような高温下において、当該他の粉末担体のシンタリングを抑制し、かつ触媒金属としてのRhと組み合わせることによって、水蒸気改質反応を生じてHを生成し、NOxの還元を効率よく行うことができる。CeOは、リーン雰囲気で酸素を吸蔵し、リッチ雰囲気で酸素を放出するOSC(Oxygen Storage Capacity)特性を有し、したがって、これを三元触媒等で好適に用いることができる。酸塩基両性担体、例えば、Alは高い比表面積を有するため、これをNOxの吸蔵及び還元を効率よく行うのに用いることができる。TiOは、触媒金属の硫黄被毒を抑制する効果を発揮することができる。
前記の粉末担体の特性によれば、選択した粉末担体の種類、組成、組み合わせとその比率、及び/又は量によって、本発明の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化能、特に、NOx浄化能が向上する可能性があることを理解されたい。
複合金属微粒子がこの粉末担体に担持されている場合には、粉末担体の比表面積が大きいことから、排ガスと複合金属微粒子との接触面を大きくすることができる。これにより、排ガス浄化用触媒の性能を向上させることができる。
複合金属微粒子の粉末担体への担持方法は、排ガス浄化用触媒の技術分野において一般に用いられる方法を使用することができる。
なお、金属酸化物は、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を担持することなく下流側コート層中に含まれていてもよい。
下流側コート層中の担体粉末(Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を担持していない金属酸化物を含む)の総重量は、限定されないが、基材1Lに対して、通常5g〜200g、好ましくは10g〜150gである。
下流側コート層のコート量は、限定されないが、基材1Lに対して、通常10g〜600g、好ましくは20g〜400gである。
下流側コート層の厚さは、限定されないが、平均の厚さで、通常2μm〜100μm、好ましくは5μm〜60μmである。
下流側コート層中の各材料の量及び下流側コート層の厚さが前記範囲になることにより、排ガス浄化用触媒における圧力損失と触媒性能と耐久性のバランスを良好に保つことができる。
(Rh及びPdを含有している複合金属微粒子の製造方法)
Rh及びPdを含有している複合金属微粒子は、RhとPdとを含み、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率が、一定の範囲である出発原料溶液を調製すること、及び調製した出発原料溶液と中和剤とを特定の回転数で回転する超撹拌リアクターによって反応させて、複合金属微粒子を生成することを含む方法により調製することができる。
以下において、出発原料溶液の調製を(i)のステップとし、超撹拌リアクターによる反応を(ii)のステップとして、各ステップについて説明する。
(i)RhとPdとを含み、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率が、一定の範囲である出発原料溶液を調製するステップ
本発明の(i)のステップでは、RhとPdとを含み、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率(=Pdの原子数/(RhとPdの合計原子数)×100)が、1原子%〜15原子%、好ましくは2原子%〜5原子%である出発原料溶液を調製する。
Pd組成が、従来技術よりも小さい前記範囲であっても、本発明により複合金属微粒子におけるRhとPdの複合化率は向上されるので、複合金属微粒子は、高い活性、すなわち、向上したNOx浄化性能を達成することができる。
出発原料溶液は、Rhの原料及びPdの原料を含む。
出発原料溶液に含まれるRhの原料としては、出発原料溶液にイオンとして溶解することができる原料であり、限定されないが、Rhの塩及びRhハロゲン化物等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。Rhの原料としては、Rhの無機塩、例えば、硝酸塩、リン酸塩、及び硫酸塩等;Rhの有機酸塩、例えば、シュウ酸塩及び酢酸塩等;Rhのハロゲン化物、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物等;並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。出発原料溶液に含まれるRhの原料としては、硝酸Rh溶液が好ましい。
出発原料溶液に含まれるPdの原料としては、前記のRhイオンの原料の記載を参照することができる。出発原料溶液に含まれるPdの原料としては、硝酸Pd溶液が好ましい。
出発原料溶液におけるRhイオン及びPdイオンの濃度は、Pd組成が前記範囲になる限り、限定されない。Rhイオンの濃度としては、それらの総イオン濃度が、出発原料溶液に対して、通常0.01M(mol/L)〜1M、好ましくは0.03M〜0.5Mである。Pdイオンの濃度としては、それらの総イオン濃度が、出発原料溶液に対して、通常0.1mM〜50mM、好ましくは0.5mM〜25mMである。
出発原料溶液は、さらなる溶媒を含むことができる。溶媒としては、限定されないが、Rhの原料及びPdの原料に用いられる溶媒、例えば水、有機溶媒、例えばアルコールが挙げられる。出発原料溶液に含まれる溶媒としては、水が好ましい。
また、出発原料溶液は、保護剤を含むことができる。保護剤は、複合金属微粒子同士の過度な凝集を防止し、複合金属微粒子を溶液中に適度に分散させることができる。したがって、保護剤は、略均一なナノサイズの複数の複合金属微粒子を、排ガス触媒中に適度に分散させることができる。
保護剤としては、限定されないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンK25(PVP−K25)、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリ(N−カルボキシメチル)アリルアミン、ポリ(N,N−ジカルボキシメチル)アリルアミン、アリルアミン、及びポリ(N−カルボキシメチル)エチレンイミン等、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。この中でも、溶解度の高さの観点から、PVPが好ましい。
保護剤の濃度としては、金属微粒子同士の凝集を防止することができれば、限定されない。保護剤の濃度としては、例えば、Rh及びPdの合計原子数に対して、1倍〜1000倍の原子数、1倍〜500倍の原子数、及び1倍〜100倍の原子数を挙げることができる。ここで、保護剤がPVP等のポリマーである場合には、保護剤の原子数とは、そのモノマー単位の原子数を意味する。
本発明の(i)のステップでは、Rhの原料と、Pdの原料と、場合によりさらなる溶媒と、場合により保護剤との混合順序、混合温度、混合方法、混合時間等は限定されず、それらの原料が均質に混ざり合うように混合される。
(ii)出発原料溶液と中和剤とを超撹拌リアクターによって反応させて、複合金属微粒子を生成するステップ
本発明の(ii)のステップでは、(i)で調製した出発原料溶液と中和剤とを回転数が500rpm以上である超撹拌リアクターによって反応させて、複合金属微粒子を生成する。
ここで、中和剤とは、出発原料溶液において、Rhイオン及びPdイオンを水酸化して複合金属微粒子を生成するのに用いることができる。また、中和剤は、任意選択的に溶媒としての機能を有してもよい。
中和剤としては、限定されないが、有機塩基、例えば第四級アンモニウムヒドロキシド、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、無機塩基、例えばアンモニア、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。中和剤としては、有機塩基が好ましく、特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。中和剤として有機塩基を使用することにより、有機塩基が、保護剤としての役割を果たすことができる。
中和剤の量としては、限定されないが、Rh及びPdの合計原子数に対して、1倍〜100000倍の原子数、1倍〜50000倍の原子数、1倍〜10000倍の原子数を挙げることができる。
また、中和剤は、さらなる溶媒を含むことができる。溶媒としては、限定されないが、出発原料溶液に用いられる溶媒、例えば水、有機溶媒、例えばアルコールが挙げられる。さらなる溶媒としては、水が好ましい。
中和剤が溶媒を含む場合、中和剤の濃度は、限定されないが、中和剤を含む溶液に対して通常0.05M〜5M、好ましくは0.5M〜2.5Mである。
本発明において、超撹拌リアクター(SA(Super Agitation)リアクター)とは、高速回転で撹拌する撹拌機により対象となる溶液に大きなせん断応力を加えることができる撹拌装置を備えた反応器である。本発明では、超撹拌リアクターの回転数は、500rpm以上、好ましくは1000rpm以上である。超撹拌リアクターの回転数の上限値は、出発原料溶液と中和剤とに一定以上の回転数から得られるせん断応力を加えるという発明の本質上、限定されない。超撹拌リアクターの回転数は、好ましくは1000rpm〜40000rpm、より好ましくは5000rpm〜10000rpm、さらにより好ましくは7000rpm〜9000rpmである。
超撹拌リアクターとしては、例えばエム・テクニック社製「ULREA(登録商標)」等が挙げられる。超撹拌リアクターとしてエム・テクニック社製「ULREA(登録商標)」を使用する場合には、回転数が1000rpmでも効果があることが確認されている。
出発原料溶液と中和剤との超撹拌リアクターによる反応は、出発原料溶液と中和剤とを、別々に、超撹拌リアクター中、好ましくは、高速回転で撹拌する撹拌機付近に送液することによって実施される。これにより、出発原料溶液と中和剤は、撹拌機が高速回転している超撹拌リアクター中で初めて混合され、反応が開始される。送液の際、超撹拌リアクター中には、溶媒、例えば出発原料溶液に用いられる溶媒と同じ溶媒が存在することが好ましい。
出発原料溶液と中和剤との超撹拌リアクターによる反応は、バッチ式でも、連続式でも実施することができる。出発原料溶液と中和剤との超撹拌リアクターによる反応は、連続式で実施することが好ましい。
出発原料溶液及び中和剤の送液速度は、限定されないが、通常10ml/分〜100ml/分、好ましくは30ml/分〜60ml/分である。出発原料溶液及び中和剤の送液速度は、それぞれ同じであっても、異なってもよい。
本発明における反応温度は、限定されないが、通常30℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃である。
出発原料溶液と中和剤とを前記回転数で回転する超撹拌リアクター中で反応させることによって、出発原料溶液と中和剤とがナノレベルで反応でき、得られる複合金属微粒子のPd組成のばらつきが小さくなる。その結果、複合金属微粒子においてRhとPdの複合化率が向上し、少ないPd添加量でも、得られる複合金属微粒子は、高い活性、すなわち、向上したNOx浄化性能を達成することができる。
Rh及びPdを含有している複合金属微粒子は、その後必要に応じて、熟成、ろ過、洗浄、乾燥される。
(排ガス浄化用触媒の製造方法)
本発明の排ガス浄化用触媒は、前記で説明した排ガス浄化用触媒の構成成分を使用すること以外は、公知のコーティング技術を使用して製造することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒は、例えば、以下のように製造することができる。まず、基材上において上流側コート層を形成させる領域に、Pt、溶媒(例えば水、アルコール、水とアルコールの混合物等)及び場合により担体粉末、添加剤(バインダー)等を含む上流側コート層用の触媒コート層スラリーをウォッシュコート法により被覆する。ここで、基材上において上流側コート層を形成させる領域以外はマスキングしてもよい。余分なスラリーをブロアー等で吹き払った後、例えば、大気中、100℃〜150℃で1時間〜3時間乾燥して溶媒分を除去し、大気中、450℃〜550℃で1時間〜3時間焼成を行い、上流側コート層を形成させる。続いて、上流側コート層を形成させた基材上において下流側コート層を形成させる領域に、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子、溶媒(例えば水、アルコール、水とアルコールの混合物等)及び場合により担体粉末、添加剤等を含む下流側コート層用の触媒コート層スラリーをウォッシュコート法により被覆する。ここで、上流側コート層を形成させた基材上において下流側コート層を形成させる領域以外はマスキングしてもよい。余分なスラリーをブロアー等で吹き払った後、例えば、大気中、100℃〜150℃で1時間〜3時間乾燥して溶媒分を除去し、大気中、450℃〜550℃で1時間〜3時間焼成を行い、下流側コート層を形成させる。
(排ガス浄化用触媒の用途)
本発明の排ガス浄化用触媒は、ガソリンエンジンを代表とする内燃機関から排出されるNOx及びHCの排ガス浄化用触媒として使用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例につき説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
I.Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を有する排ガス浄化用触媒の性能確認実験
I−1.排ガス浄化用触媒の調製
以下の比較例1〜5及び実施例1〜5では、使用する触媒金属の全体のモル量が同じになるようにした。すなわち、Pdを含まない比較例1及び5では、Rhの量を0.2重量%とし、比較例2〜4及び実施例1〜5では、Rhの量から、それぞれ添加したPdのモル量と同じモル量のRhを減ずることにより、全体の金属モル量を合わせた。
比較例1
(1)31.1mmolのPVP−K25(ナカライテスク製)を、適切なサイズの撹拌子を入れた500mlセパラブルフラスコに量り取り、1−プロパノールを150ml加えて、撹拌しながら溶解させた。
(2)塩化Pd溶液及び塩化Rh溶液を各々100mlビーカーに総貴金属量で1.56mmol量り取り、各々蒸留水を5ml加え、合液させ、出発原料溶液を調製した。ここで、塩化Pd溶液と塩化Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=100:0となるように量り取った。
(3)(2)の出発原料溶液を(1)の溶液に加えて、撹拌させた。
(4)追加の1−プロパノール(約150ml)で、(2)の溶液を洗いながら加えて混合撹拌した。
(5)前記の500mlセパラブルフラスコを、オイルバスにて、Nバブリングさせながら加熱還流させた(オイルバス温度:102℃)。ここで、還流が起こることを確認した。
(6)1.5時間後、反応溶液を撹拌しながら室温まで冷却した。
(7)500mlビーカーにAl−CeO−ZrO担体粉体(Al:CeO:ZrO=30:30:40(重量比))を80g量り取った。
(8)(7)の担体に(6)の溶液を加え、湯せんで蒸発乾固させた。
(9)乾燥炉で、1晩乾燥後、粉砕して500℃で2時間焼成した。
(10)焼成炉からサンプルを取り出し、粉が粗ければそれぞれ乳鉢に入れて乳棒ですり潰した。
(11)CIP(冷間等方圧加工法)用の袋に入れて真空パックした。このとき、CIP用の袋に油性ペンでサンプル名を記載した。
(12)全てのサンプルをCIP(1トン/cm)で固めた。
(13)固めたサンプルをふるいの中に入れて、乳棒で叩いてペレット化し、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例2
比較例1の(2)において、塩化Pd溶液と塩化Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=95:5となるように量り取ったこと以外は、比較例1と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例3
比較例1の(2)において、塩化Pd溶液と塩化Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=85:15となるように量り取ったこと以外は、比較例1と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例4
比較例1の(2)において、塩化Pd溶液と塩化Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=70:30となるように量り取ったこと以外は、比較例1と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例5
(1)硝酸Pd溶液、硝酸Rh溶液をそれぞれ50mlビーカー(A)に総貴金属量で1.56mmol量り取り、純水で希釈して30mlとし、撹拌することで、出発原料溶液を調製した。ここで、硝酸Pd溶液と硝酸Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=100:0となるように量り取った。
(2)50mlビーカー(B)に中和剤として20%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を30ml量り取った。
(3)高速回転する撹拌機によって超撹拌によるせん断応力を混合水溶液に加え得る撹拌装置付の反応器(超撹拌リアクター)を組み立てた。
(4)300mlビーカーに150mlの水を添加し、超撹拌リアクターにセットした。約70℃まで加熱して撹拌しておいた。
(5)8000rpmの回転数で超撹拌リアクターを撹拌しながら、(A)と(B)から出発原料溶液と中和剤とを送液し、出発原料溶液及び中和剤を反応させた。超撹拌リアクターの送液速度は5ml/分であった。
(6)送液終了後、70℃のまま、30分間ホットスターラーで撹拌した。その後、室温まで冷却した。
(7)500mlビーカーにAl−CeO−ZrO担体粉体(Al:CeO:ZrO=30:30:40(重量比))を80g量り取った。
(8)(7)の担体に(6)の溶液を加え、湯せんで蒸発乾固させた。
(9)乾燥炉で、1晩乾燥後、粉砕して500℃で2時間焼成した。
(10)焼成炉からサンプルを取り出し、粉が粗ければそれぞれ乳鉢に入れて乳棒ですり潰した。
(11)CIP(冷間等方圧加工法)用の袋に入れて真空パックした。このとき、CIP用の袋に油性ペンでサンプル名を記載した。
(12)全てのサンプルをCIP(1トン/cm)で固めた。
(13)固めたサンプルをふるいの中に入れて、乳棒で叩いてペレット化し、排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例1
比較例5の(1)において、硝酸Pd溶液と硝酸Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=99:1となるように量り取ったこと以外は、比較例5と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例2
比較例5の(1)において、硝酸Pd溶液と硝酸Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=97:3となるように量り取ったこと以外は、比較例5と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例3
比較例5の(1)において、硝酸Pd溶液と硝酸Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=95:5となるように量り取ったこと以外は、比較例5と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
また、サンプル数を増やす目的で、実施例3と同じ手順でさらに2回排ガス浄化用触媒を調製し、それぞれ、実施例3−2及び実施例3−3とした。
実施例4
比較例5の(1)において、硝酸Pd溶液と硝酸Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=90:10となるように量り取ったこと以外は、比較例5と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例5
比較例5の(1)において、硝酸Pd溶液と硝酸Rh溶液を、モル比で、Rh:Pd=85:15となるように量り取ったこと以外は、比較例5と同じ手順で排ガス浄化用触媒を調製した。
I−2.排ガス浄化用触媒の評価
I−2−1.3way活性評価
ペレット状の排ガス浄化用触媒2gを用いて、流通式反応炉により活性を評価した。表1に記載の混合ガスを15L/分で流通させ、多成分分析計で各ガスの転化挙動を分析し、NOx浄化率を評価した。活性評価中の昇温速度は、20℃/分とし、100℃〜600℃までの昇温活性を測定した。図6に、活性評価における時間と温度の関係を示す。
Figure 2020131111
活性評価の結果について、表2及び図7に、比較例1〜5及び実施例1〜5の排ガス浄化用触媒における、出発原料溶液のPd組成とNOx50%浄化温度の関係を示す。
Figure 2020131111
表2及び図7より、実施例のNOx50%浄化温度は、比較例のものよりも低く、実施例のNOx浄化性能は、比較例のものよりも向上されている。さらに、実施例の最適なPd組成は、2原子%〜5原子%であり、比較例の最適なPd組成よりも小さい。この結果は、実施例の排ガス浄化用触媒中のRh−Pd微粒子のRhとPdの複合化率が比較例のものよりも高くなっているためと考えられる。
I−2−2.Pd組成のばらつき評価
出発原料溶液のPd組成が5原子%である比較例2及び実施例3について、以下の手順により、Pd組成のばらつきに関する標準偏差を算出した。
Pd組成のばらつきに関する標準偏差の算出方法
排ガス浄化用触媒から20個のRh−Pd微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh−Pd微粒子をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh−Pd微粒子(測定点)のPd組成を計算し、20個を総数として、各Rh−Pd微粒子のPd組成から算出した。
図8に、比較例2及び実施例3の排ガス浄化用触媒における、Rh−Pd微粒子の各測定点とRh−Pd微粒子のPd組成の関係を示す。
図8より、比較例2と実施例3の排ガス浄化用触媒における、出発原料溶液のPd組成は同じ5原子%であるにも関わらず、実施例3のPd組成のばらつきは、比較例2のPd組成のばらつきよりも小さかった。実施例3のPd組成のばらつきに関する標準偏差は2.5であるのに対し、比較例2のPd組成のばらつきに関する標準偏差は7.9であった。
さらに、実施例3−2及び実施例3−3も同様に、I−2−1.3way活性評価及びI−2−2.Pd組成のばらつき評価を実施した。
図9に、比較例2、実施例3、実施例3−2及び実施例3−3の排ガス浄化用触媒における、Pd組成のばらつきに関する標準偏差とNOx50%浄化温度の関係を示す。
図9より、Pd組成のばらつきに関する標準偏差が5未満であれば、比較例2に対して、触媒活性の差が明確に現れていた。
Rh−Pd系の二元状態図(図10)から考察すると、固溶(複合化)し易い領域は、Pdが5原子%未満の領域であり、この範囲において、Pd組成がよりシャープなRh−Pd微粒子が調製できたと考えられる。この結果、実施例の排ガス浄化用触媒は、比較例と比較して、高いNOx浄化性能を発現したと考えられる。
II.本発明の排ガス浄化用触媒の性能確認実験
II−1.使用材料
材料1(Al
:4重量%−La複合化Al
材料2(ZC)
:21重量%−CeO、72重量%−ZrO、1.7重量%−La、5.3重量%−Y複合化酸化物
材料3(ZC)
:30重量%−CeO、60重量%−ZrO、5重量%−La、5重量%−Y複合化酸化物
材料4(ZrO
:6重量%−La、10重量%−Y複合化ZrO
材料5(Pt/Al
:硝酸白金を材料1に担持させた材料
(排ガス浄化用触媒において、Ptの量は、金属換算で、基材1Lに対して、0.45gになるように調節した。)
材料6(Rh−Pd微粒子の分散液)
:実施例2の(6)のステップで得られた分散液(Rh:Pd=97:3(原子比))
材料7(Rh/ZrO
:硝酸ロジウムを材料4に担持させた材料
(排ガス浄化用触媒において、Rhの量は、金属換算で、基材1Lに対して、0.40gになるように調節した。)
材料8(Rh−Pd/ZrO
:材料6を材料4に担持させた材料
(排ガス浄化用触媒において、Rhの量は、金属換算で、基材1Lに対して、0.388gになるように調節し、Pdの量は、金属換算で、基材1Lに対して、0.012gになるように調節した。)
材料9(逐次担持Rh−Pd/ZrO
:硝酸ロジウム、硝酸パラジウムを材料4に逐次担持させた材料
(排ガス浄化用触媒において、Rhの量は、金属換算で、基材1Lに対して、0.388gになるように調節し、Pdの量は、金属換算で、基材1Lに対して、0.012gになるように調節した。)
基材
:875cc(400セル四角 壁厚4mil)のコージェライトハニカム基材
II−2.排ガス浄化用触媒の調製
実施例6
最初に、蒸留水に、撹拌しながら、材料2、材料5、Al系バインダーを投入し、懸濁したスラリー1を調製した。
次に、調製したスラリー1を基材に流し込み、ブロアーで不要分を吹き払うことで、基材壁面に材料をコーティングし、上流側コート層の前駆体層を調製した。その際に、材料2が、基材1Lに対して、40g(40g/L)になり、材料5が、基材1Lに対して、30g(30g/L)になるようにした。また、上流側コート層の前駆体層のコート幅は、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側の端部から、排ガス浄化用触媒における基材の全長の60%を占めるように調整した。
最後に、120℃に保たれた乾燥機で、2時間水分を飛ばした後、500℃に保たれた電気炉で、2時間の焼成を行い、上流側コート層(前部)を調製した。
続いて、前記同様に、蒸留水に、撹拌しながら、材料1、材料3、材料8、Al系バインダーを投入し、懸濁したスラリー2を調製した。
次に、調製したスラリー2を、上流側コート層を形成させた基材に、上流側コート層を形成させた端面の逆側の端面から流し込み、ブロアーで不要分を吹き払うことで、基材壁面に材料をコーティングし、下流側コート層の前駆体層を調製した。その際に、材料1が、基材1Lに対して、25g(25g/L)になり、材料3が、基材1Lに対して、15g(15g/L)になり、材料8が、基材1Lに対して、50g(50g/L)になるようにした。また、下流側コート層の前駆体層のコート幅は、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して下流側の端部から、排ガス浄化用触媒における基材の全長の80%を占めるように調整した。
最後に、120℃に保たれた乾燥機で、2時間水分を飛ばした後、500℃に保たれた電気炉で、2時間の焼成を行い、下流側コート層(後部)を調製し、最終的に排ガス浄化用触媒を調製した。
実施例7
実施例6において、上流側コート層の前駆体層のコート幅を、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側の端部から、排ガス浄化用触媒における基材の全長の40%を占めるように調整した以外は、実施例6と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例6
実施例6において、材料8を材料7に変更し、上流側コート層の前駆体層のコート幅を、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側の端部から、排ガス浄化用触媒における基材の全長の80%を占めるように調整した以外は、実施例6と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例7
実施例6において、材料8を材料7に変更した以外は、実施例6と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例8
実施例7において、材料8を材料7に変更した以外は、実施例7と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例9
実施例6において、上流側コート層の前駆体層のコート幅を、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側の端部から、排ガス浄化用触媒における基材の全長の80%を占めるように調整した以外は、実施例6と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例10
実施例7において、材料8を材料9に変更した以外は、実施例7と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
比較例11
実施例6において、下流側コート層の前駆体層のコート幅を、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して下流側の端部から、排ガス浄化用触媒における基材の全長の60%を占めるように調整した以外は、実施例6と同様に、排ガス浄化用触媒を調製した。
表3に、実施例6及び7並びに比較例6〜11の排ガス浄化用触媒の調製水準をまとめる。
Figure 2020131111
さらに、表4に、実施例6及び7並びに比較例6〜11の排ガス浄化用触媒の触媒構成をまとめる。
Figure 2020131111
II−3.耐久試験
実施例6及び7並びに比較例6〜11について、実際のエンジンを用いて以下の耐久試験を実施した。
各排ガス浄化用触媒を、V型8気筒エンジンの排気系にそれぞれ装着し、触媒床温900℃で50時間にわたって、ストイキ及びリーンの各雰囲気の排ガスを一定時間(3:1の比率)ずつ繰り返して流すことにより行った。
II−4.性能評価
II−3.耐久試験を実施した実施例6及び7並びに比較例6〜11の排ガス浄化用触媒について、以下の性能評価を実施した。
<最大酸素吸蔵量(Cmax)>
触媒床温600℃で、空燃比(A/F)14.1及び15.1を目標にA/Fフィードバック制御を行い、ストイキ点とA/Fセンサ出力の差分により酸素の過不足を以下の式から算出することで、Ga=22g/sでの最大酸素吸蔵量(Cmax)を評価した。
max(g)=0.23×ΔA/F×噴射燃料量(g)
<400℃HC浄化率>
空燃比(A/F)14.4の排ガスを供給し、20℃/分の速度で排ガス浄化用触媒を暖気し、Ga=30g/s、400℃でのHC浄化率を評価した。
(実施例6及び7と比較例6〜9の比較)
図11の(a)に、実施例6及び7並びに比較例9における、上流側コート層のコート幅と400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxとの関係を示し、図11の(b)に、比較例6〜8における、上流側コート層のコート幅と400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxとの関係を示す。図11の(a)では、下流側コート層がRh−Pd微粒子を含む場合の、上流側コート層のコート幅が400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxに与える影響を見ており、図11の(b)では、下流側コート層がRhを単味で含む場合の、上流側コート層のコート幅が400℃でのHC浄化率又は600℃でのCmaxに与える影響を見ている。
図11の(a)における実施例6及び7と、図11の(b)における比較例6〜8を比較すると、下流側コート層にRh−Pd微粒子が配置されることによって、下流側コート層だけで十分にCmaxを確保でき、Ptが配置されている上流側コート層のコート幅を広くして、触媒活性とCmaxとを両立させた構成にすることができる。
図11の(a)における実施例6及び7と比較例9を比較すると、下流側コート層にRh−Pd微粒子が配置された場合、Ptが配置されている上流側コート層のコート幅が排ガス浄化用触媒における基材の全長の60%及び40%である実施例6及び7は、Cmaxを確保しつつ、高い触媒活性を有していたが、Ptが配置されている上流側コート層のコート幅が排ガス浄化用触媒における基材の全長の80%である比較例9では、Cmaxのさらなる向上は確認できず、触媒活性は低下してしまった。したがって、Ptが配置されている上流側コート層のコート幅は、排ガス浄化用触媒における基材の全長の20%〜70%、特に22%〜60%、さらに特に40%〜60%が好ましく、大きなRh−Pd微粒子の効果が得られる。
(実施例6と比較例7、10及び11の比較)
図12に、実施例6と比較例7、10及び11の600℃でのCmax及び400℃でのHC浄化率を示す。図12における実施例6と比較例7及び10を比較すると、Cmaxは、実施例6の方が比較例7及び10よりも大きいことから、Cmaxは、RhとPdが別々に存在するよりも、RhとPdが複合化してRh−Pd微粒子として存在する場合に向上することがわかる。したがって、RhとPdは、複合化してRh−Pd微粒子として存在することが好ましい。
さらに、図12における実施例6と比較例11を比較すると、Rh−Pd微粒子が配置されている下流側コート層のコート幅を排ガス浄化用触媒における基材の全長の80%から60%に低減させると、Cmaxが低減することがわかる。したがって、Rh−Pd微粒子が配置されている下流側コート層のコート幅は排ガス浄化用触媒における基材の全長の75%〜100%、特に80%〜100%が好ましい。

Claims (1)

  1. 基材と該基材上にコートされている触媒コート層とを有する排ガス浄化用触媒であって、
    触媒コート層が、排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して上流側の端部から形成されている上流側コート層と、上流側コート層がコートされていない領域及び上流側コート層の上に設けられている排ガス浄化用触媒における排ガス流れ方向に対して下流側の端部から形成されている下流側コート層とを有し、
    上流側コート層が、Ptを含み、
    下流側コート層が、Rh及びPdを含有している複合金属微粒子を含み、
    上流側コート層のコート幅が、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、20%〜70%であり、
    下流側コート層のコート幅が、排ガス浄化用触媒における基材の全長の、75%〜100%であり、
    Rh及びPdを含有している複合金属微粒子では、排ガス浄化用触媒中の当該複合金属微粒子をSTEM−EDXで分析したときに、
    RhとPdの合計に対するPdの原子百分率の平均
    (ここで、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率の平均は、排ガス浄化用触媒から10個以上のRh及びPdを含有している複合金属微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率を総計し、この総計を選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子の総個数で除することによって、算出される値である)
    が、1原子%〜15原子%であり、
    RhとPdの合計に対するPdの原子百分率のばらつきに関する標準偏差
    (ここで、RhとPdの合計に対するPdの原子百分率のばらつきに関する標準偏差は、排ガス浄化用触媒から20個以上のRh及びPdを含有している複合金属微粒子を無作為に選択し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子をそれぞれSTEM−EDXによって測定し、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率を計算し、選択された全てのRh及びPdを含有している複合金属微粒子の数を総数として、各Rh及びPdを含有している複合金属微粒子のRhとPdの合計に対するPdの原子百分率から算出される)
    が、5未満である
    排ガス浄化用触媒。
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