JP6568046B2 - 排ガス浄化触媒とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、排ガス浄化触媒とその製造方法に関するものである。
各種産業界においては、環境影響負荷低減に向けた様々な取り組みが世界規模でおこなわれており、中でも、自動車産業においては、燃費性能に優れたガソリンエンジン車は勿論のこと、ハイブリッド車や電気自動車等のいわゆるエコカーの普及とそのさらなる性能向上に向けた開発が日々進められている。このようなエコカーの開発に加えて、エンジンから排出される排ガスを浄化する排ガス浄化触媒に関する研究も盛んに行われている。
この排ガス浄化触媒には、酸化触媒や三元触媒、NOx吸蔵還元触媒などが含まれており、この排ガス浄化触媒において触媒活性を発現するのは、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などの貴金属触媒であり、貴金属触媒はアルミナ(Al2O3)などの多孔質酸化物からなる多孔質担体に担持された状態で一般に用いられている。
車両エンジンとマフラーを繋ぐ排ガスの排気系統には、排ガスを浄化するための触媒コンバーターが一般に配設されている。エンジンはCOやNOx、未燃焼のHCやVOCなど、環境に有害な物質を排出することがあり、こうした有害物質を許容可能な物質に変換するべく、RhやPd、Ptのような貴金属触媒が多孔質担体に担持された触媒層が基材のセル壁面に配設されてなる触媒コンバーターに排ガスを通すことにより、COはCO2に転化され、NOxはN2とO2に転化され、VOCは燃焼してCO2とH2Oが生成されることになる。
貴金属触媒を担持する多孔質担体として、セリア−ジルコニア系複合酸化物(CeO2-ZrO2固溶体、CZ材などと称される)を挙げることができ、これは助触媒とも称され、排ガス中の有害成分であるCOやNOx、HCを同時除去する上記三元触媒に必須の成分であり、この助触媒に必須の成分としてCeO2が挙げられる。
このCeO2はその曝される排ガス中の酸素分圧に依拠してCe3+、Ce4+とその酸化数が変化し、電荷の過不足を補償するために酸素を吸放出する機能や酸素を貯蔵する機能(酸素吸放出能(OSC: Oxygen Storage Capacity))を有する。そして、この三元触媒の浄化ウィンドウを保持するべく、排ガスの雰囲気変動を吸収・緩和し、理論空燃比付近に保つことを可能としている。
ところで、排ガス浄化触媒は高温に晒されることで触媒性能が低下してしまうといった問題を有しており、耐熱性の向上が課題である。
ここで、従来の排ガス浄化触媒においては、貴金属触媒が担持される多孔質担体の耐久後の比表面積を維持するべく、多孔質担体の粉末内に比較的大きな細孔を多数形成しておき、多孔質担体が焼結するのを回避する方向で開発が進められている。
しかしながら、多孔質担体の粉末内に比較的大きな細孔が多数形成されていることで、貴金属触媒のシンタリング(凝集)抑制効果を低下させてしまい、さらには、多孔質担体の粉末の嵩を大きくしてしまうことでモノリスへの塗布量が制限される要因になるといった別途の問題が生じ得る。なお、細孔量を少なくすることで比表面積が低下し、貴金属触媒の担持が困難になることより、貴金属触媒の担持と耐久後の貴金属触媒の凝集抑制の両立の観点から、細孔量の調整は極めて困難な状況にある。
ここで、特許文献1には、多孔質担体と、多孔質担体に担持された触媒貴金属と、からなる排ガス浄化用触媒に関し、多孔質担体が金属アルコキシドから調製されたアルミニウム−セリウム−ジルコニウム複合酸化物の粒子からなり、粒子の組成はモル比でCe/Zr=1/3〜3/1かつAl/(Ce+Zr)=2〜10の範囲にある排ガス浄化用触媒が開示されている。
特許文献1に記載される排ガス浄化用触媒では、粒子の組成をモル比でCe/Zr=1/3〜3/1かつAl/(Ce+Zr)=2〜10の範囲に調整したことにより、耐久後におけるOSCの低下がほとんど生じないことから、リーン雰囲気に曝される時間が減少し、貴金属触媒のシンタリングなどの劣化が抑制され、初期の高い活性を長く持続させることができるとしている。
しかしながら、この貴金属触媒のシンタリングによる劣化抑制効果、より詳細には、高温耐久中の貴金属触媒の凝集による劣化抑制効果に関しては、改善の余地があると考えられる。
特許第3379369号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、高温耐久中の貴金属触媒の凝集による劣化抑制効果に優れた排ガス浄化触媒とその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による排ガス浄化触媒の製造方法は、多孔質担体と、該多孔質担体に担持された貴金属触媒と、からなる排ガス浄化触媒の製造方法であって、前記多孔質担体はアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子からなり、900℃5時間焼成後の物性値で、前記粒子の細孔直径は2〜20nmの範囲にあり、該粒子の比表面積は75〜115m2/gの範囲にあり、該粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物の結晶子の大きさは4〜6nmの範囲にあり、該粒子の嵩密度の大きさは0.5〜0.9cm3/gの範囲にある、多孔質担体を用意し、白金硝酸溶液、またはパラジウム硝酸溶液、またはロジウム硝酸溶液を用いて、白金の集合体の粒径、またはパラジウムの集合体の粒径、またはロジウムの集合体の粒径が1nm以下に調整された貴金属薬液を前記多孔質担体に接触させて貴金属触媒を該多孔質担体に担持させ、排ガス浄化触媒を製造するものである。
ここで、「白金」や「パラジウム」、「ロジウム」は「貴金属薬液」と称すことができ、「白金の集合体の粒径」や「パラジウムの集合体の粒径」、「ロジウムの集合体の粒径」は、「貴金属薬液の粒径」と称することができる。また、「白金の集合体」、「パラジウムの集合体」、「ロジウムの集合体」とはそれぞれ、一定量の白金がまとまって集合体を形成したもの、一定量のパラジウムがまとまって集合体を形成したもの、一定量のロジウムがまとまって集合体を形成したものを意味しており、動的光散乱法を用いて観察される一塊のことである。
本発明の製造方法は、アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子の細孔直径が2〜20nmの範囲にある多孔質担体において、貴金属薬液として、白金硝酸溶液、またはパラジウム硝酸溶液、またはロジウム硝酸溶液を用いて、粒径が1nm以下に調整された貴金属薬液を多孔質担体に接触させて白金またはパラジウムまたはロジウムを該多孔質担体に担持させたことにより、直径が2〜20nmの細孔内に貴金属触媒を十分に担持させることのできる製造方法である。なお、本発明の排ガス浄化触媒を構成するアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子は、たとえば、セリウム塩、ジルコニウム塩を含む水溶液に添加されたアルミニウムイソプロポキシドを加水分解することにより、細孔直径の小さなアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物を製造することができる。
アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子からなる多孔質担体に関し、複合酸化物粒子の細孔直径を900℃5時間焼成後の物性値で2〜20nmの範囲としたことに加えて、複合酸化物粒子の比表面積を75〜115m2/gの範囲とし、複合酸化物粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物の結晶子の大きさを4〜6nmの範囲とし、複合酸化物粒子の嵩密度の大きさを0.5〜0.9cm3/gの範囲としたことで、高温耐久中の貴金属触媒の凝集が効果的に抑制可能となる。
具体的には、複合酸化物粒子の細孔直径が2〜20nmの範囲に設定されていることで、貴金属触媒はその内部にしか担持されず、高温耐久中の凝集が抑制でき、活性低下が少なくなる。
また、複合酸化物粒子の嵩密度の大きさが0.5〜0.9cm3/gの範囲ゆえに従来一般の粒子の嵩密度の半分程度となり、したがって従来品に比してモノリスに対して2倍程度コートすることが可能になる。
また、複合酸化物粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物(CZ材)の結晶子の大きさが4〜6nmの範囲であることと、上記する貴金属触媒の凝集抑制が相俟って、耐久度の高いOSC量が得られることになる。
ここで、多孔質担体に担持される貴金属触媒としては、白金(Pt)やパラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を単体で、もしくはそれらの組み合わせが挙げられる。
2〜20nmの細孔直径の多孔質担体において、1nmより大きな粒子径の貴金属薬液や担持速度(吸着速度)の速い貴金属薬液を使用した場合、貴金属薬液が細孔内部に入らずに多孔質担体の外表面に担持され易いという現象が生じ易い。そして、多孔質担体の外表面に担持された貴金属薬液は凝集し、結果として無駄な貴金属を生じさせることになる。
そこで、本発明の製造方法では、粒径が1nm以下に調整された白金やパラジウム、ロジウムといった貴金属薬液を多孔質担体に接触させ、貴金属触媒を多孔質担体に担持させることにより、直径2〜20nmの細孔内に効果的に貴金属薬液を入り込ませ、無駄な貴金属の発生を解消している。
ここで、「貴金属薬液を多孔質担体に接触させて」とは、貴金属薬液中に多孔質担体を浸漬させる方法や、多孔質担体の表面に貴金属薬液を塗布する方法などを意味する。
このように、多孔質担体を構成する複合酸化物の粒子に設けられた直径2〜20nmの範囲の細孔において、粒径が1nm以下に調整された白金等の集合体を十分に入り込ませ、担持させる点において、本発明の排ガス浄化触媒の製造方法は従来の製造方法にはない新規な製造方法である。
本発明者等によれば、白金等の集合体の粒径が1nm以下に調整されていることにより、直径2〜20nmの範囲の微細孔であっても、集合体が当該微細孔の内壁に急激に接触し易く、吸着され易くなるためであると推察される。
また、本発明は排ガス浄化触媒にも及ぶものであり、この排ガス浄化触媒は、多孔質担体と、該多孔質担体に担持された貴金属触媒と、からなる排ガス浄化触媒であって、前記多孔質担体はアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子からなり、900℃5時間焼成後の物性値で、前記粒子の細孔直径は2〜20nmの範囲にあり、該粒子の比表面積は75〜115m2/gの範囲にあり、該粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物の結晶子の大きさは4〜6nmの範囲にあり、該粒子の嵩密度の大きさは0.5〜0.9cm3/gの範囲にあり、87.04μm×87.04μmで1000倍の電子顕微鏡観察の視野範囲が縦横256×256の領域に分割された、各分割領域の貴金属触媒と多孔質担体中のAlの濃度の相関係数が0.2以上となっているものである。
本発明者等は、1000倍の電子顕微鏡観察の視野範囲(大きさが87.04μm×87.04μm)を縦横256×256の領域に分割し、縦横0.34μmの各格点の貴金属触媒(白金やパラジウム、ロジウム)の濃度ピーク値と多孔質担体を構成するAlの濃度ピーク値を測定し、双方の相関係数を算定した。
その結果、相関係数が0.2以上の範囲において、直径2〜20nmの範囲の微細孔内に貴金属触媒が十分に担持されていることが確認されている。
以上の説明から理解できるように、本発明の排ガス浄化触媒とその製造方法によれば、900℃5時間焼成後の物性値でアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子の細孔直径が2〜20nmの範囲にある多孔質担体において、貴金属薬液として、白金硝酸溶液、またはパラジウム硝酸溶液、またはロジウム硝酸溶液を用いて、粒径が1nm以下に調整された貴金属薬液を多孔質担体に接触させて白金またはパラジウムまたはロジウムを該多孔質担体に担持させたことにより、直径が2〜20nmの細孔内に貴金属触媒を十分に担持させることができる。その結果、高温耐久中の貴金属触媒の凝集による劣化抑制効果に優れた排ガス浄化触媒を製造することが可能になる。
参考例と参考比較例の複合酸化物の嵩密度の測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の複合酸化物のCZ材の結晶子の大きさに関する測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の複合酸化物の比表面積の測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の複合酸化物の細孔直径の測定結果を示した図であって、(a)は初期(耐久前)の測定結果を示した図であり、(b)は耐久後の測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の複合酸化物のピーク細孔直径の測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の複合酸化物の耐久後のPt結晶子の大きさに関する測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の耐久後のOSC量の測定結果を示した図である。 参考例と参考比較例の耐久後のHC50%浄化率に関する測定結果を示した図である。 実施例1と比較例1のEPMA写真図である。 EPMAの視野範囲を縦横256×256の領域に分割した状態を説明した図である。 実施例1の相関図である。 比較例1の相関図である。 実施例1、比較例1〜3の各相関係数を示した図である。 1100℃耐久後のXRDの半価幅から推定される実施例1、比較例1〜3のPt粒子径を示した図である。 1100℃耐久後の実施例1、比較例1〜3のOSC測定結果を示した図である。 1100℃耐久後の実施例1、比較例1〜3の50%浄化温度を示した図である。 (a)は比較例1のTEM画像図であり、(b)は比較例1のTEM-EDX画像図である。 (a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、実施例1、比較例1〜3のTEM画像図である。 TEM-EDXによるスペクトル図である。 アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の細孔分布を示した図である。 実施例2、3と比較例4のEPMA写真図である。 実施例2、3と比較例4の各相関係数を示した図である。 (a)、(b)はそれぞれ、1100℃耐久後の実施例2、比較例5のTEM画像図である。 1100℃耐久後の実施例2、3、比較例4、5のOSC測定結果を示した図である。 実施例4と比較例6、7のEPMA写真図である。 実施例4と比較例6、7の各相関係数を示した図である。 1100℃耐久後の実施例4、比較例6、7のOSC測定結果を示した図である。 1100℃耐久後の実施例4、比較例6、7の50%浄化温度の測定結果を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の排ガス浄化触媒とその製造方法の実施の形態を説明する。
本発明の排ガス浄化触媒の製造方法は、多孔質担体と、多孔質担体に担持された貴金属触媒と、からなる排ガス浄化触媒を製造する方法である。具体的には、まず、アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子からなる多孔質担体を製造する。この多孔質担体は、900℃5時間焼成後の物性値で、粒子の細孔直径は2〜20nmの範囲にあり、粒子の比表面積は75〜115 m2/gの範囲にあり、粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物の結晶子の大きさは4〜6nmの範囲にあり、粒子の嵩密度の大きさは0.5〜0.9cm3/gの範囲にある。
アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の製作過程において、Ce(NO3)36H20とZrO(NO3)22H2Oを溶解する溶媒として、エチレングリコールではなく、蒸留水を使用することにより、アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の比表面積を高くすることができ、焼成条件として、従来の製造方法における低温短時間焼成から高温長時間焼成(900℃程度かそれより高温で5時間程度かそれより長時間)に変更したことにより、アルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物担体の内部に形成される直径2〜20nm程度の範囲のメソ孔の割合を増加させることができ、その結果として高温耐久中に貴金属触媒が凝集するのを抑制することができる。
製造された多孔質担体を、白金硝酸溶液、またはパラジウム硝酸溶液、またはロジウム硝酸溶液といった貴金属薬液に浸漬させる。
これらの貴金属薬液では、白金の集合体の粒径、またはパラジウムの集合体の粒径、またはロジウムの集合体の粒径が1nm以下に調整されている。
白金硝酸溶液を例に、この調整方法を概説する。白金と純硝酸の重量比が所定値未満となり、白金濃度が所定範囲となるように白金結晶を硝酸と純水の混合溶液に添加し、溶解させる。次に、常圧下、100℃程度の温度で100時間未満の所定時間煮沸することにより、溶液中の白金の価数が2価から4価へ増大する反応を進行させ、白金溶液を熟成させることにより、白金の集合体の粒径を1nm以下に調整することができる。
粒径が1nm以下に調整された貴金属薬液は直径2〜20nmの範囲にある多孔質担体の細孔内に十分に入り込み、細孔の内壁に急激に接触して吸着され、担持されることにより、本発明の排ガス浄化触媒が製造される。
製造された排ガス浄化触媒は、87.04μm×87.04μmで1000倍の電子顕微鏡観察の視野範囲が縦横256×256の領域に分割された、各分割領域の貴金属触媒と多孔質担体中のAlの濃度の相関係数が0.2以上であることが本発明者等によって確認されている。そして、この排ガス浄化触媒によれば、高温耐久中の貴金属触媒の凝集による劣化抑制効果に優れていることが本発明者等によって確認されている。
(本発明の排ガス浄化触媒を構成する多孔質担体の性能を検証した各種実験とその結果)
本発明者等は、以下で示す参考例1〜8と参考比較例1〜3の複合酸化物の試験体を製作し、各複合酸化物に貴金属触媒を担持させて排ガス浄化触媒の試験体を製作し、本発明の排ガス浄化触媒を構成する多孔質担体の性能を検証した。
<参考例1>
蒸留水400cc(cm3)に、Ce(NO3)3・6H20を47.1gと、ZrO(NO3)2・2H2Oを52.1g溶解し、85℃で攪拌し、その中にAl(OC3H7)3を80.1g、その溶解を確認しながらゆっくり添加し、溶解後にロータリーエバポレーターにて90℃で完全に水分を飛ばし、900℃で5時間焼成して、Al2O3: CeO2: ZrO2 = 32:30:38の複合酸化物を作製した。
<参考例2>
参考例1の蒸留水を800ccに変更した以外は参考例1と同条件である。
<参考例3>
参考例1の蒸留水を1200ccに変更した以外は参考例1と同条件である。
<参考例4>
参考例1でAl(OC3H7)3を溶解後に60%硝酸を8cc添加した以外は参考例1と同条件である。
<参考例5>
参考例2でAl(OC3H7)3を溶解後に60%硝酸を4cc添加した以外は参考例1と同条件である。
<参考例6>
参考例2でAl(OC3H7)3を溶解後に60%硝酸を8cc添加した以外は参考例1と同条件である。
<参考例7>
蒸留水600cc(cm3)に、Ce(NO3)3・6H20を25.3gと、ZrO(NO3)2・2H2Oを47.7g溶解し、85℃で攪拌し、その中にAl(OC3H7)3 60.2gをその溶解を確認しながらゆっくり添加し、溶解後にロータリーエバポレーターにて90℃で完全に水分を飛ばし、900℃で5時間焼成して、Al2O3: CeO2: ZrO2 = 32:21:47の複合酸化物を作製した。
<参考例8>
蒸留水1500cc(cm3)に、Ce(NO3)3・6H20を70.7gと、ZrO(NO3)2・2H2Oを78.2g溶解し、85℃で攪拌し、その中にAl(OC3H7)3を384.3g、その溶解を確認しながらゆっくり添加し、溶解後にロータリーエバポレーターにて90℃で完全に水分を飛ばし、900℃で5時間焼成して、Al2O3: CeO2: ZrO2 = 60:18:22の複合酸化物を作製した。
<参考比較例1>
Al(OC3H7)3の代わりに硝酸塩のAl(NO3)3・9H2Oを147g用いて、Al、Ce、Zr硝酸塩水溶液を1L作製し、炭酸Na水溶液をpH10になるまで添加して沈殿物を生成させ、濾過洗浄を5回繰り返した後、120℃で乾燥させ、900℃で5時間焼成して複合酸化物を作製した。
<参考比較例2>
参考比較例1で炭酸Na水溶液の代わりにアンモニア水溶液を用いてpH10になるまで添加して沈殿物を生成させた以外は参考比較例1と同条件である。
<参考比較例3>
参考例1でCe(NO3)3・6H20を47.1gだけエチレングリコール100ccにあらかじめ溶解させた溶液を作製しておき、Al(OC3H7)3添加後に加えた。これは、既述する特許文献1(特許第3379369号公報)に記載の実施例と同じ方法である。
<触媒性能評価法>
参考例1〜8、参考比較例1〜3の各複合酸化物に対してPtを1質量%担持させて排ガス浄化触媒を製作し、1100℃で5時間の耐久試験を各排ガス浄化触媒に対して実施し、耐久試験後の触媒の各種性能評価を実施した。
<実験結果>
耐久試験前の測定結果を図1〜5および表1に示し、耐久試験後の触媒性能結果を図6〜8および表2に示す。ここで、図1は各試験体の嵩密度の測定結果を示した図であり、図2は各試験体のCZ材の結晶子の大きさに関する測定結果を示した図である。また、図3は各試験体の比表面積の測定結果を示した図であり、図4は各試験体の細孔直径の測定結果を示した図であって、図4(a)は初期(耐久前)の測定結果を示した図であり、図4(b)は耐久後の測定結果を示した図である。また、図5は参考例と参考比較例の複合酸化物のピーク細孔直径の測定結果を示した図である。
[表1]
Figure 0006568046
まず、図1および表1において、各試験体の嵩密度はJIS R1628:1997にて測定した。同図より、参考比較例1〜3の嵩密度の大きさが0.7〜1.7cm3/gの範囲にあるのに対して、参考例1〜8の嵩密度の大きさは0.5〜0.9cm3/gの範囲にあり、参考比較例1、2の半分程度であることが分かる。このことは、モノリスに塗布できる触媒量が参考比較例1、2に対して参考例1〜8が2倍程度まで可能になることを意味している。
次に、図2および表1において、各試験体のCZ材の結晶子の大きさはJIS H7805:2005のX線回折法にて測定した。同図より、参考比較例1〜3のCZ材の結晶子の大きさがおよそ5〜7nmの範囲であるのに対して、参考例1〜8のCZ材の結晶子の大きさは4〜6nmの範囲にあることが分かる。
次に、図3および表1において、各試験体の比表面積はJIS R1626:1996にて測定した。同図より、参考比較例1〜3の比表面積が35〜80m2/gの範囲にあるのに対して、参考例1〜8の比表面積は75〜115m2/gの範囲にあることが分かる。
次に、図4(a)において、耐久試験結果の良好な参考例3と参考比較例2を取り出して、各試験体の耐久試験前の初期の細孔直径を測定し、その分布を示した。参考例3では細孔直径のピーク範囲が2〜20nmの範囲にあることが分かる。なお、参考比較例2の細孔直径のピーク範囲は10〜70nm程度であることが分かる。
図4(b)より、耐久試験後の細孔分布は、参考例3では20〜70nm程度がピーク範囲となり、参考比較例2では70〜120nm程度がピーク範囲となり、図4(a)の結果からいずれも細孔直径が数十nmずれる傾向にあることが分かる。
次に、図5および表1において、各試験体のCZ材の窒素吸着法での細孔直径のピーク(ピーク細孔直径)は、参考例1〜8がいずれも10nm以下であるのに対して、参考比較例1〜3はいずれも10nmを超える傾向にあることが分かる。
次に、図6〜8および表2を参照して耐久後の触媒性能評価について考察する。ここで、図6は各試験体の耐久後のPt結晶子の大きさに関する測定結果を示した図であり、図7は各試験体の耐久後のOSC量の測定結果を示した図であり、図8は各試験体の耐久後のHC50%浄化率に関する測定結果を示した図である。
[表2]
Figure 0006568046
図6および表2において、各試験体のPt結晶子の大きさはJIS H7805:2005のX線回折法にて測定した。同図より、耐久後の参考比較例1〜3のPt細孔径はおよそ40〜55nmと大きくなっているのに対して、参考例1〜8のPt結晶子の大きさは31〜36nm程度と参考比較例に比して格段に小さいことが分かる。
これは、参考例1〜8では、高温耐久中のPtの凝集が抑制されていることに依拠するものである。
次に、図7および表2において、参考比較例1〜3の耐久後のOSC量(酸素貯蔵量)が1.3〜1.6(a.u.)であるのに対して、参考例1〜8の耐久後のOSC量はおよそ1.7〜2.2(a.u.)となり、参考比較例に比して40%以上もOSC量が増加することが分かった。
さらに、図8および表2において、参考比較例1〜3の耐久後のHC50%浄化率がおよそ490〜510であったのに対して、参考例1〜8の耐久後のHC50%浄化率は460〜480程度となり、参考例のHC浄化性能が高いことが分かった。
以上、図1〜図5の結果に基づき、本発明の排ガス浄化触媒を構成するアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子に関し、複合酸化物粒子の細孔直径は2〜20nmの範囲とし、複合酸化物粒子の比表面積は75〜115m2/gの範囲とし、複合酸化物粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物の結晶子の大きさは4〜6nmの範囲とし、複合酸化物粒子の嵩密度の大きさは0.5〜0.9cm3/gの範囲に規定することとした。
また、図6〜図8の結果より、本発明の複合酸化物を備えた排ガス浄化触媒によれば、耐久試験後の貴金属触媒の凝集を効果的に抑制でき、OSC量を増加させることができ、HCの浄化率を高めることができることが実証されている。
(本発明の排ガス浄化触媒の性能を検証した各種実験とその結果)
本発明者等は、以下で示す実施例1〜4と比較例1〜7にかかる排ガス浄化触媒の試験体を製作し、それらの性能を検証した。まず、貴金属触媒としてPtを用いた実施例1と比較例1〜3に関する実験とその結果を説明し、次いで、貴金属触媒としてPdを用いた実施例2、3と比較例4、5に関する実験とその結果を説明し、最後に、貴金属触媒としてRhを用いた実施例4と比較例6、7に関する実験とその結果を説明する。
<実施例1>
蒸留水400ccに対してCe(NO3)3・6H20を47.1g、ZrO(NO3)2・2H2Oを52.1gをそれぞれ溶解させ、85℃で攪拌しながら、その中にAl(OC3H7)3を溶解させながら80.1g添加した。溶解後、ロータリーエバポレーターにて90℃で完全に水分を飛ばした後、900℃で5時間焼成してAl2O3: CeO2: ZrO2 =32:30:38で、2〜20nmの範囲に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物を作製し、貴金属薬液の粒径が0.9nmの白金硝酸薬液を1質量%担持させた。ここで、白金硝酸薬液は、調製条件を変化させることで重合度、すなわち白金化合物の大きさを変化させることができる。またこの際に担持性も変化させることができるため、特定の細孔を持つ多孔質担体に適した貴金属薬液を調製することが可能となる。貴金属薬液の粒径は、動的光散乱法(DLS)にてZetasizer nano-s(マルバーン社製)を使用して測定した。
<比較例1>
実施例1と同様の方法で合成した、直径2〜20nmの範囲に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、粒径が1.5nmまで熟成された白金硝酸薬液を1質量%担持させた。
<比較例2>
Al(OC3H7)3の代わりに、Alも硝酸塩であるAl(NO3)3・9H2Oを147g用いて、Al、Ce、Zr硝酸塩水溶液1Lを作製し、炭酸Na水溶液をpH10になるまで添加して沈殿物を生成させ、濾過洗浄を5回繰り返した後に120℃乾燥させ、900℃で5時間焼成して作製した、細孔ピーク径30nmのアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対して、粒径が0.9nmの白金硝酸薬液を1質量%担持させた。
<比較例3>
比較例2と同様の方法で合成した、細孔ピーク径30nmのアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、粒径が1.5nmまで熟成された白金硝酸薬液を1質量%担持させた。
<実験結果>
図9は実施例1と比較例1のEPMA写真図であり、図10はEPMAの視野範囲を縦横256×256の領域に分割した状態を説明した図である。また、図11は実施例1の相関図であり、図12は比較例1の相関図であり、図13は実施例1、比較例1〜3の各相関係数を示した図である。また、図14は1100℃耐久後のXRDの半価幅から推定される実施例1、比較例1〜3のPt粒子径を示した図であり、図15は1100℃耐久後の実施例1、比較例1〜3のOSC測定結果を示した図である。さらに、図16は1100℃耐久後の実施例1、比較例1〜3の50%浄化温度を示した図である。なお、図13では、実施例1、比較例1〜3ともに、異なる2箇所で相関係数を求めている。
図9で示すEPMA写真図において、明るい部分ほど元素が多くなっている。実施例1はPtとAlの明るい部分が一致し、Ptが粒子内部まで均質に担持されているのに対して、比較例1では粒子内部はPtが少なく、外側に多くなっていることが分かる。
87.04μm×87.04μmの大きさで1000倍の電子顕微鏡観にて撮影したEPMAの視野を、図10で示すように縦横256×256に分割し、各65536点におけるAlとPtの濃度の相関図を作成した。ここで、相関係数の算定式は以下を用いた。
各点のAl濃度をXn、全点の平均Al濃度をXave、各点のPt濃度をYm、全点の平均Pt濃度をYaveとすると、
相関係数r=Σ(Xn-Xave)(Ym-Yave)/(Σ(Xn-Xave)2Σ(Ym-Yave)2)0.5、n,m=1、2・・・
図11に実施例1の結果を示し、図12に比較例1の結果を示す。図11より、Alが多い部分にはPtが多いこと、すなわち、粉末全体に均一にPtが存在していることが確認できる。一方、図12より、比較例1ではAlが多いにもかかわらず、Ptが少ない部分(図12の右下部分)が存在し、明らかに均一に担持できてないことが分かる。
また、図13より、粒径の大きな白金硝酸薬液を用いた場合の相関係数は低く、微細な白金硝酸薬液を用いた場合の相関係数は高いことがよく分かる。なお、これらの相関係数は、粒子の内部と外部のPt濃度差を表す指標になる。
また、図14より、実施例1は直径2〜20nm範囲の細孔内へPtを粒子内部まで担持できており、他の比較例1〜3に比してXRDからみたPt粒子径が最も小さいことが分かる。
また、図15より、実施例1のOSC触媒活性は他の比較例1〜3に比して非常に高くなっていることが分かり、図16より、実施例1の50%浄化温度は、HC、NO、COのいずれにおいても他の比較例1〜3に比して低くなっていることが分かる。
実際の粒子の内部と外部とで貴金属触媒がどのようにシンタリングしたのかをTEMで直接観察したところ、粒子の内部のPtは外部のPtよりも著しく小さいことが確認できた。これら外部担持と内部担持が同時におこなわれることが可能であることが比較例1の材料で確認できたため、その粒子をスライスしてTEM観察した結果を図17に示している。
図17(a)は通常のTEM観察画像図であり、図17(b)はTEM-EDXにてPt粒子のみを見たものであり、白い部分がPtである。外表面に担持されたPtは内部の微細なPtと比較して著しく大きくなっていることが分かる。このことは、内部に担持されればシンタリング抑制効果が顕著であることを示している。図14に示したXRDからのPt粒子径の推定値は、外表面で大きくシンタリングしたPtと内部の微細なPtとの平均的な値を示している可能性がある。
多孔質担体の細孔の違いにより、粒子内部に担持されたPtの粒子径が実際にどの程度異なるのかに関し、細孔ピーク径が直径2〜20nm範囲の多孔質担体を用いた実施例1の内部Ptを図18(a)に示し、同じく細孔ピーク径が直径2〜20nm範囲の多孔質担体を用いた比較例1の内部Ptを図18(b)に示し、図18(c)には同様に細孔径30nmの多孔質担体を用いた比較例2の内部Pt粒子をTEMで大きさを測定した写真図として示す。また、比較例3の内部Ptを図18(d)に示すが、内部のPt粒子径は細孔の大きさだけで決まることが分かる。
直径2〜20nm範囲の細孔内のPtは10nm前後までしかシンタリングできないのに対し、30nmのピークの細孔分布を持つ多孔質担体内のPtは、細孔分布の関係から50nm前後までPtが粒成長していることが、粒子内部の直接観察からも確認できた。これらの写真だけではPtを判別し難いことから、図19に示すようにTEM-EDXによるスペクトル図にてPt粒子の存在を確認している。
以上の結果より、直径2〜20nm範囲の細孔を持つ多孔質担体の内部に貴金属触媒を内部深くまで、極力粒子外表面に担持しないようにすることがいかに重要なことであるかが分かる。
次に、以下、貴金属触媒としてPdを用いた場合の結果を説明する。
<実施例2>
実施例1と同様に合成した、直径2〜20nmの範囲に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、平均粒子径を0.7nmに調製したパラジウム塩の担持時に硝酸をPdの3倍モル量添加しながら1質量%担持させた。
<実施例3>
実施例1と同様に合成した、直径2〜20nmの範囲に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、平均粒子径を0.7nmに調製したパラジウム塩を1質量%担持させた。
<比較例4>
実施例1と同様に合成した、直径2〜20nmの範囲に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、平均粒子径を2.3nmに調製したパラジウム塩を用いて1質量%担持させた。
<比較例5>
比較例3と同様に合成した、30nmに細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、平均粒子径を0.7nmに調製したパラジウム塩を1質量%担持させた。
<実験結果>
図21は実施例2、3と比較例4のEPMA写真図であり、図22は実施例2、3と比較例4の各相関係数を示した図である。また、図23(a)、(b)はそれぞれ、1100℃耐久後の実施例2、比較例5のTEM画像図であり、図24は1100℃耐久後の実施例2、3、比較例4、5のOSC測定結果を示した図である。
図21において、実施例2、3では、明るい部分ほどPd濃度が高いことを示しており、比較例4では、明るい部分はPdに関係していない。これは、写真図を白黒で示したことが理由であるが、カラー写真図においては、比較例4の明るい部分がPdに対応していないことが確認できる。
また、図22のAlとPdの相関係数に関する結果より、実施例2は粒子内部までPdが担持されており、実施例3も相関係数が0.2を超える程度であるものの、図21の写真図にて確認できるように十分にPdが担持されていることが分かる。これに対し、比較例5ではほとんど粒子内部にPdが担持されてないことが分かる。
これらの結果より、本発明の排ガス浄化触媒においては、87.04μm×87.04μmで1000倍の電子顕微鏡観察の視野範囲が縦横256×256の領域に分割された、各分割領域の貴金属触媒と多孔質担体中のAlの濃度の相関係数を0.2以上に規定した。
また、細孔径による粒子内部のPdのシンタリング度合いを調査するため、実施例2と比較例5の1100℃5時間耐久後の粒子内部のPd粒子径を、粒子断面のTEMにて調査した。
実施例2を示す図23(a)、比較例5を示す図23(b)より、貴金属触媒がPtの場合と同様に粒子内部のPd粒子径は実施例2では10nm前後までしかシンタリングできないのに対し、30nmのピークの細孔分布を持つ多孔質担体内のPtは、細孔分布の関係から50nm前後までPdが粒成長していることが確認された。
また、図24にOSCを測定した結果を示すが、実施例2、3は比較例4、5に比してOSC性能が優れていることが分かる。
次に、以下、貴金属触媒としてロジウム(Rh)を用いた場合の結果を説明する。
<実施例4>
蒸留水400ccにCe(NO3)3・6H2O 47.1gとZrO(NO3)2・2H2O 52.1gを溶解し、85℃で攪拌しながら、その中にAl(OC3H7)3をゆっくり溶解を確認しながら80.1g添加した。溶解後にロータリーエバポレーターにて90℃で完全に水分を飛ばした後、900℃で5時間焼成してAl2O3: CeO2: ZrO2 =32:30:38で10nm以下に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物を作製した。そして、硝酸ロジウムで薬液粒子径0.7nmのRh薬液を用い、Rh担持時に硝酸をロジウムの5倍mol追加しながら0.3質量%担持させた。ここで、ロジウム硝酸薬液は、調製条件を変化させることで重合度、すなわちロジウム化合物の大きさを変化させることができる。またこの際に担持性も変化させることができるため、特定の細孔を持つ多孔質担体に適した貴金属薬液を調製することが可能となる。貴金属薬液の粒径は、動的光散乱法(DLS)にてZetasizer nano-s(マルバーン社製)を使用して測定した。
<比較例6>
実施例4と同様に合成した、10nm以下に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、硝酸Rhで薬液粒子径を2.1nmまで熟成させたRh薬液を0.3質量%担持させた。
<比較例7>
実施例4と同様に合成した、10nm以下に細孔のピークを有するアルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物に対し、硝酸Rhで薬液粒子径0.7nmのRh薬液を0.3質量%担持させた。
<実験結果>
図25は実施例4と比較例6、7のEPMA写真図であり、図26は実施例4と比較例6、7の各相関係数を示した図である。また、図27は1100℃耐久後の実施例4、比較例6、7のOSC測定結果を示した図であり、図28は1100℃耐久後の実施例4、比較例6、7の50%浄化温度の測定結果を示した図である。
図25は、実施例4と比較例6、7の触媒粉末をスライスし、それらの内部をEPMAにて撮影したものであり、上下2回の撮影をおこなっている(n1、n2)。明るい部分ほどRhが多い。実施例4はRhがある程度粉末内部まで担持されているのに対し、比較例6、7では粉末内部はRhが少なく外側に多いことが分かる。
次に、撮影したEPMAの視野を256×256分割したRh濃度と、複合酸化物中のAl濃度のそれぞれ各65536点の濃度相関係数を求め、その結果を図26に示している。図26のAlとRhの相関係数に関する結果より、実施例4は粒子内部までRhが担持されており、相関係数が0.2以上の0.4を超える程度であるのに対し、比較例7ではほとんど粒子内部にRhが担持されておらず、相関係数は0.1未満であり、比較例6も相関係数は−0.2未満であり、比較例はいずれも相関係数が0.2未満となっている。
また、図27にOSCを測定した結果を示すが、実施例4は比較例6、7に比してOSC性能が格段に優れていることが分かる。
さらに、図28に50%浄化温度の測定結果を示すが、比較例6、7に比して、実施例4はHC、NO、COを20〜40℃程度低い温度にて浄化できることが実証されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。

Claims (1)

  1. 多孔質担体と、該多孔質担体に担持された貴金属触媒と、からなる排ガス浄化触媒であって、
    前記多孔質担体はアルミナ−セリア−ジルコニア系複合酸化物の粒子からなり、
    900℃5時間焼成後の物性値で、前記粒子の細孔直径は2〜20nmの範囲にあり、該粒子の比表面積は75〜115m 2 /gの範囲にあり、該粒子に含まれるセリア−ジルコニア複合酸化物の結晶子の大きさは4〜6nmの範囲にあり、該粒子の嵩密度の大きさは0.5〜0.9cm 3 /gの範囲にあり、
    87.04μm×87.04μmで1000倍の電子顕微鏡観察の視野範囲が縦横256×256の領域に分割された、各分割領域の貴金属触媒と多孔質担体中のAlの濃度の相関係数が0.2以上である、排ガス浄化触媒。
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