JP6106391B2 - 板状銅粉とその製造方法および導電性ペースト - Google Patents

板状銅粉とその製造方法および導電性ペースト Download PDF

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Description

本発明は板状銅粉とその製造方法および導電性ペーストに関する。
銅粉の製造方法として、先行文献1や先行文献2がある。
先行文献1は、出願人の発明に係るものであって、湿式還元法により得られた球状の銅粉に対し、振動ボールミルによる圧延伸処理を行うことにより、フレーク状銅粉を得るものである。そして、当該発明により、平均厚さ0.2μm以上、平均粒径(D50)1〜30μm、アスペクト比5〜70のフレーク状銅粉が得られた。
一方、先行文献2には、湿式還元法による扁平銅粒子の製法が記載されている。
当該先行文献2に係る製造方法は、第1還元工程、第2還元工程を有する製法であり、第1還元剤として還元糖またはヒドラジンが用いられ、第2還元剤として、水素還元標準電位Eが−1.11〜−1.24Vである還元剤を2種類以上用いるものである。
そして当該製造方法により、平面視で略直線状の複数の辺によって確定される輪郭を有し、かつ隣り合う辺のなす角が60度以上180度未満である扁平体であって、平均粒径0.05〜0.5μm、アスペクト比2〜25、ホウ酸含有量1〜50ppm、P含有量10〜200ppmである扁平銅粒子が得られた。
特開2005−200734号公報 特開2012−41592号公報
近年、エレクトロニクス技術の進歩により、導電性の向上や配線の薄膜化の要請が高まり、市場では、粒径が1μm以上の板状銅粉であってアスペクト比が3以上、用途によっては5以上、さらには10以上の銅粉が求められている。さらに、品質管理の観点から、均一な性状を有する銅粉を安定的に製造することが求められている。
ところが本発明者らの検討によると、例えば引用文献1は、まず球状銅粉を製造し、当該球状銅粉へボールミルなどで機械的な加工を加えることでフレーク状銅粉を製造する方法である。しかし、このような機械的加工法では、製造されるフレーク状銅粉粒子の表面が物理的に潰されたり、歩留まりが低いという問題があった。さらに、機械加工処理工程が必要なことから、工数がかかり、コスト高を招くという問題がある。
一方、引用文献2には、湿式還元法によって板状銅粉を製造することが開示されている。しかしながら、引用文献2においては0.5μm以下の微小粒径を有する扁平銅粒子が製造出来るだけで、より粒径の大きな扁平銅粒子を製造することは困難である。
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、粒径が1μm以上の板状銅粉であって、アスペクト比が3.0以上である板状銅粉とその製造方法、および導電性ペーストを提供することである。
尚、本発明に係る板状銅粉とは、当該板状銅粉の板状平面方向から、当該板状銅粉粒子を観察した場合に、形状が三角形以上の多角形をなしている粒子であって、当該粒子の厚みが1.5μm以下であるもののことをいう。
上述の課題を解決する為、本発明者らが研究を行なった結果、銅粉の原料である硫酸銅溶液へ、製造される銅粉の形状を制御することの出来る物質を加え、当該溶液へアルカリ溶液を加えてスラリー化し、当該スラリーを所定の条件で還元することで、粒径が1μm以上の板状銅粉であって、アスペクト比が3.0以上の板状銅粉を、安定的かつ低コストに製造出来ることに想到し、本発明を完成したものである。
即ち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
銅イオンを含む溶液と、溶液となったとき2価のFeイオンを生成する化合物である2価のFeイオン源と、アルカリ溶液とを混合し、水酸化銅を含む第1のスラリーを得る工程と、
前記第1のスラリーへ第1の還元剤を加え、亜酸化銅を含む第2のスラリーを得る工程と、
前記第2のスラリーへ第2の還元剤を加えて、銅粉を析出させる工程とを、有することを特徴とする板状銅粉の製造方法であって、
前記2価のFeイオン源の添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.0001モル以上であり、
前記第1の還元剤が、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、硫酸ヒドラジン、リン酸ヒドラジン、ヒドラジン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ブドウ糖、フルクトース、マルトース、ラクトースから選択される1種以上である、板状銅粉の製造方法である。
第2の発明は、
前記第1のスラリーを得る工程において、
さらに、3価のFeイオン源、Mgイオン源、Pイオン源、Znイオン源、Asイオン源から選択される1種以上を混合することを特徴とする第1の発明に記載の板状銅粉の製造方法であって、
前記3価のFeイオン源は、溶液となったとき3価のFeイオンを生じる化合物であり、
前記Mgイオン源は、溶液となったときMgイオンを生じる化合物であり、
前記Pイオン源は、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウムから選択される1種以上であり、
前記Znイオン源は、溶液となったときZnイオンを生じる化合物であり、
前記Asイオン源は、三酸化二ひ素、五酸化二ひ素、ひ酸溶液から選択される1種以上である、板状銅粉の製造方法である。
第3の発明は、
前記第1の還元剤としてブドウ糖を用い、前記第2の還元剤としてヒドラジンを用いることを特徴とする第1または第2の発明に記載の板状銅粉の製造方法である。
第4の発明は、
アスペクト比が20を超え、鉄の含有量が31ppm以上683ppm以下であり、ヒ素の含有量が81ppm以上124ppm以下である板状銅粉である。
第5の発明は、
SEM長軸径が1μm以上9.9μm以下である第4の発明に記載の板状銅粉である。
第6の発明は、
SEM厚みが0.4μm以上1.2μm以下である第4または第5の発明に記載の板状銅粉である。
第7の発明は、
アスペクト比が24.2以下である第4から第6の発明のいずれかに記載の板状銅粉である。
第8の発明は、
第4から第7の発明のいずれかに記載の板状銅粉を含む導電性ペーストである。
尚、本発明において「○○イオン源」とは、「溶液となったとき○○イオンを生成する化合物」のことをいう。例えば、2価のFeイオン源とは、溶液となったとき2価のFeイオンを生成する化合物のことをいう。
本発明に係る板状銅粉の製造方法によれば、粒径が1μm以上の板状銅粉であって、アスペクト比が3.0以上の板状銅粉を、安定的かつ低コストに製造出来る。そして、製造された板状銅粉をフィラーとして用いることで、高特性の導電性ペーストを得ることが出来る。
本発明に係る板状銅粉の10000倍のSEM写真である。 本発明に係る板状銅粉の2000倍のSEM写真である。
本発明は、銅イオンを含む溶液と、2価のFeイオン源と、アルカリ溶液とを混合して第1のスラリーを得、得られた第1のスラリーへ第1の還元剤を加えて第2のスラリーを得、得られた2のスラリーへ第2の還元剤を加えて銅粉を析出させることにより製造された板状銅粉、当該板状銅粉の製造方法、当該板状銅粉用いた導電性ペーストである。
以下、銅イオンを含む溶液、形状制御剤、アルカリ溶液、第1のスラリー、第1の還元剤、第2のスラリー、第2の還元剤、製造された銅粉、まとめの順で詳細に説明する。
1.銅イオンを含む溶液
銅イオンを含む溶液として、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、炭酸銅などの銅化合物の水溶液を使用することが出来る。さらに銅イオン源として、2価の銅イオンを含有する水溶液を使用するのが好ましい。特に、硫酸銅の水溶液を使用するのが好ましい。
当該銅イオンを含む溶液の好ましい銅イオン濃度は、銅イオンの質量として20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
2.形状制御剤
本発明に係る形状制御剤とは、本発明に係る板状銅粉の製造方法により製造される銅粉の形状を制御することを可能とする物質のことである。
本発明者らは、第1の形状制御剤として2価のFeイオン源を知見した。当該第1の形状制御剤を、銅イオンを含む溶液へ加えて所定の湿式工程を経るだけで、機械的加工工程を経ることなく、粒径が1μm以上の板状銅粉であって、アスペクト比が3.0以上の板状銅粉を得ることが出来る。
本発明に係る粒径が1μm以上の板状銅粉であって、アスペクト比が3.0以上の板状銅粉は、第1の形状制御剤の添加で得ることが出来る。そして、当該第1の形状制御剤へ、さらに第2の形状制御剤を組み合わせて添加することで、さらに大きなアスペクト比を有する板状銅粉を得ることが出来好ましい。
当該2の形状制御剤としては、3価のFeイオン源、Mgイオン源、Pイオン源、Znイオン源、Asイオン源等を初めとして、金属の結晶構造として立方および菱面体の結晶構造を有する金属を用いることが出来る。
ここで、第1、第2の形状制御剤についてさらに説明する。
(1)2価のFeイオン源(第1の形状制御剤)
2価のFeイオン源としては、塩化鉄(II)(塩化鉄(II)水和物を含む。)、臭化鉄(II)(臭化鉄(II)水和物を含む。)、硫酸鉄(II)(硫酸鉄(II)水和物を含む。)等が、好適である。さらに、これらの混合物も使用することが出来る。なかでも硫酸鉄(II)(硫酸鉄(II)水和物を含む。)を使用するのが取り扱い易さ、コストの観点から好ましい。
2価のFeイオン添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.00001モル以上、0.1モル以下が好ましい。0.00001モル以上あれば効果が発揮され、0.1モル以上では効果が飽和するからである。当該効果の観点からは0.0001モル以上、0.01モル以下であることが、さらに好ましい。
(2)3価のFeイオン源(第2の形状制御剤)
3価のFeイオン源としては、塩化鉄(III)(塩化鉄(III)水和物を含む。)、臭化鉄(III)(臭化鉄(III)水和物を含む。)、硫酸鉄(III)(硫酸鉄(III)水和物を含む。)等が、好適である。さらに、これらの混合物も使用することが出来る。なかでも硫酸鉄(III)(硫酸鉄(III)水和物を含む。)を使用するのが取り扱い易さ、コストの観点から好ましい。
3価のFeイオン添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.00001モル以上、0.1モル以下が好ましい。0.00001モル以上あれば効果が発揮され、0.1モル以上では効果が飽和するからである。当該効果の観点からは0.001モル以上、0.01モル以下であることが、さらに好ましい。
(3)Mgイオン源(第2の形状制御剤)
Mgイオン源としては、硝酸マグネシウム(水和物を含む。)、硫酸マグネシウム(水和物を含む。)、塩化マグネシウム(水和物を含む。)、臭化マグネシウム(水和物を含む。)等が、好適である。さらに、これらの混合物も使用することが出来る。なかでも硫酸マグネシウム(水和物を含む)を使用するのが取り扱い易さ、コストの観点から好ましい。
Mgイオン添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.00001モル以上、0.1モル以下が好ましい。0.00001モル以上あれば効果が発揮され、0.1モル以上では効果が飽和するからである。当該効果の観点からは0.001モル以上、0.05モル以下であることが、さらに好ましい。
(4)Pイオン源(第2の形状制御剤)
Pイオン源としては、リン酸水素二カリウム(水和物を含む。)、リン酸水素二ナトリウム(水和物を含む。)、リン酸三カリウム(水和物を含む。)、リン酸三ナトリウム(水和物を含む。)等が、好適である。さらに、これらの混合物も使用することが出来る。なかでもリン酸三ナトリウム(水和物を含む。)を使用するのが取り扱い易さ、コストの観点から好ましい。
Pイオン添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.00001モル以上、0.1モル以下であるのが好ましい。0.00001モル以上あれば効果が発揮され、0.1モル以上では効果が飽和するからである。当該効果の観点からは0.0001モル以上、0.05モル以下であることが、さらに好ましい。
(5)Znイオン源(第2の形状制御剤)
Znイオン源としては、臭化亜鉛、塩化亜鉛(水和物を含む。)、硝酸亜鉛(水和物を含む。)、硫酸亜鉛(水和物を含む。)等が、好適である。さらに、これらの混合物も使用することが出来る。なかでも硫酸亜鉛(水和物を含む)を使用するのが取り扱い易さ、コストの観点から好ましい。
Znイオン添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.00001モル以上、0.1モル以下であるのが好ましい。0.00001モル以上あれば効果が発揮され、0.1モル以上では効果が飽和するからである。当該効果の観点からは0.001モル以上、0.01モル以下であることが、さらに好ましい。
(6)Asイオン源(第2の形状制御剤)
Asイオン源としては、三酸化二ひ素、五酸化二ひ素、ひ酸溶液等が、好適である。さらに、これらの混合物も使用することが出来る。なかでもひ酸溶液を使用するのが取り扱い易さ、コストの観点から好ましい。
Asイオン添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.00001モル以上、0.1モル以下が好ましい。0.00001モル以上あれば効果が発揮され、0.1モル以上では効果が飽和するからである。当該効果の観点からは0.00005モル以上、0.001モル以下であることがさらに好ましい。
第1の形状制御剤、または、第1と第2の形状制御剤とを組み合わせて添加する場合、アルカリ溶液と銅イオンを含む溶液を混合する前に予め銅イオンを含む溶液に、第1の形状制御剤、または、第1と第2の形状制御剤とを混合しておき、アルカリ溶液と銅イオンを含む溶液を反応させると、反応が効率よく進み好ましい構成である。また、形状制御剤としてアルカリ性の形状制御剤を用いる場合は、アルカリ溶液に予め混合しておくと、アルカリ溶液と銅イオンを含む溶液の反応が効率よく進み、好ましい構成である。
3.アルカリ溶液
アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの一般的に使用されている様々なアルカリの水溶液を使用することが出来る。なかでも入手のし易さから、水酸化ナトリウム溶液を使用するのが好ましい。
銅イオンを含む溶液とアルカリ溶液との混合における、当該アルカリ溶液の混合量は、後工程における還元剤の添加量により決定されるものである。これは、当該後工程におけるスラリーのpH値によって、添加される還元剤の還元力が異なる為である。
尤も、銅イオンを含む溶液として2価の銅イオンを含有する水溶液を使用する場合には、2価の銅イオンに対して1.0〜3.0当量にするのが好ましい。
尚、空気中の二酸化炭素によって汚染されたアルカリ溶液を使用すると、生成する亜酸化銅が炭素を含有してしまう場合がある。そこで、アルカリ溶液が空気中の二酸化炭素によって汚染されないように注意する必要がある。具体的には、アルカリ溶液を窒素ガスなどの不活性ガスでパージして、当該アルカリ溶液への二酸化炭素の混入を防ぐのが好ましい。
4.第1のスラリー
第1のスラリーは、銅イオンを含む溶液とアルカリ溶液とが反応し、生成した水酸化銅と、形状制御剤とが含まれるスラリーである。
ここで、銅イオンを含む溶液とアルカリ溶液との反応は、20℃〜70℃で行うのが好ましく、25℃〜40℃で行うのがより好ましい。反応の熟成時間は、5分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。一方、熟成時間に上限はないが、工程時間を考慮すると60分間以下が好ましく、30分間以下がより好ましい。
5.第1の還元剤
本発明に係る第1の還元剤としては、硫酸ヒドロキシルアミン(硫酸ヒドロキシルアンモニウム)、硝酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイド)、硫酸ヒドラジン、リン酸ヒドラジン、ヒドラジン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ブドウ糖、フルクトース、マルトース、ラクトースなどの様々な還元剤を使用することが出来る。
なかでも、コスト、入手し易さ、取り扱いの安全性の観点から、ブドウ糖、フルクトース、マルトース、ラクトースなどの還元糖が好ましく、ブドウ糖がさらに好ましい。
銅イオンを含む溶液として2価の銅イオンを含有する水溶液を使用している場合は、当該第1の還元剤の添加量は、含有される2価の銅イオンが、化学量論的に1価の銅まで(すなわち亜酸化銅まで)還元することが出来る量以上にすることが原則である。しかし、当該第1の還元剤の添加量が多すぎると、コスト的に不利であり、また、溶液のpH値や還元剤の種類によっては、2価の銅イオンが銅まで還元されてしまう場合がある。そこで、含有される銅イオンに対する、当該第1の還元剤モル比を0.1〜3.0にするのが好ましい。
ここで、アルカリ溶液は、第1の還元剤を添加する前に銅イオンを含む溶液と反応させてもよく、後に反応させてもよい。さらに、第1の還元剤を添加する前後に分けて反応させてもよい。
6.第2のスラリー
第2のスラリーは、第1の還元剤により還元されて生成する形状が制御された亜酸化銅と、形状制御剤とが含まれるスラリーである。
当該第1の還元剤による還元反応の際、反応液が均一に混合するように攪拌するのが好ましい。攪拌方法としては、例えば、マグネットスターラーにより攪拌する方法や、羽根を備え付けた攪拌棒を反応液中に設置して外部モーターにより回転することにより攪拌する方法などが挙げられる。
還元反応時の温度は、10℃〜100℃程度であればよいが、反応の制御性の観点から40℃〜90℃であることが好ましい。
7.第2の還元剤
本発明に係る第2の還元剤としては、第2のスラリー中の亜酸化銅を、金属銅まで還元可能な還元剤であればどのような還元剤でも使用することが出来る。なかでも、還元力やコストの観点からヒドラジンが好ましく、抱水ヒドラジンがさらに好ましい。
当該第2の還元剤の添加量は、当該亜酸化銅に含まれる銅に対して1.0〜3.0当量であることが好ましく、1.5〜2.5当量であることがさらに好ましい。
上述した第2のスラリーである亜酸化銅含有スラリーをデカントして上澄みを除去した後、純水を加えて攪拌し、本発明に係る第2の還元剤を添加することで、板状銅粉を得ることが出来る。または、上述した第2のスラリーである亜酸化銅含有スラリーをデカントして上澄みを除去した後、得られた亜酸化銅粉末を純水中に再度分散して得られた亜酸化銅含有スラリーに還元剤を添加することで、板状銅粉を得ることが出来る。
具体的には、第2のスラリーを30〜45℃として、第2の還元剤を添加し、金属銅の核発生が見られない不飽和段階のスラリーとする。その後、当該不飽和段階のスラリーを、0.1〜3℃/分で昇温させて金属銅の核を発生させる。そして、当該不飽和段階のスラリーが60〜90℃となった時点で、さらに第2の還元剤を添加して金属銅の核を成長させることによって、板状銅粉を含むスラリーを得ることが出来る。
また、不飽和段階のスラリーが60〜90℃の時点で第2の還元剤を一挙に添加するか、あるいは30〜45℃の時点で第2の還元剤を一挙に添加し、昇温を行って核発生量を増やすことにより粒径の小さな板状銅粉を含むスラリーを得ることが出来る。
8.製造された銅粉
得られた板状銅粉を含むスラリーをろ過し、水洗することによって、銅粉のケーキが得られる。ろ過および水洗の方法としては、フィルタープレスなどにより粉体を固定した状態で水洗する方法、スラリーをデカントし、その上澄み液を除去した後に純水を加えて攪拌し、その後、再びデカントして上澄み液を除去する操作を繰り返し行う方法、ろ過後の銅粉をリパルプした後に再度ろ過する操作を繰り返し行う方法、などのいずれでもよい。
しかし、いずれの方法であっても、銅粉表面に残留している不純物を出来る限り除去することが出来る方法が好ましく、これにより、乾燥処理中の凝集を防止する効果や、銅粉の表面に存在する官能基の活性度合いが高まることにより脂肪酸を表面処理した際の脂肪酸や表面処理剤などの銅粉への付着率が高まる効果があると考えられる。
また、得られた銅粉のケーキを、酸化させない雰囲気において乾燥(窒素雰囲気中の乾燥や真空乾燥)することによって板状銅粉を得ることが出来る。また、必要に応じて、乾式解砕処理、篩分け、風力分級などの処理を行ってもよい。
一方、脂肪酸およびベンゾトリアゾールなどの防錆効果ある物質を低級アルコールなどに溶解し、水洗した銅ケーキに通液、または、銅ケーキをリパルプさせることにより、銅粉を被覆してもよい。また、銅ケーキの乾燥を早めるために、銅ケーキ中の水分を低級アルコールにより置換してもよい。
得られた板状銅粉において、粒径(後述するSEM長軸径)は1μm以上であり、長軸径/厚みの計算値をアスペクト比(後述するSEM長軸径/SEM厚み)とすると、機械的な加工を加えていないにも拘わらず、アスペクト比が3.0以上のものが得られた。さらに、第2の形状制御剤の添加によって、アスペクト比が20を超える板状銅粉も得られた。従って、フレーク形状の銅粉の代替としても用いることが出来るものであった。
9.まとめ
本発明に係る板状銅粉の製造方法により製造された板状銅粉は、後述する本発明に係る板状銅粉のSEM写真である図1、2から明らかなように、凝集が認められない板状銅粉であった。そして、当該板状銅粉を用いて、公知の方法により導電性ペーストを製造することが出来た。製造された導電性ペーストは、従来の球状銅粉を使用したものに比べて、粒子同士の接触状態が改善されるので、導電性が向上し且つ熱収縮の少ない導電回路や電極を形成することが出来ると考えられる。
また、当該板状銅粉は、従来の機械加工を経て得られるフレーク銅粉と比較して表面の結晶状態が良い。これは、粒子の表面が物理的に潰されることが無い為であると考えられる。従って、当該板状銅粉を、銀ペースト用の銀フィラーの代替として銅の表面を銀コートした銀コート銅粉として用いた場合、表面により均一に銀をコーティングすることが可能であると考えられる。
以下、実施例を参照しながら本発明を説明する。
〔実施例1〕
(アルカリ溶液の調製)
反応槽内へ、49質量%の水酸化ナトリウム水溶液2.23kgと純水8.34kgとを入れた。反応槽内の攪拌棒の回転数を220rpmに調整し、反応槽内の温度を27.6℃に調整して、アルカリ溶液を調製した。
(銅イオンを含む溶液の調製、第1の形状制御剤、第1のスラリーの調製)
硫酸銅5水和物2.74kgを純水6.54kgに溶解させて、銅イオンを含む溶液である硫酸銅水溶液を調製した。そして、当該銅イオンを含む溶液へ、第1の形状制御剤として硫酸鉄(II)7水和物(キシダ化学製)2.181gを添加した。この結果、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モルとなった。
当該第1の形状制御剤が添加された銅イオンを含む溶液を、上記の反応槽内のアルカリ溶液に添加した後、10分間攪拌しながら熟成させて水酸化銅を析出させ、第1のスラリーを調製した。
(第1の還元剤、第2のスラリーの調製)
第1の還元剤として、ブドウ糖0.74kgを純水3.72kgに溶解してブドウ糖水溶液を調製した。
当該第1の還元剤を反応槽内の第1のスラリーに添加し、1.2℃/分で70.6℃まで昇温し、70.6℃の温度を30分間保持した後、空気を用い2.3L/分の流量で200分間バブリングして第2のスラリーを調製し、窒素雰囲気中で静置した。
(第2の還元剤、銅粉の調製)
上記第2のスラリーから上澄み液を除去した後、純水2400gを加えてスラリーの重量を4800gに調整した。温度調整しながら当該スラリーを攪拌し、第2の還元剤として純度80%の抱水ヒドラジン368.8g(ヒドラジン当量で2.15)を14回に分けて添加し、実施例1に係る板状銅粉を得た。
具体的には、まず44℃で0.22当量のヒドラジンを添加し、次に49℃まで昇温し、合計で0.67当量のヒドラジンを分割して添加し、さらに0.25℃/分で83℃まで昇温し、合計で1.26当量のヒドラジンを分割して添加して、実施例1に係る板状銅粉を得た。
尚、当該ヒドラジン当量とは、亜酸化銅を全て金属銅に還元するために要するヒドラジンの化学量論量を1当量としたときの、そのヒドラジンの化学量論量に対する割合である。例えば、90分間経過した時点でヒドラジンの添加量が0.1当量であれば、90分間経過した時点において亜酸化銅を全て金属銅に還元するために要するヒドラジンの化学量論量の1/10量のヒドラジンを添加したことを意味する。
得られた実施例1における、形状制御剤添加量を表1に示す。
以下、実施例2〜13、比較例1、2も同様とする。
(銅粉の性状特性の評価)
得られた実施例1に係る板状銅粉における性状特性として、板状割合、SEM長軸径、SEM厚み、アスペクト比、酸素含有量、炭素含有量、BET比表面積を測定した。当該測定結果を表2に示す。
以下、実施例2〜13、比較例1、2も同様とする。
ここで、上記銅粉の性状特性の評価方法について説明する。
〈SEM長軸径、SEM厚み、アスペクト比〉
まず、実施例1で得られた板状銅粉から、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)(日立製作所製のS−4700型)によってFE−SEM画像を得る。そして、当該FE−SEM画像に対し、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マウンテック社のMac−View,Ver4)を用いて、板状銅粉の長軸径、すなわち、FE−SEM画像上における板状銅粉粒子の最大長となる長さを測定した。次に当該最大長となる長さを、100個以上の板状銅粉について同様に測定し算術平均することにより、50%粒径(SEM50%粒径)を求め、これをSEM長軸径とした。そして当該SEM長軸径を、本発明に係る板状銅粉の粒径とした。
また、同様の方法により、板状銅粉の厚みを測定して、それらを算術平均することにより50%厚み(SEM50%厚み)を求め、これをSEM厚みとした。
そして、得られたSEM長軸径およびSEM厚みから、「SEM長軸径/SEM厚み」の値を計算し、当該計算値を本発明に係る板状銅粉のアスペクト比とした。
尚、FE−SEM画像は長軸径および厚みを測定することが出来る倍率で撮影した画像を用いて粒子径を測定した。具体的には、実施例1〜5、7および比較例1では2000倍、実施例6、8〜13では1000倍、実施例14では10000倍、比較例2では5000倍のFE−SEM画像を用いた。
〈板状割合〉
板状割合とは得られた板状銅粉において、[板状銅粉の粒子数/(板状銅粉の粒子数+板状銅粉以外の粒子数)]で示される割合のことである。
まず、実施例1で得られた板状銅粉から、電界放出型走査電子顕微鏡(同上)のS−4700型)によってFE−SEM画像を得る。当該FE−SEM画像に対し、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(同上)を用いて板状銅粉および板状銅粉以外の粒子個数を測定し、計算することにより求めた。
尚、当該FE−SEM画像は、板状銅粉および板状銅粉以外の銅粉の個数が測定出来る倍率で撮影した画像を用い、上記SEM長軸径等と同倍率で測定した。
〈酸素含有量(O)〉
得られた銅粉中の酸素含有量は、酸素・窒素分析装置(LECO社製のTC−436型)により測定した。
〈炭素含有量(C)〉
得られた銅粉中の炭素含有量は、炭素・硫黄分析装置(堀場製作所製のEMIA−220V)により測定した。
〈BET比表面積〉
得られた銅粉のBET比表面積は、BET比表面積測定装置(ユアサイオニクス株式会社製の4ソーブUS)を用いてBET法により求めた。
(銅粉中の形状制御剤含有量の測定)
得られた銅粉中の形状制御剤の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(サーモ・ジャーレル・アッシュ社製のIRIS/AP)によって測定した。当該測定結果を表3に示す。
以下、実施例2〜12、比較例1、2も同様とする。
〔実施例2〕
第1の形状制御剤である硫酸鉄(II)7水和物(キシダ化学製)の添加量を8.725gとした以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00285モルとなった。
〔実施例3〕
銅イオンを含む溶液へ、さらに第2の形状制御剤として硫酸鉄(III)n水和物(和光純薬工業製)を13.446g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00428モルとなった。
〔実施例4〕
銅イオンを含む溶液へ、さらに第2の形状制御剤として硫酸マグネシウム7水和物(和光純薬工業製)を27.204g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00983モルとなった。
〔実施例5〕
アルカリ溶液へ、さらに第2の形状制御剤としてリン酸三ナトリウム12水和物(キシダ化学製)を4.074g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例5に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00096モルとなった。
〔実施例6〕
アルカリ溶液へ、さらに第2の形状制御剤としてリン酸三ナトリウム12水和物(キシダ化学製)を48.883g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例6に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.01157モルとなった。
〔実施例7〕
銅イオンを含む溶液へ、さらに第2の形状制御剤として硫酸亜鉛7水和物(キシダ化学製)を6.802g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例7に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00365モルとなった。
〔実施例8〕
銅イオンを含む溶液へ、さらに第2の形状制御剤として60%ひ酸溶液(和光純薬工業製)を0.404g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例8に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00007モルとなった。
〔実施例9〕
銅イオンを含む溶液へ、さらに第2の形状制御剤として60%ひ酸溶液(和光純薬工業製)を1.616g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例9に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00071モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00027モルとなった。
〔実施例10〕
銅イオンを含む溶液へ、第1の形状制御剤である硫酸鉄(II)7水和物(キシダ化学製)の添加量を4.363gとし、さらに第2の形状制御剤として60%ひ酸溶液(和光純薬工業製)を0.404g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例10に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00143モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00007モルとなった。
〔実施例11〕
銅イオンを含む溶液へ、第1の形状制御剤である硫酸鉄(II)7水和物(キシダ化学製)の添加量を4.363gとし、さらに第2の形状制御剤として60%ひ酸溶液(和光純薬工業製)を1.616g添加した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例11に係る板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00143モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00027モルとなった。
当該実施例11に係る板状銅粉の10000倍のSEM写真を図1に、同じく2000倍のSEM写真を図2に示す。
〔実施例12〕
実施例11と同様ではあるが、第2のスラリーから上澄み液を除去した後、純水を加えてスラリーの重量調整した後、温度調整しながら当該スラリーの攪拌を継続し、第2の還元剤を添加する工程において、純度80%の抱水ヒドラジン411.1g(ヒドラジン当量で2.40)を14回に分けて添加して、板状銅粉を得た。
具体的には、まず44℃で0.35当量のヒドラジンを添加し、次に49℃まで昇温し、合計で1.05当量のヒドラジンを分割して添加し、さらに0.25℃/分で83℃まで昇温し、合計で1.00当量のヒドラジンを分割して添加した以外は、実施例11と同様の方法により、板状銅粉を得た。尚、当該銅イオン1モルに対する第1の形状制御剤の添加量は0.00143モル、第2の形状制御剤の添加量は0.00027モルとなった。
〔比較例1〕
第1および第2の形状制御剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、銅粉を得た。
〔比較例2〕
第1の形状制御剤を添加しなかった以外は、実施例4と同様の方法により、板状銅粉を得た。
[考察]
表1より、第1の形状制御剤および第2の形状制御剤を添加していない比較例1の板状割合が1%未満なのに対して、実施例1〜12に示す板状銅粉の板状割合は10.3%以上と、板状割合が向上し、第1の形状制御剤および第2の形状制御剤が板状形状の生成に効果を発揮していることが解る。また、第1の形状制御剤を添加していない比較例2の板状割合が3.3%なのに対して、第1の形状制御剤および第2の形状制御剤を添加している実施例4の板状割合が54.6%となり、第1の形状制御剤と第2の形状制御剤の組み合わせにより、板状割合が飛躍的に増加することが解る。
次に、第1の形状制御剤を添加していない比較例2のアスペクト比が2.9なのに対して、第1の形状制御剤を添加している実施例1、2のアスペクト比が3.4、4.2と、3.0以上となり、また、第1の形状制御剤と第2の形状制御剤を添加している実施例3〜12のアスペクト比が3.9〜24.2と、20を超えるものもあった。即ち、第1の形状制御剤と第2の形状制御剤の組み合わせにより、板状割合が増加するのと伴に、アスペクト比も高くなることが解った。特に、実施例5、6から、第2の形状制御剤であるPイオン源の添加により、アスペクト比が10以上、実施例8〜12から、第2の形状制御剤であるAsイオン源の添加により、アスペクト比が15以上となることが解った。
一方、実施例1、2から、第1の形状制御剤である2価のFeイオン源の添加量を増加させることにより、板状割合が10.3%から35.5%に増加し、アスペクト比が3.4から4.2と高くなることが解った。実施例5、6から、第2の形状制御剤であるPイオン源の添加量を増加させることにより、板状割合が24.5%から40.6%に増加し、アスペクト比が10.6から13.9と高くなることが解った。実施例8、9から、第2の形状制御剤であるAsイオン源の添加量を増加させることにより、板状割合が43.6%から60.3%に増加し、アスペクト比が15.2から16.5と高くなることが解った。実施例9、11から、第2の形状制御剤の添加量を変えずに、第1の形状制御剤の添加量を増加させることでも、板状割合が60.3%から69.8%に増加し、アスペクト比が20.8から23.9と高くなることが解った。このように、形状制御剤の量を増加させること、また第1の形状制御剤と第2の形状制御剤を組み合わせることにより、板状割合およびアスペクト比を制御することが可能となることが解った。
また、比較例2から、第1の形状制御剤を添加せず、第2の形状制御剤のみを添加した場合であっても、板状銅粉が生成することも判明した。しかしながら、上述した、第1の形状制御剤の添加、または、第1と第2の形状制御剤とを組み合わせて添加する構成に比較すると、板状銅粉生成の反応効率が低く、生成する板状銅粉の形状等も劣る等、問題が多いことが判明した。
通常、導電性ペーストにおいて、含有されるフィラー同士の接点を多くとるために、球状のフィラーと扁平状のフィラーを混合して使用される。この為、フィラーとして使用される銅粉において、球状銅粉および板状銅粉の割合を制御できることは、産業上重要である。

Claims (8)

  1. 銅イオンを含む溶液と、溶液となったとき2価のFeイオンを生成する化合物である2価のFeイオン源と、アルカリ溶液とを混合し、水酸化銅を含む第1のスラリーを得る工程と、
    前記第1のスラリーへ第1の還元剤を加え、亜酸化銅を含む第2のスラリーを得る工程と、
    前記第2のスラリーへ第2の還元剤を加えて、銅粉を析出させる工程とを、有することを特徴とする板状銅粉の製造方法であって、
    前記2価のFeイオン源の添加量は、銅イオンを含む溶液中の銅イオン1モルに対して0.0001モル以上であり、
    前記第1の還元剤が、硫酸ヒドロキシルアミン、硝酸ヒドロキシルアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、硫酸ヒドラジン、リン酸ヒドラジン、ヒドラジン、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、ブドウ糖、フルクトース、マルトース、ラクトースから選択される1種以上である、
    板状銅粉の製造方法。
  2. 前記第1のスラリーを得る工程において、
    さらに、3価のFeイオン源、Mgイオン源、Pイオン源、Znイオン源、Asイオン源から選択される1種以上を混合することを特徴とする請求項1に記載の板状銅粉の製造方法であって、
    前記3価のFeイオン源は、溶液となったとき3価のFeイオンを生じる化合物であり、
    前記Mgイオン源は、溶液となったときMgイオンを生じる化合物であり、
    前記Pイオン源は、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウムから選択される1種以上であり、
    前記Znイオン源は、溶液となったときZnイオンを生じる化合物であり、
    前記Asイオン源は、三酸化二ひ素、五酸化二ひ素、ひ酸溶液から選択される1種以上である、
    板状銅粉の製造方法。
  3. 前記第1の還元剤としてブドウ糖を用い、前記第2の還元剤としてヒドラジンを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の板状銅粉の製造方法。
  4. アスペクト比が20を超え、鉄の含有量が31ppm以上683ppm以下であり、ヒ素の含有量が81ppm以上124ppm以下である板状銅粉。
  5. SEM長軸径が1μm以上9.9μm以下である請求項4に記載の板状銅粉。
  6. SEM厚みが0.4μm以上1.2μm以下である請求項4または5に記載の板状銅粉。
  7. アスペクト比が24.2以下である請求項4から6のいずれかに記載の板状銅粉。
  8. 請求項4から7のいずれかに記載の板状銅粉を含む導電性ペースト。
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