図1は、シナプス小胞サイクリングの模式図であり、一定のシナプス前タンパク質が機能すると考えられている部分を示す。
図2は、神経細胞にシナプス小胞サイクリングを励起するために用いることができる電極対の立面図である。(A)電極対は、内側ロッド様電極102と外側円筒型電極104からなる。電極対は、神経細胞に接触させるか、またはその近傍に配置してよい。(B)(A)に示す電極対の上面図である。
図3(A)〜(D)は、図2A〜Bの電極に適用可能な電圧波形のいくつかの態様である。
図4(A)は、電極への電圧の適用に応答して図2A〜Bの電極間に生じ得る瞬間電界:
である。(B)は、神経細胞の近傍に生じ得る瞬間電界:
である。
図5は、シナプス小胞サイクリングを励起するのに用いることができる電極構成の、種々の態様を示す図である。
図6(A)〜(B)は、電極アセンブリの態様を示す図である。電極102、104はプレート503に支持され、電極との電気的接触は、導電配線(conductive trace)510、512を介して作られる。(C)は、電極アセンブリの立面図の写真である。
図7(A)〜(C)は、マルチウェルプレートにおいて実質的に同時にシナプス小胞サイクリングを励起するために用いることができる、マルチ電極アセンブリの図である。(A)上面図;(B)立面図;(C)底面図。
図8(A)は、マルチ電極アセンブリの態様を示し、ここで電極対の列または行は、個別に励起することができる。(B)は、個別の導電配線610のための局所的電気的接触722A〜722Lを示す。
図9は、1または2以上の電極対に電圧波形を適用するのに用いることができる電気回路の態様のブロック図である。
図10は、シナプス小胞サイクリングプラットフォームの態様を示す立面図である。プラットフォームは、マルチウェルプレート915、倒立顕微鏡910、位置決め装置945、およびマルチ電極アセンブリ600からなる。種々の態様において、顕微鏡910はウェル908内に生じるシナプス小胞サイクリング活性の少なくとも一部を画像化する。
図11は、シナプス小胞サイクリングプラットフォームの態様を示す立面図である。プラットフォームは、マルチウェルプレート915、マルチ電極アセンブリ600、レンズアレイ1070、および光検出器アレイ1080からなる。種々の態様において、ウェル内でのシナプス小胞サイクリングの間に放射される蛍光放射線の少なくとも一部が、レンズ1072で収集され、対応する光検出器1082に向けられる。シナプス小胞サイクリングプラットフォームのこの態様は、神経細胞を含むウェルなどの個別の容器でのシナプス小胞サイクリングの平行モニタリングを提供する。
図12:Cypher5E(GE Healthcare)は、〜pH5.5で蛍光を発し〜pH7.4で消光する、pH感受性染料である。異なるpHでのCypher5Eの蛍光の差は、pH7.4(左)とpH5.5(右)で異なる構造を持つために生じる。
図13は、シナプトsynaptopHluorinを発現するアデノ随伴ウイルスに感染させた初代神経細胞における、倒立顕微鏡で測定された全ウェルレベルでのシナプス小胞サイクリングを示す例示の結果を示す図である。
図14は、シナプトsynaptopHluorinを発現するアデノ随伴ウイルスに感染させた初代神経細胞における、plate::visionプレートリーダーで測定された全ウェルレベルでのシナプス小胞サイクリングを示す例示の結果を示す図である。
図15は、96ウェルプレートに適合する、外径6mmの外側プラチナリング電極を含む例示のカスタム電極の図である。
図16は、実験結果(蛍光画像および蛍光シグナルトレースを示す図である。データは、初代神経細胞での活動電位の刺激から得た。神経細胞は96ウェルプレートで培養され、刺激は、改変された市販のエレクトロポレーションシステム(Cellaxess(登録商標)CX3, Cellectricon AB, Moldnal, Sweden)を用いて行った。この結果は、初代神経細胞培養物のCa++画像化により測定されるように、Cellectriconシステムが初代神経細胞に活動電位を誘発できることを実証する。この図のスケールバーは100μmである。
図17は、シナプス小胞サイクリングを96ウェルプレート内で刺激した実験からの実験結果(蛍光画像および蛍光シグナルトレース)を示す図である。電気刺激システムは図16の実験で用いたものと同一である。この図は、初代神経細胞培養物のシナプトsynaptopHluorinの画像化により測定されるように、Cellectriconシステムが初代神経細胞にシナプス小胞サイクリングを刺激できることを実証する。
図18は、ニューロンをカスタム製Cellectricon電極で刺激した場合に、plate::visionプレートリーダーが、シナプトフィジン−pHluorinレポーターを用いて、シナプス小胞サイクルを測定可能であることを示す例示の結果である。
図19は、plate::visionプレートリーダーシステムが、少数の活動電位に対するシナプトフィジン−pHluorin応答を首尾よく検出できることを示す、例示の結果である。
図20は、例示のハイコンテントスクリーニングシステムの図である。
図21は、シナプス前HTSプラットフォーム装置の例である。(上図)HTSプラットフォーム装置の上部キャビネットであり、Tecanロボット液体ハンドリングヘッド、電気刺激チップモジュール、アッセイプレート、およびplate::visionプレートリーダーからのiCCDカメラの位置を示す。(下図)下部キャビネットであり、パルス発生器、プレートリーダー、プレートリーダーランプ、および種々の電力供給装置の位置を示す。
図22は、シナプス前HTSプラットフォームを用いた96平行シナプス前アッセイからの結果の図であり、トレースはそれらのピーク応答に対して正規化されている。
図23は、シナプス前HTSプラットフォーム電気刺激システムの均一性分析からの例示の結果を示す。(A)は、1つのウェルからの刺激トレイン(stimulation trains)(赤色バー)に対するsypHy蛍光応答を示す。(B)は、刺激電圧の関数としてのピークsypHy蛍光振幅と、EV50測定値の導出を示す。(C)は、96ウェルプレートにわたる、ウェルの関数としてのEV50を示す。電気刺激システムは、96ウェルプレートにわたり高度に均一な電流密度を送達する。
図24は、シナプス前HTSプラットフォームの感受性分析からの例示の結果を示す。
図25は、シナプス前HTSプラットフォームによる、シナプス小胞サイクリングにおける化合物誘発性の変化の検出の図である。
図26は、ハイコンテント画像化システムを用いた、シナプス小胞サイクリング測定を示す。
図27は、Fluoroskan Ascent FLプレートリーダーを用いた、シナプス小胞サイクリングの分析からの例示の結果の図である。
定義
剤:本明細書において、用語「剤」(「試験剤」または「候補剤」とも呼ぶ)とは、潜在的モジュレータとして試験することができる任意の化合物または組成物を指す。用いることのできる剤の例としては、限定することなく、小分子、抗体、抗体断片、siRNA、shRNA、核酸分子(RNA、DNA、またはDNA/RNAハイブリッド)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、ペプチド、ペプチド模倣薬、炭水化物、脂質、微生物、天然産物などが挙げられる。いくつかの態様において、剤は単離することができるか、または単離されない。非限定的例として、剤は剤のライブラリであることができる。複数剤の混合物がモジュレータとして見出された場合、次にプールをさらに個別の成分に精製して、どの成分が実際に標的活性のモジュレータであるかを決定することができる。
アミノ酸:本明細書において、用語「アミノ酸」はその最も広い意味において、ポリペプチド鎖に組み込むことができる任意の化合物および/または物質を指す。いくつかの態様において、アミノ酸は、一般構造H2N−C(H)(R)−COOHを有する。いくつかの態様において、アミノ酸は天然のアミノ酸である。いくつかの態様において、アミノ酸は合成のアミノ酸である;いくつかの態様において、アミノ酸はDアミノ酸である;いくつかの態様において、アミノ酸はLアミノ酸である。「標準アミノ酸」とは、天然のペプチドに一般的に見出される20種の標準Lアミノ酸の任意のものを指す。「非標準アミノ酸」は、合成的に調製されたかまたは天然源から得たかに関係なく、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書において、「合成アミノ酸」は化学的に修飾されたアミノ酸を包含し、これには限定することなく、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および/または置換物を含む。ペプチドにおけるカルボキシ−および/またはアミノ−末端アミノ酸を含むアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化、および/または、その活性に逆効果を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変えることができる他の化学基による置換によって、修飾することができる。アミノ酸はジスルフィド結合に関与してよい。用語「アミノ酸」は、「アミノ酸残基」と交換可能に用いられ、遊離アミノ酸および/またはペプチドのアミノ酸残基を指すことができる。これが遊離アミノ酸またはペプチド残基を指すかどうかは、この用語が用いられる文脈から明らかである。
動物:本明細書において、用語「動物」とは、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの態様において、「動物」は、発達の任意の段階におけるヒトを指す。いくつかの態様において、「動物」は、発達の任意の段階における非ヒト動物を指す。一定の態様において、非ヒト動物は、哺乳動物(例えばげっ歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヒツジ、ウシ、霊長類、および/またはブタ)である。いくつかの態様において、動物は、限定することなく、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、および/または虫を含む。いくつかの態様において、動物は、遺伝子組み換え動物、遺伝子操作動物、および/またはクローンであってよい。
抗体:本明細書において、用語「抗体」とは、天然の、または完全にもしくは部分的に合成により作製された、任意の免疫グロブリンを指す。特異的結合能力を維持するこれらの全ての誘導体もまた、この用語に含まれる。用語はまた、免疫グロブリン結合ドメインに相同的または大幅に相同的な結合ドメインを有する、任意のタンパク質も包含する。かかるタンパク質は、天然源に由来してもよく、または部分的もしくは完全に合成的に作製してもよい。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであってよい。抗体は、任意の免疫グロブリンクラスのメンバーであってよく、任意のヒトクラス:IgG、IgM、IgA、IgD、およびIgEを含む。本明細書において、用語「抗体断片」または「抗体の固有部分」は交換可能に用いられ、完全長より短い抗体の任意の派生物を指す。一般に、抗体断片は、完全長抗体の特異的結合能力の少なくとも重要な部分を保持する。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFv二重特異性抗体、およびFd断片を含むが、これらに限定されない。抗体断片は任意の方法により作製することができる。例えば抗体断片は、酵素的に、または化学的に、無傷の抗体の断片化により作製してよく、および/または部分的抗体配列をコードする遺伝子から組み換え的に作製してもよい。代替的または付加的に、抗体断片は、完全または部分的に合成により作製してもよい。抗体断片は、任意に、単鎖抗体断片を含んでもよい。代替的または付加的に、抗体断片は、例えばジスルフィド結合により互いに連結された複数の鎖を含むことができる。抗体断片は任意に、多分子複合体を含んでよい。機能性抗体断片には、典型的には少なくとも約50のアミノ酸、およびさらに典型的には少なくとも約200のアミノ酸が含まれる。
約:本明細書において、用語「約」または「およそ」とは、対象となる1または2以上の値に適用される場合、指定の参照値とほぼ同じである値を指す。一定の態様において、用語「約」または「およそ」とは、他の規定がない限り、または文脈からその他が明白ではない限り(かかる数値が可能な値の100%を超える場合を除き)、指定の参照値からその両方向(それより大または小)について25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満内の値の範囲を指す。
関連する:本明細書において、2または3以上の部分に関して用いる場合、用語「関連する」、「抱合される(conjugated)」、「結合する」、「付着する」、および「つながれる(tethered)」とは、その部分が、直接的に、または結合剤として働く1または2以上の付加的部分を介して、互いに物理的に関連するかまたは結合され、十分に安定な構造を形成して、その構造が用いられる条件下で、例えば生理学的条件下で、該部分が物理的な関連を維持することを意味する。いくつかの態様において、部分は、1または2以上の共有結合により互いに付着している。いくつかの態様において、部分は、非共有結合(例えば水素結合、親和性相互作用、静電相互作用、ファンデルワールス力など)が関与するメカニズムにより、互いに付着している。いくつかの態様において、十分な数のより弱い相互作用が、部分が物理的に関連するために十分な安定性を提供することができる。
生体適合である:本明細書において、用語「生体適合な」とは、細胞に毒性ではない物質を指す。いくつかの態様において、物質は、in vivoでの細胞への付加がin vivoでの炎症および/またはその他の有害な効果を誘発しない場合、「生体適合である」と考えられる。いくつかの態様において、物質は、in vivoまたはin vitroでの細胞への付加が、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、または約5%未満の細胞死をもたらす場合に、「生体適合である」と考えられる。
生分解性である:本明細書において、用語「生分解性である」とは、生理学的条件下で分解する物質を指す。いくつかの態様において、生分解性物質は、細胞マシナリーにより分解される物質である。いくつかの態様において、生分解性物質は、化学的プロセスにより分解される物質である。
対照:本明細書において、用語「対照」とは、結果を比較するための基準という、当分野で理解されるところの意味を有する。典型的には、対照は、変数についての結論を作製するために、かかる変数を分離することで実験における完全性(integrity)を増加させるために用いられる。いくつかの態様において、対照は、試験反応またはアッセイと同時に実施されて比較物を提供する、反応またはアッセイである。1つの実験において、「試験」(すなわち、試験される変数)が提供される。第2の実験、「対照」においては、試験される変数は適用されない。いくつかの態様において、対照は、履歴的対照(すなわち、前に実施された試験もしくはアッセイのもの、または以前に知られている量もしくは結果)である。いくつかの態様において、対照は、印刷されているか、その他で保存された記録であるか、またはそれを含んでいる。対照は、陽性対照または陰性対照であってよい。
検出システム:検出システムは、本明細書において、シナプス小胞サイクリングの側面をモニタリングするためのシステムである。検出システムは、典型的には、神経細胞を含むウェル内の少なくとも1領域からの発光シグナルのモニタリングを提供する。検出システムは、発光シグナルの同時のモニタリングを提供することができ、各発光シグナルは、複数ウェルの、神経細胞を含む1ウェル内の少なくとも1領域からのものである。検出システムは、ウェル内の神経細胞のレポーター分子からの発光シグナルを検出するよう構成された、検出器、例えば光学センサー、対物レンズ、光電子増倍管などを含むことができる。検出システムは、ウェル内の神経細胞のレポーター分子からの発光シグナルを検出するようそれぞれが構成された、複数の検出器、例えば光学センサー、対物レンズなどを含むことができる。検出システムは、典型的には、発光シグナルをデジタル電気シグナルに変換するよう構成された、光電性部品を含む。例えば、検出システムは、検出器に操作可能に接続された電荷結合システムカメラを含むことができる。検出システムは、発光シグナルの検出を制御するよう構成されたコンピュータに操作可能に接続されてもよい。
デホスフィン(dephosphin):本明細書において、用語「デホスフィン」とは、脱リン酸化された場合にシナプス小胞エンドサイトーシスを調節する(例えばその効率を高める)タンパク質を指す。典型的には、デホスフィンは、脱リン酸化されるとタンパク質複合体に集合する。いくつかの態様において、デホスフィンは、カルシニューリンにより脱リン酸化される。
機能障害:本明細書において、用語「機能障害」とは、分子またはプロセスの異常な機能を指す。分子(例えばタンパク質)の機能障害は、かかる分子それ自体に関連するか、または該分子と直接もしくは間接的に相互作用するかまたはこれを調節する他の分子に関連する障害により、引き起こされ得る。プロセス(例えばシナプス小胞サイクリング)の機能障害は、プロセスに直接関与する任意の分子、またはかかる分子と直接もしくは間接的に相互作用するかまたはこれを調節する他の分子もしくはプロセスに関連する、活性の増加または減少により、引き起こされ得る。
電気刺激システム:本明細書において、用語「電気刺激システム」とは、神経細胞培養物、懸濁物、および/または調製物に接触してまたはその近傍に配置することができる少なくとも1つの電極アセンブリを含む装置を指す。電気刺激システムは任意に、電圧または電流波形を発生する電気装置をさらに含むことができる。
電極アセンブリ:本明細書において、用語「電極アセンブリ」とは、電極対を含みこれを支持する装置を指す。装置はさらに、電極対の各電極に接続する導電ワイヤまたは配線を含むことができる。
電極対:本明細書において、用語「電極対」とは、一般に、1つの素子がカソードとして機能し、1つの素子がアノードとして機能するよう構成された、2つの導体素子を指す。一定の態様において(例えば図5Hを参照のこと)、用語「電極対」は、2つより多くの導体素子であって、ここでいくつかの素子はカソードとして機能し、またいくつかの素子はアノードとして機能するように構成されているものに適用することができる。
励起領域:本明細書において、用語「励起領域」とは、刺激波形を受ける、細胞培養物、懸濁物、および/または調製物内の領域を指す。刺激波形は、この領域内の神経細胞にシナプス小胞サイクリングを励起することができる。
機能性:本明細書において、「機能性」生体分子またはプロセスは、特徴とする特性および/または活性を示す形態における、生体分子またはプロセスである。
瞬間電界:本明細書において、用語「瞬間電界」とは、時間変化する電界のスナップショットを記述するのに用いられる。例えば瞬間電界は、時間のある瞬間における、時間変化する電界の表示である。
in vitro:本明細書において、用語「in vitro」とは、多細胞有機体内ではなく、人工的環境で、例えば試験管または反応容器内、細胞培養物内などで起きる事象を指す。
in vivo:本明細書において、用語「in vivo」とは、非ヒト動物などの、多細胞有機体内で起きる事象を指す。
単離された:本明細書において、用語「単離された」とは、物質および/または実体であって、(1)最初に作製された時にそれが付随していた成分の少なくともいくつかから分離されたもの(天然および/または実験環境のどちらかにおける)、および/または(2)ヒトの手により作製、調製および/または製造されたものを指す。単離された物質および/または実体は、それが最初に付随していた別の成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、実質的に100%、または100%から分離されてよい。いくつかの態様において、分離された剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、実質的に100%、または100%、純粋である。本明細書において、物質は、これが他の成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。本明細書において、用語「単離細胞」とは、多細胞有機体に含まれていない細胞を指す。単離細胞は、例えば初代細胞などのように、前にin vivoで存在してもよいことが理解される。
発光シグナル:本明細書において、用語「発光シグナル」とは、少なくとも1つのレポーター分子から発される光量、または少なくとも1つのレポーター分子から発される光量を表す電気シグナル、例えばデジタル電気シグナルを指す。発光シグナルは、少なくとも1つのレポーター分子からの、例えば蛍光強度などの発光強度のレベル、例えば最大強度レベルであってよい。発光シグナルは、所定時間にわたって生じる、少なくとも1つのレポーター分子からの、例えば蛍光強度などの発光強度の複数レベルであってよい。発光シグナルは、所定時間にわたって生じる、少なくとも1つのレポーター分子からの、例えば蛍光強度などの発光強度のレベルの上昇率または減衰率であってよい。
モジュレータ:本明細書において、用語「モジュレータ」とは、活性を変化させるかまたは示す剤、例えば化合物などを指す。例えばモジュレータの存在は、モジュレータの不在における活性の大きさと比較した場合に、一定の活性の大きさの増加または減少をもたらし得る。一定の態様において、モジュレータは阻害剤であり、これは1または2以上の活性の大きさを減少させる。一定の態様において、阻害剤は、1または2以上の生物学的活性を完全に妨げる。一定の態様において、モジュレータは活性化剤であり、これは少なくとも1つの活性の大きさを増加させる。一定の態様において、モジュレータの存在は、モジュレータの不在においては生じない活性をもたらす。
マルチ電極アセンブリ:本明細書において、用語「マルチ電極アセンブリ」とは、複数電極対を支持しこれを含む装置を指す。装置は任意に、マルチ電極アセンブリの各電極に接続する導電ワイヤまたは配線をさらに含むことができる。
神経細胞:本明細書において、用語「神経細胞」(「ニューロン」とも呼ぶ)とは、シナプス小胞サイクリングを、またはシナプス小胞サイクリングの1または2以上の側面を受ける細胞を指す。いくつかの態様において、神経細胞は、シナプス前終末を有するかまたはこれを形成することができ、ここでシナプス前終末は、機能性シナプス小胞サイクルを有するかまたは、シナプス小胞サイクリングの1または2以上の活性を受ける。いくつかの態様において、神経細胞はin vitroにある。いくつかの態様において、神経細胞はin vivoにある。いくつかの態様において、神経細胞は、増殖細胞の培養物、細胞の懸濁物、表面に関連する(例えばその上で増殖する、付着する、つながれる等)複数細胞、in vivo源から実質的に精製された(例えば動物から収穫された)複数の神経細胞、および/または細胞系などの中にある。いくつかの態様において、神経細胞は、生きている動物(例えばげっ歯動物、ヒトなど)の中にある。いくつかの態様において、神経細胞は、初代神経細胞および/または幹細胞である。いくつかの態様において、神経細胞は、ラット初代前脳神経細胞である。神経細胞は、シナプス前小胞サイクリングの1または2以上の要素を受ける細胞の集合を含んでよい。いくつかの態様において、神経細胞は、形質転換、形質移入、感染、および/またはその他の方法により誘発されて、シナプス小胞サイクリングまたはその1もしくは2以上の活性を追跡するための所望のレポーターを取り込むことができる。いくつかの態様において、神経細胞は、本発明に従ってシナプス小胞サイクリングアッセイにおいて用いてよい。
神経細胞系:本明細書において、用語「神経細胞系」(「ニューロン系」とも呼ぶ)とは、シナプス小胞サイクリングを、またはシナプス小胞サイクリングの1または2以上の活性を受ける系を指す。いくつかの態様において、ニューロン系は、シナプス前終末を有するかまたはこれを形成することができる少なくとも1つの細胞を含み、ここでシナプス前終末は、機能性シナプス小胞サイクルを有するかまたは、シナプス小胞サイクリングの1または2以上の活性を受ける。いくつかの態様において、神経細胞系はin vitro系である。いくつかの態様において、神経細胞系はin vivo系である。いくつかの態様において、神経細胞系は、増殖細胞の培養物、細胞の懸濁物、表面に関連する(例えばその上で増殖する、付着する、つながれる等)複数細胞、in vivo源から実質的に精製された(例えば動物から収穫された)複数の神経細胞、および/または細胞系を含む、in vitro系である。いくつかの態様において、神経細胞は、生きている動物(例えばげっ歯動物、ヒトなど)の中の神経細胞を含む。いくつかの態様において、神経細胞系は、初代神経細胞培養物および/または幹細胞を含む。いくつかの態様において、神経細胞系は、ラット初代前脳神経細胞を含んでよい。神経細胞系は、シナプス前小胞サイクリングの1または2以上の要素を受ける細胞の集合を含んでよい。いくつかの態様において、神経細胞系内の細胞は、形質転換、形質移入、感染、および/またはその他の方法により誘発されて、シナプス小胞サイクリングまたはその1もしくは2以上の活性を追跡するための所望のレポーターを取り込むことができる。いくつかの態様において、神経細胞系は、本発明に従ってシナプス小胞サイクリングアッセイにおいて用いてよい。
核酸:本明細書において、用語「核酸」とはその最も広い意味において、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれた、または組み込むことができる、任意の化合物および/または物質を指す。いくつかの態様において、核酸は、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれた、または組み込むことができる、化合物および/または物質である。いくつかの態様において、「核酸」は、個々の核酸残基(例えばヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。いくつかの態様において、「核酸」は、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」と「ポリヌクレオチド」は、交換可能に用いることができる。いくつかの態様において、「核酸」は、RNAおよび一本鎖および/または二本鎖DNAおよび/またはcDNAを包含する。さらに、用語「核酸」、「DNA」、「RNA」、および/または類似の用語は、核酸類似体、すなわちホスホジエステル主鎖以外を有する類似体を含む。例えば、当分野で知られているいわゆる「ペプチド核酸」は、主鎖にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有し、本発明の範囲内であると考えられる。用語「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに変性バージョンである、および/または同一のアミノ酸配列をコードする、全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質および/またはRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含んでよい。核酸は、天然源から精製したり、組み換え発現系を用いて作製して任意に精製したり、化学的に合成すること等が可能である。適切である場合には、例えば化学的に合成された分子の場合には、核酸は、化学修飾された塩基または糖や主鎖の修飾等を有する類似体などの、ヌクレオシド類似体を含むことができる。核酸配列は、他に指定がない限り、5’から3’方向に提示される。本明細書で用いる用語「核酸セグメント」とは、より長い核酸配列の一部である核酸配列を指す。多くの態様において、核酸セグメントは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、またはそれ以上の残基を含む。いくつかの態様において、核酸は、以下であるかまたは以下を含む:天然のヌクレオシド(例えばアデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C−5プロピニル−シチジン、C−5プロピニル−ウリジン、2−アミノアデノシン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、2−アミノアデノシン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン);化学修飾塩基;生物学的修飾塩基(例えばメチル化塩基);挿入塩基(intercalated base);修飾糖(例えば2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えばホスホロチオアートおよび5’−N−ホスホロアミダイト結合)。いくつかの態様において、本発明は、「非修飾核酸」、すなわち送達を促進または実現するために化学的に修飾されていない核酸(例えばポリヌクレオチドおよび残基であって、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含む)に特異的に指向されていてもよい。
シナプス前タンパク質:本明細書において、用語「シナプス前タンパク質」とは、シナプス前終末に選択的に局在するタンパク質を指す。典型的には、シナプス前タンパク質はシナプス小胞サイクリングに関与する。いくつかの態様において、シナプス前タンパク質は、シナプシン、デホスフィンおよび他のカルシニューリン基質を含む。例示のシナプス前タンパク質は、限定することなく、シナプス小胞タンパク質、これは本明細書においては内在性小胞タンパク質とも呼び、(例えば、シナプス小胞たんぱく質2(SV2)、小胞GABAトランスポーター、アセチルコリントランスポーター、カテコールアミントランスポーター、シナプトフィジン、シナプトタグミン、小胞関連膜ポリペプチド(VAMP)、神経伝達物質トランスポーター(NTトランスポーター)、シナプトギリン、プロトンポンプ)、周辺小胞タンパク質(例えば、Rab、シスチンストリングタンパク質(CSP)、シナプス細胞膜タンパク質(例えばカルシウムチャネル、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP−25)、シンタキシン)、サイトゾルタンパク質(例えばSNAP、n−Sec1)、シナプシン(例えばシナプシンI、IIおよびIII)、およびデホスフィン(例えばジナミンI、PIP5K1γ、およびシナプトジャニンI)を含む。
複数:本明細書において、用語「複数」または「複数の」とは、1より多いことを言う。
タンパク質:本明細書において、用語「タンパク質」は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合により互いに結合された少なくとも2つのアミノ酸の鎖)を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカンなどであってよい)を含んでよく、および/またはそれ以外で処理または修飾されてもよい。当業者は、「タンパク質」が細胞により生成された完全なポリペプチド鎖(シグナル配列ありまたはなし)であることができ、または、それらの特徴的な部分であり得ることを理解する。当業者は、タンパク質は時には、例えば1または2以上のジスルフィド結合により結合されたか、または他の方法で付随される、1より多くのポリペプチド鎖を含み得ることを理解する。ポリペプチドは、L−アミノ酸、D−アミノ酸、またはこれらの両方を含むことができ、および当分野で知られている種々のアミノ酸修飾または類似体の任意のものを含むことができる。有用な修飾としては、例えば、末端アセチル化、アミド化などを含む。いくつかの態様において、タンパク質は、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、合成アミノ酸、およびそれらの組み合わせを含んでよい。用語「ペプチド」は一般に、約100未満のアミノ酸の長さを有するポリペプチドを指すために用いられる。
レポーター:本明細書において、用語「レポーター」(本明細書においてレポーター分子とも呼ばれる)は、神経細胞に含まれた場合に、シナプス小胞サイクリングの少なくとも1つの活性を示す検出可能なシグナル、例えば発光シグナル、例えば蛍光シグナルを提供する任意の物質を指す。いくつかの態様において、レポーターは、ウイルス感染により神経細胞内に導入される。いくつかの態様において、レポーターは、神経細胞培養物、懸濁物、および/または調製物に外部的に添加される。いくつかの態様において、神経細胞は、レポーター遺伝子を発現する遺伝子導入マウスに由来する。いくつかの態様において、レポーターは蛍光体である。いくつかの態様において、レポーターは染料である。
小分子:一般に「小分子」とは、当分野においては大きさが約5キロダルトン(Kd)未満の有機分子と理解される。いくつかの態様において、小分子は、約4Kd、約3Kd、約2Kd、または約1Kd未満である。いくつかの態様において、小分子は、約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200D、または約100D未満である。いくつかの態様において、小分子は、約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、または約500g/mol未満である。いくつかの態様において、小分子は高分子ではない。いくつかの態様において、小分子はタンパク質、ペプチドまたはアミノ酸ではない。いくつかの態様において、小分子は核酸またはヌクレオチドではない。いくつかの態様において、小分子は糖類または多糖類ではない。
刺激システム:本明細書において、用語「刺激システム」とは、シナプス小胞サイクリングを引き起こす任意のシステムまたは組成物を指す。典型的には、刺激システムは、神経細胞に活動電位を起動することにより、シナプス小胞サイクリングを引き起こす。本発明に好適な刺激システムは、電気刺激システム、音響または超音波刺激システム、光学刺激システムまたは生化学的刺激システムであることができる。
刺激波形:本明細書において、用語「刺激波形」とは一般に、培養物中、懸濁物中、および/またはその他で調製された神経細胞に適用される、時間変化する刺激を指す。例えば刺激は、両方とも時間変化し得る大きさと方向を特徴とする、電界であってよい。刺激波形は、電気刺激システムの電極に適用される1または2以上の電圧波形または電流波形により、発生することができる。
対象:本明細書において、用語「対象」または「患者」とは、本発明による組成物を、例えば実験、診断、予防、および/または治療目的のために投与することのできる、任意の生物を指す。典型的な対象は、動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳動物;昆虫類;虫など)を含む。
実質的に:本明細書において、用語「実質的に」とは、興味ある特徴または特性の、完全またはほぼ完全な程度または度合いを示す定量的状態を指す。生物学的分野における当業者は、生物学的または化学的現象は、完全を達成したり、および/または完全性へと進んだり、または絶対的結果を実現もしくは回避することは、めったにないことを理解する。用語「実質的に」はしたがって、本明細書において、多くの生物学的および化学的現象に固有の完全性の潜在的欠如を捕捉するために用いられる。
かかりやすい:疾患、障害、および/または病態に「かかりやすい」個人は、該疾患、障害、および/または病態の診断を未だ受けていない。いくつかの態様において、疾患、障害、および/または病態に「かかりやすい」個人は、疾患、障害、および/または病態の症状を示していなくてよい。いくつかの態様において、疾患、障害、および/または病態に「かかりやすい」個人は、疾患、障害、および/または病態を発症するであろう。いくつかの態様において、疾患、障害、および/または病態に「かかりやすい」個人は、疾患、障害、および/または病態を発症しないだろう。
シナプス小胞サイクリングモジュレータ:本明細書において、用語「シナプス小胞サイクリングモジュレータ」とは、シナプス小胞サイクルの任意の活性を変化させる任意の物質を指す。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクルに関連する活性は以下を含む:シナプス小胞のシナプス前膜への移動、シナプス前膜でのドッキング、シナプス前膜との融合のためのプライミング、Ca2+センシング、シナプス前膜との融合、神経伝達物質のシナプス間隙への放出、シナプス前終末でのエンドサイトーシスによるシナプス小胞の回収(これには、クラスリン媒介性核形成、シナプス前膜の陥入、シナプス小胞のシナプス前膜からの分裂、およびエンドサイトーシスされたシナプス小胞からのクラスリン除去のステップが関与する)、シナプス小胞のシナプス前終末内での移行、シナプス小胞のシナプス前終末内でのソーティング、および神経伝達物質のシナプス小胞内腔への負荷。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータは、シナプス小胞サイクルの1または2以上の活性を増強する。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータは、シナプス小胞サイクルの1または2以上の活性を阻害する。例示のシナプス小胞サイクリングタンパク質としては、例えば、シナプス小胞タンパク質2(SV2)、小胞GABAトランスポーター、アセチルコリントランスポーター、カテコールアミントランスポーター、シナプトフィジン、シナプトタグミン、小胞関連膜ポリペプチド(VAMP)、神経伝達物質トランスポーター(NTトランスポーター)、およびシナプトギリン、およびプロトンポンプが挙げられる。その他のシナプス小胞サイクリングタンパク質は、当業者には明らかである。
シナプス小胞サイクリングプラットフォーム:本明細書において、用語「シナプス小胞サイクリングプラットフォーム」は、少なくとも刺激システム(例えば電気刺激システム)と検出システムを含む装置を指す。いくつかの態様において、電気刺激システムは、培養物中、懸濁物中、および/またはその他で調製された神経細胞に、刺激波形を送達する。いくつかの態様において、検出システムは、シナプス小胞サイクリングに関連する活性をモニタリングする。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングプラットフォームは、1または2以上のシナプス小胞サイクリングアッセイ(例えば、シナプス小胞サイクリングのモジュレータを同定するためのアッセイ)を実施するために用いられる。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングプラットフォームは、一人のオペレータにより操作可能である。
シナプス小胞タンパク質:シナプス小胞タンパク質は、シナプス小胞に関連するシナプス前タンパク質である。シナプス小胞タンパク質は典型的には、膜貫通部分を有し、また内腔部分および/または細胞質部分を有し得る。シナプス前タンパク質の内腔部分は、シナプス小胞の内腔に暴露されている、該タンパク質のドメインである。シナプス小胞がシナプス膜に、例えばシナプス小胞サイクルのエキソサイトーシスの間に融合する場合、シナプス小胞タンパク質の内腔部分は、細胞外間隙に暴露され得ることを理解すべきである。シナプス前タンパク質の細胞質部分は、シナプス小胞が存在する細胞の細胞質に暴露されている、該タンパク質のドメインである。シナプス小胞がシナプス膜に、例えばシナプス小胞サイクルのエキソサイトーシスの間に融合する場合、シナプス小胞タンパク質の細胞質部分は、細胞質に暴露され続け得ることを理解すべきである。シナプス前タンパク質の膜貫通部分は、小胞膜内に包埋された該タンパク質のドメインである。シナプス小胞がシナプス膜に、例えばシナプス小胞サイクルのエキソサイトーシスの間に融合する場合、シナプス小胞タンパク質の膜貫通部分は細胞膜内に包埋されることを、理解すべきである。
治療剤:本明細書において、句「治療剤」とは、対象に投与された場合に治療効果を有し、および/または所望の生物学的および/または薬学的効果を示す、任意の剤を指す。
時間変化電界:本明細書において、用語「時間変化電界」は、時間と共に変化し得る大きさおよび方向を有する電界を記述するために用いられる。
波形:本明細書において、用語「波形」は、一般に種々の時間変化する物理量を指すのに用いられ、例えば時間変化電圧、時間変化電流、時間変化電界、時間変化蛍光発光などである。
発明の一定態様の詳細な説明
本発明は、シナプス小胞サイクリングモジュレータを同定するためのシステムおよび方法を提供する。特に本発明は、シナプス小胞サイクリングアッセイを提供する。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングアッセイは、シナプス小胞サイクルの動態、効率、および/または他の特徴をモニタリングするために用いられる。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングアッセイは、シナプス小胞サイクルの少なくとも1つの側面に影響を及ぼす(例えば刺激するおよび/または阻害する)物質を同定するために用いられる。
シナプス小胞サイクリングアッセイは、典型的には以下を含む:機能性シナプス小胞サイクリングもしくは少なくとも1つのその活性を示すシナプス前終末を含む細胞または細胞培養物、レポーター(例えば、シナプス小胞サイクリングまたは少なくとも1つのその活性を追跡するのに有用なレポーター)、刺激システム(例えば、シナプス小胞サイクリングの引き金となる、電気的、音響的、超音波、または光学的刺激システム、例えば、活動電位開始を介するもの)、および検出システム(例えば、レポーターが発生したシグナルを捕らえるための画像化システム)。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングアッセイは、ハイスループットのフォーマットで構築および/または実施することができる。
シナプス小胞サイクリング
ニューロンが発火すると、活動電位の到達が引き金となって、エキソサイトーシスを介して神経伝達物質の放出が生じる。シナプス前神経終末内において、神経伝達物質を含むシナプス小胞がシナプス前膜に移動されてこれにドッキングし、カルシウムイオン・センシングについてプライミングされ、最終的にはシナプス前膜と融合する。到達した活動電位は、活動電位のダウンストロークにおける電圧依存性・カルシウム選択的イオンチャネルを通して、カルシウムイオンの流入をもたらす(テール電流)。カルシウムイオンは次に生化学的カスケードの引き金となり、これはシナプス小胞のシナプス前膜との融合と、神経伝達物質のシナプス間隙への放出をもたらす。シナプス小胞融合は、SNAREで知られているシナプス前終末での1セットのタンパク質の活動により駆動されている。この融合により付加された膜は、後にエンドサイトーシスにより回収され、エンドサイトーシスには以下のステップが関与する:クラスリン媒介性核形成、シナプス前膜の陥入、シナプス小胞のシナプス前膜からの分裂、およびエンドサイトーシスされたシナプス小胞からの、クラスリン除去。エンドサイトーシスされたシナプス小胞は、シナプス前終末内に移動されてソートされ、その内腔には神経伝達物質が再負荷される。
カルシニューリンは、シナプス小胞サイクリングに関与することが知られている。例えばカルシニューリンは、シナプス小胞サイクリングの調節に関与する種々のシナプス小胞サイクリングタンパク質を脱リン酸化するが、該タンパク質としては、限定することなくシナプシンおよびデホスフィンが挙げられる。シナプシンは、シナプス小胞の移動およびシナプスにおける神経伝達物質の放出を調節するタンパク質のファミリーである。特に、シナプシンは、任意の時間におけるエキソサイトーシスを介した放出に利用可能なシナプス小胞の数の調節に関与すると考えられている。例えば、カルシニューリンによるシナプシンIの脱リン酸化は、強い刺激の間のシナプス小胞の移動を増強すると考えられる。デホスフィンは、神経伝達物質を放出したシナプス小胞のエンドサイトーシスを調整する。例示のデホスフィンとしては、限定することなく、ジナミンI、PIP5K1γ、シナプトジャニンI、Eps15、エプシン、AP2、AP180が挙げられる。一定のシナプス前タンパク質が機能すると考えられる部分を示すシナプス小胞サイクルの模式図を、図1に示す。
シナプス前終末内でのシナプス小胞の内部移行について、容量に制限がある可能性が報告されている(例えばBalaji, J., et al., (2008). JNeurosci, 28(26):6742-6749に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる)。低強度の刺激において(例えば10Hz未満で引起こされる100活動電位未満)容量は飽和せず、この範囲内での刺激強度の増加は、エンドサイトーシスの動態を変化させない。高強度の刺激において(例えば10Hzより大で引起こされる100活動電位より大きい)容量は飽和し、シナプス小胞のエンドサイトーシスの、平均の速度の減少をもたらす。さらに、シナプス小胞エンドサイトーシス容量は、シナプス終末内の細胞内Ca++濃度により調節されると考えられている。細胞内Ca++レベルの増加はシナプス小胞エンドサイトーシスの新しい部位の集合をもたらし、これはおそらく、カルシニューリンの活性化と、デホスフィンの脱リン酸化による。
調節物質の同定および/または特徴づけのためのプラットフォームおよび方法
本発明は、シナプス小胞サイクルを調節する物質を同定するための、システムおよび方法を提供する。かかる方法は、典型的には以下を含む:機能性シナプス小胞サイクリングまたはシナプス小胞サイクリングの少なくとも1つの側面を示すシナプス前終末を含む細胞または細胞培養物、レポーター(例えば、シナプス小胞サイクリングまたはシナプス小胞サイクリングの少なくとも1つの活性を追跡するのに有用なレポーター)、刺激システム(例えば、シナプス小胞サイクリングの引き金となる、電気的、音響的、超音波、光学、または生化学的刺激システム、例えば活動電位の開始を介するもの)、および検出システム(例えば、レポーターにより生成されたシグナルを捕らえるための画像化システム)。
プラットフォームは、シナプス小胞サイクリングを分析するために提供される(これは本明細書において、シナプス小胞サイクリングプラットフォームとも呼ぶ)。本明細書に開示される一定のプラットフォームは、ハイスループット様式でシナプス小胞サイクリングを分析するのに適している。プラットフォームは、典型的には、複数の神経細胞培養物の各々における、シナプス小胞サイクリングの少なくとも1つの側面を検出するよう構成される。かかるプラットフォームは、複数の神経細胞培養物の各々における活動電位の同時の誘発のために、および各培養物におけるシナプス小胞サイクリングの側面の同時検出のために、構成されてもよい。代替的に、かかるプラットフォームは、複数の神経細胞培養物の各々における活動電位の順次の誘発のために、および各培養物におけるシナプス小胞サイクリングの側面の順次検出のために、構成されてもよい。本発明のいくつかの態様において、活動電位は、シナプス小胞サイクリングの側面を示す発光シグナルの検出と平行して、誘発される。
プラットフォームは、神経細胞を培養するのに適した複数の容器、例えばウェル、チューブなど、および例えばウェル等の容器内の神経細胞に活動電位を引き起こすかまたは誘発するよう構成された、複数の刺激装置、例えば電極対、音響デバイスなどを含んでよい。刺激装置は、典型的には、容器の中またはこれに隣接して配置するよう構成されて、容器内の複数の神経細胞にシナプス小胞サイクリングを誘発する。例えば電極対は、ウェル内に配置して、ウェル内の複数神経細胞にシナプス小胞サイクリングを誘発する1または2以上の電圧パルスを発生するよう、構成してもよい。プラットフォームはまた、複数の検出器を含む検出システムを含んでもよい。各検出器は、典型的には、ウェル内に存在する神経細胞からの発光シグナルを検出するよう構成されている。発光シグナルは、典型的には、神経細胞のシナプス前タンパク質に付着したレポーター分子から発せられ、神経細胞のシナプス小胞サイクリングの側面を示す。プラットフォーム内の例えばウェルなどの各容器は、典型的には複数の神経細胞を含む。
神経細胞
シナプス小胞サイクルを調節する物質を同定するためのシステムおよび方法は、典型的には神経細胞の使用を含む。いくつかの態様において、神経細胞はシナプス前終末を有し、ここでシナプス前終末は、機能性シナプス小胞サイクルを形成する。いくつかの態様において、神経細胞はシナプス前終末を有さないが、シナプス前終末を形成するよう誘導することができ、ここでシナプス前終末は、機能性シナプス小胞サイクルを有する。細胞は、細胞を特定条件下で培養および/またはインキュベートすることにより、シナプス前終末を形成するよう誘発してもよく、ここでシナプス前終末は、機能性シナプス小胞サイクルを有する。
神経細胞培養物は、シナプス前小胞サイクリングの1または2以上の要素を受ける細胞の集団を含んでよい。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクルの関連する活性は、以下のステップを含む:シナプス小胞のシナプス前膜への移動、シナプス前膜でのドッキング、シナプス前膜との融合のためのプライミング、Ca2+センシング、シナプス前膜との融合、神経伝達物質のシナプス間隙への放出、シナプス前終末でのエンドサイトーシスによるシナプス小胞の回収(これには、クラスリン媒介性核形成、シナプス前膜の陥入、シナプス小胞のシナプス前膜からの分裂、およびエンドサイトーシスされたシナプス小胞からのクラスリン除去のステップが関与する)、シナプス前終末内でのシナプス小胞の移行、シナプス前終末内でのシナプス小胞のソーティング、および神経伝達物質のシナプス小胞内腔への負荷。いくつかの態様において、複数神経細胞のメンバーは、実質的に互いに類似している。いくつかの態様において、複数の神経細胞のメンバーは、実質的に互いに類似していない。
いくつかの態様において、神経細胞は、生細胞のin vitro培養物中にある。いくつかの態様において、神経細胞系は、細胞のin vitro懸濁物中(例えば、1または2以上のバッファー、塩、電解質、洗浄剤などを含む媒体中)にある。いくつかの態様において、神経細胞は、表面に関連する(例えばその上で増殖する、付着する、つながれる等の)複数細胞を含む、in vitro培養物中にある。いくつかの態様において、神経細胞は、in vivo源から実質的に精製された(例えば、動物から収穫された)複数の神経細胞を含む、in vitro培養物中にある。いくつかの態様において、神経細胞は、ヒトまたは動物のドナーの皮質由来であってよい。いくつかの態様において、神経細胞は安定な細胞系である。いくつかの態様において、神経細胞は、生きている動物内(例えばげっ歯動物、ヒトなど)にある。
いくつかの態様において、神経細胞培養物は、初代神経細胞培養物である。いくつかの態様において、初代神経細胞培養物は、げっ歯動物(例えばマウス、ラットなど)、霊長類(例えばヒト、サルなど)、哺乳動物(例えばネコ、イヌなど)、および/または無脊椎動物(例えばハエ、虫など)の初代神経細胞由来であってよい。いくつかの態様において、初代神経細胞培養物は、動物の前脳、海馬、線条体、小脳、神経調節性領域(例えば青斑核、腹側被蓋、黒質、縫線核、マイネルト基底核、中隔核)、脊髄、または小脳からの初代神経細胞由来であってよい。いくつかの態様において、好適な神経細胞培養物は、初代ラット前脳ニューロンを含んでよい。
いくつかの態様において、神経細胞は幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は神経幹細胞である。いくつかの態様において、幹細胞は胚幹細胞(ES細胞)である。いくつかの態様において、幹細胞は、げっ歯動物(例えばマウス、ラットなど)、霊長類(例えばヒト、サルなど)、哺乳動物(例えばネコ、イヌなど)、および/または無脊椎動物(例えばハエ、虫など)に由来する。いくつかの態様において、幹細胞はin vitroでニューロンに分化し、分化したニューロンは、機能性シナプス小胞サイクリングを有するシナプス前終末を含む。Fico et al. Stem Cells Dev, 17(3):573-584を参照のこと。
いくつかの態様において、神経細胞は細胞系である。いくつかの態様において、利用できる細胞系としては、PC12細胞、皮質細胞系、および/または不死化神経細胞系が挙げられる。
いくつかの態様において、一定の培養条件下では機能性シナプス小胞サイクルを示すシナプス前終末を形成しないが、異なる培養条件下では機能性シナプス小胞サイクルを示すシナプス前終末を形成するであろう細胞を含んでよい。いくつかの態様において、神経細胞は、すべての培養条件下で機能性シナプス小胞サイクルを示すシナプス前終末を有するかまたはこれを形成する細胞を含んでよい。
いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングアッセイは、培養された神経細胞を含む。いくつかの態様において、培養培地は、シナプス小胞サイクリングアッセイで用いられるべき細胞から取り除かれ、電気刺激に適した培地(例えば、1または2以上のバッファー、塩、電解質、洗浄剤等を含むもの)に交換される(例えば、所望の導電率を有する溶液)。
いくつかの態様において、神経細胞は、形質転換、形質移入、感染、および/またはその他の方法による誘発を受けて、シナプス小胞サイクリングのために所望のレポーターを取り込むことができる。いくつかの態様において、細胞は、レポーターを発現するウイルス(例えばシナプトsynaptopHluorin発現ウイルス)に感染される。いくつかの態様において、細胞は、レポーターの発現を駆動するベクターで形質転換される。いくつかの態様において、細胞は、レポーターの発現を駆動する発現カセットで遺伝子導入される。いくつかの態様において、レポーターの発現は、誘発性である(例えば、一定の代謝物を培養培地に加えることにより)。いくつかの態様において、細胞は、それ自体ではレポーターを発現せず、代わりに、レポーターが直接細胞に投与される(例えば、レポーターを培養培地および/または懸濁培地に加えることにより)。
プラットフォームの各容器、例えばウェルやチューブなどは、典型的には複数の神経細胞を含む。例えばウェルなどの容器内の複数神経細胞は、2〜100個の神経細胞、100〜1000個の神経細胞、1000〜10,000個の神経細胞、10,000〜100,000個の神経細胞、100,000〜1,000,000個の神経細胞、または1,000,000〜10,000,000個の神経細胞の範囲であってよい。例えばウェルなどの容器内の複数神経細胞は、約2個の神経細胞、約10個の神経細胞、約100個の神経細胞、約1000個の神経細胞、約10,000個の神経細胞、約100,000個の神経細胞、約1,000,000個の神経細胞、約10,000,000個の神経細胞、またはそれ以上の神経細胞であってよい。その他の適切な神経細胞の数は、本開示に基づき当業者には明らかである。
複数の神経細胞は、代替的に、細胞付着面積サイズ、例えばウェルの底面積に相対的に確立することもできる。例えば、複数神経細胞は、10〜100個の神経細胞/付着面積mm2、100〜1000個の神経細胞/付着面積mm2、1000〜2000個の神経細胞/付着面積mm2、2000〜3000個の神経細胞/付着面積mm2、3000〜4000個の神経細胞/付着面積mm2、4000〜5000個の神経細胞/付着面積mm2、5000〜6000個の神経細胞/付着面積mm2、6000〜7000個の神経細胞/付着面積mm2、7000〜8000個の神経細胞/付着面積mm2、8000〜9000個の神経細胞/付着面積mm2、または9000〜10000個の神経細胞/付着面積mm2の範囲であってよい。複数神経細胞は、約10個の神経細胞/付着面積mm2、約100個の神経細胞/付着面積mm2、約1000個の神経細胞/付着面積mm2、約10,000個の神経細胞/付着面積mm2、またはそれ以上の神経細胞/付着面積mm2の範囲であってよい。付着面積当たりのその他の適切な神経細胞の数は、本開示に基づき当業者には明らかである。
複数神経細胞は、1つの細胞型を、または代替的に、少なくとも2種の異なる神経細胞型を含んでよい。神経細胞は、本明細書に開示された任意の動物から単離された初代神経細胞、例えばラット初代神経細胞であってよい。神経細胞は、グルタミン酸作動性、GABA作動性、ドーパミン作動性、アドレナリン作動性、セロトニン作動性、およびコリン作動性神経細胞からなる群から選択することができる。さらに他の例示の神経細胞は、本明細書に開示され、当分野で知られている。
レポーター
本発明に好適なレポーター(本明細書ではレポーター分子とも呼ばれる)は、1または2以上のシナプス小胞サイクリング活性を示すシグナルを発生または生成することができる、任意のレポータータンパク質、遺伝子、化合物、またはその他の分子または物質を含む。例えば、FM染料(例えばFM1−43、FM2−10、FM4−64など)および、シナプス小胞タンパク質の内腔ドメインに対する蛍光標識抗体(例えばシナプトタグミン抗体)を、シナプス小胞サイクルを追跡するために用いることができる。FM1−43は、親水性および疎水性領域の両方を有する両親媒性分子である、スチリルピリジニウム分子(スチリル分子またはスチリル染料としても知られている)である。ピリジニウム基を含む親水性領域(一般にヘッドと呼ぶ)は、二重結合架橋がその間にある2つの芳香族環からなり、これは染料分子の蛍光体部分である。この蛍光体基は、約500nmでの励起および約625nmでの発光を有する。
FM1−43分子の疎水性領域(テールとも呼ぶ)は、染料を細胞またはシナプス小胞の細胞膜に入らせる部分である。炭化水素テールの相互作用もまた、シグナルの輝度における変化をもたらし得る。しかし、これらのレポーターは一般に、バックグラウンドの低下のために大量の洗浄を必要とする。したがって、これらのレポーターは、均一な細胞ベースアッセイには望ましくない可能性がある。本明細書において、「均一な細胞ベースアッセイ」とは、レポーターを細胞に適用後に洗浄を必要としないレポーターを用いるアッセイを指す。さらに、洗浄の必要性があるため、これらのレポーターは一般にエンドサイトーシスの動態プロセスを追跡できず、その理由は、エンドサイトーシスが一般に洗浄の前および洗浄中に起こるためである。洗浄ステップはまた、ハイスループットスクリーニングをより困難で高コストの、および時間のかかるものにする。
いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングアッセイで用いることができるレポーターは、pH感受性レポーターである。典型的には、かかるレポーターは、一定のpHまたはpH範囲において一定の特性(単数または複数)を有し、異なるpHにまたはpH範囲において他の特性(単数または複数)を有し得る。例えば、pH感受性レポーターは、細胞外環境(pH約7.4)およびシナプス小胞内腔(pH約5.5)で、異なる蛍光特性を有することができる。例えば、本発明に適したpH感受性蛍光レポーターは、pH約7.4において蛍光を発することができるが、pH約5.5では発しない。本発明に適したpH感受性蛍光レポーターはまた、pH約5.5において蛍光を発することができるが、pH7.4では発しない。このような様式で機能するpH感受性レポーターは、エンドサイトーシスされなかったレポーターを洗浄して取り除く必要がないために、有用である。
したがって、pH感受性レポーターは一般に、洗浄ステップの必要性を取り除き、アッセイを均一にし、エンドサイトーシスの直接測定を可能とする。かかるレポーターの例としては、1)シナプス小胞タンパク質の内腔ドメインに標識されたpHluorin;および2)シナプス小胞タンパク質の内腔ドメインに標識された、またはシナプス小胞膜に挿入するよう配合された、pH感受性染料(例えば、pHrodoおよびCypHer5E)(FM1−43と類似)が挙げられる。
pHluorinは、pH感受性緑色蛍光タンパク質(GFP)である。これは、シナプス小胞タンパク質の内腔ドメインにこれを標識することにより、シナプス小胞サイクルの追跡に用いることができる。内腔ドメイン標識は、pHluorinを、シナプス小胞の内部に標的化することを支援する。pHluorinは〜pH7.4で蛍光を発し、蛍光は〜pH5.5で消光する。pHluorinは、VAMP2、vGlut1、シナプトフィジン、およびシナプトタグミンに標識することができる(Miesenbock, et al. (1998) Nature, 394(6689):192-5;Fernandez-Alfonso et al. (2006) Neuron, 51(2):179-86;Granseth et al. (2006) Neuron, 51(6):773-86;Voglmaier et al. (2006) Neuron, 51(1):71-86を参照)。pHluorinは、種々の方法によりニューロン(例えばマルチウェルプレート内の)へと送達され、これには、pHluorin標識シナプス小胞タンパク質を発現するウイルスによる感染、pHluorin標識シナプス小胞タンパク質の発現を駆動するベクターによる形質転換、またはpHluorin標識シナプス小胞タンパク質を発現する遺伝子導入動物(例えばマウスまたはラット)の産生などを含む。
シナプス小胞タンパク質は、シナプス小胞に関連するシナプス前タンパク質である。シナプス小胞タンパク質は、典型的には膜貫通部分を有し、また内腔部分および/または細胞質部分を有してよい。シナプス小胞タンパク質は、VAMP2、vGlut1、シナプトフィジン、小胞GABAトランスポーター、アセチルコリントランスポーター、カテコールアミントランスポーター、またはシナプトタグミンからなる群から選択することができる。典型的には、シナプス小胞タンパク質には、レポーター分子が付着している。例えば、レポーター分子は、シナプス小胞タンパク質の内腔部分に付着している。典型的には、レポーター分子は、pH感受性レポーター分子である。例えば、レポーター分子は、pH感受性蛍光タンパク質、例えばpHluorinであってよい。
pH感受性レポーター分子、例えばpH感受性蛍光タンパク質、例えばpHluorinは、pHの範囲4.5〜5.0、5.0〜5.5、6.5〜7.0、7.0〜7.5、7.5〜8.0、または8.0〜8.5において、ピーク発光強度を有することができる。pH感受性レポーター分子は、pH値約4.5、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、またはそれ以上において、これら系列の数値の間の全数値を含んで、最大発光強度を有することができる。pH感受性レポーター分子は、pH6.5〜8.5の範囲において、pH4.5〜6.5の範囲におけるよりも顕著に高い強度の蛍光を、例えば2倍高い、5倍高い、10倍高い、20倍高い、30倍高い、40倍高い、またはそれ以上高い蛍光を発することができる。pH感受性レポーター分子は、pH6.5〜7.5の範囲において、pH5.0〜6.0の範囲におけるよりも顕著に高い強度の蛍光を、例えば2倍高い、5倍高い、10倍高い、20倍高い、30倍高い、40倍高い、またはそれ以上高い蛍光を発することができる。代替的に、pH感受性レポーター分子は、pH4.5〜6.5の範囲において、pH6.5〜8.5の範囲におけるよりも顕著に高い強度の蛍光を、例えば2倍高い、5倍高い、10倍高い、20倍高い、30倍高い、40倍高い、またはそれ以上高い蛍光を発することができる。pH感受性レポーター分子は、pH5.5〜6.0の範囲において、pH6.5〜7.5の範囲におけるよりも顕著に高い強度の蛍光を、例えば2倍高い、5倍高い、10倍高い、20倍高い、30倍高い、40倍高い、またはそれ以上高い蛍光を発することができる。pH感受性レポーター分子のピーク発光強度についてのその他の適切なpH値は、本開示を考慮して当業者には明らかである。
pH感受性レポーター分子は、ピーク発光波長を、350nm〜400nmの範囲において、400nm〜450nm、450nm〜500nm、500nm〜550nm、550nm〜600nm、または600nm〜650nmの範囲において、有することができる。pH感受性レポーターは、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nmまたはそれ以上の、ピーク発光波長を有することができる。pH感受性レポーター分子のその他の適切なピーク発光波長は、本開示を考慮して当業者には明らかである。
いくつかの態様において、本明細書に開示されるプラットフォームおよび方法においてレポーター分子として用いることのできるpHluorinは、次のアミノ酸配列を有する:MSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKRHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNDHQVYIMADKQKNGIKANFKIRHNIEDGGVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLFTTSTLSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITHGMDELYK(配列番号:1;gi|45479290|gb|AAS66682.1|スーパーエクリプティックpHluorin(superecliptic pHluorin))。他の適切なpHluorinは、本開示を考慮して当業者には明らかである。
いくつかの態様において、pHluorinはシナプトフィジンに融合する。例示のシナプトフィジンベースのpHluorinであって、本明細書に開示されたプラットフォームおよび方法で用いることのできるものは、以下の核酸配列によりコードされる:
ATGGACGTGGTGAATCAGCTGGTGGCTGGGGGTCAGTTCCGGGTGGTCAAGGAGCCCCTTGGCTTCGTGAAGGTGCTGCAGTGGGTCTTTGCCATCTTCGCCTTTGCTACGTGTGGCAGCTACACCGGGGAGCTTCGGCTGAGCGTGGAGTGTGCCAACAAGACGGAGAGTGCCCTCAACATCGAAGTTGAATTCGAGTACCCCTTCAGGCTGCACCAAGTGTACTTTGATGCACCCTCCTGCGTCAAAGGGGGCACTACCAAGATCTTCCTGGTTGGGGACTACTCCTCGTCGGCTGAATTCTTTGTCACCGTGGCTGTGTTTGCCTTCCTCTACTCCATGGGGGCCCTGGCCACCTACATCTTCCTGCAGAACAAGTACCGAGAGAACAACAAAGGGCCTATGATGGACTTTCTGGCTACAGCCGTGTTCGCTTTCATGTGGCTAGTTAGTTCATCAGCCTGGGCCAAAGGCCTGTCCGATGTGAAGATGGCCACGGACCCAGAGAACATTATCAAGGAGATGCCCATGTGCCGCCAGACAGGGAACACCGGTATGAGTAAAGGAGAAGAACTTTTCACTGGAGTTGTCCCAATTCTTGTTGAATTAGATGGTGATGTTAATGGGCACAAATTTTCTGTCAGTGGAGAGGGTGAAGGTGATGCAACATACGGAAAACTTACCCTTAAATTTATTTGCACTACTGGAAAACTACCTGTTCCATGGCCAACACTTGTCACTACTTTAACTTATGGTGTTCAATGCTTTTCAAGATACCCAGATCATATGAAACGGCATGACTTTTTCAAGAGTGCCATGCCCGAAGGTTATGTACAGGAAAGAACTATATTTTTCAAAGATGACGGGAACTACAAGACACGTGCTGAAGTCAAGTTTGAAGGTGATACCCTTGTTAATAGAATCGAGTTAAAAGGTATTGATTTTAAAGAAGATGGAAACATTCTTGGACACAAATTGGAATACAACTATAACGATCACCAGGTGTACATCATGGCAGACAAACAAAAGAATGGAATCAAAGCTAACTTCAAAATTAGACACAACATTGAAGATGGAGGCGTTCAACTAGCAGACCATTATCAACAAAATACTCCAATTGGCGATGGGCCCGTCCTTTTACCAGACAACCATTACCTGTTTACAACTTCTACTCTTTCGAAAGATCCCAACGAAAAGAGAGACCACATGGTCCTTCTTGAGTTTGTAACAGCTGCTGGGATTACACATGGCATGGATGAACTATACAAAACCGGTCGCCAGACAGGGAACACATGCAAGGAACTGAGGGACCCTGTGACTTCAGGACTCAACACCTCAGTGGTGTTTGGCTTCCTGAACCTGGTGCTCTGGGTTGGCAACTTATGGTTCGTGTTCAAGGAGACAGGCTGGGCAGCCCCATTCATGCGCGCACCTCCAGGCGCCCCGGAAAAGCAACCAGCACCTGGCGATGCCTACGGCGATGCGGGCTACGGGCAGGGCCCCGGAGGCTATGGGCCCCAAGACTCCTACGGGCCTCAGGGTGGTTATCAACCCGATTACGGGCAGCCAGCCAGCGGTGGCGGTGGCTACGGGCCTCAGGGCGACTATGGGCAGCAAGGCTATGGCCAACAGGGTGCGCCCACCTCCTTCTCCAATCAGATGTAA(配列番号:2;シナプトフィジン−pHluorin)。
いくつかの態様において、pHluorinはVAMP2に融合する。他の態様において、pHluorinはvGlutに融合する。例示のvGlutベースのpHluorinであって、本明細書に開示されたプラットフォームおよび方法で用いることのできるものは、以下の核酸配列によりコードされる:
ATGGAGTTCAGACAGGAGGAGTTCCGAAAACTTGCAGGCCGAGCACTGGGTCGACTGCATCGCTTGCTGGAGAAGCGGCAGGAGGGAGCAGAAACACTGGAGCTCAGCGCTGACGGCCGGCCCGTCACAACCCACACTAGAGACCCACCTGTGGTAGACTGTACCTGCTTTGGCCTGCCTAGAAGGTATATCATTGCAATCATGTCTGGGCTTGGCTTCTGCATCAGTTTTGGAATTAGATGTAACCTGGGGGTTGCGATTGTGAGTATGGTCAATAACTCAACGACACACAGAGGAAGCACCTCCGGTGGATCCGGGGGGACTGGGGGAAGCATGTCCAAAGGCGAAGAACTGTTTACAGGCGTGGTGCCAATACTCGTGGAACTCGACGGCGATGTTAACGGACATAAGTTTTCCGTGTCCGGCGAGGGTGAGGGAGATGCTACATATGGAAAACTGACTCTGAAATTTATTTGTACCACCGGGAAACTGCCCGTGCCATGGCCTACCCTCGTCACTACACTGACGTATGGGGTTCAATGTTTCAGTAGGTATCCGGACCACATGAAAAGACACGATTTCTTCAAAAGCGCAATGCCCGAAGGCTACGTACAAGAACGCACTATATTCTTCAAGGACGACGGCAACTATAAAACCCGCGCAGAGGTTAAATTTGAGGGGGACACACTGGTAAATCGGATCGAGCTGAAGGGTATCGACTTTAAAGAAGACGGAAACATATTGGGCCATAAGCTGGAATACAACTATAATGATCATCAGGTGTATATCATGGCCGATAAGCAGAAAAATGGAATCAAGGCAAACTTCAAAATTAGGCACAATATTGAGGATGGGGGCGTCCAGCTGGCCGACCATTACCAGCAGAATACTCCAATAGGCGATGGACCGGTGTTGCTTCCTGATAATCACTACTTGTTTACCACTAGCACCCTCAGTAAGGATCCCAATGAGAAGCGGGACCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACTGCCGCTGGCATAACTCATGGGATGGATGAGCTCTACAAAGGAGGGACAGGGGGTACCGGTGGTAGTGGTGGAACCGGCGGCCATGTAGTGGTGCAGAAGGCCCAGTTCAATTGGGACCCAGAGACAGTGGGCTTGATCCACGGCTCTTTCTTTTGGGGTTATATCGTTACTCAAATCCCAGGCGGTTTCATTTGTCAGAAGTTCGCCGCCAACAGAGTGTTCGGCTTCGCAATAGTAGCCACCTCCACACTGAACATGCTGATTCCGTCTGCAGCCCGAGTGCACTATGGCTGTGTGATATTCGTGAGAATCCTGCAAGGTCTTGTCGAGGGCGTGACCTACCCAGCCTGTCACGGGATCTGGTCCAAATGGGCTCCACCACTGGAGCGATCCAGACTGGCGACCACTGCATTCTGTGGCAGTTACGCCGGCGCTGTCGTGGCTATGCCCCTGGCTGGTGTGCTGGTGCAGTACAGCGGATGGAGCAGCGTGTTCTACGTTTATGGCTCTTTCGGGATCTTTTGGTACCTCTTCTGGCTGCTCGTCAGCTACGAATCCCCCGCTCTGCACCCTTCCATCAGCGAGGAGGAGCGGAAATACATTGAAGACGCAATCGGTGAATCAGCAAAGCTGATGAACCCCGTGACGAAATTCAATACACCGTGGAGACGGTTTTTTACCTCCATGCCCGTGTACGCGATAATTGTTGCAAATTTCTGCCGGAGCTGGACATTCTATCTCCTCCTGATTAGCCAACCTGCCTACTTCGAAGAGGTCTTCGGGTTCGAGATCTCTAAAGTGGGTCTTGTGTCTGCGCTCCCTCACCTCGTTATGACCATTATTGTTCCTATCGGCGGGCAGATCGCTGATTTTCTTCGGTCAAGACATATTATGTCCACTACTAATGTGAGGAAGCTGATGAATTGCGGTGGGTTTGGCATGGAGGCGACCCTGCTTCTGGTGGTGGGTTACTCTCATTCCAAGGGAGTGGCGATCAGTTTCCTGGTCCTGGCCGTGGGATTTAGCGGCTTTGCCATAAGCGGTTTTAACGTTAATCACCTTGATATTGCTCCCCGCTACGCATCCATTCTCATGGGGATCAGCAACGGAGTCGGGACTCTGAGTGGAATGGTTTGCCCAATAATAGTCGGAGCGATGACTAAACATAAGACCCGAGAAGAATGGCAGTACGTGTTCCTGATTGCTAGTCTGGTCCATTACGGAGGCGTCATCTTCTATGGCGTCTTCGCCTCTGGGGAAAAACAACCATGGGCAGAGCCTGAAGAAATGTCCGAGGAAAAATGTGGGTTCGTCGGGCACGATCAGCTTGCCGGTTCTGATGAGTCCGAGATGGAGGACGAGGTTGAGCCCCCTGGGGCGCCTCCTGCACCGCCCCCAAGCTACGGCGCAACCCATAGCACTGTGCAGCCTCCTCGGCCACCTCCTCCAGTGCGGGATTACTAA(配列番号:3;vGlut−pHluorin)。
本明細書に開示されたプラットフォームおよび方法で用いる、例えばpHluorinなどのレポーター分子の発現を制御するために用いることができるヒトシナプシンIプロモータの配列は、下記のように提供される:
ACTAATCTCCCCGCGGGCACTGCGTGTGACCTCACCCCCCTCTGTGAGGGGGTTATTTCTCTACTTTCGTGTCTCTGAGTGTGCTTCCAGTGCCCCCCTCCCCCCAAAAAATGCCTTCTGAGTTGAATATCAACACTACAAACCGAGTATCTGCAGAGGGCCCTGCGTATGAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAG(配列番号:4;ヒトシナプシンIプロモータ)。その他の適切なプロモータも用いることができる。例えば、一般の発現のために、CMVまたはチキンベータアクチンプロモータを用いることができる。代替的に、ニューロン特異的発現のために、ニューロン特異的エノラーゼまたはシナプシンIプロモータを用いてよい。グルタミン酸作動性特異的発現のために、vGlut1プロモータを用いてよい。GABA作動性特異的発現のために、GAD65、GAD67、ソマトスタチン、またはGABA小胞トランスポータープロモータを用いてよい。さらに他の適切なプロモータは、当業者には明らかである。
以下は、ヒトシナプシンIプロモータに操作可能に結合した、シナプトフィジン−pHluorinを有する例示の発現カセットであり、これは本明細書に開示されたプラットフォームおよび方法で用いることができる。
ACTAATCTCCCCGCGGGCACTGCGTGTGACCTCACCCCCCTCTGTGAGGGGGTTATTTCTCTACTTTCGTGTCTCTGAGTGTGCTTCCAGTGCCCCCCTCCCCCCAAAAAATGCCTTCTGAGTTGAATATCAACACTACAAACCGAGTATCTGCAGAGGGCCCTGCGTATGAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGTCGAGAATTCAAGCTGCTAGCAAGGATCCACCGGTCGCCACCATGGACGTGGTGAATCAGCTGGTGGCTGGGGGTCAGTTCCGGGTGGTCAAGGAGCCCCTTGGCTTCGTGAAGGTGCTGCAGTGGGTCTTTGCCATCTTCGCCTTTGCTACGTGTGGCAGCTACACCGGGGAGCTTCGGCTGAGCGTGGAGTGTGCCAACAAGACGGAGAGTGCCCTCAACATCGAAGTTGAATTCGAGTACCCCTTCAGGCTGCACCAAGTGTACTTTGATGCACCCTCCTGCGTCAAAGGGGGCACTACCAAGATCTTCCTGGTTGGGGACTACTCCTCGTCGGCTGAATTCTTTGTCACCGTGGCTGTGTTTGCCTTCCTCTACTCCATGGGGGCCCTGGCCACCTACATCTTCCTGCAGAACAAGTACCGAGAGAACAACAAAGGGCCTATGATGGACTTTCTGGCTACAGCCGTGTTCGCTTTCATGTGGCTAGTTAGTTCATCAGCCTGGGCCAAAGGCCTGTCCGATGTGAAGATGGCCACGGACCCAGAGAACATTATCAAGGAGATGCCCATGTGCCGCCAGACAGGGAACACCGGTATGAGTAAAGGAGAAGAACTTTTCACTGGAGTTGTCCCAATTCTTGTTGAATTAGATGGTGATGTTAATGGGCACAAATTTTCTGTCAGTGGAGAGGGTGAAGGTGATGCAACATACGGAAAACTTACCCTTAAATTTATTTGCACTACTGGAAAACTACCTGTTCCATGGCCAACACTTGTCACTACTTTAACTTATGGTGTTCAATGCTTTTCAAGATACCCAGATCATATGAAACGGCATGACTTTTTCAAGAGTGCCATGCCCGAAGGTTATGTACAGGAAAGAACTATATTTTTCAAAGATGACGGGAACTACAAGACACGTGCTGAAGTCAAGTTTGAAGGTGATACCCTTGTTAATAGAATCGAGTTAAAAGGTATTGATTTTAAAGAAGATGGAAACATTCTTGGACACAAATTGGAATACAACTATAACGATCACCAGGTGTACATCATGGCAGACAAACAAAAGAATGGAATCAAAGCTAACTTCAAAATTAGACACAACATTGAAGATGGAGGCGTTCAACTAGCAGACCATTATCAACAAAATACTCCAATTGGCGATGGGCCCGTCCTTTTACCAGACAACCATTACCTGTTTACAACTTCTACTCTTTCGAAAGATCCCAACGAAAAGAGAGACCACATGGTCCTTCTTGAGTTTGTAACAGCTGCTGGGATTACACATGGCATGGATGAACTATACAAAACCGGTCGCCAGACAGGGAACACATGCAAGGAACTGAGGGACCCTGTGACTTCAGGACTCAACACCTCAGTGGTGTTTGGCTTCCTGAACCTGGTGCTCTGGGTTGGCAACTTATGGTTCGTGTTCAAGGAGACAGGCTGGGCAGCCCCATTCATGCGCGCACCTCCAGGCGCCCCGGAAAAGCAACCAGCACCTGGCGATGCCTACGGCGATGCGGGCTACGGGCAGGGCCCCGGAGGCTATGGGCCCCAAGACTCCTACGGGCCTCAGGGTGGTTATCAACCCGATTACGGGCAGCCAGCCAGCGGTGGCGGTGGCTACGGGCCTCAGGGCGACTATGGGCAGCAAGGCTATGGCCAACAGGGTGCGCCCACCTCCTTCTCCAATCAGATGTAA(配列番号:5;hSyn−SypHyカセット配列)。
例示のpH感受性染料、例えばCypher5E(GE Healthcare)およびpHrodo(Invitrogen)は、〜pH5.5で蛍光を発し〜pH7.4で消光する小分子蛍光体である。例えば、異なるpHにおいてCypher5Eに蛍光の差が生じるのは、これがpH5.5において、pH7.4とは異なる構造を有するためである(図12)。いくつかの態様において、pH感受性染料は、小胞エキソサイトーシス、エンドサイトーシス、および/または再酸性化を追跡するために用いることができる。典型的には、pH感受性染料は、細胞膜透過性である。
典型的には、pH感受性染料には、pH感受性染料のシナプス小胞への輸送を方向付け、シナプス小胞からの拡散を防ぐ、1または2以上の標的化部分が関連していてもよい。いくつかの態様において、関連は共有結合性である。いくつかの態様において、関連は非共有結合性(例えば、水素結合、静電気相互作用、親和性相互作用、ファンデルワールス力などにより媒介される)である。少数の例を挙げると、pH感受性染料には以下が関連することができる:膜挿入剤(FM1−43に類似);シナプス小胞タンパク質(単数または複数)の内腔内ドメイン(単数または複数)を認識する抗体;シナプス小胞内腔の外側に存在するよりも高いレベルでシナプス小胞内腔内に存在するタンパク質標識を認識する抗体。pH感受性染料はまた、大きな膜非透過性非特異的分子、例えばデキストランなどに結合することもできる。これらは、小胞が細胞の表面上にある場合に、拡散によりシナプス小胞に入り込む。
電気刺激システム
本発明による、調節物質を同定する、および/または特性を決定するためのアッセイは、典型的には電気刺激システムを含む。活動電位発火の電界刺激は、外部電界と細胞の細胞膜の比較的単純な抵抗特性との、物理的相互作用に基づく。典型的な細胞体を、高抵抗性のシェル(細胞膜)と比較的低抵抗性の内部(細胞質)を持つ物質と考えると、単純な静電気理論により、これを電界の中に置くと、電界強度Eと細胞体の大きさdの積で与えられる、細胞にわたる電圧降下を有することが示される。例えば電圧降下は、2つが細胞膜に対応し、1つが細胞質に対応する、1系列の抵抗器にわたって生じると考えることができる。細胞膜が細胞質より顕著に高い抵抗を有するとすると、これは、実質的にすべての電圧降下が、細胞膜にわたって生じることを意味する。細胞の片側において、膜は〜(Exd)/2により脱分極し、一方反対側では、同じ量だけ過分極する。ニューロンについては、一方の側が十分に脱分極すると、活動電位が開始されることが推測される。電位刺激には典型的に、その間に電圧降下(例えば〜10V/cm)を有して電界を発生させる電極対が関与する。非限定的例としては、典型的な細胞体直径50μmに対し、各細胞膜にわたる電圧降下は約25mVである。
種々の態様において、電気刺激システムを、神経細胞に活動電位を励起するために用いる。一定の態様において、電気刺激システムは、神経細胞が活動電位を誘発するのに十分な、細胞膜貫通電位を提供する。いくつかの態様において、電気刺激システムは、神経細胞を含む複数の別々のウェル内、例えば、マルチウェルプレートの複数のウェルに、実質的に同時に活動電位を励起するよう適合することができる、電気刺激システムは、生きている神経細胞を含む1または2以上のウェルに、種々の、またはカスタム化された刺激波形を提供するよう、適合されてよい。刺激波形は、時間変化電界を含んでよい。
電極対の電極は、実質的に曲線状の表面を有してよい。例えば、電極対の電極は、実質的に同心円筒の形状であってよい。異なる直径を有する電極対の複数電極は同心円筒状に配置してよく、ここで小さな直径の電極を、大きな直径の電極の内腔部分の実質的に内部に配置する;任意に、2つの同心円筒状の電極は、環状の絶縁材料で分離することができる。本明細書に開示のプラットフォームは位置決め装置を含んでよく、例えば、複数電極対の各電極を複数ウェルの1つのウェル内に操作可能に配置するよう構成された、電極移送システムである。例えば、市販のマルチウェルプレート自動化装置を、電極移送システムとしての使用に適合させることができ、例えばbiomek(登録商標)自動実験装置である。
電気刺激システムを含むプラットフォームは、複数電極対に操作可能に接続された電源を含んでよい。電源は典型的には、所定の電圧、例えば電圧パルスを、各電極対にわたって適用するよう構成される。電圧は、次の範囲であってよい:1V〜400V、1V〜300V、1V〜200V、1V〜100V、5V〜100V、5V〜50V、5V〜20V、または5V〜10V。電圧パルスは、1Vまで、約2V、約3V、約4V、約5V、約6V、約7V、約8V、約9V、約10V、約20V、約30V、約40V、約50V、約60V、約70V、約80V、約90V、約100V、約200V、約300V、約400Vまで、またはそれ以上であってよい。他の適切な電圧は、本開示に基づき当業者には明らかである。
プラットフォームはまた、電源および複数電極対に操作可能に接続されたパルス発生器も含む。パルス発生器は典型的には、各電極対にわたり所定の電圧パルスを適用するよう構成されている。パルス発生器は、複数の所定の電圧パルスを、所定の周波数で所定の時間適用するよう構成されてよい。したがって、パルス発生器は、特定の電圧波形を適用するよう構成されてよい。例示の波形を、本明細書に開示する。コンピュータは、パルス発生器に操作可能に接続されてよく、電圧パルスの種々の側面を制御するよう構成されており、例えば各パルスの大きさ、複数パルスに関連する波形、パルスの持続時間、パルスの周波数、各パルスの開始の間の時間などである。
パルス発生器が発生する所定の周波数は、その範囲が、0.2Hz〜200Hz、0.2Hz〜100Hz、0.2Hz〜50Hz、0.2Hz〜40Hz、0.2Hz〜30Hz、0.2Hz〜20Hz、0.2Hz〜10Hz、10Hz〜20Hz、10Hz〜30Hz、10Hz〜40Hz、10Hz〜50Hz、または10Hz〜100Hzであってよい。所定の周波数は、0.2Hzまで、約1Hz、約2Hz、約3Hz、約4Hz、約4Hz、約5Hz、約10Hz、約15Hz、約20Hz、約30Hz、約40Hz、約50Hz、約60Hz、約70Hz、約80Hz、約90Hz、約100Hzまで、またはそれ以上であってよい。その他の適切な周波数は、本開示に基づき当業者には明らかである。
パルス発生器が電圧または複数電圧を発生する所定の時間は、その範囲が、0.1秒〜2分、0.1秒〜1分、0.1秒〜45秒、0.1秒〜30秒、0.1秒〜20秒、0.1秒〜15秒、0.1秒〜10秒、0.1秒〜5秒、または0.1秒〜1秒であってよい。所定の時間は、約0.1秒、約0.5秒、約1秒、約2秒、約3秒、約4秒、約5秒、約10秒、約20秒、約30秒、約40秒、約50秒、約1分、約2分、またはそれ以上であってよい。他の適切な時間は、本開示に基づき当業者には明らかである。
電圧発生器が発生するパルスの持続時間は、変化してよい。例えば、複数パルスの中の各パルスは、持続時間が実質的に同じであってよく、または複数の中で他のパルスと異なる持続時間を有してもよい。パルスの持続時間は、その範囲が、0.1ミリ秒(ms)〜10ms、0.1ms〜5ms、0.1ms〜4ms、0.1ms〜3ms、0.1ms〜2ms、0.1ms〜1ms、または0.1ms〜0.5msであってよい。パルスの持続時間は、約0.1ms、約0.2ms、約0.3ms、約0.4ms、約0.5ms、約0.6ms、約0.7ms、約0.8ms、約0.9ms、約1ms、約2ms、約3ms、約4ms、約5ms、約10ms、約20ms、またはそれ以上であってよい。他の適切な持続時間は、本開示の教示に基づき当業者には明らかである。
パルス発生器により発生される、例えば複数パルス中のパルスの数もまた変化してよい。パルス数は、その範囲が、1〜5000、1〜2000、1〜1000、1〜500、1〜400、1〜300、1〜200、1〜100、1〜50、1〜40、1〜30、1〜20、1〜10、または1〜5であってよい。パルス数は、約1、約2、約3、約4、約5、約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、またはそれ以上であってよい。他の適切なパルス数は、本開示の教示に基づき当業者には明らかである。
複数パルスにおける各パルスの開始の間の時間は変化してよい。複数パルスにおける各パルスの開始の間の時間は、その範囲が、0.1ms〜20ms、0.1ms〜10ms、0.1ms〜5ms、0.1ms〜4ms、0.1ms〜3ms、0.1ms〜2ms、0.1ms〜1ms、または0.1ms〜0.5msであってよい。複数パルスにおける各パルスの開始の間の時間は、約0.1ms、約0.2ms、約0.3ms、約0.4ms、約0.5ms、約0.6ms、約0.7ms、約0.8ms、約0.9ms、約1ms、約2ms、約3ms、約4ms、約5ms、約6ms、約7ms、約8ms、約9ms、約10ms、約20ms、またはそれ以上であってよい。他の適切な時間は、本開示の教示に基づき当業者には明らかである。
種々の態様において、刺激波形のニューロンへの適用は、シナプス小胞のエキソサイトーシスおよびエンドサイトーシスを誘発し、これによりシナプス小胞サイクリングを、制御された実験室条件下で調査することができる。一定の態様において、刺激波形は、電圧または電流波形を、神経細胞に接触しているかまたはその近傍にある電極対に適用することにより、発生される。電圧または電流波形の電極への適用は、時間変化する電界および/または時間変化する電流密度を神経細胞内に発生することができ、これらの電界および/または電流密度は、細胞膜貫通電位を変化させ、神経細胞に活動電位を誘発することができる。
培養物、懸濁物、および/または他の調製物中のニューロンは、Ryan and Smith(1995, Neuron, 14:983;本明細書に参照により組み込まれる)およびRyan et al.(1996, Proc. Natl. Acad. Sci., 93:5567;本明細書に参照により組み込まれる)に記載されているように、励起波形の適用により刺激することができる。重要な因子は、細胞を囲む槽の抵抗を増加させつつ、電極とニューロンを含む槽との接触面積を最大化する(および接合部抵抗を低下させる)ことである。寸法l(長さ)および断面積Aの食塩水スラブの抵抗は、次の式で与えられる:R=ιXρ/A、式中、ρは食塩水の伝導率(哺乳動物の生理食塩水について〜60Ωcm)。マルチウェルプレートの1つのウェルについて、ιはほぼウェルの直径である(例えば96ウェルプレートについて〜5mm)。Aの値は、溶液の深さを最小化することにより減少させることができる。例えばウェルは、深さを最小化するよう(したがってRを増加させるよう)に設計可能である。いくつかの態様において、全厚さ〜0.5mmを用いることができる。いくつかの態様において、2つの電極シートをウェルの両側に配置することにより、これらの間に所望の溶液深さを可能とするような様式で(例えば〜0.5mm)ウェルに適合するインサートを構築することができる。
電気刺激システムに有用な電極対100の1つの特定例を、図2A〜Bに示す。示された例において、電極アセンブリは2つの電極、すなわち内側電極102および外側電極104を含む。種々の態様において、電極102、104は、導電性である。電極は金属、半金属、半導体、導電性ポリマー、非導電性ポリマー、および/またはこれらの任意の組み合わせで作ることができる。非導電性材料から形成する場合、電極は導電材料で被覆してもよい。電極は、生体適合性金属または導電材料、例えば金、銀、ステンレススチールの種々の合金、チタン、プラチナ、導電性ポリマー、インジウムスズ酸化物(ITO)、またはこれらの組み合わせ等で形成するか、またはこれらでプレートすることができる。内側電極102は、固体のロッド状要素、ワイヤであることができ、または中空コアの円筒形状であってよい。内側電極は、図2A〜Bに示すように、高さHiおよび直径Diにより特徴付けることができる。種々の態様において、外側電極104は、神経細胞培養物に接触しているかまたはその近傍にある少なくとも遠位端190において、円筒状または環状形状である。外側電極は、導電ワイヤの環、導電材料の薄い片で形成された円形のバンド、または円筒形状の導電チューブであってよい。外側電極104は、図2A〜Bに示すように、高さHoおよび直径Doにより特徴付けることができる。いくつかの態様において、HiサHoおよびDi<Doである。いくつかの態様において、Hi<HoおよびDi<Doである。いくつかの態様において、Hi>HoおよびDi<Doである。いくつかの態様において、内側電極102はカソードとして作用し、外側電極104はアノードとして作用する。いくつかの態様において、内側電極102はアノードとして作用し、外側電極104はカソードとして機能する。種々の態様において、励起領域150は内側102と外側104の電極の間に存在する。
ワイヤ110、112またはこれらの導電均等物、例えば回路基板上の導電線、バイナリー同軸ケーブル等は、内側102および外側104電極に接続することができる。種々の態様において、ワイヤ110、112またはその均等物は、低いオーム抵抗またはインピーダンス、例えば約100オーム未満を有することができる。いくつかの態様において、ワイヤまたはその均等物は、約100オームより高いオーム抵抗またはインピーダンスを有してよい。ワイヤまたはその均等物は、離して配置されたコネクター120を有してよく、これは、ワイヤに対して電圧または電流波形を適用する。種々の態様において、ワイヤまたはその均等物は、1または2以上の電極対および1または2以上のコネクターの間に電気的接続を提供する。いくつかの態様において、電圧波形V1、V2は、ワイヤまたはその均等物に適用される。
種々の態様において、コネクター120に適用された電圧波形V1、V2は電極102、104に伝送され、電極の間の励起領域150に電界を発生する。電圧波形V1、V2または電流波形I1、I2は、電子工学分野の当業者に知られた種々のタイプの電子装置からのものであってよく、例えばこれらは、関数発生器、波形発生器、プログラム可能波形発生器、データ収集ハードウェアと組み込わされたコンピュータ、コンピュータのプロセッサからのデジタル入力をアナログ出力に変換可能なアナログ−デジタル(A/D)基盤と組み込わされたコンピュータにより、発生されてよい。一定の態様において、電圧波形V1、V2の片方または両方は時間変化し、それらの形状は、ユーザーが選択またはプログラムすることができる。コネクター120に適用され、電極102、104に伝送可能な電圧波形の例を図3A〜Dに示す。適用された波形V1、V2は、1または2以上のピーク電圧V1p1、V2p1、V2p2、電圧オフセット、波形の形状、電圧変化率、および繰返し数または周期数によって特徴づけることができる。いくつかの態様において、波形V1、V2の1つは、図3A〜Bに示すように、参照電位、例えば0V、0.5V、−1Vに実質的に一定に保ってもよい。いくつかの態様において、両方の波形は、図3C〜Dに示すように時間変化してよい。異なる電圧オフセット、周波数、形状、変化率、および周期数を有する広範囲の波形の任意のものを、電極対100に適用できることが理解される。
種々の態様において、電圧波形の電極対への適用は、実質的に電極102と104の間の励起領域150内に、時間変化する電界を発生させる。電極が培地中の神経細胞を含むウェルに接触またはこれに近接して配置されている場合、電界は培地に連結することができ、培地中の、細胞内の、細胞膜にわたる、またはこれらの任意の組み合わせにおける、イオンの動きに影響を及ぼす。任意の領域での電界の存在には、この領域内における電位勾配が伴う。神経細胞培養物を含むウェル内の電位における時間変化する勾配、および/またはイオンの動きは、神経細胞における膜内外の電位を変化させ、軸索の発火および対応するシナプス小胞サイクリングを刺激することができる。種々の態様において、シナプス小胞サイクリングの刺激は、電極対100に適用された電圧波形または電流波形により制御される。
広範囲の電圧波形または電流波形を、電極対に適用することができる。一般に、刺激が活動電位を引き起こすものと、これが細胞にエレクトロポレーションするかまたはその他で毒性であるものとの間の範囲にある、任意の電圧波形または電流波形を、本発明に従って用いることができる。いくつかの態様において、神経細胞培養物を含むウェル内で電極対100により発生された電界:
の大きさは、肉眼的領域にわたり空間的に変化し得るが、図4A〜Bに示すように、肉眼的領域にわたり実質的に一様であってもよい。図4A〜Bの図は、本電界の代表例である。図4A〜Bにおいて、線300は、電界:
の、時間のある瞬間における方向を表し、線の濃さはその瞬間における電界の大きさを示す。図4Aに示すように、電界の大きさは、励起領域内の肉眼的領域にわたり空間的に変化してよい。例えば、線の濃さは中心の導体近くより、外側の導体104に近い方がより薄く、したがって電界は、中心の導体近くより、外側の導体104に近い方がより弱い。図4Bに示すように、電界の大きさは、1つの細胞の近傍内の肉眼的領域にわたり、空間的に実質的に均一であってよい。
本発明に従って、種々の電極を用いることができる。例示の電極デザインを図2A〜Bおよび図5A〜Hに示す。例えば、丸型電極デザインを、その製造と適用の容易さのために用いることができる。図2A〜Bに示す丸型電極対の1つの有用な特徴は、励起領域150内の細胞に対する電界値のある範囲の影響が、同時に観察可能であることである。時間のある瞬間に電極102、104に適用された一定の電圧値セットV1、V2に対して、電界は励起領域150内である値の範囲を有し、この値は、図4Aに示すように、中心導体102の近くでもっとも高く、外側導体104の近くでもっとも低い。励起領域150内の複数環状領域305からのデータを記録することにより、異なる電界値における、細胞に対する電界励起の影響の同時観察が可能である。
種々の態様において、神経細胞培養物を含むウェル内における、または励起領域150内の環状領域305に配置された神経細胞の近傍における電界:
の瞬間的大きさは、cm当たり約0V(V/cm)〜約5V/cmの間で、時間と共に変化してよい。本明細書において、電界の瞬間的大きさは、時間のある瞬間における電界の絶対値として定義される。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約10V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約20V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約30V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約50V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約75V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約100V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約150V/cmの間で変化することができる。いくつかの態様において、瞬間的大きさは、時間と共に約0V/cm〜約200V/cmの間で変化することができる。一般に、ウェル内の与えられた位置における電界の瞬間的大きさは、電極の幾何学的構成ならびに、神経細胞培養物培地および近傍材料の電気特性により、その一部が決定される。種々の態様において、電極102、104に適用される電圧波形および電流波形を制御して、神経細胞を含むウェル内に、所望の瞬間的大きさと時間変化プロファイルの電界を発生させる。
いくつかの態様において、波形のピーク値、例えば電極に適用される1つのピーク電圧、複数ピーク電圧、1つのピーク電流、または複数ピーク電流は、装置の性能および測定されるシナプス小胞サイクルパラメータに基づき決定することができる。例えば、方形波を、本発明に従って用いることができる。好適な方形波は、0〜100Vの範囲のピーク振幅、0〜100mAの範囲のピーク電流、0〜100Hzの範囲の繰返し率、および0〜1分の範囲の電気刺激の持続時間を有してよい。本発明に好適な例示のパラメータを表1に示す。
一定の態様において、軸索における活動電位の刺激は、蛍光顕微鏡で測定することができる(Ryan and Smith, 1995, Neuron, 14:983;本明細書に参照により組み込まれる)。いくつかの態様において、電極対の電極に適用するピーク値は、所望の生物物理学的結果が観察されるまで、例えば、神経細胞での活動電位の発火を示す蛍光シグナルが観察されるまで、増加してよい。図2A〜Bに示す電極対について、所望の結果は、内側電極102の近くで最初に現れ得る。いくつかの態様において、ピーク値は、所望の結果が励起領域150の所望の部分から得られるまで増加してよく、ピーク値は次の操作値として選択される。一定の態様に置いて、ピーク値は、「閾値」、すなわち所望の生物物理学的結果が最初に観察される時の値、を超える過剰量だけ増加してよく、ピーク値は次の操作値として用いられる。
電極は、広範囲の幾何学的構成に形成されてよいことが理解される。電極対の種々のデザインの例を図5A〜Hに示すが、ここで電極は、遠位端490および介在励起領域450を有する。導電ワイヤおよびコネクターは、図の簡略化のために図から省略している。種々の態様において、電極対、例えば電極402a、404aは、細胞および培地を含むウェル内に浸してもよい。いくつかの態様において、電極402a、404aは、ピンまたはロッドを含んでよい。いくつかの態様において、電極対は、ロッド402cおよび薄いプレート404c、または平行プレート402e、404eを含んでよい。図5G〜Hに示すように、電極対は、複数電極要素402g、404h、例えば複数のピン、ロッド、もしくはプレート、またはこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
種々の態様において、少なくとも1つの電極対は、図6A〜Bに示すように、電極アセンブリ500内に組み込まれる。電極102、104は、固体材料503により、その場所に保たれるかまたは支持されてよい。一定の態様において、固体材料503は非導電性、例えばポリマーまたはプラスチックである。いくつかの態様において、材料503は透明であり、電極の配置を上側501から見ることができる。いくつかの態様において、材料503は不透明であり、光を遮蔽する。電極102、104は、材料503に、接着剤、熱結合、プレス嵌め、またはこれらの任意の組み合わせにより固定してよい。種々の態様において、導電配線510、512は材料503の上に配置し、電極102、104に電気的に接続されてよい。電気的接続513は、配線と電極の間に、ハンダ、導電性接着剤、または圧力接触により確立してよい。いくつかの態様において、配線510、512は材料503の反対側にある。いくつかの態様において、配線510、512は、材料503の同じ側に配置される。例えば図2A〜Bに示す電極アセンブリに対して、図6Aに示す配線510、512の配置は、製造目的に関してより実際的であり得る。図5A〜Hに示す電極構造について、導電配線は支持材料503の同じ側に位置してよく、または材料の反対側に位置してよい。
電極アセンブリの1つの特定の例示の態様を、図6Cの写真に示す。アセンブリは、図2A〜Bに示すものと類似の電極対をその遠位端190に有する。外側電極104は写真に見えている。円筒形状の固体材料503は、内側電極102と外側電極104を支持する。ワイヤ110と112は、それぞれ内側および外側電極と接続されている。コネクター120は、写真の中で1つのワイヤの末端に見ることができる。
図7A〜Cを参照すると、種々の態様において、複数電極対602、604は、例えば24ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレートなどのマルチウェルプレートで用いるように適合されたマルチ電極アセンブリ600内に配置される。いくつかの態様において、マルチ電極アセンブリは、対応するマルチウェルプレートの各ウェルに対して1電極対を含む。いくつかの態様において、マルチ電極アセンブリは、対応するマルチウェルプレートのウェル数より少ない電極対を含む。電極602、604は、非導電材料のプレート603により支持されてよい。導電配線610はプレート603の上面上に配置してよく、各電極対の1つの電極602への電気的接触を提供する。全ての配線610は電気的に接続され、さらに接続固定具622、例えば接触パッド、差込コンセント、BNCジャックなどに接続されてよく、こうして固定具622に波形を適用すると、全ての電極602に対して実質的に同時に該波形が適用される。導電配線612はプレート603の底面に配置してよく、各電極対の対応電極604への電気的接触を提供する。すべての配線612は電気的に接続され、さらに接続固定具624に接続されてよく、こうして接続固定具624に波形を適用すると、全ての電極604に対し実質的に同時に該波形が適用される。
いくつかの態様において、個別の配線の代わりにグランド・プレーンまたは材料の導電層を用いて、各電極対内の電極602または604の1つへの接続を確立してよい。例として、プレート603の片側は、その上を薄い金属フィルムまたは導電フィルムで被覆し、電極602または604の1つを薄いフィルムへハンダ付けしてよい。いくつかの態様において、薄い金属または導電フィルムは、プレート603の両側を被覆してもよく、ここで片側のフィルムは各内側電極602に電気的に接続され、反対側のフィルムは各外側電極604に電気的に接続される。かかる配置において、プレート603の片側の各内側電極周辺のフィルムの領域を、例えばドリル加工または機械加工により除去して、内側電極と外側電極がフィルムによりショートしないようにすることが必要となり得る。
種々の態様において、電極対602、604は、これら全てをマルチウェルプレートのウェル内の細胞および培地を含むウェルに同時に浸せるように配置される。例えば、電極対の中心間のスペースは、マルチウェルプレート上のウェルの中心間スペースに実質的に整合する。種々の態様において、プレート603の下部表面を越えた電極602、604の延長Lは、電極対の遠位端690がマルチウェルプレートの各ウェルの底と接触するか、またはその近傍に来ることを可能とする。種々の態様において、外側電極604の直径Doは、マルチウェルプレートのウェルの内径に実質的に整合するサイズであるか、またはこれより小さいサイズである。一定の態様において、内側電極の直径Diは約1mmであり、外側電極の直径Doは約6mmである。一定の態様において、内側電極の直径Diは約1mmであり、外側電極の直径Doは約3mmである。
いくつかの態様において、電極対の各列は、他の列から独立して活性化することができる。図8Aに示すマルチ電極アセンブリ700は、電極対の列を独立して活性化する態様を表す。この態様について、電極対の各列は、接続固定具722A〜722Lの1つに対して波形を適用することにより、独立して活性化することができる。配線610は、列の代わりに行に沿って配置してよく、これにより、電極対の行を他の行から独立して活性化することができる。
いくつかの態様において、接続固定具722A〜722Lは、支持プレート603の少なくとも一部にわたり分散することができる。いくつかの態様において、導電配線610は、図8Bに示すように接続固定具722A〜722Lが局在化するよう、パターン化されてよい。いくつかの態様において、局在化された接続固定具は、支持プレート603上に堅固に搭載されている標準電気コネクター、例えばマルチピンのオスまたはメス・コネクターなどに電気的に接続することができる。標準コネクターの使用は、マルチ電極アセンブリ600、700のセットアップ時間を減少させ、その交換を促進する。
いくつかの態様において、マルチ電極アセンブリ600、700およびマルチウェルプレートは、位置決め装置上に取り付けることができる。位置決め装置は、マルチ電極アセンブリとマルチウェルプレートを選択された位置に配置し、こうしてデータを、1または2以上のウェルから順番に記録することができる。いくつかの態様において、位置決め装置は運動制御ステージを含む。いくつかの態様において、位置決め装置は自動化されており、例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、またはマイクロコントローラにより制御される。
マルチ電極アセンブリ600、700を操作するのに有用な電気制御システム800の1つの特定の例示の態様を、図9のブロック図に示す。種々の態様において、電気制御システムは、波形発生器810を含む。波形発生器810は、1または2以上の波形シグナル818を発生し、これは増幅ユニット870に伝送されることができる。増幅ユニットは1または2以上の波形シグナルを受信し、各波形シグナルの振幅または電流、または振幅と電流両方を増加させる。増幅ユニット870は次に、増幅シグナル878をマルチ電極アセンブリ600、700へと伝送することができる。増幅ユニット870に供給されたシグナル818は、複数の別々のワイヤに提供されるか、無線伝送を介して提供されるか、またはマルチワイヤケーブルのセットに提供されてもよい。増幅ユニット870から伝送されたシグナル878は、複数の別々のワイヤに提供され、無線伝送を介して提供され、またはマルチワイヤケーブルのセットに提供されてもよい。各シグナルへの電気的遮蔽は、増幅ユニット870の入力において提供されてよく、または、シグナルの増幅後に提供されてもよい。種々の態様において、電気的遮蔽は、適用された電気シグナルの反射が波形発生器810に伝播して戻るのを防ぐ。波形発生器810は、外部源からの入力制御電気シグナル802、例えば1または2以上の波形の適用を開始するタイミングシグナル、増幅制御シグナル、繰返し率制御シグナル、波形形状制御シグナルを受信することができる。波形発生器810は、出力制御電気シグナル816、例えば外部装置へのタイミングシグナル、誘発シグナル、同期シグナルなどを提供することができる。
いくつかの態様において、波形発生器810は、コンピュータ、またはパソコン、またはラップトップコンピュータであってよい。いくつかの態様において、波形発生器810は、独立型関数発生器、プログラム可能波形発生器、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、またはパルス発生器であってよい。いくつかの態様において、波形は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、もしくはマイクロコントローラの1または2以上の出力ポートにおいて電圧または電流を制御する該コンピュータ、マイクロプロセッサ、もしくはマイクロコントローラ上で実行されるソフトウェアにより発生されてもよい。いくつかの態様において、波形発生器810は、マルチポートデータ収集装置またはマルチポートアナログ−デジタル基盤と組み合わせた、コンピュータ、マイクロプロセッサ、またはマイクロコントローラを含んでよい。
一定の態様において、電気刺激システムは、改変された市販のエレクトロポレーションシステムを含む。例としては、Cellectricon(Moldnal, Sweden)から利用可能なCellAxessHTシステムを、マルチウェルプレートのウェル内の神経細胞に活動電位を励起するために適合させてよい。CellAxessHTシステムは、384ウェルプレートのウェル内に培養された、懸濁された、および/またはその他で含有されている細胞のエレクトロポレーションのためにデザインされている。細胞のエレクトロポレーションでは電界を細胞の近傍に適用するが、ここで電界の大きさは、細胞の膜を通して水和化経路を作るのに十分大きい。CellAxessHTシステムは、384ウェルプレートの96ウェル内の細胞に同時にエレクトロポレーションが可能な、マルチ電極アセンブリを有する。一定の態様において、CellAxessHTマルチ電極アセンブリは、384ウェルプレートアッセイのウェル内の神経細胞に刺激波形を提供するために、変更なしで用いられる。一定の態様において、CellAxessHTマルチ電極アセンブリを変更して、例えば電極サイズ、間隔、および/または構造を変えて、96ウェルプレートアッセイのウェル内の神経細胞に刺激波形を提供する。
一定の態様において、また追加の例として、Cellictricon ABから利用可能な改変型CellAxessCX3エレクトロポレーションシステムを用いて、ウェル内の神経細胞を電気的に刺激してもよい。種々の態様において、改変型CX3システムは、3対の改変電極および低自動蛍光プラスチック要素を含む。電極は、それらの励起領域内で、実質的に均一な電界を提供することができる。種々の態様において、電極は、96ウェルプレートのウェル内にフィットするよう適合され、ウェル内の神経細胞に実質的に同時にシナプス小胞サイクリングを刺激する。CX3システムは、約1V〜約100Vの範囲のピーク電圧値の、励起電圧波形を提供することができる。
代替的刺激システム
一定の態様においては、音響または超音波刺激を用いて、神経細胞に活動電位を励起する。いくつかの態様においては、音響刺激は、マルチウェルプレートのウェル内の(1または2以上の)神経細胞に適用された、1または2以上の音波パルスまたは超音波パルスを含む。一定の態様において、音響トランスデューサーは、(1または2以上の)神経細胞を含むウェルに接触させるか、またはその近傍に配置することができる。いくつかの態様において、音響トランスデューサーのアレイを、神経細胞を含むウェルのアレイに空間的に適合させることができ、トランスデューサーのアレイは、神経細胞を含むウェルのアレイに接触させるか、またはその近傍に配置することができる。一定の態様において、トランスデューサーのアレイは、神経細胞を含むウェルのアレイに空間的に適合している必要はない。例えば、トランスデューサーのアレイ中のトランスデューサーは、神経細胞を含むウェルのアレイ内の、2つごと、3つごと、または4つごとのウェルに空間的に適合していてもよい。いくつかの態様において、音響トランスデューサーは、直線アレイ状に、例えばマルチウェルプレートの行または列に対応するアレイに配置してよい。種々の態様において、超音波パルスは、ニューロンに活動電位の発火を開始させる。音響または超音波刺激システムの例は、ウェブサイト:arraytherapeutic.com/research/indexに見出すことができる。
一定の態様において、活動電位は、光学的方法を介して神経細胞に励起される。いくつかの態様において、チャネルロドプシンなどの光ゲートイオンチャネルを、神経細胞に発現させてもよい。次に光のパルスを用いて、光ゲートイオンチャネルを活性化し、ニューロンを脱分極し、および活動電位を開始することができる。いくつかの態様において、活動電位の発火は、培養された、懸濁された、および/またはその他で調製された光ゲートイオンチャネルを有するニューロンを、高速の光学パルストレインに暴露することにより、高い繰り返し率で行われる。光学パルスは、1または2以上の発光システムから、例えば発光ダイオード、ダイオードレーザー、白熱灯、ネオンランプなどから提供することができる。種々の態様において、1または2以上の発光システムからの放射は、光ゲートイオンチャネルが応答する波長を提供する。種々の態様において、1または2以上の発光システムから放出された放射線は、1または2以上の神経細胞に向けられる。レンズ、光学フィルター、鏡またはその他の光学部品は、放出された放射線を1または2以上の神経細胞に集中し指向させる。
いくつかの態様において、発光装置のアレイおよび付随する光学部品は、神経細胞を含むウェルのアレイに空間的に適合させることができ、発光装置のアレイは、神経細胞を含むウェルのアレイを照らすように適合される。一定の態様において、発光装置のアレイは、神経細胞を含むウェルのアレイに空間的に適合する必要はない。例えば、発光装置のアレイは、神経細胞を含む2つごと、3つごと、または4つごとのウェルに空間的に適合していてもよい。いくつかの態様において、発光装置は、直線アレイ状に、例えば、マルチウェルプレートの行または列に対応するアレイに配置してよい。種々の態様において、発光装置のアレイからの光学パルスは、神経細胞内のニューロンに活動電位の発火を開始させる。
一定の態様において、光活性化グルタミン酸受容体LiGluRを用いて、活動電位の発火を開始させる。種々の態様において、神経細胞は、活性化リガンドを結合可能な、細胞外システインを有する修飾カイニン酸受容体を含む。つながれたリガンドの選択された波長での発光は、リガンドの構造を反転させるか、または切り換えることができる。光スイッチで切り換えた場合、グルタミン酸は受容体の結合ポケットに配置され、これは活動電位の発火を開始することができる。種々の態様において、1または2以上の発光装置を用いて、光活性化リガンドを光スイッチで切り換える。発光装置は、光ゲートイオンチャネルを用いる上述の態様に関連して記載したように、アレイ内に配置され、追加の光学部品を含むことができる。一定の態様において、LiGluRおよび光スイッチ活性化を用いて、神経細胞に活動電位の高周波数発火を誘発する。
いくつかの態様において、光導電性刺激を用いて、ニューロンに活動電位を誘発してよい。光導電は、ニューロンなどの励起可能な細胞の素早く非侵襲的な脱分極を可能とする技術である。典型的には、光導電性刺激を用いて、培養物中に増殖するものを含むニューロンに活動電位を誘発することができる。細胞は、産業標準のマルチウェルプレート内で増殖させることができ、および/または次に、顕微鏡下でのライブでの観察のために、再使用可能なディッシュに載せることができる。提供された電子機器を用いて、ユーザー規定の周波数および強度において、細胞を脱分極することができる。典型的には光導電刺激には、細胞に対する直接的な物理的結合は関与しない(例えば、電極またはトランジスターの接触)。光導電の例は、ウェブサイト:membrasys.com/techynology.aspに見出すことができる。
検出技術
種々の態様において、シナプス小胞サイクリングプラットフォームは、シナプス小胞サイクリングに関連する活性をモニタリングするための検出システムを含む。いくつかの態様において、検出システムは、例えば複数ウェル内にある神経細胞の画像化を提供する。いくつかの態様において、検出システムは、神経細胞を含むウェル内の少なくとも1つの領域からの発光のモニタリングを提供する。種々の態様において、検出システムは、電気刺激システムと通信し、シナプス小胞サイクリングの刺激と検出を実質的に同期させることができる。
一定の態様において、シナプス小胞サイクリングアッセイは、1または2以上の次の特徴を有する:(a)アッセイは蛍光ベースの動態アッセイであり、例えば、神経細胞を含むウェルからの蛍光の量は、シナプス小胞サイクリング活性の間に時間と共に変化し得る;(b)レポーターからのシグナルは増幅されず、これはハイスループットスクリーニングアッセイに典型的なものより弱いシグナルを提供する可能性がある;および(c)シナプス小胞サイクリングは、制御された刺激システムにより活性化される。種々の態様において、シナプス小胞サイクリングシステムのための検出システムは、1または2以上の神経細胞からの低レベル時間変化蛍光シグナルを検出することができ、これはシステムの一部として物理的に組み込まれることにより、電気刺激システムと組み合わせて操作可能である。いくつかの態様において、検出システムは、検出されたシグナルの捕捉、伝送、および/または分析を提供することができる。検出シグナルの分析は、一定の態様において、約1分間で完了することができる。
プラットフォームはまた、少なくとも1つの検出器を含む検出システムを含んでもよい。典型的には、検出器は、ウェルからの発光シグナルを検出するよう構成された光学センサーを含む。検出器はまた、ウェルからの発光シグナルを収集するよう構成された対物レンズを含む。対物レンズは、例えば電荷結合素子カメラなどの光学センサーに、操作可能に接続することができる。対物レンズは、空気対物レンズであってよい。代替的に、対物レンズは、水浸または油浸レンズであってよい。
典型的には、空気対物レンズは、水浸または油浸レンズよりも低い開口数(NA)を有する。NAは、対物レンズが収集した放出フォトンの率を直接制御するため、空気対物レンズは一般に、水浸または油浸レンズよりも少ないフォトンを収集する。出願人らは、1または2以上の空気対物レンズの使用を含むことができる一定の用途、例えばハイスループットプラットフォームなどに対して、対物レンズに付随する低い収集効率は、種々の方法により補償可能であることを発見した。例えば、空気対物レンズに付随する低い収集効率は、視野内で画像化されるシナプス数の増加により、例えば、神経細胞数の増加により、視野面積サイズの増加により、および/またはレポータータンパク質発現の効率および特異性を増加させることにより、補償することができる。したがって、出願人らは、シナプス小胞サイクリングの側面を、ハイスループット様式かつ高い感受性で検出できることを発見し、例えば、神経細胞での5〜10という低い活動電位に応答するシナプス小胞サイクリングの側面を、1または2以上の低開口数空気対物レンズを用いて検出可能である。
対物レンズは、倍率5×、10×、20×、40×、60×、または100×を有することができる。他の適切な倍率は、本開示の教示に基づき当業者には明らかである。対物レンズは、開口数の範囲として、0.1NA〜1.4NA、0.1NA〜1.3NA、0.1NA〜1.2NA、0.1NA〜1.1NA、0.1NA〜1.0NA、0.1NA〜0.9NA、0.1NA〜0.85NA、0.1NA〜0.8NA、0.1NA〜0.75NA、0.1NA〜0.7NA、0.1NA〜0.65NA、0.1NA〜0.6NA、0.1NA〜0.55NA、0.1NA〜0.5NA、0.1NA〜0.45NA、0.1NA〜0.4NA、0.1NA〜0.35NA、0.1NA〜0.3NA、0.1NA〜0.25NA、0.1NA〜0.2NA、または0.1NA〜0.15NAを有することができる。対物レンズは、その開口数として、約0.1NA、約0.15NA、約0.2NA、約0.25NA、約0.3NA、約0.35NA、約0.4NA、約0.45NA、約0.5NA、約0.55NA、約0.6NA、約0.65NA、約0.7NA、約0.75NA、約0.8NA、約0.85NA、約0.9NA、約0.95NA、約1NA、約1.1NA、約1.2NA、約1.3NA、約1.4NA、またはそれ以上を有することができる。他の適切な開口数は、本開示の教示に基づき当業者には明らかである。
検出器は、種々の視野面積からの発光シグナルを検出するよう構成することができる。検出器は、次の範囲の視野面積からの発光シグナルを検出するよう、構成されてよい:0.1mm〜10mm、0.1mm〜9mm、0.1mm〜8mm、0.1mm〜7mm、0.1mm〜6mm、0.1mm〜5mm、0.1mm〜4mm、0.1mm〜3mm、0.1mm〜2mm、0.1mm〜1mm、または0.1mm〜0.5mm。対物レンズは、次の視野面積からの発光シグナルを収集するよう構成されてよい:約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、またはそれ以上。他の適切な視野面積は、本開示の教示に基づき当業者には明らかである。
検出システムは、検出器に操作可能に接続されたコンピュータを含み、ここでコンピュータは、検出器からの発光シグナルを、神経細胞でのシナプス小胞サイクリングの側面の特徴を示すデータに変換するよう、構成されている。
検出システムのいくつかの態様において、神経細胞内のシナプス小胞サイクル活性は、光学部品を用いて、例えばレンズおよびフィルター、および蛍光発光シグナルまたは電荷結合素子(CCD)検出器アレイに捕捉された蛍光発光体の画像を用いて、画像化されてよい。画像化システムは、レポーター蛍光体から、例えばシナプス小胞タンパク質の内腔内ドメインに標識されたGFPから発された蛍光放射を検出することができる。捕捉された画像は、マルチウェルプレートのウェルの部分のものであってよい。画像を一旦CCDアレイに電気的に捕捉すると、シグナルは、データプロセシングソフトウェアを実行するコンピュータ上で順次処理することができる。画像またはシグナルは順番に捕捉されて、シナプス小胞サイクリングの間の蛍光の動態分析を提供することができる。
マルチウェルプレートのウェル内のシナプス小胞サイクリングに関連する活性の画像を提供できる検出システムの、非限定的例を、図10に示す。種々の態様において、倒立落射蛍光顕微鏡910を用いて、神経細胞を含むウェル内からの蛍光発光を画像化する。例として、対物レンズ920(例えば10×、0.45NAの空気対物レンズ)を有するZeiss Axiovert Z1は、ウェル908の少なくとも一部の中のシナプス小胞サイクル活性を画像化することができる。種々の態様において、各ウェル906の底の少なくとも一部は透明であり、ウェル内の神経細胞が、ウェルの底を通して光学的に観察可能である。画像は、顕微鏡に接続されたCCDアレイ930が捕捉することができる。CCDアレイはコンピュータと通信することができ、画像をコンピュータのメモリ内に転送し、光学的に保存することができる。画像は次に、コンピュータにより処理されて、シナプス小胞サイクリングの関連情報を抽出することができる。
種々の態様において、画像化システム(例えば、顕微鏡910)は、マルチウェルプレート915のウェル908へのオープンアクセスを可能とし、これによりマルチ電極アセンブリ600を、図に示すように、プレートの上からウェル内に配置することができる。種々の態様において、マルチウェルプレート915は、位置決め装置945に搭載され、これによりマルチウェルプレートの各ウェルが順番に検査可能である。位置決め装置945は自動化され、および/または利便性のためにコンピュータ制御され、電気励起システム、画像捕捉装置、および/またはデータ処理システムと任意に同期させることができる。自動化データ捕捉および処理のために、CCDアレイ930、顕微鏡910、位置決め装置945、およびマルチ電極アセンブリ600は、有線または無線リンク962、964、966、968を介して、中央コントローラと、例えばコンピュータ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどと通信可能である。
いくつかの用途において、分析の低い速度は、実験者またはユーザーのニーズに対して適切であり得て、図10に示すシナプス小胞サイクリングの態様の要素は、特定用途には十分であり得る。例えば、いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングは約30秒〜約150秒の間の時間延長され、例えば約30秒、約40秒、約50秒、約60秒、約70秒、約80秒、約90秒、約100秒、約110秒、約120秒、約130秒、約140秒、または約150秒である。したがって各ウェルは、これらの任意の持続時間の間、画像化可能である。いくつかの態様において、各ウェルは、この時間より短い時間画像化され得て、例えば約5秒、約10秒、約20秒、約30秒、または約40秒である。1つの顕微鏡を用いて1回に1つのウェルを検査し、データ処理時間が画像化時間に比べて無視できるとすると、96ウェルプレートについてのデータ収集および処理時間は約1時間〜4時間の間であってよく、例えば約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、または約4時間である。分析のより早い速度が必要な場合は、平行検出システムを用いてもよい。
図11は、平行検出システム1000を示し、これはハイスループットシナプス小胞サイクリングシステムの1態様に用いることができる。種々の態様において、平行検出システム1000は、レンズアレイ1070および検出アレイ1080を含む。レンズアレイ1070は、レンズ1072のアレイを含むことができ、該レンズは、1つの次元について分散させることができ、例えばウェル906の複数の行または列に対応する構造であり、または2つの次元について分散させることができ、例えばウェルの複数の行および列に対応する構造である。いくつかの態様において、レンズアレイ1070のレンズは、マルチウェルプレートの各ウェルの位置に空間的に整合していてもよい。レンズアレイ1070は、行および/または列の各全てのウェルに、空間的に整合するレンズを有する必要はない。例えばレンズは、行および/または列における1つおきのウェル、2つおきのウェル、3つおきのウェル、4つおきのウェル、または5つおきのウェルに整合していてもよい。レンズが全ウェルに整合していない場合、マルチウェルプレート915は読み取りの間、隣接する未読み取りのウェルに移動してもよい。
検出器アレイ1080は、光検出器1082のアレイを含んでよい。光検出器1082は、高感受性検出器であってよく、例えば光電子倍増管、アバランシェフォトダイオード、シリコンドリフト検出器などである。光学フィルターは、検出器の上に位置させることができ、例えば、ウェル906内の蛍光体標識試料からの蛍光発光とは異なる波長からの放射を低減する。いくつかの態様において、光検出器アレイ1080の検出器は、マルチウェルプレートの各ウェルの配置に空間的に整合させてよい。いくつかの態様において、光検出器1082は、レンズアレイ1070のレンズ1072に整合する構成で分散されてよい。種々の態様において、各レンズ1072は、ウェル906の少なくとも一部から放射される蛍光発光を収集し、収集した発光を、対応する光検出器1082に指向させる。各光検出器1082からのシグナルは、有線または無線リンク1062を介して、中央コントローラ(例えばコンピュータ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなど)に、続く処理のために伝送することができる。いくつかの態様において、各光検出器1082は、光学バッフルまたは不透明材料によって、隣接しているかまたは近くのウェルから光学的に隔離することができ、こうして、各光検出器は、対応するその収集レンズ1072の直接反対側のウェルからの蛍光放射のみを受信する。種々の態様において、レンズ1072は、反射防止コーティングおよび/またはバンドパスコーティングで被覆することができる。
いくつかの態様において、マルチウェル(例えば4、16、24、48、96、384ウェル)を平行して画像化可能なプレートリーダーを、このシステムで用いることができる。例えば、市販のプレートリーダー(例えばPerkin Elmer, Waltham, MAから利用可能なplate::visionシステム)を、平行検出システムに用いてよい。このプレートリーダーは動態ベースの蛍光分析が可能であり、マルチ電極アセンブリの統合のためにマルチウェルプレートの上部へのアクセスを可能とする。plate::visionシステムは高収集効率光学素子を有し、96ウェルを平行して分析するためにデザインされた、特別の光学素子を有する。本発明者らはplate::visionプレートシステムについて、複数ウェルのシナプス小胞サイクルを平行して記録するその能力を評価し、例示の節に詳細に記載した。さらなる好適な平行プレートリーダーとしては、限定することなく、FLIPRTETRA(登録商標)(Molecular Devices, Union City, CA)、FDSS7000(Hamamatsu, Bridgewater, NJ)、およびCellLux(Perkin Elmer, Waltham, MA)が挙げられる。
種々の態様において、図10に示す画像化システムから、または図11に示す平行検出システムから受信したシグナルを処理して、時間の関数としての、シナプス小胞サイクリングまたはシナプス小胞活性を評価する。一定の態様において、シナプス小胞サイクリングを代表するシグナル、例えば蛍光シグナルは、時間の関数として記録される。シグナルの強度および/または繰返し率を記録することができる。画像化システムを含む態様について、1つの神経細胞培養物に対して複数細胞からのシグナルを記録することができ、ここで各シグナルは、培養物中の特定の位置またはニューロンに対応する。画像化システムを含む態様については、複数細胞からのシグナルを組み合わせて、神経細胞を含むウェルについての総合的な、または平均のシグナルを得ることができる。
種々の態様において、シナプス小胞サイクリングまたは神経活動を代表するシグナルを、本発明のシナプス小胞サイクリングアッセイの読み取り値として評価することができる。いくつかの態様において、神経伝達の電気生理学的分析を、本発明による本発明のアッセイの読み取り値として用いることができる。例えば、シナプス疲労を代表するシグナルを、本発明のアッセイの読み取り値として用いて、神経伝達に影響する化合物を同定することができる。一定の態様において、シナプス小胞サイクリングまたは神経活動を代表するシグナル、例えば蛍光シグナルは、以下を示す:振動、リップル、一定の波形形状、指数軌跡、例えば飽和または回復、増加率(例えば蛍光の増加率)、減少率(例えば蛍光の減衰率)、および/またはノイズ様特性。種々の態様において、シグナルは、観察された特徴の定量化のために分析することができる。例として、シナプス小胞サイクリングまたは神経活動を代表するシグナルは、指数減衰を示してよい。かかるシグナルについて、指数減衰を含む数式、例えばexp(−t/τ)(式中、tは時間を表し、τは特性減衰定数を表す)を観察されるシグナルに適用して、τの測度を得ることができる。
刺激および検出システムのインターフェース
種々の態様において、電気刺激システムおよび検出システムは、図10(ロースループットプラットフォームの例示の描写)および図11(ハイスループットプラットフォームの例示の描写)に示すように、シナプス小胞サイクリングシステムにインターフェースされ組み込まれている。マルチ電極アセンブリ600、それに付随する電子装置および検出システムは、通信リンク966、962、964、968、1062を介して中央コントローラ(例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなど)にインターフェースされ、実験手順、データ収集およびデータ処理は、実質的に自動化または半自動化することができる。種々の態様において、マルチ電極アセンブリ600の電極602、604は、マルチウェルプレートの上方向から、マルチウェルプレート915のウェル906内の神経細胞培養物に接触するよう配置され、検出システムは、ウェルの下に配置される。電気刺激システムおよび検出システムが中央コンピュータにインターフェースされている自動化実験手順の例として、コンピュータは以下のステップを実行することができる:(a)電子コマンドを位置決め装置945に発行して、第1ウェルを顕微鏡対物レンズ920の上に配置する、(b)顕微鏡操作パラメータ、例えばレンズの選択、フィルター設定などを初期化するコマンドを発行する、(c)CCDアレイを初期化する(例えば電源設定、ゲイン設定、電子シャッター速度)、(d)CCDアレイからのデータ受信を開始する、(e)電子コマンドを電気刺激システムに発行して、1または2以上の波形を第1ウェル内の電極に適用する、(f)波形の適用を終了するコマンドを発行する、(g)CCDアレイからのデータ受信を終了する、および(h)電子コマンドを発行して、装置945を他のウェルに配置し、サイクル(b〜h)を繰り返す。
一定の側面において、インターフェースされたシステムを用いて、例えば実施例の節に例示されているように、種々の電極デザインの神経細胞内にシナプス小胞サイクリングを引き起こす能力を評価する。非限定的例として、96ウェルプレート内の培養物の初代神経細胞を、シナプトsynaptopHluorin−、vGlut1−pHluorin−、またはシナプトフィジン−pHluorin−発現アデノ随伴ウイルスに感染させる。培養期間の後、培養培地をアッセイバッファーに交換することができる。プレートは次に、シナプス小胞サイクリングシステムに配置することができ、電極をウェル内に配置する。電圧波形を適用し、シナプトsynaptopHluorinが発生した蛍光の少なくとも一部を検出装置に指向させて記録する(例えば、画像、一連の画像、強度レベル、および/または一連の強度レベルとして)。1または2以上の細胞培養物中のシナプス小胞サイクリングに関連する活性の画像化は、図10に示すように、倒立顕微鏡により実施することができる。時間変化蛍光シグナルの検出は、図11に示すように、倒立顕微鏡またはレンズおよび光検出器アセンブリにより実施することができる。刺激は、異なる電極デザインについて繰り返すことができ、得られたデータを比較して、種々の電極デザインの有効性を評価する。
プラットフォーム
いくつかの態様において、本発明によるシナプス小胞サイクリングアッセイは、ロースループットプラットフォームで実施される。典型的には、ロースループットアッセイシステムはより良好な光学素子(例えば落射蛍光顕微鏡)を用い、より良い解像度を提供する。その結果、いくつかの態様において、ロースループットプラットフォームは、個々のシナプスの特徴を示すことができる。典型的には、ロースループットプラットフォームは、個々の化合物の効果の特徴づけに特に有用である。例えば、特定の疾患を処置する既知の薬剤をロースループットプラットフォームで分析して、これがシナプス小胞サイクリングに影響するかどうかを決定することができる。例示のロースループットプラットフォームを、図10に示す。
ハイスループットプラットフォーム
いくつかの態様において、本発明によるシナプス小胞サイクリングアッセイは、ハイスループットプラットフォームで実施することができる。ハイスループットプラットフォームは、多数の候補剤または試験剤からシナプス小胞サイクリングモジュレータ(例えば刺激剤および/または阻害剤)を同定するブラインド・スクリーニングに特に有用である。一定の態様において、ハイスループットスクリーニングアッセイは、以下のステップを含むことができる:(a)本明細書に記載のように、複数の神経細胞を提供すること、(b)複数の試験剤を、複数試験剤のメンバーが複数神経細胞の各々と接触するように提供すること、(c)本明細書に記載のように、シナプス小胞サイクリングアッセイを実施すること、および(d)複数試験剤の任意のメンバーが、対照と比較して、シナプス小胞サイクリングに関連する1または2以上の活性を調節するかどうかを決定すること。
いくつかの態様において、複数神経細胞は、複数のウェルにおいて提供される。例えば、マルチウェルプレート、例えば24、48、96、または384ウェルプレートを、ハイスループットアッセイに用いることができる。例示のハイスループットスクリーニングシステムを、図11に示す。
シナプス小胞サイクリングをマルチウェルで誘発するために、ハイスループットプラットフォームは典型的には刺激システムを含み、ウェルに電場電位を発生させる。いくつかの態様において、プレートのウェルは、アッセイシステムに刺激技術を組み込むために、上部からアクセス可能である。いくつかの態様において、カスタム開発されたマルチウェル電気刺激装置を用いることができる。いくつかの態様において、本発明に好適なマルチウェル電気刺激装置は、複数神経細胞を含むウェル内に配置可能な複数電極対を含む。電極は、外側円筒状導電電極に囲まれた内側ロッド状導電電極を含んでよい。刺激ステップは、1または2以上の励起電圧波形を電極に対して適用し、電極対の電極の間のウェル内の励起領域内に、電界を発生させることを含んでよい。種々の態様において、刺激ステップは、刺激波形を適用することにより、シナプス小胞サイクリングを誘発することを含む。
いくつかの態様において、好適な刺激システムは、マルチウェルプレート・エレクトロポレーションシステムから改変することができる。例えば、市販のハイスループットエレクトロポレーター(例えばCellectriconから提供される、siRNAを送達するようデザインされたCellAxessHT)を、マルチウェルプレートのウェルの電界電位被覆面積を最大化するよう最適化して、本発明のハイスループットシナプス小胞サイクリングアッセイの刺激システムとして機能させることができる。市販のハイスループットエレクトロポレーターのカスタム改変の非限定的例は、実施例の節に詳細に記載される。ハイスループットプラットフォームに好適な追加の刺激システムは、本明細書に記載される。
典型的には、本発明によるハイスループットアッセイは、蛍光ベースの動態アッセイである。典型的には、レポーターのシグナルはシナプス小胞サイクリングアッセイにおいて増幅されず、したがって弱いシグナルとなる。好適な画像化システムは、高フォトン収集効率を有する。高い収集効率は、動態読取の間のシグナル対ノイズ比の改善およびブリーチングの減少をもたらすが、これは、蛍光体を測定可能に励起するために、より少ない光しか必要としないからである。種々の態様において、本発明に好適な画像化/モニタリングシステムは、複数神経細胞を含む複数ウェルを、平行して、シナプス小胞サイクリングを示すシグナル(例えば蛍光発光)についてモニタリング可能である。一定の態様において、好適な画像化システムは、神経細胞を含むウェルの少なくとも一部を画像化し、神経細胞を含むウェルの少なくとも一部の画像または一連の画像を収集する。一定の態様において、本発明に好適な画像化/モニタリングシステムは、複数神経細胞を含む複数ウェルからのシグナル(例えば蛍光放射)の量を平行して収集および検出する。いくつかの態様において、好適な画像化/モニタリングシステムは、シナプス小胞サイクリングの1または2以上の側面を代表する任意の収集データ、例えば、種々のシナプス小胞サイクリングプロセスの動態(例えばエンドサイトーシス、核形成、陥入など)をさらに処理することができる。典型的には、好適な画像化システムは、比較的短時間スケール(例えば1分)での蛍光動態解析を実施することができる。
いくつかの態様において、カスタムまたは市販のハイコンテント・スクリーニングシステム(例えばPathway, Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ;ImageXpress MICRO Molecular Devices, Union City, CA;Opera, Perkin Elmer, Waltham, MA;ArrayScan, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)を用いることができる。これらのハイコンテント・スクリーニングシステムは、1時間に少なくとも12のシナプス小胞サイクリングアッセイを実施可能である。いくつかの態様において、マルチウェルプレートリーダーを用いてスクリーニングのスループットを増加させることにより、該システムを化合物発見に適するようにする。好適なマルチウェルプレートリーダーは、マルチウェルプレートの複数ウェルを平行して画像化することができる。好適なプレートリーダーは、市販のプレートリーダー(例えばPerkin Elmerによるplate::vision)を含む。典型的には、好適なプレートリーダーは動態蛍光分析が可能であり、刺激システムの組み込みのためにプレート上部からのアクセスが可能であり、高収集効率の光学素子、および/または複数のウェルを平行して分析するためにデザインされた特別の光学素子を有する。
典型的には、ハイスループットプラットフォームは、複数のシナプス小胞サイクルアッセイを同時に測定する、1つの装置を用いることを含む。ハイスループットプラットフォームは、可能な限り多くのシナプス小胞サイクルモードの間に、シナプス小胞サイクルのより多くの要素を測定する能力を有することが望ましい。エンドサイトーシスの異なるモード(例えば飽和および不飽和)の間にシナプス小胞サイクルを調査するために、アッセイシステムは、低および高強度刺激のトレイン両方の間、およびその後に、シナプス小胞サイクルレポーターシグナルを測定できることが重要である。低強度刺激トレイン(例えば100活動電位未満用に10Hz未満)は、非飽和エンドサイトーシスのモードを誘発し、一方高強度刺激トレイン(例えば100活動電位より大きいもののために、10Hzより大)は、飽和エンドサイトーシスのモードを誘発する。いくつかの態様において、少なくとも10Hzで送達される少なくとも50活動電位に対するシナプス小胞サイクリング応答(例えばエキソサイトーシス)を測定可能な装置を用いる。この刺激範囲は、非飽和および飽和のエンドサイトーシスレジーム両方の間のシナプス小胞サイクルの分析を可能とする。いくつかの態様において、好適な装置は、少なくとも10、20、30、40または50Hzで送達される、少なくとも50、100、200、300、またはそれ以上の活動電位に対するシナプス小胞サイクリング応答を測定可能である。
いくつかの態様において、本発明のアッセイのシグナル強度は、ウェル当たり応答する蛍光体の数を最大化することにより、増加させ得る。例えばシグナル強度は、高密度でニューロンをプレートすることにより増加することができ、これは、高いシナプス密度をもたらす。いくつかの態様において、ウェル当たり少なくとも20,000ニューロン/cm2をプレートすることができる。いくつかの態様において、少なくとも50(例えば少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、またはそれ以上)のシナプスを、同時にモニタリングすることができる。
いくつかの態様において、本発明のアッセイのシグナル強度は、シナプス小胞サイクリングを示すレポーター(例えばシナプトフィジン−pHluorin)を発現するニューロンのパーセンテージを増加することにより、増加可能である。いくつかの態様において、本発明で利用されるニューロンの少なくとも90%(例えば少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%)が、シナプス小胞サイクリングを示すレポーターを発現する。種々の方法を用いて、レポーターをニューロンに効率的に標識することができる。例えば、ウイルス感染を用いることができる。本発明に好適な1つの例示のウイルス発現システムは、アデノ随伴ウイルス発現システムに基づく。典型的には、〜90%より高い感染率を、アデノ随伴ウイルス発現システムを用いて得ることができる。いくつかの態様において、興奮性および阻害性ニューロンの両方にレポーターを発現することのできるプロモータを用いる。
いくつかの態様において、レポーター標識ニューロンは、レポーター遺伝子を有する遺伝子組み換え動物(例えばマウス)から得ることができる。所望のレポーター遺伝子(例えば、シナプトフィジン−pHluorin)を発現する遺伝子組み換え動物は、当分野に知られた標準法を用いて作製することができる。遺伝子組み換え動物は、信頼性の高い、高度に再現可能な標識およびシグナルを提供する。
いくつかの態様において、シグナル強度は、シナプス小胞サイクリングを示すレポーター(例えば、vGlut1−pHluorin)で標識した機能性シナプス小胞の断片を増加させることにより、増加できる。例えば、pHluorin標識機能性シナプス小胞の断片を、例えば、V型ATPアーゼ阻害剤バフィロマイシンでのアルカリ捕獲を用いてリサイクル可能な小胞の総数の計測に基づき、評価可能である。数百の活動電位による刺激は、細胞膜と融合可能な全ての小胞の、少なくとも1回の融合をもたらす。バフィロマイシンの存在下において、pHluorin蛍光は、上昇状態で捕捉されるようになる。量子サイズで割った最大蛍光値は、各シナプスにおけるvGlut1−pHluorin標識小胞の数を与える。この数を、FM1−43標識を用いて得たものと比較することができる。FM1−43は、エンドサイトーシスを受けるとシナプス小胞を標識する、有機両親媒性蛍光トレーサーである。小胞プールの総サイズは、FM1−43標識小胞を計測することにより測定することができる(Ryan et al. Nature (1997) Jul 31;388(6641):478-82、参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様において、少なくとも40%(例えば少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%)の機能性シナプス小胞が、本発明によるシナプス小胞サイクリングを示すレポーターで標識される。
当業者は、装置の感受性、レポーターシグナル強度、および他のパラメータに対する改変は、本発明のアッセイのシグナル対ノイズ比を増加させ得ることを理解する。
シグナル対ノイズ比の増加は、少なくとも10、20、30、40、または50Hzでの、より小さい活動電位(例えば40、20、10、5またはそれより少ない活動電位)に対するシナプス小胞サイクリング応答の測定を可能とし、全体のシナプス小胞サイクルに加えて、シナプス小胞サイクルの追加のプロセスの測定(例えば放出の確率)を可能とする。本明細書に記載のアッセイのかかる改変および変更は、本発明の範囲内である。
試験剤
種々の候補剤を、シナプス小胞サイクリングの潜在的モジュレータ(例えば、阻害剤または刺激剤)について試験することができる。例示の試験剤としては、限定することなく、化合物、小分子、タンパク質またはペプチド、抗体、共結晶、ナノ結晶、微生物(例えばウイルス、細菌、真菌など)、核酸(例えばDNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム、アプタマーなど)、炭水化物(例えば単糖類、二糖類、または多糖類)、脂質(例えばリン脂質、トリグリセリド、ステロイドなど)、天然産物、これらの任意の組み合わせを含む。候補剤はまた、コンピュータに基づく合理的薬物設計法を用いて設計することもできる。典型的には、複数の試験剤(例えば候補剤のライブラリ)を、潜在的モジュレータ用のスクリーニングアッセイにおいて試験する。いくつかの態様において、試験剤は、生分解性および/または生体適合性である。
ペプチド
いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングの潜在的モジュレータは、組み換えバクテリオファージにより産生されたランダムなペプチドライブラリ、例えば、Scott and Smith, Science, 249:386-390 (1990);Cwirla et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 87:6378-6382 (1990);Devlin et al., Science, 249:404-406 (1990)、または化学的ライブラリをスクリーニングすることにより、得ることができる。「ファージ法」を用いて、非常に大きなライブラリを構築することができる(106〜108の化学的実体)。第2のアプローチは本質的に化学的方法を用い、この例としては、Geysen method(Geysen et al., Molecular Immunology 23:709-715 (1986);Geysen et al. J. Immunologic Method 102:259-274 (1987))およびFodor et al.(Science 251:767-773 (1991))の方法がある。Furka et al. 14th International Congress of Biochemistry, Volume 5, Abstract FR:013 (1988);Furka, Int. J. Peptide Protein Res. 37:487-493 (1991)、Houghton (U.S. Pat. No. 4,631,211, issued December 1986)およびRutter et al.(U.S. Pat. No. 5,010,175, issued Apr. 23, 1991)は、シナプス小胞サイクリングに関連する活性のモジュレータとして試験できるペプチドの混合物を産生する方法を記載する。
いくつかの態様において、合成ライブラリ(Needels et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10700-4 (1993);Ohlmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10922-10926 (1993);Lam et al.、国際特許公開WO 92/00252;Kocis et al.、国際特許公開WO 9428028)などを用いて、本発明によるシナプス小胞サイクリングのモジュレータをスクリーニングすることができる。潜在的モジュレータが一旦同定されると、化学的類似体を、市場の供給業者から入手可能なものなどの化学物質のライブラリ、例えばChemBridge Libraries (chembridge.com)、BIOMOL International、ASINEX、ChemDiv、ChemDB、ICCB-Longwoodから選択するか、または代替的に、デノボ合成することができる。
小分子
いくつかの態様において、小分子ライブラリ、その類似体を、シナプス小胞サイクリングのモジュレータについてスクリーニングする。いくつかの態様において、デノボ合成した化合物ライブラリをスクリーニングして、シナプス小胞サイクリングの調節機能を有する新規な化合物を同定することができる。いくつかの態様において、薬剤を含む公開ライブラリ(FDA公認薬剤を含む)をスクリーニングして、シナプス小胞サイクリングの調節活性が以前に未知であった既存の化合物を同定することができる。いくつかの態様において、既存の化合物の誘導体または類似体を含む改変ライブラリを、当分野に良く知られた方法を用いて合成してスクリーニングし、シナプス小胞サイクリングの新規なまたは改善されたモジュレータを同定することができる。好適な小分子化合物ライブラリを、市販の供給業者、例えばChemBridge Libraries (chembridge.com)、BIOMOL International、ASINEX、ChemDiv、ChemDB、ICCB-Longwoodから得ることができる。いくつかの態様において、好適な小分子ライブラリは、多様性および良好な「薬剤様」特性について選択された市販の化合物の大きなコレクション(例えば>100,000種の化合物)を含む。
アンチセンスRNAおよびリボザイム
いくつかの態様において、アンチセンス分子を、シナプス小胞サイクリングの潜在的モジュレータについてスクリーニングすることができる。アンチセンス分子は、特定mRNAに相補的なヌクレオチド配列を有する、RNAまたは一本鎖DNA分子である。実験室で調製したアンチセンス分子を、試験する遺伝子により転写した正常なmRNAを含む細胞中に注入すると、アンチセンス分子はmRNAと塩基対を作り、mRNAのタンパク質への翻訳を妨害することができる。得られた二本鎖RNAまたはRNA/DNAは、かかる分子に特異的に付着する酵素により消化される。したがってmRNAの枯渇が生じて遺伝子産物の翻訳がブロックされ、これによりアンチセンス分子は、有害なタンパク質の産生をブロックする医薬において使用が見出される。アンチセンスRNAを産生および利用する方法は、当業者によく知られている(例えば以下を参照のこと:C. Lichtenstein and W. Nellen (Editors), Antisense Technology: A Practical Approach, Oxford University Press (December, 1997);S. Agrawal and S. T. Crooke, Antisense Research and Application (Handbook of Experimental Pharmacology, Volume 131), Springer Verlag (April, 1998);I. Gibson, Antisense and Ribozyme Methodology: Laboratory Companion, Chapman & Hall (June, 1997);J. N. M. Mol and A. R. Van Der Krol, Antisense Nucleic Acids and Proteins, Marcel Dekker;B. Weiss, Antisense Oligonodeoxynucleotides and Antisense RNA Novel Pharmacological and Therapeutic Agents, CRC Press (June, 1997);Stanley et al., Antisense Research and Applications, CRC Press (June, 1993);C. A. Stein and A. M. Krieg, Applied Antisense Oligonucleotide Technology (April, 1998))。
いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリング経路を調節するのに好適なアンチセンス分子およびリボザイムを、シナプス小胞サイクリングに関与するタンパク質および遺伝子の配列情報に基づき設計することができる。例えば、アンチセンス分子およびリボザイムは、シナプス前タンパク質を標的とするよう設計でき、該シナプス前タンパク質としては、限定することなく以下を含む:内在性小胞タンパク質(例えば、シナプス小胞たんぱく質2(SV2)、シナプトフィジン、シナプトタグミン、小胞関連膜ポリペプチド(VAMP)、神経伝達物質トランスポーター(NTトランスポーター)、シナプトギリン、プロトンポンプ)、周辺小胞タンパク質(例えば、Rab、シスチンストリングタンパク質(CSP)、シナプシン)、シナプス細胞膜タンパク質(例えばカルシウムチャネル、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP−25)、シンタキシン)、およびサイトゾルタンパク質(例えばSNAP、n−Sec1)、シナプシン(例えばシナプシンI、IIおよびIII)、デホスフィン(例えばジナミンI、PIP5K1γ、およびシナプトジャニンI)。
アンチセンス分子およびリボザイムは、核酸分子の合成のための、当分野で既知の任意の方法により調製することができる。これらには、オリゴヌクレオチドの化学的合成のための技法、例えば固相ホスホロアミダイト化学合成などを含む。代替的に、RNA分子は、UGGTをコードするDNA配列のin vitroおよびin vivo転写により生成してもよい。かかるDNA配列は、T7またはSP6などの好適なRNAPポリメラーゼプロモータにより広範囲のベクターに組み込んでもよい。代替的に、アンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDNAコンストラクトを、細胞系、細胞、または組織に導入することもできる。
RNA分子は、細胞内安定性と半減期を増加させるために修飾することができる。可能な修飾としては、限定することなく、分子の5’および/または3’末端におけるフランキング配列の付加、または分子の主鎖内でのホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオアートまたは2’O−メチルの使用を含む。この概念は、以下を含有することにより拡張可能である:非伝統的塩基、例えばイノシン、クエオシン、およびワイブトシンなど、ならびにアセチル−、メチル−、チオ−、類似の修飾形態のアデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンであって、内因性エンドヌクレアーゼにより容易に認識されないもの。
干渉RNA
RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)により媒介される転写後遺伝子サイレンシング機構であり、これは上述のアンチセンスおよびリボザイムベースのアプローチとは異なる。dsRNA分子は、最初にダイサー(DICER)と呼ばれるRNアーゼIII様酵素(Bernstein et al., Nature 409:363, 2001)による処理の後に、種々の系列の細胞のmRNAの配列特異的分解を、2つの21nt鎖からなる低分子のdsRNA分子に指向させると考えられており、この2つの21nt鎖の各々は5’リン酸基および3’ヒドロキシルを有し、かつ他の鎖に正確に相補的な19nt領域を含んでおり、このため2nt−3’オーバーハングに接した19ntの二本鎖領域が存在するものである。このようにRNAiは、低分子干渉RNA(siRNA)により媒介され、siRNAは、各鎖上に典型的には1〜2個のヌクレオチド3’オーバーハングを有する、約19ヌクレオチド長の二本鎖領域からなり、このため全長は、典型的には約21〜23ヌクレオチド長の間となる。
siRNAはある範囲の長さを有し得ることが理解され、例えば二本鎖部分は15〜29ヌクレオチドの範囲である。siRNAは、平滑末端または3’オーバーハングを、一方または両方の末端に有することができることも理解される。存在する場合、かかる3’オーバーハングは、多くは1〜5ヌクレオチドの長さである。
siRNAは、哺乳動物細胞にトランスフェクション、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションなどの方法により移入された場合に、または種々のプラスミドに基づくアプローチの任意のものを介して細胞に発現された場合に、遺伝子発現を下方制御することが示されている。siRNAを用いたRNA干渉は、例えばTuschl, T., Nat. Biotechnol., 20:446-448, May 2002に概説されている。さらに以下も参照のこと:Yu, J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 99(9), 6047-6052 (2002);Sui, G., et al., Proc. Nail. Acad. Sci., 99(8), 5515-5520 (2002);Paddison, P., et al., Genes and Dev., 16, 948-958 (2002);Brummelkamp, T. et al., Science, 296, 550-553 (2002);Miyagashi, M. and Taira, K., Nat. Biotech., 20, 497-500 (2002);Paul, C., et al., Nat. Biotech., 20, 505-508 (2002)。
事実、RNAiによる特定の遺伝子発現のin vivoでの阻害は、哺乳動物を含む種々の生体において実現されている。例えばSong et al., Nature Medicine, 9:347-351 (2003)には、自己免疫肝炎を有する実験室マウスに対するFas siRNA化合物の静脈内注射が、マウス肝細胞におけるFas mRNAレベルとFasタンパク質の発現を特異的に低下させたことが開示されている。siRNAの動物への送達のためのいくつかの他のアプローチも、成功であることが証明されている。例えば、McCaffery et al., Nature, 418:38-39 (2002);Lewis et al., Nature Genetics, 32:107-108 (2002);およびXia et al., Nature Biotech., 20:1006-1010 (2002)を参照のこと。
siRNAは、2つの個別の核酸鎖を、またはヘアピン(ステムループ)構造を形成可能な自己相補的領域を有する一本鎖を含むことができる。構造、長さ、ミスマッチの数、ループの大きさ、オーバーハングにおけるヌクレオチドの同一性などにおける多数の変化は、効果的なsiRNA誘発性遺伝子サイレンシングと整合する。いかなる理論による束縛も意図しないが、種々の異なる前駆体の細胞内プロセシング(例えばダイサーによる)は、遺伝子サイレンシングを効果的に媒介することのできるsiRNAの産生をもたらすと考えられている。一般に、イントロンの代わりにエクソンを標的とすることが望ましく、また、標的転写物の3’部分内の領域に相補的な配列を選択することも特に望ましい。一般に、異なるヌクレオチドをほぼ等モル比で含む配列を選択し、1つの残基が複数回繰り返される伸張を避けることが好ましい。
siRNAはしたがって、各鎖上に典型的には1〜2個のヌクレオチド3’オーバーハングを持つ約19ヌクレオチド長の二本鎖領域を有するRNA分子を含むことができ、このため全長は、約21〜23ヌクレオチド長の間となる。本明細書において、siRNAはまた、かかる分子を生成するようin vivoで処理することのできる、種々のRNA構造も含む。かかる構造としては、2つの相補的要素であって、互いにハイブリダイズしてステム、ループ、および任意にオーバーハング、好ましくは3’オーバーハングを含む、RNA鎖を含む。典型的には、ステムは約19bp長であり、ループは約1〜20、好ましくは約4〜10、さらに好ましくは約6〜8ヌクレオチド長であり、および/またはオーバーハングは、典型的には約1〜20、好ましくは約2〜15ヌクレオチド長である。本発明の一定の態様において、ステムは最小で19ヌクレオチド長であり、約29ヌクレオチド長までであってよい。4ヌクレオチド以上のループは、それより短いループよりも立体制限条件に付される可能性が低く、したがって好ましい。オーバーハングは、5’ホスフェートおよび3’ヒドロキシルを含んでよい。オーバーハングは、複数のU残基、例えば1〜5U残基を含んでよい。
いくつかの態様において、siRNAは、シナプス小胞サイクリングに関与するタンパク質および遺伝子の配列情報に基づき設計されてよい。例えば、siRNAは、シナプス前タンパク質をコードする遺伝子を標的として設計することができ、これには限定することなく、内在性小胞タンパク質(例えば、シナプス小胞タンパク質2(SV2)、シナプトフィジン、シナプトタグミン、小胞関連膜ポリペプチド(VAMP)、神経伝達物質トランスポーター(NTトランスポーター)、シナプトギリン、プロトンポンプ)、周辺小胞タンパク質(例えば、Rab、シスチンストリングタンパク質(CSP)、シナプシン)、シナプス細胞膜タンパク質(例えばカルシウムチャネル、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP−25)、シンタキシン)、およびサイトゾルタンパク質(例えばSNAP、n−Sec1)、シナプシン(例えばシナプシンI、IIおよびIII)、デホスフィン(例えばジナミンI、PIP5K1γ、およびシナプトジャニンI)を含む。
好適なsiRNAは、従来のRNA合成法を用いて合成することができる。例えばこれらは、適切に保護されたリボヌクレオシドホスホロアミダイトおよび従来のDNA/RNA合成機を用いて、化学的に合成することができる。RNA合成のための種々の適用可能な方法は、例えばUsman et al., J. Am. Chem. Soc., 109:7845-7854 (1987)およびScaringe et al., Nucleic Acids Res., 18:5433-5441 (1990)に開示されている。カスタムのsiRNA合成サービスは、Ambion (Austin, Tex., USA)、Dharmacon Research (Lafayette, Colo., USA)、Pierce Chemical (Rockford, Ill., USA)、ChemGenes (Ashland, Mass., USA)、Proligo (Hamburg, Germany)およびCruachem (Glasgow, UK)などの民間の供給業者から利用可能である。
本発明のsiRNAは、天然のRNAヌクレオチドから全て構成されるか、またはその代わりに、アンチセンス分子のために上述したような、1または2以上のヌクレオチド類似体および/または修飾物を含んでもよい。siRNA構造は、例えばエキソヌクレアーゼによる消化を低減させるために1または2以上のフリーの鎖末端においてヌクレオチド類似体を含有することにより、安定化させてもよい。代替的に、siRNA分子は、関連する分子をコードするDNA配列のin vitro転写により、生成してもよい。かかるDNA配列は、例えばT7、T3、またはSP6などの好適なRNAポリメラーゼプロモータにより、広範囲のベクター内に組み込んでもよい。
抗体
いくつかの態様において、抗体は、潜在的シナプス小胞サイクリングモジュレータについてスクリーニングすることができる。例えば、抗体は、シナプス小胞サイクリングに関与するタンパク質および遺伝子の配列情報に基づいて設計してよい。例えば抗体は、シナプス前タンパク質を標的とするよう設計することができ、これには限定することなく、内在性小胞タンパク質(例えば、シナプス小胞タンパク質2(SV2)、シナプトフィジン、シナプトタグミン、小胞関連膜ポリペプチド(VAMP)、神経伝達物質トランスポーター(NTトランスポーター)、シナプトギリン、プロトンポンプ)、周辺小胞タンパク質(例えばRab、シスチンストリングタンパク質(CSP)、シナプシン)、シナプス細胞膜タンパク質(例えばカルシウムチャネル、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP−25)、シンタキシン)、およびサイトゾルタンパク質(例えばSNAP、n−Sec1)、シナプシン(例えばシナプシンI、IIおよびIII)、デホスフィン(例えばジナミンI、PIP5K1γ、およびシナプトジャニンI)を含む。抗体はまた、カルシニューリン、カルシニューリンアクチベーター、阻害剤、および/または基質を標的とするよう、設計することもできる。
抗体は、当分野によく知られた方法を用いて生成することができる。例えば抗体産生のためのプロトコルは、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, (1988)に記載されている。典型的には、抗体は、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ラクダ、ラマ、サメ、または他の適切な宿主で生成することができる。代替的に抗体は、ニワトリにおいて作製してもよく、IgY分子を産生する(Schade et al., (1996) ALTEX 13(5):80-85)。いくつかの態様において、本発明に好適な抗体は、類人猿抗体である。例えば、ヒヒにおいて治療的に有用な抗体を産生するための一般的技術は、例えばGoldenberg et al.の国際特許公開WO 91/11465 (1991)、およびLosman et al., Int. J. Cancer 46: 310 (1990)に見出すことができる。いくつかの態様において、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法を用いて調製することができる(Milstein and Cuello, (1983) Nature 305(5934):537-40.)。いくつかの態様において、モノクローナル抗体は、組み換え法を用いても作製することができる(米国特許第4,166,452, 1979号)。
いくつかの態様において、本発明に好適な抗体は、ヒト化またはヒト抗体を含んでよい。非ヒト抗体のヒト化形態は、非ヒトIg由来の最小配列を含むキメラIg、Ig鎖または断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2またはAbの他の抗体結合配列)である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト源から導入された1または2以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「移入」残基とよばれ、これは典型的には、「移入」可変ドメインから取り込まれる。ヒト化は、げっ歯動物CDRまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列で置き換えることにより実現される(Riechmann et al., Nature 332(6162):323-7, 1988;Verhoeyen et al., Science. 239(4847):1534-6, 1988)。かかる「ヒト化」抗体は、キメラAb(U.S. Pat. No. 4,816,567, 1989)であり、ここで無傷のヒト可変ドメインより実質的に小さい部分が、非ヒト種からの対応する配列で置換されている。いくつかの態様において、ヒト化抗体は典型的には、いくつかのCDR残基および潜在的にはいくつかのFR残基が、げっ歯動物Abの類似の部位からの残基により置換された、ヒト抗体である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えばマウス、ラットまたはウサギなどの、CDRからの残基により置き換えられた、ヒトIg(レシピエント抗体)を含む。いくつかの例において、対応する非ヒト残基は、ヒトIgのFvフレームワーク残基を置き換える。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでよい。一般にヒト化抗体は、少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインを実質的に全て含み、ここで、全てのCDR領域でないにしても、ほとんどのCDR領域が非ヒトIgのそれに対応し、全てのFR領域でないにしても、ほとんどのFR領域が、ヒトIコンセンサス配列のそれらであるものである。ヒト化抗体は、最適には、Ig定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒトIgのそれを含む(Riechmann et al., Nature 332(6162):323-7, 1988;Verhoeyen et al., Science. 239(4847):1534-6, 1988)。
ヒト抗体はまた、ファージ提示ライブラリ(Hoogenboom et al., Mol Immunol. (1991) 28(9):1027-37; Marks et al., J Mol Biol. (1991) 222(3):581-97)、およびヒトモノクローナル抗体の調製(Reisfeld and Sell, 1985, Cancer Surv. 4(1):271-90))を含む種々の技術を用いて産生することもできる。同様に、ヒトIg遺伝子を、内在性Ig遺伝子を部分的または完全に不活性化した遺伝子導入動物に導入して、ヒト抗体を合成することができる。チャレンジによりヒト抗体産生が観察され、これは、遺伝子再配置、アセンブリ、および抗体レパートリーを含む全ての点で、ヒトに見られるものとよく似ている(Fishwild et al., High-avidity human IgG kappa monoclonal antibodies from a novel strain of minilocus transgenic mice, Nat Biotechnol. 1996 July;14(7):845-51;Lonberg et al., Antigen-specific human antibodies from mice comprising four distinct genetic modifications, Nature 1994 April 28;368(6474):856-9;Lonberg and Huszar, Human antibodies from transgenic mice, Int. Rev. Immunol. 1995;13(1):65-93;Marks et al., By-passing immunization: building high affinity human antibodies by chain shuffling. Biotechnology (N Y). 1992 July; 10(7):779-83)。
その他
いくつかの態様において、天然産物ライブラリを、本発明のアッセイを用いてスクリーニングすることができる。
いくつかの態様において、細胞を刺激する前に(例えば電気刺激)、神経細胞を試験剤で選択された時間の間インキュベートしてよい。種々の態様において、試験剤の選択された量を、神経細胞を含むウェルに加える。種々の態様において、異なる量および/または種類の試験剤を、神経細胞を含む異なるウェルに加える。種々の態様において、実質的に同じ量および/または種類の試験剤を、神経細胞を含む異なるウェルに加える。
多くの態様において、任意のメンバー剤がシナプス小胞サイクリングの1または2以上の活性を調節するかどうかを決定するために、試験剤によるアッセイ結果を対照と比較することができる。いくつかの態様において、対照は、試験剤で処置されていないがその他では同一の神経細胞において検出されたシナプス小胞サイクリングの同じ1または2以上の活性である。いくつかの態様において、神経細胞は、試験剤での処置なしで、正常なシナプス小胞サイクリングを示すことができる。いくつかの態様において、処置されない神経細胞は、欠陥のあるシナプス小胞サイクリングを示す可能性がある(例えば、神経疾患を患う動物またはヒトから単離された神経細胞)。いくつかの態様において、試験剤は、処置されない対照と比較してシナプス小胞サイクリングの増強をもたらす場合に、潜在的シナプス小胞サイクリングエンハンサーと考えられる。いくつかの態様において、試験剤は、処置されない対照と比較してシナプス小胞サイクリングの阻害をもたらす場合に、潜在的シナプス小胞サイクリング阻害剤と考えられる。
いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングの特定の活性を、本発明による方法を用いて測定することができる。特に、シナプス小胞サイクリングの種々のフェーズにおける活性(例えばエキソサイトーシス、エンドサイトーシス、リサイクリングなど)を測定可能である。いくつかの態様において、エキソサイトーシスは、限定することなく、放出確率、放出トレイン、ドッキングした小胞、プールサイズを含むパラメータを用いて、測定可能である。いくつかの態様において、エンドサイトーシスは、例えば非飽和、飽和、または定常状態を示すパラメータを用いて測定可能である。本明細書において、非飽和は、小胞の内部移行部位が非限定的である場合に、エンドサイトーシスを示す。飽和は、小胞の内部移行部位が限定的である場合に、エンドサイトーシスを示す。いくつかの態様において、リサイクリングは、休止期間(例えば1分)の後の再刺激後の応答サイズを最初の応答と比較して測定することにより、測定することができる。いくつかの態様において、高周波数発火を測定することができる。本明細書において、用語「高周波数発火」とは典型的に、10Hz以上の周波数における発火を指す。典型的には、シナプス小胞放出をもたらす持続する高周波数発火の期間は、発火の周波数に逆比例する。一定の条件下で、高周波数発火の間にシナプス疲労が起こる。例えば、容易に放出可能なシナプス小胞のプールのサイズは制限されていると考えられる(例えば10個の小胞)。したがって、10Hz以上での発火周波数において、容易に放出可能なプールが消費されるポイントを超えて、例えば10活動電位を超えて発火が続く場合に、シナプス疲労が起こる。高周波数発火は、電気生理学(例えば、細胞外領域レコーディング)または画像化分析(例えばシナプトsynaptopHluorinを用いて)を用いて測定可能である。
期待できるモジュレータをさらに試験して、調節効果を確認すること、および/または本明細書に記載の好適なシナプス小胞サイクリングアッセイを用いて有効性を予測することができる。期待できるモジュレータは他のアッセイを用いて試験し、シナプス小胞サイクリングまたは神経伝達シグナリング経路へのそれらの効果を確認することができる。いくつかの態様において、期待できるモジュレータをphosphosignatureアッセイを用いて試験して、カルシニューリンの、および/またはデホスフィンもしくは他のシナプスタンパク質のリン酸化状態を調節するそれらの能力を決定することができる。いくつかの態様において、期待できるモジュレータは、神経疾患または精神疾患、特に、シナプス小胞サイクリング機能障害に関連する前記疾患を処置するそれらの能力について、さらに試験することができる。いくつかの態様において、期待できるモジュレータは、動物モデルにおいて試験することができる。例えば期待できるモジュレータは、神経または精神疾患の動物モデル(例えば統合失調症のマウスモデル)において試験することができる。いくつかの態様において、期待できるモジュレータは、シナプス小胞サイクリングに相関する電気生理学アッセイにおいて試験することができる(例えば、シナプス疲労、シナプス疲労からの回復)。
本発明により同定されたシナプス小胞サイクリングモジュレータは、シナプス小胞サイクリングに直接または間接的に関与する種々のステップ、プロセスおよび/または生物学的経路の調節に関与することができる。例えば、カルシニューリンの活性化は(例えば、カルシニューリンの、阻害剤(すなわち、DSCR1またはキャビン(cabin))との相互作用を直接活性化または阻害することによる、または酵素的阻害の阻害による)、可動化およびエンドサイトーシスを増強することができる。サイクリン依存性キナーゼ5(CDK5)阻害は、シナプス小胞サイクリングを増強することができる。二重特異性のチロシン−リン酸化された調節キナーゼ1A(Dyrk1A)またはタンパク質キナーゼ(PKC)の阻害も、シナプス小胞エンドサイトーシスを増強することができる。細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)(例えばERK1)の阻害は、シナプス小胞エンドサイトーシスおよび/または可動化を増強することができる。Ca++エフラクサー(effluxer)またはCa++を除去もしくは封鎖する他のタンパク質の調節を含む、Ca++チャネルの調節は、プロセスの任意の部分を調節することができる。Gタンパク質結合受容体(GPCR)(ムスカリンアセチルコリン受容体を含む)は、シナプス小胞サイクリングの全ステップを調節する;したがって、これらの受容体のアゴニストおよびアンタゴニストは、シナプス小胞サイクリングの種々の側面のモジュレータとして同定されてよい。モジュレータにより影響を受けるシナプス小胞サイクリングの例示の側面、およびこれらのモジュレータを同定するアッセイパラメータを、表1に示す。
治療用途
特に本発明は、シナプス小胞サイクリングを調節する物質は、ある疾患(例えばシナプス小胞機能障害に関連する疾患)の処置に有用であり得るとの認識を包含する。いくつかの態様において、本明細書で同定されたシナプス小胞サイクリングモジュレータは、シナプス小胞サイクリング機能障害に関連する疾患、障害、および/または病態の1または2以上の症状または特徴を処置する(例えば、緩和する、改善する、軽減する、阻害する、予防する、その発症を遅延する、重篤度を低減する、および/または発生率を低下させる)ために用いることができる。例えば本発明は、シナプス小胞サイクリングのモジュレータは、以下の処置に有用であり得るとの認識を包含する:精神障害、疾患または病態であって、限定することなく統合失調症、双極性障害、てんかんを含むもの;神経疾患、障害または病態であって、限定することなくアルツハイマー病、アルコール性コルサニコフ病(KS)、多発性硬化症、およびパーキンソン病を含むもの;および/または他の疾患、障害、または病態であって、限定することなくダウン症、ウイリアムズ症候群、特異的言語障害、および注意欠陥多動性障害(ADHD)を含むもの。
非限定的例として、シナプス小胞サイクリングを阻害する(例えば、興奮性シナプス伝達の阻害、または阻害性シナプス小胞サイクリングの増強)モジュレータを、てんかんの処置に用いることができる。セレトニン作動性シナプス小胞サイクリングを調節する(例えば増強または安定化する)モジュレータを、うつ病の処置に用いることができる。ドーパミン作動性小胞サイクリングを調節する(例えば増強または安定化する)モジュレータを、パーキンソン病の処置に用いることができる。コリン作動性小胞サイクリングを調節する(例えば増強する)モジュレータを、アルツハイマー病の処置に用いることができる。グルタミン酸作動性シナプス小胞サイクリングを調節する(例えば増強または安定化する)モジュレータを、統合失調症の処置に用いることができる。アドレナリン作動性またはノルアドレナリン作動性小胞サイクリングを調節する(例えば低減または安定化する)モジュレータを、不安障害の処置に用いることができる。
シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物を、対象に対して、疾患、障害、および/または病態(例えば、シナプス小胞サイクリング機能障害に関連する疾患、障害、および/または病態)を処置するのに有効な任意の量を用いて、投与することができる。任意の特定の患者または生体に対する特定の治療有効用量レベルは、種々の要因に依存し、これには、処置される疾患および疾患の重篤度;用いる特定の化合物の活性;用いる特定の組成物;患者の年齢、体重、一般健康状態、性別、食事;投与の時間、投与経路、および用いる特定の化合物の排泄率;処置の持続時間;用いる特定の化合物と組み合わせて、またはこれと同時に用いる薬剤;および医学分野によく知られた同様の要因が含まれる。
一定の態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物を、対象の体重1kg当たり1日に以下の量:約0.001mg/kg〜約100mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、約0.1mg/kg〜約40mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、または約1mg/kg〜約25mg/kgを送達するのに十分な用量レベルで、1日に1または2回投与し、所望の治療効果を得ることができる。望ましい用量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、2日おき、毎週、隔週、3週間に1回、または4週間に1回、送達してもよい。一定の態様において、望ましい用量は、複数投与により送達してもよい(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回またはそれ以上の投与)。
医薬組成物
本発明はさらに、1または2以上のシナプス小胞サイクリングモジュレータを、1または2以上の薬学的に許容し得る賦形剤と共に含む、医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、1または2以上の追加の治療活性物質を任意に含んでもよい。
本明細書が提供する医薬組成物の説明は、原則的に、ヒトに対する処方箋による投与に適した医薬組成物に向けられているが、当業者は、かかる組成物は一般に、全ての種類の動物に対する投与に適することを理解する。ヒトへの投与に適した医薬組成物を、種々の動物への投与に適した組成物にするための改変はよく理解されており、獣医学薬理学の当業者は、かかる改変を、単に通常の実験によりデザインおよび/または実施することができる。医薬組成物の投与が意図される対象としては、限定することなく、ヒトおよび/または他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、および/またはラットなどの商業関連の哺乳動物を含む、哺乳動物;および/または、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、および/またはシチメンチョウなどの商業関連の鳥類を含む、鳥類を含む。
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬学分野に知られているかまたは今後開発される任意の方法により、調製することができる。一般にかかる調製方法は、活性成分を、賦形剤および/または1もしくは2以上の他の副存の成分と関連させるステップ、そして次に、必要に応じて、および/または所望により、産物を所望の単一または複数用量単位の形状にして包装することを含む。
本発明による医薬組成物は、単一の単位用量として、および/または複数の単位用量として、大量に調整し、包装し、および/または販売することができる。本明細書において、「単位用量」とは、所定量の活性成分を含む医薬組成物の離散的な量である。活性成分の量は一般に、患者に投与される活性成分の用量に等しく、および/または、かかる用量の便利な小部分、例えばかかる用量の2分の1または3分の1である。
本発明による医薬組成物中の活性成分、薬学的に許容し得る賦形剤、および/または任意の追加の成分の相対的な量は、処置される対象の個性、大きさ、および/または状態に依存して、さらに該組成物が投与される経路に依存して変化する。例として、組成物は0.1%〜100%(w/w)の活性成分を含んでよい。
医薬製剤はさらに、薬学的に許容し得る賦形剤を含んでよく、これには、本明細書において、所望の特定の用量形態に適した任意および全ての溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ベヒクル、分散または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤等を含む。RemingtonのThe Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro(Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006;本明細書に参照により組み込まれる)は、医薬組成物を製剤化するために用いる種々の賦形剤および、その調製のための既知の技術を開示している。任意の従来の賦形剤媒体が任意の望ましくない生物学的効果を生成するか、または医薬組成物の任意の他の1または2以上の成分と有害な様式で相互作用することにより、物質またはその誘導体に不適合でない限り、その使用は、本発明の範囲内であると意図される。
いくつかの態様において、薬学的に許容し得る賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%、純粋である。いくつかの態様において、賦形剤は、ヒトでの使用および獣医学的使用について承認されている。いくつかの態様において、賦形剤は、米国食品医薬品局により承認されている。いくつかの態様において、賦形剤は、医薬品グレードである。いくつかの態様において、賦形剤は、米国薬局方(USP)、ヨーロッパ薬局方(EP、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準を満たす。
医薬組成物の製造に用いられる薬学的に許容し得る賦形剤は、限定することなく、希釈剤、分散剤および/または顆粒化剤、表面活性剤および/または乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝剤、潤滑剤、および/または油を含む。かかる賦形剤は、医薬製剤中に任意に含めてよい。カカオ脂および座薬ワックス、着色剤、被覆剤、甘味料、調味料、および/または芳香剤などの賦形剤は、製剤者の判断により、組成物中に存在させることができる。
医薬剤の製剤化および/または製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005(本明細書に参照により組み込まれる)に見出すことができる。
投与
本発明によるシナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物は、任意の経路により投与することができる。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物は、以下を含む、1または2以上の種々の経路により投与される:経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、皮下、心室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所的(例えば粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、および/または点滴薬による)、粘膜、経鼻、口腔、腸内、硝子体、腫瘍内、舌下;気道内注入、気管支内注入、および/または吸入による;経口スプレー、鼻腔用スプレー、および/またはエアロゾルとして、および/または門脈カテーテルを介して。いくつかの態様において、シナプス小胞サイクルモジュレータおよび/またはその医薬組成物は、全身的静脈注射により投与される。特定の態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物は、静脈内および/または経口的に投与される。特定の態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物は、シナプス小胞サイクリングモジュレータが血液脳関門を通過することができるような様式で、投与される。血液脳関門を通過するためには多くの戦略が利用可能であり、これには限定することなく、分子の疎水性の性質を増加させること;分子を、例えばトランスフェリンなどの担体との複合体として、血液脳関門における受容体を標的として導入すること;などを含む。他の態様において、分子は頭蓋内に、またはさらに好ましくは心室内に投与することができる。他の態様においては、血液脳関門の浸透圧の破壊を用いて、活性成分の脳への送達を有効にする(Neuwelt et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA “Delivery of herpesvirus and adenovirus to nude rat intracerebral tumors after osmotic blood-brain barrier disruption,” Oct. 10, 1995)。さらに他の態様において、剤は、血液脳関門を標的としたリポソームにおいて投与することができる。リポソーム内の医薬剤の投与は知られている(Langer, 1990, Science 249:1527-1533;Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989);Lopez-Berestein、同上、pp. 317-327を参照;一般的に上記を参照)。全てのかかる方法は本発明で考慮されている。特定の態様において、シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物は、門脈カテーテルにより投与されてよい。しかしながら本発明は、シナプス小胞サイクリングモジュレータおよび/またはその医薬組成物の、薬剤送達の科学において期待できる進歩を考慮した任意の適切な経路による送達を包含する。
一般にもっとも適切な投与経路は、シナプス小胞サイクリングモジュレータの性質(例えば、胃腸管、血流等の環境におけるその安定性)、患者の状態(例えば、患者が特定の投与経路を耐容できるかどうか)などを含む種々の要因に依存する。本発明は、薬剤送達の科学において期待できる進歩を考慮した、医薬組成物の任意の適切な経路による送達を包含する。
キット
本発明は、本発明の方法を、便利におよび/または効率的に実施するための種々のキットを提供する。典型的には、キットは、ユーザーに対し、1または2以上の対象の複数の処置を実施すること、および/または複数の実験を実施することを可能とする、十分な量および/または数の要素を含む。
いくつかの態様において、キットは、1または2以上の(i)シナプス小胞サイクリングを追跡するためのレポーター、(ii)複数の神経細胞を培養するのに好適な複数のウェル;(iii)刺激システム;(iv)検出システム;および(v)1または2以上の試験物質、を含む。いくつかの態様において、キットはさらに、1または2以上の(vi)シナプス小胞サイクリングを調節することが知られている陽性対照物質;(vii)シナプス小胞サイクリングを調節しないことが知られている陰性対照物質;および(viii)使用説明書を含む。
いくつかの態様において、キットは、本明細書に記載のように、シナプス小胞サイクリングアッセイを用いて同定された、1または2以上のシナプス小胞サイクリングモジュレータを含む。いくつかの態様において、かかるキットは、疾患、病態、および/または障害(例えば、シナプス小胞サイクリング機能障害に関連する)を患っているか、および/またはこれにかかりやすい対象の、処置、診断、および/または予防において用いられる。いくつかの態様において、かかるキットは、1または2以上の(i)少なくとも1つのシナプス小胞サイクリングモジュレータまたはその医薬組成物;(ii)これを対象に投与するための、注射器、針、アプリケーター等;および(iii)使用説明書を含む。
いくつかの態様において、キットは、異なるレポーター;細胞型;対照;試験物質;シナプス小胞サイクリングモジュレータ、および/またはその医薬組成物などの集合を含む。
いくつかの態様において、キットは、追加の要素または試薬を含んでよい。例えばキットは、細胞培養培地、組織培養培地、バッファーなどを含んでよい。いくつかの態様において、キットは使用説明書を含んでよい。例えば、説明書はユーザーに対して、シナプス小胞サイクリングモジュレータを同定するためのスクリーニングをいかにして実施するかを知らせることができる。説明書はユーザーに、モジュレータを含む医薬組成物を調製するための適切な手順、および/または医薬組成物を対象に投与するための適切な手順を知らせることができる。
いくつかの態様において、キットは、シナプス小胞サイクリングモジュレータを含む医薬組成物の多数の単位用量を含む。記憶を補助するものを提供してもよく、例えば、数字、文字、および/またはその他の印および/または、用量を投与可能な処置スケジュールにおける日数/時間を指定する、カレンダー挿入物などの形態である。プラセボ用量、および/またはカルシウム栄養補助食品を、医薬組成物の用量と類似の形態または異なる形態において含めて、用量が毎日摂取できるようなキットを提供することができる。
キットは、1または2以上の入れ物または容器を含み、こうして一定の個別の要素または試薬を別々に収納することができる。キットは、個別の容器を、市販用に比較的厳重な閉じ込め状態にするための手段(例えば、説明書、発泡スチレン等の包装材料などを封入したプラスチックの箱)を含んでよい。
実施例
例1:pHluorinレポーター
この例において、シナプス小胞サイクリングを、シナプス小胞タンパク質の内腔内ドメインに標識されたpHluorinと呼ばれるpH感受性GFPを用いて試験した。この様式で用いる小胞タンパク質としては、VAMP、シナプトタグミン、vGlut1、およびシナプトフィジンが含まれる。シナプスが休止している場合、これらのタンパク質ではpHluorinがシナプス小胞内腔に配置され、ここでは内部pH5.5が維持されていた。この酸性のpHにおいて、蛍光は消光していた。刺激を受けると、シナプス小胞はエキソサイトーシスされ、プロトンが排出されてpHが上昇し、pHluorinが蛍光を発した。次に小胞は再度内部化され、酸性化されて、再び蛍光を消光させた。この様式で、1つのシナプスで測定された蛍光変化を用いて、シナプス小胞サイクルを追跡した。この例においては、シナプトsynaptopHluorin(すなわち、小胞タンパク質VAMP2の融合およびvGlut1に融合したpH感受性GFP)を用いた。
ウェル内に高密度でプレートされたニューロンに高い率で導入することにより、synaptopHluorinを用いて、全ウェルの集団レベルでシナプス小胞サイクリングを測定した。synaptopHluorinをニューロンに導入する1つの方法は、ウイルス感染による。synaptopHluorinのウイルス送達を用いて、集団レベルでのシナプス小胞サイクルを測定する能力を確認した。アデノ随伴ウイルス(MOI=1000)を用いて、光学的に透明なプラスチック底96ウェルプレートにプレートしたラット胚皮質ニューロン(Nunc)に、synaptopHluorinをin vitroで11日目に導入した。in vitroで12日目に、Zeiss Axiovert Z1落射顕微鏡で、個々のシナプスを解像するには不十分な低倍率光学素子(10×、0.45NA対物レンズ)を用いて、ニューロンを画像化した。外部Ca++の存在または不在におけるニューロンを、シナプス小胞エキソサイトーシスの引き金となるカルシウムイオノフォアであるイノマイシンで処理し、synaptopHluorinの蛍光を得た。外部Ca++の存在下でイオノマイシンで処理した培養物は、synaptopHluorinのシグナルにおける約20%の増加を示し、一方、外部Ca++の不在下での培養物の応答は、顕著に減衰した(約3%)。したがって、この例は、synaptopHluorinをレポーターとして用い、低倍率光学素子にて集団レベルで、シナプス小胞サイクルを測定できることを実証する。
代替的に、または付加的に、pHluorinベースのシナプス小胞サイクルレポーターを、脳にてレポーター(例えばシナプトフィジン−pHluorin)を発現する遺伝子導入動物(例えばマウスまたはラット)を作製することにより、培養ニューロン中に高率で導入する。当業者に知られた任意の方法を、かかる遺伝子導入動物の作製に用いることができる。
例2.pH感受性染料レポーター
シナプス小胞サイクルを測定するための第2の例示のレポーターは、酸性の小胞内pHおよび酸性感受性染料を用いる。pHが外部のpH7.4から小胞内のpH5.5に上昇するとその蛍光を増加する、エンドサイトーシスレポーターは市販されている。これらの染料としては、CypHer5E(GE Healthecare)およびpHrodo(Invitrogen)が挙げられる。これらの染料は、ニューロンが刺激されたときにシナプス小胞に入ることにより、シナプス小胞サイクリングのレポーターとして機能する。小胞がエンドサイトーシスされ再度酸性化されると、レポーターが蛍光を発する。このような方法により、エンドサイトーシスを蛍光強度の増加により測定し、それに続くエキソサイトーシスを蛍光強度の減少により測定する。
pH感受性染料は、任意の方法を用いてシナプス小胞に送達される。pH感受性染料は、シナプス小胞タンパク質(例えば、シナプトタグミンの内腔内ドメインを認識するモノクローナル抗体;Synaptic Systems)の内腔内ドメインを認識する抗体に直接抱合される。代替的または付加的には、染料は、膜挿入物質(例えばFM1−43などのスチリル染料)に抱合される。pH感受性染料をそれのみで用いる場合、ニューロンが刺激されるとシナプス小胞がエキソサイトーシスし、染料がシナプス小胞に入ることを可能にする。シナプス小胞は次にエンドサイトーシスされ、残った表面染料は、多くの場合数段階の洗浄ステップで洗い流される。pH感受性染料を、例えばFM1−43染料などの挿入要素に抱合することにより、洗浄ステップなしでシナプス小胞サイクリングを追跡するシナプス小胞サイクリング用のレポーターが作製される。
染料を用いるためには、細胞は典型的にはアッセイバッファー中でインキュベートされる。pH感受性染料(例えば抗体、膜挿入物などに抱合した)をアッセイバッファーに加える。細胞を一連の電圧で刺激し、シナプス小胞エキソサイトーシスを引き起こし、染料をシナプス小胞に入らせる。シナプス小胞がエンドサイトーシスすると、染料は再形成された小胞の内部に捕捉される。シナプス小胞が再度酸性化されると、適切な光の波長で励起された場合に、染料は蛍光を発する。
例3.画像化システム
10×、0.45NA対物レンズのZeiss Axiovert Z1を用いて、全ウェルレベルで、synaptopHluorinを発現するアデノ随伴ウイルスに感染させた初代神経細胞におけるシナプト小胞サイクルを画像化した(図13参照)。さらに、この顕微鏡を用いて、プレートのウェルへのオープンアクセスがあったため、刺激システムのアクセスが可能であった。刺激システムは、個別の化合物のシナプス小胞サイクリングに対する効果を検出するために用いた。落射蛍光顕微鏡を用いてシナプス小胞サイクリングを画像化するプロセスは、典型的には約2分間かかり、したがって、この構成において96ウェルプレートの全ウェルを画像化するには、一般に約2〜3時間が必要であった。
用いた代替的な画像化システムは、市販のプレートリーダーplate::vision(Perkin Elmer)である。このプレートリーダーは動態ベースの蛍光分析が可能であり、刺激システムの統合のためにプレートの上部へのアクセスが可能であり、高い収集効率の光学素子を有し、および96ウェルを平行して分析するために設計された特別の光学素子を有していた。
plate::visionプレートリーダーを、複数ウェルのシナプス小胞サイクルを平行して記録するその能力について評価した。96ウェルプレートのラット初代神経細胞培養物を、synaptopHluorinアデノ随伴ウイルスに12日目にin vitroで感染させた。培養培地を、Tyrode液に外部Ca++を添加または不添加したものに交換した。蛍光のベースライン記録を、全プレートにつきplate::visionプレートリーダーで測定した。次にイオノマイシンを全ウェルに加え、蛍光変化を2秒毎に1分間測定した。結果は、Ca++の存在下でイオノマイシンで刺激したウェル内の蛍光は、約20%の増加を示し、一方、Ca++の不在下では、蛍光の増加は大きく消滅した(<5%)。これらの変化は、同様の実験をZeiss倒立落射蛍光顕微鏡上で実施した場合に観察されたものと類似していた。これらのデータは、plate::visionプレートリーダーが、96ウェルプレートの複数ウェルにおけるシナプス小胞サイクルを平行して測定したことを示す(図14)。
例4.電気刺激システム
シナプス小胞サイクルを視覚化するために、ニューロンを刺激してシナプス小胞のエキソサイトーシスおよびエンドサイトーシスを誘発した。培養物の初代神経細胞を、部分的に電界電位の適用により刺激したが、これはRyanおよびSmith(1995, Neuron, 14:983;本明細書に参照により組み込まれる)およびRyan et al.(1996, Proc. Natl. Acad. Sci., 93:5567;本明細書に参照により組み込まれる)に記載の通りである。これらの例において、電界電位を96ウェルフォーマットの初代神経細胞に適用した。96ウェルの電気刺激装置をカスタム開発し、神経細胞を含むウェル内に時間変化する電界を発生させるために用いた。電極デザインのシナプス小胞サイクルを引き起こす能力を、検出装置で測定した;装置は上述のように、Zeiss Axiovert Z1倒立落射蛍光顕微鏡または、plate::visionプレートリーダーのどちらかであった。
カスタム開発した96ウェル電気刺激装置
この例において、カスタム電極対を用いてシナプス小胞サイクリングを刺激した。カスタム電極対は、96ウェルプレートのウェルに適合する、外径約6mmの外側プラチナリング電極を有していた。ウェルの中心に、1mm直径の金製のワイヤを配置した(図6C)。金製の中心ワイヤはカソードとして機能し、外側プラチナリングはアノードとして機能し、これらはプラスチックの器具により所定位置に保たれていた。電極は96ウェルプレートのウェル内に配置し、パルス発生器に接続された刺激アイソレーターに接続した。96個のウェルを平行して刺激するために、96個のこれら電極対は、8×12のアレイに接続する。
マルチウェルプレート・エレクトロポレーションシステムのカスタム改変
CellAxessHT(Cellectricon AB, Gothenburg, Swedenより入手可能)は、siRNAを384プレート中の細胞に送達するよう設計されたハイスループットエレクトロポレーターである。これは96ウェルエレクトロポレーションヘッドを有し、各電極対が384ウェルプレートのウェルに適合するよう設計されている。この例においてシナプス小胞サイクリングアッセイの刺激要素として機能するために、このシステムの電極を、96ウェルプレートのウェルの電界電位カバレージを最大化するよう、改変および/または最適化した。
例5.Collectricon CX3電極システムのカスタム化
この例において、活動電位発火の刺激を、改変された市販のエレクトロポレーションシステムにより実証した。Collectricon ABより利用可能なカスタム改変CellAxessCX3エレクトロポレーションシステムを、実験用に入手した。このシステムは、96ウェルプレートの3つのウェル内の3つの別々の神経細胞培養物を、実質的に同時に電気的に刺激することができる、3つの電極対を提供した。この装置の電極を改変して、電極の励起領域内に実質的に均一な電界および/または電流密度を提供するようにした。さらに、電極を搭載するために用いるプラスチック要素を改変して、データ収集の間に背景蛍光を最小化する、低蛍光材料を含ませた。
カスタム化CX3を、96ウェルプレートで培養された神経細胞に活動電位を誘発するその能力について試験した。この例に対して、ニューロンにフルオ−4Ca++インジケータを負荷し、CX3システムを用いて刺激した。電気刺激を20Hzで10秒間実施し、この間10×、開口数0.3の対物レンズのZeiss Axiovert Z1を用いて、経時的画像を収集した。刺激電圧は、約2V〜約100Vの間で変化させた。一定の実験条件を図16Aに示す。下方の線は、Axiovert Z1システムによる、複数神経細胞を含むウェルの領域の画像化の持続時間を示す。画像化時間は約1分であった。ブロックは、励起期間を示す。
電気刺激を10Vにて行った場合、電界刺激によるCa++流入の大幅な増加が、取得された神経細胞の画像に観察された。図16Bは、Ca++流入の増加を記録する。t=0秒にて取得した画像は、電気刺激の適用前の神経細胞からのベースライン蛍光発光を示す。t=15秒にて取得した画像は、励起期間の終わりにおける蛍光発光の増加を示す。蛍光発光の増加は、ニューロン内のCa++流入の増加からもたらされ、活動電位発火を示す。
次にある範囲の電圧値にわたっていくつかの試行を行い、神経細胞を含むウェル内での蛍光動態の振舞いを試験した。異なる励起電圧について記録された相対的フルオ−4シグナルの痕跡を、図16Cに時間の関数としてプロットする。結果は、5V〜約25Vの間の広い範囲の励起電圧の存在が強いCa++流入を引き起こし、続いて電気刺激の終了後、ベースラインに戻ったことを示す。より高い、約50Vより高い電圧において、Ca++シグナルはベースラインには戻らず、これらの高い電圧における毒性を示した。
電気刺激された神経細胞の生体動力学の追加の試験において、TTXをいくつかのウェルシステム加え、これを次に、図16Cに記録したものと同じ電気刺激に付した。この試験の結果を図16Dに示す。電位依存性ナトリウムチャネルブロッカーであるTTXの添加は、低い電圧でのニューロンの応答をブロックし、これらの周波数におけるCa++流入が、CX3電極刺激による活動電位発生のためであることを示す。
カスタム化CX3電極システムを、96ウェルプレートのニューロンにシナプス小胞サイクリングを誘発するその能力について試験した。ニューロンは、synaptopHluorinを発現するアデノ随伴ウイルスに感染させた。細胞を、CX3電極システムで約30Hzおよび約10Vで刺激し、この間40×、開口数0.6の空気対物レンズのZeiss Axiovert Z1を用いて、経時的画像を得た。一定の実験条件を図17Aに報告する。画像化時間は約120秒であり、電気刺激時間は約10秒である。図17Bに示すように、蛍光の増加と、続くベースラインへの復帰が、個々のシナプスに観察された。ピーク蛍光は電気刺激時間のおよそ最後に起こり、この後、蛍光シグナルはほぼベースラインに戻った。図17Cは、図17Bに示すシナプスのデンシトメトリ測定を示し、シナプスの蛍光動態の振舞いを報告する。これらのデータは、CX3電極が96ウェルプレートの神経細胞にシナプス小胞サイクリングを誘発できることを示す。
例6.技術の統合
選択された刺激システムおよび検出システムを、1つのシナプス小胞スクリーニングシステムに統合することができる。例えば、96ウェルプレートでのシナプス小胞サイクリングを平行して測定するためのシステムを開発した。96ウェルプレートの初代神経細胞を、12日目にin vitroでシナプトフィジン−pHluorin発現アデノ随伴ウイルスに感染させた。21日目にin vitroで培養培地をアッセイバッファーに交換し、電極をウェル内に配置した。時間変化電界を10V/10Hzで30秒、神経細胞に適用した。この間、例えばsynaptopHluorinにより生成された蛍光を、検出装置で記録した。
この特定の例において、我々は、plate::visionプレートリーダー、カスタム化CellectriconCX3電極、およびシナプトフィジン−pHluorinレポーターを成功して統合できることを実証した。96ウェルプレートのラット初代皮質神経細胞を、シナプトフィジン−pHluorinAAV(MOI200)に7DIVで感染させた。30DIVにおいて、培養物をplate::visionプレートリーダーに負荷し、CellectriconCX3カスタム電極をこれらのウェルの2つに配置した。動態蛍光読取を2秒/画像で20分間実施し、ニューロンを30Hz、20Vパルスのトレインで10秒間刺激した。この刺激を3回、5分間隔で適用した(赤い矢印)。図18は、これらのウェルからの結果を示す。蛍光変化(dF)を各ウェル内のピーク蛍光読取について正規化した。これらのデータは、ニューロンをカスタム化Cellectricon電極で刺激した場合に、plate::visionプレートリーダーが、シナプトフィジン−pHluorinレポーターを用いてシナプス小胞サイクルを測定できることを示す。
我々はさらに、このシステムが、異なる数の刺激活動電位に対するシナプトフィジン−pHluorinの応答を成功して検出できることを確立した。ラット初代皮質神経細胞を96ウェルプレートで培養し、上述のようにシナプトフィジン−pHluorinAAV(MOI2000)に7DIVで感染させた。30DIVにおいて、培養物をplate::visionプレートリーダーに負荷し、CellectriconCX3カスタム電極をこれらのウェルの2つに配置した。動態蛍光読取を2秒/画像で20分間実施し、ニューロンを30Hz、20Vパルスのトレインで50(矢印1)、100(矢印2)、200(矢印3)、または300(矢印4)の刺激で刺激した(図19参照)。蛍光変化(dF)を各ウェル内のピーク蛍光読取について正規化した。これらのデータは、plate::visionプレートリーダーの感受性および、小数の活動電位を計測する能力を示す。plate::visionシステムの高いシグナル対ノイズ比と、刺激トレインの間の活動電位応答の合計により、plate::visionは、10Hz以下で送達される50以下の活動電位に対するシナプトフィジン−pHluorin応答を検出可能であると考えられる。
例7.シナプス小胞サイクリングの種々のパラメータの測定
シナプス小胞サイクリングの種々のパラメータを、刺激パターンを変更することにより測定する。例示のパラメータおよび刺激の範例を表1に示す。
例8.ハイコンテントスクリーニングシステム
ハイコンテントスクリーニングシステムは、代替的画像化システムであるBD経路ハイコンテント画像化システムを用いて開発した。かかるハイコンテントスクリーニングシステムは、典型的にはカスタム作製か、または市販の、例えばPathway, Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ;ImageXpress MICRO1, Molecular Devices, Union City, CA;Opera, Perkin Elmer, Waltham, MAまたはArrayScan, Thermo Fisher Scientific, Waltham, MAから利用可能である。これらのシステムは高い光学感受性を有し、動態アッセイの間に高解像度の経時的画像スタックを生成する。その結果、データは、単一シナプスの解像度と高いシグナル対ノイズ比を有する。しかしこれらのシステムは、典型的にはマルチウェルプレートの個々のウェルを順番に記録するのみである。したがって、これはシナプス小胞サイクルを画像化するのに約2分かかり、96ウェルプレートの全てのウェルを画像化するには2〜3時間かかる。このように、ハイコンテントスクリーニングシステムは典型的には、1時間に少なくとも約20(例えば25、30、35、40、45、または50)のシナプス小胞サイクリングアッセイを測定することができる。
ハイコンテントプレートリーダーを、1つのウェルのニューロンに活動電位を引き起こす電気刺激システムに統合し、同時にこのウェル内において、シナプス小胞サイクルをプレートリーダーによりモニタリングするようにした。システムは、シナプス小胞サイクルアッセイが人の介入なしで全プレート上で実施できるように自動化されていた。さらに、プレートハンドリングロボットを用いて、1つの装置上での複数プレートの順次処理を自動化した。例示のハイコンテントスクリーニングシステムを、図20に示す。
シナプス小胞サイクルを、ハイコンテント画像化システムを用いて測定した。結果を図26に示す。ラット胚皮質ニューロンをGreiner uClear96ウェルプレートにプレートし、sypHy−AAVに7DIVで感染させた。25DIVにおいて培地をアッセイバッファーに交換し、プレートをBD Pathwayハイコンテント画像化システムに負荷した。CellectriconCX3電極をこれらの3つのウェルに配置した。ニューロンを1HzでPathway上で画像化し、CX3電極を用いて1ミリ秒のパルスで10秒間、30Hzにて刺激した。時系列画像を読取時間の間の蛍光変化について分析した。ハイコンテント画像化システムは、Cellectricon電極システムにより刺激されたシナプス小胞サイクルを測定可能であった。
例9.シナプス前HTSプラットフォームシステム(PHTSP)
シナプス前HTSプラットフォームシステムを構成し(図21)、96平行シナプス前アッセイを該システムを用いて行った。
ラット胚前脳ニューロンをGreiner mClear96ウェルプレートにプレートし、hSyn−SypHyアデノ随伴ウイルスに7DIVで感染させた。25DIVにおいて、神経プレートからの細胞培養培地をpHluorinアッセイバッファーに交換し、プレートをプラットフォームに負荷した。プレートを1Hzにてplate::visionプレートリーダーで画像化し、カスタム化CellAxessHT電極を用いて、15V、185msパルスで30Hzにて10秒間刺激した。シナプス小胞サイクルを全ウェルで平行して測定した。図22は全ウェルからの結果であり、トレースはそれらのピーク応答について正規化されている。2つの欠損は、これらのウェル内の電極が、アッセイバッファーと正確な電気的接触を作るのに失敗したためであるようだ。これらのデータは、シナプス前HTSプラットフォームが、96ウェルプレートの全ウェルにおいて平行してシナプス小胞サイクルを測定可能であることを示す。
シナプス前HTSプラットフォーム電気刺激システムの均一性分析を実施した。ラット胚前脳ニューロンをGreiner mClear96ウェルプレートにプレートし、hSyn−SypHyアデノ随伴ウイルスに7DIVで感染させた。25DIVにおいて、神経プレートからの細胞培養培地を、pHluorinアッセイバッファーに交換し、プレートをプラットフォームに負荷した。プレートを1Hzにてplate::visionプレートリーダー上で画像化し、カスタム化CellAxessHT電極を用いて、0〜32Vの増加電圧の185msパルスで、30Hzにて10秒間刺激した。結果を図23に示す。
シナプス前HTSプラットフォームの感受性分析を実施した。ラット胚前脳ニューロンをGreiner mClear96ウェルプレートにプレートし、hSyn−SypHyアデノ随伴ウイルスに7DIVで感染させた。25DIVにおいて、神経プレートからの細胞培養培地をpHluorinアッセイバッファーに交換し、プレートをプラットフォームに負荷した。プレートを1Hzにてplate::visionプレートリーダー上で画像化し、カスタム化CellAxessHT電極を用いて、15V、1〜40Hzの増加周波数の185msパルスで10秒間刺激した(斜線入りのバー)。これらの条件下で、シナプス前HTSプラットフォームは、10秒間(2Hz)にわたって送達された20活動電位という少ない電位に応答するシナプス小胞サイクリングを測定可能である(図24)。
シナプス小胞サイクリングにおける化合物誘発性の変化を、シナプス前HTSプラットフォームで検出した。ラット胚前脳ニューロンをGreiner mClear96ウェルプレートにプレートし、hSyn−SypHyアデノ随伴ウイルスに7DIVで感染させた。25DIVにおいて、神経プレートからの細胞培養培地をpHluorinアッセイバッファーに交換し、カルシニューリン阻害剤のシクロスポリンA(CsA;20μM)を1つおきのカラムに加えた。端にあるウェルはこの実験には用いなかった。プレートをプラットフォームに負荷し、1Hzにてplate::visionプレートリーダー上で画像化し、カスタム化CellAxessHT電極を用いて、15V、185msパルスで、30Hzで10秒間刺激した。シナプス小胞サイクル波形を収集し、カルシニューリン阻害後のシナプス小胞の再内部移行速度の時間定数(t)を各ウェルについて計算した。カルシニューリン阻害後の再内部移行速度は、顕著に遅くなった(対照=36ア0.5秒、n=28;CsA=42ア0.5秒、n=29;p<0.0001)。図25に示すこれらのデータは、プラットフォームが、シナプス小胞サイクルの動態における化合物誘発性変化を検出可能であることを示す。
例10.プレートリーダーに基づく検出システム
Fluoroskan Ascent FLプレートリーダーは、シナプトフィジン−pHluorinレポーターを発現する神経細胞内でのシナプス小胞サイクリング、例えばエキソサイトーシスの側面を測定可能であることが確認された。ラット胚皮質ニューロンをGreiner uClear96ウェルプレートで培養した。7DIVにおいて培養物をsypHy−AAVに感染させた。33DIVにおいて培養培地をアッセイバッファーに交換し、プレートをFluoroskan Ascent FLプレートリーダーに負荷し、GFP蛍光を5Hzで記録した。このプレートリーダーは、光電子増倍管(PMT)を用いて、1時点での1つのウェルの蛍光レベルを測定する。ベースライン蛍光レベルを決定し、イオノマイシン(10uM)を加えてシナプス小胞エキソサイトーシスを誘発し、得られた蛍光変化をプレートリーダーで測定した。イオノマイシンは、蛍光強度における〜15%の増加をもたらし、Fluoroskan Ascent FLとそのPMT光学素子が、sypHYレポーターを用いてシナプス小胞サイクルを測定可能であることを示す(図27)。
等価物および範囲
当業者は、ルーチンの実験を超えるものを用いることなく、本明細書に記載の特定の態様の多くの等価物を認識し、または確認することができる。本発明の範囲は上記の説明に限定することを意図せず、むしろ付属のクレームに記載の通りである。
当業者は、ルーチンの実験を超えるものを用いることなく、本明細書に記載の発明に従った特定の態様の多くの等価物を認識し、または確認することができる。本発明の範囲は上記の説明に限定することを意図せず、むしろ付属のクレームに記載の通りである。
クレームにおいて、「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」などの冠詞は、逆が示されているかまたは文脈から別であることが明らかでない限り、1または2以上を意味することができる。1つの群の1つまたは2つ以上のメンバーの間に「または」を含むクレームや記述は、逆が示されているかまたは文脈から別であることが明らかでない限り、該群の1つ、1つより多くの、または全てのメンバーが、与えられた産物または方法に存在するか、用いられるか、またはその他で関連する場合に、満たされていると考えられる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、与えられた産物または方法に存在するか、用いられるか、またはその他で関連する態様を含む。本発明は、群の1つより多くの、または全てのメンバーが、与えられた産物または方法に存在するか、用いられるか、またはその他で関連する態様を含む。さらに、本発明は、1または2以上のリストされたクレームからの1または2以上の限定、要素、条項、記述用語等が他のクレームに導入されている、全ての変形物、組み合わせ、および変更を包含することが理解される。例えば、他のクレームに従属する任意のクレームは、同じ基本クレームに従属する任意の他のクレームに見出される1または2以上の限定を含むように、修正することができる。さらに、クレームが組成物を挙げる場合、本明細書に開示された任意の目的のために該組成物を用いる方法も含まれること、本明細書に開示された任意の製造方法または当分野に知られている他の方法による、該組成物を作製する方法も含まれることが理解されるが、ただし、その他が示されているか、または矛盾もしくは不整合が生じることが当業者に明らかである場合を除く。
要素がリストとして示されている場合、例えばマーカッシュグループ・フォーマットで示されている場合、要素の各サブグループもまた開示され、任意の1または2以上の要素を群から取り除けることが理解される。一般に、発明または発明の側面が、特定の要素、特徴などを含むといわれる場合、発明の一定の態様または発明の側面は、かかる要素、特徴などからなるか、または実質的にこれらからなる。簡単にするために、これらの態様は本明細書にこの通りの言葉で特定的に記載されてはいない。用語「含む」は、開かれていることを意図し、追加の要素またはステップの包含を許容する。
範囲が与えられている場合、両端点が含まれる。さらに、他に指定されていたり、文脈および当業者の理解からその他が明らかでない限り、範囲として表された値は、発明の異なる態様において、提示された前記範囲内の任意の特定の値またはその小範囲の、前記範囲の下限の単位の十分の一までをとり得ることが理解されるが、ただし文脈から明確にそれ以外が指示されている場合を除く。
さらに、従来技術の範囲に入る、本発明の任意の特定の態様は、任意の1または2以上のクレームから明示的に除外されてよい。かかる態様は当業者に知られているとみなされるため、これらは、本明細書に除外が明示的に記載されていない場合であっても、除外してよい。本発明の組成物の任意の特定の態様(例えば、任意の細胞型;任意の神経細胞;シナプス小胞サイクリングの任意のレポーター;任意の電気刺激システム;任意の画像化システム;任意のシナプス小胞サイクリングアッセイ;任意のシナプス小胞サイクルモジュレータ;任意の使用方法など)は、従来技術の存在に関連してもしなくても、任意の理由により、1または2以上のクレームから除外することができる。