JP6106098B2 - エレクトロウェッティング素子用インクおよびこれを用いたエレクトロウェッティングデバイス - Google Patents

エレクトロウェッティング素子用インクおよびこれを用いたエレクトロウェッティングデバイス Download PDF

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Description

本発明は、エレクトロウェッティングディスプレイなどの表示材に好適に使用されるエレクトロウェッティング素子(EW素子)用インクと、該インクを用いたエレクトロウェッティングデバイスに関する。本願は、2012年1月25日に、日本に出願された特願2012−013253号、及び2012年3月19日に、日本に出願された特願2012−062579号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、エレクトロウェッティング効果を利用したエレクトロウェッティング素子(EW素子)が注目されている。一般に、EW素子は、対向配置される一対の基板間に、表面エネルギーが異なり互いに混じり合わない2種類の液体が満たされているとともに、一方の基板の表面に、電極層と該電極層上に形成された疎水性中間層(絶縁層)とを備えて構成されている。2種類の液体としては、相対的に表面エネルギーが高く親水性である高表面エネルギー(導電性)液体と、相対的に表面エネルギーが低く疎水性である低表面エネルギー(絶縁性)液体とが使用される。
このようなEW素子において、絶縁層を介して高表面エネルギー液体と電極層との間に電圧を印加すると、高表面エネルギー液体が疎水性中間層に引き寄せられ、その結果、高表面エネルギー液体と低表面エネルギー液体との間の界面形状が変化する。EW素子は、このような電圧の印加に伴う2つの液体の界面形状の変化を利用したものであって、例えば、透過型または反射型のエレクトロウェッティングディスプレイ(EWD);光学レンズ;カメラなどの撮像機器のシャッター装置など、各種エレクトロウェッティングデバイスに使用されることが知られている。
EW素子を用いてEWDを構成する際には、例えば高表面エネルギー液体として光透過性の液体を用い、低表面エネルギー液体としては隠蔽性の着色インクを用いる。すると、電圧の印加に伴って、光透過性の液体と隠蔽性の着色インクとの界面形状が変化し、そのため、EWDが透過型の場合には、EW素子における光の透過、遮蔽を切り換えることができる。一方、EWDが反射型の場合には、光の遮蔽、反射を切り換えることができる。そのため、EW素子では高い隠蔽性を有するインクが望まれている。ここで、隠蔽性の着色インクとしては、一般に、溶媒と染料とを含むインクが使用されている(例えば特許文献1参照。)。
特表2007−531917号公報
しかしながら、着色成分として染料が用いられたインクは、染料が分子レベルで溶解しているため、耐候性が低く、隠蔽性も低いという欠点があった。そこで、着色成分として、耐候性が高く、隠蔽性が良好な顔料が分散したインクを使用することも考えられるが、顔料は分散安定性が良好ではなく、インク中で凝集したり、また重力の影響により顔料がインク中で沈降したりするため、画像ムラ、コントラストの低下などが生じやすいという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、顔料を含有し隠蔽性に優れるとともに、顔料の分散安定性も良好なEW素子用インク、およびこれを用いたエレクトロウェッティングデバイスの提供を課題とする。
本発明は、以下に関する。
[1]着色粒子と溶媒とを含み、
前記着色粒子は、比重が2以下、平均粒径が20〜300nmであり、
前記着色粒子の含有量は、5〜50質量%であることを特徴とするEW素子用インク。
[2]前記着色粒子の平均粒径が60〜120nmであることを特徴とする[1]に記載のEW素子用インク。
[3]前記溶媒が疎水性溶媒であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のEW素子用インク。
[4]前記溶媒のSP値が9以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[5]前記溶媒が、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくも1つである[1]〜[4]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[6]前記着色粒子の表面が疎水処理されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[7]前記疎水処理が、高分子吸着、もしくはグラフト重合を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法であることを特徴とする[6]に記載のEW素子用インク。
[8]前記着色粒子が、π共役系化合物を含む着色粒子であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[9]前記着色粒子が、表面にπ共役系化合物を含む着色粒子であることを特徴とする[8]に記載のEW素子用インク。
[10]前記着色粒子が、表面に前記π共役系化合物を主成分として含む着色粒子であることを特徴とする[8]又は[9]に記載のEW素子用インク。
[11]前記π共役系化合物が、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピロール及びポリチオフェンからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする[8]〜[10]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[12]前記π共役系化合物が、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする[8]〜[10]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[13]前記着色粒子が黒色粒子であることを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載のEW素子用インク。
[14]前記着色粒子がコアシェル構造であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[15]前記着色粒子と前記溶媒の比重の差が、1.0以下であることを特徴とする[1]〜[14]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[16][1]〜[15]のいずれか1つに記載のEW素子用インクを用いたことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
[17]前記エレクトロウェッティングデバイスが、対向配置される第1の基板及び第2の基板間に形成されたセル内に、互いが混ざり合わない第1の液体材料(高エネルギー液体)と、前記第1の液体材料に対して表面エネルギーの低い第2の液体材料(低エネルギー液体)として[1]〜[16]のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング素子用インクとを含むことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
[18]前記高エネルギー液体のSP値が14以上であり、かつ、前記低エネルギー液体のSP値が9以下である[17]に記載のエレクトロウェッティングデバイス。
本発明によれば、顔料を含有し隠蔽性に優れるとともに、顔料の分散安定性も良好なEW素子用インクを提供できる。
本発明によれば、EW素子用インク中での分散安定性に優れた着色粒子、特に黒色粒子を含むEW素子用インクを提供できる。
また、本発明によれば、画像ムラ、コントラストの低下などが抑制されたエレクトロウェッティングデバイス、特にエレクトロウェッティングディスプレイを提供できる。
複数のEW素子を備えたEWDの一例を示す断面図である。 図1のEWDの動作概念を説明するための断面図である。
以下、エレクトロウェッティングデバイスとしてEW素子を備えたEWDを例示し、本発明のEW素子用インクについて詳細に説明する。
図1は、複数のEW素子を備えたEWDの一例を示す断面図、図2は、EWDの動作概念を説明するための断面図である。なお、図2においては説明に不要な部分の構成については図示を簡略化している。
図1のEWD100は、第1基板110と、第2基板120とを有し、これら基板110、120が高表面エネルギー液体130を介して対向配置されている。高表面エネルギー液体130は、基板110、120の外周に沿って設けられたシール材140で区画される領域(セル)に配置されている。
ここで、高表面エネルギー液体130とは、後述する低表面エネルギー液体131に対して相対的に表面エネルギーが高い状態を有するものである。
第1基板110は、基材110Aと、コモン電極111とを有している。第2基板120は、基材120A、TFT121、配線部122、平坦化膜123、画素電極124、コモン電極125及び絶縁膜126を有している。
第1基板110は、基材110Aを主体に構成され、該基材110Aとしては、例えば、ガラス、樹脂成型体、フィルム等、表示材のパネル基板として通常使用されるものが用いられる。コモン電極111を構成する材料としては、透明電極が好ましく、例えばITO(スズドープ酸化インジウム)が使用される。
第2基板120を構成する基材120Aは、例えば、ガラス、樹脂成型体、フィルム等、表示材のパネル基板として通常使用されるものが用いられる。
第2基板120において、セル側の内表面を構成する絶縁膜126の表面は、例えばフッ素樹脂の塗布及び熱処理などの公知の方法により、撥水化処理されている。
絶縁膜126上には、画素壁127が形成されている。画素壁127は格子状に形成されており、第2基板120上に複数の画素Gを区画している。ここで、1つの画素Gが1つのEW素子10に対応している。
画素電極124及びコモン電極125は、平坦化膜123上に形成されており、コンタクトホール123aを介してTFT121及び配線部122に接続されている。また、画素電極124及びコモン電極125は、各画素G内に一対ずつ配置されている。画素壁127で区画された領域には、低表面エネルギー液体131が格納されている。画素壁127は高表面エネルギー液体130となじみの良い表面を有している。
画素電極124、コモン電極125を構成する電極材料としては、ITOやAl等が用いられる。電極材料としてITOを用いた場合、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、第2基板120の背面側に光源(図示せず)を備えた、いわゆる透過型のディスプレイとなる。また、電極材料としてAlを用いた場合、エレクトロウェッティングディスプレイ100は、外光を電極表面で反射する、いわゆる反射型のディスプレイとなる。
このようなEWD100において、図2に示すように、画素電極124に所定電圧(例えば30V。)を印加すると、画素電極124と高表面エネルギー液体130を電極、絶縁膜126を誘電体としたキャパシタが形成される。すると、絶縁膜126の分極により高表面エネルギー液体130の高表面エネルギー基が静電作用で引きつけられ、その結果、画素電極124上の低表面エネルギー液体131がコモン電極125上に押しのけられ、形状が変化する。
このように電圧を印加することにより、画素G内の低表面エネルギー液体131を選択的にコモン電極125上に移動させることができる。よって、印加する電圧をオンオフすることにより、該EWD100が例えば透過型である場合には、各画素Gを通る光の透過(電圧オン)、遮蔽(電圧オフ)を切り換えることが可能となる。一方、該EWD100が例えば反射型である場合には、光の遮蔽(電圧オフ)、反射(電圧オン)を切り換えることが可能となる。
本発明のEW素子用インクは、例えば図示例のEW素子10を備えたEWD100において、低表面エネルギー液体131として好適に使用されるものであって、着色粒子と溶媒とを含む。本発明のEW素子用インクは、この例のように、溶媒を蒸発させず、着色粒子と共に溶媒を含む液状物の状態でインクとして使用される表示材用途に好適である。
なお、本明細書において、平均粒径とは、動的光散乱粒度分布計で測定される粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
また、着色粒子の形状は、球形であることが、着色粒子による光の散乱が等方的となり、EW素子用インクとした際に色が均等に見える点で好ましく、具体的には、アスペクト比(長軸の長さの短軸の長さに対する比)が1.5以下であることが好ましい。
本発明のEW素子用インクに用いられる着色粒子の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%がより好ましい。5質量%未満では、充分な隠蔽性が得られず、50質量%を超えると、溶媒中での着色粒子の分散安定性が低下する。
本発明のEW素子用インクに用いられる着色粒子は、π共役系化合物を含む着色粒子であることが好ましく、表面にπ共役系化合物を含む着色粒子であることがより好ましく、表面にπ共役化合物を主成分として含む着色粒子であることがさらに好ましい。
着色粒子が、例えば、表面にπ共役化合物を主成分として含む場合には、黒色を呈し、黒色顔料として好適に用いられる。
ここで主成分とは全体の70質量%以上である成分を意味する。主成分(π共役系化合物)以外の成分としては、チタンブラック、酸化鉄等の黒色無機材料が挙げられ、例えば本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子の表面は、π共役系化合物とともにこれらの黒色無機材料を30質量%以下の範囲で含有する組成物から形成されていてもよい。その場合、カーボンブラックを調製する際、重合または重縮合によりπ共役系高分子を調整する際などに、これらの黒色無機材料を共存させればよい。
また、上記組成物には、主成分であるπ共役系化合物の他に、黒色粒子の黒色に影響を与えない範囲で、π共役系化合物以外の重合体などが含まれてもよい。
ここで、π共役系化合物には、π共役系高分子及び構成原子が炭素原子のみであるπ共役系化合物が含まれる。
本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子は、表面がπ共役系化合物を主成分として形成されている場合には、具体的な形態としては、着色粒子全体がπ共役系化合物を主成分とする組成物から形成される。そのため、表面もπ共役系化合物を主成分とする組成物からなっている単一構造の形態が挙げられる。また、表面を含む、ある厚さの外層(シェル)と、外層よりも内側の部分の核(コア)とを有し、シェルがπ共役系化合物を主成分とする組成物から形成されているため、表面もπ共役系化合物を主成分とする組成物からなっている複合構造(コアシェル構造)の形態が挙げられる。よって、着色粒子が上述の単一構造である場合には、「表面の形成」は着色粒子の製造時になされるものであり、一方、着色粒子が上述の複合構造(コアシェル構造)である場合には、「表面の形成」はシェルの製造時になされるものである。
また、本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子においては、π共役系化合物を主成分として形成された表面のさらに外側に、該着色粒子の製造工程で使用された分散安定剤などからなる極薄い膜が形成されている場合がある。このような製造工程に由来する薄膜は、実質的には、粒子の表面を形成しているものとは言えない。よって、本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子には、このような製造工程に由来する薄膜が結果的に最外表に形成されているものも含まれる。
π共役系高分子とは、π共役系高分子を形成し得るモノマーを用いて製造された重合体であり、このようなモノマー(以下、π共役形成性モノマー(A)という場合がある。)としては、アセチレン、アニリン、フラン、ピロール、チオフェン及びこれらの誘導体が挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
π共役系高分子の具体例としては、アセチレン及びその誘導体を重合して得られるポリアセチレン、アニリン及びその誘導体を重合して得られるポリアニリン、フラン及びその誘導体を重合して得られるポリフラン、ピロール及びその誘導体を重合して得られるポリピロール、チオフェン及びその誘導体を重合して得られるポリチオフェンやポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられ、これらのなかでもポリピロール、PEDOTが好ましい。
π共役系高分子は、原料モノマーの酸化重合、電解重合、ラジカル重合、配位重合、重縮合、カップリング反応等、公知の製造方法により製造できる。また、製造時には、公知の開始剤、重合時の安定性を高めるための添加剤(例えば、ポリアニリン、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの分散安定剤やドデシル硫酸ナトリウム、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、などの界面活性剤。)などを適宜使用できる。
構成原子が炭素原子のみであるπ共役系化合物としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン等が挙げられる。これらは、使用可能な範囲で、凝集体を形成していてもよい。
本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子は、表面が疎水化されていてもよい。着色粒子の表面が疎水化されていると、EW素子用インクとした際に、溶媒中での分散安定性に優れ、沈降しにくい。そのため、このインクを使用したレクトロウェッティングデバイスは、画像ムラ、コントラストの低下などが抑制される。具体的には、SP値(溶解度パラメータ)が9.0以下の溶媒(疎水性溶媒)中において、界面活性剤などの分散剤を添加しなくても、良好に分散する。
π共役系化合物としては、着色粒子の分散性の観点からは、π共役系高分子が好ましい。
また、着色、好ましくは黒色を鮮明に表示するという観点からは、構成原子が炭素原子のみであるπ共役系化合物が好ましい。
π共役系化合物を主成分として形成された表面の疎水化は、表面の形成時に同時に行ってもよいし、疎水化されていない表面を形成後、疎水化してもよい。
表面を疎水化する方法としては、具体的には、例えば、下記(1)又は(2)の方法が挙げられる。
(1)粒子形成と同時に、粒子表面を疎水化する方法。
(2)粒子形成後、粒子表面を疎水化する方法。
溶媒中での分散安定性がより優れる点からは、これらの方法のうち、(2)の方法が好ましい。(2)の方法の中でも、(2−1)、(2−3)の方法がより好ましい。
ここで粒子表面を疎水化するとは、粒子表面の一部又は全部が疎水性領域を有していることを意味する。
(1)粒子形成と同時に、粒子表面を疎水化する方法。
この方法は、π共役系高分子を重合するにあたり、π共役形成性モノマー(A)として、疎水性側鎖を有する誘導体を少なくとも用いる方法である。これにより、表面を形成するとともに、その表面を疎水化することができる。
疎水性側鎖とは、直鎖、分岐または環状の飽和炭化水素基および芳香族基が挙げられる。飽和炭化水素基の炭素数は8以上が好ましい。
このような疎水性側鎖を有する誘導体の具体例としては、3−ブチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−メチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ウンデシルチオフェン等のチオフェン誘導体;1−オクチルピロール、3−オクチルピロール、1−ドデシルピロール、3−ドデシルピロール、1−エチルピロール、3−ヘプチルピロール、1−オクタデシルピロール、1−フェニルピロール、3−ヘキシルピロール、1−ヘキシルピロール等のピロール誘導体;N−ドデシルアニリン、4−オクチルアニリン、4−ヘキシルアニリン等のアニリン誘導体;3−メチルフラン、3−オクチルフラン、3−ドデシルフラン等のフラン誘導体;4−ヘキシルフェニルアセチレン、ヘキシルメチルアセチレン、トリデシルアセチレン、テトラデシルアセチレン等のアセチレン誘導体が挙げられ、これらを1種以上使用できる。
(2)粒子形成後、粒子表面を疎水化する方法。
粒子形成後、粒子表面を疎水化する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(2−1)高分子吸着を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
(2−2)グラフト反応を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
(2−3)グラフト重合を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
以下具体的に説明する。
(2−1)高分子吸着を利用することにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
この方法は、具体的には、着色粒子の存在下、高分子を添加し、粒子の表面に高分子を吸着させる方法(方法(i))、又は着色粒子の存在下、モノマーを重合し、生成した高分子を、着色粒子の表面に吸着させる方法(方法(ii))が挙げられる。
方法(i)では、エタノール、アセトン等の有機溶媒に分散させた粒子に、トルエン、ウンデカン等の有機溶媒に溶解させた高分子を添加することにより、高分子を着色粒子の表面に吸着させる方法である。吸着を促進させるために、粒子を分散させた有機溶媒よりもSP値が小さい有機溶媒に吸着させる高分子を溶解させ添加する必要があり、さらに、高分子を溶解させた有機溶媒を添加後に、粒子を分散していたSP値が大きい有機溶媒を除去することにより、より強固に粒子表面に高分子を吸着させることができる。
方法(i)で用いられる高分子としては、例えば、ポリメタクリル酸ドデシル、ポリアクリル酸2−エチルへキシル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、イソプレン、ブタジエン等のジエン化合物の重合体及びその水添物、アルキルビニルエーテルの重合体、α−オレフィンとアルキルビニルエーテルとの共重合体、及びα−オレフィンとジエン化合物との共重合体等が挙げられる。
用いられる高分子の量は、粒子100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。
用いられる高分子の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、好ましくは、1,000,000以下である。
方法(ii)では、粒子をエタノール等の有機溶媒中に分散させた状態で、重合性モノマーを重合させ、生成した高分子が粒子表面に吸着する方法である。
方法(ii)で用いられる重合性モノマーとしては、後述の疎水性側鎖を有するモノマー(C)として用いられる重合性モノマーが挙げられる。
用いられる重合性モノマーの量は、方法(i)と同様である。
なお、方法(i)及び(ii)で用いられる高分子、重合性モノマーの量は、使用量であって、実際に粒子の表面に対して吸着する量とは必ずしも一致しない。
(2−2)グラフト反応を利用することにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
具体的には、前処理として、表面にあらかじめ水酸基などの反応性官能基を導入しておき、その後、該反応性官能基と反応性を有するシランカップリング剤などの疎水性側鎖を有する化合物をエタノールなどの溶媒中でグラフト反応させる方法が好ましい。
前処理として表面に反応性官能基を導入する方法としては、π共役系高分子を重合するにあたり、π共役形成性モノマー(A)として、反応性官能基を有する誘導体を少なくとも用いる方法(方法(a));π共役形成性モノマー(A)を重合して表面を形成する際に、反応系中に、反応性官能基を有する分散安定剤などの高分子を共存させる方法(方法(b));π共役形成性モノマー(A)を重合して表面を形成した後に、反応性官能基を有する化合物(試薬)で処理する方法(方法(c))が挙げられる。
方法(a)で使用される、反応性官能基を有する誘導体としては、3−(2−ヒドロキシエチル)チオフェン、3−ヒドロキシメチルチオフェン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロール、1−(3−ヒドロキシプロピル)ピロールなどが挙げられ、1種以上を使用できる。
方法(b)で使用される反応性官能基を有する分散安定剤としては、水酸基を有するポリビニルアルコールや、ポリアクリル酸、ポリアミンなどの高分子が挙げられる。
分散安定剤の使用量は、反応系中の濃度が例えば0.1〜10質量%となるような範囲で使用される。
方法(c)で使用される反応性官能基を有する化合物(試薬)としては、水酸基を有する化合物として2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス{[2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}などが挙げられ、1種以上を使用できる。
これら化合物の使用量は、π共役形成性モノマー(A)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
これらの方法で、前処理として表面に反応性官能基を導入した後、シランカップリング剤などの疎水性側鎖を有する化合物をグラフト反応させる。反応は一段でも、多段でもよい。
一段の場合には、例えば、上記方法(a)〜(c)などの方法により反応性官能基が導入された表面に対して、シランカップリング剤を反応させる。
ここで使用されるシランカップリング剤としては、疎水性側鎖としてアルキル鎖を有するシランカップリング剤(S1)や、疎水性側鎖としてフッ素化アルキル鎖を有するシランカップリング剤(S2)が挙げられ、1種以上を使用できる。
アルキル鎖を有するシランカップリング剤(S1)としては、例えば、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルドデシルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、イソプロピルトリイソステアロルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピネートなどが挙げられ、1種以上を使用できる。
これらのシランカップリング剤(S1)のうちでは、アルキル鎖の炭素数が8以上のものが好ましく、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルドデシルトリクロロシランなどが好ましく使用される。
フッ素化アルキル鎖を有するシランカップリング剤(S2)としては、例えば、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメチルシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメチルクロロシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルジメチルクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)メチルジメチルクロロシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)メチルジクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)ジメチルクロロシランなどが挙げられ、1種以上を使用できる。
これらのシランカップリング剤(S2)のうちでは、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシランなどが好ましく、特に、フッ素化アルキル鎖の炭素数が3以上のものが好ましい。
ここでグラフト反応に使用するシランカップリング剤(S1)および/またはシランカップリング剤(S2)の量は、前処理後の粒子100質量部に対して0.1〜5質量部とすることが好ましい。このような量を使用すると表面を充分に疎水化できる。なお、ここでのシランカップリング剤(S1)および/またはシランカップリング剤(S2)の量は、使用量であって、実際に粒子の表面に対して反応する量とは必ずしも一致しない。
多段の場合には、例えば、上記方法(a)〜(c)などの方法により反応性官能基が導入された表面に対して、例えば、グリシジル基を有するシランカップリング剤(S3)を用いて処理し、その後、アルキルアミンを用いて修飾する方法が挙げられる。
グリシジル基を有するシランカップリング剤(S3)としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシランなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
アルキルアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミンなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
ここで使用するグリシジル基を有するシランカップリング剤(S3)の量は、前処理後の粒子100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましい。また、アルキルアミンの量は、前処理後の粒子100質量部に対して5質量部以上とすることが好ましい。このような量を使用すると表面を充分に疎水化できる。なお、ここに記載したこれらの量は、使用量であって、実際に粒子の表面に対して反応する量とは必ずしも一致しない。
多段で反応させる方法としては、その他に、エステル化反応、エーテル化反応、マイケル付加反応等の置換反応、縮合反応、付加反応を利用した方法も採用できる。
(2−3)グラフト重合を利用することにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
具体的には、前処理として表面にあらかじめ水酸基などの反応性官能基を導入しておき、その後、重合性官能基を有するシランカップリング剤(S4)をエタノールなどの溶媒中で反応させ、次に、表面に導入された重合性官能基を起点として、疎水性側鎖を有するモノマー(C)をトルエンなどの溶媒中でグラフト重合させる方法が好ましい。
前処理として、表面に反応性官能基を導入する方法としては、例えば、先に例示した方法(a)〜(c)を採用できる。
シランカップリング剤(S4)の有する重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられ、重合反応性が高い点から、例えば(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなど、ビニル基を有するシランカップリング剤(S4)が好ましい。シランカップリング剤(S4)は1種以上を使用できる。
疎水性側鎖を有するモノマー(C)としては、長鎖アルキル基を有する重合性モノマー(C1)、フッ素化アルキル鎖を有する重合性モノマー(C2)が好ましく、1種以上を使用できる。また、これらの重合性モノマー(C1)および/または(C2)とともに、その他の重合性モノマーを併用してもよい。
長鎖アルキル基を有する重合性モノマー(C1)としては、例えば、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸アラキル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ヘプタシル、アクリル酸ノナシル、アクリル酸ドテリアシル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸ノナデシル、メタクリル酸アラキル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ヘプタシル、メタクリル酸ノナシル、メタクリル酸ドデリアシルなどの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、これらを1種以上使用できる。なかでも、例えばアクリル酸ステアリルなどの炭素数8以上のアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素化アルキル鎖を有する重合性モノマー(C2)としては、例えば、1,1,2,2−ノナフルオロヘキシルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレートなど(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、これらを1種以上使用できる。炭素数3以上のフッ素化アルキル基を有するものが好ましい。
併用可能なその他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのうちの1種以上を適宜併用できる。
ここで使用する重合性官能基を有するシランカップリング剤(S4)の量は、前処理後の粒子100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましい。また、疎水性側鎖を有するモノマー(C)の量は、前処理後の粒子100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。このような量を使用すると表面を充分に疎水化できる。なお、ここに記載したこれらの量は、使用量であって、実際に粒子の表面に対して反応する量とは必ずしも一致しない。
なお、以上説明したグラフト重合の例は、ラジカル重合を採用した方法であるが、ラジカル重合に限定されず、カチオン重合、アニオン重合を採用してもよい。
本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子の一形態として、表面がπ共役系化合物を主成分として形成されている場合には、表面以外の材質には制限はない。
具体的な着色粒子の形態としては、上述したような単一構造、複合構造(コアシェル構造)が挙げられる。コアは複数層から形成されていてもよい。
また、コアシェル構造において、コアとシェルとが全く同じ組成であってもよい。
コアとしては、有機物でもよいし、金属および金属化合物の少なくとも一方であってもよい。着色粒子をこのようにコアシェル構造とすることによって、コア、シェルそれぞれに起因する機能を着色粒子に付与することが可能となる。
コアを構成する有機物としては、π共役系化合物やそれ以外の重合体を使用でき、例えば、着色がない、あるいは着色が少ない、下記の重合体を使用できる。
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルペンテン等のオレフィン類及びその誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;フッ化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フタル酸等のジカルボン酸類;ジアミン類;ジアリルフタレート;ベンゾグアナミン;トリアリルイソシアネート等の重合性モノマー用いた重合体が挙げられる。これらの重合性モノマーは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
その他、着色がない、あるいは着色が少ない重合体としては、ポリアミド、(不)飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの1種以上も使用できる。
より好ましいコアシェル構造としては、黒色発現性に優れるポリピロール(π共役系高分子)からなるシェルと、高荷電の導入が可能で、粒径を制御しやすく、低比重なポリスチレンからなるコアとを備えた構造が挙げられる。
本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子をコアシェル構造とする場合には、コアを成す粒子の存在下で、シェルを構成するπ共役形成性モノマー(A)を界面析出重合、界面重合、界面グラフト重合等で重合するとともに、上述(1)又は(2)の方法などにより、π共役形成性モノマー(A)の重合時あるいは重合後に、疎水化を行えばよい。
着色粒子(好ましくは黒色粒子)として、コアが金属および金属化合物の少なくとも一方からなる着色粒子(好ましくは黒色粒子)を製造する場合には、金属および金属化合物として下記のものが例示できる。
金属としては、例えば、第4族〜第14族の金属;これら金属を主成分とした合金;が挙げられる。また、金属化合物としては、これら金属の酸化物、窒化物、炭化物などが挙げられ、これらのうちの1種以上を使用できる。
金属の具体例としては、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、珪素、ゲルマニウム、錫などが挙げられる。合金の具体例としては、ステンレス、半田などが挙げられる。酸化物、窒化物、炭化物の具体例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン(チタンブラック)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化(インジウム−錫)、酸化(亜鉛−アルミニウム)、酸化(亜鉛−ガリウム)、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられる。
なかでも、本発明の粒子が黒色である場合には、金属化合物として、チタンブラック、酸化鉄、炭化珪素が好ましい。
金属や金属化合物は一般に高比重であるが、着色粒子の構造としてコアシェル型を採用し、シェルとして有機物であるπ共役系高分子を組み合わせることで、着色粒子への使用が可能になる。
前記π共役系化合物を粒子内部に含有する着色粒子も、本発明の一形態である。その際、π共役系化合物を粒子内部に含有する着色粒子を構成する材料は、前記記載のコアを構成する有機物が用いられる。また、π共役系化合物を粒子内部に含有する着色粒子は、前記金属や金属化合物を含有しても良い。
このような着色粒子としては、比重が2以下で、平均粒径が20〜300nmであることが好ましい。
ここで着色粒子の比重が2を超えると、溶媒中での着色粒子の分散安定性が劣る。また、着色粒子の比重が2以下であると、溶媒中での着色粒子の分散安定性がより優れる。着色粒子の比重の好ましい下限値は、溶媒の比重などに応じて決定され、例えば、溶媒の比重と同じ値である。
着色粒子の平均粒径は、分散性の観点からは20〜80nmが好ましく、また、インクの隠蔽性の観点からは、80nm〜300nmが好ましい。
分散性及び隠蔽性のバランスを考慮すると、着色粒子の平均粒径は、30〜160nmであることが好ましく、30〜120nmであることがより好ましく、60〜120nmであることがさらに好ましい。
着色粒子(好ましくは黒色粒子)の平均粒径は、例えば、着色粒子合成時における分散安定剤による制御、乳化剤による制御、粒子電荷による制御、マイクロチャネル径による制御、撹拌操作による制御など、公知の方法により制御できる。
例えば、着色粒子がコアシェル構造である場合には、例えばコア(例えばポリスチレンなど。)の製造時に、電荷を有するモノマー(例えばパラスチレンスルホン酸ナトリウムなど。)を併用し、その量を調整したり、重合開始剤の量を調整したりするなどして、コアの粒径を調整する方法が挙げられる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、動的光散乱粒度分布計で測定される粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
また、平均粒径は、CV値(粒径の変動係数)が15%以下となり、粒子同士の凝集が抑制されている、いわゆる単分散の条件下で測定されることが好ましい。CV値は、例えば測定時に粒子を分散させる溶媒の種類により変動する。そのため、CV値が最も小さくなるような溶媒に着色粒子を分散させて、粒径測定を行うことが好ましい。CV値は下記式により算出される。
粒径分布の標準偏差÷平均粒径×100
EW素子用インクの溶媒は、該EW素子用インクの用途に応じて選択され、1種単独で使用されても2種以上が併用されてもよいが、低表面エネルギー液体として使用するために、SP値が9.0以下の疎水性溶媒が好ましく、特に上述したように、EWDを構成するEW素子の低表面エネルギー液体として使用される場合には、オクタン(SP値7.5;比重0.70)、ノナン(SP値7.5;比重0.72)、デカン(SP値7.6;比重0.74)、ウンデカン(SP値7.6;比重0.74)、ドデカン(SP値7.7;比重0.75)等の直鎖または分岐アルカンが好ましい。また、トルエン(SP値8.8;比重0.87)、キシレン(SP値8.8;比重0.88)などの芳香族系溶媒も使用できる。
着色粒子(好ましくは黒色粒子)および溶媒の比重は、着色粒子(好ましくは黒色粒子)の比重の方が溶媒よりも大きく、かつ、その差が1.0以下であることが好ましい。
溶媒の融点は−10℃以下が好ましく、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−40℃以下である。沸点は80℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。このような融点、沸点であると、通常使用や保管時の固化・結晶化、気化・沸騰を抑制することができる。
EW素子用インクが、EW素子の低表面エネルギー液体として使用される場合には、その表面エネルギー値が35mJ/m以下であることが好ましい。35mJ/mを超えると、高表面エネルギー液体とセル中で混合してしまう可能性がある。より好ましい表面エネルギー値は30mJ/m以下であり、さらに好ましくは20mJ/m以下である。
また、EW素子用インクは、粘度が高いと動作速度が低下するため、動作温度範囲における粘度は、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下である。
また、EW素子用インクにおける溶媒の含有量は、50〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
EW素子用インクは、上述の着色粒子(好ましくは黒色粒子)と溶媒とを混合することにより製造できる。EW素子用インクには、着色粒子と溶媒の他に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線防止剤、安定剤、分散剤(界面活性剤など。)、疎水性電解質等の添加剤を添加してもよい。しかしながら、本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子は疎水性表面を有しており、分散安定性に優れているため、界面活性剤などの分散剤を含む必要はない。分散剤を多く添加したEW素子用インクを低表面エネルギー液体として使用すると、高表面エネルギー液体とセル中で混合してしまう可能性がある。本発明によれば、分散剤を添加するとしても、多く添加する必要がないため、このような可能性を排除できる。
本発明のEW素子用インクは、エレクトロウェッティングデバイスの構成に用いられる限り、その用途に制限はなく、エレクトロウェッティングデバイスとしては、例えばEWD、シャッター装置などが挙げられる。EWDには、反射型、透過型があるが、本発明のEW素子用インクは隠蔽性が特に優れるため、透過型のEWDに用いた際に顕著な効果が得られる。シャッター装置は、低表面エネルギー液体と高表面エネルギー液体との界面形状の変化をシャッターの開閉に対応させることにより、シャッター機能を発揮するものであり、このようなシャッター装置は、例えば特開2010−276716号公報などに記載されている。
本発明のエレクトロウェッティングデバイスは、対向配置される第1の基板及び第2の基板間に形成されたセル内に、互いが混ざり合わない第1の液体材料(高エネルギー液体)と、前記第1の液体材料に対して表面エネルギーの低い第2の液体材料(低エネルギー液体)として本発明のエレクトロウェッティング素子用インクとを含むエレクトロウェッティングデバイスである。
前記高エネルギー液体としては、そのSP値が14以上であり、かつ、前記低エネルギー液体としては、そのSP値が9以下であることが好ましい。
本発明のエレクトロウェッティングデバイスとしては、例えば、図示のようなEWD100を構成すればよい。高表面エネルギー液体としては、例えば、水、電解質水溶液、イオン性液体、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類などの1種以上を採用できる。
高表面エネルギー液体の表面エネルギー値は、低表面エネルギー液体との混合を抑制する観点から、好ましくは45mJ/m以上、より好ましくは55mJ/m以上、さらに好ましくは65mJ/m以上である。また、高表面エネルギー液体の好適な融点および沸点の範囲とその設定理由は、低表面エネルギー液体(EW素子用インク)についての記載と同様である。高表面エネルギー液体には、表面エネルギーを高めたり、融点や沸点を調整したりするために、添加剤やイオン等を加えてもよい。
本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子であるπ共役系化合物を含む着色粒子、好ましくは、表面にπ共役系化合物を含む着色粒子、より好ましくは、表面にπ共役系化合物を主成分として含む着色粒子は、表面が疎水化されているために、溶媒に分散させてEW素子用インクとした場合の分散安定性に優れる。よって、EW素子用インクは、界面活性剤などの分散剤を必ずしも添加しなくてもよい。界面活性剤の添加は、このEW素子用インクを低表面エネルギー液体として使用した場合に、該低表面エネルギー液体と、これに接してエレクトロウェッティングデバイスのセル中に存在する高表面エネルギー液体との混合を促進してしまうおそれがある。このような混合は、エレクトロウェッティングデバイスの良好な駆動に悪影響を及ぼす。よって、着色粒子(好ましくは黒色粒子)自身が優れた分散安定性を有し、EW素子用インクとする際に必ずしも界面活性剤などの分散剤を添加する必要がないということは、低表面エネルギー液体と高表面エネルギー液体とがセル中で接するという構成を有するエレクトロウェッティングデバイスにおいて、非常に有効である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
なお、下記例中、濃度を示す「%」とは、特に記載がない限り「質量%」の意味である。
[製造例1]
次のようにして、コアがポリスチレン、シェルがポリピロールからなるコアシェル構造の着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、スチレン(和光純薬製)52g、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.4g、重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.25g、蒸留水500gを秤量した後、200r.p.m.で攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリスチレン粒子が分散した分散液[1]を得た。
この分散液[1]のポリスチレン粒子について、動的光散乱粒度分布計(PSS・NICOMP PARTICLE SIZING SYSTEMS社NICOMP 380ZLS)により、粒径を測定したこところ、平均粒径110nmであった。
ついで、500mL容セパラブルフラスコに、1質量%に希釈した上述のポリスチレン粒子の分散液[1]100gと、分散安定剤として5質量%ポリビニルアルコール(GL03,日本合成社製)水溶液20gと5質量%ラウリルスルホン酸アンモニウム(和光純薬製)水溶液20gとを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、100rpmで攪拌した。
ついで、ピロール(和光純薬製)4gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[1]を含む分散液を得た。
先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、着色粒子[1]の粒径を測定したところ、平均粒径160nmであった。
ついで、着色粒子[1]を含む分散液について、遠心分離と1質量%ラウリル硫酸アンモニウム水溶液を用いた超音波分散とを2回繰り返し、更に、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%着色粒子[1]のエタノール分散液を得た。
得られた1質量%着色粒子[1]のエタノール分散液50gを100mL容ビーカーに秤量し、ドデシルトリエチルシランを1g添加し、スターラーにて12時間攪拌した。遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を2回繰り返し、次いで、遠心分離およびウンデカンによる超音波分散を2回行い、着色粒子[1]のウンデカン分散液を得た。
得られたウンデカン分散液中の着色粒子[1]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、1.63g/cmであった。
[製造例2]
上記製造例1のコアの製造において、添加したパラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)の添加量を0.2gに変更し、重合開始剤として添加した過硫酸カリウム(和光純薬製)の添加量を0.1gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、ポリスチレン粒子の分散液[2]を得た。
この分散液[2]のポリスチレン粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により粒径を測定したこところ、平均粒径242nmであった。
ついで、製造例1と同様の操作を行ってシェルを形成し、黒色の着色粒子[2]の分散液を得た。
先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計にて着色粒子[2]の粒径を測定したところ、平均粒径355nmであった。
さらに、製造例1と同様の操作を行って、着色粒子[2]のウンデカン分散液を得た。
得られたウンデカン分散液中の着色粒子[2]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、1.63g/cmであった。
[製造例3]
次のようにして、コアがポリピロール、シェルがチタニアからなるコアシェル構造の有機物と無機物との複合着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、ピロール(和光純薬製)5g、分散安定剤としてポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)0.5g、蒸留水400gを秤量し、窒素雰囲気下、室温にて、100rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gを蒸留水100gに溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリピロール粒子がエタノールに分散した分散液[3]を得た。
この分散液[3]のポリピロール粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により粒径を測定したところ、平均粒径120nmであった。
ついで、500mL容セパラブルフラスコに、1重量%に希釈した上述のポリピロール粒子の分散液[3]200gと、分散安定剤として、5重量%ラウリルスルホン酸アンモニウム(和光純薬製)水溶液20gとを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、室温にて、100rpmで攪拌し、10%アンモニア水溶液(和光純薬製)10gを添加した。
ついで、チタンイソプロポキシド(和光純薬製)20gをエタノール50gにて希釈させ、上記混合液中へ10時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、反応させることにより、ポリピロールコア/チタニアシェルを有する黒色の着色粒子[3]を含む分散液を得た。
先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、着色粒子[3]の粒径を測定したところ、平均粒径150nmであった。
ついで、着色粒子[3]を含む分散液について、遠心分離と1重量%ラウリル硫酸アンモニウム水溶液を用いた超音波分散とを2回繰り返し、更に、遠心分離および1重量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1重量%着色粒子[3]のエタノール分散液を得た。
得られた1重量%着色粒子[3]のエタノール分散液50gを100mL容ビーカーに秤量し、ドデシルトリエチルシランを1g添加し、スターラーにて12時間攪拌した。遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を2回繰り返し、次いで、遠心分離およびウンデカンによる超音波分散を2回行い、着色粒子[3]のウンデカン分散液を得た。
得られたウンデカン分散液中の着色粒子[3]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、2.90g/cmであった。
[実施例1]
製造例1で得られた着色粒子[1]のウンデカン分散液について、着色粒子[1]のウンデカン中の濃度を20質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[1]を得た。
そして、黒色インク[1]について、下記の方法により、分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
(分散安定性)
外径14mm、容量10mlの有栓メスシリンダーに、黒いインク[1]を10ml入れ、室温にて1週間放置し、上澄みの発生状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
A=上澄みが発生しなかった。
B=明らかに上澄みが発生した。
(隠蔽力)
スペーサを用いて2枚のガラス板のギャップが10μmの3cm×4cmのセルを作製し、黒色インク[1]をセルに充填した後に、隠蔽率測定紙(TP技研株式会社)上に、その白色と黒色との境目を覆うようにしてセルを置き、次の基準で目視により評価した。
A:セルにより完全に隠蔽され、白色と黒色の境目が確認できない。
B:セルを通して白色と黒色の境目が確認できる。
[比較例1]
製造例2で得られた着色粒子[2]のウンデカン分散液について、着色粒子[2]のウンデカン中の濃度を20質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[2]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
製造例3で得られた着色粒子[3]のウンデカン分散液について、着色粒子[3]のウンデカン中の濃度を20質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[3]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
[比較例3]
製造例1で得られた着色粒子[1]のウンデカン分散液について、着色粒子[1]のウンデカン中の濃度を1質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[4]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
製造例1で得られた着色粒子[1]のウンデカン分散液について、着色粒子[1]のウンデカン中の濃度を60質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[5]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006106098
表1に記載のとおり、実施例の黒色インク(EW素子用インク)は、分散安定性と隠蔽力がともに優れていた。
[実施例2]
次に、表面が疎水化されているポリピロールからなる黒色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、ピロール(和光純薬製)4g、蒸留水250g、分散安定剤として5質量%ポリビニルアルコール(GL03,日本合成社製)水溶液100g、5質量%ラウリル硫酸アンモニウム(花王製)水溶液50gを秤量し、200rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後室温で12時間攪拌することで、ポリピロールからなる黒色粒子[1]を含む分散液を得た。
ついで、黒色粒子[1]を含む分散液について、遠心分離と1質量%ラウリル硫酸アンモニウム水溶液を用いた超音波分散とを2回繰り返し、更に、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%黒色粒子[1]のエタノール分散液を得た。
得られた1質量%黒色粒子[1]のエタノール分散液200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、ドデシルトリエトキシシラン(東京化成製)を0.2g、28%アンモニア水溶液(和光純薬製)を1g添加し、12時間攪拌することで、表面が疎水化されている黒色粒子[1−1]を得た。
ここで、動的光散乱粒度分布計(PSS・NICOMP PARTICLE SIZING SYSTEMS社NICOMP 380ZLS)により、エタノール中での黒色粒子[1−1]の粒径を測定したところ、平均粒径110nm、CV値12%であった。
その後、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を2回繰り返し、次いで、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を2回行い、表面が疎水化されている黒色粒子[1−1]のトルエン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[1A]を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[1−1]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[1B]を得た。
なお、得られたトルエン分散液中の黒色粒子[1−1]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、1.69g/cmであった。
そして、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、トルエン分散液[1A]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径120nm、CV値12%であり、オクタン分散液[1B]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径122nm、CV値11%であった。
このことから、黒色粒子[1−1]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
また、トルエン分散液[1A]とオクタン分散液[1B]を300時間静置した後、再度黒色粒子の粒径を測定したところ、トルエン分散液[1A]中の黒色粒子は、平均粒径121nm、CV値12%であって300時間静置前とほぼ変化がなく、高い分散安定性を示していた。オクタン分散液[1B]中の黒色粒子は、平均粒径138nm、CV値15%であって、いずれも300時間静置前に比べて若干増加しており、やや粒子同士の凝集が生じていたものの、ほぼ良好な分散安定性を示していた。
以上の結果から、トルエン分散液[1A]、オクタン分散液[1B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
[実施例3]
次のようにして、コアがポリスチレン、シェルがポリピロールからなり、表面が疎水化されているコアシェル構造の黒色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、スチレン(和光純薬製)52g、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.4g、重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.25g、蒸留水500gを秤量した後、200r.p.m.で攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリスチレン粒子が分散した分散液[2]を得た。
ついで、500mL容セパラブルフラスコに、1質量%に希釈した上述のポリスチレン粒子の分散液[2]100gと、分散安定剤として5質量%ポリビニルアルコール(GL03,日本合成社製)水溶液20gと5質量%ラウリル硫酸アンモニウム(花王製)水溶液20gとを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、100rpmで攪拌した。
ついで、ピロール(和光純薬製)4gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色粒子[2]を含む分散液を得た。
ついで、黒色粒子[2]を含む分散液について、遠心分離と1質量%ラウリル硫酸アンモニウム水溶液を用いた超音波分散とを2回繰り返し、更に、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)を得た。
得られた1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、ドデシルトリエトキシシランを0.2g添加し、12時間攪拌することで、表面が疎水化されている黒色粒子[2−1]を得た。
ここで、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、黒色粒子[2−1]のエタノール中の粒径を測定したところ、平均粒径150nm、CV値12%であった。
その後、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を2回繰り返し、次いで、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を2回行い、表面が疎水化されている黒色粒子[2−1]のトルエン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[2A]を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[2−1]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[2B]を得た。
そして、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、トルエン分散液[2A]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径155nm、CV値13%であり、オクタン分散液[2B]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径157nm、CV値12%であった。
このことから、黒色粒子[2−1]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
また、トルエン分散液[2A]とオクタン分散液[2B]を300時間静置した後、再度黒色粒子の粒径を測定したところ、トルエン分散液[2A]中の黒色粒子は、平均粒径155nm、CV値13%であって300時間静置前と変化がなく、高い分散安定性を示していた。オクタン分散液[2B]中の黒色粒子は、平均粒径178nm、CV値15%であって、いずれも300時間静置前に比べて若干増加しており、やや粒子同士の凝集が生じていたものの、ほぼ良好な分散安定性を示していた。
以上の結果から、トルエン分散液[2A]、オクタン分散液[2B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
また、黒色粒子[2−1]の比重も実施例1と同様に測定したところ、1.59g/cmであった。
[実施例4]
ドデシルトリエトキシシラン0.2gの代わりに、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン(Gelest社製)0.2gを使用した以外は、実施例2と同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[2−2]を得た。
ここで、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、黒色粒子[2−2]の粒径を測定したところ、平均粒径150nm、CV値12%であった。
その後、実施例3と同様の操作を行って、表面が疎水化されている黒色粒子[2−2]のトルエン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[3A]と、表面が疎水化されている黒色粒子[2−2]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[3B]を得た。
そして、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、トルエン分散液[3A]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径154nm、CV値12%であり、オクタン分散液[2B]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径155nm、CV値12%であった。
このことから、黒色粒子[2−2]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
また、トルエン分散液[3A]とオクタン分散液[3B]を300時間静置した後、再度黒色粒子の粒径を測定したところ、トルエン分散液[3A]中の黒色粒子は、平均粒径155nm、CV値12%であって300時間静置前とほぼ変化がなく、高い分散安定性を示していた。オクタン分散液[3B]中の黒色粒子も、平均粒径155nm、CV値12%であって300時間静置前と変化がなく、高い分散安定性を示していた。
以上の結果から、トルエン分散液[3A]、オクタン分散液[3B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
[実施例5]
実施例2と同様の操作を行って、1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)を得た。
得られた1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシランを0.2g添加し、12時間攪拌することで、表面に重合性官能基が導入された黒色粒子[2’]を得た。
ついで、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液を得た。
1000mL容セパラブルフラスコに、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液200gを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、アクリル酸ドデシル(和光純薬製)を2g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、蒸留水1gに過硫酸アンモニウム0.2gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−1]を得た。
ここで、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、黒色粒子[2’−1]のエタノール/トルエン中の粒径を測定したところ、平均粒径160nm、CV値13%であった。
その後、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を3回行い、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−1]のトルエン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[4A]を得た。また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−1]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[4B]を得た。
そして、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、トルエン分散液[4A]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径165nm、CV値13%であり、オクタン分散液[4B]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径170nm、CV値12%であった。
このことから、黒色粒子[2’−1]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
また、トルエン分散液[4A]とオクタン分散液[4B]を300時間静置した後、再度黒色粒子の粒径を測定したところ、トルエン分散液[4A]中の黒色粒子は、平均粒径165nm、CV値13%であって300時間静置前と変化がなく、高い分散安定性を示していた。オクタン分散液[3B]中の黒色粒子も、平均粒径170nm、CV値12%であって300時間静置前と変化がなく、高い分散安定性を示していた。
以上の結果から、トルエン分散液[4A]、オクタン分散液[4B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
[実施例6]
実施例5と同様の操作を行って、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液を得た。
1000mL容セパラブルフラスコに、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液200gを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、アクリル酸2−エチルヘキシル(東京化成製)1gと、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート(ユニマテック(株)製)を1g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、蒸留水1gに過硫酸アンモニウム0.02gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−2]を得た。
ここで、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、エタノール/トルエン中の黒色粒子[2’−2]の粒径を測定したところ、平均粒径158nm、CV値13%であった。
その後、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を3回行い、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−2]のトルエン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[5A]を得た。また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−2]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[5B]を得た。
そして、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、トルエン分散液[5A]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径160nm、CV値14%であり、オクタン分散液[5B]中の黒色粒子の粒径を測定したところ、平均粒径168nm、CV値13%であった。
このことから、黒色粒子[2’−2]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
また、トルエン分散液[5A]とオクタン分散液[5B]を300時間静置した後、再度黒色粒子の粒径を測定したところ、トルエン分散液[5A]中の黒色粒子は、平均粒径160nm、CV値14%であって300時間静置前と変化がなく、高い分散安定性を示していた。オクタン分散液[3B]中の黒色粒子も、平均粒径170nm、CV値13%であって300時間静置前とほぼ変化がなく、高い分散安定性を示していた。
以上の結果から、トルエン分散液[5A]、オクタン分散液[5B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
[比較例5]
実施例2と同様の操作を行って、1質量%黒色粒子[1]のエタノール分散液を得た。
次いで、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を2回行い、表面が疎水化されていない黒色粒子のトルエン分散液を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されていない黒色粒子のオクタン分散液を得た。
そして、これら2種のエレクトロウェッティング素子用インクについて、実施例2と同様にして、300時間静置前後の平均粒径、CV値を測定し、評価した。結果を表2に示す。
[比較例6]
実施例3と同様の操作を行って、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色粒子[2]を含む分散液を得た。
ついで、黒色粒子[2]を含む分散液について、遠心分離とエタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)を得た。
次いで、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を2回行い、表面が疎水化されていない黒色粒子のトルエン分散液を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されていない黒色粒子のオクタン分散液を得た。
そして、これら2種のエレクトロウェッティング素子用インクについて、実施例2と同様にして、300時間静置前後の平均粒径、CV値を測定し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006106098
表2に記載のとおり、各実施例のエレクトロウェッティング素子用インクは、調製直後から300時間経過後まで、黒色粒子が良好に分散(単分散)していて、トルエン、オクタンいずれの溶媒を用いた場合でも、エレクトロウェッティング素子用インクとして良好に使用できることが示された。これに対して、比較例では、トルエン分散液、オクタン分散液のいずれにおいても、インク調製直後から、測定される黒色粒子の平均粒径、CV値が非常に大きく、粒子の凝集が顕著であり、分散安定性が劣っていた。そして、300時間経過には、いずれも、粒径測定が不可能なほど、黒色粒子が沈降した。このことから、比較例の黒色粒子をエレクトロウェッティング素子用インクとして使用した場合には、画像ムラ、コントラストの低下などが生じやすいものと考えられる。
[実施例7]
次のようにして、PEDOTの単一粒子で形成された着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、3,4−エチレンジオキシチオフェン(東京化成製)5g、分散安定剤としてポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)5g、蒸留水400gを秤量し、窒素雰囲気下、室温にて、100rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gを蒸留水100gに溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、PEDOT粒子[6]がエタノールに分散した分散液[6A]を得た。この分散液[6A]のPEDOT粒子について、動的光散乱粒度分布計(PSS・NICOMP PARTICLE SIZING SYSTEMS社NICOMP 380ZLS)により、粒径を測定したこところ、平均粒径30nmであった。
ついで、500mL容セパラブルフラスコに、1重量%に調整した上述のPEDOT粒子[6]のエタノール分散液[6A]200gを入れ、撹拌を行いながら、ポリメタクリル酸ドデシル1重量%のトルエン溶液を加えていき、さらにエタノールを除去することにより、PEDOT粒子表面にポリメタクリル酸ドデシルを吸着させた。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、着色粒子[6−1]のウンデカン分散液[6B]を得た。なお、使用したポリメタクリル酸ドデシル(自社合成品)の重量平均分子量は、84,000であった。
PEDOT粒子がウンデカンに分散した分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[6C]を得た。
[実施例8]
次のようにして、ポリピロールの単一粒子で形成された着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、ピロール(和光純薬製)4g、分散安定剤としてポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)5g、蒸留水400gを秤量し、窒素雰囲気下、室温にて、100rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)7.0gを蒸留水100gに溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、ポリピロール粒子[7]がエタノールに分散した分散液[7A]を得た。この分散液[7A]のポリピロール粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径60nmであった。
得られた1質量%ポリピロール粒子[7]のエタノール分散液[7A]200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシランを0.2g添加し、12時間攪拌することで、表面に重合性官能基が導入されたポリピロール粒子を得た。その後、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、表面に重合性官能基が導入されたポリピロール粒子[7−1]の1質量%エタノール分散液[7B]を得た。
ついで、1000mL容セパラブルフラスコに、1重量%に調整した上述のエタノール分散液[7B]200gを入れ、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、メタクリル酸ドデシル(東京化成製)を5g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、エタノール1gに過硫酸アンモニウム0.2gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面を疎水化した。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、表面が疎水化されたポリピロール粒子[7−2]がウンデカンに分散した分散液[7C]を得た。
ポリピロール粒子がウンデカンに分散した分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[7D]を得た。
[実施例9]
次のようにして、ポリピロールの単一粒子で形成された着色粒子を製造した。
上記実施例8のポリピロール粒子の製造において、使用した過硫酸アンモニウムの量を10.0gに変更した以外は、実施例8と同様の操作を行い、ポリピロール粒子[8]がエタノールに分散した分散液[8A]を得た。この分散液[8A]のポリピロール粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径80nmであった。
上記実施例8と同様の操作により、ポリピロール粒子がウンデカンに分散した分散液[8B]を得た。また、ポリピロール粒子[8]がウンデカンに分散した分散液[8B]を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[8C]を得た。
[実施例10]
次のようにして、コアがポリスチレン、シェルがポリピロールからなるコアシェル構造の着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、スチレン(和光純薬製)40g、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.4g、重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.3g、蒸留水500gを秤量した後、200r.p.m.で攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリスチレン粒子が分散した分散液[9A]を得た。
この分散液[9A]のポリスチレン粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したこところ、平均粒径80nmであった。
ついで、500mL容セパラブルフラスコに、1質量%に希釈した上述のポリスチレン粒子の分散液[9B]100gと、分散安定剤として5質量%ポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)水溶液20gとを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、100rpmで攪拌した。
ついで、ピロール(和光純薬製)2gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)6.8gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[9]を含む分散液を得た。
得られた着色微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がエタノールに分散した分散液[9C]を得た。この分散液[9C]の着色粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径120nmであった。
得られた1質量%ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子のエタノール分散液[9C]200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシランを0.2g添加し、12時間攪拌することで、表面に重合性官能基が導入された黒色の着色粒子を得た。その後、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、表面に重合性官能基が導入された黒色の着色粒子の1質量%エタノール分散液[9D]を得た。
ついで、1000mL容セパラブルフラスコに、1重量%に調整した上述のエタノール分散液[9D]200gを入れ、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、メタクリル酸ドデシル(東京化成製)を5g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、エタノール1gに過硫酸アンモニウム0.2gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面を疎水化した。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[9−1]がウンデカンに分散した分散液[9E]を得た。
ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[9−1]がウンデカンに分散した分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[9F]を得た。
[実施例11]
次のようにして、カーボンブラックとポリスチレンとの複合粒子で形成された黒色粒子を得た。
カーボンブラック10g、ドデシル硫酸ナトリウムの3gを110gの水に加えた後、15分間超音波照射を行い顔料分散液[10A]を得た。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた500mL容のセパラブルフラスコに、ポリスチレンオリゴマー(自社合成品)2gをポリスチレン(和光純薬製)20gで溶解した溶液、ジビニルベンゼン(東京化成製)2g、2、2’アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬製)1g、蒸留水150gを入れ、3分間超音波照射を行って混合物を乳化し、モノマーエマルションを得た。その後、顔料分散液を混合し、超音波照射機でさらに5分間乳化し、窒素雰囲気下で70℃、8時間重合し、カーボンブラック/ポリスチレン複合粒子を得た。
得られたカーボンブラック/ポリスチレン複合粒子について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離および1重量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液を用いた超音波分散を1回行い、カーボンブラック/ポリスチレン複合粒子[10]がエタノールに分散した分散液[10B]を得た。この分散液[10B]のカーボンブラック/ポリスチレン複合粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径280nmであった。
上記実施例8と同様の操作により、カーボンブラック/ポリスチレン複合粒子がウンデカンに分散した分散液[10C]を得た。また、カーボンブラック/ポリスチレン複合粒子がウンデカンに分散した分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[10C]を得た。
[実施例12]
実施例8で得られた着色粒子[7−2]のウンデカン分散液について、着色粒子[7−2]のウンデカン中の濃度を45質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[11A]を得た。
[実施例13]
実施例10の疎水化処理において、メタクリル酸ドデシルの代わりにメタクリル酸オクチル(東京化成製)を用いたこと以外は実施例10と同様の方法により、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子の表面を疎水化した。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がウンデカンに分散した分散液[12A]を得た。さらに、分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[12B]を得た。
[比較例7]
実施例10のポリスチレンコアの製造において、モノマーとして添加したスチレン(和光純薬製)の添加量を60gに変更し、添加したパラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)の添加量を0.2gに変更し、重合開始剤として添加した過硫酸カリウム(和光純薬製)の添加量を0.1gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、ポリスチレン粒子の分散液[13A]を得た。
この分散液[13A]のポリスチレン粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により粒径を測定したこところ、平均粒径275nmであった。
ついで、実施例10のポリピロールシェルの製造において、モノマーとして添加したピロール(和光純薬製)の添加量を10g、重合開始剤として添加した過硫酸アンモニウム(和光純薬製)の添加量を33.7gとした以外は、実施例10と同様の操作を行ってシェルを形成し、黒色の着色粒子[13]の分散液を得た。
得られた着色微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がエタノールに分散した分散液[13B]を得た。この分散液[13B]の着色粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径320nmであった。
さらに、実施例10と同様の操作を行って、着色粒子[13]のウンデカン分散液を得た。分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[13C]を得た。
[比較例8]
次のようにして、コアがシリカ、シェルがポリピロールからなるコアシェル構造の着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた500mL容のセパラブルフラスコに、エタノール(和光純薬製)150g、28%アンモニア水(和光純薬製)8g、蒸留水50gを秤量した後、400r.p.m.で攪拌し、テトラエトキシシラン5gを滴下して加え、12時間室温で反応を行った。
得られたシリカ微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、洗浄を行い、コアとなるシリカ粒子が分散した分散液[14A]を得た。
この分散液[14A]のシリカ粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したこところ、平均粒径255nmであった。
ついで、500mL容セパラブルフラスコに、1質量%に希釈した上述のシリカ粒子の分散液[14B]100gと、分散安定剤として5質量%ポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)水溶液20gとを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、100rpmで攪拌した。
ついで、ピロール(和光純薬製)4gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、シリカコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[14]を含む分散液を得た。
得られた着色微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、シリカコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がエタノールに分散した分散液[14C]を得た。この分散液[14C]の着色粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径280nmであった。
上記実施例8と同様の操作により、シリカコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がウンデカンに分散した分散液[14D]を得た。また、シリカコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がウンデカンに分散した分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[14E]を得た。
[比較例9]
実施例8で得られた着色粒子[7−2]のウンデカン分散液について、着色粒子[7−2]のウンデカン中の濃度を55質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[15A]を得た。
[比較例10]
実施例9で得られた着色粒子[8]のウンデカン分散液について、着色粒子[8]のウンデカン中の濃度を55質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[16A]を得た。
[比較例11]
実施例11で得られた着色粒子[10]のウンデカン分散液について、着色粒子[10]のウンデカン中の濃度を3質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[17A]を得た。
[比較例12]
実施例10で得られた着色粒子[9−1]のウンデカン分散液について、着色粒子[9−1]のウンデカン中の濃度を4質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[18A]を得た。
[比較例13]
実施例10において、疎水処理後の溶媒置換に、アセトンを用いたこと以外は実施例10と同様の方法により、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がアセトンに分散した分散液[19A]を得た。さらに、分散液を4質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[19B]を得た。
[比較例14]
実施例10の疎水化処理において、メタクリル酸ドデシルの代わりにメタクリル酸メチル(東京化成製)を用いたこと以外は同様の方法により、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がウンデカンに分散した分散液[20A]を得た。さらに、分散液を4質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[20B]を得た。
得られたEW素子用インク中の着色粒子を真空乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定した結果を表3に示す。
得られたEW素子用インクについて、以下の通り、評価した。評価結果を表3に示す。
1.分散安定性の評価
EW素子用インクの分散安定性を評価するにあたり、まず、外径14mm、容量10mlの有栓メスシリンダーに、黒いインクを10ml入れ、室温にて1週間放置し、上澄みの発生状態を目視で観察した。さらに、上澄みが発生しなかったインクに関して、10,000rpmで遠心分離を15分間行い、上澄みの状態を目視で観察した。
EWD素子用インクの分散安定性は、以下の基準により評価した。
A:1週間静置で上澄み発生しなかった。さらに、10,000rpmで遠心分離処理を15分行っても、上澄みが着色していた。
B:1週間静置で上澄み発生しなかった。しかし、10,000rpmで遠心分離処理を15分行うと、上澄みは透明であった。
C:明らかに上澄みが発生した。
2.隠蔽性の評価
EW素子用インクを2500倍に希釈し、紫外可視分光光度計で1cmの石英セルを用いて吸光度を測定し、以下の基準によりインクの隠蔽性を評価した。
A:1.0以上
B:0.2以上1.0未満
C:0.2未満
3.EWD駆動性の評価
低エネルギー液体としてEW素子用インクを、高エネルギー液体として水を用いてテストセルを作製し、インクの駆動性を光学顕微鏡で観察した。駆動は、ファンクションジェネレーターと増幅器を用いて、20Vppの矩形波を用いて、周波数0.5Hzで行った。
以下の基準によりEWD駆動性を評価した。
A:EW素子用インクが駆動し、画像ムラが見られず、画像コントラストも良好であり、EW素子用インクがスムーズに駆動している様子が確認できた。
B:EW素子用インクが駆動しない、画素ムラが見られる、画像コントラストが悪い、などの理由のために、EW素子用インクがスムーズに駆動している様子が確認できなかった。
Figure 0006106098
表3に記載の通り、実施例に記載の黒色インク(EW素子用インク)は、分散安定性、隠蔽性、EWD駆動性いずれの点でも比較例と比較して優れていた。
一方、表3に記載の通り、比較例7に記載のEW素子用インクは、着色粒子の粒径が大きいために、EWD駆動性が悪くなり、顕微鏡で観察した際に、画像ムラが見られた。比較例8〜10に記載のEW素子用インクは、インクの分散性が悪く、沈降した着色粒子の影響で、画像ムラが見られた。比較例11〜12に記載のEW素子用インクは、インクの隠蔽性が低いために、画像コントラストが悪く、駆動の確認が困難であった。また、比較例13に記載のEW素子用インクは、低エネルギー液体と高エネルギー液体が混和したため、EWDは駆動しなかった。
本発明のEW素子用インクは、EW素子用インクに含まれる顔料の分散性及び隠蔽性に優れているため、有用である。
10 EW素子
100 EWD

Claims (9)

  1. 着色粒子と溶媒とを含み、
    前記着色粒子は、π共役化合物を主成分とする外層と、外層よりも内側の部分の核とを有するコアシェル構造であり、比重が2以下、平均粒径が20〜300nmであり、
    前記着色粒子の含有量は、5〜50質量%であることを特徴とするエレクトロウェッティング素子用インク。
  2. 前記着色粒子の平均粒径が60〜120nmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
  3. 前記溶媒のSP値が9以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
  4. 前記着色粒子の表面が疎水処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
  5. 前記着色粒子が黒色粒子であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
  6. 前記着色粒子の比重が1.7以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インクを用いたことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
  8. 向配置される第1の基板及び第2の基板間に形成されたセル内に、互いが混ざり合わない第1の液体材料(高エネルギー液体)と、前記第1の液体材料に対して表面エネルギーの低い第2の液体材料(低エネルギー液体)として請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インクとを含むことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
  9. 前記高エネルギー液体のSP値が14以上であり、かつ、前記低エネルギー液体のSP値が9以下であることを特徴とする請求項8に記載のエレクトロウェッティングデバイス。
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