JP6106098B2 - エレクトロウェッティング素子用インクおよびこれを用いたエレクトロウェッティングデバイス - Google Patents
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Description
[1]着色粒子と溶媒とを含み、
前記着色粒子は、比重が2以下、平均粒径が20〜300nmであり、
前記着色粒子の含有量は、5〜50質量%であることを特徴とするEW素子用インク。
[2]前記着色粒子の平均粒径が60〜120nmであることを特徴とする[1]に記載のEW素子用インク。
[3]前記溶媒が疎水性溶媒であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のEW素子用インク。
[4]前記溶媒のSP値が9以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[5]前記溶媒が、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トルエン及びキシレンからなる群より選択される少なくも1つである[1]〜[4]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[6]前記着色粒子の表面が疎水処理されていることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[7]前記疎水処理が、高分子吸着、もしくはグラフト重合を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法であることを特徴とする[6]に記載のEW素子用インク。
[8]前記着色粒子が、π共役系化合物を含む着色粒子であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[9]前記着色粒子が、表面にπ共役系化合物を含む着色粒子であることを特徴とする[8]に記載のEW素子用インク。
[10]前記着色粒子が、表面に前記π共役系化合物を主成分として含む着色粒子であることを特徴とする[8]又は[9]に記載のEW素子用インク。
[11]前記π共役系化合物が、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピロール及びポリチオフェンからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする[8]〜[10]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[12]前記π共役系化合物が、カーボンブラック及びカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする[8]〜[10]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[13]前記着色粒子が黒色粒子であることを特徴とする[1]〜[12]のいずれか1項に記載のEW素子用インク。
[14]前記着色粒子がコアシェル構造であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[15]前記着色粒子と前記溶媒の比重の差が、1.0以下であることを特徴とする[1]〜[14]のいずれか1つに記載のEW素子用インク。
[16][1]〜[15]のいずれか1つに記載のEW素子用インクを用いたことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
[17]前記エレクトロウェッティングデバイスが、対向配置される第1の基板及び第2の基板間に形成されたセル内に、互いが混ざり合わない第1の液体材料(高エネルギー液体)と、前記第1の液体材料に対して表面エネルギーの低い第2の液体材料(低エネルギー液体)として[1]〜[16]のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング素子用インクとを含むことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
[18]前記高エネルギー液体のSP値が14以上であり、かつ、前記低エネルギー液体のSP値が9以下である[17]に記載のエレクトロウェッティングデバイス。
本発明によれば、EW素子用インク中での分散安定性に優れた着色粒子、特に黒色粒子を含むEW素子用インクを提供できる。
また、本発明によれば、画像ムラ、コントラストの低下などが抑制されたエレクトロウェッティングデバイス、特にエレクトロウェッティングディスプレイを提供できる。
図1は、複数のEW素子を備えたEWDの一例を示す断面図、図2は、EWDの動作概念を説明するための断面図である。なお、図2においては説明に不要な部分の構成については図示を簡略化している。
ここで、高表面エネルギー液体130とは、後述する低表面エネルギー液体131に対して相対的に表面エネルギーが高い状態を有するものである。
第2基板120において、セル側の内表面を構成する絶縁膜126の表面は、例えばフッ素樹脂の塗布及び熱処理などの公知の方法により、撥水化処理されている。
絶縁膜126上には、画素壁127が形成されている。画素壁127は格子状に形成されており、第2基板120上に複数の画素Gを区画している。ここで、1つの画素Gが1つのEW素子10に対応している。
このように電圧を印加することにより、画素G内の低表面エネルギー液体131を選択的にコモン電極125上に移動させることができる。よって、印加する電圧をオンオフすることにより、該EWD100が例えば透過型である場合には、各画素Gを通る光の透過(電圧オン)、遮蔽(電圧オフ)を切り換えることが可能となる。一方、該EWD100が例えば反射型である場合には、光の遮蔽(電圧オフ)、反射(電圧オン)を切り換えることが可能となる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、動的光散乱粒度分布計で測定される粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
着色粒子が、例えば、表面にπ共役化合物を主成分として含む場合には、黒色を呈し、黒色顔料として好適に用いられる。
ここで主成分とは全体の70質量%以上である成分を意味する。主成分(π共役系化合物)以外の成分としては、チタンブラック、酸化鉄等の黒色無機材料が挙げられ、例えば本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子の表面は、π共役系化合物とともにこれらの黒色無機材料を30質量%以下の範囲で含有する組成物から形成されていてもよい。その場合、カーボンブラックを調製する際、重合または重縮合によりπ共役系高分子を調整する際などに、これらの黒色無機材料を共存させればよい。
また、上記組成物には、主成分であるπ共役系化合物の他に、黒色粒子の黒色に影響を与えない範囲で、π共役系化合物以外の重合体などが含まれてもよい。
ここで、π共役系化合物には、π共役系高分子及び構成原子が炭素原子のみであるπ共役系化合物が含まれる。
π共役系高分子の具体例としては、アセチレン及びその誘導体を重合して得られるポリアセチレン、アニリン及びその誘導体を重合して得られるポリアニリン、フラン及びその誘導体を重合して得られるポリフラン、ピロール及びその誘導体を重合して得られるポリピロール、チオフェン及びその誘導体を重合して得られるポリチオフェンやポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が挙げられ、これらのなかでもポリピロール、PEDOTが好ましい。
また、着色、好ましくは黒色を鮮明に表示するという観点からは、構成原子が炭素原子のみであるπ共役系化合物が好ましい。
表面を疎水化する方法としては、具体的には、例えば、下記(1)又は(2)の方法が挙げられる。
(1)粒子形成と同時に、粒子表面を疎水化する方法。
(2)粒子形成後、粒子表面を疎水化する方法。
溶媒中での分散安定性がより優れる点からは、これらの方法のうち、(2)の方法が好ましい。(2)の方法の中でも、(2−1)、(2−3)の方法がより好ましい。
ここで粒子表面を疎水化するとは、粒子表面の一部又は全部が疎水性領域を有していることを意味する。
この方法は、π共役系高分子を重合するにあたり、π共役形成性モノマー(A)として、疎水性側鎖を有する誘導体を少なくとも用いる方法である。これにより、表面を形成するとともに、その表面を疎水化することができる。
疎水性側鎖とは、直鎖、分岐または環状の飽和炭化水素基および芳香族基が挙げられる。飽和炭化水素基の炭素数は8以上が好ましい。
このような疎水性側鎖を有する誘導体の具体例としては、3−ブチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−メチルチオフェン、3−ノニルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン、3−ペンチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ウンデシルチオフェン等のチオフェン誘導体;1−オクチルピロール、3−オクチルピロール、1−ドデシルピロール、3−ドデシルピロール、1−エチルピロール、3−ヘプチルピロール、1−オクタデシルピロール、1−フェニルピロール、3−ヘキシルピロール、1−ヘキシルピロール等のピロール誘導体;N−ドデシルアニリン、4−オクチルアニリン、4−ヘキシルアニリン等のアニリン誘導体;3−メチルフラン、3−オクチルフラン、3−ドデシルフラン等のフラン誘導体;4−ヘキシルフェニルアセチレン、ヘキシルメチルアセチレン、トリデシルアセチレン、テトラデシルアセチレン等のアセチレン誘導体が挙げられ、これらを1種以上使用できる。
粒子形成後、粒子表面を疎水化する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(2−1)高分子吸着を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
(2−2)グラフト反応を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
(2−3)グラフト重合を用いることにより、粒子表面の少なくとも一部に疎水性領域を導入する方法。
以下具体的に説明する。
この方法は、具体的には、着色粒子の存在下、高分子を添加し、粒子の表面に高分子を吸着させる方法(方法(i))、又は着色粒子の存在下、モノマーを重合し、生成した高分子を、着色粒子の表面に吸着させる方法(方法(ii))が挙げられる。
方法(i)では、エタノール、アセトン等の有機溶媒に分散させた粒子に、トルエン、ウンデカン等の有機溶媒に溶解させた高分子を添加することにより、高分子を着色粒子の表面に吸着させる方法である。吸着を促進させるために、粒子を分散させた有機溶媒よりもSP値が小さい有機溶媒に吸着させる高分子を溶解させ添加する必要があり、さらに、高分子を溶解させた有機溶媒を添加後に、粒子を分散していたSP値が大きい有機溶媒を除去することにより、より強固に粒子表面に高分子を吸着させることができる。
方法(i)で用いられる高分子としては、例えば、ポリメタクリル酸ドデシル、ポリアクリル酸2−エチルへキシル等のポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、イソプレン、ブタジエン等のジエン化合物の重合体及びその水添物、アルキルビニルエーテルの重合体、α−オレフィンとアルキルビニルエーテルとの共重合体、及びα−オレフィンとジエン化合物との共重合体等が挙げられる。
用いられる高分子の量は、粒子100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。
用いられる高分子の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、好ましくは、1,000,000以下である。
方法(ii)では、粒子をエタノール等の有機溶媒中に分散させた状態で、重合性モノマーを重合させ、生成した高分子が粒子表面に吸着する方法である。
方法(ii)で用いられる重合性モノマーとしては、後述の疎水性側鎖を有するモノマー(C)として用いられる重合性モノマーが挙げられる。
用いられる重合性モノマーの量は、方法(i)と同様である。
なお、方法(i)及び(ii)で用いられる高分子、重合性モノマーの量は、使用量であって、実際に粒子の表面に対して吸着する量とは必ずしも一致しない。
具体的には、前処理として、表面にあらかじめ水酸基などの反応性官能基を導入しておき、その後、該反応性官能基と反応性を有するシランカップリング剤などの疎水性側鎖を有する化合物をエタノールなどの溶媒中でグラフト反応させる方法が好ましい。
分散安定剤の使用量は、反応系中の濃度が例えば0.1〜10質量%となるような範囲で使用される。
これら化合物の使用量は、π共役形成性モノマー(A)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
一段の場合には、例えば、上記方法(a)〜(c)などの方法により反応性官能基が導入された表面に対して、シランカップリング剤を反応させる。
これらのシランカップリング剤(S1)のうちでは、アルキル鎖の炭素数が8以上のものが好ましく、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルドデシルトリクロロシランなどが好ましく使用される。
これらのシランカップリング剤(S2)のうちでは、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリメトキシシランなどが好ましく、特に、フッ素化アルキル鎖の炭素数が3以上のものが好ましい。
グリシジル基を有するシランカップリング剤(S3)としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシランなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
アルキルアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミンなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
具体的には、前処理として表面にあらかじめ水酸基などの反応性官能基を導入しておき、その後、重合性官能基を有するシランカップリング剤(S4)をエタノールなどの溶媒中で反応させ、次に、表面に導入された重合性官能基を起点として、疎水性側鎖を有するモノマー(C)をトルエンなどの溶媒中でグラフト重合させる方法が好ましい。
シランカップリング剤(S4)の有する重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基が挙げられ、重合反応性が高い点から、例えば(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなど、ビニル基を有するシランカップリング剤(S4)が好ましい。シランカップリング剤(S4)は1種以上を使用できる。
長鎖アルキル基を有する重合性モノマー(C1)としては、例えば、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸アラキル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ヘプタシル、アクリル酸ノナシル、アクリル酸ドテリアシル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸ノナデシル、メタクリル酸アラキル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ヘプタシル、メタクリル酸ノナシル、メタクリル酸ドデリアシルなどの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、これらを1種以上使用できる。なかでも、例えばアクリル酸ステアリルなどの炭素数8以上のアルキル基を有するものが好ましい。
具体的な着色粒子の形態としては、上述したような単一構造、複合構造(コアシェル構造)が挙げられる。コアは複数層から形成されていてもよい。
また、コアシェル構造において、コアとシェルとが全く同じ組成であってもよい。
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルペンテン等のオレフィン類及びその誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;フッ化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フタル酸等のジカルボン酸類;ジアミン類;ジアリルフタレート;ベンゾグアナミン;トリアリルイソシアネート等の重合性モノマー用いた重合体が挙げられる。これらの重合性モノマーは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明のEW素子用インクに含まれる着色粒子をコアシェル構造とする場合には、コアを成す粒子の存在下で、シェルを構成するπ共役形成性モノマー(A)を界面析出重合、界面重合、界面グラフト重合等で重合するとともに、上述(1)又は(2)の方法などにより、π共役形成性モノマー(A)の重合時あるいは重合後に、疎水化を行えばよい。
金属の具体例としては、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、珪素、ゲルマニウム、錫などが挙げられる。合金の具体例としては、ステンレス、半田などが挙げられる。酸化物、窒化物、炭化物の具体例としては、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン(チタンブラック)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化(インジウム−錫)、酸化(亜鉛−アルミニウム)、酸化(亜鉛−ガリウム)、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられる。
なかでも、本発明の粒子が黒色である場合には、金属化合物として、チタンブラック、酸化鉄、炭化珪素が好ましい。
ここで着色粒子の比重が2を超えると、溶媒中での着色粒子の分散安定性が劣る。また、着色粒子の比重が2以下であると、溶媒中での着色粒子の分散安定性がより優れる。着色粒子の比重の好ましい下限値は、溶媒の比重などに応じて決定され、例えば、溶媒の比重と同じ値である。
着色粒子の平均粒径は、分散性の観点からは20〜80nmが好ましく、また、インクの隠蔽性の観点からは、80nm〜300nmが好ましい。
分散性及び隠蔽性のバランスを考慮すると、着色粒子の平均粒径は、30〜160nmであることが好ましく、30〜120nmであることがより好ましく、60〜120nmであることがさらに好ましい。
例えば、着色粒子がコアシェル構造である場合には、例えばコア(例えばポリスチレンなど。)の製造時に、電荷を有するモノマー(例えばパラスチレンスルホン酸ナトリウムなど。)を併用し、その量を調整したり、重合開始剤の量を調整したりするなどして、コアの粒径を調整する方法が挙げられる。
また、平均粒径は、CV値(粒径の変動係数)が15%以下となり、粒子同士の凝集が抑制されている、いわゆる単分散の条件下で測定されることが好ましい。CV値は、例えば測定時に粒子を分散させる溶媒の種類により変動する。そのため、CV値が最も小さくなるような溶媒に着色粒子を分散させて、粒径測定を行うことが好ましい。CV値は下記式により算出される。
粒径分布の標準偏差÷平均粒径×100
着色粒子(好ましくは黒色粒子)および溶媒の比重は、着色粒子(好ましくは黒色粒子)の比重の方が溶媒よりも大きく、かつ、その差が1.0以下であることが好ましい。
また、EW素子用インクは、粘度が高いと動作速度が低下するため、動作温度範囲における粘度は、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下である。
また、EW素子用インクにおける溶媒の含有量は、50〜95質量%であることが好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
前記高エネルギー液体としては、そのSP値が14以上であり、かつ、前記低エネルギー液体としては、そのSP値が9以下であることが好ましい。
本発明のエレクトロウェッティングデバイスとしては、例えば、図示のようなEWD100を構成すればよい。高表面エネルギー液体としては、例えば、水、電解質水溶液、イオン性液体、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類などの1種以上を採用できる。
高表面エネルギー液体の表面エネルギー値は、低表面エネルギー液体との混合を抑制する観点から、好ましくは45mJ/m2以上、より好ましくは55mJ/m2以上、さらに好ましくは65mJ/m2以上である。また、高表面エネルギー液体の好適な融点および沸点の範囲とその設定理由は、低表面エネルギー液体(EW素子用インク)についての記載と同様である。高表面エネルギー液体には、表面エネルギーを高めたり、融点や沸点を調整したりするために、添加剤やイオン等を加えてもよい。
[製造例1]
次のようにして、コアがポリスチレン、シェルがポリピロールからなるコアシェル構造の着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、スチレン(和光純薬製)52g、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.4g、重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.25g、蒸留水500gを秤量した後、200r.p.m.で攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリスチレン粒子が分散した分散液[1]を得た。
この分散液[1]のポリスチレン粒子について、動的光散乱粒度分布計(PSS・NICOMP PARTICLE SIZING SYSTEMS社NICOMP 380ZLS)により、粒径を測定したこところ、平均粒径110nmであった。
ついで、ピロール(和光純薬製)4gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[1]を含む分散液を得た。
先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、着色粒子[1]の粒径を測定したところ、平均粒径160nmであった。
得られた1質量%着色粒子[1]のエタノール分散液50gを100mL容ビーカーに秤量し、ドデシルトリエチルシランを1g添加し、スターラーにて12時間攪拌した。遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を2回繰り返し、次いで、遠心分離およびウンデカンによる超音波分散を2回行い、着色粒子[1]のウンデカン分散液を得た。
得られたウンデカン分散液中の着色粒子[1]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、1.63g/cm3であった。
上記製造例1のコアの製造において、添加したパラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)の添加量を0.2gに変更し、重合開始剤として添加した過硫酸カリウム(和光純薬製)の添加量を0.1gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、ポリスチレン粒子の分散液[2]を得た。
この分散液[2]のポリスチレン粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により粒径を測定したこところ、平均粒径242nmであった。
ついで、製造例1と同様の操作を行ってシェルを形成し、黒色の着色粒子[2]の分散液を得た。
先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計にて着色粒子[2]の粒径を測定したところ、平均粒径355nmであった。
さらに、製造例1と同様の操作を行って、着色粒子[2]のウンデカン分散液を得た。
得られたウンデカン分散液中の着色粒子[2]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、1.63g/cm3であった。
次のようにして、コアがポリピロール、シェルがチタニアからなるコアシェル構造の有機物と無機物との複合着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、ピロール(和光純薬製)5g、分散安定剤としてポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)0.5g、蒸留水400gを秤量し、窒素雰囲気下、室温にて、100rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gを蒸留水100gに溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリピロール粒子がエタノールに分散した分散液[3]を得た。
この分散液[3]のポリピロール粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により粒径を測定したところ、平均粒径120nmであった。
ついで、チタンイソプロポキシド(和光純薬製)20gをエタノール50gにて希釈させ、上記混合液中へ10時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、反応させることにより、ポリピロールコア/チタニアシェルを有する黒色の着色粒子[3]を含む分散液を得た。
先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、着色粒子[3]の粒径を測定したところ、平均粒径150nmであった。
得られた1重量%着色粒子[3]のエタノール分散液50gを100mL容ビーカーに秤量し、ドデシルトリエチルシランを1g添加し、スターラーにて12時間攪拌した。遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を2回繰り返し、次いで、遠心分離およびウンデカンによる超音波分散を2回行い、着色粒子[3]のウンデカン分散液を得た。
得られたウンデカン分散液中の着色粒子[3]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、2.90g/cm3であった。
製造例1で得られた着色粒子[1]のウンデカン分散液について、着色粒子[1]のウンデカン中の濃度を20質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[1]を得た。
そして、黒色インク[1]について、下記の方法により、分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
(分散安定性)
外径14mm、容量10mlの有栓メスシリンダーに、黒いインク[1]を10ml入れ、室温にて1週間放置し、上澄みの発生状態を目視で観察し、次の基準で評価した。
A=上澄みが発生しなかった。
B=明らかに上澄みが発生した。
(隠蔽力)
スペーサを用いて2枚のガラス板のギャップが10μmの3cm×4cmのセルを作製し、黒色インク[1]をセルに充填した後に、隠蔽率測定紙(TP技研株式会社)上に、その白色と黒色との境目を覆うようにしてセルを置き、次の基準で目視により評価した。
A:セルにより完全に隠蔽され、白色と黒色の境目が確認できない。
B:セルを通して白色と黒色の境目が確認できる。
製造例2で得られた着色粒子[2]のウンデカン分散液について、着色粒子[2]のウンデカン中の濃度を20質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[2]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
製造例3で得られた着色粒子[3]のウンデカン分散液について、着色粒子[3]のウンデカン中の濃度を20質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[3]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
製造例1で得られた着色粒子[1]のウンデカン分散液について、着色粒子[1]のウンデカン中の濃度を1質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[4]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
製造例1で得られた着色粒子[1]のウンデカン分散液について、着色粒子[1]のウンデカン中の濃度を60質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[5]を得た。そして、実施例1と同様の方法により、その分散安定性と隠蔽力を評価した。結果を表1に示す。
次に、表面が疎水化されているポリピロールからなる黒色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、ピロール(和光純薬製)4g、蒸留水250g、分散安定剤として5質量%ポリビニルアルコール(GL03,日本合成社製)水溶液100g、5質量%ラウリル硫酸アンモニウム(花王製)水溶液50gを秤量し、200rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後室温で12時間攪拌することで、ポリピロールからなる黒色粒子[1]を含む分散液を得た。
得られた1質量%黒色粒子[1]のエタノール分散液200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、ドデシルトリエトキシシラン(東京化成製)を0.2g、28%アンモニア水溶液(和光純薬製)を1g添加し、12時間攪拌することで、表面が疎水化されている黒色粒子[1−1]を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[1−1]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[1B]を得た。
なお、得られたトルエン分散液中の黒色粒子[1−1]を乾燥し、真比重測定器(島津製作所製、アキュピック)にて比重を測定したところ、1.69g/cm3であった。
このことから、黒色粒子[1−1]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
以上の結果から、トルエン分散液[1A]、オクタン分散液[1B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
次のようにして、コアがポリスチレン、シェルがポリピロールからなり、表面が疎水化されているコアシェル構造の黒色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、スチレン(和光純薬製)52g、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.4g、重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.25g、蒸留水500gを秤量した後、200r.p.m.で攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリスチレン粒子が分散した分散液[2]を得た。
ついで、ピロール(和光純薬製)4gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色粒子[2]を含む分散液を得た。
得られた1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、ドデシルトリエトキシシランを0.2g添加し、12時間攪拌することで、表面が疎水化されている黒色粒子[2−1]を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[2−1]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[2B]を得た。
このことから、黒色粒子[2−1]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
以上の結果から、トルエン分散液[2A]、オクタン分散液[2B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
また、黒色粒子[2−1]の比重も実施例1と同様に測定したところ、1.59g/cm3であった。
ドデシルトリエトキシシラン0.2gの代わりに、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン(Gelest社製)0.2gを使用した以外は、実施例2と同様にして、表面が疎水化されている黒色粒子[2−2]を得た。
ここで、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、黒色粒子[2−2]の粒径を測定したところ、平均粒径150nm、CV値12%であった。
その後、実施例3と同様の操作を行って、表面が疎水化されている黒色粒子[2−2]のトルエン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[3A]と、表面が疎水化されている黒色粒子[2−2]のオクタン分散液(エレクトロウェッティング素子用インク)[3B]を得た。
このことから、黒色粒子[2−2]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
以上の結果から、トルエン分散液[3A]、オクタン分散液[3B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
実施例2と同様の操作を行って、1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)を得た。
得られた1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)200gを500mL容セパラブルフラスコに秤量し、(3−メタクリロキシプロピル)トリメトキシシランを0.2g添加し、12時間攪拌することで、表面に重合性官能基が導入された黒色粒子[2’]を得た。
ついで、遠心分離および1質量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液を得た。
このことから、黒色粒子[2’−1]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
以上の結果から、トルエン分散液[4A]、オクタン分散液[4B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
実施例5と同様の操作を行って、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液を得た。
1000mL容セパラブルフラスコに、1質量%黒色粒子[2’]のエタノール分散液200gを秤量し、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、アクリル酸2−エチルヘキシル(東京化成製)1gと、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート(ユニマテック(株)製)を1g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、蒸留水1gに過硫酸アンモニウム0.02gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面が疎水化されている黒色粒子[2’−2]を得た。
このことから、黒色粒子[2’−2]は、トルエン中、オクタン中で良好に単分散していることがわかる。
以上の結果から、トルエン分散液[5A]、オクタン分散液[5B]のいずれも、エレクトロウェッティング素子用インクとして好適に使用できる。
実施例2と同様の操作を行って、1質量%黒色粒子[1]のエタノール分散液を得た。
次いで、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を2回行い、表面が疎水化されていない黒色粒子のトルエン分散液を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されていない黒色粒子のオクタン分散液を得た。
そして、これら2種のエレクトロウェッティング素子用インクについて、実施例2と同様にして、300時間静置前後の平均粒径、CV値を測定し、評価した。結果を表2に示す。
実施例3と同様の操作を行って、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色粒子[2]を含む分散液を得た。
ついで、黒色粒子[2]を含む分散液について、遠心分離とエタノール溶液よる超音波分散を2回繰り返し、1質量%黒色粒子[2]のエタノール分散液(L)を得た。
次いで、遠心分離およびトルエンによる超音波分散を2回行い、表面が疎水化されていない黒色粒子のトルエン分散液を得た。
また、トルエンの代わりにオクタンを用いた以外は同様にして、表面が疎水化されていない黒色粒子のオクタン分散液を得た。
そして、これら2種のエレクトロウェッティング素子用インクについて、実施例2と同様にして、300時間静置前後の平均粒径、CV値を測定し、評価した。結果を表2に示す。
次のようにして、PEDOTの単一粒子で形成された着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、3,4−エチレンジオキシチオフェン(東京化成製)5g、分散安定剤としてポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)5g、蒸留水400gを秤量し、窒素雰囲気下、室温にて、100rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gを蒸留水100gに溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、PEDOT粒子[6]がエタノールに分散した分散液[6A]を得た。この分散液[6A]のPEDOT粒子について、動的光散乱粒度分布計(PSS・NICOMP PARTICLE SIZING SYSTEMS社NICOMP 380ZLS)により、粒径を測定したこところ、平均粒径30nmであった。
次のようにして、ポリピロールの単一粒子で形成された着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、ピロール(和光純薬製)4g、分散安定剤としてポリビニルピロリドン(K30、和光純薬製)5g、蒸留水400gを秤量し、窒素雰囲気下、室温にて、100rpmで攪拌した。
ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)7.0gを蒸留水100gに溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間攪拌し、重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、ポリピロール粒子[7]がエタノールに分散した分散液[7A]を得た。この分散液[7A]のポリピロール粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径60nmであった。
ついで、1000mL容セパラブルフラスコに、1重量%に調整した上述のエタノール分散液[7B]200gを入れ、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、メタクリル酸ドデシル(東京化成製)を5g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、エタノール1gに過硫酸アンモニウム0.2gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面を疎水化した。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、表面が疎水化されたポリピロール粒子[7−2]がウンデカンに分散した分散液[7C]を得た。
次のようにして、ポリピロールの単一粒子で形成された着色粒子を製造した。
上記実施例8のポリピロール粒子の製造において、使用した過硫酸アンモニウムの量を10.0gに変更した以外は、実施例8と同様の操作を行い、ポリピロール粒子[8]がエタノールに分散した分散液[8A]を得た。この分散液[8A]のポリピロール粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径80nmであった。
次のようにして、コアがポリスチレン、シェルがポリピロールからなるコアシェル構造の着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、スチレン(和光純薬製)40g、パラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)0.4g、重合開始剤として過硫酸カリウム(和光純薬製)0.3g、蒸留水500gを秤量した後、200r.p.m.で攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、コアとなるポリスチレン粒子が分散した分散液[9A]を得た。
この分散液[9A]のポリスチレン粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したこところ、平均粒径80nmであった。
ついで、ピロール(和光純薬製)2gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)6.8gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[9]を含む分散液を得た。
得られた着色微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がエタノールに分散した分散液[9C]を得た。この分散液[9C]の着色粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径120nmであった。
ついで、1000mL容セパラブルフラスコに、1重量%に調整した上述のエタノール分散液[9D]200gを入れ、セパラブルカバー、攪拌翼を取り付け、窒素雰囲気下で撹拌を行った。そして、トルエン200g、メタクリル酸ドデシル(東京化成製)を5g添加した後に、加熱した。70℃に達した時点で、エタノール1gに過硫酸アンモニウム0.2gを溶解させた溶液を加え、70℃で3時間保持して重合反応を行うことで、表面を疎水化した。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[9−1]がウンデカンに分散した分散液[9E]を得た。
次のようにして、カーボンブラックとポリスチレンとの複合粒子で形成された黒色粒子を得た。
カーボンブラック10g、ドデシル硫酸ナトリウムの3gを110gの水に加えた後、15分間超音波照射を行い顔料分散液[10A]を得た。
得られたカーボンブラック/ポリスチレン複合粒子について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離および1重量%ラウリル硫酸アンモニウム・エタノール溶液を用いた超音波分散を1回行い、カーボンブラック/ポリスチレン複合粒子[10]がエタノールに分散した分散液[10B]を得た。この分散液[10B]のカーボンブラック/ポリスチレン複合粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径280nmであった。
実施例8で得られた着色粒子[7−2]のウンデカン分散液について、着色粒子[7−2]のウンデカン中の濃度を45質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[11A]を得た。
実施例10の疎水化処理において、メタクリル酸ドデシルの代わりにメタクリル酸オクチル(東京化成製)を用いたこと以外は実施例10と同様の方法により、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子の表面を疎水化した。その後、遠心分離および溶媒置換を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がウンデカンに分散した分散液[12A]を得た。さらに、分散液を20質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[12B]を得た。
実施例10のポリスチレンコアの製造において、モノマーとして添加したスチレン(和光純薬製)の添加量を60gに変更し、添加したパラスチレンスルホン酸ナトリウム(和光純薬製)の添加量を0.2gに変更し、重合開始剤として添加した過硫酸カリウム(和光純薬製)の添加量を0.1gとした以外は、実施例10と同様の操作を行い、ポリスチレン粒子の分散液[13A]を得た。
この分散液[13A]のポリスチレン粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により粒径を測定したこところ、平均粒径275nmであった。
ついで、実施例10のポリピロールシェルの製造において、モノマーとして添加したピロール(和光純薬製)の添加量を10g、重合開始剤として添加した過硫酸アンモニウム(和光純薬製)の添加量を33.7gとした以外は、実施例10と同様の操作を行ってシェルを形成し、黒色の着色粒子[13]の分散液を得た。
得られた着色微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がエタノールに分散した分散液[13B]を得た。この分散液[13B]の着色粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径320nmであった。
次のようにして、コアがシリカ、シェルがポリピロールからなるコアシェル構造の着色粒子を製造した。
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた500mL容のセパラブルフラスコに、エタノール(和光純薬製)150g、28%アンモニア水(和光純薬製)8g、蒸留水50gを秤量した後、400r.p.m.で攪拌し、テトラエトキシシラン5gを滴下して加え、12時間室温で反応を行った。
得られたシリカ微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を2回繰り返し、洗浄を行い、コアとなるシリカ粒子が分散した分散液[14A]を得た。
この分散液[14A]のシリカ粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したこところ、平均粒径255nmであった。
ついで、ピロール(和光純薬製)4gを添加した後、60℃に昇温した。ついで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(和光純薬製)13.5gをイオン交換水100gにて溶解させ、上記混合液中へ5時間かけて滴下した。滴下終了後更に8時間加熱攪拌させた後、冷却して反応を停止することにより、シリカコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子[14]を含む分散液を得た。
得られた着色微粒子水分散液について、遠心分離および蒸留水を用いた超音波分散を1回、遠心分離およびエタノールを用いた超音波分散を1回行い、未反応モノマー、開始剤等の除去・洗浄を行い、シリカコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がエタノールに分散した分散液[14C]を得た。この分散液[14C]の着色粒子について、先に使用したものと同じ動的光散乱粒度分布計により、粒径を測定したところ、平均粒径280nmであった。
実施例8で得られた着色粒子[7−2]のウンデカン分散液について、着色粒子[7−2]のウンデカン中の濃度を55質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[15A]を得た。
実施例9で得られた着色粒子[8]のウンデカン分散液について、着色粒子[8]のウンデカン中の濃度を55質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[16A]を得た。
実施例11で得られた着色粒子[10]のウンデカン分散液について、着色粒子[10]のウンデカン中の濃度を3質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[17A]を得た。
実施例10で得られた着色粒子[9−1]のウンデカン分散液について、着色粒子[9−1]のウンデカン中の濃度を4質量%となるように調製し、EW素子用インクとして黒色インク[18A]を得た。
実施例10において、疎水処理後の溶媒置換に、アセトンを用いたこと以外は実施例10と同様の方法により、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がアセトンに分散した分散液[19A]を得た。さらに、分散液を4質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[19B]を得た。
実施例10の疎水化処理において、メタクリル酸ドデシルの代わりにメタクリル酸メチル(東京化成製)を用いたこと以外は同様の方法により、ポリスチレンコア/ポリピロールシェルを有する黒色の着色粒子がウンデカンに分散した分散液[20A]を得た。さらに、分散液を4質量%となるように調整し、EW素子用インクとして黒色インク[20B]を得た。
EW素子用インクの分散安定性を評価するにあたり、まず、外径14mm、容量10mlの有栓メスシリンダーに、黒いインクを10ml入れ、室温にて1週間放置し、上澄みの発生状態を目視で観察した。さらに、上澄みが発生しなかったインクに関して、10,000rpmで遠心分離を15分間行い、上澄みの状態を目視で観察した。
EWD素子用インクの分散安定性は、以下の基準により評価した。
A:1週間静置で上澄み発生しなかった。さらに、10,000rpmで遠心分離処理を15分行っても、上澄みが着色していた。
B:1週間静置で上澄み発生しなかった。しかし、10,000rpmで遠心分離処理を15分行うと、上澄みは透明であった。
C:明らかに上澄みが発生した。
2.隠蔽性の評価
EW素子用インクを2500倍に希釈し、紫外可視分光光度計で1cmの石英セルを用いて吸光度を測定し、以下の基準によりインクの隠蔽性を評価した。
A:1.0以上
B:0.2以上1.0未満
C:0.2未満
3.EWD駆動性の評価
低エネルギー液体としてEW素子用インクを、高エネルギー液体として水を用いてテストセルを作製し、インクの駆動性を光学顕微鏡で観察した。駆動は、ファンクションジェネレーターと増幅器を用いて、20Vppの矩形波を用いて、周波数0.5Hzで行った。
以下の基準によりEWD駆動性を評価した。
A:EW素子用インクが駆動し、画像ムラが見られず、画像コントラストも良好であり、EW素子用インクがスムーズに駆動している様子が確認できた。
B:EW素子用インクが駆動しない、画素ムラが見られる、画像コントラストが悪い、などの理由のために、EW素子用インクがスムーズに駆動している様子が確認できなかった。
一方、表3に記載の通り、比較例7に記載のEW素子用インクは、着色粒子の粒径が大きいために、EWD駆動性が悪くなり、顕微鏡で観察した際に、画像ムラが見られた。比較例8〜10に記載のEW素子用インクは、インクの分散性が悪く、沈降した着色粒子の影響で、画像ムラが見られた。比較例11〜12に記載のEW素子用インクは、インクの隠蔽性が低いために、画像コントラストが悪く、駆動の確認が困難であった。また、比較例13に記載のEW素子用インクは、低エネルギー液体と高エネルギー液体が混和したため、EWDは駆動しなかった。
100 EWD
Claims (9)
- 着色粒子と溶媒とを含み、
前記着色粒子は、π共役化合物を主成分とする外層と、外層よりも内側の部分の核とを有するコアシェル構造であり、比重が2以下、平均粒径が20〜300nmであり、
前記着色粒子の含有量は、5〜50質量%であることを特徴とするエレクトロウェッティング素子用インク。 - 前記着色粒子の平均粒径が60〜120nmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
- 前記溶媒のSP値が9以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
- 前記着色粒子の表面が疎水処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
- 前記着色粒子が黒色粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
- 前記着色粒子の比重が1.7以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インク。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インクを用いたことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
- 対向配置される第1の基板及び第2の基板間に形成されたセル内に、互いが混ざり合わない第1の液体材料(高エネルギー液体)と、前記第1の液体材料に対して表面エネルギーの低い第2の液体材料(低エネルギー液体)として請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレクトロウェッティング素子用インクとを含むことを特徴とするエレクトロウェッティングデバイス。
- 前記高エネルギー液体のSP値が14以上であり、かつ、前記低エネルギー液体のSP値が9以下であることを特徴とする請求項8に記載のエレクトロウェッティングデバイス。
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