JP6102049B2 - 小便器 - Google Patents

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Description

本発明は、小便器に係り、特に、吐水装置(スプレッダ)から吐水された洗浄水によりボウル部を洗浄する小便器に関する。
近年、小便器の吐水装置(スプレッダ)は、意匠性の良さからコンパクトなものが普及している。
その一方で、吐水装置に、小便器のボウル面を広範囲に亘って洗浄できる性能が求められている。
従来から、例えば、特許文献1に記載されたような、洗浄ノズルにおいて、側方への吐出口と、下方への吐出口との複数の吐出口が形成され、切り換え弁が同じ所定の流量の洗浄水が吐出される複数の吐出口を切り替えるものが知られている。
また、特許文献2に記載されたような、洗浄用ノズル頭部において、第1の放水流路と、第1の放水流路と吐水範囲の異なる第2の放水流路とが形成され、共通する1つの供給流路から、単位面積あたりの瞬間流量が同じ洗浄水が第1の放水流路と第2の放水流路とに供給されるものが知られている。
特開2004−150013号公報 特開平8−239889号公報
しかしながら、小便器においては、陰毛等の異物除去等の設備保護洗浄のために高い瞬間流量で洗浄水を吐水しなければならないという要請もある。
このような要請に基づき、従来のコンパクトな吐水装置を用いて、ボウル面の広範囲に高い瞬間流量で吐水するとき、吐水された洗浄水の一部がボウル面の外へ飛び出すという問題が生じている。
さらに、ボウル部の左右両端に設けられた従来の側壁を有していない小便器、すなわち、ボウル部の正面が連続した曲面により形成されているような小便器において、吐水装置がボウル面の広範囲に高い瞬間流量で吐水するときには、さらに、吐水された洗浄水の一部がボウル面の外へ飛び出しやすいという問題が生じている。
また、吐水装置に、複数の吐水口を設けて吐水を調整しようとする場合には、複数の吐水口を設けるため吐水装置が大型化してしまうという問題が生じている。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、一つの吐水開口部に、低瞬間流量かつ高速の洗浄水を供給する第1吐水モードと、高瞬間流量かつ低速の洗浄水を供給する第2吐水モードと、により洗浄水を供給することができ、吐水開口部から吐水された洗浄水が、ボウル部の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、効果的に洗浄を行うことができる小便器を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、洗浄水によりボウル部を洗浄する小便器であって、小便を受けるボウル部と、ボウル部内の上方領域に設けられてボウル部へ洗浄水を吐水する吐水装置と、を有し、吐水装置は、自身の下部から左右方向まで開口する一つの吐水開口部と、吐水開口部内に洗浄水を供給する供給通路と、吐水開口部の内部に設けられ、供給通路から供給された洗浄水が衝突して左右に広がることができるように形成されている衝突壁と、を備え、供給通路から低瞬間流量かつ高速の洗浄水を供給する第1吐水モードと、供給通路から高瞬間流量かつ低速の洗浄水を供給する第2吐水モードと、のうちいずれか一方を実行するようになっていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、第1吐水モードにおいては、供給通路から供給された低瞬間流量かつ高速の洗浄水が衝突壁に衝突し、高速の洗浄水が衝突壁に衝突することにより、低瞬間流量の洗浄水が一つの吐水開口部からボウル部の左右領域まで広範囲に広がるように吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル部の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、ボウル部の左右領域まで広範囲にわたって洗浄することができる。第2吐水モードにおいては、供給通路から供給された高瞬間流量かつ低速の洗浄水が衝突壁に衝突し、低速の洗浄水が衝突壁に衝突することにより、高瞬間流量の洗浄水が一つの吐水開口部からボウル部の比較的狭い中央領域に向けて吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル部の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、小便器の排水配管の尿の排出及び陰毛等の異物を除去することができ、小便器の排水配管の設備保護洗浄をすることができる。
従って、小便器を効果的に洗浄することができる。
本発明において、好ましくは、吐水開口部は、ボウル部のボウル面に対する傾斜角が5度〜25度の範囲内に形成されている。
このように構成された本発明においては、吐水開口部から吐水された洗浄水が、ボウル面から反射して跳ね返ることを抑制し、ボウル面に沿った膜状の流れを形成することができる。
本発明において、好ましくは、吐水装置の供給通路は、吐水開口部に洗浄水を供給する第1供給通路と、吐水開口部に洗浄水を供給する第2供給通路と、を備え、さらに、給水源からの洗浄水を供給する主流路と、第1供給通路に洗浄水を供給する第1給水通路と、第2供給通路に洗浄水を供給する第2給水通路と、第1給水通路に設けられ、第1給水通路の洗浄水の瞬間流量を調整する第1流量調整手段と、第2給水通路に設けられ、第1給水通路の洗浄水の瞬間流量よりも低くなるように、第2給水通路の洗浄水の瞬間流量を調整する第2流量調整手段と、第1吐水モードと第2吐水モードとのうちいずれか一方を実行できるように、主流路からの洗浄水を第1給水通路及び第2給水通路のいずれか一方に供給できる切替手段とを備え、第2供給通路及び第2給水通路の少なくともいずれかの箇所の流路断面積が、第1供給通路及び第1給水通路の流路断面積よりも小さく形成されている。
このように構成された本発明においては、第1吐水モードにおいては、第2供給通路から供給された低瞬間流量かつ高速の洗浄水が衝突壁に衝突し、高速の洗浄水が衝突壁に衝突することにより、低瞬間流量の洗浄水が一つの吐水開口部からボウル部の左右領域まで広範囲に広がるように吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル部の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、ボウル部の左右領域まで広範囲にわたって洗浄することができる。第2吐水モードにおいては、第1供給通路から供給された高瞬間流量かつ低速の洗浄水が衝突壁に衝突し、低速の洗浄水が衝突壁に衝突することにより、高瞬間流量の洗浄水が一つの吐水開口部からボウル部の比較的狭い中央領域に向けて吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル部の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、小便器の排水配管の尿の排出及び陰毛等の異物を除去することができ、小便器の排水配管の設備保護洗浄をすることができる。従って、小便器を効果的に洗浄することができる。
本発明において、好ましくは、吐水装置は、さらに、供給通路の流路断面積を変更可能な断面積変更手段を備え、さらに、給水源からの洗浄水を供給する給水通路と、給水通路に設けられ、給水通路の洗浄水の瞬間流量を、低瞬間流量と高瞬間流量とに切替えることができる流量切替手段と、を備え、第1吐水モードにおいては、流量切替手段が給水通路の洗浄水を低瞬間流量に切替え、断面積変更手段が供給通路の断面積を比較的小さく変更して、供給通路の洗浄水の流速を比較的高速にさせ、第2吐水モードにおいては、流量切替機構が給水通路の洗浄水を高瞬間流量に切替え、断面積変更手段が供給通路の断面積を比較的大きく変更して、供給通路の洗浄水の流速を比較的低速にさせる。
このように構成された本発明においては、第1吐水モードにおいては、流量切替手段が給水通路の洗浄水を低瞬間流量にさせ、断面積変更手段が供給通路の洗浄水の流速を比較的高速にさせることができ、共通の給水通路及び供給通路を利用して、比較的簡単な構造により、供給通路内の洗浄水を低瞬間流量かつ高速にできる。第2吐水モードにおいては、流量切替機構が給水通路の洗浄水を高瞬間流量にさせ、断面積変更手段が供給通路の洗浄水の流速を比較的低速にさせることができ、供給通路内の洗浄水を高瞬間流量かつ低速にできる。従って、共通の給水通路及び供給通路を利用して、比較的簡単な構造により、第1吐水モードと第2吐水モードとのうちいずれか一方を実行することができる。
本発明において、好ましくは、さらに、使用者が小便器を使用したときに第1吐水モードを実行し、使用者が小便器を使用したときとは別に、所定時間が経過する毎に第2吐水モードを実行するように制御する制御部を備えている。
このように構成された本発明においては、制御部は、使用者が小便器を使用したときに第1吐水モードを実行し、ボウル部の左右領域まで広範囲にわたって洗浄する小便器洗浄を行うことができる。また、制御部は、使用者が小便器を使用したときとは別に、所定時間が経過する毎に第2吐水モードを実行させることができ、小便器の排水配管の尿の排出及び陰毛等の異物を除去することができ、小便器の排水配管の設備保護洗浄を行うことができる。
本発明の小便器によれば、一つの吐水開口部から吐水された洗浄水が、ボウル部の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、効果的に洗浄することができる。
本発明の実施形態による小便器を示す全体斜視図である。 図1の小便器の正面図である。 図1の小便器の側面図である。 図2のIV-IV線に沿って見た縦断面図である。 図1の小便器の平面図である。 本発明の実施形態による小便器のスプレッダを示す斜視図である。 本発明の実施形態による小便器のスプレッダをボウル面に取付けた状態を側方から示す概略図である。 本発明の実施形態による小便器のスプレッダをボウル面に取付けた状態を上方から示す概略図である。 図8のIX-IX線に沿って見た断面図である。 図7のX-X線に沿って見た断面図である。 本発明の実施形態による小便器の自動便器洗浄ユニットの流路の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態による小便器の自動便器洗浄ユニットの流路の構成の変形例を示す概略図である。
添付図面を参照して、本発明の実施形態による小便器を説明する。先ず、図1乃至図5により小便器の基本構造を説明する。図1は本発明の実施形態による小便器を示す全体斜視図であり、図2は図1の小便器の正面図であり、図3は図1の小便器の側面図であり、図4は図2のIV-IV線に沿って見た縦断面図であり、図5は図1の小便器の平面図である。
図1乃至図5に示すように、符号1は、本発明の実施形態による小便器を示し、この小便器1は、陶器製の小便器本体2と、この小便器本体2を洗浄するための自動便器洗浄ユニット4を備えている。小便器1は自身の最下部が床面から浮かされた状態となるように背後の壁面に沿って取付けられる壁掛け式の小便器であるが、小便器1は床面上に直接配置される床置き式の小便器であってもよい。
小便器1の小便器本体2は、上方端に上述した自動便器洗浄ユニット4を収納するための収納室6(図2及び図3に概略により図示され、他の図面においては省略する)と、この収納室6の前面7から下方に延びるボウル面8と、このボウル面8の底部に形成された排出口10とを備えている。
収納室6は、小便器本体2と別体である蓋3により形成されている。また、収納室6の前面7は、詳細は後述するように、後方に向かって傾斜して形成されている。また、排出口10には、目皿板12が配置されている。さらに、排出口10は、下流側に配置された排水トラップ管路(図示せず)及び排水配管(図示せず)に接続されている。
次に、図2乃至図12により、自動便器洗浄ユニット4について説明する。図6は本発明の実施形態による小便器のスプレッダを示す斜視図であり、図7は本発明の実施形態による小便器のスプレッダをボウル面に取付けた状態を側方から示す概略図であり、図8は本発明の実施形態による小便器のスプレッダをボウル面に取付けた状態を上方から示す概略図であり、図9は図8のIX-IX線に沿って見た断面図であり、図10は図7のX-X線に沿って見た断面図であり、図11は本発明の実施形態による小便器の自動便器洗浄ユニットの流路の構成を示す概略図であり、図12は本発明の実施形態による小便器の自動便器洗浄ユニットの流路の構成の変形例を示す概略図である。図7乃至図9のボウル面8は下部が後方側に向かって若干傾斜している状態である。
自動便器洗浄ユニット4は、水道等の給水源から洗浄水を供給する主給水管14と、
主給水管14から分岐される第1給水管16と、主給水管14から分岐される第2給水管18と、第1給水管16に設けられる第1流量調整装置20と、第1給水管16に取り付けられ給水の供給及び停止を行う第1開閉弁22と、第2給水管18に設けられる第2流量調整装置24と、第2給水管18に取り付けられ給水の供給及び停止を行う第2開閉弁26と、第1給水管16及び第2給水管18の先端に取り付けられた吐水部であるスプレッダ28と、使用者の有無を検知する人体検知センサ30と、人体検知センサ30からの検知信号及び所定の制御プログラム等に基づいて第1開閉弁22、第2開閉弁26等を制御することができる制御ユニット32と、を備えている。
自動便器洗浄ユニット4は、洗浄水を、1つの主給水管14から、互いに異なる瞬間流量及び流速の洗浄水を供給する第1給水管16及び第2給水管18を通過してボウル面8に供給させるようになっている。
第1流量調整装置20は、第1給水管16内を通過する洗浄水を適正な一定流量に調整することができる定流量弁である。第1流量調整装置20は、流量センサ等を使用して洗浄水を適正な流量に調整することができる他の装置により構成されてもよい。第1流量調整装置20は、制御ユニット32により制御されるように構成されてもよい。第1流量調整装置20は、後述する下流側の第1供給通路38に供給する洗浄水の瞬間流量を、比較的高い瞬間流量の範囲、例えば、8〜17L/minの範囲、好ましくは11〜13L/minの範囲に調整するようになっている。
第1開閉弁22は、制御ユニット32の制御信号により第1給水管16の流路を開閉する電磁弁である。第1開閉弁22は、給水の供給及び停止を行うことができる他の流路開閉装置により構成されてもよい。
第2流量調整装置24は、第2給水管18内を通過する洗浄水を適正な一定流量に調整することができる定流量弁である。第2流量調整装置24は、流量センサ等を使用して洗浄水を適正な流量に調整することができる他の装置により構成されてもよい。第2流量調整装置24は、制御ユニット32により制御されるように構成されてもよい。第2流量調整装置24は、後述する下流側の第2供給通路40に供給する洗浄水の瞬間流量を、比較的低い瞬間流量の範囲、例えば、2〜8L/minの範囲、好ましくは5〜7L/minの範囲に調整するようになっている。
第2開閉弁26は、制御ユニット32の制御信号により第2給水管18の流路を開閉する電磁弁である。第2開閉弁26は、給水の供給及び停止を行うことができる他の流路開閉装置により構成されてもよい。
上述した図11に示す本実施形態においては、自動便器洗浄ユニット4は、第1給水管16に取り付けられ給水の供給及び停止を行う第1開閉弁22と、第2給水管18に取り付けられ給水の供給及び停止を行う第2開閉弁26とを備え、制御ユニット32が第1開閉弁22を開閉して第1供給通路38への洗浄水の供給開始及び停止を制御し、第2開閉弁26を開閉して第2供給通路40への洗浄水の供給開始及び停止を制御している。
これに対し、本実施形態においては、自動便器洗浄ユニット4は、上述した第1開閉弁22及び第2開閉弁26に代えて、主給水管14と第1給水管16及び第2給水管18との分岐箇所に3方切換弁等の切換弁を設けるようにしてもよい。具体的には、主給水管14と第1給水管16及び第2給水管18との分岐箇所に設けられた切換弁を、制御ユニット32によって制御することにより、第1給水管16並びに第1供給通路38への洗浄水の供給開始及び停止、第2給水管18並びに第2供給通路40への洗浄水の供給開始及び停止、をそれぞれ独立して制御することができる。他の変形例として、自動便器洗浄ユニット4は、上述した第1開閉弁22及び第2開閉弁26に代えて、第1給水管16並びに第1供給通路38への洗浄水の供給開始及び停止、第2給水管18並びに第2供給通路40への洗浄水の供給開始及び停止、をそれぞれ独立して制御することができる他の弁構造及びこれらの組合せ構造を有していてもよい。
人体検知センサ30は、小便器1の前方の使用者の有無及び使用者までの距離を検知する赤外線式のセンサである。この人体検知センサ30により使用者が用を足して小便器1から所定距離離れたことを検知した場合に、制御ユニット32から操作信号が発信され、この操作信号により、第2開閉弁26が開となり、第2給水管18からスプレッダ28に洗浄水が供給され、小便器1のボウル面8が洗浄されるようになっている。なお、人体検知センサ30は、赤外線式のセンサに限定されず、隠蔽可能な電波式センサ(マイクロ波センサ)であっても良い。
制御ユニット32は、人体検知センサ30の使用者の有無の検知結果を受けて、第2開閉弁26を開閉させて小便洗浄動作(第1吐水モード)の制御を行う他、予め設定された所定時間、例えば2時間等の時間が経過するごとに、制御ユニット32から操作信号が発信され、この操作信号により、第1開閉弁22を開状態とする制御を行う。これにより、洗浄水が、第1給水管16からスプレッダ28に供給され、小便器1のボウル面8が洗浄され、排出口10の下流側に配置された排水トラップ(図示せず)及び排水管路(図示せず)内の雑菌の繁殖を抑制し、尿石等の付着を抑制する設備保護洗浄(第2吐水モード)を実行できるようになっている。
再び、図1乃至図5に戻り、小便器1の小便器本体2の詳細構造を説明する。先ず、図2及び図3に示すように、本実施形態による小便器1は、自動便器洗浄ユニット4が小便器本体2の上方端に形成された収納室6内に収納されたタイプの小便器である。本実施形態においては、このようなタイプの小便器1において、小便器本体2の収納室6の前面7がボウル面8と連続し且つ後方に向かって傾斜して形成されている。小便器本体2において、収納室6の前面7は、ボウル面8と一体構造となっている。さらに、収納室6の前面7は、ボウル面8の上方側と連続して形成され、さらに、後方に向かって傾斜して形成されている。ここで、収納室6の前面7とボウル面8の「連続」は、収納室6の前面7とボウル面8が、面一に、又は、ほぼ面一に形成されていることを意味している。また、完全な面一である必要はなく、例えば、小さな段差があってもよく、収納室6の前面からボウル面8へと流れる洗浄水が剥離することがなければ良い。
ボウル面8は、その上部から下部まで、前面が使用者に対向するように開いた円弧形状(アーチ形状)の正面部8aを有している。ボウル面8は、ボウル面8のうち、スプレッダ28が設けられている上方領域において、従来のようなボウル面から前方に壁状に突出する側面部が設けられておらず、正面部8aのみから形成されている。このような正面部8aは自身の曲面の接線の垂線が小便器本体2の前方に立っている使用者に向かう方向に延びるような前向きの曲面を形成している。
ボウル面8の正面部8aは、左右方向に連続した凹曲面で形成されている。この正面部8aは、使用者の胴体の曲面を受け入れやすいように使用者の胴体の曲面に沿うような湾曲面である。ボウル面8の正面部8aのみから形成されている上方領域は、平面視において、ボウル面8の左側端部8bから右側端部8cまで1つの曲率半径Rで描かれる1つの円弧(曲率半径Rが途中で概ね変化しないような1つの円弧であり、シングルRと称される円弧)に沿って形成され、その弧の中央部が後方側に配置されているシングルR領域8gを形成している。すなわち、シングルR領域8gにおいては曲面がほぼ単一の曲率半径Rを有するほぼ単一の円弧形状により形成されている。このシングルR領域8gにおいては、ボウル面8の上端8dから下方に向かうにつれて、円弧の曲率半径が徐々に減少するように形成され、曲率が徐々に増大するように形成されている。ボウル面8のシングルR領域8gは、少なくともボウル面8の上端から200mmの範囲、好ましくは上端から300mmの範囲の領域において形成されている。ボウル面8のシングルR領域8gよりさらに下方の領域は、2種類の曲率半径Rを有する円弧の組み合わせ、又は円弧と直線との組み合わせによる複合的な形状部分である複合R領域8hを形成している。
具体的には、図1に示すように、ボウル面8は、シングルR領域8gにおける、ボウル面8の上端8dからの距離L1(L1=150mm)の位置、すなわち収納室6の前面7且つスプレッダ近傍の高さ位置において、平面視で、比較的大きな曲率半径である曲率半径R1(R1=300mm)による単一の曲率半径の円弧により形成される正面部8aにより形成されている。
図12に示すように、ボウル面8は、シングルR領域8gにおける、ボウル面8の上端8dからの距離L2(L2=300mm)の位置において、平面視で、曲率半径R1よりも小さな曲率半径である曲率半径R2(R2=200mm)による単一の曲率半径の円弧により形成される正面部8aにより形成されている。
シングルR領域8gにおける正面部8aの曲率半径は、例えば、200〜500mmの範囲、好ましくは200〜400mmの範囲に設定されるようになっている。このような範囲とすることで、使用者の局部を把持する手や腕が、ボウル面に接触することを抑制できるため、使用者が用足し時に小便器に近づきやすくなり、結果として尿垂れにより床を汚してしまうという事態の発生を抑制することができる。
ボウル面8は、複合R領域8hにおける、ボウル面8の上端8dからの距離L3(L3=450mm)の位置においては、平面視で、2種類の曲率半径を有する円弧を組み合わせた複合的な円弧形状を有している正面部8aにより形成されている。
ボウル面8は、さらに下部の複合R領域8hにおいては、左側端部8bと右側端部8cとが前方に延び、中央部8eが後方側に後退し、例えば、ボウル面8の上端8dからの距離L4(L4=500mm)の位置においては、平面視で、使用者に向かう方向に開くような円弧形状部分8i(正面部8a)とその両側で使用者に向かって突出する直線部分8j(側面部8k)とにより形成されている。
ボウル面8は、上端8dからの距離L4の位置より下方の領域においては、正面部8aと使用者に向かって突出する側面部8kとを有している。
ボウル面8は、ある水平断面において、左側端部8bと右側端部8cとが中央部8eよりも前方に突出するように配置されている。さらに、ボウル面8は、下方に向かうにつれて、左側端部8bと右側端部8cとが徐々に前方に突出するように配置されている。また、ボウル面8の正面部8aは、ボウル面8の上端8dから下方に向けて後方に向かって傾斜して形成されている。従って、その正面部8aの中央部8eは、上端8dから下方に向けて徐々に後退するように奥側に形成されている。また、スプレッダ28が中央部8eにやや後方側に配置されているので、使用者が正面部8aに近づきやすくなっている。
ボウル面8は、下部においては、左側端部8bと右側端部8cとが先端8fに向かって前方に突出されている。ボウル面8の上部においては使用者がボウル面8に近づけるようになっているのに対し、ボウル面8下部の先端8fが使用者側に突出しているので、使用者の尿が床に垂れて床を汚す汚垂れを生じさせにくくなっている。ボウル面8の下部は、その下方側において、流下する洗浄水を集めて排出口10に導くように形成されている。
次に、図6乃至図10に戻り、スプレッダ28の詳細構造を説明する。
図7等に示すように、この自動便器洗浄ユニット4において、スプレッダ28が、小便器本体2の正面部8aの収納室6の前面7に取り付けられている。
スプレッダ28は、洗浄水をボウル面8に向けて吐水する一つの吐水開口部34と、吐水開口部34に洗浄水を供給する第1供給通路38と、吐水開口部34に洗浄水を供給する第2供給通路40と、を備えている。
第1供給通路38は、第1給水管16の先端に接続され、第2供給通路40とは独立した通水路を形成している。第1供給通路38は、設備保護洗浄動作(第2吐水モード)において、比較的高い瞬間流量を有し且つ比較的低速の洗浄水の流れを吐水開口部34に供給する。
第1供給通路38は、図9に示すように通水路の内径D1が比較的大きく形成され、図10に示すように通水路の断面積C1が比較的大きく形成されている。従って、第1供給通路38は、比較的高い瞬間流量の洗浄水が流れる場合にも、通水路の断面積C1が比較的大きいので、比較的低速の洗浄水の流れを形成することができる。第1供給通路38内の洗浄水の流速は、比較的低い流速の範囲、例えば、1〜3m/sの範囲、好ましくは2〜3m/sの範囲になるように第1供給通路38が形成されている。
なお、第1供給通路38内の洗浄水の流速を、第1給水管16の少なくとも一部分の断面積を第1供給通路38の断面積よりも小さく形成することにより設定してもよい。
第2供給通路40は、第2給水管18の先端に接続され、第1供給通路38とは独立した通水路を形成している。第2供給通路40は、小便洗浄動作(第1吐水モード)において、比較的低い瞬間流量を有し且つ比較的高速の洗浄水の流れを吐水開口部34に供給する。
第2供給通路40は、図9に示すように通水路の内径D2が比較的小さく形成され、図10に示すように通水路の断面積C2が比較的小さく形成されている。従って、第2供給通路40は、比較的低い瞬間流量の洗浄水が流れる場合にも、通水路の断面積C2が比較的小さいので、比較的高速の洗浄水の流れを形成することができる。第2供給通路40内の洗浄水の流速は、比較的高い流速の範囲、例えば、4〜15m/sの範囲、好ましくは8〜12m/sの範囲になるように第2供給通路40が形成されている。
なお、第2供給通路40内の洗浄水の流速を、第2給水管18の少なくとも一部分の断面積を第2供給通路40の断面積よりも小さく形成することにより設定してもよい。
第1供給通路38と第2供給通路40とは、スプレッダ28内において、互いに平行に、ボウル面8の裏側から表側まで直線的に延びている。第1供給通路38は、吐水開口部34内に開口する第1噴出口38aを形成している。
第2供給通路40は、第1噴出口38aの下方において、吐水開口部34内に開口する第2噴出口40aを形成している。第2供給通路40は2つの第2噴出口40aを開口する1つの通路を形成している。本実施形態においては、第2噴出口40aは、2つの開口により形成されているが、第2噴出口40aを1つの開口により形成してもよい。
吐水開口部34は、その吐水開口部34の左右両端を形成する吐水開口上壁34aと、吐水開口部34の内部に設けられ、その吐水開口部34内部の前側の壁面を形成し、第1供給通路38及び第2供給通路40からそれぞれ供給された洗浄水がどちらも衝突して左右に広がることができるように形成されている衝突壁34bと、その吐水開口部34内部の後側の壁面を形成する吐水開口後壁34cとを備えている。
吐水開口部34は、下部から左右方向まで扇形に開口するように形成され、スプレッダ28の下部の、左右の吐水開口上壁34aとの間において、衝突壁34bと吐水開口後壁34cとの間の扇形の開口通路34dを形成している。
スプレッダ28は、複数の吐水開口部が形成されておらず、一つの吐水開口部34のみを有しているので、スプレッダ28の前後方向の厚みを抑制することができ、スプレッダ28をコンパクトに形成することができる。
吐水開口上壁34aは、下方に向かって傾斜するように延びる内側上壁34eと、内側上壁34eの下端から上方に向かって傾斜するように延びる外側上壁34fとを有している。
内側上壁34eは、鉛直下方から左右対称におよそ40°の位置に形成され、左右の内側上壁34eの間の角度A1は約80°に形成されている。左右の内側上壁34eの間の角度A1は、例えば、50°〜120°の範囲、好ましくは60°〜90°の範囲に形成されている。内側上壁34eは、吐水開口部34の開口通路34dの内方側の上部領域、すなわち第1供給通路38の出口領域を形成するので、第1供給通路38の第1噴出口38aから噴出される洗浄水が左右の内側上壁34eに沿って誘導され、主に角度A1の範囲内で吐水開口部34から吐水されるように、洗浄水の左右の広がりの上縁を規制している。また、内側上壁34eは、水平より下方向きに延びているので、第1供給通路38から供給された洗浄水を、左右への広がりを抑制して、ボウル面8の下方に向けて導くことができる。
外側上壁34fは、鉛直下方から左右対称に約115°の位置に形成され、左右の外側上壁34fの間の角度A2は約230°に形成されている。左右の外側上壁34fの間の角度A2は、例えば、190°〜250°の範囲、好ましくは210°〜230°の範囲に形成されている。外側上壁34fは、吐水開口部34の開口通路34dの外方側の上部領域の上端に形成されている。外側上壁34fは、外側上壁34fの延長線上に第2供給通路40の第2噴出口40aが開口しているので、第2供給通路40の第2噴出口40aから噴出される洗浄水が左右の外側上壁34fに沿って流れることができ、主に角度A2の範囲内で吐水開口部34から吐水されるように、洗浄水の左右の広がりの上縁を決定している。外側上壁34fは、水平より上方向きに延びているので、第2供給通路40から外側上壁34fに沿って流出する洗浄水の上縁は、スプレッダ28から斜め上方に上昇するように吐水される。従って、吐水開口部34は、洗浄水が第2供給通路40から比較的高速で供給されたとき、左右の外側上壁34fの間の角度A2の範囲内の領域にわたって拡散するように洗浄水を吐水することができ、ボウル面8の左右斜め上方から左右両端近傍まで広がる水幕を形成することができる。
衝突壁34bは、扇形に形成され、開口通路34dの前面を形成している。衝突壁34bは、第1供給通路38の第1噴出口38aと対向するように第1供給通路38の前方側に設けられ、第2供給通路40の第2噴出口40aと対向するように第2供給通路40の前方側に設けられている。衝突壁34bは、第1供給通路38から供給された洗浄水、及び第2供給通路40から供給された洗浄水のそれぞれを、どちらも自身に衝突させて開口通路34dの扇形領域に広がるように流すことができるようになっている。衝突壁34bは、後方に向かって傾斜して形成されている。
吐水開口後壁34cは、図10に示すように、その中央の上部領域において第1供給通路38の第1噴出口38aと接続され、第1噴出口38aの下方において第2供給通路40の第2噴出口40aと接続されている。この吐水開口後壁34cは、扇形に形成され、吐水開口部34の後面を形成し、衝突壁34bとの間で、第1供給通路38から供給された洗浄水、及び第2供給通路40から供給された洗浄水のそれぞれを、吐水開口部34の扇形領域に広がるように流すことができるようになっている。吐水開口後壁34cは、衝突壁34bと平行に延び、後方に向かって傾斜して形成されている。吐水開口後壁34cの後方への傾斜角は、吐水開口後壁34cの近傍のボウル面8の後方への傾斜角よりも大きくされ、吐水開口部34は、ボウル部のボウル面8に対する傾斜角が5度〜25度の範囲内に形成されている。よって、吐水開口部34から収納室6の前面7に向けて洗浄水が跳ね返りにくく吐水され、ボウル面8上に水幕を形成するようになっている。
本実施形態においては、上述した図11に示すように、自動便器洗浄ユニット4は、水道等の給水源から洗浄水を供給する主給水管14と、主給水管14から分岐される第1給水管16と、主給水管14から分岐される第2給水管18と、第1給水管16に設けられる第1流量調整装置20と、第1給水管16に取り付けられ給水の供給及び停止を行う第1開閉弁22と、第2給水管18に設けられる第2流量調整装置24と、第2給水管18に取り付けられ給水の供給及び停止を行う第2開閉弁26と、第1給水管16及び第2給水管18の先端に取り付けられた吐水部であるスプレッダ28と、人体検知センサ30からの検知信号及び所定の制御プログラム等に基づいて第1開閉弁22、第2開閉弁26等を制御することができる制御ユニット32と、を備えている。また、上述のようにスプレッダ28は、洗浄水をボウル面8に向けて吐水する吐水開口部34と、吐水開口部34に洗浄水を供給する第1供給通路38と、吐水開口部34に洗浄水を供給する第2供給通路40と、を備えている。
これに対し、本実施形態においては、変形例として、図12に示すように、自動便器洗浄ユニット4は、上述した第1給水管16及び第2給水管18に代えて、1つの共通給水管42を設けるようにし、スプレッダ28は、スプレッダ28の第1供給通路38及び第2供給通路40に代えて、1つの共通供給通路44を設けるようにし、スプレッダ28は、さらに、共通供給通路44の流路断面積を変更可能な断面積変更手段46を備え、小便器1は、給水源からの洗浄水を供給する給水通路48と、給水通路48に設けられ、給水通路48の洗浄水の瞬間流量を、低瞬間流量と高瞬間流量とに切替えることができる流量切替手段50と、を備えるようにされることができる。なお、断面積変更手段46は、給水通路48に設けられていてもよい。
この変形例においては、具体的には、図12に示すように、自動便器洗浄ユニット4は、水道等の給水源から洗浄水を供給する主給水管14(給水通路48)と、主給水管14に接続される1つの共通給水管42(給水通路48)と、共通給水管42に設けられた上述の流量切替手段50と、スプレッダ28の共通供給通路44に設けられた上述の断面積変更手段46とを備えている。主給水管14及び共通給水管42には、さらに他の開閉弁などの装置が取り付けられていてもよい。
制御ユニット32は、人体検知センサ30からの検知信号及び所定の制御プログラム等に基づいて流量切替手段50、断面積変更手段46等を制御することができる。制御ユニット32は、小便洗浄動作(第1吐水モード)においては、流量切替手段50が共通給水管42の洗浄水を低瞬間流量に切替え、断面積変更手段46が共通供給通路44の断面積を比較的小さく変更して、共通供給通路44の洗浄水の流速を比較的高速にさせるように制御し、設備保護洗浄(第2吐水モード)においては、流量切替手段50が共通給水管42の洗浄水を高瞬間流量に切替え、断面積変更手段46が共通供給通路44の断面積を比較的大きく変更して、共通供給通路44の洗浄水の流速を比較的低速にさせるように制御することができる。
流量切替手段50は、給水通路48の洗浄水の瞬間流量を、調整することができる装置であればよく、低瞬間流量から高瞬間流量に、又は高瞬間流量から低瞬間流量に切替えることができる。断面積変更手段46は、内径或いは大きさの異なる複数の開口が形成されたプレートを移動させることにより、これらの開口が共通供給通路44の流路断面積の大きさを決定するような機構を有し、プレートを移動させることにより、ある開口を別の開口に変更して、共通供給通路44の流路断面積を変更することができる。
さらに他の例としては、断面積変更手段46は、開口の内径或いは大きさを拡大又は縮小するように変更できる機構を有することにより、この開口が共通供給通路44の流路断面積の大きさを決定するような機構を有し、開口の大きさを拡大又は縮小させることにより、ある開口を別の大きさの開口に変更して、共通供給通路44の流路断面積を変更することができるようにしてもよい。
次に、本発明の実施形態による小便器の洗浄動作を説明する。
先ず、本発明の実施形態による小便器1による小便洗浄動作の流れを説明する。
通常、使用者が小便器1の前に立つと、人体検知センサ30が使用者の存在を検出して検出情報を制御ユニット32に送り、制御ユニット32は使用者の存在を認識する。使用者が小便器1のボウル面8に放尿を終え、放尿を済ませた使用者が小便器1の前から立ち去り、人体検知センサ30が非検出状態となると、制御ユニット32は使用者が小便器1から立ち去ったと判断して、制御ユニット32が小便洗浄動作(第1吐水モード)を開始する。
制御ユニット32は、小便洗浄動作(第1吐水モード)においては、第2開閉弁26に制御信号を送って第2開閉弁26を開き、主給水管14から供給される洗浄水を第2給水管18から第2供給通路40に供給させる。このとき、第2供給通路40に供給される洗浄水の単位面積あたりの瞬間流量は、第2流量調整装置24により上述の比較的低い瞬間流量の範囲に調整される。また、第2供給通路40に供給される洗浄水の流速は、第2供給通路40の流路断面積C2が、比較的小さく形成されているので、上述の比較的高い流速にされる。よって、比較的高速の洗浄水の流れが、第2供給通路40の第2噴出口40aから吐水開口部34内に吐水され、衝突壁34bに衝突して拡散される。
比較的高い流速で衝突壁34bに衝突した洗浄水は、衝突した後、下方から左右斜め上方まで放射状に広がるように流れる。従って、吐水開口部34から吐水される洗浄水は、左右方向においては、左右の外側上壁34fの間から、上方まで広がるように吐出され、前後方向においては、衝突壁34bと吐水開口後壁34cとの間からさらに後方側のボウル面8に向かって後方に吐出されている。図1及び図10において、吐水開口部34から吐水される洗浄水の流れを矢印Aによって示す。吐水開口部34内において上部の洗浄水は、水平から左側方向又は右側方向に上り傾斜している外側上壁に沿って、左右斜め上方に上昇するように吐水される。
左右の外側上壁34fの間の角度は比較的大きく形成されているので、第1吐水モードにおいて、吐水開口部34から吐水される洗浄水は、ボウル面8の左右上方から中央下方まで広範囲に吐水される。また吐水された洗浄水が、スプレッダ28の左右斜め上方側の左右領域並びに、ボウル面8の中央領域より広範囲の左右領域まで広範囲にわたって洗浄することができる。第1吐水モードにおいて洗浄水が吐水される領域は、後述する第2吐水モードにおいて洗浄水が吐水される領域を覆うような領域となっている。第1吐水モードにおいて、吐水開口部34から吐水される洗浄水は、比較的低い瞬間流量の洗浄水であるので、洗浄水がボウル面8の左右両端近傍まで到達して洗浄を行う一方、ボウル面8の左右両端を超えて外部に流出することなく、ボウル面8の左側端部8b及び右側端部8cの両端近傍領域を洗浄しながら流下することができる。
このように、スプレッダ28の吐水開口部34から吐水される洗浄水は、スプレッダ28から放射状方向に、ボウル面8の面上を洗浄できない部分を生じさせないように広く広がるように流れ、ボウル面8を流下しながらボウル面8全体の良好な洗浄を行うことができる。洗浄水は、ボウル面8を流下し排出口10より排出され、この下流の排水トラップ管路(図示せず)を通過し、さらに下流の排水配管(図示せず)に向かって流れる。
スプレッダ28の吐水開口部34からの吐水が一定時間継続されると、制御ユニット32は、第2開閉弁26を閉止して、スプレッダ28からの吐水を終了させ、小便洗浄動作(第1吐水モード)を終了させる。
次に、本発明の実施形態による小便器1による設備保護洗浄動作(第2吐水モード)の流れを説明する。
制御ユニット32は、小便洗浄動作(第1吐水モード)とは別に、設備保護洗浄動作(第2吐水モード)を行う。
制御ユニット32は、前回の設備保護洗浄が行われてから一定の経過時間が経過していること(例えば、前回の設備保護洗浄が行われてから2時間の経過時間が経過していること)の他、小便器1の使用回数が一定期間に一定回数に達していること等の使用条件を満たす場合に、設備保護洗浄動作を開始する。
制御ユニット32は、第2吐水モードにおいて、第1開閉弁22に制御信号を送って第1開閉弁22を開き、主給水管14から供給される洗浄水を第1給水管16から第1供給通路38に供給させる。このとき、第1供給通路38に供給される洗浄水の瞬間流量は、第1流量調整装置20により上述の比較的高い瞬間流量の範囲に調整される。また、第1供給通路38に供給される洗浄水の流速は、第1供給通路38の流路断面積C1が、比較的大きく形成されているので、上述の比較的低い流速にされる。よって、比較的低速の洗浄水の流れが、第1供給通路38の第1噴出口38aから吐水開口部34内に吐水され、衝突壁34bに衝突して拡散される。
比較的低い流速で衝突壁34bに衝突した洗浄水は、衝突した後、主に下方に広がるように流れる。従って、吐水開口部34から吐水される洗浄水は、左右方向においては、左右の吐水開口上壁34aの間から下方向きの扇形に広がるように吐出され、前後方向においては、衝突壁34bと吐水開口後壁34cとの間からさらに後方側のボウル面8に向かって後方に吐出されている。図1及び図10に示すように、吐水開口部34から吐水される洗浄水の流れを矢印Bによって示す。第1供給通路38から供給された洗浄水は、水平から左側方向又は右側方向に下り傾斜している内側上壁34eに沿って、吐水開口部34から左右斜め下方に流下するように吐水される。
左右の内側上壁34eの間の角度は比較的小さく形成されているので、第2吐水モードにおいて、吐水開口部34から吐水される洗浄水は、ボウル面8の中央付近の比較的狭い範囲に吐水される。従って、第2吐水モードにおいては、吐水開口部34から吐水される洗浄水は、比較的高い瞬間流量の洗浄水であるにもかかわらず、洗浄水がボウル面8の左側端部8b及び右側端部8cの両端を超えて外部に流出することなく、ボウル面8の中央周辺の領域を洗浄しながら流下することができる。
このように、吐水開口部34から吐水される比較的高い瞬間流量の洗浄水が、排出口10に流入する。比較的高い瞬間流量の洗浄水が、排出口10の下流の排水トラップ管路(図示せず)を通過し、さらに下流の排水配管(図示せず)に向かって流れるので、水かさが上昇した洗浄水が、排水トラップ管路及び排水配管を洗浄しながら流れ、これら配管内の尿の排出及び陰毛等の異物を除去し、さらに尿石や異物を洗い流せ、バクテリアの増殖を抑制し、尿石の付着(発生)を抑制することができる。洗浄水が排水トラップ管路及び排水配管を長期間間隔をあけずに流れることで、尿石を発生させるバクテリアの増殖を抑制することができる。
スプレッダ28の吐水開口部34からの吐水が一定時間継続されると、制御ユニット32は、第1開閉弁22を閉止して、スプレッダ28からの吐水を終了させ、設備保護洗浄動作(第2吐水モード)を終了させる。
次に、上述した本発明の実施形態による小便器の作用効果を説明する。
上述した本実施形態による小便器1によれば、第1吐水モードにおいては、第2供給通路40から供給された低瞬間流量かつ高速の洗浄水が衝突壁34bに衝突し、高速の洗浄水が衝突壁34bに衝突することにより、低瞬間流量の洗浄水が一つの吐水開口部34からボウル面8の左右領域まで広範囲に広がるように吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル面8の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、ボウル面8の左右領域まで広範囲にわたって洗浄することができる。
第2吐水モードにおいては、第1供給通路38から供給された高瞬間流量かつ低速の洗浄水が衝突壁34bに衝突し、低速の洗浄水が衝突壁34bに衝突することにより、高瞬間流量の洗浄水が一つの吐水開口部34からボウル面8の比較的狭い中央領域に向けて吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル面8の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、小便器1の排水配管の尿の排出及び陰毛等の異物を除去することができ、小便器1の排水配管の設備保護洗浄をすることができる。従って、小便器1を効果的に洗浄することができる。
また、本実施形態による小便器1においては、吐水開口部34から吐水された洗浄水が、ボウル面8から反射して跳ね返ることを抑制し、ボウル面8に沿った膜状の流れを形成することができる。
また、本実施形態による小便器1においては、第1吐水モードにおいては、第2供給通路40から供給された低瞬間流量かつ高速の洗浄水が衝突壁34bに衝突し、高速の洗浄水が衝突壁34bに衝突することにより、低瞬間流量の洗浄水が吐水開口部34からボウル面8の左右領域まで広範囲に広がるように吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル面8の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、ボウル面8の左右領域まで広範囲にわたって洗浄することができる。
第2吐水モードにおいては、第1供給通路38から供給された高瞬間流量かつ低速の洗浄水が衝突壁34bに衝突し、低速の洗浄水が衝突壁34bに衝突することにより、高瞬間流量の洗浄水が吐水開口部34からボウル面8の比較的狭い中央領域に向けて吐水される。よって、吐水された洗浄水が、ボウル面8の外部へ飛び出すことを防止することができると共に、小便器1の排水配管の尿の排出及び陰毛等の異物を除去することができ、小便器1の排水配管の設備保護洗浄をすることができる。従って、小便器1を効果的に洗浄することができる。
また、本実施形態による小便器1においては、第1吐水モードにおいては、流量切替手段50が共通給水管42の洗浄水を低瞬間流量にさせ、断面積変更手段46が共通供給通路44の洗浄水の流速を比較的高速にさせることができ、共通の共通給水管42及び共通供給通路44を利用して、比較的簡単な構造により、共通供給通路44内の洗浄水を低瞬間流量かつ高速にできる。
第2吐水モードにおいては、流量切替手段50が共通給水管42の洗浄水を高瞬間流量にさせ、断面積変更手段46が共通供給通路44の洗浄水の流速を比較的低速にさせることができ、共通供給通路44内の洗浄水を高瞬間流量かつ低速にできる。
従って、共通の共通給水管42及び共通供給通路44を利用して、比較的簡単な構造により、第1吐水モードと第2吐水モードとのうちいずれか一方を実行することができる。
また、本実施形態による小便器1においては、制御ユニット32は、使用者が小便器1を使用したときに第1吐水モードを実行し、ボウル面8の左右領域まで広範囲にわたって洗浄する小便器洗浄を行うことができる。また、制御ユニット32は、使用者が小便器1を使用したときとは別に、所定時間が経過する毎に第2吐水モードを実行させることができ、小便器1の排水配管の尿の排出及び陰毛等の異物を除去することができ、小便器1の排水配管の設備保護洗浄を行うことができる。
1 小便器
2 小便器本体
6 収納室
7 前面
8 ボウル面
8a 正面部
14 主給水管
16 第1給水管
18 第2給水管
20 第1流量調整装置
22 第1開閉弁
24 第2流量調整装置
26 第2開閉弁
28 スプレッダ
32 制御ユニット
34 吐水開口部
34a 吐水開口上壁
34b 衝突壁
34c 吐水開口後壁
34d 開口通路
34e 内側上壁
34f 外側上壁
38 第1供給通路
38a 第1噴出口
40 第2供給通路
40a 第2噴出口
42 共通給水管
44 共通供給通路
46 断面積変更手段
48 給水通路
50 流量切替手段
A 洗浄水の流れ
B 洗浄水の流れ
A1 角度
A2 角度
C1 断面積
C2 断面積
D1 内径
D2 内径

Claims (5)

  1. 洗浄水によりボウル部を洗浄する小便器であって、
    小便を受ける上記ボウル部と、
    上記ボウル部内の上方領域に設けられて上記ボウル部へ洗浄水を吐水する吐水装置と、を有し、
    上記吐水装置は、
    自身の下部から左右方向まで開口する一つの吐水開口部と、
    上記吐水開口部内に洗浄水を供給する供給通路と、
    上記吐水開口部の内部に設けられ、上記供給通路から供給された洗浄水が衝突して左右に広がることができるように形成されている衝突壁と、を備え、
    上記供給通路から低瞬間流量かつ高速の洗浄水を供給する第1吐水モードと、
    上記供給通路から高瞬間流量かつ低速の洗浄水を供給する第2吐水モードと、のうちいずれか一方を実行するようになっていることを特徴とする小便器。
  2. 上記吐水開口部は、上記ボウル部のボウル面に対する傾斜角が5度〜25度の範囲内に形成されている請求項1に記載の小便器。
  3. 上記吐水装置の上記供給通路は、
    上記吐水開口部に洗浄水を供給する第1供給通路と、上記吐水開口部に洗浄水を供給する第2供給通路と、を備え、
    さらに、
    給水源からの洗浄水を供給する主流路と、
    上記第1供給通路に洗浄水を供給する第1給水通路と、
    上記第2供給通路に洗浄水を供給する第2給水通路と、
    上記第1給水通路に設けられ、上記第1給水通路の洗浄水の瞬間流量を調整する第1流量調整手段と、
    上記第2給水通路に設けられ、上記第1給水通路の洗浄水の瞬間流量よりも低くなるように、上記第2給水通路の洗浄水の瞬間流量を調整する第2流量調整手段と、
    上記第1吐水モードと上記第2吐水モードとのうちいずれか一方を実行できるように、上記主流路からの洗浄水を上記第1給水通路及び上記第2給水通路のいずれか一方に供給できる切替手段とを備え、
    上記第2供給通路及び上記第2給水通路の少なくともいずれかの箇所の流路断面積が、上記第1供給通路及び上記第1給水通路の流路断面積よりも小さく形成されている請求項1又は2に記載の小便器。
  4. 上記吐水装置は、さらに、上記供給通路の流路断面積を変更可能な断面積変更手段を備え、
    さらに、
    給水源からの洗浄水を供給する給水通路と、
    上記給水通路に設けられ、上記給水通路の洗浄水の瞬間流量を、低瞬間流量と高瞬間流量とに切替えることができる流量切替手段と、を備え、
    上記第1吐水モードにおいては、上記流量切替手段が上記給水通路の洗浄水を低瞬間流量に切替え、上記断面積変更手段が上記供給通路の断面積を比較的小さく変更して、上記供給通路の洗浄水の流速を比較的高速にさせ、
    上記第2吐水モードにおいては、上記流量切替手段が上記給水通路の洗浄水を高瞬間流量に切替え、上記断面積変更手段が上記供給通路の断面積を比較的大きく変更して、上記供給通路の洗浄水の流速を比較的低速にさせる請求項1又は2に記載の小便器。
  5. さらに、使用者が小便器を使用したときに上記第1吐水モードを実行し、使用者が小便器を使用したときとは別に、所定時間が経過する毎に上記第2吐水モードを実行するように制御する制御部を備えている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の小便器。

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