以下、添付図面を参照して、本発明に従う燃料電池システムの実施形態について説明する。尚、この実施形態では、燃料電池システムとして固体酸化物形燃料電池システムに適用して説明するが、燃料ガスを水蒸気改質する改質器を備えた他の形態の燃料電池システムにも同様に適用することができる。
図1〜図9を参照して、第1の実施形態の燃料電池システムについて説明する。図1において、図示の燃料電池システム2は、炭化水素系の燃料ガス(例えば、都市ガス、LPガスなど)を消費して発電を行うものであり、改質用水を気化させて水蒸気を生成するための気化器4と、燃料ガスを水蒸気を用いて改質するための改質器6と、改質器6にて改質された改質燃料ガスをアノードガスとし、空気をカソードガスとして発電を行う燃料電池セルスタック8(燃料電池を構成する)と、を備えている。
この燃料電池セルスタック8は、例えば、複数の固体酸化物形の燃料電池セルを集電部材を介して積層して構成され、図示していないが、酸素イオンを伝導する固体電解質と、この固体電解質の一方側に設けられた燃料極と、固体電解質の他方側に設けられた空気極とを備え、固体電解質として例えばイットリアをドープしたジルコニアが用いられる。
燃料電池セルスタック8の燃料極の導入側は、改質燃料ガス送給流路10を介して改質器6に接続され、この改質器6は、ガス・水蒸気送給流路12を介して気化器4に接続されている。気化器4は、燃料ガス供給流路14を介して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給源16(例えば、埋設管や貯蔵タンクなど)に接続され、この燃料ガス供給流路14に熱量検知手段18、熱式質量流量検知手段19(例えば、熱線式流量計)及び燃料ポンプ20(燃料ガス流量制御手段を構成する)が下流側に向けてこの順に配設されている。燃料ポンプ20は、燃料ガス供給源16からの燃料ガスを気化器4に送給し、熱式質量流量検知手段19は燃料ガス供給流路14を流れる燃料ガスの流量を検知し、熱量検知手段18は燃料ガス供給流路14を流れる燃料ガスの熱量を測定する。この熱式質量流量検知手段19及び熱量検知手段18については後述する。尚、燃料ガス供給流路14を気化器4に接続することに代えて、改質器6に直接的に接続するようにしてもよい。
この実施形態では、燃料ガス供給流路14における熱量検知手段21の上流側にバッファ手段21が設けられている。このバッファ手段21は、所定容量のバッファタンク又はバッファ容器から構成され、その容量は、燃料電池セルスタック8の発電出力が例えば500W程度のときには300〜700cc程度に設定される。燃料ガス供給源16からの燃料ガスはバッファ手段21に流入し、このバッファ手段21内にて混合された後に気化器4に向けて送給される。
この実施形態では、燃料ポンプ20は電圧に比例して回転数が変動する形態のものであり、供給される電圧が上がる(又は下がる)と、その回転数が上昇(又は低下)し、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量が増大(又は減少)する。従って、この燃料ポンプ20は、燃料ガス供給流路14を通して供給される燃料ガスの供給流量を制御する燃料ガス流量制御手段としても機能する。尚、燃料ガス流量制御手段として専用の流量制御弁などを用いるようにしてもよい。
気化器4は、水供給流路22を介して水供給源24(例えば、水タンクなど)に接続され、この水供給流路22に水ポンプ26が配設されている。この水ポンプ26は、水供給源24からの改質用水を気化器4に供給する。
この実施形態では、水ポンプ26も、燃料ポンプ20と同様に、電圧に比例して回転数が変動する形態のものであり、供給される電圧が上がる(又は下がる)と、その回転数が上昇(又は低下)し、水供給流路22を通して供給される改質用水の供給流量が増大(又は減少)する。従って、この水ポンプ26は、水供給流路14を通して供給される改質用水の供給流量を制御する水流量制御手段としても機能する。尚、水流量制御手段として専用の流量制御弁などを用いるようにしてもよい。
このように構成されているので、燃料ガス供給源16からの炭化水素系の燃料ガスは、燃料ガス供給流路14を通して気化器4に送給され、この気化器4からガス・水蒸気送給流路12を通して改質器6に送給される。また、水供給源24からの改質用水は、水供給流路22を通して気化器4に送給され、この気化器4において気化されて水蒸気となり、この水蒸気がガス・水蒸気送給流路12を通して改質器6に送給される。改質器6では、燃料ガスが水蒸気により水蒸気改質され、水蒸気改質された改質燃料ガスが改質燃料ガス送給流路10を通して燃料電池セルスタック8の燃料極側に送給される。
この燃料電池セルスタック8の空気極の導入側は、空気供給流路28を介して大気に開放されており、かかる空気供給流路28に空気ブロア30及び空気流量計32が配設されている。空気ブロア30は、カソードガスとしての空気を燃料電池セルスタック8の空気極側に送給し、空気流量計32は空気供給流路28を流れる空気の供給流量を計測する。
この実施形態では、空気ブロア30も、燃料ポンプ20及び水ポンプ26と同様に、電圧に比例して回転数が変動する形態のものであり、供給される電圧が上がる(又は下がる)と、その回転数が上昇(又は低下)し、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量が増大(又は減少)する。従って、この空気ブロア30は、空気供給流路28を通して供給される空気の供給流量を制御する空気流量制御手段としても機能する。
燃料電池セルスタック8の燃料極及び空気極の排出側には燃焼室34が設けられ、燃料電池セルスタック8の一端から排出された反応燃料ガス(余剰の燃料ガスを含んでいる)と空気極側から排出された空気(酸素を含んでいる)とが、この燃焼室34に送給されて燃焼される。燃焼室34には排気ガス排出流路36が連通され、その排出側は大気に開放され、燃焼室34からの排気ガスが排気ガス排出流路36を通して大気に排出される。
この実施形態では、気化器4、改質器6、燃料電池セルスタック8及び燃焼室34が収容ハウジング38に収容されている。図示の収容ハウジング38は、金属製(例えば、ステンレス鋼製)のハウジング本体40を備え、このハウジング本体40の内面を覆うように断熱部材(図示せず)が配設され、この断熱部材の内側に高温室42が規定され、気化器4、改質器6及び燃料電池セルスタック8が高温室42内で高温状態に保たれ、高温室42内の熱を利用して、気化器4において改質用水の気化が行われ、また改質器6において燃料ガスの水蒸気改質が行われる。
このような燃料電池システム2では、燃料電池セルスタック8の耐久性の低下、発電効率の低下を抑えるために、改質器6における水蒸気改質反応ではS/C(炭化水素系燃料ガス中の炭素モル数に対する水蒸気モル数の比率)及び燃料利用率(Uf)を一定値に維持する、即ちS/Cを例えば2.0に、燃料利用率を例えば60%に維持するのが望ましく、燃料ガスの組成が変動したときにも、その組成の変動に対応してS/C及び燃料利用率がこれらの値に維持するのが望ましい。尚、S/Cについては、
S/C=〔(水流量)/18〕/〔(燃料流量)×(価数)/22.4〕 ・・・(1)
で表すことができ、また燃料利用率(Uf)については、
Uf=〔22.4×(電流(A))〕/〔96485(c/mol)×(価数)×(燃料流量(L/sec))〕 ・・・(2)
で表すことができる。
このようなことから、この燃料電池システム2では、上述したように、燃料ガス供給流路14に熱量検知手段18が設けられる。この熱量検知手段18は、燃料ガス供給流路14を通して改質器6に供給される燃料ガスの熱量(即ち、燃料ガスの組成に基づく熱量)を検知する。このような熱量検知手段18は、燃料ガスの音速(この音速とは、燃料ガス中での音波の伝搬速度をいう)を利用し、予め発熱量が判明し組成の異なる複数の標準ガスの各々の音速−温度−圧力の関係指標からこの燃料ガスの温度、圧力における音速と発熱量との関係として求まる音速−発熱量関係指標に基づきこの燃料ガスの熱量を求めるものを用いることができ、例えば、特許第3611416号公報に開示されているものを好都合に用いることができる。
熱量検知手段18としては、上述したものに代えて、燃料ガスの燃焼熱を利用したものを用いるようにしてもよく、このような熱量検知手段は、例えば燃料ガスをバーナーで燃焼させ、その燃焼排ガスの温度と燃焼空気の入り口温度の差から熱量を検知するものである。
燃料ガスの組成が変動すると、この変動に伴い燃料電池セルスタック8にて発電に寄与する電子数も変化し、S/Cを一定に維持するにはこの電子数の変化に伴い燃料ガスの供給流量も変化させる必要がある。更に説明すると、炭化水素系の燃料ガス中に含まれるメタン、エタンなどは、ガス種によって発電に寄与する電子数が決まっている。例えば、メタンの場合、
CH4+2H2O → CO2+4H2(4H2 → 8H++8e−)
となり、メタンの電子数(「価数」ともいう)は「8」となる。同様に、エタンについては、
C2H6+4H20 → 2CO2+7H2(7H2 → 14H++14e−)
となり、エタンの電子数(価数)は「14」となる。同様にして、プロパン(C2O8)の電子数は「20」となり、ブタン(C4O10)の電子数は「26」となる。燃料ガスの組成が表1に示すように各種変化すると、その組成の電子数(価数)は、表1の最下欄に示すようになる。
例えば、燃料ガスの熱量が45MJ/m
3
から40MJ/m
3 に変動した場合、電子数(価数)は、8.993から8.014に下がる。この燃料ガスの熱量(HHV)とその電子数(価数)との関係は、図4に示す通りの一次関数、即ち、
価数(y)=0.2037×〔熱量(x)〕−0.1286 ・・・(3)
と表すことができる。従って、燃料電池セルスタック8にて必要な燃料流量Vは、変動前の燃料ガスの流量をV
0とすると、
V=V
0×(8.993/8.014) ・・・(4)
となり、燃料ガスの組成変動によりガス熱量が下がるとその価数が下がるために、燃料ガスの供給流量を増やす必要があり、これとは反対に、ガス熱量が上がるとその価数が上がるために、燃料ガスの供給流量を減らす必要がある。
また、燃料ガスの熱量(HHV)とその燃料利用率との関係は、図5に示す通りの一次関数、即ち、
燃料利用率(y)=−0.0112×〔熱量(x)〕+1.184 ・・・(5)
となり、燃料ガスの組成変動によりガス熱量が下がると燃料利用率が下がるために、燃料ガスの供給流量を増やす必要があり、これとは反対に、ガス熱量が上がると燃料利用率が下がるために、燃料ガスの供給流量を減らす必要がある。
熱式質量流量検知手段19は、燃料ガスの持つ熱拡散作用を用いて質量流量を測定するものであり、この種の熱式質量流量検知手段19(例えば、熱線式流量計)においては、流れるガスの種類によって流量と熱拡散作用との関係は変化する。このガス種の流量とその熱拡散作用との関係を表した値がコンバージョンファクタ(以下、「CF」としても表す)と称され、このCFは、窒素(N2)及び空気を基準値「1」とし、各ガス種のCFは、表2に示す通りである。例えば、窒素で設定された熱式質量流量検知手段19(例えば、熱線式流量計)にヘリウム(He)を流すと、CFが1.40である故に、熱式質量流量検知手段19の計測値の1.4倍の流量が流れる(熱式質量流量検知手段19の計測表示値が例えば100cc/minであると、実際の流量は140cc/minとなる)。
燃料ガスの組成が変化した際の熱量、価数(電子数)、CF、燃料利用率及びS/Cの関係を表3に示す。表3は、燃料電池セルスタック8の出力電力(発電電力)が500Wの場合のこれらの関係を示し、このような関係の表は、燃料電池セルスタック8の各出力電力(例えば、500W、600W、700Wなど)に対応して設けられる。燃料ガスの熱量と価数(電子数)とは、上述したように上記(3)式(図4も参照)に示す通りの関係があり、燃料ガスの熱量からその価数を算出することができる。また、燃料ガスの熱量と燃料利用率とは、上述したように上記(4)式(図5も参照)に示す通りの関係があり、燃料ガスの熱量から燃料利用率を算出することができる。
燃料ガスの組成が変動したときの燃料ガスの価数変動に伴う燃料ガスの供給流量の補正及び熱式質量流量検知手段19の計測流量の変動に伴う燃料ガス供給流量の補正について説明すると、次の通りである。燃料電池システム2の効率的な運転を行うために、例えば、S/Cが例えば2.0に、また燃料利用率(Uf)が例えば60%に設定されている場合を一例として説明すると、例えば、電力負荷に応じて燃料電池セルスタック8の出力電力(即ち、発電電力)が設定され、これによって、燃料電池スタック8から取り出す電流値が設定され、燃料利用率が例えば60%であることから、この電流値を発電するに要する燃料ガスの供給流量(この供給流量に対応する燃料ポンプ20の回転数)が設定される。また、このように設定された燃料ガスの供給流量を基に、S/Cが例えば2.0に設定されることから、燃料ガスを水蒸気改質するための改質用水の供給流量(この供給流量に対応する水ポンプ26の回転数)が設定され、このようにして発電電力に対応する燃料ガス及び改質用水の供給流量が設定される。
例えば、熱量45MJ/m3の燃料ガスを用いて燃料電池セルスタック8が例えば発電電力500Wで運転状態されているときの燃料ガスの供給流量が例えば2.0L/min、また改質用水の供給流量が例えば3.75mL/minとし、このような運転状態において燃料ガスの組成変動によりその熱量が例えば40MJ/m3に変動したとすると、燃料ガスの価数(電子数)の変化及びCFの変化を考慮すると、表3から明らかなように、燃料利用率(Uf)は62.3%に、またS/Cは2.15に変わる。
燃料ガスの組成変動により上昇した燃料利用率(Uf)を62.3%から60%に下げるためには、燃料ガスの供給流量(W1)を2.08L/min〔2.0(L/min)×102.3=2.08(L/min)〕にすることによって、変動した燃料利用率(Uf)を元の設定値の60%に戻すことができる。また、このように燃料ガスの供給流量を2.08L/minに変更することによって、S/Cが2.15から2.07に変わるので、このS/Cを2.15から2.0に下げるためには、水供給流量を3.62mL/min(上記(1)式を用いて演算する)にすることによって、変動したS/Cを元の設定値の2.0に戻すことができる。
上述したように水供給流量、燃料ガス供給流量を制御することによって、燃料ガスの組成が変動してもS/C及び燃料利用率を所定値に維持することができ、この燃料電池システム2は、このように制御ために図2に示す制御系を備えるとともに、その過渡的期間における不都合を解消するために、上述したバッファ手段21(図1参照)が設けられている。
図2を参照して、この燃料電池システム2の制御系は、例えば、マイクロプロセッサなどから構成されるコントローラ62を備え、このコントローラ62は、出力電流設定手段64、燃料ガス流量演算手段66、水流量演算手段67、ガス組成変動判定手段68、S/C演算手段70及び燃料利用率演算手段72を含んでいる。出力電力設定手段64は、例えば、燃料電池システム2の発電電力を消費する電力負荷(図示せず)に関連して設けられる電力負荷検知手段74の検知負荷状態に応じて出力電力(発電電力)を設定し、例えば電力負荷をまかなうように出力電力を設定する。例えば、電力負荷が500Wであるときには、燃料電池セルスタック8の出力電力が500Wとなるように設定する。燃料ガス流量演算手段66は、燃料利用率が例えば60%に維持されるように燃料ガスの供給流量を演算し、また水流量演算手段67は、燃料ガスを上述した供給流量流したときにS/Cが2.0となるように改質用水の供給流量を演算する。
ガス組成変動判定手段68は、熱量検知手段18の検知信号に基づいてガス組成が変動したかを判定し、例えば、上記表3に示したように、燃料ガスの熱量が例えば「1」変化したときに燃料ガスの組成が変動したと判定する。S/C演算手段70は、変動したガス組成によるS/Cを演算し、また燃料利用率演算手段72は、変動したガス組成による燃料利用率を演算する。
このコントローラ62は、更に、制御手段76及びメモリ手段78を含んでいる。制御手段80は、燃料ポンプ20、水ポンプ26及び空気ブロア30の回転数を制御して改質器4に送給される燃料ガス及び改質用水の供給流量を制御するとともに、燃料電池セルスタック8に送給される空気の供給流量を制御する。また、メモリ手段78には各種データ、例えば燃料ガスの組成変化に関するデータ(表3に関するデータ)、S/Cに関するデータ(上記(1)式に関するデータ)及び燃料利用率(Uf)に関するデータ(上記(2)式に関するデータ)などが登録されている。
次に、上述した制御系による燃料電池システム2の稼働制御について説明する。主として図2及び図3を参照して、燃料ガスの組成変動前においては、変化前の燃料ガスの組成により燃料電池システム2が稼働運転される(ステップS1)。例えば、燃料利用率が60%に、またS/Cが2.0に設定された稼働運転状態において、出力電力(発電電力)500W時に熱量45MJ/m3の組成の燃料ガスが供給されているときには、燃料ガスの供給流量が例えば2.0L/minに、また改質用水の供給流量が例えば3.75mL/minとなるように設定され、制御手段80は、燃料ガス及び改質用水の供給流量が上述した供給流量となるように燃料ポンプ20及び水ポンプ26を作動制御し、このように制御することによって、燃料電池システム2(燃料電池セルスタック8)は、S/Cが2.0で、燃料利用率が60%で稼働運転される。
このような稼働運転状態において、組成が45MJ/m3の燃料ガスから組成が40MJ/m3の燃料ガスに切り換わると、ガス組成変動判定手段68は、熱量検知手段18からの検知信号に基づいてガス組成の変動有りと判定し、ステップS2を経てステップS3に進む。
このように燃料ガスが切り換わってその組成が変動すると、ステップS3において、燃料利用率演算手段72は、組成変動した燃料ガスの価数及びCFを考慮して、組成変動した燃料ガスの燃料利用率を演算し、またS/C演算手段70は、組成変動した燃料ガスのS/Cを演算し(ステップS4)、燃料利用率を設定の値(例えば60%)に戻すために、燃料ガス流量演算手段66は、上述したようにして燃料ガスの供給流量を演算し(ステップS5)、また水流量演算手段67は、S/Cを設定値(例えば、2.0)に戻すために、上述したようにして改質用水の供給流量を演算する(ステップS6)。そして、制御手段80は、演算流量の燃料ガスが供給されるように燃料ポンプ20を回転制御するとともに、演算流量の水が供給されるように水ポンプ26を回転制御する(ステップS6)。
燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けていない場合、燃料ガスが例えば45MJ/m3から例えば40MJ/m3に切り換わったときには、その組成の変動も急に切り換わり、熱量検知手段18がガス組成の変動した燃料ガスを検知したときには、この熱量検知手段18の配設部位から燃料電池セルスタック8までの間の領域(気化器4及び改質器6などが存在する領域)に、変動前のガス組成の燃料ガス(即ち、45MJ/m3の燃料ガス)が存在しており、この燃料ガスが過渡的期間(具体的には、熱量検知手段18にて検知された変動後の組成の燃料ガスが燃料電池スタック8に送給されるまでの期間に相当する)においては、この変動前のガス組成の燃料ガスが燃料電池セルスタック8に供給される。このとき、燃料ガスの熱量が45MJ/m3から40MJ/m3に変化しており、従って、熱量検知手段18により燃料流量をフィードバックした燃料流量値が、例えば2.08L/minとなり、この過渡的期間においては、変更前の組成の燃料ガス、即ち45MJ/m3の燃料ガスが2.08L/minで供給され、また改質用水が3.62mL/minで供給されるようになり、図6に「−△−」(燃料利用率)及び「−□−」(S/C)で示すように、過渡的に燃料利用率(Uf)が大きく下がり、S/Cも大きく低下する。
このような過渡的期間におけるS/Cの大幅な低下は、カーボンの析出の原因となり、燃料電池セルスタック8の劣化が速まり、その耐久性が低下するために、このような運転状態を避ける必要がある。尚、燃料利用率の低下は発電効率の低下となるが、可逆的な事象であるために、過渡的に避ける必要性は低くなる。
これに対して、燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けた場合、燃料ガスが例えば45MJ/m3から例えば40MJ/m3に切り換わったときには、その組成の変動は緩和されて少しずつ変動する。即ち、変動前のガス組成の燃料ガスが満たされているバッファ手段21に変動後の燃料ガスが少しずつ送給され、このバッファ手段21にて混合された燃料ガスが下流側に熱量検知手段18に送給される。従って、熱量検知手段18によるガス組成の変動は、熱量が少しずつ減少するように変動し、ガス組成変動を検知した当初は、この熱量検知手段18の配設部位から燃料電池セルスタック8までの間の領域(気化器4及び改質器6などが存在する領域)に、変動前のガス組成の燃料ガス(即ち、45MJ/m3の燃料ガス)が存在するが、その後は、上流側から熱量が少しずつ減少する燃料ガスが流れ、このような燃料ガスが過渡的期間(具体的には、変動後の組成の燃料ガスが燃料電池スタック8に送給されるまでの期間に相当する)の前半において燃料電池セルスタック8に送給される。従って、この過渡的期間の期間前半においては、熱量検知手段18により燃料流量をフィードバックした燃料流量値が、例えば2.08L/minとなるように少しずつ増加し、また改質用水が3.62mL/minとなるように少しずつ減少して供給され、図6に「−▲−」(燃料利用率)及び「−■−」(S/C)で示すように、過渡的に燃料利用率(Uf)が60%から少しずつ下がり、またS/Cが2.0から少しずつ低下する。
このような過渡的期間の期間前半におけるS/Cの僅かな低下は、カーボンの析出が生じず、これによって、燃料電池セルスタック8の劣化を抑えることができ、その結果、燃料電池セルスタック8の耐久性の低下を抑えることができる。
その後、熱量検知手段18が切換え後の燃料ガス(即ち、40MJ/m3の燃料ガス)を検知すると、燃料流量値が例えば2.08L/minで供給されるように、また改質用水が3.62L/minで供給されるように設定される。このとき、熱量検知手段18の配設部位から燃料電池セルスタック8までの間の領域には、変動前の燃料ガスと変動後の燃料ガスとが混合した燃料ガス(熱量検知手段19に近いほど変動後の燃料ガスの熱量に近い燃料ガス)が存在しており、その後は、上流側から変更後の熱量に少しずつ近づく燃料ガスが流れ、このような燃料ガスが過渡的期間の後半において燃料電池セルスタック8に送給される。従って、この過渡的期間の期間後半においては、熱量検知手段18により燃料流量をフィードバックした燃料流量値が、例えば2.08L/minとなるように、また改質用水が3.62mL/minとなるように供給され、燃料利用率(Uf)は、図6に「−▲−」で示すように60%に近づくように少しずつ上昇し、またS/Cは、図6に「−■−」で示すように2.0に近づくように少しずつ上昇する。そして、変動後の燃料ガス(40MJ/m3の燃料ガス)が燃料電池セルスタック8に送給されると、燃料利用率が60%で、S/Cが2.0である運転状態で、燃料電池システムは安定して稼働運転される。
また、安定した稼働運転状態(燃料利用率60%、S/C2.0の運転状態)において、例えば組成が40MJ/m3の燃料ガスから組成が45MJ/m3の燃料ガスに切り換わると、上述したと同様に、ガス組成変動判定手段68は、熱量検知手段18からの検知信号に基づいてガス組成の変動有りと判定し、燃料利用率演算手段72は、組成変動した燃料ガスの価数及びCFを考慮して、組成変動した燃料ガスの燃料利用率を演算し、またS/C演算手段70は、組成変動した燃料ガスのS/Cを演算し、燃料利用率を設定の値(例えば60%)に戻すために、燃料ガス流量演算手段66は、上述したようにして燃料ガスの供給流量を演算し、また水流量演算手段67は、S/Cを設定値(例えば、2.0)に戻すために、上述したようにして改質用水の供給流量を演算し、制御手段80は、演算流量の燃料ガスが供給されるように燃料ポンプ20を回転制御するとともに、演算流量の水が供給されるように水ポンプ26を回転制御する。
燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けていない場合、燃料ガスが例えば40MJ/m3から例えば45MJ/m3に切り換わったときには、その組成の変動も急に切り換わり、熱量検知手段18がガス組成の変動した燃料ガスを検知したときには、この熱量検知手段18の配設部位から燃料電池セルスタック8までの間の領域に、変動前のガス組成の燃料ガス(40MJ/m3の燃料ガス)が存在しており、この燃料ガスが過渡的期間(具体的には、熱量検知手段18にて検知された変動後の組成の燃料ガスが燃料電池スタック8に送給されるまでの期間に相当する)においては、この変動前のガス組成の燃料ガスが燃料電池セルスタック8に供給される。このとき、燃料ガスの熱量が40MJ/m3から45MJ/m3に変化しており、従って、熱量検知手段18により燃料流量をフィードバックした燃料流量値が、例えば2.0L/minとなり、この過渡的期間においては、変更前の組成の燃料ガス、即ち40MJ/m3の燃料ガスが2.0L/minで供給され、また改質用水が3.75mL/minで供給されるようになり、図7に「−△−」(燃料利用率)及び「−□−」(S/C)で示すように、過渡的に燃料利用率(Uf)が大きく上がり、S/Cも大きく上昇するようになる。
このような過渡的期間における燃料利用率の大幅な上昇は、燃料電池セルスタック8の耐久性の低下の原因となり、このような運転状態を避ける必要がある。尚、S/Cの大きな上昇は、発電効率の低下となるが、可逆的な事象であるために、過渡的に避ける必要性は低くなる。
これに対して、燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けた場合、燃料ガスが例えば40MJ/m3から例えば45MJ/m3に切り換わったときには、その組成の変動は緩和されて少しずつ変動する。従って、熱量検知手段18によるガス組成の変動は、熱量が少しずつ増加するように変動し、ガス組成変動を検知した当初は、この熱量検知手段18の配設部位から燃料電池セルスタック8までの間の領域に、変動前のガス組成の燃料ガス(40MJ/m3の燃料ガス)が存在するが、その後は、上流側から熱量が少しずつ増加する燃料ガスが流れ、このような燃料ガスが過渡的期間(具体的には、変動後の組成の燃料ガスが燃料電池スタック8に送給されるまでの期間に相当する)の前半において燃料電池セルスタック8に送給される。従って、この過渡的期間の期間前半においては、熱量検知手段18により燃料流量をフィードバックした燃料流量値が、例えば2.0L/minとなるように少しずつ減少し、また改質用水が3.75mL/minとなるように少しずつ増加して供給され、図7に「−▲−」(燃料利用率)及び「−■−」(S/C)で示すように、過渡的に燃料利用率(Uf)が60%から少しずつ上がり、またS/Cが2.0から少しずつ上昇する。
このような過渡的期間の期間前半におけるS/Cの僅かな上昇は、燃料電池セルスタック8の耐久性の低下にほとんど影響がなく、燃料電池セルスタック8の寿命低下を抑えることができる。
その後、熱量検知手段18が切換え後の燃料ガス(45MJ/m3の燃料ガス)を検知すると、燃料流量値が例えば2.0L/min供給されるように、また改質用水が3.75L/min供給されるように設定される。このとき、熱量検知手段18の配設部位から燃料電池セルスタック8までの間の領域には、変動前の燃料ガスと変動後の燃料ガスとが混合した燃料ガス(熱量検知手段19に近いほど変動後の燃料ガスの熱量に近い燃料ガス)が存在しており、その後は、上流側から変更後の熱量に少しずつ近づく燃料ガスが流れ、このような燃料ガスが過渡的期間の後半において燃料電池セルスタック8に送給される。従って、この過渡的期間の期間後半においては、熱量検知手段18により燃料流量をフィードバックした燃料流量値が、例えば2.0L/minとなるように、また改質用水が3.75mL/minとなるように供給され、燃料利用率(Uf)は、図7に「−▲−」で示すように60%に近づくように少しずつ下がり、またS/Cは、図7に「−■−」で示すように2.0に近づくように少しずつ低下する。そして、変動後の燃料ガス(45MJ/m3の燃料ガス)が燃料電池セルスタック8に送給されると、燃料利用率が60%で、S/Cが2.0である運転状態で、燃料電池システムは安定して稼働運転される。
次に、 図8〜図11を参照して、第2の実施形態の燃料電池システムについて説明する。この第2の実施形態の燃料電池システムでは、熱量が小さい燃料ガスに切り換わったときのS/Cの低下を更に小さく抑えるとともに、熱量が大きい燃料ガスに切り換わったときの燃料利用率(Uf)の上昇を更に小さく抑えるために、バッファ手段に加えて、次の通りの修正が施されている。
図8において、この第2の実施形態では、燃料電池システムの基本的構成は、第1の実施形態のものと実質上同一であり、コントローラ62Aの構成に修正が施されている。このコントローラ62Aは、出力電流演算手段64、燃料ガス流量演算手段66、水流量演算手段67、ガス組成変動判定手段68、S/C演算手段70、燃料利用率演算手段72などに加えて、燃料ガス流量補正手段92、水流量補正演算手段94及び計時手段96を含んでいる。燃料ガス流量補正演算手段92は、組成変更前の燃料ガスの供給流量以上となるように、例えばこの供給流量よりも例えば5〜10%程度多くなるように供給流量を演算する。また水流量補正演算手段94は、組成変更前の改質用水の供給流量以上となるように、例えば、この供給流量よりも5〜20%程度多くなるように供給流量を演算する。また、計時手段96は、計時を行い、この形態では、ガス組成変動判定手段68がガス組成の変動を判定した後に計時を開始し、この計時開始から所定時間(例えば、20〜40秒程度であって、例えば25秒程度に設定される)を計時する。コントローラ62A及びこれを含む燃料電池システムのその他の構成は、上述した第1の実施形態のものと実質上同一である。
次に、図8に示す制御系による燃料電池システムの稼働制御について説明する。図8とともに図9を参照して、燃料ガスの組成変動前においては、変化前の燃料ガスの組成により燃料電池システム2が稼働運転される(ステップS1)。例えば、燃料利用率が60%に、またS/Cが2.0に設定された稼働運転状態において、出力電力(発電電力)500W時に熱量45MJ/m3の組成の燃料ガスが供給されているときには、上述したと同様に、燃料ガスの供給流量が例えば2.0L/minに、また改質用水の供給流量が例えば3.75mL/minとなるように設定され、制御手段76は、燃料ガス及び改質用水の供給流量が上述した供給流量となるように燃料ポンプ20及び水ポンプ26を作動制御する。
このような稼働運転状態において、燃料ガスの組成が変動して例えば燃料ガス熱量が40MJ/m3に減少すると、ガス組成変動判定手段68は、熱量検知手段18からの検知信号に基づいてガス組成の変動有りと判定し、ステップS12からステップS13及びステップS14を経てステップS15に移る。
このようにガス組成の変動があると、計時手段96が計時を開始する(ステップS15)。そして、燃料利用率演算手段72は、変動した組成の燃料ガスの価数及びCFを考慮して、変動した組成の燃料ガスの燃料利用率を演算し(ステップS16)、またS/C演算手段70は、変動した組成の燃料ガスのS/Cを演算し(ステップS17)、燃料利用率を設定の値(例えば60%)に戻すために、燃料ガス流量演算手段66は、上述したようにして燃料ガスの供給流量を演算し(ステップS18)、また水流量演算手段67は、S/Cを設定値(例えば、2.0)に戻すために、上述したようにして改質用水の供給流量を演算する(ステップS19)。
この実施形態では、燃料ガスの熱量が減少するように組成が変動したときには、改質用水の供給流量が増えるように補正演算して供給するように構成されている。ステップS20においては、改質用水の供給流量の補正が行われて燃料電池システムが稼働されているかが判断される。そして、この改質用水の供給流量の補正が行われていないときには、水流量補正演算手段94は、組成変動前の改質用水の供給流量以上となる、例えば組成変動前の供給流量よりも5〜20%(例えば、10%)多くなるように例えば4.11mL/minと補正演算し、水流量補正演算手段94により補正演算された水供給流量によって燃料電池システムが稼働運転され、改質用水の補正演算された後は、この補正供給流量でもって燃料電池システムが稼働運転される。
このような制御は、燃料ガスの熱量が安定するまで行われ、燃料ガスの熱量が安定する(換言すると、熱量検知手段18が切換え後の燃料ガスを検知する)と、燃料ガスが例えば2.08L/minで供給されるように、また改質用水が3.62mL/minで供給されるように設定され、ステップS23からステップS24に進む。そして、計時手段96が所定時間(例えば、25秒)を計時すると、ステップS25に進み、補正された水供給流量(4.11mL/min)による燃料電池システムの稼働運転が終了し、燃料電池システムは、変動後の燃料ガスの熱量に基づいて設定された燃料ガスの供給流量(2.08L/min)及び改質用水の供給流量(3.62mL/minでもって稼働運転される。
燃料電池システムの燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けた場合、上述したように、図10に「−▲−」(燃料利用率)及び「−■−」(S/C)で示す通りとなり、過渡的においてに燃料利用率(Uf)が60%から少しずつ下がった後に少しずつ上昇して60%に戻り、またS/Cが2.0から少しずつ下がった後に少しずつ上昇して2.0に戻り、変動後の燃料ガスに完全に切りかわった後(即ち、過渡的期間の後)は、燃料ガスが2.08L/minで、改質用水が3.62mL/minで供給されて燃料電池システムが稼働運転され、この稼働運転状態においては、燃料利用率(Uf)が60%に、またS/Cが2.0に維持される。
これに対して、燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けるとともに、燃料ガスの熱量が減少するように変動したときに改質用水の供給流量を増大させるように制御した場合、燃料ガスが例えば45MJ/m3から例えば40MJ/m3に切り換わったときには、燃料ガスについては上述したと同様に供給されるが、改質用水については、過渡的期間にわたって例えば4.11mL/minと増量して供給され、このように改質用水の供給流量を増やすことによって、燃料利用率(Uf)については単にバッファ手段21を設けた場合と同様であるが、S/Cについては単にバッファ手段21を設けた場合に比して大きくなる。従って、図10に「−▲−」(燃料利用率)及び「−◆−」(S/C)で示す通り、燃料利用率(Uf)については、60%から少しずつ下がった後に少しずつ上昇して60%に戻り、またS/Cについては、2.0から少し上昇した(改質用水の供給流量が増大したことにより上昇する)後少しずつ下がり、その後に少しずつ上昇した後少し下がって(改質用水の増量供給が終了したことにより下がる)2.0に戻り、変動後の燃料ガスに完全に切りかわった後(即ち、過渡的期間の後)は、燃料ガスが2.08L/minで、改質用水が3.62mL/minで供給されて燃料電池システムが稼働運転される(ステップS26)。
このような過渡的期間におけるS/Cの低下幅は、改質用水の補正増量の制御を行うことにより更に小さくすることができ、これによって、燃料ガスの熱量変動時のカーボンの析出を抑え、燃料電池セルスタック8の劣化を抑えることができる。
また、例えば、燃料利用率が60%に、またS/Cが2.0に設定された稼働運転状態において、出力電力(発電電力)500W時に熱量40MJ/m3の組成の燃料ガスが供給されているときには、上述したと同様に、燃料ガスの供給流量が例えば2.08L/minに、また改質用水の供給流量が例えば3.62mL/minとなるように設定され、制御手段76は、燃料ガス及び改質用水の供給流量が上述した供給流量となるように燃料ポンプ20及び水ポンプ26を作動制御する。
このような稼働運転状態において、燃料ガスの組成が変動して例えば燃料ガス熱量が45MJ/m3に増大すると、ガス組成変動判定手段68は、熱量検知手段18からの検知信号に基づいてガス組成の変動有りと判定し、ステップS12からステップS13を経てステップS27に移る。
ステップS27においては、計時手段96が計時を開始し、この計時開始によって過渡的な制御が行われる。燃料利用率演算手段72は、変動した組成の燃料ガスの価数及びCFを考慮して、変動した組成の燃料ガスの燃料利用率を演算し(ステップS28)、またS/C演算手段70は、変動した組成の燃料ガスのS/Cを演算し(ステップS29)、燃料利用率を設定の値(例えば60%)に戻すために、燃料ガス流量演算手段66は、上述したようにして燃料ガスの供給流量を演算し(ステップS30)、また水流量演算手段67は、S/Cを設定値(例えば、2.0)に戻すために、上述したようにして改質用水の供給流量を演算する(ステップS31)。
この実施形態では、燃料ガスの熱量が増大するように組成が変動したときには、燃料ガスの供給流量が増えるように補正演算して供給するように構成されている。ステップS32においては、燃料ガスの供給流量の補正が行われて燃料電池システムが稼働されているかが判断される。そして、この燃料ガスの供給流量の補正が行われていないときには、燃料ガス流量補正演算手段92は、組成変動前の燃料ガスの供給流量以上となる、例えば組成変動前の供給流量よりも5〜20%(例えば、10%)多くなるように例えば2.21L/minと補正演算し、燃料ガス流量補正演算手段92により補正演算された燃料ガス供給流量によって燃料電池システムが稼働運転され、燃料ガスの補正演算された後は、この補正供給流量でもって燃料電池システムが稼働運転される。
このような制御は、燃料ガスの熱量が安定するまで行われ、燃料ガスの熱量が安定する(換言すると、熱量検知手段18が切換え後の燃料ガスを検知する)と、燃料ガスが例えば2.0L/minで供給されるように、また改質用水が3.75L/minで供給されるように設定され、ステップS35からステップS36に進む。そして、計時手段96が所定時間(例えば、25秒)を計時すると、ステップS37に進み、補正された燃料ガス供給流量(2.21mL/min)による燃料電池システムの稼働運転が終了し、燃料電池システムは、変動後の燃料ガスの熱量に基づいて設定された燃料ガス及び改質用水の供給流量でもって稼働運転される(ステップS38)。
燃料電池システムの燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けた場合、上述したように、図11に「−▲−」(燃料利用率)及び「−■−」(S/C)で示す通りとなり、過渡的においてに燃料利用率(Uf)が60%から少しずつ上昇した後に少しずつ下降して60%に戻り、またS/Cが2.0から少しずつ上昇した後に少しずつ下降して2.0に戻り、変動後の燃料ガスに完全に切りかわった後(即ち、過渡的期間の後)は、燃料ガスが2.0L/minで、改質用水が3.75mL/minで供給されて燃料電池システムが稼働運転され、この稼働運転状態においては、燃料利用率(Uf)が60%に、またS/Cが2.0に維持される。
これに対して、燃料ガス供給流路14にバッファ手段21を設けるとともに、燃料ガスの熱量が増大ように変動したときに燃料ガスの供給流量を増やすように制御した場合、燃料ガスが例えば40MJ/m3から例えば45MJ/m3に切り換わったときには、改質用水については上述したと同様に供給されるが、燃料ガスについては、過渡的期間にわたって例えば2.21mL/minと増量して供給され、このように燃料ガスの供給流量を増やすことによって、燃料利用率(Uf)については単にバッファ手段21を設けた場合に比して下がり、S/Cについても単にバッファ手段21を設けた場合に比して小さくなる。従って、図11に「−●−」(燃料利用率)及び「−◆−」(S/C)で示す通り、燃料利用率(Uf)については、60%から少し下がった(燃料ガスの供給流量が増大したことにより降下する)後少しずつ上昇し、その後少しずつ下降した後少し上昇して(燃料ガスの増量供給が終了することにより上昇する)60%に戻り、またS/Cについては、2.0から少し下がった(燃料ガスの供給流量が増大したことにより降下する)後少しずつ上昇し、その後に少しずつ下降した後少し上昇して(燃料ガスの増量供給が終了したことにより上昇する)2.0に戻り、変動後の燃料ガスに完全に切りかわった後(即ち、過渡的期間の後)は、燃料ガスが2.0L/minで、改質用水が3.75mL/minで供給されて燃料電池システムが稼働運転される。
このような過渡的期間における燃料利用率(Uf)の上昇幅は、燃料ガスの補正増量の制御を行うことにより更に小さくすることができ、これによって、燃料ガスの熱量変動時の燃料電池セルスタック8の耐久性低下を更に抑えることができる。
以上、本発明に従う燃料電池システムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。