この種の従来のレンズが集光用に用いられた固体撮像素子については、特許文献1に開示されており、図17〜図22を参照して説明する。
図17は、特許文献1に開示されている従来の固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
図17において、従来の固体撮像素子100は、シリコン基板101の所定領域に、入射された光を信号電荷に変換する光電変換機能を有する受光部102が形成されている。この受光部102が形成されたシリコン基板101上には、SiO2からなる層間絶縁膜103が形成されている。この層間絶縁膜103上の所定領域にAlからなる遮光膜104が形成されている。これらの遮光膜104および層間絶縁膜103を覆うように層間絶縁膜105が形成されている。
さらに、層間絶縁膜105上に、上に凸のレンズ形状を有する凸部106aと、その周囲に設けられた平坦部106bとを有するSiN膜106が形成されている。このSiN膜106の凸部106aは、受光部102の上方および遮光膜104の開口領域104aの上方に配置されていると共に、平坦部106bから所定の曲率半径を持っている。SiN膜106の平坦部106bは、遮光膜104の遮光領域の上方に配置されていると共に、その上のSiN膜107が、SiN膜106の平坦部106bを埋め込むように膜状に形成されている。このSiN膜107上には樹脂層108を介して光学レンズ109が一体的に形成されている。
図18〜図22は、図17の従来の固体撮像素子100の製造方法を説明する各製造工程を示す要部縦断面図である。
まず、図18のSiN膜形成工程に示すように、光電変換部としての複数の受光部102が形成されたシリコン基板101上に、SiO2からなる層間絶縁膜103を形成する。層間絶縁膜103上の所定領域に、Alからなる遮光膜104を成膜した後に、受光部102の上方の遮光膜104に開口領域104aを形成する。その後、遮光膜104および層間絶縁膜103上を覆うようにSiO2からなる層間絶縁膜105を形成する。この後、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、層間絶縁膜105上に約2.5μmの厚みを有するSiN膜106cを形成する。
次に、図19のレジスト膜成膜工程に示すように、SiN膜106c上に約2μmの厚みを有するレジスト膜110を塗布する。
続いて、図20のレジストパターニング工程に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜110を、約4.8μmの幅にすると共に、隣接するレジスト膜110a間の距離を約0.4μmの間隔にする。その後、アッシングを行うことによって、隣接するレジスト膜110a間のSiN膜106c上に薄く残ったレジスト部分(図示せず)を除去する。このアッシングの条件としては、O3ガスを用いて、約1気圧で約摂氏200度〜約摂氏400度の温度で、約5秒〜約30秒間行う。
その後、図21の熱処理工程(レジストレンズ形状形成工程)に示すように、約摂氏150度で約30分間の熱処理を行うことによって、レジスト膜110aの流動性を向上させて、レジスト膜110aは溶融して表面張力により、上に凸の一部球状のレンズ形状を有するレジスト膜110bになる。
さらに、図22のSiN膜レンズ形状形成工程に示すように、この上から、凸形状のレジスト膜110bとSiN膜106cとを同時にエッチングすることによって、レジスト膜110bの凸形状を反映した同じ凸形状のレンズ形状を有するSiN膜106を形成する。
具体的には、SiN膜106を、平坦部106bからの所定高さの上に凸形状の凸部106aと、所定幅で所定の厚みを有する平坦部106bとを有する形状に加工する。このエッチング時には、酸素ガスを増量することによって、レジスト膜110bに対するアッシングも同時に行われるので、このエッチング時に、レジスト膜110bは除去されることになる。
なお、このときの具体的なエッチング条件としては、ガス圧力:約19.95Pa〜約39.9Pa、ガス:CHF3ガス(約0ml/s〜約15ml/s)、CF4ガス(約60ml/s〜約100ml/s)、Arガス(約600ml/s〜約900ml/s)およびO2ガス(約25ml/s〜約35ml/s)、高周波電力:約120W〜約200Wである。
さらに、図17に示すように、膜状SiN膜形成工程において、CVD法を用いて、凸部106aと平坦部106bとを有するレンズ形状を有するSiN膜106上に、SiN膜106の平坦部106bを埋め込むように、約0.1μmの厚みを有する膜状のSiN膜107を形成する。
これにより、層内のマイクロレンズとしてのSiN膜106および107を有する集光レンズが形成される。さらに、この集光レンズ上に樹脂層108が形成され、その樹脂層108上に光学レンズ109が形成される。これによって、固体撮像素子100が形成される。
この層内のマイクロレンズを構成するSiN膜106の製造方法について、図23(a)〜図23(d)を用いて更に簡単に説明する。
図23(a)〜図23(d)は、図17の層内のマイクロレンズを構成するレンズ形状のSiN膜106の製造方法を簡単に説明するための要部縦断面図である。
まず、図23(a)の高屈折率膜成膜工程に示すように、CVD法を用いて、層間絶縁膜105上に高屈折率膜であるSiN膜106cを形成する。
次に、図23(b)のレジスト膜パターニング工程に示すように、高屈折率膜であるSiN膜106c上にレジスト膜110を成膜し、フォトリソグラフィ技術を用いてレジスト膜110を所定形状のレジスト膜110aに形成する。
続いて、図23(c)のレジストレンズ形状形成工程(熱処理工程)に示すように、熱処理により、レジスト膜110aをリフローしてその表面張力により上に凸の一部球状のレンズ形状を有するレジスト膜110bに形成する。
その後、図23(d)のレジスト膜レンズ形状形成工程に示すように、一部球状でレンズ形状のレジスト膜110bと、高屈折率膜であるSiN膜106cとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜110bのレンズ形状を反映した同じレンズ形状のSiN膜106を層間絶縁膜105上に形成する。これによって、高屈折率膜にレンズ形状を転写することにより層内のマイクロレンズを形成することができる。
以上のように、特許文献1の高屈折率レンズを構成するSiN膜106の製造方法であって、高屈折率膜のSiN膜106cからなる層内レンズを形成する際に、レジスト膜110を所定形状にパターニングし、そのパターニングした所定形状のレジスト膜110aをリフローしてその表面張力によってレンズ形状のレジスト膜110bを形成する。そのレジスト膜110bのレンズ形状を高屈折率膜のSiN膜106cに形状転写して層内の高屈折率レンズを形成している。
このように、リフローの場合、所定レンズ形状のレジスト膜110bの面積を隣のレンズ形状のSiN膜110bにくっ付くまでレンズ形状を大きくすると、後述する図5(d)のように接した部分Xが平らになろうとして上方に浮いてしまって、レンズの使用効率を低下させてしまう。
また、レジスト膜110を所定形状のレジスト膜110aにパターニングする際の線幅のバラツキや、リフロー時の温度のバラツキなどにより、そのレンズ形状の外径やレンズ高さなどの形状にバラツキが生じてしまう。しかも、この上記従来のレンズ形成方法では工程数が多く複雑である。これによって、特に、高画素化した場合に、このレンズ形状のバラツキが顕著になって、受光感度特性のバラツキが顕著になり、画像特性が悪化すると共に、歩留まり低下の原因になるという問題が有った。
このようなリフロー後のレンズ形状のバラツキは、前述したが、リフロー温度のバラツキによっても起こるし、フォトリソ工程での線幅のバラツキや成膜時の膜厚のバラツキによっても起こる。レンズ形状が画素毎に異なると、レンズ形状により集光が異なって受光部102での受光感度のバラツキになる。レンズ形状が異なると、十分に集光しない場合には、集光不良になって歩留まりにも影響する。
上記従来の問題を解決するために、特許文献2として本発明者によって、レンズ面積を広げて隣のレンズ形状と接触しても浮き上がらずレンズ使用効率の低下を来たさず、形状の制御性に優れた透過率階調マスクを用いてレンズを製造するレンズ製造方法が提案されている。
図24(a)〜図24(c)は、特許文献2に開示されている従来の固体撮像素子に用いるレンズ形状の製造方法を簡単に説明するための要部縦断面図である。
従来の固体撮像素子に用いるレンズ形状の製造方法は、まず、図24(a)に示すように、CVD法を用いて、層間絶縁膜205上に高屈折率膜であるSiN膜206aを形成する。
次に、図24(b)に示すように、高屈折率膜であるSiN膜206a上に感光性のあるレジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術としてグレイスケールの透過率階調マスクを用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、レジスト膜を所定のレンズ形状のレジスト膜210に形成する。
これによって、特許文献1のようなリフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜210を、レンズ径やレンズ高さおよびレンズ曲面を所望のレンズ形状に適宜作ることができる。高屈折率膜のレンズ形状は、レンズ径とレンズ高さとの関係が、成膜された高屈折率膜の膜厚以下のレンズ高さに設定可能でレンズ径は任意に設定可能であって、所望のレンズ形状に適宜作ることができる。
この場合、高屈折率膜のレンズ形状は単一の樹脂材料で構成されている。したがって、従来のようなリフロー後のレンズ形状(レンズ高さやレンズ径などの形状)のバラツキを無くすことができる。
続いて、図24(c)に示すように、レンズ形状のレジスト膜210と、高屈折率膜であるSiN膜206aとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜210のレンズ形状を反映した同じレンズ形状の層内レンズ206を形成する。このように、高屈折率膜のSiN膜206aを所望のレンズ形状に転写して層内レンズ206を形成することができる。
このようにして、形状の制御性に優れた透過率階調マスクを用いて形成したレンズ形状のレジスト膜210をドライプラズマエッチングにより高屈折率膜のSiN膜206aに転写して層内レンズ206を得ることによって、レンズ形成の工程数を特許文献1の場合に比べて低減して製造プロセスを簡略化すると共に、所望の高屈折率レンズ形状を容易に形成しかつ高屈折率レンズ間のレンズ形状のバラツキをも抑えて安定したレンズ形状にすることができる。
以下に、本発明のレンズおよびその製造方法を固体撮像素子およびその製造方法に適用した場合の実施形態1〜5および、この固体撮像素子の実施形態1〜5のいずれかを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器の実施形態6について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1におけるCCD固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
図1において、本実施形態1のCCD固体撮像素子1には、複数の画素部が行列方向にマトリクス状に配設されている。その各画素部にはそれぞれ、半導体基板2の表面部に、受光素子として入射光を光電変換して信号電荷を生成するフォトダイオードで構成された受光部3が設けられ、この受光部3に隣接して受光部3からの信号電荷を、信号電荷読み出し部を通して読み出して電荷転送するための電荷転送部4が設けられている。この電荷転送部4および信号電荷読み出し部上にはゲート絶縁膜5を介してゲート電極6が配置されている。このゲート電極6は、信号電荷を読み出すと共に、読み出された信号電荷を電荷転送制御するための電荷転送電極として機能する。これらの受光部3および電荷転送部4からなる半導体基板2の画素部7間(水平方向の間)には画素分離層(素子分離層)としてのストップ層8が設けられている。
このゲート電極6上には、入射光がゲート電極6により反射してノイズが発生するのを防ぐために遮光膜9が絶縁層10を介して形成されている。また、受光部3の上方は遮光膜9には、入射光用の窓部として開口部9aが形成されている。
これらの受光部3の表面と遮光膜9との段差部分を平坦化するための層間絶縁膜11が形成されている。層間絶縁膜11は高屈折率膜(層内レンズ12の材料膜、例えばSiN膜)の下地膜である。この表面が平坦化された層間絶縁膜11上に、受光部3への集光用の層内レンズ12が、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12のレンズ曲面下端部同士が接した状態で、受光部3に対応するように形成されている。
層内レンズ12は、レンズ外周端部における入射光の利用効率の低下を防止するために、そのレンズ外周端部で光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚に設定されている。また、層内レンズ12の平面視4角形状として平面視形状が正方形で受光部3の平面視形状も正方形のときに、受光部3の平面視正方形状の4角部分での受光ロスを防止するように、層内レンズ12の平面視正方形状の対角方向の曲率半径をその以外の曲率半径よりも大きく設定して受光部3の平面視正方形状の4角部分にも入射光が集光するようにしている。これらは後述するマイクロレンズ16の場合も同様である。
この各層内レンズ12上には、各層内レンズ12間の段差を埋め込んでその表面が平坦化するように層間絶縁膜13が形成されている。
さらに、この層間絶縁膜13上には、受光部3毎に配置されたR,G,B各色の所定の色配列(例えばベイヤー配列)のカラーフィルタ14が形成され、さらに、その上に平坦化膜15が形成され、その上に受光部3への集光用のマイクロレンズ16が更に形成されている。この集光用のマイクロレンズ16も、上記層内レンズ12の場合と同様に、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ16同士が接した状態で、各受光部3および各層内レンズ12にそれぞれ対応するように形成されている。
上記構成の本実施形態1のCCD固体撮像素子1の製造方法としては、半導体基板2(または半導体層)上に、入射光を光電変換して撮像する複数の受光部3を2次元状に形成する受光部形成工程と、受光部3毎に隣接して電荷転送手段としての電荷転送部4およびその上のゲート電極6をそれぞれ形成する電荷転送手段形成工程と、ゲート電極6上を覆うと共に、受光部3の上方を開口した遮光膜9を形成する遮光膜形成工程と、受光部3および遮光膜9の段差部上に層間絶縁膜11を形成する第1層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜11上に、上に凸形状の層内レンズ12を、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ形成工程と、層内レンズ12間の凹凸を埋め込むように層間絶縁膜13を形成する第2層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜13上に所定の色配列のカラーフィルタ14を各受光部3の位置に対応して形成するカラーフィルタ形成工程と、このカラーフィルタ14上に、平坦化膜15を介してマイクロレンズ16を、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ16同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成するマイクロレンズ形成工程とを有している。
この層内レンズ12を、入射光の利用面積を広げて入射光量を増やすように隣接層内レンズ12の端部同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ12の形成方法について更に詳細に説明する。
図2(a)〜図2(c)は、本実施形態1のCCD固体撮像素子1の製造方法における層内レンズ形成工程の要部縦断面図である。
まず、図2(a)に示すように、CVD法を用いて、層間絶縁膜11上に高屈折率膜であるSiN膜12aを形成する。
次に、図2(b)に示すように、高屈折率膜であるSiN膜12a上に感光性のレジスト膜(図示せず)を成膜し、フォトリソグラフィ技術としてグレイスケールの透過率階調マスクを用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、レジスト膜を所定のレンズ形状のレジスト膜17に形成する。この場合、入射光の利用面積を広げて入射光量を増やすように隣接レジスト膜17の端部同士が屈折が可能な膜厚で互いに接するように形成している。
これによって、従来のようなリフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を、レンズ径やレンズ高さおよびレンズ曲面を所望のレンズ形状に適宜作ることができる。高屈折率膜のレンズ形状は、レンズ径とレンズ高さとの関係が、成膜された高屈折率膜の膜厚以下のレンズ高さに設定可能でレンズサイズは任意に設定可能であって、所望のレンズ形状に適宜作ることができる。この場合、高屈折率膜のレンズ形状は単一の樹脂材料で構成されている。したがって、従来のようなリフロー後のレンズ形状(レンズ高さやレンズ径などの形状)のバラツキをなくすことができる。
続いて、図2(c)に示すように、レンズ形状のレジスト膜17と、高屈折率膜であるSiN膜12aとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜17のレンズ形状を反映した同じレンズ形状の層内レンズからなる層内レンズ12を形成する。このように、高屈折率膜に所望のレンズ形状を転写して層内レンズ12を形成することができる。
要するに、レンズの形成方法として、下地膜としての層間絶縁膜11上に高屈折率膜のSiN膜12aを形成する高屈折率膜形成工程と、SiN膜12a上に感光性レジスト膜を成膜し、透過率階調マスクを用いて照射光量を平面的に制御して、感光性レジスト膜17のレンズ形状に形成するレジストレンズ形状形成工程と、レンズ形状の感光性レジスト膜17とSiN膜12aとを同時にエッチングすることにより、感光性レジスト膜17のレンズ形状を反映した同じ高屈折率レンズ形状の層内レンズ12に形成する高屈折率膜レンズ形状形成工程とを有している。
このように、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて、従来のようなリフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を作るため、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12のレンズ曲面端部同士が接したレンズ形状にしたり、レンズ厚さを最適な厚さにするなど、所望のレンズ形状に形成することができると共に、レンズ形成工程が簡略化できて、レンズ形状が画素毎のバラツキを大幅に抑制することができ、受光部3での受光感度のバラツキを抑制または防止することができる。
ここで、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて層内レンズ12を形成する場合についてさらに詳細に説明する。
従来では、マスクにより平面視正方形のレジスト膜を形成し、正方形のレジスト膜を熱処理によってリフローしてその表面張力により転写用のレンズ形状のレジスト膜を作っていたが、本実施形態1では、グレイスケールの透過率階調マスクを用いてリフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を直接作っている。これによって、レンズ形成工程が簡略化できる。さらに、転写用のレンズ形状のレジスト膜17を用いて高屈折率膜をエッチングして層内レンズ12を作っている。このレンズ形成方法は層内レンズ12に適用できるだけではなく、前述したように、マイクロレンズ16にも適用することができて、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ16同士が接した状態でマイクロレンズ16を各受光部3の位置に対応して形成することができる。
グレイスケールの透過率階調マスクは、図3に示すように、レンズ形状のレジスト膜17の周囲ほど光透過率がよく、周囲ほど強い光が感光性のレジスト膜17aに照射されて、断面が上に凸のレンズ形状に形成されるように透過光量が制御されるようになっている。要するに、この透過率階調マスクでは、レンズ中央部分ほど透過する光量が面積的に少なくなるように構成されており、レンズ周囲部ほど透過する光量が面積的に多くなるように構成(遮光材のクロムのパターン密度、例えばドットパターン密度により透過光量を調整)されて、図3に示すようにレジスト膜17aを上に凸のレンズ形状のレジスト膜17に形成することができる。
一方、レジスト膜17a自体は、図4(a)に示すように、レジスト膜のパターニング時に使用する通常の高感度レジスト膜材料のように所定光量で急激にレジスト残膜量が低下して所定パターンを形成し易いものではなく、図4(b)に示すように、レジスト膜17aの材質は、照射光量の増加に伴ってレジスト残膜量が徐々に低下していく特性ライン(γカーブ)が横に寝ている低感度レジスト膜材料を用いる。
このように、本実施形態1で用いるレジスト膜17aは、照射光量に応じてレジスト残膜量が徐々に変化するレジスト膜材料を用いることができる。要するに、この感光性のレジスト膜17aは、透過率階調マスクの透過光量である照射光量の増加に伴ってレジスト残膜量が、通常用いられるパターン形成用の感光性レジスト膜に比べて徐々に低下していく特性を有している。
層内レンズ12のレンズ材料となる高屈折率膜であるSiN膜12aの他に、SiON膜があるが、SiN膜12aの屈折率2.0に対して、SiON膜の屈折率1.8〜1.9程度であり、窒化膜系材料を用いる。層内レンズ12は、グレイスケールの透過率階調マスクを用いてSiN膜12aに対して直に、エッチングを介さずに露光によってレンズ形状を形成することができればそれに越したことがないが、透過率階調マスクでレンズ形状が得られる高屈折率材料がないため、透過率階調マスクでレジスト膜12aをレンズ形状にした後に、エッチングを用いてそのレジスト膜のレンズ形状を高屈折率膜に転写して高屈折率の層内レンズ12を形成している。
また、画素サイズは、1辺が1.3μm程度であり、これに対応した微細なレンズを所望のレンズ形状で、透過率階調マスクを用いて高屈折率膜でレンズを作ることについてはどの文献にも何ら記載されていない。このレンズ材料については、層内レンズ12で説明しているが、マイクロレンズ16にも適用することができる。
層内レンズ12は、図5(a)に示すように平面視正方形(または矩形)である4角形であるが、隣接する層内レンズ12同士は、レンズ外周端縁部にて互いに接して、入射光をより多く集めることができるように大面積になっている。
したがって、図5(a)の平面視正方形の層内レンズ12のAA’断面は、図5(b)のように、隣接する層内レンズ12同士が左右のレンズ面下端部でくっ付いて一体化している。
これに対して、従来のように、リフロー後に転写用のレンズ形状のレジスト膜を作る場合には、所定形状が例えば平面視正方形または矩形に形成されたレジスト膜を熱処理でリフローすると、平面視正方形または矩形の角部分が溶けて丸くなり、さらに溶けて平面視円形のレンズ形状になってしまい、このリフローによって、平面視正方形または矩形のレンズ形状で転写用のレジスト膜を作ることはできない。この平面視正方形または矩形のレンズ形状の方が、平面視円形のレンズ形状に比べてレンズ間の隙間面積が少なくて済み、その分、入射光の利用効率を面積的に向上させることができて、受光感度の向上にも寄与することができる。
また、従来のように、リフロー後に転写用のレンズ形状のレジスト膜を作る場合、図5(c)の実線に示すように、平面視円形のレンズ形状であって隣接する円形レンズ形状(実線)同士が所定距離だけ離間しているのに対して、図5(c)の点線で示すように、本実施形態1において平面視円形と仮定した場合の層内レンズでは、隣接する円形レンズ形状の外形同士が互いに接することができる。仮に、図5(c)の実線に示す従来の円形レンズ形状が、図5(c)の点線に示す径が大きい円形レンズ形状のように互いに外形同士が接した場合には、図5(d)のように、リフロー時に、円形レンズ形状の裾野の方(レンズ面下端部)で接し、その接した部分Xが平らになろうとして上方に浮いてしまって、レンズの使用効率を低下させてしまう。
したがって、本実施形態1の層内レンズ12では、図5(a)のように平面視正方形(または矩形)のように、隣接レンズ間のレンズ面外周端部で接して光の利用面積を広げているが、従来のリフローによるレンズ形成方法では前述したように、隣接レンズのレンズ面外周端部間でくっ付いて光の利用面積を広げることができない。これらは、層内レンズ12で説明しているが、マイクロレンズ16にも適用することができる。
ここで、本実施形態1の平面視正方形(または矩形)の層内レンズ12の特徴構成について説明する。
図6(a)は、本実施形態1の層内レンズ12が上下左右に4個連続配置された状態を示す平面図、図6(b)は、層内レンズの全方向曲率半径が同一で中心を通る横方向A1または縦方向B1の断面図、図6(c)は、図6(b)の層内レンズの全方向曲率半径が同一で中心を通る対角方向C1の断面図、図6(d)は、本実施形態1の層内レンズ12の曲率半径が異なり中心を通る横方向A1または縦方向B1の断面図、図6(e)は、図6(d)の層内レンズ12の一方向で曲率半径が異なり中心を通る対角方向C1の断面図である。
図6(a)に示すように、入射光の利用面積を広げるように、上下左右に隣接した平面視正方形状の層内レンズ12が隣接レンズ間のレンズ外周端部で隙間なく互いに接している。これによって、レンズ間の隙間面積が発生せず、その分、入射光の利用効率を面積的に向上させることができて、受光部3の受光感度の向上に寄与することができる。
図6(b)および図6(c)は、本実施形態1の層内レンズ12と比較するためのものであって、中心を通る横方向A1、縦方向B1および対角方向C1(斜め方向)の全方向において曲率半径が同一の場合を示している。
この場合、図6(c)に示す対角方向C1(斜め方向)の断面図のように、平面視正方形状の層内レンズの角部分で膜厚がなくなっている。これでは、平面視正方形状の層内レンズの角部分において光波長に対してある程度の膜厚がないと光が理想的に内側に屈折せずに透過してしまい入射光の利用効率が低下してしまう。このように、層内レンズの平面視形状が正方形で受光部3の平面視形状も正方形のときに、平面視正方形状の層内レンズの角部分で光が理想的に屈折せずに透過してしまうために、受光部3の平面視正方形状から入射光が外れたり、平面視正方形状の4角部分での入射光の受光ロスがあって受光感度を向上させることができなくなっている。
これに対して、図6(d)および図6(e)では、本実施形態1の層内レンズ12であり、中心を通る横方向A1、縦方向B1および対角方向C1(斜め方向)の全方向のうちの少なくとも対角方向C(斜め方向)の曲率半径がそれ以外の方向の曲率半径よりも大きく設定されている。要するに、図6(d)に示す横方向A1または縦方向B1の曲率半径は、図6(b)に示す横方向A1または縦方向B1の曲率半径と同一に設定されている。図6(e)に示す対角方向C1(斜め方向)の曲率半径は、図6(c)に示す対角方向C1(斜め方向)の曲率半径よりも大きく設定されている。したがって、X方向断面(横方向A1)およびY方向断面(縦方向B1)の各曲率半径に対して、対角方向断面(対角方向C1で斜め方向)の曲率半径を大きく形成している。
この場合、図6(e)に示す対角方向C1(斜め方向)の断面図のように、平面視正方形状の層内レンズ12の角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚、例えば400nmに設定されている。これによって、層内レンズ12は、平面視正方形状の層内レンズの角部分で入射光の利用効率の低下を防止することができる。また、層内レンズ12の平面視形状が正方形で受光部3の平面視形状も正方形のときに、受光部3の平面視正方形状の4角部分での受光ロスを防止するように、層内レンズ12の平面視正方形状の対角方向の曲率半径をそれ以外の曲率半径よりも大きく設定して受光部3の平面視正方形状の4角部分にも入射光が集光するようにしている。これはマイクロレンズ16の場合も同様である。
要するに、平面視正方形状の層内レンズ12の角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。
対角方向C1(斜め方向)の曲率半径は、受光部3の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるように、X方向(横方向A1)およびY方向(縦方向B1)の曲率半径に対して大きく設定している。
図7は、本実施形態1の対角方向C1(斜め方向)の曲率半径を設定するための条件を説明するための層内レンズ12と受光部3との対応関係を示す模式図である。
図7に示すように、本実施形態1の対角方向C1(斜め方向)の曲率半径を設定するための条件は、層内レンズ12から受光部3までの距離をHと、平面視正方形の受光部3の1辺の長さがd1の受光部3のサイズである。要するに、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径は、層内レンズ12から受光部3までの距離Hと、受光部3の平面視正方形状の4角部分を含む受光部3のサイズ内に受光ロスなく効率よく入射光が集光されて入るように、X方向(横方向A1)およびY方向(縦方向B1)の曲率半径に対して曲率半径を大きく設定している。
図8(a)は、本実施形態1の受光部3が平面視正方形状に対して層内レンズ12による集光領域の外周端を示す平面図、図8(b)は、本実施形態1の受光部3Aが平面視矩形状(長方形)に対して層内レンズ12Aによる集光領域の外周端を示す平面図である。
図8(a)に示すように、1辺の長さがd1の平面視正方形状の受光部3に対して層内レンズ12による集光領域の外周端18を受光部3の4角部を占めるように表面全体に広げることができる。この場合、平面視正方形状の層内レンズ12の角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚に設定され、かつ、中心P1(対角線の中心)を通る横方向A1、縦方向B1および対角方向C1(斜め方向)の全方向のうちの対角方向C1(斜め方向)の曲率半径がそれ以外の横方向A1および縦方向B1の曲率半径よりも大きく設定されている。
これによって、矢印に示すように、集光領域の外周端18が受光部3の4角部を占めるように集光領域を受光部3の表面全体に広げることができる。
平面視正方形状の受光部3では、横方向A1および縦方向B1の曲率半径は同じであり、これよりも対角方向C1(斜め方向)の曲率半径を大きく設定している。これによって、受光部3の表面全体に入射光の集光を広げることができるから、平面視正方形状の受光部3に対する層内レンズ12による集光効率が向上させることができる。
平面視正方形状の受光部3では、層内レンズ12の平面視形状も平面視正方形状である。これらは、平面視正方形状の層内レンズ12で説明しているが、平面視正方形状のマイクロレンズ16にも適用することができる。
さらに、平面視正方形状の層内レンズ12の断面曲率半径は、中心P1(対角線の中心)に対して点対称である。しかも、平面視正方形状の層内レンズ12の断面曲率半径は、辺中央に対して直交した横方向A1および辺中央に対して直交した縦方向B1に対してそれぞれ線対称である。
次に、図8(b)に示すように、短辺と長辺を持つ平面視矩形状(長方形)の受光部3Aに対して層内レンズ12Aによる集光領域の外周端18Aを受光部3Aの4角部を占めるように表面全体に広げることができる。この結果、中心P2(対角線の中心)を通る横方向A2、縦方向B2および対角方向C2(斜め方向)の全方向のうちの対角方向C2(斜め方向)の曲率半径がそれ以外の横方向A2および縦方向B2の曲率半径よりも大きく設定されている。これによって、矢印に示すように、集光領域の外周端18Aが受光部3の4角部を占めるように集光領域を受光部3Aの表面全体に広げることができる。
平面視矩形状(長方形)の受光部3Aでは、短辺に対応した横方向A2の曲率半径と、長辺に対応した縦方向B1の曲率半径と、対角方向C2(斜め方向)の曲率半径とが全て異なっており、これらのうちで対角方向C2(斜め方向)の曲率半径が最も大きく、短辺に対応した横方向A2の曲率半径が最も小さく設定されている。これによって、受光部3Aの表面全体に入射光の集光を広げることができることから平面視矩形状(長方形)の受光部3Aに対する層内レンズ12Aによる集光効率を向上させることができる。
また、平面視矩形状(長方形)の受光部3Aでは、層内レンズ12Aの平面視形状も平面視矩形状(長方形)である。これらは、平面視矩形状(長方形)の層内レンズ12Aで説明しているが、平面視矩形状(長方形)のマイクロレンズ16Aにも適用することができる。
さらに、平面視矩形状(長方形)の層内レンズ12Aの断面曲率半径は、中心P2(対角線の中心)に対して点対称である。しかも、平面視矩形状(長方形)の層内レンズ12Aの断面曲率半径は、短辺中央に対して直交した横方向A2および長辺中央に対して直交した縦方向B2に対してそれぞれ線対称である。
図9は、図8(b)の平面視矩形(長方形)の層内レンズ12Aの3つの異なる曲率半径を示すレンズ断面図である。
図9に示すように、平面視矩形状(長方形)の層内レンズ12Aの断面曲率半径は3種類ある。対角方向C2(斜め方向)の曲率半径が最も大きく最も上側にありその端部の膜厚(高さ)がh3である。短辺に対応した横方向A2の曲率半径が最も小さく最も下側にありその端部の膜厚(高さ)がh1である。また、長辺に対応した縦方向B2の曲率半径がそれらの間にありその端部の膜厚(高さ)がh2である。この場合、横方向A2の曲率半径に対応したその端部の膜厚(高さ)h1は、入射光が透過せず理想的に屈折するのに必要な少なくとも最小の膜厚を有しており、これ以外の膜厚(高さ)h2、h3は膜厚(高さ)h1よりも厚く設定されているため、入射光が透過せず理想的に屈折するのに十分な膜厚を有している。
要するに、平面視矩形状(長方形)の層内レンズ12Aの角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚に設定され、かつ、中心P1(対角線の中心)を通る横方向A1、縦方向B1および対角方向C1(斜め方向)の全方向のうちの対角方向C1(斜め方向)の曲率半径がそれ以外の横方向A1および縦方向B1の曲率半径よりも大きく設定されている。
図10(a)〜図10(c)はそれぞれ、層内レンズ12または12Aの製造方法を説明するための断面図である。
図2(a)〜図2(c)でも説明したが、CVD法で層間絶縁膜11上に高屈折率膜のSiN膜12aを形成し、SiN膜12a上に感光性のレジスト膜(図示せず)を成膜し、透過率階調マスクを用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、レジスト膜を所定のレンズ形状のレジスト膜17に形成する。このレジスト膜17と、高屈折率膜であるSiN膜12aとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜17のレンズ形状を反映した同じレンズ形状の層内レンズからなる層内レンズ12または12Aを形成している。
図10(a)では、所定膜厚のレジスト膜17のレンズ形状をSiN膜12または12Aに形状転写した場合を示している。
図10(b)では、所定膜厚(光が透過せず屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚)のSiN膜を形成し、その上にさらに所定膜厚のSiN膜を形成し、破線より上のレンズ形状12’または12A’にレジスト膜17のレンズ形状を転写した場合を示している。
図10(c)では、先に、破線より下のレンズ形状12’または12A’になるようにレジスト膜17のレンズ形状を転写した後に、その上から所定膜厚(光が透過せず屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚)のSiN膜を形成する場合を示している。
図11は、本実施形態1の層内レンズ12による受光部3の受光感度向上効果を説明するための図である。
図11に示すように、グレイ色の左側の棒グラフは、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が横方向A1の曲率半径および縦方向B2の曲率半径と同等、つまり層内レンズの全ての曲率が同等の場合を示しており、これを受光感度変化率100パーセントとする。黒色の右側の棒グラフは、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が横方向A1の曲率半径および縦方向B2の曲率半径よりも大きく設定した場合を示しており、グレイ色の左側の棒グラフの受光感度変化率100パーセントに対して受光感度変化率が103.7パーセントとなって受光感度が3.7パーセント向上している。
一方、右側にあるグレイ色と黒色の棒グラフは、左側にあるグレイ色と黒色の棒グラフに比べて曲率半径が小さい場合を示しており、このとき、全体的に受光感度変化率が低下している。このとき、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が横方向A1の曲率半径および縦方向B2の曲率半径よりも大きく設定した場合に受光感度変化率が102パーセントとなって受光感度が2パーセントだけ向上している。
上記構成により、複数の画素部7が2次元状に配置された撮像領域に入射した光は、まず、マイクロレンズ16により高屈折率で集光され、さらに層内レンズ12で高屈折率で集光されてフォトダイオードを構成する受光部3に入射される。このとき、マイクロレンズ16および層内レンズ12はそれぞれ、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12およびマイクロレンズ16の各レンズ面外周端部同士でそれぞれ接した構造であるため、より広いところから光を集めることができて、各受光部3の受光感度を向上させることができる。次に、この各受光部3に入射された光は、各受光部3で光電変換されて信号電荷となる。この信号電荷は電荷転送部4に読み出されて所定方向の垂直方向に順次電荷転送された後に、水平方向に順次電荷転送されて順次増幅されて各画素部毎の撮像信号として順次信号出力される。
このように、入射光の利用面積を広げるようにレンズ面外周端部同士でそれぞれ接したレンズ構造は、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて、従来のようなリフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を形成し、この転写用のレンズ形状のレジスト膜17を用いて高屈折率膜をエッチングして層内レンズ12およびマイクロレンズ16を作るレンズ形成方法のみによって、より簡単な製造工程で層内レンズ12およびマイクロレンズ16を作ることができる。
このように、グレイスケールの透過率階調マスクを用いてリフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を直接作っているため、レンズ形成工程を簡略化することができ、この転写用のレンズ形状のレジスト膜17を用いて高屈折率膜をエッチングして層内レンズ12を作っているため、高屈折率レンズの形状バラツキを大幅に抑えて、各画素毎の受光感度特性を安定化させて画像特性が良好で歩留まりの低下を抑えることができる。
以上により、本実施形態1によれば、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が直線状に透過せず屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚(反射に必要な膜厚)に設定されている。即ち、平面視正方形状の層内レンズ12または12Aと、マイクロレンズ16または16Aの角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
これによって、受光部3または3Aの平面視正方形状(または矩形状)から外れることなく、その平面視正方形状(または矩形状)の4角部分での受光ロスを起こすこともなく受光感度を更に向上させることができる。
なお、本実施形態1では、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて層内レンズ12または12A、およびマイクロレンズ16または16Aを作ったが、これに限らず、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて層内レンズ12または12Aと、マイクロレンズ16または16Aとのうちのいずれかを作ってもよい。残るいずれか一方のレンズは必要に応じてあっても無くてもよいし、その一方のレンズは従来のリフローにより形成されていてもよい。
(実施形態2)
上記実施形態1では、CCD固体撮像素子1に本発明のレンズ形成方法を適用して製造した場合について説明したが、本実施形態2では、CMOS固体撮像素子に本発明のレンズ形成方法を適用して製造した場合について説明する。
図12は、本発明の実施形態2におけるCMOS固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。
図12において、本実施形態2のCMOS固体撮像素子1Aには、複数の画素部が行列方向にマトリクス状に配設されている。その各画素部にはそれぞれ、半導体基板21の表面部に、受光素子として入射光を光電変換して信号電荷を生成するフォトダイオードで構成された受光部22が設けられ、この受光部22に隣接して受光部22からの信号電荷を、電荷転送トランジスタの電荷転送部23を通して電荷電圧変換部としてのフローティングディフュージョンFDに電荷転送するための転送ゲート24がゲート絶縁膜25を介して設けられている。これらの電荷転送部23、ゲート絶縁膜25および転送ゲート24により、受光部22からフローティングディフュージョンFDに撮像信号を転送する電荷転送手段としての電荷転送トランジスタが構成されている。さらに、この受光部22毎に、フローティングディフュージョンFDに電荷転送された信号電荷が電圧変換され、この変換電圧に応じて増幅トランジスタ(図示せず)で増幅されて画素部毎の撮像信号として読み出すための読出回路を有している。
この読出回路は、フローティングディヒュージョン部FDを所定電圧(例えば電源電圧)にリセットするためのリセットトランジスタおよび、リセット後にフローティングディヒュージョン部FDの電位に応じてその電位信号を増幅して信号線に撮像信号を出力する増幅トランジスタがロジックトランジスタ領域26に設けられ、このロジックトランジスタ領域26が各画素部27間に素子分離層STIを介して設けられている。これらのリセットトランジスタおよび増幅トランジスタはそれぞれ、ソース(S)/ドレイン(D)およびゲート(G)で構成されている。
これらの転送ゲート24、フローティングディヒュージョン部FDおよびロジックトランジスタ領域26の上方には、この読出回路の回路配線部や、転送ゲート24およびフローティングディヒュージョン部FDに接続される回路配線部が設けられている。ゲート絶縁膜25および転送ゲート24上には、微細化した配線間の埋め込み性が良好な層間絶縁膜28が形成され、その上に第1配線層29が形成され、その上に、微細化した配線間の埋め込み性が良好な層間絶縁膜30が形成されて、その上に第2配線層31が形成されることにより、上記した回路配線部が構成されている。
また、これらの配線層29と転送ゲート24間、配線層29とフローティングディヒュージョン部FD間、配線層29とロジックトランジスタ領域26のソース(S)/ドレイン(D)およびゲート(G)間にそれぞれ、導電性材料(例えばタングステン)からなるコンタクトプラグ32がそれぞれ形成され、また、各配線層29とその上の各配線層31間にそれぞれ各コンタクトプラグ33がそれぞれ形成されて、アルミニュウムや銅などからなる配線層29、31と転送ゲート24、フローティングディヒュージョン部FDおよびロジックトランジスタ領域26のソース(S)/ドレイン(D)およびゲート(G)との間が電気的にそれぞれ接続されている。
これらの層間絶縁膜30および各配線層31上には、段差を埋め込むための層間絶縁膜34が形成されている。この層間絶縁膜34上には、受光部22毎に配置されたR,G,B各色の所定の色配列(例えばベイヤー配列)のカラーフィルタ35が形成され、さらに、その上に平坦化膜36が形成され、その上に受光部22への集光用のマイクロレンズ37が更に形成されている。
この集光用のマイクロレンズ37は、上記実施形態1の層内レンズ12または12Aやマイクロレンズ16または16Aの場合と同様に、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ37同士が接した状態で、各受光部22にそれぞれ対応するように形成されている。
マイクロレンズ37は、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が透過せず屈折するのに必要な膜厚以上(ここでは400nm)に設定されている。即ち、平面視正方形状のマイクロレンズ37の角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部22の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
上記構成の本実施形態2のCMOS固体撮像素子1Aの製造方法としては、半導体基板21(または半導体層)上に、入射光を光電変換して撮像する複数の受光部22を形成する受光部形成工程と、この受光部22毎に隣接して、電荷転送手段としての電荷転送部23および転送ゲート24を形成する電荷転送手段形成工程と、受光部22および転送ゲート24上に層間絶縁膜28を形成する第1層間絶縁膜形成工程と、層間絶縁膜28内に、転送ゲート24および電荷転送先の電荷電圧変換領域(フローティングディヒュージョン部FD)にそれぞれ接続する各コンタクトプラグ32をそれぞれ形成する第1コンタクトプラグ形成工程と、各コンタクトプラグ32にそれぞれ接続するように各第1配線層29をそれぞれ層間絶縁膜28上に形成する第1配線部形成工程と、層間絶縁膜28および各第1配線層29上に層間絶縁膜30を形成する第2層間絶縁膜形成工程と、層間絶縁膜30内に、各第1配線部29にそれぞれ接続する各第2コンタクトプラグ33をそれぞれ形成する第2コンタクトプラグ形成工程と、各第2コンタクトプラグ33にそれぞれ接続するように各第2配線層31をそれぞれ形成する第2配線部形成工程と、層間絶縁膜30および各第2配線層31上に層間絶縁膜34を形成する第3層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜34上に所定の色配列のカラーフィルタ35を各受光部22の位置に対応して形成するカラーフィルタ形成工程と、このカラーフィルタ35上に、平坦化膜36を介してマイクロレンズ37を、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ37のレンズ周囲端部同士が接した状態で各受光部22の位置に対応して形成するマイクロレンズ形成工程とを有している。
このマイクロレンズ37を、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ37の端部同士が接した状態で各受光部22の位置に対応して形成するマイクロレンズ37の形成方法については、前述した図2(a)〜図2(c)の場合と同様である。
まず、図2(a)に示すように、CVD法を用いて、層間絶縁膜11に代えて平坦化膜36上に高屈折率膜であるSiN膜12aを形成する。
次に、図2(b)に示すように、高屈折率膜であるSiN膜12a上に感光性のあるレジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術としてグレイスケールの透過率階調マスクを用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、レジスト膜を所定のレンズ形状のレジスト膜17に形成する。
続いて、図2(c)に示すように、レンズ形状のレジスト膜17と、高屈折率膜であるSiN膜12aとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜17のレンズ形状を反映した同じレンズ形状のSiN膜からなる層内レンズ12に代えて、SiN膜からなるマイクロレンズ37を形成する。このように、高屈折率膜をレンズ形状に転写してマイクロレンズ37を形成することができる。
このように、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて、リフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を作るため、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ37の端部同士が接したレンズ形状にしたり、レンズ厚さを最適な厚さにするなど、所望のレンズ形状に形成することができると共に、レンズ形成工程が簡略化できて、レンズ形状が画素毎のバラツキを大幅に抑制することができ、受光部3での受光感度のバラツキを抑制または防止することができる。
マイクロレンズ37は、図5(a)に示すように平面視正方形(または矩形)である4角形であるが、入射光をより多く集めることができるように大面積になっており、隣接するマイクロレンズ37の端部同士は、レンズ外周端縁部にて互いに接している。したがって、図5(a)の平面視正方形のマイクロレンズ37のAA’断面は、図5(b)のように、隣接するマイクロレンズ37の端部同士が左右のレンズ面下端部でくっ付いて一体化している。
以上により、本実施形態2によれば、本実施形態2のCMOS固体撮像素子1Aにおいても、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が直線状に透過せず屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定されている。即ち、平面視正方形状のマイクロレンズ37の角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
これによって、受光部22の平面視正方形状(または矩形状)から外れることなく、その平面視正方形状(または矩形状)の4角部分での受光ロスを起こすことなく受光感度を更に向上させることができる。
なお、実施形態2では、層内レンズを設けずにマイクロレンズ37を設けたが、上記実施形態1のマイクロレンズ16または16Aと同様の構成のマイクロレンズ37と同様に上記実施形態1の層内レンズ12または12Aを設けてもよいことは自明である。
(実施形態3)
上記実施形態1,2では受光部の上方に入射光を導く導波路を設けていないが、本実施形態3では受光部の上方に入射光を導く導波路を設けた場合について説明する。
図13は、本発明の実施形態3におけるCCD固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。なお、図1の構成部材と同一の作用効果を奏する部材には同一の番号
を付してその説明を省略する。
図13において、本実施形態3のCCD固体撮像素子1Bと、上記実施形態1のCCD固体撮像素子1との構成が異なるところは、受光部3の表面と遮光膜9との段差部分に設けられた層間絶縁膜11Aに、受光部3に至る導波路11Bが形成されている点である。この層間絶縁膜11Aおよび導波路11Bの表面が平坦化された導波路11B上に、受光部3への集光用の層内レンズ12Bが受光部3に対応するように形成されている。この各層内レンズ12B上には、各層内レンズ12間の段差を埋め込んでその表面が平坦化するように層間絶縁膜13が形成されている。
層内レンズ12Bのレンズ形状は、入射光の利用面積を広げるように隣接レンズ間の端部同士が接した状態でアレイ状に形成してもよいが、下地膜の導波路11Bの所定領域に合わせるように隣接レンズ間を離間して形成してもよい。
層内レンズ12Bは、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が透過せず屈折するのに必要な膜厚以上(ここでは400nm)に設定されている。即ち、平面視正方形状の層内レンズ12Bの角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
上記構成の本実施形態3のCCD固体撮像素子1Bの製造方法としては、半導体基板2(または半導体層)上に、入射光を光電変換して撮像する複数の受光部3を2次元状に形成する受光部形成工程と、受光部3毎に隣接して電荷転送手段としての電荷転送部4およびその上のゲート電極6をそれぞれ形成する電荷転送手段形成工程と、ゲート電極6上を覆うと共に、受光部3の上方を開口した遮光膜9を形成する遮光膜形成工程と、受光部3および遮光膜9の段差部上に層間絶縁膜11Aを形成する第1層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜11Aに受光部3に至る穴をフォトリソ工程およびエッチングにより形成する穴形成工程と、層間絶縁膜11Aの穴内にSiN膜材料を埋め込んで導波路11Bを形成する導波路形成工程と、層間絶縁膜11Aおよび導波路11Bの表面を研磨またはエッチバックにより平坦化する平坦化工程と、この導波路11B上に、上に凸形状の層内レンズ12Bを、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12Bの端部同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ形成工程と、層内レンズ12B間の凹凸を埋め込むように層間絶縁膜13を形成する第2層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜13上に所定の色配列のカラーフィルタ14を各受光部3の位置に対応して形成するカラーフィルタ形成工程と、このカラーフィルタ14上に、平坦化膜15を介してマイクロレンズ16を、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ16の端部同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成するマイクロレンズ形成工程とを有している。
この層内レンズ12Bを、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12B同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ12Bの形成方法については、前述した上記実施形態1の図2(a)〜図2(c)の場合と同様である。
まず、図2(a)に示すように、CVD法を用いて、層間絶縁膜11に代えて、層間絶縁膜11Aに形成されたSiN膜材料の導波路11B上に、同じ高屈折率膜であるSiN膜12aを形成する。
次に、図2(b)に示すように、高屈折率膜であるSiN膜12a上に感光性のあるレジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術としてグレイスケールの透過率階調マスクを用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、レジスト膜を所定のレンズ形状のレジスト膜17に形成する。
続いて、図2(c)に示すように、レンズ形状のレジスト膜17と、高屈折率膜であるSiN膜12aとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜17のレンズ形状を反映した同じレンズ形状のSiN膜からなる層内レンズ12Bを形成する。これによって、高屈折率膜を所望のレンズ形状に転写して層内レンズ12Bを形成することができる。
したがって、層内レンズ12Bおよびマイクロレンズ16は、図5(a)に示すように平面視正方形(または矩形)である4角形であるが、入射光をより多く集めることができるように大面積になっており、隣接する層内レンズ12Bおよびマイクロレンズ16の各端部同士は、レンズ外周端縁部にて互いに接している。したがって、図5(a)の平面視正方形の層内レンズ12Bおよびマイクロレンズ16のAA’断面は、図5(b)のように、隣接する層内レンズ12Bおよびマイクロレンズ16の各端部同士が左右のレンズ面下端部でくっ付いて一体化している。
上記構成により、複数の画素部7が2次元状に配置された撮像領域に入射した光は、まず、マイクロレンズ16により高屈折率で集光され、さらに層内レンズ12Bで高屈折率で集光されてフォトダイオードを構成する受光部3に入射される。このとき、マイクロレンズ16および層内レンズ12Bはそれぞれ、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12Bおよびマイクロレンズ16の各レンズ面外周端部同士でそれぞれ接した構造であるため、より広いところから光を集めることができて、各受光部3の受光感度を向上させることができる。しかも、この場合に、マイクロレンズ16からの入射光は層内レンズ12Bから導波路11Bに入射して、その入射光をより逃がすことなく受光部3に到達させることができて、受光部3の受光感度をより向上させることができる。次に、この各受光部3に入射された光は、各受光部3で光電変換されて信号電荷となる。この信号電荷は電荷転送部4に読み出されて所定方向の垂直方向に順次電荷転送された後に、水平方向に順次電荷転送されて順次増幅されて各画素部毎の撮像信号として順次信号出力される。
このように、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて、リフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を作るため、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ37や層内レンズ12Bの各端部同士が接したレンズ形状にしたり、レンズ厚さを最適な厚さにするなど、所望のレンズ形状に形成することができると共に、従来の場合に比べてレンズ形成工程が簡略化できて、レンズ形状の画素毎のバラツキを大幅に抑制することができ、受光部3での受光感度のバラツキを抑制または防止することができる。この場合に、層間絶縁膜11Aの穴内にSiN膜材料を埋め込んで導波路11Bを形成したことにより、入射光をより逃がすことなく受光部3に到達させることができて、受光部3の受光感度をより向上させることができる。
以上により、本実施形態3によれば、CCD固体撮像素子1Bにおいても、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が直線状に透過せず屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定されている。即ち、平面視正方形状の層内レンズ12Bやマイクロレンズ16または16Aの角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3または3Aの平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
これによって、受光部3または3Aの平面視正方形状(または矩形状)から外れることなく、その平面視正方形状(または矩形状)の4角部分での受光ロスを起こすことなく受光感度を更に向上させることができる。
なお、本実施形態3では、受光部3または3Aに到達するように、層間絶縁膜11Aに導波路11Bを設けたが、これに限らず、受光部3または3Aに離間した状態で、受光部3または3Aの上方位置に導波路11Bを設けてもよい。この場合、導波路11Bを設けるために、エッチングにより導波路11Bに穴を形成するが、受光部3または3A上に透明なエッチングストップ膜を設けてエッチングストップ膜まで穴を形成し、そこにレンズ材料を埋め込んで導波路11Bを形成してもよい。エッチングストップ膜は反射防止膜を兼ねていてもよい。
(実施形態4)
上記実施形態1〜3では、本発明の特徴構成の層内レンズ12が上に凸のレンズ形状とした場合について説明したが、本実施形態4では、層内レンズ12Cとして上下に凸のレンズ形状とした場合について説明する。
図14は、本発明の実施形態4におけるCCD固体撮像素子の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。なお、図1の構成部材と同一の作用効果を奏する部材には同一の番号を付してその説明を省略する。
図14において、本実施形態4のCCD固体撮像素子1Cと、上記実施形態1のCCD固体撮像素子1との構成が異なるところは、受光部3の表面と遮光膜9との段差部分に設けられた層間絶縁膜11Cは、その表面が平坦化されておらず、受光部3の表面と遮光膜9との段差部分を反映して、受光部3の上方が凹状に形成されている点である。この層間絶縁膜11Cの凹部上に、この凹部内をSiN膜材料で埋め込むように、受光部3への集光用の層内レンズ12Cが、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12Cの端部同士が接した状態でかつ上下に凸のレンズ形状として、受光部3に対応するように形成されている。この各層内レンズ12C上には、各層内レンズ12C間の段差を埋め込んでその表面が平坦化するように層間絶縁膜13が形成されている。
層内レンズ12Cのレンズ形状は、入射光の利用面積を広げるように隣接レンズ間の端部同士が接した状態でアレイ状に形成したが、これに限らず、層内レンズ12Cはその隣接レンズ間を離間して形成してもよい。
層内レンズ12Cは、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が透過せず屈折するのに必要な膜厚以上(ここでは400nm)に設定されている。即ち、平面視正方形状の層内レンズ12Cの角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3の平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
上記構成の本実施形態4のCCD固体撮像素子1Cの製造方法としては、半導体基板2(または半導体層)上に、入射光を光電変換して撮像する複数の受光部3を2次元状に形成する受光部形成工程と、受光部3毎に隣接して電荷転送手段としての電荷転送部4およびその上のゲート電極6をそれぞれ形成する電荷転送手段形成工程と、ゲート電極6上を覆うと共に、受光部3の上方を開口した遮光膜9を形成する遮光膜形成工程と、受光部3および遮光膜9の段差部上に、この段差部を反映して受光部3の上方に凹部を持つ層間絶縁膜11Cを形成する第1層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜11Cの凹部内をレンズ材料で埋め込むように、この層間絶縁膜11Cの凹部上に上下に凸形状の層内レンズ12Cを、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12Cの端部同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ形成工程と、この層内レンズ12C間の凹凸を埋め込むように層間絶縁膜13を形成する第2層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜13上に所定の色配列のカラーフィルタ14を各受光部3の位置に対応して形成するカラーフィルタ形成工程と、このカラーフィルタ14上に、平坦化膜15を介してマイクロレンズ16を、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ16の端部同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成するマイクロレンズ形成工程とを有している。
この層内レンズ12Cを、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12Cの端部同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ12Cの形成方法については、前述した上記実施形態1の図2(a)〜図2(c)の場合と同様のレンズ形成方法である。
まず、図2(a)に示すように、CVD法を用いて、層間絶縁膜11に代えて、層間絶縁膜11Cの凹部上に高屈折率膜であるSiN膜12aを形成する。
次に、図2(b)に示すように、高屈折率膜であるSiN膜12a上に感光性のあるレジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術としてグレイスケールの透過率階調マスクを用いて紫外線の照射光量を平面位置に応じて制御して、レジスト膜を上に凸のレンズ形状のレジスト膜17に形成する。
続いて、図2(c)に示すように、レンズ形状のレジスト膜17と、高屈折率膜であるSiN膜12aとを同時にドライプラズマエッチングすることにより、レジスト膜17のレンズ形状を反映した同じ上に凸のレンズ形状のSiN膜からなる層内レンズ12Cを形成する。これによって、高屈折率膜を上下に凸の所望のレンズ形状に転写して層内レンズ12Cを形成することができる。
したがって、層内レンズ12Cおよびマイクロレンズ16は、図5(a)に示すように平面視正方形(または矩形)である4角形であるが、入射光をより多く集めることができるように大面積になっており、隣接する層内レンズ12Cおよびマイクロレンズ16の各端部同士は、レンズ外周端縁部にて互いに接している。したがって、図5(a)の平面視正方形の層内レンズ12Cおよびマイクロレンズ16のAA’断面は、図5(b)の場合と同様に、隣接する層内レンズ12Cおよびマイクロレンズ16の各端部同士が左右のレンズ面下端部でくっ付いて一体化している。
上記構成により、複数の画素部7が2次元状に配置された撮像領域に入射した光は、まず、マイクロレンズ16により高屈折率で集光され、さらに層内レンズ12Cで高屈折率で集光されてフォトダイオードを構成する受光部3に入射される。このとき、マイクロレンズ16および層内レンズ12Cはそれぞれ、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12Cおよびマイクロレンズ16の各レンズ面外周端部同士でそれぞれ接した構造であるため、より広いところから光を集めることができて、各受光部3の受光感度を向上させることができる。しかも、この場合に、マイクロレンズ16からの入射光は、上下が凸の層内レンズ12に入射して、その入射光をより集光することができて、受光部3の受光感度をより向上させることができる。次に、この各受光部3に入射された光は、各受光部3で光電変換されて信号電荷となる。この信号電荷は電荷転送部4に読み出されて所定方向の垂直方向に順次電荷転送された後に、水平方向に順次電荷転送されて順次増幅されて各画素部毎の撮像信号として順次信号出力される。
これによって、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて、リフローなしで転写用のレンズ形状のレジスト膜17を作るため、入射光の利用面積を広げるように、隣接したマイクロレンズ16および層内レンズ12Cの端部同士が接したレンズ形状にしたり、レンズ厚さを最適な厚さにするなど、所望のレンズ形状に形成することができると共に、従来の場合に比べてレンズ形成工程が簡略化できて、レンズ形状の画素毎のバラツキを大幅に抑制することができ、受光部3での受光感度のバラツキを抑制または防止することができる。この場合に、層間絶縁膜11Aの穴内にSiN膜材料を埋め込んで導波路11Bを形成したことにより、入射光をより逃がすことなく受光部3に到達させることができて、受光部3の受光感度をより向上させることができる。
以上により、本実施形態4によれば、CCD固体撮像素子1Cにおいても、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であってレンズ形状の外周端部の膜厚が、光波長に対して光が直線状に透過せず屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定されている。即ち、平面視正方形状の層内レンズ12Cやマイクロレンズ16または16Aの角部分で膜厚が、光波長に対して光が透過せず理想的に内側に屈折するのに必要な膜厚以上の膜厚に設定され、かつ、対角方向C1(斜め方向)の曲率半径が、受光部3または3Aの平面視正方形状の4角部分に受光ロスなく効率よく集光されるのに必要な曲率半径になっている。即ち、高屈折率膜のレンズ形状が平面視4角形であって平面視4角形の中心を通るX方向および中心を通りこれに直交するY方向の各曲率半径に比べて、平面視4角形の対角方向の曲率半径が大きく設定されている。
これによって、受光部3または3Aの平面視正方形状(または矩形状)から外れることなく、その平面視正方形状(または矩形状)の4角部分での受光ロスを起こすことなく受光感度を更に向上させることができる。
なお、上記実施形態1〜4では、層内レンズ12、12A、12Bおよび12Cやマイクロレンズ16、16Aおよび37ではそれぞれ、入射光の利用面積を広げるように、隣接した層内レンズやマイクロレンズの端部同士が接した状態で各受光部3または3Aの位置に対応して形成したが、これに限らず、繰り返し説明するが、隣接した層内レンズやマイクロレンズの端部同士が接していなくてもよい。即ち、グレイスケールの透過率階調マスクを用いて、上記実施形態3では、層間絶縁膜11Aに形成された導波路11Bの開口形状およびそのサイズに合わせた形状およびそのサイズの層内レンズを形成することもできるし、層間絶縁膜11Aに形成された受光部3の上方の凹部の開口形状およびそのサイズに合わせた形状およびそのサイズの層内レンズを形成することもできる。
(実施形態5)
上記実施形態1〜4の層内レンズ12、12A、12Bおよび12Cやマイクロレンズ16、16Aおよび37では、それらの表面に反射防止膜を形成していないが、上記実施形態1〜4の層内レンズ12、12A、12Bおよび12Cやマイクロレンズ16、16Aおよび37の表面側に反射防止膜を形成することもできる。本実施形態5では、上記実施形態1の層内レンズ12の表面側に反射防止膜を形成する場合について詳細に説明している。
図15(a)は、図1のCCD固体撮像素子における要部積層構成例を模式的に示す縦断面図であり、図15(b)は、本発明の実施形態5におけるCCD固体撮像素子の要部積層構成例を模式的に示す縦断面図である。なお、図15(b)の要部積層構成は、図15(a)の要部積層構成に対応している。また、図1の構成部材と同一の作用効果を奏する部材には同一の番号を付して説明する。
図15(b)において、本実施形態5のCCD固体撮像素子1Dには、図17では図示していない受光部3の表面と遮光膜9との段差部分を平坦化するための層間絶縁膜11が形成され、層間絶縁膜11は高屈折率膜(層内レンズ12の材料膜、例えばSiN膜)の下地膜である。表面が平坦化された平坦化膜の層間絶縁膜11上に、受光部3への集光用の層内レンズ12が、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12のレンズ曲面下端部同士が接した状態で、受光部3に対応するように形成されている。この各層内レンズ12上には、各層内レンズ12の表面には所定膜厚の反射防止膜19が形成されている。この反射防止膜19上の、各層内レンズ12上の段差を反映した段差部を埋め込んでその表面が平坦化するように層間絶縁膜13が形成されている。この層間絶縁膜13上には、受光部3毎に配置されたR,G,B各色の所定の色配列(例えばベイヤー配列)のカラーフィルタ14が形成され、さらに、その上には、図15では図示していないが、平坦化膜15、さらにその上に集光用のマイクロレンズ16が形成されている。
このように、高高屈折率レンズである層内レンズ12の表面に反射防止膜19を積層することにより、屈折率が例えば1.5前後の平坦化膜の層間絶縁膜13と、屈折率が例えば2.0前後の高高屈折率レンズの層内レンズ12との界面での反射を抑制する効果がある。この反射防止膜19は、CVD法により成膜され、屈折率が例えば1.8前後のSiON膜を用いるかまたは、屈折率が例えば1.5〜2.0の複数膜を多層積層した積層膜を用いることもできる。
この場合、本発明のレンズの製造方法を用いたCCD固体撮像素子1Dの製造方法は、半導体基板2(または半導体層)に、入射光を光電変換して撮像する複数の受光部3を2次元状に形成する受光部形成工程と、受光部3毎に隣接して電荷転送手段としての電荷転送部4およびその上のゲート電極6をそれぞれ形成する電荷転送手段形成工程と、ゲート電極6上を覆うと共に、受光部3の上方を開口した遮光膜9を形成する遮光膜形成工程と、受光部3および遮光膜9の段差部上に層間絶縁膜11を形成する第1層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜11上に、上に凸形状の層内レンズ12を、入射光の利用面積を広げるように隣接層内レンズ12同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成する層内レンズ形成工程と、この層内レンズ12上に反射防止膜19を形成する反射防止膜形成工程と、層内レンズ12のレンズ形状を反映した反射防止膜19のレンズ形状上に、反射防止膜19間の凹凸を埋め込むように層間絶縁膜13を形成する第2層間絶縁膜形成工程と、この層間絶縁膜13上に所定の色配列のカラーフィルタ14を各受光部3の位置に対応して形成するカラーフィルタ形成工程と、このカラーフィルタ14上に、平坦化膜15を介してマイクロレンズ16を、入射光の利用面積を広げるように隣接マイクロレンズ16同士が接した状態で各受光部3の位置に対応して形成するマイクロレンズ形成工程とを有している。
(実施形態6)
図9は、本発明の実施形態6として、本発明の実施形態1〜5の固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
図9において、本実施形態6の電子情報機器90は、上記実施形態1〜5のいずれかの固体撮像素子1、1A、1B、1Cまたは1Dからの撮像信号に対して所定の信号処理をしてカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示部93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信部94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の印刷信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力部95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示部93と、通信部94と、プリンタなどの画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
したがって、本実施形態5によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力部95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
なお、上記実施形態1〜5では、本発明のレンズおよびその製造方法を固体撮像素子およびその製造方法に適用した場合について説明したが、これに限らず、本発明のレンズおよびその製造方法は発光素子アレイのレンズおよびその製造方法にも適用することができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜6を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜6に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜6の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。