次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下において、同じブロックまたは要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30の模式的鳥瞰構造は、図1に示すように表される。また、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用可能なテラヘルツ発振素子38の模式的断面構造は、図2に示すように表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用可能なテラヘルツ発振素子38上に溶液を接触した状態の模式的断面構造は、図3に示すように表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置は、図1〜図3に示すように、テラヘルツ波(hν)を放射するテラヘルツ発振素子38と、テラヘルツ波(hν)を受信するテラヘルツ検出素子44と、テラヘルツ発振素子38上に配置される検査対象としての溶液12とを備える。ここで、溶液12の比誘電率εに応じて変化するテラヘルツ波(hν)の出力特性に基いて、溶液12を検査することができる。また、テラヘルツ波(hν)の出力特性は、テラヘルツ波の放射パターンである。
テラヘルツ発振素子38は、図1〜図3に示すように、絶縁体基板11と、絶縁体基板11上に配置された半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第2の電極2,2aと、半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4と、第1の電極4と第2の電極2との間に配置される能動素子90と、テラヘルツ波(hν)の放射方向と反対側の能動素子90に隣接して配置され、第1の電極4と第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50とを備える。尚、テラヘルツ発振素子38の詳細構造は、図16に示される。
図3に示すように、第2の電極2の一部および能動素子90、第1の電極4を直接覆うように、検査対象としての溶液12を接触領域14において接触させる。
これにより、検査対象としての溶液12の比誘電率εに応じてテラヘルツ波(hν)の放射パターンが変化する(放射パターンの変化の具体例については後述する)。
そして、その変化態様を比較等することにより、溶液の成分等の変化などを検査することができる。
テラヘルツ発振素子38は、テラヘルツ波(hν)を放射するが、このとき、テラヘルツ発振素子38の半導体基板1の表面側の能動素子90、第1の電極4および第2の電極2上に液体12を接触させることで、テラヘルツ発振素子38の放射パターンが変化する。これを利用して、溶液の分析を行うことができる。
能動素子90は、負性微分抵抗を示す第1動作点で発振素子として動作する。また、負性抵抗領域ではない非線形特性を示す第2動作点で検出素子として動作可能である。
能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能である。その他の能動素子としては、例えば、タンネット(TUNNETT:Tunnel Transit Time)ダイオード、インパット(IMPATT:Impact Ionization Avalanche Transit Time)ダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)などを適用することもできる。
このような構成のテラヘルツ発振素子は、負性微分抵抗領域に第1動作点を有する振幅遷移変調によって、テラヘルツ波(hν)を発生する。
なお、図3に示すようにテラヘルツ発振素子38に溶液12を直接接触させる態様では、溶液の成分によっては、能動素子90や第1の電極4および第2の電極2が侵食等される場合がある。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用可能なテラヘルツ発振素子38において、テラヘルツ発振素子38の全面にオーバーレイ絶縁膜18を形成した状態の模式的断面構造は、図4に示すように表される。
すなわち、能動素子90、第1の電極4および前記第2の電極2上には、図4に示すように、オーバーレイ絶縁膜18が配置されていても良い。オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ0.1μm〜10μmのSiO2膜で構成されていても良い。
ここで、接触領域14は、オーバーレイ絶縁膜18で被覆された能動素子90、第1の電極4および第2の電極2が存在する位置を含む。
さらに、図4の構造において、テラヘルツ発振素子38上に溶液12を接触した状態の模式的断面構造は、図5に示すように表される。
すなわち、図5に示すように、能動素子90、第1の電極4および第2の電極2が存在する位置を覆うオーバーレイ絶縁膜18上に検査対象としての溶液12を接触させる。
これにより、図3の場合と同様に、テラヘルツ波(hν)の放射パターンの変化態様を比較等することにより、溶液の成分等の変化などを検査することができる。
第1の実施の形態においては、半導体基板1の表面側の能動素子90、第1の電極4および第2の電極2上にオーバーレイ絶縁膜18を形成することで、テラヘルツ発振素子38の放射パターンの変化の度合が大きくなり、感度の向上を図ることができる。
第1の実施の形態においては、テラヘルツ発振素子38の能動素子90にRTDを用いるため、小型軽量化された簡易な溶液検査装置30を提供することが可能となる。
また、能動素子90、第1の電極4および第2の電極2がオーバーレイ絶縁膜18によって保護されているため、溶液の成分によって能動素子90や第1の電極4および第2の電極2が侵食等される事態を回避することができ、テラヘルツ発振素子38の耐久性を向上可能である。
さらに、テラヘルツ発振素子38上にガラス板(スライドガラス)40を介して溶液12を接触した状態の模式的断面構造は、図6に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30においては、図6に示すように、オーバーレイ絶縁膜18の上方に設けられるガラス板40を備え、溶液12は、テラヘルツ発振素子38上にガラス板40を介して配置されていても良い。ここで、溶液12は、ガラス板40上に接触領域14aにおいて配置されている。
これにより、図3の場合と同様に、テラヘルツ波の放射パターンの変化態様を比較等することにより、溶液の成分等の変化などを検査することができる。
また、図6の構成では、テラヘルツ発振素子38は、オーバーレイ絶縁膜18とガラス板40で保護されることから、例えば、検査対象としての溶液12が強酸性や強アルカリ性などの反応性が高い液体であっても能動素子90や第1の電極4および第2の電極2を侵食等されることなく検査することができる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用可能な複数の溶液121、122、123、…、12nを搭載可能な治具300の模式的平面パターン構成は、図7(a)に示すように表され、図7(a)のI−I線に沿う模式的断面構造は、図7(b)に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態に係る溶液検査装置においては、図7(a)および図7(b)に示すように、治具300の表面側には、検査対象としての溶液121、122、123、…、12nを収容する複数の窪みが形成されていても良い。ここで、複数の窪みは、図7(b)に示すように、接触領域14aを有する。
ここで、接触領域14aを有する各窪みが、オーバーレイ絶縁膜18の上方に位置するように、治具300または溶液検査装置30自体を水平方向に移動させる移動手段を備えていても良い。
治具300は、スライドグラスやポリプロピレン板などで構成可能である。このような治具300を適用することによって、検査対象としての溶液121、122、123、…、12nをテラヘルツ発振素子38上に直接接触させること無く分析を行うことができる。
なお、図7(b)に示すように、治具300をT1方向に移動させたり、溶液検査装置をT2方向に移動させる移動手段を設けることにより、各溶液121、122、123、…、12nを順次検査することができる。
テラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44を適用する第1の実施の形態に係る溶液検査装置30であって、溶液を接触しない状態の溶液検査装置30の模式的ブロック構成は、図8(a)に示すように表され、テラヘルツ発振素子38上に溶液12を接触した状態の溶液検査装置30の模式的ブロック構成は、図8(b)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30においては、テラヘルツ検出素子44は、ショットキーバリアダイオードを備えていても良い。
また、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30においては、テラヘルツ検出素子44は、共鳴トンネルダイオードを備えていても良い。ここで、テラヘルツ検出素子44は、共鳴トンネルダイオードの負性微分抵抗を示す動作点における電流量の変化を検出して、溶液の比誘電率に応じて放射されるテラヘルツ波の放射パターンを検出することも可能である。
また、テラヘルツ検出素子44は、テラヘルツ発振素子38と同一構造を有していても良い。
テラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44を適用する第1の実施の形態に係る溶液検査装置30の模式的平面パターン構成は、図9に示すように表される。
図9においては、図16に示されるテラヘルツ発振素子(RTD)と同一構成のテラヘルツ検出素子(RTD)を、テラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44に利用している。このため、同一工程で製造したテラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44を利用することができる。
これにより、テラヘルツ送信器100およびテラヘルツ受信器200の構成が単純化され、高感度、低雑音でテラヘルツ電磁波の発振・検出が実現可能な溶液検査装置30を提供することができる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30は、テラヘルツ発振素子38を備えるテラヘルツ送信器100と、テラヘルツ検出素子44を備えるテラヘルツ受信器200とを備え、テラヘルツ発振素子38は、負性微分抵抗領域に第1動作点を有する振幅遷移変調によって、テラヘルツ波Isを発生すると共に、テラヘルツ検出素子44は、負性抵抗特性ではない非線形性領域に第2動作点を有することによって、テラヘルツ発振素子38から発生されたテラヘルツ波Isを検出する。
なお、テラヘルツ送信器100およびテラヘルツ受信器200の能動素子90に隣接してホーン開口部80が配置されている。
また、テラヘルツ送信器100側の能動素子90を覆うように、検査対象としての溶液12が接触される。
これにより、検査対象としての溶液12の比誘電率εに応じてテラヘルツ波Isの放射パターンが変化するので、その変化態様を比較等することにより、溶液の成分等の変化などを検査することができる。
すなわち、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30においては、各種溶液12に対応したテラヘルツ波Isの放射パターンを基準放射パターンとして予め取得して記録し、溶液12によって得られる放射パターンと基準放射パターンとを照合して、溶液12の特定を行うことができる。
テラヘルツ発振素子38から出力されたテラヘルツ波Iiをガラス基板46上に配置された反射板16に入力し、反射板16で反射されたテラヘルツ波Irをテラヘルツ検出素子44で検出する様子は、模式的に図10に示すように表される。また、その具体的な構成は、図11に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30においては、図10および図11に示すように、テラヘルツ発振素子38から発振されたテラヘルツ波Iiを反射する反射板16を備え、テラヘルツ検出素子44は、反射板16を介してテラヘルツ波Irを受信する構成を備えていても良い。
これにより、テラヘルツ送信器100とテラヘルツ受信器200を対向させて配置する必要がなくなり、溶液検査の利便性を向上させることができる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置を樹脂層でモールドし、細胞を含む溶液に接触させた例を説明する模式図は、図12に示すように表される。
すなわち、第1の実施の形態に係る溶液検査装置においては、テラヘルツ発振素子38は、テラヘルツ発振素子38全体を封止する樹脂層36を備えていても良い。
また、溶液12は、所定の溶媒と、所定の溶媒に拡散させた所定の細胞12aとを備えていても良い。
図12に示すように、例えば、能動素子90等が設けられた側を所定の細胞12aを拡散させた溶液12に接触させて用いる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置によれば、テラヘルツ波を用いることによって、細胞のサイズが、例えば、幅約30μm〜約50μm、高さ約2μm〜約3μmの情報を得ることができる。
また、第1の実施の形態に係る溶液検査装置を細胞12aを含む溶液12中に浸漬させた例を説明する模式図は、図13に示すように表される。。
これにより、検査対象としての細胞12aを拡散させた溶液12の比誘電率εに応じてテラヘルツ波の放射パターンが変化するので、その変化態様を比較等することにより、溶液12中の細胞12aの変化などを検査することができる。
なお、図13に示す例に関連して、溶液検査装置を例えば外径約1cm、全長約2cm程度のカプセルに封入した場合には、カプセル内視鏡のように人体内に経口投入して、胃・小腸・大腸等の消化管内の状態をテラヘルツ波により検査することもできる。また、マイクロカプセルなどの医療用として使用する場合、THz波の検出系もセットにしても良い。例えば、水では、THz波の透過距離は、約200μm程度であるため、200μm程度の範囲内にTHz波の検出系も配置すると良い。また、液体がエタノールの場合には、THz波の透過が可能であるため、図13に示すような使用法を採用可能である。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置に適用されるテラヘルツ検出素子のテラヘルツ波の照射前後での順方向電流電圧特性の変化を説明する図は、図14に示すように表される。
即ち、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ検出素子(RTD)44の電流−電圧特性例であって、室温動作において、テラヘルツ波の照射時(P)と、テラヘルツ波の非照射時(Q)の特性変化は、図14に示すように表される。
図14に示すように、バイアス電圧を例えば、0.5Vと設定することによって、テラヘルツ電磁波を良好な感度で、室温動作で検出可能である。バイアス電圧を例えば、0.5Vと設定した場合、テラヘルツ波の非照射時(Q)では、p点にバイアスされるが、テラヘルツ波の照射時(P)では、大きく電流が変化し、電流変化量ΔIは、約0.4mA程度である。
また、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ検出素子44の室温動作において、テラヘルツ波の照射時(P)と、テラヘルツ波の非照射時(Q)の順方向および逆方向電流電圧特性の変化は、図15に示すように模式的に表される。
順方向―逆方向の名称は便宜的なものであり、どちらか一方を順方向と決定すれば、他方は逆方向となる。その理由は、RTDは2端子構造であって、順方向―逆方向電流電圧特性のいずれにも負性抵抗領域を有するからである。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的鳥瞰構造は、図16に示すように表され、図16のII−II線に沿う模式的断面構造は、図17(a)に示すように表され、図16のIII−III線に沿う模式的断面構造は、図17(b)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38は、非対称の順方向および逆方向電流電圧特性を有する能動素子90を備え、負性微分抵抗を示す第1動作点で発振素子として動作し、負性抵抗領域ではない非線形特性を示す第2動作点で検出素子として動作可能である。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的鳥瞰構造は、図16、図17に示すように、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第2の電極2,2aと、第2の電極2上に配置された電極間絶縁層3と、第2の電極2に対して電極間絶縁層3を介して配置され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、電極間絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された導波路70と、導波路70に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置されたホーン開口部80とを備え、能動素子90は、共振器60の略中央部に配置される。
第1の電極4(4a、4b、4c)および第2の電極2、2a上には、図16および図17に示すように、オーバーレイ絶縁膜18が形成される。例えば、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。オーバーレイ絶縁膜18の厚さは、望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。
ホーン開口部80は、開口ホーンアンテナから構成される。ホーン開口部の開口角θは、例えば、10度程度以下に設定することが、テラヘルツ波(hν)の放射方向に指向特性を持たせる上で望ましい。ホーン開口部80の長さL3は、例えば、約700μm程度以下である。ホーン開口部80の先端部における開口幅は、例えば、約160μm程度である。
導波路70は、共振器60の開口部に配置されている。導波路70の長さL2は、例えば、約700μm程度以下である。また、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、例えば、約24μm程度である。
なお、ホーン開口部80のホーン形状は、テラヘルツ波(hν)を空気中に取り出すために必要な構造である。ホーン形状によって、インピーダンス整合性良くテラヘルツ波(hν)を空気中に効率よく取り出すことができる。尚、ホーンの形状は、直線性形状に限らず、非直線性形状、曲線形状、2次曲線形状、放物線形状、階段状形状などであっても良い。
共振器60には、2箇所の凹部5、6が形成されており、この2つの凹部5、6に挟まれて、凸部7が形成されている。そして、第1の電極4の凸部7の略中央部には突起部8が形成され、この突起部8の下側に第2の電極2と挟まれるように、能動素子90が配置される。
共振器60の長さL1は、例えば、約30μm程度以下である。突起部8の長さは、例えば、約6μm程度以下である。また、凹部5、6の幅(第1の電極4と第2の電極2との間隔)は、例えば、約4μm程度である。能動素子90の寸法は、例えば、約1.4μm2程度である。但し、能動素子90のサイズは、この値に限定されず、例えば、約5.3μm2程度以下であってもよい。能動素子90の詳細構造については後述する。共振器60の各部のサイズは、上記寸法に限定されるものではなく、放射されるテラヘルツ波(hν)の周波数に応じて設計上適宜設定されるものである。
また、図16に示すように、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔に比べて、共振器60が形成されている部分の第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、狭い。
MIMリフレクタ50は共振器60の開口部と反対側の閉口部に配置されている。金属/絶縁体/金属からなるMIMリフレクタ50の積層構造により、第1の電極4と第2の電極2は高周波的に短絡される。また、MIMリフレクタ50は、直流的には開放(オープン)でありながら、高周波を反射させることが可能となるという効果を有する。
第1の電極4(4a,4b,4c)および第2の電極2,2aは、いずれも例えば、Au/Pd/Tiのメタル積層構造からなり、Ti層は、後述する半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1との接触状態を良好にするためのバッファ層である。第1の電極4(4a,4b,4c)および第2の電極2,2aの各部の厚さは、例えば、数100nm程度であり、全体として、図17(a)および図17(b)に示すように平坦化された積層構造が得られている。なお、第1の電極4(4a,4b,4c)および第2の電極2,2aは、いずれも真空蒸着法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
さらに詳細には、第1の電極4aおよび第1の電極4cは、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第1の電極4bは、例えば、Au/Tiからなる。第2の電極2は、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第2の電極2aは、例えば、Au/Tiからなる。
尚、第1の電極4bの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ(図示省略)によって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。同様に、第2の電極2aの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ(図示省略)によって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。
電極間絶縁層3は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si3N4膜、SiON膜、HfO2膜、Al2O3膜などを適用することもできる。
なお、電極間絶縁層3の厚さは、MIMリフレクタ50の幾何学的な平面寸法と、回路特性上の要求されるキャパシタ値を考慮して決めることができ、例えば、数10nm〜数100nm程度である。電極間絶縁層3は、化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
第2の電極2上に配置された電極間絶縁層3と、第2の電極2に対して電極間絶縁層3を介して配置され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、電極間絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された導波路70と、導波路70に隣接して、半導体基板1上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置されたホーン開口部80とを備え、能動素子90は、共振器60の略中央部に配置される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるRTDの模式的断面構造は、図18(a)に示すように表され、その変形例の模式的断面構造は、図18(b)に示すように表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用される能動素子90としてRTDの構成例は、図18(a)に示すように、半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1上に配置され,n型不純物を高濃度にドープされたn+InGaAs層91aと、n+InGaAs層91a上に配置され,n型不純物をドープされたnInGaAs層92aと、nInGaAs層92a上に配置されたアンドープのInGaAs層93bと、InGaAs層93b上に配置されたアンドープのAlAs層94a/アンドープのInGaAs層95/アンドープのAlAs層94bから構成されたRTD部と、アンドープのAlAs層94b上に配置されたアンドープのInGaAs層93bと、アンドープのInGaAs層93b上に配置され,n型不純物をドープされたnInGaAs層92bと、nInGaAs層92b上に配置され,n型不純物を高濃度にドープされたn+InGaAs層91bと、n+InGaAs層91b上に配置された第1の電極4aと、n+GaInAs層91a上に配置された第2の電極2とを備える。
変形例では、図18(b)に示すように、n型不純物を高濃度にドープされたn+GaInAs層91b上に更にn型不純物を高濃度にドープされたn+GaInAs層91cを配置し、第1の電極4aとのコンタクトを良好にしている。
図18(a)および図18(b)に示すように、RTD部は、アンドープのInGaAs層95をアンドープのAlAs層94a、94bで挟んで形成されている。このように積層されたRTD部は、スペーサとして用いられるアンドープのInGaAs層93a、93bを介在させてnInGaAs層92a、92b、及びn+InGaAs層91a、91b、若しくは91cを介して、第2の電極2と第1の電極4にオーミックに接続される構造となっている。
尚、図18(a)および図19(b)の構造において、さらに半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1上にアンドープのIn0.53Ga0.47As層をn型不純物を高濃度にドープされたn+InGaAs層91aとの間に介在させても良い。
ここで、各層の厚さは、例えば以下の通りである。
n+InGaAs層91a、91b・91cの厚さは、それぞれ例えば、約400nm、15nm・8nm程度である。nGaInAs層92aおよび92bの厚さは、略等しく、例えば、約25nm程度である。アンドープInGaAs層93a・93bの厚さは、例えば、約2nm・20nm程度である。アンドープAlAs層94a・94bの厚さは、等しく、例えば、約1.1nm程度である。アンドープGaInAs層95の厚さは、例えば、約4.5nm程度である。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるRTDの模式的断面構造においては、アンドープのAlAs層94a/アンドープのInGaAs層95/アンドープのAlAs層94bから構成されたRTD部を挟むアンドープInGaAs層93aの厚さを約2nm、アンドープInGaAs層93bの厚さを約20nmと非対称に設定することによって、順方向―逆方向のI−V特性を非対称にすることができる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるRTDの模式的断面構造においては、エピタキシャル構造を非対称にすることで、順方向と逆方向のI−V特性が非対称となり、印加電圧を変えることによって、発振素子、検出素子を使い分けることが可能となる。
テラヘルツ検出素子44として、ダイオードによる検出には、I−V特性の非線形性が大きい方が感度が良いが、RTDは負性抵抗を示すので、非線形性が大きく、高感度な検出が可能である。
ここで、InxGa1-xAsからなる各層のIn組成比xは、例えば以下の通りである。
n+InGaAs層91a・91bにおいてはx=0.53、n+InGaAs層91cにおいてはx=0.7、nGaInAs層92a・92bにおいてはx=0.53、アンドープInGaAs層93bにおいてはx=0.53、アンドープGaInAs層95においてはx=0.8である。
ここで、各層のドーピングレベルは、例えば以下の通りである。
n+InGaAs層91a・91bのドーピングレベルは、約2.00E+19(cm-3)、n+InGaAs層91cのドーピングレベルは、約2.00E+19(cm-3)、nGaInAs層92a・92bのドーピングレベルは、約3.00E+18(cm-3)であり、いずれもドーパントは、例えば、シリコン(Si)を適用可能である。
なお、図18(a)および図18(b)に示す積層構造においては、第1の電極4a、第2の電極2上には、オーバーレイ絶縁膜18が形成されている。なお、オーバーレイ絶縁膜18をSiO2膜、Si3N4膜、SiON膜、HfO2膜、Al2O3膜など、若しくはこれらの多層膜で形成し、図18(a)および図18(b)に示す積層構造の側壁部に堆積することもできる。
電極間絶縁層3は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
能動素子90を構成するRTDの寸法は、例えば、約1.4μm2程度以下である。例えば、室温で観測した発振周波数は、約300GHz程度である。また、例えば、発振時における素子の電流密度Jpは、約7mA/μm2程度である。
―回路構成―
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的回路構成は、図19(a)に示すように、能動素子90を構成するRTDと、MIMリフレクタ50を構成するキャパシタCMの並列回路によって表される。第1の電極4にはRTDのカソードが接続され、第2の電極2には、RTDのアノードが接続され、第1の電極4にはマイナスの電圧、第2の電極2にはプラスの電圧が印加される。発振状態においては、ホーン開口部の開口方向であるY軸方向にテラヘルツ波(hν)が指向性良く伝播される。
図19(a)に対応する簡易等価回路構成は、図19(b)に示すように、能動素子90を構成するRTDは、キャパシタC01とインダクタL01の並列回路で表わすことができ、MIMリフレクタ50のキャパシタCMがさらに並列に接続されるため、テラヘルツ波(hν)の発振周波数fは、f=1/[2π(L01(C01+CM)1/2)で表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38のアンテナ系も含めた模式的等価回路構成は、図20(a)に示すように、ダイオード(RTD)系を表す能動素子90・キャパシタCMの並列回路に対して、アンテナ(ANT)系を表すアンテナインダクタL・アンテナキャパシタCA・アンテナ放射抵抗GANTの並列回路が並列に接続される。
図20(a)の能動素子90を構成するRTDの等価回路構成は、図20(b)に示すように、コンタクト抵抗Rc・コンタクトキャパシタCcからなるコンタクト部分の並列回路と、外部ダイオードキャパシタCD・内部ダイオードキャパシタCd・ダイオード負性抵抗(−Gd)からなるダイオード部分の並列回路と、インダクタLM・抵抗RMからなるメサ部分の直列回路が直列接続された構成を備える。
ここで、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38のアンテナ系も含めた等価回路全体のアドミッタンスYは、
Y=Yd+Yc・Ya・Ym/(Yc・Ya+Ya・Ym+Yc・Ym)
で表される。ここで、Yd=−Gd+jωCd、Yc=1/Rc+jωCc、Ym=1/(Rm+jωLm)であり、Yaはアンテナ系のアドミッタンス、ωは発振角周波数を表す。各パラメータは、能動素子90を構成するダイオード(RTD)の物性値から求めることができる。また、発振条件Re(Y)≦0,Im(Y)=0を解くことによって、発振周波数、発振出力が得られる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ検出素子44の模式的回路構成は、図21(a)に示すように、能動素子90を構成するRTDと、MIMリフレクタ50を構成するキャパシタCMの並列回路によって表される。第1の電極4にはRTDのアノードが接続され、第2の電極2には、RTDのカソードが接続され、第1の電極4にはマイナスの電圧、第2の電極2にはプラスの電圧が印加される。検出状態においては、ホーン開口部の開口方向であるY軸方向からの電磁波(hν)が指向性良く検出される。
図21(a)に対応する簡易等価回路構成は、図21(b)に示すように、能動素子90を構成するRTDは、キャパシタC01とインダクタL01の並列回路で表わすことができ、MIMリフレクタ50のキャパシタCMがさらに並列に接続される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ検出素子44のアンテナ系も含めた模式的等価回路構成は、図22に示すように、ダイオード(RTD)系を表す能動素子90・キャパシタCMの並列回路に対して、アンテナ(ANT)系を表すアンテナインダクタL・アンテナキャパシタCA・アンテナ放射抵抗GANTの並列回路が並列に接続される。
図22の能動素子90を構成するRTDの等価回路構成は、図20(b)と同様に表される。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38において、発振強度と発振周波数fの関係の一例は、図23に示すように表される。室温で、約300GHzの発振周波数fが得られている。この発振周波数fの値は、図18に示される各層の構造、メサ領域の寸法、アンテナ構造などを調整することによって、変更可能である。
(放射パターンのシミュレーション結果)
シミュレーションにおいて接触される溶液12は水である。なお、水の比誘電率εは79.87(20℃)である。
表面にオーバーレイ絶縁膜18を設けない場合の第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的鳥瞰構造は、図24(a)に示すように表され、図24(a)に示すテラヘルツ発振素子38によりテラヘルツ波を放射した場合のY−Z平面上における電界放射パターンのシミュレーション結果は、図24(b)に示すように表される。
図24(b)に示すように、テラヘルツ発振素子38から放射されたテラヘルツ波は、特にY方向に、絶縁体基板11を介在して比較的強くテラヘルツ波が伝播される。
また、図24(a)に示すテラヘルツ発振素子38によりテラヘルツ波を放射した場合の電磁界シミュレーション結果であって、X−Y−Z上の3次元放射パターンは、図25(a)に示すように表され、Y−Z平面上の2次元放射パターンは、図25(b)に示すように表され、X−Y平面上の2次元放射パターンは、図25(c)に示すように表され、X−Z平面上の2次元放射パターンは、図25(d)に示すように表される。
図25(a)〜図25(d)に示すように、Y方向に比較的強くテラヘルツ波(hν)が放出される放射パターンとなっている。
表面にオーバーレイ絶縁膜18を設けない場合の第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38に水12を接触した状態を示す模式的鳥瞰構造は、図26(a)に示すように表され、図26(a)に示すテラヘルツ発振素子38により水12を検査した場合のY−Z平面上における電界放射パターンのシミュレーション結果は、図26(b)に示すように表される。ここで、水滴の直径は、約1mmである。また、InP基板(半導体基板1)の厚さは、600μm、テフロン(登録商標)基板11の厚さは、500μmである。
図26(b)に示すように、テラヘルツ発振素子38から放射されたテラヘルツ波(hν)は、特にY方向に、絶縁体基板11を介在して比較的強くテラヘルツ波が伝播されており、図24(b)のシミュレーション結果と比較すると、より強くテラヘルツ波が放射されている。
また、図26(a)に示すテラヘルツ発振素子38により水を検査した場合の電磁界シミュレーション結果であって、X−Y−Z上の3次元放射パターンは、図27(a)に示すように表され、Y−Z平面上の2次元放射パターンは、図27(b)に示すように表され、X−Y平面上の2次元放射パターンは、図27(c)に示すように表され、X−Z平面上の2次元放射パターンは、図27(d)に示すように表される。
図27(a)〜図27(d)に示すように、Y方向に比較的強くテラヘルツ波が放出される放射パターンとなっている。
そして、図26(b)示すような電界放射パターンや図27(a)〜図27(d)に示すような電磁界放射パターンを予め取得しておき、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30によって得られる電界放射パターンや電磁界放射パターンと照合(パターンマッチング)を行うことにより、検査対象が「水」であることを確定することができる。
即ち、検査対象によって比誘電率εが変わり、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30によれば、その比誘電率εに応じて決定される電界放射パターンや電磁界放射パターンが出力されるので、それらの電界放射パターンを予め取得して記憶装置に記憶しておくことにより、電界放射パターンの照合(パターンマッチング)により検査対象がどのような溶液であるのかを特定することが可能となる。
(シミュレーション結果)
表面に厚さ0.6μmのオーバーレイ絶縁膜(SiO2膜)18を形成した場合の第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的鳥瞰構造は、図28(a)に示すように表され、図28(a)に示すテラヘルツ発振素子38によりテラヘルツ波を放射した場合のY−Z平面上における電界放射パターンのシミュレーション結果は、図28(b)に示すように表される。
また、図28(a)に示すテラヘルツ発振素子38によりテラヘルツ波を放射した場合の電磁界シミュレーション結果であって、X−Y−Z上の3次元放射パターンは、図29(a)に示すように表され、Y−Z平面上の2次元放射パターンは、図29(b)に示すように表され、X−Y平面上の2次元放射パターンは、図29(c)に示すように表され、X−Z平面上の2次元放射パターンは、図29(d)に示すように表される。
図28(b)に示すように、テラヘルツ発振素子38から放射されたテラヘルツ波は、特にY方向に、絶縁体基板11を介在して比較的強くテラヘルツ波が伝播している。
SiO2膜を設けない場合の図24(b)のシミュレーション結果と比較すると、その放射パターンは略同じである。
図29(a)〜図29(d)に示すように、Y方向に比較的強くテラヘルツ波が放出される放射パターンとなっている。なお、SiO2膜を設けない場合の図25(a)〜図25(d)の電磁界シミュレーション結果と比較すると、その放射パターンは略同じである。
表面に厚さ0.6μmのオーバーレイ絶縁膜(SiO2膜)を形成した場合の第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38に水を接触した状態を示す模式的鳥瞰構造は、図30(a)に示すように表され、図30(a)に示すテラヘルツ発振素子38により水を検査した場合のY−Z平面上における電界放射パターンのシミュレーション結果は、図30(b)に示すように表される。
図30(b)に示すように、テラヘルツ発振素子38から放射されたテラヘルツ波(hν)は、特にY方向に、絶縁体基板11を介在して比較的強くテラヘルツ波が伝播している。
SiO2膜を設けない場合の図26(b)のシミュレーション結果と比較すると、より強くテラヘルツ波が伝播されている。
図30(a)に示すテラヘルツ発振素子38により水を検査した場合の電磁界シミュレーション結果であって、X−Y−Z上の3次元放射パターンは、図31(a)に示すように表され、Y−Z平面上の2次元放射パターンは、図31(b)に示すように表され、X−Y平面上の2次元放射パターンは、図31(c)に示すように表され、X−Z平面上の2次元放射パターンは、図31(d)に示すように表される。
図31(a)〜図31(d)に示すように、Y方向に比較的強くテラヘルツ波が放出されている。
そして、水12を接触させない状態の図25(a)〜図25(d)の電磁界シミュレーション結果と比較すると、大きく放射パターンが変化している。
また、表面にオーバーレイ絶縁膜を設けない場合の放射パターンの変化(図25および図27)に比べて、表面に厚さ0.6μmのSiO2膜18を設けた場合の放射パターンの変化(図29および図31)の方が大きい。
このように、表面に厚さ0.6μmのSiO2膜を設けた場合の方が、溶液を接触の有無に対応するテラヘルツ波の変化パターンが大きく現れるので、検査結果をより明確に把握することが可能となり、検査精度を向上させることができる。
表面に厚さ5μmのオーバーレイ絶縁膜(SiO2膜)を形成した場合の第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38によりテラヘルツ波(hν)を放射した場合のY−Z平面上における電界放射パターンのシミュレーション結果は、図32に示すように表される。
図32に示すように、テラヘルツ発振素子38から放射されたテラヘルツ波は、特にY方向に、絶縁体基板11を介在して比較的強くテラヘルツ波が伝播している。
図32に示すテラヘルツ発振素子38によりテラヘルツ波を放射した場合の電磁界シミュレーション結果であって、X−Y−Z上の3次元放射パターンは、図33(a)に示すように表され、Y−Z平面上の2次元放射パターンは、図33(b)に示すように表され、X−Y平面上の2次元放射パターンは、図33(c)に示すように表され、X−Z平面上の2次元放射パターンは、図33(d)に示すように表される。
図33(a)〜図33(d)に示すように、特にY方向に比較的強くテラヘルツ波(hν)が放出される放射パターンとなっている。
表面に厚さ5μmのオーバーレイ絶縁膜(SiO2膜)18を形成した場合の第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38により水12を検査した場合のY−Z平面上における電界放射パターンのシミュレーション結果は、図34示すように表される。
図34に示すように、テラヘルツ発振素子38から放射されたテラヘルツ波は、特にY方向に、絶縁体基板11を介在して比較的強くテラヘルツ波が伝播している。
また、検査対象としての水12を接触させない状態の電界放射パターンのシミュレーション結果(図32)と比較すると、電界放射パターンが大きく変化している。
図34に示すテラヘルツ発振素子38により水12を検査した場合の電磁界シミュレーション結果であって、X−Y−Z上の3次元放射パターンは、図35(a)に示すように表され、Y−Z平面上の2次元放射パターンは、図35(b)に示すように表され、X−Y平面上の2次元放射パターンは、図35(c)に示すように表され、X−Z平面上の2次元放射パターンは、図35(d)に示すように表される。
図35(a)〜図35(d)に示すように、Y方向に比較的強くテラヘルツ波(hν)が放出されている。
そして、水12を接触させない状態の図33(a)〜図33(d)の電磁界シミュレーション結果と比較すると、大きく放射パターンが変化している。
また、表面に厚さ0.6μmのSiO2膜18を設けた場合の放射パターンの変化(図29および図31参照)に比べて、表面に厚さ5μmのSiO2膜18を設けた場合の放射パターンの変化(図33および図35参照)の方が大きい。
このように、表面に厚さ5μmのSiO2膜を設けた場合の方が、溶液を接触の有無に対応するテラヘルツ波の変化パターンがより大きく現れるので、検査結果をより明確に把握することが可能となり、検査精度をさらに向上させることができる。
更に説明を補足すると、第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38において、水12を接触させない状態では、オーバーレイ絶縁膜18の有無、厚さに関係なく、最大放射方向はほぼ同じ(例えばθ=250deg、φ=−110deg)であり、また放射割合もほぼ同じであった。これに対して、水12を接触させた状態では、オーバーレイ絶縁膜18が存在しない場合には、最大放射方向への放射割合は約0.84であり、変化率は16%程度であるが、オーバーレイ絶縁膜18が存在する場合には、最大放射方向への放射割合は、約0.31(0.6μm)、約0.33(5.0μm)であり、約70%と大きく変化していた。
(アンテナ特性の変化)
第1の実施の形態に係る溶液検査装置に適用されるテラヘルツ発振素子において、動作周波数300GHzにおけるアドミッタンス(Re(Y)、IM(Y))と比誘電率εとの関係は、図36に示すように表される。
また、第1の実施の形態に係る溶液検査装置に適用されるテラヘルツ発振素子において、動作周波数200GHzにおけるアドミッタンス(Re(Y)、IM(Y))と比誘電率εとの関係は、図37に示すように表される。
また、第1の実施の形態に係る溶液検査装置に適用されるテラヘルツ発振素子において、動作周波数100GHzにおけるアドミッタンス(Re(Y)、IM(Y))と比誘電率εとの関係は、図38に示すように表される。
なお、図36〜図図38において、Re(Y)はテラヘルツ発振素子のアドミッタンスYの実部、Im(Y)はアドミッタンスYの虚部を示す。ここで、アドミッタンスYの実部Re(Y)、虚部Im(Y)の単位は、任意単位で示されている。
図36に示すように、300GHzにおいては、比誘電率εが高くなるほど、アドミッタンスYの虚部Im(Y)および実部Re(Y)が上昇する傾向がみられる。特に、比誘電率εが81.5近辺からの上昇が著しい。
図37に示すように、200GHzにおいては、比誘電率εが高くなるほど、アドミッタンスYの実部Re(Y)が上昇する傾向がみられる。特に、比誘電率εが81近辺からの上昇が著しい。
一方、アドミッタンスYの虚部Im(Y)は、比誘電率εが80〜81で一旦減少するが、その後上昇する傾向を示す。
図38に示すように、100GHzにおいては、比誘電率εが高くなるほど、アドミッタンスYの実部Re(Y)は逓減した後、ほぼ一定となる傾向がみられる。
一方、アドミッタンスの虚部Im(Y)は、徐々に上昇する傾向を示す。
このように、100〜300GHzの何れにおいても検査対象の溶液12の比誘電率εに応じてアドミタンスが変化し、出力特性が溶液12の比誘電率εに応じて変化する。
―変形例1―
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の変形例1の模式的鳥瞰構造は、図39に示すように表される。
変形例1においては、図39に示すように、半導体基板1は、共振器60・導波路70・ホーン開口部80を形成する第1の電極4および第2の電極2の配置領域において薄層化されている。さらに、図39に示すように、第1の電極4と第2の電極2間の導波路70・ホーン開口部80の半導体基板1aは、完全に除去されていても良い。
能動素子90、第1の電極4および第2の電極2上には、オーバーレイ絶縁膜18が形成されていても良い。例えば、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。オーバーレイ絶縁膜18の厚さは、望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。その他の構成は、図16の構成と同様であるため、各部の説明は省略する。
図39において、薄層化された半導体基板1aの厚さは、例えば、約20μm程度である。また、導波路70の長さは、例えば、約700μm程度以下であり、ホーン開口部80の長さも例えば、約700μm程度以下である。MIMリフレクタ50を含む変形例1に係るテラヘルツ発振素子の全体の長さは、例えば、約1600μm程度以下である。
変形例1に係るテラヘルツ発振素子38によれば、半導体基板1を薄層化することによって、半導体基板1の影響を抑制することが可能となり、指向性を向上させ、高効率かつ高出力に、半導体基板1に対して横方向に、テラヘルツ波を放射することができ、しかも集積化が容易である。
―変形例2―
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の変形例2の模式的鳥瞰構造は、図40に示すように表される。また、図40に対応した第1の電極4、第2の電極2aおよび半導体層91aのパターン構造の模式的平面図は、図41に示すように表される。また、図41のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、図42(a)に示すように表され、図41のV−V線に沿う模式的断面構造は、図42(b)に示すように表される。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子38は、図40〜図42に示すように、絶縁体基板10と、絶縁体基板10上に配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、第1の電極4a上に配置された電極間絶縁層3と、絶縁体基板10上に配置された層間絶縁膜9と、層間絶縁膜9上に配置され、かつ第1の電極4aに対して電極間絶縁層3を介して第1の電極4に対向して配置された第2の電極2,2aと、第2の電極2上に配置された半導体層91aと、電極間絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60の略中央部に配置された能動素子90と、共振器60に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された導波路70と、導波路70に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置されたホーン開口部80とを備える。
第1の電極4(4a、4b、4c)、第2の電極2、2aおよび半導体層91a上には、図40、図42(a)および図42(b)に示すように、オーバーレイ絶縁膜18が形成されていても良い。例えば、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。オーバーレイ絶縁膜18の厚さは、望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。
ホーン開口部80は、開口ホーンアンテナから構成される。ホーン開口部の開口角θは、例えば、10度程度以下に設定することが、電磁波(hν)の放射方向に指向特性を持たせる上で望ましい。ホーン開口部80の長さL3は、例えば、約700μm程度以下である。ホーン開口部80の先端部における開口幅は、例えば、約160μm程度である。
導波路70は、共振器60の開口部に配置されている。導波路70の長さL2は、例えば、約700μm程度以下である。また、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、例えば、約24μm程度である。
なお、ホーン開口部80のホーン形状は、電磁波を空気中に放射するために必要な構造である。ホーン形状によって、インピーダンス整合性良く電磁波を効率よく空気中に放射することができる。尚、ホーンの形状は、直線性形状に限らず、非直線性形状、曲線形状、2次曲線形状、放物線形状、階段状形状などであっても良い。
共振器60には、2箇所の凹部5、6が形成されており、この2つの凹部5、6に挟まれて、凸部7が形成されている。そして、半導体層91aの凸部7の略中央部には突起部8が形成され、この突起部8の下側に第1の電極4aと挟まれるように、能動素子90が配置される。
共振器60の長さL1は、例えば、約30μm程度以下である。突起部8の長さは、例えば、約6μm程度以下である。また、凹部5、6の幅(第1の電極4と第2の電極2との間隔)は、例えば、約4μm程度である。能動素子90の寸法は、例えば、約1.4μm2程度である。但し、能動素子90のサイズは、この値に限定されず、例えば、約5.3μm2程度以下であってもよい。共振器60の各部のサイズは、上記寸法に限定されるものではなく、発振する電磁波の周波数に応じて設計上適宜設定されるものである。
また、図40に示すように、導波路70における第1の電極4と第2の電極2間の間隔に比べて、共振器60が形成されている部分の第1の電極4と第2の電極2間の間隔は、狭い。
MIMリフレクタ50は共振器60の開口部と反対側の閉口部に配置されている。金属/絶縁体/金属からなるMIMリフレクタ50の積層構造により、第1の電極4と第2の電極2は高周波的に短絡される。また、MIMリフレクタ50は、直流的には開放(オープン)でありながら、高周波を反射させることが可能となるという効果を有する。
第1の電極4(4a,4b,4c)および第2の電極2,2aは、いずれも例えば、Au/Pd/Tiのメタル積層構造からなり、Ti層は、絶縁体基板10との接触状態を良好にするためのバッファ層である。第1の電極4a,4b,4cおよび第2の電極2,2aの各部の厚さは、例えば、数100nm程度であり、全体として、図42(a)および図42(b)に示すような平坦化された積層構造が得られている。なお、第1の電極4、第2の電極2は、いずれも真空蒸着法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
さらに詳細には、第1の電極4aおよび第1の電極4cは、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第1の電極4bは、例えば、Au/Tiからなる。第2の電極2は、例えば、Au/Pd/Tiからなり、第2の電極2aは、例えば、Au/Tiからなる。
尚、第1の電極4bの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ15bによって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。同様に、第2の電極2aの表面層を形成するTi層は、ボンディングワイヤ15aによって取り出し電極を形成する際、接触抵抗を低減するために除去することが望ましい。
電極間絶縁層3は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si3N4膜、SiON膜、HfO2膜、Al2O3膜などを適用することもできる。なお、電極間絶縁層3の厚さは、MIMリフレクタ50の幾何学的な平面寸法と、回路特性上の要求されるキャパシタ値を考慮して決めることができ、例えば、数10nm〜数100nm程度である。電極間絶縁層3は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
同様に、層間絶縁膜9は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si3N4膜、SiON膜、HfO2膜、Al2O3膜などを適用することもできる。層間絶縁膜9の厚さは、図42(a)に示すように、第2の電極2aと層間絶縁膜9の全体の厚さが、第1の電極4の厚さと略同程度となるように設定されている。層間絶縁膜9は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
また、絶縁体基板10は、半導体層91aよりも低誘電率材料の基板からなることが、電波を効率良く取り出す上で望ましい。低誘電率材料の絶縁体基板10としては、例えば、ポリイミド樹脂基板、テフロン(登録商標)基板などを適用することができる。絶縁体基板10の厚さは、例えば、200μm程度である。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子において、上方は空気であるため、比誘電率εεair=1である。絶縁体基板10として、ポリイミド樹脂基板を使用すると、ポリイミド樹脂の比誘電率εεpoly=3.5であるため、発振素子として動作時、全体の発振出力に対する絶縁体基板10の下方への発振出力の割合は、εpoly 3/2/(εair 3/2+εpoly 3/2)=0.87で表される。すなわち、全体の発振出力の内、約87%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する。また、検出素子として動作時も、同様に、ホーン開口部80から横方向に効率よくテラヘルツ波を検出可能である。
さらに、絶縁体基板10として、テフロン(登録商標)樹脂基板を使用すると、テフロン(登録商標)の比誘電率εεtef=2.1であるため、発振素子として動作時、全体の発振出力に対する絶縁体基板10の下方への発振出力の割合は、εtef 3/2/(εair 3/2+εtef 3/2)=0.75で表される。すなわち、発振素子として動作時、全体の発振出力の内、約75%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する。また、検出素子として動作時も、同様に、ホーン開口部80から横方向に効率よくテラヘルツ波を検出可能である。
MIMリフレクタ50は、図42(a)に示すように、第1の電極4aと第2の電極2間に電極間絶縁層3を介在させた構造から形成されている。また、図42(b)から明らかなように、RTDからなる能動素子90は、絶縁体基板10上に第1の電極4aを介して、配置されている。第1の電極4aは、RTDのn+GaInAs層91bに接触して配置されている。第2の電極2は、RTDのn+GaInAs層91aに接触して配置されている。さらに、第1の電極4(4b,4c)は、絶縁体基板10上に延在して配置されている。
このように、第1の電極4が、絶縁体基板10上に延在して配置されていることから、第1の電極4と第2の電極2は、互いに短絡されることがなく、RTDのn+GaInAs層91aとn+GaInAs層91b間に所定の直流バイアス電圧を印加することができる。
なお、第1の電極4には、ボンディングワイヤ15bが接続され、第2の電極2aには、ボンディングワイヤ15aが接続されて、第1の電極4と第2の電極2a間には、直流電源15が接続されている。また、第1の電極4と第2の電極2a間には、寄生発振を防止するための抵抗(図示省略)が接続されている。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子の構造において、第1の電極4上に直接、また第2の電極2上に層間絶縁膜9を介して絶縁体基板10を貼付け、半導体基板1をエッチングで除去した後の上下反転した構造は、図42(a)および図42(b)に示すように表される。図42(a)および図42(b)に示すように、変形例2に係るテラヘルツ発振素子においては、第2の電極2上には半導体層91aが配置されが、第2の電極2aも露出するため、第2の電極2aに対して、ワイヤボンディングなどの電極取り出し工程を容易に行うことができる。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子の製造方法においては、図17(a)および図17(b)に示すように、半導体基板1上に半導体層91aを形成後、パターニングによって、半導体層91aの幅を狭く形成し、半導体層91a上に形成される第2の電極2のパターン幅を狭く形成する。残りの部分には、第2の電極2に接続し、所定の幅を有し、相対的に厚い第2の電極2aを形成する。結果として、図17(a)および図17(b)に示すように、第2の電極2aが、半導体基板1に接触する構造を得る。
次に、図42(a)および図42(b)に示すように、第1の電極4上に直接、また第2の電極2上に層間絶縁膜9を介して絶縁体基板10を貼付け、半導体基板1をエッチングで除去した後の上下反転した構造を得る。
次に、図40に示すように、第1の電極4にボンディングワイヤ15bを接続し、第2の電極2aに、ボンディングワイヤ15aを接続することで電極取り出しを実施する。
半導体基板1は、例えば、半絶縁性のInP基板によって形成され、厚さは、例えば、約600μm程度である。InP基板のエッチング液としては、例えば、塩酸系のエッチング液を適用することができる。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子38において、厚さdを有する絶縁体基板10をサンプル表面に貼付け、半導体基板1をエッチングにより除去する工程後の模式的鳥瞰構造は、図43に示すように表され、図43の裏面から見た模式的鳥瞰構造は、図44に示すように表される。図43から明らかなように、第1の電極4は、直接絶縁体基板10に貼り付けられている。また、第2の電極2,2aは、図43では図示を省略しているが、図42(a)および図42(b)に示すように、層間絶縁膜9を介して絶縁体基板10に貼り付けられている。図44の詳細構造は、図40に対応している。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子38として、共鳴トンネルダイオード(RTD)の模式的断面構造は、図18(a)と同様に表される。また、その変形例の模式的断面構造は、図18(b)と同様に表される。
図18(a)は、半導体基板1上に配置された構造例であるが、その後の工程によって、第1の電極4aに絶縁体基板10を貼り付けた後、半導体基板1は、エッチングによって除去される。したがって、図18(a)は、絶縁体基板10を貼り付け工程前における能動素子90近傍の模式的断面構造に相当している。
前述と同様に、能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能なものである。その他の能動素子としては、例えば、TUNNETTダイオード、IMPATTダイオード、GaAsFET、GaN系FET、HEMT、HBTなどを適用することもできる。
変形例2に係るテラヘルツ発振素子によれば、低誘電率の絶縁体基板10を用いることで横方向の指向性を改善し、高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ波を発振することができ、しかも集積化が容易となる。
図40〜図44において、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。このオーバーレイ絶縁膜18を形成する場合には、溶液を接触させた場合のテラヘルツ波の放射パターンの変化の度合いを大きくすることができる。
―変形例3・変形例4―
変形例3に係るテラヘルツ発振素子の電極パターン構造は、図45(a)に示すように表され、変形例4に係るテラヘルツ発振素子の電極パターン構造は、図45(b)に示すように表される。
変形例3に係るテラヘルツ発振素子の電極パターン構造は、MIMリフレクタ50を構成する第2の電極2にスタブ構造を備える例であり、変形例4に係るテラヘルツ発振素子の電極パターン構造は、MIMリフレクタ50を構成する第1の電極4にスタブ構造を備える例である。図42(a)から明らかなように、第2の電極2上には、半導体層91aが配置されているため、図45(a)および図45(b)では、半導体層91aが表示されているが、半導体層91aの下には、第2の電極2のパターンが同一のパターン形状で配置されている。
すなわち、図45(a)に示すように、MIMリフレクタ50を構成する部分において、第2の電極2は、複数のスタブ13Aを備える。
また、図45(b)に示すように、MIMリフレクタ50を構成する部分において、第1の電極4は、複数のスタブ13Bを備える。
複数のスタブ13Aまたは13Bは、共振器60に面して等間隔に配置されていてもよく、或いは、その間隔が変化するように配置されていてもよい。
上記の変形例3・変形例4を組み合わせて、第2の電極2と第1の電極4の両方に複数のスタブを備えていてもよい。
なお、変形例3では、スタブ13AおよびMIMリフレクタにより、閉口部側に伝送する漏れ電磁波が反射され、開口側に戻される。そして、反射された電磁波が出力として放射されるために、能動素子90から発振される電磁波は高出力となる。
変形例4においてもスタブ13Bの動作は、スタブ13Aと同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、第2の電極2と第1の電極4の両方に多段のスタブを設けることにより、片方だけの場合に比べ約半分のスタブ数で同等の大きな反射率を得ることができる。また、周波数幅や中心周波数を決める際の設計の自由度を上げることができるので、設計上極めて有効である。なお、第2の電極2と第1の電極4の双方に付けるスタブの長さ、数、間隔は必ずしも等しい必要はなく、設計上自由に変更することができる。
変形例3および変形例4に係るテラヘルツ発振素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ波を発振および検出することができ、しかも集積化が容易となる。
変形例3および変形例4に係るテラヘルツ発振素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、MIMレフレクタを構成する電極にスタブ構造を組み合わせることによって、基板に水平な方向にさらに効率良く、指向性高くテラヘルツ波を発振および検出することが可能となる。
図45において、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。このオーバーレイ絶縁膜18を形成する場合には、溶液を接触させた場合のテラヘルツ波の放射パターンの変化の度合いを大きくすることができる。
―変形例5―
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用される変形例5に係るテラヘルツ発振素子38の電極パターン構造の模式的平面構成は、図46に示すように表される。
変形例5に係る係るテラヘルツ発振素子38においても、第1の電極4(4a,4b,4c)、第2の電極2,2a、MIMリフレクタ50、共振器60、能動素子90の構成は、変形例2と同様であるため、以下において、重複説明は省略する。
変形例5に係るテラヘルツ発振素子は、図46に示すように、絶縁体基板10と、絶縁体基板10上に配置された第1の電極4(4a,4b,4c)と、第1の電極4a(図42)上に配置された電極間絶縁層3(図42)と、絶縁体基板10上に配置された層間絶縁膜9(図42)と、層間絶縁膜9上に配置され、かつ第1の電極4aに対して電極間絶縁層3を介して第1の電極4に対向して配置された第2の電極2,2aと、第2の電極2上に配置された半導体層91aと、絶縁体基板10上に第1の電極4に隣接し、かつ第2の電極2aとは反対側に第1の電極4に対向して配置された第1スロットライン電極41と、絶縁体基板10上に第2の電極2aに隣接し、かつ第1の電極4とは反対側に第2の電極2aに対向して配置された第2スロットライン電極21と、電極間絶縁層3を挟み第1の電極4aと第2の電極2間に形成されたMIMリフレクタ50と、MIMリフレクタ50に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された共振器60と、共振器60の略中央部に配置された能動素子90と、共振器60に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された第1導波路70と、第1導波路70に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第2の電極2間に配置された第1ホーン開口部80と、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第1スロットライン電極41間に配置された第2導波路71と、第2導波路71に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1の電極4と第1スロットライン電極41間に配置された第2ホーン開口部81と、絶縁体基板10上に対向する第2の電極2aと第2スロットライン電極21間に配置された第3導波路72と、第3導波路72に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第2の電極2aと第2スロットライン電極21間に配置された第3ホーン開口部82とを備える。
変形例2と同様に、能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能なものである。その他の能動素子としては、例えば、TUNNETTダイオード、IMPATTダイオード、GaAsFET、GaN系FET、HEMT、HBTなどを適用することもできる。
ホーン開口部80〜82は、開口ホーンアンテナを構成する。
変形例5に係るテラヘルツ発振素子およびテラヘルツ検出素子においては、図46に示すように、出力端におけるスロットライン電極21および41の幅W4は、例えば、160μm程度である。また、図46に示すように、出力端におけるホーン開口部80の幅D20およびホーン開口部81および82の幅D10、および、スロットライン電極21および41の幅W4は、適宜変更可能である。
導波路70は、共振器60の開口部に配置される。
MIMリフレクタ50は共振器60の開口部と反対側の閉口部に配置される。
MIMリフレクタ50を構成する部分において、第2の電極2は、図45(a)に示された変形例3と同様の複数のスタブを備えていても良い。同様に、MIMリフレクタ50を構成する部分において、第2の電極2は、図45(b)に示された変形例4と同様の複数のスタブを備えていても良い。
また、上記において、複数のスタブは、共振器60に面して等間隔に配置されていても良く、また、間隔が変化するように配置されていても良い。
また、絶縁体基板10は、半導体層91aよりも低誘電率材料の基板からなることが、横方向に電波を効率良く、指向性高く取り出す上で望ましい。低誘電率材料の絶縁体基板10としては、第1の実施の形態と同様に、例えば、ポリイミド樹脂基板、テフロン(登録商標)基板などを適用することができる。
絶縁体基板10として、ポリイミド樹脂基板を使用すると、全体の発振出力の内、約87%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する点は、変形例2と同様である。
また、絶縁体基板10として、テフロン(登録商標)樹脂基板を使用すると、変形例2と同様に、全体の発振出力の内、約75%は、絶縁体基板10側に放射され、ホーン開口部80から横方向に放射される発振出力は、相対的に増大する点も、変形例2と同様である。
変形例5に係るテラヘルツ発振素子においては、能動素子90に接続された第1の電極4および第2の電極2からなるテーパスロットアンテナの両サイドに、同じ形状をしたテーパ形状の1対のスロットライン電極41、21を配置することで、変形例2に比べ、指向性がさらに向上する。
変形例5に係るテラヘルツ発振素子によれば、第1の電極4および第2の電極2からなるテーパスロットアンテナの両サイドに、テーパ形状の1対のスロットライン電極41、21を並列化配置することで、絶縁体基板10上にテーパスロットアンテナを集積化しても、絶縁体基板10の影響を抑制し、充分な指向性を得ることができる。
中央部の第1の電極4および第2の電極2からなるテーパスロットアンテナから広がった電界が、両サイドに設けた1対のスロットライン電極41、21に引き込まれて、スロットライン電極41、21の端面で反射され、中央部の第1の電極4および第2の電極2に戻ってくる。このとき、中央部の第1の電極4および第2の電極2およびスロットライン電極41、21内には、定在波が形成され、反射してきた電界によって、外部に電磁波が放射される。中央部の第1の電極4および第2の電極2および1対のスロットライン電極41、21からの放射電磁界が、干渉し合うことによって、指向性が向上する。
変形例5に係るテラヘルツ発振素子によれば、低誘電率の絶縁体基板を用いることで横方向の指向性を改善し、かつスロットライン電極を並列化配置して定在波を有効に発生させることによって、さらに高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ波を発振することができ、しかも集積化が容易である。
図46において、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。このオーバーレイ絶縁膜18を形成する場合には、溶液を接触させた場合のテラヘルツ波の放射パターンの変化の度合いを大きくすることができる。
―変形例6―
第1の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用される変形例6に係るテラヘルツ発振素子38の電極パターン構造の模式的平面構成は、図47に示すように表される。
変形例6に係るテラヘルツ発振素子38においても、第1の電極4、第2の電極2、MIMリフレクタ50、共振器60、能動素子90、第1のスロットライン電極41、第2のスロットライン電極21の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、以下において、重複説明は省略する。
変形例6に係るテラヘルツ発振素子38は、図47に示すように、図46に示した変形例5の電極パターン構成に対して、さらに、1対のスロットライン電極22,42を並列化配置している。すなわち、絶縁体基板10上に第1スロットライン電極41に隣接し、かつ第1の電極4とは反対側に第1スロットライン電極41に対向して配置された第3スロットライン電極42と、絶縁体基板10上に第2スロットライン電極21に隣接し、かつ第2の電極2aとは反対側に第2スロットライン電極21に対向して配置された第4スロットライン電極22と、絶縁体基板10上に対向する第1スロットライン電極41と第3スロットライン電極42間に配置された第4導波路74と、第4導波路74に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第1スロットライン電極41と第3スロットライン電極42間に配置された第4ホーン開口部84と、絶縁体基板10上に対向する第2スロットライン電極21と第4スロットライン電極22間に配置された第5導波路73と、第5導波路73に隣接して、絶縁体基板10上に対向する第2スロットライン電極21と第4スロットライン電極22間に配置された第5ホーン開口部83とを備える。
また、絶縁体基板10は、半導体層91aよりも低誘電率材料の基板からなることが、横方向に電波を効率良く、指向性高く取り出す上で望ましい。低誘電率材料の絶縁体基板10としては、第1の実施の形態と同様に、例えば、ポリイミド樹脂基板、テフロン(登録商標)基板などを適用することができる。
図47の構成において、スロットライン電極21,41の外側に1対のスロットライン電極22,42をさらに並列化配置することによって、指向性がさらに向上する。
変形例6に係るテラヘルツ発振素子38によれば、低誘電率の絶縁体基板10を用いることで横方向の指向性を改善し、かつ2対のスロットライン電極を並列化配置して定在波を有効に発生させることによって、さらに高効率かつ高出力に、基板に対して横方向に指向性高くテラヘルツ波を発振することができ、しかも集積化が容易である。
図47において、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。このオーバーレイ絶縁膜18を形成する場合には、溶液を接触させた場合のテラヘルツ波の放射パターンの変化の度合いを大きくすることができる。
第1の実施の形態によれば、検査対象としての溶液の比誘電率εに応じたテラヘルツ波の放射パターンの変化により溶液の成分等を検査可能な溶液検査装置を提供することができる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置によれば、溶液の比誘電率εに応じたテラヘルツ波の放射パターンの変化により溶液の成分等を検査可能であるため、この装置を利用して、細胞のセンシングや抗原抗体反応などのセンシングが可能となる。
第1の実施の形態に係る溶液検査装置によれば、テラヘルツ波(hν)を用いることにって、細胞のサイズが、例えば、幅約30μm〜約50μm、高さ約2μm〜約3μmのものの情報を得ることができる。
第1の実施の形態によれば、共鳴トンネルダイオード(RTD)発振素子上に液体や細胞を接触させることで、テラヘルツ波(hν)を用いてテラヘルツ発振素子の出力変化を検出可能でかつ小型軽量化された溶液検査装置を提供することができる。
尚、上記の第1の実施の形態の変形例1〜6においては、テラヘルツ発振素子について説明したが、このテラヘルツ発振素子と同一構造のデバイスをテラヘルツ検出素子としても適用可能である。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的鳥瞰構成は、図48に示すように表される。また、シリコン半球レンズ120上に配置した第2の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38の模式的鳥瞰構成は、図49に示すように表される。
すなわち、図48に示すように、スロットアンテナ110の中央付近にRTDからなる能動素子109が配置され、スロットアンテナ110の両端には、金属と絶縁体が積層された層が形成されている。ここで、金属層は第2の電極104を構成し、電極間絶縁層103を介在させて金属からなる第1の電極102と高周波的に短絡されるようになっている。
第2の電極104は、第1の電極102と電極間絶縁層103を介して重なっている部分の中央部に2箇所の凹部105、106が形成されており、この2つの凹部105、106に挟まれた状態で凸部107が形成されている。そして、第2の電極104の凸部107の略中央部には突起部108が形成され、この突起部108の下側に第1の電極102と挟まれるようにして能動素子109が配置されている。なお、第2の電極104と第1の電極102には直流電源115が接続されるとともに、寄生発振を防止するために、ビスマス(Bi)などの材料で形成された寄生発振抑圧抵抗114が接続される。
半導体基板101には、例えば、半絶縁性(SI:Semi-Insulating)のInPが用いられる。能動素子109の両側に作られるスロットアンテナ110は、共振器と電磁波の放射アンテナとを兼ねている。このテラヘルツ発振素子38においては、半導体基板101に対して上方向と下方向の2方向に電磁波が放射される構造になっている。このため、例えば、図49に示すように、上下垂直方向に放射する電磁波(hν)を集光するためのシリコン半球レンズ120を新たに設ける必要がある。
第2の実施の形態に係る溶液検査装置30に適用されるテラヘルツ発振素子38は、図48に示すように、電極間絶縁層103と同じ平面上に配置されるトランジスタやダイオードなどの能動素子109をスロットアンテナ110の中央部に配置し、スロット線路の両端を直角に曲げ、この部分を金属/絶縁体/金属の層構造で覆うようにしている。このため、金属/絶縁体/金属の層構造で覆った部分は、RF反射部150a,150bを構成し、高周波的に短絡状態になり、スロットアンテナ110が構成される。このスロットアンテナ110は、直流的には開放状態になっているため、能動素子109に直流を供給することができる。
図48および図49において、オーバーレイ絶縁膜18は、厚さ約0.1μm〜約10μmのSiO2膜で構成される。望ましくは、約0.6μm〜約5μmに形成される。このオーバーレイ絶縁膜18を形成する場合には、溶液を接触させた場合のテラヘルツ波の放射パターンの変化の度合いを大きくすることができる。
第2の実施の形態に係る溶液検査装置30においてもテラヘルツ発振素子38とテラヘルツ検出素子44を同一構造のデバイスを適用可能である。このため、第1の実施の形態と同様に、同一工程で製造したテラヘルツ発振素子38およびテラヘルツ検出素子44を利用することができる。
、第2の実施の形態によれば、検査対象としての溶液の比誘電率εに応じたテラヘルツ波の放射パターンの変化により溶液の成分等を検査可能な溶液検査装置を提供することができる。
さらに、第2の実施の形態に係る溶液検査装置によれば、溶液の比誘電率εに応じたテラヘルツ波の放射パターンの変化により溶液の成分等を検査可能であるため、この装置を利用して、細胞のセンシングや抗原抗体反応などのセンシングが可能となる。
第2の実施の形態に係る溶液検査装置によれば、テラヘルツ波(hν)を用いることによって、細胞のサイズが、例えば、幅約30μm〜約50μm、高さ約2μm〜約3μmのものの情報を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、共鳴トンネルダイオード(RTD)発振素子上に液体や細胞を接触させることで、テラヘルツ波(hν)を用いてテラヘルツ発振素子の出力変化を検出可能でかつ小型軽量化された溶液検査装置を提供することができる。
上記の実施の形態においては、テラヘルツ発振素子とテラヘルツ検出素子を同一構造のデバイスを適用可能である。また、テラヘルツ検出素子としては、他のデバイス構造として、例えば、ショットキーバリアダイオードなども適用可能である。
また、上記の実施の形態において、テラヘルツ検出素子を複数配置し、テラヘルツ波の放射パターンを2次元若しくは3次元的に把握可能なテラヘルツイメージセンサを構成しても良い。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態に係る溶液検査装置について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。