JP2016158023A - テラヘルツ素子 - Google Patents

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誠之 冨士田
Masayuki Fujita
誠之 冨士田
永妻 忠夫
Tadao Nagatsuma
忠夫 永妻
一魁 鶴田
Kazuisao Tsuruda
一魁 鶴田
俊和 向井
Toshikazu Mukai
俊和 向井
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Abstract

【課題】高アンテナ利得で、単峰性の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有する広帯域のテラヘルツ素子を提供する。【解決手段】テラヘルツ素子30は、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第1の半導体層91aと、第1の半導体層91a上に積層化形成された能動素子90と、第1の半導体層91aに接続されて能動素子90のカソードKに接続され、かつ半導体基板1上に配置された第2の電極2と、能動素子90のアノードAに接続され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4と、第1の半導体層91aに対向する半導体基板1の裏面に配置された半球レンズ100とを備え、能動素子90は、第2の電極2と第1の電極4間において共振器を形成し、電磁波は、半球レンズ100を介して、半導体基板1に対して垂直方向の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有する。【選択図】図19

Description

本実施の形態は、テラヘルツ素子に関する。
近年、トランジスタなどの電子デバイスの微細化が進み、その大きさがナノサイズになってきたため、量子効果と呼ばれる新しい現象が観測されるようになっている。そして、この量子効果を利用した超高速デバイスや新機能デバイスの実現を目指した開発が進められている。そのような環境の中で、特に、テラヘルツ帯と呼ばれる、周波数が0.1THz(1011Hz)〜10THzの周波数領域を利用して大容量通信や情報処理、あるいはイメージングや計測などを行う試みが行われている。この周波数領域は、光と電波の中間の未開拓領域であり、この周波数帯で動作するデバイスが実現されれば、上述したイメージング、大容量通信・情報処理のほか、物性、天文、生物などのさまざまな分野における計測など、多くの用途に利用されることが期待されている。
テラヘルツ帯の周波数の高周波電磁波を発振する素子としては、共鳴トンネルダイオード(RTD:Resonant Tunneling Diode)と微細スロットアンテナを集積する構造のものが知られている。また、スロットアンテナの両端には、金属と絶縁体が積層され、絶縁体を上下の電極金属によって挟み込み、高周波的に短絡したMIM(Metal Insulator Metal)構造を持つ素子が開示されている。
一方、テラヘルツ検出素子としては、ショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)が良く知られているが、これはテラヘルツ発振素子としては使えない。
一方、RTDは、発振素子としても検出素子としても利用できるが、テラヘルツ発振素子として用いる場合には、寄生発振を抑制するためにBiなどの抵抗体をアノード・カソード間に接続する。
また、共鳴トンネルダイオードとSBDを集積化した低雑音のテラヘルツ発振検出素子も開示されている。
また、フェムト秒レーザパルス駆動によるテラヘルツ波の発生および検出のための集束レンズ一体型光伝導アンテナ素子も開示されている。
また、テラヘルツ波デバイス・システムの小型集積化へ向けて、テラヘルツ波の送受信が可能なRTDとして、これまでに、送受信器として2.5Gbps、受信器として10Gbpsのリアルタイムエラーフリー無線通信が報告されている。
特開2007−124250号公報 特開2012−217107号公報 特開2012−084888号公報
Tadao Nagatsuma, "Terahertz technologies: present and future", IEICE Electronics Express, Vol.8, No.14, 1127-1142. Takeshi Shiode, Masashi Kawamura, Toshikazu Mukai, and Tadao Nagatsuma, "Resonant-Tunneling Diode Transceiver for 300 GHz-Band Wireless Link", Asia-Pacific Microw. Photon. Conf.(APMP 2012), WC-1, Kyoto, April 25, 2012. Kazuisao Tsuruda, Ai Kaku, Daiki Tsuji, Toshikazu Mukai, Masayuki Fujita, and Tadao Nagatsuma, "10-Gbps Error-free Terahertz Wireless Communications Using Resonant Tunnneling Diode Receivers", Global Symposium on Millimeter-Waves 2014 (GSMM 2014), TIB-3, 2014, 52-53.
一方、InP基板上でRTDと集積されたテーパースロットアンテナを備えるテラヘルツ素子の放射パターンは、周波数依存性が大きく、また、単峰性を得ることは難しい。
本実施の形態は、高アンテナ利得で、単峰性の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有する広帯域のテラヘルツ素子を提供する。
本実施の形態の一態様によれば、半導体基板と、前記半導体基板上に配置された第1の半導体層と、前記第1の半導体層上に積層化形成された能動素子と、前記第1の半導体層に接続されて前記能動素子の主電極の一方に接続され、かつ前記半導体基板上に配置された第2の電極と、前記能動素子の主電極の他方に接続され、かつ前記半導体基板上に前記第2の電極に対向して配置された第1の電極と、前記第1の半導体層に対向する前記半導体基板の裏面に配置された半球レンズとを備え、前記能動素子は、前記第2の電極と前記第1の電極間において共振器を形成し、電磁波は、前記半球レンズを介して、前記半導体基板に対して垂直方向の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有するテラヘルツ素子が提供される。
本実施の形態によれば、高アンテナ利得で、単峰性の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有する広帯域のテラヘルツ素子を提供することができる。
基本技術に係るテラヘルツ素子の模式的平面パターン構成図。 基本技術に係るテラヘルツ素子の放射パターンのシミュレーション結果。 基本技術に係るテラヘルツ素子の規格化検出強度の周波数特性例。 基本技術に係るテラヘルツ素子の放射パターンの実験系の側面図。 基本技術に係るテラヘルツ素子の放射パターンの測定結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子の実験系の側面写真。 (a)実施の形態に係るテラヘルツ素子の実験系の上面写真、(b)実施の形態に係るテラヘルツ素子のRTDチップの拡大写真。 比較例に係るテラヘルツ素子の放射パターンの電磁界シミュレーション結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子の放射パターンの電磁界シミュレーション結果。 (a)実施の形態に係るテラヘルツ素子の放射パターンの測定系の側面写真、(b)実施の形態に係るテラヘルツ素子の放射パターンの測定結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子において、最大値で規格化したアンテナ利得の周波数特性のシミュレーション結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子において、規格化検出強度の搬送波周波数依存性の測定結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子に適用可能な半球レンズであって、(a)通常の半球レンズの模式的断面構成図、(b)厚さtのオフセット部を有する半球レンズの模式的断面構成図、(c)厚さtのオフセット部を有し、球を切り取った形状の半球レンズの模式的断面構成図。 実施の形態に係るテラヘルツ素子に適用可能な半球レンズにおいて、オフセット部の厚さtをパラメータとする出射角の縮小割合φ1/θと出射角θとの関係図。 実施の形態に係るテラヘルツ素子において、(a)厚さtのオフセット部を有し、球を切り取った形状の半球レンズ上に半導体基板を配置した構成の模式的断面構造図、(b)オフセット量t’をパラメータとし、最大アンテナ利得の周波数特性のシミュレーション結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子において、3dB帯域幅とオフセット量t’との関係のシミュレーション結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子において、最大アンテナ利得とオフセット量t’との関係のシミュレーション結果。 実施の形態に係るテラヘルツ素子の模式的平面パターン構成図。 図18のI−I線に沿う模式的断面構造図。 (a)実施の形態に係るテラヘルツ素子に適用可能な能動素子の模式的断面構造図、(b)実施の形態に係るテラヘルツ素子に適用可能な能動素子の別の模式的断面構造図。 実施の形態に係るテラヘルツ素子の詳細な平面パターン構成図。 (a)実施の形態に係るテラヘルツ素子において、抵抗素子の別の配置例、(b)実施の形態に係るテラヘルツ素子において、抵抗素子の更に別の配置例。 実施の形態に係るテラヘルツ素子のデバイス表面顕微鏡写真例。 図23の拡大されたデバイス表面顕微鏡写真例。
次に、図面を参照して、本実施の形態を説明する。以下において、同じブロックまたは要素には同じ符号を付して説明の重複を避け、説明を簡略にする。図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の配置などを下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
[基本技術]
基本技術に係るテラヘルツ素子30Aの模式的平面パターン構成は、図1に示すように表される。
基本技術に係るテラヘルツ素子30Aは、図1に示すように、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第1の半導体層上に積層化形成された能動素子90と、第1の半導体層に接続されて能動素子90の主電極の一方に接続され、かつ半導体基板1上に配置された第2の電極2と、能動素子90の主電極の他方に接続され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4と、第1の半導体層に対向する半導体基板1の裏面に配置された裏面金属反射鏡とを備える。ここで、能動素子90は、第2の電極2と第1の電極4間において共振器を形成し、放射された電磁波は、裏面金属反射鏡に反射されて、半導体基板1に対して垂直方向の面発光放射パターンを有する。
また、基本技術に係るテラヘルツ素子30Aにおいて、第1の電極4および第2の電極2は、図1に示すように、ダイポールアンテナを構成する。
また、基本技術に係るテラヘルツ素子30Aは、図1に示すように、ダイポールアンテナ(4・2)に接続された第1フィード線40Fおよび第2フィード線20Fと、第1フィード線40Fおよび第2フィード線20Fに接続された第1パッド電極40Pおよび第2パッド電極20Pとを備える。
基本技術に係るテラヘルツ素子30Aは、厚さ約230μmのInP基板1上に長さ約20μm・幅約6μmの2本の金属線の平面ダイポール構造をRTD90の左右に備えている。更に、変復調信号を伝送するためのパッド電極20P・40Pをダイポールアンテナ(2・4)に接続している。
基本技術に係るテラヘルツ素子30Aの300GHzにおける放射パターンのシミュレーション結果は、図2に示すように表される。
基本技術に係るテラヘルツ素子30Aは裏面金属反射鏡およびダイポール構造を備えることで、図2に示すように、半導体基板1の上面方向に単峰的な放射指向性を示す。ここで、アンテナ利得は、約8.3dBiである。
基本技術に係るテラヘルツ素子30の規格化検出強度の周波数特性の実測例は、図3に示すように表される。図3に示すように、3dB帯域幅の実験値は、約17GHzである。この結果、0.7×17GHzより、基本技術に係るテラヘルツ素子30を適用したRTD検出器は、約11Gbpsの通信を実現可能である。
基本技術に係るテラヘルツ素子30Aの放射パターンの実験系の側面写真は、図4に示すように表される。図4に示す実験系においては、RTD90の裏面金属反射鏡を取り除き、RTD90をシリコン基板124上に配置している。また、基本技術に係るテラヘルツ素子30Aは、SMAコネクタ120を介して外部に接続されている。
図4に示す実験系を用いて測定された基本技術に係るテラヘルツ素子30Aの放射パターンの測定結果は、図5に示すように表される。基本技術に係るテラヘルツ素子30Aの300GHzでの放射パターンは、ダイポールアンテナを備えることで、図5に示すように、様々な方向へ等方的に放射している。
基本技術に係るテラヘルツ素子30AのRTDチップは、図1に示すように、ダイポールアンテナ(2・4)を有しており、テラヘルツ波の発振、受信の両方を実現可能である。この時、発振する周波数と受信できる周波数は、ダイポールアンテナ(2・4)の持つ周波数特性に依存して変化する。特に、受信動作の感度帯域には、ダイポールアンテナ(2・4)の周波数特性(RF帯域)が直接的に影響している。しかしながら、このようなコンパクトなダイポールアンテナでは、広い動作帯域を実現するのは難しい。また、図3に示すように、周波数の変化に対して、感度のバラツキが大きい。周期的に変化している様子から、アンテナの共振状態に依存する周波数特性であることがわかる。
どの程度の広帯域が必要なのかという点であるが、もちろんアプリケーションによって異なる。例えば、イメージングやセンサ応用を考えた場合、変調周波数は高くても10MHz程度と想定されるので、10GHzも帯域があれば、全く問題にならない。もちろん帯域が広いことで、ダイナミックレンジが向上して信号特性が良くなれば、それは当然良い特性となる。
帯域がシビアに関連してくるのは、無線通信応用の場合である。高速無線通信では、10Gbpsや更には基幹系の光ファイバーに迫る30Gbps等の目標となるマイルストーンが存在する。20Gbps程度の通信速度を実現させたい場合、変調に必要な帯域は約30GHz程度(例えば、ダブルサイドバンドのASK(Amplitude Shift Keying)変調時)必要である。そうした時、RTDチップ上にあるアンテナだけでは、帯域が足りず目標とする特性に届かない。そこで、アンテナの周波数特性を改善する方法が必要である。アンテナの周波数特性が向上して、利得も改善されれば、通信だけでなく、あらゆる応用でプラスに働く。
[実施の形態]
実施の形態に係るテラヘルツ素子30の模式的平面パターン構成は、図1と同様に表される。なお、詳細な構造については、図18〜図21を参照して詳述する。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第1の半導体層上に積層化形成された能動素子90と、第1の半導体層に接続されて能動素子90の主電極の一方に接続され、かつ半導体基板1上に配置された第2の電極2と、能動素子90の主電極の他方に接続され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4と、第1の半導体層に対向する半導体基板1の裏面に配置された半球レンズ100とを備える。ここで、能動素子90は、第2の電極2と第1の電極4間において共振器を形成し、放射された電磁波は、半球レンズ100を介して、半導体基板1に対して垂直方向の面発光放射パターンを有する。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、第1の電極4および第2の電極2は、ダイポールアンテナを構成する。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、ダイポールアンテナに接続された第1フィード線40Fおよび第2フィード線20Fと、第1フィード線40Fおよび第2フィード線20Fに接続された第1パッド電極40Pおよび第2パッド電極20Pとを備える。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30の実験系の側面写真は、図6に示すように表され、上面写真は、図7(a)に示すように表され、RTDチップ126の拡大写真は、図7(b)に示すように表される。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30の実験系においては、図6に示すように、RTDチップ126が厚さ200μmのシリコン基板124を介して半球レンズ100上に接着し配置されている。RTDチップ126は、InP基板1上に形成されたRTD90を備える。RTD90にはダイポールアンテナ(2・4)が接続される。フィード線20F・40Fに接続されるパッド電極20P・40Pは、図7(a)・図7(b)に示すように、ボンディングワイヤ20W・40Wを介してプリント基板122上に形成されたコプレーナ線路(CPW:Coplanar Waveguide)に接続される。ここで、コプレーナ線路(CPW)は、変復調信号伝送用のSMAコネクタ120に接続されている。
このようにして、実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、SMAコネクタ120を介した外部からの給電によって半球レンズ100を介したテラヘルツ波の発振動作と、半球レンズ100を介した外部からのテラヘルツ波の検出動作の両方を実現可能である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、ダイポールアンテナ(2・4)を集積化し、RTDチップ126の直下に超半球レンズ100を実装している。RTDチップ126のRTD90を点光源として見なして良いため、実装位置は、出来る限り超半球レンズ100の球の中心に来るようにする。実際は、ダイポールアンテナ(2・4)の形状も影響するため、多少のオフセット部を入れると、最適化可能である。
ダイポールアンテナ(2・4)の大きさが波長/10以下と小さく、点光源と見なせ、半球レンズ100の半径rが波長以上の大きさの場合には、波動光学ではなく,幾何光学的な振る舞いとなる。図13・図14を参照して後述するように、半球レンズ100界面での屈折現象によって、出射角φ1が小さくなることで指向性(アンテナ利得)が高くなる。
また、周波数(波長)が変化した場合の指向性が変化しずらくなるため、結果として、広帯域動作が可能になる。
通信速度は動作帯域に比例する。単純な振幅変調では帯域B(GHz)の約0.7倍、即ち、0.7B(Gbps)までの通信が可能である。分光応用に対しても、周波数に強度が一定となるため、広帯域が望ましい。 高い指向性は通信可能な距離を長くすることができる。また、イメージング、分光の空間分解能を高くすることができる。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、微小なダイポールアンテナ(2・4)を備えるRTD90に対して集光作用のある半球レンズ100を実装することによって、高い指向性(高いアンテナ利得)と広帯域動作を実現している。
(半球レンズつきダイポールアンテナRTDデバイスの構造例)
ここでは一例として、半球レンズ100として、シリコン(Si)半球レンズを使用しているが、その材料はシリコンに限らず、各種半導体、ポリマー、誘電体等を適用可能である。
上記の実施の形態に係るテラヘルツ素子30の実験系では半球レンズ100の容易な再利用のためにシリコン基板124をRTDチップ126と半球レンズ100との間に挟んでいる。しかしながら、実施の形態に係るテラヘルツ素子30の構成上は、シリコン基板124は、必須の構成部材ではない。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、RTDチップ126と半球レンズ100との間にシリコン基板124を介在させることは、等価的にレンズのオフセット部の厚さt(図13・図14参照)を増やすことに相当する。
RTD90を構成する半導体基板1と半球レンズ100の屈折率がそれぞれn1、n2と異なる場合、半導体基板1と半球レンズ100の間の反射をなくすため、屈折率がn1>n3>n2、特にはn3=√n12で、厚さが波長/(4n3)×N±波長/(8n3)の中間層を挟むことが望ましい。ここで、Nは自然数である。
各層の間の接着剤の厚さは波長/10以下であることが望ましい。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30をテラヘルツ波検出器として使用する場合には、RTD90の代わりにショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)なども適用可能である。
また、半球レンズ100の半径rの大きさは、波長よりも大きい必要がある。より望ましくは波長の3倍以上である。
(電磁界シミュレーション)
比較例に係るテラヘルツ素子30Bの放射パターンの電磁界シミュレーション結果は、図8に示すように表される。図8は、比較例に係るテラヘルツ素子30Bとして、300GHzにおける指向性を裏面反射鏡無しのRTDデバイス構造でシミュレーションした結果であり、特に裏面には、半球レンズを配置していない。
一方、実施の形態に係るテラヘルツ素子30の300GHzにおける放射パターンの電磁界シミュレーション結果は、図9に示すように表される。
図9は、実施の形態に係るテラヘルツ素子30として、半球レンズつきダイポールアンテナRTDデバイスの放射指向性のシミュレーション結果を示している。特に、300GHzでの指向性を裏面反射鏡無しのRTDデバイス構造でシミュレーションした結果である。
比較例に係るテラヘルツ素子30Bにおいては、レンズ無し構造のため、約6.3dBiの最大アンテナ利得が得られている。これに対して、実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、約23.4dBiという高い指向性 (アンテナ利得)が得られている。しかも、図9に示すように、単峰的な放射パターンが得られている。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、アンテナ利得を向上させるため、ダイポールアンテナ(2・4)を集積化したInP基板1の底面に直径12mm、オフセット部の厚さ1.56mmを有するシリコンからなる超半球レンズ100を実装している。
レンズありの場合の電磁界シミュレーション結果(図9)により、屈折率の高いシリコン半球レンズ側への放射のみが強くなり、最大アンテナ利得が約6.3dBiから約23.4dBiに向上している。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30の放射パターンの測定系の側面写真は、図10(a)に示すように表され、300GHzにおける放射パターンの測定結果は、図10(b)に示すように表される。図10(b)は、レンズつきダイポールアンテナRTDデバイスの実験的な放射パターンを示している。
基本技術に係るテラヘルツ素子の放射パターンの測定結果(図5)と比較して、実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、図10(b)に示すように、放射指向性が改善されている。
(アンテナ利得の周波数特性:シミュレーション)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、最大値で規格化したアンテナ利得の周波数特性のシミュレーション結果は、図11に示すように表される。
図11は、半球レンズつきダイポールアンテナRTDデバイスのダイポールアンテナ帯域のシミュレーション結果を示している。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、図11に示すように、3dB帯域が140GHz(中心周波数の47%)と非常に広帯域なアンテナ特性が得られている。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、規格化検出強度の搬送波周波数依存性の測定結果は、図12に示すように表される。図12は、半球レンズつきダイポールアンテナRTDデバイスのダイポールアンテナ帯域の実験結果を示している。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、図12に示すように、3dB帯域幅は47GHzとレンズ無しの場合の17GHzと比較して、広帯域化されている。
ここで、実験に適用したシリコン半球レンズ100の半径rは6mmである。また、RTDチップとシリコン基板124の厚さを含む半球レンズのオフセット量は1.96mmである。
図12に示された実験結果と図11に示されたシミュレーションの差は半球レンズ100の容易な再利用のために挿入したシリコン基板124、半球レンズ100に追加したオフセット量の理想値1.77mmからのズレ、および1mm(波長)以上となったレンズ中心位置からの実装の位置ズレの影響が原因である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、アンテナの指向性が向上し、アンテナ利得が基本技術に係るテラヘルツ素子30Aの6.3dBi程度から23.4dBiに向上した。また、RF帯域が17GHz程度から、47GHz程度に向上した。この結果により、10Gbps程度の高速無線通信を達成可能な特性を有するテラヘルツ素子を提供することができる。
RTDデバイスを受信器として動作させ、磁界振動方向のH面に対する300GHzでの放射パターンを測定した結果、図10(b)に示すように、半球レンズ100の実装により、半球レンズの実装の無い場合に比較して、最大受信強度が15dB向上している。
更に、相対検波強度の搬送波周波数依存性(図12)に示すように、3dB帯域が47GHzと見積もられた。これは、ASK変調で30Gbps程度の通信が可能な帯域に相当する。
(半球レンズの効果)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、RTDチップを半球レンズに直接実装する。半球レンズは、オフセット部を備えるレンズとすることで、中心周波数によって、その設計値を変更可能である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30に適用可能な半球レンズ100の説明であって、通常の半球レンズ100の模式的断面構成は、図13(a)に示すように表され、厚さtのオフセット部102を有する半球レンズ100の模式的断面構成は、図13(b)に示すように表され、厚さtのオフセット部102を有し、球を切り取った形状の半球レンズ100の模式的断面構成は、図13(c)に示すように表される。
図13(a)のO点および図13(b)・図13(c)のP点は、実施の形態に係るテラヘルツ素子30が配置される位置を表す。実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、送信デバイスとしても或いは受信デバイスとしても機能する点は前述の通りである。
図13(b)・図13(c)において、半球レンズ100のオフセット部102のDA間・EB間の形状は任意でよい。例えば、図13(c)に示すように、球を切り取る形状なども適用可能である。
通常の半球レンズ100を実施の形態に係るテラヘルツ素子30に付加した場合では、図13(a)に示すように、レンズ出射点C点での入射角が0°のため、テラヘルツ素子30から出射される角度θがそのままで、外部へ出射される(θ=φ0)。
一方、厚さtのオフセット部102を付加した半球レンズ100では、図13(b)・図13(c)に示すように、レンズ出射点Fでの入射角がrsinφ1=tsinθの関係を満たすように大きくなる。この結果、屈折の法則により、出射角がφ0からφ1へ変化する(φ1<φ0)。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、オフセット部102の厚さtが大きいほど、出射角φ1が小さくなり、指向性、すなわち、アンテナ利得が高くなる。
アンテナ利得とは、等方放射での強度を基準値として、指向性が高くなる(出射角φ1が小さくなる)結果、強度が何倍になるかを表した値である。
ただし,オフセット部102の厚さtの値が大きすぎると、出射点Fにおいて全反射現象が生じてしまい、テラヘルツ素子30から出射される角度θが大きい成分が取り出されなくなる。そのため、半球レンズの十分な指向性効果を得るためにはオフセット部102の厚さtに関しては、半径r/n2(オフセット部102の屈折率)の0.5倍〜1.3倍、すなわち、0.5(r/n2)<t<1.3(r/n2 )とすべきであり、特に0.8倍〜1.2倍、すなわち0.8(r/n2)<t<1.2(r/n2)であることがが望ましい。
(出射角の縮小割合φ1/θと出射角θとの関係)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30に適用可能な半球レンズ100において、オフセット部102の厚さtをパラメータとする出射角の縮小割合φ1/θと出射角θとの関係は、図14に示すように表される。
図14は、オフセット部102の厚さtをパラメータとしたときの半球レンズ100による出射角の縮小割合φ1/θの計算例である。縮小割合φ1/θが小さいほど、出射角φ1が小さくなり、半球レンズ100の指向性効果が大きく望ましい。
ここで、実施の形態に係るテラヘルツ素子30のダイポールアンテナの動作帯域は出射角の周波数依存性で決定される。
オフセット部102の厚さtを追加した半球レンズ100では、出射角φ1が元々のデバイスよりも小さくなるため、その周波数依存性も小さくなる。
例えば、t=r/n1とした場合(n1は半球レンズの屈折率)、sinφ1=(1/n1)sinθの関係が成り立ち、アンテナ利得を決定するsinθおよびsinφ1の周波数fに対する依存性を比較すると、∂sinφ1/∂f=(1/n1)∂sinθ/∂fとなり、周波数依存性の大きさが1/n1になる。この結果、動作帯域を広げることができる。
以上の議論が成立するのは,波長に比べて、ダイポールアンテナの大きさが十分小さく、半球レンズ100の半径rが十分に大きく、幾何光学的にみなせる場合である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、周波数300GHz(波長1mm)に対して、ダイポールアンテナ(2・4)の大きさは長さ40μm・幅6μmと十分に小さく、半球レンズ100の半径rは6mmと十分に大きいため、上記の条件を満たしている。
(最大アンテナ利得の周波数特性)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、厚さtのオフセット部を有し、球を切り取った形状の半球レンズ100上に半導体基板1を配置した構成の模式的断面構造は、図15(a)に示すように表される。ここで、シリコンとInPの屈折率はほぼ等しいため、オフセット部の厚さtとInP基板の厚さDとの和t’=t+Dが実効的なオフセット量に相当する。実効的なオフセット量t’をパラメータとし、最大アンテナ利得(dBi)の周波数特性のシミュレーション結果は、図15(b)に示すように表される。ここでは、半球レンズの半径rを3mmとし、InP基板の厚さDを0.2mmとした場合である。
(3dB帯域幅および最大アンテナ利得と厚さtとの関係)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、3dB帯域幅とオフセット量t’との関係のシミュレーション結果は図16に示すように表される。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、最大アンテナ利得(dBi)とオフセット量t’との関係のシミュレーション結果は図17に示すように表される。
オフセット量t’は、3dB帯域幅および最大アンテナ利得(dBi)の観点から,半球レンズの半径rの0.8倍から1.2倍が望ましい。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30の模式的平面パターン構成は、図18に示すように表され、図18のI−I線に沿う模式的断面構造は、図19に示すように表される。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30に適用可能な能動素子90の模式的断面構造は、図20(a)に示すように表され、別の模式的断面構造は、図20(b)に示すように表される。
―RTD―
実施の形態に係るテラヘルツ素子30に適用可能な能動素子90として、RTDの構成例は、図20(a)に示すように、半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1上に配置され、n型不純物を高濃度にドープされたGaInAs層91aと、GaInAs層91a上に配置され、n型不純物をドープされたGaInAs層92aと、GaInAs層92a上に配置されたアンドープのGaInAs層93aと、GaInAs層93a上に配置されたAlAs層94a/InGaAs層95/AlAs層94bから構成されたRTD部と、AlAs層94b上に配置されたアンドープのGaInAs層93bと、GaInAs層93b上に配置され、n型不純物をドープされたGaInAs層92bと、GaInAs層92b上に配置され、n型不純物を高濃度にドープされたGaInAs層91bと、GaInAs層91b上に配置された第1の電極4と、GaInAs層91a上に配置された第2の電極2とを備える。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30に適用可能な能動素子90として、RTDの別の構成例は、図20(b)に示すように、GaInAs層91b上に配置され、n型不純物を高濃度にドープされたGaInAs層91cを備え、第1の電極4は、GaInAs層91c上に配置される。このように、第1の電極4とGaInAs層91bとのコンタクトをさらに良好にするために、GaInAs層91cを形成しても良い。
ここで、各層の厚さは、例えば以下の通りである。
+型のGaInAs層91a、91b・91cの厚さは、それぞれ例えば、約400nm、15nm・8nm程度である。n型のGaInAs層92aおよび92bの厚さは、略等しく、例えば、約25nm程度である。アンドープGaInAs層93a・93bの厚さは、例えば、上述の非対称性を実現可能とする厚さであって、約2nm・20nm程度である。AlAs層94aおよび94bの厚さは、等しく、例えば、約1.1nm程度である。GaInAs層95の厚さは、例えば、約4.5nm程度である。
なお、図20(a)および図20(b)に示す積層構造の側壁部には、SiO2膜、Si34膜、SiON膜、HfO2膜、Al23膜など、若しくはこれらの多層膜からなる絶縁膜を堆積することもできる。絶縁層は、化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
MIMリフレクタ50は金属/絶縁体/金属からなる積層構造により、パッド電極40P・20Pは高周波的に短絡される。また、MIMリフレクタ50は、直流的には開放(オープン)でありながら、高周波を反射させることが可能となるという効果を有する。
第1の電極4・第2の電極2は、いずれも例えば、Au/Pd/TiやAu/Tiのメタル積層構造からなり、Ti層は、半絶縁性のInP基板からなる半導体基板1との接触状態を良好にするためのバッファ層である。第1の電極4・第2の電極2の各部の厚さは、例えば、約数100nm程度であり、全体として、平坦化された積層構造が得られている。なお、第1の電極4・第2の電極2は、いずれも真空蒸着法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
MIMリフレクタの絶縁層は、例えば、SiO2膜で形成することができる。その他、Si34膜、SiON膜、HfO2膜、Al23膜などを適用することもできる。なお、絶縁層の厚さは、MIMリフレクタ50の幾何学的な平面寸法と、回路特性上の要求されるキャパシタ値を考慮して決めることができ、例えば、数10nm〜数100nm程度である。絶縁層は、CVD法、或いはスパッタリング法などによって形成することができる。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、第1トンネルバリア層/量子井戸層/第2トンネルバリア層が、AlAs/InAlAs/AlAsの構成を有する例が示されているが、このような材料系に限定されるものではない。例えば、第1トンネルバリア層/量子井戸層/第2トンネルバリア層が、AlGaAs/GaAs/AlGaAsの構成を有する例であっても良い。また、第1トンネルバリア層/量子井戸層/第2トンネルバリア層が、AlGaN/GaN/AlGaNの構成を有する例であっても良い。また、第1トンネルバリア層/量子井戸層/第2トンネルバリア層が、SiGe/Si/SiGeの構成を有する例であっても良い。
(テラヘルツ発振素子)
テラヘルツ発振素子として動作可能な実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、図18〜図19に示すように、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第1の半導体層91aと、第1の半導体層91a上に積層化形成された能動素子90と、第1の半導体層91aに接続されて能動素子90の主電極の一方に接続され、かつ半導体基板1上に配置された第2の電極2と、能動素子90の主電極の他方に接続され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4と、第1の半導体層91aに対向する半導体基板1の裏面に配置された半球レンズ100とを備える。ここで、能動素子90は、第2の電極2と第1の電極4間において共振器を形成し、放射された電磁波は、半球レンズ100を介して、半導体基板1に対して垂直方向の面発光放射パターンを有する。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、図18に示すように、第1の電極4および第2の電極2からなるダイポールアンテナを備える。
実施の形態に係るテラヘルツ素子の詳細な平面パターン構成は、図21に示すように表される。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、図21に示すように、ダイポールアンテナに接続された第1フィード線40Fおよび第2フィード線20Fと、第1フィード線40Fおよび第2フィード線20Fに接続された第1パッド電極40Pおよび第2パッド電極20Pとを備えていても良い。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、図21に示すように、第1パッド電極40Pと第2パッド電極20Pとの間に接続されたMIMリフレクタ50を備えていても良い。パッド電極20P・40Pの一部分を絶縁層を介して積層化することで、MIMリフレクタ50が形成可能である。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、図18・図21に示すように、第1の電極4と第2の電極2間に接続された抵抗素子114を備えていてもい良い。ここで、抵抗素子114は、金属配線を備えていても良い。例えば、金属配線は、ビスマス(Bi)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、若しくは白金(Pt)を備えていても良い。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、抵抗素子114の別の配置例は、図22(a)に示すように表され、抵抗素子114の更に別の配置例は、図22(b)に示すように表される。抵抗素子114は、図22(a)に示すように、第1パッド電極40Pと第2パッド電極20P間に外部接続されていても良い。或いは、図22(b)に示すように、第1パッド電極40Pと第2パッド電極20P間にRTDチップ内で内部接続されていても良い。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、能動素子90は、マルチチップ化して配置されていても良い。
また、実施の形態に係るテラヘルツ素子30において、能動素子90は、セルアレイ化して配置されていても良い。
能動素子90としてはRTDが代表的なものであるが、これ以外のダイオードやトランジスタでも構成可能なものである。その他の能動素子としては、例えば、タンネット(TUNNETT:Tunnel Transit Time)ダイオード、インパット(IMPATT:Impact Ionization Avalanche Transit Time)ダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)FETなどを適用することもできる。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、能動素子90として、RTDの負性抵抗を用いたテラヘルツ発振素子若しくはテラヘルツ検出素子を構成可能である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、ダイポール型のアンテナ部を構成する第1の電極4および第2の電極2と、伝送線部を構成するパッド電極40P・20Pと、接続部を構成するフィード線40F・20Fと、半導体基板1の裏面に配置される半球レンズ100とを備えている。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、素子の放射パターンを改善し、高アンテナ利得で、単峰性の面発光放射パターンを得ることができる。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、半導体基板1の裏面に半球レンズ100を設けることで、放射パターンを改善すると同時に、広帯域・高アンテナ利得を得ることができる。
さらに詳細には、第1の電極4・第2の電極2は、例えば、Au/Pd/Ti若しくはAu/Tiを備えていても良い。
(テラヘルツ検出素子)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30を検出素子として動作させる場合にも同様の効果がある。すなわち、半導体基板1の裏面に半球レンズ100を設けることで、受信波パターンを改善すると同時に、広帯域・高検出感度を得ることができる。
テラヘルツ検出素子として動作可能な実施の形態に係るテラヘルツ素子30は、図18〜図19に示すように、半導体基板1と、半導体基板1上に配置された第1の半導体層91aと、第1の半導体層91a上に積層化形成された能動素子90と、第1の半導体層91aに接続されて能動素子90の主電極の一方に接続され、かつ半導体基板1上に配置された第2の電極2と、能動素子90の主電極の他方に接続され、かつ半導体基板1上に第2の電極2に対向して配置された第1の電極4と、第1の半導体層91aに対向する半導体基板1の裏面に配置された半球レンズ100とを備える。ここで、能動素子90は、第2の電極2と第1の電極4間において共振器を形成し、半導体基板1の裏面に配置される半球レンズ100を介して受信した電磁波は、半導体基板1に対して垂直方向の面受光パターンを有する。テラヘルツ検出素子のその他の構成は、テラヘルツ発振素子と同様である。
本実施の形態によれば、素子の受信波パターンを改善し、高アンテナ利得で、単峰性の面受光パターンを有する広帯域のテラヘルツ素子を得ることができる。
(並列抵抗)
能動素子90としてRTDを有するテラヘルツ素子30は、RTDの負性抵抗に起因する外部回路との寄生発振によって、テラヘルツ帯での本発振を規制される。寄生発振を抑制する方法として、図18・図21に示すように、RTDに対して並列にビスマスからなる抵抗素子114を配置し、外部回路に対して負性抵抗が見えないようにすることができる。
RTDの抵抗RRTDに対して、抵抗素子114の抵抗RBiは、RTDのアノード・カソード間に並列に接続される。結果として、RTDのアノードA・カソードK間の合成抵抗Rtは、RTDの抵抗RRTDと抵抗素子114の抵抗RBiの並列接続された抵抗RRTD・RBi/(RRTD+RBi)で表される。
RTDの抵抗RRTDに対して、抵抗素子114の抵抗RBiを並列に配置することによって、負性抵抗(−ΔV/ΔI)の発生が、相対的に大きな電圧および相対的に大きな電流側にシフトし、寄生発振の抑制効果がある。
負性抵抗領域において外部回路との間に寄生発振が生じてしまうため、RTDに並列に抵抗を配置することで、外部回路から負性抵抗を見えにくくする。こうすると、本発振以外の寄生発振を抑えることができる。そのための要求条件は、合成抵抗Rt>=0より、RBi<=ΔV/ΔI(=RRTD)で表される。
抵抗値の比較的高いBiや半導体プロセスでも一般的に使われるNi、Ti、Pt等のメタルで配線を行い、寄生発振を抑制して本発振を得ている。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、寄生発振を抑制するための抵抗配線をダイポールアンテナ部に直接接続している。
(RTDのデバイス表面顕微鏡写真例)
実施の形態に係るテラヘルツ素子30のデバイス表面顕微鏡写真例は、図23に示すように表され、図23の拡大されたデバイス表面顕微鏡写真例は、図24に示すように表される。図23・図24の例は、図21の実施の形態に係るテラヘルツ素子の詳細な平面パターン構成例に対応している。尚、図23・図24では、MIMリフレクタ50が形成されていない例が示されているが、図21と同様に、パッド電極20P・40Pの一部分を絶縁層を介して積層化することで、MIMリフレクタ50が形成可能である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子30においては、相対的に抵抗値の高いBiや半導体プロセスで一般的に使用されるTi、Pt,Ni等のメタルを用いて並列抵抗を作製可能である。デバイスの構造上、段差のある部分も、斜め蒸着などうまく覆膜性を改良し、デバイスの動作実証を達成可能である。
実施の形態に係るテラヘルツ素子よれば、ダイポールアンテナを集積化し、超半球レンズを実装したRTDデバイスにおいて、高いアンテナ利得をもつ単峰性の放射パターンが広帯域で実現可能である。
実施の形態によれば、高アンテナ利得で、単峰性の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有する広帯域のテラヘルツ素子を提供することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態に係るテラヘルツ素子について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この実施の形態を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
本実施の形態のテラヘルツ素子は、デバイスベースでは、テラヘルツ発振器、テラヘルツ検出器、高周波共振回路、信号増幅器等に適用可能であり、応用ベースでは、テラヘルツ波イメージング装置、センシング装置、高速無線通信器等の大容量通信・情報処理のほか、物性、天文、生物などのさまざまな分野における計測、セキュリティー分野など、幅広い分野に適用することができる。
1…半導体基板
2…第2の電極(カソード電極)
4……第1の電極(アノード電極)
20F、40F…フィード線
20P、40P…パッド電極
20W、40W…ボンディングワイヤ
30、30A、30B…テラヘルツ素子
50…MIMリフレクタ
90…能動素子
91a…第1の半導体層(GaInAs層)
94a、94b…トンネルバリア層
95…量子井戸層
100…半球レンズ
102…オフセット部
114…抵抗素子
120…SMAコネクタ
122…プリント基板
124…シリコン基板
126…RTDチップ
t…オフセット部の厚さ
t’…オフセット量

Claims (19)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板上に配置された第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層上に積層化形成された能動素子と、
    前記第1の半導体層に接続されて前記能動素子の主電極の一方に接続され、かつ前記半導体基板上に配置された第2の電極と、
    前記能動素子の主電極の他方に接続され、かつ前記半導体基板上に前記第2の電極に対向して配置された第1の電極と、
    前記第1の半導体層に対向する前記半導体基板の裏面に配置された半球レンズと
    を備え、
    前記能動素子は、前記第2の電極と前記第1の電極間において共振器を形成し、電磁波は、前記半球レンズを介して、前記半導体基板に対して垂直方向の面発光放射パターン若しくは面受光パターンを有することを特徴とするテラヘルツ素子。
  2. 前記第1の電極および前記第2の電極は、ダイポールアンテナを備えることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ素子。
  3. 前記ダイポールアンテナに接続された第1フィード線および第2フィード線と、
    前記第1フィード線および前記第2フィード線に接続された第1パッド電極および第2パッド電極と
    を備えることを特徴とする請求項2に記載のテラヘルツ素子。
  4. 前記ダイポールアンテナの大きさは、波長/10以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  5. 前記半球レンズの半径は、波長以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか項に記載のテラヘルツ素子。
  6. 前記半球レンズは、前記半導体基板との間に配置されたオフセット部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  7. 前記オフセット部の厚さtは、前記半球レンズの半径をr、前記オフセット部の屈折率をn2とすると、0.5(r/n2)<t<1.3(r/n2)であることを特徴とする請求項6に記載のテラヘルツ素子。
  8. 前記オフセット部の厚さtは、前記半球レンズの半径をr、前記オフセット部の屈折率をn2とすると、0.8(r/n2)<t<1.2(r/n2)であることを特徴とする請求項7に記載のテラヘルツ素子。
  9. 前記半球レンズは、シリコン(Si)半球レンズを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  10. 前記半球レンズは、半導体、ポリマー、若しくは誘電体を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  11. 前記第1パッド電極と前記第2パッド電極との間に接続されたMIMリフレクタを備えることを特徴とする請求項3に記載のテラヘルツ素子。
  12. 前記第1の電極と前記第2の電極間に接続された抵抗素子を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  13. 前記第1パッド電極と前記第2パッド電極間に接続された抵抗素子を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  14. 前記抵抗素子は、前記第1パッド電極と前記第2パッド電極間に外部接続されたことを特徴とする請求項13に記載のテラヘルツ素子。
  15. 前記抵抗素子は、金属配線を備えることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  16. 前記金属配線は、ビスマス、ニッケル、チタン、白金を備えることを特徴とする請求項15に記載のテラヘルツ素子。
  17. 前記能動素子は、マルチチップ化して配置されたことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。
  18. 前記能動素子は、セルアレイ化して配置されたことを特徴とする請求項17に記載のテラヘルツ素子。
  19. 前記能動素子は、共鳴トンネルダイオード、タンネットダイオード、インパットダイオード、GaAs系電界効果トランジスタ、GaN系FET、高電子移動度トランジスタ、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ、若しくはCMOSFETのいずれかを備えることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載のテラヘルツ素子。

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