以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[画像形成装置1の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す。図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に転写(一次転写)し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに転写(二次転写)することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、及び制御部100を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413(本発明の「像担持体」に対応)、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム径が80[mm]のアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100が感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413は一定の周速度で回転する。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。ドラムクリーニング装置415の詳細な説明については後述する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423(423A,423Bを含む)にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置される支持ローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に体積抵抗率が8〜11[logΩ・cm]である高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって駆動ローラー423Aが回転することにより、矢印A方向に一定速度で走行する。なお、中間転写ベルト421については、導電性および弾性を有するものであれば、材質、厚さおよび硬度を限定しない。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるローラー423B(以下「バックアップローラー423B」と称する)に対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用しても良い。
定着部60は、用紙Sの定着面(トナー像が形成されている面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材又は裏面側支持部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニットが配置されていても良い。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、図3を参照し、ドラムクリーニング装置415の構成について説明する。ドラムクリーニング装置415は、クリーニングブレード111、トナー回収スクリュー112、潤滑剤塗布ブラシ113、固形潤滑剤114、付勢部材115、及び固定化ブレード116等を備えている。これらの部材111〜116は、ドラムクリーニング装置415の枠体となる収容ケース117に適当な方法により取り付けられている。
クリーニングブレード111は、弾性ブレード部111aと支持部111bとを備えて構成される。弾性ブレード部111aは、ウレタンゴム等を平板状に成形した弾性部材であり、感光体ドラム413の軸方向の幅より狭い幅を有する。弾性ブレード部111aの一端部は、感光体ドラム413の表面との間で一定の角度を保ちながら、感光体ドラム413の回転方向(すなわち、回転による移動方向)と対向するような方向(カウンター方向)に感光体ドラム413に当接する。画像形成時には、感光体ドラム413が回転することに伴い、弾性ブレード部111aによって感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーが掻き取られる。
支持部111bは、例えば鋼板にて製造された断面L字状の支持板金であり、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。弾性ブレード部111aは、支持部111bに対して接着により固定されている。支持部111bは、弾性ブレード部111aを支持し、収容ケース117に取り付けられている。
トナー回収スクリュー112は、弾性ブレード部111a(クリーニングブレード111)で掻き取られた転写残トナーを回収して、廃トナー回収容器(図示略)に搬送する。
潤滑剤塗布ブラシ113は、例えばポリエステル等の繊維が植設された基布を芯金に巻き付けたローラー状のブラシであり、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。潤滑剤塗布ブラシ113は、感光体ドラム413の表面に接触するように配置され、制御部100からの制御信号によって感光体ドラム413の回転方向と同一方向に回転する。画像形成時には、潤滑剤塗布ブラシ113が回転することにより固形潤滑剤114の表面から潤滑剤が削り取られ、この削り取られた潤滑剤が感光体ドラム413との接触部位において感光体ドラム413の表面に塗布される。
固形潤滑剤114は、潤滑剤を固形化したもの(例えば、鉛筆硬度:F〜HB相当)であり、付勢部材115に接続されたホルダー(図示略)に固定される。潤滑剤としては、例えばステアリン酸亜鉛(ZnSt)が適用される。
付勢部材115は、例えば圧縮スプリングで構成され、固形潤滑剤114を潤滑剤塗布ブラシ103に向けて所定の押圧荷重(例えば1.2〜2.6[N])で押圧する。これにより、固形潤滑剤114は、潤滑剤塗布ブラシ113と接触した状態で保持される。
固定化ブレード116は、感光体ドラム413の回転方向に対して、潤滑剤塗布ブラシ113の下流側に設けられる。固定化ブレード116は、クリーニングブレード111と同様に、弾性ブレード部116aと支持部116bとを備えて構成される。弾性ブレード部116aは、ウレタンゴム等を平板状に成形した弾性部材であり、感光体ドラム413の軸方向の幅より狭い幅を有する。弾性ブレード部116aの一端部は、感光体ドラム413の表面との間で一定の角度を保ちながら、感光体ドラム413の回転方向に沿う方向(トレイル方向)に感光体ドラム413に当接する。潤滑剤塗布ブラシ113によって感光体ドラム413の表面に塗布された潤滑剤は、弾性ブレード部116a(固定化ブレード116)により均されて均一な厚さで感光体ドラム413の表面に固定される。
支持部116bは、例えば鋼板にて製造された断面L字状の支持板金であり、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。弾性ブレード部116aは、支持部116bに対して接着により固定されている。支持部116bは、弾性ブレード部116aを支持し、収容ケース117に取り付けられている。
ところで、感光体ドラム413の表面に潤滑剤を塗布するようにした画像形成装置1では、ブレード部材(クリーニングブレード111、固定化ブレード116)の長手方向端部から、クリーニングブレード111により除去されたトナーや固定化ブレード116により感光体ドラム413の表面に固定しきれなかった潤滑剤が漏れてしまうという問題がある。例えば、固定化ブレード116の長手方向端部から漏れて機内に飛散した潤滑剤は、固定化ブレード116の近くに配置される帯電装置414に汚れとして付着し、ひいては帯電装置414に放電不良を発生させる。この放電不良によって感光体ドラム413の表面に帯電ムラが発生する結果、形成される画像(特に、ハーフトーン画像)において画像不良(スジ状の画像ノイズ)が発生してしまう。
本実施の形態のように、弾性ブレード部111a(116a)と支持部111b(116b)とを備えて構成されるブレード部材を用いる場合には、ブレード部材の長手方向両端部において、弾性ブレード部111a(116a)と支持部111b(116b)との間に形成される隙間部分や、弾性ブレード部111a(116a)と感光体ドラム413とが当接しない隙間部分が、トナーや潤滑剤の漏れやすい箇所として挙げられる。
そこで、本実施の形態では、ブレード部材の長手方向端部(長手方向一端部および長手方向他端部)からトナーや潤滑剤が漏れることを防止するために、当該長手方向端部に2つのシール部材を貼り付けている。
次に、図4を参照し、固定化ブレード116の長手方向端部(長手方向一端部)から潤滑剤が漏れることを防止するために、当該長手方向一端部に2つのシール部材を貼り付ける構成について説明する。なお、固定化ブレード116の長手方向他端部に2つのシール部材を貼り付ける構成については、長手方向一端部に2つのシール部材を貼り付ける構成と同様であるため、説明を省略する。また、クリーニングブレード111の長手方向端部からトナーが漏れることを防止するために、当該長手方向端部に2つのシール部材を貼り付ける構成についても、固定化ブレード116の長手方向端部に2つのシール部材を貼り付ける構成と同様であるため、説明を省略する。
図4(a)は、2つのシール部材140,142を貼り付ける前の状態において、固定化ブレード116の長手方向一端部の構成を示している。図4(a)に示すように、支持部116bは、矩形部材をその長手方向に沿って折り曲げることにより形成される折り曲げ部116baと、折り曲げ部116baにて連接された2つの平坦部116bb,116bcとを有する。
平坦部116bcは、収容ケース117に取り付けられている。平坦部116bbには、その長手方向に沿って、四角形状の開口部116bdが形成されている。開口部116bdは、感光体ドラム413の表面に弾性ブレード部116aが当接して支持部116b側に撓んだ場合に、弾性ブレード部116aの動きを制限しないようにする役割を有する。開口部116bdの長手方向長さは、固定化ブレード116の長手方向長さより長い。そのため、開口部116bdが形成されていない平坦部116bbの端部116beと、弾性ブレード部116aとの間に隙間部分120が形成される。
端部116beの上面高さは、弾性ブレード部116aの上面高さより低い。端部116beには、感光体ドラム413の表面に対する弾性ブレード部116aの食い込み量を調節するための調節部材130が取り付けられている。より具体的には、調節部材130の裏側(図4の奥側)から調節部材130に形成されたねじ挿通孔(図示略)に固定ねじ(図示略)を挿通し、端部116beに形成された固定ねじ孔132に螺合させることによって、調節部材130が端部116beに取り付けられる。固定ねじと固定ねじ孔132との螺合状態を調整することによって、支持部116bの図中上下方向の位置を変更することが可能となっており、ひいては感光体ドラム413の表面に対する弾性ブレード部116aの食い込み量を調節することができる。
図4(b)は、図4(a)の状態において、シール部材140(本発明の第2シール部材に対応)を接着により弾性ブレード部116aに貼り付けた後の状態を示している。シール部材140は、圧縮変形性を有する材質(例えば、ポリウレタン系のモルトプレーン)で形成されている。なお、シール部材140を形成する他の材質としては、ポリエステル系、ネオプレン系、NBR系、NR系、SBR系、PE系、ビニール系、シリコン系等が挙げられ、弾力性を有するスポンジ質のものでも良い。
シール部材140は、平坦部116bbの側面に接して弾性ブレード部116aと端部116be(支持部116b)との間に形成される隙間部分120を塞ぐように、弾性ブレード部116aに対してのみ貼り付けられる。シール部材140の上面高さは、端部116beの上面高さと同じであり、弾性ブレード部116aの上面高さより低い。以上のように、シール部材140は弾性ブレード部116aに対してのみ貼り付けられ、かつ、圧縮変形性を有する。そのため、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合にも、弾性ブレード部116aの動きを制限せず、弾性ブレード部116aと端部116beとの間に形成される隙間部分120を密閉して塞ぐことができる。その結果、隙間部分120から潤滑剤が漏れることを防止することができる。
図4(b)に示すように、シール部材140を弾性ブレード部116aに貼り付けた後の状態では、シール部材140、感光体ドラム413、弾性ブレード部116aおよび支持部116bの間に隙間部分122が形成される。この隙間部分122を塞ぐために、後述のシール部材142(本発明の第2シール部材に対応)が貼り付けられる。本実施の形態では、シール部材142が貼り付けられる前に、シート部材150およびシール部材144(本発明の第3シール部材に対応)が貼り付けられる。
図4(c)は、図4(b)の状態において、シート部材150(例えば、PETシート)を接着により支持部116bに貼り付けた後の状態を示している。シート部材150は、調節部材130が取り付けられている端部116beに対して、裏側から表側(図4の手前側)に巻くようにして貼り付けられる。シート部材150の貼り付け面は、端部116beまたは調整部材130と接触する部分の全面である。シール部材142は、シート部材150を介して端部116beに貼り付けられる。図4(c)において、シート部材150の裏面が膨れているのは、調整部材130の裏側から固定ねじのねじ頭(図示略)が突出しているためである。すなわち、本実施の形態では、固定ねじのねじ頭が突出していることによってシール部材142が端部116beに貼り付けにくくなる点を考慮し、シール部材142を貼り付ける前にシート部材150を貼り付けている。
図4(d)は、図4(c)の状態において、シール部材144を接着により貼り付けた後の状態を示している。シール部材144は、薄くて追従性の高い材質(例えば、ウレタン)で形成されている。シール部材144は、シール部材140と平坦部116bb(支持部116b)との境界、および、シール部材140と端部116beとの境界を覆うように貼り付けられる。これにより、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合にも、シール部材140と平坦部116bbとの境界、および、シール部材140と端部116beとの境界から潤滑剤が漏れることを防止することができる。また、シール部材144は、追従性の高い材質で形成されているため、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合に、弾性ブレード部116aの動きを制限せず、その動きに追従することができる。
図4(e)は、図4(d)の状態において、シール部材142を接着により貼り付けた後の状態を示している。シール部材142は、端部116be(支持部116b)の裏側から表側の途中にかけて巻くように、シート部材150およびシール部材144を介して端部116beに対してのみ貼り付けられる。貼り付けられたシール部材142は、シール部材140、感光体ドラム413、弾性ブレード部116aおよびシート部材150に接している。
シール部材142のうち感光体ドラム413に接触する部分142aは、摺動性を有する材質(例えば、フェルト生地、不織布など)で形成されている。感光体ドラム413が回転した際に、感光体ドラム413の表面に接触するシール部材142の耐久性を向上させるためである。本実施の形態では、シール部材142は、フェルト層(表層)とモルトプレーン層(下層)とによる2層構造を有する。フェルト層は、感光体ドラム413に当接する側に配置される。モルトプレーン層は、フェルト層の下層として、シール部材142がシート部材150およびシール部材144の上に貼り付けられる側に配置される。このように、シール部材142の下層に圧縮変形性を有するモルトプレーン層を設けることにより、感光体ドラム413に対するシール部材142の摺動性をより向上させることができる。シール部材142の最上面高さ(感光体ドラム413に接触する部分142aの上面高さ)は、弾性ブレード部116aの上面高さと同じである。
以上のように、シール部材142を貼り付けることによって、シール部材140、感光体ドラム413、弾性ブレード部116aおよび支持部116bの間に形成される隙間部分122を密閉して塞ぐことができる。その結果、隙間部分122から潤滑剤が漏れることを防止することができる。また、シール部材142は支持部116bに対してのみ貼り付けられるため、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合に、弾性ブレード部116aの動きが制限されることを防止することができる。
[本実施の形態における効果]
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1は、回転可能な感光体ドラム413と、感光体ドラム413に当接する弾性ブレード部116aと弾性ブレード部116aを支持する支持部116bとを有する固定化ブレード116と、固定化ブレード116の長手方向端部において弾性ブレード部116aに対してのみ貼り付けられ、弾性ブレード部116aと支持部116bとの間に形成される隙間部分120を塞ぐシール部材140と、固定化ブレード116の長手方向端部において支持部116bに対してのみ貼り付けられ、シール部材140、感光体ドラム413、弾性ブレード部116aおよび支持部116bの間に形成される隙間部分122を塞ぐシール部材142とを備える。
このように構成した本実施の形態によれば、弾性ブレード部116aと支持部116bとを備えて構成される固定化ブレード116の長手方向端部において、潤滑剤の漏れやすい箇所(隙間部分120,122)がシール部材140,142によって密閉され、当該箇所から潤滑剤が漏れることが防止される。また、弾性ブレード部116aに貼り付けられたシール部材140は、支持部116bには貼り付けられていないため、シール部材140によって弾性ブレード部116aの動きが制限されることはない。また、支持部116bに貼り付けられたシール部材142は、弾性ブレード部116aには貼り付けられていないため、シール部材142によって弾性ブレード部116aの動きが制限されることはない。以上より、弾性ブレード部116aの動きを制限することなく、固定化ブレード116の長手方向端部から潤滑剤が漏れることを防止することができる。
なお、上記実施の形態では、感光体ドラム413が本発明の「像担持体」に対応する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去するクリーニングブレードがベルトクリーニング装置426に用いられる場合には、当該クリーニングブレードの長手方向端部からトナーが漏れることを防止するために、当該長手方向端部において上記実施の形態で説明した2つのシール部材140,142を貼り付けても良い。この場合には、中間転写ベルト421が本発明の「像担持体」に対応する。
また、上記実施の形態において、シール部材142,144を図5に示すように貼り付けても良い。この場合、シール部材140およびシート部材150については、シール部材142,144を貼り付ける前に、図4(b),(c)を参照して説明したように貼り付けられる。つまり、図5(a)〜(c)は、図4(a)〜(c)に対応する。図5(d)は、シート部材150を貼り付けた後、シール部材142を接着により貼り付けた後の状態を示している。シール部材142は、端部116be(支持部116b)の裏側から表側に向かって巻くように、シート部材150を介して端部116be(支持部116b)に対してのみ貼り付けられる。シール部材142は、その表面142bがシート部材150およびシール部材140と同一つら面となるように貼り付けられる。貼り付けられたシール部材142は、シール部材140、感光体ドラム413、弾性ブレード部116aおよびシート部材150に接している。
図5(e)は、図5(d)の状態において、シール部材144を接着により貼り付けた後の状態を示している。シール部材144は、シール部材140と平坦部116bb(支持部116b)との境界、シール部材142と平坦部116bbとの境界、および、シール部材140とシール部材142との境界を覆うように貼り付けられる。これにより、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合にも、上記境界から潤滑剤が漏れることを防止することができる。図4(d)のシール部材144と比べて、図5(e)のシール部材144は、覆う境界の数が2つ多く、固定化ブレード116の長手方向端部から潤滑剤が漏れることをより効果的に防止する。また、シール部材144は、追従性の高い材質で形成されているため、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合に、弾性ブレード部116aの動きを制限せず、その動きに追従することができる。
また、上記実施の形態において、支持部116bの構成は、図6に示すような構成でも良い。すなわち、図6(a)に示すように、支持部116bは、矩形部材をその長手方向に沿って折り曲げることにより形成される折り曲げ部116baと、折り曲げ部116baにて連接された2つの平坦部116bb,116bcとを有する。平坦部116bbは、左端部(図示略)から右端部にかけてストレート形状(直線形状)に形成されている。図6に示す例では、支持部116bに対して、調節部材130が取り付けられず、さらに、シート部材150およびシール部材144が貼り付けられない。
図6(b),(c)は、図6(a)の状態において、シール部材140を接着により弾性ブレード部116aに貼り付けた後の状態を示している。図6(b)は、固定化ブレード116の長手方向端部の左斜視図である。図6(c)は、固定化ブレード116の長手方向端部の右斜視図である。
図6(c)に示すように、シール部材140は、その右端面が弾性ブレード部116aの右端面と同一つら面となるように、弾性ブレード部116aに対してのみ貼り付けられる。シール部材140の上面高さは、弾性ブレード部116aの上面高さより低い。図6(b),(c)に示すように、シール部材140が貼り付けられた状態において、固定化ブレード116の長手方向端部には隙間部分124が形成される。
図6(d)は、図6(b),(c)の状態において、シール部材142を接着により貼り付けた後の状態を示している。シール部材142は、隙間部分124を塞ぐため、支持部116bの裏側から表側の途中にかけて巻くように、支持部116bに対してのみ貼り付けられる。平坦部116bbは図4に示した端部116beを有する構成ではないため、シール部材142の肉厚は、図4(e)に示したシール部材142の肉厚より厚く形成されている。貼り付けられたシール部材142は、シール部材140、感光体ドラム413、弾性ブレード部116aおよび支持部116bに接している。シール部材142の最上面高さ(感光体ドラム413に接触する部分142aの上面高さ)は、弾性ブレード部116aの上面高さと同じである。
以上のように、シール部材142を貼り付けることによって、隙間部分124を密閉して塞ぐことができるため、隙間部分124から潤滑剤が漏れることを防止することができる。また、シール部材142は支持部116bに対してのみ貼り付けられるため、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合に、弾性ブレード部116aの動きが制限されることを防止することができる。
また、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接してシール部材142から離間する方向に撓んだ場合(すなわち、弾性ブレード部116aとシール部材142との間に隙間部分が形成される場合)にも、弾性ブレード部116aに対して貼り付けられたシール部材140によって、当該隙間部分から潤滑剤が漏れることを防止することができる。また、シール部材140は弾性ブレード部116aに対してのみ貼り付けられ、かつ、圧縮変形性を有する。そのため、弾性ブレード部116aが感光体ドラム413の表面に当接して支持部116b側に撓んだ場合に、弾性ブレード部116aの動きが制限されることを防止することができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
最後に、本発明者が行った、上記実施の形態における有効性を確認する実験の結果について説明する。
[実施例に係る画像形成装置の構成]
実施例1に係る画像形成装置としては、図4(e)の構成(固定化ブレード116の長手方向端部の構成)を有する画像形成装置1を用いた。すなわち、固定化ブレード116の長手方向端部において、シール部材140,142,144、およびシート部材150が貼り付けられている。
[比較例に係る画像形成装置の構成]
比較例に係る画像形成装置としては、図4(a)の構成(固定化ブレード116の長手方向端部の構成)を有する画像形成装置1を用いた。すなわち、固定化ブレード116の長手方向端部において、シール部材140,142,144、およびシート部材150が貼り付けられていない。
[実験方法]
実施例および比較例に係る画像形成装置1をそれぞれ用いて400000[枚]の画像形成処理(黒色のハーフトーン画像)を行い、固定化ブレード116の長手方向端部から潤滑剤が漏れることに起因する画像不良(スジ状の画像ノイズ)の発生状況がどのように変化するかについて目視で確認した。その確認結果を図7に示す。ここで、画像不良の発生状況(以下、「Rank」ともいう)については、スジ状の画像ノイズが最も顕著に発生しているスジ部と、当該画像ノイズが発生していない非スジ部との濃淡差に基づいて評価した(下記評価基準を参照)。実線L1は、実施例に係る画像形成装置1を用いた場合におけるRankの変化を示す。点線L2は、比較例に係る画像形成装置1を用いた場合におけるRankの変化を示す。
(画像不良の発生状況)
Rank5:ハーフトーン画像上においてスジ部と非スジ部との濃淡差はない。
Rank4:ハーフトーン画像上においてスジ部と非スジ部との濃淡差は多少あるが、気にならないレベルである。
Rank3:ハーフトーン画像上においてスジ部と非スジ部との濃淡差はあるが、ぎりぎり許容できるレベルである。
Rank2:ハーフトーン画像上においてスジ部と非スジ部との濃淡差があり、出力したチャート(柄、色、濃度など)によってははっきりと目立つため、注意が必要なレベルである。
Rank1:ハーフトーン画像上においてスジ部と非スジ部との濃淡差がはっきりしており、商品(出力画像)として不適格なレベルである。
図7に示すように、実施例では、画像形成処理のプリント枚数が増加しても、固定化ブレード116の長手方向端部から潤滑剤が漏れることを最小限に抑えることができ、画像不良の発生状況(Rank)はRank4を下回らなかった。つまり、実施例では安定した画像品質を保つことができ、大量印刷機能が要求されるプロダクションプリント機としても十分使用することができることがわかった。一方、比較例では、画像形成処理のプリント枚数が増加するにしたがい、固定化ブレード116の長手方向端部から潤滑剤が徐々に漏れて帯電装置414を汚してしまった。その結果、画像形成処理のプリント枚数が400000枚を超える前に、画像不良の発生状況(Rank)はRank2を下回ってしまった。つまり、比較例では安定した画像品質を保つことができなかった。