JP6097620B2 - 空気調和システム - Google Patents

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Description

本発明は、発電機の発電電力を商用系統に系統連系させて負荷に電力を供給する通常運転と、商用系統から切り離された状態で発電機の発電電力を負荷に供給する自立運転とが可能な空気調和システムに関する。
従来、エンジンの動力によって発電する発電機において、発電機が発電する周波数を、ユーザーによるスイッチの切り替えによって50Hzまたは60Hzのいずれかに選択できるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−268186号公報
ところで、空気調和システムにおいても、圧縮機を駆動するエンジンの動力で発電する発電機を備え、停電時等に、この発電機の発電電力を、通常は商用系統から電力の供給を受ける室内機や照明設備等の負荷に供給する構成が考えられるが、上記従来の発電機のように、スイッチによって発電電力の周波数を選択する構成では、ユーザーによる人為的な判断によって周波数が選択されるため、操作に手間がかかるとともに、選択ミスがあった場合、その地域の商用系統の周波数に合った周波数を発電することができず、周波数の影響を受け易い負荷の動作に影響が出る虞があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、発電機を備えた空気調和システムにおいて、商用系統の周波数に合った周波数の発電電力を確実に供給できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、圧縮機、室外熱交換器を有する室外ユニット、及び、室内熱交換器を有する室内ユニットを有し、前記室外ユニットが、前記圧縮機を駆動するガスエンジン、前記ガスエンジンで駆動される発電機、及び、前記発電機の発電電力を商用系統に出力する系統連系インバータを備え、前記発電機の発電電力を前記商用系統に系統連系させて前記室内ユニットを含む負荷に電力を供給する通常運転と、前記商用系統から切り離された状態で前記発電機の発電電力を前記室内ユニットを含む負荷に供給する自立運転とが可能な空気調和システムにおいて、前記通常運転時に検知された前記商用系統の電力の周波数を記憶する不揮発性の記憶部を前記室外ユニットが備え、前記自立運転時に、前記発電機の発電電力を、前記記憶部に記憶された周波数の電力に周波数変換手段によって変換して前記負荷へ出力し、前記商用系統と前記発電機の発電電力の系統とを切り替える電源切替盤を備え、この電源切替盤に前記室内ユニットを含む負荷を接続し、停電時には前記電源切替盤を切り替えることで、前記発電電力により前記室外ユニット、及び、前記電源切替盤に接続された前記負荷の自立運転を可能とし、前記商用系統と前記電源切替盤とを接続する上流側給電ラインと、前記電源切替盤と前記室内ユニットを含む負荷とを接続する下流側給電ラインとを備え、前記系統連系インバータは、系統連系用の電源線によって前記下流側給電ラインに接続されるとともに、自立運転用の電源線によって前記電源切替盤に接続され、前記通常運転時は、前記電源切替盤は前記上流側給電ラインと前記下流側給電ラインとを接続するように切り替えられ、前記自立運転時は、前記電源切替盤は前記自立運転用の電源線と前記下流側給電ラインとを接続するように切り替えられることを特徴とする。
また、本発明は、前記通常運転時の前記商用系統の電力の周波数を検知して前記記憶部に記憶させる処理は、前記空気調和システムの電源の立ち上げ時に毎回行われることを特徴とする
本発明によれば、発電機を備えた空気調和システムにおいて、商用系統の周波数に合った周波数の発電電力を確実に供給できる。
本発明の実施の形態に係る空気調和システムを示す回路図である。 通常運転時の空気調和システムの電力系統を模式的に示す図である。 商用系統の電力供給が断たれた直後における電力の供給を示す模式図である。 自立運転時の電力の供給を示す模式図である。 発電する周波数を決定する処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和システムを示す回路図である。
空気調和システム1は、ビルや学校等の施設に設置されるシステムであり、室外ユニット2と室内ユニット3とを有している。室外ユニット2と室内ユニット3とは、液管4aおよびガス管4bからなるユニット間配管4で接続され、これによって空調運転を行うための冷凍サイクル回路が構成される。室外ユニット2には、ガスエンジン10(エンジン)と、このガスエンジン10の駆動力により発電を行う発電機11と、ガスエンジン10の駆動力により冷媒を圧縮する圧縮機12とが収容されている。このガスエンジン10は、燃料調整弁7を経て供給されるガスなどの燃料と、スロットル弁8を経て供給される空気との混合気を燃焼させて駆動力を発生する。
室内ユニット3は、複数の室内ユニット3a,3b,3c(室内機)を備えて構成される。本実施の形態では、室内ユニット3a,3b(他の室内機)は、室内ユニット3c(一の室内機)よりも優先度が高い空調設備であり、停電時には優先して運転される。室内ユニット3a,3b,3cには、室内ユニット3a,3b,3cを操作するためのリモコン5がそれぞれ設けられている。なお、図1では、電力が供給される線を太線で示している。
圧縮機12は、容量が異なる大及び小の圧縮機12a,12bで構成され、2台が並列に、ガスエンジン10に対し、それぞれ電磁クラッチ14a,14bを介して接続されている。電磁クラッチ14a,14bによって圧縮機12a,12bとガスエンジン10との接続が切り替えられることで、空調の負荷に応じて圧縮機12a,12bの駆動が制御される。これら圧縮機12a,12bの吐出管12cは、プレート式熱交換器31、四方弁15、室外熱交換器17の順に接続され、この室外熱交換器17には、液管4aを介して、各室内ユニット3の膨張弁19a,19b,19c、及び、室内熱交換器21a,21b,21cが接続され、室内熱交換器21a,21b,21cには、ガス管4bを介して、四方弁15が接続され、この四方弁15には、圧縮機12a,12bが接続されている。室内熱交換器21a,21b,21cには、直流モーターによって駆動される送風機6a,6b,6c(室内送風機)がそれぞれ設けられている。
また、圧縮機12a,12bの吐出管12cおよび吸込管12dが、バイパス管18で接続され、このバイパス管18に、アンロード用のバイパス弁20が接続されている。本構成では、上記した各機器を備えて冷媒回路が形成されている。
圧縮機12a,12bが駆動されると、四方弁15の切り替え状態が暖房切り替えであれば、図1に実線の矢印で示すように、圧縮機12a,12b(いずれか一方の圧縮機12a,12bの場合も含む)、四方弁15、室内熱交換器21a,21b,21c、膨張弁19a,19b,19c、室外熱交換器17の順に冷媒が循環し、室内熱交換器21a,21b,21cでの冷媒凝縮熱により室内が暖房される。これとは反対に、四方弁15が冷房切り替えであれば、図1に破線の矢印で示すように、圧縮機12a,12b、四方弁15、室外熱交換器17、膨張弁19a,19b,19c、室内熱交換器21a,21b,21cの順に冷媒が循環し、この室内熱交換器21a,21b,21cでの冷媒蒸発熱により室内が冷房される。
なお、室内ユニット3a〜3cは並列接続されるため、各室内ユニット3a〜3cへ個別に冷媒を供給することができ、各室内ユニット3a〜3cを各々独立して運転することが可能である。
次に、ガスエンジン10の冷却装置について説明する。
このガスエンジン10は水冷式であり、このガスエンジン10のウォータージャケットを循環した冷却水は、第1の三方弁22、逆潮流ヒータ23および第2の三方弁24を経て、ラジエータ25に供給される。このラジエータ25は、室外熱交換器17と併設されており、これらは同一の送風機26により送られる空気によって空冷され、このラジエータ25を経た冷却水は、冷却水ポンプ27、排ガス熱交換器29の順に流れて、ガスエンジン10のウォータージャケットに戻される。
排ガス熱交換器29には、ガスエンジン10の排気ガスが通され、この排気ガスは、排気トップ30を経て、室外ユニット2の外に排出される。
上述した第1の三方弁22は冷却水温度で自動的に切り替えられる。すなわち、冷却水温度が所定温度よりも低い場合、ガスエンジン10のウォータージャケットからの冷却水を、ラジエータ25をバイパスさせ、直接、冷却水ポンプ27、排ガス熱交換器29に導いて、上記ウォータージャケットに戻す。
第2の三方弁24は、例えば暖房運転時に切り替えられ、冷却水を、ラジエータ25をバイパスし、プレート式熱交換器31を経て、冷却水ポンプ27、排ガス熱交換器29の順に流れ、ウォータージャケットに戻される。
次に、電力系統について説明する。ここで、図2は、空気調和システム1の電力系統を模式的に示している。なお、図2は、電力が流れる線を実線で示し、電力が流れない線を破線で示している。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の空気調和システム1では、発電機11を、電力会社の電力系統である商用系統36(商用電源とも称する)に系統連系することにより、発電機11の発電電力を、商用系統36の電力とともに、室外ユニット2、室内ユニット3および他の電力負荷38に供給することができる。
この場合、室外ユニット2および室内ユニット3は、空気調和システム1の自己消費(自己電力消費)の電力負荷に相当しており、他の電力負荷38は、空気調和に関係しない電力負荷(非空調装置)に相当しており、これらの電力負荷が需要家負荷を構成している。他の電力負荷38は、設置場所やユーザーの希望に応じて適宜に接続される需要家負荷であり、以下、「他の需要家負荷」38と表記する。本実施形態の他の需要家負荷38は、室内を照らす照明装置となっている。
なお、需要家負荷は上記のものに限定されるものではなく、例えば、更に別の電力負荷を接続するように構成しても良い。
商用系統36は、商用電源線(いわゆる電灯線)である上流側給電ライン51aを介して室外ユニット2内の電源切替盤52に接続されており、この商用系統36と電源切替盤52との間には、商用系統36側から順に電力検出器43とブレーカ37が設けられている。室内ユニット3cは、上流側給電ライン51aから分岐した電源線53に接続されている。
電源切替盤52は、上流側給電ライン51aが接続される第1端子52a(通常運転用端子)と、発電機11の発電電力が供給される後述する電源線34bが接続される第2端子52b(自立運転用端子)と、室内ユニット3a,3bおよび他の需要家負荷38などが接続される下流側給電ライン51bが接続される第3端子52c(給電用端子)とを備え、第3端子52cの接続先を、第1端子52aと第2端子52bとのいずれか一方に切り替えるスイッチ回路として機能する。
このため、第3端子52cと第1端子52aとを接続することにより、商用系統36から商用電力(本実施形態では200Vの交流電力)を下流側給電ライン51bに供給することができ、第3端子52cと第2端子52bとを接続することにより、発電機11の発電電力を下流側給電ライン51bに供給することができる。
つまり、電源切替盤52は、下流側給電ライン51bへの電力源を、商用系統36と発電電力の系統との間で切り替える切替手段として機能する。この下流側給電ライン51bに供給された電力は、電源線41を介して室外側コントローラ39にも供給され、この電力により圧縮機12や送風機26等を駆動可能に構成されている。
商用系統36及び系統連系インバータ33は、電源切替盤52の一次側に接続され、室内ユニット3a,3b及び他の電力負荷38は電源切替盤52の二次側に接続されている。
このように、この空気調和システム1では、商用系統36と発電電力の系統とを切り替える電源切替盤52を備え、この電源切替盤52に、室外ユニット2、室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38を接続することによって、商用系統36及び室外ユニット2の発電機11から供給される電力を利用して、室外ユニット2、室内ユニット3及び他の需要家負荷38を駆動する通常運転と、商用系統36から切り離して発電機11の発電電力によって室外ユニット2、室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38を駆動する自立運転と、を選択的に行うことが可能に構成されている。
次いで、発電電力の系統について説明する。
発電機11の発電電力は、電力線32を介して系統連系インバータ33に出力される。系統連系インバータ33は、発電機11の発電電力である三相交流電力を、AC/DCコンバータを介して、直流電力に変換した後、200Vの交流の電力に再度変換して電源線34(発電電力出力線)に出力する。
この電源線34は、系統連系用の電源線34aと、自立運転用の電源線34bとに分岐し、系統連系用の電源線34aは、室外側コントローラ39を含む室外ユニット2に電力を供給する電源線41を介して下流側給電ライン51bに接続される。また、図1に示すように、系統連系用の電源線34aと下流側給電ライン51bとの間には、漏電時に遮断される漏電ブレーカ34Xが配設されている。
なお、発電電力の一部は、図2に示す電源線47bを介してバッテリー49に供給され、バッテリー49に発電電力が蓄電されるように構成されている。
自立運転用の電源線34bは、上述した電源切替盤52の第2端子52bに接続されている。このため、上述したように、電源切替盤52の第2端子52bと第3端子52cとが接続されることによって、電源切替盤52を介して発電電力を下流側給電ライン51bに直接供給させることができる。
ここで、自立運転用の電源線34bには、当該電源線34bに発電電力を流す際にオンにされる自立用リレー34cが設けられており、系統連系用の電源線34aにも、当該電源線34aに発電電力を流す際にオンにされる連系用リレー34dが設けられている。
系統連系インバータ33は、室外ユニット2の室外側コントローラ39(制御部)に、通信線40を介して通信可能に接続されるとともに、電力が逆潮流しないように、上述した逆潮流ヒータ23に適宜に電力を供給する。室外側コントローラ39は、系統連系用の電源線34aを介して発電電力を受け取ることが可能な構成に加え、商用系統36から電源線41を介して動作電源を得ることができ、通信線42を介して各室内ユニット3の室内側コントローラに通信可能に接続されている。
この室外側コントローラ39は、電源線54を介してバッテリー49の電力が直接供給される自立制御部39aを備えている。
また、室外側コントローラ39は、商用系統36及び室外ユニット2の発電機11から供給される電力で室外ユニット2、室内ユニット3及び他の需要家負荷38を駆動する通常運転を行う通常運転モードと、停電時等に商用系統36から切り離されて発電機11の発電電力によって室外ユニット2、室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38を駆動する自立運転を行う自立運転モードとのいずれかに動作モードを切り替える制御を行う。
自立制御部39aには、ユーザー等が手動で操作する手動スイッチである自立運転切り替えスイッチ56(自立運転スイッチ)が接続され、自立運転切り替えスイッチ56が操作されることで、自立制御部39aが自立運転モードへの切り替え動作を開始する。
バッテリー49の電力が供給される電源線54には、電源線48(図1)を介してガスエンジン10のセルモーター(不図示)がつながっており、室外側コントローラ39の制御の下、バッテリー49の電力でセルモーターを駆動し、ガスエンジン10を始動させることができる。
室外側コントローラ39は、上述したように、室外ユニット2の各機器(例えば、ガスエンジン10、電磁クラッチ14a,14b、送風機26、バッテリー49、及び、電源切替盤52等)の動作を中枢的に制御する制御部として機能する。
系統連系インバータ33には、通信線44を介して系統連系盤45が接続され、この系統連系盤45には、通信線46を介して、商用系統36とブレーカ37との間に設置された電力検出器43(以下、第1電力検出器43と言う)が接続されている。第1電力検出器43は、商用系統36に供給される電力値をリアルタイムに取得し、この取得した電力値データは、系統連系盤45を介して、系統連系インバータ33に入力され、通信線40を通じて室外側コントローラ39に送られる。系統連系盤45は、図示は省略するが、OVGR/RPR(地絡過電圧継電器/逆電力継電器)、UPR(不足電力継電器)、W/TD(ワット・トランスデューサ)等を備え、受信した第1電力検出器43からの信号とともに、OVGR/RPR、UPR、W/TDからの信号を系統連系インバータ33に送信するようになっている。このため、系統連系インバータ33は、商用系統36の情報を得ることができる。
系統連系インバータ33は、発電機11の発電量を制御する機能を有し、必要に応じ、発電量を減少または増大させる。例えば、室内ユニット3の空調要求に応じた圧縮機12a,12bの負荷の増大、及び、他の需要家負荷38の増大に応じて発電要求が増大した場合に、発電機11の発電量を増大させる。この場合、需要家負荷は、第1電力検出器43、系統連系盤45、系統連系インバータ33および室外側コントローラ39により常時監視されている。
また、系統連系インバータ33は、自身の出力電力、つまり、電源線54に供給される電力を検出する電力検出器33a(以下、第2電力検出器33aと言う)を有している。
続いて、この空気調和システム1の基本動作を説明する。
図2は通常運転時(通常運転モード)の空気調和システム1を示している。
通常運転モードは、商用系統36から電力が供給されている場合の動作モードであり、このモードでは、図2に示すように、電源切替盤52は第1端子52a側に切り替えられる。このため、商用系統36から供給される電力は、上流側給電ライン51a、下流側給電ライン51b及び電源線41(図1参照)などを介して、室外ユニット2の各部、室内ユニット3a〜3c及び他の需要家負荷38に供給される。また、発電機11が発電した電力は、系統連系インバータ33の出力線である電源線34、系統連系用の電源線34a及び電源線41からなる電源線61(図2参照)を介して下流側給電ライン51bに流れ、室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38に供給される。
ここで、室内ユニット3a,3bに供給される電力の大部分は、送風機6a,6b(図1参照)で消費される。送風機6a,6bの手前には、系統連系インバータ33からの交流電力を直流に変換するコンバータが設けられている。
また、この通常運転時には、発電機11は、室外ユニット2を駆動するための駆動電力を全てまかなう発電電力を出力し、発電した余剰の電力を室内ユニット3及び他の需要家負荷38に供給する。
図3は、商用系統36の電力供給が停止した直後を示す模式図であり、図4は、自立運転時(自立運転モード)の電力供給を示す模式図である。この図3及び図4においても、電力が流れる線を実線で示し、電力が流れない線を破線で示している。
図3に示すように、停電等によって商用系統36からの電力供給が断たれると、室外ユニット2、室内ユニット3a〜3c、及び、他の需要家負荷38は電力が供給されなくなって停止する。停電後にユーザーの手動操作によって自立運転切り替えスイッチ56が「オン」に操作されると、このスイッチ56をオンしたタイミングでバッテリー49からの電力が自立制御部39a(図1参照)に供給され、自立制御部39aの制御の下、バッテリー49の電力が不図示のDC/DCコンバータを通してDC200Vとされ、室外側コントローラ39の電源として供給される。
続いて、室外側コントローラ39は、通常運転モードから自立運転モードに切り替える動作を開始する。この場合、まず、室外側コントローラ39は、バッテリー49の電力によってセルモーターを駆動し、ガスエンジン10を始動させる。ガスエンジン10が始動すると、発電機11により発電が開始され、系統連系インバータ33を通して自立電源として出力される。自立電源が出力されると、図4に示すように、電源切替盤52は、自立運転用端子である第2端子52b側に自動的に切り替わる。これにより、商用系統36から系統連系インバータ33を含む室外ユニット2が切り離され、室外ユニット2と室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38とが接続されて閉じた自立運転回路57が形成され、自立運転が開始される。
この自立運転時には、少なくともガスエンジン10を駆動して発電機11で発電する運転(発電運転)を継続し、室内ユニット3a,3bのいずれかを運転する場合には、室外ユニット2内の電磁クラッチ14a,14bのいずれかをつないだ状態にして圧縮機12a,12bのいずれかを駆動して空調運転を行う。また、この自立運転時には、発電しているため、発電電力によって他の需要家負荷38を運転すること、つまり、照明装置を作動させることもできる。
また、この自立運転時には、上流側給電ライン51aは電源切替盤52によって室外ユニット2から切り離されているため、電源切替盤52よりも上流側の商用系統36には発電機11の電力は供給されない。このため、自立運転の際に商用系統36側へ逆潮流が生じることを簡単な構成で防止できるとともに、所望の室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38を運転することができる。
したがって、発電能力が限られている発電機11で電力を供給する場合であっても、停電時に運転したい設備を稼働させることができる。
また、停電時の混乱状態にあっても、運転したい設備をその場で選定することなく、予め選定されて自立運転回路57に配置されている設備を速やかに稼働させることができる。
停電時に室内ユニット3a,3bを稼働させる必要が無い場合には、電磁クラッチ14a,14bの接続が解除され、圧縮機12a,12bの運転が停止される。このため、他の需要家負荷38だけに電力を供給したい場合に圧縮機12a,12bを運転する必要がなく、効率良く電力を供給できる。
また、自立運転時には、電源線61は、発電機11で発電されて電源切替盤52の二次側に供給された電力を室外ユニット2側に戻す電力戻し回路として機能する。すなわち、発電機11から下流側給電ライン51bに流れた電力の一部は、電源線61の一部を構成する電源線41(図1参照)を通って室外ユニット2に戻り、電源線47a(図1)などを介して送風機26などの室外ユニット2の各部に供給される。この場合、バッテリー49にも電力が供給され、自立運転中もバッテリー49は充電される。
また、図4の状態から商用系統36が復電すると、系統側の電力を検出する第1電力検出器43(図1)によって復電が検出され、この検出結果が系統連系盤45及び系統連系インバータ33を介して室外側コントローラ39に送られ、室外側コントローラ39は自立運転を自動停止させる。自立運転が停止されると、室外ユニット2、室内ユニット3a,3b、及び、他の需要家負荷38は電力の供給が一度断たれて稼働が停止される。
商用系統36が復電すると、電源切替盤52は、通常運転用端子である第1端子52a側に自動的に切り替わり、これにより、商用系統36の電力が室内ユニット3a〜3c及び他の需要家負荷38に供給されるようになる。
その後、自立運転切り替えスイッチ56がユーザーなどの意思によって手動で「オフ」に切り替えられると、室外側コントローラ39は室外ユニット2の稼働を許可し、次いで室外ユニット2の主電源スイッチ等によってユーザーによる室外ユニット2の再稼働の意思が入力されると、ガスエンジン10及び発電機11を含む室外ユニット2が再稼働され、通常運転が開始される。これにより、通常運転時には、自立運転切り替えスイッチ56は必ず「オフ」に切り替えられていることになるため、停電時にユーザーの意思による自立運転切り替えスイッチ56の手動操作なしに自立運転に切り替えられてしまうことがない。
ところで、空気調和システム1は、自立運転時において、空気調和システム1が設置された地域で供給されている商用系統36の周波数に合わせて、発電機11の発電電力の周波数を自動で設定し、その地域の商用系統36の周波数の電力を負荷側へ出力できるように構成されている。
室外側コントローラ39(図1)は、マイコンにより構成されており、図示は省略したが制御手段としてのCPU、記憶手段としてのROMやRAM39b(図1)を備えている。ROMには、CPUに実行される基本制御プログラムがコンピューターに読み取り可能な形態で不揮発的に記憶されている。RAM39bには、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等が一時的に記憶される。また、室外側コントローラ39は、商用系統36の周波数を記憶する記憶部39cを備えている。記憶部39cは、EEPROMであり、不揮発性の半導体メモリーである。
室外側コントローラ39は、通常運転時に第1電力検出器43が検知した商用系統36の電力の周波数を通信線40を介して読み取り、記憶部39cに記憶する。そして、自立運転時には、室外側コントローラ39は、記憶部39cに記憶されている周波数の発電電力を出力するように、系統連系インバータ33を制御する。
図5は、発電する周波数を決定する処理を示すフローチャートである。図5のフローチャートの処理は、空気調和システム1の運転中に所定の時間間隔をあけて繰り返して実行される。
図5に示すように、まず、室外側コントローラ39は、空気調和システム1が自立運転中であるか否かを判別し(ステップS1)、自立運転中でなく通常運転中である場合(ステップS1:NO)、周波数確定フラグがセットされているか否かを判別する(ステップS2)。ここで、自立運転中であるか否かは、第1電力検出器43の検出や自立運転切り替えスイッチ56の状態から判別できる。また、周波数確定フラグは、後述するステップS5でセットされるフラグであり、商用系統36の周波数が確定している場合にセットされる。
周波数確定フラグがセットされていない場合(ステップS2:NO)、室外側コントローラ39は、第1電力検出器43を介して商用系統36の電力の周波数を検知する処理を行い(ステップS3)、周波数が確定したか否かを判別する(ステップS4)。本実施の形態では、商用系統36の周波数は、東日本に対応した50Hz及び西日本に対応した60Hzのいずれかである。
周波数が確定していない場合(ステップS4:NO)、室外側コントローラ39は処理を終了し、ステップS1の処理に戻る。周波数が確定している場合(ステップS4:YES)、室外側コントローラ39は、周波数確定フラグをセットし(ステップS5)、処理を終了してステップS1に戻る。
周波数確定フラグがセットされている場合(ステップS2:YES)、室外側コントローラ39は、記憶部書込完了フラグがセットされているか否かを判別する(ステップS6)。ここで、記憶部書込完了フラグは、確定した商用系統36の周波数の記憶部39cへの書込みが完了した場合にセットされるフラグであり、後述するステップS9でセットされる。記憶部書込完了フラグがセットされていない場合(ステップS6:NO)、室外側コントローラ39は、商用系統36の周波数を記憶部39cに書込む処理を行い(ステップS7)、記憶部39cへの書込みが完了したか否かを判別する(ステップS8)。
記憶部39cへの書込みが完了していない場合(ステップS8:NO)、室外側コントローラ39は処理を終了してステップS1に戻る。記憶部39cへの書込みが完了している場合(ステップS8:YES)、室外側コントローラ39は、記憶部書込完了フラグをセットし(ステップS9)、処理を終了してステップS1に戻る。ステップS1〜S9は、商用系統36の周波数を検出して記憶部39cに書込んで記憶させる処理である。
空気調和システム1が自立運転中であると判別された場合(ステップS1:YES)、室外側コントローラ39は、記憶部読込完了フラグがセットされているか否かを判別する(ステップS10)。ここで、記憶部読込完了フラグは、記憶部39cに記憶された周波数の室外側コントローラ39のCPUへの読み込みが完了した場合にセットされるフラグであり、後述するステップS13でセットされる。
記憶部読込完了フラグがセットされていない場合(ステップS10:NO)、室外側コントローラ39は、記憶部39cから商用系統36の周波数を読み込む処理を行い(ステップS11)、その後、記憶部39cの全データの読み込みが完了したか否かを判別する(ステップS12)。全データの読み込みが完了していない場合(ステップS12:NO)、室外側コントローラ39は処理を終了してステップS1に戻る。全データの読み込みが完了している場合(ステップS12:YES)、室外側コントローラ39は、記憶部読込完了フラグをセットし(ステップS13)、処理を終了してステップS1に戻る。
記憶部読込完了フラグがセットされている場合(ステップS10:YES)、室外側コントローラ39は、系統連系インバータ33を制御して発電機11の発電電力の周波数をステップS11でCPUに読み込まれた周波数になるように変換し、この発電電力を負荷に出力する(ステップS14)。ステップS10〜S14は、記憶部39cに記憶された周波数の情報を読み込んで、その周波数の発電電力を出力するように制御する処理である。
すなわち、空気調和システム1によれば、例えば、空気調和システム1が商用系統36の電力が50Hzで供給される東日本に設置されている場合において、商用系統36が停電した場合、通常運転時に記憶部39cに記憶しておいた商用系統36の周波数の情報に基づいて、自立運転時の発電電力の周波数を自動で50Hzに設定でき、停電によって商用系統36の周波数を検出できない状態であっても、空気調和システム1が設置されている地域に適合した正しい周波数で発電電力を出力することができる。このため、他の需要家負荷38が、電力の周波数の差異によって影響を受け易いグロー式蛍光灯の照明設備であったとしても、自立運転時の発電電力によって照明設備を正しく動作させることができる。また、自立運転時の発電電力の周波数の決定に、周波数を切り替えるスイッチ等の操作が必要なく、人為的な判断が必要ないため、停電時に混乱した状況であったとしても、正しい周波数の発電電力を供給できる。
また、図5のフローチャートの処理の各フラグは室外側コントローラ39のRAM39bにセットされるため、室外ユニット2の主電源を落とした際には、フラグは全てリセットされ、室外ユニット2の主電源を再び立ち上げた際には、図5の処理はステップS1から行われる。このため、空気調和システム1を、例えば、商用系統36の周波数が50Hzの地域から60Hzの西日本へ移設し、空気調和システム1を再起動した場合に、ステップS1〜S9の処理によって、商用系統36の周波数が60Hzであることを記憶部39cに記憶させることができ、停電時には、記憶部39cに記憶されている周波数情報に基づいて電力を供給できる。このため、空気調和システム1を移設した場合であっても、自立運転時に、正しい周波数で発電電力を供給することができる。
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、空気調和システム1は、圧縮機12a,12b、室外熱交換器17を有する室外ユニット2、及び、室内熱交換器21a,21bを有する室内ユニット3a,3bを有し、室外ユニット2が、圧縮機12a,12bを駆動するガスエンジン10、ガスエンジン10で駆動される発電機11、及び、発電機11の発電電力を商用系統36に出力する系統連系インバータ33を備え、発電機11の発電電力を商用系統36に系統連系させて負荷である室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38に電力を供給する通常運転と、商用系統36から切り離された状態で発電機11の発電電力を室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38に供給する自立運転とが可能であり、通常運転時に検知された商用系統36の電力の周波数を記憶する不揮発性の記憶部39cを室外ユニット2が備え、自立運転時に、発電機11の発電電力を、記憶部39cに記憶されている周波数の発電電力に系統連系インバータ33が変換して出力するため、通常運転時に記憶部39cに記憶しておいた商用系統36の周波数の情報に基づいて、自立運転時の発電電力の周波数を自動で設定でき、停電によって商用系統36の周波数を検出できない状態であっても、空気調和システム1が設置されている地域に適合した正しい周波数で発電電力を出力することができる。このため、他の需要家負荷38が電力の周波数の差異によって影響を受け易いグロー式蛍光灯の照明設備であったとしても、自立運転時の発電電力によって照明設備を正しく動作させることができる。
また、空気調和システム1の通常運転時の商用系統36の電力の周波数を検知して記憶部39cに記憶させる処理は、空気調和システム1の電源の立ち上げ時に毎回行われるため、商用系統36の周波数が異なる地域に空気調和システム1を移設した場合であっても、移設後に空気調和システム1を立ち上げた際に、その地域の商用系統36の周波数を記憶部39cに記憶して、自立運転時にはその周波数で発電できるため、常に正しい周波数の発電電力を供給できる。
また、商用系統36と発電機11の発電電力の系統とを切り替える電源切替盤52を備え、この電源切替盤52に負荷である室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38を接続し、停電時には電源切替盤52を切り替えることで、発電機11の発電電力により室外ユニット2、及び、電源切替盤52に接続された室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38の自立運転を可能とし、自立運転時には記憶部39cの周波数の情報に基づいて発電電力の周波数が決定されるため、停電時に、電源切替盤52の切り替えによって発電機11を商用系統36から切り離した状態で商用系統36への逆潮流を防止しながら、電源切替盤52に接続された室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38に確実に発電電力を供給できるとともに、自立運転時に、記憶部39cに記憶されている適正な周波数の発電電力を室内ユニット3a,3b及び他の需要家負荷38に確実に供給できる。
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されない。
上記実施の形態では、他の需要家負荷38は、照明装置であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電力で駆動される他の装置等であっても良い。
また、上記実施の形態では、室外側コントローラ39は、系統連系インバータ33を制御して発電機11の発電電力の周波数をステップS11でCPUに読み込まれた周波数になるように変換するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。周波数変換手段は、系統連系インバータ33でなくとも良く、例えば、発電機11に設けた周波数変換手段によって、発電電力を記憶部39cに記憶されている周波数の発電電力に変換しても良い。
1 空気調和システム
2 室外ユニット
3a,3b 室内ユニット(負荷)
10 ガスエンジン
11 発電機
12a,12b 圧縮機
17 室外熱交換器
21a,21b 室内熱交換器
33 系統連系インバータ(周波数変換手段)
36 商用系統
38 他の需要家負荷(負荷)
39c 記憶部
52 電源切替盤
57 自立運転回路(発電機の発電電力の系統)

Claims (2)

  1. 圧縮機、室外熱交換器を有する室外ユニット、及び、室内熱交換器を有する室内ユニットを有し、前記室外ユニットが、前記圧縮機を駆動するガスエンジン、前記ガスエンジンで駆動される発電機、及び、前記発電機の発電電力を商用系統に出力する系統連系インバータを備え、前記発電機の発電電力を前記商用系統に系統連系させて前記室内ユニットを含む負荷に電力を供給する通常運転と、前記商用系統から切り離された状態で前記発電機の発電電力を前記室内ユニットを含む負荷に供給する自立運転とが可能な空気調和システムにおいて、
    前記通常運転時に検知された前記商用系統の電力の周波数を記憶する不揮発性の記憶部を前記室外ユニットが備え、前記自立運転時に、前記発電機の発電電力を、前記記憶部に記憶された周波数の電力に周波数変換手段によって変換して前記負荷へ出力し、
    前記商用系統と前記発電機の発電電力の系統とを切り替える電源切替盤を備え、この電源切替盤に前記室内ユニットを含む負荷を接続し、停電時には前記電源切替盤を切り替えることで、前記発電電力により前記室外ユニット、及び、前記電源切替盤に接続された前記負荷の自立運転を可能とし、
    前記商用系統と前記電源切替盤とを接続する上流側給電ラインと、前記電源切替盤と前記室内ユニットを含む負荷とを接続する下流側給電ラインとを備え、
    前記系統連系インバータは、系統連系用の電源線によって前記下流側給電ラインに接続されるとともに、自立運転用の電源線によって前記電源切替盤に接続され、
    前記通常運転時は、前記電源切替盤は前記上流側給電ラインと前記下流側給電ラインとを接続するように切り替えられ、
    前記自立運転時は、前記電源切替盤は前記自立運転用の電源線と前記下流側給電ラインとを接続するように切り替えられることを特徴とする空気調和システム。
  2. 前記通常運転時の前記商用系統の電力の周波数を検知して前記記憶部に記憶させる処理は、前記空気調和システムの電源の立ち上げ時に毎回行われることを特徴とする請求項1記載の空気調和システム。
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