JP6097082B2 - 基体 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー光を用いて形成された微細構造を備え、マイクロ/ナノ流路チップとして機能する基体に関する。
近年のマイクロテクノロジは、電気・電子分野のみでなく、機械、光、流体、バイオ、ケミカル等の様々な分野にも適用可能な技術として浸透しつつあり、それぞれの分野においてサイズの小さいデバイスの開発が進められている。特に、バイオやケミカルの分野においては、マイクロ/ナノ流路として機能するデバイス(マイクロ/ナノ流路チップ)を用いて作製されるドロップレットが注目を集めている。ドロップレットは、その内部において、複数種類の流体を高速かつコントローラブルに混合し、所望のサイズの微小粒子を製造するための局所的な空間として機能するものである。このドロップレットを用いることにより、所望のサイズの微小粒子について、特性等の分析を行うことが可能となる。
ドロップレット作製用のデバイスの要部となる基体の構成としては、図7(a)、(b)に示すものが知られている。図7は、デバイスの要部となる基体の一部500の構成を模式的に示す平面図である。基体の一部500は、基板501の一面501aに、流体の流路として機能する、第一凹部502と、第一凹部の側壁502aに連結した微細孔504とを備えてなる。基板の一面501aにキャップ(不図示)を重ね、第一凹部502、微細孔504に、それぞれ同時に第一流体、第二流体を流す。そして、微細孔504から第一凹部に第二流体を吐出させることにより、吐出した第二流体が、第一流体の流れによる圧力を受けて切断され、ドロップレットDが作製される。
しかしながら、図7の流路を構成する第一凹部502、微細孔504は、フォトリソグラフィおよびエッチングを行って作製されるものであるため、いずれも基板の一面501aにおいて開口している。すなわち、第一凹部の開口面502a、微細孔504aが、いずれも基板の一面501a、すなわちキャップ505との重ね合わせ面505aにおいて揃っている。したがって、微細孔504から吐出される第二流体は、それぞれキャップの重ね合わせ面505aに沿って濡れ広がるため、作製されるドロップレットDは、粒径が10μm程度の大きいものとなる(非特許文献1)。
一方、ドロップレット作製用のデバイスの要部となる基体の構成としては、図8に示すものも知られている。図8は、デバイスの要部となる基体の一部600の構成を模式的に示す平面図である。基体の一部600は、基板601の一面601aに、流体の流路として機能する、第一凹部602と、第一凹部の側壁602a、602bにそれぞれ連結された微細孔604、606を備えてなる。基板の一面601aにキャップ(不図示)を重ね、第一凹部602、微細孔604に、それぞれ同時に第一流体、第二流体を流す。そして、微細孔604から第一凹部602を通過して第三凹部606に第二流体を吐出させることにより、吐出した第二流体が、第一凹部602から第三凹部606に流入する第一流体の流れによる圧力を受けて切断され、ドロップレットDが作製される。
図8の構成によれば、サイズが3μm程度のドロップレットDが得られる(非特許文献2)。しかし、非特許文献2に挙げられている、3μm程度の小さなドロップレットは、大きなドロップレットと同時に形成されるため、流路にそれらを選別する構造が必要になること、また、大きなドロップレットは使用する用途がなければ無駄になってしまうことを考慮すると、効率的に製造することが求められる産業において最適なものであるとはいいがたい。
なお、バイオの分野においては、数μm程度、もしくはそれ以下の小さい粒子を作製するため、それが可能なドロップレットとなる流体を吐出する流路(凹部)のサイズは、マイクロオーダー以下であることが求められている。
Wei-Heong Tan andShoji Takeuchi, "Monodisperse Alginate Hydrogel Microbeads for Cell" ,Adv. Mater. 2007, 19, 2696-2701. Yung-Chieh Tan, Vittorio Cristini, Abraham P. Lee, "Monodispersed microfluidic droplet generation by shear focusing microfluidic device" , Sensors and Actuators B, 2005
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、微小なドロップレットを効率的かつ安定的に製造することが可能な、基体の提供を目的とする。
本発明の請求項1に係る基体は、第一基板と、前記第一基板の一面に形成された、第一流体の流路をなす第一凹部と、前記第一基板の一面に形成された、第二流体の流路をなす第二凹部と、前記第一凹部および前記第二凹部が覆われるように、前記第一基板の一面に重ねられた第二基板と、前記第一基板の内部において、前記第二基板と前記第一凹部とで囲まれた内部空間および前記第二基板と前記第二凹部とで囲まれた内部空間を連通し、一方の内部空間から他方の内部空間に向けて、第一流体または第二流体を流すことが可能な微細孔と、を含み、前記微細孔の開口部における内側面と、前記第一基板の一面との重ね合わせ面をなす前記第二基板の一面との間に段差が設けられており、前記第一凹部が前記第一流体の供給源に連結され、前記第二凹部が前記第二流体の供給源に連結されている、ことを特徴とする。
請求項1に係る基体の構成によれば、微細孔の開口部における内側面と、第一基板の一面との重ね合わせ面をなす第二基板の一面との間に段差が設けられているので、微細孔から吐出される第二流体は、第二基板の重ね合わせ面および第一凹部の底面に沿って濡れ広がりにくい。そのため、第二流体が第二基板の一面に沿って濡れ広がることによって、ドロップレットが所望のサイズより大きく形成されるのを防ぐことができる。したがって、微小なドロップレットを安定的に製造することができる。
本発明の請求項2に係る基体は、請求項1において、前記微細孔の開口部の少なくとも一部は、前記第一凹部の深さ方向における中央域と重なる位置に配されている、ことを特徴とする。
請求項2に係る基体の構成によれば、第一流体は、その流路内において、第一凹部の内壁面および第二基材の重ね合わせ面からなる流路の壁面から遠い位置ほど、壁面の影響が小さくなり、より速く流れることができる。つまり、第一流体は、流路内の中心部において、その流速が最大となる。したがって、請求項2の開口部から吐出された第二流体の少なくとも一部は、流路の中心部に進入し、第一流体のうち流速が最大の部分から大きな圧力を受ける。その結果として、吐出された第二流体は切断されやすくなり、高速で大量に小さなサイズのドロップレットを製造することができる。
本発明の請求項3に係る基体は、請求項1または2において、前記微細孔の短径は、20nm以上10μm以下である、ことを特徴とする。
請求項3に係る基体の構成によれば、微細孔の短径を20nm以上とすることにより、第二流体を吐出するのに必要な圧力が大きくなり過ぎて、吐出自体が困難になる状況を回避することができる。また、微細孔の短径を20nm以上とすることにより、吐出に必要な圧力がキャップの接合強度を上回ることによる、デバイスの破損を防ぐことができる。
また、請求項3に係る基体の構成によれば、微細孔の短径を10μm以下とすることにより、第一流体の流れによる圧力に対して抵力が小さくなり、第二流体を容易に切断することができるため、数ミクロン以下の小さなドロップレットを効率よく作製することができる。
本発明の請求項4に係る基体は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記第二流体の流速は、前記第一流体の流速の0.001倍以上10倍以下である、ことを特徴とする。
請求項4に係る基体の構成によれば、第二流体の流速を第一流体の流速の0.001倍以上とすることにより、吐出された第二流体が、その形状を維持した状態で、流路の中心部に向けて一定の距離進むことができる。したがって、吐出された第二流体は、流速がより大きい位置において、第一流体の流れによる圧力を受けるため、吐出した第二流体を容易に切断することができ、ドロップレットを効率よく作製することができる。
また、請求項4に係る基体の構成によれば、第二流体の流速を第一流体の流速の10倍以下とすることにより、吐出された第二流体が、その形状を維持した状態で、開口部と対向する流路の内壁まで到達するのを防ぐことができる。したがって、吐出された第二流体は、第一流体の流れによる圧力を受けることができ、この圧力によって切断され、ドロップレットを作製することができる。
本発明の基体によれば、微細孔の開口部における内側面と、第一基板の一面との重ね合わせ面をなす第二基板の一面との間に段差が設けられているので、微細孔から吐出される第二流体は、第二基板の重ね合わせ面および第一凹部の底面に濡れ広がりにくい。そのため、第二流体が第二基板の一面に沿って濡れ広がることによって、ドロップレットが所望のサイズより大きく形成されるのを防ぐことができる。したがって、微小なドロップレットを安定的に製造することができる。
本発明による基体を備えたデバイスの構成を模式的に示す平面図である。 (a)本発明による基体の構成を、模式的に示す平面図である。(b)本発明による基体の構成を、模式的に示す断面図である。 本発明による基体の製造方法を、段階的に説明する工程フローである。 本発明による基体の製造方法を、段階的に説明する被処理体の断面図である。 (a)本発明の実施例1による基体を構成する、第一流体の流路の斜視図である。(b)、(c)流路内における第一流体の流速の分布に関する、シミュレーション結果を示す図である。 本発明の実施例2による基体を用いて製造される、ドロップレットのサイズに関するグラフである。 従来技術による基体の構成を、模式的に示す平面図である。 従来技術による基体の構成を、模式的に示す平面図である。 (a)、(b)本発明の実施例3の結果を示す写真である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明に用いる図面は、本発明の特徴を分かりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る基体100を含むチップ150の構成について、図1を用いて説明する。図1は、チップ150の構成を模式的に示す平面図である。チップ150は、基材110と、第一流体の供給手段111、第二流体の供給手段112、ドロップレットの製造手段113、第一流体およびドロップレットの貯蔵手段114および排出手段115を備えている。
ドロップレットの製造手段113は、複数の基体100を含んでいる。各基体100を連通する第一流路102は、一端が供給手段111に連結され、他端が貯蔵手段114に接続されている。貯蔵手段114と排出手段115とは、第四流路116を介して連結されている。各基体100を連通する第二流路103は、一端が供給手段112に接続されている。第一流路102と第二流路103とは、微細孔104によって連結されている。
なお、チップの150の構成を明瞭に示すため、図1は、第一流路102、第二流路103、第四流路116が露出した状態を示しているが、実際には、少なくともこれらの流路は、いずれも後述する第二基板(不図示)によって覆われているものとする。
[基体の構成]
ドロップレットの製造手段113に含まれた一部の基体100の構成について、図2を用いて説明する。図2(a)は、図1の基体100の部分を拡大し、その構成を模式的に示す平面図である。図1と同様に、第一流路102、第二流路103、微細孔104の構成を明瞭に示すために、基体100の内部を一部透明化して示している。図2(b)は、図2(a)のA−A線において、基体100を切断した際の断面図である。
基体100は、第一基板101と、第一基板の一面101aに形成された第一凹部102および第二凹部103と、第一凹部102および第二凹部103が覆われるように、第一基板の一面101aに重ねられた第二基板105と、を含んでいる。第一凹部102、第二凹部103は、それぞれ第一流体L1の流路、第二流体L2の流路をなしている。
また、基体100は、第一基板101の内部において、第二基板105と第一凹部102とで囲まれた内部空間および第二基板105と第二凹部103とで囲まれた内部空間を連通する微細孔104と、を含んでいる。この微細孔104によって、一方の内部空間から他方の内部空間に向けて、第一流体L1または第二流体L2を流すことが可能となる。
第一基板101としては、例えば、耐薬品性が高く、加工性に優れたガラスなどにより構成される非結晶性基板、石英やシリコンやサファイアなどにより構成される結晶性基板を用いる。第一実施形態においては、平板状の基板の内部に微細孔を備えた基体を例として示すが、微細孔を内部に備える上で、基板の形状が限定されることはなく、基板を任意の形状の基体に置き換えてもよい。
第一凹部102は、第一流体の供給源111とドロップレットの製造手段113、ドロップレット製造手段113と貯蔵手段114とが連結されるように、線状に伸びた形状を有する。第二凹部103は、第一流体の供給源111とドロップレットの製造手段113とを連結するように、線状に伸びた形状を有する。第一凹部102と第二凹部103とが連結される位置において、第二凹部103の長手方向は、第一凹部102の長手方向と垂直をなしていることが望ましい。
このような構成により、第一流体L1および第二流体L2を流した場合に、微細孔104内における第二流体L2の流れの方向f2は、第一凹部102内における第一流体L1の流れの方向f1と垂直をなす。したがって、第一流体L1の流れによる圧力が、微細孔104から吐出された第二流体L2に対して、その長手方向と垂直に作用するため、第二流体L2を容易に切断することができ、ドロップレットDを効率よく作製することができる。
微細孔は、その断面が略楕円形状となっている。楕円形状の長径と短径のうち、短径d1は、20nm以上10μm以下であることが望ましい。短径d1が20nm以上10nm以下である場合には、容易に第二流体L2を吐出させることができる。
微細孔の短径d1を20nm以上とすることにより、第二流体L2を吐出するのに必要な圧力が大きくなり過ぎて、吐出自体が困難になる状況を回避することができる。また、微細孔の短径d1を20nm以上とすることにより、吐出に必要な圧力が第二基板(キャップ)105の接合強度を上回ることによる、デバイスの破損を防ぐことができる。
微細孔の短径d1を10μm以下とすることにより、第一流体の流れf1による圧力に対して抵力が小さくなり、第二流体L2を容易に切断することができるため、数ミクロン以下の小さなドロップレットDを効率よく作製することができる。
第二流体L2の流速は、第一流体L1の流速の0.001倍以上10倍以下であることが望ましい。
第二流体L2の流速を第一流体L1の流速の0.001倍以上とすることにより、吐出された第二流体L2が、その形状を維持した状態で、流路の中心部に向けて一定の距離進むことができる。したがって、吐出された第二流体L2は、流速がより大きい位置において、第一流体の流れによる圧力を受けるため、吐出した第二流体を容易に切断することができ、ドロップレットを効率よく作製することができる。
第二流体L2の流速を第一流体L1の流速の10倍以下とすることにより、吐出された第二流体L2が、その形状を維持した状態で、開口部と対向する流路の内壁まで到達するのを防ぐことができる。したがって、吐出された第二流体は、第一流体L1の流れによる圧力を受けることができ、この圧力によって切断され、ドロップレットDを作製することができる。
微細孔の開口部104aは、第一凹部の底面および第二基板の一面(第一基板101との重ね合わせ面)105aから離間した位置に配されており、第一凹部の開口部102aは第一基板101のみからなる。すなわち、第一基板の一面101a側に位置する、微細孔の開口部における内側面104bと、第二基板の一面105aとの間に段差dが設けられている。
この段差dは、微細孔の開口部104aから吐出される流体に対して、第二基板の一面105aからの影響が及ぶ上限の距離、すなわち、第二基板の一面105aに対して流体の濡れ広がりが可能な上限の距離よりも大きいことが望ましい。
以上説明したように、第一実施形態に係る基体の構成によれば、吐出される第二流体は、第二基板の重ね合わせ面および第一凹部の底面に濡れ広がらない。そのため、吐出された第二流体に対して、第一流体の圧力が効率的に作用することになり、この第二流体を安定して切断することができ、ドロップレットを形成することができる。
また、濡れ広がりによる第二流体の変形にともなって、ドロップレットが所望のサイズより大きく形成されるのを防ぐことができる。したがって、微小なドロップレットを効率的かつ安定的に製造することができる。
なお、微細孔の開口部104aの少なくとも一部は、第一凹部102の深さ方向における中央域、すなわち、第一流体L1の流路の中心部と重なる位置に配されていることが望ましい。
このような構成により、第一流体L1の流路内において、第一凹部の側面102bおよび底面102cと第二基材の重ね合わせ面105aとで構成される流路の壁面から遠い位置ほど、第一流体L1の壁面との摩擦の影響が小さくなり、より速く流れることができる。つまり、第一流体L1は、流路内の中心部において、その流速が最大となる。
したがって、開口部から吐出された第二流体L2の少なくとも一部は、流路の中心部に進入し、第一流体L1のうち流速が最大の部分から大きな圧力を受ける。その結果として、吐出された第二流体L2は切断されやすくなり、高速で大量のドロップレットDを製造することができる。
[基体の製造方法]
図2に示した基体100の製造方法について、図3、4を用いて説明する。図3は、基体100の製造工程のフローを示している。図4は、基体の製造過程における被処理体の要部断面を、製造工程の順に、段階的に示した図である。基体100は、図3に示す6つの工程(第一〜第六工程)を経ることにより、製造することができる。
まず、図4(a)に示すように、第一工程(工程P1)として、第一基板101の内部のうち微細孔を形成する領域に、レーザー光Lを集光照射し、第一基板の一方の主面101aと平行な方向Sに、焦点Lfを走査させて構造改質部(改質部)101cを形成する。
第一工程は、2つのステップを経て行う。すなわち、1つ目のステップとして、光源において発光する、パルス幅がピコ秒オーダー以下の直線偏光したレーザー光(直線偏光レーザー光)に対して、強度が所望の大きさとなるように調整を行う。
具体的には、第一基板101に集光照射した、レーザー光Lの焦点Lfにおける強度が、加工下限閾値より大きくなるように調整を行う。ここでの加工下限閾値は、直線偏光レーザー光を第一基板101の表面近傍に集光照射させた際に、集光した焦点において、改質部を形成することが可能な下限値として定義されるものである。
さらに、レーザー光Lの強度は、形成する改質部がエッチング除去可能となるように、工程P1において、基板の一方の主面(一面)101aから、改質部を形成する位置までの距離に応じて調整する。
次に、2つ目ステップとして、光源において発生するレーザー光Lを、レンズを透過させるなどして第一基板101の内部に集光照射させ、改質部(微細孔)を形成する領域に沿って、集光した焦点Lfを走査させる。
以上の2つのステップを経ることにより、第一基板101の内部において、レーザー光Lを集光照射して走査した領域とその近傍の領域に、改質部101cを形成することができる。形成された改質部101cは、レーザー光Lの集光照射により、エッチング耐性が弱められている。
実際には、レーザー光Lを走査した際に、走査した領域、すなわち改質予定の領域に第一改質部が形成されるとともに、走査した領域近傍の領域、すなわち改質予定でない領域に第二改質部が形成される。ただし、第一改質部のエッチング耐性は、第二改質部のエッチング耐性よりも弱くなっている。
次に、第二工程として、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィ法によるミクロンオーダーの流路(マイクロ流路)用のパターニングを行い、第一基板101の第一凹部102、第二凹部103を設ける部分を除いた部分を、レジストRを用いてマスクする。
続いて第三工程(工程P2)として、図4(c)に示すように、マスクされていない、第一凹部102、第二凹部103を設ける部分を、ドライエッチング処理を行って除去する。これにより、第一基板の一方の主面101aに第一凹部102および第二凹部103が形成され、各々の凹部の内側面において、改質部101cが露出する。
続いて第四工程として、マスクに用いたレジストRを、第一基板101から剥離させて除去する。
次に、第五工程(工程P3)として、図4(d)に示すように、改質部101cに対して選択的にエッチング処理を行い、第一基板101の内部に微細孔を形成する。
エッチング処理は、ドライエッチング法、ウェットエッチング法のどちらを用いて行ってもよいが、三次元構造の微細孔を形成するため、等方性の高いウェットエッチング法を用いる方が好ましい。よって、本実施形態における工程P5のエッチング処理は、ウェットエッチング法を適用して行うものとする。
具体的には、第四工程を経た被処理体を、特定の容器に収容されたエッチング液に浸漬する。そして、第一基板101の内部に形成された改質部101cの全体にエッチング液を染み込ませ、改質部101cの除去を進行させる。
第五工程のエッチング処理は、第一基板101の内部において、改質部101cが、レーザー照射されずに構造改質していない部分に比べて、速くエッチングされる現象を利用するものであり、結果として改質部101cの形状に応じた微細孔を形成することができる。
エッチング液としては、例えばフッ酸(HF)、水酸化カリウム(KOH)などのアルカリ溶液、フッ酸に硝酸等を適量添加したフッ硝酸系の混酸溶液などを用いることができ、第一基板101を構成する材料に応じて、他の薬液を用いることもできる。
特に、水酸化カリウムを主成分とするアルカリ溶液(KOH溶液)は、エッチング液としての選択性が高く、改質部のみを選択的に除去する機能に優れる。そのため、KOH溶液は、例えば、互いに近接して形成された複数の第一改質部を除去して微細孔をなす空間を形成する際に、空間同士が繋がってしまわないように、第一改質部のみをより選択的に除去することが求められる場合に有効となる。
第五工程のエッチング処理後、第一基板101内部の所望の位置に、微細孔104が形成される。なお、工程P1において用いるレーザー光は、ミクロンオーダーよりも小さな微小領域を走査して改質させることが可能である。したがって、最小寸法をナノオーダー(数10[nm]〜100[nm]のオーダー)とする微細孔104を形成することができる。形成される微細孔104のサイズは、例えば、短径が20[nm]〜200[nm]程度、長径が0.2[μm]〜5[μm]程度となり、貫通孔の断面は略楕円形状となる。エッチング処理の具合によっては、該断面は矩形に近い形状となることもある。
なお、エッチング処理時間を調整することによって、改質部101cのうち、除去されて微細孔104となる部分と除去されないで改質部として残る部分との体積比率を調整することができる。例えば、エッチング処理時間を長くすることにより、短径を1[μm]〜2[μm]程度に伸ばすことも可能である。
次に、第六工程(工程P4)として、図4(e)に示すように、工程P5を経た第一基板の一面101aに、少なくとも第一凹部102および第二凹部103が覆われるように、第二基板105を接合(キャップ接合)する。第一〜第6工程を経ることにより、図2に示した基体100が得られる。
上述した基体の製造方法によれば、レーザー光の照射によって、基体の内部にマイクロオーダー以下のサイズの改質部を形成することができる。したがって、この改質部をエッチングによって除去することにより、基体の内部に微小な流路を形成することができる。
以下、第一実施形態に該当する実施例1〜3を用いて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明が適用可能な実施例は、実施例1〜3に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、流路内における第一流体L1の流速の分布について調べた。その結果を図5(a)〜(c)を用いて説明する。図5(a)は、図2(a)、(b)に示した、第二基板105と第一凹部102とで囲まれてなる内部空間(第一流体L1の流路)S1の斜視図である。内部空間S1に第一流体L1を流した際の流れの方向f1にz軸をとり、これと垂直な面内に、互いに直交するx軸およびy軸をとる。
図5(b)は、図5(a)の第一流体L1の流れる方向f1に垂直な断面Cにおける、第一流体L1の流速のz成分を等高線によって示したグラフである。断面Cは、一辺が約10[μm]の略正方形とした。グラフの横軸は、断面Cのx軸方向における位置を示し、グラフの縦軸は、断面Cのy軸方向における位置を示している。図5(b)のグラフは、第一流体L1の流速(のz成分)が、断面Cにおいては中心部が最も大きく、中心部から離れるにしたがって小さくなる結果を示している。
図5(c)は、図5(b)のグラフのy軸方向における位置a1、a2、a3における、第一流体L1の流速の分布を示したグラフである。グラフの横軸は、断面C内のx方向における位置を示し、グラフの縦軸は、第一流体L1の流速のz成分を示している。図5(c)のグラフに示した実線、一点鎖線、二点鎖線は、それぞれ、位置a1、a2、a3における第一流体L1の流速の分布を示している。図5(c)のグラフは、断面Cのy方向(深さ方向)において、流路の中心部に近い位置ほど第一流体L1の流速が大きくなる結果を示している。
図5(b)、(c)のグラフに示すように、第一流体L1の流路内において、第一凹部の側面102bおよび底面102cと第二基材の重ね合わせ面105aとで構成される流路の壁面から遠い位置ほど、第一流体L1の壁面との摩擦の影響が小さくなり、より速く流れることができる。つまり、第一流体L1は、流路内の中心部において、その流速が最大となる。
したがって、微細孔の開口部104aの少なくとも一部は、第一凹部102の深さ方向における中央域、すなわち、第一流体L1の流路の中心部と重なる位置に配されていることが望ましい。このような構成により、開口部から吐出された第二流体L2の少なくとも一部は、流路の中心部に進入し、第一流体L1のうち流速が最大の部分から大きな圧力を受ける。その結果として、吐出された第二流体L2は切断されやすくなり、高速で大量のドロップレットDを作製することができる。
[実施例2]
実施例2として、第一実施形態に係る基体100を用いて作製される、ドロップレットのサイズについて調べた結果を図6に示す。図6は、ドロップレットの径ごとに作製された数をまとめたグラフである。グラフの横軸は、作製されたドロップレットの径を示し、グラフの縦軸は、作製されたドロップレットの数を示している。
グラフの分布から見積もった結果、作製されたドロップレットの径は、平均1.1[μm](標準偏差260[nm])となった。これは、体積換算すると、14[fL]に相当する大きさであることがわかった。
図7に示した従来技術により得られるドロップレットの径が、10[μm](1[fL])程度であったのに対し、本発明の実施例2によって得られるドロップレットの径は、その約10分の1となることが分かった。
[実施例3]
実施例3として、第一実施形態に係る基体100を用いて作製されたドロップレットを用い、酵素反応を観察した結果を図9に示す。作製したドロップレットD内には酵素1分子(β-ガラクトシダーゼ)がある確率で閉じ込めてあり、β-ガラクトシダーゼの基質にはFluorecein-Di-Galactopyranoside(FDG)を用いている。図9(a)は、微細流路C内に作製したドロップレットDを、光学顕微鏡を用いて明視野観察した写真である。図9(b)は、図9(a)と同じ場所において、微細流路C内に作製したドロップレットDを、蛍光観察した写真である。作製したドロップレットDが蛍光反応を示していることから、ドロップレットD内の1μm程度の微小空間を、酵素反応場として供することができたことが明らかとなった。
本発明は、所望のサイズのドロップレットを大量かつ高速に作製する装置として、広く適用することができる。また、ドロップレット内での化学・生体反応の検出等、バイオや化学の分野で広く使用することができる。
101・・・第一基板、101a、105a・・・一面、102・・・第一凹部、
103・・・第二凹部、104・・・微細孔、105・・・第二基板、
L1・・・第一流体、L2・・・第二流体、d3・・・段差。

Claims (4)

  1. 第一基板と、
    前記第一基板の一面に形成された、第一流体の流路をなす第一凹部と、
    前記第一基板の一面に形成された、第二流体の流路をなす第二凹部と、
    前記第一凹部および前記第二凹部が覆われるように、前記第一基板の一面に重ねられた第二基板と、
    前記第一基板の内部において、前記第二基板と前記第一凹部とで囲まれた内部空間および前記第二基板と前記第二凹部とで囲まれた内部空間を連通し、一方の内部空間から他方の内部空間に向けて、第一流体または第二流体を流すことが可能な微細孔と、を含み、
    前記微細孔の開口部における内側面と、前記第一基板の一面との重ね合わせ面をなす前記第二基板の一面との間に段差が設けられており、
    前記第一凹部が前記第一流体の供給源に連結され、前記第二凹部が前記第二流体の供給源に連結されている、ことを特徴とする基体。
  2. 前記微細孔の開口部の少なくとも一部は、前記第一凹部の深さ方向における中央域と重なる位置に配されている、ことを特徴とする請求項1に記載の基体。
  3. 前記微細孔の短径は、20nm以上10μm以下である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の基体。
  4. 前記第二流体の流速は、前記第一流体の流速の0.001倍以上10倍以下である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の基体。
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