JP6077756B2 - 微細構造体の形成方法 - Google Patents

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本発明は、レーザー光を用いた微細構造体の形成方法に関する。
従来、微細構造体を製造するための方法として、フォトリソグラフィ法とエッチング法を組み合わせて加工する技術が知られている。フォトリソグラフィ法は、基板の主面のうち、微細構造を形成しない領域を樹脂等で覆ってマスクを形成する技術である。そのようなマスク形成された基板をエッチング処理することにより、マスクされていない領域を選択的に削り、基板の主面から深さ方向に微細構造が形成できる。上記技術によれば、基板の主面において、二次元的な形状の微細構造体を形成することができる。
一方、直線偏光されたレーザー光を基板の内部に集光照射し、集光した焦点の近傍域に構造改質部(改質部)を形成し、この改質部を、エッチング処理を行って除去することにより、基板内部に微細構造を形成する方法が近年注目されている。この方法によれば、基板の内部において、三次元的な形状の微細構造を形成することができる。
特許文献1によれば、図11示すように、石英基板601に、直線偏光されたピコ秒オーダー以下のパルス幅を有するパルス状のレーザー光602を集光照射すると、集光照射された領域が局所的に改質した構造改質部となる。構造改質部は、第一改質部603dと第二改質部603cとから構成されており、各々の改質部の基板主面に垂直な方向のサイズは、照射したレーザー光の波長のオーダー程度(数百[nm])となる。構造改質部は、第一改質部603dと第二改質部603cとが交互に並んで形成されており、石英基板601の主面上においてそれらの並ぶ方向は、レーザー光602の偏光方向と垂直である。
これは、レーザー光の集光部に発生する電子プラズマ波と入射光との干渉効果により相互作用が活発となり、電子プラズマ密度が周期的に変調することにより、基板の構造改質が誘起されることに起因するとされている。石英基板601は、電子プラズマ波と入射光が強め合う領域では酸素が欠乏した状態になり、弱め合う領域では酸素リッチな状態になるとされている。レーザー光602の集光部に形成された第一改質部603dは、フッ酸水溶液等の薬液に対するエッチング耐性が弱まっている。特に、酸素が欠乏した状態の部位(酸素欠乏部)は、酸素リッチな部位に比べてエッチングが進行しやすい。
レーザー光602の集光部に形成された構造改質部は、フッ酸水溶液等の薬液に対するエッチング耐性が弱まっている。特に、酸素が欠乏した状態の部位(酸素欠乏部)は、酸素リッチな部位に比べてエッチングが進行しやすい。
特許文献2によれば、パルス幅がピコ秒オーダー以下のレーザー光702の照射パルスエネルギーを漸次弱めるに従って改質される領域は小さくなり、最後には一つの酸素欠乏部のみが形成された構造改質部となる。一つの酸素欠乏部が形成されるレーザー光702の照射パルスエネルギーは、基板の材料毎に定義される値であり、その基板材料における加工下限閾値と呼ぶ。照射パルスエネルギーが加工下限閾値のレーザー光702により形成された、酸素欠乏部をエッチング処理することにより、ナノオーダーの微細加工を行うことができる。
さらに、図12に示すように、加工下限閾値の照射パルスエネルギーでレーザー光702を集光照射し、その焦点をシフトさせながら走査することによって、酸素欠乏部が連なって形成される。これをエッチング処理することにより、ナノオーダーの微細孔を形成することができる。
ところが、本発明者らは、特許文献2に記載される方法について更に研究を進めたところ、基体(基板)の表面から深い位置においては、微細構造を容易に形成できないことを発見した。その理由として、特許文献2に記載される方法では、レーザー光の散乱や、デフォーカス等によって、レーザー光の焦点において改質に必要なパルスエネルギーを確保することが困難であったりするため、構造改質部を形成するのが難しいことが考えられる。
国際公開第2011/096356号 国際公開第2011/096353号
本発明は以上のような点を考慮してなされたものであり、基板の一方の主面から離れた基板の内部において、ナノオーダーの構造改質部を形成し、さらに構造改質部をエッチング処理することによって、ナノオーダーの微細構造体を形成する方法の提供を目的とする。
本発明の請求項1に係る微細構造体の形成方法は、基板の一方の主面側から前記基板の内部に、ピコ秒オーダー以下のパルス時間幅であるレーザー光を、加工下限閾値の近傍の強度で照射し、前記レーザー光が集光した焦点に改質部を形成する第一工程と、前記改質部の少なくとも一部が露出するように、前記基板の一部を除去する第二工程と、前記改質部に対してエッチング処理を行うことにより、前記基板に微細構造を形成する第三工程と、を順に有する微細構造体の形成方法であって、前記加工下限閾値は、前記レーザー光を、前記基板の一方の主面に照射した場合に、集光した焦点に改質部を形成することが可能な強度の閾値に相当し、前記改質部がエッチング除去可能となるように、前記第一工程において、前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離に応じて、前記レーザー光の強度を調整し、前記第三工程において、エッチング処理時間を調整することによって、前記改質部のうち、除去されて微細孔となる部分と除去されないで改質部として残る部分との体積比率を調整する、ことを特徴とする。
請求項1によれば、レーザー光のパルスエネルギーを調整することにより、基板の内部において、基板の一方の主面からの距離に応じて、ナノオーダーサイズの構造改質部を形成することができる。形成される構造改質部はエッチングレートが高く、エッチング処理を行った際に、短時間で選択的に除去することが可能である。したがって、第一工程を経て形成した改質部のみを、第二工程にて選択的に除去することが可能であり、基板の一方の主面から離れた基板の内部に、所望の形状の微細構造を形成することができる。
本発明の請求項2に係る微細構造体の形成方法は、請求項1において、前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離は、120[μm]以上かつ240[μm]以下の範囲にあり、前記レーザー光のパルスエネルギーを、前記加工下限閾値以上かつ70[nJ/Pulse]以下とする、ことを特徴とする。
請求項2によれば、基板の内部において、基板の一方の主面からの距離が、120[μm]以上かつ240[μm]以下の範囲にある所望の位置に、ナノオーダーの改質部を形成することができる。そして、形成された改質部に対してエッチング処理を行うことにより、基板の内部に、ナノオーダーの微細構造を形成することができる。
本発明の請求項3に係る微細構造体の形成方法は、請求項1において、前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離は、240[μm]より大きく、かつ360[μm]以下の範囲にあり、前記レーザー光のパルスエネルギーを、60[nJ/Pulse]より大きく、かつ70[nJ/Pulse]以下とする、ことを特徴とする。
請求項3によれば、基板の内部において、基板の一方の主面からの距離が、240[μm]より大きく、かつ360[μm]以下の範囲にある所望の位置に、ナノオーダーの改質部を形成することができる。そして、形成された改質部に対してエッチング処理を行うことにより、基板の内部に、ナノオーダーの微細構造を形成することができる。
本発明の請求項4に係る微細構造体の形成方法は、請求項1において、前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離は、360[μm]より大きく、かつ480[μm]以下の範囲にあり、前記レーザー光のパルスエネルギーを、70[nJ/Pulse]より大きく、かつ80[nJ/Pulse]以下とする、ことを特徴とする。
請求項4によれば、基板の内部において、基板の一方の主面からの距離が、360[μm]より大きく、かつ480[μm]以下の範囲にある所望の位置に、ナノオーダーの改質部を形成することができる。そして、形成された改質部に対してエッチング処理を行うことにより、基板の内部に、ナノオーダーの微細構造を形成することができる。
本発明に係る微細構造体の形成方法は、レーザー光の強度を調整することにより、基板の内部において、基板の一方の主面からの深さに応じて、ナノオーダーサイズの構造改質部を形成することができる。構造改質部はエッチングレートが高く、エッチング処理を行った際に、短時間で選択的に除去することが可能である。したがって、第一工程を経て形成した改質部のみを、第二工程にて選択的に除去することが可能であり、基板の一方の主面から離れた基板の内部に、所望の形状の微細構造を形成することができる。
(a)本発明の微細構造体の形成方法のうち、第一工程中の被処理体の斜視図ある。(b)レーザー光のパルスパワーの計測系について、模式的に示した図である。(c)本発明の微細構造体の形成方法のうち、第二工程中の被処理体の斜視図ある。 本発明の微細構造体の形成方法のうち、第一工程にて行う処理のフローである。 基板の改質させる位置と改質に用いるレーザー光のパワーを変えて、形成された改質部および微細孔の形状を比較する表である。 基板の主面からの深さとエッチング量との関係を示すグラフである。 (a)基板の改質させる位置と、形成される微細孔の断面における短径との関係を示すグラフである。(b)基板の改質させる位置と、形成される微細孔の断面における長径との関係を示すグラフである。 マイクロミキサを構成する第一構造体および第二構造体の斜視図である。 マイクロミキサを、流路の長手方向に平行に切断した際の断面図である。 マイクロミキサを製造するために行う処理のフローである。 (a)、(c)、(e)改質部を内在する基板を、主面側から見た平面図である。(b)、(d)基板を、改質部の長手方向に平行に切断した際の断面図である。(f)基板を、微細孔の長手方向に平行に切断した際の断面図である。 基板の厚み方向に延びる改質部を形成する方法について、説明する図である。 従来技術のレーザー光照射によって、基板表面に周期的パターンの改質部を形成する様子を、模式的に説明する図である。 従来技術による微細構造体の形成方法を、模式的に説明する図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。尚、本発明においては、ナノオーダーとは、1nm〜1000nm未満のサイズ領域を意味する。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態に係る微細構造体の形成方法について、図1、2を用いて説明する。微細構造体の形成方法は、少なくとも、以下に述べる三つの工程(第一工程、第二工程、第三工程)を順に備えた方法である。
まず、図1(a)に示すように、第一工程として、ステージ104上に載置された平板状の基板101の内部のうち微細構造(例えば微細孔)を形成する領域に、レンズ105を介してレーザー光102を集光照射し、構造改質部(改質部)103を形成する。
第一工程は、図2のフローに示す4つのステップ(S1〜S4)を経て行う。すなわち、1つ目のステップS1として、パルス幅がピコ秒オーダー以下の直線偏光したレーザー光(直線偏光レーザー光)のパルスパワーが、所望の大きさとなるように調整を行う。
具体的には、基板101に集光照射した、レーザー光102の焦点102fにおけるパワーが、加工下限閾値より大きくなるように調整を行う。ここでの加工下限閾値は、直線偏光レーザー光を基板101の表面近傍に集光照射させた際に、集光した焦点において、第一改質部を形成することが可能な下限値として定義されるものである。
レーザー光102のパワーは、形成する改質部がエッチング除去可能となるように、第一工程において、基板の一方の主面(一面)101aから、改質部を形成する位置までの距離に応じて調整する。
レーザー光のパワーの計測は、例えば図1(b)に示すような計測系10を用いて行うことができる。計測系10は、対物レンズ11、パワーメータ(計測手段)12、モニタ(表示手段)13、パワーメータ12とモニタ13とを電気的に接続する配線14と、を備えている。
計測系10による、レーザー光15の平均出力の計測手順について説明する。まず、光源(不図示)から照射されるレーザー光15aを、対物レンズ11先端でのレーザー光15bを、パワーメータ12を用いて受光し、集光したレーザー光15bの平均出力を測定する。そして、モニタ13に表示された内容を踏まえ、レーザー光15が所望のパルスパワーとなるように、減光フィルタなどを用いて平均出力を調整する。
ステップS1を終えた後に、レーザー光102の焦点を所望の領域へと移動させステップS2を行う。ステップS2として、シャッターが閉じた状態で基板をセットし、光源が配された閉じた空間の開閉手段(シャッター)を開放し、光源において発生するレーザー光102を、レンズを透過させるなどして基体101の内部に集光させ、外部空間に配された基体101に照射させる。
基板101としては、例えば、加工性に優れる、ガラスなどにより構成される非結晶性基板、シリコンやサファイアなどにより構成される結晶性基板を用いる。なお、本実施形態および後述する実施例においては、平板状の基板の内部に改質部および後述する微細孔を形成する例を示しているが、改質部および微細孔を内部に形成する上で、基板の形状が限定されることはなく、基板を任意の形状の基体に置き換えてもよい。
次に、ステップS2に続くステップS3として、改質部(微細孔)を形成する領域に沿って、集光したレーザー光102の焦点102fを走査させる。
レーザー光102の集光に用いるレンズとしては、例えば屈折式の対物レンズを用いることが望ましいが、フレネル式、反射式、油浸式、水浸式などの対物レンズを用いてもよい。また、レンズ12として、例えばシリンドリカルレンズを用いることにより、一度に基体101の表面の広範囲に対して、レーザー光102を照射することが可能となる。
次に、ステップS3に続くステップS4として、光源が配された空間の開閉手段(シャッター)を閉鎖することにより、基板101に対するレーザー光102の照射を遮断する。
ステップS4に引き続き、基板101に他の構造改質部を形成する位置において走査継続する場合は、ステップS2に戻り、他の構造改質部を形成する場所にレーザー光102が集光照射されるように、光源または基板101を相互に移動させ、レーザー光102の平均出力の調整を行った上で、再び焦点102fの走査を行う。
以上のステップを経ることにより、基板101の内部において、レーザー光102を集光照射して走査した領域とその近傍の領域に、改質部103を形成することができる。形成された第一改質部103は、レーザー光102の集光照射により、酸素の含有量が欠乏してエッチング耐性が弱められている。
実際には、レーザー光102を走査した際に、走査した領域、すなわち改質予定の領域に第一改質部が形成されるとともに、走査した領域近傍の領域、すなわち改質予定でない領域に第二改質部が形成される。ただし、第一改質部のエッチング耐性は、第二改質部のエッチング耐性よりも弱くなっている。
次に、第二工程として、第一工程を経て形成された第一改質部103の少なくとも一部を露出させて、改質部103に対して選択的にエッチング処理を行い、基板101の内部に微細孔を形成する。
第一改質部103は、例えば図1(a)に示すように、第一工程におけるレーザー光の走査経路の少なくとも一端103aを、外部空間と接する基板101の表面に設けることにより、露出させることができる。また、第一改質部103は、基板101内部において第一改質部103と重なる部分を、基板の主面側から研磨等を行って除去することによっても、露出させることができる。
エッチング処理は、ドライエッチング法、ウェットエッチング法のどちらを用いて行ってもよいが、三次元構造の微細孔を形成するため、等方性の高いウェットエッチング法を用いる方が好ましい。よって、本実施形態における第三工程のエッチング処理は、ウェットエッチング法を適用して行うものとする。
具体的には、図1(c)に示すように、第一工程を経た基体101を、容器104に収容されたエッチング液105に浸漬する。そして、基板101内部に形成された第一改質部103の全体にエッチング液105を染み込ませ、第一改質部103の除去を進行させる。
第三工程のエッチング処理は、基板101の内部において、第一改質部103が、レーザー照射されずに構造改質していない部分に比べて、速くエッチングされる現象を利用するものであり、結果として改質部101の形状に応じた微細孔を形成することができる。
エッチング液としては、例えばフッ酸(HF)、水酸化カリウム(KOH)を主成分とするアルカリ溶液、フッ酸に硝酸等を適量添加したフッ硝酸系の混酸溶液などを用いることができ、基体101を構成する材料に応じて、他の薬液を用いることもできる。
特に、水酸化カリウムを主成分とするアルカリ溶液(KOH溶液)は、エッチング液としての選択性が高く、改質部のみを選択的に除去する機能に優れる。そのため、KOH溶液は、例えば、互いに近接して形成された複数の第一改質部を除去して微細孔をなす空間を形成する際に、空間同士が繋がってしまわないように、第一改質部のみをより選択的に除去することが求められる場合に有効となる。
第三工程のエッチング処理後、基体101の内部の所望の位置に、微細孔106が形成される。なお、第一工程において用いるレーザー光は、ミクロンオーダーよりも小さな微小領域を走査して改質させることが可能である。したがって、最小寸法をナノオーダー(1nm〜1000nm未満)とする微細孔106を形成することができる。形成される微細孔106のサイズは、例えば、短径が20[nm]〜200[nm]程度、長径が0.2[μm]〜5[μm]程度となり、微細孔の断面は略楕円形状となる。エッチング処理の具合によっては、該断面は矩形に近い形状となることもある。
なお、エッチング処理時間を調整することによって、第一改質部103のうち、除去されて微細孔106となる部分と除去されないで改質部として残る部分との体積比率を調整することができる。例えば、エッチング処理時間を長くすることにより、短径を1[μm]〜2[μm]程度に伸ばすことも可能である。
以上説明したように、第一実施形態に係る微細構造体の形成方法は、レーザー光の強度を調整することにより、基板の内部において、基板の一方の主面からの深さに応じて、所望の品質の第一改質部を形成することができる。すなわち、基板の一方の主面から数百ミクロンオーダーの深い位置において、レーザー光を集光照射した領域に第一改質部を形成することができる。
第一改質部はエッチングレートが高く、エッチング処理を行った際に、短時間での除去が可能である。そのため、第一改質部に対してエッチング処理を行った際に、処理時間の経過にともなって、第一改質部とともに、第一改質部近傍に形成される第二改質部等のレーザー光を集光照射していない部分まで、エッチングが進行するのを抑えることができる。したがって、第一工程を経て形成した第一改質部のみを、第二工程にて選択的に除去することが可能であり、基板の一方の主面から数百ミクロンオーダーの深い位置に、所望の形状の微細構造を形成することができる。
以下、第一実施形態に該当する実施例1、2を用いて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明が適用可能な実施例は、実施例1、2に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1として、基板の一方の主面(基板の一面)から、レーザー光を用いて改質させる部分までの距離(改質させる位置の深さ)に応じて変化する、レーザー光の好適なパワー範囲について調べた。調べた結果について、図3〜5を用いて説明する。
図3は、改質させる位置の深さと、改質に用いるレーザー光のパワーとを相互に変えた条件にて形成された、サンプルA1〜A11の改質部(第一改質部、第二改質部)および微細孔の形状を比較した表を示している。なお、図3に示す第二改質部は、エッチングレートが第一改質部に比べて低い改質部として定義されるものである。
サンプルA1は、基板201を、形成された微細孔203aおよび改質部(第二改質部)203bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA2は、基板211を、形成された微細孔213aおよび改質部(第二改質部)213bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA3は、基板221を、形成された改質部(第二改質部)213bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA4は、基板301を、形成された微細孔303aおよび改質部(第二改質部)303bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA5は、基板311を、形成された微細孔313aおよび改質部(第二改質部)313bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA6は、基板321を、形成された微細孔323aおよび改質部(第二改質部)323bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA7は、基板331を、形成された改質部(第二改質部)333bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA8は、基板401を、形成された微細孔403aおよび改質部(第二改質部)403bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA9は、基板411を、形成された微細孔413aおよび改質部(第二改質部)413bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA10は、基板421を、形成された微細孔423aおよび改質部(第二改質部)423bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
サンプルA11は、基板431を、形成された微細孔433aおよび改質部(第二改質部)433bを含む面において、切断した際の断面SEM画像である。
図3の表のうち縦方向には、第三工程を経て形成された微細孔および改質部(第二改質部)のSEM画像が、改質させた位置の深さについて、小さい順(120[μm]、240[μm]、360[μm]、480[μm])に並んで示されている。
また、図3の表のうち横方向には、第三工程を経て形成された微細孔および改質部(第二改質部)の断面のSEM画像が、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーについて、小さい順(60[nJ/Pulse]、70[nJ/Pulse]、80[nJ/Pulse])に並んで示されている。パルスエネルギーは、強度Wに対し、レーザー光の集光部分の面積Sとパルス幅(パルスの時間幅)Tとを掛けた量、すなわちパルスエネルギー=W×S×Tとして定義される。本発明においては、集光した部分の面積Sおよびパルス幅Tをほぼ一定として扱うため、パルスエネルギーを制御することは、強度を制御することに相当する。
基板の一面から120[μm]、240[μm]の深さの位置を改質させた場合、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーが60[nJ/Pulse]、70[nJ/Pulse]、80[nJ/Pulse]のいずれであっても、エッチング処理を行うことにより、第一改質部が除去されて微細孔が形成された。形成される微細孔の断面は略楕円形状であり、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーに応じて断面積の大きくなる傾向が見られた。
基板の一面から360[μm]の深さの位置を改質させた場合、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーを70[nJ/Pulse]あるいは80[nJ/Pulse]としたときには、エッチング処理を行うことにより、第一改質部が除去されて微細孔が形成された。ただし、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーを60[nJ/Pulse]としたときには、エッチング処理を行っても第一改質部は除去されず、微細孔が形成されなかった。
基板の一面から480[μm]の深さの位置を改質させた場合、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーを80[nJ/Pulse]としたときには、エッチング処理を行うことにより、第一改質部が除去されて微細孔が形成された。ただし、改質に用いたレーザー光のパルスエネルギーを70[nJ/Pulse]としたときには、エッチング処理を行っても第一改質部は除去されず、微細孔が形成されなかった。
図3の表より、微細孔を形成する部分、すなわち改質部を形成する部分が基板の一面から深い位置にあるほど、形成された改質部はエッチング除去しにくくなる傾向を示し、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを高める必要があることが分かった。具体的には、基板の一面から改質部を形成する位置までの距離が、120[μm]以上かつ240[μm]以下の範囲にある場合には、レーザー光のパルスエネルギーを、加工下限閾値以上かつ70[nJ/Pulse]以下とする必要があることが分かった。
また、図3の表より、基板の一面から改質部を形成する位置までの距離が、240[μm]より大きく、かつ360[μm]以下の範囲にある場合には、レーザー光のパルスエネルギーを、60[nJ/Pulse]より大きく、かつ70[nJ/Pulse]以下とする必要があることが分かった。
また、図3の表より、基板の一面から改質部を形成する位置までの距離が、360[μm]より大きく、かつ480[μm]以下の範囲にある場合には、レーザー光のパルスエネルギーは、70[nJ/Pulse]より大きく、かつ80[nJ/Pulse]以下とする必要があることが分かった。
図4は、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーに依存する、改質させた部分の位置(微細孔を形成した部分の位置)と、形成された微細孔の寸法との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、改質させた部分の位置と基板の一面との距離を示している。グラフの縦軸は、レーザー光の走査方向に平行な方向、すなわち基板の一面に平行な方向における微細孔の寸法(エッチング深さ)を示している。グラフ上の三種類のプロット(円形、四角形、三角形)は、改質させる際に用いたレーザー光のパルスエネルギーを、それぞれ60[nJ/Pulse]、70[nJ/Pulse]、80[nJ/Pulse]とした場合に対応する。グラフ上のいずれのプロットも、同じ条件で行った複数の実験の平均データを示している。
図4のグラフから、改質させる位置の深さを少なくとも240[μm]以下とした場合、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーによらず、ほぼ一定のエッチング深さの微細孔が形成される傾向が見られた。そして、改質させる位置を深くするほど、低いパルスエネルギーのレーザー光を用いて改質部、微細孔を形成するのが難しくなる傾向が見られた。改質させる位置の深さを360[μm]とした場合、レーザー光のパルスエネルギーを少なくとも60[nJ/Pulse]より高くしないと、基板の一面と平行に延びる微細孔は形成されないことが分かった。また、改質させる位置の深さを480[μm]とした場合、レーザー光のパルスエネルギーを少なくとも70[nJ/Pulse]より高くしないと、基板の一面と平行に延びる微細孔は形成されないことが分かった。
図5(a)は、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーに依存する、改質させた部分の位置(微細孔を形成した部分の位置)と、形成された微細孔の断面の形状との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、改質させた位置と基板の一面との距離を示している。グラフの縦軸は、レーザー光の走査方向に垂直な方向、すなわち基板の一面に垂直な方向における、楕円形状となる微細孔の断面の短径を示している。グラフ上の三種類のプロット(円形、四角形、三角形)は、改質させる際に用いたレーザー光のパルスエネルギーを、それぞれ60[nJ/Pulse]、70[nJ/Pulse]、80[nJ/Pulse]とした場合に対応する。グラフ上のいずれのプロットも、同じ条件で行った複数の実験の平均データを示している。
図5(a)のグラフから、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを60[nJ/Pulse]とした場合、改質させる位置の深さが少なくとも240[μm]以下の範囲においては、形成される微細孔の断面の短径が、ほぼ一定となる傾向が見られた。一方、改質させる位置の深さが少なくとも360[μm]以上の範囲においては、短径が0[μm]となっていることから、微細孔が形成されないことが分かった。
また、図5(a)のグラフから、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを70[nJ/Pulse]とした場合、改質させる位置の深さが少なくとも360[μm]以下の範囲においては、形成される微細孔の断面の短径が、ほぼ一定となる傾向が見られた。一方、改質させる位置の深さが少なくとも480[μm]以上の範囲においては、短径が0[μm]となっていることから、微細孔が形成されないことが分かった。
また、図5(a)のグラフから、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを80[nJ/Pulse]とした場合、改質させる位置が深くなるとともに、形成される微細孔の断面の短径は小さくなる傾向が見られた。
図5(b)は、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーに依存する、改質させた部分の位置(微細孔を形成した部分の位置)と、形成された微細孔の断面の形状との関係を示すグラフである。グラフの横軸は、改質させた部分の位置と基板の一面との距離を示している。グラフの縦軸は、レーザー光の走査方向に垂直な方向、すなわち基板の一面に垂直な方向における、楕円形状となる微細孔の断面の長径を示している。グラフ上の三種類のプロット(円形、四角形、三角形)は、改質させる際に用いたレーザー光のパルスエネルギーを、それぞれ60[nJ/Pulse]、70[nJ/Pulse]、80[nJ/Pulse]とした場合に対応する。グラフ上のいずれのプロットも、同じ条件で行った複数の実験の平均データを示している。
図5(b)のグラフから、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを60[nJ/Pulse]とした場合、改質させる位置の深さが少なくとも240[μm]以下の範囲においては、形成される微細孔の断面の長径が、ほぼ一定となる傾向が見られた。一方、改質させる位置の深さが少なくとも360[μm]以上の範囲においては、長径が0[μm]となっていることから、微細孔が形成されないことが分かった。
また、図5(b)のグラフから、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを70[nJ/Pulse]とした場合、改質させる位置の深さが少なくとも360[μm]以下の範囲においては、形成される微細孔の断面の長径が、ほぼ一定となる傾向が見られた。一方、改質させる位置の深さが少なくとも480[μm]以上の範囲においては、長径が0[μm]となっていることから、微細孔が形成されないことが分かった。
また、図5(b)のグラフから、改質に用いるレーザー光のパルスエネルギーを80[nJ/Pulse]とした場合、改質させる位置の深さによらず、形成される微細孔の断面の長径は、ほぼ一定となる傾向が見られた。
[実施例2]
本発明を適用することにより形成可能となるデバイスとして、例えば二種類の流体(第一流体、第二流体)を混合するマイクロミキサを提示する。以下に、マイクロミキサを形成するための具体的なプロセスを示すが、これはあくまで一例であり、必ずしも以下のプロセスに限定するものではない。図6は、実施例2として示すマイクロミキサ500の斜視図である。図6は、マイクロミキサ500を構成する第一構造体510(下側)および第二構造体520(上側)の斜視図である。マイクロミキサ500の構成について説明するため、図6においては、第一構造体510と第二構造体520とを分離して示しているが、デバイスとして動作させる際には、両者を重ね合わせる。
第一構造体510の構成について説明する。第一構造体510は、第一基板511の一方の主面(一面)511aに、第一溝部514Aと、第二溝部514Bと、複数の第三溝部515Aと、複数の第四溝部515Bと、を備えてなる。複数の第三溝部515Aは、第一溝部514Aから第二溝部514B側に分岐し、櫛歯状に配されたトレンチを構成する。また、複数の第四溝部515Bは、第二溝部514Bから第一溝部514A側に分岐し、櫛歯状に配されたトレンチを構成する。第三溝部515Aと第四溝部515Bとは、互い違いに離間して配されている。
第二構造体520の構成について説明する。第二構造体520は、第二基板521の一方の主面(一面)521aに、第五溝部522と第六溝部523とを備えてなる。第五溝部522は、第三溝部515Aを流れる第一流体と第四溝部515Bを流れる第二流体とを混合する空間として機能する。第六溝部523は、第五溝部522において混合された流体の導出路をなし、第五溝部522と第二基板521の外部空間とを連通させている。
実施例2のマイクロミキサ500は、第一基板の一方の主面511aと第二基板の一方の主面521aとが接触し、かつ、第五溝部522が、第三溝部515Aおよび第四溝部515Bと重なる位置にあるように、第一構造体510と第二構造体520とを重ねてなる。
図7は、第一構造体510に、第二構造体520を前述したように重ねた上で、C1−C1線において、第一基板の一面511aおよび第二基板の一面521aと垂直な方向に、
マイクロミキサ500(第一構造体510および第二構造体520)を切断した際の断面図である。
図6、7に示すように、マイクロミキサ500の構成によれば、第一溝部514Aおよび第二溝部514Bが、それぞれ第一流体および第二流体の導入路をなし、第三溝部515Aおよび第四溝部515Bは、それぞれ第一流体および第二流体の分岐路をなす。したがって、第五溝部522を、第三溝部515Aおよび第四溝部515Bと重ねてなる空間が、第一流体と第二流体とを混合する空間として機能する混合部をなす。
また、第一溝部514Aに導入した第一流体を第三溝部515A側に押し出して分割させ、分割した第一流体をさらに第五溝部522側に押し出すことができる。同様に、第二溝部に導入した第二流体を第四溝部側に押し出して分割させ、分割した第二流体をさらに第五溝部522側に押し出すことができる。そして第五溝部522において、押し出された第一流体と第二流体とを合流させ、混合させることができる。第五溝部522に押し出される第一流体、第二流体は、それぞれ第三溝部、第四溝部において細かく分割されているため、合流させた際に、均質に混合させることができる。
図6および図7を用いて示したマイクロミキサ500を構成する第一構造体510の製造方法について、図8、9を用いて説明する。図8は、マイクロミキサ500を製造するために行う処理のフローである。マイクロミキサ500は、図8に示す5つのステップ(第一ステップS11、第二ステップS12、第三ステップS13、第四ステップS14、第五ステップS15)を経ることにより、製造することができる。
まず、第一ステップS11として、基板511の内部の第三溝部515A、第四溝部515Bを設ける領域に対して、第一実施形態の第一工程と同様に、レーザー光を集光照射し、焦点を走査させて改質部を形成する。
図9(a)は、第一ステップS11を経て形成された、改質部513を有する基板511の平面図である。改質部513は、第三溝部515Aを設ける領域に形成された複数の改質部513Aと、第四溝部515Bを設ける領域に形成された複数の改質部513Bとで構成されている。複数の改質部513A、複数の改質部513Bは、それぞれ櫛歯状に配されている。また、複数の改質部513Aと複数の改質部513Bとは、互い違いに離間して配されている。
図9(b)は、図9(a)のC2−C2線において、基板の一面511bと垂直な方向に、基板511を切断した際の断面図である。図9(b)に示すような、基板511の厚み方向に延びる形状の改質部513Aの形成方法について、図10を用いて説明する。
図10は、基板101の内部において厚み方向Tに、一回の走査によって形成される改質部の大きさ(幅)分以上に延びる形状の改質部を形成する方法について説明する図である。図10に示すような、基板101の内部において厚み方向Tに延びる形状の改質部(第一改質部)103は、レーザー光102を用いた二種類の走査(第一走査、第二走査)を、交互に繰り返して行うことによって形成することができる。
第一走査は、基板101内部の改質させる領域に対して、レーザー光の焦点102fを、基板の一面101aと平行な方向P1に移動させて行う走査である。基板の一面101aに平行に延びる第一改質部103a、103b、103cは、いずれも第一走査を行うことによって形成される。
第二走査は、第一走査した領域から基板の一面101a側の方向P2に、ずらして行う走査である。形成される第一改質部103a、103b、103cの大きさ(幅d)分以下の範囲において第二走査を行うことにより、第一改質部103a、103b、103c同士が一体化し、基板101の厚み方向において、一回の走査によって形成される改質部の大きさ分以上に延びる形状の第一改質部103を形成することができる。
図10を用いて説明したように、第一走査と第二走査とを交互に繰り返して行うことにより、厚み方向に改質部513a、513bを重ねて形成する。図9(b)には示されていない改質部513Bも、改質部513Aと同様にして形成する。
なお、図9(b)においては、第一走査を二回行い、二つの改質部513a、513bを重ねることにより、改質部513Aを形成する例を示したが、第一走査の回数は、形成する改質部の大きさに応じて調整する。また、改質部513Aおよび改質部513Bは、必ずしも、基板の一面511bにおいて外部空間に露出していなくてもよい。
次に、第一ステップS11に続く第二ステップS12として、フォトリソグラフィ法によるミクロンオーダーの流路(マイクロ流路)用のパターニングを行い、基板511の第一溝部514A、第二溝部514Bを設ける部分を除いた部分を、レジストを用いてマスクする。続いて第三ステップS13として、マスクされていない、第一溝部514A、第二溝部514Bを設ける部分を、ドライエッチング処理を行って除去する。続いて第四ステップS14として、マスクに用いたレジストを、基板511から剥離させて除去する。
図9(c)は、第一ステップS11〜第四ステップS14を経て形成された、改質部513(513A、513B)、第一溝部514A、第二溝部514Bを有する基板511の平面図である。第一溝部514Aと第二溝部514Bとが互いに対向して配され、第三溝部513Aの一端が第一溝部514Aに、第四溝部513Bの一端が第二溝部514Bに、それぞれ接続されている。
図9(d)は、図9(c)のC3−C3線において、基板の一面511bと垂直な方向に、基板511を切断した際の断面図である。図9(c)、(d)に示すように、改質部513A、513Bは、少なくとも一部が、それぞれ第一溝部514A、第二溝部514Bに対して露出している。
次に、第四ステップS14に続く第五ステップS15として、改質部513A、513Bを、第一実施形態の第三工程と同様のエッチング処理を行って除去することにより、第三溝部515A、第四溝部515Bを形成する。
図9(e)は、第五ステップS15を経て形成された、第一溝部514A、第二溝部514B、溝部515を有する、基板511の平面図である。溝部515は、複数の第三溝部515Aと複数の第四溝部515Bとで構成されている。複数の第三溝部515A、複数の第四溝部515Bは、それぞれ櫛歯状に配されている。また、複数の第三溝部515Aと複数の第四溝部515Bとは、互い違いに離間して配されている。
図9(f)は、図9(e)のC4−C4線において、基板の一面511bと垂直な方向に、基板511を切断した際の断面図である。図9(e)、(f)に示すように、第三溝部515A、第四溝部515Bは、少なくとも一部が、それぞれ第一溝部514A、第二溝部514Bに対して露出している。
上述した製造方法によれば、第一工程のレーザー照射条件、第四工程のエッチング処理条件を調整することにより、任意のサイズの第三溝部515A、第四溝部515Bを形成することができる。そこで、第三溝部515Aおよび第四溝部515Bの幅を、それぞれナノオーダーで形成することにより、第三溝部515Aを流れる第一流体および第四溝部515Bを流れる第二流体を、それぞれナノオーダーのサイズに分割することができる。
ナノオーダーのサイズに分割されることにより、第一流体および第二流体を、分子のレベルで均質に混ざりやすい状態にすることができる。したがって、第一流体および第二流体を、ともに第五溝部522内に押し出した際に、二つの流体の混合を促進することができる。
また、上述した製造方法によれば、第一工程のレーザー照射条件、第四工程のエッチング処理条件を調整することにより、アスペクト比の高い第三溝部515A、第四溝部515Bをファインピッチで形成することができる。これにより、第三溝部515Aを流れる第一流体および第四溝部515Bを流れる第二流体を構成する分子の拡散距離が短くなるため、二つの流体の混合を促進することができる。
本発明は、微細構造体の形成方法および微細構造を有する基体、例えば、マイクロ流路やマイクロウェル、光学部品、電子部品などの技術分野に広く適用することができる。
10・・・計測系、11・・・対物レンズ、12・・・パワーメータ(計測手段)、
13・・・モニタ(表示手段)、14・・・配線、15、15a、15b・・・レーザー光、
101、201、211、221、301、311、321、331・・・基板、
401、411、421、431、511、521、531・・・基板、
101a、511a、521a・・・一面、102・・・レーザー光、
102f・・・焦点、103、103a、103b、103c・・・改質部、
103e・・・一端、104・・・ステージ
105・・・レンズ、106・・・容器、107・・・エッチング液、
203a、213a、303a、313a、323a、333a・・・微細孔、
403a、413a、423a、433a・・・微細孔、
203b、213b、223b、303b、313b、323b、333b・・・改質部、
403b、413b、423b、433b・・・改質部、
500、530・・・マイクロミキサ、510・・・第一構造体、
513A、513B、513a、513b・・・改質部、514A・・・第一溝部、
514B・・・第二溝部、515、515A、515a、515b・・・第三溝部、
515B・・・第四溝部、520・・・第二構造体、522・・・第五溝部、
523・・・第六溝部、534A、534B、534C・・・溝部、
S1、S11・・・第一ステップ、S2、S12・・・第二ステップ、
S3、S13・・・第三ステップ、S4、S14・・・第四ステップ、
S15・・・第五ステップ、k・・・光軸方向、L1、L2、L3・・・流体、
P1、P2、T・・・方向。

Claims (4)

  1. 基板の一方の主面側から前記基板の内部に、ピコ秒オーダー以下のパルス時間幅であるレーザー光を、加工下限閾値の近傍のレーザー強度で照射し、前記レーザー光が集光した焦点に改質部を形成する第一工程と、
    前記改質部の少なくとも一部が露出するように、前記基板の一部を除去する第二工程と、
    前記改質部に対してエッチング処理を行うことにより、前記基板に微細構造を形成する第三工程と、を順に有する微細構造体の形成方法であって、
    前記加工下限閾値は、前記レーザー光を、前記基板の一方の主面に照射した場合に、集光した焦点に改質部を形成することが可能なレーザー強度の閾値に相当し、
    前記改質部がエッチング除去可能となるように、前記第一工程において、前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離に応じて、前記レーザー光の強度を調整し、
    前記第三工程において、エッチング処理時間を調整することによって、前記改質部のうち、除去されて微細孔となる部分と除去されないで改質部として残る部分との体積比率を調整する、ことを特徴とする微細構造体の形成方法。
  2. 前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離は、120[μm]以上かつ240[μm]以下の範囲にあり、
    前記レーザー光のパワーを、前記加工下限閾値以上かつ70[nJ/Pulse]以下とする、ことを特徴とする請求項1に記載の微細構造体の形成方法。
  3. 前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離は、240[μm]より大きく、かつ360[μm]以下の範囲にあり、
    前記レーザー光のパワーを、60[nJ/Pulse]より大きく、かつ70[nJ/Pulse]以下とする、ことを特徴とする請求項1に記載の微細構造体の形成方法。
  4. 前記主面から前記改質部を形成する位置までの距離は、360[μm]より大きく、かつ480[μm]以下の範囲にあり、
    前記レーザー光のパワーを、70[nJ/Pulse]より大きく、かつ80[nJ/Pulse]以下とする、ことを特徴とする請求項1に記載の微細構造体の形成方法。
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