JP6096111B2 - 免疫刺激組成物及びワクチン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、マンノース、特にマンナンを含む炭水化物ポリマー、その調製及び免疫刺激組成物とワクチン組成物におけるその使用に関する。
マンノース(たとえば、マンナン)、β(1,3)グルコース(たとえば、グルカン)、β(1,4)アセチル化マンノース(アセマンナン)、β(1,4)N−アセチル−グルコサミン(キチン)の幾つかの多糖類(炭水化物ポリマー)、及びラムノガラクツロナン(ペクチン)のようなヘテロ多糖類は免疫系を刺激することが示されている。
C型レクチン受容体への多糖類の結合は、貪食作用、増殖反応、サイトカインの放出、及び免疫系のそのほかの活性によって示されるように免疫刺激を誘導する。この免疫刺激活性のために、これらの多糖類はワクチン組成物での使用について提案されている。特に関心があるのはマンナンである。
マンナンはマンノース受容体(CD206)及びDC−SIGN(CD209)のようなC型レクチン受容体によって認識されるポリマンノースである。抗原提示細胞上でのその存在のために、これらの受容体は、マンノース、フコース又はグルコースを含有する化合物の取り込みを特徴とする。たとえば、マンノース受容体へのマンナンの結合はエンドサイトーシスを誘導し、その後エンドソーム経路への送達を誘導する。マンノシル化抗原に関する初期の検討は、抗原上のマンノース残基の存在が樹状細胞(DC)による抗原の取り込みと主要組織適合複合体(MHC)クラスII拘束性の抗原の提示を大きく高めることを示した。少なくとも1つの抗原へのマンナンの抱合もまた取り込みと提示を高める。
特定の多糖類の免疫刺激特性はしばらくの間知られていたが、その使用は大部分が研究応用に限定されている。このことは、部分的には、特にヒトに関する臨床設定での使用を支配する厳格な規制による。その結果、疾患の治療又は予防での使用のためのさらなる免疫刺激組成物とワクチン組成物、並びにその調製のための信頼できる方法に対するニーズがある。
治療用途のために再現可能な特徴を持ったマンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を製造する方法を工夫しようと試みる一方で、本発明者らは、規定されたサイズ及び/又はアルデヒド含量を持つマンナンの亜集団が、出発集団と比べてと同様にその他の亜集団と比べて高い特性を有することを驚きをもって見い出した。
従って、第1の態様では本発明は、マンナンを含有する免疫刺激組成物を提供するが、その際、マンナンの少なくとも75%は約1000kDaよりも大きい。
一実施形態では、マンナンは酸化されるのでアルデヒド基を含む。このことは、マンナンが少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸に抱合されるべきである場合、特に有用である。
一実施形態では、アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸(ANTS)で標識した後のマンナンのサイズ分布はタンパク質基準に基づいて約150〜約250Daの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約800〜約3000kDaの間である。
別の態様では、本発明は、酸化されたマンナンを含む免疫刺激組成物を提供するが、その際、マンナンの少なくとも75%は少なくとも150のアルデヒド基を有する。
別の態様では、本発明は、酸化されたマンナンを含む免疫刺激組成物を提供するが、その際、マンナンの少なくとも75%は約1000kDaより大きく、且つ少なくとも150のアルデヒド基を有する。
さらに、提供されるのは、マンナンと少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸を含むワクチン組成物であり、その際、マンナンの少なくとも75%は約1000kDaより大きい。
一実施形態では、マンナンは酸化されている。
さらなる実施形態では、酸化されたマンナンは少なくとも1つの抗原に共有結合される。
代わりの実施形態では、酸化されたマンナンはポリカチオンを介して少なくとも1つの核酸に抱合される。
一実施形態では、酸化されたマンナンの少なくとも75%が、少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸の抱合される前に少なくとも150のアルデヒド基を有する。
一実施形態では、抗原又はそれをコードする核酸への抱合の前で且つアミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸(ANTS)で標識した後のマンナンのサイズ分布は、タンパク質基準に基づいて約150〜約250Daの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約800〜約3000kDaの間である。
マンナンは、たとえば、真菌、さらに好ましくは酵母のような任意の供給源に由来することができる。
抗原は、たとえば、ウイルス抗原、細菌抗原、原虫抗原、真菌抗原、腫瘍抗原、自己抗原又はアレルゲンのような任意の供給源に由来することができる。抗原は、たとえば、生物全体、タンパク質又は抗原性ペプチドであってもよい。
一実施形態では、本発明の組成物は、粘膜、局所、皮内、筋肉内、皮下又は静脈内の投与のために製剤化される。
一実施形態では、本発明の組成物は少なくとも1つの許容可能なキャリアをさらに含む。
別の態様では、本発明は、対象において免疫応答を誘導する及び/又は高めるための方法を提供するが、その方法は、本発明の組成物を対象に投与することを含む。
一実施形態では、方法は少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸を投与することを含む。
一実施形態では、マンナンと少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸は順次又は同時に投与される。好まれる実施形態では、それらは同一の組成物にて投与される。
一実施形態では、マンナンと少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸は、本発明に係るワクチン組成物として投与される。
一実施形態では、抗原が感染因子に由来する又はその変異体/誘導体である場合、方法は病原体(感染因子)に対して対象を免疫する。別の実施形態では、抗原が癌細胞に由来する又はその変異体/誘導体である場合、方法は癌療法のためのものである。
一実施形態では、組成物は、粘膜内に、局所に、皮内に、筋肉内に、皮下に又は静脈内に投与される。
提供されるのはまた、対象において免疫応答を誘導する及び/又は高めるための薬物を製造するための本発明の組成物の使用である。
さらに、提供されるのは、対象において免疫応答を誘導する及び/又は高めるための本発明の組成物の使用である。
本発明の組成物はまた、in vitro又はex vivoでの刺激方法で使用することができる。従って、さらなる態様では、本発明は、in vitro又はex vivoでマクロファージ、DC及び/又は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化する方法を提供するが、その方法は本発明の組成物に細胞を接触させることを含む。刺激された細胞を必要とする対象に投与することができる。
サイズ及び/又はアルデヒド含量で選択される本発明のマンナン集団を用いて少なくとも1つの核酸を細胞に送達することもできる。従って、さらなる態様では、本発明は、少なくとも1つの核酸を細胞に送達する組成物を提供するが、その組成物は少なくとも1つの核酸とマンナンを含み、その際、マンナンの少なくとも75%は約1000kDaより大きい。
一実施形態では、マンナンは酸化される。
さらなる実施形態では、酸化されたマンナンはポリカチオンを介して少なくとも1つの核酸に抱合される。
さらなる実施形態では、酸化されたマンナンの少なくとも75%は、少なくとも1つの核酸に抱合される前に少なくとも150のアルデヒド基を有する。
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの核酸を細胞に送達する方法を提供するが、その方法は上記態様の組成物に細胞を接触させることを含む。
一実施形態では、細胞はin vitro又はex vivoにある。代わりの実施形態では、細胞はex vivoにある。
一実施形態では、核酸は遺伝子療法又は遺伝子ワクチン接種のために細胞に送達される。
提供されるのはまた、遺伝子療法又は遺伝子ワクチン接種のために薬物を製造するための組成物の使用である。
さらに、提供されるのは、遺伝子療法又は遺伝子ワクチン接種のための組成物の使用である。
別の態様では、本発明は、本発明の組成物を調製する方法を提供するが、その方法は、
i)マンナンを含む組成物を得ること、
ii)サイズに基づいて工程i)の組成物を分画すること、
iii)マンナンを含む1以上の分画を選択し、1以上の分画におけるマンナンの少なくとも75%が約1000kDaより大きいこと、及び
iv)少なくとも1つのその他の化合物と工程iii)の分画を任意で混合することを含む。
一実施形態では、方法はさらに、工程iv)の前にマンナンを酸化する工程を含む。さらなる実施形態では、酸化されたマンナンの少なくとも75%が少なくとも150のアルデヒド基を有する。
一実施形態では、少なくとも1つのその他の化合物は抗原又はそれをコードする核酸である。
別の態様では、本発明は、本発明のワクチン組成物を調製する方法を提供するが、その方法は、
i)マンナンの少なくとも75%が1000kDaより大きいマンナンを含む組成物を得ること、及び
ii)少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸と工程i)の組成物を混合し又は抱合し、それによってワクチン組成物を調製することを含む。
一実施形態では、方法はさらに、工程ii)の前にマンナンを酸化することを含む。さらなる実施形態では、酸化されたマンナンの少なくとも75%は少なくとも150のアルデヒド基を有する。
本発明の組成物、さらに一般的にはマンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を製造するのを支援するために、マンノース(たとえば、マンナン)を含む炭水化物ポリマーの出発集団は、バッチ間で一貫し、及び/又は炭水化物ポリマーのより高分子量種を十分に高く提示することが好ましい。
従って、別の態様では、本発明は、マンノース含む炭水化物ポリマーを含む組成物を選択する方法を提供するが、その方法は、
i)マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を得ること、
ii)工程i)の組成物のサイズ分布とアルデヒド含量を分析すること、及び
iii)所望のサイズ及び/又はアルデヒド含量を含むのであればその組成物を選択することを含む。
一実施形態では、サイズ分布は、
i)組成物の一部を酸化すること、
ii)工程i)の酸化された生成物をANTSで標識すること、及び
iii)工程ii)の標識された生成物をSDS−PAGEによって分離することによりサイズ分布を分析することによって分析される。
一実施形態では、アルデヒド含量は
i)組成物の一部を酸化すること、
ii)工程i)の酸化された生成物を3−(2−ピリジルジチオ)プロピオニルヒドラジド(PDPH)と反応させること、
iii)工程ii)の生成物を還元剤と反応させて2−ピリジンチオンを放出させること、及び
iv)2−ピリジンチオンの放出を測定することによって分析される。
一実施形態では、還元剤はジチオスレイトール(DTT)である。
一実施形態では、2−ピリジンチオンの放出はOD343nmの吸光度での分光光度法によって測定する。
一実施形態では、組成物は過ヨウ素酸ナトリウムによって酸化する。
一実施形態では、方法はさらに、工程i)の組成物の純度を決定することを含む。たとえば、純度は、
i)水和硫酸の存在下でレゾルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゼン)と組成物を反応させ、
ii)OD430〜480nmにて吸光度を測定し、
iii)標準に対して吸光度を比較することによって
炭水化物ポリマーの糖含量を定量することにより決定することができる。
医薬品についての製造管理及び品質管理に関する基準は、規制認可を得るのに重要な要件である。しかしながら、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物のすべてではないが多くの供給源は、明瞭に且つ一貫して規定するのが難しい高度に不均質な集団を生じる。酵母のような天然の供給源から得られるポリマーが特にそうである。本発明者らが向上した特性を持つマンナンを含む新しい組成物を特定しているだけでなく、本発明はまた、明確に定義された特性を持ち、規制認可過程で受け入れられやすいそのような組成物、さらに一般的にはマンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を製造する方法も提供する。
従って、別の態様では、本発明は、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を調製する方法を提供するが、その方法は、
i)炭水化物ポリマーがアルデヒド基を含む、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を得ること、
ii)サイズに基づいて組成物を分画すること、及び
iii)工程ii)の所望のサイズ分布を持つ炭水化物ポリマーを含む1以上の分画を選択し、それによって組成物を調製すること、を含む。
或いは、その方法は、
i)マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を得ること、
ii)サイズに基づいて組成物を分画すること、
iii)工程ii)から得られた1以上の分画を酸化すること、及び
iv)所望のサイズ分布及び/又はアルデヒド含量を持つ炭水化物ポリマーを含む1以上の分画を工程iii)から選択し、それによって組成物を調製すること、を含む。
代わりの方法の一実施形態では、1以上の分画が過ヨウ素酸ナトリウムによって酸化される。
代わりの方法の一実施形態では、工程ii)の前に、本発明の方法を用いて組成物が選択される。
接線流濾過、サイズ排除クロマトグラフィ及び/又は限外濾過のような、しかし、これらに限定されない好適な方法を用いて、いずれの方法についても工程ii)を実施することができる。
別の実施形態では、いずれかの方法はさらに、選択に先立って1以上の分画のアルデヒド含量を分析することを含む。一実施形態では、アルデヒド含量は、
i)1以上の分画の一部をPDPHと反応させること
ii)工程i)の生成物を還元剤と反応させて2−ピリジンチオンを放出させること、及び
iii)2−ピリジンチオンの放出を測定することによって分析される。
一実施形態では、還元剤はDTTである。
一実施形態では、2−ピリジンチオンの放出は、OD343nmの吸光度にて分光光度法によって測定される。
さらなる実施形態では、いずれかの方法は、選択された1以上の分画のサイズ分布を分析することをさらに含む。たとえば、サイズ分布は、
i)1以上の分画の一部をANTSで標識すること、及び
ii)工程i)の1以上のANTS標識した分画をSDS−PAGEで分離することによってサイズ分布を分析することにより分析することができる。
一実施形態では、マンノースを含む炭水化物ポリマーはマンナンであり、及び
(a)選択された分画におけるマンナンの分子量は約1000kDaを超え、ANTSで標識した後のサイズ分布はタンパク質基準に基づいて約150〜約250kDaの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約800〜約3000kDaの間であるか;
(b)選択された分画におけるマンナンの分子量は約300〜約1000kDaの間であり、ANTSで標識した後のサイズ分布はタンパク質基準に基づいて約150〜約175kDaの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約400〜約1000kDaの間であるか;
(c)選択された分画におけるマンナンの分子量は約100〜約300kDaの間であり、ANTSで標識した後のサイズ分布はタンパク質基準に基づいて約80〜約125kDaの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約90〜約400kDaの間であるか;
(d)選択された分画におけるマンナンの分子量は約50〜約100kDaの間であり、ANTSで標識した後のサイズ分布はタンパク質基準に基づいて約60〜約80kDaの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約50〜約175kDaの間であるか;又は
(e)選択された分画におけるマンナンの分子量は約30〜約50kDaの間であり、ANTSで標識した後のサイズ分布はタンパク質基準に基づいて約50〜約60kDaの間であり、及び/又は炭水化物基準に基づいて約20〜約50kDaの間である。
特に言及されない限り、本明細書の任意の実施形態を利用してその他の任意の実施形態に準用すべきである。
本発明は、例示のみを目的とすることを意図する本明細書で記載される特定の実施形態によって範囲を限定されることはない。機能的に同等である生成物、組成物及び方法は、本明細書で記載されるように明らかに本発明の範囲内にある。
この明細書全体を通して、語句「comprise」又は「comprises」、「comprising」のようなその変異体は、言及される要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を包含することを意味するが、その他の要素、整数若しくは工程又は要素、整数若しくは工程群を排除しないことを意味するように理解される。
以下の非限定の実施例を手段とし、添付の図面を参照して本発明を下文で説明する。
セントリプレップ濃縮器を用いた分画工程を示す図である。 酸化されたマンナンにおけるアルデヒド残基を定量する方法を示す模式図である。 ANTSによる酸化マンナンの修飾を示す模式図である。 酸化マンナンにタンパク質を抱合する模式図である。 マンナンをイソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)で標識し、huh7ヒト肝癌細胞への種々の濃度での結合をフローサイトメトリーで測定した結果を示す図である。 マンナン全体及びマンナンの分画によるBMDCの成熟を示す図である。共刺激分子、CD40、CD80及びCD86の上方調節を6時間(図6A)、24時間(図6B)、及び48時間(図6C)の時点でフローサイトメトリーにより測定した。種々の用量で試料を分析した。 同上。 同上。 マンナン全体、>1000kDaのマンナン分画及び>300kDaのマンナン分画によるBMDCの成熟を示す図である。共刺激分子、CD40(図7A)及びCD86(図7B)の上方調節をフローサイトメトリーにより測定した。種々の用量で、48時間時点にて試料を分析した。 同上。 マンナン分画における異なったマンノース含量を明らかにするレゾシノールアッセイについての吸光度と濃度の曲線を示す図である。 未変性PAGEゲル上でのANTS標識したマンナン分画の分析を示す図である。 SDS−PAGEゲル上でのANTS標識したマンナン分画の分析を示す図である。 注釈付きRfによるANTS標識したマンナン分画の走査SDS−PAGEゲルを示す図である。 同上。 クオンティティワンソフトウエアによって生成した標準曲線を示す図である。 タンパク質基準に基づいた相対的な分子量を示す図である。 炭水化物基準に基づいた相対的な分子量を示す図である。 SDS−PAGEゲル上におけるMUC1−FPに結合したマンナン全体とマンナンの分画の分析を示す図である。星印は、マンナン全体−MUC1−FPの抱合体と同じMUC1−FP:マンナンの比率で組み込む抱合体を示す。 10μgのMUC1−FP、MFP又は>1000MEPによって0日目。10日目、17日目に免疫したマウスの脾細胞におけるMUC1特異的なIFN−γの応答を示す図である。 10μgのMUC1−FP、MFP又は>1000MEPによって0日目。10日目、17日目に免疫したマウスにおける抗MUC1血清の総IgG、IgG1及びIgG2aを示す図である。 供給元からのマンナンの規格を示す。 レゾシノールアッセイを用いたマンナンのバッチの分析を示す図である。 レゾシノールアッセイを用いて得られたマンノースの標準曲線を示す図である。 過ヨウ素酸酸化の後にアルデヒド残基を定量することによるシグマ社のマンナンの種々のバッチの比較を示す図である。 ANTSと反応したマンナンの種々のバッチの蛍光と濃度の曲線を示す図である。 >1000kDaの酸化されたマンナンへのFPの抱合を示す図である。分子量標準、FP及び>1000MEPをSDS−PAGE(4〜20%)上で流し、クマシーブルーで染色した。 MUC1特異的なT細胞応答のリコールを示す図である。同種DC(BC16)を10μg/ml及び20μg/mlの>1000MEP又はFPで感作し、MUC1特異的T細胞株にてCD8(A)及びCD4(B)細胞内IFNγ応答をリコールするのに使用した。 >1000kDaの酸化マンナンに対するpTrc(MUCl−VNTR)の抱合を示す図である。分子量標準、pTrc及び>1000kDapTrcをSDS−PAGE(4〜20%)上で流し、クマシーブルーで染色した。 MUC1特異的なT細胞応答のリコールを示す図である。同種DC(BC17A)を20μg/ml及び40μg/mlの>1000kDapTrc又はpTrcで感作し、ドナーBC13に由来のpTrc(MUC1)特異的T細胞株にてCD8細胞内IFNγ応答をリコールするのに使用した。 MUC1特異的なT細胞応答のリコールを示す図である。自己DCを20μg/mlの>1000kDa酸化マンナン−pTrc又はpTrcで感作し、ドナーBC17K由来のMFP特異的T細胞株にてCD8細胞内IFNγ応答をリコールするのに使用した。 1000kDa酸化マンナンへのMART−1の抱合を示す図である。分子量標準、MART−1、>1000マンナン−MART−1をSDS−PAGE(4〜20%)上で流し、クマシーブルーで染色した。 MART−1特異的な応答の刺激(1刺激)を示す図である。ドナーBC28由来のPBMCを実施例1に記載するようにMART−1タンパク質又はMART−1−1000kDa酸化マンナン抱合体で刺激した。MART−1類似体及び類似体ペプチドで感作したT2細胞によるMART−1特異的なCD8細胞内IFNγ応答のリコールを示す。 MART−1特異的な応答の刺激(2刺激)を示す図である。ドナーBC28及びBC29由来のPBMCを実施例1に記載するようにMART−1タンパク質又はMART−1−1000kDa酸化マンナン抱合体で刺激した。MART−1タンパク質又は1000kDa酸化マンナン抱合体によるMART−1特異的なCD8細胞内IFNγ応答のリコールを示す。 H1N1及びH1N1+>1000kDaマンナンの混合物に対するH1N1特異的抗体の応答を示す図である。0日目又は14日目に1μgのH1N1を単独で又は>1000kDaマンナンと混合してマウスに鼻内で免疫した。最終免疫の10日後、血清試料と肺洗浄試料を回収し、ELISAアッセイによって抗H1N1−IgG1、IgG2aおよびIgAの活性を調べた。
配列表への鍵
配列番号1:メラン/MART−1(天然)に特異的なHLA−A2エピトープペプチド
配列番号2:メラン/MART−1(類似体)に特異的なHLA−A2エピトープペプチド
一般的な技法及び定義
特に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語はすべて当業者(たとえば、細胞培養、分子遺伝学、ワクチン技術、免疫学、免疫組織化学、タンパク質化学、及び生化学)によって一般に理解されるものと同じ意味を有するように解釈されるべきである。
示されない限り、本発明で利用される組換えタンパク質、細胞培養及び免疫技法は当業者に周知の標準の手順である。そのような技法は、たとえば、J. Perbal, 分子クローニングへの実際的なガイド(A Practical Guide to Molecular Cloning), John Wiley and Sons (1984), Maniatis et al, 分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbour Laboratory Press (1982), J. Sambrook et al, 分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbour Laboratory Press (1989), T.A. Brown (編者), 本質的分子生物学:実際的アプローチ(Essential Molecular Biology: A Practical Approach), 第1巻及び2巻, IRL Press (1991), D.M. Glover and B.D. Hames (編者), DNAクローニング:実際的アプローチ(DNA Cloning: A Practical Approach), 1〜4巻, IRL Press (1995 and 1996), F.M. Ausubel et al, 編者), 分子生物学における現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology), Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988, 現在までの更新をすべて含む), E. Harlow and D. Lane (編者), 抗体:実験室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbour Laboratory (1988), and J.E. Coligan et al. (編者), 免疫学おける現在のプロトコール(Current Protocols in Immunology), John Wiley & Sons (1991, 現在までの更新をすべて含む)のような供給源における文献全体にわたって説明され、記載されている。
本明細書で使用されるとき、「約」又は「およそ」は、所与の値又は範囲の一般に20%以内、さらに好ましくは10%以内、一層さらに好ましくは5%以内を意味するべきである。
用語「及び/又は」、たとえば、「X及び/又はY」は「X及びY」又は「X若しくはY」のいずれかを意味するように理解されるべきであり、双方の意味又はいずれかの意味に対する明確な支持を提供するように解釈されるべきである。
「対象」は、本発明の組成物を投与した際、免疫応答が誘導される及び/又は高められる任意の生物であり得る。好まれる実施形態では、対象は動物であり、さらに好ましくは哺乳類又は鳥類である。特に好まれる実施形態では、対象はヒトである。その他の好まれる実施形態には、ネコ及びイヌのようなペット/愛玩動物、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ及びヤギのような家畜、家禽又は野生動物が挙げられる。
マンナン及びマンノースを含むその他の炭水化物ポリマー
驚くべきことに、本発明者らは高分子量マンナン(すなわち、約1000kDaを超える)がさらに小さいマンナン又はその混合物よりも高い免疫刺激活性を有することを見い出した。従って本発明の組成物はマンナンを含み、その際、組成物中のマンナンの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも97%、さらに好ましくは少なくとも99%、一層さらに好ましくはすべてが約1000kDaより大きい。
驚くべきことに、本発明者らはまた、少なくとも150のアルデヒド基を有する酸化されたマンナンが150未満のアルデヒド基を含む酸化されたマンナン又はその混合物よりも高い免疫刺激活性を有することを見い出した。従って本発明の組成物はマンナンを含み、その際、組成物中のマンナンの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも97%、さらに好ましくは少なくとも99%、一層さらに好ましくはすべてがそれぞれ少なくとも150のアルデヒド基を有する。
本明細書で使用されるとき、「マンナン」は、専らマンノースで形成される直鎖又は分枝鎖の多糖類を指し、修飾された、たとえば、アセチル化マンノース(アセマンナン)、又はマンノース主鎖を有するが、非マンノース側鎖を有する置換されたマンナン(たとえば、ガラクトース側鎖を持つマンノース主鎖から成るガラクトマンナン)を指さない。
本発明の組成物で有用なマンナンは、たとえば、真菌、さらに好ましくは酵母に見い出される。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)(パン屋のイースト)に由来する分枝鎖マンナンは、D−マンノピラノシル、α−D−マンノピラノシル−α−(l→2)−α−D−マンノピラノシル及びα−D−マンノピラノシルα−(1→3)−α−D−マンノピラノシル−α−(l→2)−α−D−マンノピラノシルの側鎖によってO−2原子で置換されたα−(l→6)結合マンノピラノシル主鎖構造から成る。加えて、出芽酵母マンナンはまたリン酸化することもできる(Barreto-Bergter and Gorin, 1983; Vinogradov et al, 1998)。
マンナンは好ましくは、真菌、さらに好ましくは酵母の細胞壁から単離される。一実施形態では、マンナンは高分子量のマンナン、好ましくは1000kDaを超えるマンナンを優先的に発現するように操作されている遺伝子操作した酵母から単離され得る。
アルデヒド基を含むマンナンはたとえば、酵母から得られたマンナンを酸化することによって製造することができる。炭水化物ポリマーにアルデヒド基を導入する最も一般的な方法は、近隣ジオールの過ヨウ素酸が介在する(NaIO)酸化によるものである(図2の模式図を参照)。酸化のその他の方法については、一般に、M. L. Wolfrom (編者), 炭水化物の過ヨウ素酸酸化、炭水化物化学の進歩(Periodate oxidation of carbohydrates, Advances in Carbohydrate Chemistry)、第11巻、1〜40ページ(1956年)を参照のこと。
好まれる実施形態では、NaIOを用いてマンナンを酸化し、ポリアルデヒドを生じ、次いでそれを少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸に抱合する。
一実施形態では、高分子量マンナン(すなわち、約1000kDaを超える)は、たとえば、出芽酵母のような酵母からの全マンナン抽出物のサイズ分画によって得られる。この例では、全マンナンは、培養細胞又は噴霧乾燥細胞の熱湯抽出及び溶媒抽出法を含む当該技術で既知の方法によって出芽酵母から導かれ得る。出芽酵母に由来するマンナンは、たとえば、シグマ(ミズーリ州、セントルイス)のような供給業者から入手し、一実施形態では、その後分画して高分子量マンナン組成物を得てもよい。
一実施形態では、高分子量マンナン組成物は、リボース、核酸、リボ核酸、タンパク質及び/又は炭水化物を実質的に含まない。
本発明の方法は、本発明の組成物、さらに好ましくはマンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物の調製に関する。
本明細書で使用されるとき、「マンノースを含む炭水化物ポリマー」は、マンノースサブユニット(すなわち、マンノースモノマー単位)又はその変異体を含む、さらに好ましくはそれから成る多重サブユニット化合物である。例にはマンナン、ガラクトマンナン及びアセマンナンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、炭水化物ポリマーはアルデヒド基を含む。好まれる実施形態では、炭水化物ポリマーは酸化されてポリアルデヒドを生じる。
マンノースを含む炭水化物ポリマーの調製
炭水化物及び糖類の分離方法は当該技術で周知である(一般にZ. El Rassi (編者), Carbohydrate analysis by modern chromatography and electrophoresis, Journal of Chromatography, volume 66, Elsevier Science (2002)を参照のこと)。
サイズ分画
一実施形態では、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物、さらに好ましくはマンナンを含む組成物のサイズ分画は、クロスフロー濾過(CFF)とも呼ばれる接線流濾過(TFF)によって行われる。TFFは、生成物の流れ(供給液)が膜の表面に沿って接線方向に向かい、循環する溶液の大半が供給液タンクに戻る方法である。膜を横切る供給液の速い流れは表面を「掃く」働きをし、濃度分極(膜表面での生成物の濃縮)を低下させる。それはまた膜表面の孔を閉塞させ得る汚れの堆積を防ぐ。速い循環流量は圧力損失を発生し、その力によって膜の孔より小さい供給液や溶解分子の一部は膜フィルターを通過する。膜を通過した溶液は濾液又は通過液と呼ばれる。膜の孔より大きい分子又は粒子は供給液に保持され、効果的に濃縮される。
膜濾過は「精密濾過」法又は「限外濾過」法のいずれかに分類することができる。通常0.1ミクロン〜1ミクロンの間の孔サイズを持つ精密濾過膜は一般に浄化、滅菌、微粒子の除去又は細胞の回収に用いられる。0.001〜0.1ミクロンの間のはるかに小さい孔サイズを持つ限外濾過膜は溶解した分子(タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物及びその他の生体分子)を濃縮すること及び脱塩すること、緩衝液を交換すること、分画及び水の精製に使用される。限外濾過膜は通常、孔サイズではなく、分子量カットオフ(MWCO)によって分類される。
別の実施形態では、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物のサイズ分画はサイズ排除クロマトグラフィによって行われる。
サイズ排除クロマトグラフィの基本原理は当業者に周知であり、「ゲル濾過:原理と方法」GEヘルスケアで説明されている。特定の範囲を分画する適当なカラム、たとえば、セファクリルS−100HR、セファクリルS−200HR、セファクリルS−300HR、セファクリルS−400HR及びセファクリルS−500HR又はそれらの同等物を容易に選択し、効果的に使用して上記分画を分離することができる。類似の方法で、セファロース媒体、たとえば、セファロース6B、4B、2B又はその同等物を用いればよい。一実施形態では、セファクリルS400HRを用いてマンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物を分画する。
さらに別の実施形態では、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物のサイズ分画は限外濾過によって行われる。
試料の限外濾過は、適当な分子量カットオフを持つ分子膜を用いて実施すればよい。分画を達成するのに使用される特定の膜及び手順は当業者に広く利用可能である。
当業者はまた、マンノースを含む炭水化物ポリマーを含む組成物のサイズ分画が密度勾配遠心によって実施されてもよいことを十分に理解するであろう。
好まれる実施形態では、たとえば、リボース、DNA及びRNAを含む核酸、タンパク質及び/又はマンノースを含まない炭水化物のような混入物を取り除くために分画の前に試料が少なくとも部分的に精製される。精製は、アフィニティクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ及び疎水性相互作用クロマトグラフィを含むその他のクロマトグラフィ法を組み合わせて達成されればよい。組成物の純度は以下で記載するようにマンノース含量を測定することによって決定されればよい。
非炭水化物成分の除去方法の1つは、消化酵素を用いて非炭水化物成分を切断した後、サイズ分画を行って切断生成物を取り除くことである。プロナーゼ、リボヌクレアーゼ、NDA分解酵素及びプロテアーゼを含む消化酵素は、当該技術で周知であり、教科書に記載されており、その1つは、Maniatisら(1982)上記である。タンパク質の消化に有用なプロテアーゼには、エンドペプチダーゼ及びエクソペプチダーゼ、プロナーゼ、たとえば、トリプシン、キモトリプシン及びサブチリシンのようなセリンプロテアーゼ、パパインのようなチオールプロテーゼ、及びサーモリシンのようなカルシウム要求プロテアーゼが挙げられる。
或いは、非炭水化物成分は、アフィニティクロマトグラフィによって、たとえば、DNA−又はRNA−結合のマトリクスの使用によって取り除かれ得る(Maniatis et al, 1982,上記)。別の選択肢は、レクチンのような多糖類結合マトリクスの使用によって混入成分から炭水化物ポリマーを引き離して精製することである。
本発明の方法によれば、選択した分画におけるマンノースを含む炭水化物ポリマーのサイズ分布、アルデヒド含量及びマンノース含量を決定することができる。この検証はヒトでの使用についての規制認可を得るのに重要であり得る。
サイズ分布
分画に先立って及び/又は分画後、試料のサイズ分布を決定することができる。分画に先立って実施する場合、この分析は分画のために炭水化物ポリマーの出発組成物を選択することが目的である。たとえば、出発組成物におけるポリマーの分子量種の大半が1000kDaを下回るのであれば、その組成物を捨て、炭水化物ポリマーの高分子量種のさらに高い分布を有する別のバッチを分画のために選択することができる。対照的に、回収した分画のサイズ分布の分析は分画法を確認する又は検証するように働く。このことは、これら炭水化物ポリマーをヒトで使用するための規制認可を得る場合、重要であろう。
組成物の炭水化物ポリマーのサイズ分布は、酸化された試料をANTS(図3の模式図を参照)と反応させ、ANTS標識した試料をSDS−PAGEで分離することによって決定され得る。タンパク質及び/又は炭水化物の基準に対して分離したANTS標識試料を比較することによって前記試料のサイズ分布を決定するのが可能になる。
本明細書で使用されるとき、「タンパク質及び/又は炭水化物の基準」は、SDS−PAGEにおける分子量標準として使用される種々の分子量の既知のタンパク質又は炭水化物の組成物を指す。組成物は、同一ゲルの近隣レーンにて電気泳動される試料の分子量を推定するためのマーカーとして役立つ明瞭な上手く分離したバンドを生じるように設計される。基準は予備染色されてもよいし(電気泳動中に分子量範囲を容易に視覚化できるように)、しなくてもよい。種々の基準が電気泳動応用のために利用可能であり、たとえば、シグマ又はバイオラドから購入することができる。通常、基準は使用準備済み形式で供給され、負荷色素を還元し、予備混合し、又は加える必要性を排除する。これらの基準は、ロット間で一貫し、適当なゲル上で厳密に品質管理されて一貫したバンドの易動度と強度を保証する。
アルデヒド含量
試料のアルデヒド含量も分画前及び/又は分画後に決定し、バッチ選択及び/又は分画の検証を目的としてもよい。
一実施形態では、試料のアルデヒド含量は、NaIOによる酸化の後、試料中のアルデヒド残基の数を定量することによって決定される。たとえば、マンナンを含む組成物は、マンナンがそれぞれおよそ90〜200のアルデヒド残基を含む分画について選択され得る。
方法には、たとえば、暗所氷上において0.01MのNaIOを伴った0.1Mのリン酸緩衝液pH6.0の100μlにて1.4mgの試料を1時間反応させることによって試料を先ず酸化することが含まれる。次いで10μlのエタンジオールで反応の進行を止め、さらに1/2時間反応させた後、0.1Mの酢酸緩衝液pH4.8で予備平衡化したPD10カラムに負荷し、過剰のNaIOを取り除く。
その後、PDPHと反応させた際のピリジン−2−チオンの放出を測定することによって分光光度法によりアルデヒド基の数を測定することができる。
当業者によって理解されるように、アルデヒドの定量には幾つかのその他の方法が使用され得る。たとえば、オキシム、ヒドラジド、セミカルバジド及びカルボヒドラジドは容易にアルデヒドと反応し、炭水化物ポリマーにおけるアルデヒド基の定量のためのレポーター分子(たとえば、蛍光化合物)に結合することができる。使用することができる蛍光化合物の選択は、www.invitrogen.com/site/us/en/home/References/Molecular−Probes−The−Handbook/Reagents−for−Modifying−Groups−Other−Than−Thiols−or−Amines/Hydrazines−Hydroxylamines−and−Aromatic−Amines−for−Modifying−Aldehydes−and−Ketones.htmlに詳述されている。例には、フルオレセイン−5−チオセミカルバジド、アレクサフルオル488、アレクサフルオル555、アレクサフルオル568、アレクサフルオル594、アレクサフルオル633、アレクサフルオル647及びテキサスレッドが挙げられる。
加えて、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンはアルデヒドと反応して赤いヒドラゾンを形成し、それを用いて吸光度分光光度法により炭水化物ポリマー中のアルデヒド基の数を定量することができる(Apostolopoulos et al, 2000)。
マンノース含量
一実施形態では、組成物のマンノース含量は、天然の糖類についての比色アッセイによって決定され、その際、天然の糖類は水和硫酸溶液の存在下でレゾシノールと反応する。
たとえば、200μlの体積にて5〜100ナノモルの天然の糖類を有する試料(0.01M酢酸に溶解した)を含有するアッセイ管に6mg/mlのレゾシノール200μlと75%硫酸1mlを加える。次いで溶液をボルテックスで攪拌し、温度調節槽にて90℃で30分間加熱し、続いて暗所で30分間、冷水槽に入れる。次いで430又は480nmにて混合物の光学密度を測定する。同様の結果を持つ上記で示した半分の体積を用いて同じアッセイを実施することができる。
或いは、マイクロプレート形式でアッセイを行うことができる。この実施形態では、20μlの体積にて1〜100ナノモルの中性糖を有する試料(0.01Mの酢酸に溶解した)を含有する96穴マイクロタイタープレートのU字形ウェルに6mg/mlのレゾシノールを20μlと75%硫酸を100μlとプリスチンを50μl加える。次いでボルテックス装置にてプレートを振盪しながら溶液を混合し、インキュベータにて90℃で30分間加熱し、その後暗所にて室温で30分間保持する。マイクロタイタープレートリーダーを用いて430又は480nmにて混合物の光学密度を測定する。定量目的では、ブランク、中性糖基準及び試料を2つ組、さらに好ましくは3つ組、さらに好ましくは4つ組でアッセイする。
マンノース含量は、炭水化物ポリマーの酵素加水分解又は酸加水分解、その後のHPLC、質量分光分析、キャピラリー電気泳動、又は薄層クロマトグラフィによって決定することもできる(Wang et al, 2007; Anumula, 1994; R. Townsend, Chromatography in Biotechnology, C. Horvath and L.S. Ettre 30 (editors), American Chemical Society, Washington, D.C. (1993) pp. 86-101)。
免疫刺激組成物及びワクチン組成物
本明細書で使用されるとき、用語「免疫刺激組成物」は免疫応答を誘導する及び/又は高める組成物の能力を指す。
用語「免疫応答」は、当該技術におけるその普通の意味を有し、液性免疫及び細胞性免疫の双方を含む。免疫応答は、抗抗原抗体の発生、抗原特異的T細胞の増殖、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の増加、抗腫瘍又は抗腫瘍抗原遅延型過敏症(DTH)反応の発生、病原体のクリアランス、病原体及び/又は腫瘍の増殖及び/又は広がりの抑制、腫瘍の退縮、転移の低下又は消失、再発までの時間の延長、病原体又は腫瘍のない生活の時間の延長、及び生存時間の延長の1以上として現れ得る。免疫応答には、B細胞の活性化、T細胞の活性化、ナチュラルキラー細胞の活性化、抗原提示細胞(たとえば、B細胞、DC、単球及び/又はマクロファージ)の活性化、サイトカインの産生、ケモカインの産生、特異的表面マーカーの発現、特に共刺激分子の発現の1以上が介在し得る。免疫応答は液性応答、細胞性応答、Th1応答又はTh2応答、又はこれらの組み合わせを特徴とし得る。
液性応答
一実施形態では、組成物又はワクチンの投与によって液性免疫を生じ、その際、IgA、IgG、IgM及び任意でIgE抗体の1以上の産生が刺激される。
免疫グロブリンには、たとえば、IgG2aやIgG1のような、各抗体のクラス内で1以上のサブクラスが含まれる。
一実施形態では、IgG1及び/又はIgAの産生が刺激される。
幾つかの例では、IgE産生の刺激は、たとえば、寄生虫感染に対して免疫するのに有益である。
その他の例では、IgEの総産生の低下又はその他の抗体クラスに比べたIgEレベルの低下は、たとえば、花粉症、喘息発作、食物及びその他のアレルギーのような1型過敏症又はアトピーを防ぐ又は軽減するのに有益であり得る。その受容体へのIgEの結合とそれに続くアレルゲンとの架橋は、たとえば、アトピー性喘息を含む喘息、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎のような状態の根底にある免疫応答を誘発することに関与する。従って、一実施形態では、免疫応答はIgE産生を減らすようにする。
別の実施形態では、IgA、IgG、IgM又はこれらのサブクラスの1以上に比べたIgEの力価を低下させる。組成物による免疫の際、その他の抗体の1以上の産生が高められる一方で、IgEの産生が不変であってもよい。
一実施形態では、免疫はIgEよりもIgA、IgG及びIgMの1以上の産生を選択的に刺激する。
一実施形態では、IgA産生が刺激され、1以上の粘膜領域及び/又は血清にてIgAの力価が上昇する。
一実施形態では、免疫の際のIgA産生が、IgG、IGM及びIgEの産生に比べて大きい。
別の実施形態では、免疫は、IgG1及び/又はIgG2aの産生における増加に比べてIgAの大きな産生を生じる。
さらに別の実施形態では、IgG産生が刺激され、1以上の全身性領域及び/又は血清にてIgGの力価が上昇する。
一実施形態では、免疫の際のIgG産生が、IgA、IGM及びIgEの産生に比べて大きい。
別の実施形態では、免疫はIgAの増加に比べてIgGのさらに大きな産生を生じる。
一実施形態では、免疫はIgG1の増加に比べてIgG2aのさらに大きな産生を生じる。
細胞性の免疫応答
一実施形態では、本発明の組成物又はワクチンの投与は細胞性応答を生じ、その際、1以上の抗原提示細胞が活性化される。
一実施形態では、マクロファージ及び/又はDCが活性化される。
DCの活性化は、たとえば、CD40、CD80及びCD86を含む共刺激分子の表面発現の上昇、及び/又はたとえば、IL−2及び/又はIL−4のような炎症誘発性サイトカインの増加、及び/又はMHCクラスI及び/又はクラスIIの分子の増加を生じ得る。
さらなる実施形態では、免疫はCD8T細胞及び/又はCD4T細胞の応答を生じる。
さらなる実施形態では、免疫は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の応答の産生を生じる。
一実施形態では、DCは未処理のT細胞を活性化する。樹状細胞はワクチン抗原に対して免疫系を刺激することにおいて少なくとも3つの異なった役割を担うと考えられる:
(1)そのエンドサイトーシスに続く外因性経路にて処理されたワクチン抗原のMHCクラスII拘束性の提示;
(2)たとえば、抗原をコードするプラスミドDNAによるDCへの直接形質移入の後のワクチン抗原のMHCクラスI及び/又はクラスII拘束性の提示;
(3)ワクチン抗原のMHCクラスI拘束性の「交差」提示。
Th1/Th2
一実施形態では、本発明の組成物又はワクチンの投与は液性免疫及び/又は細胞性免疫のメディエータを刺激する。
一実施形態では、本発明の組成物又はワクチンの投与は細胞が介在するTh1型の応答を生じる。
別の実施形態では、本発明の組成物又はワクチンの投与は抗体が介在するTh2型の応答を生じる。
一実施形態では、本発明の組成物又はワクチンの投与は、たとえば、IL−2、IL−12、IL−15、Il−18及びIFN−γのようなTh1が誘導するサイトカインの産生を生じる。これらのサイトカインは通常、細胞介在性の免疫を促進する。
別の実施形態では、本発明の組成物又はワクチンの投与は、たとえば、IL−4、IL−5及びIL−10のようなTh2が誘導するサイトカインの産生を生じる。これらのサイトカインは通常、液性免疫を促進する。
一実施形態では、マクロファージの活性化は、IL−12及び/又はIL−18の産生を生じる。これは言い換えれば、NK細胞によるIFN−γδの産生を活性化し、それは、細胞介在性の免疫及び/又は補体結合性の抗体の産生を支えるTh1介在性の免疫応答への分化を含む。
ワクチン
用語「ワクチン組成物」はレシピエント対象にて防御免疫を引き出すのに使用することができる組成物を指す。一部の個体は強固な又は防御的な免疫応答を備えることができず、場合によってはワクチンに対する免疫応答を備えることができないので、有効であるためには、本発明のワクチンは集団の一部で免疫を引き出すことができることが言及されるべきである。この不能性は、個体の遺伝的背景が原因で生じ、又は免疫不全の状態(後天性又は先天性のいずれか)又は免疫抑制(たとえば、臓器拒絶を防ぐ又は自己免疫状態を抑えるための免疫抑制剤による治療)のために生じる。有効性は動物モデルで確立することができる。
ワクチンは「一価」(単価とも呼ばれる)又は「多重価」(多価とも呼ばれる)であってもよい。一価のワクチンは単一の抗原を含む。多重価又は多価のワクチンは、たとえば、同一病原体の2以上の株に対して、又は2以上の病原体に対して免疫し得る2以上の抗原を含む。
組成物又はワクチンを用いて、たとえば、病原体又は腫瘍に対して対象を免疫し、寛容化し、治療し、又は予防することができる。
用語「免疫する」は、対象にて防御免疫を生成し、特定の病原体又は疾患に対する抵抗性を対象に提供することを意味するように本明細書で使用される。
用語「寛容化する」は、対象にて免疫寛容を誘導することを意味するように本明細書で使用される。対象を寛容化することは、対象にて特定の免疫応答の回避又は抑制を誘導することである。免疫寛容を用いてたとえば、移植片拒絶、自己免疫又はアレルギー反応を防ぐ又は改善することができる。
用語「治療する」は、好ましくは非感染細胞の最小限の破壊効果を伴って対象の中で病原体感染細胞又は腫瘍細胞を部分的に又は全体的に破壊することを意味するように本明細書で使用される。本発明の組成物の治療的投与は病原体に感染した又は腫瘍を有するレシピエント対象を治療することができる。代わりの実施形態では、たとえば、マクロファージ及びDCのような抗原提示細胞を本発明の組成物とin vitro又はex vivoで接触させ、次いで対象に投与する。当業者が気付いているように、in vitroで実施される手順は生体ではなく制御された環境で実施される。そのようなin vitroの手順は生物に由来する組織又は細胞で実施してもよく、通常ex vivoの手順と呼ばれる。
用語「防ぐ」は、病原体による感染若しくは腫瘍増殖の浸潤(すなわち、癌の発症を防ぐ)を防ぐ又は腫瘍増殖の発生を遅らせることを意味するように本明細書で使用される。本発明の組成物の予防的投与は前記感染又は腫瘍増殖からレシピエント対象を保護することができる。
抗原
本発明は、ワクチン組成物における少なくとも1つの抗原と組み合わせたマンナンの使用を提供する。マンナンを少なくとも1つの抗原と混合する又は抱合してワクチン接種後の防御的な免疫応答を生成することができる。
「少なくとも1つの抗原」によって1以上の抗原の型又は抗原決定基を意味する。さらに、1を超える抗原分子をマンナンポリマーに抱合させることができる(すなわち、抱合体はマンナンポリマーに抱合される1を超える抗原分子を含んでもよく、1以上の抗原型又は抗原決定基を含んでもよい)ことが当業者によって十分に理解されるであろう。
疾患を有する、又は疾患に感受性である、又は疾患のリスクにある対象にワクチンを投与することができる。疾患は病原体の感染に関係し得る。この実施形態では、ワクチン投与は病原体による感染の影響を防ぎ得る又は改善し得る。
本明細書で使用されるとき、「抗原」は特異的な免疫応答を誘導する能力を有する物質を指す。抗原は、そのライフサイクルの任意の段階での生物全体、不活化された生物全体、生物全体から単離された断片若しくは成分、生物の溶解物又は腫瘍溶解物、当該技術で既知の方法を介して遺伝的に又は合成で操作した特定の抗原であってもよい。加えて、選択された抗原は成熟した生物全体又は種虫(卵母細胞)のいずれか又は双方に由来し得る。
本発明の組成物及び方法で使用するための抗原はまた、細胞全体又はその細胞より小さい分画から成ることができる。そのような細胞又はその細胞より小さい分画は、たとえば、腫瘍又は感染組織に由来し得る。
好まれる選択された抗原には、たとえば、
花粉;
アレルゲン、特に喘息を誘発するもの;
たとえば、インフルエンザウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、HIV−1、HIV−2、狂犬病ウイルス、麻疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、パピローマウイルス、サイトメガロウイルス、単純性ヘルペスウイルス、A型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HTLV−1及びHTLV−2のようなウイルス;
たとえば、炭疽病、ハンセン病、結核、ジフテリア、ライム病、梅毒、腸チフス、及び淋病の病因因子のような細菌;
たとえば、Babeosis bovis、プラスモジウム、レイシュマニアspp、Toxoplasma gondii及びTrypanosoma cruziのような原虫;
たとえば、Aspergillus sp.、Candida albicans、Cryptococcus neoformans及びHistoplasma capsulatumのような真菌;
たとえば、寄生蠕虫のような寄生虫、並びに
ムチン−1(MUC−1)、癌胎児性抗原、前立腺特異的膜抗原、前立腺特異抗原、タンパク質MZ2−E、多型性上皮ムチン(PEM)、葉酸結合タンパク質LK26、切断型表皮増殖因子受容体(EGRF)、Thomsen−Friedenreich(T)抗原、テロメラーゼ、サーバイビン、メラン−A/MART−1、WT1、LMP2、ヒトパピローマウイルス(HPV)E6、E7,ヒト上皮増殖因子受容体(HER−2/neu)、メラノーマ関連抗原3(MAGE−3)、p53、NY−ESO−1、前立腺酸ホスファターゼ(PAP)、癌精巣抗原、5T4及びGM2及びGD−2ガングリオシドのような腫瘍抗原に由来する抗原が挙げられる。
抗原は、タンパク質、ペプチド、多糖類又はオリゴ糖類(遊離の又はタンパク質キャリアに結合した)又はそれらの混合物であることができる。タンパク質及びペプチドは、抽出物若しくは溶解物の一部であり得るし、天然の供給源から精製され得るし、固相合成によって合成され得るし、又は組み換え遺伝学によって得られ得る。多糖類及びオリゴ糖類は、天然の供給源から単離され得るし、又は酵素法及び/又は有機合成法を用いて合成され得る。
組換え宿主における融合タンパク質の製造の際の発現と精製を円滑にするために抗原は融合タンパク質の一部を形成してもよい。融合タンパク質の非抗原部分は一般に融合ポリペプチドのN末端領域を表し、カルボキシ末端配列が抗原配列を含む。融合タンパク質は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はその他のタンパク質若しくはその一部、特に得られる融合タンパク質を精製するタンパク質の結合特性又は親和特性を利用したアフィニティ精製を可能にするものから選択されてもよい。タンパク質はまた、キャリアタンパク質のC末端又はN末端に融合され得る。融合タンパク質の性質は融合タンパク質が産生されるベクター系に左右される。細菌の発現ベクターの例はpGEXであり、それは、当該遺伝子のこのベクターへのサブクローニングの際、当該タンパク質とグルタチオン−S−トランスフェラーゼから成る融合タンパク質を産生する。当該タンパク質との融合タンパク質を生じるその他のベクター系の例はSambrookら(1989年、上記)に記載されている。
或いは、任意でタンパク質キャリアに結合した合成ペプチド又はポリペプチドを本発明で使用してもよい。合成ペプチド又はポリペプチドは常法に従って製造してもよい。
有用なペプチド又はポリペプチドは、ペプチド全体が動物に投与された場合、抗体及び/又は抗原特異的なCTL反応を引き出すことが知られるポリペプチドのエピトープを含む部分を含み得る。このポリペプチド部分のエピトープが免疫原性であり、又はポリペプチドの抗原性エピトープである。
「免疫原性エピトープ」は、ペプチド全体が動物に投与された場合、抗体及び/又は抗原特異的なCTL反応を引き出すタンパク質の部分として定義される。他方、抗体又はMHC分子が結合することができるタンパク質分子の領域は「抗原性エピトープ」として定義される。タンパク質の免疫原性エピトープの数は一般に抗原性エピトープの数より少ない。
抗原性エピトープを含むペプチド又はポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一部を模倣する相対的に短い合成ペプチドが部分的に模倣されたタンパク質と反応する抗血清を日常的に導き出すことがその技術では周知である(たとえば、Sutcliffe et al., 1983を参照)。タンパク質反応性の血清を導き出すことが可能なペプチドはタンパク質の一次配列で表されることが多く、一連の単純な化学的ルールを特徴とし、無処理のタンパク質の免疫優勢領域(すなわち、免疫原性エピトープ)にもアミノ末端若しくはカルボキシ末端にも限定されない。
本発明の抗原性エピトープを含むペプチド及びポリペプチドは好ましくは、特定のポリペプチドのアミノ酸配列内に含有される少なくとも7、さらに好ましくは少なくとも9、最も好ましくは約15〜30の間のアミノ酸の配列を含有する。
CTL上のT細胞受容体によって認識されるエピトープは抗体によって見られるものとは異なってもよい。普通、CTLは、MHCクラスI分子に結合し、細胞表面に露出されるペプチド(細胞質ゾルの区画で酵素によって分解されたタンパク質に由来する)を認識する。これらのCTLに認識されたペプチドはMHC対立遺伝子特異的な配列モチーフに従ってMHCクラスI分子に選択的に結合する。これらのペプチドは発現クローニングによって特定することができ(van der Bruggen, et al, 1991を参照)、種々のクラスIとクラスIIの結合ペプチドのアルゴリズムを用いて予測することができる(Pietersz et al, 2006)。
或いは、CTLに認識されたペプチドは、免疫に使用されたタンパク質抗原に由来するペプチドによるin vitro又はex vivoの刺激によって細胞傷害性Tリンパ球を誘導することによって特定することができる。本発明の特定のCTLに認識されたエピトープを含むペプチド及びポリペプチドは好ましくは、少なくとも6つのアミノ酸、さらに好ましくは約7〜20の間のアミノ酸の配列である。
エピトープを含むペプチド及びポリペプチドは任意の従来の手段によって作製してもよい。
細菌抗原
抗原は、Helicobacter pylori、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia trachomatis、Ureaplasma urealyticum、Mycoplasma pneumoniae、Staphylococcus spp.、Staphylococcus aureus、Streptococcus spp.、Streptococcus pyogenes、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus viridans、Enterococcus faecalis、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Bacillus anthracis、Salmonella spp.、Salmonella typhi、Vibrio cholera、Pasteurella pestis、Pseudomonas aeruginosa、Campylobacter spp.、Campylobacter jejuni、Clostridium spp.、Clostridium difficile、Mycobacterium spp.、Mycobacterium tuberculosis、Treponema spp.、Borrelia spp.、Borrelia burgdorferi、Leptospira spp.、Hemophilus ducreyi、Corynebacterium diphtheria、Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Bordetella bronchiseptica、Hemophilus influenza、Escherichia coli、Shigella spp.、Erlichia spp.及びRickettsia sppを含むが、これらに限定されない細菌に由来することができる。
細菌抗原は天然、組換え又は合成のものであり得る。そのような細菌抗原には、細胞表面上に存在する炭水化物決定基に結合する細菌に由来するセレクチン又はレクチン、並びに、たとえば、フィブロネクチン、ラミニン及びコラーゲンのようなタンパク質のための細菌の受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
ウイルス抗原
抗原は、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、おたふくかぜウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、エプステインバーウイルス、リノウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、ルベオロウイルス、ルベラウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス(ヒト及び動物)、単純性ヘルペスウイルス、パルボウイルス(ヒト及び動物)、サイトメガロウイルス、肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、アルファウイルス、フラビウイルス、ブンヤウイルス、狂犬病ウイルス、アレナウイルス、フィロウイルス、HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−II、FeLV、ウシLV、FeIV、イヌジステンパーウイルス、イヌ伝染性肝炎ウイルス、ネコカリシウイルス、ネコ鼻気管支炎ウイルス、TGEウイルス(ブタ)及び口蹄疫を含むが、これらに限定されないウイルスに由来することができる。
ウイルス抗原は天然、組換え又は合成のものであり得る。そのようなウイルス抗原には、たとえば、(i)レトロウイルス(HIV、HTLV、FeLV及びその他)及びヘルペスウイルスのエンベロープ糖タンパク質、並びに(ii)インフルエンザウイルスのノイラミダーゼのような細胞表面の受容体に結合して感染過程を開始することに関与するウイルスタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
腫瘍抗原
本発明の一実施形態では、対象は癌を有するか、又は癌を発症する高いリスクにある。
「癌」によって、周辺組織に侵襲する及び/又は新しいコロニー形成部位に転移する能力を有する細胞の増殖を特徴とする種々の悪性腫瘍のいずれかを意味する。癌は、たとえば、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、膵臓癌、膀胱癌又は肺癌であってもよい。好まれる実施形態では、癌は乳癌である。
癌の多数の「リスク因子」は、たとえば、癌の家族歴、癌の既往歴、異常な過形成のような増殖性疾患の以前の生検検出のように確立されている。特定の遺伝的リスク因子も知られており、たとえば、乳癌については、BRCA1、BRCA2、ATM、CHEK−2及びp53の変異が挙げられる。生活習慣に関連したリスク因子も考慮され得る。女性における乳癌についての生活習慣に関連したリスク因子には、30歳後までの遅い出産及びホルモン置換療法の長期使用が挙げられる。熟練した臨床医はこれら及びその他のリスク因子を評価して対象が本発明のワクチン組成物の予防的使用から利益が得られるかどうかを判定することができる。
本発明の癌ワクチンは1以上の腫瘍関連抗原を含み得る。腫瘍関連抗原は天然、組換え又は合成のものであり得る。そのような腫瘍関連抗原には、MUC−1及びそのペプチド断片、タンパク質MZ2−E、多型性上皮ムチン、葉酸結合タンパク質LK26、MAGE−1又はMAGE−3及びそのペプチド断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)及びそのペプチド断片、癌胎児性抗原(CEA)及びそのペプチド断片、アルファフェトタンパク質(AFP)及びそのペプチド断片、膵臓腫瘍胎児抗原及びそのペプチド断片、CA125、15−3、19−9、549、195及びそのペプチド断片、前立腺特異抗原(PSA)及びそのペプチド断片、前立腺特異的膜高原(PSMA)及びそのペプチド断片、有棘細胞癌抗原(SCCA)及びそのペプチド断片、卵巣癌抗原(OCA)及びそのペプチド断片、膵臓癌関連抗原(PaA)及びそのペプチド断片、Her1/neu及びそのペプチド断片、gp−100及びそのペプチド断片、変異体K−rasタンパク質及びそのペプチド断片、変異体p53及びそのペプチド断片、非変異体p53及びそのペプチド断片、切断型表皮増殖因子受容体(EGFR)、キメラタンパク質p210BCR−ABL、テロメラーゼ及びそのペプチド断片、サーバイビン及びそのペプチド断片、メラン−A/MART−1タンパク質及びそのペプチド断片、WT1タンパク質及びそのペプチド断片、LMP2タンパク質及びそのペプチド断片、HPVE6E7タンパク質及びそのペプチド断片、HER2/neu及びそのペプチド断片、イディオタイプタンパク質及びそのペプチド断片、NYーESO−1タンパク質及びそのペプチド断片、PAPタンパク質及びそのペプチド断片、癌精巣タンパク質及びそのペプチド断片、並びに5T4タンパク質及びそのペプチド断片が挙げられるが、これらに限定されない。その他の例となる腫瘍抗原は、Cheeverら、2009年に記載されている。
ムチン
好まれる実施形態では、抗原はムチン又はその抗原性断片若しくは免疫原性の変異体若しくは誘導体である。多数の癌がヒトのムチンの過剰産生を伴う。ムチンは多数の上皮細胞及び腫瘍によって産生される激しくグリコシル化されたタンパク質(約100kDaを超える)である。癌細胞で見られるムチンは、一部のムチンが炭水化物コートの欠損を有し、それがタンパク質のコアを暴露したままにするという点で、正常の上皮細胞上のものと幾つかの点で異なる。MUC−1、MUC−2、MUC−3、MUC−4、MUC−5、MUC−6及びMUC−7等と命名された既知のヒトのムチンの21の形態があり、MUC−1が最も普遍的である。種々のムチンはすべて良く似た特性を有し、すなわち、それらは膜貫通型の糖タンパク質であり、すべて種々の数の反復アミノ酸配列を有し、それはセリン、スレオニン及びプロリンの高い含量を有する。異常にグリコシル化された(グリコシル化されない又はグリコシル化における欠陥のいずれか)ムチンの過剰産生は、乳癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌及び分泌組織のその他の腫瘍の特徴である。ヒトのムチンMUC−1〜MUC−21の各タンパク質コアのcDNA配列がクローニングされ、性状分析されて、特定のアミノ酸モチーフ(VNTRとして知られる)の様々な数の繰り返しの高度に反復性の中央部分を含有することが見い出されている。例証として、MUC−1は、40〜80の直列に配置されたコピー又は20アミノ酸モチーフの繰り返しを含有する高度に反復性の中央部分によって分離される独特のアミノ末端とカルボキシ末端の配列から成る。
一実施形態では、腫瘍関連抗原は、上述のようなヒトのムチンMUC−1〜MUC−21のいずれか1以上であり、すべてセリン、スレオニン及びプロリンが高い繰り返しアミノ酸配列の高度に反復性の中央部分を含む。特に、本発明のワクチンはヒトのムチンポリペプチド(正常な対立遺伝子変異に関連する様々な数の繰り返しを含有する)を含んでもよいし、又は1以上のヒトムチンの反復配列、好ましくは2〜80、さらに好ましくは2〜20、一層さらに好ましくは2〜10のヒトムチンの反復サブユニットを含んでもよい。タンパク質のコアを露出したままにする炭水化物コートの欠陥を有する癌細胞に見られるムチンに対して免疫応答を誘発するように、ヒトムチン及びそのサブユニットは好ましくはグリコシル化されないか、又は異常にグリコシル化される。本発明が抗原の使用、特にヒトムチンMUC−1〜MUC−21の使用に拡大することが明瞭に理解されるべきではあるが、ヒトムチンMUC−1の使用は特に好まれる。
MUC−1抗原は、たとえば、国際公開第95/108145号、米国特許第6,054,438号、同第6,222,020号、国際公開第98/50527号、国際公開第01/18035号、同第00/63363号、同第95/03825号、同第00/06723号及び同第04/016643号に記載されたとおりであり得る。国際公開第2008/011672号に記載されたMUC−1−T細胞エピトープに位するペプチド又はペプチド類似体の使用も熟考される。
マンナン/抗原抱合体
たとえば、マクロファージ及びDCへの少なくとも1つの抗原の送達は、少なくとも1つの抗原がマンナンに抱合された場合、高めることができる。理論に限定されることを望まないが、マクロファージ及びDCは、炭水化物部分(通常、微生物由来する)を認識する細胞表面受容体を有し、抗原提示に関与する2つの過程である飲作用と同様に貪食作用に介在するので、これは最も可能性が高い。そのようなものとして本発明のマンナン/抗原抱合体はAPCターゲティングの有効なメカニズムを提供する。
好まれる実施形態では、少なくとも1つの抗原への抱合の前に、マンナンの多糖鎖は、たとえば、NaIOによって酸化される(図4の模式図を参照)。一実施形態では、少なくとも1つの抗原は、国際公開第95/18145号に記載されたものと同様に酸化マンナンに抱合される。還元されたマンナンも使用してもよく、これを含有する組成物は、酸化されたマンナン/抗原抱合体にホウ化水素ナトリウム又はシアノホウ化水素ナトリウムを加えることによって調製され得る。
代わりの実施形態では、マンナンの多糖鎖は先ず、臭化シアンによって活性化され、次いで活性化された多糖鎖をジアミンと反応させ、その後少なくとも1つの抗原と抱合させて抱合体を形成し、次いで任意でそれを酸化してもよい。
マンナンと少なくとも1つの抗原を架橋させるためにマンナンと少なくとも1つの抗原を二官能剤によって誘導体化してもよい。一般に使用される架橋剤には、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタールアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、たとえば、4−アジドサリチル酸とのエステル、たとえば、3,3’−ジチオビス(スクシンイミジル−プロピオネート)のようなジスクシンイミジルエステルを含むホモ二官能性イミドエステル、及びたとえば、ビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二官能性マレイミドが挙げられる。たとえば、メチル−3−[(p−アジド−フェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成することが可能である光活性化可能な中間体を生じる。酸化マンナンを抗原のヒドラジン誘導体と反応させて抱合体を生じてもよい。或いは、マンナンを先ず、カルボニルジイミダゾールのような試薬と反応させ、次いで抗原と反応させ、酸化して抱合体を生じてもよい。
少なくとも1つの抗原のマンナンへのカップリングには、炭水化物上の官能基を抗原上の官能基と反応させることが含まれる。炭水化物ポリマーはヒドロキシル基が豊富である。標準の化学的手順に従ってこれらの基を活性化してもよい。たとえば、ヒドロキシル基をヨウ化水素、臭化水素及び塩化水素のようなハロゲン化水素と反応させて官能化されたハロゲン化多糖を生じてもよい。ヒドロキシル基を三ハロゲン化リン、活性金属(たとえば、ナトリウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド及びカリウムtert−ブトキシド)によって活性化して、又は(塩化トシル若しくは酢酸のような基で)エステル化して、官能基を形成してもよく、次いでそれをポリペプチド上の官能基と反応させて1以上の結合を形成することができる。
抗原をコードする核酸
一実施形態では、ワクチン組成物は抗原をコードする核酸を含む。複数の核酸がワクチンに組み込まれて多価の抗原ワクチンを提供する。一実施形態では、ワクチンはDNAワクチンである。
たとえば、ポリ−L−リジン、ポリエチレンイミン又はPAMAMデンドリマーのようなポリカチオンを介して少なくとも1つの核酸をマンナンに連結することができる。一実施形態では、酸化されたマンナン/ポリカチオンの正の電荷が負に荷電したDNAと相互作用し、形質移入に使用することができるポリプレックスを形成する(Tang et al, 2008; Tang et al, 2007; Tang et al, 2009)。
DNAワクチンの接種には通常、対象の細胞による抗原の発現のために、たとえば、対象の筋肉又は皮膚への抗原をコードするDNAの直接的なin vivo導入が含まれる。形質移入細胞によってDNAにコードされた抗原がいったん処理され、提示されると、細胞性及び/又は液性の免疫応答が誘発され得る。DNAワクチンは、米国特許第5,939,400号、同第6,110,898号、国際公開第95/20660号及び国際公開第93/19183号に記載されている。
今日まで、哺乳類系でのほとんどのDNAワクチンはサイトメガロウイルス(CMV)に由来するウイルスプロモータに頼っている。多数の哺乳類種における筋肉及び皮膚双方での接種にてこれらは良好な効率を有している。DNA免疫によって引き出される免疫応答に影響を及ぼすことが知られる因子は、DNA送達の方法であり、たとえば、非経口経路は遺伝子導入の低い比率を生じ、遺伝子発現でかなりの変動を生じ得る。遺伝子銃を用いたプラスミドの高速接種は、たぶん、DNA形質移入の大きな効率とDCによるさらに効果的な抗原提示のためにマウスにて免疫応答を高めた。本発明の核酸に基づいたワクチンを含有するベクターは、たとえば、形質移入法、電気穿孔法、微量注入法、伝染法、細胞融合法、DEAEデキストラン法、リン酸カルシウム沈殿法、リポフェクション(リポソーム融合)法、又はDNAベクター輸送法のような当該技術で既知のその他の方法によって所望の宿主に導入されてもよい。DNAワクチンの投与のメカニズムは以下でさらに詳述される。
その他の成分
本発明の組成物は少なくとも1つの薬学上許容可能なキャリアを含んでもよい。用語「薬学上許容可能なキャリア」は、対象、特に哺乳類、さらに特にヒトに投与する際、アレルギー反応、毒性反応又はそのほかの有害な反応を生じない分子実体及び組成物を指す。薬学上許容可能なキャリアは固体であっても、液体であってもよい。薬学上許容可能なキャリアの有用な例には、本発明の活性剤の活性に影響を及ぼさない希釈剤、賦形剤、溶媒、界面活性剤、懸濁剤、緩衝剤、潤滑剤、ビヒクル、乳化剤、吸収剤、分散媒体、コーティング、安定化剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロピー剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、等張剤及び吸収遅延剤が挙げられるが、これらに限定されない。
キャリアは従来使用されているもののいずれかであることができ、たとえば、溶解性、及び活性剤との反応性の欠如のような物理化学的検討事項によってのみ及び投与の経路によってのみ限定され得る。本発明に好適なキャリアには、従来使用されているもの、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、ラクトース、リンガー液、緩衝溶液、ヒアルロナン、グリコール、デンプン、セルロース、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、石灰粉、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。リポソームもキャリアとして使用され得る。
本発明の組成物の免疫原性又は有効性をさらに高め得る化合物もここに含まれてもよく、又はこれらと共に投与されてもよい。たとえば、組成物は、1以上の油(たとえば、フロインドの完全及び不完全)、サポニン、修飾サポニン、リポソーム、無機塩(たとえば、A1K(S0、AlNa(S0、A1NH(S0)、シリカ、アラム、Al(OH)、Ca(P0、カオリン及び炭素)、ポリヌクレオチド(たとえば、ポリIC及びポリAU酸)、及び特定の天然物質(たとえば、Mycobacterium tuberculosisに由来する脂質A、ワックスD,同様にCorynebacterium parvum、Bordetella pertussis及びBrucella属のメンバーに見られる物質)、ウシ血清アルブミン、ジフテリア毒素、破傷風毒素、エデスチン、スカシガイのヘモシアニン、緑膿菌毒素、コレラゲノイド、コレラ毒素、百日咳毒素、ウイルスタンパク質、及びたとえば、インターフェロン、インターロイキン又は腫瘍壊死因子のような真核細胞タンパク質を含んでもよい。そのようなタンパク質は、当業者に既知の方法に従って天然の供給源又は組換え供給源から得られ得る。その他の既知の免疫原性の高分子には、多糖類、tRNA、たとえば、ポリビニルアミン、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、4’,4−ジアミノジフェニル−メタン−3,3’−ジカルボン酸と4−ニトロ−2−アミノ安息香酸又は糖脂質の混合ポリ濃縮物のような非代謝性合成ポリマー、脂質又は炭水化物が挙げられる。
投与
本発明のワクチン組成物は、単独で又は別の化合物との併用で、適当な経路によって対象に投与することができる。
一実施形態では、化合物は抗原又はそれをコードする核酸である。一実施形態では、マンナンと少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸が異なった組成物で順次又は同時に投与される。好まれる実施形態では、同一の組成物にてそれらが投与される。
マンナンは少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸との混合物で投与されてもよく、又は代わりにマンナンを少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸に抱合することができる。
投与の経口経路、食事経路、局所経路、非経口経路(たとえば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、血管内又は皮下の注射)及び吸入経路(たとえば、気管支内、鼻内又は経口吸入、点鼻剤)を含むが、これらに限定されない種々の投与経路が可能である。
一実施形態では、組成物又はワクチンを粘膜部位に投与する。粘膜部位の例には、たとえば、鼻領域(たとえば、鼻)、気管、気管支及び肺のような呼吸器、経口(たとえば、口及び歯肉)及び口腔咽頭を含む頬又は口腔の組織、扁桃腺を含む喉、目の結膜、消化管(たとえば、食道、胃、十二指腸、小腸及び大腸、結腸及び直腸)、生殖器官/組織(膀胱、尿管、尿道及び関連する組織、陰茎、外陰/膣及び子宮/膣組織、並びに卵管)が挙げられるが、これらに限定されない。
投与される組成物又はワクチンの剤形は選択された投与経路に従って異なる(たとえば、溶液、エマルション、カプセル)。
生理学的に許容可能なキャリアにて組成物又はワクチンを調製することができる。溶液又はエマルションについては、好適なキャリアには、生理食塩水及び緩衝化媒体を含む水溶液又はアルコール性/水溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられる。非経口キャリアには、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化リンガー液又は不揮発性油が挙げられる。静脈内キャリアは、種々の添加剤、保存剤、又は液体、栄養又は電解質の補充液などを含む(一般にRemington's Pharmaceutical Sciences, 1985を参照)。吸入については、可溶性の組成物又はワクチンを、投与用の好適な分配器(たとえば、アトマイザー、ネブライザー又は加圧式エアゾール分配器)に負荷することができる。
抗原をコードする核酸は、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター又はその他の好適なベクターへの組込み、又は種々のその他のタンパク質系又は脂質系の遺伝子送達複合体によって、同様に「裸の」ポリヌクレオチドの送達を促進する技法(電気穿孔法又は「遺伝子銃」送達)を介して細胞に直接送達することができる。或いは、送達のためのタンパク質を発現することが可能である宿主細胞に核酸を導入することができる。次いでこれらの形質移入した又は形質転換した細胞は、治療上有効量にて抗原を発現するのに有効な量にて埋め込まれ(単独で又はバリア用具内で)、注入され、又はさもなければ導入される。
代わりの実施形態では、抗原提示細胞、たとえば、マクロファージ及び/又はDCをin vitro又はex vivoで組成物に接触させて、抗原による負荷を達成し、次いで対象に投与する。一実施形態では、対象又は自己ドナーから抗原提示細胞を導き出し、ex vivoで抗原を負荷する。たとえば、対象又は自己ドナーから採血し、密度勾配遠心によって末梢血単核細胞(PBMC)を濃縮し、その後、プラスチック表面に付着させて単球を濃縮する。次いで付着細胞をサイトカイン混合物と培養し、たとえば、未熟DCへの分化を誘導することができ、得られた未熟DCをワクチン抗原とマンナンに接触させ、又は代わりに前記抗原をコードする核酸で形質移入することができる。次いで、得られた成熟/活性化樹状細胞調製物(すなわち、上方調節された共刺激分子CD40、CD80及びCD86を有する)を、たとえば、プロトコールで定義したスケジュールで皮内注射によって対象に投与することができる。
組成物又はワクチンの投与は、単回事象若しくは複数回事象であってもよく、又はプライム・ブースト法の一部、それらの組み合わせ、その他とのそれのそれぞれ、投与/ワクチン接種の従来法であってもよい。プライム・ブースト法は、たとえば、筋肉内、皮内、血管内、皮下又は静脈内の投与によって刺激すること及びたとえば、鼻内、筋肉内、皮内、血管内、皮下又は静脈内の投与によって追加免疫することを含む。刺激組成物及び追加免疫組成物の一方又は双方は、抗原又はそれをコードする核酸とマンナンを含んでもよい。刺激組成物及び追加免疫組成物の一方はマンナンを省略してもよい。
特定の適用に有効な本発明の組成物又はワクチンの投与の量及び回数は、マンナン及び/又は少なくとも1つの抗原若しくはそれをコードする核酸の物理的及び化学的な性質、キャリアの性質、意図される投与計画、対象の免疫系の状態(たとえば、抑制された、無防備な、刺激された)、組成物又はワクチンを投与する方法、及び組成物又はワクチンが投与される種を含むが、これらに限定されない当該技術で既知の因子に従って変化する。従って、可能性のあるすべての適用に有効なマンナン及び/又は少なくとも1つの抗原若しくはそれをコードする核酸の量を一般に述べることは実践的ではない。量及び回数は主治医又は獣医によって決定されてもよい。
有効量の組成物が投与される。「有効量」は投与の条件下で所望の免疫刺激効果を達成するのに十分な量である。
例証として、約100ng/kg〜約50mg/kg、好ましくは約10μg/kg〜約10mg/kgのマンナンが対象に投与されてもよい。一層さらに好ましくは、約1mg/kg〜約10mg/kgのマンナンの用量が特にヒトについて熟考される。
例証として約1μg/kg〜約10,000μg/kg、好ましくは約5μg/kg〜約5000μg/kg、さらに好ましくは約8μg/kg〜約1000μg/kg、最も好ましくは約400μg/kg〜約600μg/kgの抗原が対象に投与され得る。一層さらに好ましくは、約100μg/kg〜約200μg/kgの抗原が特にヒトについて熟考される。
本発明の組成物及びワクチンは、その他の免疫応答調節剤、たとえば、サイトカイン、HLAクラスIIタンパク質結合ヘルパー分子、CD40作動薬、チェックポイント受容体(たとえば、CTLA−4、PD−1、Stat3)の拮抗剤、B7共刺激分子、FLt3作動薬及びCD40L作動薬と併せて対象に投与してもよい。
HLAクラスIIタンパク質結合ヘルパー分子の存在は、ヘルパー(CD4)T細胞を刺激するのに有効である。HLAクラスIIタンパク質結合ヘルパー分子は、たとえば、スカシガイのヘモシアニン(KLH)、破傷風毒素(TT)、ジフテリア毒素、又はたとえば、PADREペプチドのようなさらに小さなT細胞ヘルパーエピトープ、及びこれらの組み合わせを含む当業者に周知のもののいずれかであってもよい。
本発明の組成物の免疫原性又は有効性をさらに高める化合物及び/又は薬学上許容可能なキャリアをその中に含めてもよいし、それと一緒に同時投与してもよい。
その他の免疫療法戦略、たとえば、対象が癌を有し、ワクチンが癌ワクチンである化学療法との併用も本発明の組成物を使用することができる。
核酸の細胞への送達
一実施形態では、本発明は核酸を細胞に送達するための組成物に関するものであり、その組成物は少なくとも1つの核酸とマンナンを含み、その際、マンナンの少なくとも75%は1000kDaより大きい。少なくとも1つの核酸はポリカチオンを介してマンナンに抱合され得る。
一実施形態では、核酸は抗原をコードする。
別の実施形態では、核酸は遺伝子をコードする。
語句「核酸を細胞に導入すること」は、組換え手段により核酸配列を導入することを指す。
用語「核酸」は、あらゆる形態におけるDNA、RNA及びポリヌクレオチド、すなわち、単鎖及び二本鎖のDNA、cDNA、mRNA、siRNAなどと同義である。
対象に核酸を送達する手段には、核酸の直接送達及び核酸で形質移入した又は形質転換した細胞の送達が含まれる。たとえば、注入、カテーテル法又は内視鏡によって細胞又は核酸を所望の臓器又は腫瘍に直接送達することができる。静脈内に、気管支内に、腫瘍内に、クモ膜下に、筋肉内に、眼内に、局所に、皮下に、経皮で又は経口でそれらを送達することができる。
核酸送達ビヒクルの例は、種々の真核性及び原核性の宿主における発現について記載され、単純なタンパク質発現と同様に遺伝子療法、遺伝ワクチン接種(たとえば、DNAワクチン接種)で使用されてもよい従来技術で通常使用されるリポソーム、天然のポリマー及び合成ポリマーを含む生体適合性ポリマー、リポタンパク質、ポリペプチド、多糖類、リポ多糖類、人工的なウイルスエンベロープ、金属粒子、及び細菌、たとえば、バキュロウイルス、アデノウイルス及びレトロウイルスのようなウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター及びその他の組換えビヒクルである。
本明細書で使用されるとき、「ベクター」は、その発現又は複製のために非相同の核酸を細胞に導入するのに使用される個別要素を指す。たとえば、ベクターは、人工の染色体、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ又はウイルスであってもよく、宿主細胞のゲノムへの安定な統合が可能であってもよく、独立した遺伝要素として存在してもよい(たとえば、エピソーム、プラスミド)。ベクターは単一のポリヌクレオチドとして又は2以上の別々のポリヌクレオチドとして存在してもよい。ベクターは宿主細胞に存在する場合、単一コピーベクターであってもよいし、マルチコピーベクターであってもよい。本発明における使用に好まれるベクターは、宿主細胞における1以上のタンパク質の発現を指向するように正しい方向性で発現制御要素の近傍にて1以上の機能的遺伝子をベクターに挿入することができる発現ベクターである。
用語「制御要素」は特定の宿主細胞にて操作可能に連結されたヌクレオチドのコーディング配列の発現に必要な核酸配列を指す。原核細胞における発現に好適な制御配列には、たとえば、複製開始点、プロモータ、リボソーム結合部位、及び転写終了部位が挙げられる。真核細胞における発現に好適な制御配列には、たとえば、複製開始点、プロモータ、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサが挙げられる。
「プロモータ」は核酸の転写を指図する。本明細書で使用されるとき、「プロモータ」は、たとえば、ポリメラーゼII型プロモータの場合のTATA要素のような転写開始部位近傍の必要な核酸配列を含む。
プロモータはまた任意で遠位の「エンハンサ又はリプレッサの要素」も含み、それは、転写開始部位から数千塩基対に位置することができる。プロモータは相同であっても非相同であってもよい。「構成的」プロモータは、ほとんどの環境条件下及び発達条件下で選択された生物にて活性があるプロモータである。「誘導可能な」プロモータは、選択された生物にて環境的な及び発達上の調節下にあるプロモータである。
ベクターは、ウイルスベクターであっても非ウイルスベクターであってもよく、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター及びプラスミドベクターが含まれる。ウイルスの例となる種類には、HSV(単純性ヘルペスウイルス)、アデノウイルス、AAV(アデノ関連ウイルス)、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、BIV(ウシ免疫不全ウイルス)、及びMLV(マウス白血病ウイルス)が挙げられる。核酸は、ウイルス粒子にて、リポソームにて、ナノ粒子にて及びポリマーへの複合体化で、を含む十分に有効な送達レベルを提供する所望の形式で投与することができる。遺伝子送達、遺伝子導入などは、本明細書で使用されるとき、導入に使用される方法に関わりなく、宿主細胞への核酸(「導入遺伝子」とも言う)の導入を指す用語である。そのような方法には、たとえば、ベクターが介在する遺伝子導入(たとえば、ウイルスの感染/形質移入、又は種々のその他のタンパク質系若しくは脂質系の遺伝子送達複合体によって)、並びに「裸の」ポリヌクレオチドの送達を促進する技法(たとえば、電気穿孔法、「遺伝子銃」送達及び核酸の導入に使用される種々のその他の技法)のような種々の周知の技法が挙げられる。導入されたポリヌクレオチドは安定的に又は一時的に宿主細胞にて維持され得る。安定的な維持には通常、導入されたポリヌクレオチドが宿主細胞と適合する複製開始点を含有することか、又は染色体外のレプリコン(たとえば、プラスミド)のような宿主のレプリコン又は核若しくはミトコンドリアの染色体を統合することのいずれかが必要とされる。当該技術で知られ、本明細書で記載されるように、哺乳類細胞への遺伝子の導入に介在することが可能である多数のベクターが知られている。
実施例1:材料及び方法
培地及び化合物
2%HEPES、0.1mMの2−メルカプトエタノール、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのグルタミン及び10%(v/v)のウシ胎児血清で補完することによって完全RPMI−1640培地を調製した。DCを培養するのに使用する組換えGM−CSFはBD−ファーミンゲン(米国、サンディエゴ)から購入し、PBSで再構築した。リポ多糖(LPS)(シグマL3137、オーストラリアのキャッスルヒル)は無菌蒸留水で再構築した。抗CD−11c−APCはBD−ファーミンゲン(米国、サンディエゴ)から購入した。抗CD40、抗CD80及び抗CD86抗体は自分達で調製した。マンナン、NaIO、ANTS、エタン−1,2−ジオールはシグマから購入した。
これらの試験で使用したマンナンはベーカーズ酵母(出芽酵母:Saccharomyces cerevisae)に由来する。マンナンは、50〜>1,000kDaに及ぶ様々な分子量を持つマンノースが豊富な多糖類を組み入れて非常に不均質である。
分画方法
二重蒸留水(DDW)中20mg/mlのマンナンを20mlの300kDaMWCOビバスピン濃縮器(サルトリウス)に入れ、2500rpmにて15〜20分間遠心し、1〜2mlに濃縮した(図1)。試料全体を加えるまで濃縮器を再充填した。数回の遠心が必要だった。濾液を回収し、DDWで2回洗浄したが、洗浄液は廃棄した。濃縮した分画(濃縮液)は>300kDaの分画である。次いで濾液を15mlの100kDaMWCOアミコンスピン濃縮器(ミリポア)に入れ、前に詳説したように実行した。次いで2×15mlの50kDaMWCOアミコンスピン濃縮器(ミリポア)、その後、2×15mlの30kDaMWCOアミコンスピン濃縮器(ミリポア)を用いてマンナンを順次分画した。これによって>300、100〜300、50〜100、30〜50及び<30kDaの分画を生じた。粘着性なので使用しない<30kDaの分画を除いて、濃縮液分画及び最終濾液を白色の綿毛状粉末に凍結乾燥した。試料を秤量し、回収率を記録した。
後半の分画の実施では、サルトリウスの2×20mlの1000kDaMWCOビバスピン濃縮器を第1の分画工程として用い、その後、上述のような他の濃縮器を順次用いた。これによって、>1000、300〜1000、100〜300、50〜100、30〜50及び<30kDaの分画を生じた。
前述と同様に、濃縮液分画及び最終濾液を白色の綿毛状粉末に凍結乾燥し、<30kDaの分画は使用しなかった。試料を秤量し、回収率を記録した。場合によっては、300〜1000kDaの分画では粉末が無かったのでその場合、その特定の分画は分析に使用しなかった。
PDPH定量法を用いたマンナンにおけるアルデヒド残基の定量
酸化マンナンにおけるアルデヒド基の数を定量する方法を図2で模式的に示す。酸化の程度がマンナンの分子量に左右されるように同一モル濃度のNaIOを使用する。0.1Mのリン酸pH6.0緩衝液中、1.4mg/0.1mlのマンナン及びマンナン分画を0.01MのNaIOで酸化し、暗所氷上にて1時間反応させた。10μlのエタン−1,2−ジオールで反応を止め、さらに1/2時間反応させた後、0.1Mの酢酸緩衝液pH4.8にてPD10カラムを通過させた。
室温にて一晩回転させながら、0.7mg/mlの酸化マンナン2mlのうち1mlを0.1mgのPDPHと反応させた後、DDWにてPD10を通過させた。0.01MのDTTと15分間反応させ、OD343nmで吸光度を読み取ることによってアルデヒド基の数を決定することができる。これによってアルデヒド基を示す2−ピリジンが放出される(図2)。
アルデヒド残基の数=2−ピリジンチオンの濃度(M)/マンナンの濃度(M)=[OD343/8080]/[マンナンの濃度(mg/ml)/マンナンの分子量]
種々の分画に使用される平均分子量は、マンナン全体=500kDa、>1000=1000kDa、>300=650kDa、100〜300=200kDa、50〜100=75kDa、30〜50=40kDaである。
ANTSによるマンナンの化学修飾及び定量
ANTSによる酸化マンナンの化学修飾を図3にて模式的に示す。0.1Mのリン酸pH6.0緩衝液中、1.4mg/0.1mlのマンナン及びマンナン分画を0.01MのNaIOで酸化し、暗所氷上にて1時間反応させた。10μlのエタン−1,2−ジオールで反応を止め、さらに1/2時間反応させた後、0.1Mの酢酸緩衝液pH4.8にてPD10カラムを通過させた。
0.7mg/mlの酸化マンナン、>300kDa、100〜300kDa、50〜100kDa及び30〜50kDaの分画の1mlをそれぞれ、3/17酢酸/DDW中0.288、0.184、0.598、1.59及び2.99mgのANTS(×400過剰)と反応させた。シアノホウ化水素ナトリウム(50μl、1M、シグマ)を加え、回転させながら反応を室温にて一晩放置し、その後、DDWにてPD10を通過させた。励起405nm及び放射520nmにてANTS基準に対してANTS抱合体の蛍光を読み取った。
マンノース残基の定量のためのレゾシノールアッセイ
レゾシノールアッセイ(Monsigny et al., 1988)を用いてマンナン及びマンナン分画を定量した。マンノースを基準として用いた。OD450nm(430又は480nmがないので)での吸光度にてプレートを読み取った。
抗原のマンナンへの抱合
酸化されたマンナンへのタンパク質の抱合を図4にて模式的に示す。0.1Mのリン酸pH6.0緩衝液中、1.4mg/0.1mlのマンナン及びマンナン分画>1000kDa、300〜1000kDa(又は早期の実施では>300)、100〜300kDa、50〜100kDa、30〜50kDa(14mg/0.5ml)の30〜50分画を除く)をそれぞれ、0.1MのNaIOの100、77、250、600μ1及び1.25mlの添加によって酸化し、最終体積を1.6mlとした。
前述と同様に、混合物を暗所氷上にて1時間置き、エタン−1,2−ジオールにて反応を止め、さらに1/2時間反応させた。0.05Mの重炭酸pH9.0によって事前に平衡化したPD10カラム(BDバイオサイエンシズ)にて抱合体を分離し、未反応物質及び副産物を取り除いた。これには、1.6mlの試料のカラムの通過の後、0.9mlの緩衝液の通過と廃棄が含まれた。次の2mlを回収し、1mlの酸化マンナン又は分画をそれぞれFP及びOVAの0.35、0.3、0.495、0.735及び0.59mgの計算された量と反応させた。抱合体を室温で一晩インキュベートし、4〜12%又は4〜20%のSDS−PAGE上で分離して上手く行った抱合を検証した。良好な抱合体は、スメアと明瞭なタンパクバンドの欠如とによって示される。
in vivo試験に使用する最終>1000MFP抱合体については、0.7mgのFP(5.45mg/ml、128μl)を2mlの酸化マンナンと反応させた。同様に、>1000ManRSVg抱合体については、0.25mgのRSVg(0.37mg/ml、367μl)を2mlの酸化マンナンと反応させた。
>1000MFPにおけるマンナンのモル濃度はMFPの半分なので10μgのFPをin vivo免疫原性試験に用いた。
未処理ゲル電気泳動及び変性ゲル電気泳動
SDS−PAGE又は未処理ゲルにてマンナン及び分画を視覚化した。予め形成された(PAGEゲル)SDS4〜12%又は4〜20%の勾配ゲル(PAGEゲル)を1×MOPSSDS泳動緩衝液にて泳動させた。或いは、0.063Mのトリス−HCl、pH6.8で作製した5%濃縮ゲルとTBEで作製した分離ゲルから成る12%未処理ゲル(塩基性条件)を用いた。0.19Mのグリシンを加えたTBEにて電気泳動を行った(Sharma et al, 2003)。
クマシー染色及びPAS染色を用いてそれぞれタンパク質及び糖類についてゲルを染色した。
デンシトメトリーによるマンナン分画の分子量の決定
上記のようにマンナン分画をNaIOで酸化し、ANTSで標識した。ANTS標識したマンナンの試料をPAS染色後のSDS−PAGEによって分析した。クオンティワン(バイオラド)ソフトウエアを用いたデンシトメトリーによって乾燥ゲルを走査し、分析した。
骨髄由来のDCの生成
以前記載された(Apostolopoulos et al, 2006)ようにマウスのDCを生成した。手短には、大腿骨及び脛骨の内腔から骨髄細胞を取り出した。無菌の0.73%(w/v)NHC1で骨髄細胞を37℃にて10分間処理して赤血球を溶解させた。細胞を洗浄し、10ng/mlのGM−CSFで補完した完全培地に再浮遊させた(2×10個の細胞/3ml)。24穴プレート(1ml/ウェル)にて細胞を4日間培養した。培養培地を穏やかにピペッティングすることによって細胞を回収した。GM−CSFで培養した骨髄細胞は、混合リンパ球反応の強力な刺激細胞である多数のMHCクラスII発現DCを生じる。
In vitro樹状細胞成熟試験
成熟試験にはC57BL/6マウス由来のDCを用いた。培養プレートから樹状細胞を取り出し、10ng/mlのGM−CSFで補完した完全RPMIの150μlに1×10個のDCを再浮遊させ、48穴プレートに播いた。800、400、及び200μg/mlの最終濃度がウェルに添加されるようにマンナン及び種々のマンナン分画を加えた。LPS(1μg/ml)を陽性対照として用い、各ウェルに加え、37℃で18時間インキュベートした。細胞を回収し、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)に結合した抗DC86、抗CD40又は抗CD80と共に抗CD11c−APCによって染色した。CD11chigh細胞をゲートで囲み、ヒストグラム解析によってFITCの強度を判定し、DCの成熟状態を判定した。
In vivoマウス免疫原性試験
[マウス及び免疫]
HLA−A2/Kbマウスはオーストラリア、パースのアニマルリソースセンターから購入した。MFP、>1000MFP及び非抱合FPによって誘導されるエフェクター免疫応答を測定するために、0、10及び17日目に100μlの体積で尾の基部にてHLA−A2/Kbマウスを経皮的に免疫し、ELISpotアッセイを用いて10〜14日後、免疫応答を評価した。2回目及び3回目の注射後、マウスにて採血し、MUC1特異的な総Ig、IgG2a及びIgG1をELISAアッセイで検出した。
[in vivoにおける抗原特異的なT細胞応答]
免疫したHLA−A2/Kbマウスから脾臓細胞を単離し、抗原特異的なIFN−γの分泌についてELISpotによって評価した。混合アセテートプレート(MAIPミリポア)を抗マウスIFN−γ(AN18、5μg/ml、ドイツ、マブテック)で一晩コートした。5×10個の脾臓細胞/ウェルを加え、MUC−FP(20μg/ml)の存在下で10%FCS RPMI1640培地にて18時間インキュベートした。ConA(1μg/ml)又は細胞単独をそれぞれ陽性及び陰性の対照として用いた。細胞を捨て、洗浄した後(0.05%ツイーン20/PBS)、抗マウスIFN−γ(R4−6A2、米国カリフォルニア州、マブテック)を2時間加え、その後、室温にて2時間、0.1μg/mlのエクストラアビジン−アルカリホスファターゼ(AP)(英国、シグマ)を加えた。比色APキット(米国カリフォルニア州、ヘラクレスのバイオラド)を用いて活性のスポットを検出した。AID ELISpotリーダーシステム(ドイツ、Autoimmun Diagnostika社)によってサイトカインのスポットを計数した。データは、0.5×10個の細胞当たりの平均スポット形成単位(SFU)±平均値の標準偏差(SD)として表す。
>1000kDaの酸化マンナンに結合したタンパク質抗原のヒトin vitro免疫原性試験
[タンパク質/ペプチド抗原]
MART−1タンパク質は米国のバイオビジョンから購入した。GST−MUC1−VNTR(FP)は、Apostolopoulosら、1993に記載されたように調製した。Hisのタグを付けたMUC1−VNTR(pTrc)は、pTrcBベクター(インビトロゲン)(Loveland et al., 2006)にて自分達で調製した。Melan−A/MART−1[EAAGIGILTV(天然)(配列番号:1)、ELAGIGILTV(類似体)(配列番号:2)]に特異的なHLA−A2エピトープペプチドは、米国、ゲンスクリプトによって合成された。
[>1000kDa酸化マンナンへのGST−MUC1−VNTR(FP)、MUC1−VNTR(pTrc)及びMART−1の抱合]
過ヨウ素酸>1000kDa酸化マンナンへの抗原の抱合は以前記載されたように実施した。>1000kDaマンナンと抗原の比は40:1だった。
[ペプチド特異的CD8T細胞の生成]
ファイコール・パックPLUS(GEヘルスケア)を用いた密度勾配遠心によってバフィコートからPBMCを分離した。フローサイトメトリーによってHLA−A2の状態を評価した。完全AB型培地(RPMI1640、10%AB型血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、HEPES、L−GLUT、NEAA、ピルビン酸ナトリウム(インビトロゲン)、2−メルカプトエタノール)にて5×10個/mlでPBMCを再浮遊し、24穴プレートにて10μg/mlのMART−1類似体ペプチド(ELAGIGILTV)(配列番号:2)及び3μg/mlのR848(インビトロゲン)によって刺激した。3日後、50U/mlのIL−2(R&Dシステムズ)、20ng/mlのIL−15及び20ng/mlのIL−7(ペプロテック)で補完した別の1mlのAB型血清を加えた。最初の刺激の7〜10日後、2μg/mlのFMP又は10μg/mlのMARTI類似体ペプチド(ELA)で感作した放射線照射自己PBMC(1:100)によって細胞を再刺激した。翌日、1mlの上清を25U/mlのIL−2を含有する新鮮なAB型培地と交換した。これを3〜4日ごとに繰り返した。
FACSによる選別によってMART−1特異的なT細胞クローンを生成した。ペプチドで感作し、放射線照射(6000cGy)したT2細胞との4時間のインキュベートに続いてFACSAriaを用いてELAGIGILTVペプチド(配列番号:2)に特異的なIFNγ分泌細胞を選別した。製造元のプロトコールに従って実施されるIFNγの分泌検出アッセイ(ミルテニーバイオテック)を用いてIFNγ分泌細胞を特定した。
刺激タンパク質抗原特異的なT細胞応答
CD14マイクロビーズ(ミルテニーバイオテック)を用いた自動MACS分離によってPBMCから単球を精製した。T75フラスコにて50ng/mlのGM−CSFと20ng/mlのIL−4(R&Dシステムズ)を含有する完全FCS培地(RPMI1640+10%FCS+L−GLUT、ペニシリン/ストレプトマイシン、HEPES、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、2−メルカプトエタノール)において単球(5×10個/ml)を5〜6日間培養することによって単球由来の樹状細胞(MoDC)を生成した。
完全AB型培地における2×l0/mlのMoDC(1:20のMoDC:T細胞で)を24穴プレート(試験条件当たり1ml)に入れ、その後、タンパク質又は>1000kDa酸化マンナン抱合体を加えた。4時間後、1mlの完全AB型培地にて4×10個のCD14欠損PBMCをウェルに加えた。3日後、25U/mlのIL−2、10ng/mlのIL−7及び10ng/mlのIL−15を加えた。7〜10日後、抗原を負荷した1×10個のMoDCによってT細胞を再刺激した。再刺激の24時間後、25U/mlのIL−2で培養を補完し、3〜4日後再び補完した。T細胞の培養は通常、1又は2回の再刺激後分析した。
[抗原特異的なT細胞応答の分析]
T細胞エピトープペプチドについて− 1.25μg/mlのβ2ミクログロブリンを伴った無血清培地にて無関係なペプチド(たとえば、CAP−1の10μg/ml又はペプチドなし)及び当該ペプチド(5μg/ml)で1時間感作することによってペプチド負荷したT2細胞(2×105個/ウェル)を調製した。100μlにておよそ1:5の比で(4×10個/ウェル)でT2細胞を2つ組T細胞ウェルに加え、37℃で5%COにて1時間インキュベートした。Golgi−Stop(T細胞/MoDC共培養200μl当たり0.1μl)を含有する50μlの培地を加え、37℃で5%COにて3〜4時間細胞をインキュベートした。
タンパク質抗原と抱合体について− 75〜100μlの完全培地にて2×10個のMoDC/ウェル(自家又はA2が一致)を含有するV底96穴クラスタープレートに抗原又は>1000kDaマンナン抱合体(20μg/ml)を加え、2時間インキュベートした。75〜100μlの完全培地における2×10個の刺激されたT細胞を各ウェルに加え、37℃で5%COにて15〜16時間、細胞をインキュベートした。Golgi−Stop(T細胞/MoDC共培養200μl当たり0.1μl)を含有する50μlの培地を加え、37℃で5%COにて4〜5時間細胞をインキュベートした。
[細胞内インターフェロン−γ(IFNγ)反応の分析]
表面マーカーCD8及びCD4について細胞を染色し、固定し、透過処理をし、次いでCytofix/CytoPermキット(BD)と共にCD4−APC−Cy7、CD8−FITC及びIFNy−PE−Cy7(BD)を用いて細胞内IFNγの蓄積について染色した。当該ペプチド/タンパク質の存在下でのIFNγ+CD4及びCD8細胞を無関係のペプチド/タンパク質対照と比較するフローサイトメトリーによって抗原特異的なT細胞を特定した。
実施例2:マンナンの分画
最初に、材料及び方法に記載したように順次膜を通過させて>300kDa、100〜300kDa、50〜100kDa、30〜50kDa、4〜30kDaのマンナン分画を単離した。その後、マンナン分画、>1000kDa、100〜300kDa、50〜100kDa及び30〜50kDaを単離した。4〜30kDaの分画はガムのような残留物だったので以後の試験には含めなかった。
300kDa、100kDa、50kDa、30kDaのメンブレンを介して既知の濃度で既知の体積のマンナンを分画することによって順次分離を行った(図1)。それぞれからの通過分画及び洗浄液は次のメンブレンを通した。分離はすべて水で行い、最後に試料はすべて凍結乾燥し、白色粉末の重量を記録した(表1)。
表1.酸化マンナンに関する種々の回収分画とアルデヒド残基を示す分画試行の代表的な試料
方法に記載したように0.01MのNaIOとの反応後に生成したアルデヒド残基について種々の分画を分析した。表1に示すように、マンナン全体、>300kDa、100〜300kDa、50〜100kDa及び30〜50kDaの分画はそれぞれ、73、82、35、19及び9のアルデヒド残基を生じる(たとえば、試行7)。
実施例3:種々のマンナン分画のマンノース受容体への結合
huh−7細胞は、マンノース受容体を発現しているヒト肝細胞癌腫の細胞である。マンノース−BSAはマンノース受容体を結合することが知られており、これらの試験で陽性対照としてインキュベートした。マンナン全体及び種々の分画をFITCで標識し、huh−7細胞への結合をフローサイトメトリーによって観察した(図5)。
マンナン全体及び分画すべては用量依存性にhuh−7細胞に結合した。従って、サイズに関わりなく、マンナン分画はすべてマンノース受容体又はその他のマンノース結合性レクチンを結合する。
実施例4:マンナン及びマンナンの種々の分画によるBMDCの活性化
マンナンの種々の分画がBMDCを活性化するかどうか及び分画がマンナン全体よりも優れるかどうかを確認するために、様々な用量及び様々な時間で分画をDCと共にインキュベートし、成熟マーカーCD40、CD80及びCD86をフローサイトメトリーでモニターした(図6)。図6に示すように、分画は用量依存性にDCを活性化した。>300kDaの分画はマンナン全体よりも優れていた。
実施例5:>1000kDaマンナン分画の単離
>300kDaのマンナン分画がマンナン全体よりも効果的にBMDCを活性化したので、さらに大きい分子量分画を分析のために単離した。一層さらに大きい分子量の分画を単離するために、マンナン全体を1000kDaのカットオフメンブレンを伴ったセントリプレップ濃縮器に通した。種々の分画の収率を表2に示す。興味深いことに、300〜1000kDa分画が大きく減少したということは、>1000kDaのマンナン分画が以前単離した>300kDaマンナン分画では優勢であることを示している。
実施例6:マンナン全体及び>300kDaマンナン分画との>1000kDaマンナン分画の活性の比較
48時間後のCD40及びDC86の上方調節をフローサイトメトリーによって観察することにより、BMDCを刺激する>1000kDa分画の種々の用量の能力を測定した(それぞれ図7A及び7B)。>1000kDa分画を>300kDa分画及びマンナン全体と比較し、>1000kDa分画はマンナン全体よりも優れ、>300kDa分画に類似することが明らかであった。
表2.>1000kDaマンナン分画を単離する分画試行の代表的な試料
実施例7:マンナン分画の分子量の分析
上記で見られたように、マンナンの種々の分画はBMDCを活性化し、マンノース受容体に結合することができ、>1000kDaのマンナン分画は生物学的に最も活性のある分画である。しかしながら、分画の生化学的特性を分析できることは、一連の規格を設定できるように分画の相対的な分子量を得ることができることと共に重要である。本発明者らはすでに、種々のマンナンがNaIOで酸化された場合、異なった数のアルデヒド基を生成することを示している(表1及び2)。
マンナンのマンノース含量を測定するレゾシノールアッセイもマンナンの様々な分画の特定の手段として使用することができる(図8)。
マンナンは電荷を持たない炭水化物であり、親水性が高く、その結果、タンパク質の解析で使用されるSDS−PAGE上で移動しない。頻繁には、炭水化物は、解析のために電化と疎水性特性を組み込むように化学的に修飾される。これらの特性を組み込むには、酸化マンナンをANTSと反応させる。未処理のPAGEゲル上のANTSで標識されたマンナン分画の解析は(図9)は、その相対的分子量に基づいては分離しなかった。
しかしながら、ANTS標識の分画をSDS−PAGEによって解析した場合、それらは分画した分子量(メンブレンカットオフ)に類似するパターンで移動した(図10)。SDS−PAGEゲルをデンシトメータ解析で走査し、使用した(図11)。通常のタンパク質基準も使用した。これによって、異なった確定したタンパク質が広がる(広がったバンド)バンドに割り当てられる分子量範囲が可能になる。幾つかの分画の泳動からのマンナンを解析して解析を検証した。既知の分子量(タンパク質又はマンナン分画)及び相対距離比(Rf)から標準曲線を生成した。Rfは、特定のバンドによる移動距離で割った全移動距離として定義される(図12)。標準曲線に基づいて種々のマンナン分画の相対的な分子量を算出した(図13及び14)。
実施例8:MUC1−FPのマンナンへの抱合
方法で記載したようにマンナンの種々の分画をMUC1−FPに抱合させた。分画に比べてマンナン全体では生成されたアルデヒド基の分子量及び数が異なるので、使用するFPの量はMUC1−FPとアルデヒドのモル比として標準化した。加えて、MUC1−FPの量の範囲を抱合し、SDS−PAGEによって分析した(図15)。
実施例9:マウスにおける>1000MFP及びMFPのin vivo活性
上述のようにマンナン全体と>1000kDaマンナンを調製し、in vivoの免疫原性試験に用いた。
マンナン全体に連結したMUC1の免疫原性を確認するために、0、10、17日目及び14日に10μgの用量で>1000kDaマンナン、抱合体又はMUC1−FPをマウスに経皮注射した。マウスを安楽死させ、ELISpot解析によって細胞性の応答を解析した(図16)。免疫したマウスからの脾細胞培養にて種々の用量のMUC1−FPに対する抗原特異的なIFNγの応答を測定した。図16に示すように、MUC1−FP、MFP及び>1000MFPで免疫したマウスの間で細胞性の応答は有意差がなかった。免疫したマウスの血清を抗MUC1特異的な総IgG、IgG1及びIgG2a抗体について調べた(図17)。興味深いことに、その他の群に比べて、>1000MFPで免疫したマウスは約10倍高い抗MUC1特異的なIgG2aの力価を有した。同様のIgG2aの偏りは、2回免疫後の血清でも明らかにされた(データは示さず)。
実施例10:マンナンの性状と考えられる品質管理アッセイ
マンナンは現在シグマから調達されている。それは、製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)の標準にあるものではなく、得られただけの情報を図18に示す。特定の基準に見合うことを保証する製造元からもたらされるかどうかは酵母マンナンにとって重要である。PDPHアッセイを用いてアルデヒドを測定し、レゾシノールアッセイを用いてマンノース含量を測定し、ANTSアッセイを用いてマンナンの種々のバッチの性状分析をすればよい。
レゾシノールアッセイを用いてシグマからの5つのバッチのマンナンを分析した。図19Aに示すように、バッチがすべて濃度曲線に対して同じ吸光度を示したということは、マンナンにおけるマンノースの同一含量を示している。図19Bはレゾシノールアッセイにおいてマンノースを用いた標準曲線を示す。同様に、NaIOによる酸化後のアルデヒド残基について5つのバッチすべてを分析した(図20)。
3回の独立した測定から、アルデヒド残基の数は90〜155残基の間で変化することを見ることができる。従って、生成されたアルデヒド残基が125±20%であれば、マンナンについての規格は合格として設定され得る。同様に、蛍光の測定のためにPDPHの代わりにANTSと酸化マンナンを反応させることができる(図21)。興味深いことに、このアッセイでのバッチすべてにおける変動も約±20%である。
実施例11:GST−MUC1−VNTR(FP
抱合
前に記載したように>1000kDa酸化マンナンにFPを抱合した(>100MFP)(図22)。
>1000kDa酸化マンナンに連結したFPの免疫原性
酸化マンナン−pTrcによる反復免疫、その後のMUC1特異的T細胞の選別と増殖によってMUC1特異的なT細胞株を生成した。MUC1特異的なT細胞株にMUC1を提示する、マンナン抱合体で感作した同種DC(BC16)の能力を検討した。図23に示すように>1000MFPはMUC1特異的なT細胞株を刺激することができた。>1000MFPは10μg/ml及び20μg/mlの用量で非抱合のFPよりもT細胞の刺激において有効だった。
実施例12:MUC1−VNTR(pTrc)
抱合
>1000kDa酸化マンナンにMUC1−VNTR(pTrc)を抱合した(図24)。種々の量のpTrcを>1000kDa酸化マンナンと反応させて最適な比を確認した。1:40(1/2x、レーン5)の抗原:マンナンの比での抱合体を免疫原性試験に用いた。
>1000kDa酸化マンナンに抱合させたMUC1−VNTRの免疫原性
凍結MoDC(凍結、BC17K)によってリコールしたpTrc(MUC1)T細胞株(ドナーBC13由来)を介して、>1000kDa酸化マンナンに連結したpTrcの免疫原性を確認した(図25)。示すように、pTrcは有効には処理されず、MUC1特異的T細胞に提示されなかった。しかしながら、>1000kDa抱合体は非抱合のpTrcよりも効果的にMUC1特異的T細胞を刺激した。20μgのpTrc、>1000kDa/pTrc抱合体で感作した自己MoDCを用いて、健常ドナーBC17Kに由来するMUC1特異的T細胞株からのMUC1特異的CD8応答をリコールした(図26)。>1000kDa酸化マンナン抱合体は非抱合の抗原に比べてCD8T細胞における細胞内IFNγ分泌を効率的に刺激した。
実施例13:MART−1
抱合
上述のように>1000kDa酸化マンナンに組換えMART−1タンパク質も連結させた(図27)。通常型と還元型のMART−1によって2種類の抱合体を作製した。MART−1タンパク質は幾つかのシステインを有するので空気酸化し、凝集する傾向がある。抱合を円滑にするために、MART−1を先ずDTTで還元し、次いで抱合に用いた。
MART−1>1000kDaマンナン抱合体の免疫原性
ペプチドによるT細胞の刺激及びリコール
実施例1に記載したようにMART−1及び>1000kDa酸化マンナン抱合体(20μg/ml)による刺激に2人のドナー(BC28及びBC29)に由来するPBMC及びMoDCを用いた。1回目の刺激後、感作したT2細胞を用いて類似体及び天然のMART−1ペプチド特異的なT細胞応答を測定した(図28)。>1000kDa酸化マンナン−MART−1で刺激したBC28ドナーのT細胞は、T2細胞によって提示された類似体又は天然のMART−1ペプチドに効率的に応答した(図28)。BC28とBC29の培養を各タンパク質と抱合体で再刺激し、自己の感作MoDCを抗原提示細胞として用いてMART−1タンパク質特異的なT細胞応答について調べた(図29)。>1000kDa酸化マンナン抱合体で刺激したBC28ドナーとBC29ドナーのT細胞にて、感作したMoDCはMART−1特異的なCD8T細胞応答をリコールすることができた。MART−1>1000kDa酸化マンナンによる刺激は非抱合のタンパク質よりも刺激において効率的だった。
実施例14:不活化インフルエンザウイルス(H1N1)と>1000kDaマンナンの混合物によるin vivo免疫原性試験
インフルエンザウイルス及びマウス
卵で増殖させたH1N1(A/ニューカレドニア/20/1999)ウイルスをスクロース勾配で精製し、濃縮し、β−プロピオラクトンで不活化して、インフルエンザに関する参照及び研究にためのWHO共同研究センター(オーストラリア、北メルボルン)の副所長であるIan Barr博士に供与されたインフルエンザのゾーンプール(IZP)を創った。マウスはすべてWEHI(オーストラリア、メルボルン)によって供給されたBALB/cメスであり、最初の免疫時、8〜10週齢だった。
H1N1/>1000kDaマンナン混合物の生成
それぞれの所望の用量が50μlに含有されるようにH1N1ストック(2.7mg/mlから)及び>1000kDaマンナンストック(14mg/mlから)を希釈することによってH1N1/>1000kDaマンナン混合物を生成した。>1000kDaマンナンは以前記載されたように単離した。
免疫
免疫はすべて鼻内経路を介して投与した。完全に麻酔して(メトキシフルオランの吸入を介して)、直立に保持している間に、およそ5μlの液滴を各鼻孔に交互にピペットで穏やかに入れた。
血清及びBAL(気管支−肺胞洗浄/肺洗浄)の回収
記載されたように眼窩後出血によって血清を回収した。BALの回収の前に、ケタミンとキシラジルのカクテルでマウスを安楽死させた。組織を取り除いて上部気管を露出し、その中で小さく切開した。1mlのシリンジに取り付けた先端を鈍化した針の助けを借りて、1mlのPBSを穏やかに肺に送り、引き戻した。
抗体力価のELISA測定
HRP/TMBシステムを用いてELISAを行った。1μg/mlの濃度で不活化H1N1(A/ニューカレドニア/20/1999)全体でプレートをコートした。直接結合したラット抗マウスIgG−HRP(GEヘルスケア、製品番号RPN123IV)を用いて抗H1N1総IgGを検出し、ファーミンゲンのビオチン標識一次抗体(製品番号553441、553388及び556978)とGEヘルスケアのストレプトアビジン−HRP二次抗体(製品番号346480)を用いてIgG1、IgG2a及びIgAを検出した。滴定における最後の値として最終力価を測定し、相当する対照の値より上にあったが、その際、対照は各滴定時点の未処理のマウス血清(3〜5匹)の平均OD値+2SDとして算出した。
0日目と14日目に、4匹のBALB/cマウスの群をH1N1(1μg)又は>1000kDaマンナン(100μg)と混合したH1N1によって鼻内で免疫した。最後の免疫の10〜14日後に、マウスの血清と肺の分泌物をH1N1特異的なIgG1、IgG2a及びIgA抗体について分析した。図30に見られるように、>1000kDaマンナンは血清IgG1の応答を高めた。さらに重要なことに、>1000kDaマンナンは血清及び肺のH1N1特異的IgAを高めるのに有効だった。
広く記載されているように本発明に対して多数の変形及び/又は改変を行ってもよいことが当業者によって十分に理解されるであろう。従って、本実施形態はあらゆる点で説明に役立つものであり、限定するものではないとみなされるべきである。
本明細書で議論され、及び/又は参照された出版物はすべてその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に含まれている文書、行為、物質、装置、物品などの議論は単に本発明の文脈を提供する目的のためのものである。それは、これらのことのすべて又は一部が従来技術の基礎の一部を形成する、又は本出願の各クレームの優先日の前に存在するかのように本発明に関連する分野における共通する一般知識であったという承認として解釈されるべきではない。
本発明は、2010年5月10日に出願された米国特許第61/333,086号、2010年5月10日に出願されたAU2010901997及び2010年9月9日に出願されたAU2010904060からの優先権を主張するが、それらの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
(参考文献)

Claims (4)

  1. 少なくとも1つの抗原に共有結合により抱合されている、又はそれをコードする核酸にポリカチオンを介して抱合されている、酸化された出芽酵母(Saccharomyces cerevisae)マンナンを含む免疫刺激組成物であって、前記酸化マンナンの少なくとも75%が1000kDaより大きく、前記少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸に抱合される前に、少なくとも150のアルデヒド基を有する、組成物。
  2. 対象において前記抗原又はそれをコードする核酸に対する免疫応答を誘導する及び/又は高めるための、請求項1に記載の組成物。
  3. 請求項1または2に記載の組成物を調製する方法であって、
    i)マンナンを含む組成物を得ること、
    ii)サイズに基づいて工程i)の組成物を分画すること、
    iii)マンナンを含む1以上の分画を選択し、1以上の分画におけるマンナンの少なくとも75%が1000kDaより大きいこと、及び
    iv)少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸と工程iii)のマンナンを抱合すること、を含み、前記マンナンは工程iv)の前に酸化され、前記酸化マンナンの少なくとも75%が、前記少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸に抱合される前に、少なくとも150のアルデヒド基を有する、方法。
  4. 請求項1または2のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、
    i)少なくとも75%が1000kDaより大きい酸化マンナンを含む組成物を得ること、及び
    ii)少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸と工程i)の組成物を抱合し、それによって組成物を調製することを含み、前記酸化マンナンの少なくとも75%が、前記少なくとも1つの抗原又はそれをコードする核酸に抱合される前に、少なくとも150のアルデヒド基を有する、方法。
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