JP2021152053A - 新生物ワクチン用の製剤及びその製剤を調製する方法 - Google Patents

新生物ワクチン用の製剤及びその製剤を調製する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】対象における新生物の治療又は予防のための新生物ワクチン又は免疫原性組成物製剤と、それらを調製する方法を提供する。【解決手段】(a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;(b)pH調整剤;及び(c)薬学的に許容可能な担体を含み、(a)は、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている、医薬組成物を提供する。【選択図】図15

Description

関連出願及び参照による援用
本出願は、2015年6月9日に出願された米国仮出願第62/172,890号明細
書の優先権及び利益を主張する。
2014年12月5日に出願され、且つ2013年12月6日に出願された米国仮特許
出願第61/913,172号明細書に対する優先権を主張する国際特許出願第PCT/
US2014/068893号明細書を参照する。
前述の出願、及び当該出願の又はその審査手続における全ての引用文献(「出願引用文
献」)及び出願引用文献で引用又は参照される全ての文献、及び本明細書で引用又は参照
される全ての文献(「本明細書引用文献」)、及び本明細書引用文献で引用又は参照され
る全ての文献は、本明細書又は参照によって本明細書に援用される任意の文献で言及され
る任意の製品に関する任意の製造者の指示書、説明書、製品仕様書、及びプロダクトシー
トと共に、本明細書によって参照により本明細書に援用され、及び本発明の実施において
用いられ得る。より具体的には、参照される文献は全て、個別の文献それぞれが参照によ
って援用されることが具体的且つ個別的に示されたものとみなすのと同程度に参照によっ
て援用される。
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Hea
lth)から付与された助成金番号第CA155010号及び同第HL103532号に
基づく連邦政府の支援を受けて行なわれた。連邦政府は本発明に一定の権利を有する。
本発明は、新生物の治療用製剤及びその製剤を調製する方法に関する。より具体的には
、本発明は、対象における新生物の治療のための腫瘍ワクチン用製剤及びその製剤を調製
する方法に関する。
毎年約160万人の米国人が新生物と診断され、2013年には米国内で約58万人が
この疾患により死亡することが予想される。ここ数十年で新生物の検出、診断、及び治療
は著しく向上しており、それにより多くの種類の新生物に関して生存率が著しく上昇して
いる。しかしながら、新生物と診断された人のうち、治療開始後5年でなおも生存してい
る者は約60%に過ぎず、そのため新生物は米国における主な死亡原因の第2位となって
いる。
現在、種々の既存の癌療法が、アブレーション技法(例えば、外科手技、極低温/熱処
置、超音波、高周波、及び放射線)及び化学的技法(例えば、医薬品、細胞傷害剤/化学
療法剤、モノクローナル抗体、及びそれらの様々な組み合わせ)を含め、いくつも存在し
ている。残念ながら、かかる治療法は多くの場合に深刻なリスク、毒性の副作用、及び極
めて高いコストを伴うことに加え、有効性も不確かである。
患者自身の免疫系によって癌性細胞を標的化しようとする癌療法(例えば、癌ワクチン
)について、かかる治療法は本明細書に記載する欠点のいくつかを軽減/解消し得ること
から、関心が高まっている。癌ワクチンは、典型的には腫瘍抗原及び免疫刺激性分子(例
えば、サイトカイン又はTLRリガンド)で構成され、これらが一緒になって働き抗原特
異的細胞傷害性T細胞を誘導することで、T細胞が腫瘍細胞を標的化して破壊する。現在
の癌ワクチンは典型的に、共通腫瘍抗原を含有することがあり、これは多くの個体に見ら
れる腫瘍で選択的に発現又は過剰発現する天然タンパク質(即ち、−個体における全ての
正常細胞のDNAによりコードされるタンパク質)である。かかる共通腫瘍抗原は特定の
型の腫瘍を同定するには有用であるが、特定の腫瘍型に対するT細胞応答を標的化する免
疫原としては、免疫を弱める自己トレランス効果に供されるため理想的でない。腫瘍特異
的及び患者特異的ネオ抗原を含有するワクチンは、共通腫瘍抗原を含むワクチンの欠点の
幾つかを解消し得る。
Wahl,G.M.and S.L.Berger(1987)Methods Enzymol.152:399 Kimmel,A.R.(1987)Methods Enzymol.152:507
一般に、どのようなワクチンであっても、使用前にワクチンが分解したり劣化したりす
ることが決してないように十分な長さの有効期間を有しなければならない。保存安定性に
はまた、保存中にワクチンの成分が溶液から沈殿してはならないことも要求される。しか
しながら、十分な保存安定性を実現することは困難なことがある。従って、新規のワクチ
ン用製剤が必要とされている。
本出願におけるあらゆる文献の引用及び特定は、かかる文献が本発明の先行技術として
利用可能であることを認めるものではない。
本発明は新生物の治療用の新生物ワクチン又は免疫原性組成物に関し、より具体的には
、対象における腫瘍の治療のための腫瘍特異的及び患者特異的ネオ抗原のプールを含むワ
クチン製剤に関する。
一態様において、本発明は、ペプチドを選択する方法であって、少なくとも1つのペプ
チドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること、並びに任意選択でペプ
チドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場
合に、ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8
及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDR
O≦−8.0に制限されている場合に、そのペプチドを選択することを含む方法を提供す
る。一部の実施形態において、この方法は、少なくとも2つのペプチドのPi及びHYD
ROを決定すること、並びにペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO
≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又は
Pi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている又は最も近い場合に、そのペプチド
を選択することを含む。一部の関連する実施形態において、選択されたペプチドを、本明
細書に記載する方法(例えば、水溶液、医薬組成物、免疫原性組成物、ワクチン組成物等
を調製する方法)で使用する。
一態様において、本発明は、水溶液中でのペプチドの溶解性を評価する方法であって、
このペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定することを含み、このペ
プチドは、任意選択でそのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値
に制限されている場合に、そのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.
0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9
及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、水溶液に溶解する、方法を提供する
一態様において、本発明は、ペプチド水溶液を調製する方法であって、少なくとも1つ
のペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること、任意選択でペプ
チドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場
合に、ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8
及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDR
O≦−8.0に制限されている場合に、そのペプチドを選択すること、並びにこのペプチ
ドを含む水溶液を調製することを含む方法を提供する。
一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドはネオ抗原ペプチド
である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約5〜約5
0アミノ酸長の範囲である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペ
プチドは約15〜約35アミノ酸長の範囲である。一実施形態において、このペプチド又
は少なくとも1つのペプチドは約15アミノ酸長以下である。一実施形態において、この
ペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約8〜約11アミノ酸長である。一実施形態に
おいて、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは9又は10アミノ酸長である。一
実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約30アミノ酸長以下
である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約6〜約2
5アミノ酸長である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチド
は約15〜約24アミノ酸長である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも
1つのペプチドは約9〜約15アミノ酸長である。
一実施形態において、本水溶液はpH調整剤を含む。一実施形態において、このpH調
整剤は塩基である。一実施形態において、このpH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカル
ボン酸塩である。一実施形態において、このpH調整剤はクエン酸塩である。別の実施形
態において、このpH調整剤はコハク酸塩である。一実施形態において、このコハク酸塩
はコハク酸ナトリウムを含む。一実施形態において。一実施形態において、このコハク酸
塩は約1mM〜約10mMの濃度で本水溶液中に存在する。一実施形態において、このコ
ハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で本水溶液中に存在する。
一実施形態において、本水溶液は、デキストロース、トレハロース又はスクロースをさ
らに含む。一実施形態において、本水溶液はジメチルスルホキシドをさらに含む。
一実施形態において、本水溶液は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む。
一実施形態において、本水溶液は医薬組成物である。一実施形態において、本水溶液は
免疫原性組成物である。一実施形態において、本水溶液はワクチン組成物である。
一実施形態において、本水溶液は凍結乾燥可能である。
一態様において、本発明は、ネオ抗原ペプチド水溶液を調製する方法であって、少なく
とも1つのネオ抗原ペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること
、任意選択で少なくとも1つのネオ抗原ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧
−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドの
Pi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧
−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制
限されている場合に、その少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを選択すること、この少な
くとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液を調製すること
、並びにこの少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶
液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液とを組み合わせ、それにより新
生物ワクチン用のペプチド溶液を調製することを含む方法を提供する。一実施形態におい
て、この方法は、この溶液をろ過することをさらに含む。一実施形態において、この方法
は、ろ過されたネオ抗原ペプチド溶液を凍結乾燥させることをさらに含む。
一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液は、1、2、3、4、5、6、7、8、
9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22
、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、
36、37、38、39又は40のネオ抗原ペプチドを含み、これらはそれぞれ、任意選
択でネオ抗原ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に
制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧
−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制
限されているPi及びHYDROを有することに基づいて選択されている。一実施形態に
おいて、本ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−
5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、P
i≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びH
YDRO≦−8.0に制限されているPi及びHYDROを有することに基づいて選択さ
れている少なくとも2つのネオ抗原ペプチドを含む。一実施形態において、請求項に記載
のネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5の
HYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及
びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO
≦−8.0に制限されているPi及びHYDROを有することに基づいて選択されている
少なくとも3つのネオ抗原ペプチドを含む。一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶
液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限さ
れている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.
0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限され
ているPi及びHYDROを有することに基づいて選択されている少なくとも4つのネオ
抗原ペプチドを含む。一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi
及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi
≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHY
DRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されているPi及びHYD
ROを有することに基づいて選択されている少なくとも5つのネオ抗原ペプチドを含む。
一実施形態において、この少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約5〜約50アミノ酸
長の範囲である。一実施形態において、この少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約15
〜約35アミノ酸長の範囲である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1
つのペプチドは約15アミノ酸長以下である。一実施形態において、このペプチド又は少
なくとも1つのペプチドは約8〜約11アミノ酸長である。一実施形態において、このペ
プチド又は少なくとも1つのペプチドは9又は10アミノ酸長である。一実施形態におい
て、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約30アミノ酸長以下である。一実施
形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約6〜約25アミノ酸長で
ある。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチドは約15〜約2
4アミノ酸長である。一実施形態において、このペプチド又は少なくとも1つのペプチド
は約9〜約15アミノ酸長である。
一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液はpH調整剤を含む。一実施形態におい
て、このpH調整剤は塩基である。一実施形態において、このpH調整剤はジカルボン酸
塩又はトリカルボン酸塩である。一実施形態において、このpH調整剤はクエン酸塩であ
る。一実施形態において、このpH調整剤はコハク酸塩である。一実施形態において、こ
のコハク酸塩はコハク酸ナトリウムを含む。一実施形態において、このコハク酸塩は約1
mM〜約10mMの濃度で製剤中に存在する。一実施形態において、このコハク酸塩は約
2mM〜約5mMの濃度で製剤中に存在する。
一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液は薬学的に許容可能な担体をさらに含む
。一実施形態において、この薬学的に許容可能な担体はデキストロースを含む。一実施形
態において、この薬学的に許容可能な担体はトレハロースを含む。一実施形態において、
この薬学的に許容可能な担体はスクロースを含む。一実施形態において、この薬学的に許
容可能な担体はジメチルスルホキシドをさらに含む。一実施形態において、本ネオ抗原ペ
プチド溶液は凍結乾燥可能である。
一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液は免疫調節薬又はアジュバントをさらに
含む。一実施形態において、この免疫調節薬又はアジュバントは、ポリICLC、101
8 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,8
93、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イ
ミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMAT
RIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、M
ontanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Mont
anide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432、OM
−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクタ
ー系、PLGAマイクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他の
ウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3C
ys、並びにAquila社のQS21 stimulonからなる群から選択される。
一実施形態において、この免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCを含む。
一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液は、1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又は
その薬学的に許容可能な塩であって、各ネオ抗原ペプチドは、任意選択でPi及びHYD
ROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びH
YDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−
5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されているPi及びHYDROを有す
ることに基づいて選択されている、1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容
可能な塩;1〜3%ジメチルスルホキシド;3.6〜3.7%デキストロース;3.6〜
3.7mMコハク酸又はその塩;0.5mg/mlポリI:ポリC;0.375mg/m
lポリ−L−リジン;1.25mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム;並び
に0.225%塩化ナトリウムを含む。
一実施形態において、ネオ抗原ペプチド溶液は約300μg/mlの濃度でネオ抗原ペ
プチドの各々を含む。
一実施形態において、本ネオ抗原ペプチド溶液は医薬組成物である。一実施形態におい
て、本ネオ抗原ペプチド溶液は免疫原性組成物である。一実施形態において、本ネオ抗原
ペプチド溶液はワクチン組成物である。
一態様において、本発明は、新生物を有すると診断された対象に本明細書に記載されて
いるネオ抗原ペプチド溶液を投与し、それにより新生物を治療することを含む本明細書に
記載されている方法を提供する。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(
HYDRO)を決定すること、並びに任意選択でペプチドのPi及びHYDROがPi>
7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、ペプチドのPi及びHYDR
Oが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦
5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合
に、そのペプチドを選択することを含む本明細書に記載されている方法により作製された
新生物ワクチンを提供する。
一態様において、本発明は、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容
可能な塩;pH調整剤;及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態において、本医薬組成物は、可溶である少なくとも1つのネオ抗原ペプ
チド又はその薬学的に許容可能な塩を含む。可溶性ペプチドを実験により同定してもよい
。可溶性ペプチドを各ペプチドのアミノ酸配列に基づいて同定してもよい。一実施形態に
おいて、本医薬組成物は、特定の等電点(P)を有する少なくとも1つのネオ抗原ペプ
チド又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一実施形態において、本医薬組成物は、特定
の疎水性を有する少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含
む。疎水性をHYDRO値として表すことができる。このHYDRO値を、各アミノ酸側
鎖の疎水性又は親水性の既知の値を使用することにより決定してもよい。このHYDRO
値を、ペプチド中の疎水性アミノ酸の非中断ストレッチ(uninterrupted
stretch)を同定することにより決定してもよい。このHYDRO値を、疎水性ア
ミノ酸の非中断ストレッチ中の各アミノ酸の疎水性を加算することにより決定してもよい
。このHYDRO値は、疎水度が最高である疎水性アミノ酸の非中断ストレッチ中の値の
合計であってもよい。一実施形態において、このペプチドは、PとHYDRO値との組
み合わせに基づいて可溶である。このペプチドは、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、
Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9及
びHYDRO≦−8.0に制限され得る。好ましい実施形態において、このペプチドは、
これらの値の範囲のうちのいずれかの範囲内である。
特定の実施形態において、本医薬組成物はワクチン組成物である。
特定の実施形態において、本医薬組成物は少なくとも2つのネオ抗原ペプチドを含む。
特定の実施形態において、本医薬組成物は少なくとも3つのネオ抗原ペプチドを含む。特
定の実施形態において、本医薬組成物は少なくとも4つのネオ抗原ペプチドを含む。特定
の実施形態において、本医薬組成物は少なくとも5つのネオ抗原ペプチドを含む。本新生
物ワクチン又は免疫原性組成物は少なくとも4つの異なるネオ抗原(及び異なる抗原によ
り、各抗原が異なるネオエピトープを有することが意図されている)を有利に含み、例え
ば、少なくとも4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12又は13又
は14又は15又は16又は17又は18又は19又は20又は21又は22又は23又
は24又は25又は26又は27又は28又は29又は30又は31又は32又は33又
は34又は35又は36又は37又は38又は39又は40又はより多くの異なるネオ抗
原が本新生物ワクチン又は免疫原性組成物中に存在することができる。
特定の実施形態において、本ネオ抗原ペプチドは約5〜約50アミノ酸長の範囲である
。別の関連する実施形態において、本ネオ抗原ペプチドは約15〜約35アミノ酸長の範
囲である。典型的には、この長さは約15又は20個のアミノ酸よりも大きく、例えば1
5〜50個又は約75個のアミノ酸である。
一実施形態において、本新生物ワクチン又は免疫原性組成物はpH調整剤及び薬学的に
許容可能な担体をさらに含む。
特定の実施形態において、このpH調整剤は塩基である。特定の実施形態において、こ
のpH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である。特定の実施形態において、
このpH調整剤はコハク酸塩である。特定の実施形態において、このpH調整剤はクエン
酸塩である。
特定の実施形態において、このコハク酸又はその薬学的に許容可能な塩はコハク酸二ナ
トリウムを含む。
特定の実施形態において、コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で製剤中に存在す
る。特定の実施形態において、コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で製剤中に存在す
る。
特定の実施形態において、この薬学的に許容可能な担体は水を含む。
特定の実施形態において、この薬学的に許容可能な担体はデキストロースをさらに含む
特定の実施形態において、この薬学的に許容可能な担体はトレハロースをさらに含む。
特定の実施形態において、この薬学的に許容可能な担体はスクロースをさらに含む。
特定の実施形態において、この薬学的に許容可能な担体はジメチルスルホキシドをさら
に含む。
特定の実施形態では、本医薬組成物は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む。一実
施形態において、本方法は、免疫調節薬又はアジュバントの投与をさらに含む。別の関連
する実施形態において、この免疫調節薬又はアジュバントは、ポリICLC、1018
ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893
、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキ
モド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRI
X、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Mon
tanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montan
ide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−1
74、OM−197−MP−EC、ONTAK、PEPTEL、ベクター系、PLGAマ
イクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、
YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、並びにAq
uila社のQS21 stimulonからなる群から選択される。別のさらなる実施
形態において、この免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCである。
これらのポリマーを水に溶解させると酸性溶液になり、この酸性溶液は、好ましくは生
理的pHに中和されて、ワクチン若しくは免疫原性組成物又はその抗原若しくはベクター
が組み込まれているアジュバント溶液が得られる。このときのポリマーのカルボキシル基
は部分的にCOOである。
好ましくは、本発明に係るアジュバントの溶液、特にカルボマーの溶液は、好ましくは
塩化ナトリウムの存在下において蒸留水で調製され、得られる溶液は酸性pHである。こ
のストック溶液を、NaCl等の塩が入っている水、好ましくは生理食塩水(NaCl
9g/l)の(所望の最終濃度に達するための)所要量又はその実質的な一部に、このス
トック溶液を一度に又は幾つかの部分量ずつ添加し、同時に又は続いて好ましくはNaO
H等の塩基で中和(pH7.3〜7.4)することにより希釈する。この生理的pHでの
溶液を、特にフリーズドライ又は凍結乾燥形態で保存されたワクチンの再構成時に使用す
る。
最終ワクチン組成物でのポリマー濃度は0.01%〜2重量/体積%であり、より具体
的には0.06〜1重量/体積%であり、好ましくは0.1〜0.6重量/体積%である
別の態様において、発明は、新生物ワクチンである医薬組成物であって、1つ〜5つの
ネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;1〜3%ジメチルスルホキシド;3.
6〜3.7%デキストロース水溶液;3.6〜3.7mMコハク酸又はその塩;0.5m
g/mlポリI:ポリC;0.375mg/mlポリ−L−リジン;1.25mg/ml
カルボキシメチルセルロースナトリウム;及び0.225%塩化ナトリウムを含む医薬組
成物を提供する。特定の実施形態において、この1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその
薬学的に許容可能な塩の各々は、それぞれ約300μg/mlの濃度で存在する。
別の態様において、本発明は、新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液を調製する方法
であって、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液
を準備すること;並びにこの少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可
能な塩を含む溶液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液と組み合わせ、
それにより新生物ワクチン用ペプチド溶液を調製することを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、本方法は、可溶である少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又
はその薬学的に許容可能な塩を調製することを含む。可溶性ペプチドを実験により決定し
てもよい。ペプチドを各ペプチドのアミノ酸配列に基づいて決定してもよい。一実施形態
において、本医薬組成物は、特定の等電点(P)を有する少なくとも1つのネオ抗原ペ
プチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む。一実施形態において、本医薬組成物は、特
定の疎水性を有する少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を
含む。疎水性をHYDRO値として表すことができる。このHYDRO値を、各アミノ酸
側鎖の疎水性又は親水性の既知の値を使用することにより決定してもよい。このHYDR
O値を、ペプチド中の疎水性アミノ酸の非中断ストレッチを同定することにより決定して
もよい。このHYDRO値を、疎水性アミノ酸の非中断ストレッチ中の各アミノ酸の疎水
性を加算することにより決定してもよい。このHYDRO値は、疎水度が最高である疎水
性アミノ酸の非中断ストレッチ中の値の合計であってもよい。このペプチドを、Pi≧5
及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDR
O≧−5、並びにPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限することができる。好ましい
実施形態において、このペプチドは、これらの値の範囲のうちのいずれかの範囲内である
特定の実施形態において、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可
能な塩を含む溶液は、少なくとも2つの(又は3つの、4つの若しくは5つの)ネオ抗原
ペプチドを含む。特定の実施形態において、本新生物ワクチン用ペプチド溶液は、水、デ
キストロース又はトレハロース又はスクロース、コハク酸塩、及びジメチルスルホキシド
を含む。特定の実施形態において、本方法は、組み合わせる工程の後に、この新生物ワク
チン用ペプチド溶液をろ過することをさらに含む。
別の態様において、本発明は、新生物ワクチンを調製する方法であって、新生物ワクチ
ン用ペプチド溶液を準備すること;及びこのペプチド溶液と、免疫調節薬(immuno
dulator)又はアジュバントの溶液と組み合わせ、それにより新生物ワクチンを調
製することを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載されているいずれかの方法(例えば上記
に記載されている方法)により作製された新生物ワクチンを提供する。
別の態様において、本発明は、新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液であって、少な
くとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;及びコハク酸又はその薬
学的に許容可能な塩を含む新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液を提供する。
別の態様において、本発明は、新生物を有すると診断された対象を治療する方法であっ
て、この対象に本発明の医薬組成物(例えば本明細書に記載されている医薬組成物)を投
与し、それにより新生物を治療することを含む方法を提供する。
特定の実施形態において、この方法は、この対象に本発明の第2の医薬組成物(例えば
本明細書に記載されている医薬組成物)を投与することをさらに含む。
特定の実施形態において、この方法は、この対象に本発明の第3の医薬組成物(例えば
本明細書に記載されている医薬組成物)を投与することをさらに含む。
特定の実施形態において、この方法は、この対象に本発明の第4の医薬組成物(例えば
本明細書に記載されている医薬組成物)を投与することをさらに含む。
本新生物ワクチン又は免疫原性組成物の投与はワンタイムスケジュール(one ti
me schedule)であることができ、例えば、毎週、隔週、3週毎、毎月、隔月
、1年の4分の1毎(3ヵ月毎)、1年の3分の1毎(4ヵ月毎)、5ヵ月毎、年2回(
6ヵ月毎)、7ヵ月毎、8ヵ月毎、9ヵ月毎、10ヵ月毎、11ヵ月毎、1年毎等である
ことができる。
新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、各々がネオ抗原の一部を含有するサブ組成物に
よって投与することができ、サブ組成物は対象又は患者の異なる場所に投与することがで
きる;例えば、20の異なるネオ抗原を含む組成物は、各々が20の異なるネオ抗原のう
ちの5つを含有する4つのサブ組成物で投与することができ、及びこの4つのサブ組成物
は、患者又は対象の各流入領域リンパ節に又はその近くにサブ組成物の送達を試みて、患
者の流入領域リンパ節、例えば上下肢の各々(例えば、患者の各体側の大腿又は大腿上部
又は殿部近傍又は腰部)に又はその近くに各サブ組成物の送達を試みるように投与するこ
とができる。当然ながら、位置の数、ひいてはサブ組成物の数は様々であってよく、例え
ば、当業者は、脾臓又はその近傍に第5の投与点を有するような投与を考えてもよく、当
業者は、1つのみ、2つ又は3つ(例えば、各上肢及び片方の下肢、下肢の各々及び片方
の上肢、下肢の各々及び上肢なし、又は両上肢のみ)が使用されるように位置を変えるこ
とができる。
前述の様々な間隔で投与されるワクチン又は免疫原性組成物は異なる製剤であってもよ
く、単回投与の間に対象又は患者の異なる場所に投与されるサブ組成物は異なる組成物で
あってもよい。例えば、初回投与が全抗原ワクチン組成物であってもよく、及び次の又は
以降の投与が、インビボで1つ又は複数の抗原の発現を有するベクター(例えば、ウイル
スベクター又はプラスミド)であってもよい。同様に、異なるサブ組成物を患者又は対象
の異なる場所に投与するに際しては、一部のサブ組成物が全抗原を含んでもよく、及び一
部のサブ組成物が、インビボで1つ又は複数の抗原の発現を有するベクター(例えば、ウ
イルスベクター又はプラスミド)を含んでもよい。また、一部の組成物及びサブ組成物が
、インビボで1つ又は複数の抗原の発現を有するベクター(例えば、ウイルスベクター又
はプラスミド)と全抗原との両方を含んでもよい。インビボで1つ又は複数の抗原の発現
を有する一部のベクター(例えばポックスウイルス)が免疫刺激効果又はアジュバント効
果を有することができ、ひいてはかかるベクターを含有する組成物又はサブ組成物は自己
アジュバント性であり得る。また、投与によって免疫系に対する抗原の提示のされ方の性
質を切り替えることにより、免疫系を「プライミング」し、次に「ブースト」することが
できる。また本文書では、「ワクチン」と言うとき、本発明は免疫原性組成物を包含する
ことが意図され、及び患者又は対象と言うとき、かかる個体は本明細書に開示される治療
、投与、組成物、及び概して本発明を必要としている患者又は対象であることが意図され
る。
さらに、本発明は、任意のタイプの発現ベクター、例えばウイルス発現ベクター、例え
ば、ポックスウイルス(例えば、オルトポックスウイルス又はアビポックスウイルス、例
えばワクシニアウイルス、例えば改変ワクシニアアンカラ又はMVA、MVA−BN、国
際公開第A−92/15672号パンフレットに係るNYVAC、鶏痘、例えば、TRO
VAX、カナリア痘、例えば、ALVAC(国際公開第A−95/27780号パンフレ
ット及び国際公開第A−92/15672号パンフレット)、鳩痘、豚痘など)、アデノ
ウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス;又はプラスミド又はDNA
又は核酸分子ベクターの使用に適用される。ポックスウイルスベクターなどの、細胞質で
ある一部のベクターが有利であり得る。しかしながらアデノウイルス、AAV及びレンチ
ウイルスもまた、本発明の実施において使用するのに有利であり得る。
即時使用可能な、特に再構成されるワクチン又は免疫原性組成物において、ベクター、
例えばウイルスベクターは、本開示及び当該技術分野における知識(本明細書に引用され
る特許及び科学文献にあるものなど)からの当業者の範囲内にある分量で存在する。
全抗原又はベクター、例えば組換え生ワクチンは通常、その保存を可能にするフリーズ
ドライ形態で存在し、使用直前に、本明細書で考察するとおりのアジュバントを含み得る
溶媒又は賦形剤中に再構成される。
従って本発明の主題はまた、別個に包装されたフリーズドライワクチンと、有利には本
明細書で考察するとおりのアジュバント化合物を含む、フリーズドライワクチンの再構成
用溶液とを含むワクチン接種又は免疫化セット又はキットである。
本発明の主題はまた、本発明におけるワクチン又は免疫原性組成物を、例えば非経口経
路、好ましくは皮下、筋肉内又は皮内経路によるか又は粘膜経路によって1つ以上の投与
速度で投与するステップを含むか又はそれから本質的になるか又はそれからなるワクチン
接種又は免疫化方法である。任意選択で、この方法は、フリーズドライワクチン又は免疫
原性組成物(例えば、凍結乾燥全抗原又はベクターの場合)を、有利にはアジュバントも
含む溶液に再構成する予備ステップを含む。
一実施形態において、この対象は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎明細胞癌(cc
RCC)、メラノーマ、肉腫、白血病又は膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、頭頸部癌、子宮
内膜癌、肺癌、卵巣癌、膵癌又は前立腺癌からなる群から選択される新生物に罹患してい
る。別の実施形態において、新生物は転移性である。さらなる実施形態において、この対
象は検出可能な新生物を有しないが、疾患再発のリスクが高い。さらなる関連する実施形
態において、この対象は過去に自家造血幹細胞移植(AHSCT)を受けている。
一実施形態において、本新生物ワクチン又は免疫原性組成物の投与はプライム/ブース
ト投薬レジメンである。別の実施形態において、本新生物ワクチン又は免疫原性組成物の
投与は、プライムとして1週目、2週目、3週目又は4週目である。別のさらなる実施形
態において、本新生物ワクチン又は免疫原性組成物の投与は、ブーストとして2ヵ月目、
3ヵ月目、4ヵ月目又は5ヵ月目である。
一実施形態において、本ワクチン又は免疫原性組成物を、各ネオ抗原ペプチドに関して
70kgの個体当たり約10μg〜1mgの用量で投与する。別の実施形態において、本
ワクチン又は免疫原性組成物を、各ネオ抗原ペプチドに関して70kgの個体当たり約1
0μg〜2000μgの平均週用量レベルで投与する。
一実施形態において、本ワクチン又は免疫原性組成物を静脈内投与する、又は皮下投与
する。
別の態様において、本発明は、新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液であって、少な
くとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;及びコハク酸又はその薬
学的に許容可能な塩を含む新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液を提供する。
本発明は、米国特許出願第20110293637号明細書(参照により本明細書に援
用される)にあるような方法を実施することを包含し、例えば、複数の少なくとも4つの
対象特異的ペプチドを同定し、投与時に複数の少なくとも4つの対象特異的ペプチドを対
象の免疫系に提示する対象特異的免疫原性組成物を調製する方法であって、この対象は腫
瘍を有し、且つこの対象特異的ペプチドは対象及び対象の腫瘍に特異的であり、前記方法
は、
(i)非腫瘍試料には存在しない複数の少なくとも4つの腫瘍特異的非サイレント突然
変異を同定することであり、
対象の腫瘍の試料の核酸配列決定、及び
対象の非腫瘍試料の核酸配列決定
によることを含む同定すること;
(ii)同定された非サイレント突然変異に基づいて、同定された複数の腫瘍特異的突
然変異から、対象の腫瘍に特異的なエピトープである異なる腫瘍ネオエピトープを各々が
有する複数の少なくとも4つの対象特異的ペプチドを選択することであり、
各ネオエピトープは、非腫瘍試料に存在しない腫瘍特異的非サイレント突然変異の発現
産物であり、各ネオエピトープが対象のHLAタンパク質に結合し、
対象特異的ペプチドのHLAタンパク質への結合を決定すること
を含む選択すること、
並びに
(iii)投与時に複数の少なくとも4つの対象特異的ペプチドが対象の免疫系に提示
されるように対象特異的免疫原性組成物を対象への投与用に製剤化すること
を含み、
選択すること若しくは製剤化することは、
対象特異的免疫原性組成物に、同定されたネオORFの発現産物を含む対象特異的ペ
プチドを含めることであり、ネオORFは、新規のオープンリーディングフレームを作り
出す非腫瘍試料に存在しない腫瘍特異的非サイレント突然変異である、含めること、及び
対象特異的免疫原性組成物に、同定された点突然変異の発現産物を含み且つ決定され
た500nM未満のIC50での対象のHLAタンパク質への結合を有する対象特異的ペ
プチドを含めること
のうちの少なくとも1つを含み、
それにより、複数の少なくとも4つの対象特異的ペプチドが同定され、及び投与時に対
象の免疫系に複数の少なくとも4つの対象特異的ペプチドを提示する対象特異的免疫原性
組成物(対象特異的ペプチドは対象及び対象の腫瘍に特異的である)が調製される、方法
を実施すること;又はネオ抗原を同定する方法であって、
a.癌を有する対象の発現遺伝子における腫瘍特異的突然変異を同定すること;
b.工程(a)で同定された前記突然変異が点突然変異である場合:
i.工程(a)で同定された突然変異を有する変異ペプチドを同定することであり、
前記変異ペプチドは、野生型ペプチドと比べて高い親和性でクラスI HLAタンパク質
に結合し、且つ500nm未満のIC50を有する、同定すること;
c.工程(a)で同定された前記突然変異がスプライス部位、フレームシフト、リード
スルー若しくは遺伝子融合突然変異である場合:
i.工程(a)で同定された突然変異によりコードされる変異ポリペプチドを同定す
ることであり、前記変異ポリペプチドはクラスI HLAタンパク質に結合する、同定す
ること
を含む方法を実施すること;又は対象において腫瘍特異的免疫応答を誘導する方法であっ
て、同定された1つ以上のペプチド若しくはポリペプチドとアジュバントとを投与するこ
とを含む方法を実施すること;又は癌に関して対象をワクチン接種する若しくは治療する
方法であって、
a.対象の発現遺伝子における複数の腫瘍特異的突然変異を同定することであり、前記
同定された突然変異が
i.点突然変異である場合、この点突然変異を有する変異ペプチドをさらに同定する
こと;及び/若しくは
ii.スプライス部位、フレームシフト、リードスルー若しくは遺伝子融合突然変異
である場合、この突然変異によりコードされる変異ポリペプチドをさらに同定すること;
b.クラスI HLAタンパク質に結合する、工程(a)で同定された1つ以上の変異
ペプチド若しくはポリペプチドを選択すること;
c.抗腫瘍CD8 T細胞を活性化させることができる、工程(b)で同定された1つ
以上の変異ペプチド若しくはポリペプチドを選択すること;及び
d.工程(c)で選択された1つ以上のペプチド若しくはポリペプチドでパルスした1
つ以上のペプチド若しくはポリペプチド、自家樹状細胞若しくは抗原提示細胞を対象に投
与すること;又はある同定されたペプチドを含む医薬組成物を調製することを含む方法を
実施すること、並びに本明細書で考察する方法を実施することを包含する。そのため、本
明細書における新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、米国特許出願第20110293
637号明細書にある通りであることができる。
従って、本発明の目的は、本出願人らが権利を留保し、且つ任意の以前に公知の製品、
プロセス、又は方法のディスクレーマー(disclaimer)を本明細書によって開
示するように、以前に公知のいかなる製品、製品の作製プロセス、又は製品の使用方法も
本発明の範囲内に包含しないことである。さらに、本発明は、本出願人らが権利を留保し
、且つ任意の以前に記載された製品、製品の作製プロセス、又は製品の使用方法のディス
クレーマー(disclaimer)を本明細書によって開示するように、米国特許商標
庁(USPTO)(米国特許法第112条第一段落)又は欧州特許庁(EPO)(EPC
第83条)の明細書の記載及び実施可能要件を満たさないいかなる製品、製品の作製プロ
セス、又は製品の使用方法も本発明の範囲内に包含しないよう意図されることが注記され
る。
本開示及び特に特許請求の範囲及び/又は段落において、「含む(comprises
)」、「含まれた(comprised)」、「含んでいる(comprising)」
などの用語は、米国特許法に帰する意味を有し得る;例えば、それらは、「包含する(i
ncludes)」、「包含された(included)」、「包含している(incl
uding)」などを意味し得ること;及び「〜から本質的になっている(consis
ting essentially of)」及び「〜から本質的になる(consis
ts essentially of)」などの用語は、米国特許法に帰する意味を有し
、例えば、それらは明示的に記載されない要素を許容するが、先行技術に見られる要素又
は本発明の基本的な若しくは新規の特徴に影響を与える要素は除外することが注記される
これら及び他の実施形態が開示され、又は以下の詳細な説明から明らかであり、及びそ
こに包含される。
本特許又は出願書類には、カラーで作成された少なくとも1つの図面が含まれる。カラ
ー図面を含むこの特許又は特許出願公報の写しは、請求及び必要な手数料の支払いで当局
により提供される。
以下の詳細な説明は例として提供されるものであり、本発明を、記載されている具体的
な実施形態のみに限定することを意図しておらず、参照により本明細書に援用される添付
図面と併せることで最良に理解され得る。
個別化された癌ワクチン又は免疫原性組成物の作製のフロープロセスを示す。 癌患者用の癌ワクチン又は免疫原性組成物を生成するための治療前工程のフロープロセスを示す。 本発明の例示的実施形態に係るプライムブースト戦略に基づく免疫化スケジュールを示す。最初の約3週間にわたり複数回の免疫化を行なって、免疫応答のプライミング期の間における初期の高い抗原曝露を維持することができる。次いで、患者を8週間にわたり休ませることにより記憶T細胞を生じさせることができ、次いで、これらのT細胞をブーストすることにより強力な継続的応答を維持することができる。 本発明の例示的態様に係る一次免疫学的エンドポイントを示すタイムラインを示す。 本発明の例示的実施形態に従って個別のネオ抗原ペプチドを4つのサブグループのプールにする製剤処理を示す略図を示す。 ネオ抗原製剤を使用したマウス樹状細胞の刺激後の多数の主要免疫マーカーの誘導レベルを評価する定量的PCRの結果を示す。 5%デキストロース及び0.8%DMSOのMDSC分析を示す。 10%トレハロース及び0.8%DMSOのMDSC分析を示す。 10%スクロース及び0.8%DMSOのMDSC分析を示す。 例示的凍結乾燥の圧力プロファイルを示す。 例示的凍結乾燥の温度プロファイルを示す。 本発明の例示的製剤を使用した凍結乾燥ケーキの外観を示す。 アミノ酸配列KYNDFDSEPMFLFIVFSHGILVNHMLIVVM(配列番号1)を有する所与のペプチドに関してHYDRO値がどのようにして決定されるかの例を示す。 ペプチドのセットに関してHYDRO対Pをプロットするチャートを示す。 図14のペプチドを含むペプチドのより大きなセットに関してHYDRO対Pをプロットするチャートを示す。
定義
本発明の理解を助けるため、本明細書にいくつかの用語及び語句を定義する。
具体的に記載されるか又は文脈から明らかである場合を除き、本明細書で使用されると
き、用語「約」は、当該技術分野における通常の許容差の範囲内、例えば平均値の2標準
偏差以内であると理解される。約は、記載される値の50%、45%、40%、35%、
30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%
、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内と理解することが
できる。文脈から別段明らかでない限り、本明細書に提供される全ての数値が約の用語に
よって修飾されている。
具体的に記載されるか又は文脈から明らかである場合を除き、本明細書で使用されると
き、用語「又は」は、包含的であるものと理解される。具体的に記載されるか又は文脈か
ら明らかである場合を除き、本明細書で使用されるとき、用語「a」、「an」、及び「
the」は、単数形又は複数形であるものと理解される。
「薬剤」とは、任意の小分子化学的化合物、抗体、核酸分子、又はポリペプチド、又は
それらの断片が意味される。
「改善する」とは、疾患(例えば、新生物、腫瘍等)の発症又は進行を低下させ、抑制
し、減弱させ、減少させ、停止させ、又は安定化させることが意味される。
「改変」とは、本明細書に記載されるような当該技術分野で公知の標準的な方法により
検出するときの遺伝子又はポリペプチドの発現レベル又は活性の変化(増加又は減少)が
意味される。本明細書で使用されるとき、改変には、発現レベルの10%の変化、好まし
くは発現レベルの25%の変化、より好ましくは40%の変化、及び最も好ましくは50
%又はそれ以上の変化が含まれる。
「類似体」とは、同一ではないが、類似の機能的又は構造的特徴を有する分子が意味さ
れる。例えば、腫瘍特異的ネオ抗原ポリペプチド類似体は、対応する天然に存在する腫瘍
特異的ネオ抗原ポリペプチドの生物学的活性を保持する一方で、天然に存在するポリペプ
チドと比べて類似体の機能を増強する特定の生化学的修飾を有する。かかる生化学的修飾
は、類似体のプロテアーゼ耐性、膜透過性、又は半減期を、例えばリガンド結合を変える
ことなしに増加させ得る。類似体には非天然アミノ酸が含まれ得る。
用語「ネオ抗原(neoantigen)」又は「ネオ抗原(neoantigeni
c)」は、ゲノムによりコードされたタンパク質のアミノ酸配列を変更する腫瘍特異的突
然変異から生じる腫瘍抗原のクラスを意味する。
「新生物」とは、不適切に高いレベルの細胞分裂、不適切に低いレベルのアポトーシス
、又はその両方によって引き起こされるか又はそれをもたらす任意の疾患が意味される。
例えば癌は、新生物の例である。癌の例としては、限定なしに、白血病(例えば、急性白
血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性
白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨
髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病
、非ホジキン病)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、及び固形腫瘍
、例えば肉腫及び癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊
索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイ
ング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮
癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管
支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管(nile duct)癌、絨毛癌、セミノーマ、
胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上
皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、
聴神経腫、乏突起膠腫(oligodenroglioma)、シュワン腫、髄膜腫、メ
ラノーマ、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫)が挙げられる。リンパ増殖性障害もまた増
殖性疾患と考えられる。
用語「新生物ワクチン」は、新生物/腫瘍特異的ネオ抗原、例えば少なくとも2つ、少
なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又はそれ以上のネオ抗原ペプチドのプ
ール試料を指すことが意図される。「ワクチン」は、疾患(例えば、新生物/腫瘍)の予
防及び/又は治療用の免疫を生じさせる組成物を意味するものと理解されるべきである。
従って、ワクチンは、抗原を含む薬剤であって、ヒト又は動物においてワクチン接種によ
り特定の防御及び保護物質を生じさせるために使用されることが意図される薬剤である。
「新生物ワクチン組成物」は、薬学的に許容可能な賦形剤、担体又は希釈剤を含み得る。
用語「薬学的に許容可能」は、ヒトを含めた動物における使用が連邦政府又は州政府の
規制当局によって承認済み又は承認見込みであるか、或いは米国薬局方又は他の一般に認
められている薬局方に収載されていることを指す。
「薬学的に許容可能な賦形剤、担体又は希釈剤」は、対象に薬剤と共に投与することの
できる、且つ治療量の薬剤を送達するのに十分な用量で投与したときにも薬剤の薬理活性
を損なわず非毒性である賦形剤、担体又は希釈剤を指す。
本明細書に記載されるとおりのプールされた腫瘍特異的ネオ抗原の「薬学的に許容可能
な塩」は、ヒト又は動物の組織と接触して使用しても過度の毒性、刺激作用、アレルギー
反応、又は他の問題又は合併症なしに好適であると当該技術分野で一般に考えられている
酸性塩又は塩基性塩であってもよい。かかる塩としては、アミンなどの塩基性残基の無機
塩類及び有機酸塩類、並びにカルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩類又は有機塩類が挙
げられる。具体的な薬学的塩としては、限定はされないが、塩酸、リン酸、臭化水素酸、
リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、ト
ルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−
ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒
石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コ
ハク酸、フマル酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、
フェニル酢酸、アルカン酸、例えば、酢酸、HOOC−(CH−COOH(式中、
nは0〜4である)などの酸の塩が挙げられる。同様に、薬学的に許容可能なカチオンと
しては、限定はされないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウ
ム及びアンモニウムが挙げられる。当業者は、Remington’s Pharmac
eutical Sciences,17th ed.,Mack Publishin
g Company,Easton,PA,p.1418(1985)に掲載されるもの
を含め、本明細書に提供されるプールされた腫瘍特異的ネオ抗原のさらなる薬学的に許容
可能な塩を、この開示及び当該技術分野における知識から認識するであろう。一般に、薬
学的に許容可能な酸性塩又は塩基性塩は、任意の従来の化学的方法により、塩基部分又は
酸部分を含有する親化合物から合成することができる。簡潔に言えば、かかる塩は、遊離
酸又は遊離塩基の形態のこれらの化合物を適切な溶媒中で化学量論量の適切な塩基又は酸
と反応させることにより調製し得る。
「ポリペプチド」又は「ペプチド」とは、天然でそれに付随する成分から分離されてい
るポリペプチドが意味される。典型的には、ポリペプチドに天然でそれと結び付いている
タンパク質及び天然に存在する有機分子の少なくとも60重量%が存在しないとき、その
ポリペプチドは単離されている。好ましくは、この調製物は、少なくとも75重量%、よ
り好ましくは少なくとも90重量%、及び最も好ましくは少なくとも99重量%がポリペ
プチドである。単離ポリペプチドは、例えば、天然の供給源から抽出することによるか、
かかるポリペプチドをコードする組換え核酸を発現させることによるか;又はタンパク質
を化学的に合成することによって入手し得る。純度は、任意の適切な方法、例えば、カラ
ムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるか、又はHPLC分析に
よって計測することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「予防する」、「予防している」、「予防」、「予防
的治療」などは、疾患又は病態に罹っていないが、それを発症するリスクがある又はそれ
を発症し易い対象において疾患又は病態が発症する可能性を低減することを指す。
用語「プライム/ブースト」又は「プライム/ブースト投薬レジメン」は、ワクチン又
は免疫原性若しくは免疫学的組成物の逐次投与を指すことが意図される。プライミング投
与(プライミング)は、第1のワクチン又は免疫原性若しくは免疫学的組成物タイプの投
与であり、1回、2回以上の投与を含み得る。ブースト投与は、第2のワクチン又は免疫
原性若しくは免疫学的組成物タイプの投与であり、1回、2回以上の投与を含み得るとと
もに、例えば、年1回の投与を含み得るか、又はそれから本質的になり得る。特定の実施
形態において、新生物ワクチン又は免疫原性組成物の投与はプライム/ブースト投薬レジ
メンである。
本明細書に提供される範囲は、その範囲内の全ての値の省略表現であると理解される。
例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、
13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、2
6、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39
、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群
からの任意の数、数の組み合わせ、又は部分範囲、並びに前述の整数の間に介在する全て
の小数値、例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8
、及び1.9などを含むものと理解される。部分範囲に関して、その範囲のいずれかの端
点から延びる「入れ子の部分範囲」が特に企図される。例えば、1〜50の例示的範囲の
入れ子の部分範囲は、一方の向きに1〜10、1〜20、1〜30、及び1〜40、又は
他方の向きに50〜40、50〜30、50〜20、及び50〜10を含み得る。
「受容体」は、リガンド結合能を有する生体分子又は分子分類を意味すると理解される
べきである。受容体は、細胞、細胞形成又は生物において情報を伝達する働きをし得る。
受容体は少なくとも1つの受容体単位を含み、2つ以上の受容体単位を含むことが多く、
ここで各受容体単位は、タンパク質分子、詳細には糖タンパク質分子からなり得る。受容
体はリガンドの構造を補完する構造を有し、リガンドを結合パートナーとして複合体を形
成し得る。細胞の表面上でリガンドと結合した後、受容体の立体構造が変化することによ
ってシグナル情報が伝達され得る。本発明によれば、受容体は、リガンド、詳細には好適
な長さのペプチド又はペプチド断片と受容体/リガンド複合体を形成する能力を有するM
HCクラスI及びIIの特定のタンパク質を指し得る。
「受容体/リガンド複合体」はまた、「受容体/ペプチド複合体」又は「受容体/ペプ
チド断片複合体」を意味するとも理解されるべきであり、具体的には、クラスI又はクラ
スIIのペプチド提示MHC分子又はペプチド断片提示MHC分子を意味するとも理解さ
れるべきである。
「低減する」は、少なくとも10%、25%、50%、75%又は100%の負の変化
を意味する。
「参照」は標準条件又はコントロール条件を意味する。
「参照配列」は、配列比較の基礎として使用される定義された配列である。参照配列は
特定の配列のサブセット又は全体であることができ、例えば、完全長cDNA若しくはゲ
ノム配列のセグメント又は完全なcDNA若しくはゲノム配列であることができる。ポリ
ペプチドに関しては、参照ポリペプチド配列の長さは概して少なくとも約10〜2,00
0個のアミノ酸、10〜1,500個、10〜1,000個、10〜500個又は10〜
100個であり得る。好ましくは、参照ポリペプチド配列の長さは少なくとも約10〜5
0個のアミノ酸であり得、より好ましくは少なくとも約10〜40個のアミノ酸であり得
、さらにより好ましくは約10〜30個のアミノ酸、約10〜20個のアミノ酸、約15
〜25個のアミノ酸又は約20個のアミノ酸であり得る。核酸に関しては、参照核酸配列
の長さは概して少なくとも約50個のヌクレオチドであり得、好ましくは少なくとも約6
0個のヌクレオチドであり得、より好ましくは少なくとも約75個のヌクレオチドであり
得、さらにより好ましくは約100個のヌクレオチド又は約300個のヌクレオチド又は
それらに近い若しくはそれらの間にある任意の整数であり得る。
「特異的に結合する」は、ポリペプチドを認識して結合するが、試料(例えば生体試料
)中の他の分子を実質的に認識せず結合もしない化合物又は抗体を意味する。
本発明の方法において有用な核酸分子には、本発明のポリペプチド又はその断片をコー
ドする任意の核酸分子が含まれる。そのような核酸分子は内在性核酸配列と100%同一
である必要はないが、典型的には実質的な同一性を呈し得る。内在性配列と「実質的な同
一性」を有するポリヌクレオチドは、典型的には二本鎖核酸分子の少なくとも一方の鎖と
ハイブリダイズすることができる。「ハイブリダイズする」は、様々なストリンジェンシ
ー条件下において相補的なポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載されている遺
伝子)又はその一部分の間で対合して二本鎖分子を形成することを意味する(例えば、W
ahl,G.M.and S.L.Berger(1987)Methods Enzy
mol.152:399;Kimmel,A.R.(1987)Methods Enz
ymol.152:507を参照)。
例えば、ストリンジェントな塩濃度は通常、約750mM NaCl及び75mMクエ
ン酸三ナトリウムよりも低く、好ましくは約500mM NaCl及び50mMクエン酸
三ナトリウムよりも低く、より好ましくは約250mM NaCl及び25mMクエン酸
三ナトリウムよりも低い。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションを有機溶媒(例
えばホルムアミド)の非存在下で得ることができ、高ストリンジェンシーハイブリダイゼ
ーションを少なくとも約35%ホルムアミドの存在下で得ることができ、より好ましくは
少なくとも約50%ホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度
条件としては通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ま
しくは少なくとも約42℃の温度を挙げることができる。種々のさらなるパラメータ、例
えばハイブリダイゼーション時間、デタージェント(例えばドデシル硫酸ナトリウム(S
DS))の濃度及び担体DNAを含めるか又は含めないかは、当業者に公知である。これ
らの様々な条件を必要に応じて組み合わせることにより、様々なストリンジェンシーレベ
ルが実現される。好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションを、750mM
NaCl、75mMクエン酸三ナトリウム及び1%SDS中にて30℃で行うことができ
る。より好ましい実施形態において、ハイブリダイゼーションを、500mM NaCl
、50mMクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド及び100μg/m
l変性サケ精子DNA(ssDNA)中にて37℃で行うことができる。最も好ましい実
施形態において、ハイブリダイゼーションを、250mM NaCl、25mMクエン酸
三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド及び200μg/ml ssDNA中に
て42℃で行なうことができる。これらの条件に関する有用な変形例が当業者には容易に
明らかであろう。
ほとんどの用途では、ハイブリダイゼーションに続く洗浄工程もまたストリンジェンシ
ーの点で異なり得る。洗浄ストリンジェンシー条件は塩濃度及び温度により規定され得る
。上記のように、塩濃度を低下させることにより又は温度を上昇させることにより、洗浄
ストリンジェンシーを増加させることができる。例えば、洗浄工程に関するストリンジェ
ントな塩濃度は、好ましくは約30mM NaCl及び3mMクエン酸三ナトリウムより
も低く、最も好ましくは約15mM NaCl及び1.5mMクエン酸三ナトリウムより
も低い。洗浄工程に関するストリンジェントな温度条件としては通常、少なくとも約25
℃、より好ましくは少なくとも約42℃、さらにより好ましくは少なくとも約68℃の温
度を挙げることができる。好ましい実施形態において、洗浄工程を、30mM NaCl
、3mMクエン酸三ナトリウム及び0.1%SDS中にて25℃で行なうことができる。
より好ましい実施形態において、洗浄工程を、15mM NaCl、1.5mMクエン酸
三ナトリウム及び0.1%SDS中にて42℃で行なうことができる。より好ましい実施
形態において、洗浄工程を、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウム及び
0.1%SDS中にて68℃で行なうことができる。これらの条件に関するさらなる変形
例が当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は当業者に公知であ
り、例えば、Benton and Davis(Science 196:180,1
977);Grunstein and Hogness(Proc.Natl.Aca
d.Sci.,USA 72:3961,1975);Ausubel et al.(
Current Protocols in Molecular Biology,W
iley Interscience,New York,2001);Berger
and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Te
chniques,1987,Academic Press,New York);及
びSambrook et al.,Molecular Cloning:A Lab
oratory Manual,Cold Spring Harbor Labora
tory Press,New Yorkに記載されている。
用語「対象」は、治療、観察、又は実験の対象となる動物を指す。単に例として、対象
には、限定はされないが、哺乳動物、例えば限定はされないがヒト又は非ヒト哺乳動物、
例えば非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はネコが含まれる。
「実質的に同一」は、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されているアミノ酸
配列のいずれか一つ)又は核酸配列(例えば、本明細書に記載されている核酸配列のいず
れか一つ)と少なくとも50%の同一性を呈するポリペプチド又は核酸分子を意味する。
好ましくは、そのような配列は、比較に使用される配列とアミノ酸レベル又は核酸で少な
くとも60%同一であり、より好ましくは80%若しくは85%同一であり、より好まし
くは90%、95%又はさらには99%同一である。
配列同一性は、典型的には配列分析ソフトウェア(例えば、ジェネティクス・コンピュ
ーター・グループ(Genetics Computer Group)、ウィスコンシ
ン大学バイオテクノロジーセンター(University of Wisconsin
Biotechnology Center)、1710 University A
venue,Madison,Wis.53705の配列分析ソフトウェアパッケージ、
BLAST、BESTFIT、GAP、又はPILEUP/PRETTYBOXプログラ
ム)を使用して測定される。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失及び/又は他
の修飾に相同性の程度を割り当てることにより、同一の又は類似した配列をマッチさせる
。保存的置換として、典型的には以下の群内での置換が挙げられる:グリシン、アラニン
;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グ
ルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;及びフェニルアラニン、チロシン
。同一性の程度を決定するための例示的手法ではBLASTプログラムが使用され得、e
−3〜e−100の確率スコアが近縁の配列を示す。
「T細胞エピトープ」は、ペプチド提示MHC分子又はMHC複合体の形態でクラスI
又はIIのMHC分子により結合され得、次いで、この形態でナイーブT細胞、細胞傷害
性Tリンパ球又はTヘルパー細胞により認識されて結合され得るペプチド配列を意味する
と理解すべきである。
用語「処置する(treat)」、「処置される(treated)」、「処置する(
treating)」、「処置(treatment)」等は、障害及び/又はこれに関
連する症状(例えば新生物若しくは腫瘍)の低減又は寛解を指すことを意味する。「処置
する」には、癌に関連する任意の症状若しくは他の悪影響及び/又は癌治療に関連する副
作用の発生若しくは再発の頻度又は重症度を減らすことを指す「軽減する」という概念が
含まれる。用語「治療すること」にはまた、「管理すること」という概念も包含され、管
理とは、患者における特定の疾患又は障害の重症度を低減すること又はその再発を遅延さ
せること、例えば疾患に罹患していたことのある患者における寛解期間を延長させること
を指す。除外されるわけではないが、障害又は病態を治療するとは、障害、病態、又はそ
れに関連する症状の完全な消失を要するものではないことは理解されるであろう。
用語「治療効果」は、障害(例えば、新生物又は腫瘍)の症状の1つ以上又はそれに関
連する病理の何らかの軽減程度を指す。「治療有効量」は、本明細書で使用されるとき、
かかる治療がない場合に予想される以上に、かかる障害を有する患者の生存を延ばし、障
害の1つ以上の徴候又は症状を低減し、予防し又は遅延させるなどにおいて細胞又は対象
への単回又は頻回用量投与時に有効となる薬剤の量を指す。「治療有効量」は、治療効果
を実現するために必要な量の適格性を決めることが意図される。当該技術分野の通常の技
術を有する医師又は獣医師は、必要な医薬組成物の「治療有効量」(例えば、ED50)
を容易に決定し及び処方することができる。例えば、医師又は獣医師は、医薬組成物中に
用いられる本発明の化合物の用量を、所望の治療効果を実現するために必要な用量より低
いレベルで開始し、所望の効果が実現するまで投薬量を徐々に増加させてもよい。
本医薬組成物は、典型的には1日当たり体重1キログラム当たり約0.0001mg〜
約200mgの化合物の投薬量を提供しなければならない。例えば、ヒト患者に対する全
身投与の場合の投薬量は、0.01〜10μg/kg、20〜80μg/kg、5〜50
μg/kg、75〜150μg/kg、100〜500μg/kg、250〜750μg
/kg、500〜1000μg/kg、1〜10mg/kg、5〜50mg/kg、25
〜75mg/kg、50〜100mg/kg、100〜250mg/kg、50〜100
mg/kg、250〜500mg/kg、500〜750mg/kg、750〜1000
mg/kg、1000〜1500mg/kg、1500〜2000mg/kg、5mg/
kg、20mg/kg、50mg/kg、100mg/kg又は200mg/kgの範囲
であり得る。医薬投薬単位剤形は、投薬単位剤形当たり約0.001mg〜約5000m
g(例えば約100〜約2500mg)の化合物又は必須成分の組み合わせを提供するよ
うに調製される。
「ワクチン」は、疾患(例えば、新生物/腫瘍)の予防及び/又は治療のための免疫を
生じさせるための組成物を意味すると理解すべきである。従って、ワクチンは、抗原を含
み且つヒト又は動物においてワクチン接種により特定の防御及び保護物質を生じさせるた
めに使用されることが意図される薬剤である。
本明細書の可変基の任意の定義における化学基のリストの記載には、列挙される基の任
意の単一の基又は組み合わせとしての当該可変基の定義が含まれる。本明細書における可
変基又は態様に関する実施形態の記載には、任意の単一の実施形態としての実施形態又は
任意の他の実施形態若しくはその一部と組み合わせた実施形態が含まれる。
本明細書に提供される任意の組成物又は方法は、本明細書に提供される他の組成物及び
方法のいずれかの1つ以上と組み合わせることができる。
本発明は、複数の新生物/腫瘍特異的ネオ抗原を含む医薬組成物(例えば癌ワクチン)
の治療上有効な量を対象(例えば、ヒト等の哺乳動物)に投与することによる、新生物(
より具体的には詳細には腫瘍)の治療のためのワクチン及び方法に関する。本明細書にお
いてより詳細に記載するように、全ゲノム/エクソームシーケンシングを使用することに
より、個々の患者の新生物/腫瘍に特異的に存在する全ての又はほぼ全ての突然変異ネオ
抗原を同定することができ、この一群の突然変異ネオ抗原を分析することにより、患者の
新生物/腫瘍の治療のための個別化された癌ワクチン又は免疫原性組成物として使用され
るネオ抗原の特異的な及び最適化されたサブセットを同定することができる。例えば、各
患者の新生物/腫瘍DNA及び正常DNAを配列決定して腫瘍特異的突然変異を同定する
ことにより新生物/腫瘍特異的ネオ抗原の集団を同定してもよく、患者のHLAアロタイ
プを同定することができる。次いで、新生物/腫瘍特異的ネオ抗原及びそれらの同族の天
然抗原の集団を、どの腫瘍特異的突然変異が患者のHLAアロタイプに結合し得るエピト
ープを作り出すかを予測するための検証済みのアルゴリズムを使用するバイオインフォマ
ティクス分析にかけることができる。この分析に基づき、これらの突然変異のサブセット
に対応する複数のペプチドを患者毎に設計して合成することができ、患者の免疫化におい
て癌ワクチン又は免疫原性組成物として使用するために、まとめてプールすることがきる
。このネオ抗原ペプチドは、アジュバント(例えばポリICLC)又は別の抗新生物剤と
併用され得る。理論により拘束されるものではないが、このネオ抗原は中枢性胸腺トレラ
ンス(central thymic tolerance)を回避し(従ってより強力
な抗腫瘍T細胞応答が可能となる)、一方で(例えば、正常な自己抗原の標的化を回避す
ることにより)自己免疫の可能性を低下させるものと予想される。
免疫系は、2つの機能的サブシステムに分類することができる:自然免疫系及び獲得免
疫系。自然免疫系は感染に対する防御の最前線であり、最も潜在的能力のある病原体が、
例えば認識し得る感染を引き起こし得る前にこの系によって速やかに中和される。獲得免
疫系は、抗原と称される、侵入生物の分子構造に応答する。獲得免疫応答には、体液性免
疫応答及び細胞媒介性免疫応答を含む2種類がある。体液性免疫応答では、B細胞によっ
て体液中に分泌される抗体が病原体由来抗原に結合し、種々の機序、例えば補体媒介性溶
解を介した病原体の排除をもたらす。細胞媒介性免疫応答では、他の細胞を破壊する能力
を有するT細胞が活性化される。例えば、疾患に関連するタンパク質が細胞中に存在する
場合、それらのタンパク質が細胞内でタンパク質分解によってペプチドに断片化される。
次にこのように形成された抗原又はペプチドに特定の細胞タンパク質が付着してそれらを
細胞の表面に輸送し、そこでそれらの抗原又はペプチドが身体の分子防御機構、詳細には
T細胞に提示される。細胞傷害性T細胞はこれらの抗原を認識し、そうした抗原を有する
細胞を死滅させる。
ペプチドを細胞表面に輸送して提示する分子は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)
のタンパク質と称される。MHCタンパク質は、MHCクラスI及びMHCクラスIIと
称される2種類に分類される。これらの2つのMHCクラスのタンパク質の構造は極めて
類似している;しかしながら、これらは非常に異なる機能を有する。MHCクラスIのタ
ンパク質は、多くの腫瘍細胞を含め、体のほぼ全ての細胞の表面上に存在する。MHCク
ラスIタンパク質には、通常、内因性タンパク質由来又は細胞内に存在する病原体由来の
抗原が負荷され、次にそれがナイーブ又は細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に提示される
。MHCクラスIIタンパク質は、樹状細胞、Bリンパ球、マクロファージ及び他の抗原
提示細胞上に存在する。MHCクラスIIタンパク質は主に、外部抗原供給源から、即ち
細胞の外側でプロセシングされるペプチドをTヘルパー(Th)細胞に提示する。MHC
クラスIタンパク質が結合するペプチドのほとんどは、生物自身の健常宿主細胞に生じる
細胞質タンパク質に由来し、通常は免疫応答を刺激しない。従って、クラスIのかかる自
己ペプチド提示MHC分子を認識する細胞傷害性Tリンパ球は胸腺(中枢性トレランス)
で除去されるか、又は胸腺から放出された後に除去又は不活性化され、即ち寛容化される
(末梢性トレランス)。MHC分子は、非寛容化Tリンパ球にペプチドを提示するとき、
免疫応答を刺激する能力を有する。細胞傷害性Tリンパ球は、その表面にT細胞受容体(
TCR)及びCD8分子の両方を有する。T細胞受容体は、MHCクラスIの分子と複合
体化したペプチドを認識及び結合する能力を有する。各細胞傷害性Tリンパ球は、特異的
なMHC/ペプチド複合体との結合能を有するユニークなT細胞受容体を発現する。
ペプチド抗原は、細胞表面に提示される前に、小胞体内で競合的親和性結合によってM
HCクラスIの分子に付着する。ここで、個々のペプチド抗原の親和性は、そのアミノ酸
配列及びアミノ酸配列内の定義された位置における特異的結合モチーフの存在に直接関係
する。かかるペプチドの配列が分かっている場合、罹患細胞に対する免疫系を、例えばペ
プチドワクチンを使用して操作することが可能である。
治癒的且つ腫瘍特異的免疫療法薬の開発を妨げる重大な障害の一つは、自己免疫を回避
するための高度に特異的且つ制限的な腫瘍抗原の同定及び選択である。悪性細胞内での遺
伝子変化(例えば、逆位、転座、欠失、ミスセンス突然変異、スプライス部位突然変異等
)の結果として生じる腫瘍ネオ抗原は、最も腫瘍特異的な抗原クラスに相当する。ネオ抗
原は、その同定、最適化されたネオ抗原の選択、及びワクチン又は免疫原性組成物に使用
されるネオ抗原の作製が技術的に困難であるため、癌ワクチン又は免疫原性組成物に使用
されることはほとんどなかった。これらの問題は以下によって対処され得る:
・ 各患者からの対応する生殖系列試料に対する腫瘍の全ゲノム、全エクソーム(例え
ば、捕捉されたエクソンのみ)又はRNAシーケンシングを使用して、DNAレベルで新
生物/腫瘍における全ての又はほぼ全ての突然変異を同定すること;
・ 新生物/腫瘍内で発現され、且つ患者のHLA対立遺伝子に結合し得る複数の候補
ネオ抗原T細胞エピトープを生成するために、1つ以上のペプチド−MHC結合予測アル
ゴリズムにより、同定された突然変異を分析すること;及び
・ 癌ワクチン又は免疫原性組成物で使用するために、全てのネオORFペプチド及び
予測結合ペプチドのセットから選択された複数の候補ネオ抗原ペプチドを合成すること。
例えば、シーケンシング情報を治療ワクチンに変えるには、以下が含まれる:
(1)個体のHLA分子に結合することができる個人的な突然変異ペプチドの予測。ど
の特定の突然変異を免疫原として利用するべきかを効率的に選択するには、患者のHLA
タイプの同定及びどの突然変異ペプチドが患者のHLA対立遺伝子に効率的に結合し得る
かを予測する能力が必要である。近年、バリデートされた結合及び非結合ペプチドによる
ニューラルネットワークベースの学習手法によって、主要なHLA−A及び−B対立遺伝
子に関する予測アルゴリズムの精度が進歩している。
(2)薬物をロングペプチドのマルチエピトープワクチンとして製剤化すること。現実
に可能な限り多くの突然変異エピトープを標的にすることにより、免疫系の多大な能力が
活用され、特定の免疫標的化遺伝子産物の下方制御による免疫エスケープの機会が阻止さ
れ、及びエピトープ予測手法の既知の不正確さが補償される。合成ペプチドは、複数の免
疫原を効率的に調製し且つ突然変異体エピトープの同定を有効なワクチンに迅速に変える
ための特に有用な手段を提供する。ペプチドは夾雑細菌又は動物性物質を含有しない試薬
を利用して容易に化学的に合成し、簡単に精製することができる。サイズが小さいため、
タンパク質の突然変異領域に明確に焦点を合わせることが可能であり、また、他の成分(
非突然変異タンパク質又はウイルスベクター抗原)からの無関係な抗原競合も低下する。
(3)強力なワクチンアジュバントとの併用。有効なワクチンには、免疫応答を惹起す
る強力なアジュバントが必要である。以下に記載するとおり、TLR3アゴニスト並びに
MDA5及びRIG3のRNAヘリカーゼドメインであるポリICLCが、ワクチンアジ
ュバントに望ましい幾つかの特性を示している。それらの特性には、インビボでの免疫細
胞の局所及び全身活性化の誘導、刺激ケモカイン及びサイトカインの産生、並びにDCに
よる抗原提示の刺激が含まれる。さらに、ポリICLCは、ヒトにおいて持続的なCD4
+及びCD8+応答を誘導することができる。重要なことに、ポリICLCを伴いワクチ
ン接種した対象と、極めて有効性の高い複製コンピテント黄熱病ワクチンの投与を受けた
ことがあるボランティアとにおいて、転写経路及びシグナル伝達経路の上方調節の点で顕
著な類似性が認められた。さらに、最近の第1相研究では、(Montanideに加え
て)NYES0−1ペプチドワクチンと組み合わせてポリICLCで免疫した卵巣癌患者
の90%超がCD4+及びCD8+ T細胞の誘導並びにペプチドに対する抗体反応を示
した。同時に、ポリICLCは現在までに25件を上回る臨床試験で広範に試験されてお
り、比較的安全な毒性プロファイルを呈している。本発明の利点は本明細書にさらに記載
される。
本明細書に記載されるとおり、動物及びヒトの両方において、免疫応答の誘導に突然変
異エピトープが有効であること及び自発的腫瘍退縮又は長期生存の症例が突然変異エピト
ープに対するCD8+ T細胞応答と相関すること(Buckwalter and S
rivastava PK.「「それが抗原である、ばかげたことに」及びヒト癌のワク
チン療法の10年にわたる他のレッスン(“It is the antigen(s)
,stupid” and other lessons from over a d
ecade of vaccitherapy of human cancer)」.
Seminars in immunology 20:296−300(2008);
Karanikas et al,「長期生存肺癌患者の血中におけるHLA四量体で検
出可能な腫瘍特異的突然変異抗原に対する細胞溶解性Tリンパ球の高頻度(High f
requency of cytolytic T lymphocytes dire
cted against a tumor−specific mutated an
tigen detectable with HLA tetramers in t
he blood of a lung carcinoma patient wit
h long survival)」.Cancer Res.61:3718−372
4(2001);Lennerz et al,「ヒトメラノーマに対する自己T細胞の
応答は突然変異ネオ抗原によって支配される(The response of aut
ologous T cells to a human melanoma is d
ominated by mutated neo−antigens)」.Proc
Natl Acad Sci U S A.102:16013(2005))及びマウ
ス及びヒトにおける優勢な突然変異抗原の発現の改変に対する「免疫編集」を追跡し得る
こと(Matsushita et al,「癌エクソーム解析は癌免疫編集のT細胞依
存性機序を明らかにする(Cancer exome analysis reveal
s a T−cell−dependent mechanism of cancer
immunoediting)」Nature 482:400(2012);DuP
age et al,「腫瘍特異的抗原の発現が癌免疫編集の根底にある(Expres
sion of tumor−specific antigens underlie
s cancer immunoediting)」Nature 482:405(2
012);及びSampson et al,「新しく診断された膠芽腫患者の上皮成長
因子受容体変異体IIIペプチドワクチン接種に伴う長期無進行生存後の免疫エスケープ
(Immunologic escape after prolonged prog
ression−free survival with epidermal gro
wth factor receptor variant III peptide
vaccination in patients with newly diagn
osed glioblastoma)」J Clin Oncol.28:4722−
4729(2010))のエビデンスが多数ある。一実施形態において、癌患者の突然変
異エピトープが決定される。一実施形態において、癌患者の突然変異エピトープを決定す
る。
一実施形態において、突然変異エピトープを、次世代シーケンシング技術を使用して癌
患者由来の腫瘍組織及び健常組織のゲノム及び/又はエクソームを配列決定することによ
り決定する。別の実施形態において、突然変異の頻度及びネオ抗原として働く能力に基づ
いて選択される遺伝子を、次世代シーケンシング技術を使用して配列決定する。次世代シ
ーケンシングは、ゲノムシーケンシング、ゲノムリシーケンシング、トランスクリプトー
ムプロファイリング(RNA−Seq)、DNA−タンパク質相互作用(ChIPシーケ
ンシング)及びエピゲノムキャラクタリゼーションに適用される(de Magalha
es JP,Finch CE,Janssens G(2010).「加齢研究におけ
る次世代シーケンシング:新たに現れつつある手法、問題、落とし穴及び可能な解決法(
Next−generation sequencing in aging rese
arch:emerging applications,problems,pitf
alls and possible solutions)」.Ageing Res
earch Reviews 9(3):315−323;Hall N(May 20
07).「最新シーケンシング技術及び微生物学におけるその広範な影響(Advanc
ed sequencing technologies and their wid
er impact in microbiology)」.J.Exp.Biol.2
09(Pt 9):1518−1525;Church GM(January 200
6).「皆のためのゲノム(Genomes for all)」.Sci.Am.29
4(1):46−54;ten Bosch JR,Grody WW(2008).「
次世代についていく(Keeping Up with the Next Gener
ation)」.The Journal of Molecular Diagnos
tics 10(6):484−492;Tucker T,Marra M,Frie
dman JM(2009).「超並列シーケンシング:ゲノムマシーンにおける次なる
目玉(Massively Parallel Sequencing:The Nex
t Big Thing in Genetic Medicine)」.The Am
erican Journal of Human Genetics 85(2):1
42−154)。次世代シーケンシングは現在、別々の突然変異の存在を迅速に明らかに
することができ、例えば、個々の腫瘍におけるコード突然変異、最も一般的には単一アミ
ノ酸変化(例えばミスセンス突然変異)、並びに頻度は低いが、フレームシフト挿入/欠
失/遺伝子融合、終止コドンにおけるリードスルー突然変異、及び不適切にスプライスさ
れたイントロンの翻訳(例えばネオORF)により生成されるアミノ酸の新規ストレッチ
を迅速に明らかにすることができる。ネオORFは、その配列の全体が免疫系にとって完
全に新規であり、従ってウイルス性又は細菌性の外来抗原に類似していることから、免疫
原として特に有益である。従って、ネオORFは:(1)腫瘍に対して高度に特異的であ
り(即ち、いかなる正常細胞においても発現がない);且つ(2)中枢性トレランスを回
避して、それによりネオ抗原特異的CTLの前駆体頻度を増加させることができる。例え
ば、ヒトパピローマウイルス(HPV)から誘導されたペプチドにより、治療用抗癌ワク
チン又は免疫原性組成物において類似の外来配列を利用する力が最近になって実証された
。ウイルス性癌遺伝子E6及びE7に由来するHPVペプチド混合物のワクチン接種を3
〜4回受けた、新生物発生前のウイルス誘導性疾患を有する19例の患者の約50%が、
24ヶ月以上にわたり完全寛解を維持した(Kenter et al,「外陰上皮内新
生物に関するHPV−16癌タンパク質に対するワクチン接種(Vaccination
against HPV−16 Oncoproteins for Vulvar
Intraepithelial Neoplasia)」NEJM 361:1838
(2009))。
シーケンシング技術により、腫瘍は各々、遺伝子のタンパク質コード内容を改変する複
数の患者特異的突然変異を含むことが明らかになっている。かかる突然変異は、単一アミ
ノ酸変化(ミスセンス突然変異によって引き起こされる)から、フレームシフト、終止コ
ドンのリードスルー又はイントロン領域の翻訳(新規オープンリーディングフレーム突然
変異;ネオORF)に起因する新規アミノ酸配列の長い領域の付加にまで及ぶ改変タンパ
ク質を作り出す。これらの突然変異タンパク質は、天然タンパク質と異なり自己トレラン
スの免疫抑制効果を受けないため、腫瘍に対する宿主の免疫応答にとって有用な標的であ
る。従って、突然変異タンパク質は免疫原性である可能性が一層高く、また患者の正常細
胞と比較して腫瘍細胞に対する特異性もより高い。
腫瘍特異的ネオ抗原を同定する代替的方法は、タンパク質の直接シーケンシングである
。タンデム質量分析法(MS/MS)等の多次元MS技術(MSn)を使用する酵素消化
物のタンパク質シーケンシングを使用して、本発明のネオ抗原を同定することもできる。
そのようなプロテオミクス手法は、迅速で高度に自動化された分析を可能にする(例えば
、K.Gevaert and J.Vandekerckhove,Electrop
horesis 21:1145−1154(2000)を参照)。さらに、本発明の範
囲内で、未知のタンパク質のハイスループットなデノボシーケンシング方法を使用して患
者の腫瘍のプロテオームを分析し、発現したネオ抗原を同定し得ることが企図される。例
えば、メタショットガンタンパク質シーケンシングを使用して、発現したネオ抗原を同定
することができる(例えば、Guthals et al.(2012)「メタコンティ
グアセンブリによるショットガンタンパク質シーケンシング(Shotgun Prot
ein Sequencing with Meta−contig Assembly
)」,Molecular and Cellular Proteomics 11(
10):1084−96を参照)。
MHC多量体を使用してネオ抗原特異的T細胞応答を同定し、腫瘍特異的ネオ抗原を同
定してもよい。例えば、患者試料におけるネオ抗原特異的T細胞応答のハイスループット
分析を、MHC四量体ベースのスクリーニング技術を使用して実施してもよい(例えば、
Hombrink et al.(2011)「MHC四量体ベースのスクリーニングに
よる潜在的マイナー組織適合抗原のハイスループット同定:実現可能性と限界(High
−Throughput Identification of Potential
Minor Histocompatibility Antigens by MHC
Tetramer−Based Screening:Feasibility an
d Limitations)」6(8):1−11;Hadrup et al.(2
009)「MHC多量体の多次元コーディングによる抗原特異的T細胞応答の並列検出(
Parallel detection of antigen−specific T
−cell responses by multidimensional enco
ding of MHC multimers)」,Nature Methods,6
(7):520−26;van Rooij et al.(2013)「腫瘍エクソー
ム分析がイピリムマブ応答性メラノーマにおけるネオ抗原特異的T細胞応答性を明らかに
する(Tumor exome analysis reveals neoantig
en−specific T−cell reactivity in an Ipil
imumab−responsive melanoma)」,Journal of
Clinical Oncology,31:1−4;及びHeemskerk et
al.(2013)「癌アンチゲノム(The cancer antigenome)
」,EMBO Journal,32(2):194−203を参照)。そのような四量
体ベースのスクリーニング技術を腫瘍特異的ネオ抗原の初期同定に使用し、或いは患者が
どのようなネオ抗原に既に曝露されている可能性があるかどうかを評価するための二次ス
クリーニングプロトコルとして使用し、それにより本発明の候補ネオ抗原の選択を促進す
ることができる。
一実施形態において、癌患者における突然変異の存在を決定することから得られるシー
ケンシングデータを分析して、個人のHLA分子に結合することができる個人的な突然変
異ペプチドを予測する。一実施形態において、このデータを、コンピュータを使用して分
析する。別の実施形態において、この配列データをネオ抗原の存在に関して分析する。一
実施形態において、ネオ抗原を、MHC分子に対するこのネオ抗原の親和性により決定す
る。どの特定の突然変異を免疫原として利用するべきかを効率的に選択するには、患者の
HLAタイプの同定及びどの突然変異ペプチドが患者のHLA対立遺伝子に効率的に結合
し得るかを予測する能力が必要である。近年、バリデートされた結合及び非結合ペプチド
によるニューラルネットワークベースの学習手法によって、主要なHLA−A及び−B対
立遺伝子に関する予測アルゴリズムの精度が進歩している。どのミスセンス突然変異が患
者のコグネイトMHC分子との強力な結合ペプチドを生じるかを予測する近年改良された
アルゴリズムを利用して、各患者に最適な突然変異エピトープ(ネオORF及びミスセン
スの両方)を代表する一組のペプチドを同定し、優先順位を付けることができる(Zha
ng et al,「免疫学における機械学習競争−HLAクラスI結合ペプチドの予測
(Machine learning competition in immunol
ogy−Prediction of HLA class I binding pe
ptides)」J Immunol Methods 374:1(2011);Lu
ndegaard et al 「ニューラルネットワークベースの方法を用いたエピト
ープの予測(Prediction of epitopes using neura
l network based methods)」J Immunol Metho
ds 374:26(2011))。
現実に可能な限り多くの突然変異エピトープを標的にすることにより、免疫系の多大な
能力が活用され、特定の免疫標的化遺伝子産物の下方制御による免疫エスケープの機会が
阻止され、及びエピトープ予測手法の既知の不正確さが補償される。合成ペプチドは、複
数の免疫原を効率的に調製し且つ突然変異体エピトープの同定を有効なワクチン又は免疫
原性組成物に迅速に変えるための特に有用な手段を提供する。ペプチドは夾雑細菌又は動
物性物質を含有しない試薬を利用して容易に化学的に合成し、簡単に精製することができ
る。サイズが小さいため、タンパク質の突然変異領域に明確に焦点を合わせることが可能
であり、また、他の成分(非突然変異タンパク質又はウイルスベクター抗原)からの無関
係な抗原競合も低下する。
一実施形態において、薬物製剤はロングペプチドのマルチエピトープワクチン又は免疫
原性組成物である。かかる「ロング」ペプチドは樹状細胞などのプロフェッショナル抗原
提示細胞において効率的なインターナリゼーション、プロセシング及び交差提示を受け、
且つヒトにおいてCTLを誘導することが示されている(Melief and van
der Burg,「合成ロングペプチドワクチンによる樹立された(前)悪性疾患の
免疫療法(Immunotherapy of established (pre)m
alignant disease by synthetic long pepti
de vaccines)」Nature Rev Cancer 8:351(200
8))。一実施形態において、少なくとも1つのペプチドが免疫化用に調製される。好ま
しい実施形態において、20以上のペプチドが免疫化用に調製される。好ましい実施形態
において、ネオ抗原ペプチドは約5〜約50アミノ酸長の範囲である。別の実施形態にお
いて、約15〜約35アミノ酸長のペプチドが合成される。好ましい実施形態において、
ネオ抗原ペプチドは約20〜約35アミノ酸長の範囲である。
腫瘍特異的ネオ抗原の作製
本発明は、少なくとも一部には、患者の免疫系に腫瘍特異的ネオ抗原のプールを提示す
る能力に基づく。当業者は、本開示及び当該技術分野における知識から、かかる腫瘍特異
的ネオ抗原を作製する種々の方法があることを理解するであろう。一般に、かかる腫瘍特
異的ネオ抗原は、インビトロ又はインビボのいずれでも作製し得る。腫瘍特異的ネオ抗原
はインビトロでペプチド又はポリペプチドとして作製されてもよく、次にそれが個人的な
新生物ワクチン又は免疫原性組成物に製剤化され、対象に投与されてもよい。本明細書に
さらに詳細に記載するとおり、かかるインビトロ作製は、例えば、種々の細菌、真核生物
、又はウイルス組換え発現系のいずれかにおけるDNA又はRNA分子からのペプチド/
ポリペプチドのペプチド合成又は発現と、続く発現したペプチド/ポリペプチドの精製な
ど、当業者に公知の種々の方法によって行われ得る。或いは、腫瘍特異的ネオ抗原は、腫
瘍特異的ネオ抗原をコードする分子(例えば、DNA、RNA、ウイルス発現系など)を
対象に導入し、導入後にコードされた腫瘍特異的ネオ抗原が発現することによりインビボ
で作製されてもよい。ネオ抗原のインビトロ及びインビボ作製方法はまた、本明細書にお
いて、それが医薬組成物及び送達方法に関するときさらに記載される。
水溶液に可溶なペプチドの選択
本明細書で開示されている方法は、水溶液に可溶であるペプチドを選択する能力に少な
くとも部分的に基づく。ペプチドの溶解性を実験により決定してもよい。水溶液でのペプ
チドの溶解性を、各ペプチドのアミノ酸配列に基づいて決定することもできる。一実施形
態において、ペプチドの溶解性を、このペプチドの疎水性及び等電点(Pi)に関する2
つの算出可能なパラメートを使用して決定する。等電点及び疎水性を、当業者に既知の方
法のいずれか(例えば実施例14に記載されている方法)を使用して推定することができ
る。一実施形態において、ペプチドの疎水性を、ペプチド内において連続する疎水性アミ
ノ酸からなる領域を同定し、連続する疎水性アミノ酸の各領域の疎水度に関する指標を算
出し、疎水度が最高である領域を同定することにより推定する。このパラメータをHYD
ROと呼ぶことができる。この算出を、各アミノ酸側鎖に関する疎水性(又は親水性)の
公表値を使用し、ペプチド中の疎水性アミノ酸の非中断ストレッチを同定し、各領域中の
各アミノ酸の疎水性を合計することにより、容易に達成することができる。ペプチドの疎
水性の推定に関する一例が実施例14に記載されている。
一実施形態において、本命明細書に記載されている可溶性ペプチドを選択する方法は、
ペプチドのPi及びHYDRO値を決定すること、並びにペプチドのPi及びHYDRO
が、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5
及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合
に、そのペプチドを選択することを含む。
一実施形態において、本明細書に記載されている水溶液中でのペプチドの溶解性を評価
する方法は、このペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定することを
含み、このペプチドは、そのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0
、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9
及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に水溶液に溶解する。
一実施形態において、本明細書に記載されているペプチド水溶液を調製する方法は、少
なくとも1つのペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること、ペ
プチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHY
DRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9又はHYDRO≦−
8.0に制限されている場合に、そのペプチドを選択すること、並びにこのペプチドを含
む水溶液を調製することを含む。
一実施形態において、本明細書に記載されているネオ抗原ペプチド水溶液を調製する方
法は、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を
決定すること、少なくとも1つのネオ抗原ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及
びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO
≧−5、並びにPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、その少なく
とも1つのペプチドを選択すること、この少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬
学的に許容可能な塩を含む溶液を調製すること、並びにこの少なくとも1つのネオ抗原ペ
プチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能
な塩を含む溶液とを組み合わせ、それにより新生物ワクチン用ペプチド溶液を調製するこ
とを含む。
インビトロペプチド/ポリペプチド合成
タンパク質又はペプチドは、標準的な分子生物学的技法によるタンパク質、ポリペプチ
ド又はペプチドの発現、天然供給源からのタンパク質又はペプチドの単離、インビトロ翻
訳、又はタンパク質又はペプチドの化学合成を含め、当業者に公知の任意の技法によって
作製することができる。様々な遺伝子に対応するヌクレオチド及びタンパク質、ポリペプ
チド及びペプチド配列は既に開示されており、当業者に公知のコンピュータ化されたデー
タベースを参照することができる。一つのかかるデータベースは、国立衛生研究所(Na
tional Institutes of Health)ウェブサイトにある国立バ
イオテクノロジー情報センター(National Center for Biote
chnology Information)のGenbank及びGenPeptデー
タベースである。既知の遺伝子のコード領域は、本明細書に開示される技法を用いて、又
は当業者に公知であろうとおりに増幅し及び/又は発現させることができる。或いは、様
々な市販のタンパク質、ポリペプチド及びペプチド調製物が当業者に公知である。
ペプチドは、夾雑細菌又は動物性物質を含有しない試薬を利用して容易に化学的に合成
することができる(Merrifield RB:「固相ペプチド合成I.テトラペプチ
ドの合成(Solid phase peptide synthesis.I.The
synthesis of a tetrapeptide)」.J.Am.Chem
.Soc.85:2149−54,1963)。特定の実施形態において、ネオ抗原ペプ
チドは、(1)均一合成及び開裂条件を用いたマルチチャネル機器でのパラレル固相合成
;(2)RP−HPLCカラムでのカラムストリッピングによる精製;及びペプチド間で
の再洗浄、但し交換なし;続いて(3)最も情報価値の高い、限られた一組のアッセイに
よる分析によって調製される。個々の患者の一組のペプチドに関して医薬品の製造管理及
び品質管理に関する基準(GMP)のフットプリントを定義付けることができ、従ってス
イート切り替え手順が必要となるのは、異なる患者のペプチド合成間のみである。
或いは、本発明のネオ抗原ペプチドをコードする核酸(例えばポリヌクレオチド)を使
用して、ネオ抗原ペプチドをインビトロで作製してもよい。ポリヌクレオチドは、例えば
、DNA、cDNA、PNA、CNA、RNA、一本鎖及び/又は二本鎖のいずれかの、
又は天然の若しくは安定化した形態のポリヌクレオチド、例えばホスホロチオエート(p
hosphorothiate)骨格を有するポリヌクレオチドなど、又はそれらの組み
合わせであってよく、それがペプチドをコードする限りはイントロンを含んでも、又は含
まなくてもよい。一実施形態では、インビトロ翻訳を用いてペプチドが作製される。当業
者が利用し得る多くの例示的システムが存在する(例えば、Retic Lysate
IVTキット、Life Technologies、Waltham、MA)。
ポリペプチドの発現能を有する発現ベクターもまた調製することができる。種々の細胞
型に対する発現ベクターが当該技術分野において周知されており、過度の実験を行うこと
なく選択し得る。概して、DNAがプラスミドなどの発現ベクターに、発現に適切な向き
及び正しいリーディングフレームで挿入される。必要であれば、DNAは、所望の宿主(
例えば、細菌)によって認識される適切な転写及び翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結
されてもよく、しかしかかる制御は概して発現ベクターにおいて利用可能である。次にベ
クターは、標準的な技法を用いてクローニング用の宿主細菌に導入される(例えば、Sa
mbrook et al.(1989)Molecular Cloning,A L
aboratory Manual,Cold Spring Harbor Labo
ratory,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照)。
単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、並びに発現ベクターを含む宿主細胞もまた
企図される。ネオ抗原ペプチドは、所望のネオ抗原ペプチドをコードするRNA又はcD
NA分子の形態で提供され得る。本発明の1つ以上のネオ抗原ペプチドが、単一の発現ベ
クターによって提供され得る。
用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、ポリペプチドのコード配列の
みを含むポリヌクレオチド並びにさらなるコード配列及び/又は非コード配列を含むポリ
ヌクレオチドを包含する。ポリヌクレオチドはRNAの形態又はDNAの形態であっても
よい。DNAにはcDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAが含まれ;二本鎖又は一本鎖
であってもよく、一本鎖の場合にはコード鎖又は非コード鎖(アンチセンス鎖)であって
もよい。
実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えば宿主細胞からのポリペプチドの発現及
び/又は分泌を助けるポリヌクレオチド(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御
するための分泌配列として機能するリーダー配列)と同じリーディングフレームで融合し
た腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドのコード配列を含み得る。リーダー配列を有するポリペプ
チドはプレタンパク質であり、成熟形態のポリペプチドを形成するため宿主細胞によって
切断されるリーダー配列を有し得る。
実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えばコードされたポリペプチドの精製を可
能にして、次にそれが個別化された新生物ワクチン又は免疫原性組成物に組み込まれ得る
ようにするマーカー配列に同じリーディングフレームで融合した腫瘍特異的ネオ抗原ペプ
チドのコード配列を含み得る。例えば、マーカー配列は、細菌宿主の場合には、マーカー
と融合した成熟ポリペプチドの精製を提供するpQE−9ベクターにより供給されるヘキ
サヒスチジンタグであってよく、又はマーカー配列は、哺乳類宿主(例えば、COS−7
細胞)が使用されるとき、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するヘマグル
チニン(HA)タグであってもよい。さらなるタグとしては、限定はされないが、カルモ
ジュリンタグ、FLAGタグ、Mycタグ、Sタグ、SBPタグ、Softag 1、S
oftag 3、V5タグ、Xpressタグ、イソペプタグ(Isopeptag)、
SpyTag、ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質(BCCP)タグ、GSTタ
グ、蛍光タンパク質タグ(例えば、緑色蛍光タンパク質タグ)、マルトース結合タンパク
質タグ、Nusタグ、Strepタグ、チオレドキシンタグ、TCタグ、Tyタグなどが
挙げられる。
実施形態において、ポリヌクレオチドは、複数のネオ抗原ペプチドの産生能を有する単
一のコンカテマー化したネオ抗原ペプチドコンストラクトを作成するため同じリーディン
グフレームで融合した腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドの1つ以上のコード配列を含み得る。
特定の実施形態において、本発明の腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドをコードするポリヌク
レオチドと少なくとも60%同一、少なくとも65%同一、少なくとも70%同一、少な
くとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同
一、少なくとも95%同一、又は少なくとも96%、97%、98%又は99%同一のヌ
クレオチド配列を有する単離核酸分子が提供され得る。
参照ヌクレオチド配列と少なくとも例えば95%「同一」のヌクレオチド配列を有する
ポリヌクレオチドとは、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列に対して、ポリ
ヌクレオチド配列に参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドにつき最大5個の点突然
変異が含まれ得ることを除き同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチ
ド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るには
、参照配列中のヌクレオチドの最大5%が欠失しているか又は別のヌクレオチドに置換さ
れていてもよく、又は参照配列中の全ヌクレオチドの最大5%の数のヌクレオチドが参照
配列に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの突然変異は参照ヌクレオチド配列のア
ミノ末端又はカルボキシ末端位置又はそれらの末端位置の間のどこかに、参照配列中のヌ
クレオチド間に個々に散在して、或いは参照配列内で1つ以上の隣接するまとまりとして
存在し得る。
実際問題として、任意の特定の核酸分子が参照配列と少なくとも80%同一、少なくと
も85%同一、少なくとも90%同一、及び一部の実施形態では、少なくとも95%、9
6%、97%、98%、又は99%同一であるかどうかは、Bestfitプログラム(
ウィスコンシン配列解析パッケージ(Wisconsin Sequence Anal
ysis Package)、バージョン8 Unix版、Genetics Comp
uter Group、University Research Park,575
Science Drive,Madison,WI 53711)などの公知のコンピ
ュータプログラムを使用して従来法で決定することができる。Bestfitは、Smi
th and Waterman,Advances in Applied Math
ematics 2:482−489(1981)の局所的相同性アルゴリズムを使用し
て2つの配列間における最良の相同性セグメントを見付け出す。Bestfit又は任意
の他の配列アラインメントプログラムを使用して特定の配列が本発明に係る参照配列と例
えば95%同一であるかどうかを決定するとき、パラメータの設定は、参照ヌクレオチド
配列の全長にわたって同一性のパーセンテージが計算され、且つ参照配列中のヌクレオチ
ド総数の最大5%の相同性のギャップが許容されるように行われる。
本明細書に記載される単離された腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドは、当該技術分野におい
て公知の任意の好適な方法によりインビトロで(例えば実験室で)産生することができる
。かかる方法は、直接のタンパク質合成方法から、単離ポリペプチド配列をコードするD
NA配列を構築し且つそれらの配列を好適な形質転換宿主において発現させるにまでに及
ぶ。一部の実施形態では、DNA配列は組換え技術を用いて、目的の野生型タンパク質を
コードするDNA配列を単離又は合成することにより構築される。場合により、部位特異
的突然変異誘発によって配列に突然変異を誘発し、その機能性類似体を提供し得る。例え
ば、Zoeller et al.,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA
81:5662−5066(1984)及び米国特許第4,588,585号明細書を
参照のこと。
実施形態において、目的のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチ
ドシンセサイザーを使用した化学合成によって構築され得る。かかるオリゴヌクレオチド
は、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づき、且つ目的の組換えポリペプチドを産生
する宿主細胞に好ましいコドンを選択して設計することができる。目的の単離ポリペプチ
ドをコードする単離ポリヌクレオチド配列の合成には、標準方法を適用し得る。例えば、
完全なアミノ酸配列を使用して逆翻訳された遺伝子を構築することができる。さらに、特
定の単離ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成する
ことができる。例えば、所望のポリペプチドの一部分をコードするいくつかの小型オリゴ
ヌクレオチドを合成し、次にライゲートすることができる。個々のオリゴヌクレオチドは
、典型的には相補的アセンブリのための5’又は3’オーバーハングを含む。
アセンブリ(例えば、合成、部位特異的突然変異誘発、又は別の方法による)の後、目
的とする特定の単離ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿
入し、場合により所望の宿主でのタンパク質の発現に適切な発現制御配列に動作可能に連
結される。アセンブリが適切であることは、ヌクレオチドシーケンシング、制限酵素マッ
ピング、及び好適な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現によって確認する
ことができる。当該技術分野において周知のとおり、宿主においてトランスフェクト遺伝
子の高い発現レベルを達成するため、選択の発現宿主で機能する転写及び翻訳発現制御配
列に動作可能を遺伝子に連結することができる。
組換え発現ベクターを使用して、腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドをコードするDNAを増
幅し及び発現させてもよい。組換え発現ベクターは複製可能なDNAコンストラクトであ
り、哺乳類、微生物、ウイルス又は昆虫遺伝子に由来する好適な転写又は翻訳調節エレメ
ントに動作可能に連結された腫瘍特異的ネオ抗原ペプチド又は生物学的に同等な類似体を
コードする合成の又はcDNA由来のDNA断片を有する。転写単位は概して、本明細書
にさらに詳細に記載するとおり、(1)遺伝子発現において調節的役割を有する1つ又は
複数の遺伝子エレメント、例えば転写プロモーター又はエンハンサーと、(2)mRNA
に転写され且つタンパク質に翻訳される構造配列又はコード配列と、(3)適切な転写及
び翻訳開始及び終結配列とのアセンブリを含む。かかる調節エレメントは、転写を制御す
るオペレーター配列を含み得る。宿主での複製能(通常は複製起点によって付与される)
、及び形質転換体の認識を促進するための選択遺伝子が、さらに組み込まれ得る。DNA
領域は、それらが互いに機能的に関係しているとき、動作可能に連結されている。例えば
、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与する
前駆体として発現する場合には、ポリペプチドのDNAに動作可能に連結されている;プ
ロモーターは、それが配列の転写を制御する場合には、コード配列に動作可能に連結され
ている;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にする位置にある場合には、コー
ド配列に動作可能に連結されている。概して、動作可能に連結されているとは、隣接する
ことを意味し、分泌リーダーの場合には、隣接すること及びリーディングフレームにある
ことを意味する。酵母発現系での使用が意図される構造エレメントは、宿主細胞による翻
訳タンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。或いは、組換えタンパク質
がリーダー配列又は輸送配列なしに発現する場合、それはN末端メチオニン残基を含み得
る。場合により、発現した組換えタンパク質からこの残基が続いて切断されることで、最
終産物がもたらされ得る。
真核生物宿主、特に哺乳動物又はヒトに有用な発現ベクターとしては、例えば、SV4
0、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス及びサイトメガロウイルス由来の発現制御
配列を含むベクターが挙げられる。細菌宿主に有用な発現ベクターとしては、公知の細菌
プラスミド、例えば、pCR 1、pBR322、pMB9を含む大腸菌(Escher
ichia coli)由来のプラスミド及びそれらの誘導体、より広い宿主域のプラス
ミド、例えばM13及び繊維状一本鎖DNAファージが挙げられる。
ポリペプチドの発現に好適な宿主細胞としては、適切なプロモーターの制御下にある原
核細胞、酵母細胞、昆虫細胞又は高等真核細胞が挙げられる。原核生物には、グラム陰性
生物又はグラム陽性生物、例えば大腸菌(E.coli)又はバチルス属(Bacill
i)が含まれる。高等真核細胞には、哺乳類起源の樹立細胞株が含まれる。無細胞翻訳系
もまた用いることができる。細菌、真菌、酵母、及び哺乳類細胞宿主での使用に適切なク
ローニング及び発現ベクターは、当該技術分野において周知されている(Pouwels
et al.,Cloning Vectors:A Laboratory Man
ual,Elsevier,N.Y.,1985を参照)。
様々な哺乳類又は昆虫細胞培養系もまた、有利には組換えタンパク質を発現させるため
に用いられる。哺乳類細胞における組換えタンパク質の発現は、かかるタンパク質が概し
て正しく折り畳まれ、適切に修飾され、且つ完全に機能性であるため、実施することがで
きる。好適な哺乳類宿主細胞系の例としては、Gluzman(Cell 23:175
,1981)によって記載されるサル腎細胞のCOS−7系、並びに適切なベクターの発
現能を有する他の細胞系、例えば、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター
卵巣(CHO)、293、HeLa及びBHK細胞系が挙げられる。哺乳類発現ベクター
は非転写エレメント、例えば、複製起点、発現させる遺伝子に連結される好適なプロモー
ター及びエンハンサー、並びに他の5’又は3’フランキング非転写配列、及び5’又は
3’非翻訳配列、例えば必須リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与
・受容部位、及び転写終結配列を含み得る。昆虫細胞において異種タンパク質を産生する
ためのバキュロウイルスシステムが、Luckow and Summers,Bio/
Technology 6:47(1988)によってレビューされている。
形質転換宿主により産生されたタンパク質は、任意の好適な方法により精製することが
できる。かかる標準方法には、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ
ー及びサイズ排除カラムクロマトグラフィーなど)、遠心、溶解度差、又は任意の他の標
準的なタンパク質精製技法によることが含まれる。アフィニティータグ、例えば、ヘキサ
ヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列、グルタチオン−S−
トランスフェラーゼなどをタンパク質に結合させると、適切なアフィニティーカラムに通
すことによる容易な精製が可能となり得る。単離されたタンパク質はまた、タンパク質分
解、核磁気共鳴及びX線結晶学などの技法を用いて物理的に特徴付けることができる。
例えば、組換えタンパク質を培養培地中に分泌するシステムからの上清を、初めに、市
販のタンパク質濃縮フィルタ、例えばAmicon又はMillipore Pelli
con限外ろ過ユニットを使用して濃縮することができる。濃縮ステップの後、濃縮物を
好適な精製マトリックスに加えることができる。或いは、陰イオン交換樹脂、例えばペン
ダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックス又は基質を用いること
ができる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース又
はタンパク質精製において一般的に用いられる他の種類であってもよい。或いは、陽イオ
ン交換ステップを用いることができる。好適な陽イオン交換体としては、スルホプロピル
基又はカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスが挙げられる。最後に、疎水
性RP−HPLC媒体、例えばペンダントメチル基又は他の脂肪族基を有するシリカゲル
を用いる1つ以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)ステップを用い
て癌幹細胞タンパク質−Fc組成物をさらに精製することができる。前述の精製ステップ
の一部又は全てを様々な組み合わせで用いて均一な組換えタンパク質を提供することもで
きる。
細菌培養物において産生された組換えタンパク質は、例えば、初めに細胞ペレットから
抽出し、続いて1回以上濃縮し、塩析し、水溶性イオン交換又はサイズ排除クロマトグラ
フィーステップを行うことにより単離し得る。最終的な精製ステップには高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)が用いられてもよい。組換えタンパク質の発現に用いられる微
生物細胞は、凍結融解サイクリング、音波処理、機械的破壊、又は細胞溶解剤の使用を含
む任意の好都合な方法によって破壊することができる。
インビボペプチド/ポリペプチド合成
本発明はまた、ネオ抗原ペプチド/ポリペプチドをそれを必要としている対象に例えば
DNA/RNAワクチンの形態でインビボで送達するための媒体としての核酸分子の使用
も企図する(例えば、本明細書によって全体として参照により援用される国際公開第20
12/159643号パンフレット、及び国際公開第2012/159754号パンフレ
ットを参照)。
一実施形態において、ネオ抗原は、それを必要としている患者にプラスミドを使用して
投与され得る。これらは、通常は強力なウイルスプロモーターからなって目的の遺伝子(
又は相補DNA)のインビボ転写及び翻訳を駆動するプラスミドである(Mor,et
al.,(1995).The Journal of Immunology 155
(4):2039−2046)。時に、mRNA安定性を改善し、ひいてはタンパク質発
現を増加させるため、イントロンAが含まれ得る(Leitner et al.(19
97).The Journal of Immunology 159(12):61
12−6119)。プラスミドはまた、ウシ成長ホルモン又はウサギβ−グロブリンポリ
アデニル化配列などの強力なポリアデニル化/転写終結シグナルも含む(Alarcon
et al.,(1999).Adv.Parasitol.Advances in
Parasitology 42:343−410;Robinson et al.
,(2000).Adv.Virus Res.Advances in Virus
Research 55:1−74;Boehmet al.,(1996).Jour
nal of Immunological Methods 193(1):29−4
0)。時に、2つ以上の免疫原を発現させるため、又は免疫原と免疫刺激性タンパク質と
を発現させるため、マルチシストロンベクターが構築される(Lewis et al.
,(1999).Advances in Virus Research(Acade
mic Press)54:129−88)。
プラスミドは、免疫原がそこから発現する「媒体」であるため、タンパク質発現が最大
となるようにベクター設計を最適化することは必須である(Lewis et al.,
(1999).Advances in Virus Research(Academ
ic Press)54:129−88)。タンパク質発現を増強する一つの方法は、病
原性mRNAのコドン使用頻度を真核細胞に対して最適化することによる。別の考慮すべ
き点は、プロモーターの選択である。かかるプロモーターはSV40プロモーター又はラ
ウス肉腫ウイルス(RSV)であり得る。
プラスミドは、幾つもの異なる方法によって動物組織に導入し得る。2つの最も一般的
な手法は、標準的な皮下針を使用した生理食塩水中のDNAの注射、及び遺伝子銃送達で
ある。DNAワクチンプラスミドの構築及び続くこれらの2つの方法による宿主へのその
送達に関する基本的な概略が、Scientific American(Weiner
et al.,(1999)Scientific American 281(1)
:34−41)に示される。生理食塩水中での注射は、通常、骨格筋において筋肉内に(
IM)行われるか、又は皮内に(ID)行われ、DNAは細胞外間隙に送達される。これ
は電気穿孔によるか、ブピバカインなどのミオトキシンで筋繊維に一時的に損傷を与える
ことによるか;又は生理食塩水若しくはショ糖の高張液を使用することにより補助し得る
(Alarcon et al.,(1999).Adv.Parasitol.Adv
ances in Parasitology 42:343−410)。この送達方法
に対する免疫応答は、針の種類、針の位置合わせ、注射速度、注射容積、筋肉型、並びに
注射を受ける動物の年齢、性別及び生理的条件を含め、多くの要因の影響を受け得る(A
larcon et al.,(1999).Adv.Parasitol.Advan
ces in Parasitology 42:343−410)。
もう一つの一般的に用いられる送達方法である遺伝子銃送達は、金又はタングステンマ
イクロパーティクル上に吸着させたプラスミドDNA(pDNA)を、加速剤として圧縮
ヘリウムを使用して弾道学的に加速させて標的細胞に入れ込む(Alarcon et
al.,(1999).Adv.Parasitol.Advances in Par
asitology 42:343−410;Lewis et al.,(1999)
.Advances in Virus Research(Academic Pre
ss)54:129−88)。
代替的な送達方法としては、鼻粘膜及び肺粘膜などの粘膜表面に対するネイキッドDN
Aのエアロゾル滴下(Lewis et al.,(1999).Advances i
n Virus Research(Academic Press)54:129−8
8)、並びに眼及び腟粘膜に対するpDNAの局所投与(Lewis et al.,(
1999)Advances in Virus Research(Academic
Press)54:129−88)を挙げることができる。粘膜表面送達はまた、カチ
オン性リポソーム−DNA調製物、生分解性ミクロスフェア、腸粘膜に対する経口投与用
の弱毒化シゲラ(Shigella)又はリステリア(Listeria)ベクター、及
び組換えアデノウイルスベクターを使用しても達成されている。
有効な免疫応答を生じさせるために必要なDNAの用量は送達方法によって決まる。生
理食塩水注射では10μg〜1mgの様々な量のDNAが必要となるが、遺伝子銃送達で
は有効な免疫応答を生じさせるために筋肉内生理食塩水注射の100〜1000分の1の
DNAでよい。概して、0.2μg〜20μgが必要であり、しかしながら16ng程の
少ない分量も報告されている。これらの分量は種毎に異なり、例えばマウスで必要なDN
Aは霊長類の約10分の1である。生理食塩水注射では、DNAが標的組織の細胞外間隙
(通常は筋肉)に送達され、そこで細胞によって取り込まれる前に物理的障壁(少し例を
挙げるだけでも、基底膜及び大量の結合組織など)を乗り越えなければならないため、よ
り多くのDNAが必要であるが、遺伝子銃送達では、DNAが細胞に直接撃ち込まれ、従
って「無駄」は少なくなる(例えば、Sedegah et al.,(1994).P
roceedings of the National Academy of Sc
iences of the United States of America
91(21):9866−9870;Daheshiaet al.,(1997).T
he Journal of Immunology 159(4):1945−195
2;Chen et al.,(1998).The Journal of Immu
nology 160(5):2425−2432;Sizemore(1995)Sc
ience 270(5234):299−302;Fynan et al.,(19
93)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90(24):11478
−82を参照)。
一実施形態において、新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、例えば本発明に従い同定
されるとおりの1つ以上のネオ抗原ペプチド/ポリペプチドをコードする別個のDNAプ
ラスミドを含み得る。本明細書において考察するとおり、発現ベクターの正確な選択は、
発現させるペプチド/ポリペプチドに依存することができ、十分に当業者の技術の範囲内
である。DNAコンストラクト(例えば、筋細胞においてエピソーム性、非複製、非組込
み形態のもの)の予想される持続性が、防御期間の増加をもたらすと予想される。
本発明の1つ以上のネオ抗原ペプチドは、ウイルスベースのシステム(例えば、アデノ
ウイルスシステム、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ポックスウイルス、又はレ
ンチウイルス)を使用してインビボでコードされ及び発現してもよい。一実施形態におい
て、新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、例えばアデノウイルスなど、それを必要とし
ているヒト患者で使用されるウイルスベースのベクターを含み得る(例えば、Baden
et al.「組換えアデノウイルス血清型26型HIV−1 Envワクチン(IP
CAVD 001)の安全性及び免疫原性のファースト・イン・ヒューマン評価(Fir
st−in−human evaluation of the safety and
immunogenicity of a recombinant adenovi
rus serotype 26 HIV−1 Env vaccine(IPCAVD
001))」.J Infect Dis.2013 Jan 15;207(2):
240−7(本明細書によって全体として参照により援用される)を参照)。アデノ随伴
ウイルス、アデノウイルス、及びレンチウイルス送達に使用することのできるプラスミド
は、以前記載されている(例えば、米国特許第6,955,808号明細書及び同第6,
943,019号明細書、及び米国特許出願公開第20080254008号明細書(本
明細書によって参照により援用される)を参照)。
本発明の実施において使用し得るベクターの中でも、レトロウイルス遺伝子導入方法で
は細胞の宿主ゲノムに組込みが可能であり、多くの場合に、挿入されたトランス遺伝子の
長期発現をもたらす。好ましい実施形態において、レトロウイルスはレンチウイルスであ
る。加えて、多くの異なる細胞型及び標的組織において高い形質導入効率が観察されてい
る。レトロウイルスの向性は外来性エンベロープタンパク質を導入して変えることができ
、標的細胞の潜在的な標的集団を拡大し得る。レトロウイルスはまた、挿入されたトラン
ス遺伝子の条件付き発現が可能となるように操作することもでき、従って特定の細胞型の
みをレンチウイルスに感染させ得る。細胞型特異的プロモーターを使用して特定の細胞型
における発現を標的化することができる。レンチウイルスベクターはレトロウイルスベク
ターである(ひいては本発明の実施においてはレンチウイルスベクター及びレトロウイル
スベクターの両方を使用し得る)。さらに、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形
質導入し又は感染させることが可能であり、且つ典型的には高ウイルス価を生じるため好
ましい。従ってレトロウイルス遺伝子導入システムの選択は、標的組織に依存し得る。レ
トロウイルスベクターは、最大6〜10kbの外来配列のパッケージング能力を有するシ
ス作用性長末端反復配列を含む。ベクターの複製及びパッケージングには最小限のシス作
用性LTRが十分であり、次にはこれを使用して所望の核酸を標的細胞に組み込むと、永
続的な発現がもたらされる。本発明の実施において使用し得る広く用いられているレトロ
ウイルスベクターとしては、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイ
ルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
をベースとするもの、及びそれらの組み合わせが挙げられる(例えば、Buchsche
r et al.,(1992)J.Virol.66:2731−2739;Joha
nn et al.,(1992)J.Virol.66:1635−1640;Som
mnerfelt et al.,(1990)Virol.176:58−59;Wi
lson et al.,(1998)J.Virol.63:2374−2378;M
iller et al.,(1991)J.Virol.65:2220−2224;
PCT/US94/05700号明細書を参照)。Zou et al.は、くも膜下腔
内カテーテルにより1×10形質導入単位(TU)/mlの力価を有する約10μlの
組換えレンチウイルスを投与した。この種の投薬量を、本発明におけるレトロウイルスベ
クター又はレンチウイルスベクターの使用向けに適合させること又は推定することができ
る。
また、本発明の実施においては、最小非霊長類レンチウイルスベクター、例えばウマ伝
染性貧血ウイルス(EIAV)をベースとするレンチウイルスベクターも有用である(例
えば、Balagaan,(2006)J Gene Med;8:275−285,オ
ンライン発行 21 November 2005 in Wiley InterSc
ience(www.interscience.wiley.com).DOI:10
.1002/jgm.845を参照)。このベクターは、標的遺伝子の発現を駆動するサ
イトメガロウイルス(CMV)プロモーターを有し得る。従って、本発明は、本発明の実
施において有用なベクターの中でも特に:レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベ
クターを含むウイルスベクターを企図する。
また、本発明の実施においてはアデノウイルスベクターも有用である。一つの利点は、
組換えアデノウイルスがインビトロ及びインビボで種々の哺乳類細胞及び組織において組
換え遺伝子を効率的に移入して発現させることが可能で、移入された核酸の高発現をもた
らす点である。さらに、静止細胞を生産的に感染させる能力が、組換えアデノウイルスベ
クターの有用性を広げる。加えて、発現レベルが高く、免疫応答を生じさせるのに十分な
レベルの核酸産物の発現が確実となる(例えば、米国特許第7,029,848号明細書
(本明細書によって参照により援用される)を参照)。
本明細書のある実施形態において、送達はアデノウイルスを介し、アデノウイルスは、
少なくとも1×10粒子(粒子単位、puとも称される)のアデノウイルスベクターを
含有する単一ブースター用量であり得る。本明細書のある実施形態において、用量は、好
ましくは少なくとも約1×10粒子(例えば、約1×10〜1×1012粒子)、よ
り好ましくは少なくとも約1×10粒子、より好ましくは少なくとも約1×10粒子
(例えば、約1×10〜1×1011粒子又は約1×10〜1×1012粒子)、及
び最も好ましくは少なくとも約1×10粒子(例えば、約1×10〜1×1010
子又は約1×10〜1×1012粒子)、又はさらには少なくとも約1×1010粒子
(例えば、約1×1010〜1×1012粒子)のアデノウイルスベクターである。或い
は、用量は、約1×1014粒子以下、好ましくは約1×1013粒子以下、さらにより
好ましくは約1×1012粒子以下、さらにより好ましくは約1×1011粒子以下、及
び最も好ましくは約1×1010粒子以下(例えば、約1×10粒子(article
s)以下)を含む。従って、用量は、例えば、約1×10粒子単位(pu)、約2×1
pu、約4×10pu、約1×10pu、約2×10pu、約4×10pu
、約1×10pu、約2×10pu、約4×10pu、約1×10pu、約2×
10pu、約4×10pu、約1×1010pu、約2×1010pu、約4×10
10pu、約1×1011pu、約2×1011pu、約4×1011pu、約1×10
12pu、約2×1012pu、又は約4×1012puのアデノウイルスベクターを有
する単一用量のアデノウイルスベクターを含み得る。例えば、2013年6月4日に付与
されたNabel,et.al.に対する米国特許第8,454,972 B2号明細書
(参照によって本明細書に援用される)のアデノウイルスベクター、及びその第29欄3
6〜58行にある投薬量を参照のこと。本明細書のある実施形態において、アデノウイル
スは複数回用量で送達される。
インビボ送達の観点では、AAVは宿主ゲノムに組み込まれないため毒性が低く、且つ
挿入突然変異誘発を引き起こす可能性が低いことが理由で、他のウイルスベクターと比べ
て有利である。AAVはパッケージング限界が4.5又は4.75Kbである。コンスト
ラクトが4.5又は4.75Kbより大きいと、ウイルス産生が大幅に低下する。核酸分
子発現の駆動に使用することのできるプロモーターが多数ある。AAV ITRはプロモ
ーターとして働くことができ、追加のプロモーターエレメントの必要性がないため有利で
ある。遍在的な発現には、以下のプロモーターを使用することができる:CMV、CAG
、CBh、PGK、SV40、フェリチン重鎖又は軽鎖等。脳での発現には、以下のプロ
モーターを使用することができる:あらゆるニューロンに対するシナプシンI、興奮性ニ
ューロンに対するCaMKIIα、GABA作動性ニューロンに対するGAD67又はG
AD65又はVGAT等。RNA合成の駆動に使用されるプロモーターとしては、U6又
はH1などのPol IIIプロモーターを挙げることができる。ガイドRNA(gRN
A)の発現に、Pol IIプロモーター及びイントロンカセットを使用することができ
る。
AAVに関して、AAVはAAV1、AAV2、AAV5又はそれらの任意の組み合わ
せであってもよい。AAVは、標的とする細胞に関連して選択することができる;例えば
、脳又は神経細胞の標的化には、AAV血清型1、2、5又はハイブリッドカプシドAA
V1、AAV2、AAV5又はそれらの任意の組み合わせを選択することができ;及び心
臓組織の標的化には、AAV4を選択することができる。AAV8は肝臓への送達に有用
である。上記のプロモーター及びベクターは、個々に好ましい。
本明細書のある実施形態において、送達はAAVを介する。ヒトに対するAAVのイン
ビボ送達の治療上有効な投薬量は、約1×1010〜約1×1050個の機能性AAV/
ml溶液を含有する約20〜約50mlの範囲の生理食塩水であると考えられる。投薬量
は、治療利益と任意の副作用との均衡をとるように調整され得る。本明細書のある実施形
態において、AAV用量は、概して約1×10〜1×1050ゲノムAAV、約1×1
〜1×1020ゲノムAAV、約1×1010〜約1×1016ゲノム、又は約1×
1011〜約1×1016ゲノムAAVの濃度範囲にある。ヒト投薬量は約1×1013
ゲノムAAVであり得る。かかる濃度は、約0.001ml〜約100ml、約0.05
〜約50ml、又は約10〜約25mlの担体溶液で送達され得る。好ましい実施形態に
おいて、約2×1013ウイルスゲノム/ミリリットルの力価のAAVが使用され、マウ
スの線条体半球の各々が1回の500ナノリットル注射を受ける。他の有効な投薬量は、
当業者であれば用量反応曲線を作成する常法の試験によって容易に確立することができる
。例えば、2013年3月26日に付与されたHajjar,et al.に対する米国
特許第8,404,658 B2号明細書、第27欄45〜60行を参照のこと。
別の実施形態において、新生物ワクチン又は免疫原性組成物に対する細胞性免疫応答の
有効な活性化は、非病原性微生物においてワクチン又は免疫原性組成物中の関連性のある
ネオ抗原が発現することによって実現し得る。かかる微生物の周知されている例は、ウシ
型結核菌(Mycobacterium bovis)BCG、サルモネラ属(Salm
onella)及びシュードモナス属(Pseudomona)である(米国特許第6,
991,797号明細書(本明細書によって全体として参照により援用される)を参照)
別の実施形態では、新生物ワクチン又は免疫原性組成物にポックスウイルスが使用され
る。ポックスウイルスには、オルトポックスウイルス、アビポックス、ワクシニア、MV
A、NYVAC、カナリア痘、ALVAC、鶏痘、TROVAC等が含まれる(例えば、
Verardiet al.,Hum Vaccin Immunother.2012
Jul;8(7):961−70;及びMoss,Vaccine.2013;31(
39):4220−4222を参照)。ポックスウイルス発現ベクターは1982年に報
告され、すぐにワクチン開発並びに数多くの分野の研究で広く使用されるようになった。
このベクターの利点としては、簡単な構築、多量の外来DNAを収容する能力、及び高い
発現レベルが挙げられる。
別の実施形態では、新生物ワクチン又は免疫原性組成物にワクシニアウイルスを使用し
てネオ抗原を発現させる(Rolph et al.,「ワクチン及び免疫学的ツールと
しての組換えウイルス(Recombinant viruses as vaccin
es and immunological tools)」.Curr Opin I
mmunol 9:517−524,1997)。組換えワクシニアウイルスは感染宿主
細胞の細胞質内での複製能を有し、従って目的のポリペプチドが免疫応答を誘導し得る。
さらに、ポックスウイルスが、免疫細胞、詳細には抗原提示細胞に直接感染することによ
り主要組織適合遺伝子複合体クラスI経路によって処理するためのコードされた抗原を標
的化することが可能であるため、またその自己アジュバント能力のため、ワクチン又は免
疫原性組成物ベクターとして広く用いられている。
別の実施形態では、ALVACが新生物ワクチン又は免疫原性組成物におけるベクター
として使用される。ALVACは、外来性トランス遺伝子を発現するように修飾すること
のできるカナリア痘ウイルスであり、原核生物抗原及び真核生物抗原の両方に対するワク
チン接種方法として用いられている(Horig H,Lee DS,Conkrigh
t W,et al.「ヒト癌胎児性抗原及びB7.1共刺激分子を発現する組換えカナ
リア痘ウイルス(ALVAC)ワクチンの第I相臨床試験(Phase I clini
cal trial of a recombinant canarypoxviru
s (ALVAC)vaccine expressing human carcin
oembryonic antigen and the B7.1 co−stimu
latory molecule)」.Cancer Immunol Immunot
her 2000;49:504−14;von Mehren M,Arlen P,
Tsang KY,et al.「再発性CEA発現腺癌患者における癌胎児性抗原(C
EA)及びB7.1トランス遺伝子の両方を含むデュアル遺伝子組換えアビポックスワク
チンのパイロットスタディ(Pilot study of a dual gene
recombinant avipox vaccine containing bo
th carcinoembryonic antigen (CEA)and B7.
1 transgenes in patients with recurrent
CEA−expressing adenocarcinomas)」.Clin Ca
ncer Res 2000;6:2219−28;Musey L,Ding Y,E
lizaga M,et al.「筋肉内投与したHIV−1ワクチン接種はHIV−1
未感染個体において全身及び粘膜T細胞免疫の両方を誘発することができる(HIV−1
vaccination administered intramuscularl
y can induce both systemic and mucosal T
cell immunity in HIV−1−uninfected indiv
iduals)」.J Immunol 2003;171:1094−101;Pao
letti E.「ワクチン接種に対するポックスウイルスベクターの適用:最新情報(
Applications of pox virus vectors to vac
cination:an update)」.Proc Natl Acad Sci
U S A 1996;93:11349−53;米国特許第7,255,862号明細
書)。第I相臨床試験では、腫瘍抗原CEAを発現するALVACウイルスが選択された
患者において優れた安全性プロファイルを示し、CEA特異的T細胞応答の増加をもたら
した;しかしながら、他覚的臨床反応は観察されなかった(Marshall JL,H
awkins MJ,Tsang KY,et al.「ヒト癌胎児性抗原を発現する複
製欠損アビポックス組換えワクチンの癌患者における第I相試験(Phase I st
udy in cancer patients of a replication−
defective avipox recombinant vaccine tha
t expresses human carcinoembryonic antig
en)」.J Clin Oncol 1999;17:332−7)。
別の実施形態では、改変ワクシニアアンカラ(MVA)ウイルスが、ネオ抗原ワクチン
又は免疫原性組成物のウイルスベクターとして用いられ得る。MVAはオルトポックスウ
イルスファミリーのメンバーであり、ニワトリ胚線維芽細胞でワクシニアウイルスのアン
カラ株(CVA)を約570代にわたり連続継代することによって作成されている(レビ
ューは、Mayr,A.,et al.,Infection 3,6−14,1975
を参照)。このような継代の結果として、得られるMVAウイルスはCVAと比較して3
1キロベース少ないゲノム情報を含み、極めて宿主細胞制限的である(Meyer,H.
et al.,J.Gen.Virol.72,1031−1038,1991)。MV
Aは、その極度の弱毒化、即ちビルレンス又は感染能の低下によって特徴付けられ、しか
し優れた免疫原性はなおも保持している。種々の動物モデルで試験したとき、免疫抑制個
体であってもMVAは無毒性であることが証明された。さらに、MVA−BN(登録商標
)−HER2が、HER−2陽性乳癌の治療用に設計された免疫療法薬候補であり、現在
、臨床試験中である(Mandl et al.,Cancer Immunol Im
munother.Jan 2012;61(1):19−29)。組換えMVAを作製
及び使用する方法は記載されている(例えば、米国特許第8,309,098号明細書及
び同第5,185,146号明細書(本明細書によってその全体が援用される)を参照)
別の実施形態では、改変ワクシニアウイルスコペンハーゲン株、NYVAC及びNYV
AC変種が、ベクターとして用いられる(米国特許第7,255,862号明細書;国際
公開第95/30018号パンフレット;米国特許第5,364,773号明細書及び同
第5,494,807号明細書(本明細書によって全体として参照により援用される)を
参照)。
一実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物の組換えウイルス粒子が、それを必要と
している患者に投与される。発現するネオ抗原の投薬量は、数マイクログラム〜数百マイ
クログラム、例えば5〜500μgの範囲であり得る。ワクチン又は免疫原性組成物は、
そのような投薬量レベルで発現を実現するのに好適な任意の量で投与することができる。
ウイルス粒子は少なくとも約103.5pfuの量でそれを必要としている患者に投与さ
れ、又は細胞にトランスフェクトされ得る;従って、ウイルス粒子は、好ましくは少なく
とも約10pfu〜約10pfuでそれを必要としている患者に投与されるか、又は
細胞を感染させ若しくは細胞にトランスフェクトされる;しかしながら、それを必要とし
ている患者に少なくとも約10pfuを投与することができ、より好ましい投与量を少
なくとも約10pfu〜約10pfuとし得る。NYVACに関する用量は、ALV
AC、MVA、MVA−BN、及びアビポックス、例えばカナリア痘及び鶏痘に関して適
用可能である。
ワクチン又は免疫原性組成物アジュバント
有効なワクチン又は免疫原性組成物は、有利には、免疫応答を惹起するため強力なアジ
ュバントを含む。本明細書に記載されるとおり、TLR3アゴニスト並びにMDA5及び
RIG3のRNAヘリカーゼドメインであるポリICLCが、ワクチン又は免疫原性組成
物アジュバントに望ましい幾つかの特性を示している。それらの特性には、インビボでの
免疫細胞の局所及び全身活性化の誘導、刺激ケモカイン及びサイトカインの産生、並びに
DCによる抗原提示の刺激が含まれる。さらに、ポリICLCは、ヒトにおいて持続的な
CD4+及びCD8+応答を誘導することができる。重要なことに、ポリICLCをワク
チン接種した対象と、極めて有効性の高い複製コンピテント黄熱病ワクチンの投与を受け
たことがあるボランティアとにおいて、転写経路及びシグナル伝達経路の上方調節の点で
顕著な類似性が認められた。さらに、最近の第1相研究では、(Montanideに加
えて)NY−ESO−1ペプチドワクチンと組み合わせてポリICLCで免疫した卵巣癌
患者の90%超がCD4+及びCD8+ T細胞の誘導並びにペプチドに対する抗体反応
を示した。同時に、ポリICLCは現在までに25件を上回る臨床試験で広範に試験され
ており、比較的安全な毒性プロファイルを呈している。強力且つ特異的な免疫原に加え、
ネオ抗原ペプチドはアジュバント(例えばポリICLC)又は別の抗新生物剤と併用し得
る。理論によって拘束されるものではないが、これらのネオ抗原は中枢性胸腺トレランス
を回避し(従ってより強力な抗腫瘍T細胞応答が可能となる)、一方で自己免疫の可能性
を(例えば、正常な自己抗原の標的化を回避することにより)低下させるものと予想され
る。有効な免疫応答は、有利には免疫系を活性化させるため強力なアジュバントを含む(
Speiser and Romero,「癌免疫療法のための分子的に定義されたワク
チン、及び防御T細胞免疫(Molecularly defined vaccine
s for cancer immunotherapy,and protectiv
e T cell immunity)」Seminars in Immunol 2
2:144(2010))。例えば、Toll様受容体(TLR)が、自然免疫系、次に
は適応免疫系を有効に誘導する、微生物性及びウイルス性病原体「危険シグナル」の強力
なセンサーとして登場している(Bhardwaj and Gnjatic,「TLR
アゴニスト:それは優れたアジュバントか?(TLR AGONISTS:Are Th
ey Good Adjuvants?)」Cancer J.16:382−391(
2010))。TLRアゴニストの中でも、ポリICLC(合成二本鎖RNA模倣体)は
、骨髄由来樹状細胞の最も強力なアクチベータの一つである。ヒトボランティア試験にお
いて、ポリICLCは安全で、且つ末梢血細胞において、最も強力な弱毒生ウイルスワク
チンの一つである黄熱病ワクチンYF−17Dによって誘導されるものと同等の遺伝子発
現プロファイルを誘導することが示されている(Caskey et al,「合成二本
鎖RNAはヒトにおいて生菌ウイルスワクチンと同様の自然免疫応答を誘導する(Syn
thetic double−stranded RNA induces innat
e immune responses similar to a live vir
al vaccine in humans)」J Exp Med 208:2357
(2011))。好ましい実施形態において、Oncovir,Incにより調製される
ポリICLCのGMP製剤であるHiltonol(登録商標)がアジュバントとして利
用される。他の実施形態では、本明細書に記載される他のアジュバントが想定される。例
えば、水中油、油中水又は多相W/O/W;例えば、米国特許第7,608,279号明
細書及びAucouturier et al,Vaccine 19(2001),2
666−2672、及びそれらの引用文献を参照のこと。
適応
本明細書の免疫原性組成物又はワクチンによって治療し得る癌及び癌病態の例としては
、限定はされないが、癌である、又は癌の発症リスクがあると診断された、それを必要と
している患者が挙げられる。対象は、固形腫瘍、例えば、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓
、胃、結腸、精巣、頭頸部、膵臓、脳、メラノーマ、及び他の組織臓器腫瘍、並びに血液
腫瘍、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リン
パ性白血病、及びB細胞リンパ腫を含めたリンパ腫及び白血病、脳及び中枢神経系の腫瘍
(例えば、髄膜、脳、脊髄、脳神経及び他のCNS部位の腫瘍、例えば、膠芽腫又は髄芽
細胞腫);頭部及び/又は頸部癌、乳房腫瘍、循環系の腫瘍(例えば、心臓、縦隔及び胸
膜、及び他の胸腔内臓器、血管腫瘍、及び腫瘍関連血管組織);血液及びリンパ系の腫瘍
(例えば、ホジキン病、非ホジキン病リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リン
パ腫、悪性免疫増殖性疾患、多発性骨髄腫、及び悪性形質細胞新生物、リンパ性白血病、
骨髄性白血病、急性又は慢性リンパ性白血病、単球性白血病、特定の細胞型の他の白血病
、不特定細胞型の白血病、リンパ組織、造血組織及び関連組織の不特定の悪性新生物、例
えばびまん性大細胞型リンパ腫、T細胞リンパ腫又は皮膚T細胞リンパ腫);排泄系(例
えば、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、及び他の泌尿器)の腫瘍;胃腸管(例えば、食道、胃、
小腸、結腸、結腸直腸、直腸S状結腸移行部、直腸、肛門、及び肛門管)の腫瘍;肝臓及
び肝内胆管、胆嚢、及び他の胆道部位、膵臓、及び他の消化器に関わる腫瘍;口腔(例え
ば、口唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、耳下腺、唾液腺、扁桃腺、中咽頭、鼻咽頭、梨状窩
(puriform sinus)、下咽頭、及び他の口腔部位)の腫瘍;生殖器系(例
えば、外陰部、腟、子宮頸、子宮、卵巣、及び他の女性生殖器関連部位、胎盤、陰茎、前
立腺、精巣、及び他の男性生殖器関連部位)の腫瘍;気道(例えば、鼻腔、中耳、副鼻腔
、喉頭、気管、気管支及び肺、例えば小細胞肺癌及び非小細胞肺癌)の腫瘍;骨格系(例
えば、体肢、骨関節軟骨及び他の部位の骨及び関節軟骨)の腫瘍;皮膚の腫瘍(例えば、
皮膚悪性メラノーマ、非メラノーマ皮膚癌、皮膚基底細胞癌、皮膚扁平上皮癌、中皮腫、
カポジ肉腫);及び末梢神経及び自律神経系を含む他の組織、結合組織及び軟部組織、後
腹膜(retroperitoneoum)及び腹膜、眼、甲状腺、副腎、並びに他の内
分泌腺及び関連構造が関わる腫瘍、リンパ節の二次性及び不特定悪性新生物、呼吸器系及
び消化器系の二次性悪性新生物及び他の部位の二次性悪性新生物を有し得る。
特に、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎明細胞癌(ccRCC)、転移性メラノーマ
、肉腫、白血病又は膀胱癌、結腸癌、脳癌、乳癌、頭頸部癌、子宮内膜癌、肺癌、卵巣癌
、膵癌又は前立腺癌の治療が興味深い。特定の実施形態において、メラノーマは高リスク
メラノーマである。
この免疫原性組成物又はワクチンを使用して治療することのできる癌には、とりわけ、
他の化学療法薬による治療に難治性の症例が含まれ得る。用語「難治性」は、本明細書で
使用されるとき、別の化学療法剤による治療後に抗増殖反応を全く又はごく弱くしか示さ
ない(例えば、腫瘍成長の阻害が全く又はごく弱くしかない)癌(及び/又はその転移)
を指す。これらは、他の化学療法薬では十分に治療できない癌である。難治性の癌には、
(i)患者の治療において1つ以上の化学療法薬が既に不奏効となっている癌のみならず
、(ii)他の手段、例えば生検及び化学療法薬の存在下における培養によって難治性で
あることが示され得る癌もまた包含される。
免疫原性組成物又はワクチンはまた、それを必要としている患者であって、これまでに
治療を受けたことのない患者の治療にも適用可能である。
免疫原性組成物又はワクチンはまた、対象に新生物は検出されないものの疾患再発リス
クが高い場合にも適用可能である。
また、自家造血幹細胞移植(AHSCT)を受けたことのあるそれを必要としている患
者、詳細には、AHSCTを受けた後に残存疾患を示す患者の治療も特に興味深い。AH
SCT後の状況は、少量の残存疾患、恒常性増殖状態に対する免疫細胞の注入、及びいか
なる再発を遅延させる標準治療もないことによって特徴付けられる。これらの特徴は、記
載される新生物ワクチン又は免疫原性組成物を使用して疾患再発を遅延させるまたとない
機会を提供する。
医薬組成物/送達方法
本発明はまた、本発明に係る1つ以上の化合物(その薬学的に許容可能な塩も含まれる
)の有効量を、任意選択で薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は添加剤と組み合わせて含
む医薬組成物にも関する。
腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドを単独の活性な医薬品として投与することができるが、こ
の腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドを、1つ以上の他の薬剤及び/又はアジュバントと組み合
わせて使用することもできる。組み合わせとして投与される場合、治療剤は、同じ又は異
なる時点で投与される別個の組成物として製剤化されてもよく、又は治療剤は単一の組成
物として投与されてもよい。
本組成物は、1日1回、1日2回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回
、6日に1回、7日に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、2ヵ月に1回
、6ヵ月に1回、又は1年に1回投与され得る。投与間隔は、個々の患者の必要性に応じ
て調整することができる。長い投与間隔には、徐放製剤又はデポー製剤を使用することが
できる。
本発明の組成物は急性の疾患及び疾患病態の治療に使用することができ、また慢性病態
の治療にも使用し得る。詳細には、本発明の組成物は、新生物の治療又は予防方法におい
て使用される。特定の実施形態において、本発明の化合物は、2週間、3週間、1ヶ月、
2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、又は5年、10年
、又は15年を超える期間;又は例えば、範囲の下端が14日〜15年の間の任意の期間
であり、且つ範囲の上端が15日〜20年の間である日単位、月単位又は年単位の任意の
期間範囲(例えば、4週間〜15年、6ヶ月〜20年)にわたり投与される。ある場合に
は、患者の生涯にわたり本発明の化合物が投与されることが有利であり得る。好ましい実
施形態において、患者は疾患又は障害の進行を確認するためモニタされ、それに従い用量
が調整される。好ましい実施形態において、本発明に係る治療は、少なくとも2週間、3
週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、1年間、2年間
、3年間、4年間、又は5年間、10年間、15年間、20年間、又は対象の生涯にわた
り有効である。
腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドを、従来の薬学的に許容可能な担体、アジュバント及び媒
体を含む投薬単位製剤で、注射により、経口的に、非経口的に、吸入噴霧により、経直腸
的に、経膣的に又は局所的に投与することができる。用語非経口は、本明細書で使用され
るとき、1つ又は複数のリンパ節内、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内(intraste
rnal)、点滴技術、腹腔内、目又は眼球、硝子体内、頬内、経皮、鼻腔内、脳内(頭
蓋内及び硬膜内等)、関節(足、膝、股、肩、肘、手首等)内、腫瘍中に直接等、並びに
坐薬形態を含む。
外科的切除は、手術を使用して縦隔腫瘍、神経原性腫瘍若しくは胚細胞腫瘍又は胸腺腫
等の癌の異常組織を除去する。特定の実施形態において、新生物ワクチン又は免疫原性組
成物の投与を、腫瘍切除の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、1
3、14、15週間後又はそれ以降に開始する。好ましくは、新生物ワクチン又は免疫原
性組成物の投与は腫瘍切除の4、5、6、7、8、9、10、11又は12週間後に開始
される。
プライム/ブーストレジメンは、ワクチン又は免疫原性若しくは免疫学的組成物の逐次
投与を指す。特定の実施形態において、新生物ワクチン又は免疫原性組成物の投与はプラ
イム/ブースト投薬レジメンであり、例えば新生物ワクチン又は免疫原性組成物の投与は
、プライミングとしては1週目、2週目、3週目又は4週目であり、及び新生物ワクチン
又は免疫原性組成物の投与は、ブーストとしては2ヵ月目、3ヵ月目又は4ヵ月目である
。別の実施形態において、異種プライム−ブースト戦略を用いてより高い細胞傷害性T細
胞応答が誘発される(Schneider et al.,「異種プライム−ブースト免
疫化戦略を用いたCD8+ T細胞の誘導(Induction of CD8+ T
cells using heterologous prime−boost imm
unisation strategies)」,Immunological Rev
iews Volume 170,Issue 1,pages 29−38,Augu
st 1999を参照)。別の実施形態では、ネオ抗原をコードするDNAを使用したプ
ライミングの後に、タンパク質のブーストが続く。別の実施形態では、タンパク質を使用
したプライミングの後に、ネオ抗原をコードするウイルスによるブーストが続く。別の実
施形態では、ネオ抗原をコードするウイルスを使用してプライミングが行われ、別のウイ
ルスを使用してブーストが行われる。別の実施形態において、タンパク質を使用してプラ
イミングが行われ、DNAを使用してブーストが行われる。好ましい実施形態において、
DNAワクチン又は免疫原性組成物を使用してT細胞応答がプライミングされ、組換えウ
イルスワクチン又は免疫原性組成物を使用してその応答がブーストされる。別の好ましい
実施形態において、ウイルスワクチン又は免疫原性組成物はタンパク質又はDNAワクチ
ン又は免疫原性組成物と共投与され、タンパク質又はDNAワクチン又は免疫原性組成物
のアジュバントとして働く。次に患者は、ウイルスワクチン又は免疫原性組成物、タンパ
ク質、又はDNAワクチン又は免疫原性組成物のいずれかでブーストされ得る(Hutc
hings et al.,「タンパク質とウイルスワクチンとの併用は強力な細胞性及
び体液性免疫応答並びにマウスマラリア攻撃感染からの防御の増強を誘導する(Comb
ination of protein and viral vaccines in
duces potent cellular and humoral immune
responses and enhanced protection from
murine malaria challenge)」.Infect Immun.
2007 Dec;75(12):5819−26.Epub 2007 Oct 1を
参照)。
医薬組成物は、ヒト及び他の哺乳動物を含めた、それを必要としている患者への投与用
医薬剤を作製するための従来の薬学方法に従い処理することができる。
ネオ抗原ペプチドの改変はペプチドの溶解度、バイオアベイラビリティ及び代謝速度に
影響を及ぼし、従って活性種の送達の制御をもたらし得る。溶解度は、ネオ抗原ペプチド
を調製し、且つ十分に当業者の常法の技術の範囲内にある公知の方法によって試験するこ
とにより評価し得る。
コハク酸又はその薬学的に許容される塩(コハク酸塩)を含む医薬組成物がネオ抗原ペ
プチドに関して溶解性を改善することができることを予想外にも発見している。そのため
、一態様において、本発明は、少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容
可能な塩;pH調整剤(例えば、塩基、例えばジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩、例
えば、コハク酸又はクエン酸の薬学的に許容可能な塩);及び薬学的に許容可能な担体を
含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物を、少なくとも1つのネオ抗原ペプチ
ドを含む溶液と、塩基、例えばジカルボン酸塩若しくはトリカルボン酸塩、例えばコハク
酸若しくはクエン酸の薬学的に許容可能な塩(例えばコハク酸ナトリウム)とを組み合わ
せることにより、又は少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを含む溶液と、塩基、例えばジ
カルボン酸塩若しくはトリカルボン酸塩、例えばコハク酸若しくはクエン酸の薬学的に許
容可能な塩を含む溶液(例えばコハク酸緩衝溶液等)とを組み合わせることにより、調製
することができる。特定の実施形態において、この医薬組成物はコハク酸ナトリウムを含
む。特定の実施形態において、このpH調整剤(例えばクエン酸塩又はコハク酸塩)は、
約1mM〜約10mMの濃度でこの組成物中に存在し、特定の実施形態では、約1.5m
M〜約7.5mM又は約2.0〜約6.0mM又は約3.75〜約5.0mMの濃度でこ
の組成物中に存在する。
本医薬組成物の特定の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は水を含む。特定の
実施形態において、薬学的に許容可能な担体はデキストロースをさらに含む。特定の実施
形態において、薬学的に許容可能な担体はジメチルスルホキシドをさらに含む。特定の実
施形態において、本医薬組成物は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む。特定の実施
形態において、免疫調節薬(immunodulator)又はアジュバントは、ポリI
CLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、C
P−870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30
、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、
ISCOMATRIX、JuvImmune、LipoVac、MF59、モノホスホリ
ルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 2
06、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK
−432、OM−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、PEPTEL、ベク
ター系、PLGAマイクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他
のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3
Cys、及びAquila社のQS21 stimulonからなる群から選択される。
特定の実施形態において、免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCを含む。
キサンテノン誘導体、例えば、バジメザン又はAsA404(5,6−ジメチルキサン
テノン(dimethylaxanthenone)−4−酢酸(DMXAA)としても
知られる)などもまた、本発明の実施形態に係るアジュバントとして用いられ得る。或い
は、かかる誘導体はまた、本発明のワクチン又は免疫原性組成物と並行して例えば全身性
又は腫瘍内送達を介して投与され、腫瘍部位で免疫を刺激し得る。理論によって拘束され
るものではないが、かかるキサンテノン誘導体は、IFN遺伝子刺激因子(STING)
受容体を介してインターフェロン(IFN)産生を刺激することにより作用すると考えら
れる(例えば、Conlon et al.(2013)「マウスSTINGは血管破裂
剤5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸に応答して結合し及びシグナル伝達するが、
ヒトSTINGはこれを行わない(Mouse,but not Human STIN
G,Binds and Signals in Response to the V
ascular Disrupting Agent 5,6−Dimethylxan
thenone−4−Acetic Acid)」,Journal of Immun
ology,190:5216−25及びKim et al.(2013)「抗癌フラ
ボノイドはマウス選択的STINGアゴニストである(Anticancer Flav
onoids are Mouse−Selective STING Agonist
s)」,8:1396−1401)を参照)。
ワクチン又は免疫学的組成物はまた、アクリル系又はメタクリル系ポリマー及び無水マ
レイン酸・アルケニル誘導体共重合体から選択されるアジュバント化合物も含み得る。詳
細には、それは、アクリル酸又はメタクリル酸が糖又は多価アルコールのポリアルケニル
エーテルで架橋されたポリマー(カルボマー)、詳細にはアリルスクロース又はアリルペ
ンタエリスリトールで架橋されたポリマーである。それはまた、無水マレイン酸及びエチ
レンが例えばジビニルエーテルで架橋された共重合体であってもよい(米国特許第6,7
13,068号明細書(本明細書によって全体として参照により援用される)を参照)。
特定の実施形態において、pH調整剤は、本明細書に記載されるとおりのアジュバント
又は免疫調節薬を安定化させることができる。
特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ〜5つのペプチド、ジメチルスルホキシ
ド(DMSO)、デキストロース、(又はトレハロース若しくはスクロース)水、コハク
酸塩、ポリI:ポリC、ポリ−L−リジン、カルボキシメチルセルロース、及び塩化物を
含む。特定の実施形態において、1つ〜5つのペプチドの各々は300μg/mlの濃度
で存在する。特定の実施形態において、本医薬組成物は≦3体積%のDMSOを含む。特
定の実施形態において、本医薬組成物は水中3.6〜3.7%のデキストロースを含む。
特定の実施形態において、本医薬組成物は3.6〜3.7mMのコハク酸塩(例えばコハ
ク酸ジナトリウム)又はその塩を含む。特定の実施形態において、本医薬組成物は0.5
mg/mlのポリI:ポリCを含む。特定の実施形態において、本医薬組成物は0.37
5mg/mlのポリ−L−リジンを含む。特定の実施形態において、本医薬組成物は1.
25mg/mlのカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。特定の実施形態におい
て、本医薬組成物は0.225%の塩化ナトリウムを含む。
医薬組成物は、本明細書に記載される腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドを、本明細書に記載
されている疾患及び病態(例えば、新生物/腫瘍)の治療に治療上有効な量で、場合によ
り薬学的に許容可能な添加剤、担体及び/又は賦形剤と組み合わせて含む。当業者は、本
開示及び当該技術分野における知識から、本発明に係る1つ以上の化合物の治療有効量が
、治療しようとする病態、その重症度、用いられる治療レジメン、使用する薬剤の薬物動
態、並びに治療される患者(動物又はヒト)によって異なり得ることを認識するであろう
本発明に係る医薬組成物を調製するため、本発明に係る化合物の1つ以上の治療有効量
は、好ましくは、用量が作製されるように従来の医薬配合技法に従い薬学的に許容可能な
担体と徹底的に混合される。担体は、例えば、数ある中でもとりわけ、眼球、経口、局所
又は非経口、例えば、ゲル、クリーム、軟膏、ローション及び時限放出植込み型製剤など
、投与に望ましい調製形態に応じて多種多様な形態をとり得る。経口剤形として医薬組成
物を調製する際には、任意の通常の医薬媒体が用いられ得る。従って、懸濁液、エリキシ
ル剤及び溶液などの液体経口製剤には、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存
剤、着色剤などを含めた好適な担体及び添加剤が用いられ得る。散剤、錠剤、カプセルな
どの固形経口製剤には、及び坐薬などの固形製剤には、デンプン、糖担体、例えばデキス
トロース、マンニトール、ラクトース及び関連する担体、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合
剤、崩壊剤などを含めた好適な担体及び添加剤が用いられ得る。必要であれば、錠剤又は
カプセルは腸溶性コーティングされてもよく、又は標準的な技法によって徐放性であって
もよい。
活性化合物は、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤中に、治療される患者に重大な毒性
作用を引き起こすことなしに所望の徴候に治療上有効な量を患者に送達するのに十分な量
で含まれる。
経口組成物は、概して不活性希釈剤又は食用担体を含む。経口組成物はゼラチンカプセ
ルに封入されるか又は錠剤に圧縮され得る。経口治療薬投与の目的上、活性化合物又はそ
のプロドラッグ誘導体は賦形剤と添合され、錠剤、トローチ、又はカプセルの形態で使用
され得る。薬剤適合性を有する結合剤、及び/又は補助剤材料が組成物の一部として含ま
れてもよい。
錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分、又は類似した性質の化合物のい
ずれかを含有し得る:微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤
;デンプン又はラクトースなどの賦形剤、アルギン酸又はコーンスターチなどの分散剤;
ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロー
ス又はサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香
味料などの香味剤。投薬量単位剤形がカプセルである場合、それは、本明細書に記載され
る材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含有し得る。加えて、投薬量単位剤形は、投薬
量単位の物理的形態を修飾する様々な他の材料、例えば、糖、シェラック、又は腸溶剤の
コーティングを含有し得る。
経口投与に好適な本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤又は錠剤など、各々が所定量の
活性成分を含有する個別的な単位として;散剤又は顆粒として;水性液体又は非水性液体
中の溶液又は懸濁液として;又は水中油型液体エマルション又は油中水型エマルションと
して及びボーラスとして等、提供されてもよい。
錠剤は、圧縮又は成形によって、場合により1つ以上の補助成分を伴い作製されてもよ
い。圧縮錠剤は、散剤又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を、場合により結合剤、潤
滑剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性剤又は分散剤と混合して、好適な機械で圧縮する
ことにより調製し得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合
物を好適な機械で成形することにより作製し得る。錠剤は場合によりコーティングされる
か又は割線が入れられてもよく、中の活性成分の持続放出又は制御放出を提供するように
製剤化されてもよい。
薬学的に活性な成分のかかる持続放出又は制御放出組成物を製剤化する方法は当該技術
分野において公知であり、いくつかの交付済み米国特許に記載されており、その一部とし
ては、限定はされないが、米国特許第3,870,790号明細書;同第4,226,8
59号明細書;同第4,369,172号明細書;同第4,842,866号明細書及び
同第5,705,190号明細書(これらの開示は全体として参照により本明細書に援用
される)が挙げられる。コーティングは、化合物を腸に送達するために使用することがで
きる(例えば、米国特許第6,638,534号明細書、同第5,541,171号明細
書、同第5,217,720号明細書、及び同第6,569,457号明細書、及びこれ
らに引用される文献を参照のこと)。
活性化合物又はその薬学的に許容可能な塩はまた、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、
オブラート、チューインガムなどの構成成分として投与されてもよい。シロップは、活性
化合物に加えて、甘味剤としてのスクロース又はフルクトース及び特定の保存剤、色素並
びに着色料及び香味料を含有し得る。
眼球、非経口、皮内、皮下、又は局所適用に使用される溶液又は懸濁液は以下の構成成
分を含み得る:滅菌希釈剤、例えば注入用水、生理食塩溶液、固定油、ポリエチレングリ
コール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗細菌剤、例えばベンジ
ルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナト
リウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸
塩又はリン酸塩及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性を調整する薬剤。
特定の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は、任意選択で追加的な共溶媒を伴
う水性溶媒、即ち水を含む溶媒である。例示的な薬学的に許容可能な担体としては、水、
緩衝水溶液(リン酸緩衝生理食塩水(PBS)など、及び5%デキストロース水溶液(D
5W)又は10%トレハロース若しくは10%スクロースが挙げられる。特定の実施形態
において、水性溶媒には、例えば約1〜4%、又は1〜3%の量のジメチルスルホキシド
(DMSO)がさらに含まれる。特定の実施形態において、薬学的に許容可能な担体は等
張性である(即ち、血漿などの体液と実質的に同じ浸透圧を有する)。
一実施形態において、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化されたデリ
バリーシステムを含め、制御放出製剤など、化合物を体内からの急速な排出から保護する
担体と共に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラー
ゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びポリ乳酸−co−グリコール酸(PLGA)
などの生分解性生体適合性ポリマーが用いられてもよい。かかる製剤の調製方法は、この
開示及び当該技術分野における知識を考慮して当業者の範囲内である。
当業者は、錠剤に加えて、活性成分の持続放出又は制御放出を提供するため他の剤形を
製剤化し得ることを、この開示及び当該技術分野における知識から認識する。かかる剤形
としては、限定はされないが、カプセル、顆粒及びジェルキャップが挙げられる。
リポソーム懸濁液もまた薬学的に許容可能な担体であり得る。これは当業者に公知の方
法により調製することができる。例えば、リポソーム製剤は、適切な1つ又は複数の脂質
を無機溶媒中に溶解し、次に溶媒を蒸発させて、容器の表面に乾燥した脂質の薄膜を残す
ことにより調製し得る。次に容器に活性化合物の水溶液が導入される。次に容器を手で旋
回させて容器の側面から脂質材料を遊離させ、脂質凝集物を分散させると、それによりリ
ポソーム懸濁液が形成される。当業者に周知されている他の調製方法もまた、本発明のこ
の態様で用いることができる。
製剤は、好都合には単位投薬量剤形で提供されてもよく、従来の製薬技法によって調製
されてもよい。かかる技法は、活性成分と1つ又は複数の医薬担体又は1つ又は複数の賦
形剤とを会合させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体と一様に且つ
徹底的に会合させることによるか、又は固体担体を微粉化することによるか又は両方によ
り、及び次に、必要であれば生成物を成形することにより調製される。
口内における局所投与に好適な製剤及び組成物には、香味付けされた基剤、通常スクロ
ース及びアカシア又はトラガカント中に成分を含むロゼンジ;ゼラチン及びグリセリンな
どの不活性基剤、又はスクロース及びアカシア中に活性成分を含むトローチ;及び投与し
ようとする成分を好適な液体担体中に含む洗口剤が含まれる。
皮膚への局所投与に好適な製剤は、投与しようとする成分を薬学的に許容可能な担体中
に含む軟膏、クリーム、ゲル及びペーストとして提供され得る。好ましい局所デリバリー
システムは、投与しようとする成分を含有する経皮パッチである。
直腸投与用の製剤は、例えばカカオ脂又はサリチル酸塩を含む好適な基剤を伴う坐薬と
して提供され得る。
担体が固体である場合の経鼻投与に好適な製剤は、例えば20〜500ミクロンの範囲
の粒度を有する粗末を含み、これは、嗅薬の投与方法で、即ち鼻に当てるように保持され
た粉末の容器から鼻道を介して急速吸入することにより投与される。担体が液体である場
合の好適な製剤は、例えば鼻腔内スプレーとして又は点鼻液としての投与用液体であり、
活性成分の水性又は油性溶液を含む。
腟内投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、当該技術分野において適切であることが
知られているとおりの担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト
、泡又はスプレー製剤として提供され得る。
非経口製剤は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は頻回用
量バイアルに封入され得る。静脈内投与される場合、好ましい担体としては、例えば生理
食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。
非経口製剤については、担体は通常、滅菌水又は塩化ナトリウム水溶液を含むが、分散
を助けるものを含めた他の成分が含まれてもよい。当然ながら、滅菌水が使用され、且つ
無菌のまま維持される場合、組成物及び担体もまた滅菌される。また注射用懸濁液が調製
されてもよく、この場合、適切な液体担体、懸濁剤などが用いられ得る。
非経口投与に好適な製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び製剤を意図されるレシピエ
ントの血液と等張性にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射溶液;並びに懸濁剤
及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液を含む。これらの製剤は、単位用量又は
複数用量容器、例えば密閉されたアンプル及びバイアルで提供されてもよく、使用直前に
滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態
で保存され得る。即時調合注射溶液及び懸濁液は、これまでに記載されている種類の滅菌
粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
活性化合物の投与は連続投与(静脈内点滴)から1日数回の経口投与(例えば、Q.I
.D.)にまで及び得るとともに、眼内又は眼球経路を含め、数ある投与経路の中でもと
りわけ、経口、局所、眼内又は眼球、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透促進剤
を含み得る)、頬側及び坐薬投与を含み得る。
新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、従来の薬学的に許容可能な担体、補助剤、及び
媒体を含有する投薬量単位製剤で、注射により、経口的に、非経口的に、吸入スプレーに
より、直腸内に、腟内に、又は局所的に投与されてもよい。用語の非経口とは、本明細書
で使用されるとき、1つ又は複数のリンパ節内、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、輸液法
、腹腔内、眼又は眼球、硝子体内、頬内、経皮、鼻腔内、頭蓋内及び硬膜内を含む脳内、
足首関節、膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手首関節を含む関節内、腫瘍内に直接など
、及び坐薬形態を含む。
目的の部位に主題の組成物を提供するため、注入、カテーテルの使用、トロカール、プ
ロジェクタイル、プルロニック(登録商標)ゲル、ステント、持続性薬物放出ポリマー又は内部アクセ
スを提供する他の装置など、様々な技法を用いることができる。患者から摘出したため臓
器又は組織にアクセス可能である場合、かかる臓器又は組織が主題の組成物を含有する媒
体浴中に入れられてもよく、主題の組成物が臓器に塗布されてもよく、又は任意の好都合
な方法で適用されてもよい。
腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドは、所望の局所的又は全身性生理又は薬理効果の達成にお
いて有効な組成物の制御及び持続放出に好適な装置によって投与され得る。この方法は、
薬剤の放出が所望される領域に持続放出型薬物送達システムを位置決めするステップと、
薬剤を装置から所望の治療領域へと移動させるステップとを含む。
腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドは、少なくとも1つの公知の他の治療剤、又は前記薬剤の
薬学的に許容可能な塩と併用して利用されてもよい。併用治療に用いることのできる公知
の治療剤の例としては、限定はされないが、コルチコステロイド(例えば、コルチゾン、
プレドニゾン、デキサメタゾン)、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)(例えば、
イブプロフェン、セレコキシブ、アスピリン、インドメタシン(indomethici
n)、ナプロキセン)、アルキル化剤、例えば、ブスルファン、シスプラチン、マイトマ
イシンC、及びカルボプラチン;抗有糸分裂剤、例えば、コルヒチン、ビンブラスチン、
パクリタキセル、及びドセタキセル;トポI阻害薬、例えば、カンプトテシン及びトポテ
カン;トポII阻害薬、例えば、ドキソルビシン及びエトポシド;及び/又はRNA/D
NA代謝拮抗薬、例えば、5−アザシチジン、5−フルオロウラシル及びメトトレキサー
ト;DNA代謝拮抗薬、例えば、5−フルオロ−2’−デオキシ−ウリジン、ara−C
、ヒドロキシウレア及びチオグアニン;抗体、例えば、HERCEPTIN及びRITU
XANが挙げられる。
本明細書に詳細に挙げた成分に加えて、本発明の製剤は、問題の製剤タイプを考慮した
当該技術分野における従来の他の薬剤を含み得ることが理解されなければならず、例えば
、経口投与に好適なものが香味剤を含み得る。
薬学的に許容可能な塩の形態は、本発明に係る医薬組成物に含めるのに好ましい化学的
形態の本発明に係る化合物であり得る。
本化合物又はその誘導体は、これらの薬剤のプロドラッグ形態を含め、薬学的に許容可
能な塩の形態で提供されてもよい。本明細書で使用されるとき、用語の薬学的に許容可能
な塩又は複合体とは、親化合物の所望の生物学的活性を保持し且つ正常細胞に対して限ら
れた毒性効果を呈する本発明に係る活性化合物の適切な塩又は複合体を指す。かかる塩の
非限定的な例は、とりわけ、(a)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、
硝酸など)と形成される酸付加塩、及び酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、
アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、及びポリグルタミン酸
などの有機酸と形成される塩;(b)数ある中でもとりわけ、亜鉛、カルシウム、ナトリ
ウム、カリウムなどの金属カチオンと形成される塩基付加塩などである。
本明細書における化合物は市販されており、又は合成することができる。当業者は理解
し得るとおり、本明細書の式の化合物を合成するさらなる方法が当業者には明らかである
。加えて、様々な合成のステップを別の順番又は順序で実施して所望の化合物を得てもよ
い。本明細書に記載される化合物の合成において有用な合成化学変換及び保護基の方法論
(保護及び脱保護)は当該技術分野において公知であり、例えば、R.Larock,C
omprehensive Organic Transformations,2nd
.Ed.,Wiley−VCH Publishers(1999);T.W.Gree
ne and P.G.M.Wuts,Protective Groups in O
rganic Synthesis,3rd.Ed.,John Wiley and
Sons(1999);L.Fieser and M.Fieser,Fieser
and Fieser’s Reagents for Organic Synthe
sis,John Wiley and Sons(1999);及びL.Paquet
te,ed.,Encyclopedia of Reagents for Orga
nic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、
及びこれらの続版に記載されるものが含まれる。
本発明の腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドと共に含まれ得るさらなる薬剤は、1つ以上の不
斉中心を含有してもよく、従ってラセミ体及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、個々
のジアステレオマー及びジアステレオマー混合物として存在し得る。これらの化合物のか
かる異性体形態は全て、本発明に明示的に含まれる。本発明の化合物はまた、複数の互変
異性型で表されてもよく、そのような場合、本発明は、本明細書に記載される化合物の全
ての互変異性型を明示的に含む(例えば、環系のアルキル化は複数の部位のアルキル化を
もたらすことができ、本発明はかかる反応生成物の全てのを明示的に含む)。かかる化合
物の全てのかかる異性体形態が、本発明に明示的に含まれる。本明細書に記載される化合
物の全ての結晶形態が、本発明に明示的に含まれる。
投薬量
本明細書に記載される薬剤が医薬品としてヒト又は動物に投与されるとき、それらはそ
れ自体で投与することも、又は薬学的に許容可能な担体、賦形剤、若しくは希釈剤と組み
合わせた活性成分を含有する医薬組成物として投与することもできる。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベル及び時間的投与経過は、特定の
患者、組成物、及び投与方法について、患者に毒性となることなく所望の治療応答を実現
するのに有効な活性成分の量が達成されるように変えることができる。概して、本発明の
薬剤又は医薬組成物は、ウイルス感染症及び/又は自己免疫疾患に関連する症状を軽減し
又は消失させるのに十分な量で投与される。
薬剤の好ましい用量は、患者が忍容し得る、且つ重篤な又は許容できない副作用を生じ
ない最大量である。例示的用量範囲としては、1日0.01mg〜250mg、1日0.
01mg〜100mg、1日1mg〜100mg、1日10mg〜100mg、1日1m
g〜10mg、及び1日0.01mg〜10mgが挙げられる。薬剤の好ましい用量は、
患者が忍容し得る、且つ重篤な又は許容できない副作用を生じない最大量である。実施形
態において、薬剤は、1日体重1キログラム当たり約10マイクログラム〜約100mg
、1日約0.1〜約10mg/kg、又は1日約1.0mg〜約10mg/kg体重の濃
度で投与される。
実施形態において、医薬組成物は、1〜10mgの範囲の量、例えば、1、2、3、4
、5、6、7、8、9、又は10mgの薬剤を含む。
実施形態において、治療上有効な投薬量は、約0.1ng/ml乃至約50〜100m
glmlの血清中薬剤濃度を生じる。医薬組成物5は、典型的には1日体重1キログラム
当たり約0.001mg〜約2000mgの化合物の投薬量を提供しなければならない。
例えば、ヒト患者に対する全身投与の投薬量は、1〜10mg/kg、20〜80mg/
kg、5〜50μg/kg、75〜150μg/kg、100〜500mglkg、25
0〜750mglkg、500〜1000mglkg、1〜10mg/kg、5〜50m
g/kg、25〜75mg/kg、50〜100mg/kg、100〜250mg/kg
、50〜100mg/kg、250〜500mg/kg、500〜750mg/kg、7
50〜1000mg/kg、1000〜1500mg/kg、10 1500〜2000
mg/kgの範囲、5mg/kg、20mg/kg、50mg/kg、100mg/kg
、500mg/kg、1000mg/kg、1500mg/kg、又は2000mg/k
gであり得る。医薬投薬量単位剤形は、投薬量単位剤形当たり約1mg〜約5000mg
、例えば約100〜約2500mgの化合物又は必須成分の組み合わせを提供するように
調製される。
実施形態において、約50nM〜約1μMの薬剤が対象に投与される。関連する実施形
態において、約50〜100nM、50〜250nM、100〜500nM、250〜5
00nM、250〜750nM、500〜750nM、500nM〜1μM、又は750
nM〜1μMの薬剤が対象に投与される。
有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示を踏まえれば、十分に当業者の
能力の範囲内にある。概して、薬剤の効果のある又は有効な量は、初めに低用量の薬剤を
投与し、次に治療対象において所望の効果(例えば、ウイルス感染症又は自己免疫疾患に
関連する症状の軽減又は消失)が最小の又は許容される毒性の副作用で観察されるまで投
与用量又は投薬量を漸増させることにより決定される。本発明の医薬組成物の投与に適切
な用量及び投薬スケジュールを決定するために適用可能な方法は、例えば、Goodma
n and Gilman’s The Pharmacological Basis
of Therapeutics,Goodman et al.,eds.,11t
h Edition,McGraw−Hill 2005、及びRemington:T
he Science and Practice of Pharmacy,20th
and 21st Editions,Gennaro and Universit
y of the Sciences in Philadelphia,Eds.,L
ippencott Williams & Wilkins(2003及び2005)
(これらの各々が本明細書によって参照により援用される)に記載されている。
好ましい単位投薬量製剤は、投与される成分の1日用量又は単位、本明細書に記載され
るとおりの、1日サブ用量、又はそれらの適切な割合を含有するものである。
本発明の腫瘍特異的ネオ抗原ペプチド及び/又は本発明の組成物で障害又は疾患を治療
するための投薬量レジメンは、疾患のタイプ、患者の年齢、体重、性別、医学的状態、病
態の重症度、投与経路、及び用いられる詳細な化合物を含めた種々の要因に基づく。従っ
て、投薬量レジメンは幅広く異なり得るが、標準方法を用いて常法で決定することができ
る。
対象に投与される量及び投薬レジメンは、投与方法、治療される病態の性質、治療され
る対象の体重及び処方医師の判断など、多くの要因に依存し得る;かかる要因は全て、こ
の開示及び当該技術分野における知識から当業者の範囲内にある。
本発明に係る治療活性を有する製剤中に含まれる化合物の量は、疾患又は病態の治療に
有効な量である。一般に、剤形中における好ましい本化合物の治療有効量は、通常、使用
される化合物、治療される病態又は感染及び投与経路に応じて、患者の約0.025mg
/kg/日弱〜約2.5g/kg/日、好ましくは約0.1mg/kg/日〜約100m
g/kg/日又はそれよりかなり多い範囲であるが、この投薬量範囲の例外が本発明によ
り企図され得る。その最も好ましい形態では、本発明に係る化合物は約1mg/kg/日
〜約100mg/kg/日の範囲の量で投与される。化合物の投薬量は、治療される病態
、詳細な化合物、及び他の臨床学的因子、例えば患者の体重及び状態並びに化合物の投与
経路に依存し得る。本発明はヒト及び家畜の両方への使用に適用を有することが理解され
るべきである。
ヒトへの経口投与について、約0.1〜100mg/kg/日、好ましくは約1〜10
0mg/kg/日の投薬量が概して十分である。
薬物送達が局所的ではなく全身性である場合、この投薬量範囲は、概して患者において
約0.04未満〜約400マイクログラム/cc血液又はそれ以上の範囲の活性化合物の
有効血中レベル濃度を生じる。化合物は、好都合には、限定はされないが、単位投薬量剤
形当たり0.001〜3000mg、好ましくは0.05〜500mgの活性成分を含有
するものを含め、任意の好適な単位投薬量剤形で投与される。10〜250mgの経口投
薬量が通常好都合である。
特定の例示的実施形態によれば、本ワクチン又は免疫原性組成物は、ネオ抗原ペプチド
当たり約10μg〜1mgの用量で投与される。特定の例示的実施形態によれば、本ワク
チン又は免疫原性組成物は、ネオ抗原ペプチド当たり約10μg〜2000μgの平均週
用量レベルで投与される。
薬物組成物中の活性化合物の濃度は、薬物の吸収、分布、不活性化、及び排泄率並びに
当業者に公知の他の要因に依存し得る。投薬量の値はまた、軽減しようとする病態の重症
度によっても変わり得ることに留意すべきである。さらに、任意の特定の対象について、
具体的な投薬量レジメンは個別の必要性及び組成物投与の投与者又は監督者の専門的な判
断に従い時間とともに調整されなければならないこと、及び本明細書に示す濃度範囲は例
示に過ぎず、特許請求される組成物の範囲又は実施を限定する意図はないことが理解され
るべきである。活性成分は一度に投与されてもよく、又は複数の少量の用量に分割して種
々の時間間隔で投与されてもよい。
本発明は、本明細書に記載される少なくとも1つの腫瘍特異的ネオ抗原を含有する医薬
組成物を提供する。実施形態において、この医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体、賦
形剤、又は希釈剤を含有し、これには、それ自体は組成物の投与を受ける対象に有害な免
疫応答の発生を引き起こさない、且つ過度の毒性なしに投与され得る任意の医薬品が含ま
れる。本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容可能」は、哺乳動物、より詳細に
はヒトでの使用について連邦政府若しくは州政府の規制当局によって承認済みであるか、
又は米国薬局方、欧州薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に収載されている
ことを意味する。これらの組成物はウイルス感染症及び/又は自己免疫疾患の治療及び/
又は予防に有用であり得る。
薬学的に許容可能な担体、希釈剤、及び他の賦形剤に関する周到な考察が、Remin
gton’s Pharmaceutical Sciences(17th ed.,
Mack Publishing Company)及びRemington:The
Science and Practice of Pharmacy(21st ed
.,Lippincott Williams & Wilkins)(これらは本明細
書によって参照により援用される)に提供されている。医薬組成物の配合は投与方法に適
していなければならない。実施形態において、医薬組成物はヒトへの投与に好適であり、
無菌、粒子状物質不含及び/又は非発熱性であり得る。
薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤としては、限定されないが、生理食塩水
、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、滅菌等張緩衝水溶
液、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシ
ウム、並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、保存剤、及
び抗酸化剤もまた組成物中に存在し得る。
薬学的に許容可能な抗酸化剤の例としては、限定はされないが、以下が挙げられる:(
1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メ
タ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミ
チン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシト
ルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;及び(3)
金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトー
ル、酒石酸、リン酸など。
実施形態において、医薬組成物は、再構成に好適な凍結乾燥粉末などの固体形態、液体
溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸薬、カプセル、持続放出製剤、又は散剤で提供さ
れる。
実施形態において、医薬組成物は液体形態で、例えば、医薬組成物中の活性成分の分量
及び濃度を指示する密閉容器内に提供される。関連する実施形態では、液体形態の医薬組
成物がハーメチックシール容器に提供される。
本発明の医薬組成物を製剤化する方法は従来どおりであり、当該技術分野において周知
されている(Remington及びRemington’sを参照)。当業者は、所望
の特性(例えば、投与経路、バイオセーフティ、及び放出プロファイル)を有する医薬組
成物を容易に製剤化することができる。
医薬組成物の調製方法は、活性成分と薬学的に許容可能な担体、及び場合により1つ以
上の補助成分とを会合させるステップを含む。医薬組成物は、活性成分を液体担体と一様
に且つ徹底的に会合させることによるか、又は固体担体を微粉化することによるか、又は
両方により、及び次に、必要であれば生成物を成形することにより調製し得る。医薬組成
物の調製に関するさらなる方法論が、多層剤形の調製を含め、Ansel’s Phar
maceutical Dosage Forms and Drug Deliver
y Systems(9th ed.,Lippincott Williams &
Wilkins)(本明細書によって参照により援用される)に記載されている。
経口投与に好適な医薬組成物は、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ(香味付
けされた基剤、通常スクロース及びアカシア又はトラガカントを使用する)、散剤、顆粒
の形態であっても、或いは水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として、或いは水中油
型又は油中水型液体エマルションとして、又はエリキシル剤又はシロップとして、又はト
ローチとして(ゼラチン及びグリセリンなどの不活性基剤、又はスクロース及びアカシア
を使用する)及び/又は洗口剤としての形態などであってもよく、各々が、1つ又は複数
の活性成分として本明細書に記載される1つ又は複数の化合物、その誘導体、又はその薬
学的に許容可能な塩又はプロドラッグの所定量を含有する。活性成分はまた、ボーラス、
舐剤、又はペーストとして投与されてもよい。
経口投与用の固形剤形(例えば、カプセル、錠剤、丸薬、糖衣剤、散剤、顆粒など)で
は、活性成分は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、又は希釈剤、例えば、ク
エン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、及び/又は以下のいずれかと混合される:(
1)充填剤又は増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マン
ニトール、及び/又はケイ酸;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシアなど;(
3)保湿剤、例えば、グリセロール;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジ
ャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム;
(5)溶解抑制剤、例えば、パラフィン;(6)吸収促進剤、例えば、第4級アンモニウ
ム化合物;(7)湿潤剤、例えば、アセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロー
ル;(8)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土;(9)潤滑剤、例えば、タ
ルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコー
ル、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物;及び(10)着色剤。カプセル、錠
剤、及び丸薬の場合、医薬組成物は緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物はまた
、ソフト及びハード充填ゼラチンカプセル中における充填剤、及び賦形剤、例えばラクト
ース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して調製することもで
きる。
錠剤は、圧縮又は成形によって、場合により1つ以上の補助成分を伴い作製されてもよ
い。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)
、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又
は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤、及び/又は分散剤を使用
して調製することができる。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状活性成分
の混合物を好適な機械で成形することにより作製し得る。
錠剤、並びに糖衣剤、カプセル、丸薬、及び顆粒などの他の固形剤形は、場合により割
線が入れられてもよく、又は腸溶性コーティング及び当該技術分野において周知されてい
る他のコーティングなどのコーティング及びシェルを伴い調製されてもよい。
一部の実施形態では、活性成分の効果を延ばすため、皮下又は筋肉内注射からの化合物
の吸収を遅延させることが望ましい。これは、難水溶性である結晶性又は非晶質物質の液
体懸濁物を使用することにより達成し得る。このとき活性成分の吸収速度はその溶解速度
に依存し、次に溶解速度は結晶の大きさ及び結晶形に依存し得る。或いは、非経口投与さ
れる活性成分の吸収遅延は、化合物を油媒体中に溶解又は懸濁することにより達成される
。加えて、注射用医薬剤形の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン
などの吸収を遅延させる薬剤を取り入れることによりもたらされ得る。
制御放出非経口組成物は、水性懸濁液、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁性マ
イクロスフェア、油剤、油懸濁液、エマルションの形態であってもよく、又は活性成分が
1つ又は複数の生体適合性担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント又は輸液用器具に
組み込まれてもよい。
マイクロスフェア及び/又はマイクロカプセルの調製に使用される材料には、生分解性
/生体内侵食性ポリマー、例えば、ポリグラクチン、ポリ−(イソブチルシアノアクリレ
ート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)及びポリ(乳酸)が含まれる。
制御放出非経口製剤を製剤化する際に用い得る生体適合性担体には、デキストランなど
の炭水化物、アルブミン、リポタンパク質又は抗体などのタンパク質が含まれる。
インプラントに使用される材料は、非生分解性、例えば、ポリジメチルシロキサンであ
るか、又は生分解性、例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコー
ル酸)又はポリ(オルトエステル)などであり得る。
実施形態において、1つ又は複数の活性成分はエアロゾルによって投与される。これは
、化合物を含有する水性エアロゾル、リポソーム製剤、又は固体粒子を調製することによ
り達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴射剤)懸濁液が用いられてもよい。
医薬組成物はまた、化合物の分解をもたらし得る剪断に薬剤が曝露されることを最小限に
抑え得る音波ネブライザーを使用して投与することもできる。
通常、水性エアロゾルは、1つ又は複数の活性成分の水溶液又は水性懸濁液を従来の薬
学的に許容可能な担体及び安定剤と共に配合することにより作製される。担体及び安定剤
は特定の化合物の要件によって異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Twee
n、Pluronic、又はポリエチレングリコール)、無害のタンパク質、例えば、血
清アルブミン、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、
緩衝剤、塩類、糖類又は糖アルコール類を含む。エアロゾルは概して等張液から調製され
る。
1つ又は複数の活性成分の局所投与又は経皮投与用剤形には、散剤、スプレー、軟膏、
ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入薬が含まれる。1つ又は
複数の活性成分は、無菌条件下で薬学的に許容可能な担体と、及び適宜、任意の保存剤、
緩衝剤、又は噴射剤と混合することができる。
本発明での使用に好適な経皮パッチが、Transdermal Drug Deli
very:Developmental Issues and Research I
nitiatives(Marcel Dekker Inc.,1989)及び米国特
許第4,743,249号明細書、同第4,906,169号明細書、同第5,198,
223号明細書、同第4,816,540号明細書、同第5,422,119号明細書、
同第5,023,084号明細書(これらは本明細書によって参照により援用される)に
開示されている。経皮パッチはまた、経陰嚢パッチを含め、当該技術分野において周知さ
れている任意の経皮パッチであってよい。かかる経皮パッチ中の医薬組成物は、当該技術
分野において周知の1つ以上の吸収促進剤又は皮膚透過促進剤を含有し得る(例えば、米
国特許第4,379,454号明細書及び同第4,973,468号明細書(これらは本
明細書によって参照により援用される)を参照)。本発明で使用される経皮的治療薬シス
テムは、イオントフォレシス、拡散、又はこれらの2つの効果の併用に基づき得る。
経皮パッチは、身体への1つ又は複数の活性成分の制御送達を提供するというさらなる
利点を有する。かかる剤形は、1つ又は複数の活性成分を適切な媒体中に溶解又は分散さ
せることにより作製し得る。吸収促進剤を使用して、皮膚を通じた活性成分のフラックス
を増加させることもできる。かかるフラックスの速度は、律速膜を提供するか、或いは1
つ又は複数の活性成分をポリマーマトリックス又はゲル中に分散させるかのいずれかによ
って制御し得る。
かかる医薬組成物は、クリーム、軟膏、ローション、リニメント剤、ゲル、ハイドロゲ
ル、溶液、懸濁液、スティック、スプレー、ペースト、硬膏及び他の種類の経皮薬物デリ
バリーシステムの形態であってもよい。この組成物はまた、薬学的に許容可能な担体又は
賦形剤、例えば、乳化剤、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、浸透促進剤、キレート剤
、ゲル形成剤、軟膏基剤、香料、及び皮膚保護剤も含み得る。
乳化剤の例としては、限定はされないが、天然に存在するゴム、例えばアカシアゴム又
はトラガカントゴム、天然に存在するホスファチド、例えば大豆レシチン及びモノオレイ
ン酸ソルビタン誘導体が挙げられる。
抗酸化剤の例としては、限定はされないが、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)
、アスコルビン酸及びその誘導体、トコフェロール及びその誘導体、及びシステインが挙
げられる。
保存剤の例としては、限定はされないが、パラベン、例えばp−ヒドロキシ安息香酸メ
チル又はプロピル及び塩化ベンザルコニウムが挙げられる。
保湿剤の例としては、限定はされないが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビ
トール及び尿素が挙げられる。
浸透促進剤の例としては、限定はされないが、プロピレングリコール、DMSO、トリ
エタノールアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、2
−ピロリドン及びその誘導体、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコー
ル、モノラウリン酸プロピレングリコール又はラウリン酸メチルを含むジエチレングリコ
ールモノエチル又はモノメチルエーテル、ユーカリプトール、レシチン、TRANSCU
TOL、及びAZONEが挙げられる。
キレート剤の例としては、限定はされないが、EDTAナトリウム、クエン酸及びリン
酸が挙げられる。
ゲル形成剤の例としては、限定はされないが、カルボポール、セルロース誘導体、ベン
トナイト、アルギン酸塩、ゼラチン及びポリビニルピロリドンが挙げられる。
1つ又は複数の活性成分に加えて、本発明の軟膏、ペースト、クリーム、及びゲルは、
賦形剤、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガ
カント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ
酸、タルク及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含有し得る。
散剤及びスプレーは、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニ
ウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物を含有し得る。
スプレーは、従来の噴射剤、例えばクロロフルオロ炭化水素、及び揮発性非置換炭化水素
、例えばブタン及びプロパンをさらに含有し得る。
注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に本発
明の1つ又は複数の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することにより作製さ
れる。化合物とポリマーの比率、及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物
の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルト
エステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、生体組織と適合
性のあるリポソーム又はマイクロエマルション中に薬物を封入することによっても調製さ
れる。
皮下インプラントは当該技術分野において周知されており、本発明での使用に好適であ
る。皮下植え込み方法は、好ましくは非刺激性で、機械的に弾性がある。インプラントは
、マトリックスタイプ、リザーバタイプ、又はそれらのハイブリッドであってもよい。マ
トリックスタイプの装置において、担体材料は多孔質又は非多孔質、固体又は半固体、及
び1つ又は複数の活性化合物に対して透過性又は不透過性であってもよい。担体材料は生
分解性であってもよく、又は投与後にゆっくりと侵食し得る。場合によっては、マトリッ
クスは非分解性であって、しかし代わりに担体材料が分解するマトリックスを通じた活性
化合物の拡散に頼る。代替的な皮下インプラント方法はリザーバ装置を利用し、ここでは
1つ又は複数の活性化合物が律速膜、例えば、成分濃度と無関係な(ゼロ次動態を有する
)膜に取り囲まれている。律速膜に取り囲まれたマトリックスからなる装置もまた使用に
好適である。
リザーバタイプ及びマトリックスタイプの両方の装置とも、ポリジメチルシロキサン、
例えばSILASTIC、又は他のシリコーンゴムなどを含有し得る。マトリックス材料
は、不溶性ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチルビニルアセテート、
ポリスチレン及びポリメタクリレート、並びにパルミトステアリン酸グリセロール、ステ
アリン酸グリセロール、及びベヘン酸グリセロールタイプのグリセロールエステルであっ
てもよい。材料は疎水性又は親水性ポリマーであってもよく、場合により可溶化剤を含有
する。
皮下インプラント装置は、例えば米国特許第5,035,891号明細書及び同第4,
210,644号明細書(これらは本明細書によって参照により援用される)に記載され
るとおりの、任意の好適なポリマーで作製された遅延放出カプセルであってもよい。
一般には、放出の律速及び薬物化合物の皮膚透過を提供するために、少なくとも4つの
異なる手法を適用することが可能である。これらの手法は以下である:膜による抑制シス
テム、接着拡散制御システム、マトリックス分散型システム及びマイクロリザーバシステ
ム。制御放出性の経皮及び/又は局所組成物は、これらの手法を好適に取り合わせること
により達成し得ることが理解される。
膜による抑制システムでは、活性成分は、金属プラスチックラミネートなどの薬物不透
過性ラミネートから成形された浅いコンパートメントと、微孔性又は非多孔質高分子膜、
例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体などの律速高分子膜とに完全にカプセル化されたリ
ザーバ中に存在する。活性成分は律速高分子膜を通って放出される。薬物リザーバでは、
活性成分は固体ポリマーマトリックス中に分散しているか、又はシリコーン液などの浸出
不可能な粘稠液体媒体中に懸濁されているかのいずれかであり得る。高分子膜の外表面に
接着性ポリマーの薄層が貼り付けられており、この経皮システムと皮膚表面との密着した
接触を実現する。接着性ポリマーは、好ましくは、低アレルギー性で且つ活性薬物物質と
適合性を有するポリマーである。
接着拡散制御システムでは、活性成分のリザーバは、活性成分を接着性ポリマー中に直
接分散させて、次に、例えば溶媒キャスティングにより、活性成分を含有する接着剤を実
質的に薬物不透過性の金属プラスチック裏当てのフラットシート上に塗布して薄い薬物リ
ザーバ層を形成することにより形成される。
マトリックス分散型システムは、活性成分を親水性又は親油性ポリマーマトリックス中
に実質的に均一に分散させることにより活性成分のリザーバが形成されることを特徴とす
る。次に薬物含有ポリマーが、実質的に十分に定義された表面積及び制御された厚さを有
する円板に成形される。接着性ポリマーが周囲に沿って塗布され、円板の周りに接着剤の
ストリップが形成される。
マイクロリザーバシステムは、リザーバシステムとマトリックス分散型システムとの組
み合わせと考えることができる。この場合、活性物質のリザーバは、初めに薬物固体を水
溶性ポリマーの水溶液中に懸濁し、次にこの薬物懸濁液を親油性ポリマー中に分散させて
、非常に多数の浸出不可能な微小球体の薬物リザーバを形成することにより形成される。
本明細書に記載の制御放出、長期放出、及び持続放出組成物のいずれも、約30分〜約
1週間、約30分〜約72時間、約30分〜24時間、約30分〜12時間、約30分〜
6時間、約30分〜4時間、及び約3時間〜10時間で活性成分を放出するように製剤化
することができる。実施形態において、1つ又は複数の活性成分の有効濃度は、医薬組成
物を対象に投与した後、対象体内で4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16
時間、24時間、48時間、72時間、又はそれ以上持続する。
ワクチン又は免疫原性組成物
本発明は、免疫原性組成物、例えば特定のT細胞応答を上昇させることができる新生物
ワクチン又は免疫原性組成物を含む。新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、本明細書に
記載される方法により同定される腫瘍特異的ネオ抗原に対応するネオ抗原ペプチド及び/
又はネオ抗原ポリペプチドを含む。
好適な新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、好ましくは複数の腫瘍特異的ネオ抗原ペ
プチドを含み得る。ある実施形態において、ワクチン又は免疫原性組成物は、1〜100
組のペプチド、より好ましくは1〜50のかかるペプチド、さらにより好ましくは10〜
30組のペプチド、さらにより好ましくは15〜25のペプチドを含み得る。別の好まし
い実施形態によれば、ワクチン又は免疫原性組成物は、少なくとも1つのペプチド、より
好ましくは2つ、3つ、4つ、又は5つのペプチドを含むことができる。特定の実施形態
において、ワクチン又は免疫原性組成物は、5、6、7、8、9、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26
、27、28、29、又は30の異なるペプチドを含むことができる。
ワクチン又は免疫原性組成物に含める各ペプチドの最適量及び最適投与レジメンは、当
業者が過度の実験を行うことなく決定することができる。例えば、ペプチド又はその変異
体は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内
(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射用に調製され得る。ペプチド注射の好ましい
方法には、s.c、i.d.、i.p.、i.m.、及びi.v.が含まれる。DNA注
射の好ましい方法には、i.d.、i.m.、s.c、i.p.及びi.v.が含まれる
。例えば、1〜500mg、50μg〜1.5mg、好ましくは10μg〜500μgの
ペプチド又はDNAの用量が投与されてもよく、それぞれのペプチド又はDNAに依存し
得る。この範囲の用量は、過去の試験で成功裏に用いられた(Brunsvig P F
,et al.,Cancer Immunol Immunother.2006;5
5(12):1553−1564;M.Staehler,et al.,ASCO m
eeting 2007;Abstract No 3017)。ワクチン又は免疫原性
組成物の他の投与方法は当業者に公知である。
本発明の一実施形態において、異なる腫瘍特異的ネオ抗原ペプチド及び/又はポリペプ
チドは、新生物ワクチン又は免疫原性組成物で使用するために、患者の新生物/腫瘍に対
する免疫攻撃が生じる可能性が最大となるように選択される。理論によって拘束されるも
のではないが、多様な腫瘍特異的ネオ抗原ペプチドを含めると、新生物/腫瘍に対して幅
広いスケールの免疫攻撃が生じ得ると考えられる。一実施形態において、選択された腫瘍
特異的ネオ抗原ペプチド/ポリペプチドはミスセンス突然変異によりコードされる。第2
の実施形態において、選択された腫瘍特異的ネオ抗原ペプチド/ポリペプチドはミスセン
ス突然変異とネオORF突然変異との組み合わせによりコードされる。第3の実施形態に
おいて、選択された腫瘍特異的ネオ抗原ペプチド/ポリペプチドはネオORF突然変異に
よりコードされる。
選択された腫瘍特異的ネオ抗原ペプチド/ポリペプチドがミスセンス突然変異によりコ
ードされる一実施形態において、ペプチド及び/又はポリペプチドは、患者の特定のMH
C分子と会合するその能力に基づき選択される。ネオORF突然変異に由来するペプチド
/ポリペプチドを、このペプチド/ポリペプチドの患者の特定のMHC分子と会合する能
力に基づいて選択することもできるが、患者の特定のMHC分子と会合すると予測されな
い場合であっても選択することができる。
ワクチン又は免疫原性組成物は、特異的な細胞傷害性T細胞応答及び/又は特異的なヘ
ルパーT細胞応答を生じさせる能力を有する。
ワクチン又は免疫原性組成物はアジュバント及び/又は担体をさらに含み得る。有用な
アジュバント及び担体の例を本明細書に提供する。組成物中のペプチド及び/又はポリペ
プチドは、担体、例えば、ペプチドをT細胞に提示する能力を有するタンパク質又は例え
ば樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞と会合することができる。
アジュバントは、ワクチン又は免疫原性組成物に混合すると突然変異体ペプチドに対す
る免疫応答が増加するか又は他の形で修飾される任意の物質である。担体は、ネオ抗原ペ
プチドを会合させることが可能な足場構造、例えばポリペプチド又は多糖である。場合に
より、アジュバントは本発明のペプチド又はポリペプチドと共有結合的又は非共有結合的
にコンジュゲートする。
抗原に対する免疫応答を増加させるアジュバントの能力は、典型的には免疫介在性応答
の顕著な増加、又は疾患症状の低減に現れる。例えば、体液性免疫の増加は、典型的には
抗原に対して生じる抗体の力価の顕著な増加に現れ、T細胞活性の増加は、典型的には細
胞増殖、又は細胞傷害性、又はサイトカイン分泌の増加に現れる。アジュバントはまた、
例えば、一次体液性応答又はTh2応答を一次細胞性応答又はTh1応答に変化させるこ
とにより免疫応答も変え得る。
好適なアジュバントとしては、限定はされないが、1018 ISS、アルミニウム塩
、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、Cy
aA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact
IMP321、ISパッチ、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、Li
poVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 131
2、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Mo
ntanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−MP−E
C、ONTAK、PEPTEL.ベクター系、PLGマイクロパーティクル、レシキモド
、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ
、R848、βグルカン、Pam3Cys、サポニンに由来するAquila社のQS2
1 stimulon(Aquila Biotech、Worcester、Mass
.,米国)、マイコバクテリア抽出物及び合成細菌細胞壁模倣体、及び他の専売アジュバ
ント、例えば、RibiのDetox、Quil又はSuperfosが挙げられる。樹
状細胞に特異的ないくつかの免疫学的アジュバント(例えば、MF59)及びそれらの製
剤が以前記載されている(Dupuis M,et al.,Cell Immunol
.1998;186(1):18−27;Allison A C;Dev Biol
Stand.1998;92:3−11)。また、サイトカインを使用してもよい。いく
つかのサイトカインが、リンパ組織への樹状細胞遊走に影響を及ぼすこと(例えば、TN
F−α)、Tリンパ球に効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟を加速させること(例
えば、GM−CSF、IL−1及びIL−4)(米国特許第5,849,589号明細書
(具体的に全体として参照により本明細書に援用される))及び免疫アジュバントとして
働くこと(例えば、IL−12)と直接関係付けられている(Gabrilovich
D I,et al.,J Immunother Emphasis Tumor I
mmunol.1996(6):414−418)。
トール様受容体(TLR)もまたアジュバントとして使用することができ、これは、「
病原体関連分子パターン」(PAMPs)と称される多くの微生物が共有する保存モチー
フを認識するパターン認識受容体(PRR)のファミリーの重要なメンバーである。これ
らの「危険シグナル」の認識により、自然及び適応免疫系の複数の要素が活性化する。T
LRは、樹状細胞(DC)、マクロファージ、T及びB細胞、マスト細胞、及び顆粒球な
どの自然及び適応免疫系の細胞により発現され、細胞膜、リソソーム、エンドソーム、及
びエンドリソソームなどの種々の細胞内コンパートメントに局在する。異なるTLRは別
のPAMPsを認識する。例えば、TLR4は、細菌細胞壁に含まれるLPSによって活
性化され、TLR9は、非メチル化細菌又はウイルスCpG DNAによって活性化され
、及びTLR3は、二本鎖RNAによって活性化される。TLRリガンド結合は1つ以上
の細胞内シグナル伝達経路の活性化を引き起こし、最終的に炎症及び免疫に関連する多く
の主要分子(特に転写因子NF−κB及びI型インターフェロン)の産生をもたらす。T
LR介在性DC活性化は、DC活性化の増進、食作用、活性化及び共刺激マーカー、例え
ばCD80、CD83、及びCD86の上方制御、流入領域リンパ節へのDCの遊走を可
能にし且つT細胞に対する抗原提示を促進するCCR7の発現、並びにI型インターフェ
ロン、IL−12、及びIL−6などのサイトカインの分泌増加を引き起こす。これらの
下流イベントは全て、適応免疫応答の誘導に決定的に重要である。
現在臨床開発中の最も有望な癌ワクチン又は免疫原性組成物アジュバントの中には、T
LR9アゴニストCpG及び合成二本鎖RNA(dsRNA)TLR3リガンドポリIC
LCがある。前臨床試験では、ポリICLCが、LPS及びCpGと比較したとき、炎症
誘発性サイトカインのその誘導及びIL−10の刺激の欠如、並びにDClにおける高レ
ベルの共刺激分子の維持に起因して最も効力のあるTLRアジュバントであるものと見ら
れる。さらに、ポリICLCは、最近、ヒトパピローマウイルス(HPV)16カプソマ
ーからなるタンパク質ワクチン又は免疫原性組成物のアジュバントとして非ヒト霊長類(
アカゲザル)においてCpGと直接比較された(Stahl−Hennig C,Eis
enblatter M,Jasny E,et al.「合成二本鎖RNAはアカゲザ
ルにおいてヒトパピローマウイルスに対するTヘルパー1及び体液性免疫応答を誘導する
ためのアジュバントである(Synthetic double−stranded R
NAs are adjuvants for the induction of T
helper 1 and humoral immune responses t
o human papillomavirus in rhesus macaque
s)」.PLoS pathogens.Apr 2009;5(4))。
CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドもまた、ワクチン又は免疫原性組成物セッティング
でアジュバントの効果を増強することが報告されている。理論によって拘束されるもので
はないが、CpGオリゴヌクレオチドは、Toll様受容体(TLR)、主としてTLR
9を介して自然(非適応)免疫系を活性化させることにより作用する。CpGにより惹起
されたTLR9活性化は、ペプチド又はタンパク質抗原、生ウイルス又は死滅ウイルス、
樹状細胞ワクチン、自己細胞ワクチン、並びに予防ワクチン及び治療ワクチンの両方の中
の多糖コンジュゲートを含めた多様な抗原に対する抗原特異的体液性及び細胞性応答を増
強する。さらに重要なことには、これは樹状細胞成熟及び分化を増強し、CD4 T細胞
ヘルプがない場合であっても、Thl細胞の活性化の増進及び強力な細胞傷害性Tリンパ
球(CTL)生成をもたらす。TLR9刺激によって誘導されるThlバイアスは、通常
Th2バイアスを促進するミョウバン又は不完全フロイントアジュバント(IFA)など
のワクチンアジュバントの存在下であっても維持される。CpGオリゴヌクレオチドは、
他のアジュバントと共に、又は抗原が比較的弱い場合に強力な応答を誘導するために特に
必要な製剤、例えばマイクロパーティクル、ナノ粒子、脂質エマルション又は同様の製剤
中にあって製剤化又は共投与されるとき、さらに高いアジュバント活性を示す。CpGオ
リゴヌクレオチドはまた、免疫応答を加速させ、いくつかの実験におけるCpGを含まな
い完全用量ワクチンに対する応答と同等の抗体応答で、抗原用量を約2桁低減することも
可能にする(Arthur M.Krieg,Nature Reviews,Drug
Discovery,5,Jun.2006,471−484)。米国特許第6,40
6,705 B1号明細書は、CpGオリゴヌクレオチド、非核酸アジュバント及び抗原
の併用により抗原特異的免疫応答が誘導されることを記載している。市販のCpG TL
R9アンタゴニストはMologen(Berlin、独国)によるdSLIM(dou
ble Stem Loop Immunomodulator:二重ステムループ免疫
調節薬)であり、これは本発明の医薬組成物の好ましい成分である。他のTLR結合分子
、例えば、RNA結合TLR7、TLR8及び/又はTLR9もまた用いられ得る。
有用なアジュバントの他の例としては、限定はされないが、化学的に修飾されたCpG
(例えばCpR、Idera)、ポリ(I:C)(例えばポリi:CI2U)、非CpG
細菌DNA又はRNA並びに免疫活性小分子及び抗体、例えば、シクロホスファミド、ス
ニチニブ、ベバシズマブ、セレブレックス、NCX−4016、シルデナフィル、タダラ
フィル、バルデナフィル、ソラフィニブ(sorafinib)、XL−999、CP−
547632、パゾパニブ、ZD2171、AZD2171、イピリムマブ、トレメリム
マブ、及びSC58175が挙げられ、これらは治療的に及び/又はアジュバントとして
作用し得る。本発明との関連において有用なアジュバント及び添加剤の量及び濃度は、当
業者により必要以上に実験を行うことなく容易に決定され得る。さらなるアジュバントと
しては、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF、サルグラモスチム)な
どのコロニー刺激因子が挙げられる。
ポリICLCは、約5000ヌクレオチドの平均長さのポリI鎖とポリC鎖とからなる
合成的に調製された二本鎖RNAであり、ポリリジン及びカルボキシメチルセルロースを
添加することにより熱変性及び血清ヌクレアーゼによる加水分解に対して安定化されてい
る。この化合物は、いずれもPAMPsファミリーのメンバーであるTLR3及びMDA
5のRNAヘリカーゼドメインを活性化し、DC及びナチュラルキラー(NK)細胞の活
性化並びにI型インターフェロン、サイトカイン、及びケモカインの「天然混合物」の産
生を引き起こす。さらには、ポリICLCは、2つのIFN誘導性核酵素系2’5’−O
AS及びP1/eIF2aキナーゼ(PKR(4−6)としても知られる)、並びにRI
G−Iヘリカーゼ及びMDA5によって媒介されるより直接的な、広域宿主が標的化され
る抗感染効果、及び場合により抗腫瘍効果を及ぼす。
げっ歯類及び非ヒト霊長類において、ポリICLCは、ウイルス抗原に対するT細胞応
答、交差プライミング、並びに腫瘍特異的、ウイルス特異的、及び自己抗原特異的CD8
T細胞の誘導を増強することが示された。非ヒト霊長類における最近の研究では、ポリ
ICLCは、DC標的化又は非標的化HIV Gag p24タンパク質に対する抗体反
応及びT細胞免疫の発生に必須であることが分かっており、ワクチンアジュバントとして
のその有効性が強調される。
ヒト対象では、連続全血試料の転写解析により、ポリICLCの1回の単回皮下投与を
受けた8人の健常ヒトボランティア間で遺伝子発現プロファイルが同様であり、プラセボ
を受ける4人の対象に対してこれらの8人の対象間に最大212個の遺伝子の発現差異が
あることが明らかになった。顕著なことに、ポリICLC遺伝子発現データを、極めて有
効性の高い黄熱病ワクチンYF17Dで免疫されたボランティアからの先行データと比較
すると、多数のカノニカルな転写及びシグナル伝達経路が、自然免疫系のものを含め、同
じようにピーク時点で上方制御されたことが示された。
つい最近、癌精巣抗原NY−ESO−1由来の合成オーバーラップロングペプチド(O
LP)単独によるか又はMontanide−ISA−51との併用、又は1.4mgの
ポリICLC及びMontanideとの併用による皮下ワクチン接種の第1相研究で治
療された2回目又は3回目の完全臨床寛解中の卵巣癌、卵管癌、及び原発性腹膜癌患者に
関する免疫学的分析が報告された。ポリICLC及びMontanideを加えると、O
LP単独又はOLP及びMontanideと比較してNY−ESO−1特異的CD4
及びCD8T細胞の生成及び抗体反応が顕著に増強された。
本発明に係るワクチン又は免疫原性組成物は2つ以上の異なるアジュバントを含み得る
。さらに、本発明は、本明細書に記載のもののいずれかを含めた任意のアジュバント物質
を含む治療組成物を包含する。また、ペプチド又はポリペプチドとアジュバントとを任意
の適切な順番で別個に投与し得ることも企図される。
担体は、アジュバントと独立して存在してもよい。担体は抗原に共有結合的に連結され
てもよい。担体はまた、担体をコードするDNAを、抗原をコードするDNAとインフレ
ームで挿入することにより、抗原に付加することもできる。担体の機能は、例えば、安定
性を付与すること、生物学的活性を増加させること、又は血清中半減期を増加させること
であり得る。半減期の延長は、適用回数を減らし、且つ用量を低減する助けとなり得るた
め、従って治療上の理由、また経済的理由からも有益である。さらに、担体は、T細胞に
対するペプチドの提示を助け得る。担体は、当業者に公知の任意の好適な担体、例えばタ
ンパク質又は抗原提示細胞であってよい。担体タンパク質は、限定はされないが、キーホ
ールリンペットヘモシアニン、血清タンパク質、例えば、トランスフェリン、ウシ血清ア
ルブミン、ヒト血清アルブミン、チログロブリン又はオボアルブミン、免疫グロブリン、
又はホルモン、例えば、インスリン又はパルミチン酸であってもよい。ヒトの免疫化には
、担体は、ヒトにとって許容可能且つ安全な生理学的に許容可能な担体であってもよい。
しかしながら、破傷風トキソイド及び/又はジフテリア(diptheria)トキソイ
ドが、本発明の一実施形態において好適な担体である。或いは、担体はデキストラン、例
えばセファロースであってもよい。
細胞傷害性T細胞(CTL)は、インタクトな外来抗原それ自体というよりむしろ、M
HC分子に結合したペプチドの形態の抗原を認識する。MHC分子それ自体は抗原提示細
胞の細胞表面に位置する。従って、CTLの活性化は、ペプチド抗原、MHC分子、及び
APCの三量体複合体が存在する場合に限り可能である。それに対応して、CTLは、C
TLの活性化にペプチドのみが用いられる場合でなく、さらにそれぞれのMHC分子を有
するAPCが加わる場合に免疫応答が増強され得る。従って、一部の実施形態では、本発
明に係るワクチン又は免疫原性組成物は少なくとも1つの抗原提示細胞をさらに含有する
抗原提示細胞(又は刺激細胞)は、典型的にはその表面上にMHCクラスI又はII分
子を有し、一実施形態では、それ自体はMHCクラスI又はII分子に選択の抗原を負荷
する能力を実質的に有しない。本明細書にさらに詳細に記載するとおり、MHCクラスI
又はII分子にインビトロで選択の抗原を容易に負荷し得る。
CD8+細胞活性は、CD4+細胞を使用して増進させてもよい。多くの免疫ベースの
抗癌療法が、CD8+及びCD4+ Tリンパ球の両方を使用して患者の腫瘍を標的化す
る場合に有効性が高まり得るため、腫瘍抗原のCD4T+細胞エピトープの同定が関心を
集めている。CD4+細胞はCD8 T細胞応答を増強する能力を有する。動物モデルに
おける多くの研究で、CD4+及びCD8+ T細胞の両方が抗腫瘍応答に関与するとき
結果が良好になることが明確に実証されている(例えば、Nishimura et a
l.(1999)「生体内での腫瘍根絶における抗原特異的Tヘルパー1型(TH1)及
びTh2細胞の特徴的な役割(Distinct role of antigen−s
pecific T helper type 1(TH1)and Th2 cell
s in tumor eradication in vivo)」.J Ex Me
d 190:617−27を参照)。異なる種類の癌に対する治療法の開発に適用可能な
普遍的なCD4+ T細胞エピトープが同定されている(例えば、Kobayashi
et al.(2008)Current Opinion in Immunolog
y 20:221−27を参照)。例えば、破傷風トキソイド由来のHLA−DR制限ヘ
ルパーペプチドをメラノーマワクチンに使用したところ、CD4+ T細胞が非特異的に
活性化された(例えば、Slingluff et al.(2007)「アジュバント
セッティングにおけるメラノーマに対する2つの多ペプチドワクチンの無作為化第II相
試験の免疫学的及び臨床的結果(Immunologic and Clinical
Outcomes of a Randomized Phase II Trial
of Two Multipeptide Vaccines for Melanom
a in the Adjuvant Setting)」,Clinical Can
cer Research 13(21):6386−95を参照)。本発明の範囲内で
、かかるCD4+細胞は、その腫瘍特異性が異なる3つのレベルで適用可能であり得るこ
とが企図される:1)普遍的CD4+エピトープ(例えば、破傷風トキソイド)を使用し
てCD8+細胞を増進し得る広域レベル;2)天然の腫瘍関連CD4+エピトープを使用
してCD8+細胞を増進し得る中間的レベル;及び3)ネオ抗原CD4+エピトープを使
用してCD8+細胞を患者特異的に増進し得る患者特異的レベル。
CD8+細胞免疫はまた、ネオ抗原を負荷した樹状細胞(DC)ワクチンによっても生
じさせ得る。DCはT細胞免疫を惹起する強力な抗原提示細胞であり、目的の1つ以上の
ペプチドを例えば直接的なペプチド注射によって負荷すると、癌ワクチンとして使用する
ことができる。例えば、新しく転移性メラノーマと診断された患者が、3つのHLA−A
*0201限定gp100メラノーマ抗原由来ペプチドに対し、IL−12p70産生患
者DCワクチンを用いて、自己ペプチドでパルスしたCD40L/IFN−g活性化成熟
DCにより免疫化されることが示された(例えば、Carreno et al(201
3)「L−12p70産生患者DCワクチンはTc1分極免疫を誘発する(L−12p7
0−producing patient DC vaccine elicits T
c1−polarized immunity)」,Journal of Clini
cal Investigation,123(8):3383−94及びAli et
al.(2009)「DCサブセット及びT細胞のインサイチュ調節がマウスにおいて
腫瘍退縮を媒介する(In situ regulation of DC subse
ts and T cells mediates tumor regression
in mice)」,Cancer Immunotherapy,1(8):1−1
0を参照)。本発明の範囲内で、ネオ抗原を負荷したDCは、合成TLR3アゴニストの
ポリイノシン・ポリシチジン酸−ポリ−L−リジンカルボキシメチルセルロース(ポリI
CLC)を使用してDCを刺激することで調製され得ることが企図される。ポリICLC
は、CD83及びCD86の上方調節、インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊
死因子(TNF)、インターフェロンγ誘導タンパク質10(IP−10)、インターロ
イキン1(IL−1)、及びI型インターフェロン(IFN)の誘導、及び最小限のイン
ターロイキン10(IL−10)産生によって評価するとき、ヒトDCに対する強力な個
別的成熟刺激である。DCは、白血球アフェレーシスによって得られる凍結末梢血単核細
胞(PBMC)から分化させることができ、一方PBMCはFicoll勾配遠心法によ
って単離し、アリコートで凍結し得る。
例示として、以下の7日間活性化プロトコルを使用し得る。1日目−PBMCを解凍し
て組織培養フラスコにプレーティングし、組織培養インキュベーターにおいて37℃で1
〜2時間インキュベートした後、プラスチック表面に接着する単球を選択する。インキュ
ベーション後、リンパ球を洗い流し、接着した単球をインターロイキン−4(IL−4)
及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の存在下で5日間培養して
未熟DCに分化させる。6日目、未熟DCを、ワクチンの品質に関する対照として働き、
且つワクチンの免疫原性をブーストし得るキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)
タンパク質でパルスする。DCは刺激されると成熟し、それにペプチド抗原を負荷して一
晩インキュベートする。7日目、細胞を洗浄し、4〜20×10個の細胞を含む1ml
アリコートで速度制御フリーザーを使用して凍結する。DCを患者に注入する前に、最小
限の規格に適合するようにDCのバッチに対するロット出荷試験を実施し得る(例えば、
Sabado et al.(2013)「免疫療法のための腫瘍抗原を負荷した成熟樹
状細胞の調製(Preparation of tumor antigen−load
ed mature dendritic cells for immunother
apy)」,J.Vis Exp.Aug 1;(78).doi:10.3791/5
0085を参照)。
DCワクチンを足場システムに組み込み、患者への送達を促進し得る。DCワクチンに
よる患者の新生物の治療的処置は生体材料システムを利用することができ、これが装置内
に宿主樹状細胞を動員する因子を放出し、抗原が放出される間にアジュバント(例えば、
危険シグナル)を局所的に提示することにより常在性の未熟DCを分化させ、且つ活性化
された抗原負荷DCのリンパ節(又は所望の作用部位)への放出を促進し、そこでDCが
T細胞と相互作用して、癌ネオ抗原に対する強力な細胞傷害性Tリンパ球応答が生じ得る
。植込み型生体材料を使用して、新生物に対する強力な細胞傷害性Tリンパ球応答を患者
特異的に生じさせてもよい。次にこの生体材料常在性樹状細胞が、生体材料からの抗原の
放出に合わせて、感染を模倣する危険シグナルへの曝露により活性化され得る。活性化さ
れた樹状細胞は、次に生体材料からリンパ節に遊走し、細胞傷害性Tエフェクター応答を
誘導する。この手法は、以前、腫瘍生検から調製したライセートを使用した前臨床試験に
おいて樹立メラノーマの退縮を引き起こすことが実証されており(例えば、Ali et
al.(2209)「DCサブセット及びT細胞のインサイチュ調節がマウスにおいて
腫瘍退縮を媒介する(In situ regulation of DC subse
ts and T cells mediates tumor regression
in mice)」,Cancer Immunotherapy 1(8):1−1
0;Ali et al.(2009)「インサイチュで樹状細胞をプログラムする感染
模倣材料(Infection−mimicking materials to pr
ogram dendritic cells in situ)」.Nat Mate
r 8:151−8)、かかるワクチンは現在、ダナ・ファーバー癌研究所(Dana−
Farber Cancer Institute)で最近開始された第I相臨床試験で
試験されているところである。現在の提言では、この手法はまた、C6ラット神経膠腫モ
デルを使用して24、膠芽腫の退縮、並びに再燃を予防する強力な記憶応答の誘導をもた
らすことも示されている。かかる植込み型のバイオマトリックスワクチンデリバリー足場
が腫瘍特異的樹状細胞活性化を増幅し及び維持する能力は、従来の皮下又は節内ワクチン
投与により達成され得るものと比べてよりロバストな抗腫瘍免疫感作をもたらし得る。
好ましくは、抗原提示細胞は樹状細胞である。好適には、樹状細胞は、ネオ抗原ペプチ
ドでパルスした自己樹状細胞である。このペプチドは、適切なT細胞応答を生じさせる任
意の好適なペプチドであってもよい。腫瘍関連抗原由来のペプチドでパルスした自己樹状
細胞を使用するT細胞療法が、Murphy et al.(1996)The Pro
state 29,371−380及びTjua et al.(1997)The P
rostate 32,272−278に開示されている。
従って、本発明の一実施形態では、少なくとも1つの抗原提示細胞を含有するワクチン
又は免疫原性組成物が本発明の1つ以上のペプチドでパルスされるか又はそれを負荷され
る。或いは、患者から単離された末梢血単核細胞(PBMC)がエキソビボでペプチドを
負荷され、患者に注入し戻されてもよい。代替例として、抗原提示細胞が、本発明のペプ
チドをコードする発現コンストラクトを含む。ポリヌクレオチドは任意の好適なポリヌク
レオチドであってもよく、樹状細胞を形質導入する能力を有し、従ってペプチドの提示及
び免疫の誘導をもたらすことが好ましい。
本発明の医薬組成物を、この組成物中に存在するペプチドの選択、数及び/又は量が組
織、癌及び/又は患者に特異的であるように作ることができる。例えば、ペプチドの正確
な選択を所与の組織中の親タンパク質の発現パターンにより導いて、副作用を回避するこ
とができる。この選択は、癌の具体的なタイプ、疾患の状態、以前の治療レジメン、患者
の免疫状態、及び当然のことならが患者のHLA−ハロタイプによって左右され得る。さ
らに、本発明に係るワクチン又は免疫原性組成物は、特定の患者の個人的な必要性に従っ
て、個人に合わせた成分を含むことができる。例として、特定の患者における関連するネ
オ抗原の発現、個人的なアレルギー又は他の治療に起因する望ましくない副作用、及び治
療の第1のラウンド又はスキーム後の第2の治療のための調整に従ってペプチドの量を変
更することが挙げられる。
本発明のペプチドを含む医薬組成物は、既に癌に罹患している個体に投与され得る。治
療上の適用では、組成物は、腫瘍抗原に対する有効なCTL応答を誘発し且つ症状及び/
又は合併症を治癒し又は少なくとも部分的に止めるのに十分な量で患者に投与される。こ
れを達成するのに十分な量は、「治療有効用量」として定義される。この用途に有効な量
は、例えば、ペプチド組成物、投与方法、治療される疾患の病期及び重症度、患者の体重
及び全般的な健康状態、並びに処方医師の判断に依存し得るが、概して(治療的又は予防
的投与のための)初回免疫化について、70kgの患者に対し約1.0μg〜約50,0
00μgのペプチドの範囲であり、ブースト投薬量が続き、又は約1.0μg〜約10,
000μgのペプチドの範囲であり、患者の反応及び状態に応じて、及び場合により患者
の血中の特定のCTL活性を計測することにより、数週間乃至数ヶ月間にわたりブースト
レジメンが続く。本発明のペプチド及び組成物は、概して重篤な病状、即ち生命を脅かす
又は潜在的に生命を脅かす状況、特に癌が転移している場合に用いられ得ることに留意し
なければならない。治療用途では、腫瘍の検出又は外科的切除後可能な限り早期に投与を
開始しなければならない。この後、少なくとも症状が実質的に寛解するまで、及びその後
の期間にわたり、ブースト用量が続く。
治療処置用の医薬組成物(例えば、ワクチン組成物)は、非経口、局所、経鼻、経口又
は局所投与用であることが意図される。好ましくは、医薬組成物は非経口的に、例えば、
静脈内、皮下、皮内、又は筋肉内に投与される。組成物は、腫瘍に対する局所的免疫応答
を誘導するため外科的切除部位に投与されてもよい。本発明は、ペプチドの溶液を含む非
経口投与用の組成物を提供し、ワクチン又は免疫原性組成物は、許容可能な担体、好まし
くは水性担体中に溶解又は懸濁される。種々の水性担体、例えば、水、緩衝用水、0.9
%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用し得る。これらの組成物は、
従来の周知されている滅菌技法により滅菌され得るか、又は滅菌ろ過され得る。得られた
水溶液はそのまま使用するために包装されるか、又は凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥製
剤は投与前に滅菌溶液と組み合わされる。組成物は、生理学的条件を近似するため必要に
応じて薬学的に許容可能な補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、等張化剤、湿潤剤
など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化
カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン等を含有し得
る。
ペプチドを含有するリポソーム懸濁液は、とりわけ、投与方法、送達されるペプチド、
及び治療される疾患ステージにより異なる用量で、静脈内投与、局所(locally)
投与、局所(topically)投与等され得る。免疫細胞に標的化するため、リガン
ド、例えば所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体又はその断片などをリポソ
ームに組み込むことができる。
固体組成物には、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ス
テアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スク
ロース、炭酸マグネシウムなどを含む従来の又はナノ粒子の非毒性固体担体を使用するこ
とができる。経口投与に関して、薬学的に許容可能な非毒性組成物は、通常用いられる賦
形剤、例えば既に列挙した担体のいずれか、及び略10〜95%の活性成分、即ち本発明
の1つ以上のペプチドを、より好ましくは25%〜75%の濃度で添合することにより形
成される。
エアロゾル投与には、免疫原性ペプチドは好ましくは界面活性剤及び噴射剤と共に微粉
化した形態で提供される。ペプチドの典型的な割合は重量単位で0.01%〜20%、好
ましくは1%〜10%である。界面活性剤は当然ながら非毒性であり、好ましくは噴射剤
に対して可溶性であり得る。かかる薬剤の代表例は、6〜22個の炭素原子を含有する脂
肪酸、例えば、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リ
ノール酸、リノレン酸、オレステリック酸(olesteric)及びオレイン酸などと
脂肪族多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は部分エステルである。混合エ
ステル、例えば混合又は天然グリセリドが用いられてもよい。界面活性剤は重量単位で組
成物の0.1%〜20%、好ましくは0.25〜5%を占め得る。組成物の残りは通常の
噴射剤である。例えば鼻腔内送達に対するレシチンのように、担体もまた必要に応じて含
まれ得る。
本発明のペプチド及びポリペプチドは、細菌又は動物性物質を含有しない試薬を利用し
て容易に化学的に合成することができる(Merrifield RB:「固相ペプチド
合成I.テトラペプチドの合成(Solid phase peptide synth
esis.I.The synthesis of a tetrapeptide)」
.J.Am.Chem.Soc.85:2149−54,1963)。
本発明のペプチド及びポリペプチドはまた、ベクター、例えば、本明細書において考察
するとおりの核酸分子、例えば、RNA又はDNAプラスミド、ウイルスベクター、例え
ばポックスウイルス、例えば、オルソポックスウイルス、アビポックスウイルス、又はア
デノウイルス、AAV又はレンチウイルスによって発現させてもよい。この手法には、本
発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させるためのベクターの使用が関わ
る。急性的若しくは慢性的に感染させた宿主又は非感染宿主に導入すると、ベクターが免
疫原性ペプチドを発現し、従って宿主CTL応答を誘発する。
治療又は免疫化のため、本発明のペプチドをコードする核酸及び任意選択で本明細書に
記載されるペプチドの1つ以上を患者に投与することもできる。核酸を患者に送達するた
め、多くの方法が好都合に用いられている。例えば、核酸は「ネイキッドDNA」として
直接送達することができる。この手法は、例えば、Wolff et al.,Scie
nce 247:1465−1468(1990)並びに米国特許第5,580,859
号明細書及び同第5,589,466号明細書に記載されている。核酸はまた、例えば米
国特許第5,204,253号明細書に記載されるとおりのバリスティックデリバリーを
用いて投与されてもよい。DNA単独で構成される粒子が投与されてもよい。或いは、D
NAは、金粒子などの粒子に接着させてもよい。概して、ワクチン又は免疫学的組成物の
プラスミドは、宿主細胞、例えば哺乳類細胞からの抗原の発現又は発現及び分泌を制御す
る調節配列に作動可能に連結された抗原(例えば、1つ以上のネオ抗原)をコードするD
NAを含むことができる;例えば、上流から下流に、プロモーター、例えば哺乳類ウイル
スプロモーター(例えば、hCMV又はmCMVプロモーターなどのCMVプロモーター
、例えば初期中間プロモーター、又はSV40プロモーター−有用なプロモーターについ
ては本明細書に引用又は援用される文書を参照)のDNA、分泌のための真核生物リーダ
ーペプチドのDNA(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子)、1つ又は複数のネオ
抗原のDNA、及びターミネーターをコードするDNA(例えば、ウシ成長ホルモン即ち
bGHポリAをコードする遺伝子由来の3’UTR転写ターミネーター)。組成物は2つ
以上のプラスミド又はベクターを含むことができ、従って各ベクターが異なるネオ抗原を
含み、及びそれを発現する。また、そのテキストが有用であり得るWasmoenの米国
特許第5,849,303号明細書、及びDaleの米国特許第5,811,104号明
細書も言及される。DNA又はDNAプラスミド製剤は、カチオン性脂質と共に、又はそ
の中に製剤化することができる;及び、カチオン性脂質、並びにアジュバントに関しては
、Loosmoreの米国特許出願公開第2003/0104008号明細書もまた言及
される。また、インビボで含み及び発現するDNAプラスミドの構築及び使用において用
いることのできるDNAプラスミドの教示に関して、Audonnetの米国特許第6,
228,846号明細書及び同第6,159,477号明細書における教示も頼ることが
できる。
また、カチオン性化合物、例えばカチオン性脂質に複合体化した核酸を送達することも
できる。脂質媒介性遺伝子デリバリー方法が、例えば、国際公開第1996/18372
号パンフレット;国際公開第1993/24640号パンフレット;Mannino &
Gould−Fogerite,BioTechniques 6(7):682−6
91(1988);米国特許第5,279,833号明細書;国際公開第1991/06
309号パンフレット;及びFeigner et al.,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 84:7413−7414(1987)に記載されている。
目的のペプチドをコードするRNA(例えば、mRNA)もまた送達に使用することが
できる(例えば、Kiken et al,2011;Su et al,2011を参
照;また、米国特許第8278036号明細書;Halabi et al.J Cli
n Oncol(2003)21:1232−1237;Petsch et al,N
ature Biotechnology 2012 Dec 7;30(12):12
10−6も参照)。
本発明の実施において使用し得るポックスウイルス、例えば、とりわけ、チョルドポッ
クスウイルス亜科(Chordopoxvirinae)ポックスウイルス(脊椎動物の
ポックスウイルス)、例えば、オルソポックスウイルス及びアビポックスウイルス、例え
ばワクシニアウイルス(例えば、ワイス株、WR株(例えば、ATCC(登録商標)VR
−1354)、コペンハーゲン株、NYVAC、NYVAC.1、NYVAC.2、MV
A、MVA−BN)、カナリア痘ウイルス(例えば、ホイートリーC93株、ALVAC
)、鶏痘ウイルス(例えば、FP9株、ウェブスター株、TROVAC)、鳩痘(dov
epox)、鳩痘(pigeonpox)、ウズラ痘、及びアライグマ痘、その合成の又
は天然に存在しない組換え体、その使用、並びにそのような組換え体の作製及び使用方法
に関する情報は、以下等の科学文献及び特許文献に見出され得る:
・米国特許第4,603,112号明細書、同第4,769,330号明細書、同第5
,110,587号明細書、同第5,174,993号明細書、同第5,364,773
号明細書、同第5,762,938号明細書、同第5,494,807号明細書、同第5
,766,597号明細書、同第7,767,449号明細書、同第6,780,407
号明細書、同第6,537,594号明細書、同第6,265,189号明細書、同第6
,214,353号明細書、同第6,130,066号明細書、同第6,004,777
号明細書、同第5,990,091号明細書、同第5,942,235号明細書、同第5
,833,975号明細書、同第5,766,597号明細書、同第5,756,101
号明細書、同第7,045,313号明細書、同第6,780,417号明細書、同第8
,470,598号明細書、同第8,372,622号明細書、同第8,268,329
号明細書、同第8,268,325号明細書、同第8,236,560号明細書、同第8
,163,293号明細書、同第7,964,398号明細書、同第7,964,396
号明細書、同第7,964,395号明細書、同第7,939,086号明細書、同第7
,923,017号明細書、同第7,897,156号明細書、同第7,892,533
号明細書、同第7,628,980号明細書、同第7,459,270号明細書、同第7
,445,924号明細書、同第7,384,644号明細書、同第7,335,364
号明細書、同第7,189,536号明細書、同第7,097,842号明細書、同第6
,913,752号明細書、同第6,761,893号明細書、同第6,682,743
号明細書、同第5,770,212号明細書、同第5,766,882号明細書、及び同
第5,989,562号明細書、並びに
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antaleo,G.Curr Opin HIV−AIDS.2010;5:391−
396
(この各々が参照により本明細書に援用される)。
本発明の実施において有用なアデノウイルスベクターに関しては、米国特許第6,95
5,808号明細書が言及される。使用するアデノウイルスベクターを、Ad5、Ad3
5、Ad11、C6及びC7ベクターからなる群から選択することができる。アデノウイ
ルス5(「Ad5」)ゲノムの配列は公開されている(Chroboczek,J.,B
ieber,F.,and Jacrot,B.(1992)「アデノウイルス5型のゲ
ノムの配列及びそのアデノウイルス2型のゲノムとの比較(The Sequence
of the Genome of Adenovirus Type 5 and I
ts Comparison with the Genome of Adenovi
rus Type 2)」,Virology 186,280−285;その内容は本
明細書によって参照により援用される)。Ad35ベクターは、米国特許第6,974,
695号明細書、同第6,913,922号明細書及び同第6,869,794号明細書
に記載されている。Ad11ベクターは米国特許第6,913,922号明細書に記載さ
れている。C6アデノウイルスベクターは、米国特許第6,780,407号明細書;同
第6,537,594号明細書;同第6,309,647号明細書;同第6,265,1
89号明細書;同第6,156,567号明細書;同第6,090,393号明細書;同
第5,942,235号明細書及び同第5,833,975号明細書に記載されている。
C7ベクターは米国特許第6,277,558号明細書に記載されている。E1欠損若し
くは欠失、E3欠損若しくは欠失及び/又はE4欠損若しくは欠失であるアデノウイルス
ベクターも使用することができる。E1欠損アデノウイルス突然変異体は非許容細胞にお
いて複製欠損であるか、或いはごく最低限でも高度に弱毒化されていることから、E1領
域に突然変異を有する特定のアデノウイルスは安全性マージンが改善されている。E3領
域に突然変異を有するアデノウイルスは、アデノウイルスがMHCクラスI分子を下方調
節する機構の破壊により免疫原性が増強されている場合がある。E4突然変異を有するア
デノウイルスは、後期遺伝子発現の抑制に起因してアデノウイルスベクターの免疫原性の
低下を有する場合がある。そのようなベクターは、同じベクターを利用した反復的な再ワ
クチン接種が所望される場合に特に有用であることができる。E1、E3、E4、E1及
びE3、並びにE1及びE4で欠失した又は突然変異したアデノウイルスベクターを、本
発明に従って使用することができる。さらに、全てのウイルス遺伝子が欠失している「ガ
ットレス(gutless)」アデノウイルスベクターを本発明に従って使用することも
できる。そのようなベクターは、その複製にヘルパーウイルスを必要とし、且つ天然の環
境には存在しない条件であるE1a及びCreの両方を発現する特定のヒト293細胞株
を必要とする。そのような「ガットレス」ベクターは非免疫原性であり、従ってこのベク
ターは再ワクチン接種のため複数回接種され得る。「ガットレス」アデノウイルスベクタ
ーを、本発明のトランス遺伝子等の異種インサート/遺伝子の挿入に使用することができ
、さらには多数の異種インサート/遺伝子の共送達に使用することができる。
本発明の実施において有用なレンチウイルスベクター系に関しては、米国特許第642
8953号明細書、同第6165782号明細書、同第6013516号明細書、同第5
994136号明細書、同第6312682号明細書及び同第7,198,784号明細
書並びにそれらの中で引用された文献が言及される。
本発明の実施において有用なAAVベクターに関しては、米国特許第5658785号
明細書、同第7115391号明細書、同第7172893号明細書、同第695369
0号明細書、同第6936466号明細書、同第6924128号明細書、同第6893
865号明細書、同第6793926号明細書、同第6537540号明細書、同第64
75769号明細書及び同第6258595号明細書並びにそれらの中で引用された文献
が言及される。
別のベクターはBCG(カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette
Guerin))である。BCGベクターはStover et al.(Natur
e 351:456−460(1991))に記載されている。本発明のペプチドの治療
的投与又は免疫化に有用な多種多様な他のベクター(例えば、サルモネラ・チフィ(Sa
lmonella typhi)ベクター等)が、本明細書の記載から当業者には明らか
である。
本明細書に記載されているウイルスベクターを使用して、本発明のネオ抗原ペプチドを
送達することもできる。ベクターは、抗原投与によって誘発される用量及び/又は応答と
同様のインビボ発現及び応答を有するように共投与することができる。
本発明のペプチドをコードする核酸を投与する好ましい手段では、複数のエピトープを
コードするミニ遺伝子コンストラクトが用いられる。ヒト細胞での発現用に選択されたC
TLエピトープをコードするDNA配列(ミニ遺伝子)を作成するため、エピトープのア
ミノ酸配列が逆翻訳される。各アミノ酸のコドン選択の指針とするためヒトコドン使用頻
度表を使用する。エピトープをコードするこれらのDNA配列は直接隣接しており、連続
的なポリペプチド配列を作り出す。発現及び/又は免疫原性を最適化するため、ミニ遺伝
子設計にさらなるエレメントを組み込んでもよい。逆翻訳され、且つミニ遺伝子配列に含
めることのできるアミノ酸配列の例としては、以下が挙げられる:ヘルパーTリンパ球、
エピトープ、リーダー(シグナル)配列、及び小胞体保留シグナル。加えて、CTLエピ
トープに隣接する合成の(例えばポリアラニン)又は天然に存在するフランキング配列を
含めることにより、CTLエピトープのMHC提示を向上させ得る。
ミニ遺伝子配列は、ミニ遺伝子のプラス鎖及びマイナス鎖をコードするオリゴヌクレオ
チドをアセンブルすることによりDNAに変換される。オーバーラップオリゴヌクレオチ
ド(30〜100塩基長)が、周知の技法を用いて適切な条件下で合成され、リン酸化さ
れ、精製され及びアニールされる。オリゴヌクレオチドの末端は、T4 DNAリガーゼ
を使用してつなぎ合わされる。CTLエピトープポリペプチドをコードするこの合成ミニ
遺伝子は、次に所望の発現ベクターにクローニングされ得る。
標的細胞における発現を確実にするため、当業者に周知の標準的な調節配列がベクター
に含められる。いくつかのベクターエレメントが必要である:ミニ遺伝子挿入のための下
流クローニング部位を含むプロモーター;効率的な転写終結のためのポリアデニル化シグ
ナル;大腸菌(E.coli)複製起点;及び大腸菌(E.coli)選択可能マーカー
(例えばアンピシリン又はカナマイシン耐性)。この目的のため数多くのプロモーター、
例えばヒトサイトメガロウイルス(hCMV)プロモーターを使用することができる。他
の好適なプロモーター配列に関しては、米国特許第5,580,859号明細書及び同第
5,589,466号明細書を参照のこと。
ミニ遺伝子発現及び免疫原性を最適化するため、さらなるベクター修飾が望ましいこと
もある。ある場合には、効率的な遺伝子発現のためイントロンが必要であり、1つ以上の
合成の又は天然に存在するイントロンがミニ遺伝子の転写領域に組み込まれ得る。ミニ遺
伝子発現を増加させるため、mRNA安定化配列を含めることもまた考えられ得る。最近
、免疫刺激配列(ISS又はCpG)がDNAワクチンの免疫原性において役割を果たす
ことが提唱されている。これらの配列は、免疫原性を増強させることが見出された場合に
は、ベクター中、ミニ遺伝子コード配列の外側に含められ得る。
一部の実施形態では、ミニ遺伝子によりコードされるエピトープと、免疫原性を増強又
は低下させるために含められる第2のタンパク質との産生を可能にするバイシストロニッ
ク発現ベクターを使用することができる。有利には共発現した場合に免疫応答を増強し得
るタンパク質又はポリペプチドの例には、サイトカイン(例えば、IL2、IL12、G
M−CSF)、サイトカイン誘導分子(例えばLeIF)又は副刺激分子が含まれる。ヘ
ルパー(HTL)エピトープを細胞内標的シグナルにつなぎ合わせ、CTLエピトープと
別個に発現させてもよい。これは、CTLエピトープと異なる細胞コンパートメントへの
HTLエピトープの誘導を可能にし得る。必要であれば、これはMHCクラスII経路へ
のHTLエピトープのより効率的な侵入、従ってCTL誘導の向上を促進し得る。CTL
誘導と対照的に、免疫抑制分子(例えばTGF−β)の共発現により免疫応答を特に低下
させることが、特定の疾患においては有益であり得る。
発現ベクターが選択された後、ミニ遺伝子はプロモーターの下流のポリリンカー領域に
クローニングされる。このプラスミドは適切な大腸菌(E.coli)株に形質転換され
、標準的な技法を用いてDNAが調製される。ミニ遺伝子並びにベクター中に含まれる他
の全てのエレメントの向き及びDNA配列は、制限酵素マッピング及びDNA配列解析を
用いて確認される。正しいプラスミドを有する細菌細胞をマスターセルバンク及びワーキ
ングセルバンクとして保存することができる。
精製プラスミドDNAは、種々の製剤を使用して注射用に調製することができる。それ
らのうち最も単純なものは、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中での凍結乾燥DNA
の再構成である。種々方法が記載されており、新技術が利用可能になり得る。本明細書に
記載のとおり、核酸は好都合にはカチオン性脂質と製剤化される。加えて、糖脂質、融合
性リポソーム、ペプチド及び保護性相互作用性非縮合性(protective,int
eractive,non−condensing:PINC)と総称される化合物を複
合体化してプラスミドDNAを精製し、安定性、筋内分散、又は特定の臓器若しくは細胞
型への輸送などの変数に影響を与えることもできる。
標的細胞感作を、ミニ遺伝子によりコードされるCTLエピトープの発現及びMHCク
ラスI提示に関する機能アッセイとして用いることができる。プラスミドDNAが、標準
的なCTLクロム遊離アッセイの標的として好適な哺乳類細胞系に導入される。使用され
るトランスフェクション方法は最終的な製剤に依存する。「ネイキッド」DNAには電気
穿孔が使用されてもよく、一方、カチオン性脂質は直接的なインビトロトランスフェクシ
ョンを可能にする。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するプラスミドをコトランスフ
ェクトして、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いたトランスフェクト細胞のエンリッ
チメントを可能にし得る。これらの細胞は、次にクロム−51標識され、エピトープ特異
的CTL系の標的細胞として用いられる。51 Cr遊離によって検出される細胞溶解が
、ミニ遺伝子によりコードされるCTLエピトープのMHC提示が生じたことを示す。
生体内免疫原性は、ミニ遺伝子DNA製剤の機能を試験する第2の手法である。適切な
ヒトMHC分子を発現するトランスジェニックマウスをDNA製剤で免疫する。用量及び
投与経路は製剤に依存する(例えばPBS中DNAにはIM、脂質複合体化DNAにはI
P)。免疫化の21日後、脾細胞を回収し、各被験エピトープをコードするペプチドの存
在下で1週間にわたり再刺激する。これらのエフェクター細胞(CTL)を、ペプチドが
負荷されたクロム−51標識標的細胞の細胞溶解に関して標準的な技法を用いてアッセイ
する。ミニ遺伝子によりコードされるエピトープに対応するペプチドのMHC負荷により
感作された標的細胞の溶解が、CTLの生体内誘導に関するDNAワクチン機能を実証す
る。
ペプチドは、エキソビボでCTLを誘発するためにも用いられ得る。得られたCTLを
使用して、他の従来型の治療法に応答しないか又はペプチドワクチン治療手法に応答しな
い、それを必要とする患者の慢性腫瘍を治療することができる。特定の腫瘍抗原に対する
エキソビボCTL応答は、組織培養で患者のCTL前駆細胞(CTLp)を抗原提示細胞
(APC)供給源及び適切なペプチドと共にインキュベートすることにより誘導される。
適切なインキュベーション時間(典型的には1〜4週間)の間にCTLpが活性化され、
エフェクターCTLに成熟して拡大した後、細胞が患者に注入し戻され、そこでそれらが
その特異的標的細胞(即ち、腫瘍細胞)を破壊する。特定の細胞傷害性T細胞の生成にイ
ンビトロ条件を最適化するため、刺激細胞の培養物は適切な無血清培地中に維持される。
活性させる細胞、例えば前駆CD8+細胞と刺激細胞をインキュベートする前、刺激細
胞の表面上で発現するヒトクラスI分子に負荷された状態となるのに十分な分量の、ある
量の抗原ペプチドが刺激細胞培養物に加えられる。本発明では、ペプチドの十分な量とは
、ペプチドが負荷された約200個、及び好ましくは200個以上のヒトクラスI MH
C分子を各刺激細胞の表面上で発現させることが可能な量である。好ましくは、刺激細胞
は、>2μg/mlのペプチドとインキュベートされる。例えば、刺激細胞は、>3、4
、5、10、15μg/ml、又はそれ以上のペプチドとインキュベートされる。
次に静止細胞又は前駆CD8+細胞は、培養下で、CD8+細胞を活性化するのに十分
な期間にわたり適切な刺激細胞と共にインキュベートされる。好ましくは、CD8+細胞
は抗原特異的様式で活性化される。静止細胞又は前駆CD8+(エフェクター)細胞と刺
激細胞との比は個体毎に異なり得るとともに、さらに、培養条件に対する個体のリンパ球
の従順さ並びに疾患状態の性質及び重症度又は記載の範囲内の治療様式が用いられる他の
条件などの変数に依存し得る。しかしながら、好ましくは、リンパ球:刺激細胞比は約3
0:1〜300:1の範囲である。エフェクター/刺激培養物は、治療上使用可能な又は
有効な数のCD8+細胞を刺激するのに必要な時間にわたり維持され得る。
インビトロでのCTL誘導には、APC上の対立遺伝子特異的MHCクラスI分子に結
合しているペプチドの特異的認識が必要である。CTLの、特に一次免疫応答における刺
激には、APC当たりの特異的MHC/ペプチド複合体の数が決定的に重要である。細胞
当たりのペプチド/MHC複合体は少量であっても、CTLによる溶解を受け易い細胞に
したり、又は二次CTL応答を刺激したりするには十分であるが、一次応答中のCTL前
駆体(pCTL)の活性化を成功させるには、大幅に多い数のMHC/ペプチド複合体が
必要である。細胞上の空の主要組織適合性複合体分子にペプチドを負荷することにより、
一次細胞傷害性Tリンパ球応答の誘導が可能となる。
ヒトMHC対立遺伝子毎に変異細胞系が存在するわけではないため、APCの表面から
内因性MHC関連ペプチドを取り除き、次に得られた空のMHC分子に目的の免疫原性ペ
プチドを負荷する技法を用いることが有利である。形質転換されていない(非腫瘍形成性
の)非感染細胞、好ましくは患者の自己細胞をAPCとして使用することが、エキソビボ
CTL療法の開発に向けたCTL誘導プロトコルの設計に望ましい。本願は、APCの表
面から内因性MHC関連ペプチドをストリッピングし、続いて所望のペプチドを負荷する
方法を開示する。
安定したMHCクラスI分子は、以下のエレメントで形成される三量体複合体である:
1)通常8〜10残基のペプチド、2)そのal及びa2ドメインにペプチド結合部位を
有する膜貫通重鎖多型タンパク質鎖、及び3)非共有結合的に会合した非多型軽鎖、p2
ミクログロブリン(p2microglobuiin)。複合体から結合したペプチドを
取り除き及び/又はp2ミクログロブリンを解離させるとMHCクラスI分子が非機能性
になって不安定化し、急速な分解がもたらされる。PBMCから単離される全てのMHC
クラスI分子が、それらに結合する内因性ペプチドを有する。従って、第1のステップは
、APC上のMHCクラスI分子に結合する全ての内因性ペプチドを、その分解を引き起
こすことなく取り除くことであり、その後それらに外来性ペプチドを加えることができる
MHCクラスI分子から結合したペプチドを取り除く2つの可能な方法として、培養温
度を37℃から26℃に一晩下げてp2ミクログロブリンを不安定化させること、及び弱
酸処理を用いて細胞から内因性ペプチドをストリッピングすることが挙げられる。これら
の方法により、それまで結合していたペプチドが細胞外環境に遊離し、新しい外来性ペプ
チドが空のクラスI分子に結合することが可能になる。低温インキュベーション方法は、
外来性ペプチドをMHC複合体に効率的に結合させることが可能であるが、26℃で一晩
インキュベートする必要があり、これが細胞の代謝速度を減速させ得る。また、MHC分
子を能動的に合成しない細胞(例えば、静止PBMC)は、低温手順によっては多量の空
の表面MHC分子を生じない可能性もある。
苛酷な酸ストリッピングには、トリフルオロ酢酸、pH2によるペプチドの抽出、又は
イムノアフィニティー精製クラスI−ペプチド複合体の酸変性が関わる。APCのバイア
ビリティー及び抗原提示にとって決定的に重要な最適な代謝状態を維持しながら内因性ペ
プチドを取り除くことが重要であるため、これらの方法はCTL誘導には実現不可能であ
る。グリシン又はクエン酸リン酸緩衝液などのpH3の弱酸性溶液が、内因性ペプチドの
同定及び腫瘍関連T細胞エピトープの同定に用いられている。この処理は、MHCクラス
I分子のみが不安定化する(及び関連ペプチドが遊離する)一方、MHCクラスII分子
を含め、他の表面抗原はインタクトなままである点で特に有効である。最も重要なことに
、弱酸性溶液による細胞の処理は細胞のバイアビリティー又は代謝状態に影響を及ぼさな
い。内因性ペプチドのストリッピングは4℃、2分間で行われ、且つAPCは適切なペプ
チドが負荷された後直ちにその機能を果たすことのできる状態にあるため、弱酸処理は迅
速である。この技法は、本明細書では、一次抗原特異的CTLを生じさせるペプチド特異
的APCの作製に利用される。得られるAPCは、ペプチド特異的CD8+ CTLの誘
導において効率が良い。
活性化CD8+細胞は、種々の公知の方法の一つを用いて刺激細胞と効果的に分離し得
る。例えば、刺激細胞、刺激細胞に負荷されたペプチド、又はCD8+細胞(又はそのセ
グメント)に特異的なモノクローナル抗体を利用して、その適切な相補リガンドに結合さ
せ得る。次に抗体タグ標識分子を適切な手段、例えば周知されている免疫沈降又はイムノ
アッセイ方法で刺激エフェクター細胞混合物から抽出し得る。
活性化CD8+細胞の細胞傷害性の有効量は、インビトロ使用とインビボ使用との間で
、並びにこれらのキラー細胞の最終的な標的である細胞の量及びタイプによって異なり得
る。量はまた、患者の状態に応じても異なり、専門家によりあらゆる適切な要因を考慮し
て決定されなければならない。しかしながら、好ましくは、マウスで使用される約5×1
〜5×10細胞と比較して、成人ヒトに対して約1×10〜約1×1012、よ
り好ましくは約1×10〜約1×1011、さらにより好ましくは約1×10〜約1
×1010の活性化CD8+細胞が利用される。
好ましくは、本明細書で考察したとおり、活性化CD8+細胞は、治療しようとする個
体にCD8+細胞を投与する前に細胞培養物から回収される。しかしながら、他の現行の
提案される治療様式とは異なり、本方法は、非腫瘍形成性の細胞培養系を使用する点に留
意することが重要である。従って、刺激細胞及び活性化CD8+細胞の完全な分離が実現
される場合、少数の刺激細胞の投与に関連することが知られる固有の危険性はなく、一方
、哺乳類腫瘍促進細胞の投与は極めて危険であり得る。
細胞成分を再導入する方法は当該技術分野において公知であり、Honsikらに対す
る米国特許第4,844,893号明細書及びRosenbergに対する米国特許第4
,690,915号明細書に例示されるような手順が挙げられる。例えば、静脈内注入に
よる活性化CD8+細胞の投与が適切である。
本発明の実施には、特に指示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物
学、細胞生物学、生化学及び免疫学の従来技法を使用し、これらは十分に当業者の範囲内
である。かかる技法は、“Molecular Cloning:A Laborato
ry Manual”,second edition(Sambrook,1989)
;“Oligonucleotide Synthesis”(Gait,1984);
“Animal Cell Culture”(Freshney,1987);“Me
thods in Enzymology” “Handbook of Experi
mental Immunology”(Wei,1996);“Gene Trans
fer Vectors for Mammalian Cells”(Miller
and Calos,1987);“Current Protocols in Mo
lecular Biology”(Ausubel,1987);“PCR:The
Polymerase Chain Reaction”,(Mullis,1994)
;“Current Protocols in Immunology”(Colig
an,1991)などの文献中に詳しく説明されている。これらの技法は本発明のポリヌ
クレオチド及びポリペプチドの産生に適用可能であり、従って、本発明の作製及び実施に
おいて考慮され得る。詳細な実施形態に特に有用な技法を次節で考察する。
治療法
本発明は、本発明の新生物ワクチン又はネオ抗原ペプチド若しくは組成物を対象に投与
することによって、対象において新生物/腫瘍特異的免疫応答を誘導する方法、新生物/
腫瘍に対するワクチンを接種する方法、対象における癌の症状を治療及び/又は軽減する
方法を提供する。
本発明によれば、本明細書に記載される新生物ワクチン又は免疫原性組成物は、癌であ
る、又は癌の発症リスクがあると診断された患者に用いられ得る。一実施形態において、
患者は、固形腫瘍、例えば、乳房、卵巣、前立腺、肺、腎臓、胃、結腸、精巣、頭頸部、
膵臓、脳、メラノーマ、及び他の組織臓器の腫瘍、並びに血液腫瘍、例えばリンパ腫及び
白血病、例えば急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞リン
パ性白血病、及びB細胞リンパ腫を有することができる。
本発明のペプチド又は組成物を、CTL応答を誘導するのに十分な量で投与する。
本明細書に記載されている組成物及び方法を、図2に示す一般的なフロープロセスに従
って、任意の癌を有するそれを必要としている患者に使用することができる。それを必要
としている患者は、個人的な腫瘍特異的ペプチドの混合物による一連のプライミングワク
チン接種を受け得る。加えて、4週間の期間にわたるプライミングの後、維持期の間に2
回のブーストが続き得る。ワクチン接種は全て皮下送達される。ワクチン又は免疫原性組
成物は、患者における安全性、忍容性、免疫応答及び臨床効果に関して、並びにワクチン
又は免疫原性組成物の作製及び適切な時間フレーム内におけるワクチン接種開始の成功の
実現可能性に関して評価され得る。第1コホートは5人の患者からなってもよく、安全性
が十分に実証された後、10人の患者のさらなるコホートが登録され得る。ペプチド特異
的T細胞応答に関して末梢血が広範にモニタされ、疾患再発を評価するため患者は最長2
年間にわたり追跡される。
ワクチン又は免疫原性組成物キット及び共包装
ある態様において、本発明は、免疫原性組成物又はワクチンの投与を可能にするため本
明細書で考察される要素の任意の1つ以上を含むキットを提供する。要素は、個々に又は
組み合わせで提供されてもよく、及び任意の好適な容器、例えば、バイアル、ボトル、又
はチューブに提供されてもよい。一部の実施形態において、キットは、1つ以上の言語、
例えば2つ以上の言語による説明書を含む。一部の実施形態において、キットは、本明細
書に記載される要素の1つ以上を利用するプロセスで使用される1つ以上の試薬を含む。
試薬は任意の好適な容器中に提供されてもよい。例えば、キットは1つ以上の送達又は保
存緩衝液を提供し得る。試薬は、特定のプロセスで使用可能な形態で提供されてもよく、
又は使用前に1つ以上の他の構成成分の添加が必要な形態(例えば濃縮形態又は凍結乾燥
形態)で提供されてもよい。緩衝液は、限定はされないが、炭酸ナトリウム緩衝液、重炭
酸ナトリウム緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、トリス緩衝液、MOPS緩衝液、HEPES緩衝
液、及びそれらの組み合わせを含めた任意の緩衝液であり得る。一部の実施形態において
、緩衝液はアルカリ性である。一部の実施形態において、緩衝液は約7〜約10のpHを
有する。一部の実施形態において、キットは、本明細書に記載されるベクター、タンパク
質の1つ以上及び/又はポリヌクレオチドの1つ以上を含む。キットは、有利には、本発
明のシステムの全ての要素の提供を可能にし得る。キットは、動物、哺乳動物、霊長類、
げっ歯類等に投与される1〜50個又はそれ以上のネオ抗原突然変異のRNAを含むか又
はそれをコードするベクター及び/又は粒子及び/又はナノ粒子を含むことができ、その
ようなキットは、そのような真核生物に対する投与についての説明書を含み、本発明の方
法のいずれかと使用するための説明書も含むことができる。
一実施形態において、このキットは、免疫原性組成物又はワクチンが入っている少なく
とも1つのバイアルを含む。一実施形態において、キットは、混合されて即時使用される
即時使用可能成分を含むことができる。即時使用可能な免疫原性又はワクチン組成物は、
免疫原性組成物の種々のプールが入った別個のバイアルを含むことができる。免疫原性組
成物は、ウイルスベクター又はDNAプラスミドが入った1つのバイアルを含むことがで
き、他のバイアルは免疫原性タンパク質を含むことができる。別の実施形態において、キ
ットは、即時再構成可能な形態の免疫原性組成物又はワクチンとを含むことができる。免
疫原性又はワクチン組成物は、フリーズドライされていてもよいし凍結乾燥されていても
よい。このキットは、凍結乾燥組成物を即時投与可能にするためそれに加えることができ
る再構成用緩衝液が入った別個のバイアルを含むことができる。この緩衝液は、有利には
本発明に係るアジュバント又はエマルションを含むことができる。別の実施形態において
、このキットは、ある用量の免疫原性組成物が入った単一のバイアルを含むことができる
。別の態様では複数のバイアルが含まれ、1つのバイアルが処置タイムラインに従い投与
される。さらなる実施形態において、バイアルには、それを必要としている患者に対する
その適切な投与の表示が付されている。免疫原は、本明細書に記載されているように、凍
結乾燥形態であってもよいし、乾燥形態であってもよいし、水溶液であってもよい。この
免疫原は、本明細書に記載されているように、弱毒性生ウイルスであってもよいし、タン
パク質であってもよいし、核酸であってもよい。
別の実施形態において、このキットは、免疫応答のプライミングに使用される免疫原性
組成物と、ブーストに使用される別の免疫原性組成物との別個のバイアルを含むことがで
きる。一実施形態において、プライミング免疫原性組成物はDNA又はウイルスベクター
であることができ、ブースト免疫原性組成物はタンパク質であることができる。いずれの
組成物も、凍結乾燥されていてもよいし即時投与可能であってもよい。
本発明及びその利点が詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲に定義されると
おりの本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本明細書において様々な変更、置換及
び改変を行い得ることは理解されなければならない。
本発明は以下の実施例にさらに例示され、実施例は例示を目的として提供されるに過ぎ
ず、いかなる形であれ本発明を限定することは意図されない。
実施例1
癌ワクチン試験プロトコル
本明細書に記載されている組成物及び方法を、図2に示す一般的なフロープロセスに従
って、高リスクメラノーマ(完全切除ステージIIIB、IIIC及びIVM1a,b)
を有する15例の患者で試験することができる。患者に、4週間の期間にわたり個別化さ
れた腫瘍特異的ペプチドとポリICLCとの混合物による一連のプライミングワクチン接
種を行ない、続いて維持期の間に2回のブーストを行なうことができる。全てのワクチン
接種を皮下送達する。患者における安全性、忍容性、免疫応答及び臨床効果に関して、並
びにワクチン又は免疫原性組成物の作製及び適切な時間フレーム内でのワクチン接種の成
功裏の開始の実現可能性に関して、ワクチン又は免疫原性組成物を評価する。最初のコホ
ートは5例の患者からなることができ、安全性を十分に実証した後、10例の患者のさら
なるコホートを登録することができる。ペプチド特異的T細胞応答に関して末梢血を広範
囲にわたってモニタリングし、患者を最大2年にわたり追跡して疾患再発を評価する。
本明細書に記載したように、動物及びヒトの両方には、以下であることの多数の証拠が
存在する:免疫応答の誘導では突然変異エピトープが有効であること、並びに自発的な腫
瘍退縮又は長期生存の症例が突然変異エピトープに対するCD8+T細胞応答と相関する
こと(Buckwalter and Srivastava PK.「「それが抗原で
ある、ばかげている」及びヒト癌のワクチン療法の10年にわたる他のレッスン(“It
is the antigen(s),stupid” and other les
sons from over a decade of vaccitherapy
of human cancer)」.Seminars in immunology
20:296−300(2008);Karanikas et al,「長期生存の
肺癌患者の血中においてHLA四量体で検出可能な腫瘍特異的突然変異抗原に対する細胞
溶解性Tリンパ球の高頻度(High frequency of cytolytic
T lymphocytes directed against a tumor−
specific mutated antigen detectable with
HLA tetramers in the blood of a lung ca
rcinoma patient with long survival)」.Can
cer Res.61:3718−3724(2001);Lennerz et al
,「ヒトメラノーマに対する自己T細胞の応答は突然変異ネオ抗原により支配される(T
he response of autologous T cells to a h
uman melanoma is dominated by mutated ne
o−antigens)」.Proc Natl Acad Sci U S A.10
2:16013(2005))、並びにマウス及びヒトにおける優勢な突然変異抗原の発
現の改変に対して「免疫編集」を追跡し得ること(Matsushita et al,
「癌エクソーム分析は癌免疫編集のT細胞依存性機序を明らかにする(Cancer e
xome analysis reveals a T−cell−dependent
mechanism of cancer immunoediting)」Natu
re 482:400(2012);DuPage et al,「腫瘍特異的抗原の発
現が癌免疫編集の根底にある(Expression of tumor−specif
ic antigens underlies cancer immunoediti
ng)」Nature 482:405(2012);及びSampson et al
,「新しく診断された膠芽腫を有する患者の上皮成長因子受容体変異体IIIペプチドワ
クチン接種による長期無進行生存後の免疫エスケープ(Immunologic esc
ape after prolonged progression−free sur
vival with epidermal growth factor recep
tor variant III peptide vaccination in p
atients with newly diagnosed glioblastom
a)」J Clin Oncol.28:4722−4729(2010))。
次世代シーケンシングは現在、別々の突然変異の存在を迅速に明らかにすることができ
、例えば、個々の腫瘍におけるコード突然変異、最も一般的には単一アミノ酸変化(例え
ばミスセンス突然変異)、並びに頻度は低いが、フレームシフト挿入/欠失/遺伝子融合
、終止コドンにおけるリードスルー突然変異、及び不適切にスプライスされたイントロン
の翻訳(例えばネオORF)により生成されるアミノ酸の新規ストレッチを迅速に明らか
にすることができる。ネオORFは、その配列の全体が免疫系にとって完全に新規であり
、従ってウイルス性又は細菌性の外来抗原に類似していることから、免疫原として特に有
益である。従って、ネオORFは:(1)腫瘍に対して高度に特異的であり(即ち、いか
なる正常細胞においても発現がない);且つ(2)中枢性トレランスを迂回して、それに
よりネオ抗原特異的CTLの前駆体頻度を増加させることができる。例えば、ヒトパピロ
ーマウイルス(HPV)に由来するペプチドにより、治療用抗癌ワクチンにおいて類似の
外来配列を利用する力が最近になって実証された。ウイルス性癌遺伝子E6及びE7に由
来するHPVペプチド混合物のワクチン接種を3〜4回受けた、新生物発生前のウイルス
誘導性疾患を有する19例の患者の約50%が、24ヶ月以上にわたり完全寛解を維持し
た(Kenter et al,「外陰上皮内新生物に関するHPV−16癌タンパク質
に対するワクチン接種(Vaccination against HPV−16 On
coproteins for Vulvar Intraepithelial Ne
oplasia)」NEJM 361:1838(2009))。
シーケンシング技術により、遺伝子のタンパク質コーディング内容を改変する複数の患
者特異的突然変異を各腫瘍が含むことが明らかになっている。そのような突然変異により
、単一アミノ酸変化(ミスセンス突然変異により引き起こされる)から、フレームシフト
、終止コドンのリードスルー又はイントロン領域の翻訳(新規オープンリーディングフレ
ーム突然変異;ネオORF)に起因する新規アミノ酸配列の長い領域の付加にまでに及ぶ
改変タンパク質が生じる。これらの突然変異タンパク質は、天然タンパク質とは異なり自
己トレランスの免疫抑制効果の対象とはならないことから、腫瘍に対する宿主の免疫応答
にとって有用な標的である。従って、突然変異タンパク質は免疫原性である可能性がより
高く、且つ患者の正常細胞と比較して腫瘍細胞に対する特異性もより高い。
どのミスセンス突然変異が患者の同族MHC分子への強力な結合ペプチドを生じるかを
予測するための近年改良されたアルゴリズムを利用して、各患者に最適な突然変異エピト
ープ(ネオORF及びミスセンスの両方)を代表する一連のペプチドを同定し、優先順位
を付け、最大20又はより多くのペプチドを免疫化用に調製する(Zhang et a
l,「免疫学における機械学習競争−HLAクラスI結合ペプチドの予測(Machin
e learning competition in immunology−Pre
diction of HLA class I binding peptides)
」J Immunol Methods 374:1(2011);Lundegaar
d et al「ニューラルネットワークベースの方法を使用するエピトープの予測(P
rediction of epitopes using neural netwo
rk based methods)」J Immunol Methods 374:
26(2011))。約20〜35アミノ酸長のペプチドを合成し、なぜならば、そのよ
うな「長い」ペプチドは、樹状細胞等のプロフェッショナル抗原提示細胞において効率的
な内在化、プロセシング及び交差提示を受け、且つヒトにおいてCTLを誘導することが
分かっているからである(Melief and van der Burg,「合成ロ
ングペプチドワクチンによる樹立された(前)悪性疾患の免疫療法(Immunothe
rapy of established(pre)malignant diseas
e by synthetic long peptide vaccines)」Na
ture Rev Cancer 8:351(2008))。
強力且つ特異的な免疫原に加えて、有利には、有効な免疫応答は免疫系を活性化させる
ために強力なアジュバントを含む(Speiser and Romero,「癌免疫療
法のための分子的に定義されたワクチン、及び防御T細胞免疫(Molecularly
defined vaccines for cancer immunothera
py,and protective T cell immunity)」Semin
ars in Immunol 22:144(2010))。例えば、Toll様受容
体(TLR)が、自然免疫系、次に適応免疫系を有効に誘導する、微生物性の及びウイル
ス性の病原体「危険シグナル」の強力なセンサーとして登場している(Bhardwaj
and Gnjatic,「TLRアゴニスト:それは良好なアジュバントか?(TL
R AGONISTS:Are They Good Adjuvants?)」Can
cer J.16:382−391(2010))。TLRアゴニストの中でも、ポリI
CLC(合成二本鎖RNA模倣体)は、骨髄由来樹状細胞の最も強力なアクチベータの一
つである。ヒトボランティア試験において、ポリICLCは、安全であり、且つ末梢血細
胞において、最も強力な弱毒生ウイルスワクチンの一つである黄熱病ワクチンYF−17
Dにより誘導されるものと同等の遺伝子発現プロファイルを誘導することが示されている
(Caskey et al,「合成二本鎖RNAはヒトにおいて生ウイルスワクチンと
同様に自然免疫応答を誘導する(Synthetic double−stranded
RNA induces innate immune responses sim
ilar to a live viral vaccine in humans)」
J Exp Med 208:2357(2011))。Oncovir,Incにより
調製されているポリICLCのGMP製剤であるHiltonol(登録商標)をアジュ
バントとして利用する。
実施例2
標的患者集団
ステージIIIB、IIIC及びIVM1a,bのメラノーマを有する患者は、疾患を
完全に外科的に切除したとしても、疾患再発及び死亡のリスクが著しい(Balch e
t al,「2009年AJCCメラノーマ病期診断及び分類の最終版(Final V
ersion of 2009 AJCC Melanoma Staging and
Classification)」J Clin Oncol 27:6199−62
06(2009))。この患者集団に利用可能な全身アジュバント療法はインターフェロ
ン−α(IFNα)であり、この療法は、測定可能な、しかし最低限度の利益をもたらし
、顕著で頻繁に用量制限の毒性を伴う(Kirkwood et al,「高リスク切除
皮膚メラノーマのインターフェロンアルファ−2bアジュバント療法:米国東海岸癌臨床
試験グループ試験EST 1684(Interferon alfa−2b Adju
vant Therapy of High−Risk Resected Cutan
eous Melanoma:The Eastern Cooperative On
cology Group Trial EST 1684)」J Clin Onco
l 14:7−17(1996);Kirkwood et al,「高リスクメラノー
マにおける高用量及び低用量のインターフェロンアルファ−2b:群間比較試験E169
0/S9111/C9190の初回分析(High− and Low−dose In
terferon Alpha−2b in High−Risk Melanoma:
First Analysis of Intergroup Trial E1690
/S9111/C9190)」J Clin Oncol 18:2444−2458(
2000))。これらの患者は、過去の癌を標的とした治療により又は活動中の癌により
免疫無防備状態ではなく、そのためワクチンの安全性及び免疫学的影響を評価するための
優れた患者集団に相当する。最後に、これらの患者に対する現行の標準治療は、手術後に
いかなる治療も命令しないため、ワクチン製剤について8〜10週間のウィンドウが可能
となる。
この標的集団は、完全に切除されており発病していない、臨床的に検出可能な組織学的
に確認されたリンパ節(局所又は遠隔)又はイントランジット転移(in transi
t metastasis)を有する皮膚メラノーマ患者である(ステージIIIBのほ
とんど(シーケンシング及び細胞株発生に十分な腫瘍組織を有する必要があるため、潰瘍
化した原発腫瘍であるが微小転移リンパ節を有する患者(T1−4b、N1a又はN2a
)は除外される)、ステージIIICの全て、並びにステージIVM1a、b)。これら
は、初期ステージのメラノーマの初回診断での患者又は前回の診断後の疾患再発での患者
であり得る。
腫瘍摘出:患者をメラノーマに罹患していない状態にするために、患者から、その原発
性メラノーマ(まだ取り除かれていない場合)及び全ての局所転移性疾患を完全切除する
ことができる。病理学的評価に十分な腫瘍を摘出した後、残りの腫瘍組織を滅菌容器内の
滅菌媒体中に置き、脱凝集用に調製する。腫瘍組織の一部を使用して全エクソーム及びト
ランスクリプトームの配列決定並びに細胞株作成を行い、残りの腫瘍を凍結させる。
正常組織摘出:全エクソームの配列決定用に正常組織試料(血液又は喀痰試料)を採取
する。
臨床的に明らかな局所領域の転移性疾患又は完全に切除可能な遠隔リンパ節、皮膚又は
肺の転移性疾患を有する(しかし切除不能な遠隔又は内臓転移性の疾患はない)患者を同
定し、この試験に組み入れる。(免疫モニタリング計画の一環としてのインビトロ細胞傷
害性アッセイ用の標的細胞を作成すべく)メラノーマ細胞株発生用の新鮮な腫瘍組織を得
るためには、手術前の患者の登録が必要である。
実施例3
用量及びスケジュール
全ての治療前基準を満たしている患者に関して、試験薬が到着し、受入規格に適合した
後、可能な限り速やかにワクチン投与を開始することができる。各患者につき4つの別個
の試験薬があり、各々が20個の患者特異的ペプチドのうちの5つを含む。免疫化を概し
て、図3に示すスケジュールに従って進めることができる。
患者を外来患者診療室で治療する。各治療日での免疫化は4回の1ml皮下注射からな
り、リンパ系の異なる領域を標的化して抗原競合を低減するために各注射を別々の四肢に
行なうことができる。患者が完全腋窩又は鼠径リンパ節郭清を受けたことがある場合、代
替としてワクチンを右又は左の上腹部に投与する。各注射は、当該患者用の4つの試験薬
のうちの1つからなることができ、各サイクルについて同じ試験薬を同じ四肢に注射する
。各1ml注射の組成は以下である:
5つの患者特異的ペプチドを300μgずつ含む0.75mlの試験薬
0.25ml(0.5mg)の2mg/mlポリICLC(Hiltonol(登録商
標))
誘導期/プライミング期の間、1、4、8、15及び22日目に患者を免疫化する。維
持期には、患者に12及び24週目にブースター用量を投与することができる。
血液試料を以下の複数の時点で採取することができ:前(ベースライン;異なる日の2
つの試料);プライミングワクチン接種の間の15日目;誘導/プライミングワクチン接
種の4週間後(8週目);初回ブーストの前(12週目)及び後(16週目);2回目の
ブーストの前(24週目)及び後(28週目)、各試料につき50〜150mlの血液を
採取する(16週目を除く)。一次免疫学的エンドポイントは16週目であり、従って患
者を(患者及び医師の評価に基づいて別途指示されない限り)白血球除去する。
実施例4
免疫モニタリング
免疫化戦略は「プライム−ブースト」手法であり、免疫応答を誘導するための初期の一
連の密な間隔の免疫化と、その後の記憶T細胞が樹立されるのを可能にするための休止期
間とを含む。これにブースター免疫化が続き、このブーストの4週間後のT細胞応答は最
も強力な応答を生じると予想されており、一次免疫学的エンドポイントである。18時間
エキソビボELISPOTアッセイにおいて、この時点から末梢血単核細胞を使用し、全
ての免疫エピトープを含むオーバーラップ15merペプチド(11aaのオーバーラッ
プ)のプールで刺激して、大域的免疫応答を最初にモニタリングする。ワクチン接種前試
料を評価して、このペプチドプールに対するベースライン応答を確立する。必要に応じて
さらなるPBMC試料を評価し、全ペプチド混合物に対する免疫応答の動態を調べる。ベ
ースラインを有意に上回る応答を示す患者に関して、全15merのプールをデコンボリ
ュートして、どの特定の免疫ペプチドが免疫原性であったかを決定する。加えて、適切な
試料に関して個別の場合に応じて以下のいくつかのさらなるアッセイを行なう:
・全15merプール又はサブプールを細胞内サイトカイン染色アッセイ用の刺激ペプ
チドとして使用し、抗原特異的CD4+、CD8+、中枢記憶及びエフェクター記憶集団
を同定して定量化する
・同様に、これらのプールを使用し、これらの細胞により分泌されるサイトカインのパ
ターンを評価してTH1対TH2表現型を決定する
・未刺激細胞の細胞外サイトカイン染色及びフローサイトメトリーを使用して、Tre
g及び骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を定量化する。
・応答する患者からのメラノーマ細胞株の樹立に成功し、且つ活性化エピトープを同定
することができる場合、突然変異ペプチド及び対応する野生型ペプチドを使用してT細胞
の細胞傷害性アッセイを行なう
・図4に示すように、刺激剤として既知のメラノーマ腫瘍関連抗原を使用することによ
り、且つ免疫原の一つとして選択されなかったいくつかのさらなる同定済みの突然変異エ
ピトープを使用することにより、一次免疫学的エンドポイントでのPBMCを「エピトー
プの広がり」に関して評価する。
腫瘍試料の免疫組織化学を行ない、CD4+、CD8+、MDSC及びTrag浸潤集
団を定量化する。
実施例5
ネオ抗原の調製
腫瘍を外科的に切除した後、腫瘍組織の一部及び血液試料を施設へと直ちに移し、以降
の追跡のために固有の認識コードを割り当てる。腫瘍組織をコラゲナーゼで脱凝集させ、
別々の一部を、核酸(DNA及びRNA)を抽出するために凍結させる。血液試料を、核
酸を抽出するために施設へと直ちに移す。腫瘍組織から抽出したDNA及び/又はRNA
を使用して、(例えば、Illumina HiSeqプラットフォームを使用して)全
エクソームを配列決定し、且つHLAタイピング情報を決定する。本発明の範囲内では、
ミスセンス又はネオORFネオ抗原ペプチドがタンパク質ベースの技術(例えば質量分析
法)により直接同定され得ることが企図される。
バイオインフォマティクス分析を以下のように行なう。エクソーム及びRNA−SEQ
fast Qファイルの配列分析は、多くの患者試料に関する大規模プロジェクト(例
えばTCGA)で広く使用されている及び検証されている既存のバイオインフォマティク
スパイプラインを利用する(例えば、Chapman et al,2011,Stra
nsky et al,2011,Berger et al,2012)。2つの連続
的な分析カテゴリー、即ちデータ処理及び癌ゲノム分析が存在する。
データ処理パイプライン:Picardデータ処理パイプライン(picard.so
urceforge.net/)はSequencing Platformにより開発
された。各腫瘍の及び正常な試料に関してシーケンサー(例えばIllumina)から
抽出された生データを、Picardパイプラインの様々なモジュールを使用して以下の
処理にかける:
(i)データ変換:Illumina生データを標準BAMフォーマットに変換し、様
々なクオリティ閾値を超える塩基の分布に関する基本QCメトリックを作成する。
(ii)アラインメント:バローズ・ホイーラーアラインメントツール(BWA)を使
用して、リードペアをヒトゲノム(hg19)にアラインする。
(iii)デュプリケートのマーキング:リードペアマッピング位置に基づいてPCR
及び光学的デュプリケートを同定し、最終BAMファイルにマーキングする。
(iv)インデルリアラインメント:ゲノムにおける既知の挿入及び欠失多型部位と整
列するリードを調べ、リアラインメント時の改善に関する対数オッズ(LOD)スコアが
少なくとも0.4である部位を修正する。
(v)クオリティリキャリブレーション:Illuminaパイプラインにより報告さ
れた最初の塩基クオリティスコアを、リードサイクル、レーン、フローセルタイル、問題
の塩基及び先行する塩基に基づいてリキャリブレートする。このリキャリブレーションは
、非dbSNP位置での全てのミスマッチが総観察数中のミスマッチの割合としての目的
のカテゴリー毎のエラー確率のリキャリブレーションを可能にするエラーに起因している
と仮定する。
(vi)クオリティコントロール:最終BAMファイルを処理して、サイクル毎のリー
ドクオリティ、クオリティスコアの分布、アラインメントのサマリー及びインサートサイ
ズ分布を含む広範なQCメトリックを作成する。クオリティQCに適合しないデータをブ
ラックリストに載せる。
(vii)同一性検証:約100個の既知のSNP位置での直交的に収集した試料遺伝
子型データを配列データと照合し、試料の同一性を確認する。同一性の確認用の閾値とし
て、≧10のLODスコアを使用する。同一性QCに適合しないデータをブラックリスト
に載せる。
(viii)データ集約:同一試料からの全てのデータをマージし、デュプリケートの
マーキングステップを繰り返す。推定上の短い挿入及び欠失領域を含む新規標的領域を特
定し、それらの遺伝子座でインデルリアラインメントステップを実施する。
(ix)集約データにおける推定インデルの周りの局所的リアラインメント:推定上の
短い挿入及び欠失を含む新規標的領域を特定し、(例えば、GATK Realigne
rTargetCreator及びIndelRealignerモジュールを使用して
)それらの遺伝子座で局所的リアラインメントステップを実施し、インデルコールの一貫
性及び正確さを確保する。
(x)集約データに対するクオリティコントロール:アラインメントサマリー及びイン
サートサイズ分布等のQCメトリックを再計算する。加えて、抽出プロセスからの反応性
夾雑物の存在下でのDNAの音響せん断により引き起こされるライブラリ構築プロセスの
初期段階における酸化損傷の割合を評価する一組のメトリックを作成する。
Picardの出力はbamファイルであり(Li et al,2009)(例えば
、http://samtools.sourceforge.net/SAM1.pd
fを参照)、このbamファイルには、所与の試料に関する全てのリードの塩基配列、ク
オリティスコア、及びアラインメントの詳細が保存される。
癌突然変異検出パイプライン:Picardパイプラインからの腫瘍bamファイル及
び対応する正常bamファイルを、本明細書において以下で記載するように分析する:
1.クオリティコントロール
(i).Capsegプログラムを腫瘍及び対応する正常エクソーム試料に適用して、
コピー数プロファイルを得る。次いで、CopyNumberQCツールを使用して、作
成されたプロファイルを手動で調べ、腫瘍/正常試料のミックスアップを評価することが
できる。ノイズのあるプロファイルを有する正常試料に並びに腫瘍試料が対応する正常と
比べて低いコピー数変動を有する場合にフラグを付し、データ生成及び分析パイプライン
全体を通じて追跡してミックスアップを確認する。
(ii).Capsegにより生成されたコピー数プロファイルに基づいて、ABSO
LUTEツール15により腫瘍の純度及び倍数性を推定する。極めてノイズが多いプロフ
ァイルは、高度に劣化した試料の配列決定により生じる可能性がある。そのような場合に
は、腫瘍の純度及び倍数性の推定は不可能なことになり、対応する試料にフラグを付す。
(iii).ContEst(Cibulskis et al,2011)を使用し
て、試料における交差試料汚染レベルを決定する。汚染が4%を超える試料を破棄する。
2.体細胞性単一ヌクレオチド変異(SSNV)の同定
muTectと称されるベイズ統計のフレームワークを使用して患者の腫瘍bam及び
対応する正常bamを分析することにより、体細胞性塩基対置換を同定する(Cibul
skis et al,2013)。前処理ステップにおいて、圧倒的多数の低クオリテ
ィ塩基又はゲノムとのミスマッチを有するリードをフィルタリングで除く。次いで、Mu
tectは2つの対数オッズ(LOD)スコアを算出し、これらのスコアはそれぞれ、腫
瘍試料中における及び正常試料中における変異体の存在及び非存在の信頼度を包含する。
処理後段階では、突然変異の候補を、キャプチャー、配列決定及びアラインメントのアー
チファクトを説明するために以下の6つのフィルタによりフィルタリングする:
(i)近接ギャップ:イベントの近傍におけるミスアラインされたインデルの存在に起
因して生じる偽陽性を除去する。突然変異の候補の周りの11bpウィンドウで≧3の挿
入リード又は欠失リードを有する試料を棄却する。
(ii)マッピング不良:ゲノムにおけるリードの不明瞭な配置のために生じる偽陽性
を破棄する。腫瘍及び正常試料で≧50%のリードのマッピングクオリティがゼロである
場合には又はマッピングクオリティが≧20であり突然変異対立遺伝子を有するリードが
ない場合には、その候補を棄却する。
(iii)三対立遺伝子部位:正常ではヘテロ接合である部位は多くの偽陽性を生じさ
せる傾向があることから、この部位を破棄する。
(iv)ストランドバイアス:突然変異を有するリードの大部分が同じ向きを有するコ
ンテクスト特異的シーケンシングエラーにより生じる偽陽性を除去する。ストランド特異
的LODが<2である候補を棄却する(この閾値に適合するための感度は≧90%である
)。
(v)クラスター化位置:リードアラインメントの始点又は終点から一定の距離を置い
て現れる代替的な対立遺伝子を特徴とするアラインメントエラーに起因する偽陽性を破棄
する。リードの始点若しくは終点からの距離の中央値が≦10である場合には(このこと
は、突然変異がアラインメントの始点若しくは終点にあることを暗示する)、又は距離の
絶対偏差中央値が≦3である場合には(このことは、突然変異がクラスター化されている
ことを暗示する)、棄却する。
(vi)コントロールで観察される:ランダムなシーケンシングエラーにより予想され
るものを超えて正常試料中の代替的な対立遺伝子が現れているエビデンスがある腫瘍にお
ける偽陽性を破棄する。正常試料中の代替的な対立遺伝子を含む≧2のリードがある場合
には、又はこの対立遺伝子がリードの≧3%である場合には、及びこの対立遺伝子のクオ
リティスコアの合計が>20である場合には、棄却する。
これらの6つのフィルタに加え、候補を正常試料のパネルと比較し、2つ以上の正常試
料で生殖細胞系列変異体として存在することが見られるものを棄却する。次いで、突然変
異の最終セットを、ゲノム領域、コドン、cDNA及びタンパク質の変化を含む幾つかの
フィールドにより、Oncotatorツールを用いてアノテートすることができる。
3.体細胞性の小さい挿入及び欠失の同定
本明細書に記載されている局所的リアラインメントの出力(「集約データにおける推定
インデルの周りの局所的リアラインメント」、上掲を参照)を使用して、それぞれ腫瘍b
am単独又は腫瘍及び正常の両方のbamにおいて変異体を裏付けるリードの評価に基づ
き、候補体細胞及び生殖系列インデルを予測する。ミスマッチの数及び分布並びに塩基ク
オリティスコアに基づくさらなるフィルタリングを行なう(McKenna et al
,2010,DePristo et al,2011)。全てのインデルを、Inte
grated Genomics Viewer(Robinson et al,20
11)(www.broadinstitute.org/igv)を使用して手動で調
べて、高フィデリティのコールを確実にする。
4.遺伝子融合検出
遺伝子融合検出パイプラインでの最初のステップは、既知の遺伝子配列のライブラリに
対する腫瘍RNA−Seqリードのアラインメントと、その後のゲノム座標へのこのアラ
インメントのマッピングとである。このゲノムマッピングは、エクソンを共有する異なる
転写変異体にマッピングされる複数のリードペアを共通のゲノム位置に縮める助けとなる
。DNAがアラインされたbamファイルに、異なる染色体上にある又は同じ染色体上の
場合に少なくとも1MB離れている2つの異なるコード領域に2つのメイトが位置するリ
ードペアに関して問い合わせる。また、それぞれ遺伝子においてアラインされるペアエン
ドが(推定)融合mRNA転写物のコーディング→コーディング5’→3’の向きと一致
する向きであることも必要となり得る。少なくとも2つのそのような「キメラ」リードペ
アが存在する遺伝子ペアのリストを、さらなる精緻化にかける最初の推定イベントリスト
として列挙する。次に、アラインされていない全てのリードを、そのメイトが当初アライ
ンされたというさらなる制約により元のbamファイルから抽出し、本明細書に記載され
ているように得られた遺伝子ペア中の遺伝子の1つにマッピングする。次いで、当初アラ
インされていない全てのそのようなリードを、発見された遺伝子ペア間の可能な全てのエ
クソン−エクソン接合部(完全長、境界から境界まで、コーディング5’→3’向き)で
作られるカスタムの「参照」とアラインする試みを行なうことができる。1つのそのよう
な当初アラインされていないリードを、遺伝子Xのエクソンと遺伝子Yのエクソンとの間
の接合部に(ユニークに)マッピングし、且つそのメイトが実際に遺伝子X又はYの一方
にマッピングされた場合、そのようなリードを「融合」リードとしてマークする。遺伝子
融合イベントは、エクソン:エクソン接合部の周りに過剰な数のミスマッチがなく、且つ
いずれの遺伝子においても少なくとも10bpのカバレッジで、そのメイトに対して正し
い相対的向きにて少なくとも1つの融合リードが存在する場合にコールされる。高度に相
同の遺伝子(例えばHLAファミリー)の間の遺伝子融合は誤りである可能性があり、フ
ィルタリングで除く。
5.クロナリティーの推定
バイオインフォマティクス分析を使用して、突然変異のクロナリティーを推定すること
ができる。例えば、ABSOLUTEアルゴリズム(Carter et al,201
2、Landau et al,2013)を使用して、腫瘍純度、倍数性、絶対コピー
数及び突然変異のクロナリティーを推定することができる。各突然変異の対立遺伝子率の
確率密度分布を作成し、続いて突然変異の癌細胞率(CCF)に変換する。突然変異を、
そのCCFが0.95を超える事後確率がそれぞれ0.5より大きいか小さいかに基づい
て、クローナル又はサブクローナルに分類する。
6.発現の定量化
TopHatスイート(Langmead et al,2009)を使用して、腫瘍
bam及び対応する正常bamのRNA−Seqリードをhg19ゲノムにアラインする
。RNA−SeQC(DeLuca et al,2012)パッケージにより、RNA
−Seqデータのクオリティを評価する。次いで、RSEMツール(Li et al,
2011)を使用して、遺伝子及びアイソフォームの発現レベルを推定することができる
。キロベース当たりの生成されたリードの百万分率及びτ推定値を使用して、他の箇所に
記載されているように各患者において同定されたネオ抗原に優先順位を付ける。
7.RNA−Seqにおける突然変異の検証
8.本明細書に記載されているような全エクソームデータの分析により同定される体細胞
突然変異(単一ヌクレオチド変異、小さい挿入及び欠失並びに遺伝子融合等)の確認を、
患者の対応するRNA−Seq腫瘍BAMファイルを調べることにより評価する。各変異
遺伝子座について、ベータ二項分布に基づく検出力計算を実施して、各変異遺伝子座をR
NA−Seqデータ中で検出するための少なくとも95%の検出力があることを確実にす
る。キャプチャーにより同定された突然変異を、適切な検出力の部位について突然変異を
有するリードが少なくとも2つある場合に検証されたと見なす。
腫瘍特異的突然変異を含むエピトープの選択:Center for Biologi
cal Sequence Analysis、デンマーク工科大学(Technica
l University of Denmark)、オランダにより提供され且つメン
テナンスされるニューラルネットワークベースのアルゴリズムnetMHCを使用して、
全てのミスセンス突然変異及びネオORFを、突然変異を含むエピトープの存在に関して
分析する。この一群のアルゴリズムを、一連の関連手法の間で最近完了したコンペティシ
ョンに基づいて最高位のエピトープ予測アルゴリズムと評価した(参照)。これらのアル
ゴリズムを、地域の標的患者集団における主要な民族集団である白人集団で見られるHL
A−A対立遺伝子の99%及びHLA−B対立遺伝子の87%を網羅する69個の異なる
ヒトHLA A対立遺伝子及びB対立遺伝子に関して人工ニューラルネットワークベース
の手法を使用して訓練した。最新バージョンを利用する(v2.4)。
これらのアルゴリズムの正確さを、HLAアロタイプが既知であるCLL患者で見出さ
れる突然変異から予測を実施することにより評価した。含まれていたアロタイプは、A0
101、A0201、A0310、A1101、A2402、A6801、B0702、
B0801、B1501であった。mid−2011でnetMHCpanを使用して、
各突然変異にわたる全ての9mer及び10merのペプチドについて予測を行なった。
これらの予測に基づいて、74個の9merペプチド及び63個の10merペプチド(
ほとんどが500nM未満の予測親和性を有した)を合成し、競合的結合アッセイ(Se
tte)を使用して結合親和性を測定した。
これらのペプチドの予測を、最新版のnetMHCサーバの各々(netMHCpan
、netMHC及びnetMHCcons)を使用して2013年3月に繰り返した。こ
れらの3つのアルゴリズムは、2012年のコンペティションで使用された20の群の中
で最高位のアルゴリズムであった(Zhang et al)。次いで、新しい予測の各
々に関して、実測した結合親和性を評価した。各一組の予測値及び実測値について、範囲
毎の正しい予測の%並びに試料の数を得る。各範囲の定義は以下のとおりである:
0〜150:150nM以下の親和性を有すると予測され、且つ150nM以下の親和
性を有すると測定される。
0〜150:150nM以下の親和性を有すると予測され、且つ500nM以下の親
和性を有すると測定される。
151〜500nM:150nMより高いが500nM以下の親和性を有すると予測さ
れ、且つ500nM以下の親和性を有すると測定される。
FN(>500nM):偽陰性−500nMより高い親和性を有すると予測されるが、
500nM以下の親和性を有すると測定される。
9merペプチド(表1)に関しては、アルゴリズム間の差異はわずかであり、net
MHC consでの151〜500nMの範囲が僅かに高い値であったが、試料数が少
ないために有意ではないと判断した。
Figure 2021152053
10merペプチド(表2)に関しても同様にアルゴリズム間の差異はわずかであった
が、但し、netMHCはnetMHCpan又はnetMMHCconsと比べて有意
に多い偽陽性を生じた。しかしながら、9merと比較して10merの予測の精度は0
〜150nM及び0〜150nMの範囲で僅かに低く、151〜500nMの範囲で有
意に低い。
Figure 2021152053
10merに関しては、151〜500nMの範囲での結合体に関する50%未満の精
度に起因して0〜150nMの範囲での予測のみを利用する。
いくつかの個々のHLA対立遺伝子の試料数は、様々な対立遺伝子についての予測アル
ゴリズムの正確さに関する何らかの結論を引き出すには少な過ぎた。利用可能な最大のサ
ブセット(0〜150nM;9mer)のデータを例として表3に示す。
Figure 2021152053
HLA C対立遺伝子に関しては予測の正確さを判断するために利用可能なデータがほ
とんどないことから、HLA A対立遺伝子及びB対立遺伝子の予測のみを利用する(Z
hang et al)。
メラノーマ配列情報及びペプチド結合予測の評価を、TCGAデータベースからの情報
を使用して実施した。様々な患者からの220例のメラノーマに関する情報により、平均
して患者当たり約450個のミスセンス及び5個のネオORFがあることが明らかになっ
た。20例の患者を無作為に選択し、netMHCを使用して全てのミスセンス及びネオ
ORF突然変異に関して予測結合親和性を算出した(Lundegaard et al
「ニューラルネットワークベースの方法を使用するエピトープの予測(Predict
ion of epitopes using neural network bas
ed methods)」J Immunol Methods 374:26(201
1))。これらの患者はHLAアロタイプが未知であったことから、このアロタイプの頻
度に基づいてアロタイプ毎の予測結合ペプチドの数を調整し(地理的範囲における予想さ
れる罹患優性集団[メラノーマの場合は白人]に関する骨髄登録データセット)、患者当
たりの予測される作用可能な突然変異体エピトープ数を求めた。これらの突然変異体エピ
トープ(MUT)の各々に関して、対応する天然(NAT)エピトープ結合も予測した。
本明細書に記載する優先順位付けを利用する:
・90%(20例中18例)の患者が、ワクチン接種に適切な少なくとも20個のペプ
チドを有すると予測した;
・患者の約4分の1では、20個のペプチドの半分から全てをneoORFペプチドが
占めることができた;
・患者の半数強では、カテゴリー1及び2のペプチドのみが使用され得た;
・患者の80%では、カテゴリー1、2、及び3のペプチドのみが用いられ得た。
そのため、メラノーマ中には、患者の高い割合が十分な数の免疫原性ペプチドを生じる
と予想するのに十分な数の突然変異がある。
実施例6
ペプチドの作製及び製剤
免疫化用のGMPネオ抗原ペプチドを、FDAの規定に従って、化学合成Merrif
ield RB:「固相ペプチド合成I.テトラペプチドの合成(Solid phas
e peptide synthesis.I.The synthesis of a
tetrapeptide)」.J.Am.Chem.Soc.85:2149−54
,1963)により調製する。20個の各約20〜30merペプチドの3つの開発ラン
を実施している。各ランは同じ施設で実施し、ドラフトGMPバッチ記録を利用して、G
MPランに使用されるものと同じ機器を利用した。各ランで、>50mgの各ペプチドを
作製することに成功し、現在計画されている全ての出荷試験(例えば、外観、MSによる
アイデンティティ、RP−HPLCによる純度、元素状窒素による含量、及びRP−HP
LCによるTFA含量)によりそれらを試験し、必要に応じて目標規格に適合させた。生
成物を、プロセスのこの部分に見込まれる時間フレーム(約4週間)の範囲内でも作製し
た。凍結乾燥バルクペプチドを長期安定性試験にかけており、最長12ヶ月までの様々な
時点で評価する。
これらのランからの物質を使用して、計画された溶解及び混合手法を試験している。簡
潔に言うと、各ペプチドを100%DMSO中に高濃度(50mg/ml)で溶解させ、
水性溶媒で2mg/mlに希釈する。当初、希釈剤としてPBSを使用し得ると見込まれ
たが、少数のペプチドの塩析により目に見える混濁が生じた。D5W(5%デキストロー
ス水溶液)は有効性がはるかに高いことが示され、40個中37個のペプチドで、澄明な
溶液に希釈することに成功した。10%スクロース水溶液又は10%トレハロース水溶液
も有効である。5%デキストロースを含む製剤とは異なり、10%スクロース又は10%
トレハロースを含む製剤は凍結乾燥可能である。唯一問題のあるペプチドは、極めて疎水
性のペプチドである。
表4は、疎水性アミノ酸の算出した割合基づいてソートした60個の潜在的なネオ抗原
ペプチドの溶解性評価の結果を示す。示すように、疎水性割合が0.4未満のほぼ全ての
ペプチドはDMSO/D5Wに可溶であるが、疎水性割合が0.4以上のいくつかのペプ
チドはDMSO/D5Wに不溶であった(「DMSO/D5Wへの溶解性」と標識した列
において赤色のハイライトで示す)。これらのうちのいくつかは、コハク酸塩の付加によ
り可溶化され得る(列「DMSO/D5W/コハク酸塩での溶解性」において緑色のハイ
ライトで示す)。これらのペプチドの4個のうちの3個は疎水性割合が0.4〜0.43
であった。4個のペプチドは、コハク酸塩の付加時に溶解性が低下し、これらのペプチド
の4個のうちの3個は疎水性割合が0.45以上であった。
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
計画された免疫ペプチドの予測される生化学的特性を評価し、その結果に応じて(より
短いペプチドを使用して、合成する領域を予測エピトープの周りでN末端若しくはC末端
の方向にシフトさせて、又は代替ペプチドを潜在的に利用して)合成計画を変更し、疎水
性割合が高いペプチの数を制限することができる。
DMSO/D5W中の10個の別個のペプチドを2回の凍結/解凍サイクルにかけ、完
全な回復が示された。2つの個々のペプチドをDMSO/D5W中に溶解させ、2つの温
度(−20℃及び−80℃)で安定性を評価した。これらのペプチドを最長で24週間に
わたり評価した(RP−HPLC及びpH及び目視検査)。両方のペプチドとも最長で2
4週間にわたり安定であり、−20℃又は−80℃のいずれかで保存した場合には、いず
れのペプチドの場合であっても、RP−HPLCアッセイにより検出した不純物の割合は
有意には変化しなかった。評価すべき傾向は認められなかったことから、任意の小さい変
化はアッセイのばらつきに起因するものと思われる。
図5に示すように、剤形プロセスの設計は、各5つのペプチドからなる患者特異的ペプ
チドの4つのプールを調製することである。RP−HPLCアッセイを調製しており、R
P−HPLCアッセイはこれらのペプチド混合物の評価に適格である。このアッセイは、
単一混合物内の複数のペプチドの良好な分解能を達成し、個々のペプチドの定量化にも使
用され得る。
膜ろ過(0.2μm細孔径)を使用してバイオバーデンを低下させ、最終ろ過滅菌を行
う。4つの異なる適切なサイズのフィルタタイプを最初に評価し、Pall、PESフィ
ルタ(4612番)を選択した。これまで5つの異なる各ペプチドの4つの異なる混合物
を調製しており、個々に2つのPESフィルタに順次通してろ過した。RP−HPLCア
ッセイを利用して、各個々のペプチドの回収率を評価した。20個のペプチドのうちの1
8個に関しては、2回のろ過後の回収率が>90%であった。2つの高度に疎水性のペプ
チドに関しては、小規模で評価した場合には回収率が60%未満であったが、規模を拡大
するとほぼ完全に回収した(87及び97%)。本明細書に記載したように、選択した配
列の疎水性の性質を制限する手法を取る。
DMSOに溶解させ、2mg/mlとなるようにD5W/コハク酸塩(5mM)で希釈
し、1ml当たり400μgの最終ペプチド濃度及び4%の最終DMSO濃度にプールす
ることにより、5つのペプチドからなるペプチドプール(プール4)を調製した。調製後
、ペプチドを25mm Pall PESフィルタ(カタログ番号4612)でろ過し、
1mlアリコートでNunc Cryoバイアル(番号375418)に分注した。これ
まで、時点0並びに2週目及び4週目に試料を分析した。さらなる試料を8週目及び24
週目に分析する。−80℃では、4週目時点において、ペプチドプール4のHPLCプロ
ファイル又は不純物プロファイルに有意な変化を観察しなかった。4週目の時点まで、ペ
プチドプールの目視観察及びpHは変化しなかった。
実施例7
ペプチド合成
標準的な固相合成ペプチド化学により(例えばCS536XTペプチド合成を使用して
)GMPペプチドを合成し、RP−HPLCにより精製する。各個々のペプチドを種々の
適格なアッセイにより分析して外観(目視)、純度(RP−HPLC)、アイデンティテ
ィ(質量分析法による)、量(窒素状元素)、及びトリフルオロ酢酸対イオン(RP−H
PLC)を評価して出荷する。
個別化されたネオ抗原ペプチドを、各患者に特有の最大20個の別個のペプチドから構
成することができる。各ペプチドは、標準的なペプチド結合により連結された約20〜約
30個のL−アミノ酸の線状ポリマーであることができる。アミノ末端は第一級アミン(
NH2−)であることができ、カルボキシ末端はカルボニル基(−COOH)である。哺
乳類細胞で一般に見出される20個の標準アミノ酸が利用する(アラニン、アルギニン、
アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒ
スチジン、イソロイシン、ロイシンリジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、
セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)。各ペプチドの分子量はその
長さ及び配列に基づいて異なり、各ペプチドに関して算出される。
全ての合成反応に、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc(
9−fluorenylmethoyloxycarbnyl))でN末端が保護された
アミノ酸を利用する。アミノ酸の側鎖を、必要に応じて2,2,4,6,7−ペンタメチ
ル−ジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル(Pbf)基、トリフェニルメチル(Trt
)基、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基又はt−ブチルエーテル(tBu)基で
保護する。全てのバルクアミノ酸をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させる。縮合
は、別個の反応で以下の2つの触媒の組み合わせを利用する:
ジイソピルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DIC/HOBT)
ジイソプロピルエチルアミン(diisoproplyethylamine)/2−
(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘ
キサフルオロホスフェート(DIEA/HBTU)
各アミノ酸を2回カップリングさせて、高い取込みレベルを確保する。第1のカップリ
ングでは2〜6時間にわたりDIC/HOBTを利用し、第2のカップリングでは1〜2
時間にわたりDIEA/HBTUを利用する。これら2つのカップリングの各々をUV吸
光度によりモニタリングし、カップリングサイクルの合間に樹脂をDMFで十分に洗浄し
て効率を向上させる。2サイクルのカップリング後、次のサイクルに進めるためには、算
出したカップリング効率が少なくとも95%でなければならない。この最低カップリング
効率を満たさないペプチドはいずれもさらなる合成を中止する。
全てのアミノ酸をカップリングさせた後、樹脂をDMFで2回洗浄し、続いてメタノー
ルで3回洗浄する。次いで、樹脂を、依然として反応槽中である間に短時間にわたり真空
乾燥させ、次いで、新しい風袋計量済み容器(tared vessel)に移し、この
樹脂が自由に流動するまで真空乾させる(12時間超)。乾燥した樹脂が入った容器を秤
量し、風袋計量済み容器の質量を減算し、樹脂質量を調整することにより、合成された粗
ペプチドの質量を決定する。予想される質量収率は60%〜90%の範囲である。少なく
とも200mgの粗ペプチドが生成されなかった合成はいずれも終了させる。乾燥樹脂を
、切断開始まで最長28日にわたり4℃で保存することができる。
切断反応を単一の部屋で行う。患者特異的乾燥樹脂のセットを合成室から切断室に移す
前に、QAにより切断室を新規GMP製品の合成に完全に適格とする。適格化には、ライ
ンクリアランス点検、GMPスイートクリーニングの確認、全ての必要な材料及びガラス
器具類のステージング、機器の適切さ及び表示の確認、並びに全ての必要な人員が適切な
訓練を受けていて作業を行うのに適格であり、且つ適切に更衣がなされ、見掛け上疾患を
有しないことの確認が含まれる。
部屋の準備作業を、使用する機器の確認(ロータリーエバポレータ、真空ポンプ、はか
り)並びに機器が適切に清掃されている及び校正されていることを示す文書の点検(適宜
)で開始する。全ての必要な原材料(TFA、トリイソプロピルシラン(TIS)及び1
,2−エタンジチオール)の完全なリストがQAにより発行されており、製造により、利
用すべきロット番号、再試験日又は有効期限及びそれぞれの日の反応に分配される材料の
分量が特定される。
この樹脂からのペプチド鎖の切断及び側鎖保護基の切断は、室温での3〜4時間にわた
る、酸により生成されるフリーラジカルのスカベンジャーとしての2%トリイソプロピル
シラン(TIS)及び1%1,2−エタンジチオールの存在下での酸性条件下(95%T
FA)にて達成される。
ろ過により、遊離粗ペプチドから樹脂を分離する。遊離し且つ脱保護されたペプチドの
最終溶液をエーテルで沈殿させ、沈殿物を12時間にわたりフリーズドライする。フリー
ズドライ粉末を秤量して遊離粗ペプチド/樹脂結合ペプチドの比を算出することにより、
遊離粗ペプチドの収量を決定する。粗ペプチドの予想される収量は200mg〜1000
mgである。少なくとも200mgの粗ペプチドが得られない切断反応はいずれも終了さ
せる。次いで、粗ペプチドを精製スイートに移す。
精製を単一の部屋で行う。乾燥粗ペプチドのセットを切断室から精製室に移す前に、品
質保証により精製室を新規GMP製品の合成に完全に適格とする。適格化には、ラインク
リアランス点検、GMPスイートクリーニングの確認、全ての必要な材料及びガラス器具
類のステージング、機器の適切さ及び表示の確認、並びに全ての必要な人員が適切な訓練
を受けていて作業を行うのに適格であり、且つ適切に更衣がなされ、見かけ上疾患を有し
ないことの確認が含まれる。
部屋の準備作業を、使用する機器の確認(分取逆相高速液体クロマトグラフィー[RP
−HPLC]、はかり、分析用液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC/MS)、凍
結乾燥器、はかり)並びに機器が適切に清掃されている及び校正されていることを示す文
書の点検(適宜)で開始する。全ての必要な原材料(トリフルオロ酢酸[TFA]、アセ
トニトリル[ACN]、水)の完全なリストがQAにより発行されており、製造により、
利用すべきロット番号、再試験日又は有効期限及びそれぞれの日の反応に分配される材料
の分量が特定される。
200mg以下のフリーズドライ遊離ペプチドをACNに溶解させることにより、精製
を開始する。次いで、試料を水で5%〜10%ACNまでさらに希釈する。TFAを0.
1%の最終濃度まで添加する。患者特異的ペプチドの各セットの開始前に、1つのC−1
8 RP−HPLCカラム(10cm×250cm)を新たに充填する。カラムを0.1
%TFA含有5%アセトニトリルで十分に洗浄した後、患者ペプチドをロードする。単一
のカラム上にロードするペプチドの最大量は200mgである。カラムを220nmでの
UV観測によりモニタリングする。単一ペプチドをロードした後、試料をカラムに流入さ
せ、5%アセトニトリル/0.1%TFAでカラムを洗浄する。0.1%TFAを含むア
セトニトリルの10%〜50%勾配を使用してペプチドを溶出させる。UV観測がベース
ラインを20%上回る時点で始まる画分を収集する(各50ml)。カラムからそれ以上
UV吸収材料が溶出しなくなるまで、又は勾配が完了するまで、画分を収集し続ける。典
型的には、主溶出ピークは4〜8つの画分に分かれる。
各個々の画分を分析用LC/MSにより評価する。選択する分析条件は、ピーク溶出生
成物に関連するアセトニトリルの割合に基づく。予想される質量及び95%以上の純度を
有する画分を、ペプチド生成物としてプールする。典型的には、2〜4つの画分がこのプ
ール要件を満たす。プールされたペプチドをフリーズドライ用の風袋計量済みジャーに入
れ、24〜72時間にわたりフリーズドライする。フリーズドライペプチドが入ったジャ
ーの質量を決定し、風袋計量済みジャーの質量を減算することにより、凍結乾燥ペプチド
の質量を決定する。
フリーズドライペプチドの一部をクオリティコントロールに移して分析して処分する。
残りはさらなる処理前に−20℃で保存する。
いずれの画分も95%純度の要件を満たさないペプチドを破棄する。RP−HPLC画
分の再処理を行うことができない。十分な未精製フリーズドライ切断ペプチドが利用可能
な場合、第2のペプチド試料を、溶出ペプチドの純度が改善されるように勾配条件を調整
してカラムで精製することができる。
次いで、4カラム容積の100%ACN/0.1%TFAで十分に洗浄し、次いで5%
ACN/0.1%TFAで再平衡化させることによりカラムから残りのペプチドを取り除
いた後、次のペプチドをロードすることができる。
個々の患者用のペプチドを同じカラムで順次処理する。単一のカラムで25個以下のペ
プチドを処理する。
そのため、薬物物質製造の単位作業は以下を構成する:
合成:
各アミノ酸の縮合、洗浄及び再縮合
樹脂洗浄及び真空乾燥
切断スイートに移す
切断:
樹脂からの酸切断
樹脂からの遊離ペプチドの分離及びペプチド沈殿
精製スイートに移す
精製:
アセトニトリルへの溶解及びRP−HPLC精製
24〜72時間にわたるピーク画分のフリーズドライ
QC試験のためアリコートの取り出し及び残りの凍結乾燥生成物の保存。
個別化されたネオ抗原ペプチドを、キャップが色分けされた2ml Nunc Cry
oバイアルが入った箱として供給することができ、各バイアルには、400ug/mlの
濃度で最大5つのペプチドを含む約1.5mlの凍結DMSO/D5W溶液が入っている
。4つの群のペプチドの各々につき10〜15本のバイアルがあり得る。これらのバイア
ルを使用時まで−80℃で保存すべきである。進行中の安定性試験は保存温度及び期間を
裏付けている。
保存及び安定性:個別化されたネオ抗原ペプチドを−80℃で凍結して保存する。個別
化されたネオ抗原ペプチド及びポリICLCを解凍して滅菌ろ過したインプロセス中間体
及び最終混合物を室温で保つことができるが、4時間以内に使用すべきである。
適合性:個別化されたネオ抗原ペプチドは、使用直前に3分の1の容積のポリICLC
と混合する。
実施例8
製剤試験
いくつかの条件下では、ペプチドプール溶液中で特定のペプチドにより混濁又は沈殿が
見られた。従って、ペプチドの溶解性及び安定性への弱緩衝液の効果を評価した。
ポリICLCとペプチドプール(DMSOを含むD5W中)との混合により、特に疎水
性(hydrophibic)ペプチドの場合に、おそらくポリICLC溶液の低いpH
に起因して混濁又は沈殿が生じる場合があることが分かった。このペプチド溶液のpHを
上昇させるために、緩衝液を試験してペプチド溶解性への効果を評価した。初期試験に基
づいて、クエン酸緩衝液及びコハク酸緩衝液を試験した。
D5W単独では溶解性の問題を有していた4個のペプチドのうちの3個に関して溶解性
の改善が見られることが分かった。この初期観察結果に基づいて、19個の追加のペプチ
ドをクエン酸塩又はコハク酸塩で評価し、4個のさらなるペプチドをコハク酸塩のみで評
価した。緩衝液としてクエン酸ナトリウム(試験される場合)又はコハク酸ナトリウムの
いずれかを使用する場合、19個の試験したペプチドのうちの18個の溶液が澄明である
ことが分かった(コハク酸塩のみで評価した4個のペプチドはいずれも混濁を示さなかっ
た)。
2mM〜5mMのコハク酸塩の濃度が有効であることが分かった。コハク酸緩衝液中の
1つのペプチドに関してペプチドの回収率が改善されたが、クエン酸緩衝液では改善され
なかった。ペプチドプールと使用するコハク酸緩衝液の濃度とに応じて、D5W/コハク
酸塩のペプチド溶液のpHは約4.64〜約6.96の範囲であった。
合計27個のペプチド(初期の4つのペプチドの難溶性群を含む)の評価後、1つのペ
プチドは全ての条件下で混濁を再現性のある形で示し、もう1つのペプチドは僅かな混濁
を示したが、ろ過すると完全に回復可能であったことが分かった。これらの2つのペプチ
ドは両方ともに高い疎水性を有した。
一般に、コハク酸緩衝液を含むD5Wで2mg/mlに希釈したときに澄明なペプチド
は、他のペプチドとの混合時にも澄明性を維持することが分かった(これは概してD5W
単独中のペプチドに当てはまる)。
代表的な手順では、ペプチドを秤量し、ペプチド含量%に補正し、次いで50mg/m
Lの濃度までDMSOで溶解した。次いで、このDMSO/ペプチド溶液を、2mg/m
Lのペプチド濃度までD5W中の5mMコハク酸ナトリウムで希釈した。
さらなるペプチドの溶解条件を試験した。ペプチドCS6709、CS6712、CS
6720、CS6726及びCS6783をそれぞれ約10mgに秤量した。次いで、こ
れらのペプチドを約200μLのUSPグレードDMSOで溶解して、各ペプチドに関し
て50mg/mLの濃度を得た。本出願人らは、10.02mgのペプチドCS6709
が、50mg/mLをもたらすと算出される200μL量のDMSOに完全には溶解しな
いことを観察した。この試料は濁っているように見えた。ペプチドCS6709にDMS
Oをさらに50μLずつ最大400μL添加し、合計600μLのDMSOとなった。D
MSOの量が600μLに達した場合にCS6709は溶液(澄明)になり、濃度は16
.67mg/mLであった。
ペプチドを400μgに希釈するために、カリウムを含まないPBS pH7.4溶液
を調製した。5つ全てのDMSOペプチド試料(50mg/mL)を単一のバイアルに入
れ、400μg/mLに希釈した。このバイアルに各DMSOペプチドを40μLで添加
し、但しCS6709は16.67mg/mLの濃度であった。単一バイアルに添加した
CS6709の容積は120μLであった。4.72mLのPBS pH7.4を添加す
ることにより試料を400μgに希釈した。PBS pH7.4を添加すると、ペプチド
のうちの1つ以上が析出したことを観測した。
ペプチドのうちどれが沈殿したのかを決定するため、本出願人らは、ごく少量(10〜
20μL)のDMSOに溶解したペプチドを使用し、且つこれらのペプチドを様々な液体
に添加して、以下の表5のマトリックスをフォローした。
Figure 2021152053
CS6783は、ペプチド混合物に希釈剤としてPBS pH7.4を添加する場合に
沈殿することが分かった。注射用USPグレードD5Wは、PBS pH7.4の代用希
釈剤である。
加えて、本出願人らは、5つのペプチドのうちのいくつかを、DMSOを使用すること
なくD5Wに溶解させることができるかどうかを確かめるために、少量の各ペプチド(<
1mg)を試験した。ペプチドCS6709、CS6712、CS6720及びCS67
26をD5Wに直接溶解させることができた。D5Wを使用してCS6783を溶解させ
ることはできなかった。
実施例9
製剤
各患者用の製剤は、免疫原として個別に作製された最大20個のペプチドを含む。ワク
チン接種のため、4つのプール(それぞれ最大5つのペプチド)を、本明細書で考察した
ようにリンパ系の異なる部位を標的とする別々の部位への注射用に調製する。個々のペプ
チドを秤量し、高濃度でDMSOに溶解させ、水(D5W)及びコハク酸ナトリウム(4
.8〜5mM)中の5%デキストロースで希釈し、4つのプールに混合する。個々のプー
ルを0.2μmフィルタに通してろ過してバイオバーデンを低下させ、アリコートに分け
てバイアルに入れて凍結させる。これらの凍結バイアルは使用時まで凍結保存する。
本明細書に記載したように、薬物物質を構成する患者特異的ペプチドのセットを個々に
調製し、凍結乾燥させ、試験して出荷し、製造後に保存する。これらのペプチドを注射用
に調製するために、最大5つの異なるペプチドで構成される4つの群の各々をプール用に
特定する。
実施例10
ワクチンの調製
秤量及び溶解:総重量及びペプチド含量に基づいて、15mg(正味重量)又はわずか
に多い各個々のペプチドを秤量し、50mg/mlの最終ペプチド濃度に達するまで10
0%USPグレードDMSO(2:250μl)を添加する。開発試験に基づくと、溶解
ペプチドの>95%がこの時点で澄明性を示す。
希釈及び混合:希釈剤として使用するために、5mMのコハク酸ナトリウムを含むUS
PグレードD5W(D5W/Succ)を調製してろ過する(0.2J..tm)。25
0μlの各溶解ペプチドをD5W/Succで希釈してペプチド濃度を2mgペプチド/
mlに低下させ、pHを約6.0に調整する。澄明な溶液を示さないペプチドを別のペプ
チド(又はさらなるペプチドが利用可能でない場合にはD5W/コハク酸塩溶液のみ)に
交換する。次いで、5.5mlの各希釈ペプチド溶液を組み合わせて、各ペプチドが40
0μgペプチド/mlの濃度である単一の5ペプチド含有プールする。次いで、2回の0
.2μm膜ろ過ステップの1回目を行う。各プールを、ルアーロック(leur loc
k)先端及び18ゲージの鈍針を備える60mlのBecton Dickson(又は
等価な)シリンジ中に抜き取る。針を取り外し、25mmのPALL PES(ポリエー
テルスルホン)0.2μmメンブランフィルタ(PALLカタログHP1002)に交換
する。シリンジの内容物をこのフィルタに通して50mlの滅菌ポリプロピレンチューブ
(Falcon番号352070又は等価物)に移す。試験用に各プールのアリコートを
取り出し、残りを−80℃で凍結させる。各個々の希釈ペプチドの残りを、全ての分析が
完了するまで−20℃で保存する。
輸送:凍結ペプチドプールを、検証した輸送用容器を使用して且つ一晩空気中で輸送す
る。
ろ過及び保存:凍結プールを解凍し、バイオセーフティキャビネットに移す。解凍した
プールからの2mlの試料を、無菌性及びエンドトキシン試験に関して試験する。残りの
バルク溶液を、2回の0.2μm膜ろ過ステップの2回目用に処理する。バルクプールペ
プチドを、ルアーロック先端及び18ゲージの鈍針を備えたBecton Dickin
son(又は等価な)60mlシリンジ中に抜き取る。針を取り外し、25mmのPAL
L PES(ポリエーテルスルホン)0.2μmメンブランフィルタ(PALLカタログ
HP1002)に交換する。シリンジの内容物をこのフィルタに通して50mlの滅菌ポ
リプロピレンチューブ(Falcon番号352070又は等価物)に移す。次いで、ペ
プチド溶液の1.5mlアリコートを15個の予め標識した滅菌1.8ml Nunc
Cryoバイアル(カタログ番号375418)に無菌的に移す。バイアルに、4色に色
分けされたキャップのうちの1つで蓋をする。単一の患者用の4つのペプチドプールの各
々に異なる色に分けられたキャップを使用して、識別し易くする。バイアルを、患者の氏
名、診療記録番号、試験番号、元の製品/試料の英数字識別名及び一意の英数字識別名(
A〜D)で標識する。全てのバイアルを−80℃で凍結させる。残りの凍結バイアルは、
全ての出荷試験が受入れ基準に適合するまで保存する。全ての出荷試験が完了して製品が
薬局に出荷されるまで、患者の免疫化は予定されない。
或いは、各免疫化日に、本明細書に記載したバイオセーフティキャビネット内での滅菌
ろ過に未だ供していない1組(4つ)のバイアルを解凍し、バイオセーフティキャビネッ
トに移す。各バイアルの内容物を別々のシリンジ中に抜き取る。0.2μmの滅菌フィル
タを取り付け、内容物をこのフィルタに通して滅菌バイアルに移す。このフィルタを取り
外し、完全性を確かめる。次いで、滅菌シリンジを使用して0.75mlのペプチド混合
物を抜き取り、シリンジ間で移し替えることにより0.25mlのポリICLC(Hil
tonol(登録商標))と混合する。
分析:プールペプチドのアリコートに関して、インプロセス試験として3つの試験(外
観、アイデンティティ及び残留溶媒)を行う。最終的なろ過の前に、解凍したペプチドプ
ールのアリコートに関してエンドトキシンを試験する。最終製品の2つのバイアルを合わ
せた試料に関して無菌性を分析する。この手法をとるのは、最終的なろ過を行う前に、重
要な生化学的情報(ペプチド溶解性、各プールにおける各ピークのアイデンティティ及び
任意の残留溶媒のレベル)が利用可能であることを確実にするためである。プールされ且
つろ過されたバルクペプチドプールの受け取り時に、エンドトキシン試験及び微生物培養
を実施して、微生物学的純度を評価する。製品を使用するためには、エンドトキシン規格
に適合することが要求される。微生物培養試験におけるいずれかの陽性結果を、製品の使
用に対する影響を調べる。患者使用に最も近い試料である最終ろ過及びバイアル詰め後の
バイアルに入った試料に対して、重要な安全性試験(無菌性)を行なう。
実施例11
投与
個別化されたネオ抗原ペプチド/ポリペプチドとの混合後、ワクチン(例えば、ペプチ
ド+ポリICLC)を皮下投与することができる。
個別化されたネオ抗原ペプチド/ポリペプチドプールの調製:ペプチドを、各々最大5
つのペプチドの4つのプールに一緒に混合する。各プールの選択基準は、ペプチドが結合
すると予測される特定のMHC対立遺伝子に基づく。
プールの組成:プールの組成を、各ペプチドが結合すると予測される特定のHLA対立
遺伝子に基づいて選択することができる。4つのプールを、別個のリンパ節流域(lym
ph node basin)に流れ出る解剖学的部位に注射する。この手法を、同じH
LA対立遺伝子に結合するペプチド間の抗原競合を可能な限り潜在的に低下させるために
選択しており、この手法は、免疫応答の発生における患者の免疫系の幅広いサブセットを
含む。各患者に関して、最大4つの異なるHLA A対立遺伝子及びHLA B対立遺伝
子に結合すると予測されるペプチドを同定する。一部のネオORF由来ペプチドは、いか
なる特定のHLA対立遺伝子とも関連しない。ペプチドを異なるプールに分配する手法は
、特定のHLA対立遺伝子に関連する各組のペプチドを4つのプールの可能な限り多くに
広げることを意図する。所与の対立遺伝子に関して4つより多くの予測ペプチドが存在す
る状況の可能性が高く、そのような場合には、特定の対立遺伝子に関連する複数のペプチ
ドを同じプールに割り当てることが必要になる。いかなる特定の対立遺伝子にも関連しな
いネオORFペプチドを、残りのスロットに無作為に割り当てる。一例を以下に示す。
Figure 2021152053
可能な場合は常に、同じMHC対立遺伝子に結合すると予測されるペプチドを別個のプ
ールに置く。ネオORFペプチドの一部は、患者のいかなるMHC対立遺伝子にも結合し
ないと予測され得る。しかしながら、これらのペプチドを未だ利用し、その主な理由は、
これらのペプチドが完全に新規であり、従って中枢性トレランスの免疫抑制効果に供され
ず、従って免疫原性である確率が高いからである。ネオORFペプチドはまた、いかなる
正常細胞にも等価な分子がないことから、自己免疫の可能性も劇的に低下している。加え
て、予測アルゴリズムから偽陰性が生じる可能性があり、このペプチドがHLAクラスI
Iエピトープを含む可能性がある(HLAクラスIIエピトープは現在のアルゴリズムに
基づくと高い信頼性では予測されない)。特定のHLA対立遺伝子で同定されない全ての
ペプチドを、個々のプールに無作為に割り当てる。各ペプチドの量は、注射1回当たり3
00μgの各ペプチドの最終用量を前提とする。
各患者に関して、製造業者により各々5つの合成ペプチドの4つの別個のプール(「A
」、「B」、「C」及び「D」と標識する)を調製して−80℃で保存する。免疫化日に
、ペプチド成分とポリICLCとからなる完全なワクチンを研究薬局で調製する。各一つ
のバイアル(A、B、C及びD)を室温で解凍し、残りのステップのためバイオセーフテ
ィキャビネット内に移す。0.75mlの各ペプチドプールをバイアルから別々のシリン
ジ中に抜き取る。別途、ポリICLCの4つの0.25ml(0.5mg)アリコートを
別々のシリンジ中に抜き取る。次いで、各ペプチド−プールが入ったシリンジの内容物と
0.25mlアリコートのポリICLCとを、シリンジ間で移し替えることにより穏やか
に混合する。この1mlの混合物全てを注射に使用する。これら4つの調製物を、「試験
薬A」、「試験薬B」、「試験薬C」、及び「試験薬D」と標識する。
各免疫化日に、患者に、ポリICLC(Hiltonol(登録商標))と混合した個
別化ネオ抗原ペプチドの最大4つのプールを皮下注射する。
ペプチドとHiltonol(登録商標)との各混合物の注射容積は1mlである。
ペプチドの各プールは、各々400μg/mlの濃度での最大5つのペプチドからなる

ペプチドプールの組成は以下である:
各々400μg/mlの濃度での最大5つのペプチド
4%DMSO
4.8〜5%デキストロース水溶液
4.8〜5mMコハク酸ナトリウム
Hiltonol(登録商標)は以下からなる:
2mg/mlポリI:ポリC
1.5mg/mlポリ−L−リジン
5mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム
0.9%塩化ナトリウム
各1ml注射容積は、0.25mlのHiltonol(登録商標)と混合した、4つ
のペプチドプールのうちの1つの0.75mlからなる。混合後、この組成は以下である

各々300μg/mlの濃度での最大5つのペプチド。
≦3%DMSO
3.6〜3.7%デキストロース水溶液
3.6〜3.7mMコハク酸ナトリウム
0.5mg/mlポリI:ポリC
0.375mg/mlポリ−L−リジン
1.25mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム
0.225%塩化ナトリウム
注射:免疫化毎に、4つの試験薬の各々を1つの四肢に皮下注射する。各個々の試験薬
を、治療期間全体にわたり免疫化毎に同じ四肢に投与する(即ち、試験薬Aを1日目、4
日目、8日目等に左腕に注射し、試験薬Bを1日目、4日目、8日目等に右腕に注射する
)。完全な腋窩又は鼠径リンパ節の摘出後の状態である患者の場合の代替的な解剖学的部
位はそれぞれ、左横隔膜及び右横隔膜である。
ワクチンをプライム/ブーストスケジュールに従って投与する。ワクチンのプライミン
グ用量を、本明細書に示すように1日目、4日目、8日目、15日目及び22日目に投与
する。ブースト期では、ワクチンを85日目(13週目)及び169日目(25週目)に
投与する。
少なくとも1用量のワクチンを投与している全ての患者を毒性に関して評価する。患者
が誘導期の間に全てのワクチン接種を受けており、且つ維持期に初回ワクチン接種(ブー
スト)を受けている場合には、この患者を免疫学的活性に関して評価する。
実施例12
最終剤形の短期的な室温安定性
ペプチドの安定性。DMSOへの溶解、及びD5W/コハク酸塩(2mM)による2m
g/mlへの希釈、及び1ml当たり400μgの最終ペプチド濃度及び4%の最終DM
SO濃度にプールすることにより、以下の表6に示す5つのペプチドからなるペプチドプ
ール(プール3)を調製した。調製後、ペプチドを25mm Pall PESフィルタ
(カタログ番号4612)でろ過し、Nunc Cryoバイアル(番号375418)
中に1mlアリコートで分注した。
Figure 2021152053
剤形調製の計画どおりに、0.75mlのプール3と0.25mlのHiltonol
(登録商標)とを混合することにより、3つの試料を調製した。次いで、試料を0、4及
び6時間にわたり室温で放置し、RP−HPLCにより分析した(表7)。5つのペプチ
ドのうちの4つに関しては変化が認められなかった。ペプチドCS6919に関連する第
2のピークで僅かな増加が認められたように、4時間及び6時間でそれぞれ14%から1
7%及び18%に増加した。−20℃での安定性試験で認められたように、ペプチドCS
6919及びCS6934(両方ともにプール4で示される)は、ヘテロ二量体(質量分
析法により示す場合)を形成することができ、この二量体はこの不純物の位置で溶出する
。全てのペプチドの回収率が90%を上回っており、このことは、6時間にわたる室温で
のインキュベート後に最終剤形中のいかなるペプチドの分解も損失もないことを示す。
Figure 2021152053
ポリICLCの安定性。第2の試験では、別のペプチドプール(プール4)を使用し、
Hiltonol(登録商標)と混合し(0.75mlのペプチドプール+0.25ml
のHiltonol(登録商標))、6時間にわたり室温で保存した。次いで、室温でイ
ンキュベートしたペプチド+Hiltonol(登録商標)混合物及びHiltonol
(登録商標)単独(4℃で絶えず保存した)を20ug/mlポリICLCに希釈し、発
表済の方法に従いマウス樹状細胞を使用してTLR刺激に関してアッセイした。24時間
にわたる刺激後、定量的PCRを使用して、図6に示すように複数の重要な免疫マーカー
の誘導レベルをアッセイした。最終製剤中でのペプチドプールと共に6時間にわたる室温
後のポリICLCの刺激能力に違いはなく、このことは、Hiltonol(登録商標)
はいかなる製剤成分(DMSO[4%]、D5W、5mMのコハク酸塩、ペプチド)によ
る影響も受けず、室温で最大6時間にわたり最終剤形中で安定していたことを示す。
実施例13
最終製剤形態の凍結乾燥
ペプチドの製剤は以下のとおりである:ペプチドの各プールは、各々400μg/ml
の濃度での最大5つのペプチドからなる。ペプチドプールの組成は以下である:
各々400μg/mlの濃度での最大5つのペプチド
4〜8%DMSO
4.6〜4.8%デキストロース水溶液
5mMコハク酸ナトリウム
安定化に使用する増量剤はデキストロース水溶液(D5W)である。最終製剤は製剤マ
トリックスの熱的特性に基づく。変調示差走査熱量測定(MDSC)データから、DMS
Oの融解に起因するそれぞれ−24℃及び−56℃の2つのガラス転移温度(Tg’)並
びに−67℃での発熱反応の存在が示唆された。文献に基づくと、D5Wのガラス転移は
−43℃である。MDSCデータは、DMSOの存在がガラス転移温度をさらに低下させ
ることを示唆する。この情報に基づいて、2つのさらなる増量剤であるスクロース及びト
レハロースを使用して、ペプチドの凍結乾燥の実現可能性を確認した。以下の製剤をMD
SC分析で評価した(図7〜図9):
1.5%D5W及び0.8%DMSO
2.10%スクロース及び0.8%DMSO
3.10%トレハロース及び0.8%DMSO
3時間にわたり−50℃で凍結し、30時間にわたり75ミリトルにて−35℃で及び
30時間にわたり−30℃で一次乾燥させることにより、保存的凍結乾燥サイクルを使用
して上記製剤を凍結乾燥した(図10及び図11)。D5W−DMSOを含む製剤は完全
に崩壊したが、D5Wのみを含む製剤に関しては部分的なケーキが見られる。この凍結乾
燥の結果から、0.8%DMSOの存在下では、トレハロース又はスクロースを含む製剤
は、デキストロースを含む製剤と比べて凍結乾燥への適合性が高いことが示唆される(図
12)。
試料(25μL)を、以下のプログラムを使用したMDSCにより分析した。以下のパ
ラメータを使用して熱イベントをモニタリングした。
1.20.00℃で平衡化する
2.5.00分にわたり等温
3.60秒毎に±1.00℃調節する
4.データ保存:オン
5.−70℃までランプ1.00℃/分
6.−70℃で平衡化する
7.5.00分にわたり等温
8.20.00℃までランプ1.00℃/分
9.20.00℃で平衡化する
10.データ保存:オフ
11.5分にわたり等温
12.方法終了
凍結乾燥。MDSCを使用して、製品の一次乾燥及び凍結温度を選択するために使用す
るガラス転移温度(T)を決定した(表8及び図7〜図9)。データは、全ての製剤に
おいてDMSOの融解が約−68℃で起こることを示す。3つ全ての製剤に関して2つの
ガラス転移がある。デキストロース、トレハロース又はスクロースを含む製剤はそれぞれ
、−59℃、−42℃及び−50℃の最低ヒートフローガラス転移を有し、このことは、
崩壊/融解することなくD5W−DMSOを含む製剤を凍結乾燥することは困難であるこ
とが示唆される。
Figure 2021152053
凍結乾燥をNuncバイアルで最初に試し、このnuncバイアルの構成は製剤マトリ
ックスの凍結乾燥に適切ではないことが分かった。4つの1.8mL滅菌Nuncバイア
ル(Thermo Scientific)中の1mlの5%D5W及び0.8%DMS
O製剤を、凍結乾燥サイクル(−50℃に凍結して2時間にわたり保持し、75ミリトル
にて20時間にわたり−15℃での一次乾燥し、75ミリトル圧にて20℃で8時間にわ
たり二次乾燥する)を使用して凍結乾燥した。バイアル中にケーキはないことを観察し、
Nuncバイアルの底に小さい液滴の形態の液状残留DMSO及びD5Wを認めた。
凍結乾燥に好適なフリントバイアルを選択して、リード製剤の凍結乾燥の実現可能性を
決定した。1.5mlの各製剤が入った5つのバイアルを3mLの13mmフリントバイ
アルに充填し、13mm凍結乾燥用栓で部分的に閉鎖し、凍結乾燥のためにLyosta
r IIの中段の棚で保管した。
−50℃未満のガラス転移を有する製剤を凍結乾燥することは困難である。ガラス転移
温度に基づいて、凍結乾燥に関して以下の保存的凍結乾燥パラメータを設定した(表9)
。圧力プロファイル及び温度プロファイルに関して得られた結果をそれぞれ図10及び図
11に示す。一次乾燥及び二次乾燥の間にピラニ圧力は棚の設定圧力未満に達し、このこ
とは、チャンバ内に水分がなく(図10)、凍結乾燥サイクルが完了していることを示唆
する。
Figure 2021152053
ケーキの外観。D5W及びDMSOを含む製剤は完全に崩壊して融解するが、トレハロ
ース−DMSO又はスクロース−DMSOを含む製剤は、わずかに崩壊した白色の非晶質
ケーキを有する(図12)。
実施例14
D5W/コハク酸塩又は他の水性緩衝液で可溶性ペプチドを製造するためのアルゴリズム
本出願人は、様々な水溶液中でのペプチドの溶解性の正確な予測のためのアルゴリズム
を開発した。水溶液中での任意の所与のペプチドの溶解性を配列情報のみに基づいて予測
することは困難であり、実験による決定を必要とすることが多いことが一般に認識されて
いる。疎水性及び等電点に関連している2つの算出可能なパラメータを使用して、本出願
人は、これらのパラメータの特定の算出可能な組み合わせを有するペプチドが高い又は低
い溶解性を示し、そのため、ペプチド溶解性の予測の問題に対する解決策が提供されるこ
とを確認している。
等電点(P)を、インターネット(例えばwww.geneinfinity.or
g/sms/sms_proteiniep.htmlを参照)で容易に入手可能な計算
器を使用して推定することができる、又は全ての潜在的に荷電したアミノ酸に関する既知
のpH/電荷式を使用して容易に算出することができる。この荷電したアミノ酸(H、R
、K、D、E、C、Y)の並びにペプチドアミノ及びカルボキシ末端の側鎖のpKaは既
知である(表10)。
Figure 2021152053
各アミノ酸の実際の電荷は、以下の式:
Figure 2021152053
に従って溶液のpHに依存するだろう。
任意の所与のpHでのペプチドの正味電荷は、それぞれ個々のアミノ酸又は末端の電荷
の合計である。等電点とは、この正味電荷が0であるpHのことである。
疎水性を様々な方法で算出することができる。疎水性を算出するための1つの方法は、
疎水性である各ペプチドの領域を探し、各領域の疎水度に関する指標を算出し、疎水度が
最高である領域を見出すことである。このパラメータをHYDROと呼ぶことができる。
この算出を、各アミノ酸側鎖に関する疎水性(又は親水性)の公表値を使用し、ペプチド
中の疎水性アミノ酸の非中断ストレッチを同定し、各領域中の各アミノ酸の疎水性を合計
することにより、容易に達成することができる。一例として、各アミノ酸に関する親水性
についての以下の表を示す(表11)。
Figure 2021152053
各アミノ酸にその親水性値を割り当て、全てが0未満の値を有するアミノ酸の各連続ス
トレッチに関して、これらの値をまとめて合計し、この合計は所与の連続ストレッチの疎
水性指標である。最高の疎水性ストレッチとは、最も負の値を有するストレッチのことで
ある。この値によりパラメータHYDROを定義する。一例のペプチドに関するこれらの
値の一例を示す(図13)。青色の値は各アミノ酸に関する親水性値(そのため、負の値
は疎水性残基を表す)を表し、赤色の値は疎水性ストレッチ全体にわたる疎水性値の合計
を示す。
これら2つのパラメータ(P及びHYDRO)を一緒に調べると、特定の組み合わさ
れた特徴を有するペプチドはより一般的に可溶であり、他の組み合わされた特徴を有する
のは不溶である。そのため、合成ペプチドが合成後の製剤緩衝液中で可溶である可能性が
増加するように、このペプチドの設計プロセス中に、これらの組み合わされた特徴を使用
することができる。
表12は、221のペプチドに関して算出したPi及びHYDRO値、並びにペプチド
が本明細書に記載されている5%のデキストロース水溶液(D5W)/5mMのコハク酸
塩製剤中で可溶であるか不溶であるかを示す。
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
Figure 2021152053
図15は、x軸(P)及びy軸(HYDRO)上で、この一連のペプチドに関するこ
れらのパラメータをプロットする。観察されるように、不溶性ペプチドはx−y空間全体
にわたって分布しているが、可溶性ペプチドは、より離散的な領域で観察される。そのた
め、溶解性は正味の電荷及び疎水性のバランスにより決定され、アミノ酸配列に基づいて
予測可能であり得る。
可溶であるペプチドの%は領域により異なる。図15において、領域AはPi≧5及び
HYDRO≧−6.0並びにPi≧8及びHYDRO≧−8.0に制限されており、領域
BはPi≦5及びHYDRP≧−5に制限されており、領域CはPi≧9及びHYDRO
≦−8.0に制限されている。好ましい領域(A、B及びC)において、可溶であったこ
とを調べたペプチドの%が表13で明示されており、64%〜89%の範囲である。好ま
しくない領域(「その他」)において、ペプチドの約42.5%のみが可溶であった。
Figure 2021152053
あるペプチド領域の長さ又は特有の配列に対する変更及び選択されたペプチドに関する
これらの値の即時の再計算を可能とするExcelのスプレッドシートを構築することが
できる。このアプローチは、予測される溶解性がより高いペプチドの設計又は可溶であり
そうもないとしての潜在ペプチドの拒絶を促進することができる。そのようなアプローチ
は、可溶性ペプチドを製造することを望むペプチド製造業者に顕著な利益をもたらすこと
ができる。
このアプローチを特定の水性製剤(D5W/5mMコハク酸塩)により開発したが、P
と疎水性との適切な組み合わせを特定するために任意の他の水性製剤に容易に適合させ
ることができる。
このように本発明の好ましい実施形態が詳細に記載されているが、上記の段落により定
義される本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくその多くの明らかな変形
例が可能であることから、上記の記載に示される特定の詳細に限定されるものではないこ
とが理解されるべきである。
このように本発明の好ましい実施形態が詳細に記載されているが、上記の段落により定義される本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなくその多くの明らかな変形例が可能であることから、上記の記載に示される特定の詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] (a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;
(b)pH調整剤;及び
(c)薬学的に許容可能な担体
を含み、
前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている、医薬組成物。
[項目2] 前記医薬組成物はワクチン組成物である、項目1に記載の医薬組成物。
[項目3] 前記医薬組成物は少なくとも2つのネオ抗原ペプチドを含む、項目1又は2に記載の医薬組成物。
[項目4] 前記医薬組成物は少なくとも3つのネオ抗原ペプチドを含む、項目1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目5] 前記医薬組成物は少なくとも4つのネオ抗原ペプチドを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目6] 前記医薬組成物は少なくとも5つのネオ抗原ペプチドを含む、項目1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目7] 前記医薬組成物は最大40のネオ抗原ペプチドを含む、項目1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目8] 前記ネオ抗原ペプチドは可溶性である、項目1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目9] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約5〜約50アミノ酸長の範囲である、項目1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目10] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約15〜約35アミノ酸長の範囲である、項目1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目11] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約15アミノ酸長以下、約8〜約11アミノ酸長又は9若しくは10アミノ酸長である、項目1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目12] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約30アミノ酸長以下、約6〜約25アミノ酸長、約15〜約24アミノ酸長又は約9〜約15アミノ酸長である、項目1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目13] 前記pH調整剤は塩基である、項目1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目14] 前記pH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である、項目1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目15] 前記pH調整剤はコハク酸塩である、項目1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目16] 前記pH調整剤はクエン酸塩である、項目1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目17] 前記コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩はコハク酸ナトリウムを含む、項目1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目18] コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で製剤中に存在する、項目1〜15又は17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目19] コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で製剤中に存在する、項目1〜15、17、又は18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目20] 前記薬学的に許容可能な担体は水を含む、項目1〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目21] 前記薬学的に許容可能な担体はデキストロースをさらに含む、項目1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目22] 前記薬学的に許容可能な担体はトレハロースをさらに含む、項目1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目23] 前記薬学的に許容可能な担体はスクロースをさらに含む、項目1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目24] 前記薬学的に許容可能な担体はジメチルスルホキシドをさらに含む、項目1〜23のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目25] 前記医薬組成物は凍結乾燥可能である、項目20〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目26] 前記医薬組成物は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む、項目1〜25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[項目27] 前記免疫調節薬又はアジュバントは、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGAマイクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、並びにAquila社のQS21 stimulonからなる群から選択される、項目26に記載の医薬組成物。
[項目28] 前記免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCを含む、項目26に記載の医薬組成物。
[項目29] 新生物ワクチンである医薬組成物であって、
1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;
1〜3%ジメチルスルホキシド;
3.6〜3.7%デキストロース水溶液;
3.6〜3.7mMコハク酸又はその塩;
0.5mg/mlポリI:ポリC;
0.375mg/mlポリ−L−リジン;
1.25mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム;及び
0.225%塩化ナトリウム
を含む医薬組成物。
[項目30] 前記1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩の各々は、それぞれ約300μg/mlの濃度で存在する、項目29に記載の医薬組成物。
[項目31] 新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液を調製する方法であって、
(a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液を調製することであり、前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている、調製すること;並びに
(b)前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液とを組み合わせ、それにより新生物ワクチン用ペプチド溶液を調製すること
を含む方法。
[項目32] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液は、少なくとも2つ、少なくとも3つ又は4つ又は5つのネオ抗原ペプチドを含む、項目31に記載の方法。
[項目33] 前記新生物ワクチン用ペプチド溶液は、水、デキストロース、コハク酸塩及びジメチルスルホキシドを含む、項目31に記載の方法。
[項目34] 前記組み合わせる工程の後に、前記新生物ワクチン用ペプチド溶液をろ過することをさらに含む、項目31に記載の方法。
[項目35] 前記新生物ワクチン用ペプチド溶液は凍結乾燥可能である、項目33に記載の方法。
[項目36] 新生物ワクチンを調製する方法であって、
(a)ペプチド溶液を調製すること;及び
(b)前記ペプチド溶液と免疫調節薬(immunodulator)又はアジュバントの溶液とを組み合わせ、それにより新生物ワクチンを調製すること
を含む方法。
[項目37] 前記免疫調節薬(immunodulator)又はアジュバントは、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−MPEC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGAマイクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、並びにAquila社のQS21 stimulonからなる群から選択される、項目36に記載の方法。
[項目38] 前記免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCである、項目37に記載の方法。
[項目39] 新生物を有すると診断された対象を治療する方法であって、前記対象に項目1〜30のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与し、それにより前記新生物を治療することを含む方法。
[項目40] 前記対象に項目1〜30のいずれか1項に記載の第2の医薬組成物を投与することをさらに含む、項目39に記載の方法。
[項目41] 前記対象に項目1〜30のいずれか1項に記載の第3の医薬組成物を投与することをさらに含む、項目40に記載の方法。
[項目42] 前記対象に項目1〜30のいずれか1項に記載の第4の医薬組成物を投与することをさらに含む、項目41に記載の方法。
[項目43] 項目31〜36のいずれか1項に記載の方法により作製された新生物ワクチン。
[項目44] (a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩であって、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;並びに
(b)コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩
を含む新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液。
[項目45] (a)少なくとも1つのネオ抗原に対して免疫応答を誘発する(ellicit)ように構成された、個別に包装されたフリーズドライ免疫原性組成物;及び
(b)前記フリーズドライワクチンの再構成用溶液
を含むワクチン接種又は免疫化キットであって、
前記免疫原性組成物は、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む、
ワクチン接種又は免疫化キット。
[項目46] 前記溶液はアジュバントを含む、項目45に記載のワクチン接種又は免疫化キット。
[項目47] 前記免疫原性組成物は抗原である、項目45に記載のワクチン接種又は免疫化キット。
[項目48] 前記免疫原性組成物はウイルスベクターである、項目45に記載のワクチン接種又は免疫化キット。
[項目49]ペプチドを選択する方法であって、
(a)少なくとも1つのペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること、並びに
(b)任意選択で前記ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、前記ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、そのペプチドを選択すること
を含む方法。
[項目50] 水溶液中でのペプチドの溶解性を評価する方法であって、
(a)前記ペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること
を含み、
前記ペプチドは、任意選択でそのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、そのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、前記水溶液に溶解する、方法。
[項目51] ペプチド水溶液を調製する方法であって、
(a)少なくとも1つのペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること、
(b)任意選択で前記ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、前記ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9又はHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、そのペプチドを選択すること、並びに
(c)前記ペプチドを含む水溶液を調製すること
を含む方法。
[項目52] 前記ペプチド又は少なくとも1つのペプチドはネオ抗原ペプチドである、項目49〜51のいずれか1項に記載の方法。
[項目53] 前記ペプチド又は少なくとも1つのペプチドは、約5〜約50アミノ酸長、約15〜約35アミノ酸長、約15アミノ酸長以下、約8〜約11アミノ酸長又は9若しくは10アミノ酸長である、項目49〜52のいずれか1項に記載の方法。
[項目54] 前記ペプチド又は少なくとも1つのペプチドは、約30アミノ酸長以下、約6〜約25アミノ酸長、約15〜約24アミノ酸長又は約9〜約15アミノ酸長である、項目49〜53のいずれか1項に記載の方法。
[項目55] 前記水溶液はpH調整剤を含む、項目50〜54のいずれか1項に記載の方法。
[項目56] 前記pH調整剤は塩基である、項目55に記載の方法。
[項目57] 前記pH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である、項目55又は56に記載の方法。
[項目58] 前記pH調整剤はクエン酸塩である、項目55〜57のいずれか1項に記載の方法。
[項目59] 前記pH調整剤はコハク酸塩である、項目55〜57のいずれか1項に記載の方法。
[項目60] 前記コハク酸塩はコハク酸ナトリウムを含む、項目59に記載の方法。
[項目61] コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で前記水溶液中に存在する、項目59又は60に記載の方法。
[項目62] コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で前記水溶液中に存在する、項目59〜61のいずれか1項に記載の方法。
[項目63] 前記水溶液はデキストロース、トレハロース又はスクロースをさらに含む、項目50〜62のいずれか1項に記載の方法。
[項目64] 前記水溶液はジメチルスルホキシドをさらに含む、項目50〜63のいずれか1項に記載の方法。
[項目65] 前記水溶液は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む、項目50〜64のいずれか1項に記載の方法。
[項目66] 前記水溶液は医薬組成物である、項目50〜65のいずれか1項に記載の方法。
[項目67] 前記水溶液は免疫原性組成物である、項目50〜66のいずれか1項に記載の方法。
[項目68] 前記水溶液はワクチン組成物である、項目50〜67のいずれか1項に記載の方法。
[項目69] 前記水溶液は凍結乾燥可能である、項目50〜68のいずれか1項に記載の方法。
[項目70] ネオ抗原ペプチド水溶液を調製する方法であって、
(a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること、
(b)任意選択で前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、その少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを選択すること、
(c)前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液を調製すること、並びに
(d)前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液とを組み合わせ、それによりネオ抗原ペプチド水溶液を調製すること
を含む方法。
[項目71] 工程(c)及び/又は(d)の溶液をろ過することをさらに含む、項目70に記載の方法。
[項目72] 前記ネオ抗原ペプチド溶液を凍結乾燥させることをさらに含む、項目70又は71に記載の方法。
[項目73] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40のネオ抗原ペプチドを含み、これらはそれぞれ、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている、項目70〜72のいずれか1項に記載の方法。
[項目74] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている少なくとも2つのネオ抗原ペプチドを含む、項目70〜72のいずれか1項に記載の方法。
[項目75] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている少なくとも3つのネオ抗原ペプチドを含む、項目70〜72のいずれか1項に記載の方法。
[項目76] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている少なくとも4つのネオ抗原ペプチドを含む、項目70〜72のいずれか1項に記載の方法。
[項目77] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている少なくとも5つのネオ抗原ペプチドを含む、項目70〜72のいずれか1項に記載の方法。
[項目78] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約5〜約50アミノ酸長、約15〜約35アミノ酸長、約15アミノ酸長以下、約8〜約11アミノ酸長又は9若しくは10アミノ酸長である、項目70〜77のいずれか1項に記載の方法。
[項目79] 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約30アミノ酸長以下、約6〜約25アミノ酸長、約15〜約24アミノ酸長又は約9〜約15アミノ酸長である、項目70〜78のいずれか1項に記載の方法。
[項目80] 前記ネオ抗原ペプチド溶液はpH調整剤を含む、項目70〜79のいずれか1項に記載の方法。
[項目81] 前記pH調整剤は塩基である、項目80に記載の方法。
[項目82] 前記pH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である、項目80又は81に記載の方法。
[項目83] 前記pH調整剤はクエン酸塩である、項目80〜82のいずれか1項に記載の方法。
[項目84] 前記pH調整剤はコハク酸塩である、項目80〜82のいずれか1項に記載の方法。
[項目85] 前記コハク酸塩はコハク酸ナトリウムを含む、項目84に記載の方法。
[項目86] コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で製剤中に存在する、項目84又は85に記載の方法。
[項目87] コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で製剤中に存在する、項目84〜86のいずれか1項に記載の方法。
[項目88] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は薬学的に許容可能な担体をさらに含む、項目84〜87のいずれか1項に記載の方法。
[項目89] 前記薬学的に許容可能な担体はデキストロースを含む、項目88に記載の方法。
[項目90] 前記薬学的に許容可能な担体はトレハロースを含む、項目88に記載の方法。
[項目91] 前記薬学的に許容可能な担体はスクロースを含む、項目88に記載の方法。
[項目92] 前記薬学的に許容可能な担体はジメチルスルホキシドをさらに含む、項目88〜91のいずれか1項に記載の方法。
[項目93] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は凍結乾燥可能である、項目70〜92のいずれか1項に記載の方法。
[項目94] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む、項目70〜93のいずれか1項に記載の方法。
[項目95] 前記免疫調節薬又はアジュバントは、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGAマイクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、並びにAquila社のQS21 stimulonからなる群から選択される、項目17又は94に記載の方法。
[項目96] 前記免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCを含む、項目94に記載の方法。
[項目97] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、
1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩であって、各ネオ抗原ペプチドは、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている、1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;
1〜3%ジメチルスルホキシド;
3.6〜3.7%デキストロース;
3.6〜3.7mMコハク酸又はその塩;
0.5mg/mlポリI:ポリC;
0.375mg/mlポリ−L−リジン;
1.25mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム;並びに
0.225%塩化ナトリウム
を含む、項目70に記載の方法。
[項目98] ネオ抗原ペプチド溶液は約300μg/mlの濃度で前記ネオ抗原ペプチドの各々を含む、項目70〜97のいずれか1項に記載の方法。
[項目99] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は医薬組成物である、項目70〜98のいずれか1項に記載の方法。
[項目100] 前記ネオ抗原ペプチド溶液は免疫原性組成物である、項目70〜99のいずれか1項に記載の方法。
[項目101] 前記ネオ抗原ペプチド溶液はワクチン組成物である、項目70〜100のいずれか1項に記載の方法。
[項目102] 新生物を有すると診断された対象に前記ネオ抗原ペプチド溶液を投与し、それにより前記新生物を治療することをさらに含む、項目70〜101のいずれか1項に記載の方法。
[項目103] 項目70〜98のいずれか1項に記載の方法により作製された新生物ワクチン。

Claims (103)

  1. (a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;
    (b)pH調整剤;及び
    (c)薬学的に許容可能な担体
    を含み、
    前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、Pi≧5及
    びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO
    ≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のHYDRO
    値に制限されている、医薬組成物。
  2. 前記医薬組成物はワクチン組成物である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記医薬組成物は少なくとも2つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項1又は2に記載の
    医薬組成物。
  4. 前記医薬組成物は少なくとも3つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項1〜3のいずれか
    一項に記載の医薬組成物。
  5. 前記医薬組成物は少なくとも4つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項1〜4のいずれか
    一項に記載の医薬組成物。
  6. 前記医薬組成物は少なくとも5つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項1〜5のいずれか
    一項に記載の医薬組成物。
  7. 前記医薬組成物は最大40のネオ抗原ペプチドを含む、請求項1〜6のいずれか一項に
    記載の医薬組成物。
  8. 前記ネオ抗原ペプチドは可溶性である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成
    物。
  9. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約5〜約50アミノ酸長の範囲である、請求
    項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは約15〜約35アミノ酸長の範囲である、請
    求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約15アミノ酸長以下、約8〜約11アミ
    ノ酸長又は9若しくは10アミノ酸長である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬
    組成物。
  12. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約30アミノ酸長以下、約6〜約25アミ
    ノ酸長、約15〜約24アミノ酸長又は約9〜約15アミノ酸長である、請求項1〜9の
    いずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記pH調整剤は塩基である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  14. 前記pH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である、請求項1〜13のいず
    れか一項に記載の医薬組成物。
  15. 前記pH調整剤はコハク酸塩である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬組成
    物。
  16. 前記pH調整剤はクエン酸塩である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬組成
    物。
  17. 前記コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩はコハク酸ナトリウムを含む、請求項1〜
    15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  18. コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で製剤中に存在する、請求項1〜15又は請
    求項17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  19. コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で製剤中に存在する、請求項1〜15、請求項
    17又は請求項18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  20. 前記薬学的に許容可能な担体は水を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬
    組成物。
  21. 前記薬学的に許容可能な担体はデキストロースをさらに含む、請求項1〜20のいずれ
    か一項に記載の医薬組成物。
  22. 前記薬学的に許容可能な担体はトレハロースをさらに含む、請求項1〜20のいずれか
    一項に記載の医薬組成物。
  23. 前記薬学的に許容可能な担体はスクロースをさらに含む、請求項1〜20のいずれか一
    項に記載の医薬組成物。
  24. 前記薬学的に許容可能な担体はジメチルスルホキシドをさらに含む、請求項1〜23の
    いずれか一項に記載の医薬組成物。
  25. 前記医薬組成物は凍結乾燥可能である、請求項20〜24のいずれか一項に記載の医薬
    組成物。
  26. 前記医薬組成物は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む、請求項1〜25のいずれ
    か一項に記載の医薬組成物。
  27. 前記免疫調節薬又はアジュバントは、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム
    塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、C
    yaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact
    IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmun
    e、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS
    1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50
    V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−
    MP−EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGAマイクロパ
    ーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−1
    7D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、並びにAquila
    社のQS21 stimulonからなる群から選択される、請求項26に記載の医薬組
    成物。
  28. 前記免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCを含む、請求項26に記載の医薬組成
    物。
  29. 新生物ワクチンである医薬組成物であって、
    1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;
    1〜3%ジメチルスルホキシド;
    3.6〜3.7%デキストロース水溶液;
    3.6〜3.7mMコハク酸又はその塩;
    0.5mg/mlポリI:ポリC;
    0.375mg/mlポリ−L−リジン;
    1.25mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム;及び
    0.225%塩化ナトリウム
    を含む医薬組成物。
  30. 前記1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩の各々は、それぞれ
    約300μg/mlの濃度で存在する、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液を調製する方法であって、
    (a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液を
    調製することであり、前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能
    な塩は、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi
    ≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−
    5.5のHYDRO値に制限されている、調製すること;並びに
    (b)前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶
    液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液とを組み合わせ、それにより新
    生物ワクチン用ペプチド溶液を調製すること
    を含む方法。
  32. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液は、
    少なくとも2つ、少なくとも3つ又は4つ又は5つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項3
    1に記載の方法。
  33. 前記新生物ワクチン用ペプチド溶液は、水、デキストロース、コハク酸塩及びジメチル
    スルホキシドを含む、請求項31に記載の方法。
  34. 前記組み合わせる工程の後に、前記新生物ワクチン用ペプチド溶液をろ過することをさ
    らに含む、請求項31に記載の方法。
  35. 前記新生物ワクチン用ペプチド溶液は凍結乾燥可能である、請求項33に記載の方法。
  36. 新生物ワクチンを調製する方法であって、
    (a)ペプチド溶液を調製すること;及び
    (b)前記ペプチド溶液と免疫調節薬(immunodulator)又はアジュバン
    トの溶液とを組み合わせ、それにより新生物ワクチンを調製すること
    を含む方法。
  37. 前記免疫調節薬(immunodulator)又はアジュバントは、ポリICLC、
    1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−87
    0,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC3
    1、イミキモド、ImuFact IMP321、IS Patch、ISS、ISCO
    MATRIX、Juvlmmune、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピド
    A、Montanide IMS 1312、Montanide ISA 206、M
    ontanide ISA 50V、Montanide ISA−51、OK−432
    、OM−174、OM−197−MPEC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベ
    クター系、PLGAマイクロパーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び
    他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam
    3Cys、並びにAquila社のQS21 stimulonからなる群から選択され
    る、請求項36に記載の方法。
  38. 前記免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCである、請求項37に記載の方法。
  39. 新生物を有すると診断された対象を治療する方法であって、前記対象に請求項1〜30
    のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与し、それにより前記新生物を治療することを含
    む方法。
  40. 前記対象に請求項1〜30のいずれか一項に記載の第2の医薬組成物を投与することを
    さらに含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記対象に請求項1〜30のいずれか一項に記載の第3の医薬組成物を投与することを
    さらに含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記対象に請求項1〜30のいずれか一項に記載の第4の医薬組成物を投与することを
    さらに含む、請求項41に記載の方法。
  43. 請求項31〜36のいずれか一項に記載の方法により作製された新生物ワクチン。
  44. (a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩であって、P
    i≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びH
    YDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又はPi>7及び≧−5.5のH
    YDRO値に制限されている少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可
    能な塩;並びに
    (b)コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩
    を含む新生物ワクチン用ネオ抗原ペプチド溶液。
  45. (a)少なくとも1つのネオ抗原に対して免疫応答を誘発する(ellicit)よう
    に構成された、個別に包装されたフリーズドライ免疫原性組成物;及び
    (b)前記フリーズドライワクチンの再構成用溶液
    を含むワクチン接種又は免疫化キットであって、
    前記免疫原性組成物は、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO
    ≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、Pi≧9及びHYDRO≦−8.0、又は
    Pi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている少なくとも1つのネオ抗原ペプ
    チド又はその薬学的に許容可能な塩を含む、
    ワクチン接種又は免疫化キット。
  46. 前記溶液はアジュバントを含む、請求項45に記載のワクチン接種又は免疫化キット。
  47. 前記免疫原性組成物は抗原である、請求項45に記載のワクチン接種又は免疫化キット
  48. 前記免疫原性組成物はウイルスベクターである、請求項45に記載のワクチン接種又は
    免疫化キット。
  49. ペプチドを選択する方法であって、
    (a)少なくとも1つのペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定す
    ること、並びに
    (b)任意選択で前記ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHY
    DRO値に制限されている場合に、前記ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及び
    HYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧
    −5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、そのペプチドを
    選択すること
    を含む方法。
  50. 水溶液中でのペプチドの溶解性を評価する方法であって、
    (a)前記ペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定すること
    を含み、
    前記ペプチドは、任意選択でそのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHY
    DRO値に制限されている場合に、そのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO
    ≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又は
    Pi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、前記水溶液に溶解する、
    方法。
  51. ペプチド水溶液を調製する方法であって、
    (a)少なくとも1つのペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)を決定す
    ること、
    (b)任意選択で前記ペプチドのPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHY
    DRO値に制限されている場合に、前記ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及び
    HYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧
    −5、並びにPi≧9又はHYDRO≦−8.0に制限されている場合に、そのペプチド
    を選択すること、並びに
    (c)前記ペプチドを含む水溶液を調製すること
    を含む方法。
  52. 前記ペプチド又は少なくとも1つのペプチドはネオ抗原ペプチドである、請求項49〜
    51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 前記ペプチド又は少なくとも1つのペプチドは、約5〜約50アミノ酸長、約15〜約
    35アミノ酸長、約15アミノ酸長以下、約8〜約11アミノ酸長又は9若しくは10ア
    ミノ酸長である、請求項49〜52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記ペプチド又は少なくとも1つのペプチドは、約30アミノ酸長以下、約6〜約25
    アミノ酸長、約15〜約24アミノ酸長又は約9〜約15アミノ酸長である、請求項49
    〜53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記水溶液はpH調整剤を含む、請求項50〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記pH調整剤は塩基である、請求項55に記載の方法。
  57. 前記pH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である、請求項55又は56に
    記載の方法。
  58. 前記pH調整剤はクエン酸塩である、請求項55〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記pH調整剤はコハク酸塩である、請求項55〜57のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記コハク酸塩はコハク酸ナトリウムを含む、請求項59に記載の方法。
  61. コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で前記水溶液中に存在する、請求項59又は
    60に記載の方法。
  62. コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で前記水溶液中に存在する、請求項59〜61
    のいずれか一項に記載の方法。
  63. 前記水溶液はデキストロース、トレハロース又はスクロースをさらに含む、請求項50
    〜62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記水溶液はジメチルスルホキシドをさらに含む、請求項50〜63のいずれか一項に
    記載の方法。
  65. 前記水溶液は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む、請求項50〜64のいずれか
    一項に記載の方法。
  66. 前記水溶液は医薬組成物である、請求項50〜65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記水溶液は免疫原性組成物である、請求項50〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記水溶液はワクチン組成物である、請求項50〜67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 前記水溶液は凍結乾燥可能である、請求項50〜68のいずれか一項に記載の方法。
  70. ネオ抗原ペプチド水溶液を調製する方法であって、
    (a)少なくとも1つのネオ抗原ペプチドの等電点(Pi)及び疎水性(HYDRO)
    を決定すること、
    (b)任意選択で前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドのPi及びHYDROがPi
    >7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、前記少なくとも1つのネオ
    抗原ペプチドのPi及びHYDROが、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及
    びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYDRO
    ≦−8.0に制限されている場合に、その少なくとも1つのネオ抗原ペプチドを選択する
    こと、
    (c)前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶
    液を調製すること、並びに
    (d)前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶
    液と、コハク酸又はその薬学的に許容可能な塩を含む溶液とを組み合わせ、それによりネ
    オ抗原ペプチド水溶液を調製すること
    を含む方法。
  71. 工程(c)及び/又は(d)の溶液をろ過することをさらに含む、請求項70に記載の
    方法。
  72. 前記ネオ抗原ペプチド溶液を凍結乾燥させることをさらに含む、請求項70又は71に
    記載の方法。
  73. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
    2、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25
    、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、
    39又は40のネオ抗原ペプチドを含み、これらはそれぞれ、任意選択でPi及びHYD
    ROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びH
    YDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−
    5、又はPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを
    有することに基づいて選択されている、請求項70〜72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.
    5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧
    8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYD
    RO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択さ
    れている少なくとも2つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項70〜72のいずれか一項に
    記載の方法。
  75. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.
    5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧
    8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYD
    RO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択さ
    れている少なくとも3つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項70〜72のいずれか一項に
    記載の方法。
  76. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.
    5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧
    8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYD
    RO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択さ
    れている少なくとも4つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項70〜72のいずれか一項に
    記載の方法。
  77. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.
    5のHYDRO値に制限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧
    8及びHYDRO≧−8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、又はPi≧9及びHYD
    RO≦−8.0に制限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択さ
    れている少なくとも5つのネオ抗原ペプチドを含む、請求項70〜72のいずれか一項に
    記載の方法。
  78. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約5〜約50アミノ酸長、約15〜約35
    アミノ酸長、約15アミノ酸長以下、約8〜約11アミノ酸長又は9若しくは10アミノ
    酸長である、請求項70〜77のいずれか一項に記載の方法。
  79. 前記少なくとも1つのネオ抗原ペプチドは、約30アミノ酸長以下、約6〜約25アミ
    ノ酸長、約15〜約24アミノ酸長又は約9〜約15アミノ酸長である、請求項70〜7
    8のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記ネオ抗原ペプチド溶液はpH調整剤を含む、請求項70〜79のいずれか一項に記
    載の方法。
  81. 前記pH調整剤は塩基である、請求項80に記載の方法。
  82. 前記pH調整剤はジカルボン酸塩又はトリカルボン酸塩である、請求項80又は請求項
    81に記載の方法。
  83. 前記pH調整剤はクエン酸塩である、請求項80〜82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記pH調整剤はコハク酸塩である、請求項80〜82のいずれか一項に記載の方法。
  85. 前記コハク酸塩はコハク酸ナトリウムを含む、請求項84に記載の方法。
  86. コハク酸塩は約1mM〜約10mMの濃度で製剤中に存在する、請求項84又は請求項
    85に記載の方法。
  87. コハク酸塩は約2mM〜約5mMの濃度で製剤中に存在する、請求項84〜86のいず
    れか一項に記載の方法。
  88. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項84〜87
    のいずれか一項に記載の方法。
  89. 前記薬学的に許容可能な担体はデキストロースを含む、請求項88に記載の方法。
  90. 前記薬学的に許容可能な担体はトレハロースを含む、請求項88に記載の方法。
  91. 前記薬学的に許容可能な担体はスクロースを含む、請求項88に記載の方法。
  92. 前記薬学的に許容可能な担体はジメチルスルホキシドをさらに含む、請求項88〜91
    のいずれか一項に記載の方法。
  93. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は凍結乾燥可能である、請求項70〜92のいずれか一項に
    記載の方法。
  94. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は免疫調節薬又はアジュバントをさらに含む、請求項70〜
    93のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記免疫調節薬又はアジュバントは、ポリICLC、1018 ISS、アルミニウム
    塩、Amplivax、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、C
    yaA、dSLIM、GM−CSF、IC30、IC31、イミキモド、ImuFact
    IMP321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmun
    e、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS
    1312、Montanide ISA 206、Montanide ISA 50
    V、Montanide ISA−51、OK−432、OM−174、OM−197−
    MP−EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGAマイクロパ
    ーティクル、レシキモド、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、YF−1
    7D、VEGFトラップ、R848、βグルカン、Pam3Cys、並びにAquila
    社のQS21 stimulonからなる群から選択される、請求項17又は94に記載
    の方法。
  96. 前記免疫調節薬又はアジュバントはポリICLCを含む、請求項94に記載の方法。
  97. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は、
    1つ〜5つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩であって、各ネオ抗原ペ
    プチドは、任意選択でPi及びHYDROがPi>7及び≧−5.5のHYDRO値に制
    限されている場合に、Pi≧5及びHYDRO≧−6.0、Pi≧8及びHYDRO≧−
    8.0、Pi≦5及びHYDRO≧−5、並びにPi≧9及びHYDRO≦−8.0に制
    限されている前記Pi及びHYDROを有することに基づいて選択されている、1つ〜5
    つのネオ抗原ペプチド又はその薬学的に許容可能な塩;
    1〜3%ジメチルスルホキシド;
    3.6〜3.7%デキストロース;
    3.6〜3.7mMコハク酸又はその塩;
    0.5mg/mlポリI:ポリC;
    0.375mg/mlポリ−L−リジン;
    1.25mg/mlカルボキシメチルセルロースナトリウム;並びに
    0.225%塩化ナトリウム
    を含む、請求項70に記載の方法。
  98. ネオ抗原ペプチド溶液は約300μg/mlの濃度で前記ネオ抗原ペプチドの各々を含
    む、請求項70〜97のいずれか一項に記載の方法。
  99. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は医薬組成物である、請求項70〜98のいずれか一項に記
    載の方法。
  100. 前記ネオ抗原ペプチド溶液は免疫原性組成物である、請求項70〜99のいずれか一項
    に記載の方法。
  101. 前記ネオ抗原ペプチド溶液はワクチン組成物である、請求項70〜100のいずれか一
    項に記載の方法。
  102. 新生物を有すると診断された対象に前記ネオ抗原ペプチド溶液を投与し、それにより前
    記新生物を治療することをさらに含む、請求項70〜101のいずれか一項に記載の方法
  103. 請求項70〜98のいずれか一項に記載の方法により作製された新生物ワクチン。
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