JP6094689B2 - 張出し成形品の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、張出し成形品の製造装置及び製造方法に関する。具体的には、本発明は、ブランクが成形領域に流入しないようにダイ及びブランクホルダでブランクの周縁部を拘束した状態で、ブランクをパンチとダイとの間で張出し加工する張出し成形品の製造装置及び製造方法に関する。
薄板のプレス成形は、一般的に、曲げ成形、張出し成形及び絞り成形の3つに大別される。曲げ成形とは、ブランクの周縁部を拘束することなく、ダイとパンチとを用いて曲げ加工することによりブランクを成形する方法である。これに対して、張出し成形及び絞り成形は、ブランクの周縁部をダイとブランクホルダとにより拘束した状態で、ブランクの中央部に位置する成形領域に対してパンチを押し当てて、ブランクを成形する方法である。
図13は、張出し成形の様子を示す説明図である。図13に示すように、張出し成形では、主にブランク1の周縁部に設けられる被拘束部1aが、ダイ2及びブランクホルダ3に設けられたロックビードの一態様としての台形ビード2a,3aにより拘束された状態で、パンチ4がダイ2に対して相対的に押し込まれる。これにより、製品部に相当するブランク1の成形領域1bに向かってブランク1の周縁部が実質的に流入(移動)しないようにブランク1を張り出して、張出し成形品が成形される。例えば、自動車部品のうち、ドアアウターパネルやフードアウターパネル、ルーフパネルといった、比較的単純な形状を有する大型の部品は、張出し成形により製造されるのが一般的である。
これに対し、絞り成形では、主にブランクの周縁部に設けられる被拘束部が、ダイ及びブランクホルダに設けられたドロービードにより拘束された状態で、パンチがダイに対して相対的に押し込まれる。絞り成形では、成形中に、ブランクの周縁部から、製品部に相当するブランクの成形領域に向かって流入するブランクの量が、ドロービードによって部位毎に適切に制御される。これにより、製品に割れやしわ等が発生しないように成形性が制御される。例えば、自動車部品のサイドパネルアウター等、比較的複雑な形状を有する部品は、絞り成形によって製造されるのが一般的である。
このように、張出し成形で用いられるロックビードや絞り成形で用いられるドロービードは、いずれもブランクの成形領域(製品部)に、割れやしわ、過大な面ひずみといった成形不良が生じないように、ブランクに負荷される張力を調整するものである。ただし、張出し成形は、ブランクの周縁部から成形領域へブランクを実質的に流入させないものであるのに対し、絞り成形は、ブランクの周縁部から成形領域へブランクを流入させるものである。したがって、張出し成形で用いられるロックビードは、ブランクの周縁部から成形領域へのブランクの流入を実質的に無くすという点において、ブランクの流入量を制御する絞り成形で用いられるドロービードとは異なるものである。
これまで、ブランクが成形領域に流入しないようにするためにダイとブランクホルダとに設けられ、ブランク周縁部を拘束するビードとして、図13に示すような台形ビードが一般的に知られている。台形ビードは、断面が略台形形状であり、台形コーナ部の曲げ及び曲げ戻し変形の変形抵抗と、ダイ2及びブランクホルダ3にそれぞれ設けられた各ビード2a,3aと、ブランク1との接触による摩擦抵抗とによって、ブランク1が流入しないようにブランク1を拘束する。
図14は、ビードにより拘束される被拘束部1aと、ブランク1における製品部(リアドアアウタパネル)に相当する成形領域1bとを有する、張出し成形に用いられるブランク1の一例を示す説明図である。図14は、1枚のブランク1から2枚のリアドアアウタパネルを製造する場合のブランク1の例である。
図14に例示するように、ブランク1における被拘束部1aの外周部1cは、被拘束部1aとともに、トリムライン1dに沿って切断されて切捨てられる。このため、張出し成形に必要なブランク拘束力を確保した上で、外周部1cや被拘束部1aを可能な限り小さく設定できれば、それだけブランク1の全体の大きさが小さくなる。これにより、張出し成形における材料歩留まりが向上する。特に、張出し成形は、上述のように比較的大型の部品の成形に用いられるため、ブランク1の小型化による材料使用量の低減量、すなわち材料歩留まりの向上効果が大きい。
図15〜図17は、一般的な台形ビード2a,3aを有する金型を用いて張出し成形する場合における、台形ビード2a付近の様子を示す説明図である。図15は、ダイ2及びブランクホルダ3によりブランク1を拘束する前後の様子を示す斜視図である。図16は、ブランク1の被拘束部1a、外周部1c、及びトリムライン1dを含む、台形ビード2a,3a付近を示す断面図である。図17は、ブランク1の被拘束部1a、外周部1c、及びトリムライン1dを含む、台形ビード2a,3a付近を示す上面図である。なお、図15〜図17において、製品の内外の境界が破線により示されているが、長さL1の領域は、ビード2a,3aにより拘束されるブランク1のビード相当部であり、通常捨てられる部分である。
台形ビード2a,3aは、4つの台形コーナ部2a−1,2a−2,3a−1,3a−2の曲げ及び曲げ戻し変形抵抗を生じさせることにより、張出し成形に十分なブランク拘束力を得ようするものである。量産成形時に、台形ビード2aが破壊しないようにするために、また、台形コーナ部2a−1,2a−2の曲げ及び曲げ戻し変形抵抗を、それぞれのコーナ部で独立して生じさせるために、断面直辺部2a−3の長さがある程度長くされる必要がある。そのため、不可避的にトリムライン1dに直交する方向への台形ビード2a,3aの押え長さL1が長くなる。したがって、台形ビード2a,3aでは、押え長さL1を短くしてブランク1を小型化することは難しい。
特許文献1には、ダイとパンチとブランクホルダとを備える絞り成形装置において、材料の絞りプロファイルに平行な線に対して非平行な連続するビード部分を有する絞りビードをしわ押え面に形成したブランクホルダと対向型とにより材料を保持した状態で材料を絞り成形する絞り成形方法が開示されている。
特許文献2には、ダイとパンチとブランクホルダとを備える絞り成形装置において、ダイフェース部を構成する、ダイ本体に対し可動の可動ダイフェースと、可動ダイフェースに対向する、ブランクホルダ本体に対し可動の可動ブランクホルダとを設け、可動ダイフェース及び可動ブランクホルダをダイの成形凹部に向けて外方から内方に進退自在とし、ブランクの押し込みに伴い可動ダイフェース及び可動ブランクホルダを外方から内方に駆動することにより、製品部分にショックラインが入り込まないように、かつ、歩留まり良く絞り成形する方法が開示されている。
特許文献3には、一方の金型におけるビードを形成するとともに、他方の金型におけるビードに対向する部位にビードを収容するビード収容部を形成して絞り、張出し加工を行うプレス用金型装置において、ビードの先端部に個々の突出高さが側方に向けて漸減する段部を設けるとともに、ビード収容部の内部にこの段部に相応する段状凹部を設け、互いの間にブランク材を挟持した場合にブランク材の縁部に段部に対応した凹凸を形成することにより、荷重能力の低いプレス機械に適用した場合にも、しわの発生を防止できるプレス用金型装置が開示されている。
特許文献4には、絞り型のしわ押さえ面に設けられるビードであって、縦壁部と、当該縦壁部に連設して形成されており断面が波型の波形部とから構成された絞りビードが開示されている。
特開平9−29348号公報 特開平9−225552号公報 特開平8−267154号公報 特開2007−245188号公報
特許文献1に記載された方法は、断面が台形状で、かつ、上面視が波形状のビードを用いて、材料がビードの外側からビードの内側に流入しないように材料をロックしようとするものである。かかる特許文献1に記載された方法では、台形コーナ部の曲げ及び曲げ戻し変形の変形抵抗と、ブランクに対するビードの面圧と、波形状に応じた伸び縮み変形抵抗とによってブランクが拘束される。特許文献1に記載された方法は、ビードによって拘束される部分よりも外側の領域にまで材料が延在することで、材料のビード通過抵抗が増大し得る。したがって、特許文献1に記載された方法は、絞りプロファイルで切断されて捨てられる部分が多くなって、材料歩留まりを向上することができない。
特許文献2に記載された方法は、材料の歩留まり向上を目的としているものの、材料の流入を伴う絞り成形を対象とするものである。したがって、特許文献2に記載された方法は、材料流入を伴わない張出し成形における材料の歩留まりを向上することはできない。
特許文献3に記載された方法は、材料の流入方向と直交する方向へのビード長さが不可避的に増加するため、張出し成形における材料の歩留まりを向上することはできない。
特許文献4に記載された絞りビードは、素材の流入を抑制して、鋼材の歩留まり向上を目的とするビードではあるものの、絞り成形に用いられるドロービードを意図するものである。したがって、特許文献4に記載の絞りビードは、張出し成形に用いられるロックビードにおいて、素材の流入を防いで材料の歩留まりを向上するものではない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ロックビードによりブランクを拘束しながら行われる張出し成形における材料の歩留まりを向上することができる、張出し成形品の製造装置及び製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するにあたり、本発明のある観点によれば、互いに対向する拘束面を有するダイ及びブランクホルダと、前記ダイ及び前記ブランクホルダの前記拘束面により板材のブランクの周縁部を拘束した状態で、前記ブランクの成形領域を前記ダイ側に押し込むことにより前記ブランクの成形領域の張出し成形を行うパンチと、前記ダイ及び前記ブランクホルダの前記拘束面に互いに相似形に設けられ、前記ダイ及び前記ブランクホルダの外郭から中央部へ向けて、第1の面と、前記第1の面に交差する第2の面と、前記第2の面に交差する第3の面と、を有するとともに、前記第1の面が複数の凹凸部を有するロックビードと、を備える、張出し成形品の製造装置が提供される。
前記複数の凹凸部を前記ダイ又は前記ブランクホルダの外郭から前記中央部に向けて見たときに、前記複数の凹凸部が、台形状、矩形状及び三角形状のうちのいずれかの形状又はそれらを組み合わせた形状を有してもよい。
前記複数の凹凸部は、互いに交差する第4の面及び第5の面を有し、前記第4の面及び前記第5の面が前記第2の面に交差するとともに、前記第4の面及び前記第5の面のうちの少なくとも一つの面が前記第1の面に交差してもよい。
前記複数の凹凸部は、互いに対向する前記第4の面及び第6の面と、前記第4の面及び前記第6の面に交差する前記第5の面を有し、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面が前記第2の面に交差するとともに、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面のうちの少なくとも一つの面が前記第1の面に交差してもよい。
前記複数の凹凸部が三角形状を有する場合に、前記三角形状を1ピッチとしたときの前記複数の凹凸部のピッチ間隔が5〜50mmの範囲内であり、かつ、前記凹凸部の面の立上り角度が10〜40度の範囲内であってもよい。
前記複数の凹凸部が台形状又は矩形状を有する場合に、凸形状及び凹形状の組を1ピッチとしたときの前記複数の凹凸部のピッチ間隔が5〜50mmの範囲内であり、かつ、前記凹凸部の高さが1.0〜10.0mmの範囲内であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、板材のブランクの周縁部に相当する位置に、ダイ及びブランクホルダの外郭から中央部へ向けて、第1の面と、前記第1の面に交差する第2の面と、前記第2の面に交差する第3の面と、を有するとともに、前記第1の面が複数の凹凸部を有し、互いに相似形に設けられたロックビードを備えた前記ダイ及び前記ブランクホルダの前記拘束面により板材のブランクの周縁部を拘束する工程と、前記ダイ及び前記ブランクホルダにより前記ブランクの周縁部を拘束した状態で、パンチにより前記ブランクの成形領域を前記ダイ側に押し込むことにより前記ブランクを張出し成形する工程と、を備える、張出し成形品の製造方法が提供される。
本発明によれば、ロックビードによりブランクを拘束しながら行われる張出し成形における材料の歩留まりを向上することができる。
図1は、本発明の実施の形態にかかる張出し成形品の製造装置の構成を説明するための斜視図である。 図2は、同実施形態にかかるロックビードによりブランクを拘束する前後の様子を示す斜視図である。 図3は、ロックビードと、ブランクの外周部及びトリムラインとを示す断面図である。 図4は、ロックビードと、ブランクの外周部及びトリムラインとを示す上面図である。 図5は、別のロックビードによりブランクを拘束する前後の様子を示す斜視図である。 図6は、別のロックビードと、ブランクの外周部及びトリムラインとを示す断面図である。 図7は、別のロックビードと、ブランクの外周部及びトリムラインとを示す上面図である。 図8は、実施例における評価1の試験手順を示す説明図である。 図9は、実施例における評価1の結果を示すグラフである。 図10は、ロック性能の判定の違いによるブランクの流入痕の差を説明するための写真である。 図11は、実施例における評価3で製造した張出し成形品のブランクの概略形状を示す正面図である。 図12は、実施例における評価3で製造した張出し成形品の各部寸法を示す斜視図である。 図13は、張出し成形の様子を示す説明図である。 図14は、張出し成形に用いられるブランクの一例を示す説明図である。 図15は、従来の台形ビードを備える金型を用いた張出し成形においてブランクを拘束する前後の様子を示す斜視図である。 図16は、従来の台形ビード付近を示す断面図である。 図17は、従来の台形ビード付近を示す上面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。以降の説明では、張出し成形品がドアアウターパネルである場合を例にとって説明するが、張出し成形品はドアアウターパネルに限定されるものではない。本発明は、フードアウターパネルやルーフパネル等、他の張出し成形品にも等しく適用される。
<1.張出し成形品の製造装置>
図1は、本実施形態に係る張出し成形品の製造装置10の構成を示す概略説明図である。図1は、製造装置10を、一部省略するとともに簡略化して示した斜視図である。図1に示すように、製造装置10は、ダイ11と、ブランクホルダ12と、パンチ13とを有する。図1において、ブランク14の輪郭が二点鎖線で示されている。
(1−1.基本構成)
ダイ11は、ブランク14を拘束する拘束面11aを有する。拘束面11aは、成形時にパンチ13が収容されるパンチ収容部と、ブランク14の周縁部の外側に沿って設けられた楔状ビード15とを有する。楔状ビード15は、ロックビードの一態様である。図面を見易くするため、図1では、ダイ11及び楔状ビード15は一点鎖線により簡略化して示されている。楔状ビード15の詳細は、図2を参照しながら後述する。また、図1では、パンチ収容部は省略されている。
ブランク14は、中央部に位置し、製品(図1に示す例ではリアドアアウタパネル)となる部分に相当する成形領域14bと、ダイ11及びブランクホルダ12により拘束される被拘束部14aと、トリムライン14dとを有する。被拘束部14a及び外周部14cは、トリムライン14dで切断されて捨てられる。なお、図1では、トリムライン14dは省略されている。
楔状ビード15は、ブランク14の全周に配置されていてもよい。あるいは、ブランク14に、材料流入を伴う絞り成形が施される部位と、材料流入を伴わない張出し成形が施される部位とがある場合には、張出し成形が施される部位のみに楔状ビード15が配置されていてもよい。この場合、絞り成形が施される部位には公知の絞り成形用の各種ドロービードを設けることができる。
ブランクホルダ12は、ダイ11に対向して配置される。ブランクホルダ12は、パンチ13が収容されたパンチ収容部と、ダイ11の拘束面11aと協働してブランク14を拘束する拘束面12aとを有する。拘束面12aには、ブランク14の周縁部に沿って楔状ビード16が設けられている。楔状ビード16は、ダイ11に設けられた楔状ビード15に対応する位置に配置されている。楔状ビード16の詳細は、図2を参照しながら後述する。
パンチ13は、ダイ11のパンチ収容部に対向して、ブランクホルダ12のパンチ収容部に配置される。パンチ13は、成形時において、ダイ11に対して相対的に押し込まれる。これにより、ブランク14の成形領域14bが張出し成形され、成形領域14bがドアアウターパネルに成形される。
ダイ11やブランクホルダ12、パンチ13の材質や機能は、この種のダイ、ブランクホルダ、パンチとして公知のものと同じでよく、当業者にとっては周知であるので、ダイ11やブランクホルダ12、パンチ13に関するこれ以上の説明は省略する。
(1−2.ロックビード(楔状ビード))
ダイ11に設けられる楔状ビード15及びブランクホルダ12に設けられる楔状ビード16は、互いに位置及び形状を対応させて設けられる。成形時には、楔状ビード15,16によりブランク14の被拘束部14aが狭持されて拘束され、ブランク14が成形領域14bに流入しないようにされる。
図2〜図4は、張出し成形時における、楔状ビード15,16の様子を示す説明図である。図2は、ブランク14を拘束する前後の様子を示す斜視図である。図3は、楔状ビード15,16と、ブランク14の外周部14c及びトリムライン14dとを示す断面図である。図4は、楔状ビード15と、ブランク14の外周部14c及びトリムライン14dとを示す上面図である。長さL1の領域は、楔状ビード15,16により拘束される部分であって、通常捨てられる部分である。
なお、以下の説明では、主にダイ11に設けられた楔状ビード15について説明する。ブランクホルダ12に設けられた楔状ビード16は、楔状ビード15と位置及び形状が対応しているので、適宜読み変えることで理解される。
図2及び図3に示すように、楔状ビード15は、ダイ11の外郭から中央部へ向けて(図3における左側から右側へ向けて)、第1の面15−1と第2の面15−2と第3の面15−3とからなる段差形状を有する。すなわち、第1の面15−1と第2の面15−2と第3の面15−3とは、ブランクホルダ12及びダイ11の外郭から中央部へ向けて、段差をなす。第2の面15−2は、第1の面15−1に交差(図示した例では直交)する。第3の面15−3は、第2の面15−2に交差(図示した例では直交)する。
図2及び図4に示すように、楔状ビード15の第1の面15−1は、第4の面15−4と第5の面15−5と第6の面15−6とにより構成された複数の凹凸部を有する。第5の面15−5は、第4の面15−4に交差する。第6の面15−6は、第5の面15−5に交差するとともに第4の面15−4に対向する。すなわち、第4の面15−4と第6の面15−6とは互いに対向する。
第4の面15−4、第5の面15−5及び第6の面15−6は、楔状ビード15の延在方向、すなわち、ダイ11の外郭から中央部に向かう方向に直交する方向へ向けて、第4の面15−4、第5の面15−5、第6の面15−6及び第5の面15−5の順に連続して形成されている。これにより、第1の面15−1には、楔状ビード15の延在方向へ向けて、凹凸形状が交互に配列される。第2の面15−2と平行な断面において、楔状ビード15の第4の面15−4、第5の面15−5及び第6の面15−6は、略四角形の三辺を形成する。図示例では台形の三辺をなしているが、長方形の三辺をなしていてもよい。
この四角形の高さや、ピッチ、第4の面15−4及び第6の面15−6の立上り角度、第4の面15−4又は第6の面15−6と第5の面15−5との成すコーナ部の曲率半径は、適宜設定することができる。ただし、四角形の高さが低すぎたり、ピッチが大きすぎたりすると、凹凸形状が平面状に曲げ戻される際の変形抵抗(以下、「曲げ戻し変形抵抗」ともいう。)の増大効果が得られにくくなって、ブランク拘束力が低下する場合がある。また、四角形の高さが高すぎると、ブランク14の拘束時にブランク14が破断するおそれがある。また、第4の面15−4及び第6の面15−6の立上り角度が小さすぎると、曲げ戻し変形抵抗の増大効果が得られにくくなって、ブランク拘束力が低下する場合がある。
これらの点を考慮して、楔形状が四角形(台形及び矩形を含む)の楔状ビード15とする場合には、四角形の凸形状及び凹形状を1組とする1ピッチごとの間隔が5〜50mmの範囲内、かつ、四角形の高さが1.0〜10.0mmの範囲内であることが好ましい。なお、楔形状が台形等の場合のピッチ間隔とは、台形の高さが2分の1の位置を基準として、台形の凸形状及び凹形状の組を1ピッチとしたときのピッチ間隔を意味する。
また、第2の面15−2の高さに関し、第3の面15−3と第5の面15−5との落差が小さすぎると、凹凸部のブランク14の曲げ変形と、第2の面15−2及び第3の面15−3の境界での曲げ変形とを個別に発生させることができず、曲げ戻し変形抵抗の増大効果が得られないおそれがある。また、当該落差が大きすぎると、ブランク14の材料歩留まりが低下するおそれがある。したがって、当該落差は、1.5〜8.0mmの範囲内であることが好ましい。
ブランクホルダ12に設けられた楔状ビード16の第4の面16−4、第5の面16−5、第6の面16−6は、それぞれ、ダイ11に設けられた楔状ビード15の第4の面15−4、第5の面15−5、第6の面15−6に対応する位置に配置される。したがって、ダイ11とブランクホルダ12とによりブランク14を拘束する状態において、楔状ビード15の第4の面15−4、第5の面15−5、第6の面15−6は、それぞれ、ブランク14を介して、楔状ビード16の第4の面16−4、第5の面16−5、第6の面16−6に対向する。
なお、以上の説明では、楔状ビード15,16の第1の面15−1,16−1が第3の面15−3,16−3よりも下方に位置する段差形状とされた場合を例にとったが、段差形状は逆でもよい。すなわち、楔状ビード15,16の第1の面15−1,16−1が第3の面15−3,16−3よりも上方に位置する段差形状とされてもよい。
(1−3.ロックビード(楔状ビード)の変形例)
図5〜図7は、ロックビードの変形例として、張出し成形に用いられる別の楔状ビード17,18を示す説明図である。図5は、ブランク14を拘束する前後の様子を示す斜視図である。図6は、楔状ビード17,18と、ブランク14の外周部14c及びトリムライン14dとを示す断面図である。図7は、楔状ビード17と、ブランク14の外周部14c及びトリムライン14dとを示す上面図である。長さL1の領域は、楔状ビード17,18により拘束される部分であって、通常捨てられる部分である。
なお、以下では、前述の説明と同様に、主にダイ11に設けられた楔状ビード17について説明する。この例でも、ブランクホルダ12に設けられた楔状ビード18は、楔状ビード17と位置及び形状が対応しているので、適宜読み変えることにより理解される。
図5及び図6に示すように、楔状ビード17は、ダイ11の外郭から中央部へ向けて(図6における左側から右側へ向けて)、第1の面17−1と第2の面17−2と第3の面17−3とからなる段差形状を有する。すなわち、第1の面17−1と第2の面17−2と第3の面17−3とは、ブランクホルダ12及びダイ11の外郭から中央部へ向けて、段差をなす。第2の面17−2は、第1の面17−1に交差(図示した例では直交)する。第3の面17−3は、第2の面17−2に交差(図示した例では直交)する。
図5及び図7に示すように、楔状ビード17の第1の面17−1は、楔状ビード17の延在方向、すなわち、ダイ11の外郭から中央部に向かう方向に直交する方向へ向けて、第4の面17−4と第5の面17−5とが交互に連続して形成された複数の凹凸部を有する。これにより、第1の面17−1には、楔状ビード17の延在方向へ向けて、凹凸形状が交互に配列される。第2の面17−2と平行な断面において、楔状ビード17の第4の面17−4及び第5の面17−5は、三角形の二辺を形成する。
この三角形の高さや、ピッチ、第4の面17−4及び第5の面17−5の立上り角度、第4の面17−4と第5の面17−5との成すコーナ部の曲率半径は、適宜設定することができる。ただし、三角形の高さが低すぎたり、ピッチが大きすぎたりすると、曲げ戻し変形抵抗の増大効果が得られにくくなって、ブランク拘束力が低下する場合がある。また、第4の面17−4及び第5の面17−5の立上り角度が小さすぎると、三角形のピッチが大きくなる結果、曲げ戻し変形抵抗の増大効果が得られにくくなって、ブランク拘束力が低下する場合がある。また、第4の面17−4及び第5の面17−5の立上り角度が大きく、三角形の高さが高くなりすぎると、ブランク14の拘束時にブランク14が破断したり、ブランク14にしわが発生したりするおそれがある。
この点を考慮して、楔形状が三角形の楔状ビード17とする場合には、三角形のピッチ間隔が5〜50mmの範囲内、かつ、第4の面17−4及び第5の面17−5の立上り角度が10〜40度の範囲内であることが好ましい。なお、楔形状が三角形の場合のピッチ間隔とは、三角形の底辺の長さを意味する。
また、第2の面17−2の高さに関し、第3の面17−3と三角形の頂点との落差が小さすぎると、凹凸部のブランク14の曲げ変形と、第2の面17−2及び第3の面17−3の境界での曲げ変形とを個別に発生させることができず、曲げ戻し変形抵抗の増大効果が得られないおそれがある。また、当該落差が大きすぎると、ブランク14の材料歩留まりが低下するおそれがある。したがって、当該落差は、1.5〜8.0mmの範囲内であることが好ましい。
ブランクホルダ12に設けられた楔状ビード18の第4の面18−4及び第5の面18−5は、それぞれ、ダイ11に設けられた楔状ビード17の第4の面17−4及び第5の面17−5に対応する位置に配置される。したがって、ダイ11とブランクホルダ12とによりブランク14を拘束する状態において、楔状ビード18の第4の面18−4及び第5の面18−5は、それぞれ、ブランク14を介して、楔状ビード17の第4の面17−4及び第5の面17−5に対向する。
なお、以上の説明では、楔状ビード17,18の第1の面17−1,18−1が第3の面17−3,18−3よりも下方に位置する段差形状とされた場合を例にとったが、段差形状は逆でもよい。すなわち、楔状ビード17,18の第1の面17−1,18−1が第3の面17−3,18−3よりも上方に位置する段差形状とされてもよい。
<2.張出し成形品の製造方法>
次に、本実施形態にかかる張出し成形品の製造装置を用いた張出し成形品の製造方法について、ロックビードの作用と併せて説明する。以下の例では、ダイ11及びブランクホルダ12がそれぞれ図2〜図4に示した楔状ビード15,16を備える場合を例にとり、図1〜図4を適宜参照しながら説明する。ダイ11及びブランクホルダ12がそれぞれ図5〜図7に示す楔状ビード17,18を備える場合も同様に理解される。
本実施形態にかかる張出し成形品の製造方法において、張出し成形の全体の工程自体は、従来公知の張出し成形と同様の工程とすることができる。簡単に説明すると、まず、ブランク14が、ブランクホルダ12上に位置合わせされて載置される。次いで、ダイ11をブランクホルダ12側に相対的に移動させることにより、楔状ビード15,16が設けられたダイ11及びブランクホルダ12の拘束面11a,12aにより、ブランク14の周縁部が拘束される。
その状態で、パンチ13をダイ11側に相対的に移動させることにより、ブランク14の中央部に位置する成形領域14bがダイ11側に相対的に押し込まれる。このとき、ブランク14の外縁部から成形領域14bに向かってブランク14が流入しないように、拘束面11a,12aに設けられた楔状ビード15,16によりブランク14の被拘束部14aが拘束されている。これにより、成形領域14bへのブランク14の流入のない張出し成形品が成形される。
このとき、ブランク14を拘束する際に、例えば、全体として200t程度の荷重が必要となる場合がある。したがって、多大な荷重を付加してブランク14を拘束しながらも、成形領域14bへのブランク14の流入を防ぐためには、楔状ビード15,16による拘束機能が重要となる。
本実施形態においては、図2〜図4に示すように、楔状ビード15,16は、ダイ11及びブランクホルダ12それぞれの外郭から中央部へ向けて、第1の面15−1,16−1と第2の面15−2,16−2と第3の面15−3,16−3とにより形成される段差形状を有する。第2の面15−2,16−2は、第1の面15−1,16−1に交差する。第3の面15−3,16−3は、第2の面15−2,16−2に交差する。
第1の面15−1,16−1は、楔状ビード15,16の延在方向に向けて、互いに対向する第4の面15−4,16−4及び第6の面15−6,16−6を有する。さらに、第1の面15−1,16−1は、第4の面15−4,16−4及び第6の面15−6,16−6の間に配置されて、第4の面15−4,16−4及び第6の面15−6,16−6に交差する第5の面15−5,16−5を有する。
楔状ビード15,16がこのように構成されることにより、楔状ビード15,16に拘束されたブランク14の被拘束部14aは、ブランク14の外縁部から成形領域14bに向かう方向に直交する方向の断面が非直線状になる。これにより、楔状ビード15,16に拘束されたブランク14の曲げ剛性が向上し、ブランク14が成形領域14b側に流れようとする際の曲げ戻し抵抗が大きくなる。
また、ブランク14の被拘束部14aにおいて、楔状ビード15,16の第1の面15−1,16−1と第2の面15−2,16−2との境界部分に相当するコーナ部のうち、楔状ビード15,16の第2の面15−2,16−2と第3の面15−3,16−3との境界部分に相当するコーナ部に対して非平行となる部分の長さが長くなる。これによっても、ブランク14が成形領域14b側に流れようとする際の曲げ戻し抵抗が大きくなる。
そのため、楔状ビード15,16の第1の面15−1,16−1と第2の面15−2,16−2と第3の面15−3,16−3とにより形成される段差のコーナ部分での曲げ及び曲げ戻し変形の変形抵抗、及び楔状ビード15,16とブランク14との摩擦抵抗と相俟って、ブランク14の外周部14cから成形領域14bへのブランク14の流入を効果的に防ぐことができる。
したがって、ブランク14の外周部14cから成形領域14bに向かう方向に沿う、楔状ビード15,16による押え長さL1を短くした場合であっても、張出し成形に必要なブランク拘束力が確保される。このようにして、本実施形態では、ブランク14における、楔状ビード15,16による押え長さL1を短くできる分、ブランク14の材料歩留まりを向上させることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(評価1)
評価1では、ダイ及びブランクホルダに各形態のビードが形成されたブランク拘束部を備えた材料摺動試験装置を用いて、後述する試験手順に沿って、各ビードのブランク拘束性能(ブランクのロック力)を評価した。用いたブランク(試験材)は、板厚が0.7mmで、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される引張強度が340MPa級の合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
実施例1では、図2〜図4に示す楔状ビード15,16が形成されたブランク拘束部を備えた材料摺動試験装置を用いて、楔状ビード15,16のブランク拘束性能(ブランクのロック性能)を評価した。実施例2では、図5〜図7に示す楔状ビード17,18が形成されたブランク拘束部を備えた材料摺動試験装置を用いる以外は、実施例1と同様にして、楔状ビード17,18のブランク拘束性能を評価した。
比較例1では、図15〜図17に示す、従来の台形ビード2a,3aが形成されたブランク拘束部を備えた材料摺動試験装置を用いる以外は、実施例1と同様にして、台形ビード2a,3aのブランク拘束性能を評価した。また、比較例2では、図2や図5における第1の面15−1,16−1、17−1,18−1が平坦状である段差形状のみからなる段差ビードが形成されたブランク拘束部を備えた材料摺動試験装置を用いる以外は、実施例1と同様にして、段差ビードのブランク拘束性能を評価した。
[試験手順]
図8に示すように、各製造装置のダイ61及びブランクホルダ62により、ビードの延在方向に沿った単位長さ当たりの押圧力を30kgf/mmとして、板幅60mmのブランク54を拘束する。ダイ61及びブランクホルダ62の拘束面により拘束されるブランク54の押え長さL1は以下のようにした。
実施例1(楔状ビード):L1=9.5mm
実施例2(楔状ビード):L1=9.0mm
比較例1(台形ビード):L1=19.0mm
比較例2(段差ビード):L1=9.0mm
各ビードを有するダイ61及びブランクホルダ62の拘束面により拘束される被拘束部55の端部までの長さが135mmとなる位置で、チャック58によりブランク54を挟持する。この状態から、チャック58を移動させて、ブランク54をダイ61及びブランクホルダ62から引き抜く。その際に、引抜き長さを種々変更して複数回試験を行い、それぞれの試験後のブランク54に生じた摺動痕から流入長さを評価した。
ここで、流入長さが約1mmとなるときをロック限界、すなわち、ロックビードとしての機能不良と定義した。そして、上述の試験で得られる“引抜力−流入長さのデータ”を内挿することによって、ロック限界(流入長さ=1mm)における引抜力、すなわちロック力を算出して評価した。図9は、評価結果を示すグラフである。図9では、従来の台形ビード2a,3aのロック力を100%として、ロック力が相対値で示されている。
図9に示すように、比較例1の台形ビード2a,3aは高いロック力を示すものの、ダイ及びブランクホルダによる押え長さL1が19.0mmであり、押え長さL1を短くしてブランク54を小型化することは困難である。したがって、比較例1は、ブランク54の材料歩留まりは低い。また、比較例2の段差ビードは、押え長さL1が9.0mmであり、押え長さL1を短くすることが可能であるものの、ロック力が70%程度になっている。したがって、比較例2は、張出し成形に必要なロック力を確保することができない。
これに対し、実施例1及び2の楔状ビード15,16,17,18は、押え長さL1がそれぞれ9.5mm、9.0mmであり、比較例2と同等に押え長さL1を短くすることが可能であるとともに、ロック力がそれぞれ89%、85%となっている。特に、実施例1の楔状ビードは、第4の面、第5の面とともに第6の面を有しているため、実施例2の楔状ビードよりも高いロック力が確保されていた。このように、実施例1及び2の楔状ビード15,16,17,18は、張出し成形に必要な高いロック性能を示す。また、実施例1及び2の楔状ビード15,16,17,18は、従来の台形ビードよりも押え長さL1を大幅に低減できるために、ブランク54の材料の歩留まりを大幅に向上させることができる。
(評価2)
評価2では、図2〜図4に示す楔状ビード15,16及び図5〜図7に示す楔状ビード17,18の形状を変えながら、評価1と同様にチャックを用いてブランクを引き抜き、ブランク拘束性能(ブランクのロック力)、材料歩留まり、被拘束部の外観及び製品面への影響をそれぞれ評価した。用いたブランク(試験材)は、評価1と同様に、板厚が0.7mmで、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される引張強度が340MPa級の合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。表1は、楔状ビードの形状及び評価結果を示す。実施例3〜9及び比較例3〜7は、楔形状が台形(方形を含む)の楔状ビード15,16であり、実施例10〜14及び比較例8〜12は、楔形状が三角形の楔状ビード17,18である。
Figure 0006094689
比較例7及び12において「段差無」となっているのは、図2及び図5における第2の面15−2,16−2,17−2,18−2及び第3の面15−3,16−3,17−3,18−3が設けられておらず、平坦面に楔状ビードが形成されている形態を示す。楔形状が台形の場合の楔ピッチとは、楔高さが2分の1の位置を基準として、台形の凸形状及び凹形状の組を1ピッチとしたときのピッチ間隔に相当する。また、楔形状が三角形の場合の楔ピッチとは、三角形の底辺の長さに相当する。楔壁角度とは、楔形状が台形の場合には第4の面15−4,16−4及び第6の面15−6,16−6の立上り角度を意味し、楔形状が三角形の場合には第4の面17−4,18−4及び第5の面17−5,18−5の立上り角度を意味する。
図10は、ロック性能の判定が〇である場合及び×である場合それぞれのブランクの摺動痕を示す。図10の上に示す写真は、ロック性能の判定が×である場合のブランクをブランクホルダ側から撮影したものであり、図10の下に示す写真は、ロック性能の判定が〇である場合のブランクをブランクホルダ側から撮影したものである。ロック判定が×である場合、第2の面と第3の面との境界のコーナから第3の面側にブランクの摺動痕が見られている。これに対して、ロック判定が〇である場合、ブランクに摺動痕はほとんど見られない。
表1に示すように、楔形状が台形の楔状ビードの場合、ピッチ間隔が80mmである比較例3、楔高さが0.5mmである比較例4、楔壁角度が15度である比較例5及び段差のない比較例7は、ロック性能が低下し、張出し成形に必要なロック力を確保できなかった。このうち、比較例7については、製品面への影響も見られた。比較例5については、楔壁角度が小さいことと併せて、楔ピッチが大きくなることの影響を受けていると考えられる。また、楔高さが20.0mmである比較例6では、被拘束部のブランクが破断してしまい、ロック力の評価ができず、材料歩留まりも低下した。
一方、楔形状が台形の楔状ビードの場合、ピッチ間隔が5〜50mm、楔高さが1.0〜10.0mmの範囲にあれば、張出し成形に必要なロック力を確保できるとともに、ブランクの材料歩留まりも向上させることができることが分かった。
また、楔形状が三角形の楔状ビードの場合、楔壁角度が4度あるいは6度となっている比較例8,9,11,12は、ロック性能が低下し、張出し成形に必要なロック力を確保できなかった。また、楔高さが10.0mmである比較例10では、楔壁角度が45度となり、被拘束部のブランクが破断したり、ブランクにしわが発生したりしてしまい、ロック力の評価ができず、材料歩留まりも低下した。
一方、楔形状が三角形の楔状ビードの場合、ピッチ間隔が5〜50mm、楔壁角度が10〜40度の範囲にあれば、張出し成形に必要なロック力を確保できるとともに、ブランクの材料歩留まりも向上させることができることが分かった。
(評価3)
評価3では、楔状ビードを用いた場合と、従来の台形ビードを用いた場合とについて、ブランクの材料歩留まりをそれぞれ評価した。図11及び図12は、実施例及び比較例において製造した張出し成形品のブランク及び成形品の概略形状を示す図である。図11が張出し成形品のブランクの正面図であり、図12が張出し成形品の各部寸法を示す斜視図である。かかる張出し成形品は、ドアアウターパネルを模して成形した成形品である。
実施例では、図2〜図4に示す楔状ビード15,16を有するダイ及びブランクホルダを用いて張出し成形を行い、図11及び図12に示す張り出し成形品を製造した。また、比較例として、図15〜図17に示す従来の台形ビードを有するダイ及びブランクホルダを用いて張出し成形を行い、図11及び図12に示す張り出し成形品を製造した。用いたブランクは、ともに板厚が0.7mmであり、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される引張強度が340MPa級の合金化溶融亜鉛めっき鋼板であった。いずれの場合にも、ブランクは、張出し成形に支障をきたさない最小の面積のものを用いた。
各ロックビードにより拘束されるブランクの被拘束部の押え長さL1は、実施例では9.5mmであり、比較例では19.0mmであった。その結果、実施例におけるブランクの面積は約1.372m2であったのに対し、比較例におけるブランクの面積は1.425m2であった。したがって、実施例の楔状ビードを用いた場合、比較例の台形ビードを用いた場合と比べて、張出し成形における材料の歩留まりが約4%向上した。現在、張出し成形における材料の歩留まりの向上はほぼ限界に達している状況にあり、材料の歩留まりを約4%向上できることは極めて顕著な効果である。
10 製造装置
11 ダイ
11a 拘束面
12 ブランクホルダ
12a 拘束面
13 パンチ
14 ブランク
14a 被拘束部
14b 成形領域
14c 外周部
14d トリムライン
15,16,17,18 楔状ビード(ロックビード)
15−1,16−1,17−1,18−1 第1の面
15−2,16−2,17−2,18−2 第2の面
15−3,16−3,17−3,18−3 第3の面
15−4,16−4,17−4,18−4 第4の面
15−5,16−5,17−5,18−5 第5の面
15−6,16−6 第6の面
54 ブランク
55 被拘束部
58 チャック
61 ダイ
62 ブランクホルダ

Claims (6)

  1. 互いに対向する拘束面を有するダイ及びブランクホルダと、
    前記ダイ及び前記ブランクホルダの前記拘束面により板材のブランクの周縁部を拘束した状態で、前記ブランクの成形領域を前記ダイ側に相対的に押し込むことにより前記ブランクの成形領域の張出し成形を行うパンチと、
    前記ダイ及び前記ブランクホルダの前記拘束面に互いに相似形に設けられ、前記ダイ及び前記ブランクホルダの外郭から中央部へ向けて、第1の面と、前記第1の面に交差する第2の面と、前記第2の面に交差する第3の面と、を有するとともに、前記第1の面が複数の凹凸部を有するロックビードと、
    を備え
    前記複数の凹凸部を前記ブランクホルダの外郭から前記中央部に向けて見たときに、前記複数の凹凸部が、台形状、矩形状及び三角形状のうちのいずれかの形状又はそれらを組み合わせた形状を有する、張出し成形品の製造装置。
  2. 前記複数の凹凸部は、互いに交差する第4の面及び第5の面を有し、前記第4の面及び前記第5の面が前記第2の面に交差する、請求項1に記載の張出し成形品の製造装置。
  3. 前記複数の凹凸部は、互いに対向する前記第4の面及び第6の面と、前記第4の面及び前記第6の面に交差する前記第5の面を有し、前記第4の面、前記第5の面及び前記第6の面が前記第2の面に交差する、請求項に記載された張出し成形品の製造装置。
  4. 前記複数の凹凸部が三角形状を有する場合に、前記三角形状を1ピッチとしたときの前記複数の凹凸部のピッチ間隔が5〜50mmの範囲内であり、かつ、前記凹凸部の面の立上り角度が10〜40度の範囲内である、請求項又はに記載の張出し成形品の製造装置。
  5. 前記複数の凹凸部が台形状又は矩形状を有する場合に、凸形状及び凹形状の組を1ピッチとしたときの前記複数の凹凸部のピッチ間隔が5〜50mmの範囲内であり、かつ、前記凹凸部の高さが1.0〜10.0mmの範囲内である、請求項のいずれか1項に記載の張出し成形品の製造装置。
  6. 互いに対向する拘束面に、外郭から中央部へ向けて、第1の面と、前記第1の面に交差する第2の面と、前記第2の面に交差する第3の面と、を有するとともに、前記第1の面が複数の凹凸部を有し、互いに相似形に設けられたロックビードを備えたダイ及びブランクホルダの間に板材のブランクを載置する工程と、
    前記ダイ及び前記ブランクホルダにより前記ブランクの周縁部を拘束する工程と、
    前記ブランクの周縁部を拘束した状態で、パンチにより前記ブランクの成形領域を前記ダイ側に相対的に押し込むことにより前記ブランクを張出し成形する工程と、
    を備え
    前記複数の凹凸部を前記ブランクホルダの外郭から前記中央部に向けて見たときに、前記複数の凹凸部が、台形状、矩形状及び三角形状のうちのいずれかの形状又はそれらを組み合わせた形状を有する、張出し成形品の製造方法。
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