JP6094449B2 - 電解精製用パーマネントカソード及びそれを用いた銅の電解精製方法 - Google Patents

電解精製用パーマネントカソード及びそれを用いた銅の電解精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、電解精製で使用するパーマネントカソード及びそれを用いた電解精製方法において、そのパーマネントカソードの両側辺部に、絶縁材のエッジストリップを備えることによりマスキングされたパーマネントカソード及びそれを用いた電解精製方法に関する。
一般に、パーマネントカソード法による銅の電解精製では、銅が電着する側のマイナス極であるパーマネントカソードに対して、そのパーマネントカソード両側辺部(以下、単に両側辺部とよぶ)への電着を防止するための手段が施されている。その当該手段としては、例えば、両側辺部へ絶縁材のエッジストリップの装着が行われている。
このエッジストリップには、操業の過程でパーマネントカソードが一時的に曲がったりするため弾性が求められ、また、パーマネントカソードへの密着性が求められるため、通常、樹脂製のものが用いられている。
この樹脂製のエッジストリップは、60℃前後の硫酸酸性の電解液に浸けられる中で、徐々に劣化し、パーマネントカソードとの密着性が低下していく。さらに、ある期間以上使用するとエッジストリップの劣化は全体に及び、エッジストリップに割れなどが生じる。この場合は、エッジストリップの樹脂が寿命に達していると判断し、エッジストリップを交換している。
しかしながら、交換直後の新規なエッジストリップにおいてもエッジストリップ下端に粒状の電気銅の電着が見られ、この粒状の電着銅の粗大化によるエッジストリップの破損や、粗大化した電着銅がアノードと接触してショートを起こし電気銅の生産効率に悪影響を及ぼすといったトラブルが発生している。
このエッジストリップ下端部への粒状の電気銅の電着を防ぐ方法として、例えば、特許文献1では、両側辺部を覆うエッジストリップをウレタン系接着剤により両側辺部に接着する技術が開示されている。
しかしながら、上記方法によっても、操業時間の経過とともに、エッジストリップ下端部に設けられたウレタン系樹脂とパーマネントカソードの間には、隙間が生じる。一度、この隙間が生じると、この隙間から電解液が侵入し、粒状の電気銅の電着が始まる。粒状の電気銅が電着すると、この隙間は更に大きくなり、更なる電解液の進入と粒状の電気銅の電着が始まり、最終的にはエッジストリップを破損させていた。
そこで、銅の電解精製で使用するパーマネントカソードの両側辺部をマスキングするエッジストリップ下端部におけるパーマネントカソードとエッジストリップ間への電解液の侵入を防ぎ、粒状の電気銅の電着を抑制することができる電解精製用パーマネントカソード及びそれを用いた電解精製方法が求められていた。
特開2011−140685号公報
銅の電解精製で使用するパーマネントカソードにおいて、両側辺部をマスキングするエッジストリップ下端部におけるパーマネントカソードとエッジストリップ間への電解液の侵入を防ぎ、粒状の電気銅の電着を抑制することができる電解精製用パーマネントカソード及びそれを用いた電解精製方法を提供する。
本発明の第1の発明は、少なくともパーマネントカソード本体部と、そのパーマネントカソード本体部の両側辺部をマスキングする絶縁材からなる一対のエッジストリップを備え、そのパーマネントカソード本体部は両側辺部下部の少なくとも1箇所に、本体部を厚さ方向で貫通しているカソードの両側辺部下部においてカソードとエッジストリップを固定するためのピン(以下、アンダーピンとよぶ)であるカソードアンダーピン差込孔を有し、エッジストリップはカソードアンダーピン差込孔の少なくとも1箇所と合致して貫通孔を形成する位置に設けられるエッジストリップアンダーピン差込孔を備え、エッジストリップがパーマネントカソード本体部の両側辺部に沿って両側辺部を覆うように取り付けられ、且つカソードアンダーピン差込孔とエッジストリップアンダーピン差込孔を合致させて貫通孔を形成し、その貫通孔にアンダーピンを差し込み、エッジストリップをパーマネントカソード本体部に固定し、熱膨張により発生するパーマネントカソードとエッジストリップの熱膨張挙動の違いにより生じる線膨張長さの差を上部に逃がすことを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第2の発明は、第1の発明におけるエッジストリップアンダーピン差込孔が、エッジストリップ下端から、本体部下端とカソードアンダーピン差込孔間の距離Hと等しい距離の位置に設けられ、カソードアンダーピン差込孔と合致して貫通孔を形成し、その貫通孔にアンダーピンを差し込み、エッジストリップをパーマネントカソード本体部に固定することを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における電解精製用パーマネントカソードが電解槽に装入された際に、そのエッジストリップの上端が電解槽内の電解液の液面よりも上に位置していることを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明におけるカソードアンダーピン差込孔が設けられた領域が、パーマネントカソード本体部下端から上端に向かって100mmまでの領域であることを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明におけるエッジストリップが、電解精製で使用する電解液の浸食に耐え、かつ線膨張係数が150×10−[1/K]以下の樹脂であることを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明におけるエッジストリップの材質が、硬質ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)のいずれか1つであることを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第7の発明は、第1から第6の発明におけるパーマネントカソードの材質が、ステンレス鋼であることを特徴とする電解精製用パーマネントカソードである。
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明のいずれかに記載の電解精製用パーマネントカソードを用いて銅の精製を行うことを特徴とする銅の電解精製方法である。
本発明によれば、銅の電解精製で使用するパーマネントカソードにおいて、両側辺部をマスキングするエッジストリップ下端への電解液の侵入を防ぎ、粒状の電気銅の電着を抑制する電解精製用パーマネントカソード及びそれを用いた電解精製方法を提供することができ、工業上顕著な効果を奏するものである。
アンダーピンを使い、本体部の両側辺部にエッジストリップを固定した本発明に係る電解精製用パーマネントカソードの実施形態を示す模式図で、(a)及び(b)は異なる例である。 本発明におけるパーマネントカソード本体部とエッジストリップとの嵌合状態を示す図で、(a)は図1における左側上部の部分図、(b)はa−a’線における断面図、(c)はエッジストリップ10の断面図である。 従来のパーマネントカソード本体部に設けられている孔を使い、本体部の両側辺部にエッジストリップを固定した従来の電解精製用パーマネントカソードの模式図である。
先ず、銅の電解精製で使用する電解精製用パーマネントカソード、及びパーマネントカソード本体部の両側辺部をマスキングするための絶縁材のエッジストリップ下端部における、カソードとストリップ間に電解液が侵入し、粒状の電気銅が電着する仕組みについて説明する。
図3は、パーマネントカソード本体部22の上部に設けられているトップピン差込孔24を使い、本体部の両側辺部にエッジストリップ30、30を固定した従来の電解精製用パーマネントカソード21の模式図である。
図3に見られるように従来のパーマネントカソード本体部22及びエッジストリップ30のピンによる固定方法は、作業性の容易さなどの理由により、パーマネントカソード本体部22両側辺部に設けられている厚さ方向に貫通したカソードインナーピン差込孔25、並びにエッジストリップ30におけるカソードインナーピン差込孔25に対応した位置におけるパーマネントカソード本体部22の上部、エッジストリップ30の上部に設けられている、それぞれのトップピン差込孔24、31を用い、その差込孔にピンを差し込み、固定していた。
しかしながら、調査・検討の結果、発明者らは、パーマネントカソード本体部とエッジストリップとの熱膨張係数の差により、従来のような上端が固定されたエッジストリップは下方向に延び、延びたエッジストリップ下端部とパーマネントカソード下端部との間に隙間が発生し、この隙間から電解液が進入し、粒状電着が発生することを見出した。
このような事象が生じる仕組みについて、詳しく説明する。
先ず、熱膨張とは、温度Tにおける長さLの物体が、温度T+dTに変化すると長さがL+dLになるという現象を言い、線膨張係数をαとすると、下記(1)式で表わされる。
線膨張係数αは、単位長さ当たりにおける温度による長さの変化率で、[1/K]の単位を有する。
Figure 0006094449
一般に銅の電解精製用パーマネントカソードのカソード本体部として使用される材料は、オーステナイト系ステンレスであり、SUS316(18%Cr−12%Ni−2.5%Mo)、若しくはSUS316L(18%Cr−12%Ni−2.5%Mo C<0.03%)を使用する。このSUS316及びSUS316Lの熱膨張係数は共に16×10−6[1/K]程度である。
一方で、エッジストリップは絶縁材料でできており、一般に使用されている樹脂はPVC(硬質ポリ塩化ビニル)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂である。これら樹脂の熱膨張に係る線膨張係数は、それぞれ、74×10−6、110×10−6 、70×10−6[1/K]程度とステンレスなどの金属と比較すると大きな値となる。
例えば、電極の側辺部の長さが1mであれば、常温(20℃)で取り付けられたエッジストリップを、銅の電解精製浴の一般的な管理温度である60℃程度まで、エッジストリップの温度を上昇させると、それぞれの熱膨張挙動の違いより線膨張長さの差△Lは、以下の式(2)で示す計算式にて求められる。
Figure 0006094449
式(2)で求めた結果からは、SUS製のパーマネントカソードと樹脂製のエッジストリップの組み合わせでは、2mmから4mm程の線膨張量の差がある。
一般に使用されている銅電解精製用パーマネントカソード及びエッジストリップにおいては図3に示すように、パーマネントカソード側辺部上端近く、及びエッジストリップ上端近くには、それぞれパーマネントカソード及びエッジストリップの厚さ方向に貫通しているトップピン差込孔24、31がそれぞれ形成されており、パーマネントカソード側辺部上端及びエッジストリップは、そのトップピン差込孔24、31が重ね合わせられてできる孔に差し込まれたトップピン27で固定されている。
このようにエッジストリップ30は、パーマネントカソード本体部22の上部で貫通しているトップピン27で固定されているため、式(2)で求めた線膨張量の差は、下方へのみ膨張する。従って、線膨張係数の大きい樹脂製のエッジストリップがより多く伸びることとなり、パーマネントカソード下端とエッジストリップ下端には隙間が生じる結果となる。
即ち、電解槽に浸漬された状態において、パーマネントカソード下端とエッジストリップ下端の間に隙間が生じ、その隙間に電解液が流入し、通電と同時に電着が始まり、ついには粒状の電気銅が電着してしまう。
電着した粒状の電気銅は、エッジストリップの破損やパーマネントカソードとアノードの間に電流の偏りをもたらし、ひいてはパーマネントカソードとアノードとの短絡により生産効率を低下させるという問題を引き起こす。
この原因を解決するために本発明者らは、熱膨張により発生するパーマネントカソードとエッジストリップの熱膨張挙動の違いにより生じる線膨張長さの差を、上部に逃がすことで下端に隙間が発生せず、エッジストリップの下端部への粒状の電気銅の電着を抑制することができることを見出した。
図1(a)、(b)は、アンダーピンを使い、本体部の両側辺部にエッジストリップを固定した本発明に係る電解精製用パーマネントカソードの実施形態例を示す模式図である。
パーマネントカソード本体部2の両側辺部2a、2aを、白抜き矢印で示すように外側から対のエッジストリップ10、10で挟み込んで覆う形態を採っている。
そのエッジストリップ10のパーマネントカソード本体部2への固定について以下に説明する。
パーマネントカソード本体部2の両側辺部下部の少なくとも1ヶ所に、厚さ方向に貫通しているカソードアンダーピン差込孔4を形成されている。
一方、エッジストリップ10にも、その下部に少なくとも1ヶ所、エッジストリップアンダーピン差込孔11が設けられている。
それらのアンダーピン差込孔4、11が設けられる位置は、第一にパーマネントカソード本体部2及びエッジストリップ10の下部に設けられ、第二にパーマネントカソード本体部2にエッジストリップ10を取り付けた際に、両アンダーピン差込孔4、11が重ね合わさり貫通孔を形成し、その貫通孔にアンダーピン7が、その重ね合わさった孔に差し込まれ、カソードとストリップを固定できれば良く、種々の方法が採れる。
例えば、図1(b)に見られるように、パーマネントカソード及びエッジストリップの形状に則して位置を決める方法として、取り付けた際にパーマネントカソード本体部下端2bと、エッジストリップ下端10bが同じ位置にくるような場合では、エッジストリップ下端10bからエッジストリップに設けられるエッジストリップアンダーピン差込孔11の距離が、パーマネントカソード本体部下端2bからパーマネントカソードに設けられたカソードアンダーピン差込孔4の距離Hと等しくなるように、両方のアンダーピン差込孔4、11を設ける。
また、図1(a)のような形状の場合では、エッジストリップ10が取り付けられた際に、その下端がパーマネントカソード本体部2と接する位置(図1、符号Aの黒丸)を基準点Aとして、その基準点Aから上方、Hの位置にそれぞれのアンダーピン差込孔4、11を形成する。なお、固定に使用される差込孔は、図1のように1カ所に限らず、パーマネントカソード本体部の大きさ、重さなどによって適宜増やしても良く、その場合、両アンダーピン差込孔4、11からそれぞれの上端方向に設けられる。
エッジストリップ10は、一対として設けられるもので、パーマネントカソード本体部2の両側辺部に沿って、外側から両側辺部を覆うように設けられ、かつ、パーマネントカソード本体部2のカソードアンダーピン差込孔4とエッジストリップのエッジストリップアンダーピン差込孔11の孔の位置を合致させ、アンダーピン7を差し込み固定される。
本発明に係るエッジストリップ10は、パーマネントカソード本体部2の側辺部に嵌め込むためのガイド溝(図示せず)と、エッジストリップの一端部に形成されてガイド溝へ嵌め込まれたパーマネントカソードの側辺部を止め置くためのエンドキャップ6とを備え、かつ、パーマネントカソード本体部2の両側辺部の末端部は、エッジストリップ10のエンドキャップ6に嵌め込んで止め置かれるように、エンドキャップの形状に対応して成形された嵌合部を備えている。
さらに、本発明に係る電解精製用パーマネントカソード1を構成するパーマネントカソード本体部2の側辺部2aには、適正な位置に嵌め込まれ、アンダーピンにより固定されたエッジストリップ10を、より強固に固定するために、例えば、パーマネントカソード本体部2の厚さ方向に貫通しているカソードインナーピン差込孔(図示せず)、そしてエッジストリップ10には、そのカソードインナーピン差込孔と合致して貫通孔を形成し、エッジインナーピン差込孔(図示せず)を備えていても良い。
以上述べたように本発明に係る電解精製用パーマネントカソードのパーマネントカソード本体部下部の側辺部、及びエッジストリップ下部には、パーマネントカソード及びエッジストリップの厚さ方向に貫通するカソードアンダーピン差込孔、エッジストリップアンダーピン差込孔が少なくとも1箇所形成されており、パーマネントカソード本体部とエッジストリップは、カソードアンダーピン差込孔とエッジストリップアンダーピン差込孔が重なって形成された貫通孔に差し込まれたアンダーピンで固定されるものである。
本発明によれば、銅の電解精製で使用するパーマネントカソードにおいて、パーマネントカソード本体部の下端部と、パーマネントカソード本体部の両側辺部をマスキングするエッジストリップの下端部との間に隙間が生じることを抑えることで、その隙間への電解液の侵入を防ぎ、粒状の電気銅の電着を抑制する電解精製用パーマネントカソードを提供することができる。
次に、電解精製時における本発明に係る電解精製用パーマネントカソードの使用法を述べる。
電解精製に際しては、電解槽にパーマネントカソードを装入した時に、そのパーマネントカソードに固定されたエッジストリップの上端は、電解槽の液面よりも上に位置していることが好ましい。
エッジストリップの上端が、電解槽の液面よりも下に位置した場合、エッジストリップの上端から電解槽の液面までの間に電気銅が電着するため、エッジストリップの上端は、電着した電気銅により、エッジストリップが熱膨張により延びた状態で固定されてしまう。従って、操業が終わり常温に戻ったとき、エッジストリップは縮むため、エッジストリップにひび割れが生じるなどのトラブルが発生する。
さらに、エッジストリップが熱膨張により上方に延びる際に、上方に支障となるものが取り付けられている場合、例えば、図1に示すようなパーマネントカソードの吊り手であるビーム3がパーマネントカソード上端に取り付けられている場合、エッジストリップ10とパーマネントカソード本体部2の吊り手であるビーム3との位置について説明する。
エッジストリップ上端10aとビーム3の間には、隙間Gが設けられることが好ましい。その隙間Gは10〜150mmであることが好ましい。
この隙間Gが10mm未満の場合、実際に取り付ける精度から、上方に熱膨張したエッジストリップが、パーマネントカソードのビームにあたってしまう可能性がある。また、隙間Gが150mmを超える場合、パーマネントカソードの全表面積に対する電解液に浸かっているパーマネントカソード面積の割合が小さくなってしまう。
次に、パーマネントカソード及びエッジストリップに設けられるカソードアンダーピン差込孔4、エッジストリップアンダーピン差込孔11の位置について説明する。
これらのアンダーピン差込孔は、それぞれの孔を合致させて、パーマネントカソード本体部2とエッジストリップ10を貫通する貫通孔を形成し、その貫通孔にストップピンを差し込み、両者を固定するのに使われる。したがって、その貫通孔の位置で熱膨張による影響が決まってくる。
そこで、それぞれのアンダーピン差込孔4、11は、パーマネントカソード下端2b及びエッジストリップ下端10bから上方に100mmまでの領域であることが好ましい。
これらのアンダーピン差込孔4、11の位置が、パーマネントカソード下端2b及びエッジストリップ下端10bから100mmまでの領域に設けた場合、エッジストリップ10の線膨張係数が150×10−6[1/K]以下であれば、アンダーピンよりも下側に膨張する長さを、約0.5mm以下に抑えることが可能である。
パーマネントカソード下端2bとエッジストリップ下端10bに生じる隙間が、およそ0.5mm以下であれば、60℃前後の電解液の表面張力から、この電解液が侵入する可能性は小さい。
一方、エッジストリップアンダーピン差込孔11が、エッジストリップ下端10bから100mmよりも上の位置に設けられた場合、アンダーピンよりも下側で膨張する長さは、0.5mmよりも大きくなる可能性が出てくる。
従って、パーマネントカソード下端2bとエッジストリップ下端10bに生じる隙間は、0.5mmを超える可能性があり、電解液がこの隙間から侵入し、粒状の電気銅が電着する可能性が高くなる。
次に、エッジストリップの材質について説明する。エッジストリップの材質は、電解精製で使用する電解液による腐食に耐え、かつ線膨張係数が150×10−6[1/K]以下の樹脂であることが好ましい。
この線膨張係数が150×10−6[1/K]を超えると、アンダーピンよりも下側で膨張する長さは、0.5mmよりも大きくなる可能が出てくる。
従って、パーマネントカソード下端とエッジストリップ下端に生じる隙間は、0.5mmを超える可能性があり、電解液がこの隙間から侵入し、粒状の電気銅が電着する可能性が高くなる。
エッジストリップの具体的な材質は、硬質ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)の何れか1つであることが好ましい。
パーマネントカソードの具体的な材質は、ステンレス鋼であることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
図1(b)に示す本発明に係る電解精製用パーマネントカソードを作製して、銅の電解精製を行った。
先ず、厚み3.2mmのSUS316で作られたパーマネントカソード本体部2の両側辺部下端からH=100mmの位置に、直径8mmのカソードアンダーピン差込孔4を設ける。
次に、線膨張係数110×10−6[1/K]のABS樹脂で作られたエッジストリップ2の下端2bからH=100mmの位置に直径8mmのエッジストリップアンダーピン差込孔11を設ける。
また、このエッジストリップ上端は、電解槽にパーマネントカソードを入れた時、このパーマネントカソードに固定されたエッジストリップの上端が電解槽の液面よりも上に位置するように設けた。
具体的なエッジストリップの長さは1000mm、エッジストリップ上端とパーマネントカソード上端に取り付けられたビームとの距離Gは150mmとした。
続いて、図2に示すように準備したエッジストリップ10を、パーマネントカソード本体部2の両側辺部2a、2aに設けられたカソードインナーピン差込孔25により取り付けられたガイドインナーピン2cが、エッジストリップ10のガイド溝10cをスライドするように、エッジストリップ10を嵌め込み、白抜き矢印方向へ動かした。図2は、この時の嵌合状態を示す図で、(a)は図1における左側上部の部分図、(b)はa−a’線における断面図、(c)はエッジストリップ10の断面図で、2cはパーマネントカソード側辺部に設けられたガイドインナーピン、10cはガイド溝である。
次に、パーマネントカソードのカソードアンダーピン差込孔4とエッジストリップのエッジストリップアンダーピン差込孔11を合致する位置までエッジストリップ10を移動させ、貫通孔であるアンダーピン差込孔を形成した。そのアンダーピン差込孔にアンダーピン7を差し込み固定して、実施例1に係る電解精製用パーマネントカソード1を作製した。
その電解精製用パーマネントカソードを、電解液中に浸漬してカソードとし、銅の電解精製を実施したところ、12ヶ月経過してもパーマネントカソードとエッジストリップの隙間への電解液の侵入はなかった。また、粒状の電気銅の電着もなかった。
この結果、エッジストリップの破損も発生しなかった。
(比較例1)
比較例として、図3に示すパーマネントカソード本体部22の上部、及びエッジストリップ30の上部をピンで固定する形式の電解精製用パーマネントカソード21を用いて、実施例1と同様に銅の電解精製を実施した。
図3の電解精製用パーマネントカソード21では、パーマネントカソード本体部22に設けられるカソードアンダーピン差込孔の代わりに、パーマネントカソード両側辺部上端から100mmの位置にカソードトップピン差込孔を設け、エッジストリップに設けられるエッジストリップアンダーピン差込孔の代わりに、エッジストリップ上端から100mmの位置にエッジストリップトップピン差込孔を設け、前記トップピン差込孔にトップピンを差し込むことで固定することを除き、実施例1と同様にして行った。
銅の電解精製を実施してから、間もなくパーマネントカソードとエッジストリップの隙間へ電解液が侵入した。
その結果、粒状の電気銅が電着し、エッジストリップが破損した。
1、21 電解精製用パーマネントカソード
2、22 パーマネントカソード本体部
2a パーマネントカソード本体部の側辺部
2b パーマネントカソード本体部の下端部
2c ガイドインナーピン
3、23 ビーム
4 カソードアンダーピン差込孔
6 エンドギャップ
7 アンダーピン
10、30 エッジストリップ
10a エッジストリップ上端部
10b エッジストリップ下端部
10c ガイド溝
11 エッジストリップアンダーピン差込孔
24 カソードトップピン差込孔
25 カソードインナーピン差込孔
27 トップピン
31 エッジストリップトップピン差込孔
32 エッジインナーピン差込孔

Claims (8)

  1. 電解精製用パーマネントカソードであって、
    少なくともパーマネントカソード本体部と、前記パーマネントカソード本体部の両側辺部をマスキングする絶縁材からなる一対のエッジストリップを備え、
    前記パーマネントカソード本体部は、前記両側辺部下部の少なくとも1箇所に、前記本体部を厚さ方向で貫通しているカソードの両側辺部下部においてカソードとエッジストリップを固定するためのピン(以下、アンダーピンとよぶ)であるカソードアンダーピン差込孔を有し、
    前記エッジストリップは、前記カソードアンダーピン差込孔の少なくとも1箇所と合致して貫通孔を形成する位置に設けられるエッジストリップアンダーピン差込孔を備え、
    前記エッジストリップが、前記パーマネントカソード本体部の両側辺部に沿って、前記両側辺部を覆うように取り付けられ、且つ前記カソードアンダーピン差込孔とエッジストリップアンダーピン差込孔を合致させて貫通孔を形成し、前記貫通孔にアンダーピンを差し込み、前記エッジストリップをパーマネントカソード本体部に固定し、熱膨張により発生するパーマネントカソードとエッジストリップの熱膨張挙動の違いにより生じる線膨張長さの差を上部に逃がすことを特徴とする電解精製用パーマネントカソード。
  2. 前記エッジストリップアンダーピン差込孔が、前記エッジストリップ下端から、前記本体部下端と前記カソードアンダーピン差込孔間の距離Hと等しい距離の位置に設けられ、前記カソードアンダーピン差込孔と合致して貫通孔を形成し、前記貫通孔にアンダーピンを差し込み、前記エッジストリップをパーマネントカソード本体部に固定することを特徴とする請求項1に記載の電解精製用パーマネントカソード。
  3. 前記電解精製用パーマネントカソードが、電解槽に装入された際に、前記エッジストリップの上端が、電解槽内の電解液の液面よりも上に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解精製用パーマネントカソード。
  4. 前記カソードアンダーピン差込孔が設けられた領域が、前記パーマネントカソード本体部下端から上端に向かって100mmまでの領域であることを特徴とする請求項1から3にいずれか1項に記載の電解精製用パーマネントカソード。
  5. 前記エッジストリップが、電解精製で使用する電解液の浸食に耐え、かつ線膨張係数が150×10−[1/K]以下の樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解精製用パーマネントカソード。
  6. 前記エッジストリップの材質が、硬質ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)のいずれか1つであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解精製用パーマネントカソード。
  7. 前記パーマネントカソードの材質が、ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解精製用パーマネントカソード。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解精製用パーマネントカソードを用いて銅の精製を行うことを特徴とする銅の電解精製方法。
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