JP7106056B2 - 電解精製用パーマネントカソード及びそれを用いた銅の電解精製法 - Google Patents
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Description
当該手段として例えば、両側辺部へ絶縁材のエッジストリップの装着が行われている。
このエッジストリップには、操業の過程でパーマネントカソードが一時的に曲がったりするため弾性が求められ、また、カソード板への密着性が求められるため、通常、樹脂製のものが用いられている。
しかしながら、交換直後の新規なエッジストリップにおいてもエッジストリップ下端に粒状の電気銅の電着が見られ、この粒状の電気銅の粗大化によるエッジストリップの破損や、その粗大化した電気銅がアノードと接触してショートを起こし、設備の運転停止を招くなどの電気銅の生産効率に悪影響を及ぼすトラブルが発生している。
しかしながら、上記方法によっても、操業時間の経過とともに、エッジストリップ下端部に設けられたウレタン系樹脂とカソード板の間には隙間が生じる。一度、この隙間が生じると、この隙間から電解液が侵入し、粒状の電気銅の電着が始まる。粒状の電気銅が電着すると、この隙間は更に大きくなり、更なる電解液の侵入と粒状の電気銅の電着が始まり、最終的にはエッジストリップを破損させていた。
しかしながら、下端部にカソード板とエッジストリップの厚み方向に貫通する孔を設けたために、差込ピンと孔の隙間に電解液が侵入し、下端部とは異なる箇所で、粒状の銅が電着するという問題が生じていた。
図1は、本発明に係る電解精製用パーマネントカソードの形態を示す模式図で、(a)はエッジストリップの未装着状態、(b)はエッジストリップが装着された状態を示す図である。
パーマネントカソード法による銅の電解精製において、陰極として、カソードビーム11を有するパーマネントカソード10(図1(a)参照)が用いられる。なお、パーマネントカソード10のカソード板12の両側辺部13A、13Bには、エッジストリップ23A、23Bを装着するために、取付部16を構成する複数のインナーピン用の差込孔14と、トップピン用の取付孔15がそれぞれ設けられている。
トップピン用の取付孔15は電槽内で電解液面よりも上にくる位置、通常カソード板12の両側辺部上部のカソードビーム11近傍に設けられており、エッジストリップとパーマネントカソードを貫通するような形でピンを差し込んで両者の連結を行っている。
図2は、本発明に係るエッジストリップの実施例の横断面図で、(a)は埋め込み式型、(b)はヒンジ式型のエッジストリップを示す図で、両者共に、エッジストリップ23A、23Bの長手方向に垂直で、且つインナーピン31含む断面、即ち、紙面の垂直貫通面に相当する横断面図である。
本発明に係るエッジストリップ23A、23Bは、図2の横断面図に示すようにパーマネントカソードのカソード板12の両側辺部13A、13Bを嵌め込むためのガイド溝24が設けられるような一端が開放された凹断面形状を有し、ガイド溝24へ嵌め込まれたカソード板12の側辺部に止め置かれる。さらにカソード板の両側辺部の末端部が、エッジストリップのガイド溝に沿って嵌り込んで止め置かれるように、その末端部の形状に対応する形状にして嵌合部Fを形成していても良い。
このインナーピン31の先端部が収納溝26に納められることで、先端部は固着されずに収納溝26の溝壁の拘束を受ける以外は動きに自由度を有することになり、カソード板12に装着されたエッジストリップ23A、23Bは、カソード板12に固定せず、カソード板12とエッジストリップ23A、23Bの熱膨張差によるエッジストリップの伸び方向のガイドとしての働きをインナーピン31に付与している。
図3(b)において符号50~52、54、55、64、67は従来の連結機構におけるパーマネントカソードと、その構成部位を示し、各符号の説明は図3(a)の同一位置にある符号の説明と対応している。ここで、67は従来の装着孔である。
本発明の連結機構の大きな特徴は、図3(a)に示すように、カソード板と連結するためにトップピンを差し込む差込孔である装着孔27が、従来例の装着孔67と比べて長孔状(エッジストリップの長手方向(図3(a)の白抜き矢印方向)に伸びて長さLとなった形)の形状を有している点にある。
その長さLは、カソード板のトップピンの差込孔である取付孔15の孔径φに対して、1.3倍~1.5倍が望ましい。
その電解精製用パーマネントカソード50組(パーマネントカソード50枚、エッジストリップ100本)を、電解液中に浸漬してカソードとし、銅の電解精製を5回繰り返して実施した。電解精製終了後、エッジストリップの下端を確認したところ、問題としていた粒状の銅は一つも見られなかった。
従来通り、トップピン孔を円状としたエッジストリップを用いた以外は、実施例と同様に電解精製を実施した。電解精製終了後、エッジストリップの下端を確認した所、10本に粒状の銅が確認された。
11 カソードビーム
12 カソード板
12A、12B (カソード板12の)先端側辺部
13A、13B (カソード板12の)側辺部
14 ピン差込孔
15 取付孔
16 取付部
23、23A、23B エッジストリップ
24 ガイド溝
26 収納溝
27 装着孔
29A (エッジストリップ23Aの)先端部
29B (エッジストリップ23Bの)先端部
30 トップピン
31 インナーピン
40 丸棒
F 嵌合部
Claims (4)
- カソードビームと前記カソードビームに連結した矩形形状のカソード板からなり、前記カソード板の両側辺部をマスキングする絶縁材からなるエッジストリップを装着した電解精製用パーマネントカソードにおいて、
前記カソード板が、両側辺部のカソードビーム側の位置に取付部を有し、
前記取付部が、
前記エッジストリップと連結する両側辺部に、前記カソード板を貫通する複数のピン差込孔と、
前記複数のピン差込孔よりも前記カソードビーム側に円柱状の取付孔と、
前記ピン差込孔に差し込まれたインナーピンとを備え、
前記エッジストリップが装着部を有し、
前記装着部が、
前記カソード板の側辺部を収納、拘束するガイド溝と嵌合部、及び前記インナーピンの収納溝と、
前記エッジストリップの長手方向の片方の端部に、前記エッジストリップの長手方向に伸びた長孔状の貫通した装着孔とを備え、
前記装着部と前記取付部とは、嵌合しながら、前記カソード板の両側辺部に前記エッジストリップを連結し、カソード板先端側辺部を隙間なく拘束して動かない状態で装着するように前記エッジストリップの端部を嵌め込んで締め付ける連結機構を構成し、
前記装着孔を備えることにより前記エッジストリップの長手方向の片方の端部における前記カソード板の拘束が、前記エッジストリップの長手方向の他方の端部における前記カソード板の拘束より緩くなり、
前記連結機構が、前記エッジストリップを前記カソード板の両側辺に、エッジストリップの長さ方向で可逆的に移動可能に連結して前記カソード板と前記エッジストリップとの熱膨張係数の差により発生するエッジストリップの伸びの方向を、前記エッジストリップの長さ方向に拘束、誘導する機構を有することを特徴とする電解精製用パーマネントカソード。 - 前記カソード板と前記エッジストリップが、前記取付孔と装着孔とを貫通するトップピンを介して連結し、
前記エッジストリップが、前記トップピン及びインナーピンをガイドに、エッジストリップの長さ方向で可逆的に移動可能に、前記取付部と装着部が連結されていることを特徴とする請求項1に記載の電解精製用パーマネントカソード。 - 前記エッジストリップの装着孔が、前記取付孔の孔径の1.3倍以上の長さを有していることを特徴とする請求項2に記載の電解精製用パーマネントカソード。
- 銅の電解精製に際して、前記請求項1から3のいずれか1項に記載の電解精製用パーマネントカソードを用いることを特徴とする銅の電解精製法。
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