JP6093630B2 - 熱間プレス製品の製造方法 - Google Patents
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Description
この焼き入れにおける被成形材の冷却を、被成形材と金型との接触による抜熱に加え、被成形材と冷媒との接触による抜熱を併用して行う技術が、特許文献1に記載されている。
このプレス成形装置を用いた熱間プレス成形では、パンチを下死点に達した状態で維持し、その維持状態で冷媒導入溝と被成形材との間に形成された空間に冷媒を循環的に導入して被成形材の冷却を行い、その被成形材に焼入れを施すようになっている。パンチは、少なくとも被成形材の温度が所定値に低下するまで下死点で維持される。
具体的には、金型の形成面における溝が形成されていない領域では、金型が被成形材に直接接触して熱を奪い、形成面における溝が形成された領域では、冷媒が被成形材に接触して熱を奪うようになっている。
すなわち、導入口から冷媒導入溝に導入された冷媒は、被成形材の底壁部,側壁部,及びフランジ部を順次通過して、排出口から排出されるようになっている〔段落(0037)参照〕。
そのため、導入口から遠い部位程、冷媒による冷却効率が低下し、被成形材の部位によって冷却の程度に差が生じて冷却ムラとなる、という不具合が生じる虞がある。
また、被成形品に冷却ムラが生じると、焼き入れ硬度がばらつき、この熱間プレス成形で得られた熱間プレス製品の寸法精度が低下する虞がある。
1) 上型及び下型の離接動作により被成形材を熱間プレスして所定形状の熱間プレス製品を製造するための熱間プレス製品の製造方法であって、
前記上型及び下型の少なくとも一方を、
前記所定形状に対応した形状を有する形成面と、
側面に開口して内部に並設された複数の冷媒流路と、
前記形成面において前記複数の冷媒流路に対応して形成された複数の溝と、
前記複数の溝それぞれにおいて、前記溝に対応した前記冷媒流路と連通すると共に互いに離隔した位置に開口する複数の連通孔と、
前記複数の溝の内の一の溝における隣接する前記連通孔の間の部位と、前記一の溝の隣に並設された溝とを繋ぐ第1の連通溝と、
を有する金型とし、
前記上型と前記下型との間に前記被成形材を加熱した状態で挿入する被成形品挿入ステップと、
前記上型を前記下型に接近させて被成形品を変形させると共に前記上型を下死点位置で維持する下死点維持ステップと、
前記上型を下死点位置に維持した状態で、前記複数の冷媒流路の内の一の冷媒流路に冷媒を導入すると共に前記一の冷媒流路の隣に並設された冷媒流路から前記冷媒を回収して前記冷媒により前記被成形材を冷却する冷媒導入回収ステップと、
を含み、
製造した熱間プレス製品に対して溶接を施す場合に、前記下死点維持ステップにおいて、前記金型における前記複数の溝と前記第1の連通溝とにより区切られた突出部を、前記被成形材における前記溶接を施す部位に接触させることを特徴とする熱間プレス製品の製造方法である。
以下に説明する熱間プレス成形装置は、被成形品である鋼板を所定形状(この例ではハット形状)に熱間プレス成形して熱間プレス製品Ws(以下、単に製品Wsとも称する)を得るものである。
ここで製品Wsは、熱間プレス成形で得られる成形品を意味し、熱間プレス成形後の別の工程で、更に加工(溶接や穴明け加工等)を施すこともあり得るものである。
一対の金型は、凸型であるパンチ1と凹型であるダイ41との組であり、パンチ1が下型とされている。もちろん、パンチ1を上型とし、ダイ41を下型としてもよい。
図1は、パンチ1を前方右斜め上から見た斜視図である。図2は、パンチ1の上面図である。図3は、パンチ1を右方から見たときの後方上端部の部分側面図である。図4は,パンチ1の前面図である。図5は、図1における範囲A1を切り出して、前方右斜め上から見た斜視的断面図である。
凸部1bは、上面1b1,左側面1b2,及び右側面1b3と、前側面1b4及び後側面1b5とを有して直方体状に形成されている。
凸部1bにおいて、前側面1b4は基部1aの前側面1a2と同一面であり、後側面1b5は、基部1aの後側面1a3と同一面である。
被成形材Wが接触しない非形成面1c1となる。この非形成面1c1が表面となる部位を、非形成部1cと称する。
非形成面1c1は、上方から見た場合枠状に視認される(図2参照)。
すなわち、形成面1d1は、基部1aの上面1a1、並びに、凸部1bの上面1b1,左側面1b2,及び右側面1b3に跨り、各面の一部を含む面である。この形成面1d1が表面となる部位を形成部1dと称する。
貫通孔1eの具体的な形成位置は、図4に示されるように、形成面1d1から概ね一定距離離れた位置である。すなわち、パンチ1を右方から見た場合に、外形形状(表面)に沿うように配設されている。
貫通孔1eは、パンチ1自体を冷却するための冷却水管として機能し、熱間プレス成形時に、水などの冷媒が常時循環的に流入される。
この例では、左方側から順番に、冷媒流路1f1〜1f13の13個が形成されている。
具体的には、図4に示されるように、左方側の上面1a1に対応して冷媒流路1f1,1f2が形成され、凸部1bの左側面1b2に対応して冷媒流路1f3〜1f5が形成され、凸部1bの上面1b1に対応して冷媒流路1f6〜1f8が形成され、凸部1bの右側面1b3に対応して冷媒流路1f9〜1f11が形成され、右方側の上面1a1に対応して冷媒流路1f12,1f13が、形成されている。
パンチ1においては、形成部1dの概ね全範囲に亘り、縦溝2及び横溝5が格子状に形成されている。
縦溝2は、凸部1bの延在方向(前後方向)に沿って複数本が並設されている。
パンチ1では、左方側から縦溝201〜縦溝213の13本の縦溝2が互いに平行に設けられている。
また、図4に示されるように、縦溝201〜縦溝213と冷媒流路1f1〜1f13とをそれぞれ連通させる連通路3(連通路301〜313)が設けられている。連通路301〜313は、形成面1d1に対して概ね直交する方向に形成されている。
連通路301〜313は、縦溝201〜213においてそれぞれ開口部3a(301a〜313a)で開口している。
この形成態様について、例えば最右の冷媒流路1f13を代表として、図1及び図3を主に参照し説明する。
すなわち、冷媒流路1f13と縦溝213とを連通する連通路3は、前方側から順に昇順で連通路31301〜31312として形成され、それぞれ開口部3a(開口部313a01〜313a12)にて縦溝213に開口している。図2では、代表として、開口部313a01,313a07,313a12などの符号を記載してある。
他の冷媒流路1f1〜冷媒流路1f12についても、符号付与の仕方は同様である。
パンチ1では、開口部3aの前後方向の間隔P01(図2参照)はすべて同じとされている。
従って、例えば、左方から6番目(6列目)の縦溝206に形成された前方から7番目(7行目)の連通路3及び開口部3aは、連通路30607及び開口部306a07との符号付けにより特定される(図2参照)。
このように、実施例のパンチ1では、12行13列で、合計156箇所に連通路30101〜31312が設けられている。
これら12本の横溝5は、パンチ1において互いに平行に、かつ縦溝2に直交するように形成されている。
各中間横溝6を詳細区別するために付与する符号は、図2における中間横溝60506の例示や、図3における中間横溝61112等の例示のようになる。
すなわち、中間横溝6が、前方から5本目の横溝505と6本目の横溝506との間にある場合、符号を60506と付与し、11本目の横溝511と12本目の横溝512との間にある場合、61112と付与する。
また、パンチ1では、横溝501よりも前方側に1本の中間横溝60001が形成され、横溝512よりも後方側に1本の中間横溝61213が形成されている。
図5には、縦溝207と横溝503との交点部位と、冷媒流路1f7と、を繋ぐ連通路30703,縦溝208と横溝503との交差部位と、冷媒流路1f8と、を繋ぐ連通路30803,及び中間横溝60304などが示されている。
連通路30703及び連通路30803は、それぞれ開口部307a03及び開口部308a03で外部に開口している。開口部3aの内径(又は開口部3aの外接円径)は、例えば4mmで形成される。この内径は、図5及び図3などの記載では、縦溝207,208や横溝503の幅よりも大きく設定されているが、限定されるものではなく、相対的に小さく設定されていてもよい。
縦溝2,横溝5,及び中間横溝6のいずれかが、複数ある場合は、互いに平行に設けると、冷却ムラをより抑制できるので好ましい。
各溝の断面形状は、矩形の場合、例えば幅2.0mm、深さ0.5mmとされる。
パンチ1において、縦溝2に対して横溝5及び中間横溝6は直交し、かつ各溝の断面形状が矩形とされているので、突出部Tsは扁平の直方体を呈する。具体的な寸法例は、例えば長さ(長手延面距離)25mm、幅2.0mm、高さ0.5mmである。
図6では、3本の縦溝2とそれぞれに対応する3本の冷媒流路1fとを有する範囲(冷媒流通部F1)について説明する。
図6では、理解容易のために、縦溝2を太実線で、また、中間横溝6を細実線で示している。従って、この太細は、各溝の幅を制限するものではない。
冷媒流通部F1において、一つの冷媒流路1fに連通した複数の連通路3は、形成面1d1に前後方向一列に並んだ複数の開口部3aにて外部空間に連通している。この開口部3aの一列は、形成面1d1に形成された縦溝2の底部を含むように開口している。すなわち、開口部3aの一列を繋ぐように縦溝2が形成されている。
例えば、隣の縦溝2が一方側と他方側との二つ存在する場合(図6の縦溝2Lと縦溝2R)は、中央の縦溝2Cから縦溝2L及び縦溝2Rの内の少なくとも一方に繋がる中間横溝6が存在する。
中間横溝6は、3本以上の縦溝2に繋がっていてもよく、図6では、3本の縦溝2L,2C,2Rすべてに繋がっている中間横溝6pが例示されている。
縦溝2,横溝5,及び中間横溝6に区切られた部分は、突出部Tsであり、図6で示されたように、突出部Tsの形状は互いに異なっていてもよい。
図7は、冷媒流通部F41,貫通孔41e,及び冷媒流路41fを備えたダイ41を示す斜視図である。冷媒流通部F41は、冷媒流通部Fに相当し、貫通孔41eは貫通孔1eに相当し、冷媒流路41fは冷媒流路1fに相当する。
ダイ41は、ここでは上型として例示されるが、もちろん下型として用いられてもよい。
図7では、符号の代表として縦溝201,213と、横溝501,510と、開口部302a03と、を表記してある。
この冷却システムRMは、ダイ41の冷媒流通部F41に対して冷媒RBの導入回収を行う場合にも適用される。
また、冷媒流路1fとして、冷媒流路1f1〜1f4及び冷媒流路1f11〜1f13の7個が代表として記載されている。
冷媒流路1f以外の外部空間に開口する連通路3等は、省略してある。
すなわち、冷媒流路1feは、冷媒流路1f2,1f4,1f6,・・・,1f12である。
一方、回収配管8は、一方側が冷媒循環装置JSに接続され、他方側が途中で分岐して奇数番目の冷媒流路1f(以下、冷媒流路1fueと称する)に接続されている。
すなわち、冷媒流路1fueは、冷媒流路1f1,1f3,1f5,・・・,1f11,1f13である。
冷媒循環装置JSは、冷媒RBを導入配管7へ供給し回収配管8から回収して循環させる。
また、冷媒循環装置JSは、ダイ41の貫通孔1eに対して、プレス成形実行中、冷媒(水など)を常時循環供給する。
この上型の上下動は駆動装置(図示せず)により実行され、駆動装置及び冷媒循環装置JSの動作は、制御装置(図示せず)により制御される。
以下に説明する例は、パンチ1及びダイ41に、それぞれ冷媒流通部F及び冷媒流通部F41を設け、各冷媒流通部F,F41に冷媒循環装置JSを接続して冷媒の導入回収を行う熱間プレス成形装置での例である。
図9では、簡略化してパンチ1,ダイ41,及び被成形材Wのみが示されている。また、工程を図9(a)〜(d)の四工程に分けこの順で説明する。
予めパンチ1及びダイ41を、冷媒循環装置JSにより、冷却水管である貫通孔1e,41eに水を循環流入させて冷却しておく。この冷却により、パンチ1及びダイ41は、成形中、例えば100℃以下に維持される。
冷媒循環装置JSによる冷媒流通部F,F41への冷媒RBの導入は停止しておく。
この金型冷却状態で、予め約900℃に加熱した被成形材Wを、パンチ1とダイ41との間に挿入する。
ダイ41を下降させ、被成形材Wを金型の形状に応じた形状に塑性変形させる。ダイ41が下死点に達したら、その位置で所定時間維持させる。
この所定時間内で被成形材Wを急冷し、焼き入れを行う。
すなわち、ダイ41が下死点に達したら、冷媒循環装置JSは冷媒流通部F,F41に対して冷媒RBの循環導入を開始する。
急冷は、被成形材Wと、パンチ1及びダイ41と、の直接接触による抜熱に加え、冷媒流通部F,F41の縦溝2,横溝5,及び中間横溝6に冷媒RBを循環的に導入させることによる冷媒RBと被成形材Wとの直接接触による抜熱でも行う。冷媒流通部Fへの冷媒RBの導入については、詳細を後述する。
被成形材Wと直接接触するパンチ1及びダイ41の部位は、冷媒流通部F,F41における突出部Tsである。
この冷媒RBを併用した抜熱により、被成形材Wの冷却速度は顕著に高速化し、焼き入れは短時間で完了する。例えば、焼き入れが数秒で完了し、上型の下死点保持時間を10秒以下とすることができる。被成形材Wは、塑性変形及び焼き入れにより製品Wsとなる。
冷媒循環装置JSは、冷媒流通部F,F41への冷媒RBの循環導入を所定時間実行後、停止する。
この循環導入を行う所定時間は、冷媒RBの導入開始から被成形材Wの温度が、例えば約200℃以下になるまでの時間であり、本生産前の試打ち段階で最適な冷却プロファイルとなるように、導入する冷媒RBの流量や温度等を含めて設定しておく。
冷媒流通部F,F41への冷媒RBの循環導入の所定時間が経過して導入を停止したら、ダイ41を上昇させ、パンチ1側から離隔させる。この工程で製品Wsがパンチ1側に残るように、製品Wsのパンチ1への食いつき具合や、ダイ41の抜け具合等は試打ち段階で予め調整しておく。
ダイ41をさらに上昇させて、製品Wsを図示しない排出装置によりパンチ1から取り出して外部へ排出する。
以上の工程で、被成形材Wの熱間プレス成形が実行され製品Wsが得られる。
図10は、図9(b)における冷媒流路1f,41fに沿ったS1−S1位置での断面図であり、図11は、図9(b)の状態において、図2の横溝5及び中間横溝6の横断面となるS2−S2位置に相当する断面図である。
また、図12は、冷媒RBの流れを説明するために冷媒流通部Fの一部を模式的に示した平面図である。ここでは、一本の冷媒流路1feに連通する縦溝2(207)と両隣の一対の冷媒流路1fueに連通する縦溝2(206,208)とを含む領域(すなわち、縦溝206〜208と横溝504〜506を含む図2における領域A2)が示されている。
冷媒流路1f,41fは、偶数番目の冷媒流路1fe,41feであり、冷媒循環装置JSから冷媒RBが供給される。供給された冷媒RBの流れは矢印で示されている。(図10において、冷媒循環装置JSは、冷媒流路1fe,41feの左方側に連結されているものとする。)
冷媒流路1fe,41feを流れる冷媒RBは、連通路3に流入し開口部3aから縦溝2又は横溝5に進入する。
また、縦溝2には、その縦溝2に直交するように(紙面表裏方向)、横溝5及び中間横溝6が連通形成されている。
具体的には、貫通孔3が形成された部位には横溝5が連通し、隣接する二本の横溝5の間には3本の中間横溝6が連通形成されている。
横溝5と中間横溝6との間、及び、中間横溝6同士の間の部分が突出部Tsである。パンチ1及びダイ41は、この突出部Tsにおいて被成形材Wと直接接触している。図10において、突出部Tsは、簡単のためパンチ1及びダイ41それぞれに一箇所ずつ符号を記載してある。
例えば、冷媒流路1fe,41feから開口部3aを経て縦溝2に流入した冷媒RBは、次いで紙面前後方向に連通した中間横溝6に流入する。
すなわち、開口部3aから噴出した冷媒RBは、縦溝2を経由するしないにかかわらず、すべて横溝5又は中間横溝6へ流入し隣接する縦溝2に向かって流動する。例えば、図11の切断位置(図2におけるS2−S2位置)では、紙面裏側から表側に向けて流れる。
図12では、単純化のため、溝それぞれを一本の実線で示し、冷媒が噴出する開口部3a(以下、噴出開口部3afと称する)を白丸で示し、冷媒が排出する開口部3a(以下、排出開口部3ahと称する)を黒丸で示し、冷媒RBの流動方向を矢印で示してある。
従って、縦溝2に交わる横溝5には、噴出開口部3afと排出開口部3ahとが交互に開口している。
このように、冷媒RBを噴出する噴出開口部3afの近傍に、冷媒RBを排出する排出開口部3ahが存在するようになっている。
また、噴出開口部3afから縦溝2(207)に流入した冷媒RBは、縦溝2(207)における隣の噴出開口部3afよりも近くにその縦溝2(207)に連通する中間横溝6が形成されているので、直ちに中間横溝6に流入して隣接する縦溝2(206又は208)に到達する。
すなわち、中間横溝6が形成されていることで、隣接する2つの噴出開口部3afから縦溝2(207)へそれぞれ他方の噴出開口部3afに向かうように流入した冷媒RBは、2つの噴出開口部3afの中間でぶつかり合って滞留することなく中間横溝6へ流入し、淀むことなく隣接する縦溝2(206又は208)に転入することができる。
従って、冷媒RBが噴出する噴出開口部3afから排出する排出開口部3ahに至る冷媒流路長が、極めて短くなっている。
従って、冷媒RBが噴出開口部3afから噴出して排出開口部3ahから排出されるまでの時間が極めて短くなる。
そのため、接触時間内の冷媒RBの温度上昇は良好に抑えられ被成形材Wからの抜熱効率が向上する。
また、高温の被成形材Wに対し、充分に冷たい冷媒RBが常に接触することになり、被成形材Wの冷却速度が高速化する。
従って、製品Wsの熱間プレス成形において高い生産性が得られる。
また、冷媒RBが被成形材Wの表面全体に偏りなく高速で到達するので、被成形品に冷却ムラが生じない。
従って、製品Wsに冷却ムラに起因する不具合が生じることはない。
従って、例えば、冷媒流通部F,F41は、形成面1d1の範囲内において、独立して複数設けてもよい。
これらの溝に起因する不具合を回避するため、冷媒流通部F41は、形成面1d1における肩部K41には設けなくてもよい。
これが、形成面1d1に冷媒流通部F,F41を独立して複数設ける例の一つとなり、図13及び図14を参照して説明する。
ダイ41Aでは、冷媒流通部F41は、肩部K41を挟んで三つの部分、すなわち、冷媒流通部F41a〜F41cとして形成されている。図14では、冷媒流通部F41a〜F41cが形成されている左右方向の範囲が矢印で示されている。
また、冷媒流路1fは、延面上、左側から順に、冷媒流路1Af1〜1Af11の11本が形成されている。
偶数番目の冷媒流路1feには、導入配管7が接続されて冷媒循環装置JS(図13には不図示)から冷媒RBが導入され、奇数番目の冷媒流路1fueには、回収配管8が接続されて冷媒循環装置JSへ冷媒RBを排出するようになっている。
具体的には、冷媒流路1Af2には、冷媒流通部F41aの右端部に連通する連通路3Aaと、冷媒流通部F41bの左下端部に連通する連通路3Ab1と、が形成されている。
また、冷媒流路1Af10には、冷媒流通部F41bの右下端部に連通する連通路3Ab2と、冷媒流通部F41cの左端部に連通する連通路3Acと、が
形成されている。
すなわち、隣接する冷媒流路部との間で、冷媒流路を共有するようになっている。
これにより、冷媒流路1Afの本数を少なく(ダイ41Aでは2本削減)することができ、ダイ41Aの製造コストを低減することができる。
また、隣接する冷媒流通部Fが同一平面内に分離して形成されている場合でも、同様に適用することができる。
この例として、熱間プレス製品の形状が、例えば長手方向の中央部位の幅が拡張する略船底形状とされた場合がある。この場合、冷媒流通部Fを、中央部の縦溝を独立して増やしたものとすることが可能である。
図15に示される冷媒流通部FVは、図の上下両端部側に、4本の縦溝2V1〜2V4を有し、中央の幅広部分には、4本の縦溝に加えてその左右中央部位に独立した縦溝2V5を有している。縦溝2V5に横溝及び中間横溝は接続されていない。
また、縦溝2V5には、複数の開口部3aとして、冷媒RBが噴出する噴出開口部3afと排出する排出開口部3ahとが、延在方向に概ね等間隔で離隔して交互に形成されている。
この冷媒流通部FVは、各縦溝と内部に形成された図示していない冷媒流路1fとの連通形態が複雑になるが、製品形状によっては冷却効率の観点で有効であり、本発明の実施例における変形例として適用してよい。
冷媒流通部FV2は、図16に示されるように、一つの溝と、その溝に互いに離隔して開口する複数の開口部と、からなる。複数の開口部は、噴出開口部3afと排出開口部3ahとが互いに離隔して交互に形成されている。この場合も、噴出する噴出開口部3afに対し排出する排出開口部3ahが近接し、各開口部間の溝を流れる冷媒の流動方向が定まるので、流れは淀むことなく高速となる。
従って、焼入れにおける被成形材Wの冷却速度が高速化して生産性が向上する。
また、冷媒流通部FV2の全体に高速で偏りなく冷媒RBが流通するので、冷却ムラが生じることがない。
従って、製品Wsに冷却ムラに起因する不具合が生じることはない。
冷媒流通部FV3においても、図の中央の縦溝2において、隣接する2つの噴出開口部3afの間に、隣の縦溝2へ接続する中間横溝6が形成されている。
この中間横溝6は、隣の縦溝2において、隣接する2つの排出開口部3ahの間に繋げられている。
この場合でも、同じ縦溝2において隣接する2つの噴出開口部3afの間に、隣の縦溝2において隣接する2つの排出開口部3ahの間に繋がる中間横溝6が必ず存在するようになっている。
従って、焼入れにおける被成形材Wの冷却速度が高速化して生産性が向上する。
また、冷媒流通部FV3〜fV5の全体に高速で偏りなく冷媒RBが流通するので、冷却ムラが生じることがない。
従って、製品Wsに冷却ムラに起因する不具合が生じることはない。
各連通路3の断面形状及び流路面積は限定されず適宜設定することができる。
各開口部3aの開口形状及び開口面積は限定されず適宜設定することができる。
パンチ1及びダイ41の材料は、熱間プレス成形に用いられる一般的な鋼材を用いることができる。
冷媒RBは、上述の水に限定されず、冷媒を冷却に用いる熱間プレス成形で周知の冷媒(例えば、シリコーンオイルなど)を用いることができる。
また、被成形材Wを熱間プレス成形して得られた製品Wsにスポット溶接等の溶接を施す場合、上型が下死点に維持された状態で、被成形材Wの溶接が施される部位には突出部Tsが接触するように突出部Tsの位置を設定しておくことは好ましい。
溶接が施される部位に突出部Tsを接触させることで、その部位にいずれかの溝の縁部が接触して表面に凹凸が形成される虞を排除することができる。被成形材Wの表面に溝に起因する凹凸が形成されないので、製品Wsは溶接性が向上する。
また、設けられている範囲やその形状も、被成形材Wを挟んで対応しているものに限らず、パンチ1側とダイ41側とで自由に設定してよい。
具体的には、横溝5が形成されている場合、0(ゼロ)回(直接横溝5へ導入)又は2回(縦溝2−中間横溝6−隣接縦溝2)のいずれかで済む。
横溝5が形成されていない場合も、必ず2回(縦溝2−中間横溝6−隣接縦溝2)で済む。
従って、冷媒RBの流れが妨げられ難く、冷媒RBは淀みなく高速で流れる。
これは、複数本の縦溝2を設けた場合に、噴出開口部3afと排出開口部3ahとを異なる縦溝2に、交互に配設したことによる。
従って、突出部Tsの形状は、細長、すなわち、幅Dに対する長さ(延面距離)Lの比が大きい方が好ましい(L及びDは図5参照)。例えば、10≦L/D であるとより好ましい。
1a 基部、 1a1 上面、 1a2 前側面、 1a3 後側面
1a4 左側面、 1a5 右側面
1b 凸部、 1b1 上面、 1b2 左側面、 1b3 右側面
1b4 前側面、 1b5 後側面
1c 非形成部、 1c1 非形成面、 1d 形成部
1d1 形成面、 1e 貫通孔(冷却水管)
1f,41f,1Af1〜1Af11 冷媒流路(貫通孔)
1fe,41fe (偶数番目の)冷媒流路
1fue (奇数番目の)冷媒流路、 1f1〜1f13 冷媒流路
2,201〜213,2C,2L,2R,2V1〜2V5 縦溝
3,301〜313,30101〜31312 連通路
3a,301a〜313a,301a01〜313a12 開口部
3af 噴出開口部、 3ah 排出開口部
5,501〜512 横溝
6,60001〜61213 中間横溝
7,7e 導入配管
8,8e 回収配管
41,41A ダイ(熱間プレス成形装置)
A1 範囲、 A2 領域
D 幅
F,F1,F41,F41a〜F41c,FV,FV2〜FV5 冷媒流通部
JS 冷媒循環装置
K1,K41 肩部
L 長さ(延面距離)
P01 間隔
RB 冷媒、 RM 冷却システム、 R1〜R4 フィレット部
Ts 突出部
W 被成形材、 Ws 製品
Claims (1)
- 上型及び下型の離接動作により被成形材を熱間プレスして所定形状の熱間プレス製品を製造するための熱間プレス製品の製造方法であって、
前記上型及び下型の少なくとも一方を、
前記所定形状に対応した形状を有する形成面と、
側面に開口して内部に並設された複数の冷媒流路と、
前記形成面において前記複数の冷媒流路に対応して形成された複数の溝と、
前記複数の溝それぞれにおいて、前記溝に対応した前記冷媒流路と連通すると共に互いに離隔した位置に開口する複数の連通孔と、
前記複数の溝の内の一の溝における隣接する前記連通孔の間の部位と、前記一の溝の隣に並設された溝とを繋ぐ第1の連通溝と、
を有する金型とし、
前記上型と前記下型との間に前記被成形材を加熱した状態で挿入する被成形品挿入ステップと、
前記上型を前記下型に接近させて被成形品を変形させると共に前記上型を下死点位置で維持する下死点維持ステップと、
前記上型を下死点位置に維持した状態で、前記複数の冷媒流路の内の一の冷媒流路に冷媒を導入すると共に前記一の冷媒流路の隣に並設された冷媒流路から前記冷媒を回収して前記冷媒により前記被成形材を冷却する冷媒導入回収ステップと、
を含み、
製造した熱間プレス製品に対して溶接を施す場合に、前記下死点維持ステップにおいて、前記金型における前記複数の溝と前記第1の連通溝とにより区切られた突出部を、前記被成形材における前記溶接を施す部位に接触させることを特徴とする熱間プレス製品の製造方法。
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