第1の実施の形態.
<画像形成装置の全体構成>
まず、本発明の第1の実施の形態の画像形成装置1の全体構成について説明する。図1は、第1の実施の形態の画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は、ここでは、電子写真法を用いたタンデム型のカラープリンタとして構成されている。
画像形成装置1は、媒体としての用紙Pを供給する媒体供給ユニット7と、媒体供給ユニット7によって供給された用紙Pにトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部2と、トナー像を用紙Pに定着する定着ユニット8と、用紙Pを排出する排出ユニット9とを有している。
媒体供給ユニット7は、画像形成装置1の本体1aに着脱可能に取り付けられた媒体カセット70と、媒体カセット70内の用紙Pを一枚ずつ送り出すピックアップローラ71とを備えている。さらに、ピックアップローラ71によって送り出された用紙Pの搬送路に沿って、用紙Pのスキューを矯正しながら搬送するレジストローラ対72と、用紙Pを画像形成部2に向けてさらに搬送する搬送ローラ対73とが配置されている。
画像形成部2は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像(現像剤像)を形成する画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cを有している。画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cは、用紙Pの搬送方向に沿って、ここでは図中右から左に向かって一列に配列されている。
画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの各感光体ドラム11(後述)の上方に対向するように、露光部としてのLED(発光ダイオード)ヘッド19K,19Y,19M,19Cが配置されている。
画像形成ユニット10Kは、イメージドラムユニット17K(プロセスユニットとも称する)と、このイメージドラムユニット17Kにトナーを供給するための現像剤収容器としてのトナーカートリッジ18Kとを有している。
イメージドラムユニット17Kは、像担持体しての感光体ドラム11Kと、感光体ドラム11Kの表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ12Kと、感光体ドラム11Kの表面に形成された潜像を現像する現像部(現像剤担持体)としての現像ローラ13Kと、現像ローラ13Kにトナーを供給する供給部としての供給ローラ14Kとを備えている。
イメージドラムユニット17Kにおいて、現像ローラ13Kおよび供給ローラ14Kが収容された領域は、現像剤収容部としてのトナー収容部15Kを構成している。トナーカートリッジ18Kのトナーは、トナー収容部15Kに供給される。トナー収容部15Kに供給されたトナーは、供給ローラ14Kから現像ローラ13Kに供給され、感光体ドラム11K上のトナーの現像に使用される。
トナーカートリッジ18Kは、イメージドラムユニット17Kにトナーを供給するものであり、画像形成装置1の本体1aに対して着脱可能に取り付けられている。すなわち、トナーカートリッジ18Kは、画像形成装置1の交換部品(消耗部品)である。
画像形成ユニット10Kには、さらに、現像剤量検出部としてのトナーロー検出部4Kと、第1の記憶部としてのRFID(Radio Frequency Identification)タグ5Kと、RFIDリードライト部35Kとを備えている。
トナーロー検出部4Kは、イメージドラムユニット17K内に収容されたトナーの量(物理量)を検知する。より具体的には、トナーロー検出部4Kは、イメージドラムユニット17K内に収容されたトナーの量が所定量以下となったことを検出する。
RFIDタグ(以下、タグと称する)5Kは、トナーカートリッジ18Kに取り付けられている。タグ5Kは、後述する情報の記憶エリア(図5)を有する不揮発性メモリを備えている。図1に示した例では、タグ5Kは、トナーカートリッジ18Kの上面の近傍に取り付けられている。
RFIDリードライト部(以下、リードライト部と称する)35Kは、タグ5Kに対して情報の書き込みおよび読み出しを行う。図1に示した例では、リードライト部35Kは、画像形成装置1のトップカバー1bに取り付けられている。トップカバー1bを閉じた状態で、リードライト部35Kがトナーカートリッジ18Kに取り付けられたタグ5Kと対向し、タグ5Kとの間で無線による情報の書き込みおよび読み出しを行う。
画像形成ユニット10Y,10M,10Cは、使用するトナーを除き、画像形成ユニット10Kと同様の構成を有しているため、ここでは詳細説明を省略する。図1において、画像形成ユニット10Y,10M,10Cの各構成要素には、それぞれ符号Y,M,Cを付して示す。
画像形成部2は、また、画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの下側に対向して、転写部20を有している。転写部20は、画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの感光体ドラム11K,11Y,11M,11Cにそれぞれ対向配置された3つの転写ローラ21K,21Y,21M,21Cを備えている。転写部20は、さらに感光体ドラム11K,11Y,11M,11Cと転写ローラ21K,21Y,21M,21Cとに挟持された無端状の転写ベルト22と、この転写ベルト22が張架された駆動ローラ23およびテンションローラ24とを備えている。
転写ベルト22は、その表面に、用紙Pを静電吸着により保持する。また、転写ベルト22は、駆動ローラ23の回転により走行し、用紙Pを画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cに沿って搬送する。テンションローラ24は、転写ベルト22に所定の張力を付与する。転写ローラ21K,21Y,21M,21Cは、転写電圧を印可されており、感光体ドラム11K,11Y,11M,11Cに形成されたトナー像を転写ベルト22上の用紙Pに転写する。
定着ユニット8は、定着部材としての定着ローラ81と、加圧部材としての加圧ローラ82とを有している。定着ローラ81および加圧ローラ82は、用紙Pを挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙Pに定着する。
排出ユニット9は、定着ユニット8を通過した用紙Pを搬送し、排出口93をから画像形成装置1の外部に排出する排出ローラ対91,92を備えている。画像形成装置1のトップカバー1bには、排出口93から排出された用紙Pを載置するスタッカ部94が設けられている。
<トナーロー検出システム>
次に、イメージドラムユニット17Kに収容されたトナー量が所定量以下となったことを検出するトナーロー検出システムについて説明する。
上記のとおり、イメージドラムユニット17Kには、トナーロー検出部4Kが設けられている。図2(A)および(B)は、トナーロー検出部4Kの構成例を示す模式図である。イメージドラムユニット17Kには、光を発する発光部41と、光を受光する受光部42とが、トナー収容部15Kを挟んで対向するように配置されている。イメージドラムユニット17Kにおいて発光部41の出射側には、発光部41から出射された光を透過する窓部43が設けられている。また、受光部42の入射側には、受光部42に入射する光を透過する窓部44が設けられている。
発光部41および受光部42は、イメージドラムユニット17Kにおいて所定の高さHに配置されている。図2(A)に示すように、トナー収容部15Kにトナー(符号Tで示す)が高さHまで堆積しているときには、発光部41から出射された光はトナーTによって遮られ、受光部42に入射しない。そのため、受光部42の出力はOFFとなる。これに基づき、主制御部3(後述)は、トナーTの残量をHigh(トナー量:大)と判断する。
一方、図2(B)に示すように、トナー収容部15KにトナーTが高さHまで堆積していないときには、発光部41から出射された光は、トナーTによって遮られず、受光部42に入射する。そのため、受光部42の出力はONとなる。これに基づき、主制御部3は、トナーTの残量をLow(トナー量:小)と判断する。
このようにして、トナーロー検出部4Kは、イメージドラムユニット17Kに収容されたトナーが所定量以下となったこと(すなわち、トナーロー状態)を検出する。
なお、トナーロー検出部4Kがトナーロー状態を検出した時点では、トナーが図2に符号Hで示した高さまで堆積している。そのため、トナーロー検出部4Kは、イメージドラムユニット17Kのトナー収容部15Kに収容されたトナー量(トナー残量)を検出していることにもなる。
同様に、トナーロー検出部4Y,4M,4Cによって、イメージドラムユニット17Y,17M,17Cのトナー収容部15Y,15M,15Cに収容されたトナー量が所定量以下になったことが検出される。
なお、トナーロー検出部4K、4Y,4M,4Cの構成および検知方法は、図2に示した例に限定されるものではない。例えば特開平9−54488号公報に開示されているように、トナーを攪拌する回転体の回転を検出することによってトナー残量を検出してもよい。
トナーロー状態とは、イメージドラムユニット17(17K,17Y,17M,17C)のトナー収容部15(15K,15Y,15M,15C)内のトナー量が所定値以下となる状態、より具体的には、上記のトナーロー検出部4(4K,4Y,4M,4C)によって検出されるトナーレベル以下となる状態をいう。トナーエンプティ状態とは、トナーロー状態からさらにトナー量が減少し、実質的に印刷が不能な程度までトナー量が減少した状態をいう。
なお、トナーカートリッジ18(18K,18Y,18M,18C)の装着時には、イメージドラムユニット17(17K,17Y,17M,17C)内とトナーカートリッジ18とは連通している。そのため、イメージドラムユニット17がトナーロー状態であるときには、トナーカートリッジ18内のトナー残量は既にゼロになっている。
<画像形成装置の制御系>
図3は、画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部としての主制御部3と、印刷制御部36と、表示部(または操作部)としての操作パネル部34と、トナーロー検出部4K,4Y,4M,4Cと、リードライト部35K,35Y,35M,35Cと、第2の記憶部としての本体メモリ6K,6Y,6M,6Cとを有している。
主制御部3は、画像形成装置1の全体の動作を制御する。主制御部3は、さらに、イメージドラムユニット17Kに対応して設けられたドットカウント部31K、算出部32Kおよび判断部33Kを備えている。ドットカウント部31Kおよび算出部32Kは、現像剤量算出部を構成している。
ドットカウント部31Kは、ドットカウント値(すなわち、LEDヘッド19Kの点灯ドットのカウント値)を計測する。算出部32Kは、ドットカウント部31Kで算出されたドットカウント値に基づき、当該ドットカウント値から理論的に求められるトナー残量を算出する。判断部33Kは、算出部32Kで算出されたトナー残量が所定範囲内にあるか否かを判断する。すなわち、トナー残量の算出値が妥当な値か否かを判断する。
ここで、ドットカウント値に基づくトナー残量の算出について説明する。画像形成装置1の解像度に応じて決定される、最小ドットの形成に必要なLEDヘッド19Kの制御値を1単位とし、画像データを形成するに際して当該制御値を何単位使用したかをカウントし、これをドットカウント値とする。
主制御部3の算出部32Kは、トナーカートリッジ18Kが交換された状態(すなわちイメージドラムユニット17Kのトナー収容部15Kがトナーで満杯になった状態)のトナー量を上記の制御値に換算し、上記制御値が何単位使用できるかを示す基準値を予め記憶している。そして、その基準値から、ドットカウント部31Kでカウントされたカウント値を減算することにより、トナー残量を算出する。
主制御部3は、トナーロー検出部4Kによって物理的に検出したトナー量と、ドットカウント部31Kおよび算出部32Kによって印刷結果(履歴)に基づいて算出されたトナー量とを比較して、不一致が生じた場合には、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。
主制御部3は、また、ドットカウント部31Kでカウントされたドットカウント値、および、算出部32Kで算出されたトナー残量の算出値を、タグ5Kのドットカウント記憶エリア55(後述)に記憶する。
主制御部3は、さらに、イメージドラムユニット17Yに対応するドットカウント部31Y、算出部32Yおよび判断部33Yと、イメージドラムユニット17Mに対応するドットカウント部31M、算出部32Mおよび判断部33Mと、イメージドラムユニット17Cに対応するドットカウント部31C、算出部32Cおよび判断部33Cとを備えている。これらは、上述したドットカウント部31K、算出部32Kおよび判断部33Kと同様に構成されている。
印刷制御部36は、主制御部3の指示を受けて、画像形成装置1の印刷動作(画像形成動作)を制御する。操作パネル部34は、画像形成装置1の設定状態を表示する表示部34aと、利用者が設定の入力を行う操作部34bとを有する。操作部34bには、画像形成装置1の電源スイッチ等も含まれる。
主制御部3は、上述したリードライト部35K,35Y,35M,35Cを介して、トナーカートリッジ18K,18Y,18M,18Cに取り付けられたタグ5K,5Y,5M,5Cから情報を読み出し、また、タグ5K,5Y,5M,5Cに情報を書き込む。
また、本体メモリ6K,6Y,6M,6Cは、各イメージドラムユニット17K,17Y,17M,17Cに対応して設けられた不揮発性メモリである。主制御部3は、本体メモリ6K,6Y,6M,6Cから情報を読み出し、また、本体メモリ6K,6Y,6M,6Cに情報を書き込む。
以下の説明では、画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cのそれぞれに共通する特徴を説明する際には、それぞれの構成要素を示す符号からK,Y,M,Cを省略して説明する。
<本体メモリおよびタグの構成>
図4は、本体メモリ6の構成を示す図である。第2の記憶部としての本体メモリ6は、装置設定記憶エリア61(第1の記憶エリア)と、タグ設定記憶エリア62(第2の記憶エリア)と、機種設定記憶エリア63(第3の記憶エリア)と、エラーログ記憶エリア64(第4の記憶エリア:ログ記憶部)とを有している。
装置設定記憶エリア61(第1の記憶エリア)は、画像形成装置1の工場出荷時に書き込まれた画像形成装置1に固有の情報(すなわち、装置本体1aに固有の情報)を記憶している。
タグ設定記憶エリア62(第2の記憶エリア)は、画像形成装置1にトナーカートリッジ18が装着された後に、主制御部3によってトナーカートリッジ18の固有情報が書き込まれるエリアである。
機種設定記憶エリア63(第3の記憶エリア)は、画像形成装置1の工場出荷時に書き込まれた画像形成装置1の機種情報(機種名または機種コード)を記憶している。
エラーログ記憶エリア64(第4の記憶エリア)は、主制御部3によってエラーログが書き込まれるエリアである。エラーログは、上述したトナーロー検出部4によって検出されたトナー量と、ドットカウント部31および算出部32によって算出されたトナー量とが不一致であった場合に、主制御部3によって書き込まれる。
図5は、タグ5の構成を示す図である。第1の記憶部としてのタグ5は、RFIDタグ制御部50と、装置設定記憶エリア51(第1の記憶エリア)と、タグ設定記憶エリア52(第2の記憶エリア)と、機種設定記憶エリア53(第3の記憶エリア)と、トナーエンプティフラグ記憶エリア54(第4の記憶エリア)と、ドットカウント記憶エリア55(第5の記憶エリア)とを有している。
装置設定記憶エリア51(第1の記憶エリア)は、トナーカートリッジ18が画像形成装置1に装着された後に、主制御部3によって画像形成装置1に固有の情報(すなわち装置本体1aに固有の情報)が書き込まれるエリアである。
タグ設定記憶エリア52(第2の記憶エリア)は、トナーカートリッジ18の工場出荷時に書き込まれたトナーカートリッジ18に固有の情報を記憶している。
機種設定記憶エリア53(第3の記憶エリア)は、工場出荷時に書き込まれた、トナーカートリッジ18を使用して印刷動作を行うことが可能な画像形成装置1の機種情報(機種名または機種コード)を記憶している。
トナーエンプティフラグ記憶エリア54(第4の記憶エリア)は、主制御部3によって、トナーエンプティであることを示す情報(フラグのON/OFF)が書き込まれるエリアである。
ドットカウント記憶エリア55(第5の記憶エリア)は、主制御部3によって、ドットカウント値およびトナー残量の算出値が書き込まれるエリアである。また、RFIDタグ制御部50は、リードライト部35との無線通信を制御する制御部である。
図6は、タグ5および本体メモリ6に記憶された設定情報の例を示す。図6(A)は、初期状態においてタグ5に記憶されている設定情報を示す。図6(B)は、初期状態において画像形成装置1の本体メモリ6に記憶されている設定情報を示す。なお、これらの設定情報は、操作パネル部34の表示部34aに表示させて確認することができる。
図6(A)に示すように、初期状態のタグ5の装置設定記憶エリア51は、デフォルト値(ここでは、FFFFFFFFFFFF)を記憶している。
初期状態のタグ5のタグ設定記憶エリア52は、トナーカートリッジ18の工場出荷時に書き込まれた固有の設定情報(ここでは、1234567890)を記憶している。なお、タグ設定記憶エリア52に記憶される設定情報は、例えば、トナーカートリッジ18のシリアル番号、または、タグ5が有する固有の識別番号(ユニーク番号)である。
初期状態のタグ5の機種設定記憶エリア53は、トナーカートリッジ18の工場出荷時に書き込まれた、当該トナーカートリッジ18を使用可能な画像形成装置1の機種を示す設定情報(ここでは、abc567890)を記憶している。
図6(B)に示すように、初期状態の本体メモリ6の装置設定記憶エリア61には、画像形成装置1の工場出荷時に書き込まれた固有の設定情報(ここでは、008087xxxx01)を記憶している。装置設定記憶エリア61に記憶される設定情報は、例えば、MACアドレス値またはシリアル番号である。
初期状態の本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62は、デフォルト値(ここでは、FFFFFFFFFFFF)を記憶している。
初期状態の本体メモリ6の機種設定記憶エリア63は、画像形成装置1の工場出荷時に書き込まれた画像形成装置1の機種を示す設定情報(ここでは、abc567890)を記憶している。
<画像形成装置の動作>
図7および図8は、第1の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。このフローは、画像形成装置1の電源を投入したのち、画像形成装置1へのトナーカートリッジ18の装着によって開始される。トナーカートリッジ18の装着は、例えば、画像形成装置1のトップカバー1bの開閉を開閉センサ37(図3)で検知することによって検知される。
まず、主制御部3は、画像形成装置1に装着されたトナーカートリッジ18が、画像形成装置1で使用可能か否か判断する。すなわち、主制御部3は、リードライト部35を介して、タグ5の機種設定記憶エリア53に記憶された機種設定情報を読み込む。そして、読み込んだ機種設定情報と、本体メモリ6の機種設定記憶エリア63に記憶された機種設定情報と比較する(ステップS101)。
機種設定情報が不一致であった場合には(ステップS101でNO)、装着されたトナーカートリッジ18を使用不能と判断し、ステップS109に進む。ステップS109では、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。
機種設定情報が一致した場合には(ステップS101でYES)、トナーカートリッジ18が新品(未使用)か否かの判断を行う(ステップS102)。すなわち、主制御部3は、リードライト部35を介して、タグ5の装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報を読み込む。トナーカートリッジ18が新品であれば、タグ5の装置設定記憶エリア51にはデフォルト値(ここでは、FF…FF)が記憶されている。
装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報がデフォルト値でなかった場合には(S102でNO)、新品のトナーカートリッジ18でないと判断し、ステップS103に進む。
装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報がデフォルト値であった場合には(S102でYES)、新品のトナーカートリッジ18と判断し、ステップS104に進む。
ステップS104において、主制御部3は、リードライト部35を介して、タグ5の装置設定記憶エリア51に、装置設定記憶エリア61に記憶された設定情報(ここでは、008087xxxx01)を書き込む。言い換えると、画像形成装置1の固有情報を、タグの装置設定記憶エリア51に書き込む。
続くステップS105において、主制御部3は、リードライト部35を介して、タグ5のタグ設定記憶エリア52に記憶された設定情報(ここでは、1234567890を読み込み、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に書き込む(ステップS105)。言い換えると、トナーカートリッジ18の固有情報を、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に書き込む。
これにより、図6(C)および(D)に示すように、タグ5の装置設定記憶エリア51に記憶された情報(すなわち画像形成装置1の固有情報)と、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された情報(トナーカートリッジ18の固有情報)が共に更新される。そののち、主制御部3は、ステップS106に進む。
一方、上述したステップS102において、トナーカートリッジ18が新品でないと判断した場合には(ステップS102でNO)、ステップ103に進み、トナーカートリッジ18がトナーエンプティ状態でないか確認する。
すなわち、主制御部3は、タグ5のトナーエンプティフラグ記憶エリア54に記憶されたフラグを確認する。フラグがOFFであった場合には、主制御部3は、トナーエンプティ状態ではない(すなわち、トナーカートリッジ18に十分なトナーが残っている)と判断する。フラグがONであった場合には、主制御部3は、トナーエンプティ状態である(すなわち、トナーカートリッジ18に十分なトナーが残っていない)と判断する。
主制御部3は、トナーエンプティ状態と判断した場合には(ステップS103でYES)、上述したステップS109に進み、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。一方、トナーエンプティ状態でない判断した場合には(ステップS103でNO)、ステップS106に進み、次に説明するマッチングチェックを行う。
ステップS106では、主制御部3は、タグ5の装置設定記憶エリア51およびタグ設定記憶エリア52に記憶された各設定情報と、本体メモリ6の装置設定記憶エリア61およびタグ設定記憶エリア62に記憶された各設定情報とをそれぞれ比較する(ステップS106)。
すなわち、主制御部3は、タグ5の装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報と本体メモリ6の装置設定記憶エリア61に記憶された設定情報とを対比し、さらに、タグ5のタグ設定記憶エリア52に記憶された設定情報と本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された設定情報とを対比し、共に一致しているか否かを判断する。
マッチングチェックの結果、タグ5の装置設定記憶エリア51およびタグ設定記憶エリア52に記憶された各設定情報と、本体メモリ6の装置設定記憶エリア61およびタグ設定記憶エリア62に記憶された各設定情報とが共に一致していた場合には(ステップS106でYES)、主制御部3は印刷可能と判断する。
一方、マッチングチェックの結果、タグ5の装置設定記憶エリア51およびタグ設定記憶エリア52に記憶された各設定情報と、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62および装置設定記憶エリア61に記憶された各設定情報とが、少なくとも一方で一致していない場合には(ステップS106でNO)、主制御部3は印刷不能と判断し、ステップS109に進み、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。
図6(E)および(F)は、マッチングチェックで不一致となるタグ5および本体メモリ6の設定情報の例を示す。図6(E)および(F)に示した例は、別の画像形成装置1から取り外されたトナーカートリッジ18が、画像形成装置1に装着された場合の設定情報である。
この場合、図6(E)のタグ5の装置設定記憶エリア51には、別の画像形成装置1によってその固有情報(ここでは、008087xxxx02)が書き込まれている。この固有情報は、図6(F)の本体メモリ6の装置設定記憶エリア61に記憶された画像形成装置1の固有情報(ここでは、008087xxxx01)とは異なる。従って、主制御部3は、印刷不能と判断する。
マッチングチェックにおいて各設定情報の一致が確認された場合には(ステップS106でYES)、主制御部3は、ステップS107に進み、画像形成装置1を印刷可能状態(スタンバイモード)とする。
そして、主制御部3は、パーソナルコンピュータ等の上記装置からの印刷コマンドと印刷データを受信すると、印刷動作を開始する(ステップS108)。主制御部3は、まず、印刷制御部36(図3)に印刷動作の開始を指示する。印刷制御部36は、媒体供給ユニット7のピックアップローラ71を回転させ、媒体カセット70に収納された用紙Pを一枚ずつ搬送路に送り出す。さらにレジストローラ対72および搬送ローラ対73を回転させ、P用紙を画像形成部2まで搬送する。さらに、転写部20の駆動ローラ23を回転させて転写ベルト22を走行させ、用紙Pを画像形成ユニット10K,10Y,10M,10Cの順に通過させる。
印刷制御部36は、さらに、画像形成ユニットKの感光体ドラム11Kを回転させる。感光体ドラム11Kの回転に伴い、帯電ローラ12K、現像ローラ13Kおよび供給ローラ14Kも回転する。帯電ローラ12Kは、感光体ドラム11Kの表面を一様に帯電させる。印刷制御部36は、ブラックの印刷データに応じてLEDヘッド19Kを発光制御し、感光体ドラム11Kの表面を露光して静電潜像を形成する。
画像形成ユニット10Kでは、トナーカートリッジ18Kからイメージドラムユニット17Kにブラックのトナーが供給されている。トナーは、供給ローラ14Kから現像ローラ13Kに供給され、感光体ドラム11Kの表面に形成された静電潜像に付着して、トナー像(現像剤像)が形成される。感光体ドラム11Kの表面に形成されたブラックのトナー像は、転写ローラ21Kに印可された転写電圧により、転写ベルト22上の用紙Pに転写される。
同様にして、画像形成ユニット10Y,10M,10Cの感光体ドラム11Y,11M,11Cの表面にイエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像が形成され、転写ベルト22上の用紙Pに順次転写される。転写ベルト22は、各色のトナー像が転写された用紙Pを定着ユニット8に搬送する。
印刷制御部36は、予め定着ローラ81を加熱して所定の定着温度に保ち、定着ローラ81および加圧ローラ82を回転させている。定着ローラ81と加圧ローラ82とで用紙Pを挟み込み、熱および圧力を加えることで、トナー像を用紙Pに定着する。
印刷制御部36は、さらに、排出ユニット9の排出ローラ対91,92を回転させ、用紙Pを排出口93から排出する。排出された用紙Pは、スタッカ部94上に積載される。これにより、1頁分の印刷動作(画像形成)が完了する。
この印刷動作と並行して、主制御部3は、トナーロー検出部4の出力レベルをモニターし、出力レベルがOFFからONに変わった場合(すなわちイメージドラムユニット17のトナー残量が所定量以下となった場合)には、トナーロー状態と判断し、操作パネル部34にトナー残量が少なくなったことを示すメッセージ(トナーロー表示)を表示する。
主制御部3は、一頁分の印刷動作が完了すると、印刷ジョブが終了したか否かを判断する(ステップS110)。判断結果がYESの場合には、印刷制御部36による印刷動作を終了する。一方、判断結果がNOの場合には、印刷動作を継続する。
印刷動作を継続する場合には(ステップS110でNO)、主制御部3は、図8のステップS120に進み、操作パネル部34にトナーロー表示が表示されているか否かを判断する。
操作パネル部34にトナーロー表示が表示されていない場合には(ステップS120でNO)、ステップS108に進み、次の頁の印刷動作を行う。
一方、操作パネル部34にトナーロー表示が表示されている場合には(ステップS120でYES)、ステップS121に進み、トナーロー検出部4に基づくトナーローの判断の妥当性を判断する。
すなわち、主制御部3は、これまでドットカウント部31がカウントしたドットカウント値に基づき、トナー残量を算出する。すなわち、主制御部3の算出部32は、未使用状態のトナーカートリッジ18に収容されているトナー量をドットカウントに換算した基準値(初期状態におけるトナー残量)から、ドットカウント部31がカウントしたドットカウント値を減算することにより、トナー残量を算出する。
さらに、主制御部3の判断部33は、算出したトナー残量が、所定値(未使用のトナーカートリッジ18に収容されたトナー量に対して約15〜25%)に対して±5%の範囲に入るか否かを判断する。
ここでいう所定値は、トナーロー検出部4がトナー残量をLowと判断した場合に、トナー収容部15内に残留しているトナー量と略一致するように設定される。ここで略一致とは、トナーロー検出部4がトナー残量をLowと判断したときにトナー収容部15内に残留しているトナー量に対して70%〜130%の範囲にあることをいう。
算出したトナー残量が所定値に対して±5%の範囲内にある場合には(ステップS121でYES)、ステップS123に進む。
一方、算出したトナー残量が所定値に対して±5%の範囲内にない場合には(ステップS121でNO)、印刷過程で何らかの異常があった可能性が疑われるため、操作パネル部34に「残量異常」等のアラームを表示し、または、エラーログ記憶エリア64に「残量異常」を示す情報を登録する(ステップS122)。
利用者は、操作パネル部34に表示された「残量異常」等のアラームを視認することにより、あるいは、エラーログ記憶エリア64のエラーログを操作パネル部34で参照することにより、画像形成装置1の使用過程に異常があった可能性があることを認識することができる。
なお、操作パネル部34へのメッセージ表示と、エラーログ記憶エリア64への情報登録の両方を行ってもよい。また、これらの処理に限らず、トナー残量の異常に関する情報を利用者に提供する処理であればよい。
続くステップS123では、トナーカートリッジ18が交換されたか否かを判断する。トナーカートリッジ18が交換されたか否かは、例えば、画像形成装置1のトップカバー1bが開閉されたか否かで判断することができる。
トナーカートリッジ18が交換されていない場合には(ステップS123でNO)、そのまま次の頁の印刷動作を行う(ステップS124)。
そして、主制御部3は、イメージドラムユニット17がトナーエンプティ状態に達したか否かを判断する(ステップS125)。
なお、トナーエンプティ状態か否かは、次のようにして判断することができる。例えば、トナーロー検出部4によりトナーロー状態が検出された時点でのイメージドラムユニット17内のトナー残量は、発光部41および受光部42の配置から一意に定まる。そのため、このトナー残量をドットカウント数に換算した値を予め記憶しておき、トナーロー検出部4がトナーロー状態を検出してからのドットカウント数を減算し、減算結果がゼロになった時点で、トナーエンプティ状態に達したことを判断することができる。
主制御部3は、トナーエンプティ状態と判断した場合には(ステップS125でYES)、操作パネル部34にトナーエンプティ状態を示すメッセージを表示し、印刷動作を停止する。さらに、タグ5のトナーエンプティフラグ記憶エリア54にフラグONの情報を記憶する(ステップS126)。
その後、主制御部3は、トナーカートリッジ18が交換されたか否かを判断する(ステップS127)。トナーカートリッジ18が交換されたか否かは、例えば、画像形成装置1のトップカバー1bが開閉されたか否かによって判断することができる。
トナーカートリッジ18が交換された場合には(ステップS127でYES)、上述したステップS101と同様にして、新たに装着されたトナーカートリッジ18が画像形成装置1で使用可能か否か判断する(ステップS128)。
すなわち、主制御部3は、新たに装着されたトナーカートリッジ18のタグ5の機種設定記憶エリア53に記憶された機種設定情報と、本体メモリ6の機種設定記憶エリア63に記憶された機種設定情報と比較する。
機種設定情報が不一致であった場合には(ステップS128でNO)、使用不能な機種のトナーカートリッジ18と判断し、上述したステップS109に進み、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。
機種設定情報が一致した場合には(ステップS128でYES)、上述したステップS102と同様にして、トナーカートリッジ18が新品か否かを判断する(ステップS129)。すなわち、主制御部3は、タグ5の装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報がデフォルト値か否かを判断する。
装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報がデフォルト値でなかった場合には(S129でNO)、新品のトナーカートリッジ18でないと判断し、上述したステップS103に進む。
装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報がデフォルト値であった場合には(S129でYES)、新品のトナーカートリッジ18と判断し、上述した図7のステップS104に進む。
ステップS104において、主制御部3は、本体メモリ6の装置設定記憶エリア61に記憶された装置設定情報を、新たに装着されたトナーカートリッジ18のタグ5の装置設定記憶エリア51に書き込む。
続くステップS105において、主制御部3は、リードライト部35を介してタグ5のタグ設定記憶エリア52に記憶された情報を読み込み、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶する。すなわち、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に、新たに装着されたトナーカートリッジ18のタグ情報が上書きされる。
図6(G)および(H)は、このときのタグ5および本体メモリ6に記憶された設定情報を示す。図6(G)に示すように、タグ5のタグ設定記憶エリア52は、新たに装着されたトナーカートリッジ18の固有情報(ここでは、5678901234)を記憶している。図6(H)に示すように、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された設定情報は、新たに装着されたトナーカートリッジ18の固有情報(ここでは、5678901234)に更新される。
その後、上述したステップS106に進み、マッチングチェックおよび印刷動作が行われる。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、トナーロー検出部4がトナーロー状態を物理的に検出したときに、主制御部3が印刷結果に基づいてトナー残量を算出し、その算出結果について判断する。両方の結果に不整合がある場合には、操作パネル部34にアラームを表示し、またはエラーログ記憶エリア64にエラーログを記憶する。そのため、利用者は、操作パネル部34のアラームを視認し、あるいはエラーログを参照することにより、画像形成装置1の使用状態に何らかの異常があった可能性があることを認識することができる。
また、アラームが表示されず、またエラーログも記憶されていない場合には、トナーロー検出部4によるトナーロー状態の検出結果が、印刷結果に基づくトナー残量の算出結果によって裏付けされていることになるため、正確なトナー残量を把握した状態で印刷動作が行われる。
特に、トナーロー検出部4がトナーロー状態を検出した場合に、算出部32が印刷結果(履歴)に基づいてトナー残量を算出し、算出したトナー残量が妥当な範囲内か否か(所定の範囲内にあるか否か)を判断するため、トナーロー検出部4による検出結果とトナー残量の算出結果との整合性の判断を画一的に行うことができる。
さらに、ドットカウント部31によるドットカウント値に基づいてトナー残量を算出するようにしたので、実際に使用されたトナーの量を正確に反映した算出結果を得ることができる。
また、実際上は、他の画像形成装置で使用されていたトナーカートリッジ18を画像形成装置1に装着してしまう場合も考えられる。このような場合にそのまま印刷動作を行ったのでは、トナーロー検出部4での検出結果と印刷結果に基づくトナー残量の算出結果とが整合せず、正確なトナー残量を把握できない可能性がある。
これに対し、本発明の第1の実施の形態では、マッチングチェック(ステップS106)において、タグ5の装置設定記憶エリア51およびタグ設定記憶エリア52およびに記憶された各設定情報と、本体メモリ6の装置設定記憶エリア61およびタグ設定記憶エリア62に記憶された各設定情報とを比較し、不一致が見られた場合にはアラームを表示する。そのため、別の画像形成装置から取り外されたトナーカートリッジ18(当該別の画像形成装置の固有情報が装置設定記憶エリア51に書き込まれている)を画像形成装置1に装着して印刷動作を行うことが防止される。従って、正確なトナー残量が把握できない状態で印刷動作が行われることを防止することができる。
さらに、トナーロー検出部4がトナー収容部15内のトナーが所定量以下となったことを検出した場合に、当該所定量と算出部32が算出したトナー残量とが一致しないときには操作パネル部34にアラームを表示するため、例えば、トナーロー検出部4が検出した物理的なトナー残量よりも算出部32が算出した論理的なトナー残量が多い場合に、有効に異常を検出し、報知することができる。
第2の実施の形態.
第1の実施の形態では、1台の画像形成装置1を使用することを想定していたが、実際上は、同一機種の画像形成装置1を複数台購入して、その中で、ある画像形成装置1から取り外したトナーカートリッジ18を他の画像形成装置1に装着することを許容した方が望ましい場合がある。第2の実施の形態では、限られた台数の同一機種の画像形成装置1で共通のトナーカートリッジ18を使用できるようにしたものである。
図9は、第2の実施の形態における画像形成装置1の本体メモリ6の構成を示す図である。図10は、第2の実施の形態におけるタグ5の構成を示す図である。第2の実施の形態では、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62と、タグ5の装置設定記憶エリア51とが、第1の実施の形態(図4および図5)と異なっている。それ以外の構成要素は、第1の実施の形態と同様である。
図9に示すように、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62は、複数のトナーカートリッジ18に対応するため、複数(ここでは3つ)の記憶エリアを有している。また、図10に示すように、タグ5の装置設定記憶エリア51は、複数の画像形成装置1に対応するため、複数(ここでは3つ)の記憶エリアを有している。
主制御部3は、画像形成装置1に搭載されたトナーカートリッジ18が、当該画像形成装置1で使用可能で、且つ本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62とタグ5の装置設定記憶エリア51に空きがあることを確認した場合に、トナーカートリッジ18の固有情報を本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に書き込み、画像形成装置1の固有情報をタグ5の装置設定記憶エリア51に書き込む。
また、主制御部3は、印刷動作によりトナーカートリッジ18が空になった場合に、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の一部をクリアする。
図11(A)および(B)は、第2の実施の形態におけるタグ5および本体メモリ6に記憶された設定情報の例を示す。図11(A)および(B)は、初期状態においてタグ5および本体メモリ6に記憶された設定情報の例を示す。図11(A)に示したタグ5の装置設定記憶エリア51は、3つの記憶エリアを有しており、3つまで設定(装置固有情報)を記憶することができる。初期状態では、装置設定記憶エリア51の3つの記憶エリアには、いずれもデフォルト値(ここでは、FF…FF)が記憶されている。
同様に、図11(B)に示した本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62は、3つの記憶エリアを有しており、3つまで設定情報(タグ固有情報)を記憶することができる。初期状態では、タグ設定記憶エリア62の3つの記憶エリアには、いずれもデフォルト値(ここでは、FF…FF)が記憶されている。
図12は、第2の実施の形態における画像形成装置1およびトナーカートリッジ18の使用形態を模式的に示す図である。図12に示す3つの画像形成装置A1,A2,A3は、グループAを構成し、他の3つの画像形成装置B1,B2,B3は、グループBを構成している。
グループAの内部では、ある画像形成装置A1で使用したトナーカートリッジ18を他の画像形成装置A2またはA3で使用することが許容されている。同様に、グループBの内部でも、ある画像形成装置B1で使用したトナーカートリッジ18を他の画像形成装置B2またはB3で使用することが許容されている。但し、グループAとグループBとの間では、同じトナーカートリッジ18を使用することは認められていない。
このような使用形態は、例えば、グループAでは印刷枚数に応じた(例えば1枚当たり何円という)課金を行い、グループBでは印刷枚数に関わらずトナー使用量に応じた課金を行うといった場合に有効である。同じトナーカートリッジ18が両グループで使用されると、実際のトナー使用量と想定される原価との差が生じ、利益の計算が困難になるためである。
タグ5の機種設定記憶エリア53および本体メモリ6の機種設定記憶エリア63には、図12に示したグループ分けに応じた固有情報が、工場出荷時に書き込まれている。
例えば、グループAに属する画像形成装置A1,A2,A3の本体メモリ6の機種設定記憶エリア63には、図11(A)および(B)に示すように、共通の固有情報(abc567890)が記憶され、トナーカートリッジ18のタグ5の機種設定記憶エリア53にも、同じ固有情報(例えば、abc567890)が記憶されている。一方、グループBに属する画像形成装置B1,B2,B3の本体メモリ6の機種設定記憶エリア63とトナーカートリッジ18のタグ5の機種設定記憶エリア53には、別の固有情報(例えば、xyz567890)が記憶されている。
図13および図14は、第2の実施の形態における画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。以下、第1の実施の形態における画像形成装置1の動作と異なる部分について説明する。
主制御部3は、トナーカートリッジ18が画像形成装置1に装着されると、タグ5の機種設定記憶エリア53に記憶された機種設定情報と、画像形成装置1の機種設定記憶エリア63に記憶された機種設定情報と比較する(ステップS101)。
機種設定情報が不一致であった場合には(ステップS101でNO)、トナーカートリッジ18が使用不能と判断し、ステップS109に進む。ステップS109では、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。
図12に示したグループAに属する画像形成装置1に、グループBに属する画像形成装置1で使用されていたトナーカートリッジ18を装着すると、機種設定情報が異なるため、操作パネル部34に印刷不能と判断する。
図11(C)および(D)は、グループAに属する画像形成装置1に、グループBに属する画像形成装置1で使用されていたトナーカートリッジ18を装着した場合のタグ5および本体メモリ6に記憶された設定情報を示す。グループAの画像形成装置1の本体メモリ6の機種設定記憶エリア63には、グループAに対応する設定情報(例えばabc567890)が記憶されている。これに対し、グループBの画像形成装置1で使用されていたトナーカートリッジ18のタグ5の機種設定記憶エリア63には、グループBに対応する設定情報(xyz567890)が記憶されている。
このように、タグ5と本体メモリ6の機種設定記憶エリア53,63に記憶された機種設定情報が異なるため、主制御部3は、印刷不能と判断し、操作パネル部34にエラーメッセージを表示することになる。これにより、あるグループの画像形成装置1から取り外されたトナーカートリッジ18が、別のグループの画像形成装置1に装着されて使用されることを禁止することができる。
機種設定情報が一致した場合には(ステップS101でYES)、装着されたトナーカートリッジ18が新品か否かの判断を行う(ステップS102)。すなわち、主制御部3は、タグ5の装置設定記憶エリア51に記憶された情報がデフォルト値(ここでは、FF…FF)か否かを判断する。
トナーカートリッジ18が新品の場合、タグ5の装置設定記憶エリア51の3つの記憶エリアには、いずれもデフォルト値(図11(A))が記憶されている。
タグ5の装置設定記憶エリア51の3つの記憶エリアに記憶された設定情報が、一つでもデフォルト値でなかった場合には(S102でNO)、新品のトナーカートリッジ18でないと判断し、ステップS103に進む。
タグ5の装置設定記憶エリア51の3つの記憶エリアに記憶された設定情報が全てデフォルト値であった場合には(S102でYES)、新品のトナーカートリッジ18と判断し、ステップS104に進む。
ステップS104において、主制御部3は、リードライト部35を介して、装置設定記憶エリア61に記憶された装置設定情報(ここでは、008087xxxx01)を、タグ5の装置設定記憶エリア51の一番上の記憶エリアに書き込む。
続くステップS105において、主制御部3は、リードライト部35を介してタグ5のタグ設定記憶エリア52のタグ設定情報(ここでは、1234567890)を読み込み、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の一番上の記憶エリアに記憶する。
これにより、図11(E)および(F)に示すように、タグ5の装置設定記憶エリア51の一番上の記憶エリアに記憶された情報と、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の一番上の記憶エリアに記憶された情報が共に更新される。
一方、上述したステップS102において、トナーカートリッジ18が新品でないと判断した場合には(ステップS102でNO)、ステップ103に進み、トナーカートリッジ18がトナーエンプティ状態でないか確認する。すなわち、主制御部3は、タグ5のトナーエンプティフラグ記憶エリア54に記憶されたフラグの状態(ON/OFF)を確認する。
主制御部3は、トナーエンプティ状態と判断した場合には(ステップS103でYES)、上述したステップS109に進み、操作パネル部34に「印刷不能」を示すエラーメッセージを表示する。一方、トナーエンプティ状態でない判断した場合には(ステップS103でNO)、次に説明するステップS201に進む。
このステップS201に進むのは、同一グループ(すなわち同一機種設定)の別の画像形成装置1で使用されたトナーカートリッジ18が装着された場合である。主制御部3は、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62およびタグ5の装置設定記憶エリア51に空き記憶エリアがあるかどうかを確認する。
本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62およびタグ5の装置設定記憶エリア51に空き記憶エリアがなかった場合には(ステップS201でNO)、ステップS109に進み、印刷不能を示すエラーメッセージを表示する。
本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62およびタグ5の装置設定記憶エリア51に空き記憶エリアがあった場合には(ステップS201でYES)、上述したステップS104,S105に進む。すなわち、主制御部3は、タグ5の装置設定記憶エリア51に記憶された設定情報と、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された設定情報を更新する。
例えば、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の上から2つ目と3つ目の記憶エリア、および、タグ5の装置設定記憶エリア51の上から2つ目と3つ目の記憶エリアが空いている場合には、図11(G)および(H)に示すように、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の上から2つ目の記憶エリアと、タグ5の装置設定記憶エリア51の上から2つ目の記憶エリアが更新される。その後、ステップS106に進み、マッチングチェックを行う。
ステップS106では、主制御部3は、タグ5の装置設定記憶エリア51およびタグ設定記憶エリア52に記憶された各設定情報と、本体メモリ6の装置設定記憶エリア61およびタグ設定記憶エリア62に記憶された各設定情報とをそれぞれ比較する(ステップS106)。
この第2の実施の形態では、タグ5の装置設定記憶エリア51および本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62が、それぞれ3つの記憶エリアを有している。そのため、タグ5の装置設定記憶エリア51の3つの記憶エリアのいずれか一つに記憶された固有情報が、本体メモリ6の装置設定記憶エリア61と一致すればよい。また、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の3つの記憶エリアのいずれか一つに記憶された固有情報が、タグ5のタグ設定記憶エリア52に記憶された固有情報と一致すればよい。
続くステップS107から、図14のステップS125までの動作は、第1の実施の形態と同じであるため、説明を省略する。
ステップS125で主制御部3がトナーエンプティ状態と判断した場合、操作パネル部34にトナーエンプティ状態を示すメッセージを表示して印刷動作を停止し(ステップS126)、タグ5のトナーエンプティフラグ記憶エリア54にフラグONを記憶する(ステップS127)。その後、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された情報をクリアする(ステップS202)。
この点について、図11(I)〜(J)を参照して説明する。ここでは、ステップS123において、新品のトナーカートリッジ18が画像形成装置1に装着されたものとする。
この例では、図11(I)に示すように、タグ5の装置設定記憶エリア51の一番上の記憶エリアに、装置設定記憶エリア61に記憶された装置設定情報が書き込まれている(上記のステップS104)。また、図11(J)に示すように、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62の上から3つ目の記憶エリアに、タグ5のタグ設定記憶エリア52に記憶されたタグ設定情報が書き込まれている(上記のステップS105)。
このトナーカートリッジ18が画像形成装置1に装着されて印刷動作(ステップS108)が行われ、トナーロー状態(ステップS120)を経てトナーエンプティ状態(ステップS125)に至った場合、ステップS202において、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された設定情報の一部(ここでは、上から3つ目の記憶エリアの設定情報)がクリアされる。
図11(K)および(L)は、ステップS202の処理後のタグ5および本体メモリ6の各設定情報を示す。図11(K)に示すように、タグ5に記憶された設定情報はいずれも変更されない。一方、図11(L)に示すように、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された設定情報の一部(ここでは、上から3つ目の記憶エリアの設定情報)はクリアされ、デフォルト値となっている。
このように、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に記憶された設定情報の一部をクリアするのは、この時点で搭載されているトナーカートリッジ18がトナーエンプティにより使用不能であるため、次のトナーカートリッジ18を受け入れるために、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62に、空の記憶エリアを用意するためである。
ステップS129およびステップS130までの動作は、第1の実施の形態と同じであるため、説明を省略する。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態では、本体メモリ6のタグ設定記憶エリア62が複数の記憶エリアを有しており、タグ5の装置設定記憶エリア51も複数の記憶エリアを有している。そのため、ある画像形成装置1に、同一の機種設定を有する画像形成装置1から取り外したトナーカートリッジ18を装着して使用することが可能となる。そのため、ある画像形成装置1がトナーエンプティ状態となっても、他の画像形成装置1から取り外したトナーカートリッジを装着して使用することができ、利便性が向上する。
また、異なるグループに異なる機種設定を割り当てることで、あるグループの画像形成装置1から取り外したトナーカートリッジを、別のグループの画像形成装置1に装着して使用することを禁止することができる。そのため、使用形態(例えば課金方式)に応じて画像形成装置1をグループ分けすることができる。その結果、トナーカートリッジおよび画像形成装置の固有情報に基づき、グループ全体でのトナー消費量を把握することが可能になる。
なお、上記の第1および第2の実施の形態では、画像形成装置1に取り付けられる交換部品の一例として、トナーカートリッジ18について説明したが、本発明は、トナーカートリッジ18以外の交換部品(消耗品)に適用することもできる。
また、上記の第1および第2の実施の形態では、画像形成装置の一例として電子写真プリンタについて説明したが、これに限定するものではない。本発明は、例えば、インクジェットプリンタに適用することも可能である。また、本発明は、プリンタに限らず、例えば、スキャナ、ファックス機、複合機に適用することも可能である。