以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
まず、捲回装置によって得られる捲回素子としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。
図1に示すように、リチウムイオン電池素子1(以下、単に「電池素子1」という)は、2枚のセパレータ2,3を介して、正電極シート4及び負電極シート5が重ね合わされた状態で捲回されることにより製造される。尚、以下においては、説明の便宜上、セパレータ2,3及び電極シート4,5を「各種シート2〜5」と称することがある。
セパレータ2,3は、それぞれ同一の幅を有する帯状をなしており、異なる電極シート4,5同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく、ポリプロピレン(PP)等の絶縁体により構成されている。
電極シート4,5は、薄板状の金属シートからなり、セパレータ2,3と略同一の幅を有している。また、電極シート4,5の表裏両面には活物質が塗布されている。正電極シート4には例えばアルミニウム箔シートが用いられ、その表裏両面に所定間隔で正極活物質(例えば、マンガン酸リチウム粒子等)が塗布されている。負電極シート5には例えば銅箔シートが用いられ、その表裏両面に所定間隔で負極活物質(例えば、活性炭等)が塗布されている。そして、活物質を介して、正電極シート4及び負電極シート5間におけるイオン交換ができるようになっている。より詳しくは、充電時には、正電極シート4側から負電極シート5側へとイオンが移動し、放電時には、負電極シート5側から正電極シート4側へとイオンが移動する。
加えて、本実施形態では、電池素子1ひとつを構成する両電極シート4,5の長さはそれぞれ予め設定された一定の所定値とされている。本実施形態において、一素子分の正電極シート4の長さは、比較的小さなもの(例えば、5000mm)とされ、一素子分の負電極シート5の長さは、負電極シート5で正電極シート4をより確実に覆うべく、一素子分の正電極シート4の長さよりも若干大きなもの(例えば、5500mm)とされている。
また、図2,3に示すように、電極シート4,5の表面には、活物質が塗布されていない活物質非存在部4b,5bと、活物質が塗布されている活物質存在部4c,5cとが存在している(図2,3では、活物質存在部4c,5cに散点模様を付している)。そして、正電極シート4の活物質非存在部4bには、タブとしての正電極タブ4aが溶接されるとともに、当該正電極タブ4aを保護するための保護テープ7が裏表両面に貼付されている。さらに、負電極シート5における活物質非存在部5bには、タブとしての負電極タブ5aが溶接されるとともに、当該負電極タブ5aを保護するための保護テープ7が裏表両面に貼付されている。そして、正電極シート4の幅方向一端縁からは複数の前記正電極タブ4aが延出するとともに、負電極シート5の幅方向他端縁からは複数の前記負電極タブ5aが延出している。
また、本実施形態における電池素子1は、軸直交断面における外周形状が長円形状や楕円形状などの回転対称形状とされている。そして、正電極タブ4a及び負電極タブ5aは、それぞれ電池素子1の周方向に沿って所定の範囲内に配置されるように構成されている。本実施形態では、理想状態において、電池素子1の一端部において正電極タブ4aが2列で並ぶとともに、電池素子1の他端部において負電極タブ5aが2列で並ぶように構成されている(図1参照)。
リチウムイオン電池を得るに際しては、電池素子1が金属製で筒状をなす図示しない電池容器(ケース)内に配設されるとともに、正電極タブ4a及び負電極タブ5aがそれぞれまとめられる。そして、まとめられた正電極タブ4aを正極端子部品(図示せず)に接続するとともに、同じくまとめられた負電極タブ5aを負極端子部品(図示せず)に接続し、両端子部品が前記電気容器の両端開口に塞ぐように設けられることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
次に、電池素子1を製造するための捲回装置10について説明する。図4に示すように、捲回装置10は、各種シート2〜5を捲回するための捲回部11と、正電極シート供給装置31と、負電極シート供給装置41と、セパレータ供給装置51,61とを備えている。尚、上記捲回部11や各供給装置31,41,51,61は、主として所定の制御用装置(図示せず)により動作制御される構成となっている。
正電極シート供給装置31は、正電極シート4がロール状に捲回されてなる正電極シート原反32を備えている。正電極シート原反32は、自由回転可能に支持されており、ここから適宜、正電極シート4が引き出されることとなる。
尚、正電極シート原反32を構成する正電極シート4の表面には、活物質非存在部4b及び活物質存在部4cが交互に形成された状態となっている。また、正電極シート原反32は、電池素子1ひとつ分を構成する正電極シート4(一素子分の正電極シート4)が直列的に複数連なってなるものであり、一素子分の正電極シート4のそれぞれにおいて、活物質非存在部4bの位置やその幅は同一とされている。加えて、正電極シート原反32を構成する正電極シート4の厚さは、活物質の塗布厚みが異なる等の理由により、正電極シート原反32のロットごとに異なる場合がある。また、1の正電極シート原反32を構成する正電極シート4においても、各部位で厚みの異なることがある。これらの点は、負電極シート5においても同様である。
正電極シート供給装置31は、シート挿入機構71と、シート切断カッタ72と、第一繰出ローラ73と、バッファ機構74と、タブ溶接装置75と、テンション付与機構76とを備えている。
シート挿入機構71は、正電極シート4を捲回部11へ供給するものであり、正電極シート4の搬送経路に沿って、捲回部11に接近する接近位置と、捲回部11から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。シート挿入機構71は、正電極シート4を把持可能な一対のチャック71a,71bを備えている。チャック71a,71bは、図示しない駆動手段により開閉動作可能に構成されている。そして、正電極シート4を捲回部11へ供給する際には、チャック71a,71bにより正電極シート4を把持した上で、シート挿入機構71が捲回部11に対して接近するようになっている。
シート切断カッタ72は、正電極シート4を切断するためのものであり、正電極シート4の表裏両側にそれぞれ位置する一対の刃部72a,72bを備えている。シート切断カッタ72は、その一対の刃部72a,72bが正電極シート4を挟むように位置するシート切断位置と、正電極シート4の搬送経路外へ退避する退避位置との間を移動可能に構成されている。
尚、正電極シート4の切断は、前記チャック71a,71bにより正電極シート4が把持された状態で行われるようになっている。また、捲回部11へと正電極シート4を供給すべく、シート挿入機構71が捲回部11側へ接近移動する際には、一対の刃部72a,72bがそれぞれ正電極シート4の搬送経路から離間することで、シート挿入機構71の移動を阻害しないようになっている。
第一繰出ローラ73は、図示しないモータに連結された上下一対のローラ73a,73bを有し、両ローラ73a,73bにより正電極シート4を挟持しつつ、捲回部11に向けて正電極シート4を繰り出すように構成されている。
バッファ機構74は、一対の従動ローラ74a,74bと、両ローラ74a,74b間において上下方向に変位可能に設けられた昇降ローラ74cとを有し、第一繰出ローラ73による正電極シート4の繰出量と、タブ溶接装置75(後述する第二繰出ローラ751)による正電極シート4の繰出量との差を吸収する役割を果たす。本実施形態では、バッファ機構74を設けることにより、シート切断カッタ72からタブ溶接装置75までの間において、電池素子1ひとつ分を構成する長さの正電極シート4が貯留可能となっている。
タブ溶接装置75は、活物質非存在部4bに対する正電極タブ4aの溶接位置を決定するとともに、決定された溶接位置に対し正電極タブ4aを溶接する機能を有する。タブ溶接装置75の構成については、後に詳述する。
テンション付与機構76は、一対のローラ76a,76bと、両ローラ76a,76b間において揺動自在に設けられたダンサローラ76cとを有している。ダンサローラ76cは、トルク制御された所定のサーボモータ(図示せず)により動作し、所定の装置により前記サーボモータが制御されることで、正電極シート4に付与される張力を変更可能に構成されている。本実施形態において、ダンサローラ76cは、正電極シート4に張力を付与することで、正電極シート4の弛みを防止する役割を果たす。
負電極シート供給装置41は、負電極シート5へと負電極タブ5aを溶接しつつ、負電極タブ5aの溶接された負電極シート5を捲回部11へ供給するものである。負電極シート供給装置41は、その最上流側において、負電極シート5がロール状に捲回されてなる負電極シート原反42を備えている。負電極シート原反42は、回転可能に支持されており、ここから適宜、負電極シート5が引き出されることとなる。
また、負電極シート原反42から捲回部11にかけての負電極シート5の搬送路の途中には、シート挿入機構71、シート切断カッタ72、第一繰出ローラ73、バッファ機構74、タブ溶接装置75及びテンション付与機構76などが設けられている。これらの各種構成は、正電極シート4の搬送路に設けられたものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
セパレータ供給装置51,61は、セパレータ2,3をそれぞれ捲回部11へ供給するためのものであり、それぞれセパレータ2,3がロール状に捲回されてなるセパレータ原反52,62を備えている。セパレータ原反52,62は、自由回転可能に支持されており、ここから適宜、セパレータ2,3が引き出されることとなる。
さらに、セパレータ2,3の搬送路の途中には、電極シート4,5の搬送路と同様に、テンション付与機構76が設けられている。当該テンション付与機構76の各種構成は、電極シート4,5の搬送路に設けられたものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。
また、各種シート2〜5の供給経路の途中には、各種シート2〜5をひとまとめにする一対のガイドローラ78a,78bなど、各種シート2〜5を案内するための各種ガイドローラ(符号略)が設けられている。
次に、捲回部11の構成について説明する。図5に示すように、捲回部11は、図示しない駆動機構により回転可能に設けられた相対向する2枚の円盤状のテーブルからなるターレット12と、当該ターレット12の回転方向に180°間隔で設けられた2つの巻芯13,14と、当該巻芯13,14に対しそれぞれターレット12の回転方向にほぼ90°ずつずれた位置に設けられた2つの支持ローラ15a,15bと、セパレータカッタ16と、捲回後の各種シート2〜5を押さえるための押えローラ17と、所定の固定用テープを貼付するためのテープ貼付機構18とを備えている。
巻芯13,14は、それぞれ自身の外周側において各種シート2〜5を巻取るためのものであり、図示しない駆動機構により自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、本実施形態において、巻芯13,14は、それぞれ回転軸の直交方向における断面形状が長方体状(扁平状)に構成されている。
また、巻芯13,14は、ターレット12の軸線方向(図5等の紙面奥行方向)に沿って、ターレット12を構成する一方のテーブルに対し出没可能に設けられている。尚、巻芯13,14は、前記一方のテーブルから突出した状態となったときに、その先端部が他方のテーブルに形成された受け用の穴に挿通され、両テーブルによって回転可能な状態で支持されるようになっている。
さらに、図6に示すように、巻芯13(14)は、それぞれ自身の回転軸方向(図6の紙面奥行方向)に沿って延びる一対の芯片13a,13b(14a,14b)を備えている。芯片13a,13b(14a,14b)は、それぞれ扁平状をなすとともに、前記回転軸と直交する方向に並んだ状態で設けられており、芯片13a,13b(14a,14b)間には、隙間13c(14c)が形成されている。また、芯片13a,13b(14a,14b)の外周面のうち前記隙間13c(14c)とは反対側に位置する部位は、直径がR(mm)の断面半円形状とされている。
加えて、芯片13a,13b(14a,14b)の外周面のうち前記隙間13c(14c)を形成する面の端縁から前記半円形状部分の端縁を繋ぐ面は、それぞれ平坦状となっている。巻芯13(14)における平坦状部分の幅は、W(mm)に設定されている。そして、巻芯13(14)のうち各種シート2〜5が捲回される部分の回転方向に沿った長さは、理想的な電極シート4,5を捲回して電池素子1を得たときに、得られた電池素子1において、タブ4a,5aが電池素子1の周方向に沿って所定の範囲内に配置されることとなる(本実施形態では、それぞれ2列に並んで配置されることとなる)大きさとなっている。尚、理想的な電極シート4,5とは、厚さが基準値(理想値)と同一であり、かつ、所定の基準溶接位置に対しタブ4a,5aが溶接されたものをいう。
図5に戻り、巻芯13,14は、ターレット12が回転することにより、捲回ポジションP1と、取外しポジションP2との間を旋回移動可能に構成されている。
捲回ポジションP1は、一方の巻芯13(14)に対し各種シート2〜5を捲回するポジションであり、当該捲回ポジションP1に対し上記各供給装置31,41,51,61から各種シート2〜5が供給されることとなる。
取外しポジションP2は、捲回後の各種シート2〜5、すなわち電池素子1の取外しを行うためのポジションである。取外しポジションP2の周辺部には、巻芯13(14)から電池素子1の取外しを行うための取外装置(不図示)等が設けられている。
支持ローラ15a,15bは、取外しポジションP2へ移動した巻芯13(14)と上記供給装置31,41,51,61との間で各種シート2〜5を引っ掛け、支持するためのものである。
セパレータカッタ16は、捲回ポジションP1の近傍に配置されており、ターレット12に接近しセパレータ2,3を切断する切断位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置との間で移動可能である。
押えローラ17は、取外しポジションP2の近傍に配置されており、ターレット12に接近し各種シート2〜5を押さえる近接位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置との間で移動可能に構成されている。
テープ貼付機構18は、取外しポジションP2の近傍に配置されており、捲回終了時にターレット12に接近し、セパレータ2,3の終端部に所定の固定用テープを貼付する。
次いで、タブ溶接装置75の構成について説明する。図4に示すように、タブ溶接装置75は、搬送手段としての第二繰出ローラ751と、テープ貼付機構752,753と、溶接手段としてのタブ溶接機構754と、検出センサ755と、厚さ計測手段としての厚さ計測機構756と、制御手段としての制御装置759とを備えている。
第二繰出ローラ751は、図示しないモータに連結された上下一対のローラ751a,751bを備えており、両ローラ751a,751bにより正電極シート4を挟持しつつ、バッファ機構74側に向けて正電極シート4を繰り出すように構成されている。
また、第二繰出ローラ751は制御装置759により制御されており、制御装置759によって、第二繰出ローラ751による正電極シート4の繰出量(搬送量)が調節される。正電極シート4の搬送量が調節されることで、タブ溶接機構754に対するシート搬送方向に沿った正電極シート4の一時停止位置が調節されることとなる。
尚、第二繰出ローラ751の回転量、すなわち、正電極シート4の繰出量は、図示しないエンコーダにより把握可能となっており、当該エンコーダから前記回転量(繰出量)に関する情報が制御装置759へと入力されるようになっている。
また、第二繰出ローラ751による単位時間当たりの両電極シート4,5の搬送量の比は、巻芯13,14により両電極シート4,5を捲回する際における、単位時間当たりの両電極シート4,5の繰出量の比と等しいものとなっている。例えば、捲回時において、仮に正電極シート4が2.00mm繰出される間に負電極シート5が2.02mm繰出されるとした場合、第二繰出ローラ751によって、正電極シート4が1.00mm搬送される間に負電極シート5が1.01mm搬送されるように両電極シート4,5の搬送速度が調節される。
テープ貼付機構752,753は、それぞれタブ溶接機構754の下流に設けられており、テープ貼付機構752は、正電極シート4の裏面に対し前記保護テープ7を貼付する機能を有し、テープ貼付機構753は、正電極シート4の表面に対し前記保護テープ7を貼付する機能を有する。
テープ貼付機構752,753は、それぞれ正電極シート4に従動して回転する従動ローラ752a,753aと、上下方向に昇降可能に構成されており、従動ローラ752a,753aに対し圧接可能な押えローラ752b,753bとを備えている。通常、従動ローラ752a,753a及び押えローラ752b,753bは、正電極シート4と非接触の状態であるが、押えローラ752b,753bが正電極シート4を介して従動ローラ752a,753aに圧接することにより、従動ローラ752a,753aが電極シート4に従動して回転可能となる。
また、従動ローラ752a,753aの外周面所定位置には、保護テープ7を吸着保持するためのテープ保持部(図示略)が設けられている。そして、従動ローラ752a,753aに保護テープ7が吸着保持されるとともに、従動ローラ752a,753a及び押えローラ752b,753bにより正電極シート4を挟んだ状態で、正電極シート4が搬送され、従動ローラ752a,753aが回転することにより、前記保護テープ7が正電極タブ4aの溶接部へと貼付されることとなる。本実施形態では、これを実現すべく、従動ローラ752a,753aの径や保護テープ7の吸着保持位置、テープ貼付機構752,753及びタブ溶接機構754間の距離などが適切に設定されている。また、保護テープ7の貼付後、押えローラ752b,753bは元の位置に戻ることとなる。
尚、従動ローラ752a,753aによる保護テープ7の吸着保持力は、正電極シート4に対する保護テープ7の接着力よりも小さなものとされている。そのため、保護テープ7を貼付する際には、吸着保持力を特段減少させることなく、保護テープ7が従動ローラ752a,753aから外れ、正電極シート4へと貼付されるようになっている。
タブ溶接機構754は、正電極シート4の活物質非存在部4bに対し正電極タブ4aを溶接するものである。タブ溶接機構754による正電極タブ4aの溶接は、第二繰出ローラ751による正電極シート4の搬送が一時停止された状態で行われる。
検出センサ755は、正電極シート4表面における活物質非存在部4bを検出するものである。検出センサ755は、例えば、活物質非存在部4bと活物質存在部4cとの境界部位を検出することで、活物質非存在部4bを検出する。
厚さ計測機構756は、一対のローラ756a,756bと、第一測長ローラ756cと、第二測長ローラ756dとを備えている。第一測長ローラ756cの外周には、両ローラ756a,756b間に位置する正電極シート4が折り返して曲げられた状態で架けられている。第二測長ローラ756dは、第一測長ローラ756cとの間で正電極シート4の折り返し部分を挟み込むようにして配置されている。
また、両測長ローラ756c,756dは、互いに同径で、かつ、それぞれ自由回転可能な従動ローラであり、正電極シート4の搬送に伴い回転する。そして、両測長ローラ756c,756dの回転量は、図示しないエンコーダにより把握可能となっており、当該エンコーダから両測長ローラ756c,756dの回転量に関する情報が制御装置759へと入力されるようになっている。
尚、両測長ローラ756c,756d及び正電極シート4の位置関係が上述のように設定されているため、正電極シート4が両測長ローラ756c,756d間を通過しているときに、正電極シート4の内周面(屈曲内側面)に接触する第一測長ローラ756cの回転量と、正電極シート4の外周面(屈曲外側面)に接触する第二測長ローラ756dの回転量とに差が生じることとなる。この回転量の差は、正電極シート4が厚いほど大きく、正電極シート4が薄いほど小さくなる。
制御装置759は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM、演算データ等を長期記憶するハードディスクなどを備えている。本実施形態において、制御装置759は、正電極シート4側のタブ溶接装置75と、負電極シート5側のタブ溶接装置75との共有となっている。制御装置759によって、例えば、第二繰出ローラ751による両電極シート4,5の繰出し開始・繰出し停止、タブ溶接機構754による溶接動作などが制御される。
また、制御装置759は、第二繰出ローラ751の回転量に基づき、タブ溶接装置75における両電極シート4,5の搬送量を把握できるようになっている。
さらに、制御装置759には、両測長ローラ756c,756dにおける回転量の差と電極シート4,5の厚さとの対応関係を示すテーブルが予め記憶されている。そして、制御装置759は、両測長ローラ756c,756dの回転量に関する情報が入力された場合、前記テーブルを参酌することで、両測長ローラ756c,756d間を通過している電極シート4,5の厚さを得ることができるようになっている。
また、制御装置759のROMやハードディスクには、電極シート4,5に対するタブ4a,5aの基準溶接位置に関する情報を示す基準溶接位置テーブル(図7参照)が記憶されている。基準溶接位置テーブルは、各電極シート4,5に対応して2つ存在しており、基準溶接位置は、一素子分の電極シート4,5の始端に相当する部分からの距離(基準溶接距離)によって表されている。例えば、正電極シート4における基準溶接位置は、図7にて例示する値のように設定されている。
ところで、電極シート4,5の全域における厚さが基準値(理想値)であれば、基準溶接位置へとタブ4a,5aを溶接することにより、得られた電池素子1において、タブ4a,5aがそれぞれ並んだ状態で配置されることとなる。しかしながら、電極シート4,5の厚さが基準値と異なる場合には、得られた電池素子1におけるタブ4a,5aの配置位置にずれが生じてしまうおそれがある。
例えば、電極シート4,5の厚さが比較的大きい場合には、図8に示すように、捲回が進むにつれて、タブ4a,5aの中心は通常配置されるべき位置(図8の点線上の位置)よりも徐々に巻芯13(14)の回転方向前方側にずれていくこととなる。一方、電極シート4,5の厚さが比較的小さい場合には、図9に示すように、捲回が進むにつれて、タブ4a,5aの中心は通常配置されるべき位置(図9の点線上の位置)よりも徐々に巻芯13(14)の回転方向後方側にずれていくこととなる。この位置ずれ量は、図10の例に示すように、巻芯13(14)の回転が進むにつれて増大していく。
そこで、制御装置759は、タブ4a,5aの位置ずれを抑制すべく、電極シート4,5の厚さに基づいて、両電極シート4,5におけるタブ4a,5aの溶接位置を決定する。詳述すると、第二繰出ローラ751による一素子分の電極シート4,5の搬送が開始されると、両測長ローラ756c,756d間を通過する電極シート4,5の厚さを計測し始める。制御装置759は、図11に示すように、厚さ計測機構756による計測結果に基づき、厚さ計測機構756を基準として、これよりも下流側に位置している電極シート4,5の各部位における厚さのデータを蓄積・保存していく。当該データは、電極シート4,5の搬送に伴い更新されていき、検出センサ755やこれよりも下流側における電極シート4,5の厚さも変化していく(図12,13参照)。
尚、電極シート4,5の搬送が開始される際には、一素子分の電極シート4,5の始端に相当する部分が厚さ計測機構756に対応して(つまり、両測長ローラ756c,756d間に)配置された状態となっており、搬送開始に伴い、前記始端に相当する部分から順に厚さが計測されることとなる。また、本実施形態では、負電極シート5の方が正電極シート4よりも早く搬送開始され、負電極シート5が所定量(例えば、巻芯13,14における各種シート2〜5が捲回される部分の長さと同一量)だけ搬送されてから、正電極シート4の搬送が開始されるようになっている。
電極シート4,5の搬送が進み、検出センサ755によって両電極シート4,5のいずれかにおける活物質非存在部4b,5bが検出されると、制御装置759は、この時点における、前記始端に相当する部分から検出センサ755に対応する部分までの両電極シート4,5の厚さの平均値をそれぞれ得る。結果的に、活物質非存在部4b,5bの検出された側の電極シート4,5において、検出された活物質非存在部4b,5b(より正確には、活物質非存在部4b,5b及び活物質存在部4c,5cの境界部分)から前記始端に相当する部分までの間における厚さの平均値が得られることとなる。
その上で、制御装置759は、得られた正電極シート4の厚さの平均値から正電極シート4の厚さの基準値(理想値)を減算した値x(mm)と、得られた負電極シート5の厚さの平均値から負電極シート5の厚さの基準値を減算した値y(mm)をそれぞれ得るとともに、得られた両値x,yを加算した合計値x+yを算出する。
次いで、制御装置759は、活物質非存在部4b,5bが検出された時点における正電極シート4の始端に相当する部分から検出センサ755に対応する部分までの長さを得るとともに、この長さの正電極シート4を巻芯13,14に捲回するために必要となる巻芯13,14の回転数の最小値から1を減算した値naを算出する。例えば、正電極シート4の前記長さをL(mm)としたとき、[(2×W×n)+π×〔R×n+n×(n−1)×(0.15+0.10+0.02×2)〕]≧Lを満たす最小のn(つまり、回転数の最小値)を得た上で、得られたnから1を減算した値naを算出する。
尚、前記式は、次の考えから求めたものである。すなわち、正電極シート4の厚さの基準値を0.15mmとし、負電極シート5の厚さの基準値を0.10mmとし、セパレータ2,3の厚さをそれぞれ0.02mmとする。このとき、電極シート4,5の全域の厚さがそれぞれ前記基準値と同一であれば、各種シート2〜5が始端を揃えた上で巻芯13(14)へと同時に巻き取られていくと仮定した場合、巻芯13(14)がn回転(nは0以上の整数)したときに巻芯13(14)に巻き取られた各種シート2〜5の長さは、およそ[(2×W×n)+π×〔R×n+n×(n−1)×(0.15+0.10+0.02×2)〕]となる。前記式は、この点を踏まえて求めたものである。
尚、実際には、後述するように、セパレータ2,3、負電極シート5及び正電極シート4の順に巻芯13(14)へと巻き取られていくため、上記で仮定したように、各種シート2〜5が始端を揃えた上で巻芯13(14)へと同時に巻き取られていくことにはならない。つまり、正電極シート4の巻取が開始されるまでに、巻芯13(14)に対しセパレータ2,3及び負電極シート5がある程度捲回されることとなる。しかし、正電極シート4の巻取が開始されるまでに巻芯13(14)に捲回されるセパレータ2,3等は比較的短く、正電極シート4の巻取が開始されたときにおける巻芯13(14)に捲回されたセパレータ2,3等の周長と、巻芯13(14)自体の周長とはさほど変わりない。そこで、本実施形態では、正電極シート4の巻取が開始されたときにおける巻芯13(14)に捲回されたセパレータ2,3等の周長を、巻芯13(14)自体の周長と同一であると仮定することとし、ひいては、上記の通り、各種シート2〜5が始端を揃えた上で巻芯13(14)へと同時に巻き取り開始されることと仮定している。
次いで、制御装置759は、補正値算出用の式〔π×n×(n−1)×(x+y)〕を用いて、補正値を算出する。すなわち、前記補正値算出用の式において、nに対し算出された前記値naを代入するとともに、(x+y)に対し算出された前記合計値x+yを代入することで、補正値を算出する。
尚、前記補正値算出用の式は、巻芯13(14)によって各種シート2〜5を捲回していったときに、巻芯13(14)がn回転したときにおける各種シート2〜5の通常位置(理想位置)に対する位置ずれ量を示すものである。前記補正値算出用の式は、次の考えから求めたものである。すなわち、実際に計測された正電極シート4の厚さの平均値を0.15+x(mm)とし、実際に計測された負電極シート5の厚さの平均値を0.10+y(m)とした場合、巻芯13(14)がn回転したときに巻芯13(14)に巻き取られた各種シート2〜5の長さは、およそ[(2×W×n)+π×〔R×n+n×(n−1)×(0.15+0.10+0.02×2+x+y)〕]となる。従って、電極シート4,5の厚さが基準値と同一である場合と比較して、π×n×(n−1)×(x+y)だけ各種シート2〜5の巻取量に差が生じる。前記補正値算出用の式は、この点から導出したものである。結果的に、本実施形態における補正値は、理想位置に対する電極シート4,5の位置ずれ量とほぼ等しいものとされる。
補正値が得られると、前記基準溶接位置テーブルを参酌し、タブ4a,5aの溶接対象となっている活物質非存在部4b,5bに対応する基準溶接距離を得る。その上で、得られた基準溶接距離に対し前記補正値を加算した値を、タブ4a,5aの実際の溶接位置として決定する。つまり、電極シート4,5の想定される位置ずれ量に対応する分だけ、電極シート4,5の搬送方向に沿って前記基準溶接位置からずらした位置を、タブ4a,5aの溶接位置として決定する。決定されたタブ4a,5aの溶接位置は、ハードディスクに記憶される。
但し、得られた補正値が極端に大きい又は小さい場合には、溶接位置が基準溶接位置から大きくずれたものとなり、ひいてはタブ4a,5aが活物質存在部4c,5cへと溶接されてしまうといった事態が生じ得る。そこで、本実施形態では、得られた補正値が予め設定された最大閾値以上となった場合、得られた補正値に代えて、予め決定された最大補正値が補正値として用いられる。また、得られた補正値が予め設定された最小閾値以下となった場合、得られた補正値に代えて、予め決定された最小補正値が補正値として用いられる。これにより、タブ4a,5aが必ず活物質非存在部4b,5bへと溶接されるように構成されている。尚、シート搬送方向に沿った活物質非存在部4b,5bの幅をWbとしたとき、前記最大補正値は、例えば、Wb×2/5であり、前記最小補正値は、例えば、−Wb×2/5に設定されている。
溶接位置の決定手法について、具体的な例を挙げて説明すると、例えば、図7の例において、正電極シート4の始端に相当する部分から1番目の活物質非存在部4bにおける基準溶接位置は、前記始端に相当する部分から514.56mmの位置に設定されている。ここで、例えば、巻芯13,14における幅Wが111.7752mmであり、直径Rが6mmであるとすると、[(2×W×n)+π×〔R×n+n×(n−1)×(0.15+0.10+0.02×2)〕]≧514.56を満たす最小のnは3となり、ひいては前記値naは2と算出される。次いで、π×n×(n−1)×(x+y)の式において、nに対し算出された前記値naを代入するとともに、(x+y)に対し算出された前記合計値x+yを代入し、補正値を得る。ここで、両電極シート4,5の公差(許容値)がそれぞれ±0.004mmである場合において、例えば、x及びyがそれぞれ+0.004mmであり、合計値x+yが+0.008mmであるとすると、補正値は約0.05mmとなる。そして、514.56mmに対し補正値(0.05mm)を加算して得た値である約514.61mmが、1番目の活物質非存在部4bにおける正電極タブ4aの溶接位置として決定される。
また、例えば、正電極シート4における始端に相当する部分から10番目の活物質非存在部4bにおける正電極タブ4aの溶接位置を得る場合、幅Wや直径R等が上記で例示した値となっていると、値naは15となる。そのため、補正値は約5.28mmとなり、10番目の活物質非存在部4bにおける基準溶接距離(3643.24mm)に対し前記補正値(5.28mm)を加算して得た値である3648.52mmが、10番目の活物質非存在部4bにおける正電極タブ4aの溶接位置として決定される。
加えて、制御装置759は、決定された溶接位置がタブ溶接機構754に到達すると、両電極シート4,5の搬送を一時停止させる。その上で、制御装置759は、タブ溶接機構754を制御することによって、前記決定された溶接位置に対しタブ4a,5aを溶接する。タブ4a,5aの溶接後、電極シート4,5の搬送が再開される。
尚、電極シート4,5の搬送が一時停止されると、制御装置759は、この一時停止中にタブ4a(5a)の溶接されることとなる電極シート4(5)を、従動ローラ752a,753a及び押えローラ752b,753bにより挟み込んだ状態とする。これにより、電極シート4,5の搬送が再開されると、従動ローラ752a,753aに吸着保持された保護テープ7がタブ4a(5a)の溶接部へと貼付されることとなる。
次に、上述の捲回装置10を用いた電池素子1の製造工程について説明する。電池素子1の製造工程は、次回以降に捲回される予定の一素子分の電極シート4,5(捲回予定電極シートに相当する)に対しタブ4a,5aを溶接する工程(溶接工程)、及び、タブ4a,5aの溶接された一素子分の電極シート4,5が捲回される工程(捲回工程)を含む。尚、これら両工程は、同時期に実施可能であるが、本実施形態では、説明の便宜上、これら両工程を分けて説明する。
まず、溶接工程について、図14のフローチャートに従って説明する。尚、溶接工程の直前において、一素子分の電極シート4,5の始端に相当する部分は、厚さ計測機構756に対応する位置(両測長ローラ756c,756d間)に配置されている。
溶接工程では、まず、ステップS11において、第二繰出ローラ751によって負電極シート5の搬送が開始される。負電極シート5の搬送開始に伴い、負電極シート5が両測長ローラ756c,756d間を動き始めることとなり、ステップS12において、厚さ計測機構756による負電極シート5の厚さ計測が開始される。
そして、負電極シート5が所定量(例えば、巻芯13,14の周長分)搬送されると、続くステップS13において、第二繰出ローラ751による正電極シート4の搬送が開始される。正電極シート4の搬送開始に伴い、正電極シート4が両測長ローラ756c,756d間を動き始めることとなり、ステップS14において、厚さ計測機構756による正電極シート4の厚さ計測が開始される。
続くステップS15では、検出センサ755により活物質非存在部4b(5b)が検出されたか否かが判定される。ステップS15で否定判定された場合には、ステップS18へ移行する。一方、ステップS15で肯定判定された場合には、ステップS16において、この時点における、前記始端に相当する部分から検出センサ755に対応する部分までの両電極シート4,5の厚さの平均値がそれぞれ得られるとともに、前記合計値x+yが得られる。その後、ステップS17において、得られた合計値x+yに基づき、検出された活物質非存在部4b(5b)におけるタブ4a(5a)の溶接位置が決定される。
続くステップS18においては、決定された溶接位置がタブ溶接機構754に到達したか否かが判定される。具体的には、搬送開始からの電極シート4(5)の搬送量から、厚さ計測機構756及びタブ溶接機構754間の距離を減じた値が、決定された溶接位置を示す距離と等しくなったか否かが判定される。ステップS18にて否定判定された場合には、ステップS22へと移行する。
一方、ステップS18において肯定判定されると、ステップS19において、両電極シート4,5が一時停止される。その上で、続くステップS20において、決定された溶接位置に対しタブ4a(5a)が溶接される。溶接後、ステップS21において、両電極シート4,5の搬送が再開される。
ステップS18で否定判定された場合、又は、ステップS21の後、ステップS22において、停止フラグがオンであるか否かが判定される。停止フラグは、第二繰出ローラ751による正電極シート4の搬送が停止されているか否かを判定するための状態判定情報である。
ステップS22で肯定判定された場合には、ステップS25に移行する。一方、ステップS22で否定判定された場合には、ステップS23において、第二繰出ローラ751によって正電極シート4が一素子分搬送されたか否かが判定される。ステップS23で否定判定された場合には、ステップS15に戻る。一方、ステップS23で肯定判定された場合には、ステップS24において、第二繰出ローラ751による正電極シート4の搬送が停止されるととともに、停止フラグがオンとされ、ステップS25に移行する。尚、正電極シート4の搬送が停止された状態において、次の一素子分の正電極シート4の始端に相当する部分が厚さ計測機構756に対応して(両測長ローラ756c,756d間に)配置された状態となる。
ステップS25では、第二繰出ローラ751によって負電極シート5が一素子分搬送されたか否かが判定される。ステップS25で否定判定された場合には、ステップS15へ戻る。一方、ステップS25で肯定判定された場合には、ステップS26を経た上で、溶接工程が終了される。ステップS26においては、第二繰出ローラ751による負電極シート5の搬送が停止されるとともに、停止フラグがオフとされる。尚、負電極シート5の搬送が停止された状態において、次の一素子分の負電極シート5の始端に相当する部分が厚さ計測機構756に対応して(両測長ローラ756c,756d間に)配置された状態となる。また、溶接工程の終了に伴い、少なくとも一素子分のタブ4a,5aの溶接された両電極シート4,5が、シート切断カッタ72及び第二繰出ローラ751間に貯留された状態となる。
次いで、捲回工程について、図15のフローチャートを参照して説明する。捲回工程では、シート切断カッタ72及び第二繰出ローラ751間に貯留された、一素子分のタブ4a,5aの溶接された両電極シート4,5が巻取られることとなる。尚、捲回工程に先立って、一方の巻芯13(14)における隙間13c(14c)に、セパレータ2,3が配置された状態となっている(図16参照)。
捲回工程では、まず、ステップS31において、一方の巻芯13(14)を所定数だけ回転させることで、一方の巻芯13(14)に対しセパレータ2,3が所定量だけ巻き取られた状態とする。
その上で、続くステップS32において、負電極シート供給装置41のシート挿入機構71により一方の巻芯13(14)側に対し負電極シート5が供給される。
次いで、ステップS33において、負電極シート5の供給後、一方の巻芯13(14)が所定数回転(例えば、1回転)した段階で、シート挿入機構71により一方の巻芯13(14)側に対し正電極シート4が供給される。
両電極シート4,5の供給後、一方の巻芯13(14)の回転に伴い、一方の巻芯13(14)に対し各種シート2〜5が捲回されていく。
続くステップS34では、供給開始からの正電極シート4の繰出量が所定量(一素子分)に到達したか否かの判定が、当該条件を満たすまで繰り返し行われる。ステップS34で肯定判定された場合、つまり、現在捲回されている一素子分の正電極シート4の終端がシート切断カッタ72に到達した場合、一方の巻芯13(14)の回転動作が一時停止され、各種シート2〜5の供給が停止される。
さらに、続くステップS35において、シート挿入機構71により正電極シート4が把持された上で、シート切断カッタ72により正電極シート4が切断される。その後、一方の巻芯13(14)の捲回動作が再開され、セパレータ2,3及び負電極シート5が巻取られていく。
次いで、ステップS36において、供給開始からの負電極シート5の繰出量が所定量(一素子分)に到達したか否かの判定が、当該条件を満たすまで繰り返し行われる。ステップS36で肯定判定された場合、すなわち、現在捲回されている一素子分の負電極シート5の終端がシート切断カッタ72に到達した場合には、一方の巻芯13(14)の回転動作が一時停止され、セパレータ2,3及び負電極シート5の供給が停止される。
そして、続くステップS37において、シート挿入機構71により負電極シート5が把持された上で、シート切断カッタ72により負電極シート5が切断される。
次いで、ステップS38において、一方の巻芯13(14)の回転を再開させることにより、電極シート4,5の終端部分(巻き残し部分)が巻き取られる。
ステップS38に続くステップS39では、セパレータ2,3が切断されることなく、ターレット12が回転させられる。これにより、捲回ポジションP1にあった一方の巻芯13(14)がセパレータ供給装置51,61からセパレータ2,3を引き出しつつ、取外しポジションP2側へと移動していく。一方、取外しポジションP2にあった他方の巻芯14(13)が、ターレット12の一方のテーブルに没した状態で、捲回ポジションP1側へと移動していく。
続いて、ステップS40において、ターレット12の回転に併せて、各種シート2〜5の捲回されている一方の巻芯13(14)が自身の中心軸を回転軸として回転させられる。
そして、次のステップS41において、巻終わり処理を実行することで、捲回工程が終了される。
巻終わり処理では、まず、一方の巻芯13(14)の回転数が所定数に到達した時点で、一方の巻芯13(14)の回転が停止される。尚、一方の巻芯13(14)の回転が停止する前、停止と同時、又は、停止した後に、ターレット12の回転が停止されることとなる。
一方の巻芯13(14)及びターレット12の回転が停止されると、図17に示すように、捲回ポジションP1にあった一方の巻芯13(14)が取外しポジションP2に位置し、取外しポジションP2にあった他方の巻芯14(13)が捲回ポジションP1に位置した状態となる。さらに、このときには、一方の巻芯13(14)とガイドローラ78a,78b間において、セパレータ2,3が一方の支持ローラ15b(15a)に架けられた状態となっている。
この状態で、押えローラ17を一方の巻芯13(14)に接近させ、押えローラ17により各種シート2〜5を押えた上で、セパレータカッタ16がセパレータ2,3に接近することにより、セパレータ2,3が切断される。
尚、セパレータ2,3の切断に先立って、他方の巻芯14(13)がターレット12の一方のテーブルから突出することで、他方の巻芯14(13)の芯片14a,14b(13a,13b)間にセパレータ2,3が挿通される。さらに、他方の巻芯14(13)が所定量だけ回転することにより、他方の巻芯14(13)の外周にセパレータ2,3が所定量だけ巻き付けられる。次回の捲回工程では、このセパレータ2,3が巻き付けられた他方の巻芯14(13)へと電極シート4,5が供給されることとなる。
セパレータ2,3の切断後、押えローラ17により各種シート2〜5を押えた状態のまま、一方の巻芯13(14)を回転させる。これにより、セパレータ2,3及び電極シート4,5の終端部分がばらけることなく完全に巻取られる。その後、テープ貼付機構18により、セパレータ2,3の終端部が前記固定用テープにより巻止めされ、巻終わり処理が終了される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、計測された電極シート4,5の厚さに基づいて、電極シート4,5の搬送方向に沿ったタブ4a,5aの溶接位置が調節される。従って、電極シート4,5の厚さの影響によるタブ4a,5aの位置ずれをより確実に防止することができ、タブ4a,5aを電池素子1の周方向に沿った所定の範囲内へとより確実に配置することができる。
また、厚さ計測機構756により、タブ溶接機構754よりも上流側において電極シート4,5の厚さが計測される。従って、タブ4a,5aや保護テープ7の存在が厚さ計測に影響を与えることなく、電極シート4,5の厚さをより正確に計測することができる。その結果、タブ4a,5aの溶接位置をより適切に調節することができる。
さらに、一素子分の電極シート4,5の始端に相当する部位から活物質非存在部4b,5bまでの電極シート4,5の厚さに基づき、当該活物質非存在部4b,5bに溶接されるタブ4a,5aの溶接位置が調節される。従って、タブ4a,5aの溶接位置をより適切なものとすることができ、タブ4a,5aを前記所定の範囲内へと非常に精度よく配置することができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、タブ溶接装置75の下流に、捲回部11やシート切断カッタ72等、タブ4a,5aの溶接された電極シート4,5を捲回するための各種装置が設けられている。これに対し、本第2実施形態では、図18に示すように、タブ溶接装置75の下流には、正電極シート4を連続的に巻取るための巻取機構102が設けられており、タブ溶接装置75及び巻取機構102等によってタブ溶接システム101が構成されている。
タブ溶接システム101は、正電極シート原反32から引き出された正電極シート4に対し正電極タブ4aを溶接した上で、巻取機構102によって正電極タブ4aの溶接された正電極シート4を一旦巻取ってロール状の原反とするものである。尚、本第2実施形態では、正電極タブ4aの溶接等を行うタブ溶接システム101について説明するが、負電極タブ5aの溶接等を行うタブ溶接システムについても前記タブ溶接システム101と同様の構成を有する。
タブ溶接システム101は、上記第1実施形態における捲回装置10と同様に、タブ溶接装置75やテンション付与機構76を備えているが、本第2実施形態では、タブ溶接装置75の第二繰出ローラ751が、検出センサ755及び後述するバッファ機構757間に配置されている。さらに、第二繰出ローラ751及びタブ溶接機構754間の距離は、正電極シート4の始端に相当する部分から、当該部分に最も近接する活物質非存在部4bまでの距離よりも小さなものとなっている。
そして、本第2実施形態では、第二繰出ローラ751によって正電極シート4が間欠的に搬送される一方で、巻取機構102によって正電極シート4が連続的に搬送されるように構成されている。この搬送態様の相違による正電極シート4の弛みを防止して正電極シート4を常時緊張状態に保持すべく、タブ溶接装置75及び巻取機構102間には、バッファ機構103が設けられている。バッファ機構103は、上記第1実施形態におけるバッファ機構74と同様の構成を備えており、一対の従動ローラ103a,103bと、両ローラ103a,103b間において上下方向に変位可能に設けられた昇降ローラ103cとを有している。
加えて、本第2実施形態におけるタブ溶接装置75は、第二繰出ローラ751及び厚さ計測機構756間に、バッファ機構757を備えている。バッファ機構757は、前記バッファ機構103と同様に、一対の従動ローラ757a,757bと、両ローラ757a,757b間において上下方向に変位可能に設けられた昇降ローラ757cとを有している。バッファ機構757によって、第二繰出ローラ751及び厚さ計測機構756間において、一素子分の正電極シート4を貯留できるようになっている。
さらに、本第2実施形態におけるタブ溶接装置75は、厚さ計測機構756の上流に、第三繰出ローラ758を備えている。第三繰出ローラ758は、図示しないモータに連結された上下一対のローラ758a,758bを有し、両ローラ758a,758bにより正電極シート4を挟持しつつ、厚さ計測機構756側に向けて正電極シート4を繰り出すように構成されている。
尚、第三繰出ローラ758の回転量、すなわち、正電極シート4の繰出量は、図示しないエンコーダにより把握可能となっており、当該エンコーダから前記回転量(繰出量)に関する情報が次述する制御装置104へと入力されるようになっている。
タブ溶接システム101は、制御手段としての制御装置104を備えている。制御装置104の構成は、上記第1実施形態における制御装置759の構成とほぼ同様である。すなわち、制御装置104は、CPUやROM、RAM等を備えており、タブ溶接装置75の動作を制御する。例えば、制御装置104により、第二繰出ローラ751による正電極シート4の繰出し開始・繰出し停止や、タブ溶接機構754による溶接動作などが制御される。さらに、制御装置104のROMやハードディスクには、活物質非存在部4bに対する正電極タブ4aの基準溶接位置に関する情報を示す基準溶接位置テーブルが記憶されている。
このように制御装置104の基本的な構成は上記第1実施形態における制御装置759と同様であるが、制御装置104による正電極タブ4aの溶接位置の決定手法は、制御装置759によるタブ4a,5aの溶接位置の決定手法と異なる。そこで次に、制御装置104による正電極タブ4aの溶接位置の決定手法について説明する。
本第2実施形態では、巻取機構102により正電極シート4を巻取ることでロール状の原反が得られることとなり、電池素子1を製造する際には、当該原反から正電極シート4を順次引き出していくこととなる。従って、上記第1実施形態では、正電極シート4の始端に相当する部分が、タブ溶接装置75におけるシート搬送方向の下流側に位置しているが、本第2実施形態では、一素子分の正電極シート4の始端に相当する部分が、タブ溶接装置75におけるシート搬送方向の上流側に位置することとなる。
この点を踏まえ、本第2実施形態では、正電極タブ4aの溶接に先立って、厚さ計測機構756によって、一素子分の正電極シート4の全域の厚さが予め計測される。そして、厚さの計測された一素子分の正電極シート4が第二繰出ローラ751及び厚さ計測機構756間に貯留される。尚、この貯留された一素子分の正電極シート4は、その始端に相当する部分が厚さ計測機構756に対応して(両測長ローラ756c,756d間に)配置され、その終端に相当する部分が第二繰出ローラ751に対応して(両ローラ751a,751b間に)配置された状態となっている。
この状態で、両繰出ローラ751,758によって、厚さの計測された一素子分の正電極シート4の搬送が開始される。そして、検出センサ755によって正電極シート4における活物質非存在部4bが検出されると、制御装置104は、活物質非存在部4bが検出された時点における、正電極シート4の始端に相当する部分から当該活物質非存在部4b(より正確には、活物質非存在部4b及び活物質存在部4cの境界部分)までの正電極シート4の長さを求める。当該長さは、例えば、一素子分の正電極シート4の長さ、及び、搬送開始からの正電極シート4の搬送量等によって求めることができる。
さらに、制御装置104は、求めた長さと前もって得られた厚さのデータとに基づき、当該活物質非存在部4bから正電極シート4の始端に相当する部分までの間における正電極シート4の厚さの平均値を得る。その上で、得られた正電極シート4の厚さの平均値から正電極シート4の厚さの基準値(理想値)を減算した値x(mm)を算出する。
次いで、制御装置104は、前記求めた長さと上述の式[(2×W×n)+π×〔R×n+n×(n−1)×(0.15+0.10+0.02×2)〕]とに基づき、前記値naを算出する。具体的には、求めた長さがL1(mm)であるとき、[(2×W×n)+π×〔R×n+n×(n−1)×(0.15+0.10+0.02×2)〕]≧L1を満たす最小のnを算出するとともに、算出したnから1を減算した値naを算出する。
次いで、制御装置104は、〔π×n×(n−1)×x〕の式において、nに対し算出された前記値naを代入するとともに、xに対し算出された前記値xを代入し、補正値を得る。つまり、本第2実施形態では、両電極シート4,5ではなく、正電極シート4の厚さのみに基づいて補正値が得られる。
そして、補正値が得られると、前記基準溶接位置テーブルを参酌して、正電極タブ4aの溶接対象となっている活物質非存在部4bに対応する基準溶接距離を得るとともに、この基準溶接距離に対し前記補正値を加算する。そして、得られた値を溶接位置として決定する。結果的に、前記補正値が正数である場合、上記第1実施形態では、溶接位置が基準溶接位置に対しシート搬送方向下流側にずれることとなるが、本第2実施形態では、溶接位置が基準溶接位置に対しシート搬送方向上流側にずれることとなる。
また、制御装置104は、決定された溶接位置がタブ溶接機構754に到達すると、第二繰出ローラ751による正電極シート4の搬送を一時停止させる。その上で、制御装置104は、タブ溶接機構754を制御することによって、前記決定された溶接位置に対し正電極タブ4aを溶接する。正電極タブ4aの溶接後、正電極シート4の搬送が再開される。
次いで、本第2実施形態における溶接工程について説明する。尚、本第2実施形態の溶接工程においては、次回の溶接工程において正電極タブ4aが溶接されることとなる一素子分の正電極シート4の全域の厚さを予め計測する工程と、前回の溶接工程で厚さの計測された一素子分の正電極シート4に対し正電極タブ4aを溶接する工程とが同時期に行われる。また、溶接工程の直前において、正電極シート4の終端に相当する部分が、第二繰出ローラ751に対応して配置された状態となっており、正電極シート4の始端に相当する部分が、厚さ計測機構756に対応して配置された状態となっている。そして、第二繰出ローラ751及び厚さ計測機構756間に位置する一素子分の正電極シート4の厚さは、既に計測された状態となっている。
溶接工程においては、図19に示すように、まず、ステップS51において、第二繰出ローラ751及び第三繰出ローラ758の動作を開始させる。これにより、正電極シート4が両測長ローラ756c,756d間を動き始めることとなり、ステップS52において、厚さ計測機構756による正電極シート4の厚さ計測が開始される。
次いで、ステップS53において、検出センサ755によって活物質非存在部4bが検出されたか否かが判定される。ステップS53で否定判定された場合には、ステップS56へと移行する。一方、ステップS53で肯定判定された場合には、ステップS54において、前回の溶接工程で計測された厚さ等に基づき、正電極シート4のうち、検出された活物質非存在部4bから始端に相当する部分までの間の厚さの平均値が求められるとともに、前記値xが得られる。その後、ステップS55において、得られた値xに基づき、検出された活物質非存在部4bにおける正電極タブ4aの溶接位置が決定される。
ステップS53で否定判定された場合、又は、ステップS55の後、ステップS56において、第二繰出ローラ751による搬送量等に基づき、ステップS55において決定された溶接位置がタブ溶接機構754に到達したか否かが判定される。
ステップS56において否定判定された場合には、ステップS60へ移行する。一方、ステップS56で肯定判定された場合には、ステップS57において、第二繰出ローラ751の動作が一時停止され、前記決定された溶接位置がタブ溶接機構754に位置合わせされた状態とされる。その状態で、ステップS58において、前記溶接位置に対し正電極タブ4aが溶接される。その後、ステップS59において、第二繰出ローラ751の動作が再開され、正電極シート4の搬送が再開される。
ステップS56で否定判定された場合、又は、ステップS59の後、ステップS60において、第二停止フラグがオンであるか否かが判定される。第二停止フラグは、第二繰出ローラ751によって一素子分の正電極シート4が繰出されたか否かを判定するための状態判定情報である。ステップS60で肯定判定された場合、すなわち、第二繰出ローラ751によって一素子分の正電極シート4が既に繰出されている場合、ステップS64に移行する。尚、第二停止フラグがオンとなっているということは、一素子分の正電極シート4における全ての活物質非存在部4bがタブ溶接機構754を通過した状態であり、一素子分の正電極シート4に対し全ての正電極タブ4aが溶接された状態であるということができる。また、第二繰出ローラ751が停止した状態では、次回に正電極タブ4aが溶接されることとなる一素子分の正電極シート4の終端に相当する部分が、第二繰出ローラ751に対応して配置された状態となる。
一方、ステップS60で否定判定された場合には、ステップS61に移行し、第二繰出ローラ751によって正電極シート4が一素子分繰出されたか否かが判定される。ステップS61で否定判定された場合には、ステップS64に移行する。一方、ステップS61で肯定判定された場合には、ステップS62において第二繰出ローラ751による正電極シート4の繰出が停止されるとともに、ステップS63において第二停止フラグがオンとされる。
ステップS60にて肯定判定された場合、若しくは、ステップS61にて否定判定された場合、又は、ステップS63の後、ステップS64において、第三停止フラグがオンであるか否かが判定される。第三停止フラグは、第三繰出ローラ758によって一素子分の正電極シート4が繰出されたか否かを判定するための状態判定情報である。ステップS64で肯定判定された場合、すなわち、第三繰出ローラ758によって一素子分の正電極シート4が既に繰出されている場合、ステップS68に移行する。尚、第三停止フラグがオンであるということは、一素子分の正電極シート4における全域の厚さが既に計測された状態であるということができる。次回の溶接工程では、この厚さの計測された一素子分の正電極シート4に対し正電極タブ4aが溶接されることとなる。また、第三繰出ローラ758が停止した状態では、厚さ計測機構756に対応して、次回厚さが計測されることとなる一素子分の正電極シート4の終端に相当する部分が配置された状態となる。
一方、ステップS64で否定判定された場合には、ステップS65に移行し、第三繰出ローラ758によって正電極シート4が一素子分繰出されたか否かが判定される。ステップS65で否定判定された場合には、ステップS53へと戻る。これに対し、ステップS65で肯定判定された場合には、ステップS66において第三繰出ローラ758による正電極シート4の繰出が停止されるとともに、ステップS67において第三停止フラグがオンとされる。
ステップS64で肯定判定された場合、又は、ステップS67の後、ステップS68において、第二停止フラグ及び第三停止フラグの双方がオンであるか否かが判定される。すなわち、一素子分の正電極シート4に対する正電極タブ4aの溶接が全て完了し、かつ、この一素子分の正電極シート4に続く一素子分の正電極シート4の厚さ計測が完了したか否かが判定される。ステップS68で否定判定された場合には、ステップS53へと戻る。一方、ステップS68で肯定判定された場合には、第二停止フラグ及び第三停止フラグがオフとされた上で、溶接工程が終了される。
以上、本第2実施形態によれば、正電極シート4の厚さの影響による正電極タブ4aの位置ずれをより確実に防止することができ、得られた電池素子1において、正電極タブ4aを所定の範囲内へとより確実に配置することができる。
また、タブ溶接機構754よりも上流側において正電極シート4の厚さが計測されるため、正電極シート4の厚さをより正確に計測することができ、その結果、正電極タブ4aの溶接位置をより適切に調節することができる。
さらに、一素子分の正電極シート4の始端に相当する部位から活物質非存在部4bまでの正電極シート4の厚さに基づき、当該活物質非存在部4bに溶接される正電極タブ4aの溶接位置が調節される。従って、正電極タブ4aの溶接位置をより適切なものとすることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態におけるタブ4a,5aは、理想状態において、それぞれ2列に並ぶように構成されているが、理想状態におけるタブ4a,5aの配置位置は、適宜変更可能である。
(b)上記実施形態において、電極シート4,5の厚さ計測は、電極シート4,5の搬送中に行われているが、必ずしも電極シート4,5の搬送中でなくてもよい。従って、例えば、電極シート4,5がロール状に捲回されている状態(例えば、シート原反32,42の状態)において、電極シート4,5の厚さを計測することとしてもよい。尚、この場合、電極シート4,5の厚さは、シート原反32,42の端面の撮像画像などを解析すること等により得ることができる。
(c)上記実施形態では、タブ溶接機構754よりも上流側に厚さ計測機構756が配設されているが、タブ溶接機構754よりも下流側に厚さ計測機構756を配設することとしてもよい。また、この場合には、計測された電極シート4,5の厚さに基づき、次回以降の溶接工程にて使用される補正値が算出されるように構成してもよい。
(d)前記補正値は、電極シート4,5の厚さに基づき決定されるものであればよく、上記実施形態で挙げた手法以外の手法により決定されるものであってもよい。従って、例えば、一定時間又は一定の搬送量ごとに計測された電極シート4,5の厚さに基づき、補正値を決定してもよい。
(e)上記実施形態では、得られた補正値が過度に大きい又は小さいとき、得られた補正値に代えて、前記最大補正値又は前記最小補正値を用いることとしているが、前記最大補正値又は前記最小補正値を用いた場合には、巻芯13(14)による捲回時に、各種シート2〜5に付与される張力を調節することで、タブ4a,5aをより精度よく所定の範囲内に配置されるように構成してもよい。例えば、補正値として前記最大補正値を利用した場合には、張力を通常よりも大きくすることにより、タブ4a,5aが巻芯13,14の回転方向後方側にずれるようにしてもよい。また、例えば、補正値として前記最小補正値を利用した場合には、張力を通常よりも小さくすることにより、タブ4a,5aが巻芯13,14の回転方向前方側にずれることとしてもよい。
(f)上記実施形態では、各種シート2〜5の巻取開始時に、芯片13a,13b(14a,14b)間にセパレータ2,3が配置された状態で巻芯13(14)を回転させることにより、巻芯13(14)に対しセパレータ2,3が所定量巻き取られるように構成されている。これに対し、セパレータ2,3を把持可能な把持手段を巻芯13(14)に設け、各種シート2〜5の巻取開始時に、前記把持手段によりセパレータ2,3を把持した状態で巻芯13(14)を回転させることにより、セパレータ2,3を所定量巻取ることとしてもよい。また、前記把持手段によりセパレータ2,3とともに両電極シート4,5を把持した上で、巻取を開始するように構成してもよい。
(g)上記実施形態においては、捲回部11が、2つの巻芯13,14を備えた構成となっているが、巻芯の数はこれに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上の巻芯を備えた構成としてもよい。尚、巻芯が1つの場合、ターレット12等は省略可能である。
(h)上記実施形態では、捲回装置10によって、リチウムイオン電池の電池素子1が製造されているが、捲回装置10によって製造される捲回素子はこれに限定されるものではなく、例えば、電解コンデンサの捲回素子等を製造することとしてもよい。
(i)セパレータ2,3や電極シート4,5の材質は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、セパレータ2,3をPPにより形成することとしているが、他の絶縁性材料によってセパレータ2,3を形成することとしてもよい。また、例えば、電極シート4,5に塗布される活物質を適宜変更してもよい。