以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
まず、本実施形態の捲回装置によって得られる捲回体としてのリチウムイオン電池素子の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、リチウムイオン電池素子1(以下、単に「電池素子1」という)は、2枚のセパレータシート2,3を介して、正電極シート4及び負電極シート5が重ね合わされた状態で捲回されることにより製造される。尚、図2においては、説明の便宜上、セパレータシート2,3及び電極シート4,5(以下、これらを総称する場合は「各種シート2〜5」という)の相互の間隔をあけて示している。
セパレータシート2,3は、それぞれ同一の幅を有する帯状をなしており、異なる電極シート4,5同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく、ポリプロピレン(PP)等の絶縁体により構成されている。
各電極シート4,5は、薄板状の金属シートを備え、セパレータシート2,3と略同一の幅を有している。また、各電極シート4,5における前記金属シートの表裏両面には活物質が塗布されている。正電極シート4には例えばアルミニウム箔シートが用いられ、その表裏両面に正極活物質(例えば、マンガン酸リチウム粒子等)が塗布されている。負電極シート5には例えば銅箔シートが用いられ、その表裏両面に負極活物質(例えば、活性炭等)が塗布されている。そして、活物質を介して、正電極シート4及び負電極シート5間におけるイオン交換ができるようになっている。より詳しくは、充電時には、正電極シート4側から負電極シート5側へとイオンが移動し、放電時には、負電極シート5側から正電極シート4側へとイオンが移動する。
加えて、両電極シート4,5の両端部(図2では、電極シート4,5の終端部のみを拡大したものも示す)には、通し部6が形成されている。本実施形態において、通し部6は、シート幅方向に並んで複数設けられており(図13参照)、それぞれ電極シート4,5を貫通する円形孔状とされている。そして、電極シート4,5のうち通し部6の形成位置に対応して、電極シート4,5の表裏両面に対し、テープ部としての保護テープ7が貼付されている。保護テープ7は、ポリプロピレン等からなり、電極シート4,5と略同一の幅を有している。電極シート4,5の表面に貼付された保護テープ7と、電極シート4,5の裏面に貼付された保護テープ7とは、通し部6を通して互いに接着された状態となっている。
また、正電極シート4の幅方向一端縁からは図示しない複数の正極リードが延出するとともに、負電極シート5の幅方向他端縁からは図示しない複数の負極リードが延出している。
リチウムイオン電池を得るに際しては、捲回された電池素子1が金属製で筒状をなす電池容器(図示せず)内に配設されるとともに、前記正極リード及び負極リードがそれぞれまとめられる。そして、まとめられた正極リードを正極端子部品(図示せず)に接続するとともに、同じくまとめられた負極リードを負極端子部品(図示せず)に接続し、両端子部品が前記電池容器の両端開口に塞ぐように設けられることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
次に、電池素子1を製造するための捲回装置10について説明する。図3に示すように、捲回装置10は、各種シート2〜5を捲回するための捲回部11と、正電極シート4を捲回部11へ供給するための正電極シート供給機構31と、負電極シート5を捲回部11へ供給するための負電極シート供給機構41と、セパレータシート2,3をそれぞれ捲回部11へ供給するためのセパレータ供給機構51,61とを備えている。尚、上記捲回部11や各供給機構31,41,51,61など、捲回装置10内の各種機構は、基本的には図示しない制御装置により動作制御される構成となっている。
正電極シート供給機構31の最上流側においては、正電極シート4がロール状に捲回されてなる正電極シート原反32が回転可能に支持されており、ここから適宜、正電極シート4が引き出されることとなる。
また、正電極シート原反32から捲回部11にかけての正電極シート4の搬送路の途中には、下流側より順に、テープ位置検出手段としての検出センサ83、第一繰出ローラ84、バッファ機構85、第二繰出ローラ86及び切断貼付装置87が設けられている。
検出センサ83は、例えば光電センサからなり、正電極シート4に貼付された保護テープ7を検出するものである。検出センサ83は、正電極シート4に向けて光を照射し、反射光の差異に基づいて保護テープ7を直接的に検出する。保護テープ7が検出されると、検出センサ83から所定の算出制御装置89に対し、保護テープ7を検出した旨の信号が出力される。
算出制御装置89は、例えば、CPUやRAM等を備えたコンピュータシステムにより構成されている。算出制御装置89は、検出センサ83から信号が入力される度に、その直前の信号入力時からの、後述する測長ローラ85aに設けられたエンコーダの回転量を取得する。そして、取得した回転量に基づき、保護テープ7の貼付位置から次の保護テープ7の貼付位置までの距離、すなわち、捲回部11により実際に巻取られることとなる電池素子1ひとつ分の正電極シート4の長さを算出する。本実施形態では、算出制御装置89及び測長ローラ85aによって、シート測長手段が構成される。
また、算出制御装置89は、電池素子1ひとつ分の正電極シート4の長さに関する設定値が予め記録されており、当該設定値に基づき、第二繰出ローラ86の動作を制御する。より詳しくは、算出制御装置89は、第二繰出ローラ86に設けられたエンコーダ(図示せず)に基づき、第二繰出ローラ86から繰出されている正電極シート4の長さに関するデータを逐次受信しており、受信したデータに基づき把握した正電極シート4の繰出し量と前記設定値とが等しくなったときに、第二繰出ローラ86の動作を停止させる。
加えて、算出制御装置89は、前記設定値を逐次更新可能とされており、実際に供給された(算出した)正電極シート4の長さと前記設定値との差分に基づき新たな設定値を導出し更新する。例えば、実際に供給された(算出された)正電極シート4の長さが設定値に対し5mm長いものとなっていた場合、算出制御装置89は、新たな設定値を現在の設定値よりも5mm短い値に更新する。これにより、次回供給される正電極シート4の長さは、前回の供給長さよりも5mm短いものとされる。本実施形態では、算出制御装置89及び第二繰出ローラ86によって、供給長さ調節手段が構成される。
第一繰出ローラ84は、図示しないモータに連結された上下一対のローラ84a,84bを有し、両ローラ84a,84bにより正電極シート4を挟持しつつ、捲回部11の捲回動作に合せて正電極シート4を繰り出すよう構成されている。
一方、第二繰出ローラ86は、正電極シート4を繰り出しつつ、正電極シート4における保護テープ7の貼付予定位置を切断貼付装置87に対し位置決めするためのものであり、図示しないモータに連結された上下一対のローラ86a,86b、及び、図示しないエンコーダ等を有している。そして、第二繰出ローラ86は、両ローラ86a,86bにより正電極シート4を挟持しつつ、算出制御装置89からの制御に基づき、正電極シート4を間欠的に繰り出すように構成されている。
バッファ機構85は、図示しないエンコーダを有する測長ローラ85aと、従動ローラ85bと、両ローラ85a,85b間において上下方向に変位可能に設けられた昇降ローラ85cとを有し、捲回部11に対する正電極シート4の繰出し量と、第二繰出ローラ86による正電極シート4の繰出し量との差を吸収する役割を果たす。また、バッファ機構85は、捲回される正電極シート4に対して所定のテンションを付与し、正電極シート4の弛みを防止するための張力付与手段としても機能する。
切断貼付装置87は、正電極シート4の切断や保護テープ7の貼付等を行うためのものであり、図6等に示すように、正電極シート4を切断する電極シート切断手段としてのカッタ機構90と、正電極シート4を把持するシート離間手段としての把持機構91と、正電極シート4の被切断部分に対し保護テープ7を貼付するテープ接続手段としてのテープ貼付機構92と、通し部6を形成する通し部形成手段としての打抜機構93を備えている。
カッタ機構90は、正電極シート4の上側に位置する上刃90aと、正電極シート4の下側に位置する下刃90bとから構成されるとともに、当該各刃90a,90bが正電極シート4の搬送経路外へ退避可能に構成されている。
把持機構91は、カッタ機構90による正電極シート4の切断及び打抜機構93による通し部6の形成に際し正電極シート4を把持するものである。把持機構91は、カッタ機構90の上流側にて正電極シート4を把持可能な上流側把持部91aと、カッタ機構90の下流側にて正電極シート4を把持可能な下流側把持部91bとを有している。また、上流側把持部91aが下流側把持部91bに対し正電極シート4の搬送路に沿って進退可能に構成されている。
より詳しくは、上流側把持部91aは、図示しない駆動手段により、下流側把持部91bから相当距離離間した退避位置と、下流側把持部91bに最も接近した最接近位置との間を移動可能に構成されている。つまり、各把持部91a,91bがシート搬送方向に沿って互いに離間・接近する方向へ相対移動可能に構成されている。なお、便宜上、符号は省略するが、各把持部91a,91bは、上下一対のチャックを具備しており、図示しない駆動手段により当該チャックが開閉動作を行うように構成されている。
テープ貼付機構92は、正電極シート4の上方位置にて保護テープ7を保持可能な上保持部92aと、正電極シート4の下方位置にて保護テープ7を保持可能な下保持部92bとを有し、図示しない駆動手段により各保持部92a,92bがそれぞれ上下方向に沿って昇降動作を行うように構成されている。
打抜機構93は、カッタ機構90の上流側及び下流側に1つずつ設けられており、正電極シート4の上側に位置し、通し部6に対応する形状をなす打抜刃93aと、正電極シート4の下側に位置する受け部93bとを備えている。打抜刃93a及び受け部93bは、図示しない駆動手段によって上下動可能となっており、打抜刃93aにより正電極シート4が打抜かれることで、通し部6が形成されるようになっている。また、打抜刃93a及び受け部93bは、正電極シート4の搬送経路外へ退避可能に構成されている。
図3の説明に戻り、負電極シート供給機構41の最上流側においては、負電極シート5がロール状に捲回されてなる負電極シート原反42が回転可能に支持されており、ここから適宜、負電極シート5が引き出されることとなる。
また、負電極シート原反42から捲回部11にかけての負電極シート5の搬送路の途中には、正電極シート4の搬送路と同様に、検出センサ83、第一繰出ローラ84、バッファ機構85、第二繰出ローラ86、切断貼付装置87及び算出制御装置89などが設けられている。これら検出センサ83、第一繰出ローラ84、バッファ機構85、第二繰出ローラ86、切断貼付装置87、算出制御装置89などの各種構成は、正電極シート4の搬送路に設けられたものと同様であるため、その詳細な説明は省略する。尚、本実施形態では、各電極シート4,5の搬送路のそれぞれに対応して算出制御装置89が1つずつ設けられているが、算出制御装置89を1つのみ設け、当該算出制御装置89によって、各電極シート4,5の供給量の調節等を行うように構成してもよい。
一方、セパレータ供給機構51,61は、それぞれセパレータシート2,3がロール状に捲回されてなるセパレータ原反52,62を備えている。
セパレータ原反52,62は、自由回転可能に支持されており、ここから適宜、セパレータシート2,3が引き出されることとなる。
また、各種シート2〜5の供給経路の途中には、各種シート2〜5をひとまとめにする一対のガイドローラ88a,88bなど、各種シート2〜5を案内するための各種ガイドローラ(符号略)が設けられている。
尚、本実施形態では、セパレータシート2,3及び両電極シート4,5が、ガイドローラ88a,88bを通過して重ねられた状態となったときに、正電極シート4に貼付された保護テープ7と負電極シート5に貼付された保護テープ7とが重なるように各電極シート4,5の搬送経路の長さ等が設定されている。
次に捲回部11の構成について詳しく説明する。図4に示すように、捲回部11は、図示しない駆動機構により回転可能に設けられた円盤状のターレット12と、当該ターレット12の回転方向に180°間隔で設けられた2つの巻芯13,14と、当該巻芯13,14とそれぞれターレット12の回転方向にほぼ90°ずつずれた位置に設けられた2つの支持ローラ15a,15bと、セパレータシート2,3及び保護テープ7を切断するためのシート切断手段としてのシートカッタ16と、捲回後の各種シート2〜5がばらけるのを押さえるための押えローラ17とを備えている。
巻芯13,14は、それぞれ自身の外周側において各種シート2〜5を巻取るためのものであり、図示しない駆動機構により自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、巻芯13,14は、ターレット12の軸線方向(図4等の紙面奥行方向)に沿って、当該ターレット12に対し出没可能に設けられている。
巻芯13(14)は、図5に示すように、それぞれ自身の軸線方向(図5の紙面奥行方向)に沿って延びる一対の芯片13a,13b(14a,14b)を備えており、当該一対の芯片13a,13b(14a,14b)間に、各種シート2〜5を挿通可能なスリット13s(14s)が形成されている。
また、巻芯13(14)は、スリット13s(14s)内において、各種シート2〜5を固定するための固定手段としてのチャック機構13t(14t)を備えている。
チャック機構13t(14t)は、断面が略六角形状で内部に空間を有するチューブ131(141)と、当該チューブ131(141)に連結された図示しないエア供給排出機構とで構成されている。チューブ131(141)は、図中上部が接着部132(142)となっており、この接着部132(142)が芯片13a(14a)に接着されている。また、チューブ131(141)は、図中下部が挟持部133(143)となっており、この挟持部133(143)が、他方の芯片13b(14b)と対向するように配置されている。さらに、前記エア供給排出機構は、チューブ131(141)の内部空間に対するエアの供給、及び、当該内部空間からのエアの排出が可能となっている。そして、チューブ131(141)は、その内部空間にエアが供給されることによって膨張し、上記挟持部133(143)を一方の芯片13a(14a)から突出させる。また、チューブ131(141)は、その内部空間のエアが排出されることによって縮小し、その挟持部133(143)を一方の芯片13a(14a)の凹部134(144)に没入させる。かかる構成によって、図5に示すように、チャック機構13t(14t)は、芯片13a,13b(14a,14b)間に挿通されたセパレータシート2,3、正電極シート4及びこれに貼付された保護テープ7の少なくとも一方、並びに、負電極シート5及びこれに貼付された保護テープ7の少なくとも一方を挟持可能となっている。尚、図5等では、各種シート2〜5及び保護テープ7を実際よりも厚肉に示している。
図4に戻り、巻芯13,14は、ターレット12が回転することにより、第一ポジションとしての捲回ポジションP1と、第二ポジションとしての取外しポジションP2との間を旋回移動可能に構成されている。
捲回ポジションP1は、巻芯13,14に対し各種シート2〜5を捲回するポジションであり、当該捲回ポジションP1に対し上記各供給機構31,41,51,61からそれぞれ各種シート2〜5が供給されることとなる。
取外しポジションP2は、捲回後の各種シート2〜5、すなわち電池素子1の取外しを行うためのポジションである。取外しポジションP2の周辺部には、巻芯13,14から電池素子1の取外しを行うための取外装置(図示略)等が設けられている。
支持ローラ15a,15bは、取外しポジションP2へ移動した巻芯13,14と上記供給機構31,41,51,61との間で各種シート2〜5を引っ掛け、支持するためのものである。
シートカッタ16は、捲回ポジションP1の近傍に配置されており、ターレット12に接近しセパレータシート2,3及び保護テープ7を切断する切断位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置とに移動可能である。
押えローラ17は、取外しポジションP2の近傍に配置されており、ターレット12に接近し捲回後の各種シート2〜5を押さえる近接位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置とに移動可能に構成されている。
次に、上述した捲回装置10を用いた電池素子1の製造方法について説明する。
まずは、各電極シート4,5への保護テープ7の貼付手順について、正電極シート4の場合を例に詳しく説明する。尚、負電極シート5に対する保護テープ7の貼付手順は、正電極シート4に対する保護テープ7の貼付手順とほぼ同様であるが、一部異なる点がある(この点は後に説明する)。
後述するように、チャック機構13t(14t)により正電極シート4が固定された状態となると、第一繰出ローラ84が停止する一方、第二繰出ローラ86は回転動作を続け、これより上流側の正電極シート4が繰出される。この間、バッファ機構85では、昇降ローラ85cが降下し、繰出された分の正電極シート4が貯留される。ここでは、少なくとも後述する保護テープ7の貼付作業中(第二繰出ローラ86の停止中)に、第一繰出ローラ84により繰出される量が貯留されることとなる。
また、捲回部11により次の1素子分の捲回動作が開始されると、第一繰出ローラ84及び第二繰出ローラ86が同期して回転し、正電極シート原反32から捲回部11へ正電極シート4が順次搬送される。
続いて、第二繰出ローラ86に設けられたエンコーダの計測値に基づき、捲回部11により巻取られる1素子分の正電極シート4の区切り位置X1(図11参照)が切断貼付装置87(カッタ機構90)の所定位置に達したと判断されると、第二繰出ローラ86が停止する。一方、第一繰出ローラ84は回転動作を続け、捲回部11による捲回作業は継続して行われる。従って、第二繰出ローラ86が停止し、第一繰出ローラ84が回転している間、バッファ機構85では、昇降ローラ85cが上昇し、貯留されていた正電極シート4が繰出されていくことなる。尚、区切り位置X1は、一方の巻芯13(14)により巻取られる正電極シート4の終端部と、他方の巻芯14(13)により次回巻取られる正電極シート4の始端部との区切り位置ということもできる。
第二繰出ローラ86が停止し、これより上流側の正電極シート4の搬送が停止されると、図7に示すように、把持機構91の上流側把持部91a及び下流側把持部91bが駆動し、カッタ機構90の上流側及び下流側にて正電極シート4を把持する。そして、このように正電極シート4を把持した状態で、打抜機構93を駆動させ、正電極シート4の切断部又は切断予定部(つまり、区切り位置X1)を挟む位置にて正電極シート4を打抜き、通し部6を形成する。この工程が、通し部形成工程に相当する。また、これと同時期に、カッタ機構90を駆動させ、正電極シート4を区切り位置X1にて切断する。この工程が、電極シート切断工程に相当する。
シート切断後は、カッタ機構90及び打抜機構93が正電極シート4の搬送経路外へ退避するとともに、図8に示すように、把持機構91の各把持部91a,91bが正電極シート4を把持したまま、上流側把持部91aだけがシート搬送方向上流側(図8の右側)へ移動する。これにより、切断された正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間には隙間4cが形成される(図12参照)。この工程が、シート離間工程に相当する。また、この工程の間に、テープ貼付機構92の両保持部92a,92bに対し、所定の供給装置から事前に保護テープ7が供給される。
正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間に隙間4cが形成された後、図9及び図13(図13では各種機構等を不図示)に示すように、保護テープ7を保持したテープ貼付機構92の両保持部92a,92bがそれぞれ正電極シート4側へ作動する。これにより、正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとをつなぐように正電極シート4の表裏両面からそれぞれ保護テープ7が貼付される。これにより、両保護テープ7は、通し部6を通して互いに接着された状態になり、また、隙間4c部分においても互いに接着した状態となる(図14参照)。この工程が、シート接続工程に相当する。
そして、カッタ機構90、把持機構91、テープ貼付機構92及び打抜機構93がそれぞれ元の状態(図6参照)に戻り、保護テープ7の貼付作業が終了すると、再び第一繰出ローラ84及び第二繰出ローラ86が同期して回転する。そして、正電極シート4は、シート切断前と同様、再び一本の正電極シート4として、保護テープ7により繋がれた上流側部分4aと下流側部分4bとが連続して下流側へと搬送されていくこととなる。
尚、負電極シート5への保護テープ7の貼付作業時には、図10に示すように、シート搬送方向上流側(図10の右側)に対する上流側把持部91aへの移動量が、正電極シート4への保護テープ7の貼付作業時における当該移動量よりも小さなものとされる。そのため、負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとの間には、正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間に形成された隙間4cよりも小さな隙間5cが形成される(図15参照)。そして、正電極シート4に貼付される保護テープ7よりも短い保護テープ7が、負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとをつなぐように負電極シート5の表裏両面にそれぞれ貼付される(図16参照)。尚、正電極シート4の場合と同様、両保護テープ7は通し部6を通して互いに接着した状態とされる。
続いて、捲回部11による電池素子1の捲回手順について詳しく説明する。ここでは、第一巻芯としての一方の巻芯13に対し電池素子1ひとつ分の各種シート2〜5の捲回がほぼ完了した段階から、第二巻芯としての他方の巻芯14に対し各種シート2〜5を捲回し始めるまでの過程に沿って詳しく説明する。尚、本実施形態では、負電極シート5が正電極シート4の外周側に位置するようにして巻芯13,14による捲回が行われる。
捲回ポジションP1にある一方の巻芯13に対し各種シート2〜5が所定長、捲回されると(図17参照)、巻芯13による捲回動作を停止させることなく、ターレット12が回転する。これにより、一方の巻芯13が各種シート2〜5を捲回しつつ、取外しポジションP2側へと移動していくとともに、他方の巻芯14がターレット12に対し没入した状態で捲回ポジションP1側へと移動していく(図18参照)。この工程が、巻芯移動工程に相当する。
そして、巻芯13が取外しポジションP2に達し,巻芯14が捲回ポジションP1に達すると、ターレット12の回転動作及び巻芯13の回転動作が停止される。かかる状態になると、ガイドローラ88a,88bから巻芯13にかけて配された各種シート2〜5が支持ローラ15aに引っ掛かり、当該支持ローラ15aとガイドローラ88a,88bとの間において各種シート2〜5が真っ直ぐ張られた状態となる。
また、ターレット12に没入した巻芯14が捲回ポジションP1に到達した初期状態においては、上記支持ローラ15aとガイドローラ88a,88bとの間に配設された各種シート2〜5の長手方向と、巻芯14のスリット14sの貫通方向とが略平行した状態となる。
この状態で、巻芯14がターレット12から突出する。これにより、巻芯14のスリット14s内に各種シート2〜5が挿通された状態となる(図19参照)。この工程が、スリット挿通工程に相当する。尚、この状態において、前記挟持部143は一方の芯片14aの前記凹部144に没入している。
その後、再び取外しポジションP2に位置する巻芯13を回転させ、各種シート2〜5の捲回を再開する(図20参照)。この工程が捲回工程に相当する。捲回に伴い、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ7が徐々に巻芯14に近づいていく。そして、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ7が通過した時点で、各保護テープ7は互いに重ねられた状態となる。
さらに、巻芯13の捲回を進め、捲回部11(巻芯13)に設けられた図示しないエンコーダの計測値に基づき、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ7が巻芯13,14間の所定位置に達したところで、巻芯13による捲回動作を停止させる(図21参照)。尚、所定位置には、捲回ポジションP1に配置された巻芯14のスリット14s内が含まれる(巻芯14よりも下流側の切断可能位置に、両保護テープ7の一部が位置していればよい)。
その後、巻芯14のチャック機構14tを駆動させ、電極シート4,5(及び/又はこれに貼付された保護テープ7)、並びに、セパレータシート2,3を固定する。この工程が、固定工程に相当する。同時に、押えローラ17により巻芯13に捲回された各種シート2〜5を押える(図22参照)。
巻芯14に対しセパレータシート2,3等が固定されると、シートカッタ16が作動し、巻芯14の近傍にて、重ねられた状態のセパレータシート2,3及び各保護テープ7を一度に切断する。この工程が、シート切断工程に相当する。これにより、巻芯14から僅かにはみ出す程度の長さにセパレータシート2,3が切断され、捲回される際には当該セパレータシート2,3の始端部で電極シート4,5の始端部が覆われ、当該セパレータシート2,3の終端部で電極シート4,5の終端部が覆われた状態となる。
セパレータシート2,3及び各保護テープ7の切断後、押えローラ17により各種シート2〜5を押えた状態のまま、巻芯13を回転させる(図23参照)。これにより、セパレータシート2,3及び電極シート4,5の終端部分がばらけることなく完全に巻取られる。この工程が、終端部巻取工程に相当する。
そして、図24(尚、図24では、保護テープ7等を模式的に示す)に示すように、所定の固定用テープ8によりセパレータシート2,3や電極シート4,5の終端部分等を巻止めすることにより、各種シート2〜5の捲回作業が完了し、電池素子1が完成する。尚、完成した電池素子1は、各種シート2〜5が正常に捲回されたものであれば、セパレータシート2,3の終端部や各保護テープ7の終端部が少しずつずれた状態で電池素子1の外周に現れることとなる。従って、捲回作業が正常に行われた電池素子1において、固定用テープ8の接着面は、各保護テープ7や電極シート4,5、セパレータシート2,3に対し広範囲に亘って接触した状態となっている。
完成した電池素子1は、上記取外装置により巻芯13から取り外される。電池素子1が取外された後、巻芯13は、ターレット12に対して没入する。
尚、上記セパレータシート2,3及び各保護テープ7の切断後には、上述した取外しポジションP2における各種シート2〜5の終端部分の巻取作業を行うと同時に、捲回ポジションP1における各種シート2〜5の捲回作業を開始する。
以降、上述した工程が繰り返し行われ、巻芯13,14に対し各種シート2〜5が交互に捲回されることにより、電池素子1が順次製造されていくこととなる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、電極シート4,5の端部には通し部6が形成されており、通し部6及び電極シート3,4の端縁間には、電極シート4,5が存在した状態とされている。そして、通し部6を通して保護テープ7同士が互いに接着されており、シート長手方向に沿って保護テープ7へと力が加わった場合に、両保護テープ7の接着部分が電極シート4,5に引っ掛かる状態とされている。これにより、電極シート4,5から保護テープ7が剥離してしまったり、保護テープ7が電極シート4,5に対してずれ動いてしまったりすることを効果的に抑制できる。その結果、電極シート4,5に対し保護テープ7を強固に貼付することができ、保護テープ7を設けることによる作用効果をより確実に発揮させることができる。
また、本実施形態において、通し部6は、電極シート4,5で囲まれた孔状をなすため、両保護テープ7の接着部分は、その周囲が電極シート4,5で囲まれた状態となる。従って、保護テープ7の剥離やずれ動きをより効果的に抑制することができ、電極シート4,5に対し保護テープ7を一層強固に貼付することができる。また、電極シート4,5に対し保護テープ7が強固に貼付されることで、電極シート4,5等の捲回に支障が生じてしまうことを効果的に抑制でき、生産性の向上を図ることができる。
加えて、セパレータシート2,3の端部における余り部分(電極シート4,5を覆わない部分)の長さは、保護テープ7の被切断部分から電極シート4,5の当該被切断部分に近い側の端縁までの長さと同程度となる。従って、保護テープ7の切断後にセパレータシート2,3をある程度捲回し、その後、セパレータシート2,3を切断する場合と比較して、セパレータシート2,3の使用量を削減することができ、製造コストの低減や電池素子1の小型化を図ることができる。
また、電極シート4,5の切断面が保護テープ7で覆われ保護された状態となるため、切断に伴うバリやエッジが電極シート4,5の切断面に生じたとしても、これらバリ等が露出してしまうことを防止できる。これにより、バリ等によってセパレータシート2,3が傷つけられてしまうといった事態を防止でき、電池素子1の品質向上を図ることができる。
さらに、本実施形態によれば、得られた電池素子1において、より確実に負電極シート5で正電極シート4を覆うことができる。従って、正電極シート4が負電極シート5で覆われないことに伴う不具合(例えば、正電極シート4に針状の析出物が形成され、セパレータシート2,3に傷がついてしまうこと等)を効果的に抑制することができる。その結果、電池素子1の品質向上を一層図ることができる。
加えて、得られた電池素子1は、各電極シート4,5やセパレータシート2,3が正常に捲回されたものであれば、その終端部において、各保護テープ7及びセパレータシート2,3の端縁部が目視により確認可能となる。従って、電池素子1の終端部を目視により確認することで、電池素子1における電極シート4,5やセパレータシート2,3の捲回状態の良否を容易に判別することができる。
併せて、各保護テープ7及びセパレータシート2,3のそれぞれの端縁部が少しずつずれた状態となることで、固定用テープ8の接着面を少なくとも保護テープ7及びセパレータシート2,3(本実施形態では、各電極シート4,5、各保護テープ7及びセパレータシート2,3)に対しより確実に接触させることができる。その結果、電池素子1における巻止めをより確実、かつ、より強固に行うことができる。
また、保護テープ7を切断する工程と、セパレータシート2,3を切断する工程とを一工程に統合することができる。従って、生産効率を極めて効果的に向上させることができる。
さらに、本実施形態では、電極シート4,5の切断及び通し部6の形成が一度に行われるため、生産性をより一層高めることができる。
併せて、本実施形態では、保護テープ7の貼付位置を利用することで、実際に供給されている1素子分の電極シート4,5の長さを計測することができる。また、算出制御装置89等は、計測された電極シートの長さに基づき、供給機構31,41から供給される電極シート4,5の長さを調節することができる。従って、電池素子1における電極シート4,5の長さをより適切なものとすることができ、電池素子1の品質をより一層高めることができる。
また、電極シート4,5の長さが調節されることで、シートカッタ16により各保護テープ7を切断する際に、各保護テープ7の位置に大きなズレが生じてしまうことをより確実に防止できる。これにより、保護テープ7等の切断時に各保護テープ7をより確実に重ねることができ、シートカッタ16によって、各保護テープ7及びセパレータシート2,3をより確実に一度で切断することができる。その結果、より安定した生産性を確保することができる。
加えて、本実施形態では、複数の巻芯13,14のうちの1つにおいてセパレータシート2,3や電極シート4,5の下流側部分(終端部)を巻取ると同時に、その他の巻芯において新たな捲回を開始することができる。結果として、1つの巻芯のみを備えた捲回装置に比べ、生産性の向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態において、捲回部11は、ターレット12及び複数の巻芯13,14を有している。これに対し、本第2実施形態における捲回部21は、図25に示すように、ターレットを備えておらず、1本の巻芯22のみを備えている。当該巻芯22は、その回転軸が(軸線と交わる方向に)移動しない点を除いて、上記第1実施形態における巻芯13,14とほぼ同様の構成を有するものである。すなわち、巻芯22は、自身の外周において各種シート2〜5を巻取るためのものであり、図示しない駆動機構により自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、図26に示すように、巻芯22は、自身の軸線方向(図26の紙面奥行方向)に沿って延びる一対の芯片22a,22bを備えており、当該一対の芯片22a,22b間には、各種シート2〜5を挿通可能なスリット22sが形成されている。さらに、巻芯22は、スリット22s内において、各種シート2〜5を固定するためのチャック機構22tを備えている。
また、図27に示すように、巻芯22の近傍には、セパレータシート2,3及び保護テープ7を切断するためのシート切断手段としてのシートカッタ23と、押えローラ24とが設けられている。
シートカッタ23は、各シート2〜5の搬送経路に接近しセパレータシート2,3及び保護テープ7を切断する切断位置と、各種シート2〜5の搬送経路から離間する退避位置とに移動可能に構成されている。
押えローラ24は、巻芯22の近傍に配置されており、巻芯22に接近し捲回後の各種シート2〜5を押さえる近接位置と、巻芯22から離間する退避位置とに移動可能に構成されている。
また、巻芯22に対応して、巻芯22から電池素子1の取外しを行うための取外装置(図示略)が設けられている。
さらに、各種シート2〜5の供給経路の途中であって、ガイドローラ88a,88b及び巻芯22の間には、各種シート2〜5を支持する支持ローラ25(図27等参照)が設けられている。また、各種シート2〜5の供給経路の途中であって、前記支持ローラ25の上流側には、固定手段としてのチャック機構26が設けられている。チャック機構26は、各電極シート4,5及び各電極シート4,5に貼付された各保護テープ7のうち少なくとも一方、並びに、セパレータシート2,3を挟持する機能を有する。また、チャック機構26は、各種シート2〜5の供給経路に沿って、巻芯22に接近する接近位置と、巻芯22から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。
続いて、捲回部21による電池素子1の捲回手順について詳しく説明する。ここでは、巻芯22に対し各種シート2〜5の捲回がある程度完了した段階から、巻芯22に対し各種シート2〜5を再度捲回し始めるまでの過程に沿って詳しく説明する。尚、図26〜29においては、巻芯22に捲回された各種シート2〜5を模式的に示す。また、各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bには、予め通し部6が形成されるとともに、上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bは予め保護テープ7でつながれていることとする。
巻芯22に対する各種シート2〜5の捲回が進んでいくと、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ7が徐々に巻芯22に近づいていく。そして、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ7が通過した時点で、各保護テープ7は互いに重ねられた状態とされる。この各種シート2〜5を捲回し、各保護テープ7を互いに重ねた状態とする工程が、捲回工程に相当する。尚、巻芯22に対する各種シート2〜5の捲回中には、ガイドローラ88a,88bから巻芯22にかけて配された各種シート2〜5が支持ローラ25に引っ掛かっている。そして、支持ローラ25とガイドローラ88a,88bとの間において各種シート2〜5は真っ直ぐ張られた状態となっている。
巻芯22の捲回を進め、捲回部21(巻芯22)に設けられた図示しないエンコーダの計測値に基づき、各電極シート4,5に貼付された各保護テープ7が支持ローラ25及びガイドローラ88a,88b間の所定位置に達したところで、巻芯22による捲回動作を停止させる(図27参照)。
次いで、前記チャック機構26により各種シート2〜5のうち保護テープ7よりも上流側の部分を挟持する。この工程が、固定工程に相当する。同時に、押えローラ24により巻芯22に捲回された各種シート2〜5を押える(図28参照)。
チャック機構26によりセパレータシート2,3等が固定されると、シートカッタ23が作動し、巻芯22の近傍にて、重ねられた状態のセパレータシート2,3及び各保護テープ7を一度に切断する(図29参照)。この工程が、シート切断工程に相当する。
セパレータシート2,3及び各保護テープ7の切断後、押えローラ24により各種シート2〜5を押えた状態のまま、巻芯22を回転させる。これにより、セパレータシート2,3及び電極シート4,5の終端部分がばらけることなく完全に巻取られる。
そして、固定用テープ8(図24参照)により各種シート2〜5の終端部分を巻止めすることにより、各種シート2〜5の捲回作業が完了し、電池素子1が完成する。完成した電池素子1は、エアの供給を停止し、チャック機構22tをしぼませた上で、上記取外装置により巻芯22から取り外される。
次いで、前記チャック機構26により挟持された各種シート2〜5を巻芯22のスリット22sへと挿通する(図30参照)。次いで、チャック機構22tを駆動させ、当該チャック機構22tによってスリット22s内にて電極シート4,5等、及び、セパレータシート2,3を固定する。そして、チャック機構26による各種シート2〜5の挟持を解除した上で、巻芯22を回転させることにより各種シート2〜5の捲回作業を開始する。
以降、上述した工程が繰り返し行われ、巻芯22に対し各種シート2〜5が順次捲回されることにより、電池素子1が順次製造されていくこととなる。
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。すなわち、得られた電池素子1において、電極シート4,5に対し保護テープ7を強固に貼付することができ、保護テープ7を設けることによる作用効果をより確実に発揮させることができる。また、生産効率を極めて効果的に向上させることができるとともに、安定した生産性等を得ることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
上記第1実施形態では、保護テープ7により各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bが繋がれるように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、保護テープ7及び接続用テープ9によって各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bが繋がれるように構成されている(図33,35参照)。接続用テープ9は、保護テープ7の構成材料と同一の耐熱性材料(例えば、ポリプロピレン等)により形成されているが、保護テープ7とは異なり接着層を備えていない。本第3実施形態においては、保護テープ7及び接続用テープ9がテープ部に相当する。
また、本第3実施形態において、検出センサ83は、保護テープ7及び接続用テープ9を検出可能に構成されている。尚、この検出センサ83は、保護テープ7及び接続用テープ9を区別することなく、単にテープの存在を検出する。
さらに、本第3実施形態において、正電極シート4の搬送路の途中に設けられる切断貼付装置120は、正電極シート4の切断や通し部6の形成、保護テープ7の貼付といった機能とともに、保護テープ7の貼付に際し、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4b間に接続用テープ9を配置する機能を備えている。次に、切断貼付装置120の構成について説明する。
切断貼付装置120は、図36等に示すように、正電極シート4を切断するシート切断手段としてのカッタ機構121と、正電極シート4の切断や通し部6の形成に際し正電極シート4を把持するシート離間手段としての把持機構122と、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4b間に接続用テープ9を配置するテープ配置手段としてのテープ配置機構123と、接続用テープ9及び正電極シート4の被切断部位に対し保護テープ7を貼付するテープ接続手段としてのテープ貼付機構124と、正電極シート4に通し部6を形成する通し部形成手段としての打抜機構125とを備えている。尚、各図においては、各機構等が模式的に配置表示されている。
カッタ機構121は、正電極シート4の上側に位置する上刃121aと、正電極シート4の下側に位置する下刃121bとから構成されている。また、各刃121a,121bは、正電極シート4の搬送経路外へ退避可能に構成されている。
把持機構122は、カッタ機構121の上流側にて正電極シート4を把持可能な上流側把持部122aと、カッタ機構121の下流側にて正電極シート4を把持可能な下流側把持部122bとを有するとともに、上流側把持部122aが下流側把持部122bに対し正電極シート4の搬送路に沿って進退可能に構成されている。上流側把持部122aは、図示しない駆動手段により、下流側把持部122bから相当距離離間した退避位置と、下流側把持部122bに最も接近した最接近位置との間を移動可能である。但し、前記退避位置は、上記第1実施形態における退避位置と比較して、下流側把持部122bからより離間した位置となっている。
テープ配置機構123は、正電極シート4の上方位置にて接続用テープ9を保持可能な上挟持片部123aと、正電極シート4を挟んで上挟持片部123aと相対する下挟持片部123bとを備えている。各挟持片部123a,123bは、図示しない駆動手段により上下方向に昇降動作可能であり、接続用テープ9を挟持可能とされている。
テープ貼付機構124は、テープ配置機構123の上流側及び下流側にそれぞれ1つずつ設けられており、各テープ貼付機構124は、正電極シート4の上方位置にて保護テープ7を保持可能な上保持部124aと、正電極シート4の下方位置にて保護テープ7を保持可能な下保持部124bとを有している。各保持部124a,124bは、図示しない駆動手段によりそれぞれ上下方向に昇降動作可能に構成されている。
打抜機構125は、カッタ機構121の上流側及び下流側に1つずつ設けられており、正電極シート4の上側に位置し、通し部6に対応する形状をなす打抜刃125aと、正電極シート4の下側に位置する受け部125bとを備えている。打抜刃125a及び受け部125bが、図示しない駆動手段によってそれぞれ正電極シート4へと接近し、打抜刃125aにより正電極シート4が打抜かれることで、通し部6が形成されるようになっている。また、打抜刃125a及び受け部125bは、正電極シート4の搬送経路外へ退避可能に構成されている。
尚、負電極シート5の搬送路の途中にも、切断貼付装置120が設けられている。当該切断貼付装置120の構成は、正電極シート4の搬送路に設けられたものとほぼ同様であるため、その詳細な説明は省略する。
続いて、切断貼付装置120による各電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bの接続手順について、正電極シート4の場合を例に詳しく説明する。尚、負電極シート5における上流側部分5a及び下流側部分5bの接続手順は、正電極シート4における上流側部分4a及び下流側部分4bの接続手順とほぼ同様であるが、一部異なる点がある(この点は後に説明する)。
捲回部11による捲回動作に伴い、正電極シート原反32から捲回部11へ正電極シート4が順次搬送されている状態において、第二繰出ローラ86に設けられたエンコーダの計測値に基づき、捲回部11により巻取られる1素子分の正電極シート4の区切り位置X1(図11参照)が切断貼付装置120(カッタ機構121)の所定位置に達したと判断されると、第二繰出ローラ86が停止する。一方、第一繰出ローラ84は回転動作を続け、捲回部11による捲回作業は継続して行われる。
第二繰出ローラ86が停止し、これより上流側の正電極シート4の搬送が停止されると、図37に示すように、把持機構122の上流側把持部122a及び下流側把持部122bが駆動し、カッタ機構121の上流側及び下流側にて正電極シート4を把持する。そして、このように正電極シート4を把持した状態で、打抜機構125を駆動させ、正電極シート4の切断部又は切断予定部(つまり、区切り位置X1)を挟む位置にて正電極シート4を打抜き、通し部6を形成する。また、これと同時期に、カッタ機構121を駆動させ、正電極シート4を前記区切り位置X1にて切断する。
シート切断後、カッタ機構121の各刃121a,121b及び打抜機構125の打抜刃125a及び受け部125bが正電極シート4の搬送経路外へ退避する。さらに、図38に示すように、把持機構122の各把持部122a,122bが正電極シート4を把持したまま、上流側把持部122aだけがシート搬送方向上流側(図38の右側)へ移動する。これにより、切断された正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間には隙間4cが形成される(図31参照)。尚、本第3実施形態における上流側把持部122aのシート搬送方向上流側への移動量は、上記第1実施形態における当該移動量よりも大きなものとされている。そのため、本第3実施形態における隙間4cは、上記第1実施形態における隙間4cよりも広いものとなっている。
また、上流側把持部122aの移動時に、テープ配置機構123の上挟持片部123aに対し、所定の供給装置から事前に接続用テープ9が供給される。
次いで、図39に示すように、テープ配置機構123の両挟持片部123a,123bがそれぞれ正電極シート4側へと作動し、隙間4cに接続用テープ9を配置する。また、この間に、各テープ貼付機構124の両保持部124a,124bに対し、所定の供給装置から事前に保護テープ7が供給される。尚、テープ配置機構123に対する接続用テープ9の供給時に、テープ貼付機構124に対する保護テープ7の供給を行うこととしてもよい。
次に、図32(図32では各種機構等を不図示)及び図40に示すように、保護テープ7を保持したテープ貼付機構124の両保持部124a,124bがそれぞれ正電極シート4側へ作動する。これにより、正電極シート4の上流側部分4a及び接続用テープ9の上流側端部、並びに、正電極シート4の下流側部分4b及び接続用テープ9の下流側端部に対し、正電極シート4の裏表両面からそれぞれ保護テープ7が貼付される。その結果、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4bが、保護テープ7及び接続用テープ9により接続されることとなる(図33参照)。また、各保護テープ7は、通し部6を通して互いに接着された状態になる。
そして、カッタ機構121、把持機構122、テープ配置機構123、テープ貼付機構124及び打抜機構125がそれぞれ元の状態に戻り、保護テープ7の貼付作業が終了すると、再び第一繰出ローラ84及び第二繰出ローラ86が同期して回転する。そして、正電極シート4は、シート切断前と同様、再び一本の正電極シート4として、保護テープ7及び接続用テープ9により繋がれた上流側部分4aと下流側部分4bとが連続して下流側へと搬送されていくこととなる。
尚、負電極シート5の上流側部分5a及び下流側部分5bの接続作業時には、図41に示すように、シート搬送方向上流側(図41の右側)に対する上流側把持部122aへの移動量が、正電極シート4の上流側部分4a及び下流側部分4bの接続作業時における当該移動量よりも小さなものとされる。そのため、切断された負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとの間には、正電極シート4の上流側部分4aと下流側部分4bとの間に形成された隙間4cよりも小さな隙間5cが形成される(図34参照)。そして、正電極シート4を接続する接続用テープ9よりも短い接続用テープ9によって、負電極シート5の上流側部分5aと下流側部分5bとが接続されることとなる(図35参照)。
次いで、捲回部21による電池素子1の捲回手順について、上記第1実施形態との相違点を説明する。
上記第1実施形態では、捲回に伴い各電極シート4,5に貼付された各保護テープ7が徐々に巻芯14に近づいていき、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ7が通過した時点で、各保護テープ7が互いに重ねられた状態となるように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、図42に示すように、捲回に伴い各電極シート4,5を接続する各保護テープ7及び各接続用テープ9が徐々に巻芯14に近づいていく。そして、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ7及び各接続用テープ9が通過した時点で、正電極シート4を接続する保護テープ7及び接続用テープ9と負電極シート5を接続する保護テープ7及び接続用テープ9とが互いに重ねられた状態となるように構成されている。
また、上記第1実施形態では、シートカッタ16により、重ねられた状態のセパレータシート2,3及び各保護テープ7が一度に切断されるように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、図43に示すように、シートカッタ16により、重ねられた状態のセパレータシート2,3、正電極シート4を接続する保護テープ7及び接続用テープ9の少なくとも一方、並びに、負電極シート5を接続する保護テープ7及び接続用テープ9の少なくとも一方が一度に切断される。
以上、本第3実施形態によれば、基本的には、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
また、本第3実施形態によれば、電極シート4,5の上流側部分4a,5aと下流側部分4b,5bとの間において、保護テープ7が重なってなる比較的厚肉の部分をより短いものすることができる。これにより、得られた電池素子1における外径を比較的小さなものとすることができ、電池素子1の小型化を一層図ることができる。また、重ねられた保護テープ7間における気泡の発生をより確実に防止することができ、電池素子1の品質低下を効果的に抑制することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)通し部は、電極シート4,5の表裏に貫通する孔状又は切欠き状をなすとともに、電極シート4,5のうち、電極シート4,5の端縁との間に電極シート4,5が存在する位置に形成されているものであればよく、その形状や数は適宜変更可能である。
従って、例えば、図44に示すように、通し部151がシート幅方向に延びる長孔状をなすとともに、上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bにそれぞれ1つずつ設けられるように構成してもよい。
また、例えば、図45及び図46に示すように、通し部152,153が、電極シート4,5におけるシート幅方向端縁に形成された切欠き状をなすように構成してもよい。尚、切欠き状の通し部は、電極シート4,5の切除(例えば、打抜き)によって形成してもよいし、図47(図47では通し部153の形成手法を模式的に示す)に示すように、電極シート4,5における通し部の外縁に対応する部位の一部を切断した後、通し部に対応する部位160を折り返すことによって形成してもよい。
さらに、図48及び図49に示すように、電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bの一方に切欠き状の雌部161,163を設けるとともに、電極シート4,5の上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bの他方に前記雌部161,163の形状に対応する雄部162,164を設けてもよい。そして、雌部161,163のうち電極シート4,5の端縁との間に電極シート4,5が存在する部位を通し部154,156とし、電極シート4,5の端縁との間で雄部162,164を挟む空間を通し部155,157としてもよい。この場合には、通し部を形成するために排出される端材を減少させることができるとともに、電極シート4,5の切断と通し部154〜157の形成とを同時に行うことができる。その結果、コストの低減や生産性の向上などを図ることができる。
(b)上記実施形態では、電極シート4,5の切断部に対し保護テープ7を貼付するように構成されているが、通し部6の形成後であって電極シート4,5の切断前に、電極シート4,5における切断予定部に対し保護テープ7を貼付するように構成してもよい。
(c)上記実施形態では、電極シート4,5の切断、及び、通し部6の形成が同時期に行われるように構成されているが、両者を異なるタイミングで行うように構成してもよい。
(d)上記第2実施形態における技術思想に対し、上記第3実施形態における技術思想を適用することとしてもよい。すなわち、1つの巻芯22のみを有する捲回部21を用いて、保護テープ7及び接続用テープ9により上流側部分4a,5a及び下流側部分4b,5bが接続された各電極シート4,5を巻取ることとしてもよい。尚、この場合、ガイドローラ88a,88bを各保護テープ7等が通過した時点で、正電極シート4を接続する保護テープ7及び接続用テープ9と負電極シート5を接続する保護テープ7及び接続用テープ9とは互いに重ねられた状態となる。そして、チャック機構26によりセパレータシート2,3等が固定されると、シートカッタ23が作動し、巻芯22の近傍にて、重ねられた状態のセパレータシート2,3及び各接続用テープ9等が一度に切断されることとなる。
(e)上記実施形態では、シートカッタ16,23によりセパレータシート2,3及び各保護テープ7等が一度に切断されるように構成されているが、各種シート2〜5の搬送路にそれぞれ切断手段を設け、当該切断手段によって、各種シート2〜5を異なるタイミングで切断するように構成してもよい。また、上記第2実施形態におけるチャック機構26と同様の構成を有するチャック機構を各種シート2〜5の搬送路にそれぞれ設け、各種シート2〜5の切断時に、前記チャック機構によって切断対象のシートを挟持するとともに、各種シート2〜5の切断後、前記チャック機構が捲回部側へと接近することで、前記捲回部へと各種シート2〜5を供給するように構成してもよい。
(f)上記実施形態では、捲回装置10によって、リチウムイオン電池の電池素子1が製造されているが、捲回装置10によって製造される捲回体はこれに限定されるものではなく、例えば、電解コンデンサの捲回体等を製造することとしてもよい。
(g)上記実施形態では、巻芯13,14,22として、各種シート2〜5の捲回される外周形状が円形状に構成された巻芯を採用しているが、巻芯13,14,22の形状はこれに限定されるものではなく、例えば外周形状が長方形状(扁平状)、楕円形状、長円形状等となる巻芯を採用してもよい。
(h)セパレータシート2,3や電極シート4,5の材質は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、セパレータシート2,3をPPにより形成することとしているが、他の絶縁性材料によってセパレータシート2,3を形成することとしてもよい。また、例えば、電極シート4,5に塗布される活物質を適宜変更してもよい。勿論、保護テープ7や接続用テープ9の材質についても適宜変更可能である。
(i)上記第1、第3実施形態においては、捲回部11が2つの巻芯13,14を備えた構成となっているが、巻芯の数はこれに限定されるものではなく、3つ以上の巻芯を備えた構成としてもよい。
(j)チャック機構13t(14t)の構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、一対の芯片13a,13bが相対変位し、各種シート2〜5を挟持可能な構成としてもよい。
(k)巻芯13,14,22の回転方向は、必ずしも上記実施形態に限定されず、適宜変更可能である。尚、巻芯13,14,22の回転方向を変更した場合であっても、隙間4c,5cの大きさ(保護テープ7や接続用テープ9の長さ)を調節することで、負電極シート5で正電極シート4が覆われた構成とすることができる。例えば、巻芯13,14,22の回転方向の変更に伴い、正電極シート4が負電極シート5の外周側に位置するように構成しても、負電極シート5の隙間5cと正電極シート4の隙間4cとに所定以上の差があり、負電極シート5が、正電極シート4の最外周部を一周分覆うことが可能なように正電極シート4よりも十分に長いものとされていれば、負電極シート5で正電極シート4を覆うことができる。
(l)上記第1、第3実施形態では、電極シート切断手段としてのカッタ機構90(121)と、シート離間手段としての把持機構91(122)と、テープ接続手段としてのテープ貼付機構92(124)と、通し部形成手段としての打抜機構93(125)とを一体に備えた切断貼付装置87(120)を採用しているが、これに限らず、カッタ機構90(121)、把持機構91(122)、テープ貼付機構92(124)及び打抜機構93(125)のうち少なくとも1つを独立して備えた構成としてもよい。また、テープ配置手段としてのテープ配置機構123を独立して備えた構成としてもよい。
(m)上記実施形態では、シートカッタ16,23により巻芯13,14,22の外側にてセパレータシート2,3等を切断する構成となっているが、セパレータシート2,3等を切断する構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば巻芯にカッタを備え、スリット内部にてセパレータシート2,3等を切断する構成としてもよい。
(n)上記第1、第3実施形態では、巻芯13,14に設けられたエンコーダの計測値に基づき、電極シート4,5に貼付された保護テープ7等を、巻芯13,14間の所定位置に位置決めする構成となっているが、これに限らず、例えば巻芯13,14にセンサを設け、その検出結果を基に保護テープ7等の位置決めを行う構成としてもよい。
(o)上記実施形態において、検出センサ83は、反射光に基づき保護テープ7等を直接的に検出しているが、例えば、保護テープ7等が透過性の材料からなる場合には、透過光や反射光に基づき、1素子分の電極シート4,5の始端又は終端を検出したり、1素子分の電極シート4,5間に形成された隙間4c,5cを検出したりすることで、保護テープ7等の間接的に検出してもよい。
(p)上記第1、第3実施形態では、ターレット12において、各種シート2〜5を引っ掛けるための支持ローラ15a,15bが設けられているが、支持ローラ15a,15bを省略した構成としてもよい。