JP6092438B1 - バイオディーゼル発電装置およびその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】100%パーム油をバイオディーゼル発電用の燃料として経済的に利用することができる新規なバイオディーゼル発電装置およびその運転方法の提供。【解決手段】ディーゼルエンジン10が始動してその冷却水の温度が所定温度に達したならば、その冷却水を熱交換器に流してタンク内のパーム油を、その動粘度が液体化石燃料と同等程度になるまで加熱して、そのパーム油を液体化石燃料に代えてディーゼルエンジン10の燃料として供給する。これによって、ほぼ100%パーム油を液体化石燃料に代えてそのままバイオディーゼル燃料として利用することができると共に、エンジンの排熱を利用して加熱するため、パーム油を加熱のための電力コストを大幅に削減できる。【選択図】図1

Description

本発明はバイオディーゼル燃料として100%パーム油を使用できるバイオディーゼル発電装置およびその運転方法に関する。
一般にバイオディーゼル燃料は、植物油にメタノールを加えエステル交換反応によってグリセリンを取り除いて燃料化したものであり、軽油や重油などの液体化石燃料の代替燃料として主にディーゼルエンジンに使用可能である。良質のバイオディーゼル燃料は、CO削減効果だけでなく、硫黄などの大気汚染物質が少ないクリーンな燃料であり、しかも液体化石燃料と同等の燃費やエンジン性能を発揮できることが知られている。
一方、アブラヤシから得られるパーム油は、食用油やマーガリン、ショートニング、石鹸の原料として利用される他に、近年ではバイオディーゼル燃料としての利用も進められている。例えば、以下の特許文献1ではパーム油などの植物由来油(バイオマス油)と廃食油を混合し、さらにアルコールおよび灯油を混合して60重量%以下にしたものをディーゼルエンジンの燃料として用いる技術が提案されている。また、以下の特許文献2ではパーム油などの植物油のエステル類を分解すると共に不要な化合物を除去したものをディーゼルエンジンやタービンの燃料として用いる技術が提案されている。
特開2008−239751号公報 特表2009−542851号公報
ところで、本発明者は植物油の中でも生産量が多く、かつ比較的安価なパーム油を従来の化石燃料に代えてそのままディーゼル発電用のバイオディーゼル燃料として商業的に利用することを検討している。しかしながら、パーム油は植物油の中でも融点が高く、日本のような比較的寒冷な土地では常温で固形化してしまうことから、そのままではディーゼルエンジンの燃料として用いることが難しい。
そのため、前記特許文献1や2のようにパーム油にアルコールや灯油を混合したり、エステル類を分解する等の処理を行う必要があるが、そうすると燃料コストが高くなってしまい、ディーゼル発電用の燃料として用いると採算がとれなくなってしまうといった問題がある。
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的はほぼ100%パーム油をそのままバイオディーゼル燃料として経済的に利用することができる新規なバイオディーゼル発電装置およびその運転方法を提供するものである。
前記課題を解決するために第1の発明は、液体化石燃料で駆動するディーゼルエンジンと、当該ディーゼルエンジンの動力で発電する発電機とを備えたディーゼル発電装置であって、ほぼ100%のパーム油を貯留するタンクと、当該タンク内のパーム油を加熱してその動粘度を液体化石燃料と同等程度まで低下させるヒーターと、前記ディーゼルエンジンの排熱を利用して前記タンク内のパーム油を加熱する熱交換器と、前記タンク内のパーム油を前記液体化石燃料に代えて前記ディーゼルエンジンに供給するパーム油供給部とを備えたことを特徴とするバイオディーゼル発電装置である。
このような構成によれば、タンク内のパーム油を加熱してその動粘度を液体化石燃料と同等程度まで低下させることでほぼ100%パーム油を液体化石燃料に代えてそのままバイオディーゼル燃料として利用することができる。また、タンク内のパーム油をヒーターと共に、エンジンの排熱を利用して加熱するため、パーム油を加熱のための電力コストを大幅に削減できる。
第2の発明は、第1の発明において、前記熱交換器は、前記ディーゼルエンジンの冷却水または燃焼排ガスの一方あるいは両方を熱媒体として前記タンク内のパーム油を加熱することを特徴とするバイオディーゼル発電装置である。このような構成によれば、従来そのまま大気中に捨てられていた冷却水または燃焼排ガスに含まれる熱をタンク内のパーム油の加熱源として有効利用できる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ヒーターおよび熱交換器は、前記タンク内のパーム油を70℃以上に加熱して前記ディーゼルエンジンに供給することを特徴とするバイオディーゼル発電装置である。パーム油とA重油などの液体化石燃料を比較した場合、その発熱量や比重はほぼ同じであるが、常温における動粘度はパーム油のほうが圧倒的に高い。しかし、後に詳述するがこのように動粘度が高いパーム油であってもその温度が70℃を超えるとその動粘度は一気に低下し、A重油とほぼ同じになる。従って、このようにパーム油を70℃以上に加熱することにより、A重油と同じようにスムーズにパーム油をディーゼルエンジンに供給してA重油の代替燃料として用いることができる。
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、前記液体化石燃料内にエンジン清浄剤が含まれていることを特徴とするバイオディーゼル発電装置である。このように構成すれば、100%パーム油を燃料として使用することによってエンジンに不純物が付着、堆積したときには、次に液体化石燃料を用いて運転する際に、その付着、堆積した不純物を除去してエンジンを清浄化できる。
第5の発明は、第1の発明に係るディーゼル発電装置の運転方法であって、前記ディーゼルエンジンが始動してその冷却水の温度が所定温度に達したならば、当該冷却水を前記熱交換器に流して前記タンク内のパーム油を、その動粘度が液体化石燃料と同等程度になるまで加熱すると共に、前記ヒーターによるタンク内のパーム油の加熱を停止またはその加熱量を減少し、その後、前記タンク内のパーム油を前記液体化石燃料に代えて、または前記タンク内のパーム油と共に前記ディーゼルエンジンの燃料として供給することを特徴とするバイオディーゼル発電装置の運転方法である。このような運転方法によれば、第1の発明の効果に加えて、エンジン始動からパーム油への切換までをスムーズに行うことができる。
第6の発明は、第5の発明において、前記タンク内のパーム油を前記液体化石燃料に代えて前記ディーゼルエンジンの燃料として供給して運転した後、所定時間経過したならば、前記パーム油に代えて、清浄剤を添加した液体化石燃料を前記ディーゼルエンジンの燃料として供給して所定時間運転することを特徴とするバイオディーゼル発電装置の運転方法である。このような運転方法によれば、運転と同時に噴射ノズルや燃焼室内に付着したカーボンを除去することができる。これによって、エンジン不調や故障を回避して安定的な運転ができるだけでなく、エンジンを停止させたメンテナンスが不要またはその頻度が大幅に減少するため、発電効率が大幅に向上する。
本発明によれば、ほぼ100%のパーム油を加熱してその動粘度を液体化石燃料と同等程度まで低下させることでディーゼルエンジンの燃料として軽油や重油のような通常の液体化石燃料の代わりとして用いることができる。また、タンク内のパーム油をヒーターと共にエンジンの排熱を利用して加熱するため、パーム油の加熱のための電力コストを大幅に削減できる。
本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の実施の一形態を示す全体構成図である。 パーム油とA重油との性状を比較した表図である。 パーム油の精製工程の流れを示すフローチャート図である。 本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の運転方法の流れを示すフローチャート図である。 本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の他の実施形態を示す全体構成図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の実施の一形態を示したものである。図示するようにこのバイオディーゼル発電装置100は、ディーゼルエンジン10と、このディーゼルエンジン10の動力で発電する発電機20と、このディーゼルエンジン10にほぼ100%パーム油を供給するパーム油供給部30と、これらを制御する制御部40とから主に構成されている。
先ずディーゼルエンジン10は、例えばコモンレール式燃料噴射システムを用いた汎用の発電用エンジンであり、A重油や軽油などの液体化石燃料を用いて駆動するようになっている。このディーゼルエンジン10は、複数のピストン12が往復動するエンジンブロック11内に冷却水路13が形成されており、ウォーターポンプ14によってこの冷却水路13に冷却水を流してエンジンブロック11を冷却すると共に、高温となった冷却水をラジエータ15で冷却して循環させるようになっている。なお、このラジエータ15は、ディーゼルエンジン10で駆動されるファン16によって空冷されると共に、このラジエータ15と冷却水路13とはアッパーホース15aおよびロアホース15bで連通されている。
このエンジンブロック11の排気側には、エギゾーストマニホール17およびマフラー18が設けられており、運転に伴う排気音を消音すると共に排気ガスを清浄化して大気中に排気するようになっている。また、このエンジンブロック11には、噴射ポンプ19が設けられており、燃料タンク19a内に溜められた液体化石燃料(A重油)を抜き出してエンジン側に供給するようになっている。
次に発電機20は、ディーゼルエンジン10の出力軸10aに連結されたオルタネータまたはジェネレータであり、従来公知のものをそのまま適用することができる。そして、この発電機20で発電された電気は、図示しない変圧器によって所定電圧に昇圧(例えば400Vから6600V)された後、外部に供給されて商業的に利用されるようになっている。
パーム油供給部30は、パーム油タンク31と、このパーム油タンク31内に設けられたヒーター32および熱交換器33と、燃料切換部34とから構成されている。パーム油タンク31は、ほぼ100%のパーム油を一時的に貯留するものであり、貯留したパーム油をパーム油ラインL1を介して噴射ポンプ19に送り、ディーゼルエンジン10の燃料として供給するようになっている。なお、このパーム油ラインL1の入口側にはパーム油中に含まれている固形物を濾過するためのフィルターFが設けられている。また、このパーム油タンク31には、給油ラインL4が設けられており、この給油ラインL4から適宜パーム油が導入されるようになっている。なお、この給油ラインL4には、これを開閉するためのバルブV3が設けられている。
ヒーター32は、このパーム油タンク31内の底部に設けられており、貯留されているパーム油を加熱してその動粘度を低下させるようになっている。なお、このヒーター32は電熱ヒーターなどから構成されており、そのオン、オフ制御や出力制御などは後述する制御部40によって集中制御されている。
熱交換器33はその出入り口がそれぞれ冷却水路13から分岐した分岐ラインL2と、冷却水路13に合流する合流ラインL3とに接続されており、エンジンブロック11の冷却水路13内を流れる高温の冷却水を抜き出して通過させ、その熱によってパーム油タンク31内のパーム油を加熱するようになっている。この分岐ラインL2および合流ラインL3には、それぞれのラインを開閉するためのバルブV1、V2が設けられており、これら各バルブV1、V2も後述する制御部40によって制御されている。また、この分岐ラインL2には冷却水タンク35が接続されており、冷却水路13から分岐ラインL2に流れる冷却水を補給するようになっている。
燃料切換部34は、同じく後述する制御部40で制御される3方弁(電磁バルブ)で構成されており、燃料タンク19aから供給されるA重油に代えてパーム油タンク31内のパーム油をディーゼルエンジン10に供給すると共に、その反対にパーム油からA重油に切り換えることができるようになっている。
制御部40は、図示しない制御機器と操作盤とから構成されており、ディーゼルエンジン10の起動や停止、運転などの制御の他に、各ラインL2,L3、L4に設けられたバルブV1,V2,V3の開閉制御およびヒーター32の温度制御などを図示しない温度センサーやレベルセンサー、流量センサーなどの各種センサーの検出値に基づいて手動または自動的に制御するようになっている。この制御部40による具体的な制御方法については以下に詳述する。
次に、このような構成をした本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の運転方法について説明する。先ず、原料となるほぼ100%パーム油は、保温設備の整ったタンクローリーなどによって液体のまま運ばれてきてその給油ラインL4からパーム油タンク31内に送られて溜められる。このパーム油タンク31内には上述したようにヒーター32が設けられているため、そのパーム油の油温を下げることなく、少なくともその融点(凝固点:35〜45℃に)以上の温度に維持して保温する。これによって寒冷地や寒冷期であってもパーム油タンク31内のパーム油は凝固することなく、液体の状態を保ったままで貯留することができる。
図3は、本発明装置の燃料として用いることができる100%パーム油の精製工程の流れの一例を示したものである。一般に、アブラヤシの果房(Fresh palm fruit bunch)には直径数cmの小粒の果実が数百個ついており、先ず、これを飽和水蒸気で約1時間程度蒸して果房を機械で叩き、果房から果実(Fruit)を剥離する。果実がとられた殻果房(茎の部分:Empty bunches)は、ボイラーの燃料などとして焼却処分される。
次に、剥離した果実を蒸気で約100℃程度まで加熱しながら攪拌してどろどろの液体にした後、スクリューで圧力をかけて油を搾る(圧搾)。この処理で果実は粗製パーム油(CPO:Crude palm oil)と繊維とに分かれる。この繊維と実(種)のかたまりはケーキ(Cake)と呼ばれる。その後、この圧搾工程で搾り取られた粗製CPOに水を加えて粘度を低くしてから加熱・静置した後、遠心分離器にかけて水分や余分な成分(スラッジ)を除去して乾燥する。この精製工程によって精製された精製パーム油(精製CPO:Pure palm oil)がオレオケミカルズとしてパーム油精製工場に送られる。
一方、繊維と実(種)のかたまりであるケーキは、その後、実(Nut)と繊維(Fiber)に分離され、実はさらにミキサで粉砕されて核(Kernel)と皮(Shell)に分かれ、皮(Shell)と繊維(Fiber)は、殻果房と同様にボイラーの燃料などとして焼却処分される。その後、核(Kernel)を圧搾(加圧)して粗製KPO(Crude palm kernel oil)と食用パーム核(Palm kernrl meal)に分離し、粗製KPOを遠心分離器にかけて水分や余分な成分(スラッジ)を除去して乾燥する。この精製工程によって精製された精製パーム油(精製KPO:Pure palm kernel oil)は精製CPOと同様にオレオケミカルズとしてパーム油精製工場に送られる。そして、本発明では、このようにして精製された100パーム油(精製CPO、精製KPO)をそのまま用いることができるが、その前段階の粗製CPOおよび粗製KPOを用いることもできる。
図2は、このようにして得られた100%パーム油の性状を一般的な液体化石燃料の1つであるA重油と比較したものである。図示するように100%パーム油の発熱量は、8840kcalであって、A重油(9293kcal)とほぼ同じ発熱量を有している。また、比重も0.921−0.948であり、A重油(0.8−0.96)とほぼ同じ値となっている。一方、100%パーム油の動粘度は、常温(20℃)では、63.6mm/sであり、A重油(4.8mm/s)の10倍以上の高い値となっている。このため、100%パーム油は、常温では凝固した状態となっており、そのままではディーゼルエンジンの燃料として用いることができない。
ところが、同図に示すようにこの100%パーム油を70℃に加熱すると、16.15mm/sまで低下することが分かった。そして、ディーゼルエンジンの燃料として用いることができるA重油の動粘度の既定値は、20.0mm/s以下であることから、100%パーム油であってもこれを70℃以上に加熱すれば、その動粘度がA重油の既定値を下回ることからディーゼルエンジンの燃料としてA重油の代替燃料として利用可能であることがわかった。しかも、その発熱量や比重はA重油とほぼ同程度であることから、エンジン出力もA重油を用いた場合と何ら遜色ないことが分かる。
図4は、本発明に係るバイオディーゼル発電装置100の運転方法の流れの一例を示したフローチャート図である。本発明装置100の制御部40は先ず最初のステップS100において燃料タンク19a内に溜められたA重油を燃料としてディーゼルエンジン10を始動する。これによって発電機20が駆動して発電が連続的に行われる。次のステップS102では、そのエンジンブロック11内を流れる冷却水の温度を計測し、その温度が所定温度、例えば80℃以上になったか否かを判断する。なお、この冷却水の温度は、図1に示すようにそのエンジンブロック11に設けられた温度センサー11aによって常時計測され、その計測値は随時制御部40に入力されている。
このステップS102においてその水温が設定水温に達していなければ(NO)、そのまま運転を継続するが、設定水温に達したとき(YES)は、そのまま次のステップS104に移行する。ステップS104ではエンジンブロック11内を流れる冷却水をパーム油タンク31内の熱交換器33を通過するように循環させる。具体的には、分岐ラインL2のバルブV1と合流ラインL3のバルブV2を同時に開いてエンジンブロック11内を流れる高温の冷却水を分岐ラインL2を介して熱交換器33側に流す。これによって、パーム油タンク31内のパーム油は、ヒーター32と共にその熱交換器33を流れる高温の冷却水によって加熱されてその温度が徐々に上昇する。なお、この熱交換器33側に流れた冷却水は合流ラインL3を通過してエンジンブロック11(アッパーホース15a)側に流れ、その後ラジエータ15でさらに冷却されてエンジンブロック11に循環される。
このようにして高温の冷却水をパーム油タンク31側に流したならば、次のステップS106においてそのパーム油タンク31内のパーム油の温度が70℃以上、すなわちその動粘度がA重油(液体化石燃料)と同等程度まで低下する温度に達したか否かを判断し、達していないとき(NO)はそのまま引き続き加熱するが、達したとき(YES)は次のステップS108に移行する。ステップS108では、制御部40が切換弁34を操作して燃料の供給ラインを燃料ラインL5からパーム油ラインL1に切り換える。これによって、パーム油タンク31内のパーム油が噴射ポンプ19に供給されてエンジン10のシリンダ内に噴射されて燃料として利用されることになる。
このときのパーム油は、その動粘度がA重油と同等程度まで低下しているため、パーム油ラインL1はもちろん、噴射ポンプ19や噴射ノズル(図示せず)などに詰まったりすることなく、A重油と同様に良質な燃料として用いることができる。しかも、パーム油などの植物性油脂は、多くの酸素を含むことから燃焼温度がA重油よりも高くなるため、より高い出力を発揮することができる。
このようにしてそのパーム油タンク31内のパーム油の温度が設定温度以上になったならば、その後熱交換器33に連続して流れ込む高温の冷却水の熱によってパーム油タンク31内のパーム油が加熱され続けるため、制御部40は次のステップS110に移行してヒーター32を停止する。これによってヒーター32を稼働(通電)させるための電力を省くことが可能となり、省エネルギーを達成できる。なお、このときヒーター32を完全に停止しても良いが、高温の冷却水の熱だけではパーム油の温度を設定温度以上に保持できない場合には、その出力を下げるなどして引き続きヒーター32による加熱を継続させても良い。
そして、制御部40は次のステップS112に移行してディーゼルエンジン10が停止したか否かを判断し、停止していないとき(NO)は、引き続きそのままの状態を継続するが、停止したときあるいは間もなく停止するとき(YES)は、ヒーター32を稼働させた後、次のステップS118に移行し、切換弁34を操作して燃料をパーム油からA重油に切り換えて処理を終了する。これによって、次に稼働するときには低温でも凝固のおそれがないA重油を燃料として用いることかできる。また、ヒーター32を再稼働させることで熱交換器33への高温の冷却水の流れが停止してもパーム油タンク31内のパーム油がその凝固点以下に下がるようなことはなくなり、内部で固化するようなことはない。さらに、このA重油中に予めエンジン洗浄剤を混入しておけば、パーム油を燃料として運転することよってシリンダやピストン廻りに不純物が付着、堆積した場合には、次の運転開始と同時にこれらの不純物を除去することもできる。
そして、最後のステップS120では、エンジンが停止した後、しばらくの間はエンジン冷却のためのウィーターポンプ14が稼働するが、所定時間経過してエンジンの温度が低下したならばウィーターポンプ14停止して冷却水の循環を停止して処理を終了する。
このように本発明に係るバイオディーゼル発電装置100は、常温では固形又はシャーベット状となっている100%パーム油をその動粘度が液体化石燃料と同程度になるまで加熱することで液体化石燃料の代替燃料としてディーゼルエンジン10に用いることができると共に、そのディーゼルエンジン10の運転に伴って発生する高温の冷却水の熱を利用してパーム油を加熱するようにしたため、消費電力を少なく抑えることができ、優れたエネルギー効率を発揮できる(コジェネレーション:cogeneration)。
また、燃料として100%パーム油と液体化石燃料(A重油)とを切り換えて用いることができるため、100%パーム油による運転が一定時間経過したならば、エンジン清浄剤入りの液体化石燃料(A重油)に切り換えて一定時間運転するといった方法を繰り返せば、前述したように100%パーム油を燃料として使用したときに発生しうる不都合を未然に回避することができる。
すなわち、100%パーム油を燃料として長時間連続して運転するとパーム油の高い動粘度故に噴射ノズルの先端などに液だれしたガム状物質が付着して噴射状態の悪化を招き、生成したカーボンが燃焼室内やピストンリングに堆積してエンジン不調やエンジン破損などを招くことが考えられる。そこで、所定時間経過後、例えば連続運転が120時間程度経過したならば、100%パーム油からエンジン清浄剤入りの液体化石燃料に切り換えて運転を継続すれば、上述したような不都合を未然に回避することができる。
また、本実施の形態では、エンジンで発生する熱源としてエンジンブロック11を冷却するための高温となった冷却水を用いるようにしたが、図5に示すように冷却水と共にあるいは冷却水に代えて燃焼排ガスの熱を用いるようにしても良い。すなわち、図5に示すように排気ガスの流路に熱回収用の熱交換器50を設けると共に、パーム油タンク31にも新たな熱交換器51を収容し、それらの間を熱媒体(冷却水)を循環するための循環ラインL6,L7およびバルブV4,V5で接続すれば、熱交換器50で吸収された排ガス中の熱が循環ラインL6,L7を介して熱交換器51からパーム油タンク31内に回収されるため、より効率的にエンジン排熱を利用することが可能となる。
なお、本発明で用いることができるエンジン清浄剤としては特に限定されるものでなく、ポリエーテルアミン(PEA)やアルコール、研磨剤などを含む市販のものをそのまま用いることができる。また、本発明装置で使用可能なパーム油中には予め所定量の酸化防止剤を添加して燃料の酸化を防止するようにしても良い。この酸化防止剤としては、通常のバイオディーゼル燃料に適用されているもの、例えばブチル・ハイドロオキシル・トルエン(BHT)、ターシャルブチル・ハイドロキノン(TBHQ)、その他BHA、PGなどの化学合成されたビタミンE類似化合物などを使用することができる。
100…バイオディーゼル発電装置
10…ディーゼルエンジン
11…エンジンブロック
13…冷却水路
14…ウォーターポンプ
15…ラジエータ
19…燃料噴射ポンプ
20…発電機
30…パーム油供給部
31…パーム油タンク
32…タンク
33、50、51…熱交換器
40…制御部
L1…パーム油ライン
L2…分岐ライン
L3…合流ライン
L4…給油ライン
L5…燃料ライン
L6,L7…循環ライン
V1〜V5…電磁バルブ

Claims (4)

  1. 液体化石燃料で駆動するディーゼルエンジンと、当該ディーゼルエンジンの動力で発電する発電機と、ほぼ100%のパーム油を貯留するタンクと、当該タンク内のパーム油を加熱するヒーターと、前記ディーゼルエンジンの排熱を利用して前記タンク内のパーム油を加熱する熱交換器と、前記タンク内のパーム油を前記液体化石燃料に代えて前記ディーゼルエンジンに供給する燃料切換部とを備えたバイオディーゼル発電装置の運転方法であって、
    前記ディーゼルエンジンが始動してその冷却水の温度が所定温度に達したならば、当該冷却水を前記熱交換器に流して前記タンク内のパーム油を、その動粘度が液体化石燃料と同等程度になるまで加熱すると共に、前記ヒーターによるタンク内のパーム油の加熱を停止またはその加熱量を減少し、その後、前記タンク内のパーム油を前記液体化石燃料に代えて、または前記タンク内のパーム油と共に前記ディーゼルエンジンの燃料として供給することを特徴とするバイオディーゼル発電装置の運転方法。
  2. 請求項に記載のバイオディーゼル発電装置の運転方法であって、
    前記タンク内のパーム油を前記液体化石燃料に代えて前記ディーゼルエンジンの燃料として供給して運転した後、所定時間経過したならば、前記パーム油に代えて、エンジン清浄剤を添加した液体化石燃料を前記ディーゼルエンジンの燃料として供給して所定時間運転することを特徴とするバイオディーゼル発電装置の運転方法。
  3. 請求項1または2に記載のバイオディーゼル発電装置の運転方法において、
    前記熱交換器、前記ディーゼルエンジンの冷却水または燃焼排ガスの一方あるいは両方を熱媒体として前記タンク内のパーム油を加熱することを特徴とするバイオディーゼル発電装置の運転方法
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のバイオディーゼル発電装置の運転方法において、
    前記ヒーターおよび熱交換器によって、前記タンク内のパーム油を70℃以上に加熱して前記ディーゼルエンジンに供給することを特徴とするバイオディーゼル発電装置の運転方法
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