JP6091740B2 - 据え付け基礎 - Google Patents

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Description

本発明は、据え付け基礎に関し、さらに詳細には、新設または既設のコンクリート構造物にソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の機械器具、鉄塔や鉄骨建設物等の建築物を設置するために使用する据付け基礎に関する。
新設または既設の鉄筋コンクリート造や鉄筋鉄骨コンクリート造等のコンクリート構造物では、屋上や地下のスラブにソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の様々な機械器具、鉄塔や鉄骨建設物等の様々な建築物が設置される。通常、そのような機械器具や建築物は、その内部への水の侵入を防ぐ目的、機械器具や建築物の背面側のメンテナンスを可能にする目的からそれらがスラブの表面に直に設置されることはなく、それらがスラブに据え付けられた据え付け基礎の上に備え付けられる。
そのような据え付け基礎の一例として、特許文献1は、太陽電池パネル据え付け構造を開示している。特許文献1において説明されている従来技術では、太陽電池パネルの施工現場の据え付け箇所において型枠を製作し、その型枠内にコンクリートを打設・養生することにより基礎を作り、搬送されてきた太陽電池パネルおよびその架台をその基礎の上に組み付ける構造である。そのような従来技術の据え付け基礎では、施工現場で型枠を製作しなければならないから、その分の手間がかかることはもちろん、型枠内に流し込んだコンクリートの養生に時間がかかり、短い工期で据え付け構造を作ることができない。
かかる従来技術の問題点を解決するために、特許文献1に開示の太陽電池パネル据え付け構造では、基礎部品製造工場においてコンクリート製または鉄筋コンクリート製の基礎をあらかじめ製造し、その基礎をコンクリート構造物の屋上や地下の施工現場に搬送する。その後、屋上や地下のスラブの据え付け箇所に薄いセメント層を形成し、そのセメント層を接着層としてその上に基礎を載せてスラブと一体化し、太陽電池パネルの設置用架台をそれらの基礎の上に備え付ける。特許文献1に開示された太陽電池パネル据え付け構造は、太陽電池パネルを備え付けるための基礎を形成する際に施工現場において型枠を製作する必要がないから、その分の手間が省け、施工現場における施工作業を簡略化することができるとともに、コンクリートを養生する時間を省くことができ、その分の工期を短縮することができる。
特開平9−070188号公報
前記特許文献1に開示の太陽電池パネル据え付け構造では、施工現場でコンクリートを養生する必要はないが、基礎部品製造工場においてコンクリートを養生して基礎を作らなければならず、基礎の製造にコンクリートの養生が必要であることに変わりはなく、基礎の製造に時間を要する。さらに、製造した基礎を工場から施工現場に搬送する必要があり、相当な重量を有する基礎を搬送する手間を要するから、基礎を施工する労力やコストを低減することができない。また、工場で製造された基礎をスラブに固定する場合、コンクリート層を接着層としてスラブに固定する方法や凹部をスラブに形成して基礎の下端をその凹部に嵌め込む方法しか採用できず、基礎をスラブに強固に据え付けることができない。
本発明の目的は、据え付けに要する労力やコストを低減することができるとともに、据え付けの工期を短縮することができる据え付け基礎を提供することにある。本発明の他の目的は、新設または既設のコンクリート構造物に強固に据え付けることができ、機械機器や建築物を強固に備え付けることができる据え付け基礎を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、新設または既設のコンクリート構造物の所定の据え付け箇所に据え付けられる据え付け基礎である。
前記前提における本発明の特徴は、
据え付け基礎が、コンクリート構造物の表面に対向する底壁と底壁の周縁から上方へ延びる周壁と周壁に囲繞された頂部開口とを有してコンクリート構造物の表面から上方へ所定寸法離間する中空の金属管と、コンクリート構造物に固定された固定端部およびコンクリート構造物から上方へ立ち上がる自由端部を有して金属管の底壁に開口する挿通孔に挿通され、所定の固定手段を介して金属管の底壁に固定されて金属管を支持する複数のアンカーボルトと、金属管の底壁の周縁の外側近傍に設置され、コンクリート構造物と金属管の底壁の周縁との間に延びる空隙を取り囲んで空隙を塞ぐ成型材と、金属管の周壁の外側と成型材の外側とに設置され、金属管の周壁の外面と成型材の外面とに固着された防水部材と、防水部材が設置された後にコンクリート構造物の表面と金属管の底壁と成型材とに囲繞された空間に充填されたセメント硬化物と、空間にセメント硬化物が充填された直後であってセメント硬化物が未硬化状態にあるときに金属管の頂部に設置されて金属管の頂部開口を塞ぐ金属蓋とから形成され、成型材が、金属蓋によって金属管の頂部開口が塞がれた後における硬化前のセメント硬化物の漏れを防ぐ堤防となり、アンカーボルトの自由端部のうちのコンクリート構造物の表面と金属管の底壁との間に延びる部分が、金属蓋によって金属管の頂部開口が塞がれた後から養生期間が開始して養生期間の経過後に硬化したセメント硬化物と一体になっていることにある。
本発明の他のとしては、コンクリート構造物が、コンクリート躯体と、コンクリート躯体の上に施設された防水層と、防水層の上に施設されたコンクリート層とから形成され、アンカーボルトの固定端部が、コンクリート構造物からコンクリート層と防水層とを取り除いたコンクリート躯体に固定され、金属管が、コンクリート躯体の表面から上方へ離間して設置されている。
本発明の他の一例としては、防水部材が、金属管の周壁の外側に固定された発泡材と、発泡材の外側に固定された防水層とから形成され、成型材が、発泡材の外側に設置されて発泡材とともに空隙を塞ぐ。
本発明の他の一例としては、金属管の底壁の側に延びる防水部材の防水層が、コンクリート構造物の防水層につながっている。
本発明の他の一例としては、据え付け基礎が、防水部材の外側に設置されて防水部材を衝撃から保護する乾式の保護部材を含む。
本発明の他の一例として、金属管の底壁の所定の箇所には、コンクリート構造物の表面と金属管との間の空間に充填されたセメント硬化物の充填状態を確認するための確認孔が作られている。
本発明の他の一例として、据え付け基礎では、金属管の底壁に対するアンカーボルトの自由端部の固定位置によって空間の高さ寸法を調節可能かつコンクリート構造物の表面からの金属管の高さ寸法を調節可能である。
本発明の他の一例としては、据え付け基礎が、金属管の底壁に開口する螺着孔に螺着されて金属管の高さ寸法を調節する高さ調節ボルトを含み、高さ調節ボルトの金属管の底壁に対する螺着位置を調節することによって空間の高さ寸法を調節可能かつコンクリート構造物の表面からの金属管の高さ寸法を調節可能である。
本発明にかかる据え付け基礎によれば、それがコンクリート構造物に固定された複数のアンカーボルトとそれらアンカーボルトに支持された金属管と空間に充填されたセメント硬化物と金属管の頂部に設置された金属蓋とから形成され、それらがすべて汎用部品化されてユニットシステムとして組み立てられるから、基礎を形成する際に施工現場において型枠を製作する必要がないことはもちろん、基礎部品製造工場や施工現場において基礎を作るためにセメント硬化物を養生する必要はなく、コンクリート構造物に固定された複数のアンカーボルトに中空の軽量な金属管を固定し、その金属管に金属蓋を固定するだけであり、型枠の製作やセメント硬化物の養生にかかる手間や時間を省くことができるとともに、施工作業を簡略化することができ、その分の工期を短縮することができる。据え付け基礎は、複数のアンカーボルトの固定端部がコンクリート構造物に固定され、それらアンカーボルトの自由端部に金属管が固定されるから、コンクリート構造物に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の機械器具、鉄塔や鉄骨建設物等の建築物を強固に備え付けることができる。据え付け基礎は、コンクリート構造物の表面と金属管の底壁との間の空間にセメント硬化物が充填され、基礎の上に機械機器や建築物を備え付けた場合の基礎にかかる荷重をアンカーボルトとセメント硬化物とで分担するから、基礎にかかる荷重でそれが不用意に傾斜したり、基礎が崩壊することはなく、機械機器や建築物を確実に支持することができる。
据え付け基礎は、金属管の底壁の周縁の外側近傍に設置されてコンクリート構造物と金属管の底壁の周縁との間に延びる空隙を塞ぐ成型材を含み、底壁の周縁の外側近傍に設置された成型材が硬化前のセメント硬化物の漏れを防ぐ堤防となり、空間に充填されたセメント硬化物がその空間から漏れ出すことがないから、底壁の周縁の外側近傍にセメント硬化物のための型枠を設置する必要がなく、型枠を設置するための手間や時間を省くことができ、据え付け基礎の工期を大幅に短縮することができる。据え付け基礎は、コンクリート構造物と金属管の底壁と成型材とに囲繞された空間にセメント硬化物が充填された直後に金属蓋によって金属管の頂部開口が塞がれ、空間に充填されたセメント硬化物の養生期間を待つことなく、空間にセメント硬化物を充填した直後に金属蓋を金属管の頂部に固定することができ、セメント硬化物の養生期間を待つことなく次の基礎の施工を行うことができるから、セメント硬化物の養生期間の分の工期を短縮することができ、据え付け基礎の工期を大幅に短縮することができる。
据え付け基礎は、金属蓋によって金属管の頂部開口が塞がれた直後において空間に充填されたセメント硬化物が未硬化状態にあり、金属蓋によって金属管の頂部開口が塞がれた後からセメント硬化物の養生期間が開始するから、空間に充填されたセメント硬化物が硬化する以前に金属蓋を金属管の頂部に固定することができ、セメント硬化物の養生期間を待つことなく次の基礎の施工を行うことができるとともに、セメント硬化物の養生期間の分の工期を短縮することができ、据え付け基礎の工期を大幅に短縮することができる。据え付け基礎は、養生期間が経過した後にアンカーボルトの自由端部のうちのコンクリート構造物の表面と金属管の底壁との間に延びる部分が空間に充填されたセメント硬化物と一体になり、基礎の上に機械機器や建築物を強固に備え付けた場合の基礎にかかる荷重をアンカーボルトとセメント硬化物とで分担するから、コンクリート構造物の据え付け箇所に強固に据え付けることができる。
据え付け基礎は、コンクリート構造物の表面と金属管との間の空間にセメント硬化物を充填するための充填孔が金属管の底壁の中央部に形成され、金属管をアンカーボルトに固定した後に充填孔を利用して空間にセメント硬化物を充填することができるから、空間にセメント硬化物を確実に充填することができる。据え付け基礎は、充填孔が金属管の底壁の中央部に形成されているから、セメント硬化物が空間に偏って充填されることはなく、セメント硬化物を空間全域に満遍なく充填することができる。据え付け基礎は、基礎の上に機械機器や建築物を備え付けた場合の基礎にかかる荷重をアンカーボルトとセメント硬化物とに分担させることができ、基礎にかかる荷重でそれが不用意に傾斜したり、基礎が崩壊することはなく、機械機器や建築物を確実に支持することができる。
アンカーボルトの固定端部がコンクリート構造物からコンクリート層と防水層とを取り除いたコンクリート躯体に固定され、金属管がコンクリート躯体の表面から上方へ離間して設置された据え付け基礎は、機械機器や建築物を設置する据え付け箇所が既設のコンクリート構造物の屋上や地下に防水機能を施した防水処理層を備えたスラブである場合でも、据え付け箇所の防水処理層を取り除いた後の露出したコンクリート躯体に基礎を設置し、基礎を設置した直後に据え付け箇所近傍の防水処理層を補修する(新たな防水処理層を施す)ことができるから、基礎を迅速に設置することができ、基礎の設置に要する工期を短縮することができる。
据え付け基礎が金属管の周壁の外側に設置された防水部材を含み、防水部材が金属管の周壁の外側に固定された発泡材と発泡材の外側に固定された防水層とから形成され、成型材が発泡材の外側に設置されて発泡材とともに空隙を塞ぎ、セメント硬化物の養生期間が経過した後に発泡材が空隙においてセメント硬化物に固着される据え付け基礎は、それがコンクリート構造物の屋上に設置された場合に防水部材によって基礎の内部への水の侵入を防ぐことができ、内部に水が進入することによる基礎の劣化を防ぐことができる。据え付け基礎は、発泡材および成型材が硬化前のセメント硬化物の漏れを防ぐ堤防となり、空間に充填されたセメント硬化物が空隙から漏れ出すことはなく、セメント硬化物の充填後に直ちに金属蓋で金属管の頂部開口を閉塞することができる。
金属管の底壁の側に延びる防水部材の防水層がコンクリート構造物の防水層につながっている据え付け基礎は、それがコンクリート構造物の屋上に設置された場合に防水層によって基礎の内部への水の侵入を防ぐことができることはもちろん、コンクリート構造物への水の進入を防ぐことができ、水の進入による基礎の劣化やコンクリート構造物の劣化を防ぐことができる。
防水部材の外側に設置されてその防水部材を衝撃から保護する乾式の保護部材を含む据え付け基礎は、基礎の外側から衝撃が加えられたとしても、保護部材によってその衝撃が吸収されるから、衝撃によって防水部材が破損することはなく、防水部材によって基礎やコンクリート構造物の内部への水の侵入を防ぐことができ、内部に水が進入することによる基礎の劣化やコンクリート構造物の劣化を防ぐことができる。
コンクリート構造物の表面と金属管との間の空間に充填されたセメント硬化物の充填状態を確認するための確認孔が金属管の底壁の所定の箇所に形成されている据え付け基礎は、確認孔を利用して空間に充填されたセメント硬化物の充填状態を確認することで、セメント硬化物が空間に偏って充填されることはなく、セメント硬化物を空間全域に満遍なく充填することができる。据え付け基礎は、基礎の上に機械機器や建築物を備え付けた場合の基礎にかかる荷重をアンカーボルトとセメント硬化物とに分担させることができ、基礎にかかる荷重でそれが不用意に傾斜したり、基礎が崩壊することはなく、機械機器や建築物を確実に支持することができる。
金属管の底壁に対するアンカーボルトの自由端部の固定位置を調節することによって空間の高さ寸法を調節可能かつコンクリート構造物の表面からの金属管の高さ寸法を調節可能である据え付け基礎は、基礎の施工中にその高さ寸法を自由に変えることができ、基礎の高さ寸法の変更要求に即座に対応することができる。据え付け基礎は、複数個のそれらを設置する場合にそれら基礎どうしの高さ寸法を容易に調節することができ、それら基礎の高さ寸法を均一に揃えることができる。
金属管の底壁に開口する螺着孔に螺着されて金属管の高さ寸法を調節する高さ調節ボルトを含み、高さ調節ボルトの金属管の底壁に対する螺着位置を調節することによって空間の高さ寸法を調節可能かつコンクリート構造物の表面からの金属管の高さ寸法を調節可能である据え付け基礎は、高さ調節ボルトを利用することで基礎の施工中にその高さ寸法を自由に変えることができ、基礎の高さ寸法の変更要求に即座に対応することができる。据え付け基礎は、複数個のそれらを設置する場合にそれら基礎どうしの高さ寸法を容易に調節することができ、それら基礎の高さ寸法を均一に揃えることができる。
一例として示す据え付け基礎の斜視図。 図1のA−A線矢視断面図。 鋼管の上面図。 蓋を取り付ける以前の状態で示す据え付け基礎の上面図。 蓋を取り付けた状態で示す据え付け基礎の上面図。 据え付け基礎の作成手順の一例を示す図。 図6から続く据え付け基礎の作成手順を示す図。 図7から続く据え付け基礎の作成手順を示す図。 図8から続く据え付け基礎の作成手順を示す図。 図9から続く据え付け基礎の作成手順を示す図。
一例として示す据え付け基礎10の斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる据え付け基礎の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1では、コンクリート構造物11に設置された1個の据え付け基礎10を図示しているが、基礎10の個数を図示のそれに限定するものではなく、2個以上の基礎10がコンクリート構造物11に設置される場合もある。なお、図2は、図1のA−A線断面図であり、図3は、鋼管16の上面図である。図4は、蓋17を取り付ける以前の状態で示す据え付け基礎10の上面図である。図5は、蓋17を取り付けた状態で示す据え付け基礎10の上面図である。図1,2では、上下方向を矢印L、横方向を矢印Mで示し、前後方向を矢印N(図1のみ)で示す。
据え付け基礎10は、新設または既設のコンクリート構造物11の屋上や地下のスラブの所定の据え付け箇所に設置される。ここで、「スラブ」とは、厳密には「床版」を意味するが、この実施の形態では、コンクリート構造物11の地下の床のみならず屋上も含む意味で用いる。コンクリート構造物11は、コンクリート躯体12と、コンクリート躯体12の上に施設された防水層13と、防水層13の上に施設されたコンクリート層14とから形成されている。なお、コンクリート構造物11が地下に構築された場合、防水層13とコンクリート層14とが存在せず、コンクリート躯体12単独でコンクリート構造物11を形成する。
コンクリート躯体12の基礎10の据え付け箇所には、後記するアンカーボルト19の固定端部36を挿入する複数のアンカーホール15が作られている。アンカーホール15には、樹脂接着剤(図示せず)が充填されている。据え付け基礎10は、それがコンクリート構造物11から防水層13とコンクリート層14とを取り除いたコンクリート躯体12の上に据え付けられる。
据え付け基礎10は、中空の鋼管16(金属管)および蓋17(金属蓋)、複数の高さ調節ボルト18および複数のアンカーボルト19、モルタル20(セメント硬化物)、防水部材21、成型材41(面取材あるいはキャント)、乾式の保護部材22(ケイ酸カルシウム板22)の汎用部品化された各基礎部品を利用し、の各基礎部品を利用し、それら基礎部品を所定のマニュアル化された手順で組み立てることから作られている。それら基礎部品(鋼管16(高さ調節ボルト18を含む)、蓋17、アンカーボルト19、防水部材21、ケイ酸カルシウム板22、成型材41)は、基礎部品製造工場で製造され、工場から設置現場に搬送される。
鋼管16は、形状や寸法が同一の規格化された汎用品であり、複数個のそれらが施工現場以外の基礎部品製造工場で製造される。鋼管16は、平面形状が略矩形の底壁23と、底壁23の周縁42から上方へ延びる平面形状が略矩形の各側壁24(周壁)とを備え、底を有する角筒状に成型されている。鋼管16は、鋼材から作られた各側壁24の底部に鋼材から作られた底壁23の周縁42を溶接することによって製造される。鋼管16の頂部には、それら側壁24によって囲繞された頂部開口25が形成されている。なお、金属管16は、鋼材の他に、アルミニウムや合金から作ることもできる。
鋼管16の側壁24の頂部には、蓋固定ボルト26を螺着する複数の固定ボルト螺着孔27が作られている。ボルト螺着孔27には、蓋固定ボルト26が螺着する雌螺子(図示せず)が作られている。鋼管16の底壁23には、高さ調節ボルト18を螺着する複数の調節ボルト螺着孔28とアンカーボルト19を挿通する複数のアンカーボルト挿通孔29とが作られている(図3参照)。ボルト螺着孔28には、高さ調節ボルト18が螺着する雌螺子(図示せず)が作られている。なお、底壁23におけるボルト螺着孔28やアンカーボルト挿通孔29の穿孔箇所に特に限定はなく、それら孔28,29を底壁23の任意の箇所に作ることができる。底壁23の中央部には、モルタル20を充填するための円形の充填孔30が作られている。底壁23の四隅には、モルタル20の充填状態を確認するための確認孔31が作られている。
蓋17は、形状や寸法が同一の規格化された汎用品であり、複数個のそれらが施工現場以外の基礎部品製造工場で製造される。蓋17は、鋼材から作られ、その平面形状が略矩形に成型されている。蓋17の裏面であって蓋17の周縁の内側には、蓋17を鋼管16に固定するためのアングル材32(鋼材)が溶接によって取り付けられている。蓋17の裏面であって蓋17の周縁には、水切り用アングル33(鋼材)が溶接によって取り付けられている。アングル材32には、蓋固定ボルト26を挿通するボルト挿通孔(図示せず)が作られ、そのボルト挿通孔に六角ナット34が溶接によって取り付けられている。
蓋17は、アングル材32に作られたボルト挿通孔に挿通された蓋固定ボルト26とアングル材32に取り付けられたナット34とによって鋼管16の頂部に固定され、鋼管16の上部開口25を水密に閉塞している。蓋17の上面には、図示はしていないが、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の機械器具、鉄塔や鉄骨建設物等の建築物を設置するための固定器具が取り付けられている。なお、金属蓋17は、鋼材の他に、アルミニウムや合金から作ることもできる。
高さ調節ボルト18は、雄螺子(図示せず)が作られた軸とボルトヘッドとから形成された六角ボルトである。高さ調節ボルト18の軸は、底壁23に作られた調節ボルト螺着孔28に螺着している。ボルトヘッドにおいて高さ調節ボルト18を反時計回りに回転させると、ボルト18の軸がボルト螺着孔28の下方へ次第に進むとともに、底壁23の下面から下方に延出し、ボルトヘッドがコンクリート躯体12の表面に当接する。それによって、鋼管16をコンクリート躯体12の表面から上方に離間させることができる。逆に、高さ調節ボルト18を時計回りに回転させると、ボルトの軸がボルト螺着孔28の上方へ次第に進むとともに、底壁23の下面から上方へ延出する。それによって、鋼管16をコンクリート躯体12の表面に近づけることができる。
高さ調節ボルト18を調節ボルト螺着孔28において回転させることによって鋼管16の底F壁23がコンクリート躯体12の表面から上方へ離間し、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間に所定の高さ寸法の空間35が形成される。鋼管16の底壁23に対するそれら高さ調節ボルト18の螺着位置を調節することによって、空間35の高さ寸法を調節することができ、コンクリート躯体12の表面からの鋼管16の底壁23の高さ寸法を調節することができる。
それらアンカーボルト19は、長さや直径が同一の規格化された汎用品であり、複数本のそれらが施工現場以外の基礎部品製造工場で製造される。アンカーボルト19は、鋼材から作られ、コンクリート躯体12(コンクリート構造物11)に固定された固定端部36と、コンクリート躯体12(コンクリート構造物11)の表面から上方へ立ち上がる自由端部37とを有する。アンカーボルト19のそれら端部36,37には、雄螺子(図示せず)が作られている。
アンカーボルト19の固定端部36は、コンクリート躯体12に形成されたアンカーホール15に挿入され、その周面がアンカーホール15に樹脂接着剤を介して固定されている。アンカーボルト19の自由端部37は、鋼管16の底壁23に形成されたアンカーボルト挿通孔29に挿通されている。アンカーボルト19の自由端部37のうちの底壁23の上面から上方へ露出する部分には、六角二重ナット38が螺着されている。アンカーボルト19の自由端部37の部分にナット38を螺着する場合、高さ調節ボルト18によってコンクリート躯体12の表面からの鋼管16(据え付け基礎10)の高さ寸法が既に調節されている。
なお、図示はしていないが、高さ調節ボルト18を利用せずにコンクリート躯体12の表面からの鋼管16の高さ寸法を調節することもできる。この場合は、アンカーボルト15の自由端部37のうちの底壁23の下面から下方へ露出する部分(コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間に延びる部分)に六角ナットを螺着する。そのナットを反時計回り回転させると、ナットがアンカーボルト15の自由端部37において下方へ移動し、鋼管16をコンクリート躯体12の表面に近づけることができる。逆に、ナットを時計回りに回転させると、ナットがアンカーボルト15の自由端部37において上方へ移動し、鋼管16をコンクリート躯体12の表面から上方に離間させることができる。
アンカーボルト15の自由端部37のうちの底壁23の下面から下方へ露出する部分に螺着するナットの回転によって鋼管16の底壁23がコンクリート躯体12の表面から上方へ離間し、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間に所定の高さ寸法の空間35が形成される。アンカーボルト15の自由端部37の部分に対するナットの螺着位置を調節することによって、空間35の高さ寸法を調節することができ、コンクリート躯体12の表面からの鋼管16の高さ寸法を調節することができる。ナットによって空間35の高さ寸法を調節した後、自由端部37のうちの底壁23の上面から上方へ露出する部分に六角二重ナット38を螺着し、六角二重ナット38と六角ナットとによってアンカーボルト15の自由端部37に鋼管16を固定する。
モルタル20は、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間に形成された空間35に充填されている。モルタル20は、底壁23に形成された充填孔30から充填される。空間35では、そこに充填されたモルタル20が硬化することで、自由端部37のうちの底壁23の下面から下方へ露出する部分がモルタル20と一体になっている。硬化したモルタル20は、基礎10の上(蓋17の上)にソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の機械器具、鉄塔や鉄骨建設物等の建築物を備え付けた場合の基礎にかかる荷重をアンカーボルト15とともに分担する。なお、空間35に充填するセメント硬化物には、モルタル20の他に、コンクリートを利用することもできる。
防水部材21は、鋼管16の側壁24の外側に設置され、側壁24全域を覆っている。防水部材21は、側壁24の外側に固定された所定厚みの発泡材39と、発泡材39の外側に固定された防水層40とから形成されている。発泡材39は、その平面形状が矩形の4個のそれらを側壁24に固着し、中空角柱状に組み立てることで作られている。発泡材39は、その内面が側壁24に接着剤(図示せず)およびビス(図示せず)を介して固着され、空間35に充填されたモルタル20に固着されている。発泡材39は、大きさや厚みが同一の規格化された汎用品であり、複数個のそれらが施工現場以外の基礎部品製造工場で製造される。
成型材41は、鋼管16の底壁23の側であって発泡材39の外側(底壁20の周縁42の外側近傍)に設置されている。成型材41は、発泡材39の外面に接着剤(図示せず)を介して固着されている。防水層40には、薄いアスファルトシートを複数重ね合わせて防水層40を作るアスファルト防水が利用されている。アスファルトシートは、その接着性によって発泡材39の外面と成型材41の外面とに固着している。鋼管16の底壁23の側に延びる防水層40(成型材41に固着されたアスファルトシート)は、コンクリート構造物11の防水層13につながっている。なお、防水層40として、アスファルト防水の他に、塩ビシート防水やゴムシート防水、ウレタン防水やエポキシ防水、FRP防水を利用することもできる。
成型材41は、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23の周縁42との間に延びる所定高さの空隙(空間35の周縁)を取り囲み、発泡材39とともにその空隙を塞いでいる。なお、図2では発泡材39が空間35にも配置されているが、発泡材39の下端が空間35の直上で終わり、発泡材39の下端の下に成型材41が配置されていてもよい。この場合は、成型材41が空隙(空間35の周縁)を取り囲み、成型材41のみによって空隙が塞がれる。成型材41は、発泡材やプラスチック、木、金属(鉄やアルミニウム等)のいずれかから作られている。
乾式の保護部材22は、防水部材21の外側に設定され、防水部材21の外面全域を覆っている。保護部材22は、防水部材21を衝撃から保護する。保護部材22には、平面形状が矩形の4個のケイ酸カルシウム板22が使用されている。保護部材22は、それらが防水部材21(アスファルトシート)全域を覆うように、防水部材21の外側に配置される。保護部材22では、その頂部が固定金具(図示せず)を介して蓋17の底面に固定され、その底部が固定金具(図示せず)を介してコンクリート構造物11のコンクリート層14に固定されている。保護部材22は、大きさや厚みが同一の規格化された汎用品であり、複数個のそれらが施工現場以外の基礎部品製造工場で製造される。
図6は、据え付け基礎10の作成手順の一例を示す図であり、図7は、図6から続く据え付け基礎10の作成手順を示す図である。図8は、図7から続く据え付け基礎10の作成手順を示す図であり、図9は、図8から続く据え付け基礎10の作成手順を示す図である。図10は、図9から続く据え付け基礎10の作成手順を示す図である。図6〜図10では、コンクリート構造物11を断面として示し、一部を除く基礎10の部品を断面として示す。据え付け基礎10をコンクリート構造物11の屋上に設置する場合を例として、基礎10の施工方法を説明すると、以下のとおりである。
基礎部品製造工場で製造された汎用部品化された各基礎部品(鋼管16(高さ調節ボルト18を含む)、蓋17、アンカーボルト19、防水部材21、保護部材22、成型材41)を工場から設置現場に搬送する。コンクリート構造物11の屋上のスラブは、図6に示すように、コンクリート躯体12と、コンクリート躯体12の上に施設された防水層13と、防水層13の上に施設されたコンクリート層14とから形成されている。最初に、コンクリート構造物11の屋上における基礎10の据え付け箇所を位置決めし、その据え付け箇所にマーキングをするとともに、図6に示すように、その据え付け箇所において、コンクリート構造物11からコンクリート層14と防水層13とを取り除いてコンクリート躯体12を露出させる。
なお、図示のコンクリート構造物11は、コンクリート躯体12と防水層13とコンクリート層14とから形成されているが、コンクリート構造物11を図示のそれに限定するものではなく、現在使用されている他の構成のコンクリート構造物すべてにこの据え付け基礎10を使用することができる。たとえば、コンクリート層14の上にさらに合成樹脂を塗布して樹脂被膜を形成したコンクリート構造物11の場合、基礎10の据え付け箇所では、コンクリート構造物11から樹脂被膜とコンクリート層14と防水層13とを取り除いてコンクリート躯体12を露出させる。また、コンクリート構造物11が地下に構築された場合、コンクリート躯体12単独でコンクリート構造物11が形成される。
コンクリート躯体12を露出させた後、躯体12における基礎10の据え付け箇所にアンカーボルト26の固定端部36を挿入する複数のアンカーホール15を穿孔し、それらアンカーホール15に樹脂接着剤を注入する。アンカーホール16は、掘削機を利用し、コンクリート躯体12を所定の深さ掘削することから作られる。次に、図7に示すように、それらアンカーホール15にアンカーボルト26を挿入する(アンカーボルト設置工程)。
アンカーボルト設置工程では、アンカーボルト26の固定端部36をコンクリート躯体12に形成されたアンカーホール15に挿入し、アンカーボルト15の自由端部37をコンクリート躯体12(コンクリート構造物11)の表面から上方へ起立させる。アンカーボルト26の固定端部36は、その周面が樹脂接着剤を介してアンカーホール15に固定され、アンカーボルト26の自由端部37は、コンクリート躯体12(コンクリート構造物11)の表面から上方へ立ち上がる。アンカーボルト26は、鋼材から作られている。
アンカーボルト26をアンカーホール15に設置した後、ドリルを利用し、アンカーホール15の位置(アンカーボルト26の位置)にあわせて鋼管16の底壁23にアンカーボルト挿通孔29を穿孔する。なお、鋼管16の底壁23にはあらかじめ複数のボルト螺着孔28が作られており、それらボルト螺着孔28に高さ調節ボルト18が螺着されている。鋼管16を据え付け箇所に移動させ、図8に示すように、鋼管16の底壁23に形成されたアンカーボルト挿通孔29にアンカーボルト26を通し、高さ調節ボルト18のボルトヘッドをコンクリート躯体12の表面に当接させ、鋼管16を据え付け箇所に仮設置する(仮設置工程)。
鋼管16を仮設置した後、アンカーボルト26の自由端部37に対する鋼管16の底壁23の固定位置を調節してコンクリート躯体12の表面からの鋼管16の設置高さ(高さ寸法)を調節する(高さ寸法調節工程)。高さ寸法調節工程では、高さ調節ボルト18の説明において述べたように、ボルト18を時計回りと反時計回りとのいずれかに回転させ、鋼管16の底壁23に対するそれら高さ調節ボルト18の螺着位置を調節することによって、空間35の高さ寸法を調節し、コンクリート躯体12の表面からの鋼管16の底壁23の高さ寸法を調節する。
高さ寸法調節工程において高さ調節ボルト18のボルトヘッドがコンクリート躯体12の表面に当接し、鋼管16が躯体12の表面から上方へ離間する。空間35の高さ寸法を調節した後、アンカーボルト26の自由端部37のうちの鋼管16の底壁23から上方へ延びる部分に二重ナット38を螺着し、高さ調節ボルト18とそれら二重ナット38と(固定手段)で鋼管16をアンカーボルト26の自由端部37に固定する(金属管固定工程)。
なお、高さ調節ボルト18を利用せずにコンクリート躯体12の表面からの鋼管16の高さ寸法を調節する場合は、アンカーボルト26の自由端部37のうちの鋼管16の底壁23から下方へ延びる部分に六角ナットを螺着し、そのナットを時計回りと反時計回りとのいずれかに回転させ、空間35の高さ寸法を調節する。空間35の高さ寸法を調節した後、アンカーボルト26の自由端部37のうちの鋼管16の底壁23から上方へ延びる部分に六角二重ナット38を螺着し、六角二重ナット38と六角ナットと(固定手段)で鋼管16をアンカーボルト26の自由端部37に固定する(金属管固定工程)。
次に、図9に示すように、鋼管16の側壁24(周壁)の外側に防水部材21を設置する(防水部材設置工程)。防水部材21は、側壁24の外側に固定された所定厚みの発泡材39と、発泡材39の外側に固定された防水層40とから形成されている。防水部材設置工程では、平面形状が矩形の4個の発泡材39を用意し、それら発泡材39が各側壁24の外面全域を覆うように、それら発泡材39を側壁24の外側に配置し、それら発泡材39を各側壁24に接着剤およびビスを介して固着する。
それら発泡材39を側壁24に固着した後、三角柱状の成型材41を鋼管16の底壁23の側であって発泡材39の外側(底壁20の周縁42の外側近傍)に設置し(成型材設置工程)、成型材41を発泡材39の外面に接着剤(図示せず)を介して固着する。成型材41は、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23の周縁42との間に延びる所定高さの空隙(空間35の周縁)を取り囲み、発泡材39とともにその空隙を塞ぐ。成型材41を設置した後、複数の薄いアスファルトシートを発泡材39の外面と成型材41の外面とに固着して防水層40を作るとともに、成型材41に固着した防水層40(鋼管16の底壁23の側に延びる防水層40)をコンクリート構造物11の防水層13につなげる。
なお、防水部材21が防水層40のみから形成されていてもよい。この場合は、図示はしていないが、成型材41を鋼管16の底壁23の側であって底壁23の周縁42の外側近傍に設置し(成型材設置工程)、成型材41によって空隙(空間35の周縁)を塞いだ後、複数の薄いアスファルトシートを鋼管16の外面と成型材41の外面とに固着して防水層40を作り、成型材41に固着した防水層40(鋼管16の底壁23の側に延びる防水層40)をコンクリート構造物11の防水層13につなげる。
防水部材21を設置した後、図10に示すように、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間に形成された空間35(コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23と成型材41とに囲繞された空間35)にモルタル20(セメント硬化物)を充填する(セメント硬化物充填工程)。セメント硬化物充填工程では、確認孔31から空間35におけるモルタル20の充填状態を確認しつつ、充填孔30から空間35にモルタル20を充填する。
空間35にモルタル20を充填した後、モルタル20の養生期間を待つことなく、直ちに鋼管16の頂部に蓋17を嵌め込み(蓋17を鋼管16の頂部に固定)、鋼管16の頂部開口25を閉塞する(頂部閉塞工程)。なお、空隙(空間35の周縁)が発泡材39や成型材41によって塞がれているから、発泡材39や成型材41が硬化前のモルタル20の漏れを防ぐ堤防となり、空間35に充填されたモルタル20が空隙(空間35)から漏れ出すことはなく、モルタル20の充填後に直ちに蓋17で頂部開口25を閉塞することができる。据え付け基礎10では、鋼管16の頂部に蓋17を嵌め込んだ(固定した)直後において空間35に充填されたモルタル20が未硬化状態にあり、鋼管16の頂部に蓋17を固定した後からモルタル20の養生期間が開始する。
頂部閉塞工程では、鋼管16の頂部に蓋17を嵌め込んだ後、鋼管16の側壁24の上部に作られた固定ボルト螺着孔27に蓋固定ボルト26を螺着するとともに、蓋17のアングル材32の蓋固定ボルト挿通孔にボルト26を挿通し、ボルト挿通孔に取り付けられた六角ナット34にボルト26を螺着して蓋17を鋼管16の頂部に固定する。鋼管16の頂部開口25は、蓋17によって水密に閉塞される。
空間35では、モルタル20の養生期間が経過し、そこに充填されたモルタル20が硬化することで、アンカーボルト26の自由端部37のうちのコンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間に延びる部分(アンカーボルト26の自由端部37のうちの底壁23の下面から下方へ露出する部分)がモルタル20と一体になり、鉄筋モルタルを形成する。
鋼管16の頂部に蓋17を固定した後、ケイ酸カルシウム板22(乾式の保護部材22)を防水部材21の外側に設置する(保護部材設置工程)。保護部材設置工程では、平面形状が矩形の4個のケイ酸カルシウム板22を用意し、それらケイ酸カルシウム板22が防水部材21(アスファルトシート)全域を覆うように、それらケイ酸カルシウム板22を防水部材21の外側に配置し、板22の頂部を固定金具(図示せず)を介して蓋17の底面に固定し、板22の底部を固定金具(図示せず)を介してコンクリート構造物11のコンクリート層14の表面に固定する。以上の各工程が終了すると図1,2に示す据え付け基礎10が完成する。
据え付け基礎10は、それがコンクリート躯体12に固定された複数のアンカーボルト19とアンカーボルト19に固定された鋼管16と鋼管16の底壁23の周縁42の外側近傍に設置された成型材41と空間35に充填されたモルタル20と鋼管16の頂部に設置された蓋17と防水部材21および保護部材22とから形成されているから、基礎10を形成する際に施工現場において型枠を製作する必要がないことはもちろん、基礎部品製造工場や施工現場において基礎を作るためにモルタルやコンクリートを養生する必要はなく、コンクリート躯体12に固定された複数のアンカーボルト19に中空の軽量な鋼管16を固定し、その鋼管16に蓋17を固定するとともに、鋼管16の外側に防水部材21と保護部材22とを固定するだけであり、それらがすべて汎用部品化されてユニットシステムとして組み立てられるから、型枠の製作や養生にかかる手間や時間を省くことができるとともに、施工作業を簡略化することができ、その分の工期を短縮することができる。
据え付け基礎10は、複数のアンカーボルト19の固定端部36がコンクリート躯体12に固定され、それらアンカーボルト19の自由端部37に鋼管16が固定されるから、コンクリート構造物11に強固に据え付けることができ、ソーラーパネルやアンテナ、貯水槽、浄化槽、空調機器等の機械器具、鉄塔や鉄骨建設物等の建築物を強固に備え付けることができる。据え付け基礎10は、コンクリート躯体12の表面と鋼管16の底壁23との間の空間35にモルタル20が充填され、基礎10の上に機械機器や建築物を備え付けた場合の基礎10にかかる荷重をアンカーボルト19とモルタル20とで分担するから、基礎10にかかる荷重でそれが不用意に傾斜したり、基礎が10崩壊することはなく、機械機器や建築物を確実に支持することができる。
据え付け基礎10は、それがコンクリート構造物11の屋上に設置された場合に防水部材21によって基礎10の内部への水の侵入を防ぐことができ、内部に水が進入することによる基礎10の劣化を防ぐことができる。また、鋼管16の底壁23の側に延びる防水部材21の防水層40がコンクリート構造物11の防水層13につながっているから、防水層13,40によって基礎10の内部への水の侵入を防ぐことができることはもちろん、コンクリート構造物11への水の進入を防ぐことができ、水の進入によるコンクリート構造物11の劣化を防ぐことができる。据え付け基礎10は、基礎10の外側から衝撃が加えられたとしても、保護部材22によってその衝撃が吸収されるから、衝撃によって防水部材21が破損することはない。
据え付け基礎10は、高さ調節ボルト18を利用することで基礎10の施工中にその高さ寸法を自由に変えることができ、基礎10の高さ寸法の変更要求に即座に対応することができる。据え付け基礎10は、複数個のそれらを設置する場合にそれら基礎10どうしの高さ寸法を容易に調節することができ、それら基礎10の高さ寸法を均一に揃えることができる。
据え付け基礎10は、鋼管16の底壁23の周縁42の外側近傍に設置された成型材41が硬化前のモルタル20(セメント硬化物)の漏れを防ぐ堤防となり、空間35に充填されたモルタル20がその空間35から漏れ出すことがないから、底壁23の周縁42の外側近傍にモルタル20のための型枠を設置する必要がなく、型枠を設置するための手間や時間を省くことができ、基礎10の工期を大幅に短縮することができる。据え付け基礎10は、空間35に充填されたモルタル20の養生期間を待つことなく、空間35にモルタル20を充填した直後に蓋17を鋼管16の頂部に固定することができ、モルタル20の養生期間を待つことなく次の基礎10の施工を行うことができるから、モルタル20の養生期間の分の工期を短縮することができ、基礎10の工期を大幅に短縮することができる。
10 据え付け基礎
11 コンクリート構造物
12 コンクリート躯体
13 防水層
14 コンクリート層
15 アンカーホール
16 鋼管(金属管)
17 蓋(金属蓋)
18 高さ調節ボルト
19 アンカーボルト
20 モルタル(セメント硬化物)
21 防水部材
22 保護部材
23 底壁
24 側壁(周壁)
25 頂部開口
28 調節ボルト螺着孔(螺着孔)
29 アンカーボルト挿通孔(挿通孔)
30 充填孔
31 確認孔
35 空間
36 固定端部
37 自由端部
39 発泡材
40 防水層
41 成型材
42 周縁

Claims (8)

  1. 新設または既設のコンクリート構造物の所定の据え付け箇所に据え付けられる据え付け基礎において、
    前記据え付け基礎が、前記コンクリート構造物の表面に対向する底壁と前記底壁の周縁から上方へ延びる周壁と前記周壁に囲繞された頂部開口とを有して前記コンクリート構造物の表面から上方へ所定寸法離間する中空の金属管と、前記コンクリート構造物に固定された固定端部および該コンクリート構造物から上方へ立ち上がる自由端部を有して前記金属管の底壁に開口する挿通孔に挿通され、所定の固定手段を介して前記金属管の底壁に固定されて該金属管を支持する複数のアンカーボルトと、前記金属管の底壁の周縁の外側近傍に設置され、前記コンクリート構造物と前記金属管の底壁の周縁との間に延びる空隙を取り囲んで該空隙を塞ぐ成型材と、前記金属管の周壁の外側と前記成型材の外側とに設置され、前記金属管の周壁の外面と前記成型材の外面とに固着された防水部材と、前記防水部材が設置された後に前記コンクリート構造物の表面と前記金属管の底壁と前記成型材とに囲繞された空間に充填されたセメント硬化物と、前記空間にセメント硬化物が充填された直後であって該セメント硬化物が未硬化状態にあるときに前記金属管の頂部に設置されて該金属管の頂部開口を塞ぐ金属蓋とから形成され
    前記成型材が、前記金属蓋によって前記金属管の頂部開口が塞がれた後における硬化前の前記セメント硬化物の漏れを防ぐ堤防となり、前記アンカーボルトの自由端部のうちの前記コンクリート構造物の表面と前記金属管の底壁との間に延びる部分が、前記金属蓋によって前記金属管の頂部開口が塞がれた後から養生期間が開始して該養生期間の経過後に硬化した前記セメント硬化物と一体になっていることを特徴とする据え付け基礎。
  2. 前記コンクリート構造物が、コンクリート躯体と、前記コンクリート躯体の上に施設された防水層と、前記防水層の上に施設されたコンクリート層とから形成され、前記アンカーボルトの固定端部が、前記コンクリート構造物から前記コンクリート層と前記防水層とを取り除いた前記コンクリート躯体に固定され、前記金属管が、前記コンクリート躯体の表面から上方へ離間して設置されている請求項1に記載の据え付け基礎。
  3. 前記防水部材が、前記金属管の周壁の外側に固定された発泡材と、前記発泡材の外側に固定された防水層とから形成され、前記成型材が、前記発泡材の外側に設置されて該発泡材とともに前記空隙を塞ぐ請求項1または請求項2に記載の据え付け基礎。
  4. 前記金属管の底壁の側に延びる前記防水部材の防水層が、前記コンクリート構造物の防水層につながっている請求項3に記載の据え付け基礎。
  5. 前記据え付け基礎が、前記防水部材の外側に設置されて該防水部材を衝撃から保護する乾式の保護部材を含む請求項1ないし請求項4いずれかに記載の据え付け基礎。
  6. 前記金属管の底壁の所定の箇所には、前記コンクリート構造物の表面と前記金属管との間の空間に充填された前記セメント硬化物の充填状態を確認するための確認孔が作られている請求項1ないし請求項5いずれかに記載の据え付け基礎。
  7. 前記据え付け基礎では、前記金属管の底壁に対する前記アンカーボルトの自由端部の固定位置によって前記空間の高さ寸法を調節可能かつ前記コンクリート構造物の表面からの該金属管の高さ寸法を調節可能である請求項1ないし請求項6いずれかに記載の据え付け基礎。
  8. 前記据え付け基礎が、前記金属管の底壁に開口する螺着孔に螺着されて該金属管の高さ寸法を調節する高さ調節ボルトを含み、前記高さ調節ボルトの前記金属管の底壁に対する螺着位置を調節することによって前記空間の高さ寸法を調節可能かつ前記コンクリート構造物の表面からの該金属管の高さ寸法を調節可能である請求項1ないし請求項7いずれかに記載の据え付け基礎。
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