JP6090928B2 - 制御装置及び方法並びにプログラム、それを備えた空気調和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制御装置及び方法並びにプログラム、それを備えた空気調和装置に関するものである。
近年、省エネルギー対策の一環として、電力系統側から要求される最大使用電力量に基づいて目標値を設定し、目標値に応じて電気機器を調整するデマンド制御が行われている。
例えば、下記特許文献1には、デマンド指令に対して抑制制御を行うことにより、使用電力の総和が指令電力値以下となるように設定電流値を調整してデマンド制御することが記載されている。
特開2013−79772号公報
ところで、空気調和装置は、運転開始時などの設定温度と目標温度との開きが大きい場合には出力を上げて運転している。こうした場合に、デマンド指令が入力されるとデマンド管理が開始されるが、上述した特許文献1では、消費電力をデマンド管理値内に抑制する時には出来る限り緩やかに運転を抑制するので、運転開始時に定格入力を超過して運転している場合には、デマンド制御時において定格入力に合わせるまで時間がかかるという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、簡便にデマンド制御に対応させることができる制御装置及び方法並びにプログラム、それを備えた空気調和装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機を制御し、使用電力を調整する空気調和装置の制御装置であって、前記デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、前記デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、前記空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で前記圧縮機を制御する制御手段と、所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定するグリッド数決定手段と、前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する電力決定手段とを具備し、前記制御手段は、前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御する空気調和装置の制御装置を提供する。
本発明の構成によれば、デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で圧縮機が制御される。
これにより、定格周波数を超えない範囲で空気調和装置を制御することができる。
上記空気調和装置の制御装置は、所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定するグリッド数決定手段と、前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する電力決定手段とを具備し、前記制御手段は、前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御することが好ましい。
本発明によれば、所定期間と、電力のデマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数が決定され、決定された全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される所定期間のうち残り期間における使用可能電力量に基づいて電力制御値が決定され、電力制御値に基づいて圧縮機が制御される。
これにより、電力のデマンド指令信号が入力された場合には、所定期間内で、かつ、デマンド指令信号に基づく要求電力値内の電力量で空気調和装置が制御されるので、空気調和装置はデマンド指令信号に応じた制御ができる。また、グリッド単位によって使用可能電力量を演算することにより、電力量演算が簡便となり、グリッド数を可視化することにより管理者の把握もしやすくなる。なお、本発明においては、使用した電力量を面積で扱うにあたり、単位時間当たりの使用電力量をグリッド単位で減算しているので、実際に使用している電力量と比較して多めに電力量の面積を減算することとなり、安全側に制御している。
上記空気調和装置の前記制御手段は、前記残グリッド数が所定値以下になった場合には、前記圧縮機を停止させることが好ましい。
これにより、残グリッド数に応じて圧縮機を確実に停止することができる。
上記空気調和装置の制御装置において、前記圧縮機の回転数を引き上げる保護制御中は定格入力を上限とした電力制限運転を実施することが好ましい。
制御手段による圧縮機制御よりも、保護制御を優先させることにより、圧縮機の高低圧間の差圧を確実に確保することができる。
上記空気調和装置の制御装置において、前記室内機又は室外機はCPU及びメモリを具備し、前記CPUのクロック及び前記メモリの空き容量に基づいて前記全グリッド数が決定されることとしてもよい。
室内機又は室外機が有するCPUのクロック及びメモリの空き容量を考慮してグリッドの分割数を決定するので、CPU及びメモリ等のスペック以上の処理が設定されることがなく、CPU及びメモリ等のスペックに応じた処理を行わせることができる。
本発明は、上記いずれかに記載の制御装置を具備した空気調和装置を提供する。
本発明は、電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機を制御し、使用電力を調整する空気調和装置の制御方法であって、前記デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、前記デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、前記空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で前記圧縮機を制御する過程と、所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定する過程と、前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する過程と、前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御する過程とを有する空気調和装置の制御方法を提供する。
本発明は、電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機を制御し、使用電力を調整する空気調和装置の制御プログラムであって、前記デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、前記デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、前記空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で前記圧縮機を制御する処理と、所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定する処理と、前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する処理と、前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御する処理とをコンピュータに実行させるための空気調和装置の制御プログラムを提供する。
本発明によれば、簡便にデマンド制御に対応させることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。 (a)本発明の一実施形態に係るグリッドの概念を説明するための図である。(b)図2(a)で示される全グリッド数以下で電力制御がなされた場合の電力の時間履歴の一例を示した図である。 入力電圧を検出できないユニットの場合に消費電力を求めるための圧縮機の回転数とインバータ効率との関係を示した図の一例である。 数式で示される文字と時間との関係を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る制御装置による制御がなされる(負荷が減少しない)場合の電力の変化を示した一例の図である。 本発明の一実施形態に係る制御装置による制御がなされる(負荷が増減する)場合の電力の変化を示した一例の図である。 図5の領域xを拡大した図である。
以下に、本発明に係る制御装置及び方法並びにプログラム、それを備えた空気調和装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における空気調和装置1の概略構成図である。本実施形態に係る空気調和装置1は、豪州規格AS4755.3.1−2008(通称:DRED(Demand Response Enabling Device)、以下「DRED規格」という)に適用させる場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1に示されるように、空気調和装置1は、室外機2と室内機3と制御装置4とを具備している。なお、制御装置4は室外機2又は室内機3の内部に具備されていても良い。
室外機2は、圧縮機5、室外DRED基板6、図示しないインダクタ、電子膨張弁コイル、室外ファン、四方弁コイル、吐出管センサ、外温センサ、熱交センサ等を備えて構成されている。
室外DRED基板6は、DRED信号入力用インターフェースの役割を果たす。
DRED規格は、豪州における電力を制限するデマンド管理の規格であり、デマンド管理要求はデマンド指令信号によって空気調和装置1に入力され、空気調和装置1のデマンド制御が有効にされる。
DRED規格によるデマンド指令信号(デマンド管理要求)は、電力会社から送信される信号であり、圧縮機5を複数段階で回転数制御する。圧縮機5の回転数制御の制御モードは、DRM(Demand Response Mode)1、DRM2、DRM3であり、DRM1は、圧縮機5の運転停止指令とされている。DRM2は、使用電力を制限することにより圧縮機5の回転数を制御する指令であり、ユニット入力値を定格入力値の50%以下に抑える、又はDRED規格に対応させる制御期間中である所定期間(30分間)の電力量を[定格入力×0.5×0.5〔h〕]以下に抑えることとされている。
DRM3は、使用電力を制限することにより圧縮機5の回転数を制御する指令であり、ユニット入力値を定格入力値の75%以下に抑える、又はDRED規格に対応させる制御期間中である所定期間(30分間)の電力量を[定格入力×0.75×0.5〔h〕]以下に抑える指令とする。
また、DRED規格においては、デマンド制御が有効(オン状態)とされている場合には、定格入力を超えてはならないという制約がある。以下、本実施形態に係る空気調和装置1が、DRED規格に適用可能に制御されていることを「DRED対応制御」という。
制御装置4は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
制御装置4は、電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機5を制御し、使用電力を調整する。具体的には、制御装置4は、グリッド数決定部(グリッド数決定手段)41と、電力決定部(電力決定手段)42と、制御部(制御手段)43と、を具備している。
グリッド数決定部41は、所定期間と、デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定する。具体的には、室内機3又は室外機2はCPU及びメモリを具備しており、CPUのクロック及びメモリの空き容量に基づいて全グリッド数が決定されるようになっている。これにより、室内機3又は室外機2が有するCPUのクロック及びメモリの空き容量を考慮してグリッドの分割数が決定されるので、CPU及びメモリ等のスペック(グレード)を上げずに現状の資産を使用して、スペックに応じて設定される範囲内で処理を行わせることができる。
図2(a)(b)には、横軸に時間〔sec〕、縦軸に消費電力〔W〕を示しており、縦軸は定格入力、制御モードDRM2である場合の上限値[DRM2]が示されている。本実施形態においては、図2(a)に示されるように、所定期間を1800秒(30分)とし、電力上限値を[DRM2]とする場合の1秒当たりのグリッド数を10に分割した場合を例に挙げて説明する。例えば、グリッド数決定部41は、1800×10=18000グリッドを、所定期間(1800秒)内で使用できる全グリッド数として算出する。なお、本実施形態においては、1秒当たりのグリッド数を10に分割した場合を例に挙げているが、分割数はこれに限定されず、例えば100に分割した場合には1グリッド当たりの消費電力量を小さくできる。なお、この分割数は上述したように室内機3又は室外機2が有するCPU及びメモリ等のスペックに応じて選定されることが好ましい。
電力決定部42は、全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する。具体的には、電力決定部42は、全グリッド数から、DRM2またはDRM3がオン状態となってa秒後から1秒間に消費したグリッド数の総和を減算することにより所定期間の残り期間における残グリッド数を算出し、ユニット保護制御中であるか否かに応じて決定される上限値と残グリッド数とに基づいてa秒後の電力制御値を決定する。
なお、ユニット保護制御中とは、例えば、ユニット起動直後に低冷風、高温風を確保するため、或いは、暖房時の四方弁切換えを可能にするための高低圧間の差圧を確保する低負荷始動制御中を指す。
以下に、電力決定部42による電力制御値の決定方法について数式を用いて具体的に説明する。
ここで、後述する数式において、[DRM2]は制御モードDRM2で制御の基準となる電力〔W〕(≒定格入力×50%)、[DRM3]は制御モードDRM3で制御の基準となる電力〔W〕(≒定格入力×75%)、A2は1グリッド毎の面積(つまり、1グリッド毎の電力量)に考慮される補正係数、[DRM2]a´はDRM2が有効になりa秒後の制御値〔W〕(電力の上限値)、[DRM3]a´は、DRM3が有効になりa秒後の制御値〔W〕(電力の上限値)、[W]aはDRM2またはDRM3が有効になりa秒後の消費電力〔W〕、naはDRM2またはDRM3が有効になりa秒後から1秒間に消費したグリッド数とする。
また、Pfは力率、CTaはDRM2またはDRM3が有効になりa秒後の電流値〔A〕、VaはDRM2またはDRM3が有効になりa秒後の入力電圧〔V〕、αは電流センサの実公差の絶対値〔A〕とした場合、[W]aは以下の(ア)式で示される。
[W]a=(CTa+α)×Va×Pf ・・・(ア)
入力電圧を検出できない場合は、図3に示されるように圧縮機5の回転数とインバータ効率〔%〕との関係から(イ)式により消費電力が導かれる。
[W]a=インバータ消費電力/(インバータ効率/100) ・・・(イ)
このように求められた[W]aは、[W]a≧[DRM2]a´または[W]a≧[DRM3]a´となった場合に、圧縮機5の回転数を制御する。
ただし、a=0であり、ユニット保護制御中の場合は[DRM2]´=[DRM2]×A2×2、または[DRM3]´=[DRM3]×A2×4/3とし、ユニット保護制御中以外では、[DRM2]´=[DRM2]×A2、または[DRM3]´=[DRM3]×A2とする。
つまり、ユニット保護制御中の場合は定格入力を上限とした電力制限運転を実施し、ユニット保護制御中以外の場合は、デマンド指令信号で制限された電力での運転を実施する。
また、1≦a≦1799の場合は、以下の(ウ)(エ)式を満足する整数naを求める。ここで、(ウ)(エ)式に「0.1」が乗算されているのは単位時間当たりの消費電力を10分割にしているからである。
[DRM2]×A2×0.1×(na−1)<[W]a≦[DRM2]×A2×0.1×na ・・・(ウ)
または
[DRM3]×A2×0.1×(na−1)<[W]a≦[DRM3]×A2×0.1×na ・・・(エ)
上記(ウ)式または(エ)式を変換すると、それぞれ(オ)式または(カ)式となる。
Figure 0006090928
ただし、上限を下記とする。
ユニット保護制御中の場合は[DRM2]a´≦[DRM2]×A2×2、または[DRM3]a´≦[DRM3]×A2×4/3とし、ユニット保護制御中以外では、[DRM2]a´=[DRM2]×A2、または[DRM3]a´=[DRM3]×A2とする。
さらに、1≦a≦1799において、a=1の場合は、上記(キ)(ク)式に基づいて、以下のように計算される。
[DRM2]1´=[DRM2]×A2×0.1×(18000−n
または
[DRM3]1´=[DRM3]×A2×0.1×(18000−n
a=2の場合は、
[DRM2]´=[DRM2]×A2×0.1×(18000−n−n
または
[DRM3]´=[DRM3]×A2×0.1×(18000−n−n
・・・
a=1799の場合は、
[DRM2]1799´=[DRM2]×A2×0.1×(18000−n−n・・・−n1798
または
[DRM3]1799´=[DRM3]×A2×0.1×(18000−n−n・・・−n1798
とする。
なお、時間とnの添え字との関係は、図4に示される通りである。
このように、ユニット保護制御中の場合は定格入力以下の値での運転となるような電力制御値とし、ユニット保護制御中以外の場合は、デマンド指令信号で制限された電力以下の値での運転となるような電力制御値とする。
また、DRM2またはDRM3の制御モード期間が所定期間(1800秒)以上経過した場合はリセットつまり制御開始から所定期間(1800秒)毎に制御内容をリセットし、0からスタートする(図2(b)参照)。
制御部43は、デマンド指令信号を取得し、デマンド制御(DRED対応制御)が有効とされた場合に、デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、空気調和装置1の室内機3又は室外機2に設定される定格周波数より小さい周波数で圧縮機5を制御する。また、制御部43は、電力決定部42から取得した電力制御値に基づいて圧縮機5を制御し、残グリッド数が所定値以下になった場合には圧縮機5を停止させる。また、制御部43は、高低圧間の差圧を確保するため圧縮機5の回転数を引き上げる保護制御中は、定格入力を上限とした電力制御値により電力制限運転を実施する。
ここで、本実施形態に係る空気調和装置1がDRED対応制御となる場合について説明する。まず、DRED対応制御のうち、DRM1,DRM2,DRM3に共通する制御について述べる。
(1)圧縮機5は、DRED対応制御中においては、保護制御を有効とする。
(2)下記(ケ)式が成立した場合、圧縮機5を即時停止にする。本実施形態においては、残グリッド数が10より小さくなった時点で圧縮機5を停止することとして説明するが、残グリッド数はこれに限定されない。
Figure 0006090928
続いてDRM1の制御モードについて説明する。
室外機2は、DRM1をオン状態とするデマンド指令信号を取得した場合を開始条件としてDRED対応のDRM1制御を開始し、DRM1をオフ状態とするデマンド指令信号を取得した場合を解除条件としてDRED対応のDRM1制御を解除する。制御モードDRM1が開始された場合には、室外機2は圧縮機5を即時停止させる。また、DRM1をオン状態とするデマンド指令信号を取得した場合には、室外機2は室内機3の室内コントローラ(図示略)へデマンド制御中である旨を通知する信号を送信する。
以下には、DRM2及びDRM3の制御モードに共通する特徴について説明する。
室外機2は、DRM2(または、DRM3)をオン状態とするデマンド指令信号を取得した場合を開始条件としてDRED対応のDRM2制御(または、DRM3制御)を開始し、DRM2(または、DRM3)をオフ状態とするデマンド指令信号を取得した場合を解除条件としてDRED対応のDRM2制御(または、DRM3制御)を解除する。
前段に説明した(キ)式及び(ク)式により算出されたw(=[DRM2]a´または[DRM3]a´)により、下表1に従い制御部43は、圧縮機5の回転数を制御する。ここで、解除値=制御値−120〔W〕(=制御値−0.5〔A〕×240〔V〕)として説明するが、制御値と解除値との差〔W〕はこれに限定されない。なお、Ncompは、圧縮機5の回転数である。
Figure 0006090928
なお、wが[解除値]以下になったとき(w≦[解除値])、或いは、制御開始後、wが上記表1の[解除値]<w<[制御値]の領域を1分間保持した場合のいずれかを満足した場合に上記表1の制御を解除し、以下に記載の解除運転(i)(ii)(iii)を実施する。
(i)圧縮機5の回転数Ncompの値を+1〔rps〕し、その回転数を10秒間保持して運転する。
(ii)圧縮機5の回転数Ncompがファジー演算などにより決定される圧縮機5への指令回転数Ninvとなるまで、上記(i)を繰り返す。
(iii)回転数が圧縮機5への指令回転数Ninvとなったときに解除運転を終了する。或いは、wが[W]a≧[DRM2]a´、または[W]a≧[DRM3]a´となる[制御値]以上となった場合は、上記表1及びその段落に記載の内容に従い、解除運転を終了する。
なお、上記表1の制御は下記条件(iv)(v)のいずれかを満足した場合に、上述した解除運転(i)(ii)(iii)を実施せずにそのまま解除する。
(iv)圧縮機5への指令回転数Ninvによる圧縮機5の回転数指令が、本制御による回転数以下となったとき
(v)デマンド制御の制御モードDRMのモードが変更されたとき
また、制御部43は、開始条件を満足した場合には、室内機3の制御部である室内コントロール(図示略)へDRM2またはDRM3のデマンド対応制御である旨の信号を送信する。
次に、本実施形態に係る空気調和装置1の作用について図1、図2、図5及び図6を用いて説明する。以下では、デマンド制御信号としてDRM2の制御モードの指令を取得した場合を一例として説明する。また、図5では、始動制御時など負荷が減少しない場合を例に挙げ、図6では、通常運転時などの負荷が増減(変動)する場合を例に挙げて説明する。
図5の時刻t0において、空気調和装置1が起動され、室内機3に設定される定格周波数より小さい周波数で圧縮機5が制御され、起動時などの高低圧間の差圧を確保するための所定時間(例えば、5分間)は定格入力を上限とした運転が実施される(保護制御)。
DRM2は、電力上限値を定格入力の50%である[DRM2]とされており、[DRM2]の1秒当たりの電力値を10分割のグリッドに分けることにされている場合において、全グリッド数は、1800(所定期間)×10(分割数)=18000により算出される(図2(a)参照)。
保護制御の期間(保護制御の終了が検知されない期間)中においては、電力の上限値が定格入力とされて、圧縮機5が制御される。また、単位時間(例えば、1秒)毎に使用された電力量が上記分割されたグリッド単位で減算され、単位時間経過毎に残グリッド数が算出される。
図5の時刻t1において、保護制御の終了が検出されると、DRM2の制御モードとするDRED規格のデマンド制御信号が取得され、DRM2の制御モードが有効とされ、電力の上限値が[DRM2]とされ、上限値[DRM2]以下の消費電力となるように圧縮機5が制御される。
図5の時刻t2において、残グリッド数が10グリッド以下であると検出された場合には、圧縮機5を停止させる。これにより、所定期間(1800秒)以内であっても、圧縮機5を停止させ、強制的に消費電力をゼロにさせることにより、DRED規格によって規定される30分間における消費電力量を超えることがなく、DRED規格に準拠させることができる。
図6の時刻t0以降において、空気調和装置1の圧縮機5の回転数が上昇される制御がなされており、図6の時刻t1において、圧縮機5の回転数を上昇させる制御が終了し、DRM2の制御モードとするDRED規格のデマンド制御信号が取得され、DRM2の制御モードが有効とされると、電力の上限値が[DRM2]とされ、上限値以下の消費電力となるように圧縮機5が制御される。図6の時刻t1から時刻t2の期間に示されるように、上限値[DRM2]を下回って電力が使用される場合には、1800秒経過したときに残グリッド数に余剰ができると推定されるが、このような場合であっても時刻t2から時刻1800〔s〕までは上限値[DRM2]を超える制御はせず、上限値[DRM2]となるように制御される。これにより、デマンド制御がなされる場合には制限される上限値[DRM2]が常に有効となって、[DRM2]の上限値を守り、確実に電力制御する。
図7には、図5の領域xの拡大図が示されている。
図7に示されるように、本実施形態におけるグリッドは消費電力量を示しているが、グリッドの面積は、実際に使用される圧縮機5の消費電力量を示す面積(図7の斜線部)よりも大きくなっている(白い余白部分がある)。つまり、全グリッド数から使用したグリッド数を減算して、使用可能電力量を算出することは、安全側に算出できることを意味する。
以上説明してきたように、本実施形態に係る制御装置4及び方法並びにプログラム、それを備えた空気調和装置1において、デマンド指令信号を取得し、DRED対応制御(デマンド制御)が有効とされた場合に、デマンド指令信号に基づく要求電力を満たすように、空気調和装置1の室内機3又は室外機2に設定される定格周波数より小さい周波数で圧縮機5が制御される。これにより、定格周波数を超えない範囲で空気調和装置1が制御される。
また、本実施形態によれば、所定期間(1800秒)と、単位時間当たりのグリッド数(10分割)とに基づいて、所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数(18000グリッド)が決定され、決定された全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数の総和を減算した残グリッド数から算出される所定期間のうち残り期間における使用可能電力量に基づいて電力制御値が決定され、この電力制御値に基づいて圧縮機5が制御される。
これにより、デマンド指令信号が入力された場合には、所定期間内で、かつ、デマンド指令信号に基づく要求電力値内の電力量で空気調和装置1が制御されるので、空気調和装置1はデマンド指令信号に応じた制御ができる。また、グリッド数によって使用可能電力量を簡易的に演算することにより、簡便に電力量制限ができ、グリッド数を可視化することもできる。なお、本実施形態においては、使用した電力量を面積で扱うにあたり、単位時間当たりの使用電力量をグリッド単位で減算しているので、実際に使用している電力量と比較して多めに電力量の面積を減算することとなり(図7参照)、安全側に制御している。
1 空気調和装置
2 室外機
3 室内機
4 制御装置
5 圧縮機
41 グリッド数決定部(グリッド数決定手段)
42 電力決定部(電力決定手段)
43 制御部(制御手段)

Claims (7)

  1. 電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機を制御し、使用電力を調整する空気調和装置の制御装置であって、
    前記デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、前記デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、前記空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で前記圧縮機を制御する制御手段と、
    所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定するグリッド数決定手段と、
    前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する電力決定手段とを具備し、
    前記制御手段は、前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御する空気調和装置の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記残グリッド数が所定値以下になった場合には、前記圧縮機を停止
    させる請求項に記載の空気調和装置の制御装置。
  3. 前記圧縮機の回転数を引き上げる保護制御中は定格入力を上限とした電力制限運転を実
    施する請求項1または請求項2に記載の空気調和装置の制御装置。
  4. 前記室内機又は前記室外機はCPU及びメモリを具備し、
    前記CPUのクロック及び前記メモリの空き容量に基づいて前記全グリッド数が決定される請求項1から請求項のいずれかに記載の空気調和装置の制御装置。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載の制御装置を具備した空気調和装置。
  6. 電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機を制御し、使用電力を調整する空気調和装置の制御方法であって、
    前記デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、前記デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、前記空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で前記圧縮機を制御する過程と、
    所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定する過程と、
    前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する過程と、
    前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御する過程と
    を有する空気調和装置の制御方法。
  7. 電力のデマンド指令信号に基づいて圧縮機を制御し、使用電力を調整する空気調和装置の制御プログラムであって、
    前記デマンド指令信号を取得し、デマンド制御が有効とされた場合に、前記デマンド指令信号に基づく要求電力や電力量を満たすように、前記空気調和装置の室内機又は室外機に設定される定格周波数より小さい周波数で前記圧縮機を制御する処理と、
    所定期間と、前記デマンド指令信号に基づく要求電力値を分割する単位時間当たりのグリッド数とに基づいて、前記所定期間内で使用できる電力量を示す全グリッド数を決定する処理と、
    前記全グリッド数から、単位時間毎に使用した電力に相当するグリッド数を減算した残グリッド数から算出される前記所定期間のうち残り期間における使用可能電力に基づいて電力制御値を決定する処理と、
    前記電力制御値に基づいて、前記圧縮機を制御する処理と
    をコンピュータに実行させるための空気調和装置の制御プログラム。
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